「ロングテール」「フリー」著者が提唱する“メイカーズ革命”で日本が再起動する?
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ワイヤード誌の編集長でもある、クリス・アンダーソン氏 |
2012年11月9日に東京・六本木で開催された「WIRED CONFERENCE 2012」。「新しい産業革命(メイカーズムーブメント)が世界のものづくりを変える」というテーマを掲げたカンファレンスだが、著書「フリー」で知られるUS版WIRED編集長のクリス・アンダーソン氏が登壇するとあって会場は満席。同氏とその新作『MAKERS―21世紀の産業革命が始まる』(以下、『メイカーズ』)への注目の高さがうかがえた。
そこではどんなことが語られたのか? 「新しい産業革命」の中身とは? カンファレンスの模様をレポートしたい。
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wirred |
【私の論評】本年最後の話題として「メイカーズ」は取り上げないわけにはいかない!!
本年の最後の記事として、何を選ぼうかと前から考えていましたが、結局今年一年書こう、書こうと思っていながら、結局このブログに掲載しなかった記事を掲載します。このように書くと皆さんは、また、日銀とか、デフレのことかと思われるかもしれませんがそうではありません。このことについては、自分でもあれだけ良く書きまくったと思います。とにかく、デフレ脱出は私の長年の念願であったので、この機会がまた失われることなく成就して欲しいとの思いで、特に選挙直前から、選挙後まで徹底的に書きまくりました。だから、これには、本当に満足しています。
しかし、これのほかに、どうしても、書いておきたかったのに書けなかったのが、上の記事のメイカーズ・ムーブメントです。これに関しては、クリス・アンダーソン氏が書かれた『メイカーズ』を読むのが一番です。この書籍、丁度アマゾンでkindle本が販売された時期とも重なっていたので、探してみると、たまたまあったので、ほんの軽い気持ちで、ダウンロードしました。ちなみに、私は、以前からアメリカのamazonから何冊も英語のkindle本をダウンロードしていましたが、日本語の書籍をダウンロードしたのは、この書籍が最初となりました。
最初の書籍が、このような良い書籍であったことに感銘を受けています。 この書籍過去10年くらいで最も大きな刺激と、影響と感銘をを受けた書籍となりました。
私自身も、先に書いたように、「メイカーズ」は、売れている書籍のうちの一冊くらいなのだろうという感覚で読んだのですが、その期待は見事に裏切られてしまいました。
皆さんも、この書籍読んでおいたほうが、絶対に良いと思います。
さて、ここまで書いたので、詳細は、書籍を読んでいただくものとして、本日は、この書籍を何回か読んでみた後に私自身がワープロでまとめた内容を以下にコピベさせていただきます。
メイカーズムーブメントとは何か?単純に言うならそれは、誰もがモノ作りをすることがかなり簡単にできる時代が到来しつつあるということだ。そうして、実
際にそのようなことを実施している先駆的な人々が世界各地に登場しているということだ。ソーシャルウェブ(ブログやSNS)の普及によって、テキストや写
真、イラスト、音楽、動画といったコンテンツを手軽に発信・共有できるようになっている昨今だが、その波がついに『製品作り』(マテリアル)にまで及び始
めている。
近ごろではレーザーカッターや3Dプリンターといった工作機器が高性能化し、専門的な訓練を受けたことがない人でもそれらを扱
いやすくなっている。価格もこの数年で驚異的といえるほどに下がった。これは、レーザープリンターの登場で誰でも「印刷(出版)」ができるようになった
1980年代と似た状況にある。おそらく、2010年代には製造業の領域でもこれに似たような劇的な変化が起きることだろう。
これこそが
「第3の産業革命」である。私自身も、3Dプリンターの所有者に、実際に試作品を作成するのをみせてもらった。この人に、実際に私が作成したスケッチ・
アップというグーグルが提供している3DCAD(スリーディー設計)無料ソフトで、キッチンの3D(立体)モデルを作成し、そのデータをわたしたところ、
彼は、それを実際に3Dプリンターで印刷し、高さ、10センチ、40センチ四方ほどのものを実際に作成してみせてくれた。このデータを作成するのは、さほ
ど難しいことではない。いくつか、サイトで提供されているパーツを選び、自分の好みを組みあわせて、あとは自分のオリジナリティーを多少加えるという方式
で、ワープロ感覚で誰にでも作成できる。
これを実際に3Dプリンターで印刷すると、驚くほど精巧なものができあがった。本当に小さなキッ
チンの立体モデルができあがった。この工程は、少しイメージしにくいかもしれないが、普通のプリンターよりも大きく立方体の形をしている透明の筐体の中
で、キッチンのプラスチックの模型をかなり薄く数ミクロンにスライスしたものを積み上げていくような形で、印刷されていく。ただし、薄くスライスしたもの
とはいえ、やわらかい液状プラスチックが積み上げられていくそうして、空気に触れると、やわらかいプラスチックがやがて堅い普通のプラスチックに変わって
いく。
上の図は、スケッチアップで実際に、私が、作成したものである。話を分かりやすくするため、これをもとにして話をすすめる。このデータを実際にパソコンから3Dプリンタで印刷すると、このとおりの形ができあがる。既存の厨房機器は、既存のメーカーなどから調達するものとして、そうでないものは、世界中から作成できるメーカーを探し出し、作成できる業者が見つかれば、このデータを発信して、材質、色、形、個数、納期など指定すると、それが作成され、しかるべきところに届けられる。
また、特に、オーブンを特別なものにしたければ、これを特別に作成することもできる。これらの試作品を作成し、発表すると、そのアイディアが優れていれば、多くの人の関心を惹くことができる。たとえば、オーブンにコンピュータを内臓させて、様々な環境下で、様々な素材を用いて最高の料理ができるようにすることも可能である。これはクラウドを用いて、実際に料理をした人からデータを回収し、その調理方法を頭脳付オーブンで再現することができるようになる。頭脳を特定の機器に組むために、メイカーズは、アルドゥウイノーという基盤を用いて、行うことが多い。これらは、宇宙ロケット制御から、電動自動車の制御、おもちゃの制御などありとあらゆるものに用いられている。そうして、クラウドを用いているので、更新がかなり楽で、全世界のコラボレーターにより、実際日々更新され続けている。
こうしたものも含めて、実際に組み立ててみて、使ってみて、改善点などをメイカーズが集うサイトに掲載すると、これが斬新なものであったり使いやすいものでありコミュニティーの関心を惹くものであれば、全世界のありとあらゆるアドバイスが受けられるどころか、多くの人々にSNSやその他のツールで広めてもらうことができる。
そうして、広まれば、クラウド・ファンドのサイトで欲しい人を募ることができる。欲しい人がある一定数を超えれば、このファンドが成り立ち、製造がはじまり、入金され次第製造に入る。そうして、さらに注文が入るようになり、様々なニーズが生まれ、その作成をサイトで報告し、さらにファンドを募って、かなりの数がはけることになれば、起業して、キッチン製造メーカーをたちあげるという具合だ。
この製造方式は、個々人で考えているだけではなく、クラウドを活用し、コミュニティ内でアイデアを共有することにより、サポーターとのコラボレーション(協働)が始まり、効率的な生産あるいはイノベーションが可能になる。まさにこれからは、個人が「想像したものは作れる」のである。「規模の経済」(大量生産)は難しいかもしれないが、自分の欲しいものは手に入る、作れる、あるいは売ることができる社会が近づいている。
自分のアイディアをCADなどのデジタルツールでコンピュータ画面上にデザインし、3Dプリンタをはじめとするデスクトップ(机上)工作機械で試作品を作り、ネットのコミュニティで仲間を募って意見交換し、さらに良いものにし、気に入ってくれた人からネットで小口資金を募る。
上の写真は、3Dプリンターで、エッフェル塔の模型をつくったところ。
この情報をデータとして工場に送れば、数十メートルのものもできるし、素材は、
金属にもできる、組み立て式にすれば、実物大だってつくれる。
これは、クラウド・フアンディングという金融の新手法であり、従来の金融機関が事業や企業に対して出資したのに対して、これは、特定の製品をつくるプロジェクトに対して個人の出資者が出資するものである。出資の対価の多くは、出来上がった商品を受け取ることが主になる。大目に出資すると、優先的に商品をはやめに受け取るなどの特典がつく。募っても、出資者が少なければ、プロジェクトは、スタートしない。予定以上の出資者が集まってからスタートするため、失敗も少ない。そうして、この世界はパテントなど存在しない。すべてオープンである。だからこそ、あっという間にイノベーションがおこる。
プロジェクトがスタートすれば、CtoB(顧客から企業へ)の形でクラウドサービス化している受発注ネットワークシステムを使って最も適した製作会社を世界中から見つけて製造を委託し、製造データを発信し、それが製作会社の工作機械に移され、すぐに生産が開始される。複雑なものであれば、いくつもの製作会社に注文して、部品を作り出し、これを組立工場に集荷して、最終的に組み立てるということも可能になってきている。
ただし、こうした中からヒット商品を生み出す個人、法人が定番としてそれらを売り出そうとした場合、個人だけの力量では不可能なので、会社をつくって販売することになる。こうして、それまで、経営者になることを考えたこともない若者や、女性、高齢者が、成長企業の経営者になる例が増えている。
特に、成長企業になるためには、価格設定が重要である。成長企業になるためには、クラウド・ファンドによっても、たとえば、2万円の経費がかかる製品を2万五千円で販売していたのでは、一人で製造して、販売していたときの、埋没原価を見逃していることになる。埋没原価とは、たとえば、在庫管理とか、配送のための保険とか、部品が届かなかったか、不良品だった場合の対処、事務費用のもろもろである。これを成功させるためには、4万五千円程度の価格設定をする必要がある。そうすることにより、末永く製品を販売し続けることができる。こうした、価格設定をした個人や、企業が、最初からグローバル市場で成功することになる。2万5千円で設定した場合、他のサイトの運営者が気にいって、大量販売の目処がたっても、これ以上の値段では売れなくなり、売れば売るほど赤字となり、事業として成り立たなくなり単なりボランティアで終わる。
このような、一昔前であれば、SFのような、新しい製造業がすでに成立しており、台頭しつつある。現在、民間宇宙旅行のプロジェクトがいくつか進行しているが、これらは、以上のような仕組みで宇宙船を作っている。だからこそ、民間で可能になったのであり、従来の巨大製造業の巨大プロジェクト的発想ではできなかったことである。
これだと、規模の最大化は必須条件ではなくなる。アイディアを形にするために大きな工場を作ったり、多額の資金を集めたり大勢の人を雇う必要もなくなる。一連の活動の中でマーケティングすらできる。しかも、まだまだ成熟する余地があるとはいえ、既にどのプロセスも実際に登場しており、少なくない成功例も出てきている。まさに、新たな産業革命の幕開けである。こうしたことを活用した、新たな新興製造業が続々と誕生している。
既に企業化の事例として以下のような事例がある。
・小ロットの電子部品をネットを使って受注製造しているスパークファン。
・ソニーの新製品よりも優れた腕時計(iPhoneと同期する)を開発したほんの数人の企業ペブル。
・コミュニティが発明した新製品を週に2つ生産しているクァーキー。
・手作り品を販売するコミュニティエッツィー。
・レゴのブロックになかった現代兵器を作る会社。(レゴブロック用の小さな兵器)
・ツイッターの会社を立ち上げ、iphoneの端子に接続するクレジットカードリーダーを開発したドーシー。
・サイトにCADファイルをアップロードすると、製造業者が見積りを入れる仕組みのMGMドットコム。
・オープンソースを使って自動車を生産するローカルモーターズ(従来と違って、数百台から数千台までなら製造して利益を生むこともできる)。
上は、ぺブルの時計の販売サイトに掲載されていた写真
残念ながら未だ食品に対する試みは、少ないが、たとえば、顧客個々人の希望に応じてケーキの素材を組み立て、個々人の名前やメッセージをクリームで書き込むロボット、ありとあらゆる形のチョコレートを顧客の要望に応じて作成し、チョコレート表面に、メッセージを刻印するロボットなどが登場している。食品に関しては、まだ事例は少ないが、今後期待される分野である。
デジタルなもの作りによって、全員が同じ土俵で競争できるようになる。どの国でも、もの作りが可能になる。重要なのは、自分たちがライバルに勝るものはなにかということだ。それこそ、後に述べる顧客価値の創造・提供が最重要な考え方であり、資源となる。メイカーズも、自分で気に入ったものを手にいれるだけではなく、多くの人に使ってもらい喜んでもらうためには、そういう視点が重要になる。
少ない品種を大量生産することが良いとされた時代には障害ですらあった多様性や個性や特殊なアイディアは、貴重な資産になる。モノを作るための情報は全てデジタル化されるから、共有も変更も改良も簡単になる。オンラインを使えば、グローバル化の敷居も低い。クラゲ(インテリアとして人気がある)用の専用水槽やミリタリーマニア向けの武器のレゴブロック、デザインや使い勝手が格段に良い、台所用品、家庭用品といったニッチな商品の製造が立派に収益の上がるビジネスとして成立する。
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ダイソンの羽のない扇風機 |
実際、ダイソンや、バルミューダはメイカーズ的手法で、既存の扇風機と異なる、羽のない扇風機、二枚羽の扇風機で、高価格帯扇風機市場を開拓した。日本のメイカーズでもあるバルミューダは、現在小型で驚異的な空気清浄能力を持つ清浄機を開発し市場に投入している。本年オバマ政権がクラウドファンディングというネットを使った小口の資金集めを新規事業活性化法案のひとつとして法律にしたことも、このような新たな潮流を後押しするためである。
クラウドファンディングとは、資金提供者に対するリターン(見返り)の形態によって3種類に大別される。リターンのない「寄付型」、プロジェクト成功時に金銭が支払われる「投資型」の他に、プロジェクトが提供する何らかの権利や物品を購入することで支援を行う「購入型」がある。国内では資金決済に関する法律等によって個人間の送金や投資が制限されていることから、購入型のクラウドファンディングが普及している。これは昨年の震災で、政府による復興が遅れたため、これを活用した復興プロジェクトがたちあげられ、日本でも周知されるようになった。たとえば、震災で被災した牡蠣養殖業者や、酒造メーカーが、これを活用し、復興資金として活用し、復興後に、牡蠣や酒を出資者に届けるというようなことが行われた。
モノつくりの伝統が息づく日本。しかし一方で、今は新興国の台頭に苦戦しているという厳しい現実もある。しかし、この国が持っている強みと伝統を生かして、新しい発想で製造業の未来を拓くことも可能になりつつある。日本各地に、様々な技術・技能があり、既存の製造業も発達した日本では、この潮流を活かすことができれば、次世代の製造業のトップランナーになることも夢ではない。
さて、皆さんいかがでしょうか、本当に夢のある話ですね。そうして、何やらこの新たなムーブメントに何らかの形で乗ってみたいものですね。やり方はいろいろいあると思います。そうして、自分で思ったのですが、結局自分自身は、ITの波には、パソコンを使うということは乗っているとは思いまずか、商売や事業レベルで、全く乗る機会を逸していました。
でも、考えてみれば、それも仕方ないといえば、仕方ないのかもしれません。なにせ、ITの大方の動きなど、1980年台で決まっていたし、私自身大学などでITを本格的に学んだ経験ないわけですから・・・・・。
しかし、メイカーズ・ムーブメントに関しては、始まったばかりですし、それに2010年台に製造業で大きな変化がおこると、アンダーソン氏も語っています。これは、この潮流は逃せないです。何も自分自身がメイカーズの仲間入りするとか、自分の会社がメイカーズになるとかなど考えなくても、その周辺を狙うとか、いろいろなことが考えられると思います。とにかく、何か大きな変化がおこるとにきは、それを活用すれば、商売・事業になるのはわかりきっていることだと思います。
それに、あのアメリカの有名なゴールド・ラッシュで儲けた人というのは、実は金鉱堀の人びとではなく、その周辺で商売をしていた人たちだという話を聴いたことがあります。あのリーバイスも、そのような企業の一つでもあったという話を聴いたことがあります。
本年は、アベノミクスを標榜する安倍総理、安倍政権の誕生ということもあり、多くの人びとが、デフレからの脱却に大きな希望を見出すことができたと思います。今年の参議院議員選挙でも、安倍自民党が勝利すれば、その道はさらに確かなものとなることでしょう。
そうして、日本でも確実にメイカーズ・ムーブメントが起こると思います。 というより、ものづくりの伝統がある日本は、もしかすると他の先進国のお手本になるような、トップランナーになるかもしれません。それに、このようなムーブメントが起こりつつあるときに、民主党政権が崩壊し、新たに安倍政権が生まれたこことも幸いするのではないかと思います。
これが、民主党政権が続いていたら、民主党は、日本弱体化を推進する組織ですから、このような動き、ことごとく封じていたかもしれません。というより、馬鹿なので、何を意味するのかも理解できなかったかもしれません。安倍政権であれば、メイカーズの成長を促進するため、日本でのクラウドファンでングの法的整備もできると思います。
来年は、デフレからの脱却からの目処もたち、日本における、メイカーズ元年になると思います。本当にそうなれば良いと思っています。
読者の皆様方、本年もこの私の拙いブログにつきあっていただきまして、まことに有難うございます。来年も、ブログ更新し続けます。来年も、よろしくおねがいします。良い年をお迎え下さい!!
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