来月発表される去年10月から12月までのGDP=国内総生産について、民間の調査機関などの間では、暖冬の影響で冬物の衣料品などの売れ行きが振るわず個人消費が落ち込んだことなどから、前の期に比べた伸び率がマイナスになるという予測が相次いでいます。
来月15日に発表される去年10月から12月までのGDPの伸び率について、民間の主な金融機関や調査機関など12社は、物価の変動を除いた実質で前の3か月と比べてマイナス0.1%からマイナス0.7%。年率では、マイナス0.5%からマイナス2.8%と予測しています。
これについて各社は、暖冬の影響で冬物の衣料品などの売れ行きが振るわず「個人消費」が落ち込んだほか、中国経済の減速などで景気の先行きに不透明感が増していることを受けて、企業の設備投資が伸び悩んでいることなどを主な要因に挙げています。
各社が予測するようにGDPがマイナスになりますと、去年4月から6月以来、2期ぶりとなります。
各社は、今後の日本経済についても、中国経済の減速や原油安を受けて株価が大きく値下がりしていることで、個人や企業が消費や投資により慎重になるおそれがあるなど懸念を示しています。
【私の論評】それみたことか!8%増税の悪影響が明らかになった今10%増税ではなく他にすべきことが(゚д゚)!
いずれ、内閣府からも昨年の10-12月のGDPの推計値が出されますが、おそらく民間の出す推計値とそんなに差異はないでしょう。実際、今までも、民間の推計との間に大きな乖離があったことなどありません。
内閣府の昨年7-9月期のGDPの推計値はどうであったのか、ここで振り返っておくことにします。
内閣府の昨年7-9月期のGDPの推計値はどうであったのか、ここで振り返っておくことにします。
1次速報でマイナスだったのが2次速報でプラスに転じたのは、2012年10-12月期以来となりました。
設備投資は、財務省が1日発表した2015年7─9月期の法人企業統計を反映させた結果、1次速報のマイナス1.3%からプラス0.6%へと引き上げられました。業種では卸小売業や建設業などが寄与しました。
在庫投資はマイナス0.5%からマイナス0.2%となった。企業が在庫を積み増すペースが減速した格好で、統計上は1次速報と比べマイナスの寄与度が縮小しました。
一方、個人消費はマイナス0.5%から0.4%へとやや下振れました。業種別では自動車や衣服が下方修正の要因でした。
7-9月期の一次速報では、マイナスでした。4-6月期もマイナスでしたので、一次速報の時点では、4-6月期、7-9月期ともにマイナスでした。
このように、二期続けてマイナス成長になれば、マクロ経済学的には、リセッション(経済の後退局面)入したとみなすのが普通です。しかし、何とか2次速報では、プラスとなったので、リセッション入は免れたという形にはなりました。
しかし、10-12月のGDPがマイナスということになれば、まだまだ日本経済は予断を許せない状況にあることは確かです。
ということは、日本経済は基本的にいつでもリセッションの瀬戸際にあるということです。
その最大の原因は、「個人消費」が落ち込みにあると考えられます。そうです。8%増税による悪影響です。こうなることは、最初からわかっていました。
しかし、NHKをはじめとするマスコミや、多くの民間エコノミスト、多くの経済学者などは、増税しても影響は軽微としていたため、現状の8%増税の影響などとは、自らの恥をさらすことになるのであえて報道したり、述べたりはしません。多くの人が、口をつぐんています。NHKもその例外ではないようです。
8%増税の影響は軽微としていた熊谷氏 |
ブログ冒頭のNHKの記事では、暖冬の影響で冬物の衣料品などの売れ行きが振るわず「個人消費」が落ち込んだとしていますが、「8%増税の悪影響」に関しては全くスルーです。
日本の生産年齢人口は年間およそ1%減少しており、これが強力な成長下押し要因となっていますが、これはデフレとは関係ありません。
潜在成長率の低さは、企業が将来への投資をためらう最大の理由は、8%増税による先行き不安です。設備投資をしたとしても、8%増税の悪影響で消費が減るとか、減らないまでも横ばいである確率が高いと判断すれば、企業は新しく設備投資などしません。
企業は長期的な見通しが改善したと確信しない限り、工場の新設などに資金を投じることはなく、手元資金を厚くし続けようとするでしょう。
それに日本では、あまりにも長い間デフレが続き、いわゆるデフレ・ギャップが累積しています。デフレ・ギャップとは、実際の需要が潜在供給を下回った場合の差をデフレギャップといいます。
たとえば、実際の需要が80、潜在供給が100であるとすると、需給ギャップ(実際の需要と潜在供給の差)は、マイナス20(80-100=-20)となります。このマイナスの需給ギャップがデフレギャップです。
デフレギャップは、不況時に起こりやすい現象です。このとき、市場メカニズムが働かない(価格が下がっても、需要が増えない)と、経済はデフレ現象に陥ってしまいます。
デフレギャップを解消するには、政府が需要を増やす必要があります。需要を増やす政策には、政府支出増大、減税、給付金、金融緩和政策があります。これを総需要拡大政策といいます。このうち、日銀が実行する金融緩和政策の他の政策は、政府による財政政策で、このような財政政策のことを積極財政といいます。
さて、このデフレ・ギャップですが、内閣府が過去に発表した数字では、10兆円程度としています。しかし、民間の推計では16兆円とするものもあります。
ただし、これはあくまで推定であり、財政出動をして、デフレが解消するのに費やした金額が、結果的にデフレギャップであったことが後で分かります。
とはいえ、こういった試算は、検証を積み重ねながら、モデルを構築していくため、結論ありきの恣意的な計算でなければ、それほど大きな差異はないと思います。
潜在成長率の低さは、企業が将来への投資をためらう最大の理由は、8%増税による先行き不安です。設備投資をしたとしても、8%増税の悪影響で消費が減るとか、減らないまでも横ばいである確率が高いと判断すれば、企業は新しく設備投資などしません。
企業は長期的な見通しが改善したと確信しない限り、工場の新設などに資金を投じることはなく、手元資金を厚くし続けようとするでしょう。
それに日本では、あまりにも長い間デフレが続き、いわゆるデフレ・ギャップが累積しています。デフレ・ギャップとは、実際の需要が潜在供給を下回った場合の差をデフレギャップといいます。
たとえば、実際の需要が80、潜在供給が100であるとすると、需給ギャップ(実際の需要と潜在供給の差)は、マイナス20(80-100=-20)となります。このマイナスの需給ギャップがデフレギャップです。
デフレギャップは、不況時に起こりやすい現象です。このとき、市場メカニズムが働かない(価格が下がっても、需要が増えない)と、経済はデフレ現象に陥ってしまいます。
デフレギャップを解消するには、政府が需要を増やす必要があります。需要を増やす政策には、政府支出増大、減税、給付金、金融緩和政策があります。これを総需要拡大政策といいます。このうち、日銀が実行する金融緩和政策の他の政策は、政府による財政政策で、このような財政政策のことを積極財政といいます。
さて、このデフレ・ギャップですが、内閣府が過去に発表した数字では、10兆円程度としています。しかし、民間の推計では16兆円とするものもあります。
ただし、これはあくまで推定であり、財政出動をして、デフレが解消するのに費やした金額が、結果的にデフレギャップであったことが後で分かります。
とはいえ、こういった試算は、検証を積み重ねながら、モデルを構築していくため、結論ありきの恣意的な計算でなければ、それほど大きな差異はないと思います。
とにかく、現在の日本にも10兆円以上のデフレ・ギャップがあるのは間違いないです。であれば、増税するなどは全く筋違いの政策であり、本来ならば、財政政策としては、政府支出の増大を、減税、給付金などの政策を実行すべきなのです。
以上のことを勘案すると、以前このブログにも掲載したような経済対策が絶対に必要です。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国ではリーマン級の危機 消費増税“強行”なら取り返しがつかない―【私の論評】10%増税で財務省は天国!国民は夢と希望を捨て、若者は、進学、就職、結婚を諦めよ(゚д゚)!
国会で「リーマン・ショックのような危機」が なければ消費再増税をすると明言した安倍総理だが? |
1.追加緩和
2%の物価目標も達成がなかなかできていないのですから、追加金融緩和を行い。これを達成する速度をはやめるべきです。イギリスの事例をみてもわかるように物価目標をいっとき4%程度にしても、ハイパーインフレになる可能性はありません。2%などと悠長なこと言っていないで、いっときでも4%にするべきと思います。
2.増税延期or凍結
これは、上記で述べたように絶対に増税などすべきではありません。増税は、緊縮財政の手法であり、本来景気が加熱して、ハイパーインフレなどになりそうなときに行う手段であり、デフレから脱却するときに行う政策ではありません。デフレからの完全脱却を目指すなら、減税や給付金などの積極財政を行うべぎてす。
3.20兆円ぐらいの大型補正予算
日本には、未だ、10兆円のデフレギャプがあります。これを埋めるためには、補正予算3兆円など、焼け石に水です。最低でも10兆円、できれは20兆円の補正予算を組むべぎです。日本にはその能力があります。実際、特別会計には、為替特別会計など、円安の現状では、必要のないお金が天文学的に積み上げせられています。これで、20兆円など簡単に捻出できます。ただし、政治決断が必要。今回のリーマン・ショック級の危機はこれらを実行するために、良い口実になると思います。安倍総理は、これを口実に努力していただき、上記のような政策を実行していただきたいものです。
昨年の10-12月の民間予想のGDPがマイナスであることも考えると、こうした政策の妥当性がますます強まったと思います。
昨日は、このブログでは、甘利大臣が辞任したことによって、財務省・増税派の逆襲がはじまるであろうことを掲載しました。
しかし、10%増税などとんでもないです。そんなことをすれば、本当に取り返しのつかないことになります。
そんなことよりも、今は上記で述べたように優先的になすべきことがあります。
日本の政治家の多くもこのくらいのことは理解して、マクロ経済音痴から脱却して、財務省などに幻惑されないようにして、正しい経済政策を選択して、日本経済の一日も速い回復に、命をかけていただきたいものです。
そうでなければ、政治家の存在価値が疑われると思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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