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2013年3月1日金曜日

【政論】玄葉氏よ、お前もか ブーメランの「お家芸」継承―【私の論評】ポストモダン(脱近代)社会の七つ作法を知らなけれ、政治家はもとよりそもそも社会人にもなれない!!現代はそういう時代だ!!

【政論】玄葉氏よ、お前もか ブーメランの「お家芸」継承


あまりに稚拙な、民主党元玄葉外務大臣の国会での答弁

民主党は以前から、放った言葉が必ず自分に戻ってきて突き刺さる「ブーメラン政党」といわれてきた。28日の衆院予算委員会での質疑を通し、党の次代を担う玄葉光一郎前外相もその「お家芸」をきちんと継承していることが得心できた。

玄葉氏は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、オバマ米大統領との会談で関税撤廃に事実上「例外」を認める共同声明を文書でまとめた安倍晋三首相にこう迫った。

「当たり前のことで国内向けのパフォーマンスだ。明示的に文書にしたわけではないが、すでに昨年4月に私と米通商代表部(USTR)のカーク代表との間で、関税は交渉の中で決まっていくと確認している」

これに対し、首相はあきれた様子でこう返した。

「だったら民主党政権時代に文書にすればよかったではないか。政治は結果だ。『そんなの俺たちだってできた』と言っても世の中に通らない」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3代の首相と同様、玄葉氏もブーメラン投げの名手となる資質を十分備えているようだ。


【私の論評】ポストモダン(脱近代)社会の七つ作法を知らなけれ、政治家はもとよりそもそも社会人にもなれない!!現代はそういう時代だ!!

玄葉氏によれば、被災地に中国人を呼ぶことが復興になるそうだ?

民主党の元外務大臣の玄葉氏の答弁、上の動画や記事でも示されているようにあまりに稚拙です。玄葉氏にかぎらず、民主党の国会での質問かなり稚拙です。あまりに稚拙で、テレビなどて見るに耐えません。安倍首相が、上記のように返答するのも納得できます。本当に、ブーメランです。

それにしても、国壊議員(もちろんジョークです)に限らず、最近このような人たちが増えているような気がしてなりません。どうして、こんなことになってしまうのか、しばし考えてしまいました。

国壊議員をモチーフとしたTシャツのデザイン

そうして、いきあたったのが、昨日もこのブログに掲載したように現在は、ポスト・モダンの時代であるということです。こういう人たちは、ポスト・モダンの時代に乗り遅れているのだと思います。そうして、ポスト・モダンの時代をのりきるにはその作法があります。これを身につけなければ、玄葉さんは、いつまでたっても、幼稚な社会人から脱皮できません。それは、他の民主党議員も大同小異だと思います。

これに関しては、以下に、昨日の記事でも取り上げたのでへ、そのURLを掲載しておきます。

左脳がアナタに仕掛ける「5つの罠」―【私の論評】 あなたは分析麻痺に陥っていないか? ポスト・モダンの現在において最も重要なのは、知覚だ!!


詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、玄葉氏のように、国会などの公の席で、あのような奇妙な質問する人たちには、この記事で掲載したポスト・モダン七つの作法を、そもそも知らないのだと思います。これは、七つの作法という形では、知らなくてもある程度経験を重ねたり、それこそ国会や、政府などのような、まともな公的な機関や、企業などでやりとりをしたり、そこで活躍されている先輩などから学びある程度、自然に身についていなければならないものです。そうして、日本人は、従来はこのようなことに西欧人などよりはるかに秀でていたはずです。

我々の先達の日本人はこうした能力に秀でていたからこそ、西欧近代主義の考え方を取り入れるにしても、こうした精神を失わず、すばやく、取り入れ役立てることが出来たのだと思います。しかし、最近では、西洋近代主義的な考えばかり重視され、日本の良さが失われたように思えてなりません。

これが、身についていない人は、どんなに聡明で頭が良くても、どの分野においても、高い地位や、人々をリードするような地位についてはいけませんし、させてもいけません。

ポスト・モダンの七つの作法については、詳細は、上の記事をご覧いただくものとして、柱だけ掲載すると以下のようなものです。
1.見る
2.わかったものを使う
3.基本と原則を使う 
4.欠けたものを探す 
5.自らを陳腐化させる
6.仕掛けをつくる
7.モダンの手法を使う
この中でも、重要なのは、まずは一番最初の「見る」ということです。見るといっても、ただ単純に見るということではなく、全体を「見る」ことです。全体を命あるものとして「見る」ことです。しかも緻密に「見る」ことです。しらみ潰しに見ていくことです。 そうして、「見る」ことに限らず、上記の七項目は、ことさら、ポスト・モダンといわなくても、程度の差はあれ、昔の武士道精神が息づいていた日本人の大人は、誰もが会得していたものと思います。

そして、見ることの補完として、「聞く」ことです。人は同時に2点に立つことはできません。他の者が「見る」ものを「聞か」なければなりません。自らの強みさえ、誰かに「聞か」なければわかりません。これも、昔の日本人の大人は十分に会得していたと思います。

レントゲン写真を見たからといって人体を「見た」ことにはならない。全体をみなければならない。

さて、玄葉さんは、本当に安倍総裁を含む、国際情勢や、国内情勢を徹底的に見ているでしょうか?そもそも、安倍総裁とのオバマ大統領の会談について、新聞などでは、本当の中身などわかりません。類推するしかありません。その類推も正しいかどうかなど確証などありません。

外交では、国どうしの約束ごとを単に口約束などや、官僚が確認したりした事柄においても、首脳同士が共同声明の文書にまとめることには、かなり重要な意義があります。このような文書にまとめたことを全く価値のないように発言したり、民主党政権がやっていたのと変わりがないと発言したのは、玄葉さんは、物事の背景を全く見ていないことの査証だと思います。それに比較すると、安倍総理は、よくものごとを見てから、話をしていると思います。玄葉さんとは、大違いです。

このように、よく「見る」ことをしてこなかったのが、民主党政権なのだと思います。こんなことでは、国会での答弁などもまともにならないどころか、そもそも高度な政治判断などできません。民主党には、もう先がないといわれていますが、なぜそのようなことなるのか、新聞などでは、選挙での大敗とか、その他もろもろの、目先のことばかり報道していますが、本当の原因はこういうことだと思います。

本日は、何やら、昨日のブログ記事の続きのような内容になってしまいましたが、玄葉さんの例は、ポストモダン(脱近代)社会の七つ作法を知らないとどいうことになるのか、格好の事例になると思いましたので、敢えて掲載させていただきました。

それにしても、最近の学校では大学を含めて、分析、論理が主体では、ポスト・モダン社会の七つ作法のようなことは全く教えていないようです。無論、現在教えているようなことも必要不可欠なのですが、やはり、これらの作法、その中でも、分析するだけではなく、物事全体を良く「見る」、徹底的に見るということを教えるべきと思います。特に、大学や、大学院などの高等教育ではそうするべきと思います。そうでなければ、私たちの社会は分析麻痺に陥るだけです。

そうして、まさに、日本では民主党はもとより、旧来の自民党も、全体を徹底的に「見る」ことを忘れ、日銀や財務省の官僚の分析や発言を信じて、過去において長きにわたるデフレを許容するどころか、長引かせることに協力してきたのだと思います。もう、私たちは、分析麻痺の呪縛から解き放たれるべき時期に来ていると思います。そうでなければ、経済だけではなく、文化や、社会も停滞し、閉塞感にさいなまされることになります。民主党政権の3年間は、こうした閉塞感にさら強くさいなまされた暗黒の時期だったのだと思います。皆さんは、どう思われますか?

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【参考図書】

 




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2013年2月28日木曜日

左脳がアナタに仕掛ける「5つの罠」―【私の論評】 あなたは分析麻痺に陥っていないか? ポスト・モダンの現在において最も重要なのは、知覚だ!!

左脳がアナタに仕掛ける「5つの罠」:



アナタの独創的なアイデアは、自分の左脳によって奪い取られているかもしれません。 たいていの人は、これまでの経験をもとにして、段階的にものごとに取り組むほうが安心できます。整然とコントロールされ、秩序立った状況、論理的な世界が好きなのです。そして、バラバラで統制がとれていないと不安になります。

「たしかな裏付けがある枠組み」の外へと踏み出すなんて、非生産的で時間の無駄だ、と思うわけです。自分はそういうタイプだというアナタは、これまで多くの場面で、そうした考え方が役に立ってきたのでしょう。ただし、そこには創造性という要素が抜け落ちています。 実際のところ、左脳型の直線的思考に慣れ親しんだアナタは、自分は創造的な人間ではないと信じ込んでいるのではないでしょうか? 左脳の仕掛ける罠についてお話しする前に、右脳vs左脳という理論について紹介しましょう。

この記事の続きはこちらから!!


【私の論評】 あなたは分析麻痺に陥っていないか? ポスト・モダンの現在において最も重要なのは、知覚だ!!



上の記事では、左脳、右脳の働きを軸にして、創造性に関して述べていました。そうして、創造性を妨げる左脳の罠について説明しています。詳細については、上の記事をご覧いただくものとして、その罠を以下に掲載します。
■ 左脳がアナタにしかける5つの罠
1.視野を狭める
2.直線的=安全
3.論理と直観
4.パーツと全体像
5.「クリエイティブな人間ではない」と信じさせる
そうして、最後はこのように締めくくっています。
左脳人間の皆さん、騙されてはいけません。右脳思考を呼び込んでくれる行動に、積極的に挑みましょう。左脳型思考パターンの長所にクリエイティブな右脳思考が加われば、鬼に金棒。今の社会で成功するための、なくてはならない秘密兵器になるはずです。
さて、この締めくくり確かに重要な示唆をしているとは思うのですが、私達は、右脳と左脳を自由自在に使い分けることなどできません。では、どのようにして右脳を使ったり、活性化させるかについては具体的な示唆はないと思います。

私は、これに対する具体的な示唆を試みようと思います。

これに対する具体的な示唆としては、やはりマネジメント的なアプローチが良いと思います。このブログでも、以前にも指摘したように、心理学や脳科学における最新発見のようなものに関しても、実は学問的には証明されていないことでも、実務的にそのようなことに注目して実務的な解決方法が編み出されている場合が多いです。

ポスト・モダンの建築物

そんなことから、昔からマネジメント上でいわれてきた、モダンとポスト・モダンの考え方を掲載します。

ポストモダン(英: Postmodern)とは、「モダン(近代)の次」という意味であり、モダニズム(近代主義)がその成立の条件を失った(と思われた)時代のことです。ポストモダニズム(Postmodernism)とは、そのような時代を背景として成立した、モダニズムを批判する文化上の運動のことです。主に哲学・思想・文学・建築の分野で用いられる言葉です。ポスト・モダンそのものについては、ここでは本題ではないので、詳細を知りたいかたは、下に参考図書をあげますので、それを購読されるか、ネットで調べていただきたいと思います。

さて、会社などで仕事をするにしても、モダニズム的な仕事の仕方、ポスト・モダニズム的な仕事の仕方があると思います。これは、まさに上記でいうところの、左脳による仕事の仕方、右脳による仕事の仕方に相当するものと思います。どちらが欠けても、仕事はうまくいきません。

ポストモダンのアート アンディ・ウォホール

モダニズム的仕事の仕方としては、仕事上で何かを改善・改革するときに、対象を見る場合に、分析を丹念に行うというアプローチです。分析とは、何かの対象を細かく分けて、仔細に調べて、最終的にそれを統合すれば、すべてを理解できるという考え方です。

たとえば、時計を持ってきて、それを細かく分解し、全部を調べてしまえば、その時計のすべてを理解できるということです。確かに、時計ならば、細かく分解して、どのような部品で成り立っているかを知ることができます。このような考え方がモダニズムであり、確かにこのアプローチはかなり成果をあげ、現在の西洋文明の礎になったと思います。

しかし、時計や物体の運動のような場合は、いくら複雑に見えてもこのようなアプローチでその本質を知ることはできますが、複雑な社会現象や、人体などの複雑で高度なシステムではそのようなわけにはいきません。たとえば、人がつくった半分のパンはなりたっても、そうではない半分のあかちゃんはなりたちません。

人体をいくら細かく分析しても本質はみえてこない

人体を細かく分解して、仔細に調べたとしても、複雑なシステム体系としての人体は理解できません。人体を解剖して、皮膚、欠陥、爪や、内蔵などを細かく調べただけでは、総体としての人体の本質を知ることはできません。爪や内蔵レベルではなくさらに細かく、分子レベルで調べる方法として、分子生物学なども現在はありますが、分子生物学だけで、人体の本質を知ることはできません。だからといって、さらに細かく、人体を構成している原子や量子を調べたとしても、人体の本質はみえてきません。ますます、わからなくなることでしょう。

では、複雑な社会現象を理解したり、人体を理解したりするには、どうしたら良いのでしょうか?それは、知覚です。ポスト・モダニズムでは分析ではなく、この知覚が重要視されるようになったのです。

では、知覚とは何かといえば、動物が外界からの刺激を感じ取り、意味づけすることです。 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚、平衡感覚などの感覚情報をもとに、「熱い」「重い」「固い」などという自覚的な体験として再構成する処理です。人間の場合だと、さらに、文脈を構成するとか、さらに高度な概念を構成する処理をすることです。

それでは、マネジメトでは知覚に関してどのようなことがいわれているのか、マネジメントの大家ドラッカー氏論考を以下に紹介させていただきます。

ポストモダン(脱近代)社会の七つ作法・論理ですべてが分かるわけではない

ドラッカー氏は彼の著書『変貌する産業社会』において、モダンからポストモダンへの重心の移行を宣言したとき、「新たなポストモダンが、手段と道具を持ち合わせることなく、われわれの行動を事実上支配している」と語っています。

しかし、多少なりとも丁寧に見ていくならば、その後のドラッカー氏の著作の多くが、われわれにこのポストモダンのための手段と道具を与えるための作業だったことがわかります。

実に、3分の2世紀以上にわたって書かれた全著作において、折に触れドラッカー氏が教えてくれたポストモダンのための方法論をまとめてみるならば、次の七つの作法ということになるでしょう。これは、以前のブログにも掲載したことなのですが、本日は再び装いを新たに掲載させていただきます。

1.見る 
第一に、「見る」ことです。全体を「見る」ことです。全体を命あるものとして「見る」ことです。しかも緻密に「見る」ことです。しらみ潰しに見ていくことです。 
イノベーションの種としての機会を探るべく、ドラッカーは1000件を越える成功事例を調べたといいます。それは、ニューヨーク大学大学院の夜のセミナーで行われました。しらみ潰しのローラー作戦でした。 
そして、見ることの補完として、「聞く」ことです。人は同時に2点に立つことはできません。他の者が「見る」ものを「聞か」なければなりません。自らの強みさえ、誰かに「聞か」なければわかりません。アウトサイド・インサイダーとしてのコンサルタントとしての値打ちも、ここにあります。
2.わかったものを使う 
第二に、「わかったものを使う」ことです。とくに、当初予期せずにわかったことを使うことです。原因や理由はわからないままでもよいのです。学者に付き合って原因の解明を待っている暇はありません。いずれにせよ、理論を体系化したとしても創造することはできません。重要なことは、わかったことを使って行動することです。 
「何が起こりそうか」を考えて行動してはならないのです。「すでにわかったこと、すなわち起こったことをもとに行動せよ」ということなのです。「そのわかった事に自らの強みを合わせよ」ということです。ということは、「トレンドを使え」ということでもあります。 
さらにもっと重要なこととして、「すでに起こった未来を使え」ということです。何事にも、インパクトをもたらすにはリードタイム、あるいはタイムラグがあります。このリードタイムが未来を教えてくれるのです。
3.基本と原則を使う  
第三に、基本あるいは原則となるものを知って使うことである。 
ただし、それらのものを一律に適用すべき万能の原理としてではなく、補助線として使うことである。あらゆる事業に、「世のため人のため」という補助線を引いてみることである。あらゆる意思決定に「世のため人のため」という補助線を引くことである。組織構造についても、透明さ、平板さという補助線を引いてみることである。
4.欠けたものを探す  
第四に、欠けたものを探すことです。キャップを探し、ニーズを見つけることです。「宇宙には何らかの秩序があるはず」との確信をもつことです。「すべては目的が規定する」と楽観することなのです。 
元素の周期律表を発見したメンデレーエフは、見えないものの存在とその位置づけを明らかにしただけでなく、そこから、すでに見えているものの位置づけを明らかにしました。すなわち、全体の形態を明らかにしました。 
未知なるものは無数にあります。解決が喫緊であるにもかかわらず、その全容が知られていない問題はたくさんあります。大事なものの多くは目に見えません。現実は目に見えない大事なものによって支えられています。それらのものを、いま見えるものとの関係のもとに明らかにしていくことが、「未知なるものの体系化」です。 
それは、見えないものを明らかにするのみならず、見えるものの意味を示します。ドラッカーのイノベーション論の根底にあるのは、この方法にほかなりません。そして、ドラッカーによる最初にして最大のイノベーションがマネジメントの発見でした。 
加えて、ドラッカーのマーケティング論の根底にあるものも、この方法にほかなりません。ドラッカーが事業の先を見るうえでカスタマー(顧客)よりも大事だといっているノンカスタマー(非顧客)こそ、そもそも体系化すべき未知なるものだったのではないでしょうか。
5.自らを陳腐化させる 
第五に、あらゆるものが陳腐化するがゆえに、自らが陳腐化の主導権を握ることです。とくに乱気流の時代にあっては、自らがチェンジ・リーダーとなることです。 
デュポンは品質、用途、価格において、自らの製品を陳腐化していくことにより、業界リーダーの地位を不動にしてきました。 
この自らを陳腐化させるという努力を怠ったために、他社によって陳腐化させられてしまった企業や事業は枚挙にいとまがありません。しかも、他社を陳腐化させることに成功した企業が、その成功に自ら学ぶことをせず、今度は第三の企業によって陳腐化させられつつあります。
6.仕掛けをつくる 
第六に、「仕掛け」をつくっておくことです。しかも成功に焦点を合わせ、成功を慣習化してしまうことです。今日一般に目にする失敗と不調についての報告に加えて、成功と好調についての報告をまとめ、それらについて検討することです。 
あるいは、「あらゆる事業活動について目標を定め、結果と参照する」というフィードバック分析を習慣化することです。
さらには、理想を現実化するために、「何をもって憶えられたいか」を考えることを日常化することです。 
ドラッカーは「ぜひともアクションプランをつくれ」といいます。「緻密にアクションプランをつくり、状況の変化に一歩先駆けて修正していけ」といいます。歴史上、ナポレオンのアクションプランほど緻密な作戦計画はなく、ナポレオンのアクションプランほど修正されたものはありませんでした。 
ただし、この「仕掛けをつくる」という作法には、「拘束衣や足枷になりかねない仕掛けはつくらない」という心得が付随します。アメリカ建国の父たちは、当初、憲法の草案に人権条項を入れていませんでした。それは、人権条項を抜きでは批准せずとの各植民地からの要求があって、仕方なく入れたものでした。ただひとえに後世を縛りたくないからでした。 
ドラッカーは『産業人の未来』において、「アメリカはこの戦争に参戦するだろう。そして勝つだろう。しかし、勝つためだからといって国家統制的なことは何もしてはならない。それは戦後も続くから」と書いていました。 
「戦争が終わる日とは、一つの旅が終わる日でも、一つの旅がはじまる日でもないのだから」といっていました。「それは馬を替える日にすぎないから」といっていました。日本では戦争が終わって半世紀もたってから、戦争中にはじめたものの見直しを行っています。
7.モダンの手法を使う
チャップリンのモダンタイムズより
そして第七に、限界をわきまえつつ、モダンの方法を使うことです。論理と分析を使うことです。何しろ350年間磨きをかけてきた方法です。それも単に think するだけではありません。 Think through すること、つまり徹底して考えることです。ドラッカーの口癖が、この think throughです。 
これらがポストモダンの作法です。しかし当然のこととして、このポストモダンの作法も人それぞれのものです。人それぞれにドラッカー直伝のものです。しかもそれぞれに発見、発展、蓄積していくべきものです。
七つにまとめる人もいれば、九つの人もいるでしょう。それぞれがそれぞれの作法を武器に、「世のため人のため」に行動することが、組織社会における新しい慣習の形成をもたらすことになります。
ポストモダンの作法は手間暇のかかるものばかりです。そもそも、ポストモダン自体を論ずることが困難です。ポストモダンが意識されて50年、あるいは70年にすぎないからか、それとも本質的に論じにくいものなのかはわかりません。

しかし、この世界とは、もともとがそのようなものと覚悟すべきであると思います。因果の太い線だけをさぐるというモダンの方法が、そもそも無精者のする仕事だったのかもしれません。解析幾何学で普遍学を開拓しようとすることに無理がありました。世の中、捨象してよいものはありません。大雑把にくくってよしとすることのできるものはありません。


とにかく、論理の世界だけで、分析だけを重視していたのでは、分析麻痺に陥るだけです。たとえば、あなたが清涼飲料水を売る会社に勤めていたとして、過去に売れたものだけを分析することは簡単ですが、それだけではオロナミンCや、ポカリスエットや、最近売れているエネジー系ドリンクもトクホ系のコーラも、生まれてこなかったでしょう。分析も大事ですが、分析だけではイノベーションは生まれてこないのです。やはり、知覚が重要なのです。分析と知覚は、イノベーションの両輪であり、どちらが欠けても満足なイノベーションはできないということです。


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2012年3月25日日曜日

胸を小さく見せるブラジャーが人気 「草食女子」が増えているのか−【私の論評】ポストモダン的見方により、閉塞感を打ち破れ!!

胸を小さく見せるブラジャーが人気 「草食女子」が増えているのか:



胸をできるだけ豊かに見せる。寄せて上げて美しい形に整える――。そんなブラジャーの常識を覆すような現象が生じている。(上は、ワコール発売の「小さく見えるブラ」)


続きは「J-CASTニュース」へ

【私の論評】ポストモダン的見方により、閉塞感を打ち破れ!!
小さく見えるブラについては、このブログでも以前掲載したことがあります。上の記事は、このブラが結構売れているという話です。さて、上の記事の詳細は、実際に記事をみていただくこととして、論評するために、結論部分というか、核心的な部分のみ以下に掲載させていただきます。
通信販売のフェリシモ(神戸市)でも、数年前から販売している胸のボリュームを抑えたブラジャー「フラットブラ」が人気という。今年5月には、カップの内部に工夫を施した新商品「ワンサイズダウンブラ」も発売する計画だ。ほかのメーカーでも胸の大きさを強調しないブラジャーが売れている。

女性たちは今、なぜ胸を小さく見せようとするのか。「そもそもスリム志向の女性は、胸が大きいとふくよかで太って見えてしまうから嫌だ、という人は少なくない」という。「昔から『デカパイ』などとからかわれ、嫌がっていた女性はいたし、職場や同性の前ではバストで目立ちたくないと思う人は多い」ともいう。
一方、女性の意識の変化を指摘する声も多い。あるファッション関係者は「胸や外見で男性にアピールしようという時代はバブル期のもの。景気低迷の中で女性は堅実に動こうとしている」と話す。「草食系男子」に象徴されるように、男性が弱体化しているとの指摘は多い。男性に頼らず、自立して生きようという女性の姿勢が「胸を小さく見せる」という行動に映し出されているのかもしれない。
さて本日は、この記事に着目したのには、また別の記事もみて、かなり興味をもったためです。その記事の内容を以下に掲載しておきます。

豊胸手術はもういらない?極小バストを一晩でサイズアップさせる方法


体験レポーターのマキです。皆さんは自分の体にコンプレックスはありませんか?

「脚が細くなりたい!」「もっと目が大きかったら」など悩みってつきないですよね。

私の一番の悩みは小さい胸。しかも形まで悪くて見る度に凹んじゃうんです。

サプリやジェルをやっても効果はイマイチだし、かといって豊胸手術する勇気もないし…。

でも、この長年の悩みにも解決の兆しが見えてきました。

というのも友人にすすめられて購入したナイトブラなんだかイイ感じなんです。
最近使い始めたばかりですが、ふっくらハリが出できた感じで、背中のムダ肉が胸にぎゅーっと移動し始めている気がします。

どうやら背中部分がクロスになっていることで、背筋矯正しながら代謝UP。脂肪を燃焼させてくれる効果もあるそうなんです。

しかも特殊吸湿テクノロジーが乳腺を刺激し、女性ホルモン体温を一気に上昇させ胸が大きくなるそう。

私が愛用しているこのブラは「バルーンナイトボディ」というのですが、モニターの成功率はなんと98%で、中には男性並みのバストがたった一晩で1カップもサイズアップした方もいるそうだから期待が高まります。

飽きっぽい私には簡単に続けられるこのナイトブラがぴったりだったみたい。夏までには自信をもってビキニを着れるようになるのが目標です。(モデルプレス

■寝ている間に簡単バストアップ「バルーンナイトボディ」
http://bit.ly/GMKHgP
2012/3/24 23:45 更新


この二つの事例、両極端です。しかし、この両方とも売れているというようです。特に、小さく見せるブラに関しては、従来のやりかたでは、なかなか製品化されることもなかったかもしれません。これらを従来のマーケティング理論にしたがて、セグメントの問題としてしまうと、大事なことを見失ってしまうかもしれません。

セグメントの問題とは、要するに従来からあるマーケット理論で、胸を大きくしたい層の女性、胸を小さく見せるたい層の女性などと、実際に売れているブラの数や、消費者に対するアンケートから分類して開発していく方法のことです。無論、開発にあたっては、こういう分析的アプローチも行ってはいるとは、思いますが、私はそれだけでは、バルーンナイトボディは生まれることはあっても、小さく見せるブラは、日の目をみなかったのではないかと思います。

私は小さく見せるブラの開発に関しては、ポストモダン的な見方によるものも、かなり含まれていると思います。そうして、これからは、ポストモダン的な見方が重要になっていくと思います。さて、ポストモダンという言葉がでてきたので、最初にこれを解説しておきます。


ものごとの見方としては、大きく分けてモダン的な見方と、ポストモダン的見方があります。日本語でいえば、近代合理主義的な見方と、脱近代合理主義的見方とということができると思います。これに関しての詳細は、他のサイトをご覧になってください。ここでは、本当に簡単に説明しておきます。

さて、モダンの源流は、どこにあるかといえば、あのドイツの哲学者カントにまでさかのぼります。カントは、 「純粋理性批判」という書籍の中で、科学の中に思考の客観性を見出し、その因果律によって世界を描き出そうとしました。


ついで1637年、デカルト(写真上)が「方法序説」を書いて、近代合理主義としてのモダンの時代が始まりました。彼は、膨大な複雑な世界を前にして、西洋文明はそれを解き明かそうとした。そうして、この見方は、かなり成果を発揮して、科学技術が急速に発展しました。これが、いわゆる近代西欧の基礎となりました。

「我思う、ゆえに我あり」。ただ一つでも確実なものがあれば、論理の力によって因果を辿り、少なくとも、もう一つの事実を明らかにできる。そうすればもう一つ、さらにもう一つ。そうすればすべてを明らかに出来るという考え方です。「我思う、ゆえに我あり」、この種から広がった近代合理主義は、量で測れるものだけを対象としその因果関係を探求しましたが、それ以外の形而上の存在を無いものとして見えない振りをしてしまいました。これによれば、人体など、部品のように、爪、耳、眼、鼻などと、一つ一つ分析していけば、いずれ全体像が掴めるということになります。

しかし、これは、現代人ならおかしいということは、ご理解いただけるものと思います。このやり方では、いずれ限界がきます。いくらパーツを調べても全体としての人間は見ることはできません。まして、人間と自然との関わり合いまで、考えると、全く絶望的といわざるをえません。

そのようなモダンに対する批判は、いろいろ、ありました。下に代表的なものだけ、二例掲載しておきます。


1.ポアンカレの三体問題
三つ以上の天体がお互いに影響しあうとき、その変化の先は読めない、複雑系の世界になる。

2.バタフライ効果
アマゾンのジャングルで一羽の蝶が羽ばたく。その羽ばたきがあたえる極微の大気の揺らぎが、翌週のシカゴの雨との関係があるかどうか。その関係に関係が無いことは証明できないということが証明されている。

2.のバタフライ効果に関しては、マネジメントとの大家である、ドラッカー氏も、その著書のなかでとりあげ、「理性によってすべてを理解できるとしてはならない」としています。

モダン的な見方では、いわゆる分析をかなり重要視します。しかし、分析だけでは、物事は見えてきません。特に社会現象ではおてあげです、これが、モダン的見方の限界でもあります。そこで、ポストモダン的な見方では、知覚を重視します。



ドラッカー氏(写真上)は、『変貌する産業社会』という書籍の中で、「ポストモダン(脱近代合理主義)の七つの作法」として、以下の事柄を重視しています。

1.見る、そして聞く
あらゆるものを命あるものとして全体を見る。しかも自分の視点で見るだけでなく、他人の視点で見たものを広く聞く。意思決定において、事実ではなく、意見から始めることが重要なのはこのためである。

2.わかったものを使う
複雑な時代だからこそ、わかったものを大切に使うべきである。
「すでに怒った未来」は重要な示唆を含んでいる。現実を注意深く観察し、来るべきうねりを知る手がかりとする「予期せぬ成功」もしかり。これもまた、すでにわかったものだからである。

3.基本と原則を使う
経営の目的はつまるところ、世のため人のためであるが、それをあらゆる事業の補助線とする。基本を忘れた経営は必ずや失敗する。

4.欠けたものを探す
わからないもの、未知なるものにイノベーションの種がある。ギャップや欠けたところにチャンスは隠されている。

5.自らを陳腐化させる
人の手になるものはすべてが陳腐化する。画期的な新製品しかり、知識しかり、あらゆるものが陳腐化するがゆえに、自ら先手を打って自らを陳腐化し、主導権を握らなければならない。

6.仕掛けをつくる
成功を追求していく仕掛けをつくる。ドラッカーは、うまくいかなかったことの検討に時間を費やすならば、うまくいったことの検討に同じ時間を使えと言う。

7.モダンの手法を使う
むろんモダン合理的な手法を完全否定するのも間違いである。その限界を意識し、使えるものは使う。分解して組立て直すというモダンの手法は、時間管理などにおいてはいまだに有効である。
※アセスメント(事前評価)よりもモニタリング(観察・監視)が重要 
私は、ワコールの開発の人たちが、モダン的な見方だけではなく、ポストモダン的な見方をしたからこそ、「小さく見せるブラ」の開発ができたのだと思います。モダン的な見方とだけで、実際に売れたブラの数だけ細かく分析していただけでは、このような発想は生まれなかったと思います。

下の写真は、ランニング時にバストの揺れを低減するブラです。ワコールにはワコール人間科学研究所という研究施設があり、女性を総合的な観点から、観察して、様々なデーターをつみあげ、さらに、そこから得られる知覚・知見を商品開発に生かしています。まさに、分析だけではなく、知覚にももとづいて、商品開発を行っています。


ワコールでは、様々な消費者の声を聞いてみたり、あるいは、様々な消費者の立場に立って、分析するだけではなく、ポストモダン的に知覚したからこそ、このような製品開発に成功しているのだと思います。

これからの商品開発は、基本は今でもモダン的見方であり、最低限分析をしなければなりませんが、それだけでは、済ませられないと思います。これは、これで行った上で、さらに、全体像をポストモダン的に知覚して、開発を行っていく姿勢が重要になっていくと思います。ワコールの「小さく見せるブラ」は、こうしたことの格好のケーススタディーであると思います。(下の写真は、テレビCMでもお馴染み、新製品のリボンブラ)


そうして、このボスとモダン的な見方、製品開発だけではな、政治・経済・社会をみていく上でも、本当にかなり重要だと思います。政治家や官僚など、このような見方ができないからこそ、現状では麻痺しているのだと思います。この閉塞感を打ち破り新たな価値観を打ち立てていくには、ポストモダン的な見方が重要だと思います。このポスモダン的な見方、日本人は古から行っているものだと思います。現代人は、このことをすっかり忘れているのではないかと思い、残念でなりません。


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