2018年9月14日金曜日

人目につかない自民党の小部屋に呼ばれ… 経済政策を議論してわかった「安倍首相は『健全な政治家』」―【私の論評】経済に限らず、虚心坦懐に予測の当たる人の話を聴くべき(゚д゚)!


高橋洋一 日本の解き方

安倍晋三首相

自民党総裁選では経済政策も争点の一つだ。そこで、安倍晋三首相が金融緩和を軸としたアベノミクスにどのように出合い、学んで自らのものとしたのかという原点について、あらためて振り返ってみよう。

 ある月刊誌に、総裁選に臨む安倍首相の特別寄稿があり、その中で、アベノミクスについて、浜田宏一内閣参与、本田悦朗前参与、岩田規久男前日銀副総裁とともに、筆者から教えてもらったと書かれていた。他の方々は政府役職だが、筆者はそうしたものと無縁にもかかわらず名前を出してもらい光栄だ。

 振り返ると、筆者が小泉純一郎政権時代の竹中平蔵総務大臣補佐官の時、当時官房長官であった安倍氏とよく話をしていた。小泉政権では、「CPU(Communication and Policy Unit)」という首相側近グループの会合が週末に開かれ、安倍氏や竹中氏らが参加しており、その前後に筆者が安倍氏にレクチャーすることがあった。

 そのときは金融政策に割ける時間は少なかったが、「2000年8月のゼロ金利解除はどうだったのか」などマニアックな質問もあって驚いた。そのほかにも「金融政策について聞きたい」と、人目につかない自民党の小部屋に呼ばれ、筆者は「中央銀行の独立性には『目標の独立性』と『手段の独立性』があるが、世界の標準は『手段の独立性』だ」と説明した。安倍氏は、それは政治家に好都合だと言っていた。

 06年3月、日銀が量的緩和を解除する際にも、いろいろと説明した。政府・与党内では、筆者の周りの竹中大臣や中川秀直政調会長が解除に反対だった。その理由は、消費者物価上昇率は見かけ上プラスになったが、物価統計の上方バイアス(実態より高い数字が出やすいこと)を考慮すると、まだマイナスであるという筆者の分析だった。

高橋洋一氏

 一方、政府・与党内では与謝野馨経済財政担当相が量的緩和解除を強硬に主張するなど大勢を占めていた。しかし、その後の消費者物価統計の改定によって筆者の意見が正しかったことが分かった。

 安倍氏はこうした議論をよく見ていた。筆者には「日銀が量的緩和を解除したら経済はどうなるか」と聞いてきた。筆者は、量的緩和解除の半年程度後から景気は徐々に落ち込むと予測した。これは金融政策に関する一般的な効果ラグ(時間のずれ)である。これも筆者の見立て通りだった。

 06年9月に第1次安倍政権が発足した。小泉政権で退職するつもりだった筆者は官邸にいてくれと頼まれ、残ることとなった。ただし、第1次政権は安倍氏の体調不良もあって残念ながら短命だった。

 その後、筆者も時間に余裕があったので、経済政策、特に金融政策についてしばしば安倍氏と議論した。筆者の主張は「金融政策は雇用政策」という左派顔負けのものだったので、保守の安倍氏に受け入れられるか気がかりだったが、心配無用だった。安倍氏は「学者の議論は分からないが、結果が当たる人と当たらない人は分かる」と言っており、当たる人の意見を聞くという意味で健全な政治家だといえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】経済に限らず、虚心坦懐に予測の当たる人の話を聴け(゚д゚)!

アベノミクスについて、安倍総理利は、浜田宏一内閣参与、本田悦朗前参与、岩田規久男前日銀副総裁とともに、高橋洋一氏らから教えてもらったとしていますが、これは非常に妥当な判断だと思います。

なぜなら、これらの人々、いわゆるリフレ派の経済予測は大体当たっていたからです。特に、2014年の4月に実施された8%への消費税増税は、日本経済に甚大な悪影響を与えるという予測はしっかりと当たりました。

一方東大を頂点とする、日本の経済学の主流派である人々の予測はほとんどが外れました。新聞などのマスコミの予測なども外れました。彼らは、「8%への消費税の増税が、日本経済に与える影響は軽微」としていました。

しかし、8%増税の悪影響は甚大なものであり、個人消費が落ち込み、未だに日本のGDPの伸び率は他国に比較して低い状態にありますし、GDPデフレーターでみると、日本経済はいつまたデフレに戻っても不思議ではないくらい低調です。


単純にはデフレーターの値がプラスなら経済はインフレ、マイナスならデフレの方向にあると判断できます。このグラフでみると、日本経済は、2014年は完璧にデフレ方向に向いたことがわかります。

1997年にイレギュラー的な動きを示した以外は、1995年以降概してGDPデフレータは減少し続けている≒デフレを示していた。2014年では1998年以来10年以上ぶりに、今世紀に入ってからは初めて前年比で増加を示し≒インフレとなり、それが直近の2016年まで継続している。まさにデフレ脱却の兆しが確認できる。ただし直近年では前年から大きく落ち込みを示しており、インフレ政策の不足感を覚えさせる。

これ一つをとってみても、いわゆるリフレ派の予測は正しく、日本経済学の主流派といわれね人々の予測は完璧に間違っていることがはっきりしました。

これは、たまたま2014年、8%増税について掲載しましたが、その他のことについてもリフレ派の予測ばあたりますが、主流派経済学者らや、マスコミの予測など一度も当たったためしはありません。

一方金融緩和はどうなったか、といえば、高橋洋一氏が「金融政策は雇用政策」と語っていたので、以下に失業率のグラフを掲載します。


これは、劇的に改善しています。失業率が大幅に減っています。これは、2013年から日銀が金融緩和に転じて以来、かなり良くなっています。これらも、リフレ派の予測の通りでした。

私自身も、安倍総理と同じくリフレ派の言うことを信じています。私自身は、安倍総理が信じる前から、リフレ派の言うことを信じていました。

その理由は簡単です、安倍総理の語るように以前から、リフレ派の言うことは当たっていたからです。それ以外の人々の予測は当たっていなかったからです。

その時からリフレ派の書いた経済記事など読んで、参考にしたり、自分でもノーベル経済学賞受賞した経済学者のクルーグマン氏マクロ経済の書籍などを読んてある程度勉強もしたので、経済学者のように厳密にマクロ経済について理解しているわけではありませんが、それにしてもある程度の経済センスは身につけたと思います。

そうして、安倍総理がリフレ派になる前は、安倍氏はすでに過去の人と思っていました。実際このブロクでも過去の記事では「過去の人」と掲載しています。

しかし、あるときから安倍氏がリフレ派のようなことを言い出したので注目しだし、安倍政権が発足してからは、安倍政権を支持し、「過去の人」なる表現はやめました。

予測が当たる人の話を信用するというのは、当たり前のど真ん中の話であり、企業の中でも、予測があたる人の話を信用するのが普通だと思います。総理といえば、会社でいえば、経営者のようなものです。

以下経営学の大家ドラッカー氏の経営者の情報に関する心得などをまとめておきます。

現代では、自分達の仕事にとって真にカギとなる原点、かつ基本資源である情報を入手し、それを巧みにまとめる方法を学ぶのが企業経営です。さらに、その際に大事なこととして、データに詳しくなることと、情報に精通するのではなく、本当に自分にとって必要な情報を必要なとき必要な量を得る必要があります。

1つは、企業経営者としていかなる情報を必要とするか、もう1つは、自分個人としていかなる情報を必要とするか、です。

そうして、これらの問いに的確に答えるには、次の3つの点を真剣に考え抜かなければならないです。

第1点は、自分の職務とその本質は一体、何なのか、そして本来どうあるべきか。第2点は、自分が寄与貢献できるのは何であり、また何であるべきか。そして第3点は、自分の関わっている組織の基礎(ファンダメンタルズ)をつくる事柄は一体、何かです。

以上の3点に関する、それぞれ異なった型の情報が必要であり、それらを別個に、独自のコンセプトでもってバックアップしておかなければならないのです。

それには外部の情報、内部の情報、そして組織を超えた情報、この3つを押さえることが重要です。

さらには、組織としての成功も、自分個人としての成功も、すべてこの3問に的確に答え得るかにかかっていると言っても過言ではありません。

「単なるデータ」に詳しいことから、「本当に必要な情報」に詳しくなるためには、上記の3つの問いに十分答えられるようにすることが必要不可欠であり、21世紀のマネジメントの真のあり方だとして、ドラッカーは重視しています。

そうして、会社の内外の人々に自分は、あなたからいつどのタイミングでどのような情報が欲しいのかを普段から周知徹底しておく必要があります。これなしに情報は入ってきません。

政治家たるものは、このような情報の重要性を理解しなければ、つとまらないはずです。安倍総理は、自分個人としていかなる情報が必要かを考え抜き、リフレ派の情報も取り入れたということです。そうして、それは正しいことです。

しかし、未だにリフレ派というと、色眼鏡で見る人も多いですし、リフレ派に反対するという趣旨で、反対派が「金融緩和するとハイパーインフレになる」、「金融緩和すると国債が暴落する」、「金融緩和しても何も変わらない」、「金融緩和しても株価があがるだけで、一般人の生活は楽にならない」、「景気が良くなっても実質賃金が上がらない」、「雇用が改善しても生産性は上がっていない」、「近年エンゲル係数があがったのはアヘノミクスのせい」などなど、様々な難癖をつけてきましたが、これはすべて事実ではありませんでした。

経済のことに限らずまた、政治家や企業経営者に限らず、虚心坦懐に予測の当たる人の話を聴くという姿勢は失いたくないものです。そうでないと、間違ったことを平気で、もっともらしく語る大馬鹿詐欺師か、財務・日銀官僚の太鼓持ちになるだけです。


それは、元総理大臣だった鳩山氏のことをみていてもはっきりとわかります。それにしても、いわゆるリベラル・左派は、リフレ派の話などに全く耳を傾ける気配は全くありません。

このブログでも紹介したように、枝野氏の経済理論は、韓国で文在寅大統領によって、実行され、大失敗して、雇用が激減しました。本当に、予測の当たる人の話を聴けない人には困ったものです。

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