2011年5月20日金曜日

アマゾン Kindle版電子書籍の販売冊数、紙本の全種合計を上回る―【私の論評】ありとあらゆる手段を講じて、キンドル本の売上をあげるAmazon!!

アマゾン Kindle版電子書籍の販売冊数、紙本の全種合計を上回る


米 Amazon.com が、Kindle電子書籍の販売数がプリント版書籍を上回ったことを発表しました。アマゾンによれば、今年の4月1日以降、紙本100冊に対してKindle本は105冊の割合で売れているとのこと。紙本の売上冊数はハードカバーとペーパーバックの両方を合計した数。Kindle本の販売数には無料書籍は含みません。また紙本の売上が落ちたせいで Kindleに抜かれたわけではなく、アマゾンでは紙本の売り上げも成長しているにもかかわらず、とわざわざ付記してあります。

去年の10月には、Amazonの書籍ベストセラーTOP1000についてKindle本の月間売り上げが紙本を上回り、TOP10については Kindle本 2冊に対して紙本1冊に達したことが発表されていました。今回の発表では、Kindleエディションが存在していない本も含むすべての紙書籍の売り上げよりも Kindle 電子書籍のほうが売れていることになります。

ベゾスCEOのコメントは、「( Kindle本の紙本越えは) いずれは訪れるだろうと望みを抱いていましたが、ここまで早く実現するとは想像もしていませんでした」。

また今月発売されたばかりの " Special Offer " 付き114ドル版 Kindle が、広告なし Kindle (139ドル) や大型のKindle DXを含む Kindle製品ファミリでもっとも売れている製品になったこともあわせて発表されています。

【私の論評】ありとあらゆる手段を講じて、キンドル本の売上をあげるAmazon!!


Kindle本(Kindle本を読むハードのことではない)が売れるであろうことは、もうすでに十分前から判っていました。とうとう、今日のこの日をむかえたのは、当然のことでもあります。

とにかく、Amzonは、kindle本が売れるようにありとあらゆる、手段を講じてきました。

昨年の、8月27日には、「Kindle」新モデル登場しています。WiFi専用モデルの「Kindle Wi-Fi」が139ドル(約1.2万円)、3G+WiFi対応版の「Kindle 3G」が189ドル(約1.6万円)で、安くなったぞ!って報道されていましたが、何よりもすごいと思ったのは、日本語対応してしまったということでした。昨年のバージョンアップで、PDF表示ができるようになりました。

Kindleのすごさは、単独ですべてができてしまう気軽さです。Kindleさえあれば、Amazonから本を、その場で買えて、ものの60秒もあれば読み始めることができます。この手軽さは、何もにもかえがたいです。

本屋に行って買うという手間も、Amazonに紙の本を注文して宅急便で受け取る(で、不在通知が入ってて何度も電話のプッシュボタンを押させられる!)という手間もありません。

デバイスも軽く、Eink(電子ペーパー)で目も疲れません。読むことに特化した真の電子書籍端末です。いわゆる、ガジェット好きではなくて、読書好きに向けてつくられたマシンです。

このEinkの良さは、野外で特に、日向で見てみると良くわかります。上の動画のCMはいわゆる、ネガティブキャンペーンのように受け取る方もいるかもしれませんが、EinkのKindleが、そうではない、iPadよりはるかに読みやすいことは事実です。


しかし。昨年までは、Kindleが日本語対応していなかったために、その利点を日本人は全く享受できませんでした。昨年ようやっと、日本語対応しました。まさに『ドラえもん41巻』に登場した「未来図書券」が実現するのです!

「未来図書券」は、ほしい本がすぐに届けられる未来の本注文システムでした。とはいえ、注文はハガキに書いてポストに入れるのだから、ドラえもんがいる未来よりももっと便利な世界が到来するということです。

しかし、結局日本の出版社がすぐさまガンガンKindle用の日本語の電子書籍を出すかどうかは、今の時点でもまだはっきりしません。しかし、時間の問題でしょう。出版社側は、ほとんど手間暇がかからず、収益が増えることになります。アップル帝国のiBookなどと違って、わけのわからない理由でリジェクトされることもまずありません。



昨年、出版社等向け説明会で、アマゾンは、「キンドル日本市場参入1〜2年はやりません」と言ったとのことです。これって「我々は十分働きかけた。君達が動かないのなら、君達が自滅する1〜2年先まで待つしかないね。…でどうする?」って意味だと思います。

個人が出版できるAmazon DTPも、いずれ日本語対応するとみられます。そうなれば、個人やチームやエージェントとして、日本語の電子書籍出版が加速することもまちがいないと思います。

そうして、昨年に続き、今年は、kindle本をほとんどありとあらゆるデバイスに対応させてしまいました。これは、以前このブロクにも掲載しました。これで、Kindle本は、kindleは無論のこと、アップルのiPhone、iPad、MacPCなどすべてのデバイスで読めるのは無論のこと、Android端末、WindowsPC、ブラックベリーなど、ほぼすべてのもので読めるようにしていしまいました。

おそらく、日本の出版社など、たとえば、例のガラパゴス端末で読めて、他では読めないようですが、そんなことをやっていては、またまた、電子書籍のガラパゴスになってしまうのではないかと思います。

それに、あまりにも当たり前といいながら、それが、Amazonの強みなのですが、とにかく、書籍の種類、アイテム数が圧倒的に多いです。こんな感じで、日本語の書籍を出したとしたら、日本の業界などほとんど太刀打ち出来ませんね。何か、最初から決着がついてしまったような気がします。

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2011年5月19日木曜日

米国人の中国経済への理解に4つの誤り―米誌―【私の論評】日本人も勘違い!!震災直前に日本に多数来ていた中国の富裕層は、あなたよりも、年収が少なかったかもしれない?

米国人の中国経済への理解に4つの誤り―米誌



2011年5月12日、米誌タイムは記事「中国経済に対する米国人の見方は“単純”か?」を掲載した。17日、新華網が伝えた。

先日、中国の王岐山(ワン・チーシャン)副首相は、米有名インタビュー番組「チャーリー・ローズ・ショー」に出演。「中国経済に対する米国人の見方は“単純”すぎる」と批判した。米誌タイムは、確かに中国経済は誤解されている側面があるとして、以下4点を指摘した。

(1)中国人は米国の労働者から仕事を奪っている―間違いではない。ただし労働集約産業がより労働コストの安い国に移動するのは当然のこと。中国人が仕事を奪わなければ、インドなど別の国が奪っていただろう。

(2)中国は為替レートを操作し、米国経済に悪影響を与えている―確かに中国政府は為替レートをコントロールしている。しかし、人民元問題は諸悪の根源のように言われるが、それは過大評価だ。2005年比で人民元レートは約27%上昇しているが、中国の対米貿易黒字はさらに拡大しているのが証左と言える。

(3)中国は米国以上にうまく資本主義社会を実現している―米国と中国は異なる発展段階にあり、単純な比較は不可能だ。金融危機にあたり、中国が巨額の財政出動で景気低迷を食い止めたが、それは資本主義というよりも政府機能がうまく働いたに過ぎない。

(4)中国が米国に取って代わり世界一の経済体となることは確実―GDPで米国を抜く可能性は高いが、しかしそれは米国が世界経済における主要な地位から転落することを意味しない。中国はインフレ、貧困、巨額の負債、格差など大きな問題を抱えている。またイノベーションの発信地と世界主要市場としての米国の地位を揺るがすものではない。

【私の論評】日本人も勘違い!!震災直前に日本に多数来ていた中国の富裕層は、あなたよりも、年収が少なかったかもしれない?
日本では、アメリカ人のように単純すぎるような見方はしていないようですが、勘違いしているところは多いようです。

その一方で、日本人とアメリカ人が共通で勘違いしているとこもあるようです。まず、GDPに関しては、両国とも、中国の人口が、13億であるということをあまり認識していないようです。

日本の人口は、1億2千万、アメリカは3億人、中国は、13億人です。この人口の違いを忘れている人は、多いです。一人あたりのGDPということでは、以下の表の通りです。それに、現在日本は、デフレの真っ最中にあるということで、GDPが本来の国の実体経済よりも低くくなっています。

これに比べると、中国などは、完全なバブルであり、本来の国の実体経済よりも高くなっていることは確実です。

年度2011
日本45,659.37
アメリカ48,665.81
インド1,382.40
中国4,833.29
ブラジル12,422.94
ベトナム1,327.49
ロシア13,542.89
ついでに、グラフなどで示すと以下のようになります。

[世] 一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1981~2011年)の比較(日本、アメリカ、インド、中国、ブラジル、ベトナム、ロシア)

それに、両国民とも大きな勘違いがあるようですが、そもそも、日本や、アメリカなどは、国の統計に関して、特に手を加えるなどのことはしませんが、中国ではそれは、当たり前の真ん中で行われているということがあります。

さらに、ある程度国のインフラが整備し終わった日本や、アメリカのような国は、さしあたって、インフラなどに大きな整備をする必要はいですが、中国のような国では、まだまだ、インフラが整っておらず、インフラを整備するためだけでも、かなりの投資が必要であり、それだけでも、GDPが膨らむ傾向があります。そのため、中国では、最低6%の経済成長がなければ、雇用を完全に吸収できません。これは、アメリカや日本と大きな違いです。

そもそも、中国では日本やアメリカのようにしっかりとして統計数値などはとることはできません。奥地のほうの経済など確かめようもない部分があります。もともと、地方政府(省、市)は、中央政府への報告のため、GDPを高く報告する傾向があります。

実際、中国の統計には、良くほころびが見られることがあります。たとえば、過去には、ほとんどすべての省のGDPが、全体平均よりも上回るという信じがたいこともありました。さらに、ある四半期のGDPが伸びているにもかかわらず、同期の鉱工業部門における、電気使用量が減っているなどの不可思議な現象も起きています。

3年ほど前に、年収100万円を超えた人が、1000万人を超えたとされています。富裕層といっても、実数はかなり少ないことがおわかりなると思います。これは、一人あたりのGDPが日本の約1/10程度なので、本当にこの程度なのだと思います。ちなみに、日本では、中国の富裕層の人口が、1億数千万人という説がまことしやかに流れていますが、それでは、一人当たりのGDPが日本の約1/10に近いという事実とつじつまがあいません。だから、これは、全く根拠ないデマだと思います。

いわゆる、中国の本当の富裕な人はほんの一握りしかいません。それに、中国では、ここ数年、年収200万円くらいの人が、1億円のマンションを購入するのは当たり前という状況です。日本や、アメリカでは、年収200万円の人が、1億円のマンションを購入できるでしょうか?これは、いくら物価が異なるといっても、あのサブプライムローンが問題になったアメリカですらありえなかったことです。

だから、あの地震の直前まで、日本に多数来ていた、いわゆる中国の富裕層といわれる人々のほとんどは、このブログを読んでいるあなたよりも、年収は少なかったかもしれません。無論、マンションなど転売した利益で、資産は、あなたよりはるかにもっていたかもしれません。しかし、どこの国でも、本来の職業などで得た収入を年収というのであって、マンションなどの転売は、年収とはいいませんから。税制上でもそうです。これは、日本も、中国も同じことです。

年収、200万では、日本の銀行では、絶対に1億のマンションのローンは組みませんね。物価の違いを考慮して、400万でも、あり得ないでしょう。おそらく、上限は数千万だと思います。アメリカだって同じ事だと思います。アメリカのサブプライムローンは、年収400万以下の人に対してのローンが問題になっていたと思います。これは、最初から失敗ということが目にみえていました。そうして、ものの見事にほんの短期間で破綻しました。

こんなところかみても、もう、中国は完璧にバブル状況だと思います。でも、そんな様子はちっともみえないじゃないかなんて人もいるかもしれません。でも、バブルが崩壊し始めても、気づかない人が多いなんてことは、日本でも経験済みですね。

そうです。日本では、バブルの崩壊は、1980年代の後半から1990年代のはじめにかけておきました。たとえば、バブル景気の象徴として取り上げられる事の多い「ジュリアナ東京」ですが、実際はバブル崩壊が進行中の真っ最中である1991年5月に開店しています。このように、バブル崩壊は、その真っ最中の当事者の人々にはなかなか理解できなくて、後になってからわかるという性格が強いものです。ジュリアナ東京の経営者は、先見の明のない人だったのでしょうか、その後の福祉サービスの事業にも結局失敗していますね。だから、中国でも認識されていないということが十分考えられます。

ジュリアナ東京
さて、震災前まで日本に良く来ていた中国の富裕層といわれる人々、中には、極少数の日本のお金持ちと同程度が、それ以上のかたもいらっしゃるには、いらっしゃるのですが、実は、年収300万とか、それ未満のひともかなりいたかもしれません。これでは、震災などがなくても、バブルが完全に崩壊すれば、いずれ、日本に来れなくなる人が大部分だったかもしれません。

こんな状況は、アメリカ人はもとより、日本人でも勘違いしているかもしれません。

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2011年5月18日水曜日

Chrome OS搭載ノート「Chromebook」、まずはSamsungとAcerから―【私の論評】気になるAndroid3.0との棲み分け?

Chrome OS搭載ノート「Chromebook」、まずはSamsungとAcerから


http://journal.mycom.co.jp/news/2011/05/12/016/index.html


【私の論評】気になるAndroid3.0との棲み分け?
ChromeOSを搭載した、ノートパソコンがとうとう発売です。発表から何年またされたことでしょう。しかし、とうとう発売されることが決定です。しかし、このChromeOSが発表されてから、いろいろありました。特に、Androidという新たなOSが発表されたことは大きいです。

それも、最初は携帯用として、Androidが発表されました、これは、バージョンアップされつつ、Androd2.0になっています。そうして、次にAndrod3.0は、タブレット用というような位置付けで発表されています。そうして、実際にこの春から、これを搭載したタブレットが販売されつつあります。

こうなると、何がどうなるのか良く判らないという感じです。しかし、このことを理解するには、Techno Chranchが今月の11日に掲載した、Google I/O: AndroidとChrome OSの棲み分けはどうなるのかという記事が参考になりそうです。以下にその要約を掲載しておきます。
Googleは、同社内部のプラットホーム戦争の、正念場に達しつつある。AndroidとChrome OSの定義と性格分けと将来像を明確にすべき時期が、迫っているのだ。おそらく内部的には固まっているし、ある種の中期計画のようなものもあるのだろうが、しかし遅かれ早かれ世の中にそれを知らしめなければならない。そして今日(米国時間5/10)のGoogle I/Oには、重要なヒントがあったようだ。 
ヒントとは、今日の2つの発表だ: ひとつはGoogleとしては予想どおりのMusic、もう一つはOpen Accessory Toolkitというサプライズだ。GoogleはOSの二股戦略を、基本的に、次のように性格づけたと思われる: Chrome OSはあらゆるところに、そして、Androidはなんにでも。 
人びとがAndroidを使ってファンやLEDなど…多様な外部機器…をコントロールできるようにする。そのどこが重要なのか? GoogleがAndroidを、携帯電話のOSではなく、汎用の小規模OS(対象機器は最大でもタブレットぐらい)と位置づけたことが、重要なのだ。今後のAndroidは、細かな改良は進むにせよ、今のHoneycombと大きくは変わらないだろう。最大がタブレットなら、最小は?…なんにでもだ。電子レンジ、車、メディアプレーヤー、ロボット、時計、玩具、ツール、顕微鏡、レントゲン装置、セットトップボックス、カメラ、…例は限りなく挙げられる。とにかくCPUがあってインタフェイスがあるものならなんでもAndroidでコントロールできる、とGoogleは考えている。そうそう、それに、Google語で言うなら、それらの機器は互いにお話しできる。キッチンの冷蔵庫からPandoraをコントロールしたいかな? ぼくはたまたましたくないが、それ的なことをしたい人は何億もいるだろう。

ブラウザさえあれば何でもできる、と悟った人なら、Chrome OS製品を使えばよい。しかも、ほかのタブレットを買った人も、Googleのサービスを大量に利用する。Chrome OS云々ではなく、業界が欲しいのは、低価格製品に使える安定性の良い、あまり自己主張をしないOSだ。さらに、エンドユーザにとっては、Chrome OSを使うこととChromeブラウザを使うことの区別はほとんどない。何を使っても、調べごとなどほとんどのコンピューティングが、ブラウザ内で行われるからだ。自分の音楽を聴くのも、ムービーをレンタルするのも、やはりブラウザ内だ。写真も、メールも。下の図で、矢印の数を増やすのはとても簡単だ:
 
このようなエコシステムは今の消費者にとっては先進的すぎるから、Googleはデベロッパ向けのI/Oを発表の場に選んだ。それは、Los Angeles GalaやKe$haなどをゲストに招く、派手な立ち上げイベントではない。Googleはただ、将来を見据えている。「アプリケーション国」から「ブラウザ国」に移行する道筋を。 
少なくとも、Open Accessory Toolkiの発表の席で、Arduinoのボード(この記事の最初の写真)について話を聞いたかぎりでは、見えてくるのは以上のようなビジョンだ。しかもそれは、Appleの両目を突く戦略としてきわめて有効だ。モバイルとアプリに強くても(無敵で最強だが!)、そのほかの世界…クラウドなど…に関して弱いAppleは、攻めやすいともいえる。まず、Appleが参入できない領域(ハッカー的コンピューティングと組み込みコンピューティング)で勝利し、次にAppleが売るすべてのユニットを、Googleのユニットで置換していく。このハンニバルのような挟撃作戦は、Appleのサービスと製品群の脇腹を突く。しかもAndroidの成長は堅調に続くから、モバイルの中央最前線は安泰だ。 
ただし問題は、消費者への売り方。それには時間がかかるし、元々Googleはマーケティングの名手ではない。敵たちは、そこを見逃さないだろう。Chrome OSはまだ、Googleが願ったような普遍的なプラットホームではないが、Androidは1年以内にハイエンドとローエンドの両方向で地位を確立するだろう。タブレット戦争が激化し、クラウドサービスはコンピューティングの主流に近づく。iPhone 5とNexus X(など)とNFCと、そのほかの予想もできない何百もの技術〜製品〜イベントが、その同時期に出現するはずだ。 
その1年に起きる多くのクレージーなものごとによっては、この突飛な記事さえも、無に帰してしまうことすらありえるだろう。
いろいろと、上記の文章、複雑に書いていますが、これから類推するに、要するに、Google提供のOSも、アップルのiOSと、macOSのようなことになるという事だと思います。要するに、iPhone、iPad、iPod向けの、iOSに相当するのが、Android、ノートパソコン、デスクトップパソコン向けのmacOSに相当するのが、ChromeOSというわけです。

いずれ、Andoidは、一本化され、携帯電話をはじめとする、タブレットPCをも含むガジエット用のOSになるのだと思います。もっとはっきりいえば、パソコン以外のデバイス用のOSという位置づけということになるということです。

ノートパソコン、デスクトップパソコン用には、ChromeOSということですが、これが、今までの、マイクロソフトのWindowsOSや、macOSなどとも異なり、最初から、クラウドをつかうことを想定しているという違いがあるという事だと思います。

それに、これは、以前も書いたことなのですが、ChromeOSは、無料で提供されるということと、パソコン向けであるということから、パソコンそのものを低価格化を実現することができるので、いわゆる、世界の貧困層にも購入できる可能性が高いので、貧困層(BPO)ビジネスをも狙っていると思います。今のままだと、インターネットのトラフィックを飛躍的に増大することなど難しいですが、いわゆる現在貧困層といわれている人が、バソコンを持ち、インターネットをすることができるようになれば、飛躍的に増えることが予想されますし、貧困層が情報を得ることにより、貧困から抜け出すきっかけづくりができるようになると思います。

いずれにせよ、消費者にとっては、選択肢が増えたと思います。特に、iPadや、Android3.0を搭載したデバイスは、ハードディスクなどは搭載しておらず、SDDを搭載しており、とにかく、プラウザを観るには、速度がかなり速いという特徴があります。

それに対して、いままでのパソコンは、たいていは、大容量のハードディスクを搭載しており、これを使うことから、起動なや、ブラウザの閲覧などでは、どうしても速度の点で劣るという欠点がありましたが、今後は、ノートパソコンでも、SDDでしかも、ChromeOS搭載ということで、速度なども、iPadなどとさほど変わらなくなるわけです。SDD搭載のノートパソコンなど、以前からもありましたが、今後、ChromeOS搭載パソコンが発売されることにより、SDD搭載ノートパソコンが多数発売されるようになり、はるかに選択肢が増えることが予想できます。

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2011年5月17日火曜日

中国の高速鉄道には重要な軍事的意図が隠されている―米誌―【私の論評】敵に塩をくれてやっただけではなく、軍事力の増強にも手をかしている平和ボケ日本!!

中国の高速鉄道には重要な軍事的意図が隠されている―米誌

中国高速鉄道と女性乗務員
14日、米ジェイムズタウン財団が発行する雑誌チャイナ・ブリーフは、中国人民解放軍総後勤部・軍事交通運輸部の話として、中国の1000を超える鉄道駅には軍事輸送施設が備わっていると報じた。写真は江蘇省蘇州市にある崑山南駅。

2011年5月14日、米ジェイムズタウン財団が発行する雑誌チャイナ・ブリーフは、中国人民解放軍総後勤部・軍事交通運輸部の話として、中国の1000を超える鉄道駅には軍事輸送施設が備わっていると報じた。以下はその概略。

国際社会における中国の台頭に伴い、中国の軍事力も大幅に増強。中国指導者たちの理想は日増しに膨らみ、さらに積極的に自国の利益保護を追求するようになった。中国が鉄道網の整備に全力を挙げているのも、人民解放軍の移動能力を向上させるため。それらはさらに周辺地域にまで延伸しており、米国を始めとする西側諸国の同地域における利益に重大な影響を及ぼしている。

中国は現在、チベットとネパールに続く高速鉄道路線を開通させており、さらにラオス、シンガポール、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマーにも伸ばす予定。また、昨年11月には新疆ウイグル自治区−キルギスタン−タジキスタン−アフガニスタン−イランを結ぶ路線を建設することで各国と合意。このほか、イラク−シリア−トルコ−欧州を結ぶ路線の開通も計画している。

これらは国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が提唱するアジア横断鉄道(TAR)の理念に基づいたもの。これは中東を中枢としたアジア間およびアジアと欧州を結ぶ鉄道路線網である。こうした鉄道網の充実に加え486.1キロという世界最高速度が、中国の遠征能力を格段に向上させるだろう。現代版の「シルクロード」が米国および西側諸国の脅威になることは間違いない。(翻訳・編集/NN)

【私の論評】わざわざ当たり前のことを発表する米誌の意図は?

ドイツ列車砲ドーラ 右から二番目がヒトラー、右が軍需大臣のアルベルト・シュペーア
鉄道が、軍事目的のためにも存在することは、世界の常識です。駅付近に、軍事施設をおくおかないは別にして、それは、昔からの常識です。ちなみに、上の写真は、第二次世界大戦中のドイツの列車砲「ドーラ」です。列車砲の近くに立っている兵隊との対比でみると、その大きさが容易に理解できると思います。

日本でも、昔から、兵隊や、戦車、車両、軍事物資など鉄道で輸送することは昔から普通に行われています。下の写真は、自衛隊の戦車を鉄道で運んでいる様子です。戦車など、重いですから、戦車が自走して、離れた目的地に行くよりも、こうし運んだ方が、燃料もあまりかからず、合理的です。それに、新幹線だって、いざというときには、兵隊を素早く移動するためにつかうことも当然のことです。

最近は、自衛隊員を鉄道で運ぶことはあまりないようですが、私が子供ときは、列車に自衛隊員が多数乗り込んで移動していることもありました。そんなときに、自衛隊員に、「どこに行くのですか」と質問しても、応えてはくれませんでした。やはり、いくら訓練とはいえ、軍事的な機密事項だったからでしょう。

ただし、鉄道輸送には、欠点もあります。それは、一度爆撃、特に複数個所や、要所を爆撃されれば、復旧に時間がかなりかかるということです。だから、戦争になれば、真っ先に爆撃されるのは、鉄道網です。



とにかく、鉄道は、設立当初から軍事目的とは、密接な関係がありました。それでは、なぜ、米国誌がわざわざ、この当たり前を掲載したのか、その意図を探ってみましょう。

それは、やはり、上の文書にも書かれてあるとおり、「米国を始めとする西側諸国の同地域における利益に重大な影響を及ぼしている」のであり、やはり、米国としては、軍事的脅威を煽っておく必要があるためです。

軍事的脅威とはいっても、すぐ戦争になるとかならないとかという意味ではないです。中国による軍事的な脅威が高まれば、アメリカなどは、中国の近隣にも軍隊を派遣しなければならず、軍事費が膨大になるおそれがあるということで、そうならないためにも、脅威があることを明示しておき、近隣諸国に警告を発信するという意味があるのだと思います。

おおかたの日本人は、平和ボケでこのような見方はできなくなっているのではないかと思います。最近、アメリカの中国に対する態度は随分かわってきています。将来の市場として、大きな魅力があるのでしょうが、最近では、中国の軍事力が以前よりは確実に伸びてきています。

しかし、少なくとも、中国の軍事力の実力からいって、10年以上もしなければ、アメリカと局地戦すら満足に戦うことはできないでしょう。空母を導入したとしても、運用までに最低5年、最長で10年はかかるものであり、全く軍事力としてはアメリカには太刀打ちできないです。いまの水準では、日本にも勝てません。

しかし、そうはいっても、中国の隣国といえば、ロシア、インド、日本などをのぞけば、軍事的弱小国ばかりです。特に、中央アジアは別として、東、東南アジアなどでは、日本くらいしか、抑止力になる国はありません。

しかし、その当の日本ですが、特に軍事力を含め、様々な分野で、弱小化しつつあります。こんな、有様では、いつ中国が、この隙に乗じて、東アジア、東南アジアに対して、覇権を強めてくるかわかりません。実際、戦争をすれば、赤子の手をひねるように簡単なことなのですが、実際そうしたり、あるいはそうならないためには、膨大な軍事費を必要とします。イラク、アフガンなどに派兵し、すでに膨大な軍事費を投入しているアメリカは、そのようなことをなるべく避けたいのです。

だからこそ、隣接諸国に対して、警告を発して、できれば、隣接諸国に軍事的な備えをしてもらいたいのです。そうして、はっきり言ってしまえば、アメリカは、日本にその役割をになって欲しいのです。しかし、平和ボケ日本人の多くは、尖閣列島の問題などがあっても、まだ、そのことに気づかないようです。

アメリカ議会では、日本が軍事的備えをする最大の障害ともなっている、日本国憲法につき、改憲に賛成するほうが、多数派になっています。そのことは、以前のこのブログにも掲載しました。当の日本人だけか、そのことに未だ鈍感なようです。

なお、中国の高速鉄道は、日本の技術を盗用していることはこのブログにも掲載しました。日本人は、こうした技術の盗用に関しては気がつくようですが、当たり前の真ん中の、鉄道の軍事利用にまでは、頭が回らないのだと思います。これでは、まるで、敵に塩をくれてやっただけではなく、軍事力の増強にも手をかしているようなものです。平和ボケ日本、ここにきわまれりという所だと思います。米誌は、こうしたことも、やんわりと、指摘するという目論見もあったのかもしれません。

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2011年5月16日月曜日

鹿児島湾でレアメタル発見 国内販売量の180年分―【私の論評】常識を疑え!!自分は、何でも知っている、自分の考え方は、いついかなるときも、常識的だと思い疑うことを知らない人は、結局は、知ったかぶりで、思い上がっているだけ!!

鹿児島湾でレアメタル発見 国内販売量の180年分


                   鹿児島湾の海底でアンチモンが含まれる岩石が採取される=2008年、海洋研究開発機構提供

9割以上を中国からの輸入に頼る希少金属(レアメタル)の一種「アンチモン」の鉱床を、岡山大や東京大などのグループが鹿児島湾の海底で発見した。埋蔵量は、国内の年間販売量の180年分と推定される。ただし、強い毒性によって採掘の際に海洋汚染が生じる恐れがあるため、実際に採掘するには新たな技術の開発が必要という。

研究の成果は、22日から千葉市で開かれる日本地球惑星科学連合大会で発表される。アンチモンは、繊維を燃えにくくする難燃剤や半導体などに広く使われ、日本は95%以上を中国から輸入している。

鉱床が見つかったのは、2003年に気象庁が「活火山」に指定した若尊(わかみこ)カルデラの一部。桜島の北東約5キロの鹿児島湾内にあり、約2万5千年前に大噴火した姶良(あいら)カルデラの主要火口という。07年に約200度の熱水噴出孔を発見した山中寿朗・岡山大准教授(地球化学)らが、付近の鉱物を調べていた。

鉱床は、水深約200メートルの海底に、厚さ5メートルで直径1.5キロの円状に広がっていた。エックス線の調査で平均約6%含まれていることがわかり、全量は約90万トンになると推定した。昨年の国内販売量は約5千トンで、180年分がまかなえる計算になる。中国では含有量約0.5%の岩石から抽出しているといい、鹿児島湾の鉱床の方が効率よく取り出せるという。

ところが、アンチモンにはヒ素と同じ毒性があるため、海砂利と同じような方法で採掘すると海中に拡散する恐れがある。体内に蓄積した魚介類を通し人体にも害を及ぼしかねない。

山中准教授は「海洋汚染を防ぎながら海底から取り出す技術を開発できれば、自給が可能になる」と話している。

【私の論評】常識を疑え!!自分は、何でも知っている、自分の考え方は、いつも常識的だと思い疑うことを知らない人は、結局は、知ったかぶりで思い上がっているだけ!!
日本近海にレアメタルが相当埋蔵されているらしいことは、実はもう数年前から知られていたことでした。しかし、今回は、特に鹿児島湾海底に埋蔵されているものの、埋蔵量の根拠を持った推定ができたということです。これ以外にも、日本にはまだまだ、レアメタルが埋蔵されている海底があります。これらも、今回のように、いずれ明らかにされていくでしょう。

日本近海は、様々な天然資源に恵まれすぎるほど、恵まれています。これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。そうです。メタンハイドレードは、もとより、天然ガス、その他、石油など、ものすごい埋蔵量があることが知られています。ただし、今のところ、原油などの天然資源の価格が安いので、まだ実用的ではないということです。

さて、天然資源もそうですが、まだまだ、日本には、他のとてつもない資源が沢山あります。日本が、資源のない国という考えは、非常識です。

たとえば、日本の持つ電子プリント基板特許の輸出を止めると、ターゲットにされた全ての国の大部分の兵器が使用不可能になります。戦闘機も、ミサイルも、戦艦も、戦車も動かなくなくなります。というより、電子部品を使っているものは、何でも動かなくなります。

日本にしか製造出来ない1m当たり80tの荷重に耐え得る鉄道用レールの輸出を止めると、世界の「物流の要」=鉄道が崩壊します。新幹線の導入も不可能になります。中国の鉄鋼生産技術で生産された粗鋼は、現在、国際市場では「クズ鉄」として取引されています。

購入した国が再度、精錬し直さなければ、「使い物にならない」ためである。たとえば、中国は、今後、国内を縦横に走る大鉄道網の建設を準備しているが、日本が鉄道用のレールを「売るかどうかは、日本の自由」です。これは、何も中国だけではなく、他の国も同じことです。

日本の小松製作所にしか製造出来ない小型のパワーシャベル、ブルドーザーの輸出を止めると、ターゲットにされた国の全ての資源開発・工場等の建設工事・軍事施設の建設が不可能になります。

まだまだあります。

なお、日本にしか製造出来ない、ステルス戦闘機用のステルス機能を持つ塗料の輸出を止めると、米軍の戦略の要であるステルス戦闘爆撃機の製造が不可能になります。

戦闘機・核ミサイル用の、ジェット燃料を、世界中で圧倒的に生産量の少ない軽質油から製造する技術は世界各国が持っています。

一方で、質の悪い、圧倒的に生産量の多い重質油からジェット燃料を製造する技術は日本しか持っていません。日本が重質油原料のジェット燃料の輸出・製造を止めると、世界中で航空機・戦闘機・核ミサイル用の燃料が圧倒的に不足します。燃料が無ければ、最新兵器の軍備は、単なる鉄クズの集積になります。

昨年、二人の日本人にノーベル化学賞をもたらした、クロスカップリングという化学反応で、できる合成物である、テレビの液晶など、これも、日本が販売しないと、ほんどの国で、現状の品質を維持できなくなります。それは、サムソン電子も同じことです。

ここに、掲載しないことでも、日本の独壇場で、日本にしか作れないものなどいくらでもあります。

以下は、私もよく読む、"LifeHack"というブログの内容を参照しつつ、自分の考えを述べてみました。

このような国を資源の全くない国といえるのでしょうか?私たちは、常識を疑ってみる必要があります。一般に、会社などで、経営レベルでの資源といえば、天然資源だけをさすのではなく、ありとあらゆるモノや、人でさえも、資源とみます。そういう見方をすれば、日本は資源大国です。世界の大半の国が、日本から資源を輸入できなければ、大変なことになります。日々の、経済活動に支障をきたすようになることでしょう。実際に、今回の東日本大震災に影響を受けている国はたくさんあります。日本には、資源がないと勝手に思い込むことは、普段はかまわないでしょうが、尖閣問題のような非日常的な問題が発生したときには、判断を狂わせます。

心理学者によると、人間は他人が考えていることは本当に分からないものなので、自分が信じていることを常識だと思い込む傾向にあるそうです。しかし、このような考え方は、最悪の決断を導きかねないという問題があります。

人々が共通して抱いている思い込みが常識である、ということはお分かりでしょう。しかし、自分たちが考えていることが常識で、それが正しいと思い込んでいることが、どれほど問題のあることかを、人々はよくわかっていないと思います。

単純な事実で、それを基本の基本まで、さかのぼって説明しても理解しない人がいます。自分が常識という思い込みを変えない人がいます。たとえば、菅さんをはじめとして、主だった閣僚、マスコミ各社をはじめ、なぜか、経済に関しては財務省が誘導する考えに惑わされ、財務省が正式には発表していない事柄、たとえば、「日本国には、借金がある」との常識(財務省は、日本には、借金があるなどと口が裂けても言ったことはありません。ただし、政府の債務はあります。しかし、政府の債務=国の借金ではありません)を当然のこととして日々行動しています。

常識といえば、たとえば、運動するときに、「水を飲むとダメ」などという医学常識からすると完全な間違いを常識だと信じていた人々も大勢いました。激しい運動をやるときなど、水が必須という医学常識は、戦前どころか、随分昔から常識であり、なせあのような常識ができあがったのか全く不思議です。激しい運動をしているときに、水を補給しないと、筋ジストロフィーのような症状を発症します。私の父は、医師ですが、20年以上前には、当時の間違った常識に凝り固まっている馬鹿で間抜けな、体育教師どもを説得するのが大変だったようです。

ついでにおかしな、医学常識もたくさんありました。たとえば、酸性食品を大量に食べて、アルカリ性食品を食べなければ、体液が酸性に傾くなどという誤った常識などもありました。このようなこと、あげれば、きりがないと思います。これなど、未だに常識であると曲解している人も多いと思います。さすがに医師ではいないようですが、医学関係者の中にも信奉している人がいて驚いたことがあります。

常識は、みんなが同じ思い込みを常識だと感じているような日常生活においては、あらゆる問題を解決するのに役立ちます。ところが、たとえば、非日常的な状況での決断や計画、予測においても、自分が思い込んでいる常識はうまく適用できると感じてしまうのは問題なのです。

つまり、答えは分かりきっていると思った時は、すべて疑う余地がないように思え、複雑な状況でも単純な思い込みをしてしまいます。あるいは、逆に単純なことを複雑に考えてしまうこともあります。世の中では、お互いに共通で持っていると思っていた考えを、実は持っていなかったということで、意見の相違が生まれているのです。

自分が正しいと思っている考え方が、実は間違っている可能性もある、ということだけは肝に銘じておきましょう。常にオープンマインドでいることが大事なのは、こういった理由からでもあります。これができない人は、年齢はどうであれ、年寄りということでしょう。現在は、若年寄も大勢いるということです。非日常的な状況では、自分の常識に囚われず、どんな意見にも耳を傾けることで、最悪の事態を避けられるかもしれないということを、どうか覚えておいてください。

自分は、何でも知っているとか、自分の考え方は、いついかなるときも、常識的だと思い疑うことを知らない人は、結局は、知ったかぶりで、思い上がっているだけです。

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成長優先で協調確認=G20首脳会合が開幕-経済回復は脆弱、財政再建は慎重に―情報閉鎖の日本マスコミ?(昨年の菅首相の外交デビューでもある、カナダでのG20の内容を参照しつつ、国債の話など掲載しています。このG20では、カナダ首相は日本の経済の特殊性を理解し、他国には財政再建を優先するべきとしましたが、日本は例外としています。この事実、マスコミはほとんど報道していません)

2011年5月15日日曜日

メルトダウンしても驚かなくなった日本人 / 危機的状況が続いたために感覚がマヒか―【私の論評】感覚麻痺ではなく、現実的で冷静でマスコミに煽られなくった日本人?!!

メルトダウンしても驚かなくなった日本人 / 危機的状況が続いたために感覚がマヒか

メルトダウン・クライシス [DVD]
1999年のアメリカ映画、日本ではヒットしなかった。アメリカでの元タイトルは、"Y2K"

福島第一原子力発電所1号機がメルトダウンしたとされるニュースが日本中に流れ、大きな怒りの声があがっている。……と言いたいところだが、日本人の多くは「大丈夫」「やっぱり○○でした」の繰り返しで危機的状況に慣れてしまったのか、メルトダウンしたというニュースが流れても声高々に怒りの声をあげている人は少ない。

メルトダウンの事実が、地震が発生した3月11日から1〜2週間内に報じられていたら、多くの日本人が関西以西に逃げたり、海外へ逃げていただろう。しかし地震から2カ月が経ち、あらゆる危機的状況が繰り返されてきたため、日本人の平和ボケ、いや、危機的状況に対して感覚がマヒしてしまったという声も出ている。

とはいえ、いまさらメルトダウンを伝えた東京電力に対して怒りが限界に達している人はいるようで、インターネット掲示板には東京電力に対する怒りや苦言が書き込まれている。

・インターネット上の国民の声
「緊急特番もなし。日本は平和すなぁ」
「関東がジワジワ終わっていくだけだよ。なんの変化もないよ」
「取りあえず大危機なんて迫ってないっつうの」
「メルトダウンするとどうヤバいの? 慣らされすぎて分からなくなった」
「メルトダウンの評価は国外が敏感に反応するでしょう。外貨稼せげなくなるかもね」
「毎時数トンの水を注ぎながら、実際に溜まってるのは半分以下。残りの半分以上はどこに流れ込んでるの?」
「もう東京が高濃度汚染されてもマスコミは「平気平気!」つってそうだな」
「核燃料が制御棒のコントロール化にないってだけで、何が起きても不思議ではない」
「大分前から燃料棒は損傷してるって言ってたし今更感はある」
「現場に人が入れなくなるような事態になったら国内で逃げても意味ねえよ」
「津波で全て失ってもめげずに再起を図ろうとしてる、漁師さんと養殖業の人かわいそす」
「東電はあと何年くらい垂れ流すの? 放射能」
「9月まで駐車場料金払っちゃった逃げられない」
「いままで危険厨だったが、諦め厨になったわ。もう無理だろ。そんな簡単に東京から出ていけないし」
「どうせ凄い量の放射性物質撒き散らしてんだろうな、岡田や枝野のチキンぶり見りゃ想像つくわ」
「というか、これは本当にまずいだろ」

この状況を分析して「メルトダウンは意味が広いからな。東電はチャイナシンドロームの状態になって初めてメルトダウンという言葉を使うつもりだ。今は燃料が熔けて圧力容器の底に溜まってると推測してる段階だから彼らの中ではメルトダウンではないんだよ」と持論を解説している人がいた。

なかには、「最近は誰かが、直ちに健康に及ぼす数値ではないって真顔で言ってるとこ見るたびに吹き出しそうになるようになっちまったよ。東電だか保安院のヅラだか枝野だかはどんな心境でのたまってるんだろうな」と苦言を書き込んでいる国民もいた。

ほかにも「ほんと普通に暴れてもいいぐらいの騒ぎのはずなのにテレビの扱いもカス。本当にこの国のメディアは全部腐ってやがるな。ひとつぐらいまともに機能するところは残ってないのか」と、日本人の「臭いものにはフタ」根性にあきれている人もいた。

冷静な自分に対して恐怖を感じている人もいて、「ものすごい危機が迫っているかもしれないのに、ピンとこない、どこか他人事のように感じてる今の感覚が恐ろしいわ。5年後10年後にベットで生死の境をさまよってるかもしれんのに 」とコメントしていた。

逃げる逃げないは自己責任としても、メルトダウンしてもまったくマスコミが騒がないのはどういうことなのだろうか? その点を疑問に思っている国民は多い。世界を巻き込む大事故が発生した可能性があるこの状況、やはり日本人の「臭いものにはフタ」「平和ボケ」「ことなかれ主義」「隠蔽体質」が原因なのだろうか?

【私の論評】感覚麻痺ではなく、現実的で冷静でマスコミに煽られなくなった日本人?!!
この現象は、感覚麻痺ではなく、日本人の多数が、現実的で冷静でマスコミに煽られなくなったと観るべぎではないかと思います。

まずは、本当に差し迫った危機のときは、それこそ、東日本大震災のニュースのように、毎日、日々、それだけがニュースになって、コマーシャルさえほとんど流されず、誰がみても、はっきりすることが、多くの日本人に認識されたということがあります。

原発のことでも、本当の危険中の危険であり、かなり多くの人が早急に避難しなければならないような大事件であれば、東日本大震災のような報道体制がとられて当たり前だという感覚が、日本人の中に確立されたためではないかと思います。

実際、チエルノブイリ級のさしせまった危険になれば、本当にそうなることでしょう。しかし、最悪でも、チェルノブイリ級にならないことははっきりしています。チェルノブイリの場合は、原子炉が大爆発して、炉心も爆発して、放射性物質が空気中に大放散され、その直後に近くにいた人が被爆で、30人ほどすぐに死亡したという規模のものです。

これは、過去を考えただけでも、すぐに理解できます。良く考えてみてください、過去において、人類は、アメリカも、ソ連も、中国も何回も、核実験を行ない、空気中に放射能をまき散らしてきたではありませんか。最近などは、臨界実験といって、実際に爆発はさせませんが、中国など、1990年代に入っても、繰り返し核実験を行っていました。

これらの核実験などのことを考えれば、日本の原発事故などゴミみたいなものです。以下に、中国の核実験に関する過去の産経新聞の記事を掲載しておきます。
中国核実験で19万人急死、被害は129万人に 札幌医科大教授が推計 
2009年4月30日19時6分配信 産経新聞 
中国が東トルキスタンで実施した核実験による被害で同地区のウイグル人ら19万人が急死したほか、急性の放射線障害など甚大な影響を受けた被害者は129万人に達するとの調査結果が札幌医科大学の高田純教授(核防護学)によってまとめられた。被害はシルクロード周辺を訪れた日本人観光客27万人にも及んでいる恐れがある。 
5月1日発売の月刊「正論」6月号掲載の「中国共産党が放置するシルクロード核ハザードの恐怖」と題する論文で明らかにした。高田教授は2002年8月以降、中国の核実験に伴う影響を調査した。高田教授によると、中国の核実験は1996年までに爆発回数で46回。爆発威力や放射線量、気象データや人口密度などをもとに被害を推定した。 
爆発では楼蘭遺跡の近くで実施された3回のメガトン級の核爆発で高エネルギーのガンマ線やベータ線、アルファ線などを放射する「核の砂」が大量に発生した。 
上空に舞い、風下に流れた「核の砂」は東京都の136倍に相当する広範囲に降り、その影響で周辺に居住するウイグル人らの急性死亡は19万人にのぼる。 
甚大な健康被害を伴う急性症は129万人のうち、死産や奇形などの胎児への影響が3万5000人以上、白血病が3700人以上、甲状腺がんは1万3000人以上に達するという。 
中国の核実験は、核防護策がずさんで、被災したウイグル人に対する十分な医療的なケアも施されておらず、129万人のうち多くが死亡したとみられる。広島に投下された原爆被害の4倍を超える規模という。高田教授は「他の地域でこれまで起きた核災害の研究結果と現実の被害はほぼ合致している。 
今回もほぼ実態を反映していると考えており、人道的にもこれほどひどい例はない。中国政府の情報の隠蔽(いんぺい)も加え国家犯罪にほかならない」と批判している。 
また、1964年から1996年までの間に、シルクロードを訪問した日本人27万人の中には核爆発地点のごく近くや「核の砂」の汚染地域に足を踏み入れた恐れがあり、こうした日本人への影響調査が必要と指摘している。 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090430-00000594-san-int
1964年から、1996年までの間といえば、NHKが「シルクロード」という特集番組を、報道しています。NHKは、中国核実験の事実を知りながら、このような番組を放映し、多くの人が、この番組をみて、桜蘭を訪れました。一方、原発実験のことは、ほとんど報道しませんでした。この時期の、桜蘭を訪れた場合、今の福島原発の500mの圏内に入るよりも、余程危険だったことでしょう。

それに、現状の東京の放射能汚染は、香港よりも低い状況にあります。これは、やはり、中国の過去の核実験によるものと考えられます。北京も似たようなものであり、内陸の都市では、さらに、和放射能レベルがあがります。これは、中国政府が隠蔽していても、衛星などから計測することが可能で、しかも、放射能の種類から過去の水爆実験によるものであることが確かめられ、先進国の中では、常識といっても良いことです。

だからといって、私は、東電のミスや、さらに、政府の無能を非難しないというわけではありません。しかし、深刻度合いからいって、中国や、過去のアメリカ、ソ連の核実験とあのチエルノブイリの事故とは比較の対象になりません。

それに、日本は世界で唯一の被爆国であり、長崎、広島に原爆が投下されました。あの際に、とてつもない量の放射能が空気中に放散されたはすです。その当時は、広島、長崎は、放射能汚染のため、今後70年間ぺんぺん草さえ生えないだろうといわれていました。しかし、現実はどうだったでしょう。であれば、原発で大騒ぎするというほどのことではないことが理解できます。

ただし、私は、原爆による放射能が危険ではないというつもりもないですし、だから今の状況で原発が安全などというつもりは毛頭ありません。ただし、原発事故で、ヒステリックになる必要はないといいたいだけのことです。

それに、もうひとつは、マスコミの報道姿勢です。たとえば、このブログにも最近も、数回にわけて掲載してきた、日本国の「国の借金」とか、「財政破綻」に関する報道です。最近では、国の借金が増えて、何でも、国民一人当たりの借金は700万円を超えるとかなどと報道されています。

しかし、これなど完全に虚偽です。それに関しては、ここ数日間、このブログにその根拠を掲載してきたので、ここでは、詳細を説明はしません。下の、【関連記事】のところに、そのURLを貼りつけておきますので、詳細についてお知りになりたい方は、そちらをご覧になってください。

実は、こうした財政破綻の危機の煽りは、今に始まったことではありません。約20年前から、繰り返し、繰り返し、行われてきました。しかし、財政破綻が起こったでしょうか。皆さんご存じのように、起こっていません。ちなみに、20年前といえば、バブルが崩壊した直後ではありますが、日本の対外金融純資産(日本が外国に貸しているお金-日本が外国から借りているお金)の金額が、世界一になった時期です。それから、20年間、日本の対外資産は、世界一です。これが、赤字になったときに始めて、日本国が借金をしていることになります。

だから、この20年間、日本は、借金どころか、世界で一番資産が豊な国ということになります。だから、財政破綻しないのは、当たり前のことです。財政破綻して、国がとんでもないことになるというのなら、これは、大変なことです。大変なことであれば、それこそ、今回の大震災のような報道がされてしかるべきですし、それをしなくても、たとえば、円を元などに、かえて、中国に移り住むなどのことがおこり、それが頻繁に報道されるようになるはずです。しかし、そんなことはないです。報道をまともに受け取れば、そうなるはずなのに、そうはなりませんね。

こんなことは、ほんの一例にすぎません。こんなこと、おそらく、多くの人が、何回かは、経験されていると思います。そうして、振り回されて、苦い思いをしている人も多いと思います。地球温暖化騒ぎに、振り回されて、全く、地球環境とは関係ないことに散財された方も多いのではないかと思います。エアコンをつけることを躊躇して、かなり生活に支障がでたかたもいらっしゃるのではないかと思います。だからこそ、ちょっとやそっとことでは、振り回されないようになっているのだと思います。

だからこそ、原発に関しても、多くの人が、冷静に見ているのだと思います。それに、心配のあまり、何をするにしても、現実との兼ね合いで、冷静にするようになっているのだと思います。放射能の危険性と、東京などから撤退することを両天秤にかけた場合、例えば、飲み水などは、ペットボトル飲料にするなどしてなるべく危険性を避けながららも、東京にいるほうが自分にとっては、合理的だと判断しているのだと思います。

それに、自らが、騒ぎまくったとしても、だからといって、事態が急速に収まるわではないし、本当に危険になったら、避難するなどしようと冷静に見ているのだと思います。

この傾向は、大震災の前からあったと思いますが、それが、震災によってますます強化されたのだと思います。だから、マスコミももうそろそろ、報道姿勢を改ためないと、他のメディアにとって変わられることを自戒しなけばならないときにきていると思います。

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