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2019年11月21日木曜日

米中冷戦、そろそろ「詰みつつある」といえる理由―【私の論評】中共は少子高齢化に対応可能な制度設計や、産業構造に転換できなければ、やがて倒れる(゚д゚)!

米中冷戦、そろそろ「詰みつつある」といえる理由
中国当局はどう出るつもりか


制裁関税撤廃」のメリット

世界の株式市場を混乱させている米中問題だが、現状は米中ともに制裁関税の緩和、ないしは撤廃に向けて妥協点を探る展開のようだ。もっとも、「交渉ゲーム」は騙し合いの側面もあるので、両国がすんなりと妥協点をみいだすわけではないだろうが。

確かに、この「制裁関税の撤廃」は米中双方にメリットがある。

米国側からみれば、中国は農産物等の一次産品の輸出先として無視できないくらい大きな国である。日米貿易協定によって日本が米国からの農産物の輸入を多少増やしたところで中国向け輸出の減少はカバーできない。

なによりトランプ大統領にとっては、来年の大統領選に向けて、農産物の輸出を回復させなければ、共和党の支持基盤である中西部、南部の得票を落とすことにもなりかねない。



一方、中国にとっても米国が重要な輸出相手であることは言うまでもない。だが、より深刻なのは、米国からの輸入の激減である。

現在、中国では、生産者物価の低下と消費者物価の上昇という「インフレ率の分断」が発生している。9月時点で中国の生産者物価は前年比で1.2%の低下となっている。中国の生産者物価は月を追う毎に低下幅が拡大しているが、この生産者物価の低下は主に製品輸出の減少による製造業部門の需要低迷によるものである。

一方、消費者物価は9月時点で前年比3%の上昇となっており、上昇幅はじりじりと拡大している。この消費者物価の上昇は食品価格の高騰によるものである(食品価各は9月時点で前年比11.2%の上昇)。

豚コレラの影響で豚肉の供給が激減していることに加え、代替品需要として鶏肉等の価格が高騰していることが主因とされているが、米国からの輸入依存度が高い飼料の高騰も影響を与えている可能性が高い。

中国には雇用統計が存在しないため推測の域を出ないが、生産者物価の低下は企業のマージンの減少へと波及し、これは、最終的に雇用調整から中国国民の所得環境を悪化させるだろう。

つまり、このままでは、中国経済は、所得環境の悪化と同時に生活コストの上昇に見舞われる懸念がある。そして、これは、消費の減速を通じて、さらなる景気悪化につながると考えられる。

2019年7-9月期の中国の実質GDP成長率は前年比で6.0%まで減速している。「6%成長」といえば、一見、高成長のように思えるが、1人当たりGDPの水準が低い新興国がこの程度の成長率を実現するのはむしろ当たり前のことだ。

逆に新興国の段階で成長率があまりに低い国では社会不安の増大から治安が悪化し、政治体制も不安定化する。中国の政策当局は、長年7%成長を「死守すべき最低限の防衛ライン」とみなしてきたといわれているが、これは、実質経済成長率が7%を下回ってくると国民が日々の生活に不満を持ち、治安悪化などの社会不安が高まる懸念が増大するという意味である。

中国は当局による情報統制が強固なので、社会不安や暴動などが中国全土でどの程度発生しているか、実態は定かではないが、中国事情に詳しい論者の中には各地でかなりの数の暴動が起こっているとする人も少なからず存在する。

それが事実であれば、このまま中国の経済成長率の減速が止まらなければ、中国経済の先行きが心配という話どころか、統治システムの維持も難しくなってしまうかもしれない。その意味でも、制裁関税の撤廃は、むしろ中国側にこそ大きなメリットがあると考える。


米国の経済政策が大きく変わった

だが、この動きは必ずしも、「米中融和」を意味するものではないと思われる。

10月4日にワシントンで行われたペンス副大統領の演説は、『米国は貿易などの経済に限らず安全保障分野においても中国に対して「断固として立ち向かう」』と対中強硬姿勢を維持する内容であった。

これは、米中問題が、これまでの「通商問題」から「安全保障問題」へと、より次元の高いレベルに引き上げられたことを意味する。

政府間の交渉には通常、法的な根拠があるが、米中問題は、「通商法(スーパー301条がその代表例)」から「国防権限法」へその根拠が変わったのかもしれない。

「国防権限法(NDAA)」とは、米国防省の年間予算を規定するために年度毎に策定される法律である。名称が示す通り、「国防」という観点から制定される法律だが、2019年の国防権限法では、その中で「輸出管理改革法(ECRA)」が新たに制定され、AI、量子コンピューター、次世代暗号技術等の最先端の情報技術を「新興技術」、もしくは「基盤的技術」と定義し、他国との取引(輸出)に規制が課せられることとなった。

ECRAは既存の技術の輸出に関する規制であるが、これに加え、同時に制定された「外国投資審査現代化法(FIRRMA)」では、この「新興技術」「基盤的技術」に対する他国からの対米投資規制も強化された。

これは、外国による、米国国内で現在開発中の技術への規制である。いいかえれば、米国(ベンチャー)企業への出資、もしくは、M&Aを通じた最先端技術の獲得を事実上停止させる法律である。

今後、少子高齢化がこれまで経験しなかったスピードで進む可能性が高いといわれている中国において、先端技術の取り込みによって産業構造を転換させると同時に生産性を引き上げることは必須事項ともいえる。当然、技術の取り込み先として米国を想定していた中国だが、それが「国防権限法」によってほぼ不可能となった。

このように、「国防権限法」は中国を意識して制定されたことは明らかであるが、重要なのは、輸出や投資といった経済政策に属する案件が「国防法」という安全保障政策に関わる法律によって規定された点である。

これは、経済政策という枠組みからみた場合、大きな変化である。


「中国製造2025」失敗の可能性も

トランプ政権が成立して以降、トランプ政権を支持する軍関係者らの間では「DIME」という言葉が使われている。

「DIME」とは、「Diplomacy(外交)、Intelligence(防諜)、Military(軍事)、and Economy(経済)」の略語であり、経済政策を外交、情報収集活動、安全保障政策と一体化して考える政策アプローチのことである。

これまで経済政策といえば、金融政策や財政政策(公共投資や減税)を用いた景気対策や規制緩和が主で、国防や安全保障政策とは独立していた。そのため、学界での経済政策の国際協調の議論も、お互いの国の「経済厚生」を如何に高めることができるかという観点から議論されてきた。

そして、その結論は、変動相場制の下では、各国が独立して自由に経済政策を実施することが経済厚生上、最適であるという結論になっていた(この分野で世界的な業績を上げられているのが内閣府参与の浜田宏一イェール大学名誉教授である)。

だが、「DIME」のアプローチでは、輸出規制や投資規制によって、自国経済の将来の成長にとって重要な産業や国益上、重要な産業は積極的に保護育成していこうという考え方が採用される。そして、さらに、そこに「安全保障」という観点が加味される。

この「DIME」だが、まだほとんど研究対象として議論されていないように思われるし、筆者が検索する限り、該当するような論文もない(もっとも国防や安全保障が絡んでくると論文の良し悪しで評価すべきものではないかもしれないが)。

以上より、今後、米国は、この「国防権限法」の対象外である品目については、制裁関税を撤廃していくことになるだろう。そして、これによって、現在の中国経済の窮状は、少しは緩和されるかもしれない。

だが、それは目先の、ごく短期的な観点での議論である。むしろ、中長期的にみれば、「国防権限法」が機能するということは、そのまま「中国製造2025」の失敗の可能性が高まることを意味する。中国にとって「中国製造2025」の失敗は、将来の低成長局面入りを意味する。下手をすると、「低所得国の罠」に陥ることになる懸念もある。

筆者の個人的な見解をいわせてもらえば、中国は覇権を取るといった野望を捨て、思い切って対外開放路線に転換することで、国内に外資企業を多く取り込んだほうが、サービス業を中心に雇用の確保と所得の安定的増加につながるため、将来の安定成長に寄与するように思える。

中国当局の出方が注目される。


【私の論評】中共は少子高齢化に対応可能な制度設計や、産業構造に転換できなければ、やがて倒れる(゚д゚)!

冒頭の記事では、中国の将来に関して、主に経済について語られています。少子高齢化についても一部は語られていますが、「今後、少子高齢化がこれまで経験しなかったスピードで進む可能性が高いといわれてい」と語られているのみです。

そのため、以下には中国の少子高齢化の実体について掲載しようと思います。

中国の人口は年内に14億人に達する見込みです。当面は人口増が続きますが、国連の推計によると、2027年ごろにはインドに逆転され、世界一の座を明け渡すことになります。2028年の14億4200万人をピークに減少に転じる見通しで、そこからは「苦難の時代」に直面すると予想されています。




中国は古くから「人口統計マニア」の国です。最初に全国的な戸籍が作られたのは前漢の末期、西暦2年にさかのぼります。「人口5959万4978人、戸数1223万3062戸」と一桁まで記録されています。人口の増減は税収に直結し、政治の善しあしを表す指標とみられていたため、歴代王朝は常に人口を調査したのです。


それから長い間、人口が1億人を超えることはなかったのですが、近世の清王朝になると爆発的に増えました。歴代王朝の中でも領土が広大で、トウモロコシやサツマイモなどの外来作物の普及などが影響したようで、1840年のアヘン戦争時には人口4億人に達しました。

そして中華人民共和国が誕生した1949年では5億4000万人。その後の70年間でさらに8億人以上も増えたのですが、それでも1979年から始めた「一人っ子政策」により人口を抑制しました。


この「一人っ子政策」が中国政府は「4億人以上の人口抑制効果があった」と説明しています。一昨日には、このブログでこの「一人っ子政策」は、民衆レベルでどのように実行されたのかをドキュメントした映画「一人っ子の国」を紹介させていただきました。この映画「一人っ子の国」で中国は自国国民に対して、想像を絶する、人権侵害をしていたという戦慄の事実が明らかにされています。

その一人っ子政策も2015年に廃止され、翌年からすべての夫婦に2人までの出産を認めました。社会の中核を担う生産年齢人口(15-65歳)が減少に転じたためです。高齢化も急速に進み、2017年の65歳以上の高齢者は1億5847万人となり、人口の11%に達しました。

それでも出生率が急激に向上するという見方は少ないです。一人っ子政策が浸透し、各家庭は1人の子どもに小さい頃から家庭教師をつけ、多くの習い事をさせ、大学生になれば海外留学させるなど、高学歴で良い就職先を手に入れるため、収入のほとんどを子どもにつぎ込んでいます。苛烈な競争社会の中、2人目、3人目の出産は難しい状況です。

また、社会の都市化が進み、若者の高学歴化が進む中、先進国と同じように男女とも結婚年齢が上がってきています。初婚年齢は男性が28歳近く、女性が26歳近くになり、今後も晩婚化が進みます。結婚しない若者も増え、離婚率も高まっています。

「男余り」も深刻です。出生人口の性別割合は人種に関係なく、自然な状態では女を100とすると男は105前後となります。男の若年死亡率が高いため、成人したときに男女の数が対等になるよう「神の見えざる手」がはたらいているともいわれます。しかし、中国では一人っ子政策を始めてから男児の出産が異常に増えました。

労働力や老後の生活保障の担い手として男子を求め、妊娠しても女児と分かると中絶したり、遺棄する家庭が続出しました。中国の産婦人科では赤ちゃんの性別を出産するまで原則教えないのですが、違法な超音波検査が横行しており、妊娠中に性別を調べることは難しくないです。

男女の性別比率は女が100に対し、男は120にまで増えました。最近は100対110ほどになったのですが、結婚適齢期の男性はすでに女性より数千万人多いです。経済力で劣る農村部にしわ寄せが来ることになります。

国連の人口予測では、2035年に中国の65歳以上の高齢化率は21%を超え、「超高齢化社会」が到来します。「未富先老」(豊かになる前に老いを迎えること)が懸念されています。

中国政府はこうした問題を指摘されるまでもなく理解しています。中国メディアによると、早ければ2020年には「二人っ子政策」も廃止し、産児制限を完全撤廃するとみられています。今後もさまざまな出産奨励策を打ち出していくでしょう。

ただし、冒頭の安達 誠司氏の記事にもあるとおり、少子高齢化が進む中国では、先端技術の取り込みによって産業構造を転換させると同時に生産性を引き上げることは必須事項ともいえるわけですが、技術の取り込み先(はっきりいえばコピー先)として米国を想定していた中国ですが、それが「国防権限法」によってほぼ不可能となったわけです。

2049年10月1日、中国は建国100周年を迎えます。

ところが、その頃の中国が祝賀ムード一色に染まっているとは思えません。なぜなら、中国の人口学者たちも警鐘を鳴らしていることですが、このまま進めば中国は2050年頃、人類が体験したことのない未曾有の高齢化社会を迎えるからです。


『世界人口予測2017年版』によれば、2049年の中国の人口は13億7096億人で、2050年は13億6445億人。これは、2011年の中国の人口13億6748万人、及び2012年の13億7519万人と同水準です。

ところが、2010年代の現在と、2050年頃とでは、中国の人口構成はまったく異なるのです。

『世界人口予測2015年版』によれば、2015年時点での中国の人口構成は、0歳から14歳までが17.2%、15歳から59歳までが67.6%、60歳以上が15.2%、そして80歳以上が1.6%です。

それが2050年になると、激変するのです。

0歳から14歳までが13.5%、15歳から59歳までが50.0%、60歳以上が36.5%、80歳以上が8.9%なのです。

これを人数で表せば、2050年の中国の60歳以上の人口は、4億9802万人です。そうして80歳以上の人口は、1億2143万人です。



私が中国で、こうした未来図を初めて想い描いたのは、2011年の5月のことでした。このとき、私はこのブログではじめて中国の少子高齢化について掲載しました。
この記事では、ユニセフの「2009年中国人口サンプル調査」によると、中国の青少年人口は00年の2億2800万人から09年には1億8000万人と大きく減少したこと、全人口に占める比率は00年の18%から13%へと急落していることを掲載しました。

その後もいくつも中国の少子高齢化についての記事をこのブログに掲載しました。これにより、日本が直面している少子高齢化の波が、やがて中国をも襲うのだということが理解できました。

しかも、日本の10倍以上の規模をもってです。

そうして、中国社会の高齢化が、日本社会の高齢化と決定的に異なる点が、二つあります。

まずは、高齢化社会を迎えた時の「社会の状態」です。日本の場合は、先進国になってから高齢社会を迎えました。

日本の65歳人口が14%を超えたのは1995年ですが、それから5年後の2000年には、介護保険法を施行しました。また、日本の2000年の一人当たりGDPは、3万8533ドルもありました。

いわば高齢社会を迎えるにあたって、社会的なインフラが整備できていたのです。

ところが、中国の一人当たりのGDPは、2018年にようやく約1万ドルとなる程度です。65歳以上人口が14%を超える2028年まで、残り10年を切りました。

中国で流行語になっている「未富先老」(豊かにならないうちに先に高齢化を迎える)、もしくは「未備先老」(制度が整備されないうちに先に高齢化を迎える)の状況が、近未来に確実に起こってくるのです。

日本とのもう一つの違いは、中国の高齢社会の規模が、日本とは比較にならないほど巨大なことです。

中国がこれまで6回行った全国人口調査によれば、特に21世紀に入ってから、65歳以上の人口が、人数、比率ともに、着実に増え続けていることが分かります。

そして、2050年には、総人口の23.3%、3億1791万人が65歳以上となります。

23.3%という数字は、日本の2010年の65歳以上人口の割合23.1%と、ほぼ同じです。

2050年の中国は、80歳以上の人口も総人口の8.9%にあたる1億2143万人と、現在の日本の総人口に匹敵する数に上るのです。


にもかかわらず、中国では日本の「介護保険法」あたるような法律が、いまだ施行されていないのです。
2050年頃に、60歳以上の人口が5億人に達する中国は、大きな困難を強いられることは間違いないです。
製造業やサービス業の人手不足、税収不足、投資不足……。それらはまさに、現在の日本が直面している問題です。
経済統計学が専門の陳暁毅広西財経学院副教授は、『人口年齢構造の変動が市民の消費に与える影響の研究』(中国社会科学出版社刊、2017年)で、今後、中国が持続的な経済発展をしていくには、「老年市場」を開拓していくしかないと結論づけています。
政府は、子供が親の面倒を見ないのは中国の伝統に反するという価値観をもとに、高齢者扶養の問題のほとんどすべてを家族に負わせる一方で、長年かけて中国の最大のセーフティネットである大家族制を破壊しました。

ここに生じる矛盾のつけを払うのは本来、政府、共産党政権であるはずが、地方政府の財政は破たん寸前。高齢者への社会保障整備が充実されていくという期待も少ないです。

戦慄のドキュメンタリー「一人っ子の国」のポスター

先日も、このブログに掲載した「一人子政策」における、中国共産党の人権蹂躙はまた繰り返されるかもしれません。一部都市では2人以上の子供を産んだ夫婦に対して奨励金を出す人口増加政策をすでに実施していますが、これがやがて、子供を産まない女性や1人しか産まない女性に対する罰金に代わっていくことの懸念。あるいは老人の迫害が容認されるような時代の到来の懸念があります。

すでに中共は、民族弾圧、宗教弾圧、言論弾圧など党主導の組織的な深刻な人権問題を起こしていますが、そこに最近の香港弾圧が加わり、将来そこに老人や女性の尊厳をさらに無視するような政策的管理が加わる懸念があるのです。
 
その時、中国人民は、どんな行動を起こすのでしょうか。高度経済成長のなかで隠れていた課題が、成長率が鈍化するにつれ、顕在化していきます。

平等を建前とするのが本来の共産主義です。今の中国は、国家資本主義とも呼べるいびつな体制です。かつて貧しい時代には等しく貧しかった社会が、経済成長が進むにつれ、格差を内包してきたのですが、それなりに全体が成長していて格差は表面的ではありませんでした。

ただし、建国以来毎年2万件暴動がおこってきたといわれ、2010年あたりからは、毎年10万人ともいわれていますので、表面にはっきり出てこなかっただけで、人民の格差等に関する中共する憤怒のマグマは大爆発の寸前にあっものとみられます。

ただし、中共はこれらを、城管、公安警察(日本の警察にあたる)、人民解放軍等で弾圧して鎮圧するとともに、日本を悪者にしたて、人民の憤怒のマグマを自分たちに向けてではなく、日本に向けて噴出させようとしました。

ところが、この官製反日ですら、できない状況になりました。2012年頃から、反日デモを官製で実行させたり、あるいは放置しておくと、必ず後で反政府デモになるという事態が頻発したのです。そのため、2012年あたりから、中共は、反日デモを実行させないように、方針を変更しました。そのため、あれだけ隆盛を誇った、反日デモが中国ではみられなくなりました。

この間、社会保障制度を充実させねばならなかった共産主義ですが、中国共産党は未達のまま今日を迎え、しかもいまだ制度化は進まず、個人の義務として人民に押し付けています。

毛沢東の独裁政治への回帰を目指す習近平。習近平は、毛沢東独裁体制の崩壊を繰り返すのでしょうか。
しかも、習近平には、政敵の不正を暴き追放した実績はあるものの、それは、誰の眼にもあきらかな権力闘争に過ぎません。

習近平には、毛沢東や、鄧小平の様な、はっきりとした功績はありません。強権で弾圧する方向の今の習近平独裁政治体制が、低成長時代に移行する中で、しかも少子高齢化に対応できない状況をいつまでも続けられるとは考えられません。

今後、習近平政権が倒れるのは、時間の問題として、中国共産党も、少子高齢化に対応できるような、まともな制度設計や、高齢化社会に適応した産業構造に転換できなければ、倒れることになるでしょう。

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2019年10月1日火曜日

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消費増税なぜ止められなかった? 財務相の顔立てた政治的決定も…社会保障の制度設計をないがしろに

高橋洋一 日本の解き方

安倍総理

10月1日から消費税率が10%に引き上げられた。「3党合意」で増税が決まった経緯や、その後2回増税を延期した安倍晋三首相が今回は延期しなかった理由などをあらためて振り返っておこう。

 3党合意とは、2012年6月、民主党、自民党、公明党の3党間における「社会保障と税の一体改革」に関する合意を指す。消費増税、子ども・子育て支援、最低保障年金などが盛り込まれるなかで、消費増税だけが先行、子ども・子育て支援はその後制度化されたが、最低保障年金などは実現していない。

 社会保障と税の一体改革といえば、世界的な潮流は税と社会保険料を一体として徴収する「歳入庁」の設置が主要な鍵になるが、民主党は歳入庁を公約して政権交代しながら、その後取り下げた。一方、消費税を社会保障目的税化するという世界にも例のない無謀な社会保障改革だったことは、筆者は繰り返し指摘してきた。

 世界の社会保障運営は保険方式であり、その財源は社会保険料である。ただし、低所得者の保険料は高所得者の所得税から充てられている。

 社会保障運営を保険方式とするのは、社会保障を「施しもの」と考えると支出基準が曖昧になり、結果としてひどい財政運営になってしまうためだ。保険原理であれば、機械計算で給付額が決定され、給付が可能になる。残念ながら、保険方式以外の社会保障運営で成功した例は寡聞にして知らない。

 こうした社会保障の運営を保険方式にする以上、支出段階では、所得再分配機能はあまりない。年金は死んだ人から長生きの人への再配分、医療は健康な人から病気の人への再配分でしかないからだ。かろうじて所得再配分になっているのが、社会保険料を低所得者人から取らずに、高所得者の所得税で充てている点だ。この意味からも、消費税が社会保障財源にならないのが世界の常識だ。

 3党合意は社会保障運営の大前提で間違っている。これは3党合意を主導した財務省のロジックの破綻でもある。財務省は、単に社会保障を人質とすれば消費税を上げやすいと考え、社会保障の長期的な制度設計をないがしろにしたのだ。

 しかも、11年の東日本大震災後に、連帯といいながら、震災復興増税、8%への消費増税、さらに10%への消費増税という恐ろしい「ホップ、ステップ、ジャンプ増税」を、政権運営が不慣れな民主党に押しつけた。自民党もそれに乗り、まんまと成功したわけだ。

 安倍首相はそうした経緯を知っていたはずで、2回増税をスキップしたが、盟友の麻生太郎財務相の顔にこれ以上泥を塗ることはできないという政治的な理由で今回増税を決定したのではないか。

 経済政策としてまずいのは承知の上なので、臨時国会などで適切な経済対策を打ち、消費増税の悪影響を極力回避しようとするだろう。

 だが、米中貿易戦争や英国の欧州連合離脱問題、ホルムズ海峡問題、日韓問題の影響は大きく、日本経済がどうなるのか、不安は消えない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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上の高橋洋一氏の記事では、過去の増税を阻止できなかった状況について様々な分析をしています。この分析は総合的でありながら、かなり緻密で簡潔にまとまっています。

これに対して何かを付け足すことはできませんし、付け足したにしても冗長になるだけなので、それはやめて、私としては今後のことについて掲載しようと思います。

今後のことを考えるには、やはり衆院選の行方を考えるとわかりやすくなると思います。
今年に入って、まことしやかにささやかれていた衆参同時選挙。ふたを開けてみると、7月に行われた「第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)」は、参院選だけで行われ、衆議院解散総選挙(以下、衆院選)は行われませんでした。では、2017年10月に前回選挙が行われた衆院選は、いつ行われるのでしょうか?

衆議院議員の任期は4年間ですが、歴史を紐解いても、任期を満了したのは1度だけ。ほかは、すべて任期の途中での解散総選挙となっています。衆議院の解散権が時の内閣総理大臣の専権事項となっている以上、安倍首相の解散「カード」の切り方が今後の政局の焦点となってきています。

安倍首相は7月の参院選が終わった直後、「迷わなかったといったら嘘になる」と衆参同時選挙の可能性も考えたことを否定しませんでした。これは、自民党が65議席を獲得して大勝した2013年参院選の当選組が改選を迎え、当初大幅な議席減が予想されたためですが、情勢調査などにより危機は小さいとの判断が党内でなされ同時選挙の可能性がなくったとみられています。参院選の結果も自民党は56議席を獲得したように、大幅な減少とはなりませんでした。

今後、それでも2021年9月の自民党総裁任期満了までに、衆議院の解散総選挙が行われると見るべきです。日本国憲法制定後、これまで衆議院の任期満了まで解散がなされなかったのは、1976年の三木武夫内閣の際の1度だけしかありません。

三木武夫氏

解散はいずれある、と考えるのが現実的です。そして、そのタイミングですが、大きく分けて3つあでしょう。1つ目が年内。2つ目が来年。3つ目が再来年です。そして、3ついずれも首相にとってはネガティブな要素がつきまといます。

年内をみてみると、10月1日に消費税が10パーセントに引き上げられました。この増税では、与党の中でも公明党が主張した軽減税率も導入されますが、導入前から制度の複雑さに先行きが危惧されている制度だけに、国民からの不満が政府に向かう可能性もあるとみられています。また、同22日には、天皇陛下の即位の「即位礼正殿の儀」が行われます。

来年2020年になると、増税の影響で、景気が落ち込む可能性があります。同年の7月から9月にかけては、東京五輪・パラリンピックも開催されます。同年7月30日には、東京都知事が任期満了を迎えるため、それまでに都知事選も行われることになります。慌ただしいスケジュールの上に、景気批判が高まっているかもしれません。

再来年2021年になると、自民党の党総裁選が9月、衆議院議員の任期満了が10月、と大きな政治日程が続くことになり、追い込まれた形での解散を首相が選択する可能性も高まります。

こういった中で、自民党関係者や経済界の方々の間では「消費税がやはりカギなのではないか。安倍首相も簡単に、負ける選挙はしないと思われる」という声が大きいようです。

消費増税でも、国民の消費が下がらず、成果が上がるということは14年の増税の時でも明らかなように、あり得ません。バブル崩壊後、現在まで続いているデフレーションですが、さらにデフレスパイラルの底に沈む可能性が高いです。

それは、以下のグラフをみても明らかです。消費税を増税すると消費税税収自体は「安定」的ですが、税収全体は消費税の影響でそれまでの税収の伸びから大きくダウンすることが観測できます。影響は複数年に及びます。さらにその後も経済全体のコントロールをきちんとしないと税収は伸びず、消費税はまったく安定に寄与しません。

クリックすると拡大します

来年の秋頃には、消費税10パーセントに上げた影響で、景気がどうなっているかはっきりします。悪い数字が出た直後に、首相は『消費増税は成功とは言えなかった。責任を持って、消費税を(5パーセントあたりまで)下げます』といって、それを理由とした解散をすすべきです。

これは私の憶測ですが、これについては案外麻生副総理と安倍総理は合意しているのではないかと思います。麻生氏は義理堅いですから、安倍首相にあらがってまで、財務省の肩を持つことはないでしょう。

財務省の増税シフトはかなり強く、彼らにとっては、10%増税は中途経過に過ぎなく、いずれ15%、20%それ以上を増税をする腹です。

おそらく、一度10%増税に踏み切らないと、財務省の抵抗は凄まじいものなると予想されたのだと思います。日本の官庁としては、最低といわれるような文部省ですら、加計学園問題では、前川元事務次官をはじめかなりの抵抗を示したわけですから、財務省の抵抗はそれを遥かに凌駕した凄まじいものになるでしょう。

安倍総理としては、日本の将来を考えた場合、10%を超える増税は望ましくないと考えているようです。実際、安倍晋三首相は7月の参院選に先立つ記者会見で、追加増税について「今後10年間くらいは必要はない」と述べています。

であれば、10%以上の増税をさせないためにも、国民の信を問うために、総選挙を実施する必要があります。時期としては、東京五輪・パラリンピック後、来年の晩秋から年末にかけての頃が効果的です。

そうして、この時に5%への減税を公約にすれば良いのです。消費税を下げた場合、長期的にはインフレーションになっていくことが見込まれますが、現在の20年以上続くデフレ状況と違って、モノは売れるようになることが想定されます。そうして、日本はデフレから完璧に脱することになります。そうなると、日銀の物価目標2%も達成しやすくなります。

さらには、安倍総理の念願である、憲法改正もやりやすくなるはすです。何もしなければ、そもそも、景気が低迷し、内閣支持率が低下し、選挙をしても改憲勢力が2/3を占めることも叶わず、憲法改正は遠のくことになるでしょう。

そうして、物価目標2%超えて、4%にでもなった場合には、今度は財務省が大好きな増税をすれば良いのです。これに抵抗する勢力は今の日本では皆無でしょう。

増税して、減税して、また増税するという一連のサイクルを実施すれば、財務省の何がなんでも、一方的に増税する、何が何でも緊縮するという世界の財政政策からみれば、かけ離れた馬鹿げた政策は打ち砕かれることになります。

それこそ、必要に応じて機動的に増税、減税を実施するというまともな財政政策が日本でも当たり前にできるようになります。

減税導入当初は、市場が活気を帯びることが予想され、そうなると、2021年に予定されている自民党総裁選の行方も違った形でみえてくるのでは、と考えられます。さらに、その後、景気が加熱したときに、タイミングを逃さず増税すれば、大多数の国民の中にも、日本でも機動的財政政策が当たり前になったとの確信を持つことができるのではないでしょうか。

いずれにせよ最終的な解散の判断は、安倍首相の意向ひとつです。与党も、野党も、衆議院の解散時期に関しては首相の動向に油断できない状態が続きそうです。

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