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2019年10月1日火曜日

消費増税なぜ止められなかった? 財務相の顔立てた政治的決定も…社会保障の制度設計をないがしろに―【私の論評】安倍総理は、いずれ「5%減税」を公約として、衆院解散総選挙の道を選ぶことになる(゚д゚)!

消費増税なぜ止められなかった? 財務相の顔立てた政治的決定も…社会保障の制度設計をないがしろに

高橋洋一 日本の解き方

安倍総理

10月1日から消費税率が10%に引き上げられた。「3党合意」で増税が決まった経緯や、その後2回増税を延期した安倍晋三首相が今回は延期しなかった理由などをあらためて振り返っておこう。

 3党合意とは、2012年6月、民主党、自民党、公明党の3党間における「社会保障と税の一体改革」に関する合意を指す。消費増税、子ども・子育て支援、最低保障年金などが盛り込まれるなかで、消費増税だけが先行、子ども・子育て支援はその後制度化されたが、最低保障年金などは実現していない。

 社会保障と税の一体改革といえば、世界的な潮流は税と社会保険料を一体として徴収する「歳入庁」の設置が主要な鍵になるが、民主党は歳入庁を公約して政権交代しながら、その後取り下げた。一方、消費税を社会保障目的税化するという世界にも例のない無謀な社会保障改革だったことは、筆者は繰り返し指摘してきた。

 世界の社会保障運営は保険方式であり、その財源は社会保険料である。ただし、低所得者の保険料は高所得者の所得税から充てられている。

 社会保障運営を保険方式とするのは、社会保障を「施しもの」と考えると支出基準が曖昧になり、結果としてひどい財政運営になってしまうためだ。保険原理であれば、機械計算で給付額が決定され、給付が可能になる。残念ながら、保険方式以外の社会保障運営で成功した例は寡聞にして知らない。

 こうした社会保障の運営を保険方式にする以上、支出段階では、所得再分配機能はあまりない。年金は死んだ人から長生きの人への再配分、医療は健康な人から病気の人への再配分でしかないからだ。かろうじて所得再配分になっているのが、社会保険料を低所得者人から取らずに、高所得者の所得税で充てている点だ。この意味からも、消費税が社会保障財源にならないのが世界の常識だ。

 3党合意は社会保障運営の大前提で間違っている。これは3党合意を主導した財務省のロジックの破綻でもある。財務省は、単に社会保障を人質とすれば消費税を上げやすいと考え、社会保障の長期的な制度設計をないがしろにしたのだ。

 しかも、11年の東日本大震災後に、連帯といいながら、震災復興増税、8%への消費増税、さらに10%への消費増税という恐ろしい「ホップ、ステップ、ジャンプ増税」を、政権運営が不慣れな民主党に押しつけた。自民党もそれに乗り、まんまと成功したわけだ。

 安倍首相はそうした経緯を知っていたはずで、2回増税をスキップしたが、盟友の麻生太郎財務相の顔にこれ以上泥を塗ることはできないという政治的な理由で今回増税を決定したのではないか。

 経済政策としてまずいのは承知の上なので、臨時国会などで適切な経済対策を打ち、消費増税の悪影響を極力回避しようとするだろう。

 だが、米中貿易戦争や英国の欧州連合離脱問題、ホルムズ海峡問題、日韓問題の影響は大きく、日本経済がどうなるのか、不安は消えない。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】安倍総理は、いずれ「5%減税」を公約として、衆院解散総選挙の道を選ぶことになる(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の記事では、過去の増税を阻止できなかった状況について様々な分析をしています。この分析は総合的でありながら、かなり緻密で簡潔にまとまっています。

これに対して何かを付け足すことはできませんし、付け足したにしても冗長になるだけなので、それはやめて、私としては今後のことについて掲載しようと思います。

今後のことを考えるには、やはり衆院選の行方を考えるとわかりやすくなると思います。
今年に入って、まことしやかにささやかれていた衆参同時選挙。ふたを開けてみると、7月に行われた「第25回参議院議員通常選挙(以下、参院選)」は、参院選だけで行われ、衆議院解散総選挙(以下、衆院選)は行われませんでした。では、2017年10月に前回選挙が行われた衆院選は、いつ行われるのでしょうか?

衆議院議員の任期は4年間ですが、歴史を紐解いても、任期を満了したのは1度だけ。ほかは、すべて任期の途中での解散総選挙となっています。衆議院の解散権が時の内閣総理大臣の専権事項となっている以上、安倍首相の解散「カード」の切り方が今後の政局の焦点となってきています。

安倍首相は7月の参院選が終わった直後、「迷わなかったといったら嘘になる」と衆参同時選挙の可能性も考えたことを否定しませんでした。これは、自民党が65議席を獲得して大勝した2013年参院選の当選組が改選を迎え、当初大幅な議席減が予想されたためですが、情勢調査などにより危機は小さいとの判断が党内でなされ同時選挙の可能性がなくったとみられています。参院選の結果も自民党は56議席を獲得したように、大幅な減少とはなりませんでした。

今後、それでも2021年9月の自民党総裁任期満了までに、衆議院の解散総選挙が行われると見るべきです。日本国憲法制定後、これまで衆議院の任期満了まで解散がなされなかったのは、1976年の三木武夫内閣の際の1度だけしかありません。

三木武夫氏

解散はいずれある、と考えるのが現実的です。そして、そのタイミングですが、大きく分けて3つあでしょう。1つ目が年内。2つ目が来年。3つ目が再来年です。そして、3ついずれも首相にとってはネガティブな要素がつきまといます。

年内をみてみると、10月1日に消費税が10パーセントに引き上げられました。この増税では、与党の中でも公明党が主張した軽減税率も導入されますが、導入前から制度の複雑さに先行きが危惧されている制度だけに、国民からの不満が政府に向かう可能性もあるとみられています。また、同22日には、天皇陛下の即位の「即位礼正殿の儀」が行われます。

来年2020年になると、増税の影響で、景気が落ち込む可能性があります。同年の7月から9月にかけては、東京五輪・パラリンピックも開催されます。同年7月30日には、東京都知事が任期満了を迎えるため、それまでに都知事選も行われることになります。慌ただしいスケジュールの上に、景気批判が高まっているかもしれません。

再来年2021年になると、自民党の党総裁選が9月、衆議院議員の任期満了が10月、と大きな政治日程が続くことになり、追い込まれた形での解散を首相が選択する可能性も高まります。

こういった中で、自民党関係者や経済界の方々の間では「消費税がやはりカギなのではないか。安倍首相も簡単に、負ける選挙はしないと思われる」という声が大きいようです。

消費増税でも、国民の消費が下がらず、成果が上がるということは14年の増税の時でも明らかなように、あり得ません。バブル崩壊後、現在まで続いているデフレーションですが、さらにデフレスパイラルの底に沈む可能性が高いです。

それは、以下のグラフをみても明らかです。消費税を増税すると消費税税収自体は「安定」的ですが、税収全体は消費税の影響でそれまでの税収の伸びから大きくダウンすることが観測できます。影響は複数年に及びます。さらにその後も経済全体のコントロールをきちんとしないと税収は伸びず、消費税はまったく安定に寄与しません。

クリックすると拡大します

来年の秋頃には、消費税10パーセントに上げた影響で、景気がどうなっているかはっきりします。悪い数字が出た直後に、首相は『消費増税は成功とは言えなかった。責任を持って、消費税を(5パーセントあたりまで)下げます』といって、それを理由とした解散をすすべきです。

これは私の憶測ですが、これについては案外麻生副総理と安倍総理は合意しているのではないかと思います。麻生氏は義理堅いですから、安倍首相にあらがってまで、財務省の肩を持つことはないでしょう。

財務省の増税シフトはかなり強く、彼らにとっては、10%増税は中途経過に過ぎなく、いずれ15%、20%それ以上を増税をする腹です。

おそらく、一度10%増税に踏み切らないと、財務省の抵抗は凄まじいものなると予想されたのだと思います。日本の官庁としては、最低といわれるような文部省ですら、加計学園問題では、前川元事務次官をはじめかなりの抵抗を示したわけですから、財務省の抵抗はそれを遥かに凌駕した凄まじいものになるでしょう。

安倍総理としては、日本の将来を考えた場合、10%を超える増税は望ましくないと考えているようです。実際、安倍晋三首相は7月の参院選に先立つ記者会見で、追加増税について「今後10年間くらいは必要はない」と述べています。

であれば、10%以上の増税をさせないためにも、国民の信を問うために、総選挙を実施する必要があります。時期としては、東京五輪・パラリンピック後、来年の晩秋から年末にかけての頃が効果的です。

そうして、この時に5%への減税を公約にすれば良いのです。消費税を下げた場合、長期的にはインフレーションになっていくことが見込まれますが、現在の20年以上続くデフレ状況と違って、モノは売れるようになることが想定されます。そうして、日本はデフレから完璧に脱することになります。そうなると、日銀の物価目標2%も達成しやすくなります。

さらには、安倍総理の念願である、憲法改正もやりやすくなるはすです。何もしなければ、そもそも、景気が低迷し、内閣支持率が低下し、選挙をしても改憲勢力が2/3を占めることも叶わず、憲法改正は遠のくことになるでしょう。

そうして、物価目標2%超えて、4%にでもなった場合には、今度は財務省が大好きな増税をすれば良いのです。これに抵抗する勢力は今の日本では皆無でしょう。

増税して、減税して、また増税するという一連のサイクルを実施すれば、財務省の何がなんでも、一方的に増税する、何が何でも緊縮するという世界の財政政策からみれば、かけ離れた馬鹿げた政策は打ち砕かれることになります。

それこそ、必要に応じて機動的に増税、減税を実施するというまともな財政政策が日本でも当たり前にできるようになります。

減税導入当初は、市場が活気を帯びることが予想され、そうなると、2021年に予定されている自民党総裁選の行方も違った形でみえてくるのでは、と考えられます。さらに、その後、景気が加熱したときに、タイミングを逃さず増税すれば、大多数の国民の中にも、日本でも機動的財政政策が当たり前になったとの確信を持つことができるのではないでしょうか。

いずれにせよ最終的な解散の判断は、安倍首相の意向ひとつです。与党も、野党も、衆議院の解散時期に関しては首相の動向に油断できない状態が続きそうです。

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2014年7月19日土曜日

【西村幸祐氏ツイート】素晴らしい。永住外国人の生活保護は認められないという最高裁の判―【私の論評】 国民の生活保護などの社会保障への関心は、まともな国民国家の再構築の一里塚となり得る(゚д゚)!



上のツイートにあるリンク先の記事を以下に掲載します。(比較的短い文書なので全文掲載しますょ
最高裁が初判断「外国人は生活保護法の対象外」 
日本に住む外国人が生活に困窮した場合、法的に生活保護の対象になるかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は「法律が保護の対象とする『国民』に外国人は含まれない」とする初めての判断を示しました。 
生活に困窮した外国人への生活保護費の支給は、永住資格を持つ人や難民認定された人などを対象に、人道上の観点から自治体の裁量で行われています。 
これについて、永住資格を持つ大分市の中国国籍の女性が起こした裁判で、外国人が法的にも保護の対象になるかどうかが争いになり、2審の福岡高等裁判所が「法的な保護の対象だ」と判断したため、国が上告していました。 
18日の判決で最高裁判所第2小法廷の千葉勝美裁判長は「生活保護法が保護の対象とする『国民』に外国人は含まれない」とする初めての判断を示しました。 
そのうえで「法的保護の対象を拡大するような法改正もされておらず、外国人は自治体の裁量による事実上の保護の対象にとどまる」と指摘して、2審の判決を取り消しました。 
今回の最高裁判決はあくまで法律の解釈を示したもので、自治体が裁量で行っている外国人への生活保護には直ちに影響を及ぼさないものとみられます。 
原告弁護士が判決を批判 
判決について、原告の弁護士は会見で「法律の中の『国民』ということばだけを見て、実態に踏み込んでいない形式的な判断だ。外国人に生活保護を受給させるかどうかは行政の自由裁量だと最高裁がお墨付きを与えるもので問題だ」と批判しました。 
さらに「外国人は日本で生活してはいけないと言っているのと同じで、安倍内閣は成長戦略の一環として外国人の受け入れを拡大するとしながら、一方でセーフティネットは認めないというのなら日本にこようとする外国人はいないだろう。なんらかの形で外国人の受給について法律の改正をしなければならない」と指摘しました。
【私の論評】 国民の生活保護などの社会保障への関心は、まともな国民国家の再構築の一里塚となり得る(゚д゚)!

生活保護問題については、ここしばらく、このブロクではとりあげていませんでしたが、1年と数ヶ月ぶりで、掲載です。やはり、今回の最高裁の判決は、このブログでもとりあげないわけにはいかないと思い掲載させていただきました。

この判決は、法律に照らして当然の判決と思います。これを変えるには、法律そのものを変えざるを得ないでしょう。

ちなみに、世界には生活保護なるものがそもそもない国も多くありますが、先進国においては、日本と同様な生活保障制度があります。各国とも、失業者などに生活保障費を支給しています。

ただし、諸外国と日本を比較した場合、その受給額の水準は異なります。北欧も含めた福祉先進国という国々においても、普通に就労した中で得られる給与は、パートなど非正規労働者であっても、生活保護を受けるよりも賃金のほうが高いのが普通です。

ところが、日本の場合は、生活保護費の基準額を下げるより前に、デフレの長期化により所得水準が下がってしまい、生活保護費が下がらないままだったので、生活保護費のほうが、最低賃金を上回るという逆転現象が起きています。

デンマークなどの場合、就労しないで生活保障で生活を長年続けていると、減額されるということがありますが、これも国民は当たり前のことと甘受しているようです。

しかし、日本では、一般の給与水準が下がっているにもかかわらず、生活保護費の水準をあまり下げていません。そのため、日本の生活保護費は、世界最高水準になっています。

世界最高水準の生活保護を受ければ、まともに働くのが馬鹿らしくなる?


数年前に、札幌市内の生活保護の実態を報道している番組がありましたが、その中で、子どもが3人いる-母子家庭の女性の一月の生活保護費が、何と月々手取りで26万円ということがいわれていて、驚いたことがあります。

26万円というと、中にはそんなに高くもないという人もいるかもしれませんが、考えてみて下さい。まずは、仕事のために通勤をしなくても良いということがあります。それに、生活保護を受けていると、学費などは無料なります。その他にもいろいろと援助があります。これらをトータルで含めると、月々30万円は超えているのではないかと思います。

普通の主婦が、パートをして月々このくらいの金額を稼ぐことができると思いますか?なかにはそういう人もいるとは思いますが、長年勤めてある程度仕事を任されている人を別にして、そういう人は圧倒的に少ないと思います。

これでは、たとえば、母子家庭の場合、母親が働いて生計を立てるよりも、生活保護を受けるほうが、はるかに良いということになってしまいます。これは、どこか狂っています。

厳しい生活をしいられている母子家庭の現実


しかも、これが日本人ではない永住外国人などにも同じように適用されているということでは、現状のようにデフレで賃金水準が下がっている時期においては、このような状況は許容されるものではありません。

マスコミは、福祉先進国の北欧諸国を取り上げて、賛美していますが、こと生活保護費の水準そのものの額になると、ほとんど報道していません。これは異常です。

国民感情からすれば、外国人を保護するのだったら、まずは苦しんでいる自国民を最初に何とかしろというのが、本音だと思います。

日本人は、戦後このかた、主権国家という考え方が希薄になっていました。諸外国では、国民は国に税金を収めたり、その他の貢献をするのが当然であるが、そのかわり国家はいざというときに、国民を守るため安全保障や社会保障の義務があるというがあたり前になっています。

しかし、日本では、戦後においては安全保障などはアメリカに任せっきりという感覚で、多くの国民があまり意識してきませんでした。また、社会保障などについても、経済が伸びているときにはあまり意識はしてきませんでした。

バブル絶頂のときには、誰も年金のことや、生活保護のことなどに関しては、ほとんど関心はなかったと思います。そんなことは、話題にものぼらなかったと思います。

しかし、デフレが15年以上も続いた今日では、違います。特に、社会保障に対する関心が深まっています。国民感情としては、日本国国民を最優先すべきという意識が高まっています。

日本がデフレに完璧に突入してから、それまでは、年間自殺者数が2万人台だったのに、3万人台になったことを忘れるべきではありません。ただし、これは、最近は経済が上向いたこともあって、また2万人台に戻ってはいます。

しかし、自殺者増の大部分は、経済的困窮によるものだったと考えられます。しかも、諸外国と比較すると、若者の自殺者が多いという事実もあります。一方で自殺者が増え、他方では、永住外国人にも日本人と同様の手厚い生活保護がなされるということに、憤りを覚える人も多いと思います。



これは、良い悪いは別にして国民意識の高まりです。しかし、この国民意識の高まりは、西村氏のツイートの「日本人が日本という国家を取り戻す第一歩が始まった」ことの現れかもしれません。

「個人があって、国がある」、「国があって個人がある」これは、いずれも真実です。しかし、戦後の日本は、あまりにも「個人があって、国がある」という観念が助長され過ぎてきました。個人があったとしても、国がなくなれば、とんでもないことになります。国がなくなれば、安全保障も、社会保障もなくなります。「国があって個人がある」という認識も高めていくべぎてす。

今のところは、ごく一部の社会保障の生活保護に関してだけですが、今日のように中国の脅威が高まっている状況では、いずれ国民国家として、社会保障だけではなく、安全保障も重要であるというように多くの国民の意識も変わっていくものと思います。

国民国家がしっかりとしていなければ、個人の自由も財産も守ることはできません。諸国民の善意などを期待してもそんなものは理想にすぎません。理想は、理想です。現状では国家があるから、国民の財産・生命を守ることができるのです。

その時、日本は戦後体制から脱却ができる準備が整うと思います。

話が前後しますが、生活保護においては、その時々経済状況で給付の水準が容易に変更できるようにすべきと思います。パートで働く賃金水準より、生活保護のほうが良いというのは、完璧に狂っています。それに、生活保護が話題になるのは、やはりデフレが続いているからです。まずは、デフレから脱却することが、国民にとっては、最優先課題であると思います。

安倍政権の評価は、国民国家の再構築すなわち「戦後体制から脱却」を実施するにあたり、まずはデフレからの脱却を目論んで、異次元の包括的金融緩和を実施したことです。これは、大正解でした。しかし、今年の増税では、やはり5月にかなりの落ち込みがありました。

安倍総理には、来年の増税は絶対に阻止して、公共工事の供給制約のにある現在において、減税・給付による積極財政を実施して、デフレ脱却の道筋を再度はっきりとつけていただきたいものです。

デフレから脱却して、生活保護受給者数を減らし、永住外国人に対しては別立てのセーフティーネットを構築し、日本国民よりは給付水準を下げ、その時々の経済情勢によって、自治体などの判断で減額、カットなどができるようにすべきです。地方の財政が苦しいのであれば、外国人にまで手厚い保護を続ける理由はありません。どうしても、日本人と変わらない保護を受けたいというのなら、帰化すれば良いではありませんか。

いずれにせよ、安倍政権には、せっかくの国民国家意識の高まりを無為にすることなく、「戦後体制」への脱却に邁進していただきたいものです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年2月2日日曜日

「社会保障は風俗に敗北した」 NHK「ガールズプア」特集が話題に―【私の論評】ちょっとまってくれ!プアガールが深刻になったのは、20年も続くデフレのせいではないのか?最初に責めるべきは、社会保障制度ではなく、まずは無能な政治家と、その次は狡猾な官僚であるべきだ(゚д゚)!

「社会保障は風俗に敗北した」 NHK「ガールズプア」特集が話題に

クローズアップ現代のオープニング画面

働いても働いても暮らしが楽にならない「ワーキングプア」が問題となる中、貧困のために風俗で働くことになった若年女性の様子を「ガールズプア」としてNHKが特集し、話題を呼んでいる。

1月27日放送のNHK「クローズアップ現代」で、特集「あしたが見えない ~深刻化する『若年女性』の貧困~」が放送された。

番組によると、現在10代、20代で働く女性は全国に503万人。だが、高卒女性で正規の仕事に就いているのは48%にとどまり、半数以上が非正規で働いている。

アルバイトを3つ掛け持ちしても給料が10万円程度にしかならない19歳の女性など、厳しい状況にある単身女性が紹介された。中でも特にきつそうなのが、小さな子どもを抱える若いシングルマザーだ。

クローズアップ現代より


今、20代シングルマザーの80%が年収114万円未満の貧困状態にあるという。そうした中でも、周囲の支援を受けられなかった若いシングルマザーは、風俗店に居場所を見出すしかなくなってしまう。こうしたケースがかなりあるのだという。

性産業がセーフティネットに?

番組では、東京近郊のある風俗店を取材。この店では、若いシングルマザーに働いてもらうため、子どもを預ける提携託児所を用意し、その費用も負担しているという。家を借りられない女性のために、事務所近くに寮も設けた。

21歳のシングルマザーは、出産直後から働かなくてはいけない状況だった。しかし、託児所に子どもを預ける余裕もなかったため、この店に流れ着いた。現在、週5日働いて収入は月30万円。給料を店に積み立ててもらっている人もいる。

また、面接に来た30代のシングルマザーは、役所に生活保護を申請したものの審査に2~3か月かかると言われた。それまで待つことはできないので、20代のころに経験した風俗の世界で再び働こうと決めたのだという。

スタジオでは、若い困窮者の支援をしている臨床心理士の鈴木晶子氏が、

「性産業が職や住居、保育までを含めたしっかりとしたセーフティネットになってしまっている」
と指摘。公的機関ではそうした包括的なサービスが提供できておらず、

「社会保障の敗北といいますか、性産業の方が、しっかりと彼女たちを支えられているという現実だと思う」
と話した。これはネット上でも話題になり、

「風俗が超優良企業に見える」

「風俗と刑務所が日本のセーフティネット」
といった皮肉な声が挙がった。

「風俗の求人は嘘が多いので信じないで」

「社会保障が風俗に負ける」という状況を苦々しく感じている人も多いようだ。ただ、実際に番組が取材できた風俗店は「上澄みのほんの一部」にすぎないという人もいる。風俗店に勤務していたとする女性は、こんな書き込みを残している。

「風俗の求人広告は、女の子の気を引くように上手く作っていて、嘘が多いので信じないでください。夜の世界は特に悪い人が多い」

元風俗店の店長だったという人の書き込みにも、「託児所付きとは名ばかりで、紹介はするが、契約などは一切関知せず、酷い話でした」というものがある。

さらにネット上にはこんな提言も。

「まずは最低賃金の水準を引き上げること。そして安く長い時間子供を預けられる公立保育園の整備。行政がやるべきなのはまずこの二点じゃないか」
行政の違法な対応で、風俗に頼らざるを得なくなった

クローズアップ現代より

NPO法人自立生活サポートセンター・もやいの大西連氏は29日、ヤフーニュース「個人」で、放送についてコメントした。番組に登場した女性が生活保護申請に2~3か月かかる、と役所で言われたことについて、こう指摘する。

「生活保護の申請はその日にできます。そもそも、市役所が申請を受理しないのは違法です」
生活保護法では、役所が申請を受けて決定か却下を判断するまでの期間は「原則14日以内」と定められていると説明。女性は役所窓口で申請を受け付けない「水際作戦」の被害を受けたのだとし、

「生活保護行政の違法な対応により、本来利用できる制度利用にいたらず、風俗の仕事に頼らざるを得なくなった」
その上で、番組は生活保護に関する正しい情報を伝える必要があったとしている。

「家の外にも味方がいる!」

また、シングルマザーの支援を行っているNPO法人リトルワンズ(東京都杉並区)代表の小山訓久氏はキャリコネ編集部の取材に、「生活に困って風俗で働くことも選択肢になってしまっている」と話す。

「役所やNPO法人に相談すれば適切な情報や、他の道が見つかることもあります。まずは頼ってきてほしい」
シングルマザーは、離婚した直後の急激な生活の変化や、経済的に窮地にいても、独りで考えてしまうことが多く、また行政支援などに関する情報を知らない人も多い。同団体では彼女たちを対象に、日々の生活情報などを提供する企画を開催している。

「シングルマザーが集まるイベントも毎月開催しています。頼ったり、 助けを求めることを悪いと思うのではなく、家の外にも味方がいると思ってもらえれば」

【私の論評】ちょっとまってくれ!ガールズプアは20年も続くデフレのせいではないのか?最初に責めるべきは、まずは無能な政治家と、その次は狡猾な官僚であるべきだ(゚д゚)! 

さて、プアガールについては、このブログでも掲載したことがあります。このブログの記事では、独女の生活の厳しさについて掲載しました。独女とは、30歳以上の結婚していない女性の総称です。以下に、この人達の生活に関する記事のURLを掲載します。
働けども独女の暮らし楽にならず!?:―【私の論評】そろそろ真実に目覚めても良いのでは?
この記事は、当時まだデフレスパイラルのまっただ中で、回復する見込みも何もなかった、2012年9月の記事です。安倍政権も誕生しておらず、日銀は金融緩和などおよびもつかず、金融引締め政策を続け、円高・デフレのまっただ中にありました。 
そうして、このデフレこそが、独女が働けども暮らしが楽にならない真の理由であることを掲載ました。以下にその部分のみコピペさせていただきます。 
日銀は、今年の2月には、インフレ目度1%を打ち出しました。この1%は、かなり低い数字です。これだけデフレ続きの日本であれば、当面4%にしたとしても、何ら悪影響はないはずです。ただし、いくら目処が低くても、一応は打ち出した目標です。しかし、日銀は、この1%目処ですら、実行しようとしません。実際、少しでもでもインフレになりかけると、すぐに追加緩和措置をやめてしまうというのが実態でした。

これじゃ、どうしようもありませんね。雇用といえば、もちろん、賃金もかかわってきます。過去20年日本は、失われた20年といわれ、経済は停滞し、賃金はあがるどころか、下がってしまいました。同じ時期に、他の先進国は、日本のようなデフレ政策をせず、程度の差はあれ、緩やかなインフレ政策を続けてきたために、経済も緩やかながら発展し、賃金も倍近くあがっています。ただし、毎年緩やかなインフレが続いたため、実質的には、1.5倍くらいです。 
この間日本では、日銀が経済の癌ともいわれる、デフレを放置するどころか、デフレの守護神となり、積極的にデフレを推進してきたため、現在のような状態になってしまいました。そのしわ寄せが、独女の方にもかなり及んできているというのが事実です。マクロ的にみれば、そういうことです。無論、ミクロ的な見方もあり、上記のように雇用形態の問題もあるかとは、思います。


しかし、日銀の金融政策によって、雇用枠そのものを広げない限り、同じ雇用枠の中で、いくら厚生労働省あたりが、雇用のミスマッチを減らすよう努力しても焼石に水ですし、もぐら叩きに終わるだけです。ある独女の方が、職をみつけたり、賃金が上昇すれば、別の独女が職を失ったり、賃金が下がるということになるだけです。 
雇用問題には、このような背景があるということが理解されていないため、多くの人が、日銀の金融政策に対して苦言を呈する人はいません。あくまで、厚生労働省や、自分達の責任であるかのように錯覚して、堂々巡りりを繰り返し、閉塞感にさいなまされています。水道の蛇口から、水が多量にもれているときに、漏れた水を汲み出して、頑張ったとしても全く意味がありません。水道の蛇口をとめるべきです。現在の雇用問題の水道の蛇口は日銀の金融引き締め政策です。これを止めない限り根本的な解決にはなりません。

もうこのようなことには、終止符を打つべきです。独女の方々も、最近では、SNSなどのコミュニケーション・チャネルを持っていらっしゃると思います。実際、私も、facebookで、多くの独女の方とお友達になっていただいています。独女の方々も、機会あるごとに、日銀の金融政策のまずさを理解し、訴えていくべきものと思います。それから、政治にも関心を持っていただきたいものです。 
独女の方々をはじめとして、日銀のおバカな金融政策による無用な犠牲など、もう十分はらってきたと思います。今の民主党政権では、全く無理だし、それにもう次のない政権に期待してもしかたないですから、これから、政権を担いそうな、政党などがどのような金融政策をとるつもりなのか、特に、暴走する日銀に対して日銀法改正などで、対処していくつもりがあるのかどうか、関心を持つべきです。
 以上は、独女の方々の生活苦の真の原因はデフレであり、これを根治するにはデフレから脱却することであることを述べました。

このことは、もっと若い世代の、プアガールにもあてはまることです。プアガールの存在を完璧になくすことはこれからもできませんが、デフレから脱却すれば、かなりというか劇的に改善されることは確かです。この問題は、いくら社会保障を充実したとしても、デフレが解消できない限り、根治はできません。

デフレは当然のこととして、若い世代の女性にも牙をむく

そもそも、デフレのときには、政府の税収が減ります。税収が減っているのに、社会保障を拡充することはなかなかできません。それに、プアガールの人たちに特別に社会保障を手厚くすれば、独女の方々は救うことはできなくなります。いや、それどころか、他の男性や、壮年層男性にだってしわ寄せがいくかもしれません。

判りやすくいえば、デフレである限り、何かをよくすれば、何かが駄目になるという悪循環に陥るだけです。デフレであるかぎりにおいては、何をやっても、こうしたことがモグラたたきのように別のも問題が起こるだけです。

さてこのことに目覚めた、安倍政権が政権の座につき、日銀人事が刷新され、まるでデフレ・円高の番人であったかのような日銀は、昨年の4月より異次元の金融緩和を行い、本格的にデフレ脱却に向けて具体的に動きはじめました。

デフレのときに金融緩和をすべきことは、わかりきったことなのに、歴代の政治家の多くは、日銀の愚劣な金融引締め政策の継続を見過ごししてきましたし、狡猾な財務省の官僚などは財務省益優先で、雇用のことなど無視して、過去においては、デフレ解消の方策でもある財政出動などさせない方向に誘導し、それどろか、今年の4月の8%増税の誘導までしました。デフレの最中に増税するなど、完璧に間違いです。このまま増税せずに、金融緩和を継続していれば、早くて2年、遅くても4年もすれば、日本はデフレから脱却できたと思います。

しかし、増税によって、デフレ脱却は足踏みすることなりました。おそらく、今年4月に増税すれば、デフレからの脱却は遠退きます。そうして、さらに来年10%増税をするということにでもなれば、日本はまたデフレ・スパイラルの泥沼に沈み、失われた20年は、40年になってしまうかもしれません。

しかし、10%増税は控え、異次元の包括的金融緩和を継続し、さら大規模な財政出動をすれば、必ずデフレが脱却できるようになります。多少時間はかかりまずか、間違いなくそうなります。しかし、今後金融緩和をやめたり、財政出動をしないということにてもなれば、独女の生活苦はますます、酷くなるし、ガールズプアも増えることになります。社会保証制度をいくら整えても、何も解決しません。

若い女性たちは、政治経済を理解した上でやるべきことがある(゚д゚)!

これ根治するためには、無論デフレ解消だけでは100%とはいきませんが、それにしてもデフレが解消されれば、かなりの部分が解消されます。その上で、社会保障制度を拡充するとか、これを解消するための社会事業を展開すれば、このようなガールズプアは、100%解消とはいかないまでも、大方の人たちが自己責任によるものと思える程度には解消できます。

この真実を見つめて、独女の方々も、ガールズプアに陥っている若い女性の方々も、もっと政治や経済に関心をもっていただき、自分のできることをすべきものと思います。それこそ、SNSでガンガンこの事実を拡散するとか、選挙のときには、デフレ解消を一義とする政治家に投票するとか、その反対にデフレ・円高政策をいろいろやることはあると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか。

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