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2013年5月11日土曜日

厚労相「年金に大変な運用益」 アベノミクス効果―【私の論評】デフレを前提としてものごとを考えることはもうやめにしませんか?!!もうルールが変わっていますよ!!インフレルールで動かなければ、おいてきぼり喰いますよ!!

厚労相「年金に大変な運用益」 アベノミクス効果

田村憲久厚生労働相

田村憲久厚生労働相は11日、山梨県昭和町で講演し、公的年金の積立金運用について「(安倍政権の経済政策である)アベノミクスなどの影響で、見たことがない大変な運用益が出て、余りある積立金になると確信している」と述べ、株価上昇などを受け、2013年1~3月期は大幅な黒字になるとの見通しを示した。

自営業者らが加入する国民健康保険(国保)の運営を市町村から都道府県に移す案に対し「市町村には、保険料の徴収や健康づくり事業はどうなるのかという不安もあるだろう」と語り、慎重な検討が必要との認識を示した。

【私の論評】デフレを前提としてものごとを考えることはもうやめにしませんか?!!もうルールが変わっていますよ!!インフレルールで動かなければ、おいてきぼり喰いますよ!!
年金の危機については特に過去20年くらいわたり、深刻さを増して、破綻するとかしないとか、もう今の若い人には年金などあたらないとか、あたったとしても微々たるものにすぎないとか、かますびしくいろいろな方面で語られてきました。

私は、この話題を耳にするにつけ、いつも「現在のデフレの時期を前提として年金のことを考えることは間違いだ」と思っていました。それはなぜかといば、私たちの年金がどのように運用されているかどうかを知っていれば十分に理解出来ます。

年金の運用については、詳細は以下のURLをご覧になって下さい。

どうなっているの!年金保険料

詳細は、このサイトをご覧いただくものとして、私たちの年金がどのように運用されているか、その部分中心に以下にコピペさせていただきます。
私たちの納めた厚生年金や国民年金の保険料は、現在の高齢者に給付され、事務費にも充てられます。それで余った分は積み立てられています。その額、厚生年金と国民年金合計で約113兆6,112億円(2011年度末、時価)。給付額に対して、厚生年金で約5年分、国民年金で約4年分もの積立金が、国内外の債券や株式で運用されています。 

 私たちの保険料は、日本年金機構(旧社会保険庁)を通じて徴収され、年金給付や事務費に支出された残りが年金特別会計に積み立てられます。この積立金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に寄託され、民間の金融機関に運用委託されるほか、国内債券による自家運用と財投債の引受け・管理により運用されています。  
年金積立金運用の仕組みの概要
さて、私たちの年金がどのように運用されているかといえば、上の引用文の太字のところを注目してください。その部分だけもう抜き書きすると「給付額に対して、厚生年金で約5年分、国民年金で約4年分もの積立金が、国内外の債券や株式で運用されています」。結局、国内外の債権や株式で運用されています。

年金は、ただ集めてきて若い世代から、年金受給世代へと右から左へとお金が移っているだけではなく、せっかく大量に集まったお金ですから、それを債権や株式で運用しているというわけです。そうして、結局運用は「民間運用機関」が実施しています。民間の運用機関とは、民間の金融機関ということです。民間銀行、民間証券会社、民間保険会社その他です。 確か、記憶では日本での最大の運用機関は、日本生命保険相互会社だったと思います。

この運用益に関しては、時々テレビや新聞などでも、報道されているはずです。私も、過去にはこれをテレビで見た記憶があります。最近はどうなのでしょう、あまり見ない気もしますが、少なくとも新聞などでも報道されているはずです。

結局この運用益は、デフレであれば悪くなりますし、インフレであれば良くなります。特に、日本の過去のように深刻なデフレであれば、 運用益は期待できないわけです。それに、リーマン・ショック後世界同時不況のような状況になっていましたから、海外の株式、債券や株式も運用益はなかなかでなかったのが現実だと思います。それに、国の年金ということもあり、あまりハイリスクなものでは運用できないということもありますから、特に過去10年くらいは運用成績が悪かったのは致し方のないことだったと思います。

しかし、これから景気が上向いていけば、運用益もでてくることが予想されます。そうなれば、年金の拠出も楽にできるようになります。そうして、そのことを冒頭の記事が示していると思います。

???


それにしても、年金の拠出などについて、たとえば、過去のミスター年金と呼ばれていた、長妻昭氏なども、まるてデフレであることを前提でしかものを語っていなかったと思います。デフレの八方塞がりの状況では、年金の運用益も出ずに、年金の拠出もなかなか難しいし、デフレが長い間続くと考えれば、破綻するかもしれないと考えざるをえなかったと思います。しかし、長妻氏以外の政治家でも、例えば舛添要一氏あたりもデフレと年金運用拠出について語っているものはなく、まるで、無関係のような話ぶりでした。

それに、年金の支払など完璧に最後までやるなどという途方もないことをやろうとしました。アメリカだって、年金問題は年に数万件もあり、どうしても行方がつかまらない場合などルールを決めて、企業のように損金扱いなどにしています。そうすれば、何も問題はおきないはずです。最後の最後まで、辻褄合わせをしようとすれば、途方もなく、人件費がかかってしまいます。まったくもって、こういうのを見ると、政治家ってのはボンクラが多いのかななどと思ってしまいます。

 私などは、デフレでは年金問題も深刻になるのは当然であると考えていました。しかし、一般にデフレとインフレと年金問題の関連性などまるでないかのような論議が当たり前に行われて来ました。しかし、この長く続いたデフレも終わりそうで、資産物価が上がった状態で、年金の運用益が出てきたということです。これは、素直に喜ぶべきことですし、デフレを前提でものごとを考えていては、何事も八方塞がりになることの格好の事例ではないかと思い本日はこの話題を掲載させていただきました。

デフレを前提で物事を考えると八方塞がりになるという事例としては、雇用や企業業績の問題なども過去に掲載したことがあります。 それらのURLを以下に掲載します。

まずは、雇用に関するものです。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、世界では雇用枠に関しては、中央銀行の役割であると認識されているのに、日本ではそうではないことを掲載しました。要するに、日本銀行のように不況であるにもかかわらす、金融引締めばかりやっていれば、雇用が悪化するのは当たり前で、日銀が何もしないのに、厚生労働省あたりが、若者雇用戦略をやったとしても、それは、雇用のミスマッチを是正するだけで、雇用そのもが少ないときには、そんなことをやっても何ら解決策にはならず、まずは、日銀が金融緩和をしなければ、根本的な雇用問題は解決しないことを掲載しました。

に、企業業績に関してです。

経済産業省の「現役官僚が提言!」らしいんですが、何を言いたいのか良く分かりません―【私の論評】マクロ的視点がない?「何を言いたいのか良く分かりません」が良く分かりません!!

 この記事ては、経産省の現役官僚が、日本企業の問題点についてあるネットに公開したのですが、その記事についてある人が批判しているというものです。そうして、この現役官僚も、それを批判する人も、全く過去の日本が、古今東西まれに見る酷いデフレであったことは、全く無視して、企業を批判したり、その批判をさらに批判しており、どちらもデフレ・円高無視ということで、企業の外部環境を無視した論評を行っていることで、真実味に欠ることを掲載しました。

実際、最近てはあのトヨタが華々しい成果をあげていますし、ソニー、シャープ、パナソニックにしても、まだ問題のあるところもありますが、業績を大幅に改善しつつあります。過去のデフレ・円高の時には、日本の大手企業もまるで、手枷足枷をされて勝負に挑んでいたようなものであり、あれでは業績が落ちるのは当たり前のことです。

そうして、このお二方の名誉のために付け加えておきますが、この方たちは、最低限、韓国企業礼賛などしていないので、まともです。中には、これら日本の大手企業がデフレ・円高で業績を落としてるいるにもかかわらす、そもそも、企業としての戦略などが駄目であり、本来は円高・ウォン安でぬるま湯に漬かったような状態の韓国企業を礼賛していた馬鹿者、愚か者も大勢いました。

そうして、最後の極めつけは、日本の財政破綻を声高に叫ぶ馬鹿者、愚かものです。たとえば、最近でも、馬鹿馬鹿しい記事が掲載されていました。

国の借金、991兆円 13年度末には1千兆円台へ

まず、この記事の間違い国の借金という表記そのものがおかしいです。国ではなく、政府の借金です。政府の借金と、国の借金は大違いです。国の借金とは、対外純金融負債のことですが、要するに外国から借りているお金が一杯あれば、確かに借金をしていることになりますが、日本の場合は、対外純金融資産などありません。それどころか、日本は、対外金融純資産、すなわち、日本が世界に貸し付けているお金がたくさんあります。それも、過去20年間にわたって、その額は世界一です。ちなみに、2011年末時点、265兆4260億円でした。そんな国が借金まみれであるなどとのたまうのは、気が触れているとしか思えません。

一番最近破綻した国はどこでした。そう、アルゼンチンです。アルゼンチンは、固定相場の国でした。現代ならアルゼンチンのような固定相場の国は財政破綻をするかもしせませんが、変動相場の国では、まずは、滅多に破綻しません。

なぜなら、破綻する直前に当該国の貨幣は、基軸通貨ドルに比較して、0に近いような価値になってしまうということです。そうなるとどうなるかといえば、巨額の借金があったとしても、 対外的には、0に近くなってしまうからです。ただでさえ、変動相場制の国はほとんど財政破綻するということはあり得ないのに、対外金融純資産が、潤沢な日本が財政破綻するはずがありません。もし、破綻するというのなら、それを堅く信じているというのなら、CDS(クレジット・デフォルト・スワップ)でも買って、大儲けすれば良いと思うのに、そんなことをする個人も、法人も聴いたことがありません。ちなみに、 CDSに関しては、以下のURLを御覧ください。日本が本当に財政破綻したら、これを買っておけば、大儲けですよ~~!!皆さん買いますか!無論、賢明な皆さんは買うはずありませんね!!

 クレジット・デフォルト・スワップ

では、なぜ政府が借金まみれであったかといえば、それはデフレだったからです。デフレであれば、家計も、民間企業をお金を貯めこむ一方でなかなか遣いません。マクロ経済は家計とは違い、誰かの支出は誰かの収入です。デフレで誰も支出しなければ、誰も収入を得られません。だから、政府が支出する以外に国民や企業が収入を得る道がなくなります。だから、デフレの結果として、政府が巨額の借金をして支出しなければならなくなったということです。それでも、金融緩和をしながら、ある程度の財政出動をすればよかったものの、金融引き締めと緊縮財政をしたので、さらなるデフレスパイラルに落ち込んだということです。

こんな馬鹿なことは終わらせるべきです。だからこそ、これを終わらせるべく、世界ではごく当たり前の、アベノミクスを実行しようとしているのです。金融緩和と、財政出動をして、経済を活性化させることにより、デフレはいずれ解消します。そうなれば、家計も、民間企業も消費したり、投資したりするようになります。そうなれば、税収も増え、政府の借金も減ります。

浅田真央は度重なるルール変更に対応してきた!!

その前触れが、資産価格の上昇による、年金運用益だということです。それにしても、20年にも及ぶデフレにより、多くの人々の頭もサビつき、デフレを前提で物事を考える人が増えたと思います。そうして、金融緩和しないことに何の疑問を持たないばかりから、増税やむなしと考える人も多かったです。しかし、もう、これだけ株高、円安になってしまえば、特に産業界はこの流れを変えたくないと考えています。

そうして、この流れは、まもなく、産業界から、多くの国民に広がっていきます。今は、デフレ頭と、インフレ頭が拮抗している状況だと思います。しかし、これから先の10年は違います。いつまでも、デフレ頭でいれば、世の中の動きについていけなくなり、置いてきぼりを喰うと思います。もうデフレのときのルールは通用しなくなります。経済でも、事業でも、小さな商売でもそうなります。私は、そう思います。皆さんどう思われますか?

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2012年6月17日日曜日

消費税増税が抱える“10の問題”とは−【私の論評】日本は、財政破綻するというのは、日本の総理大臣と、財務大臣とその取り巻き等だけ、世界はそうみていない!!

消費税増税が抱える“10の問題”とは

高橋洋一氏の著書
13日、「衆議院社会保障と税の一体改革特別委員会」の公聴会で、公述人として意見を言う機会を得た。せっかくの機会なので、消費税増税の問題を10ほど上げて、網羅的に説明した。できるだけ問題点が多いことを公式記録として残したかった。

まず、経済対策として、(1)デフレの解消が先(2)財政再建の必要性が乏しい(3)欧州危機時にやることでないこと、第二に税理論として、(4)不公平の是正が先(5)歳入庁の創設が先(6)消費税の社会保障目的税化の誤り(7)消費税は地方税とすべきこと、第三に政治姿勢として、(8)無駄の削減・行革が先(9)資産売却・埋蔵金が先(10)マニフェスト違反がある-とした。

(中略)

しかし、増税議論は民自公の3党協議によって特別委員会外で着々と進んでいる。公聴会後はいつでも採決できるわけで、はっきり言えば公聴会は敗戦処理・消化試合のようなものだ。とても残念だがそれが真実だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

この記事の詳細は、こちらから、ZAKZAK

【私の論評】日本は、財政破綻するというのは、日本の総理大臣と、財務大臣とその取り巻き等だけ、世界はそうみていない!!



最近のこのブログで「消費税に関して書いても書いても書き足りない」と掲載したばかりですので、本日も消費税関連ネタを掲載させていただきます。上の動画をみていただければ、公聴会における、高橋洋一氏の発言、全部を御覧いただくことができます。

上の記事で、高橋氏は、国会の公聴会で議員からいくつから質問を受けた旨掲載しており、その三番目は、野田首相や政府がしばしば言及する、「日本の財政状況は危機的」という話についてだったそうです。公述人として参加していた人の中にも、とりたててデータなしでそう言及する人もいたそうです。

これに対し、高橋氏は「背理法」によって説明しました。背理法とは、ある仮定をすると矛盾が出てくることを使って、その仮定が誤りであることを示すという論法です。

 もし3年以内に財政破綻すると仮定します。そうすると、今のCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は1%なので、日本の債務残高1000兆円で破綻保険料は年間10兆円。3年払っても30兆円。これで本当に3年以内に破綻するなら、今30兆円払えば債務残高がなくなり財政再建が完了することになります。こんな都合のいい話はあるはずないのでおかしい。ということは3年以内破綻するということが誤りだであるとしています。私も、全くそのとおりだと思います。



このCDSに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その中の核心部分だけ、以下に掲載します。
一国の財政が破綻の危機に瀕しているのかどうかは、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のレート(保証料)を見ればわかります。破綻する可能性が高ければ、レートは上昇します。 
しかし、G7の中で日本(1.1%)はアメリカ(0.5%)、英国(0.9%)、ドイツ(1%)に次いで4番目に低く、フランス(1.7%)より上位にあります。この基準で言えばギリシャはCDSは、約50%で、それだけのレートがついてしまう破産状態の国です。日本は全く異なります。
あれからほんのわずかの間に、現在では、ギリシャのCDSスワップのレートが100%にもなっており、事実上ほとんど破綻です。日本は、上で高橋氏が語っていたよように、この頃から変わっておらず、1%前後で、これでは、どう考えても、破綻しそうにもありません。

この事実は、世界中の金融機関などに知れわたっており、数年まえから、日本が財政破綻するなどといったり、日本の国債が大暴落するなどとする外国の金融機関は存在しません。ただし、今でも、ときおり、海外のファンドなどの主催者がこれを言っているのを報道機関が報道したりしますが、これは、例外中の例外といっても、良いものを、政府の増税の後押しをする報道機関が、恣意的に取り上げているだけです。

それから、CDS自体については、このブログでは詳しく説明をしたことがないので、以下に簡単に掲載しておきます。まずは、下に画像を掲載しておきます。CDSは、債務保証ともにていますが、決定的に違うところがあります。それを以下で説明します。

●CDSは債務保証の仕組みに似ている……まずは債務保証について
仕組み的には債務保証のそれに似ている。まずは「債務保証」そのものについて説明することにしよう。民法や商法など関連法をかじったことのある人、あるいは専門家ならすでにお分かりだろうが、「債務保証人」(C)は債務者(お金を借りた人、A)が万一破綻した場合に、債権者(お金を貸した人、B)の貸し倒れを肩代わりする約束をする。その代わりに、破綻しない場合には(まとめて、あるいは定期的に)保証料金を支払う。
債務者Aが破綻しなければ保証人Cは一定額をBから利益として得ることになるし、債権者Bは「債務者Aが破綻した場合にとりっぱぐれになる」というリスクを軽減することができる。いわば「保険」のようなものだ。 
もちろん実際に債務者Aが破綻すれば、保証人Cは保証を履行し、債権者Bは債務を受け取ることができる。そして債権者Bが債務者Aに対して持っていた債権を保証人Cが取得(法定代位)。保証人Cは債務者Aに対し「債権者Bから借りていたお金の債権はうちに移りました。うちに返して下さいね」と請求することができるようになる(求償権の獲得)。
債務保証模式図
債務保証が経済・金融の仕組みとして存在する理由はいくつかある。債権者Bの経済規模が小さく、債務者Aへの貸付が焦げ付くと経営が不安定になるような状況の場合。銀行や保証協会などに保証してもらい、リスクを軽減するというものである。 
逆に債務者Aの立場があまり高くなく債権者Bからまともに借財が出来ない場合、債務者A側に保証人Cがついてもらう場合もある。この時には保証人Cは債権者Bに対し「万一の時にはうち(C)が全額支払うから条件甘くしても大丈夫ですよ」とリスクの軽減を保証し、代わりに債務者Aから一定額の保証金を受け取るというもの(むしろ一般的にはこちらのパターンの方が多いかもしれない)。 
保証人は各種条件を精査し、「この条件ならこれだけの保証料を受け取ればリスクはカバーできる」と計算した上で保証を行う。保険の仕組みと同じで、すべての案件を合算すれば必ず利益が出る(破綻した場合の保証支払金<<各保証先からもらえる保証料の合計)仕組みになっている。よほどイレギュラーなことが起きない限り、低リスクでお金が回るというわけだ。
CDSの場合……債務保証に似ているけど、違う部分も多い
CDSの場合も、基本的には「債務保証」と仕組みは同じ。ただ大きく異なるのは、CDSの売り手も買い手も、債務者Aや債権者Bとは何ら関係がないのが前提ということ。要はCDSの売り手Dも買い手Eも、債務者Aと債権者Bとの間に生じる債務不履行のリスク(Credit Risk、CR)に対する備え(Protection、P)を傍観者の立場から売買するのであり、債務者A・債権者Bとの間柄は「無関係」に他ならない。 
CDSの売り手Dは債務者Aの焦げ付きリスクや借入額などに従い契約料を設定し、買い手Eに売却する。買い手Eは一定額をまとめて、あるいは一定期間毎に売り手Dに支払う。債務者Aが無事に債務を履行すれば、CDSの売り手Dは契約料を受け取る一方のみ。 
もし仮に債務者Aが破綻した場合。CDS売り手Dは契約に基づき、多額の支払いを買い手Eに支払うことになる。ただし「債務保証」の場合と異なり、債務者Aに対する法定代位や求償権の獲得は無い。もともと債務者Aや債権者Bとの間に何の関係もないのだから当然である。
CDSの仕組み模式図
CDSの買い手が債務者Aへ別系統で貸付をしていたり、債務者Aの関連企業、あるいは類似企業を含む関連業界への貸付をしていれば、CDSの購入は間接的な貸し倒れリスクの軽減になる。 
ただしそのような状況はあまり多くなく、むしろデリバティブ取引にありがちな、「ブックメーカー的な賭け的要素の強い金融商品」の性質が濃い。債務者Aにしてみれば、自分の債務でCDSのやり取りをしているなど、はた迷惑な話かもしれない
 さて、この説明をごらんいただければ、高橋氏の語る意味もよく理解できると思います。それにしても、CDSのレートを理解している、海外の金融機関などは、もはや誰も日本の財政破綻など信用していません。ゴールドマンサックスなどの投資銀行などは、昔とは、いっても、わずか数年前、さかんに吹聴していた時期があります。


その頃は、たしか、今はなき、Google Buzzのサービスがはじまったばかりで、アメリカのあるご婦人が、ゴールドマン・サックのデタラメ情報をそのままBuzzで引用していたので、頭にきた私は、CDSレートの話や、日本の国債がほとんど国内で賄われている話、さらには、日本はアメリカからアメリカ国債を大量購入してアメリカ経済を支えていること。さらには、日本の対外資産は、世界一であり、過去十数年間(当時)、世界第一位であることなどを論拠に、反論しました。


その後、ゴールドマンサックスは、ギリシアの財政破綻に犯罪的に関与していたという報道がなされたり、さらに、追い打ちをかけるように、ギリシャに非常に不利になるような融資話を表向きはあたかもそうではないように、もちかけたのですが、さすがに、ギリシャ政府も最早その手にはのらなかったことなど、報道されるに及び、さしもの、ゴールドマンサックスも、日本の破綻話など、言わなくなりました。そうして、さらに、今日の円高ならびに、日本国債の長期金利の低さです。

もう、他の金融機関も、そのような話をしなくなりました。おそらく、そのような話をしても、もう誰も乗ってこなくなったのだと思います。にもかかわらず、なぜか、日本の総理大臣や、財務大臣や、自民党総裁、それに少なからず多くの政治家などがそのような話などは、未だに日本が財政破綻するとか、日本国債が暴落するなどとの与太話を平気でします。本当に困ったものです。



日本の証券会社なども、ごく最近まで、そのような話をしているところもありました。しかし、日本の証券会社や、ゴールドマンサックスなど、所詮民間企業でありハゲタカであり、金融馬鹿、賭博師ですから、財政破綻の与太話でも、多くの人が信じれば、金儲けにつながるかもしれません。とにかく、実体経済が良かろうと、悪かろうと、あるいは、悪くしようが、良くしょうが、どうなろうと、彼らにとっては、金融・経済のの急激な変動は、大儲けの一大チャンスなのです。しかし、総理大臣、財務大臣、あるいは、政治家がそのような話をして、何の益があるのでしょうか?

禿鷹
無論、増税のための後押しとして、そのような話をしているのでしょうが、それにしても、デフレの時期の増税は、意味がなく、ますます、税収が減ることになるだけです。そんなことをして、いったい、総理や、財務大臣に何の得があるのでしょうか?そうして、特に野田総理は、増税に政治生命をかけるといいます。グローバルな観点からみれば、本当に、古今東西でも見たことのない、首をひねりたくなる珍現象だと思います。それに、直近ではすっかり忘れ去られているようですが、予算関連法案がまだ通っていません。これが決まらなければ、40兆円もの予算の使い道が定まらず、国政が麻痺することは目に見えているのですが、そんなことは、後回しにして、増税ですか? 本当に不思議な政局です。困ったものです。



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