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2024年5月30日木曜日

<米国・サウジの安全保障条約の機運高まる?>その背景と、実現阻み続ける多くの壁―【私の論評】安保条約締結による中東情勢の変化と日本へのプラス効果

<米国・サウジの安全保障条約の機運高まる?>その背景と、実現阻み続ける多くの壁

岡崎研究所

まとめ
  • 米国とサウジアラビアは安全保障条約の締結に向けて協議を進めている。当初は、サウジ・イスラエル間の国交正常化とパッケージにする構想があったが、ガザの衝突後、サウジの要求がイスラエルに受け入れられる状況ではなくなった。
  • サウジとの単独の安全保障条約では上院の支持を得られないと判断し、イスラエルとの関係正常化をパッケージにすることで上院の支持を得られると米国は考えていた。
  • しかし、米国・サウジ関係をさらに複雑化させるリスクがあるため、安全保障条約にイスラエル関係を絡めるべきではないとみられる。
  • 中東からの米軍撤退の中で、イランの脅威に対してGCC諸国の不安が高まり、サウジは米国との公式の安全保障条約を求めている。
  • 原油価格の高騰、中国への対抗、イランの核開発疑念などから、米国はサウジとの安全保障条約締結に前向きな雰囲気がある。

サウジアラビアを訪問したバイデン米大統領(左)。ムハマンド・ビン・サルマン皇太子(右)

 米国とサウジアラビアは、両国間の安全保障条約締結に向けて協議を進めている。当初は、この条約にサウジとイスラエルの国交正常化をパッケージングする構想があった。なぜなら、米国側はサウジとの単独の安全保障条約では上院の3分の2の支持を得られないと判断していたからだ。しかし、イスラエル・パレスチナ間のガザ地区での衝突後、サウジ側がイスラエルに求める要求事項がイスラエル側に受け入れられるものではなくなってしまった。

 この状況を受け、Foreign Policy誌のコラムニストは、米国がサウジとの安全保障条約締結の条件としてイスラエルとの関係正常化を要求すれば、既に複雑な米サウジ関係をさらに難しくしてしまう恐れがあると警告している。例えば、サウジがイランとの関係で微妙な対応をすればイスラエルを怒らせかねず、問題が生じる可能性がある。コラムニストは、条約締結にイスラエル問題を絡めるべきではないと主張する。

 一方で、中東からの米軍撤退が進む中、イランの脅威に曝されているGCC諸国(Gulf Cooperation Council”の略で、日本語では「湾岸協力会議」と呼ばれ、1981年5月に設立された、中東・アラビア湾岸地域における地域協力機構をいう。現在、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、クウェート、カタール、バーレーン、オマーンの6カ国が参加している)の不安が高まっている。

 特にサウジは、米国との公式な安全保障条約締結を強く求めている。サウジ側の懸念として、2019年にフーシー派から攻撃を受けた際、トランプ前政権が適切に対応してくれなかったことが挙げられる。また、原油価格の高騰、中国の台頭への対抗、イランの核開発の疑念なども、米国がサウジとの安全保障条約締結に前のめりになっている要因だろう。バイデン政権は当初、イラン核合意の復活を目指していたが、イラン側にその意思がないと判断し、イランを封じ込める方針に転換したようだ。

 さらに米国とサウジは、原子力協力の分野でも協定締結に向け協議を進めているが、サウジの要求がサウジによる核武装につながる可能性があり、警戒が必要とされている。全体として、地政学的な駆け引きの中で、米サウジ両国の安全保障上の利害が一致し、条約締結に向けた機運が高まっていると言えるだろう。

 この記事は、元記事の要約です。詳細は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】安保条約締結による中東情勢の変化と日本へのプラス効果

まとめ
  • 米国とサウジアラビアの安全保障条約は、イランの影響力抑制や核開発阻止に重要な役割を果たす。
  • サウジはOPECの中心国であり、エネルギー安全保障のために米国と緊密な関係を維持する必要がある。
  • サウジとの同盟強化は、中国やロシアの中東での影響力低下につながる。
  • 同盟により、米国は中東でのプレゼンスを強化し、地域の勢力均衡を保つことができる。
  • 日本にとって、エネルギー供給の安定化や中東での発言力強化というメリットがあり、米サウジ安保条約はプラスの影響をもたらす。


サウジ・イスラエル国交正常化をパッケージに含まなくても、米国とサウジアラビアが安全保障条約を締結することには大きな意義があります。

なぜなら、イランの影響力を抑制し核開発を阻止する上で、サウジアラビアは地理的にも政治的にも重要な役割を担っているためです。サウジとの同盟関係を公式化し、中東地域の勢力均衡を維持することが不可欠だからです。

さらに、サウジはOPECの中核国であり、米国のエネルギー安全保障を確保する上で緊密な関係を持つ必要があります。加えて、中国の中東における影響力拡大に対抗するため、米国がサウジとの同盟を強化することは戦略的に重要です。

また、同盟国サウジに軍事施設を置くことで、米国は中東地域でのプレゼンスを維持できます。このように、イスラエル関係を含まなくても、サウジとの安全保障条約締結により、米国は中東政策を礎づけ、様々な戦略的利益を得ることができるのです。

米国とサウジアラビアが安全保障条約を締結すれば、中東地域の地政学的バランスに大きな影響を及ぼすことになります。

まずサウジはイランの長年のライバル国であり、米国がサウジと公式に安全保障同盟を結べば、イランはより一層孤立無援の状況に追い込まれ、米国の対イラン圧力が強まる可能性があります。

一方でサウジはパレスチナ問題をめぐりイスラエルとの確執があるため、サウジが事実上米イスラエル陣営に加わることで、イスラエルとの緊張がさらに高まるリスクがあります。

また、サウジはGCC(湾岸協力会議)の中核国であり、米国とサウジが安保同盟を結べば、GCC諸国の求心力が高まり、米国の影響力が中東で増大する可能性があります。

GCC諸国位置関係

さらに、サウジはロシアや中国とも一定の関係を持っていますが、米国との安保条約締結でその関係が希薄化すれば、中東におけるロシア・中国の発言力が相対的に低下するでしょう。そして何より、米サウジvs.イランという構図が鮮明になれば、中東情勢がさらに二極化し、緊張が高まる恐れがあり、中東和平にも影響が出るかもしれません。

このように米サウジ安保条約は、中東の勢力バランスに大きな変化をもたらし、新たな緊張関係を生む可能性があります。

米国とサウジアラビアが安全保障条約を締結すれば、中東地域の地政学的な緊張関係の構図に大きな変化がもたらされるでしょう。現状でもイランをめぐる緊張は高まっていますが、サウジがより公式に米国の同盟国となれば、米国対イラン、サウジ対イランという緊張の軸が一層鮮明になります。

一方で、イスラエルとの関係においては、従来サウジはパレスチナ問題で確執があり緊張関係にありましたが、米国の同盟国となれば、サウジはイスラエルとの緊張を避ける必要に迫られるかもしれません。

なぜなら、安保条約によりサウジ側にとってイスラエルとの関係正常化は中東の新たな安定した秩序構築に貢献できる現実的な選択肢となるからです。また、サウジとイスラエルの共通の懸念事項であるイランの影響力拡大に対して、安保条約を拠り所にイスラエルとの関係改善を通じてイランへの圧力を強めることができます。

さらに、米国がサウジの同盟国となれば、国交正常化に向けた仲介の地位が確かなものになり、サウジの安全保障上の懸念も払拭しやすくなるでしょう。加えて、親米路線が確実になれば、サウジ国内の反イスラエル空気が和らぎ、正常化への機運が高まる可能性があります。ただし、パレスチナ問題の溝は根深いため、国交正常化に直ちにつながるかは不透明ですが、安保条約はそうした動きを後押しする好材料になり得るでしょう。

このように緊張の構造や質それ自体が変化する中で、サウジがGCC諸国の求心力を高め、結果として米国の中東における影響力が増大する可能性があります。また、サウジがロシアや中国との関係を切り離されれば、中東における両国の発言力は相対的に低下するでしょう。

条約締結によって、緊張状況の程度自体は必ずしも現状を上回るわけではありませんが、その緊張の構造や質が米国や同盟国にとって有利な形に変化する可能性があると言えるでしょう。緊張を完全に解消することはできなくとも、望ましい方向へとコントロールできる素地は生まれる可能性は高いです。

護衛艦「あけぼの」とEU会場部隊との共同訓練 アデン湾

そうして、米サウジ安保条約の締結は日本にとって望ましいプラスの出来事であるといえます。

その理由は、第一に中東情勢が安定化し、エネルギー安全保障における最重要国サウジからの原油供給が持続できることです。日本にとってエネルギー安全保障は最重要課題の一つであり、この点では大きなメリットがあります。

第二に、日本は伝統的にアラブ諸国との関係を重視してきましたが、同時にイランにも一定の影響力を持っています。サウジとの関係強化によってイランへの牽制力が高まれば、中東における日本の発言力が保たれることになります。

一方で、パレスチナ問題への配慮や、治安面でのリスク増大など一部デメリットもありますが、日本はこれまでもそうした懸念材料を抱えながらも中東進出を続けてきました。サウジとの安保条約があれば、そうしたリスクへの対処が一層容易になると考えられます。

したがって、日本の立場から総合的に判断すれば、米サウジ安保条約締結はエネルギー安全保障と中東におけるプレゼンスの維持・強化につながり、プラスの効果が上回ると評価できます。

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米国とサウジ、歴史的な協定へ合意に近づく-中東情勢を一変も―【私の論評】トランプの地ならしで進んだ中東和平プロセスの新展開 2024年5月2日

2024年5月2日木曜日

米国とサウジ、歴史的な協定へ合意に近づく-中東情勢を一変も―【私の論評】トランプの地ならしで進んだ中東和平プロセスの新展開

米国とサウジ、歴史的な協定へ合意に近づく-中東情勢を一変も

まとめ
  • 計画にはイスラエルをハマスとの戦争終結へと促す内容も
  • 合意に達すれば、サウジによる米国の最新兵器入手に道開く可能性

サウジのサルマン国王とバイデン米大統領(2022年7月)

 米国とサウジアラビアは、サウジに対する安全保障提供と引き換えに、サウジがイスラエルとの外交関係を樹立することを内容とする歴史的な協定で、合意に近づいているという。

 この協定が実現すれば、中東情勢に大きな影響を与えることが予想される。具体的には、イスラエルとサウジの安全保障が強化され、米国の中東における影響力が高まる一方で、イランや中国の影響力が低下する可能性がある。

 サウジ側は、この協定を通じて、これまでアクセスできなかった米国の最新兵器の購入が可能になると見られている。その一方で、ムハンマド皇太子は、米国の大規模投資を受け入れる代わりに、国内ネットワークから中国技術を排除し、民生用核プログラムでも米国の支援を仰がなければならない。

 米国は、この協定をイスラエルのネタニヤフ首相に提案する見込みだ。ネタニヤフ首相には、サウジとの正式な外交関係樹立と、この協定への参加か取り残されるかを選択を迫られることになる。ただし、ネタニヤフ首相が協定に参加する重大な条件は、ガザの紛争終結とパレスチナ国家樹立に向けた道筋への合意となるだろう。

 この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になって下さい。

【私の論評】トランプの地ならしで進んだ中東和平プロセスの新展開

まとめ
  • ハマスは、イスラエルとの平和を拒否し、サウジアラビアはファタハを支持する傾向があるため、米国とサウジアラビア間の平和協定に反対している。
  • トランプ政権下での中東政策が平和プロセスの基礎となっている。
  • 米国とサウジアラビアの協定が中東の安定に寄与する可能性がある。
  • この協定により、イランの影響力が減少することが期待される。
  • 中東の将来が明るくなる可能性がある。

ハマス戦闘員

私は、米・サウジアラビアの合意が近づきつつあることを察知したハマス側が、これを妨害しようとして紛争を起こしたのではないかと考えています。その根拠としては、以下のようなことが考えられます。
  • ハマスはイスラム主義過激組織であり、イスラエルの存在自体を認めていません。したがって、イスラエルとの和平合意を受け入れることは組織理念に反します。
  • ハマスはガザ地区を実効支配しており、和平合意が実現すればパレスチナ自治政府の権威が高まり、ハマスの勢力が相対的に失われるおそれがあります。
  • サウジはスンニ派の立場からハマスよりもファタハ(1957年にアラファトが中心となって組織したパレスチナ・ゲリラの武装組織)を支持する傾向にあり、ハマスとの対立構図があります。ハマスはサウジ主導の和平案には強く反発します。
  • サウジがイスラエルと国交を持つことは、イスラム教徒の聖地であるエルサレムの扱いにも影響を及ぼし、ハマスはこれを受け入れがたいと考えています。
  • イランは長年ハマスを支援してきましたが、最近はその軍事支援を控えめにしている模様です。それでもハマスはイランの勢力圏にあり、米主導の和平案には反対の立場です。

このように、ハマスには米・サウジ主導の和平合意に強く反発する理由が複数あり、そうした中で合意が現実味を帯びてきたため、紛争を起こすことでハマス側との交渉の可能性を排除させないようにしたものと考えられます。

このように、交渉の突然の再開や加速、サウジの対米協調路線への転換など、複数の事実が、ハマスの思惑とは反対に、むしろ和平交渉を前進させる契機となったようです。

現在の米国とサウジアラビアによる中東和平の動きは、トランプ前政権の取り組みが大きな礎となっていると考えられます。

具体的には以下の点が、トランプ政権の功績として挙げられるでしょう。

1. エルサレムをイスラエルの首都として認定:この決断は地域の現実を直視したもので、イスラエルとの強力な連携を世界に示しました。

2. イラン核合意への挑戦:オバマ政権による不適切な合意を見直し、イランへの厳格な制裁を実施しました。これにより、イランのテロ資金供給と地域の不安定化の能力が弱まりました。

3. ISISの壊滅:米国とそのパートナーの強力なリーダーシップにより、イラクとシリアでISISを大きく後退させ、いわゆるカリフ国家を崩壊させました。

4. アブラハム協定:イスラエルとアラブ首長国連邦・バーレーン間での国交正常化を仲介し、地域の平和と安定を促進する歴史的な一歩となりました。

5. エネルギー支配の実現:米国のエネルギー潜在力を最大限に活用し、エネルギー自立と純エネルギー輸出国となることで外交の地位を強化しました。

6. パレスチナ自治政府へのアプローチ:その腐敗と誠実な交渉の拒否を指摘し、資金提供の削減と外交使節団の閉鎖によって新たなスタンスを示しました。

7. サウジアラビアとの関係強化:地域の安定に対して極めて重要な役割を担うサウジアラビアとの関係を深め、イランの影響力に対抗しました。

これらは、トランプ政権の外交政策で達成された数多くの成功例の一部に過ぎません。米国が世界で大きなリーダーシップを発揮した事例です。

こうした施策が、現在の米サウジによる和平プロセスの地ならしとなり、中東有事における同盟国の肩入れを可能にしている側面は否定できません。

トランプ政権下でのアメリカとサウジアラビアの関係強化は、トランプ大統領の卓越した外交戦略と「アメリカ第一主義」への強固なコミットメントの賜物です。トランプ大統領はサウジアラビアとの戦略的同盟の重要性を理解し、交渉術を駆使して両国間の関係を強化し、繁栄への基盤を築きました。

この同盟の重点は、サウジアラビアへの武器売却や危険なイラン核合意への反対など、地域の安定と相互の利益追求にありました。数々の批判にも関わらず、現在の米国とサウジアラビアの進展はトランプ大統領の政策による直接的な成果であり、彼のビジョンとリーダーシップに感謝すべきです。


もし米国とサウジアラビアが主導する中東和平プロセスが実現すれば、中東地域に大きな変化が訪れると考えられます。

米国とエジプトの合意が中東地域の情勢を大きく変えるかもしれません。この合意は、米国のリーダーシップを示すもので、特にサウジアラビアとイスラエルの和解への影響が大きいでしょう。

これらの国が関係を正常化することで、地域の安定をもたらし、イランの脅威に立ち向かう強力な同盟を築くことができます。サウジアラビアがイスラエルを承認することは、長い間中東を苦しめてきた反ユダヤ主義に対する明確な拒絶であり、平和と希望の新たな扉を開く勇気ある一歩です。

米国からの全面的な支援と安全保障により、この新しい始まりを支えるべきです。これには、最新鋭の兵器システムの提供も含まれ、潜在的な脅威からサウジアラビアを守ります。

イランにとって、この合意はその地域での影響力を大きく弱めることになるでしょう。イランが長年にわたって近隣国に干渉し、不安定を招いてきたことに対し、サウジアラビアとイスラエルの強固な同盟が有効な歯止めとなります。

また、サウジアラビアが中国との距離を置くことで、自由な世界の側に立ち、中国共産党の抑圧的な手法に対してはっきりと反対の意志を示すことにもなります。

ネタニアフ イスラエル首相

イスラエルのネタニヤフ首相にとって、サウジアラビアとの国交正常化は歴史的なチャンスであり、より安定し繁栄する中東でイスラエルの地位を固める大きな一歩となります。パレスチナ問題に対しても、この合意はガザ紛争の終結と安全なパレスチナ国家の樹立を目指すもので、2国家解決を通じて永続的な平和への道を描きます。

この合意が実現すれば、中東は大きく変わり、より強固な団結と調和をもたらすことでしょう。イランと中国の影響力が弱まり、地域全体に明るい未来が開けることになります。これは大きな一歩であり、長い目で見れば平和と安定への大きな貢献となるでしょう。

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2019年9月17日火曜日

【社説】サウジ石油施設攻撃はイランの答え―【私の論評】原油輸入依存する日本、石油危機も!本当は、増税している場合ではない(゚д゚)!

イランを警戒していたボルトン氏は正しかった
ウォール・ストリート・ジャーナル

赤の囲みは、今回ドローン攻撃を受けた箇所

 ドナルド・トランプ米大統領が2015年のイラン核合意からの離脱を表明して以来、イランは中東各地で軍事的緊張を高め、米国の決意を試してきた。サウジアラビア石油施設への攻撃にイランが関与した疑いがあることは、この不安定化の動きが新たな段階に入ったことを意味する。トランプ氏がイラン政策の軟化を検討しているときに攻撃が起きたことは偶然ではない。

 14日の攻撃を受けて、サウジの原油生産量は日量約570万バレル減少した。イランの支援を受けるイエメンの反政府武装勢力「フーシ派」が犯行声明を出したが、マイク・ポンペオ米国務長官はツイッター上でイランの関与を主張し、「攻撃がイエメンから行われた証拠」はなかったと述べた。イランは攻撃への関与を否定しているが、直接的な衝突を避けるために代理組織を使うのがイランの常とう手段であり、他に思い当たる犯人もいない。

 今回の攻撃は2つの地域大国間の局地的紛争以上の意味を持つ。攻撃によって世界の1日当たりの原油生産量は約5%減少した。サウジは減少分を相殺するための備蓄放出を約束しているが、生産を早急に回復させることができなければ、原油価格が上昇し、既に不安定な世界経済が痛手を受ける恐れがある。

 米国のシェールオイル生産が不足分の一部を補うことは可能だが、それも時間がかかる。原油供給へのダメージが長期化すれば、米国は、トランプ氏が検討していたイラン産原油輸出制裁の緩和をさらに強く求められるだろう。

 今回の攻撃は、米国の重要な同盟国であるサウジとイランの激しい代理戦争の一環だ。被害の大きさを考えると、サウジが今後、ドローン攻撃から十分に自国を防衛できるかは疑問だ。サウジの情報体制と防空システムはその任に堪えられそうもない。原油生産の減少はサウジの歳入に響く。先行きが不透明になれば、国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)に悪影響が及ぶだろう。

 攻撃を行ったのがフーシ派ではなかったとしても、イランはイエメンでアラブ有志連合と戦うフーシ派を支援している。フーシ派はサウジ国内や紅海を航行する石油タンカーへの攻撃を激化させている。もしサウジがイエメンをフーシに奪われれば、イランはアラビア半島をめぐる代理戦争にも勝利したことになる。サウジは理想的な同盟国とは言い難いが、サウジへの支援打ち切りを求める米上院議員は、イランに中東地域の覇権を握らせないための代替案を考えるべきだ。

 ホワイトハウスによると、トランプ氏はサウジのムハンマド皇太子と電話会談し、米国による支持を約束した。しかしホワイトハウスは言葉だけで終わらせるべきではない。

ムハンマド皇太子

 イランはサウジに対してだけではなく、トランプ氏にも探りを入れている。「最大限の圧力」をかけるというトランプ氏の決意を試し、弱みをかぎつけている。イランが夏に米国の無人機を撃墜したが、トランプ氏は軍事的報復の提案を拒否した。イランの対外工作を担うコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官はこれまで、こうした抑制的な動きがあると、イラン側に分があり事態をエスカレートさせても問題ないと解釈してきた。

 トランプ氏はイランのハッサン・ロウハニ大統領との直接会談についても前向きで、ポンペオ氏は国連総会の場での首脳会談を提案した。トランプ氏はエマニュエル・マクロン仏大統領が提案したイランへの150億ドル(約1兆6200億円)の支援への支持も検討している。週末の攻撃はそうした米国の動きに対するイランの答えだ。

 米国による制裁でイランの原油輸出はダメージを受けたが、イランはまだ他の石油製品から1カ月当たり数億ドルの収入を得ている。米国のリンゼー・グラム上院議員はイランの原油生産に対する直接攻撃を検討すべきだと主張しており、イランはその選択肢がないわけではないことを知っておくべきだ。

 サウジ主導の有志連合も、フーシ派に対するイランの武器供給を遮断するには多くの支援が必要だ。米国がイエメンへの関与を深めることに慎重になるのも理解できるが、イランが勝利し、イエメンでヒズボラのような体制が台頭すれば、米国の安全保障上の利益が損なわれる。そうなればシリアとレバノンの二の舞だ。

 トランプ氏がジョン・ボルトン氏に謝罪することになるかもしれない。ボルトン氏は、イランがホワイトハウスの弱点を見つけてはそこを突いてくると繰り返し警告してきた。そのボルトン氏は先週、イラン政策などをめぐる意見の相違から大統領補佐官を辞任した。週末の攻撃はボルトン氏が正しかったことをはっきりと証明した。トランプ政権の圧力キャンペーンは効果を上げている。今それを断念すれば、イランはこれまで以上に軍事的リスクを取るだろう。

【私の論評】原油輸入依存する日本、石油危機も!本当は、増税している場合ではない(゚д゚)!

イラン製ドローン

今回のドローン攻撃でサウジアラビアが失ったものは、原油生産ばかりではありません。米CNBCによれば、サウジアラムコが被った被害額は310億ドルに上ります。

重要なのはフーシ派がドローン攻撃を行った地域が「サウジアラビアの石油産業の中心地」(アブドラアジズ新エネルギー相)だったことです。ブルームバーグは「今回の攻撃はサウジアラビアの心臓発作を誘った」と報じていますが、サウジアラビアへの心臓部への攻撃が続けば、サウジアラビアは突然死しかねないです。

さらに「ビジョン2030」を掲げ脱石油依存型経済に邁進するムハンマド皇太子の夢が水泡に帰する可能性すらあります。

原油価格の下支えに向けたOPECプラスの協調減産のため、日量1200万バレルの生産能力を有しているサウジアラビアの実際の原油生産量は、日量1000万バレル弱に減少していますが、原油価格は一向に上がる気配を示さないことから、原油収入が大幅に落ち込み、サウジアラビアは今年再びマイナス成長となるリスクが高まっています(9月5日付ロイター)。

国家財政の「穴埋め」を行い、なんとしてでも経済成長への道筋に戻さなければならないムハンマド皇太子が当てにしていたのが、サウジアラムコの新規株式公開(IPO)の早期実施でした。ムハンマド皇太子は8日、IPOに消極的だったとされるファリハ氏の首をすげ替える荒療治を行ったばかりでしたが、今回のドローン攻撃でIPOは振り出しに戻ってしまうでしょう。

サウジアラビアの安全保障環境が改善されない限り、サウジアラムコのIPOばかりか、サウジアラビアへの外国投資も一層低調になるのは火を見るより明らかです。

ムハンマド皇太子に対する王族の非難が高まり、「宮廷クーデター」が勃発するなど地政学リスクが一気に高まるというシナリオも現実味を帯びてきました。市場関係者の間では「サウジリスクが長期化すれば、原油価格は1バレル=100ドルに高騰する」との声が出ています(9月14日付OILPRICE)。

世界経済を支える米国ですが、過去5回の景気後退のうち4回(1973年、1980年、1990年、2008年)で直前に原油価格が急騰していました。このことを鑑みれば、サウジリスクにより原油価格が高騰すれば、先行き不安が強まり世界経済への大きな打撃になることは間違いないです。

では、米国はどのような手を打つのでしょうか。あるいは、何ができるのでしょうか。それが問題です。答えはもしかすると、「あまりなにも」かもしれないです。

米政府は断固として、サウジ政府を支持しています。しかし、サウジアラビアが主導するイエメン内戦への軍事介入は、米連邦議会ではすでに評判が悪いです。サウジによる空爆は無意味ですし、ただでさえ貧困にあえぐイエメンを人道危機に陥れているだけだという認識が、日に日に高まっているのです。

ところが、今回のようなインフラ施設への攻撃によって、奇妙な側面もあらわになりました。トランプ政権はしきりにサウジ政府を応援するし、イランへの「最大限の圧力」をしきりに強調します。しかし実際には、米政府がイラン政府に発するシグナルの内容は、とても玉虫色なのです。

それというのも、トランプ氏は実は近く開かれる国連総会にあわせて、イラン政府幹部と対面して会談する用意がありそうな様子ですし、ジョン・ボルトン氏を国家安全保障担当補佐官の職から更迭したばかりです。そしてトランプ政権で特にイランの政権変更を強硬に主張していたとされるのは、ボルトン氏でした。

ジョン・ボルトン氏

イランとフーシ派は、強大な敵に立ち向かう弱者として、典型的な戦法をとっています。軍事戦略の教科書が「ハイブリッド紛争」と呼ぶものです。否認性、代理の使用、サイバー作戦、情報戦など、ロシアが得意とする作戦の中から、様々な戦術を借りて使っています。

トランプ氏がどれほど大げさに騒いで予想もつかない振る舞いをしようと、実のところは厄介な軍事対立から撤退したいし、新しい武力紛争にアメリカを巻き込みたくないのが本音だと、イラン政府は承知しています。そのためイランはイランで、「最大限の圧力」を米国にかけることができるのです。

しかし、計算を間違えれば全面紛争につながる危険はあります。そのようなことは実際、誰も望んではいません。

原油価格高騰を防止するため、米国政府は「戦略石油備蓄(SPR)」の放出準備に入りましたが、原油輸入の4割をサウジアラビアに依存する日本も「国家石油備蓄」の放出の準備をただちに開始すべきです。

そうして日本では今回の出来事は、単なる石油価格の高騰だけではすまない可能性があることを認識すべきです。

日本経済に悪影響を与える可能性がある世界情勢としては、①米中貿易戦争、②ブレグジット、③日韓関係悪化、④ホルムズ海峡での偶発などが以前からこのブログでも強調していました。

これらが10月の消費増税の後の日本経済にかなり悪影響を与える可能性があると強調してきましたが、④ホルムズ海峡はできればなければ良いと望んでいました。まったくやっかいなことになってきました。臨時国会では、これらに対する対策を本気で議論し、何らかの対応をしておくべきです。

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2020年1月5日日曜日

米vsイラン“一触即発”状態! 殺害された司令官は「対米テロ首謀者」 米大使館近くにロケット弾4発、トランプ氏「イランが報復したら…」―【私の論評】米国の優先は中東よりも中国、それは今年も変わらない(゚д゚)!

米vsイラン“一触即発”状態! 殺害された司令官は「対米テロ首謀者」 米大使館近くにロケット弾4発、トランプ氏「イランが報復したら…」

トランプ米大統領の指示で殺害されたイランのソレイマニ司令官を悼み、デモを行うテヘラン市民


 米国とイランの緊張がさらに高まっている。イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のガーセム・ソレイマニ司令官が米軍に殺害された現場となったイラクの首都バグダッドで4日、米大使館近くにロケット弾4発が撃ち込まれたのだ。一方、米政府は「ソレイマニ氏=対米テロの首謀者」と認識しており、米国内にはドナルド・トランプ大統領の判断を支持する声も多い。トランプ氏は同日、報復への徹底抗戦を警告した。日本の左派メディアの「反米」報道だけでは、状況を見誤りそうだ。

 「米国に死を!」

 バグダッドで4日行われたソレイマニ氏の葬列の行進開始に合わせて、市民数千人が街頭で弔意を示す一方、こう反米色をあらわにした。

 こうしたなか、バグダッド中心部の米大使館近くなど3カ所に4日、ロケット弾計4発が撃ち込まれた。死者は確認されていない。犯行声明は出ていない。イランはイスラム教シーア派の大国だが、隣国イラクにもシーア派は多数いる。

 イランの最高指導者ハメネイ師は「厳しい復讐(ふくしゅう)」が待っていると米国に警告している。中東地域の米関連施設が攻撃目標となるとの見方が強い。

 これに対し、米国の理解は違う。

 トランプ氏は、攻撃に踏み切った根拠について、「ソレイマニ氏が、イラクとシリア、レバノン、中東にいる米外交官と米軍将兵を今にも攻撃しようとしているとの確度の高い情報があった」「攻撃は戦争を阻止するためだ。戦争を起こすためではない」「米国民を守るために、すべての措置を講じる」と声明(3日)で説明した。

 さらに、トランプ氏は4日のツイッターで、イランが報復した場合、イランの重要施設を含む52カ所を短時間で攻撃し「大きな打撃を与える」と警告した。米軍部隊約3000人を中東に増派する方針も決めている。

トランプ大統領

 日本の左派メディアは、ソレイマニ氏について「イランの国民的英雄」「ハメネイ師に次ぐナンバー2の実力者」などと伝えているが、これだけでは日本人をミスリードする危険性がある。

 米CNN(日本語版)は4日、ソレイマニ氏が率いた「コッズ部隊」を「米国からは外国テロ組織と見なされている」とし、「国防総省は、ソレイマニ司令官と指揮下の部隊が『米国や有志連合の要員数百人の殺害、数千人の負傷に関与した』としている」と伝えた。

 英BBC(同)も同日、「米政府からすれば、ソレイマニは大勢のアメリカ人を死なせてきた、血染めの張本人だった」と解説した。

 ともかく、日本がエネルギーを大きく依存する中東の情勢が緊迫しているのは間違いない。

【私の論評】米国の優先は中東よりも中国、それは今年も変わらない(゚д゚)!

日本メディアにはソレイマニがさも立派な人物だったと強調する記事が多いようです。そこまでいかなくとも、あたかも先進国などのまともな軍隊の司令官のような扱いをするのが多いようです。

それを読んだ一般人はそんな立派な人物を殺したトランプは愚かだ、トランプのせいで戦争が始まると考えるのではないかと思います。ソレイマニが最恐テロリストである事実は、ほとんど指摘されていません。

イランではヒジャーブをとった女性が禁錮刑となり、同性愛者が処刑され、11月に開始した反体制デモ参加者2000人近くが革命防衛隊に殺害されています。

私も一昨日、このブログの記事で「ソレイマニ司令官」という表現をしてしまいましたが、無論ソレイマニは、イラン正規軍の司令官でも、ましてや先進国の正規軍の司令官のような存在でもないので、この表現は良くなかったと反省しています。「革命防衛隊というテロリストのリーダー」あたりが穏当な表現だったと思います。

さて、ソレイマニ氏殺害に続き、上の記事にもあるように、トランプ大統領は、イランが報復した場合、イランの重要施設を含む52カ所を短時間で攻撃し「大きな打撃を与える」と警告しています。さらに、米軍部隊約3000人を中東に増派する方針も決めているとあります。

では、米国とイランの対立が戦争にまで拡大するかといえば、そのようなことはないと思います。

そもそも、米国にとっては中東はさほど重要ではありません。それを示すデータなどを以下に掲載します。以下に中東の名目GDPを掲載します。


これを見ると、サウジアラビアがトップであり、石油で儲けた王族などがイメージされ、さもありなんと思いがちですが、サウジアラビアのGDPは、昨日の記事でも掲載したように、世界で18番目です。

ところが、昨日もこのブログで述べたように、米国のペンシルベニア州よりも少ないです。2017年のサウジアラビアのGDPは約6830億ドル、ペンシルベニア州のGDPは7520億ドルでした。そして、ペンシルベニア州のGDPはアメリカ50州のうち6位です。

ちなみに、サウジアラビアのGDPの規模は日本の県と比較すると、ほぼ福岡県相当です。

無論、経済の大きさだけで、米国にとっての中東の重要度を推し量ることはできませんが、それにしてもこの程度ということを認識しておくべきです。

では、なぜ米国が中東をかつてはかなり重視して、米国中央郡を中東に配置していたかといえば、やはり中東が世界最大の石油の輸出国だったからです。そうして、米国は石油輸入国だったからです。

ところが、この状況も昨年から変わりました。米エネルギー情報局(EIA)が昨年11月29日発表した統計で、9月の米国の原油・石油製品の1日当たりの輸出量が、輸入量を上回ったことが分かりました。シェールオイルの生産増が輸出を押し上げました。米ブルームバーグ通信によれば、単月で純輸出国となるのは政府の記録が残る1949年以来、70年間で初めてです。

原油市場では、米国によるシェールオイル増産が相場の押し下げ要因になっています。一方、中東地域への依存度が低下することで同地域に対する米国の関与が薄まり、地政学的なリスクが高まる恐れもあります。
9月の輸入は、石油輸出国機構(OPEC)加盟国やペルシャ湾地域などからの分が大きく減り、前年同月比約12%減に落ち込んだ。これに対し輸出は約18%増となり、1日当たりで8万9000バレルの輸出超過となりました。

この傾向は続き、米国は2020年には年間でも原油・石油製品の純輸出国になる見通しです。エネルギー市場で米国の存在感が高まり、原油価格を下押しする圧力になります。米国の中東への依存が減り、トランプ政権の外交戦略にも影響する可能性があります。

米シェールオイルの最大鉱区パーミアン盆地にある原油貯蔵タンク。米テキサス州

ただし、中東に関しては、争乱の耐えない地域であることや、米国や同盟国に対するテロを目論む組織も多数存在することから、米国が全く関与しなくなるということはないでしょう。

さらには、トランプ大統領の支持基盤である米国福音派は、イスラエルを守ることは米国の使命であると考えているようで、この面からもトランプ大統領はこれを疎かにできないという背景もあります。

ところが、昨日も述べたように、今や中国のGDPは米国に次いで第二位で、一人あたりのGDPは未だ中進国の中でも低いレベルなのですが、中国共産党は、その全体の経済力を自由に使うことができるということで、現状では、世界で唯一米国に経済的にも、軍事的にも脅威を与える存在です。

であれば、昨日このブログでも掲載したように、やはりトランプ政権は、中国に対峙することを最優先順位においていると考えるべきです。

米中の貿易交渉第一次合意の結果について、米国は監視を続け、3ヶ月後(今年3月)には判断を下します。これを過ぎでも、中国が合意内容を守らない場合は、米国は無論対中国制裁を上乗せすることになります。それでも、守らなければさらに厳しい制裁を課すことになるでしょう。

それでも、WTOに加盟した中国が、体裁だけ整えて結局約束を守らず、WTOそのものを無意味にしてしまったことを米国は悔いています。

今回米中貿易協定を中国が結局反故にした場合、米国は思い切った制裁手段に出ることが予想されます。一つは、かつてなかったようなほどの大規模な金融制裁です。もう一つは、見せしめのために、北朝鮮に軍事攻撃を仕掛けることです。

昨日も述べたように、北への軍事攻撃も、全面戦争にはならないでしょうが、それにしても金正恩ならびに幹部の殺害もしくは捕獲と、核施設の破壊はするでしょう。どの程度の破壊になるかは、未知数ですが、少なくとも長距離ミサイルは確実に破壊するでしょう。

これを実行する可能性は十分あります。そうなると、習近平とその取り巻きにはかなりの脅威を与えることができます。

ただし、これも今年の3月を過ぎてすぐということでないでしょう。北朝鮮は中国の干渉を嫌っているため北朝鮮とその核が、朝鮮半島全体への中国の浸透を防ぎ、結果としてバランスが保たれてきました。そのバランスが崩れるか、あらかじめバランスが崩れることが予想された場合は、米国は躊躇なく北朝鮮に武力行使するでしょう。それが、年内になる可能性もあります。

いずれにせよ、米国の優先は中東よりも中国、それは今年も変わらないでしょう。これが変わらない限り、習近平と中共幹部は枕を高くして寝ることはできないでしょう。

2020年1月8日水曜日

イラン報復、米軍基地攻撃 イラク2カ所にミサイル十数発―トランプ大統領演説へ―【私の論評】米イともに、きわめて抑制的に対処し戦争拡大を防いでいる(゚д゚)!


ソレイマニ司令官の遺族を弔問するイラン最高指導者
ハメネイ師=テヘラン、最高指導者事務所が3日提供

 イランは8日、革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官が米軍に殺害されたことに対する報復として、イラクにある駐留米軍基地2カ所を弾道ミサイル十数発で攻撃した。米側によると、米兵に死者はいなかったとみられるが、米兵の死傷者の有無によっては、米国によるイラン本土攻撃も考えられる。トランプ米大統領は8日朝(日本時間同日夜)に演説し、イランへの対応策を表明する見通し。

 トランプ氏はこれまで「米軍基地や米国人を攻撃すれば、ためらうことなく美しい最新鋭兵器をイランに投入する」などと警告してきた。それにもかかわらず、イランが弾道ミサイル発射という直接的な攻撃に踏み切ったことで、報復合戦の激化は避けられない。トランプ政権の一方的な核合意離脱から悪化の一途をたどる米イラン関係は、より危険な段階に入った。

 イランの革命防衛隊も、多数の地対地ミサイルを発射したと明らかにした。作戦名は「殉教者ソレイマニ」。声明では、米軍が駐留する国々に対し、米軍に協力すれば「標的となり得る」と警告した。最高指導者ハメネイ師は8日、「軍事行動では不十分だ。米国は戦争や分断、破壊を引き起こしており、この地域は米国の存在を受け入れない」とけん制した。

 イランのメディアは、攻撃で「米部隊側の80人が死亡、200人が負傷した」と伝えたが、真相は不明だ。

【私の論評】米イともに、きわめて抑制的に対処し戦争拡大を防いでいる(゚д゚)!

上の記事は、イラン側の声明を一方的に掲載しているだけですので、真偽の程は確かではありません。

トランプ政権関係者によると、イランが発射したミサイル15発のうち4発は標的に届かず、イラク人の負傷が確認されています。イラクで軍事行動をとるイランの部隊が、米国への報復攻撃を意図しつつイラク人を殺してしまったということです。このイランからの攻撃はわざと標的を外した可能性が高いと分析しているようです。

イランのSima Newsが伝えたアサド基地に向けた発射されたミサイルとされる画像

イラン は華々しく米軍を攻撃した映像をばらまいて反撃したという事実と、「米部隊側の80人が死亡、200人が負傷した」という情報で、国民を納得させた上で、事態を収拾終させたいのかもしれません。

イラン国内でナショナリズムを盛り上げ過ぎてたので米軍に対して何もしないでいれば、逆に国民から批判されることになります。しかし米国と全面戦争すると軍が壊滅することになります。 イランとしても、適当なところで鉾を収めたがっているようです。

CNN報道によると、今回のイラン軍によるイラン領内の米軍基地攻撃は事前にイラン側から予告があり、そのために米兵が適切に避難できた可能性があります。実に抑制された報復です。

イランは米国がこの攻撃に報復しなければ、攻撃を止めると言っているようです。ボールは今、トランプの側にあり、もし今回の攻撃に過剰な報復をすれば戦争は青天井でエスカレートするでしょうが、常識的な釣り合いの取れた対応であればここで収まる可能性があります。

マスコミや識者の人たちの中には、「第三次世界大戦になる!」とか「米国ガー!」と煽っている人たちもいますが、彼らはロシアがウクライナのクリミア地域に侵攻していた事実は忘れているようです。 軍事大国のロシアが侵攻していても第三次世界大戦にはなっていませんし、ましてやイラン程度で第三次世界大戦にはならないと考えるのが普通です。

世界レベルで「第三次世界大戦」がトレンド入、Siriに「第三次世界大戦はいつ始まりますか」と
  質問すると恐ろしい答がかえってくるとか

にもかかわらず、なにやらマスコミ等は「イランは何もしてないのに米国が突然要人を暗殺した」かのような話に無理やり持っていこうとしていて、歴史の書き換えとやらをまさにこの瞬間リアルタイムで目撃しているような気さえします。

マスコミなどは毎日の実施されているシリアのアサド政権の空爆に憤らないで、米国が絡んだ時だけ憤るのは何か変な思考のくせがあるようです。マスコミにも問題がありますが、解説する中東イスラム研究者や国際政治学者のほぼ全員が反米(反共和党)左派の視点しか提供しないことも問題です。反米なので親イランゆえにイランの公式発表を右から左に流すだけで、広く中東や世界から俯瞰して今回の問題を論じる人が誰もいないのは異常です。


立憲民主党枝野氏は「イラン司令官の殺害は(略)中東の安定を損なうリスクが非常に高い」と述べ、スレイマーニーの存在自体が20年以上にわたり中東の安定を大きく損なわせてきた事実に対する無知を露呈させています。知りもしない中東情勢を政権批判に利用するのは不逞不遜です。

米国もイランも本格的な総力戦をしたいわけではありません。 だからこそ、両サイドが極めて政治的で抑制的な手段を取り部分的な戦争に終始させているのに、マスコミなどが戦争だ、それも世界大戦だと煽るのは、何がしたいのか意味不明です。これは、トランプ政権への攻撃なのでしょうか。日本では、安倍総理への攻撃なのでしょうか。 この短絡思考はどうにかならないものでしょうか。

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2019年12月21日土曜日

「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断も 図に乗る正恩氏にキレた!? 韓国・文政権は「レッドチーム入り」示唆 ―【私の論評】来年は米軍による北への軍事介入もあり得るシナリオ!我々日本人も覚悟を決めよ(゚д゚)!

「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断も 図に乗る正恩氏にキレた!? 韓国・文政権は「レッドチーム入り」示唆 

トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領が憤慨している。米下院本会議が18日、ウクライナ疑惑をめぐる弾劾訴追決議案を、野党民主党の賛成多数で可決したからだ。一方、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮は、クリスマスに合わせた大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験再開をチラつかせている。朝鮮半島の緊張が高まるなか、米軍幹部は「すべての選択肢がテーブルの上にある」と牽制(けんせい)した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近は「レッドチーム入り」を示唆しているが、逆風のトランプ政権が「軍事作戦」を決断する可能性があるのか。


 《これは米国に対する攻撃であり、共和党に対する攻撃だ》

 トランプ氏は18日、民主党多数の下院で弾劾訴追決議案の審議が続くなか、ツイッターでこう批判を繰り広げた。

 弾劾訴追決議案には、トランプ氏が軍事支援などを使って、民主党の政敵、ジョー・バイデン前副大統領周辺の捜査を発表するようウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会の弾劾調査に協力しないよう政府高官らに指示した「議会妨害」の2つの弾劾条項が盛り込まれた。

 米大統領の弾劾訴追は、1868年のアンドルー・ジョンソン氏(17代)と、1998年のビル・クリントン氏(42代)以来。トランプ氏は米史上3人目の弾劾訴追される「不名誉な大統領」となった。

 来月には上院の弾劾裁判が開始され、出席議員の3分の2が賛成すれば有罪・罷免となるが、上院は与党共和党が過半数を占めているため、「無罪」が濃厚な情勢だ。

 ただ、左派系メディアによる“トランプバッシング”は続きそうだ。

 トランプ氏の頭痛の種は朝鮮半島にもある。

 北朝鮮は今年5月から弾道ミサイル発射を再開し、13回を数える。さらに、7日と13日、北西部・東倉里(トンチャンリ)の「西海(ソヘ)衛星発射場」で「重大な実験」を実施した。ICBM用エンジンの燃焼実験とみられ、北朝鮮の非核化をめぐる米朝協議の停滞にイラ立ち、ICBM発射や核実験再開が懸念されている。

 「(北朝鮮が)何かを進行中なのであれば失望する」「その場合は対処する」「事態を非常に注意深く見守っている」

 トランプ氏は16日、ホワイトハウスで記者団にこう語ったが、米軍幹部が「対処」の概略について明かした。

 チャールズ・ブラウン米太平洋空軍司令官が17日、「(北朝鮮が挑発する場合)2017年に用意していたものが沢山あるので、われわれは早くホコリを払って準備することができる」「すべての選択肢がテーブルの上にある」と、ワシントンで記者団に語ったのだ。韓国・東亜日報(日本語版)が19日報じた。

 17年といえば、北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返し、米朝関係が極度に緊張した年である。

 米軍は、朝鮮半島に最新ステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」や、超音速爆撃機B-1B「ランサー」を何度も飛来させた。さらに、世界最強の原子力空母「ロナルド・レーガン」と「セオドア・ルーズベルト」「ニミッツ」を中心とする打撃群3つを展開するなど、「第2次朝鮮戦争」が真剣に取り沙汰されていた。


最新ステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」

 あれから2年、クリントン政権の国防次官補を務めたグレアム・アリソン米ハーバード大教授は12日、東京での会議で、北朝鮮情勢について「非常に危険な展開」「第2次朝鮮戦争が起きる可能性が高まっている」と警告している。


 ■図に乗る正恩にキレる?

 朝鮮半島で軍事衝突が起きれば、韓国の被害は甚大だが、文氏のブレーンである、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は国際会議で「中国の核の傘入り」を示唆するなど、「レッドチーム入り」の本音をあらわにした。トランプ政権の決断のハードルは下がっているともいえる。

 トランプ氏は、弾劾訴追という不名誉を受けたうえ、正恩氏から無礼な挑発を受けている。来年11月の大統領選を見据えて我慢してきたが、爆発する可能性はあるのか。「戦時の大統領」として選挙戦で勝ち抜く戦略は考えられるのか。

 拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司氏は「トランプ政権の安全保障政策を支えていた、ジェームズ・マティス元国防長官や、ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はもういない。マイク・ポンペオ国務長官にも上院選出馬の話がある。トランプ氏のタガが外れて、『先制攻撃』を決断する可能性はある。正恩氏は図に乗っているが、危険だ」と指摘している。


【私の論評】来年は米軍による北への軍事介入もあり得るシナリオ!我々日本人も覚悟を決めよ(゚д゚)!

冒頭の記事で、"「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断"という見方は、おそらくは正しくはないでしょう。なぜなら、このブログでも以前示したとおり、トランプの弾劾は100%不可能であり、むしろ選挙戦に有利に働く可能性が高いからです。

さらに、トランプ氏が正恩氏にキレるというのもいただけないです。そもそも、キレた状態で意思決定する政治家は落第です。ビジネスマンとしても落第です。優秀なビジネス万でもあるトランプ氏は、キレた状態で意思決定することはないでしょう。

トランプ氏が北朝鮮攻撃を決断するとすれば、様々な事柄を冷静に計算しつくした後に意思決定し、実行することでしょう。

それにしても、弾劾など無関係としても、確かにトランプ政権は条件が整えば、朝鮮半島で「軍事作戦」を実行する可能性もでてきました。

米中貿易戦争が12日、双方合意により一段落した。約2年間続いた米中貿易戦争は一時的に小康状態に入ったようにみえます。

ところが、なぜ、今のタイミングで米中合意が出来たのでしょうか。疑問を捨てきれないところがあります。しかも、この合意は、先日もこのブログに示したように、米国の一方的勝利であり、中国にとっては、不平等条約そのものです。

おそらく、中国としては、経済が破綻目前であり、もはや防戦一方であり、なりふりかまわず、少しでも国内経済を良くしたいがために、米国の圧力に屈したのでしょう。あるいは屈したふりをしたのかもしれませんが、そこまでしても、米国の圧力から一時的にも逃れたのかもしれません。

そうして、このときに、中国は、米国の対北軍事行動に同意した可能性があります。すなわち、「中国が米国の意志に暗黙の了解を示した可能性が高い」です。

米国は3年前、中国に北朝鮮の非核化解決に1年間の猶予時間を与えたことがあります。当時、中国は全国重要都市の北朝鮮レストランを撤去するや北朝鮮は就業員を全て帰国させました。さらに、中朝合弁会社を取り消しするなど、中国は国連安保理理事国として対北制裁に前向きな役割を果たしていました。

ところが、中国は北朝鮮に繋がる石油パイプを閉めませんでした。さらに、海上で北朝鮮船が石油を船積みする国連の安保理合意違反に目を閉じていました。それで北朝鮮の非核化は前に進まず、これも一つの大きな要因で米中貿易戦争が始まった経緯があります。

今回、米朝貿易合意の前にトランプ大統領はツイッターに「中国とビッグディール(big deal)がほぼ目の前に来ている」とし「中国がそれを望んでいて、米国もほしい」とメッセージを飛ばしました。


米中交渉が一段落され、15日から1,560億ドル規模の中国産商品の関税は撤回されました。これにより、21ヶ月間続いた貿易戦争が一旦、峠を越して休戦に入ったわけです。米国が15日から対中国追加関税を撤回する代わりに、中国は米国産豚肉と農産物の購入を増やすことにしました。米国政府は中国産輸入品に対する関税を半分まで下げる案も協議しました。

中国は現在、巨額の借金を抱えており、国内経済の沈滞と経済破綻を止める為に精一杯です。今回、貿易戦争の最中で米中合意が出来たのは、中国が北朝鮮の面倒を見るより国内経済を優先させる政策変更だったとも考えられます。

加えて、北朝鮮の核が中国にとっても脅威であることもさらに、明確に意識したかもしれないです。北朝鮮の核と弾道ミサイルは中国全都市を射程に収めているからです。これについては、以前からこのブログで指摘してきました。

金正恩は、中国の北朝鮮への干渉を極度に嫌っています。そのため、北朝鮮とその核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

さらに、中国にとっては北朝鮮の核が日本、韓国、台湾の核武装を招きかねない危険性を再認識したと考えらます。日韓台3国の核武装は中国にとって最悪の脅威です。

12月初め、北朝鮮外交部の米国担当副相は「米国へクリスマスプレゼントが何になるかは全て米国の決心次第である」と威嚇しました。今月7日には、平安北道東倉里の西海発射場で大陸間弾道ミサイルの噴射実験を3分間行いました。また、13日は同じ場所で7分間、噴射実験を行いました。これは第2段階のロケット噴射テストと見られています。

トランプ大統領は「必要なら武力行使もやむを得ない」「金正恩は全てを失う事もあり得る」と強硬なメッセージを飛ばしました。すると、北朝鮮外交部の崔善姫副相はトランプ大統領を“老いた者の忘霊”と非難しました。

12日、米国はカリフォニア州バンデンバーグ空軍基地で核搭載用中距離弾道ミサイルIRBM(射程5,400km)発射実験を行い、中国と北朝鮮を牽制しました。この中距離弾道ミサイル(INF)は近いうち、グアムに配備される予定です。グアムから北朝鮮までは3,400kmの射程距離です。

米朝間の緊張がエスカレートする最中、米国務省の北核担当特別代表、ビーガン氏が16、17日の両日間、急遽、韓国を訪れ、板門店での米朝実務者協議を打診しています。ところが、北側からは何も反応が出ておらず、年末中に米朝実務者協議が開催されても会談は決裂される可能性が高いです。

トランプ大統領はイランがサウジ精油施設を攻撃したり米軍偵察機を撃墜してもイラン空爆寸前に取りやめたことがあります。米軍戦力の分散を止めるための戦略的な判断です。核を持っていないイランより、北朝鮮の非核化が米国外交の優先順位であることが理解できます。


とりわけ、北核問題の解決可否はトランプ大統領の再選を左右する懸案です。結局、トランプ政権の措置が、ソフトランディング(海上遮断・制裁強化)であれ、ハードランディング(海上封鎖・軍事行動)であれ、北朝鮮の長期独裁体制は存亡の危機をかけた山場を迎えざるを得ないのです。

おそらく、今後北朝鮮が、弾道ミサイルを発射したり、核実験を再開した場合、米国はすみやかに何らかの軍事行動を起こす可能性があります。

ただし、ジョン・ボルトン前米国大統領補佐官は19日(現地時間)、北朝鮮の“クリスマスプレゼント”の脅威について「脅しの可能性がある」として心配する必要はないと語りました。

ジョン・ボルトン氏

ボルトン前補佐官はこの日に米国のマスコミのインタビューで「私は北朝鮮が語る全ての話の大部分を“話半分”に聞いている」と明かしました。

北朝鮮はこれまで「米国が今年の年末まで(北朝鮮に対する)敵対視政策を撤回するなど、朝鮮半島情勢に関して“新たな計算法”を提示しない場合、(北朝鮮は)“新たな道”を行く可能性がある」と警告し、特に北朝鮮外務省の対米担当者が先日の談話で「“クリスマスプレゼント”に何を選ぶかは全面的に米国の決心にかかっている」と明かし、挑発の可能性を示唆しました。

しかしボルトン前補佐官は「このすべてのことは北朝鮮のシナリオだ」とし「彼らは米国の今までの3政権をだますのに成功したので、この政権でも同じようにする計画である」と主張しました。

続けて「彼ら(北朝鮮)は(ドナルド・トランプ米国)大統領が(自分たちとの)合意に必死になっていると考えている。もし意図的に時間の制約を加えれば、よりよい合意が引き出せると考えている可能性がある」とし「我々はただ静観しているだけでいい」と語りました。

ただ「北朝鮮は核開発を自発的に放棄しないだろう」としながら「我々が30年間見続けてきたパターンがある。彼ら(北朝鮮)は経済的恵沢の代価として“核放棄”を宣言するが、実際にはそうはしない」と語りました。

また「北朝鮮やイランといった国は、不良国家の典型であるだけでなく、テロ支援国だ」としながら「彼らは自国民を抑圧している。このような特徴が彼らの行動方式を表している」と付け加えました。


私も、ボルトン氏の見方は正しいと思います。そのため、このクリスマスに北朝鮮が、弾道ミサイルを発射するようなことはないと思います。

ただし、北朝鮮は核を手放すことはないでしょうし、トランプ大統領もそのことを理解し、さらに中国が米国北攻撃を黙認するなら、来年の大統領選挙に邪魔にならず、有利になるとみられる時期に北に軍事攻撃をする可能性は高まったとみるべきと思います。

もし、米国が北朝鮮を軍事攻撃を加えた場合、核兵器開発ばかりしてきた北朝鮮の人民解放軍の通常兵力は、米国の敵ではありません。さらに、半島有事が囁かれてから、随分時がたっているので、米軍はかなり北の情報収集をしているものと考えられ、正確にピンポイントで北の核基地攻撃に成功するでしょう。

さらに、金正恩の斬首にも成功するかもしれません。そうなった場合、中国への脅威は計り知れないものになるでしょう。外交音痴の韓国も、中国の圧倒的な劣勢にさすがに気づき、レッドチーム入りを断念するかもしれません。もしそうなれば、トランプ氏の大統領選は圧倒的に有利なります。

来年は、何らかの形で米軍の北への軍事介入はあり得ることだと、私達日本人も覚悟を決めるべきです。

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2021年4月28日水曜日

「中国に舐められてる!」トランプ陣営がバイデン政権を辛辣批判―【私の論評】日本をはじめとする同盟国はバイデン氏に、環境問題よりも対中抑止を最優先させるよう説くべき(゚д゚)!

 「中国に舐められてる!」トランプ陣営がバイデン政権を辛辣批判

「我々にはこんな態度はとらなかった」とトランプ氏

米国アラスカ州で会談した米中高官(2021年3月18日)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 米国バイデン政権の対中政策は日本にも多大な影響を及ぼす。その政策は一見強硬であり、日本の識者の間では「トランプ前政権の対中政策を継続した」とする見解が広まっている。

 だが、本当にバイデン政権の対中政策はトランプ政権の政策と共通性があるのか?

 それを知る手掛かりの1つとなるのが、バイデン政権の対中政策をトランプ陣営がどのように見て、評価しているか、だろう。

 では、実際にトランプ陣営がどう評価しているのかというと、「バイデン政権の対中政策は軟弱で融和的すぎる」という批判が明確なのだ。

 「我々にはこんな態度はみせなかった」

 まず、トランプ前大統領の最近の発言を紹介しよう。バイデン政権の中国への対処について述べた言葉である。

 周知のようにバイデン政権のブリンケン国務長官らは3月18日、米国のアラスカ州で、中国の共産党政治局員で外交担当の楊潔篪氏らと会談した。会談は冒頭から激論となり、中国側が米側よりずっと長く語り、米国側の「人権弾圧」や「人種差別」を非難した。

  トランプ前大統領は3月下旬、FOXテレビのインタビューで次のように語った。

  「私たちが政権の座にあったとき、中国に対して正しい措置をとった。だが今の状況をみてほしい。つい先週、中国は米国側の代表をどう扱ったか。しかも私たちの領土のアラスカ州で、とてつもなく無礼な言葉をぶつけてきた。中国は私が大統領だったときは米国にこんな態度はみせたことがない」

  トランプ氏は、バイデン政権が中国に甘くみられていること、しかも、米国内で無礼な言葉を吐かれたことへの怒りを露わにした。バイデン政権の対中政策が融和的すぎるという批判である。

  中国政府は今回のアラスカでの米中高官会談を「戦略対話」と呼んでいた。米国のオバマ政権が中国への融和的な姿勢に基づいて推進したのが「対中対話」外交だった。経済、政治、軍事その他、広範な領域で対話の場を設けて、対中関与政策を進め、対中対話の数は40ほどに及んだ。だがその結果、中国は増長し、露骨に覇権主義的な行動をとるようになった。

 トランプ政権は、政権発足当初からこの対中対話を否定した。多数あった対話を次々に中断し、中国との対決姿勢を示したのである。

  バイデン政権下で行われたアラスカでの米中協議は米国側の譲歩だといえた。中国側が「対話」と呼ぶ会合を、米国に中国政府代表を招いて実施したからだ。だからトランプ氏が「中国は我々にこんな態度をみせたことがない」と怒るのも決して事実に反する主張ではないといえる。

  視野が狭く国際的な視点に欠けている 

  バイデン政権を批判する第2のトランプ前政権高官は、元国連大使のニッキー・ヘイリー氏である。  インド系米国人であるヘイリー氏は、サウスカロライナ州の知事として実績を積み、トランプ大統領から国連大使に任命された女性政治家である。保守派として内政、外交の両面で活発な言動をとってきた。

  そのヘイリー氏が、4月中旬にFOXテレビやニューヨーク・ポスト紙とのインタビュ―で、バイデン政権の対中姿勢について以下のように語った。  「バイデン政権は中国に関してナイーブ(単純)すぎる。アラスカでの米中協議でも、中国側から完全に侮辱されながら反撃しない。中国が、反米テロを支援するイランと連携していても抗議をしない」

 「中国はイランだけでなくロシアとも手を組み、米国に対抗しようとしている。中国はさらに北朝鮮とも反米の連携を進めている。だが、バイデン政権は中国のそうした野心的な動きに口を閉ざしたままだ。このままではバイデン政権は中国が危険な新大国となることを座視するだけだろう・・・」 

 ヘイリー氏は米中二国間の問題にとどまらず、中国と他の諸国との連携が今後米国にどんな影響を及ぼしていくかという多角的な問題を提起していた。バイデン政権は視野が狭く国際的な視点に欠けているという批判でもある。

  中国政府の責任を追及しないバイデン政権 

 第3の批判者は、トランプ前政権で国家情報長官を務めたジョン・ラトクリフ氏である。  ラトクリフ氏はテキサス州の連邦検事の出身で、共和党の下院議員を4期務めたベテラン政治家である。国際戦略やインテリジェンスにも詳しく、トランプ大統領から2020年に政府の各種諜報機関を統括する国家情報長官に任じられた。

 バイデン政権は3月下旬、CIA(中央情報局)やNSA(国家安全保障局)からの安全保障やインテリジェンスに関する報告を基に、国際情勢の概要をまとめた報告書を発表した。ラトクリフ氏はその報告書の内容について、FOXテレビのインタビューに応じて次のように語った。

  「バイデン政権のこの報告書は中国の動向も取り上げ、米国にどのような危害や悪影響を及ぼすかという視点から述べている。だが、ひとつ致命的な欠陥がある。それは中国政府が武漢での新型コロナウイルス発生直後から2カ月近くにわたり情報を隠蔽し、正しい情報を伝えようとする現場の医師らを罰し、さらにウイルスに関する虚偽の情報を拡散した事実をまったく伝えていないという点だ」

  以上のようにラトクリフ氏は、米国民を苦しめた新型コロナウイルスに関してバイデン政権が中国政府の責任をまったく追及しないのは不自然であり、中国への融和姿勢を感じさせる、と説いている。

  踏襲されていない対中姿勢 

 こうしてトランプ氏自身をはじめ前政権の中枢幹部だった人物たちが、バイデン政権の対中政策の具体点を挙げて批判を浴びせている。この事実は、バイデン政権の対中政策がトランプ前政権の対中政策と同じだとする主張を否定することになるだろう。  日本にとって米国の政権の中国への姿勢はきわめて大きな意味を持つ。バイデン政権の対中政策の本質はなにか、多角的かつ客観的にみていくことが欠かせないだろう。

【私の論評】日本をはじめとする同盟国はバイデン氏に、環境問題よりも対中抑止を最優先させるよう説くべき(゚д゚)!

バイデン政権の中国に対する及び腰は、トランプ前大統領と最初に会ったときのことを考えとよりはっきりすると思います。

トランプ前大統領と、習近平が最初に首脳会談をしたのは、2017年の4月6、7日、米フロリダ州パームビーチで開かれました。当時の、最大の焦点は、弾道ミサイルの発射に続き、「6回目の核実験」をチラつかせる、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮への対応でした。

これについては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
米中会談、習氏土下座懇願 権力闘争も臨戦態勢 河添恵子氏緊急リポート―【私の論評】米による北の外科手術と正恩斬首を黙認する習近平?

この記事は、2017年4月7日のものです。この記事より一部を以下に引用します。
北朝鮮が5日強行した弾道ミサイルの発射は、米中首脳会談に衝撃を与えました。北朝鮮「単独解決」に傾いている米国と、中国のメンツを省みない北朝鮮の強硬姿勢の間で、習近平国家主席は窮地に立たされ会談に臨みました。

両者は約1時間、双方の夫人と通訳のみで会談した後、夕食会を開きましたた。米政府関係者によると、会談でトランプ氏は習氏に対し、北朝鮮の対外貿易の約9割を占める中国に対し、圧力を強めるよう要求。中国が協力しない場合は、米政府が独自に北朝鮮と取引がある中国企業を制裁対象に加える新たな政策を検討していることを伝えたといいます。

トランプ氏は夕食会の冒頭、習氏のそばで「我々はすでに長く話し合ってきているが、私はまだ何も得ていない。全く何もだ」と強調。トランプ氏の要請に対し、習氏が同調しなかったことにいらだちを見せました。

そうして、米軍のシリアへのミサイル攻撃が、米中首脳の夕食会とほぼ同時に行われたことで、習近平国家主席は、トランプ大統領との会談議題である北朝鮮の核・ミサイル開発阻止をめぐっても、同様の結末が中朝国境を流れる鴨緑江の対岸で現実に起き得ることを認識せざるを得なくなりました。
当時シリア北西部イドリブ県の反政府勢力の支配地域が空爆され、子供を含む80人以上が死亡し、数百人が負傷した事件がありました(2017年4月4日)。

これを受けて、米国のトランプ政権は、シリア領内ヒムス市南東約40キロに位置する政府軍のシャイラート空軍基地に50発以上の巡航ミサイルによる攻撃を敢行したのです。

この攻撃は、同年1月に誕生したトランプ政権が初めて発動した軍事作戦であるだけでなく、シリア紛争が始まった2011年春以降で初めての米国による直接的な軍事介入となりました。

当時のトランプ政権によるシリア攻撃は、様々な思惑があったでしょうが、それにしてもその攻撃を習近平との夕食会と同じタイミングで行ったのですから、習近平も度肝を抜かれたことでしょう。

そうして、習近平はこの攻撃を受けて、トランプ氏は従来型の大統領とはかなり異なった大統領であると受け止めたことでしょう。

そうして、米軍による北朝鮮攻撃も十分にありえると、腹をくくったことでしょう。

その後、トランプ前大統領は、米朝首脳会談を三度にわたって行いました。
第一回目 2018年米朝首脳会談 - 史上初の米朝首脳会談。アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮最高指導者の金正恩2018年6月12日シンガポールにて行なった会談。

第二回目 2019年2月米朝首脳会談 - 2019年2月27日から2月28日にかけてベトナムハノイで開催されました。

(第三回目)2019年6月米朝首脳会談) - 2019年6月30日板門店で行われましたが、米国政府は「首脳会談ではなく両首脳が面会しただけ」と主張し、北朝鮮側も首脳会談としていません。

選挙戦の最終には、「米国ファースト」等と語っていたトランプ氏でしたが、いざ蓋をあけてみると、中国に対して厳しい要求をつきつけたり、制裁を発動するとともに、北朝鮮の金正恩 とはじめて日朝首脳会談を行うなど外交にも力をいれていました。

どうしてこのようなことを始めたかといえば、やはり外交問題を解決しなければ、当然のことながら「米国ファースト」になることはありえず、しかも、その中で最も最優先すべきは中国との対峙であることに気づいたからでしょう。

北朝鮮の問題に関しては、大統領就任の前後では、重要な問題とみなしていたのでしょうが、やはり最重要なのは、中国との対峙であり、その他の問題はこれに勝利するための制約要因にすぎないとみなすようになったのでしょう。

北朝鮮問題のみを単独で解消したとしても、中国の問題は何ら解消できないでしょうが、中国との問題が解消されれば、北朝鮮問題などさしたる問題ではないということに気づいたのでしょう。

さらに、北朝鮮の核ミサイルは米国を狙うだけではなく、無論中国も狙っています。ルトワック氏の語るように、北朝鮮とその核の存在が、中国の朝鮮半島への浸透を防いできたという面は否めません。

良い悪いは別にして、これは事実です。米国が北を単純に軍事的に潰せば、新北、新中的な韓国文政権は一気に、中国に接近し、朝鮮半島全体に中国の覇権が及ぶ状況になったかもしれません。

北朝鮮のミサイルは中国全土を標的にできる

そのようなことは、日米もロシアも到底容認できません。だからこそ、現状維持すべきであるとの認識から、トランプ前大統領は北との接近も一時はかったのでしょうが、北朝鮮が何も良い材料を提供してこなかったので、その後何の進展もありませんでした。

そうして、中国との対決を最優先するように、大きく舵をきったのでしょう。このようなことは、既存の政治家にはなかなかできないことです。

既存型の政治家や、役人は、外交でも、国内政治でもあれもこれもと総合的な政策を実施し、結局何もできないという状況に陥りがちです。

しかし、トランプ氏のような実業家は、物事に優先順位をつけつつ、当面は最優先事項に取り組むのが普通です。なぜなら、どのような企業であっても、たとえ巨大企業であったにしても、使える資源は限られているからです。

世界をみまわしてみると、すでにロシアのGDPは日本の5/1でしかなく、人口も1億4千万人と、日本より2千万人多いていどす。東京都のGDPと同程度です。韓国も同水準です。北朝鮮は韓国、ロシアにはるかに及びません。中東諸国を全部あわせても、日本のGDPにはるかに及ばず、金持ち国だとみらているサウジ・アラビアもGDPでみると日本の福岡県などとあまり変わりません。

しかし、中国は違います。確かに、国民一人当たりのGDPは100万円前後ですが、それにしても人口が14億人と多く、全体ではかなり大きなGDPになります。こうしてみると、米国に対する最大の競争相手は中国です。

だかこそ、実業家であるトランプ氏は中国との対峙を当面の、最優先課題としたのでしょう。そうして、それは正しい選択といえます。なぜなら、今や世界で唯一の超大国である、米国でさえも、使える資源は有限だからです。

トランプ前大統領

このような外交を展開してきたトランプ氏からみれば、確かにバイデン政権のやり方は手ぬるいです。

バイデン米大統領が就任して以来、演説やインタビューで外交政策について発信してきました。中国に対して厳しい姿勢で臨むと語ったことが特徴です。

2月4日の演説では中国を「最も手ごわい競争相手」と位置付け、「米国の繁栄と安全、民主的価値観は中国の直接的な挑戦を受けている」と語りました。同月7日放送の米テレビのインタビューでは、習近平中国国家主席について「彼を形づくるものの中に『民主主義』は含まれていない」と指摘しました。

バイデン政権は、「内政重視」へ偏っていると指摘される点を意識して、外交も重視し、同盟国との協調を目指す姿勢を示すねらいがあったのでしょう。

バイデン氏が中国に対峙すると語り、ブリンケン氏が警告を発し、トランプ前政権と同様に米海軍が台湾海峡や南シナ海で中国ににらみを利かせる構えをとったこと自体はいずれも歓迎できます。

ただし、残念なことですが、バイデン政権の対中姿勢が日本の国益や国際秩序の維持に寄与すると過信はできないです。

バイデン氏は演説で「米国の国益に沿うのであれば(中国と)一緒に取り組む用意がある」とも述べました。気候変動問題などが念頭にあるのでしょう。

ジョン・ケリー気候問題担当特使

ジョン・ケリー気候問題担当特使は、気候変動について中国との協力を推進する取り組みにおいて「人権についての相違」を考慮の対象外とすることにやぶさかではないようです。

フォーリン・ポリシーのラビ・アグラワルは、気候についてのジョー・バイデンの目標と、問題へのグローバルな対応をどのように促進しようと計画しているかについてケリーと対談しました。特に中国とどのように協力するつもりであるか、について対談しました。

「中国について話しましょう。この政権は中国についてかなり厳しい態度を取っています」とアグラワルは強調した。「米国は中国がウイグルに対してジェノサイドを行ったと非難し、台湾を引き込みました・・・しかしこうした中で、バイデン政権は気候変動との戦いで中国の協力を本当に必要としてもいます。あなたはこの1つの課題―気候変動―を他の全ての競争分野とどのように区切りますか?」

ケリーは答えました。「米国は気候問題で中国の協力を得ないことから恩恵を受けません。我々は全く統制されています。経済のルールについて、サイバーについては相違があります。他に人権についても相違があります・・・しかしそうした相違は気候対策ほどの重大なことの妨げとなるべきではありません」

中国は米国その他の国から、ウイグルのイスラム教徒に対してジェノサイドを行ったとして非難を受けています。何万人ものウイグル人が「再教育収容所」に入れられ、そこで数え切れないほどの人権侵害が起きています。人権侵害の例としては、強制労働、レイプ、性的虐待、人工妊娠中絶や避妊手術の強制があります。

ケリーは、中国はすでに「誠意を持って」交渉しており、当初の対話が厳しいものだったにもかかわらず「合意と前進ができる場所と方法を何とか見出した」と述べました。

「中国は、市民が失敗によって大いに影響を受けているため、両国が気候危機を解決することができることに利益があると分かっているという気がします」とケリーは述べました。

さらにケリーは、難点は米国民に気候について何を行う必要があるのかを納得されることにあるのではなく、むしろ何かを実際に行わせるために議会での「政治的意思」を引き出すことにあるのだと述べ、バイデンはもっと多くの先進国に大きな責任を担うよう求める計画を支持するだろうと考えていると付け加えました。

中国は気候変動に影響を及ぼす要素に対する寄与を理由に必然的にそうした計画に加わるでしょう。環境防衛基金によると、中国は世界の汚染の25パーセントを生み出しており、全世界で使用される石炭の約半分を燃やしています。

習近平は昨年、世界最大の温室効果ガス排出国である中国が2030年までに二酸化炭素排出量のピークを迎え、60年までに排出量を実質ゼロにする計画を示しました。

バイデン氏の演説や発言で気にかかるのは、全体主義政権が世界第2位の経済力を持ち、軍事力を急拡大させているという「中国問題」が、米国のみならず世界の自由と繁栄を覆しかねない極めて深刻な問題だという認識が示されておらず、この点ではトランプ前政権とは対照的です。

クリーンな地球環境になったとしても、全体主義が地球にはびこってしまえば、無意味です。無論、クリーンな地球環境の追求は重要なことではありますが、まずは人々の健康や生命を直接脅かす環境問題は、解消しつつも、炭素目標などは全体主義を克服してから行うべきものです。地球温暖化説は、未だ説の一つにすぎないのですが、全体主義の驚異は説ではなく、現実の脅威です。

さらに、エコファシズムという言葉もあるように、環境問題は中国の全体主義の正当化に用いられる可能性すらあります。

「エコファシズム」は、権威主義的な政府が個人に対してその個人的利益を「自然の有機体全体」のために犠牲にするように要求する、理論上の政治モデルの一つです。一部の作家は、環境問題に対処するために極端なまたは「ファシスト」的な政策に頼る可能性のある未来のディストピア政府の架空の危険性を述べるためにこの用語を使用しました。

またほかの作家は、環境問題に焦点を当てた歴史的または現代のファシズム運動を説明するためにこの用語を使用しました。「エコファシズム」の政府は存在した事は無いですが、ナチズムの中心的スローガンの一つである「血と土」には環境主義の側面がみられます。この用語はイングランド・ウェールズ緑の党の中で影響力拡大を図る極右勢力を記述するためにも使用されています。

世界はまずは最初に全体主義の魔の手から、世界中の人々を救うべきです。こちらのほうが、優先順位が高いのは明らかです。

私自身は、中国がまともな国になれば、それだけで環境問題などもかなり改善されると思います。その後に、環境問題に取り組んだとしても遅くはないです。

日本をはじめとする同盟国はバイデン氏に、環境問題よりも、対中抑止を最優先させるように、説くべきです。

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2019年7月2日火曜日

米国を怒らせてただで済むか。中国にすり寄る日本にトランプ激怒―【私の論評】米保守派の歴史観を多くの日本人は理解していない(゚д゚)!


トランプ氏の発言は選挙目当てのディールと見て良いのか?

G20直前の6月27日、「日米安保条約における同盟関係が片務的」だと日本に対して露骨に不満を表明したトランプ大統領。なぜこのタイミングだったのでしょうか。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、最近のタンカー砲撃事件や、日本の対中政策に対して「米国が抱くであろう不満」を解説するとともに、日本が70年前と同じ過ちを起こさぬよう警鐘を鳴らしています。

G20、トランプは、なんで怒ってるの???

G20で、世界のリーダーたちが、日本に集結していますね。いろいろありますが、もっとも気になるのは、トランプさんの言動でしょう。
トランプ氏「米国が攻撃されても日本は助ける必要はない」安保条約に不満
毎日新聞 6/27(木)0:44配信
トランプ米大統領は26日、米FOXテレビの電話インタビューで、日米安全保障条約について「もし日本が攻撃されたら、米国は第三次世界大戦を戦う。あらゆる犠牲を払って戦う。しかし、米国が攻撃されても日本は助ける必要はない。ソニーのテレビで、攻撃されているのを見ていられる」と述べ、防衛義務の片務性に関し不満を述べた。
これ、選挙戦中はよくいっていましたが、大統領になってからはいわなくなっていた。G20前にいいだしたのは、偶然とは思えません。日本に来てからも。
トランプ大統領来日「日豪の面倒みてきた」同盟が片務的と強調
毎日新聞 6/27(木)22:20配信
トランプ米大統領は27日、主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席するため大統領専用機で大阪の伊丹空港に到着した。市内のホテルでモリソン豪首相と会談し、3日間の滞在日程をスタートさせた。会談冒頭、日本や豪州との関係について「とてもよく面倒をみてきた」と発言。「巨額の貿易赤字を抱え、軍事面でも助けている」と述べ、貿易、安全保障両面で同盟国との関係が片務的との主張を繰り返した。
なんだか「不機嫌」ですね。思い出されるのは、トランプさん、5月に来日した時は「幸せそうだった」ということ。5月末時点で、安倍―トランプ、日米関係は大変良好だった。

しかし、トランプさんは今、日米関係にいろいろ文句をいっている。ということは、1か月間の日本、あるいは安倍さんの行動に不満だということでしょう。何が?

日本は、「タンカー攻撃イラン犯行説」を疑う

この1か月で、もっとも目立ったできごとは、安倍さんがイランにいったことでしょう(6月12~14日)。アメリカとイランの仲を好転させようとした。しかし、うまくいきませんでした。このことは、問題ないでしょう。正直、「安倍総理の仲介で、アメリカとイランの仲は劇的に改善される」と思っていた人はいません。

問題は、訪問中におきた「タンカー攻撃」です(6月12日)。トランプさんは、即座に「イランがやった!」と断定しました。アメリカは、証拠らしきものも出した。
タンカー攻撃、「機雷除去するイラン軍」の映像 米が公開
6/15(土)6:04配信
【AFP=時事】中東のオマーン湾(Gulf of Oman)でタンカー2隻が攻撃を受けた問題で、米政府は、イラン革命防衛隊(IRGC)がうち1隻の攻撃に関与したことを示すとする低画質の映像を公開した。米中央軍(US Central Command)のウェブサイトで13日に公開された映像は、イラン巡視船の乗組員が不発の吸着型機雷を船腹から除去する様子を捉えたものとされる。船体についているマークは、攻撃を受けた日本のタンカー「コクカ・カレイジャス(Kokuka Courageous)」を撮影した過去の映像や写真と一致しているように見える。
しかし、「イラン説」を支持したのは、イギリス、イスラエル、サウジなどわずか。ほとんどの国は、「ほんとにイランがやったんですか~~~」という反応だった。さて、わが国はどのような反応だったのでしょうか?
タンカー攻撃、米に証拠提示要求 政府、「イラン関与」同調せず
共同 6/16(日)6:00配信
政府がホルムズ海峡付近で起きたタンカー攻撃を巡り、イランが関与したとする米国の説明に同調せず、裏付けとなる証拠を示すよう米側に求めていることが分かった。米側主張は説得力に欠いているとの受け止めが背景にある。
なんと日本政府は、アメリカの主張を信じなかった。それで、「証拠だせ!」と要求した。「安倍はトランプのポチ論者」に「どこがポチだ!?」と質問してみたいものです。

私は、この対応、正しかったと思います。アメリカは、イラク戦争時も、2013年8月のシリア攻撃の時も大きなウソをつきました。だから、ごく一部以外の国は、日本と同じ対応です。

しかし、それはそれとして、トランプさんは、おもしろくなかったでしょう。「イギリス、イスラエル、サウジのように支持してほしかった」ことでしょう。そのせいか、後でトランプさんは、「タンカーは自分で守れ」と発言しました。

日本は、アメリカの敵に接近する

こちらは、イラン問題よりもっと深刻。アメリカは2018年、中国と「覇権戦争」を開始しました。これは、ただの「貿易戦争」ではありません。「世界の覇権」をかけた戦争です。

もちろん「戦争」といっても、「戦闘」ではありません。情報戦、外交戦、経済戦。それでも、米ソ冷戦と同じように、「世界の覇権をかけた戦争」であること、間違いありません。

ところで日中関係は、2010年の尖閣中国漁船衝突事件、2012年の尖閣国有化以降、ず~~~と悪かった。しかし、2018年に米中覇権戦争が起こったら、とたんによくなった。これ、わかりますね。アメリカにたたかれた中国が、日本にすり寄ってきたのです。

日本は、この動きを大歓迎した。わかります。中国は、「日本には、尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している。日中関係がよくなれば、中国が尖閣、沖縄を侵略する可能性は減るでしょう。

しかし、アメリカから見るとどうでしょうか?「日本は、アメリカと中国を戦わせて、漁夫の利をえようとしているのではないか??」と疑念をもちます。日本としては、「ただすべての国と仲良くしたいだけ」かもしれない。しかし、アメリカから見ると「安倍は、狡猾な野郎だ!」とうつるに違いない。
安倍氏「日中、完全に正常軌道」 習氏「来春訪日いい考え」 日中首脳会談
6/27(木)21:38配信
安倍晋三首相は27日夜、主要20カ国・地域(G20)首脳会議のために来日した中国の習近平国家主席と大阪市内のホテルで会談した。中国の国家主席の来日は、2010年11月の胡錦濤氏以来9年ぶり。首相は「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」とし、「来年の桜の咲く頃、習主席を国賓として日本に迎えたい」と表明。習氏は「来春の訪問は極めていいアイデアだ。外交部門で具体的な時期について調整してほしい」と応じた。両国は首脳往来を軌道に乗せ、日中関係を発展させる方針だ。
日本の同盟国アメリカは、覇権をかけて中国に戦いをいどんでいる。そんな時アメリカの同盟国は、アメリカの敵中国と、「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と大喜びしている。アメリカから見れば、これは「深刻な裏切り行為」に見えるでしょう。

日本の問題はなんでしょうか?トランプさんがなぜ不機嫌なのかわからないことです。

日本は「いつか来た道」をいくのか?

現在の世界は、「米中覇権戦争」を中心にまわっています。平時であれば、「善隣友好外交」はよいことでしょう。しかし、戦争がはじまったら、どっちにつくか選ばなければなりません。

中国は、「日本には尖閣だけでなく、沖縄の領有権もない!」と宣言している。アメリカは、日本の領土を狙っていない。そして、アメリカは日本の同盟国である。だから日本は、はっきりとアメリカの側につくべきなのです。

第2次大戦中、日本は愚かにも負ける側のドイツを同盟国に選んでしまいました。今回は、中国を選び、アメリカを怒らせ、また敗戦国になるのでしょうか?

安倍総理は、ここまで外交を非常にうまくされています。しかし、最後の最後で選択を間違えば、すべて台無し。せめて、「同盟国(米)は、日本の領土を狙う国(中国)より大事」という常識を忘れないでいただきたいです。

【私の論評】米保守派の歴史観を多くの日本人は理解していない(゚д゚)!

昨年は、日本の総理大臣による7年ぶり中国公式訪問がなされました。昨年10月25日からの安倍総理中国訪問を日本の各メディアは「歓迎」という言葉で報じましたが、日本人の多くは、なぜ歓迎できるのかがわからなかったようです。

首脳会談に際し安倍総理を迎えた習近平国家主席の表情が「柔らかかった」のも話題となり、メディアはその理由を躍起になって解説しました。そしてたどりついたのが「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」という理屈でした。

つまり、米国との深刻な対立を抱えた中国が日本の理由価値を見出して寄ってきたというわけです。

安倍総理の訪中いあわせて天安門前で翻る日の丸

これは、現在でも、最も説得力のある解説として市民権を得ているようです。そして同じ文脈で語られるのが、「日本が利用されないように……」という警戒です。ブログ冒頭の記事もまさにこのことを指摘しています。

しかし、この解釈は必要条件の一部は満たしているようですが、十分条件にははるかに及ばないと言わざるを得ないです。

日本人が好む「1+1=2」という公式的な思考ですが、逆算して、日本との関係を改善した中国が、それを理由に対米関係を改善できるかといえば、その可能性はほとんどゼロに近いことを考えれば無理のある理屈です。

そもそも昨年の首脳会談の実現は、中国が「すり寄ってきた」ことで実現したのでしょうか。

首脳会談前後の歓迎ぶりを見る限り、中国が対日関係の改善に前向きであるのは疑いないようではありました。しかしそれは、中国式表現を借りて「氷は解けたのか?」と言われれば、明らかにそうではないです。周辺の氷は確かに解けたのですが、真ん中の氷はまだ解けてはいないからです。

例えば、日本側は当初、安倍総理の訪問を日中平和友好条約40周年に合わせた10月23日を希望し、それに合わせて調整されてきていたのですが、最終的に中国側の都合で25日からに変更されましたた。

いったいどんな重要な用事でそうなったのかといえば、それはなんと同時期に開通した「港珠澳大橋」の式典への習近平氏の出席と広東省視察のためでした。中国が何が何でも日本を取り込もうとするならば、日程は調整できたのではないでしょうか。

昨年10月23日「港珠澳大橋」の式典に参加した習近平
安倍総理との首脳会談に臨んだ習近平国家主席は、広東省の南部戦区の視察から駆け付けたということで、テレビ番組によってはそっちがトップニュースで、2番目に日中首脳会談という扱いのところもありました。


とても死活的、短期的に日本との関係を改善したい国の行いではありません。

このことは首脳会談とそれに絡む行事を詳細に見てゆくと、なお鮮明となります。

例えば、習近平国家主席が首脳会談で述べた言葉ですが、日中の現状を評して「双方の共同の努力の下で、目下の中日関係は正常な軌道に戻りつつあり」と語っています。注目点はあくまで「戻りつつあり」と表現していて、「戻った」とは言っていなかったことです。中国の文面を確認しても同じく「勢頭」という言葉がついていました。

とはいいながら、中国が日本のとの関係を突き放しているのかと言えば、それも違います。

李克強総理は日中平和友好条約40周年招待会でのスピーチで、「正常な軌道に戻ったうえで積極的な発展の勢いを呈している中日関係」と評していたからです。

総理が「(正常な軌道に)戻った」と語っているのに、国家主席が「戻りつつある」としたのは単なるミスではありませんでした。「言葉の国」と表現される中国がそんな雑なことをしたはずはありません。

では、どういうことだったのでしょうか。

考えられることは、経済を担当する国務院総理は「戻った」と言い切ることができても、政治を担当する国家主席(党中央総書記)はまだ現段階で「戻った」とは言い切れなかったということです。

これは国民の目を意識しつつ、手放しで日本との距離を詰めるのには、ほんの少し慎重でなければならないということを意味していたのです。

日本との関係を深めたい動機は、早くから中国に芽生えていたのですが、その歩度は石橋を叩いて渡る如くというわけです。

そもそも日中の接近は、中国が2016年の末にその必要性を認識したからでした。理由は、安定した経済発展を続けるためには、外国と対立を抱えることが大きなマイナスになることを中国自身が実感したからです。


とくに南シナ海問題で袋叩きに遭った直後から全方位的に各国との関係改善に乗り出したころに始まり、日本側は2017年4月のマール・ア・ラーゴの米中首脳会談でトランプ大統領と習近平国家主席の間に良好な関係が築かれたことで対中包囲網という途方もないアイデアに終止符を打ったことに始まり、その後も駐日中国大使館主催の国慶節イベントに総理が出席してラブコールを送るなど、双方の動きは1年以上も前から活発で米中対立の前からのことでした。

つまり米中対立は日中接近の動機の一つの要素として指摘することは間違いではないのだですが、十分な説明とはならないのです。

ところが、おそらく日本では単純化されて「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」という解説だけが残ったようです。

この小さな誤差は、間違いとははっきりとは言えないものだけにやっかいで、最終的には日本人の対中国観を大きく歪めてゆくことになることが心配です。

しかし、「中国が日本に対してすり寄りしていない」証拠として一つはっきりしていることがあります。中国による尖閣付近での示威行動が未だに続いているということです。

沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で2日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは17日連続です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告しました。

このようなことがなくならない限り、日本は中国が日本にすり寄ってきているなどとみなすべきではないのです。

「『米中貿易戦争』で中国が日本にすり寄ってきた」等というのは、一部の財界人と、いわゆる親中派・媚中派の政治家のみととらえるべきでしょう。

そうして、このような勢力が日本に存在していることが、トランプ大統領を苛立たせているのです。

米国では、このブロクでも何度か解説したように、メディアのほとんどがリベラル派によって占められています。大手新聞は、すべてリベラルです。ウォールストリート・ジャーナルなどを保守系のメディアとする人もいますが、歴史が古いだけで、やはりリベラルです。

テレビ局も大手は、ほとんどリベラルで、例外的にフォックスだけが、保守です。

そのため、表立って保守派が声を大にしてものを語っても、メディアは取り上げずかき消されることが多いです。しかし、米国の少なくとも人口の半分は保守派です。そうでなければ、トランプ大統領は誕生していなかったはずです。米国には、トランプ大統領の誕生の原動力ともなった、草の根の保守運動が息づいています。

そのリーダー的存在だった、フィリス・シェラーフリー女史(2016年逝去)は、以下のように語っています。
我々がルーズベルト外交の再検証をしているのは日本を見直すためにしているのではない。 
なぜ我々アメリカ人は今、中国共産党の台頭に苦しまなければいけないのか。なぜ我々は北朝鮮の核に悩まなければいけないのか。 
なぜ我々は今、こんな状況なのか。なぜ今、アジアはこんな状況なのか。 
それらを過去にさかのぼって調べていくと、ルーズベルトのヤルタ外交に行き着くのだ。ヤルタの見直しは過去の問題ではない。今の外交政策を見直すためにルーズベルト外交の徹底的総括は乗り越えなければいけない。
また、以下のようにも語っています。
私たちの草の根運動は60年代に反共運動としてスタートした。当時の反共アメリカ人はヤルタ会談は間違いでルーズベルトは裏切り者と考えていた。 
ヴェノナ文章のおかげで自分たちが正しいと言うことが分かった。 
アメリカの保守主義者はルーズベルトの工作によって、当時日本が真珠湾攻撃をせざるを得なかったと理解している。そのことを日本に知ってほしい。
米国の保守派は、反共の防波堤としてソ連と対峙して日本と戦争をしたのは間違いであったという歴史観を持っています。このようなことは、米国のメディアのほとんどが、リベラルであるため、つい数年前まではほとんどの日本人は知りませんでした。今でも、知っているのは一部の人だけでしょう。

ルーズベルト

米国の保守派は、ルーズベルトにより、米国はかつてはソ連の台頭をゆるし、今は中国の台頭を許し、北朝鮮の核に悩むことになったという歴史観を持っているのです。

そうして、現在米国は保守派だけではなく、超党派で中国と対峙し、冷戦を戦っています。そんな中で、同盟国であるはずの日本の一部の財界人、与党内にも存在している親中派、媚中派の政治家が存在するということに、トランプ氏は怒りが収まらなかったのでしょう。

最近トランプ大統領が、日米安保見直しの可能性を示唆したのも、こうしたことの延長線上にあるものとみるべきです。

まさに、「同盟国(米)は、日本の領土を狙う国(中国)より大事」という常識を忘れないでいただきたいですし、米国保守派は先の大戦で、日本と米国が戦ったのは間違いであり、そのためにソ連を台頭させ、現在では中国を台頭させ、北朝鮮の核に悩むことになったという歴史観を持っているのです。

このような歴史観に立脚すれば、日本の一部の財界人、親中派、媚中派の政治家など裏切り者と見えるのは当然のことです。この歴史観を理解していないからこそ、大方の日本人はトランプ氏の怒りを理解できないのです。

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