2016年1月8日金曜日

中国当局が銀行のドル買い制限、一部取引拠点で=関係筋―【私の論評】さらに資本流失が加速した中国!今年はデット・デフレ元年になる(゚д゚)!

中国当局が銀行のドル買い制限、一部取引拠点で=関係筋

関係筋によると中国の国家外為管理局は今月、一部の取引拠点の銀行に対しドル買いの制限を指示

関係筋によると、中国の国家外為管理局は今月、一部の輸出入拠点の銀行に対し、ドル買いの制限を指示した。

資本流出に歯止めをかけることが狙いとみられる。

深センなど一部の取引拠点にあるすべての銀行に指示が出されたという。

複数の関係筋が匿名を条件に8日明らかにした。国家外為管理局のコメントはとれていない。

外資系銀行の外為部門のあるシニアバンカーは「一種の規制であり、影響はある。ただ、それほど厳しい制約ではなく、制限の期間を延長しない限りは、通年の取引量が変わることはないだろう」と指摘。「目的は今月のパニック買いに歯止めをかけることだけだ」と述べた。

関係筋によると、拠点の一つでは、1月に銀行が顧客に売るドルの合計額は昨年12月の水準を超えてはならない。

関係筋の1人は「(当局が)購入額を制限するよう求めてきた。ターゲットもある」とした上で、「主に対象となるのは企業などで、個人に関する政策には変更はない」と述べた。

市場では昨年の元切り下げ以降、オンショア市場とオフショア市場の人民元の価格差が広がっており、当局が資本流出の抑制に乗り出している。

関係筋によると、中国人民銀行(中央銀行)は昨年末、ドイツ銀行、DBS、スタンダード・チャータードに対し、一部外為業務の停止を命じた。

【私の論評】さらに資本流失が加速した中国!今年はデット・デフレ元年になる(゚д゚)!

中国 国家外為管理局
上の記事、多くのマスコミはほんど報道していませんが、中国経済の危機の現れの一つであり、見過ごすわけにはいかないので敢えて掲載させていただきました。

上の記事では、「一種の規制であり、影響はある。ただ、それほど厳しい制約ではなく、制限の期間を延長しない限りは、通年の取引量が変わることはないだろう」と指摘。「目的は今月のパニック買いに歯止めをかけることだけだ」と述べたとあります。

しかし、12月実績を上限に設定するというのですから、 支払いや外貨建て債務の支払は一定ではないわけですし、 外貨建て債券の償還にはドルが必要で償還はそれぞれ債券の発行日により異なるわけです。設備投資なども同様です。

 例えばある企業が、昨年1月発行のドル建て一年もの債券 償還したくでも、銀行がドルを売ってくれないということもあり得るわけです。さらに、外資系企業は通常決算に合わせ母国に資金を送るわけですが、これも出来企業もでてくると思います。

このような規制を入れたことにより、企業は、外貨を国内に持ち込まず海外に貯めこむことになるでしょう。 そうなったとすると、国家外為管理局の思惑は外れ、さらに外貨が失われる一方になる可能性が高いと思います。また、さらに地下銀行の利用がさかんになることでしょう。

このような他国では考えられない、恥も外聞もないような行動をとるということは、もはや中国では、一見合理的であり、良さそうにも見えた、自由経済と計画経済のいいとこ取りでもある国家資本主義体制 が破綻しつつあるとみるべきです。

こんなことをばかりしていれば、さらにリスクが高まり、市場に嫌われ、中国はさらに投資対象にならなくなると思います。実際、もうそうなっています。

このようなことを繰り返していれば、ますます海外への資本流出に歯止めがかからなくなります。このブロクでは、過去にも中国の資金流出が激化していることを掲載しました。

その記事のURLを以下に掲載します。
【お金は知っている】中国金融市場の自壊は変えようがない 外貨準備は「張り子の虎」―【私の論評】馬鹿の一つ覚えの経済政策が、今日の危機を招き後は崩壊するだけ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年9月11日のものですが、この時点でも、中国からの海外への資本流出は深刻でした。その事実を示すグラフのこの記事から以下に引用します。


このグラフをみてもわかるように、一昨年12月の時点では、資金流出はマイナスになっていました。昨年は、そのマイナス幅がどんどん伸びていました。この傾向はその後も続いています。

中国政府の外貨準備も、底をついたどころか昨年からマイナスになっています。このような状況のため、政府としても自らが、ドル獲得に躍起となっており、中国企業や、外資系企業に多少の不都合がでても、資金流失に一定の歯止めをかけるため、一部の輸出入拠点の銀行に対し、ドル買いの制限を指示したとみられます。

それでも、上記で述べたように、この措置はほんの一時のもので、資金流出の流れは留まることはないでしょう。どんどん資金が流出して、その果てには酷いデフレになることが考えられます。

実際、中国はまもなく酷いデフレに見舞われることになることでしょう。それも、深刻なデッド・デフレーションに見舞われることになります。

デット・デフレーションの理論を示すチャート

デット・デフレーションとは、企業などが抱える過剰な債務(debt)が原因となって経済が目詰まりを起こし、不況が拡がっていく現象を指したものです。消費や輸出と異なり、投資の拡大は債務の拡大と不可分です。特に中国のような投資への依存度が高い経済では、資産価格の下落などによって債務の返済が焦げ付いてしまうリスクを常に抱えているといってよいです。

経済がいったんデット・デフレーションに陥ると、まず、物価の下落などによって資産価値や投資プロジェクトの収益性が徐々に下落し、企業の債務返済が次第に困難になるため、新規の投資を控えたり、従業員をリストラしたりするようになります。この状態が長引くと「デフレの罠」、つまり企業や金融機関の連鎖的な倒産が生じ、さらに不況が深刻化する状況に陥ることになります。

このようなデット・デフレーションは1990年代のバブル崩壊後の日本経済や、サブプライムローン破たんやリーマンショック後のアメリカ経済など、20世紀末に資本が国境を越えて自由に移動するようになって以来頻繁に観察されるようになりました。しかもデット・デフレーションが深刻化した経済はかなりの長期間にわたって成長率の低下に悩まされることが多く、非常に厄介な「病」といってよいです。

日本のデット・デフレーションは日銀の金融政策の間違いによるものでした。もし、15年ほど前に、2013年に黒田体制になった日銀が行った異次元の包括的金融緩和を行ったとしたら、日本は長期にわたるデット・デフレーションに見舞われることもなく、その後も少しずつではありますが、経済成長したと思います。

しかし、中国のデット・デフレーションは金融緩和をすれば、それで単純に解消されるという性質のものではありません。背後には、構造的な問題があります。その構造的問題とは、中国経済は、投資への依存度が過度高い経済であり、さらに個人消費はGDPの35%を占めるに過ぎないというものです。

特に個人消費に関してはあまりに低すぎます。これは、日本など普通の先進国だと60%台です。米国は、70%台です。個人消費が経済の多くを支えているのが普通の姿であり、中国は異常です。投資、それも海外から投資にかなり依存する経済はこれからは、成り立ちません。これを変えないかぎり、中国のデット・デフレは長期にわたって続くことになります。

さて、中国のデット・デフレーションに関しては、詳細を述べると、長くなるので、本日はこのくらいにとどめておきます。いずれまた、改めて、詳細を掲載します。

今のところ中国のデット・デフレーションに関しては、日本ではあまり報道されていません。現状では、中国の経済が低迷しつつあるとの報道がまだメインです。しかし、今年中には、デット・デフレという言葉を遣うかどうかは別にして、これがマスコミを賑わすようになることは間違いないと思います。

そうなれば、爆買いブームも終焉すると思います。ただし、デッド・デフレと爆買いストップの間には、若干のタイム・ラグがあるというのも事実です。

日本にもタイム・ラグの顕著な例がありました。そうです。あのバブル期に設立されたと、勘違いされているジュリアナ東京です。実はジュリアナ東京は、バブル崩壊直後に設立されたものです。

ジュリアナ東京はバブルの象徴とされるが、設立されたのバブル崩壊直後
バブルが崩壊しても、それまでイケイケドンドンで来た人たちは、株や土地などで直接損をした人は別ですが、そうではない人たちは、マスコミでバブル崩壊と報道されても、それを認識できなかったり、すぐに元に戻るという感覚でいたため、バブルが崩壊した後でも、バブルの熱狂を継続していました。

中国のバブル崩壊もそうです。もうすでに不動産バブルが崩壊して、多くの人民に影響が出てくるのは必至なのですが、多くの人民はそれを認識できなかったり、すぐに元に戻るという感覚なのです。そうして、中国はすでにデット・デフレの入り口に入ってしまっているのは間違いないです。

私たちは、これから長きにわたって、中国がデット・デフレに悩まされることになることを前提として、世界を情勢をみなければなりません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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