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2019年5月20日月曜日

米中貿易戦争 検証して分かった「いまのところアメリカのボロ勝ち」―【私の論評】中国崩壊に対して日本はどのように対処すべきか(゚д゚)!

米中貿易戦争 検証して分かった「いまのところアメリカのボロ勝ち」

そして、その先にあるものは…

ついにばれてしまった中国の手口

先週13日に発表された3月の景気動向指数は、景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」であった。GDPと景気動向指数はかなりの相関があるので、本日月曜日に発表される1-3月期のGDP速報もマイナスになっている可能性がある。

政府与党は「雇用や所得など内需を支えるファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)はしっかりしている」、「内需、設備投資はいい傾向が出ている」として防衛線を張っているが、雇用、設備投資、所得などは「遅行指数」といわれ、景気の後からやってくるものだ。これらがいいといっても、既に景気の下降局面であることは否定できないのだ。

国内の景気が良くないうえ、これからは海外要因も日本の景気への足かせになるだろう。米中貿易戦争は当面の出口が見えず激化の一途をたどっているし、欧州のブレグジットでも当面の混乱は避けられない。

筆者はこれまで米中貿易戦争について数々の書物を書いてきたが、例えば『米中貿易戦争で日本は果実を得る』では、米中貿易戦争は結果的に中国経済への打撃が大きく、アメリカへの影響は軽微であると分析している。そのうえで、もちろん日本への影響もあるが、上手く振る舞えば漁夫の利もありえるとしてきた。

これは、IMFレポートなどで書かれている国際経済の分析フレームワークを使えば、当然に出てくる答えであるが、最近の情勢を踏まえて、さらに先を読んでみよう。

目先の関心は、いつ頃米中貿易戦争が終息するかにあるだろうが、結論からいえば、当分の間、米中が互いに譲歩することはなかなか考えにくい。

これは、本稿コラムで再三指摘してきたが、米中貿易戦争は貿易赤字減らしという単なる経済問題ではなく、背景には米中の覇権争いがあり、それは、古い言葉で言えば、資本主義対共産主義の「体制間競争」まで遡るものだからだ。

この体制間競争は、旧ソ連の崩壊で決着がついたが、中国は旧ソ連の体制をバージョンアップさせて、再びアメリカに挑んできたともいえる。

たしかに中国はしたたかで、トランプ大統領率いるアメリカは昨今いろいろな国と摩擦を生み出している。アメリカが孤立し、結果として中国が中心に新たな国際社会が成る、という見方もある。

しかし、ここで思い出すのが、フリードマンの『資本主義と自由』だ。同書の第1章「経済的自由と政治的自由」で、フリードマンは経済的自由と政治的自由は密接な関係だとし、経済的自由のためには資本主義の市場が必要だと説いている。

この観点から言えば、政治的自由のない中国では経済的自由にも制約があり、そうである限りは本格的な資本主義を指向できない。結局、政治的自由がないのは経済には致命的な欠陥なのである。それでもこれまで中国は、擬似的な資本主義で西側諸国にキャッチアップしてきたが、トランプ大統領は中国の「窃盗」を見逃さなかった。

つまり、資本主義国に追いつくために、中国はこれまで知的所有権・技術の「窃盗」を行ってきたことがバレたのだ。

勝ち目はないようにみえるが…

米国議会報告書等が、その手口を明かしている。典型的なのは、まず中国への輸出品について、中国当局が輸入を制限する。それとともに、輸出企業に対して「中国進出しないか」と持ちかける。

ただし中国進出といっても、中国企業を買収し、100%子会社にするのではなく、中国企業との合弁会社を持ちかけるのだ。その場合、外国資本の支配権はないようにしておく。そして、立ち上げた合弁企業から技術を盗みだし、中国国内で新たな企業を創設して、その技術の独占を主張するといった具合だ。

このような事例は、決して珍しいわけではないし、また中国が他の先進国に直接投資し子会社を設立してから、投資国の企業や大学などから企業秘密や技術を盗むこともしばしば報告されている。

筆者が「中国の共産主義は旧ソ連のバージョンアップ版である」というのは、中国はソ連のような体制内のブロック・閉鎖経済を志向するのではなく、貿易については世界各国と取引しているからだ。貿易で対外開放しているかのように見せかけたうえ、中国内への投資も自由なように見せかけているのは、旧ソ連とは明らかに異なる。

共産主義の本質は「生産手段の国有化」であるので、完全には対内投資を自由にできない。そこで、中国は実質的に支配する合弁会社を利用するという手段で、見かけ上は中国への対内投資が自由にできるようにしているのだが、これがソ連のバージョンアップ、というわけだ。そしてその隠れ蓑のなかで外国の技術を盗み出すわけでだからなかなか巧妙である。

しかし、アメリカは、中国による知的所有権・技術の「窃盗」を見逃さず、それを梃子にして中国を攻めている。それが、アメリカの対中関税の引き上げにつながっているわけだ。

もちろんそれに対し、中国も報復関税をアメリカに対して課している。しかしながら中国のアメリカからの輸入額が1300億ドル、アメリカの中国からの輸入額は5390億ドルなので、報復関税をやりあっても、中国のほうが先に弾が切れてしまう。このことだけをみても中国には勝ち目はないように見える。

もっとも、報復関税に関して本当に勝敗がつくのは、関税によって自国の輸入製品の価格が上昇するときだ。実は、どのくらい関税をかけられるかではなく、関税の結果、価格が上昇するかしないか、が勝負の本質なのである。

物価指数をみれば一目瞭然

この観点からいえば、アメリカの勝ちは明白だ。というのも、米中貿易戦争以降も、アメリカの物価はまったく上がっていないからだ。インフレ目標2%に範囲内に見事におさまっている。


これは何を意味するのか。アメリカが中国からの輸入品に関税を課したら、関税分の10~25%程度は価格に転嫁されて、結果、価格上昇があっても不思議ではない。しかし、それでも物価が上がっていないということは、関税分の価格転嫁ができていないのだ。それは、中国からの輸入品が、他国製品によって代替できているということだ。価格転嫁ができなければ、輸出側の中国企業が関税上乗せ分の損をまるまる被ることになる(一方アメリカ政府は、まるまる関税分が政府収入増になる)。

中国の物価はどうか。中国では、食品を中心として物価が上がっている。つまり、価格転嫁が進んでいるのだ。



これで、(現時点では)貿易戦争はアメリカの勝ち、中国の負けということになる。

もっとも、中国がアメリカからの輸入品(農産物)に関税をかけ続ければ、そのうちアメリカの輸出農家も影響を受けるだろうともいわれる。しかし、その場合には、アメリカ政府は輸出農家に何らかの形で補助金を出せばいい。なにしろ関税収入があるので、補助金対策の財源には困らないからだ。

崩壊、が見えたワケ

それでも、中国は負けを認めるわけにはいかないから、「wait and see」(当面注視)と言い続けざるを得ない。この「wait and see」は、トランプ大統領が好む言葉で、これを中国は負け惜しみで使っているが、持久戦になれば中国にとって不利であるのは間違いない。

これをやや長期的な視点で見ると、前述の体制競争論にあるように「自由のない共産主義体制下においては、経済成長は難しい」という結論が導き出される(再確認される)ことになるだろう。

さらに中期的にみても、脱工業化に達する前に消費経済に移行した国は、一人あたりの所得が低いうちには高い成長率になるものの、結局先進国の壁を越えられない......という「開発経済の限界」が中国にも当てはまることになるかもしれない。これが中国にもあてはまるならば、次の10年スパンで中国の成長が行き詰まる可能性が高いだろう。

かつてレーガン米大統領は、1980年代初頭に「力による平和」を旧ソ連に仕掛け、それがきっかけになり、旧ソ連の経済破綻、旧ソ連の崩壊を10年で引き起こした。

筆者には、トランプ大統領の対中強硬姿勢が、かつてのレーガン大統領の対旧ソ連への強硬姿勢にダブって見えるのだ。

トランプ大統領は、中国の知的所有権収奪と国家による補助金を問題にしている。もちろん、中国はこれらを拒否しているが、それも当然。なぜならこれを拒否しなければ、中国の社会主義体制が維持できないからだ。中国の一党独裁体制の下で進められた政策を放棄すれば、それは体制否定にも成りかねない。

つまり、この貿易戦争は、中国国内の政治構造にも大きく影響を与えるだろう。中国は広大な国土をもつ国なので、日本では想像ができないくらいに中央と地方の関係は複雑である。

そのなかで、これまで経済発展のためには、ある程度地方分権を容認せざるを得なかったが、習近平体制になってから、逆に中央集権化の流れを加速している。そして知的所有権収奪と国家補助金については、中央政府とともに地方政府もこれまで推進してきたが、それを「アメリカの追及が厳しいから、もうやめよう」と習主席が認めると、地方政府からの突き上げをくらう可能性が高い。だから、習主席としては絶対に認められないのだ。

ということは、米中貿易戦争はしばらく続くことになるが、続けば続くほど、中国にとっては不利で、結局、習近平体制の基盤を揺るがすことにもつながるかもしれない。こうしてみると、ひょっとしたらトランプ大統領は中国の現体制の崩壊まで、この貿易戦争を続けるつもりなのかもしれない。

【私の論評】中国崩壊に対して日本はどのように対処すべきか(゚д゚)!

上の記事などを読むと、中国が崩壊するのは今後10年から20年とみて、日本などそれに対する準備をすべきと思います。

中国の過去の帝国が崩壊したときには、国内が、血で血を洗う内戦に突入しました。中華皇帝が倒れると中国は何時もとんでもない内戦になり人口が激減しました。

今回は、単に中国が歴史を繰り返すというわけにはいかないでしょう。何しろ現在の中国は核を保有しています。

通常想定されている核戦争は、双方に核を持っている者同士の戦いです。中国の過去の内戦は、核のない時代でも、多数の人間が死ぬ戦争ものでした。それも、人民を多数巻き込んだものでした。

もし、仮に現在の中国で内戦状態になったとき、核戦争にならない保証はありません。核抑止とは、国対国において成り立つことで、現在の中国が内戦状態になったときには、に通用するとは限らないです。

もともと中国でいう国とは、都市部のことで農村のことではありません。国という漢字を見るとわかるように壁に囲まれた都市の中に玉があります。これが、中華の国の概念です。過去においては、都市を殲滅できないから、外で戦っていました。

しかし現代は、ロケット戦争の時代です。外で殺し合いをしなくてもボタンを押すだけで都市を破壊できます。
現代の中国は、米国のように敵の居場所を特定する手段を持っています。独裁国家は、頭を倒せば崩壊します。これほどわかりやすい体制はないですし、これほど分かりやすい標的はないです。

日本には、毎年中国から大量の黄砂がやってきます。現在でも、PM2.5を含む黄砂のせぃで、体調不良を訴える人が大勢います。さらに、最近では黄砂がなくても、PM2.5が中国から到達していることもわかっています。もし中国が最悪の事態になったとしたら、協力な放射性物質が日本に襲ってくることにもなりかねません。



さらに、もっとも警戒しなければならなのは難民でしょう。無論中国が内覧状態になった場合当初は、中国から北朝鮮やロシアに大勢の難民が押し寄せるでしょう。しかし、北朝鮮やロシアは最初は多少は受け入れても、後には軍事力でこの難民の流入を防ぐでしょう。

その頃韓国が経済的に疲弊していれば、多数の韓国人難民や中国人難民が入り乱れて、日本に押し寄せてくる可能性もあります。そうなると、日本も対岸の火事どころではなくなります。

中国が緩やかな連邦国家等に移行できるのなら、分裂した多くの中国が存在した地域の国々と日本は、国交を結ぶことが出来るかもしれません。多くの民族が、独自に国の色を出す世界ができれば、中国は大繁栄するでしょう。

しかし、そのような簡単なことではすまないでしょう。中国には中華思想などという厄介なものがあります。新たな指導者はまた、習近平のように皇帝を目指すでしょう。

そうなれば、人が入れ替わるだけであり、何も変わらないことになります。放置しておけば、中国は必ずそのような道を歩むことになるでしょう。

それを防ぐために、米国などが直接介入しても、困難でしょう。しかし、それを防ぐ方法はあります。それは先日このブログでも掲載したように、中国内のいくつかの地域を互いに競わせるようにすることです。

競わせるとはいっても、無秩序に競わせるのではなく、かつて西欧列挙が歩んできたように、民主化、政治と経済の分離、法治国家を実現して国を富ませ、その結果国力を強化できたような形で競わせるのです。そうして、互いに拮抗した新たな秩序を形成するのです。

この考えの詳細については、ここで再び掲載すると長くなってしまいますのて、当該記事のリンクを以下に掲載します。
天安門事件30年で中国は毛沢東時代に逆戻りする予感アリ―【私の論評】毛沢東時代に逆戻りした中国はどうすべきなのかを考えてみた(゚д゚)!
紅衛兵に髪を掴まれて引き回される彭真の画像
米国や他の先進国がこのようなことを実施して、現在の中国に民主的な国家が成立する可能性はあると思います。しかし、それ以前に現中国が崩壊するときには、とんでもないことになることが予想されます。

もし、中国が崩壊するような事態になると、今の体制に肩入れしている人間は、全員、標的になります。日本の政権与党がタイミング悪く、中国に肩入れしていたとしたら、日本も標的にされかねません。

中国が崩壊ということになれば、当然のことながら、中露対立が再燃するでしょうし、インドとも対立が激しくなるでしょう。ベトナムや北朝鮮も行動を起こすかもしれません。

中国には中東のような宗教という支えがないです。結局は、俺が、俺がの世界です。過去においては、中華皇帝が入れ替わるとき、前の皇族は一族郎党が殺されました。さらに、民族浄化も起きたこともあります。それらを一挙にかたずける方法が現代にはあります。とにかく、現中国が崩壊すれば、周辺国に大迷惑を掛けることになることは大いにありそうです。

これにどのように日本は対処すべきなのでしょうか。どうすれば、最悪の事態を避けられるか今から真剣に考えておくべきです。

2017年7月31日月曜日

安倍政権は本当に危機的なのか、「あの法則」を使って検証してみた―【私の論評】初心に戻れば安倍政権の支持率は必ず回復する(゚д゚)!

安倍政権は本当に危機的なのか、「あの法則」を使って検証してみた
   安倍政権は「危険水域」か?

報道各社の世論調査で、軒並み安倍政権の支持率が低下し、不支持率が上回る数字となっている。この原因は何か。この傾向は今後も続くのか。今回はそれを考察したい。

過去の本コラムでは、その数値が「50」を切ると政権が倒れるという、永田町では有名な、いわゆる「青木の法則」を紹介してきた(2014.10.20「小渕経産相辞任で安倍政権への影響は? 第一次政権「辞任ドミノ」から先行きを分析する」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40822)。

また、青木率(内閣支持率+与党第一党の政党支持率。これが50を切るとその政権は危ない)を使って、選挙のたびに自民党の獲得議席を予想してきた。

(2014.11.11「解散するなら「今でしょ」! 「青木率」から分析する自民党が勝つためのタイミング」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/41027

2016.05.23「衆参ダブル選になったら? 驚異の的中率を誇る「青木率」で自民党の獲得議席を予測してみた」 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48719

2016.10.03「蓮舫・野田氏が相手なら、次の選挙で「自民党300議席」は堅そうだ」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49851

青木率をもとにした筆者の選挙結果の予想はかなり当たっているので、安倍政権のトップ級からも「関心を持って読んだ」と直接聞いたこともある。

NHKの「政治意識月例調査」によれば、現在の青木率(内閣支持率+与党第一党の政党支持率)は65ポイントであり、第二次安倍政権誕生以降では最低の水準である。世論調査では各メディアがそれぞれ独特の調査手法で数値を出しているので、あるメディアだけの数値をもって判断するわけにはいかない。

そこで、NHKの調査をひとつの基準とする、NHKの数値を、過去にさかのぼって見てみよう(下図)。

代政権の青木率の推移をみると、ほとんどの場合、発足当初に高かった支持率が時とともに低下し、40~60程度まで下がったところで退陣している。この意味で、NHKの数字を使うと、いわゆる「青木の法則」には確かに説得力がある。

こうしてみると、青木率は60を切ると、その後の回復はまず難しく、じりじりと下げて50以下になって結局退陣に追い込まれるケースが多いことがわかる。ということは、「青木率60」が政権維持の一つの目安だ。

現在の安倍政権の青木率は65であるので、回復がほぼ不可能になる60という危険域に入っているわけではない。ただし、このままでは危険域に突入するというリスクは目に見える。

   第二党との差は圧倒的

今回は青木率だけでなく、別の数字も見ておこう。青木率は内閣支持率+政党支持率であるが、もう一つの指標として、首相の人気、を考えてみよう。これは、内閣支持率から政党支持率を引いて算出する。

首相はそのまま党総裁も務めているのだから、一般的には内閣支持率は政党支持率を上回る。しかし、首相の人気が落ちてくると内閣支持率は急落し、退陣を余儀なくされる。

歴代政権の首相人気の推移をみると、政権発足時の「首相の人気」は20~30程度である。ところが、徐々に下がり、これがゼロ近辺になると退陣する(下図)。現在の安倍政権の首相人気(=内閣支持率-政党支持率)は4であり、これもすぐに、ではないが危険域に近づいている。
しかしながら、現時点では野党の民進党も低迷している。NHK調査では、民進党支持率は8%だ。ここで、批判の受け皿となる第二党についても考えてみる。<第一党支持率-第二党支持率>を算出し、その推移をみてみよう(下図)。

この数字がマイナスになると、第二党の支持が第一党を上回ったこととなり、政権交代が起こるわけだが、現時点では、民進党の低迷によってその差は開いている。第二党との支持率差を考慮するなら、いまの自民党は過去と比べても強いことになる。

この点から、民進党が自民党に勝つという政権交代は想定しがたい。一方、政権交代の可能性はないが、自民党内での不満の高まりから、党内抗争が強くなる可能性は否定できない。

さて、最近になって内閣支持率が急落している要因は何だろうか。若者の政権支持率にはあまり変化がないそうだが、もともと安倍政権支持が少なかった高齢者と女性の支持率がさらに下がっているようだ。

2ヶ月ほど前までは、森友学園や加計学園の問題が騒がれても、内閣支持率は大きく落ちなかった。ところが、1ヶ月前にテロ等準備罪での国会運営が一部で問題視されると急落し、さらに都議選の結果を受けて支持率は再び急落した。改めて現状を説明すると、内閣支持率とともに自民党支持率が急落する一方、他政党の支持率は上がらず、支持なし層が増えている、ということだ。

   雇用の確保」で見てみれば…

2ヶ月前までの安倍政権の高い支持率は、小泉政権以降の歴代政権の支持率と比べて、いくつかの特徴があった。

年代別でみると、他の政権では、一般的に高齢世代ほど支持率が高い傾向があったが、安倍政権は逆に若い世代ほどの支持率が高かった。男女別でみると、他の政権では男女で支持率の差は少ないが、安倍政権は男の支持率が高かった。

実は、10年前の第一次政権と比べても、世代別政権支持率と男女別政権支持率は異なっている。その要因は、今の安倍政権が高い水準の「雇用の確保」を達成・維持していることと関係している。筆者のような大学関係者には直ぐわかるが、今の若い世代は就職に敏感である。数年前の民主党政権時代には、就職がなかなかできなかった。失業率が高いと、限界的な大卒者の就職率も悪くなる。

ところが、政権交代して、大して大学生の学力も変わっていないのに、今は就職で困ることはほとんどない。これは安倍政権のおかげと実感しているのだろう、若い世代では安倍政権支持率が高い。他方、高齢世代では雇用拡大の恩恵を受けることは少ないから、それが支持率に直結することはない。

なお、正規雇用でも有効求人倍率が1を超えたり、すべての都道府県で有効求人倍率が1をこえるなど、雇用については過去の政権でもほとんどなしえなかった偉業を達成している。これらの雇用の成果は、本コラムで繰り返して主張してきたように、金融緩和のおかげである。

ちなみに、安倍政権は長期政権であるが、平成以降の政権でみると、雇用の確保に成功した政権だけが長期政権になっていることも指摘しておこう(下図)。

平成以降、就業者数を伸ばした政権は、橋本政権、小泉政権、安倍政権しかない。このうち橋本政権は1997年4月からの消費増税を行い、失速した。小泉政権は発足当初から消費増税はやらないと宣言し持ちこたえ、安倍政権は2014年4月からの消費増税で一度失敗したが強力な金融緩和で持ちこたえ、2回目の消費増税という失敗はしていない。

高齢者で支持率が低い理由は、高齢世代では雇用拡大の恩恵を受けることはないことに加えて、社会保障カットが進められていることにあるだろう。民主党政権時代から社会保障改革の名のもとに、社会保障費自然増のカットが継続的に行われ、それが高齢世代にボディブローのように効いている。

そして女性の支持率がさらに下がったのは、強引な国会運営に加えて、豊田真由子議員の暴言、稲田朋美前防衛相の失言が原因だろう。

昭恵夫人の奔放な発言まではよかった。旦那の安倍さんは大変だよね、という同情もあった。しかし、豊田氏の暴言は本当に酷かった。高齢世代の男性の支持も大きく失ったはずだ。筆者もあの発言がテレビで流れるたびに腹が立った。

稲田朋美と豊田真由子 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
稲田防衛相の失言も酷かった。ある女性芸能関係者は、神妙になるべき会見で稲田防衛相がつけまつげをしていたのは、ふさわしくないといっていた。こうした点に女性は敏感である。

    回復の手段は…?

また、今回の内閣支持率急落は、一部マスコミの偏向報道がそれに拍車をかけたという意見もある。たしかに、一部マスコミの偏向報道ぶりは凄かった(「加計学園問題は「絶好の教材」 問われるメディア・リテラシー https://www.j-cast.com/2017/07/27304315.html)。

もっとも、一部マスコミの偏向ぶりは最近激しくなったわけではなく、これも「政治」の一環である。過去にも過激な報道があったものの、法的な問題はなく、何のお咎めもなかったという結果はいくらでもある。

実は長期政権であった小泉政権でも、青木率が危険域に近づいたこともあった。2002年のはじめに、田中真紀子外相を更迭し、内閣支持率も自民党支持率も急落した時のことだ。

加計学園問題で、田中真紀子氏が沈黙を破り、安倍晋三
首相に「もう限界」と退陣を迫る発言をしたとされる
2002年6月には、内閣支持率39,自民党支持率25で、青木率64、と今の安倍政権と似たような状況だった。これを一気に打開したのが、2002年9月17日の日朝首脳会談だった。これで、内閣支持率も自民党支持率も一気に回復した。

どの政権でも、地道な政策を常に模索・推進しており、それが花開くかどうかは、運次第の一面もある。今回、安倍政権が「雇用の回復」という王道で大きな成果を出したにもかかわらず、結果として支持率が低下しているのは奇妙であるが、それも「運次第」というべきか。

その回復は容易ならざるものがあるが、まだ危険域には達していない。電撃訪朝ではないが、今後数ヶ月で内外の政策で分かりやすい成果を出せるかどうかがカギを握るだろう。

さしあたり、今週にも行われる予定の内閣改造がひとつ注目である。もっともこれは次へのステップのためであり、人事で支持率が急上昇するほど甘くない。その次は9月の補正予算である。それによって、10月10日告示、22日投票という予定の衆議院青森4区・愛媛3区の補欠選挙の結果がどうなるか。

これらの選挙区では自民党が2つとも議席をもっていたが、これらを守れるかどうか。さらに、外交面で目に見えた成果が出てくるかどうか…それらが安倍政権の帰趨を決めるだろう。

なお、この際解散すればいい、という意見もなくはないが、仮にいま総選挙すれば、自民党は220~240議席程度の「惨敗」になる公算が高いだろう。自民党が減った分は、その他の政党が奪い合うことになるだろう。解散が得策ではないことは、それこそ容易に予測できるのだ。

【私の論評】初心に戻れば安倍政権の支持率は必ず回復する(゚д゚)!

ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事には、支持率回復のための次の一手については、直接は触れていません。しかし、それについてはすでにある程度明らかになっています。

支持率が低迷を続ける中、安倍晋三政権は再び経済政策重視の政権運営へとシフトを始めています。安倍総理が、支持率回復の鍵とみているのは、国民が実感できる賃金アップでのようです。秋の臨時国会では非正規労働者の待遇改善につながる「同一労働同一賃金」の実現が焦点となります。



安倍首相は24日、支持率急落のきっかけとなった学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題などめぐる閉会中審査に臨み、景気が良くなったと実感してもらえるような経済の好循環によって結果を出し「国民の信頼を回復していきたい」と答弁。その上で、「国民を豊かにしていくことであり、仕事をつくり、賃金を上げていくことだ」と語りました。

賃金アップは家計収入を増やし、安倍首相の政権運営に懐疑心を深める国民からの信頼回復につながります。経済の回復を揺るぎないものにしていくことは、支持率回復に必要であることは論を待たないと考えられます。

24日付の毎日新聞の世論調査によると政権支持率は26%となり、第2次安倍政権発足後で初めて3割を切りました。来年9月に自民党総裁任期が終わることを踏まえて、「代わった方がよい」との回答は62%にのぼり、「総裁を続けた方がよい」の23%を上回りました。

支持率の低下は有権者がアベノミクスに納得しておらず、現状の財政政策や金融政策では不十分だという警告であると受け取るべきです。これは、このブログにも何度か掲載してきたように、8%の消費増税は大失敗であったし、失業率が3%台のまま推移し、本来の2%台半ばにはなかなか到達せず、さらには2%物価目標もなかなか達成できないという状況では、追加の量的緩和が必要なのは、統計数値などから明白であるにもかかわらず、日銀はそれを実行していません。

しかし、政治家、マスコミや識者などが、そのことには触れず、あろうことか増税すべきであるとか、構造改革が不十分とか、金融政策のリスクを強調するため、有権者の多くが、構造改革が不十分であるとか、アベノミクスの金融政策がリスキーであるなどと考えているようです。

それに輪をかけて、マクロ経済に疎い国際通貨基金(IMF)は6月に発表した日本経済に関する審査(対日4条協議)終了後の声明で、アベノミクス第3の矢の構造改革の第一優先課題として「労働市場改革による生産性向上と賃上げ」を挙げました。その上で、公定賃金をインフレ目標と整合的に引き上げると同時に、黒字企業に対し毎年最低3%賃金を引き上げるよう奨励することを求めました。

マクロ経済政策に疎いことで評判のIMF専務理事ラガルト氏
IMFは、黒字企業に対して賃金を引き上げるように、奨励することで本当に賃金が上昇すると考えているとすれば、愚かとしか言いようがありません。そのようなことをしても、賃金は上がりません。

本当に賃金をあげる方策は、失業率が3.0%台からなかなか下がらない現状では、本来日本の構造的失業率の2%台半ばまで、失業率を下げるように追加の量的金融緩和を実行することです。
ノーベル経済学賞を受賞したスティグリッツ博士は、IMFが1980年代以降市場原理主義者たちの牙城となり、誤った経済政策を追求することになった結果、1990年代以降、世界経済に破壊的な作用を及ぼしたと、強く批判しています。

そんな中でもIMFの罪が最も大きいのは、東アジア危機を発生するきっかけを作ったことと、それを大災害へと発展させたことだといいます。私自身は、IMFは例外もありますが、全体としてマクロ経済政策には疎いと思います。これについては、ここで述べていると長くなってしまいますので、また機会を改めて掲載します。

とはいいながら、より高い賃金の実現へ向け機は熟しています。企業は大量の現金を抱えており、法人企業統計によると2016年10ー12月期の企業収益は過去最大を記録しました。5月の失業率は3.1%とG7諸国の中では最も低く、有効求人倍率は1.49倍と43年ぶりの高水準となりました。

しかし、厚生労働省によると実質賃金の前年比は12年から15年にかけて低下傾向にあり、16年はわずか0.7%増にとどまっています。

政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)2017では、具体策として「同一労働同一賃金」と最低賃金の「1000円」への引き上げを掲げている。しかし、現状で、追加の量的緩和を実行しなければ、賃金だけあがって、雇用は減少するだけです。
骨太の方針の表紙
民主党政権時代には、最低賃金1000円という目標があったのは事実ですが、まともな金融政策をしていませんでした。その結果、傾向的に就業者数は30万人程度減少しましたた。それに比べて安倍晋三政権では金融政策はしっかりしているので、就業者数は100万人以上増加しています。それは下のグラフをご覧いただければ、良くご理解いただけるものと思います。


このような実績があるからこそ、雇用弱者ともいわれる、若者はブログ冒頭の記事にもあるように、安倍政権を支持するのは当然です。

それと、今年の骨太の方針からは、「増税」という文字が完璧に消えていることが、特徴的です。安倍総理は、支持率がどうのこうのと言う前に「増税」などあり得ないというのが、本音です。しかし、これには増税派の財務省はかなり神経を尖らせていて、また増税に向けて動き出しています。

厚労省の5月の毎月勤労統計調査によると現金給与総額は前年比0.6%増となりました。これは、不十分といいながらも、長期間量的金融緩和を続けてきた成果です。

ただ、日銀の物価目標2%の達成には不十分で、家計支出も低調です。16年8月に内閣府が実施した「国民生活に関する世論調査(16年度)」によると、49.6%が現在の収入に「不満」と答えています。このような状況では、一日もはやく追加の量的緩和を実施すべきなのは明らかです。

そうして、消費税増税後から、個人消費が伸びず、GDPの伸びがいまいちで、今のままだとデフレに舞い戻ったとしてもおかしくはないこともこのブログに掲載してきました。

消費税増税は大失敗だったことは今や統計数値などから明々白々であり、疑問の余地はありません。であれば、消費税は5%に戻すべきです。私などは、時限的に数年間、消費税をなくしても良いのではないかと思います。とにかく増税をして、大規模な経済対策をするというのは、全くの矛盾です。

増税すると経済に悪影響があるから、大規模な対策するというのなら、最初から増税しなのが一番です。もうこの手の愚かな、マクロ経済的な観点からすれば、悪手中の悪手は実行しないことです。

失業率が2%半ばまで下がり、それ以上下がらなくなるまで、そうして物価目標が2%になるまで、量的追加金融緩和を実施すること、消費税を5%に戻すこと、これを実行すれば、安倍政権の支持率はすぐに回復します。そうして、長期政権になるのは間違いないです。

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2014年5月1日木曜日

韓国大ピンチ!オバマの慰安婦発言を捏造したことを上念司が暴露!逆にアメリカが河野談話検証の後押しして・・・―【私の論評】日本のマスコミは、恥を捨て、ウソをつき、地べたを這いつくばってでも何をしてでも日本国弱体化のため日々努力してます(゚д゚)!

韓国大ピンチ!オバマの慰安婦発言を捏造したことを上念司が暴露!逆にアメリカが河野談話検証の後押しして・・・


この動画では、上念司さんが、訪韓したオバマが日本の慰安婦問題を責める発言をしたことに対し、完全­に捏造だったことを暴露しています。アメリカは「歴史認識をはっきりさせろ」と言って­おり、これは河野談話検証を認める発言でもあります。

韓国船沈没事故で崩壊寸前の韓国は世界に醜態を晒し、無理矢理オバマを訪韓させ、その­上でアメリカ大統領の発言を捏造したことがばれたら非常に危ないとわかっているんでしょうかね。

韓国の実態に世界が気づき始めており、捏造はもう通用しないでしょう。

【私の論評】日本のマスコミは、恥を捨て、ウソをつき、地べたを這いつくばってでも何をしてでも日本国弱体化のため日々努力してます(゚д゚)!



最近オバマは特に外交はやる気がないようなので、韓国に行ってもやる気がなく、馬鹿なリップサービスをして、お茶を濁しているのかとおもいきや、これは韓国による捏造であり、それを日本のマスコミが増幅していたということ、いまさらながら知りました。

私自身も、もう少しで日本のメディアに騙されるところでした。要注意です。確かにオバマ大統領は、公正な調査をしろと言っているだけで、慰安婦問題を責めているわけではありません。

結局、日本のマスコミの体質は変わっていないということです。日本のマスコミは、やはり鵜呑みにできないです。

それにしても、火種は韓国です。このようなどうしようもない韓国のプロパガンダに対抗する必要があります。その対抗の仕方をこれまた上念司さんが、動画で語っています。その動画を以下に掲載します。


経済評論家の上念司は、韓国がアングレーム国際漫画祭で行った慰安婦プロパガンダが大失敗したと分析しています。 
地元フランスの報道によると韓国がフランスのアングレーム国際漫画祭を政治的に利用して従軍慰安婦問題を広げようとしたことに批判が起きているとのこと。 
また、アングレームの国際アニメフェスティバルでは韓国だけの主張を展示が許されて、日本の反論が許されなかったことも問題視されているようです。 
最終的には主催者側も韓国政府を批判するコメントを出していますww 
上念司氏は、この問題が水掛け論になった事で事実上韓国が負けたと分析しています。 
中韓の反日プロパガンダへは逐一反論することが大事だと改めて認識させられました。
中韓のプロパガンダについては、水掛け論に持っていけば、言い出したほうが負けということになることから、私たちとしては、英語などの外国語の反論などSNSで大きく拡散すれば、水掛け論になる確率を高めることができます。

上念さんが言っているように、リック・フレアーのようにしつこく徹底的に拡散していくべぎです。以下に、リック・フレアーの画像と動画を掲載しておきます。

リック・フレアー




韓国の人口は、6000万人程度です。GDPは日本でいえば、東京都と同じ程度しかありません。人口も、GDPも少ない韓国のプロパガンダに日本がいつもでもやられているわけがありません。

皆さん、反論をSNSでどんどん拡散していきましょう。

それによって、私たち自身も中韓プロパガンダへの対抗勢力となり得るわけです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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