2012年9月6日木曜日

【日本の解き方】バーナンキ講演、日銀の不甲斐なさ浮き彫り!―【私の論評】日本が金融政策の重要性を理解すれば、世界は救われる!?

【日本の解き方】バーナンキ講演、日銀の不甲斐なさ浮き彫り!:



バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長は8月31日、米ワイオミング州のジャクソンホールで講演を行った。そのポイントは、雇用に力点を置いた金融政策だ。

7月4日の本コラム「失業率は改善の余地あるが厚労省所管では実行が困難 日銀こそ責任を持つべきだ」で書いたように、日銀は雇用問題に責任を持たず、マクロ需要不足に対して何も策を講じない。

一方、米国では雇用の最大化はFRBの責務で、需要不足部分に対する失業率を下げることは中央銀行の責任だ。このため、雇用についてバーナンキFRB議長が広い意味での政府を代表して責任を持っている。

この点を日銀と比較すると、FRBの雇用重視がわかる。日銀はそもそも雇用問題に責任を持っていないので、雇用対策として金融緩和をしない。しかも、今の金融緩和でも、コストばかりを強調している。このため、日米で金融緩和を比較すると、圧倒的に米国FRBのほうが金融緩和しているわけだ。

雇用状況について、「失業率は依然、大半のFOMC(連邦公開市場委員会)メンバーが長期的に正常とみなす数値を2%ポイント強超える水準にある」として、8%台に高止まりしていることを満足のいく状態からは程遠いとしている。

このため、9月7日に発表される8月の米雇用統計などが注目されている。場合によっては、FRBによる量的緩和第3弾(QE3)が実施されるかもしれないと市場には期待感がある。

また、金融緩和政策の効果について、FRBは「金融緩和政策は伝統的・非伝統的措置とともに、物価安定の維持に寄与すると同時に、経済回復を支援する重要な効果をもたらした」と堂々と述べている。この点、少ない金融緩和をしたあげく、その効果について自ら否定する日銀とは好対照だ。

そして、物価については、「過剰な政策緩和がインフレを招く恐れがあるとの警告を何度か受けながらも、インフレ率は(商品相場の振れを主因とする一時的に変則的な動きを除いて)、FOMCが目標とする2%近辺で推移し、インフレ期待も安定してきた」と満足できるとしている。

これも、いまだにインフレ率がマイナスのままで、デフレから脱却できないにもかかわらずインフレリスクを強調して金融緩和しない日銀とは大違いである。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

この記事の詳細はこちから!!


【私の論評】日本が金融政策の重要性を理解すれば、世界は救われる!?
このブログでは、従来から、雇用における金融政策の重要性を強調してきました。日本では、上の記事にも指摘があるように、世界では、一国の中央銀行には、雇用に関する責任があるというのが、常識なのに日本銀行は、雇用調整に関する責任があるということがあまりに認識されていません。
バーナンキ議長
これに関しては、たとえば、かなり優秀であるとされる企業のスーパーエリートと目されている人でさえ、その認識はないようで、雇用問題を道徳や本人の資質などのミクロ的側面だけから語る人も多く、時々このことに気付かされ面食らうときがあります。だから、日本では、政治家や、普通の人達がそう思わないのは無理もないのかもしれません。しかし、それは、明らかな誤りです。

かくういう私も、10年くらい前までは、日銀が雇用調整の元締めであるという認識はあまりありませんでした。日銀が金融緩和をすれば、雇用状況が良くなるくらいの認識はありましたが、中央銀行が雇用枠調整の元締めであるという世界の常識を認識するまでにはいたっていませんでした。

ポール・クルーグマン氏
これを知るに至ったのは、ポール・クルーグマンのマクロ経済に関する書籍を読んだからです。その後何冊か読んだので、その書籍が何であったかまでは、思い出せませんが、確か、いわゆるマクロ経済の大学でのテキストなどという固いものではなく、もっと柔らかく噛み砕いたわかりやすいものでした。まさに、目からうろこが落ちるというような、感動と感激を覚えたものです。そうして、中学・高校時代に学んだ、経済のことを思い出し当時の日本経済の財政・金融政策に関するマスコミなどの論調は明らかにおかしいと思うようになりました。

ちなみに、雇用調整における日銀の大きな役割については、以前このブログにも掲載しましたので、ここでは私の考えを詳細に述べるようなことはしません。当該ブログをご覧になってください。

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!


中央銀行に相当するアメリカのFRBの議長、ベン・バーナンキはヒーローなのかもしれません。バーナンキは1929年のアメリカ発の世界大恐慌、1990年代の日本のバブル崩壊を研究していました。そうして、そのせいもあってか、2007年にアメリカで発生した金融危機を防ぐことはできませんでしたが、比較的に早いペースでアメリカは不況の底から脱出することができました。

バーナンキはバブル崩壊後の2003年に日本の政策当局に対して日本経済再生のために提言を行っていました。それは金融緩和政策と財政出動のパッケージでした。

「日本の政府と中央銀行は協力し、日銀が新発国債を引き受け、政府は財政出動するべきだ」


この時、バーナンキは「日銀はケチャップでも大量に買うべきだ。そうすればインフレ率が上昇し、デフレから抜け出せる」とも言っていました。この発言は、日本の金融政策を揶揄しているようにも受け取れますが、この発言はまさに、正鵠を射ていました。煎じ詰めれば、デフレから脱却するためにはインフレ傾向にすればいいだけの話です。そうすれば日本の潜在産出量に見合う需要が増加し、日本は再生したはずです。実際、2000年台のはじめの頃は、政府はあいかわらず、緊縮財政を続けていましたが、日銀はいっとき金融緩和を行いました。


このとき、世の中を騒がせたのは、あのライブドア事件の堀江であり、村上ファンドなどです。現在のような、デフレスパイラルにどっぷりと浸っているの世の中では、あのような事件がおこるような余地さえ全くありません。この金融緩和を2008年くらいまで、継続していれば、日本は、デフレから脱出できていたかもしれません。

しかし、日本は結局バーナンキの提言を受け入れませんでした。日銀は、すぐに金融緩和をやめてしまい、そこから先は、何かといえば、金融引締めに走り、デフレ・円高の守護神になってしまいました。そうして、政府も、自民党末期政権の麻生政権は、積極財政を行いましたが、それ以外は、現民主党政権も含め、緊縮財政ばかりです。そうして、次のような声が日本国内で大勢を占めるようになりました。

村上世彰
「財政出動をすれば、更に日本の公的債務残高が増加し、日本はギリシャのようになる!」

「日銀が国債を直接引き受ければ、ハイパー・インフレになる!」

このような愚かなマスコミや増税しか頭にない財務省、無責任な日銀にはバーナンキの提言は到底受け入れることができるようなものではなかったのです。そんな事をすれば、日本がデフレから早期脱却し、真実が公になり、マスコミは信用を失い財務省は増税する根拠を失い、日銀は責任を追及されることになったことでしょう。

ところで、バーナンキはアメリカでバブル崩壊した時に、日本に対して提言したことと同じ事を実行しました。とは言っても無論ケチャップはさすがに買ってはいません。

金融危機直後、バーナンキはすぐに政策金利をゼロ付近まで低下させゼロ金利政策を導入し、さらにアメリカ政府もFRBの行動に同調し、財政出動を行いました。これが功を奏し、アメリカ経済は不況の底から脱出できました。リーマン・ショックのときには、米国はもとより、主だった先進国が、大規模な増刷を行いマネタリーベース(貨幣の流通量)を増加させました。その時、日本だけは、増刷しませんでした。そのため、発信源だったアメリカはもとより、他国もこのショックから立ち直るのが早かったのに、日本だけが回復に手間取り一人負けの状況に陥りました。

しかし、バーナンキはアメリカを救いましたが、大きな過ちを犯した可能性もあります。それは彼の指導のもとFRBが信用緩和(実質的な量的緩和)でアメリカの金融機関が大量保有するCDOやMBSなどの不良債権を買い取ったことです。不良債権とは劣化した資産のことです。通常、中央銀行は量的緩和を実施する場合は長期国債などの価格が変動しにくい超優良資産を買い取ります。しかし、バーナンキは金融危機の根本的問題である不良債権を金融機関から買い取ることで金融機関のバランスシートを正常化しました。

金融機関が不良債権に苦しめられるのはその価格の下落によりバランスシートが劣化するためです。だからそれをFRB買い取れば、FRBのバランスシートが劣化する可能性をもつことを意味します。これは中央銀行による銀行の救済になります。しかし、普通は銀行救済の役割は政府が負うべき筋合いのものです。

なぜなら政府は税金を投入することで銀行を救済できるからです。その税金は銀行の倒産を防ぎ、銀行員の生活を守ることにつながるでしょう。もちろん政府が買い取った不良債権がさらに劣化すれば、国民は不満を持つでしょうがこれは、さほど問題ではありません。しかし、中央銀行が銀行を救済する際には税金は投入されません。

中央銀行には徴税権がないですから当然といえば、当然です。ではどのように中央銀行は不良債券を買い取るのかというと、金を無から作り出すのです。中央銀行は通貨を印刷できる唯一の存在です。危機の際に通貨を刷っても問題はありません。しかし、危機が過ぎれば問題になる可能性があります。

中央銀行が量的緩和を行う時に安全な長期国債を買うのは将来インフレが発生した際にインフレを抑止するために国債を銀行に買い取らせ資金を吸収するためです。しかし、安全な長期国債とは違い不良債権なら価格が下落し、最悪無価値になる可能性がります。

そうなれば将来インフレが発生した際に中央銀行は不良債権を買い取った分の資金を吸収できなくなり、インフレを抑えることが難しくなります。その時はインフレを抑えるためには政府が増税する以外に手段はなくなります。増税は金融引き締めとは違い、直接国民に負担となる。バーナンキはそのような状況が起こる可能性を生み出したということです。

しかし、仮にそれが過ちだとしても当時の状況を考えれば、仕方のなかったことかもしれません。危機が起きた時、早く動かなければ更に悪化するだけです。日本政府と日銀がやれなかったことをFRBとアメリカ政府はやってのけたのです。

しかし、アメリカ経済の現状は良くありません。ただし、今のところ、アメリカ政府は何とか1929年の大恐慌のような事態を避けることはできました。現在、オバマ政権は野党の反発を受けて財政赤字の削減に取り掛かっています。つまり緊縮財政を目指しているということです。

世界恐慌を世界で一番先にリフレ政策でのりきった高橋是清
1930年代、ルーズベルト政権は大量の財政赤字を出したことで世論の反発を受け、緊縮財政に走りました。その結果、リフレ政策で、すぐに昭和恐慌を回復した日本とは違い、回復途上にあったアメリカ経済は再び不況になりました。そして、第2次世界大戦という景気刺激策が発動するまでアメリカ経済は停滞し続けました。

1997年、日本の橋本政権は大量の財政赤字が存在していた為にマスコミから批判を浴び、消費税増税(3%→5%)などの緊縮財政に走り、回復途上にあった日本経済は不況に再突入し、その結果、増税前の税収を超えたことは一度もなく、現在もデフレ不況から抜け出せていません。

歴史は繰り返すと言いますが、その時はアメリカ経済はその衝撃に耐えられるのでしょうか?日本経済はその衝撃に耐えられるのでしょうか?世界はその衝撃に耐えられるのでしょうか?

その答えは実は、日本自身が握っています。今では、日本人自身だけが、日本の経済力の素晴らしい実力を理解していないようです。多くの人が、日本はこれから、沈没していくだけだと信じて疑っていないようです。2007年に崩壊した世界経済を再生できるのはアメリカでもなければ、中国でもありません。それは日本です。少なくとも、多くの日本人が、金融政策の重要性を理解し、実行ある金融政策を打ち出すことができるようになれば、間違いなくそうなります。兵国や、特に中国など、日本のデフレ・円高政策によって、長期にわたりメリットを享受してきた国々も、そろそろ限界に近づき米国オバマ大統領は、かつて日本が歩んだような不況時における緊縮財政をしようとしています。


中国に至っては、このメリットが当たり前になり、依存体質がますます深化して、身動きが取れない状況に陥りつつあります。最近になって、おから工事による、新しい道路の大陥没、新しい橋の崩落が始まったり、裸官(家族を海外に住まわせ、不正蓄財した資産を海外に移した官僚)がますます増え、さらに、裸官の海外逃亡もかなり増えています。とても今のままではすまない状況にあります。米国、中国も、目の前の利益を追求するだけではなく、世界同時不況となり、その中で日本も同じようにデフレスパイラルに陥ったままであれば、それこそ、大昔の金融恐慌と同じようなことになってしまうことを認識すべきです。

世界恐慌(日本では昭和恐慌)のときには、日本はリフレ策によって、世界で一番速く立ち直りました、しかし、当時の日本は軍事大国ではありましたが、経済大国ではなく、経済的にはとるにたらない存在であり、日本一国が早急に立ち直ったからといって、貧しい国であることには変わりなく、世界的にみれば、これが世界経済に及ぼしたのは、微々たるものでした。しかし、今日では違います。日本が、デフレを終わらせたら、それだけで、また、世界第二の経済大国となることでしょう。さらに、まともな金融政策を継続でき、さらに財政政策もまともになれば、さらに経済を拡大でる余地が十分にあります。事実、日本が、デフレ政策をやっている間にそうではなかった、多くの国々が、GDPを大幅に伸ばしましたし、賃金も2倍(インフレのため、それを考慮しても、1.5倍)になっています。日本だけが、ほぼ20年近く何も変わりませんでした。

とにかく、日本においては、財政政策も無論重要ですが、それとともに、金融政策も重要です。というより、今の日本人は、金融政策をないがしろにしすぎています。日銀がそうであるだけではなく、多くの人達が、金融政策が重要であることの認識がないようです。認識がないので、日銀を責めることもしません。もし、自民党が、金融政策の重要性を認識していたら、今でも、政権を担っていたかもしれません。また、民主党もその重要性を認識していたら、もっとまともな、政策運営ができたかもしれません。財政政策のみではその効果も実効性のなくなるどころか、デフレ・円高堅持による金融政策に打ち消されてしまうだけです。

日本が金融政策の重要性を理解すれば、世界は救われると思うのは私だけでしょうか?!そうして、その可能性は十分あります。過去において、日銀が、金融緩和をしていた時期には、世界の経済が同時に下降しているときか、まさにさの傾向の最中にあるときでした。歴史は繰り返されます。その時が間近に迫っています!!目覚めよ、日本人!!



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2012年9月5日水曜日

Hulu、ついに待望のApple TVに対応―【私の論評】やはり、定額制が使いやすい!!

Hulu、ついに待望のApple TVに対応


お待たせいたしました。

Huluが本日より、Apple TVに対応します。Huluで配信されている人気映画やテレビ番組がApple TVにて見放題でお楽しみいただけるようになりました。

HuluがApple TVに対応したことによって、より多くの方々に日本、ハリウッド、その他海外の人気映画やドラマシリーズを高画質でお楽しみいただけます。Huluの視聴を開始するには、Apple TVのホーム画面上からHuluを起動してください。すでにHuluの会員登録をされているユーザー様は、Eメールとパスワードをご入力いただくとすぐにHuluのプレミアムコンテンツの視聴が可能です。

Huluのアカウントをお持ちでない方は、お持ちのiTunesアカウントで簡単にご登録いただけます。Apple TVより新規にご登録いただいたユーザー様は、通常2週間の無料トライアル期間が1ヶ月になります。1ヶ月の無料トライアル終了後、すべての人気映画やテレビ番組は月額980円(税込)で見放題で視聴可能です。

どうぞお楽しみください。Happy Watching.

Hulu arrives on Apple TV
The moment that we’ve all been waiting for is finally here.

Hulu arrives on Apple TV today. Hulu subscribers can now enjoy unlimited streaming of their favorite TV shows, movies, and other premium content on their Apple TV.

With Hulu available on Apple TV, a broader range of subscribers can now enjoy Japanese films, anime, dramas, and Hollywood films on Hulu, all directly through their HDTV. To start watching Hulu content instantly, find “Hulu” on the Apple TV home screen. If you are a Hulu subscriber, simply enter your username and password to start streaming.

If you do not have an existing Hulu account, you can easily sign up by using your existing iTunes account, just follow the sign up instructions on the screen. New subscribers who join through Apple TV can enjoy a one month free trial of Hulu (instead of the regular two week free trial). After the one month free trial is over, subscribers can enjoy unlimited Hulu content for a monthly rate of ¥980.

Happy Watching.

September 4th, 2012 Tsuyoshi Fukuda Head of Product   (hulu blogより)

【私の論評】やはり、定額制が使いやすい!!



HuluのAppleTV対応は、日本では4日からでした。私も、実際に4日からすぐAppleTVで使い始め、本日もひき続き使っています。私は、AppleTVで手始めに、ニコラース・ケージ主演の"Knowing"という映画を見てみました。これ、なかなか力作だし、名作だと思います。見ていないかたがいらっしゃったら、是非ご覧になって下さい。本日は、このように実際にhuluをAppleTVで使ってみた感想を掲載しておきます。



AppleTV(第2,第3世代)を持っておられる方は、皆さんご存知でしょうが、現在AppleTVで見られる有料コンテンツというと、ムービーだけですが、このムービーHD画像で新作だと購読料は、一本500円、旧作の安いもので300円です。とにかく、映画一本みれば、後からiTunesから請求されます。

そうなると、どうなるかといえば、一本一本吟味してから見ることになります。それに、映画だと一回見てしまえば、2時間前後はかかります。だから、ますます吟味してしまいます。吟味とは、たとえば、他のユーザーのレビュー(AppleTVでみることができる)の5スターや、せいぜい、4スターがついているものを中心として見るような感じです。それから、映画の最初の2~3分見られるプレビューがあるので、それを見たりします。そうなると、選ぶにも手間がかかり、結構見るまで迷うこともあります。


しかし、Huluの場合は、定額制ですから、映画でも、テレビても、とにかく見てみて、あまりおもしろくなさそうだったら見ないというやり方もできます。これは、本当に便利です。定額制だと、テレビ感覚で日々見ることができそうです。AppleTVのムービーのような課金体系だと、テレビのようにみていれば、結構お金も時間もかかってしまうので、見るのは、週末など休みの日に限られてしまうというのが実情です。気付くと、それもたまたまになっていたりします。huluなら、日々使いそうです。

あと実際に使ってみてですが、特にテレビは、最近の新作はもとより、あのLOST、24、スタートレックとか、ミッション・インポシブルとか、名作テレビなど、それも全シーズンのエピソードも入っていて見応えもあります。日本のテレビ番組もまだ、コンテンツが少ないですが、あります。テレビに関しては、1本50分くらいで、見られるので、なかなか便利です。


それから、映画に関しては、最新作に関しては、huluよりAppleTVのムービーのほうが、かなり充実していると思いました。さすが、500円とることはあるという感じです。映画の新作で、見たかったのに、見逃したものは、AppleTVのムービを見る、普段は、Huluなどみるというような、使い分けができるのではないかと思います。意外とアップルはこういうことを念頭において、Huluを導入したのかもしれません。とにかく、ユーザーに日々見てもらえるようになれば、新しい展開も考えられます。何か、アップル独自の新たなコンテンツを考えていただきたいものです。


それから、画質に関しては、私のAppleTVは、第二世代なので、700ピクセルが最大なのですが、これで見ていても、もともとのAppleTVの動画も美しいですが、huluも十分美しいです。ちなみに、テレビ自体は、Aquosの32インチです。第三世代は、1080ピクセルも使えるようですが、そもそも、1080ピクセルのコンテンツは提供されているのでしょうか?でも、700ピクセルでも十分美しく見えます。



それから、Huluに関しては、もっともっと、邦画や、日本のテレビ番組のコンテンツを増やして欲しいです。

また、英語の学習者にとって、このHulu使い勝手が良いかもしれません。最初アップルTVで大画面のTVで、映画やテレビ番組などを字幕付きで見た後で、パソコンや、iPadなどで、字幕なしで見るなどのことをすれば、かなりヒアリングの練習になると思います。



ともあれ、AppleTVでhuluが見られるようになったことは、ユーザーにとって選択肢が増えたということで、喜ばしいことだと思います。まだ、AppleTVを所有しているのに、まだ使っていない方は、是非使ってみてください。なお、huluにまだ加入していない方は、2週間は、お試し期間ということで、無料で視聴できます。




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2012年9月4日火曜日

日銀が異例の大量資金供給 特例公債法案成立難しく…地銀を支援―【私の論評】野田総理大臣、安住財務大臣は英雄になれる!!このコンビには起死回生策がある!!

日銀が異例の大量資金供給 特例公債法案成立難しく…地銀を支援 


野田佳彦首相に対する問責決議が可決され、平成24年度の赤字国債を発行する特例公債法案の今国会成立が難しくなったのを受け、日銀が異例の大量資金供給に踏み切る。4日に予定されていた地方交付税の支払いが延期されることで、地方銀行などの資金繰りに影響が出るためだ。問責決議の思わぬ余波が広がった形で、日銀は4日にオペレーション(公開市場操作)を行い、1日としては最高の約1兆9千億円を銀行に貸し出す。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

交付税は、自治体が地銀などに持つ預金口座に振り込まれる。地銀は増える手元資金を元に、企業向け融資などの資金計画を立てており、振り込みが遅れれば、地銀によっては数百億円単位で計画が狂ってしまう。そこで、日銀は緊急の資金供給により、金融システムの混乱を防ぐ必要があると判断した。今回の対応で、週明け3日以降の混乱は避けられる見通しだ。

政府は予算執行の抑制策として、交付税だけでなく、大学への補助金を減額するほか、10月までに特例公債法案が成立しなければ、同月が期限の政党助成金の交付も延期する方針。

【私の論評】野田総理大臣、安住財務大臣は英雄になれる!!このコンビには起死回生策がある!!

上の記事に対する、経済評論家上念氏のツイートです。


全く、おっしゃるとおりです。たった、4ヶ月それも、たった、総額1兆8736億円ではなんにもなりません。上の記事の大量資金供給とありますが、これっぽっちでは、日本の経済の大きさを考えた場合まさに焼け石に水です。経済一体全体、日銀はヤル気があるのか、本気で日本の金融政策を司っていくつもりがあるのか、ほとんどり理解不能です。

本当に、2年くらい特例公債法を通すのをやめたら良いと思います。そうしたら、財源がなくなるなんておっしゃっているかた、そんなこと全くないですぉー!!

20兆円くらい、余分にお札刷って財源にしても全く問題ないどころか、そうしたほうが、デフレ脱出のきっかけになります。反リフ派の方々、そんなことしたらハイパーインフレになるって?そんなバカな話ないでしよう。今デフレなんですよ!!

それでも、「やっぱりハイパーインフレ」になると強弁なさるというのなら、最近のイギリスの経済をどうご説明なさるんですか。イギリスは、2010年に付加価値税を増税して、経済が落ち込みとんでもないことになりましたね。その後、なんとか、回復しようとして、イングランド銀行(イギリス中央銀行)が、大増刷をやりましたね。額は、正確には覚えてはいないですが、数兆円なんてレベルでなく、桁が違っていたと思いますが、その後、少しの間インフレ率が、4%台になりましたが、それも最近では収束して、2%台になっています。これとでは、最高にインフレ率が上がったときでさえ、ハイパーインフレとはいえませんね。



反リフレの方々、不況の時に増刷するとハイパーインフレになるという理屈は、見事に間違っていると証明されましたね。

よって、日本で、日銀が今時期、20兆円くらい増刷したからといって、ハイパーインフレなどにはなるわけがないんですが、あなた方は、それでも、強弁するのでしょうか?だとすれば、もう、理屈もなにもないですね、そういうのを頑迷固陋って言うんです。もうやめましょうね。見苦しいです!!

それにしても、日銀はどんなことがあっても、デフレ・円高守護神ですから、増刷は絶対にしないでしょうね。

なにせ、1%のインフレ目処もまじめにやるつもりはないですから!!これに関しては、以下の高橋洋一氏の記事をご覧になってください!!

日銀“1%のインフレ目標”守る気なし

この記事にも書いてあることですが、日銀は2月14日、消費者物価の前年比上昇率について「当面は1%を目途とする」と決めたましたが、3月から7月までの消費者物価指数(同)の対前年同月比のデータは、0・2%、0・2%、▲0・1%、▲0・2%、▲0・3%となっており、1%からほど遠い状態です。全く、ヤル気がないです。本当に困ったものです。1%じゃもともと、小さすぎるというのに、それすらもやらないということです。どれだけ、国民を苦しめたら、気が済むというのでしょうか?

さて、こんなヤル気のない日銀など全く相手にしなくてもやりようは、いくらでもあります。それに関しては、以下の動画をご覧ください!!





そうです、日銀が、増刷は死んでも嫌だというのなら、政府は、政府紙幣を発行すれば良いのです。今は、デフレのまっただ中ですから、数十兆円くらい刷ったとしても、インフレ気味にはなるでしょうが、ハイパーインフレには絶対なりません。

そうして、どんどん刷って、刷ってもハイパーインフレどころか、景気がどんどん回復していることを実証して、日銀の間違いや、反リフレ派の間違いを実証したら良いと思います。

野田さんや、安住財務大臣はこれをすすめるべきです。このような大胆な試みができたら、野田さんは、総理の座を維持でき、安住さんも財務大臣の座が安泰になると思います。それに、これは、自公などにとっては、寝耳に水で、びっくり仰天で、解散総選挙の話なんか吹っ飛ぶかもしれません。でも、もう9月で、代表選ですから、時すでに遅しですか?でも、次の総理大臣と財務大臣がや、っても、間違いなく起死回生策となります。それに、

しかし、これは、特例公債法案が通らなくても、解散などしなくても良くなり、しかも、日本の景気が良くなる一挙両得の素晴らしい手だと思います。


これが、実行できたら、まさに、野田さん、安住さん(もしくは次の総理と財務大臣)は、今後日本の金融政策の範を示すこととなり、景気も回復し、国民にとっても、まずは雇用が回復し、良いことです。やれば、日本の救世主として後世に、高橋是清のように名前を残せるかもしれません。安住さん、以前いちはやく、特例公債法案が通らないことに懸念の意を表紙、専門家は別にして、政治家としては素早い発言だったので、「随分まともになった」と思いましだが、まともになりついでに、この際もっとまともになったら良いと思います。

しかし、この両名には、それだけの胆力はないでしょうね。それに、財務省のいいなりですから・・・・・。でも、9月には、財務次官の勝栄二郎氏が退任します。マインドコントロールを受けることもなくなります。そうして、政権の座に居座り、来年9月に再来年の4月の増税をとりやめ、どんどん、政府紙幣を刷った結果、景気がよくなったとしたら、日銀の立場は全くなくなります。

大日本帝国陸軍怒涛の進撃!!
その時に、日銀の無能をなじりまくって、日銀法を成立させ、日銀の暴走を止めることに成功すれば、野田、安住コンビは、日本の大英雄になれるはずです。今から、この線で怒涛の進撃を続ければ、起死回生どころか、とてつもないことになるかもしれません。

そうなれば、民主党政権ももっと長続きできることになるかもしれません。野田、安住コンビに残された起死回生策は、これしかないと思います。それにしても、今の政治家など、このようなシナリンを描いて、それなりに努力をすれば、成果をあげて、国民にも感謝されると思うのですが、そんな人誰もいませんね。どうしてなんでしょうか?皆さんは、どう思われますか?

あの、念のために、掲載しておきますが、私は、民主党や、野田総理や、安住財務大臣のファンでも何でもないですから・・・・・・・。上の内容、特にこの二人に間するものはブラックジョークです。でも、上で掲載した起死回生策本当に実行してくれたらそうなるかも・・・・・・・・????(笑)



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(論文)日本の人口動態と中長期的な成長力:事実と論点の整理 :日本銀行 Bank of Japan―【私の論評】出た出た、日銀得意の嘘レポート!!




2012年9月3日月曜日

幸せを呼び込むためには「王様マインド」を身につけよう―【私の論評】幸せのお裾わけができれば、人はもっと幸せになれる!!

幸せを呼び込むためには「王様マインド」を身につけよう:



突然ですが、質問です。 以下の質問に、自分が当てはまると思ったらチェックをしてください。深く考えず、直感的に答えてください。

【A】

□早くリタイアして、悠々自適で優雅な生活を送りたい

□頑張って努力してお金持ちになりたい □人から評価されたい □バーゲンが好きで、安いとつい買ってしまう

□同じ給料ならば、できるだけ楽な仕事の方がよい


【B】

□自分のことが好き □新しいことに挑戦するのが好き

□人生は楽しい

□自分は愛されていると思う

□他人の成功は素直に嬉しい

どちらの方が多く当てはまったでしょうか? Bの項目が多ければ、あなたは王様マインドを持てているといえます。 Photo by ashwin kumar.

この記事の詳細はこちらから!!


【私の論評】幸せのお裾わけができれば、人はもっと幸せになれる!!

上の記事を読んで設問にこたえていただくと、自分が王様マインドなのか、奴隷マインドなのか判定できます。そうして、私の判定結果は、王様マインドでした。

 王様マインドと奴隷マインドの基本的な違いは次の3点です。 
王様マインド
自分の人生には目的がある
自分には価値がある 
自分は愛されている


奴隷マインド
自分の人生には目的がない 
自分には価値がない、自分で価値をつける 
自分は愛されていない
私は、この設問に答えて、集計したところ、幸いなことに「王様マインド」でした。しかし、これだけて、本当に幸せになれるのか、少し違和感を感じました。

ローマ時代の奴隷のコスプレをする女の子たち
上記のうち、どちらが、良いのかといえば、無論王様マインドのほうが、幸せを呼ぶということです。「王様ってなんのこと?」と思ったあなたも、「Aの方が多かったわたしは?」と思ったあなたも、これを読めば明日からの生活をハッピーに過ごせる考え方を身につけられるかもしれません。そんな本が「王様マインドと奴隷マインド」です。



さて、私自身はこの書籍まだ読ではいませんが、結局は、ヨーロッパなどに昔から伝わるいわゆる、「帝王学」をもとにしたものだと思います。そうして、王様マインドは、こういったものを集大成して、簡潔に3つにまとめたものだと思います。世界には、どの国でも、いわゆる帝王学というものが存在していて、いろいろな教えがあると思いますが、集約するとこの3つになるのだと思います。確かに、王様マインドを持つことができれば、奴隷マインドの人よりも、幸せになることができると思います。

しかし、私は、自分だけが、王様マインドを持つということだけでも幸せになれるとは、思いますが、それだけではなく、自分の周りの人も、「王様マインド」持てるように努力し、実際多くの人が「王様マインド」を持てるようにできた人は、さらに幸せになれると思います。


こういった観点から、マネジメントではどういうことがいえるのかというところで、ある書籍のことを思い出しました。この書籍は、よくこのブログで登場する、ドラカーのものではありません。それは、トラッカー財団という、ドラッカー氏が亡くなった後ても、ドラッカー氏の考えを広めようという目的で設立され財団であり、これらに属して日々ドラッカー氏の考えを広めようと努力している、ドラッカーのお弟子さんとも言われる人々の中の一人によって書かれたものです。

最高の力を発揮してもらい最大の貢献をしてもらうための手立てを講じているか

「組織の優劣は、平凡な人間をして非凡なことをなさしめるか否かにある」(エリザベス・H・イーダスハイム著『P・F・ドラッカー―理想企業を求めて』)

この書籍は、ドラッカー本人の求めによって、エリザベス・H・イーダスハイムさんが、ドラッカー氏の最晩年の1年半を独占インタビューし、さらに、世界各地にいる彼の教え子たちに取材した内容をまとめたものです。ある意味で、ドラッカー氏の遺言のようなものです。それも、ただの遺言ではなく、多くの人にドラッカーの考えを遺し、実務的に役立てていただくという目的を持ったものです。そうして、この書籍の中の結論は、ドラッカー氏とそのクライアントたちが求めたものは、つまるところ、人が主役の理想企業だったというのです。


彼女が、ドラッカーの教え子の一人だったアルミ最大手アルコアの元CEO、ポール・オニールに見せてもらった黄色に変色した紙には、3つの問いが書いてありました。それは50年近く前に、オニール氏がドラッカーから教わって書き写したものでした。

企業がどれほどのものかは、それら3つの問いに社員のどれだけが、なんのためらいもなく、即座にイエスと答えられるかによって知ることができるというものでした。

その3つを以下に掲載します。

「あなたは敬意をもって遇されているか」

「あなたは貢献するうえで必要な教育訓練と支援を受けているか」

「あなたが貢献していることを会社は知っているか」

ドラッカー氏は、企業とは人であるとくどいほど説き続けました。ビジネスモデルにしても、組織構造にしても、人のエネルギーがあってこそのものです。しかし、そのためには最高の力を発揮してもらい、最大の貢献をしてもらうための手立てを講じなければならないのです。

ドラッカー氏は、この書籍のまえがきで、以下のような言葉を残しています。

「組織の目的は、均衡と調和ではなく、人のエネルギーの解放と動員にある」(『P・F・ドラッカー』)


さて、この書籍と、先ほどの「王様マインド」とを比較してみましょう。


「自分の人生には目的がある」
自分の人生に、目的がある人、誇り高い目的を持つことができるように支援され、実際に人生の中で、かなり長い間過ごす組織において、目的を持ち、はつらつと生きている人は、「敬意を持って遇されていると」感じることができるでしょう。



「自分には価値がある」 
自分には、価値があると思うことができる人は、会社に貢献するうえで必要な教育訓練と支援を受けていることでしょう。しかも、実効的な支援を受けていて、自ら組織に貢献している、多くの人に自分の価値を認められていて、実際それによって貢献しているとの自負を持っているに違いありません。

「自分は愛されている」

自分が、愛されているという自覚を持っている人は、自分が会社に貢献していることを会社の人は、知っているという実感を持っていることでしょう。そうして、会社とは、会社の経営陣はもとより、会社の多くの同僚、部下、上司ということです。


さて、「王様マインド」の3つの特徴を見たときに、私は、すぐに、組織の優劣に関する、上記の3つの言葉を思い浮かべてしまいました。

この「王様マインド」や、上記の言葉、表現は異なりますが、結局は同じことを言っているのだと思います。王様だって、王国という組織の人間です。組織の人間にとって、本当に重要なことには、大昔から伝承されてきたものでも、ドラッカー氏のように、比較的新しい時代の人が語ることでも、人生で、本当に重要なことは、互いに似通ってくるという事だと思います。

ただし、この「王様マインド」気にかかることがあります。下に今一度、三項目を掲載してみます。
自分の人生には目的がある
自分には価値がある 
自分は愛されている
主語が全部自分です。これでは何かジコチューそのもののような気がします。ジコチューの人が、これを座右の銘にしたら大変なことになりそうです。他者とは、全く関係のない人生の目的を持ち、他者がどう思うのかは全くおかまいなしに、自分に価値があると思い、自分は愛されていると思鋳込んだとしたら、大変なことになると思います。無論、私はこの書籍を読んでいなので、書籍の中では、このようなことを説明しているのかもしれません。しかし、基本中の基本であるマインドの定義の三つのすべての主語が「自分」というのでは、やはり、ジコチュー的であると思ってしまいます。

これも、戦後の誤った個人主義教育の産物なのでしょうか?この著者もこれにどっぷりと漬かって、ジコチュー的な考え方に何の違和感も持たなくなっているのかもしれません。あるいは、こうしたジコチュー的な表現のほうが、現在の世相にあっているのかもしれません。

このマインドの定義は、本当は以下のようにすべぎではないでしょうか?
私たちの人生には目的がある
私たちには価値がある
私たちは愛し愛されている
故三島由紀夫氏は、「人間は、自分のためだけに生きていけるほど強くはない。人のために生きるということが、大儀であります」と語っていました。三島由紀夫氏の言う大儀を現代風に言い直せば、上の三つの文章になるのかもしれません。実は、目的、価値、愛よりも、本当は、この「私たち」のほうが、重要なことだと思います。何でも自己で完結しようとする人には、本当の幸せは訪れないのだと思います。


私も、「王様マインド」自分だけが、持つよう努力するというは当然のこととして、それを自分の周りの人々も、持つことができるよう、日々努力していきたいものです。きっと、そちらのほうが、かなり幸福度合いが大きいと思います。自分だけが幸せになるのではなく、他の人も幸せになれるように努力する人のほうが、より大きな幸せを得られるはずです。



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2012年9月2日日曜日

(論文)日本の人口動態と中長期的な成長力:事実と論点の整理 :日本銀行 Bank of Japan―【私の論評】出た出た、日銀得意の嘘レポート!!



【要旨】

本稿では、わが国における人口動態―少子高齢化の急激な進展―及びこれが中長期的な成長力を中心に経済・物価に及ぼす影響について、多面的に事実整理と分析を行った。その概要は次のとおりである。
  1. わが国の人口動態をみると、少子高齢化が、予測を上回り続けるかたちで急激に進展した。しかも、バブル崩壊や不良債権問題に直面する中で、少子高齢化の進展に対する社会的な関心が十分に高まるまでには、長い時間を要した。最近は、出生率が予測に比べ幾分上振れて上昇しているものの、これまでのところ、こうした上昇は一時的であるとの見方が多く、先行きも少子高齢化が急速に進んでいくという基本的な見方に変わりはない。
  2. このような人口動態は、労働供給の減少と産業構造の変化に伴う生産性への下押し圧力の両面から、わが国の中長期的な成長力に対して重石となってきている。先行きも、性別・年齢別の労働力率に変化がなければ、就業者の減少が加速することが見込まれる。また、イノベーションが進まない限り、サービス業など労働生産性が相対的に低い産業のウエイトが一段と拡大することにより、マクロの生産性に対する下押し圧力が強まる可能性がある。この点、産業別に生産性の水準を国際比較すると、統計上の問題から評価には一定の留保が必要ではあるものの、とくに少子高齢化の進展に伴い需要の増加が見込まれる対個人サービス分野において、わが国の低さが目立つ。
  3. わが国では、人口成長率の低下とともに物価上昇率も低下してきた。この点については、少子高齢化が予測を上回り続けるかたちで急激に進展する下で、中長期的な成長期待が次第に下振れるに連れて、将来起こる供給力の弱まりを先取りする形で需要が伸び悩んだことが、物価下押しの一因となってきた可能性がある。また、少子高齢化の進展に伴って消費者の嗜好が変化していく中で、供給側がこうした変化に十分対応できず、需要の創出が停滞すると同時に、既存の財やサービスにおいて供給超過の状態が生じやすくなったことが、物価の下押しにつながってきた可能性もある。
  4. 都道府県別にみると、生産年齢人口の減少が厳しいことが見込まれている地域ほど、成長期待の低下などを通じて労働需給が緩和している。この点に関して、地域別の特徴をやや詳しくみると、他地域との経済取引の度合いが低い地域ほど、人口動態の影響を大きく受け、厳しい経済情勢に直面する傾向がうかがわれる。
  5. 少子高齢化は、企業の投資行動や家計の金融資産選択行動にも影響を及ぼす。企業は、国内投資より収益率の高い対外資産を増加させていく可能性が高い。家計については、高齢者は危険資産より安全資産を選好し、また生命保険に対するニーズが低いため、今後もこうした高齢者の金融資産選択の特徴に変化が生じなければ、人口動態は預金取扱金融機関に対する緩やかな資産集中を促す要因となる可能性がある。
以上のような人口動態が及ぼす影響についての整理をベースに、最近の変化も踏まえつつ、今後の成長力強化のために重要と思われる論点を挙げると次のとおりである。
  1. 労働供給に関しては、近年、女性や高齢者の労働力率が着実に高まってきており、この動きを促進していく必要がある。女性については、子供を持つ場合でも労働参加が増えており、国別データや都道府県別データからみる限り、日本においても、子育て支援の強化などによって、出生率と育児期の女性の労働力率の双方をさらに高めることは可能と考えられる。やや長い目でみると、人口が増えていく高齢者による労働参加が鍵となる。高齢者の活用の仕方を巡っては、若年雇用との関係を含めて議論すべき点も多いが、少なくとも健康な高齢者は増えてきている。
  2. 少子高齢化のもとでも、生産性を高めていくことは可能である。その実現に向けた方向性としては、主に次の3点が重要である。 
  3. 第1に、少子高齢化に伴って生じる、医療・介護の需要増加を含めた消費構造全体の変化について、企業の取り組み強化や制度改革などにより、高付加価値化を進めつつ需要を掘り起こしていくことである。その際、医療・介護分野については、その基盤となる財政の持続可能性を損なわない工夫が必要となるほか、制度改革などを通じ医薬品・医療機械など関連産業を含めた生産性の向上を促すことが重要である。 
  4. 第2に、中小を含め企業が国内の他地域や海外との「つながり」を持つことである。先端の技術やアイデア、情報に触れ、経営革新につなげていくことは、グローバルな需要を取り込む上で鍵となる。実際、グローバル化への取り組みが進んでいる企業は、取り組みが遅れている企業と比べて労働生産性が高く、その格差は拡大傾向にある。わが国の対内・対外直接投資残高は、他の主要国対比低く、引き上げの余地が残っている。 
  5. 第3に、生産要素を効率的に活用していくことである。就業者数が減少する一方で、相対的に豊富になる資本を効率的に活用することは、労働生産性の向上につながる。また、労働についても、女性など潜在的な労働力を活用することによって企業業績や生産性の向上にもつなげていくことが可能である。 
  6. なお、このところの日本企業による高齢者ビジネスへの積極的な取り組みやグローバル展開の強化は、生産性向上に向けた兆しと捉えることが可能であり、今後そうした動きが広がっていくことが重要である。
  7. 金融仲介機能に関しては、今後、高齢者による金融資産選択の特徴に変化がない場合に、人口動態要因が生命保険のウエイトを低下させ、預金取扱金融機関のウエイトを高める可能性があることが、金融資本市場や貸出市場に及ぼす影響について注意してみていく必要がある。企業の対外投資資金を含め、成長力強化に必要なリスクマネーといった観点からは、金融構造に大きな変化が生じない限り、その供給主体としての預金取扱金融機関に求められる役割がさらに重要になり得る点に注意が必要である。

【私の論評】出た出た、日銀得意の嘘レポート!!

昨日も、雇用関連の話をブログに掲載して、日銀がまともに働いていないことを掲載したばかりなのですが、本日Gunosyをみていたら、8月31日に日銀の上のレポートが発表されたことを知りましたので、本日も日銀話題を掲載することとしました。はてさて、本当に困ったものです。

このブログでは、以前、いわゆる人口減少デフレ説に関する反論記事を掲載したことがありますが、これは、無論日銀外の人が出しているトンデモレポートに関するものでしたが、今度は、日銀からこんなレポートが出てしまいました。日銀さん、こんなの出していいんですか?日本国内では、あまり問題にはならないのかもしれませんが、海外からは、ただのバカと評価が下がるだけですよ!!

このブログ記事では、デフレは、純然たる貨幣現象であり、人口の増減とは全く関係ないという結論でした。


詳細は、上のURLをご覧いただくものとして、この記事の結論部分のみ掲載させていただきます。
・・・・・デフレ人口減説というトンデモ説です。これは、経済学を無視したとんでもない理論ですが、そのようなトンでも理論であるばかりではなく、世界中を探しまわっても、これを裏づけるようなデータは存在しません。おそらく、これから、正統派マクロ経済学とは、無縁のトンデモない衒学者どもが、日本のデフレは、人口減が原因であるから、いたしかたないという説を吹聴しまくると思います。そうして、新聞もその尻馬にのって、馬鹿な説を流布しまくることになると思います。そんなことになる前に、この馬鹿な説を論破しておきます。 
インフレ・デフレというのは純粋な貨幣現象です。人口減、人口増など全く関係ありません。マネタリストのミルトン・フリードマンも「インフレデフレはすべて貨幣現象である」と語っています。というより、これは、どの経済学者も認める当たり前の事実です。これを認めない人は、経済学者とも、呼べない輩です。これは、経済学では当たり前の真ん中の、普通の経済学のテキストにも掲載されているようなことです。これが、崩れたら、経済学など最初から成り立ちません。

少し難しくなりますが、経済学の話をします。 
一般に、貨幣を増やすインセンティブを起こせば需要が大きくなります。貨幣を減らすインセンティブを起こせば需要は小さくなります。当たり前のことですね。 
貨幣供給力は、capital(K)  labor (L) 、A を技術によって変わる変数として、F(K.L)は、関数とすれば、供給力はY=AF(K.L)として表記できます。 
その時点での供給力に対して貨幣量が大きくなり需要が大きくなればインフレになり、貨幣量が少なければ需要が小さくなってデフレになるだけです。本当にそれだけの話です。
私の中では、デフレ・インフレが人口増・人口減とは全く関係ないことが、上記のことで完璧に理解できるので、いろいろな統計資料や、珍妙な論説などを読んだとしても、その信念は全くゆるぎません。これは、かつて、ケインズ氏が、長い期間をかけて対策をうつべきなどという経済学者を揶揄して、「私たちは長い間には死んでしまう」と言っていた言葉と同じくらい、このことに関しては、信念が全くゆるぎません。

だから、要旨を読んだだけで、読む価値なしと判断して、実物は読んではいません。なぜなら、時間が全く無駄になるからです。それにしても、経済専門家の方は、そうではあっても、やはり、さらっとは目を通しているようです。経済評論家の上念氏は、実際に目を通したようで、以下のようなツイートをしています。


論文の全部に目を通すのは時間の無駄ですから、上念氏が指摘している箇所だけは、読んでみました。
クリックすると拡大します
図表15(下)に関しては、 日本(ともう一つ上方の国)がかなり外れ値になっています。その残りの国における生産年齢人口変化率とインフレ率の関係と比べて、日本がかなり下に乖離しています。つまり生産年齢人口変化率で説明できないほどインフレ率が低い状況すなわち、デフレ率が高い状況になっています。

このデータが正しいものとしたとしても、これは、日本では、生産年齢人口変化率では説明のつかない大きなデフレ要因があることを示しているということです。おそらく、恣意的にデータを選んだのでしょうが、それにしても、日本が、こんなに外れているのでは、どうしようもありません。選ぶんだったら、もっと恣意的に綺麗に並ぶデータにすれば、説得力があったと思います。であれば、マスコミや、政治家などコロリと騙せたかもしれません。こんなんじゃ、とても、誰も、まともな資料と思わないでしょう。

そうして、このグラフの相関係数は、0.61です。私は、理工系の生物系出身なのですが、相関係数が、6.1のデータを持ってきて、それで断定的な意見を論文に書いたら、論文審査には、絶対通らないです。経済では、そんなことがまかり通るのでしょうか?そんなことはないでしょう。

ちなみに、上念さんは、本日以下のようなツイートもされています。


一体、このリンクどこに飛ぶのかと思ってみてみたら、衆議院議員の中川秀直さんのブログの「現代の末法思想=デフレ人口減少原因論←「人口増減と「物価」は実は関係がない」(高橋洋一氏)」というページに飛びました。中川議員は、随分前から、「日銀法改正」を主張しておられる方です。

http://ameblo.jp/nakagawahidenao/entry-11178934785.html

これは、高橋洋一さんの論考だけでなく、様々な資料が掲載されていて、かなり良くまとまっています。私も、今回、この中川議員のブログに掲載されているように、デフレと、人口減とには、全く関係ないことをたくさん掲載しようとも考えましたが、私自身は、もともとすっかり納得しているので、とてもそのような内容を掲載する気力はなく、考えただけで、ゲンナリしてしまいましたので、詳細は、この資料を参照していただきたいと思います。

全く、おかしげな、日銀論文は、要旨だけ読んでいるだけでも、疲れてきます。結局、日銀はデフレの責任を負いたくないため、日本国内の現在のデフレ状況にあることの責任の所在の大部分が自分たちにあることを隠蔽するために、このようなレポートを書いてサイトに掲載しているということです。典型的な、責任転嫁です。今までのように、言葉や、資料等などだけではなく、はっきりとした論文という形式で、これを打ち出したということです。


皆さんは、このようなものに騙されないように、気をつけましょう。このブログでも、たびたび論考を紹介する高橋洋一氏が語っていたところによると、日銀は、ホイホイと政治家を騙すそうです。実際、政治家の中には、日銀も出席する会合に出席した後で、高橋洋一氏のところに日銀の説明を確認にくる人たちがいるそうです。そうすると、毎回日銀の説明の中に、いくつか、どう考えても誤りだと断定せざるを得ない内容があるので、政治家の方々にそれを明確な根拠とともに、指摘しているそうです。政治家の方々も、騙されないで済むので、喜んでいるそうです。高橋氏によれば、やはり、枝葉まで入ってしまうと、経済や、金融に関することは難解だからとしています。それにしても、国会議員をホイホイ騙してしまうとは、本当に罪深いと思います。


しかも、このような日銀の発表など、今のマスコミのほとんどが、勉強不足のためかそのままスルーして、日銀の発表をそのまま報道しているそうです。そのため、日銀の主張、それも明らかに誤った主張がまかりとおってしまっています。

私も、このような高橋氏が言われているように、そんなに酷いものなのだろうかと、話半信半疑なところもあったのですが、過去いくつかの日銀の発表にかなり疑問を感じたこと、さらに、最近ではこのブログに掲載したように、中央銀行の独立性に関することで、ガイトナー氏が日本で公演した内容につき、英語版の資料では、正しく説明しているのに、日本語版の資料では、中央銀行の独立性とは、中央銀行が国の金融政策を決定するかのように記載されていたのを確認したこと、さらに、8月31日の上の論文発表に関して確認するにおよび、日銀は、恒常的に自分に都合の良い嘘をつくのだと確信するに至りました。

そういった意味では、上の論文は、結構時事ネタとしては、価値あるものだと思うのですが、やはり、マスコミは勉強不足なためか、あるいは、そうだったら良いのですが、上の論文は、明らかに間違いであり、報道する価値がないと判断してか、上記のことを報道するところはほとんどありませんでした。上の嘘を見破るようなものでなくても、「人口減でデフレだ、だから、デフレ脱却は難しい」などと、報道するところすらありませんでした。日経新聞などが、飛びつかなかったのは不思議です。

まあ、マスコミが報道しなければ、この日銀の「デフレ責任回避」の論考も、ほとんどの国民が知らないわけで、それは、それで良かったのかもしれません。それにしても、もっともっと多くの人達それも、国の中枢に近い人たちが、日銀の嘘を見透かすようにならなければ、いつまでたっても、日銀の異常な爆走はとまらないと思うのは、私だけでしょうか?


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2012年9月1日土曜日

若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

若者雇用戦略のウソ


政府がまとめた「若者雇用戦略」が批判を浴びている。策定に加わった委員までもが、省庁の権益拡大を警告する。就職難を口実に、行政の効率化が疎かになってはいないか。

厳しい雇用情勢が続く中、政府が労使の代表と6月にまとめた「若者雇用戦略」。この内容を巡って、今も関係者の間で批判がくすぶっている。


「戦略という言葉の使い方を勘違いしている」

そう指摘する東京学芸大学の藤原和博・客員教授は、若者雇用の専門家として、戦略を策定する「雇用戦略対話」の委員に招かれた。だが、議論はあくまで政府や連合が主導し、従来の民主党政権の政策を追認するばかり。各省の政策の優先順位を明確にすることもない「雇用戦術報告会と呼ぶべきものだった」。

4回目の会合で政府関係者が注文だけ言って途中退席すると、「これ以上の議論はムダだ」と悟った。「単なる予算要望の場に、力を貸すつもりはない」。藤原氏はこの会合を最後に、辞任を申し出た。

若年層の雇用情勢の改善に向け、野田佳彦首相の肝いりでまとめられた今回の若者雇用戦略。ただし、その内容は全国の大学にハローワークの窓口を設けるなど、既存の政策を拡充するものばかりだ。

過去に事業仕分けでいったん廃止と判定されたこともある「ジョブ・カード制度」についても、今回の戦略では普及促進の方針が明記された。藤原氏の指摘の通り、雇用対策を口実に各省庁が権益拡大を狙った内容とも受け取れる。

労働行政に残るムダ

「雇用のことって正直、よく分からないんだよね」。今春まで約8年間、東京都内のハローワークで契約職員として勤務していたある女性は、正規職員の上司が何気なく発した言葉に愕然としたことがある。


このハローワークでは、業務の大半をキャリアコンサルタントの資格を持つ非正規の職員が支えていた。非正規の職員には紹介や相談件数などのノルマが課される一方、正規職員は管理業務が中心。勤務時間中に宴会の案内状を作っている上司の姿を見て、苛立ちを感じたこともある。

・・・・・・・・・・・〈中略〉・・・・・・・・・・・・・ 

野田首相は今回の戦略策定に当たり「分厚い中間層の中核を担う若者たちのために、切実な危機感を共有しよう」と呼びかけた。しかし、企業は厳選採用の傾向を強めており、雇用は一握りのグローバル型人材と多数のローカル型人材に2極化しつつある。ある人材サービス会社の幹部は、「『分厚い中間層』という考え方がそもそも幻想ではないか」と指摘する。

政府は今回の戦略によってフリーターの半減などを目指すが、労働市場の実態と乖離した方向性のままでは、新たな行政のムダを招く恐れがある。既存の政策の総点検を避けたことが、将来世代の負担を増やす結果になってはならない。

この記事の詳細は、こちらから!!

【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!

本日の日経新聞には、以下のような記事が掲載されています。

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は31日、金融政策について「特に米労働市場の改善が重要で、必要に応じ追加緩和政策を行う」と述べた。具体的な手段に踏み込むのは避けつつも、当面の雇用統計などの結果次第では緩和に動く姿勢を強調したものだ。
これは、FRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)におけるバーナンキFRB議長の公演内容の一部です。

上の発言で特に注目していただきたいのは、「特に米労働市場の改善が重要」というところです。この発言に関して、奇異に感じる人は、平均的な日本人かもしれません。奇異とも何とも思わず、当たり前の発言であると感じた人は、中央銀行による雇用調整策についてよくご存知の人かもしれません。


このブログの冒頭の記事を読んでいると、雇用に関して、野田総理大臣はもとより、この記事のなかに登場する人たちも、それに、この記事を書いた記者も、中央銀行(日本では日本銀行)による、雇用調整や対策のことを全く知らないのではないかとさえ思ってしまいます。

アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。


それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。


日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。


しかしながら、現在日本で行われているような、厚生労働省が行う、雇用対策は、帯に短くタスキに長しという対策がほとんどのようです。まさに、このブログの冒頭の記事に書かれてあるようなことが、実態であると考えられます。このようなことを防ぐため、アメリカなどでは、地域に密着したNPOが、地域の雇用のミスマッチを解消するために、求職者に住宅から、職業教育、職場斡旋を含む包括的なブログラムを提供するということが行われています。このような、NPOの中には、地方銀行や、建築会社までメンバーとして含まれていたりします。NPOとはいっても、日本とは全く意味合いや、規模が違います。おそらく、こちらのほうが、政府が直接手を下すよりもはるかに、効果があると思います。こういうことも、大方の日本人は知らないようです。NPOというと、奇特な人たちが、手弁当で奇特なことをするものという認識だと思います。

その先端的な試みの一つとして、たとえば、COUSERAがあります。これは、最近できた、オンラインでアメリカのいくつもの大学の授業を無料で受けられる、というブログラムです。私もさっそくいくつかの講義に登録したことは、以前のこのブログにも掲載したことがあります。従来、こうしたプログラムは、いくつかありましたが、このブログラムが他のものとは明らかに異なる点があります。それは、大学の講義が受けられるだけではなく、仕事を探すというブログラムも含まれているということです。


私は、実際にこれで求職活動を行うことはないので、実際の仕組みがどうなっているか、詳しくはわかりません。おそらく、COURSERA側から、企業に対して、求職者履歴書と、このブログラムで提供している、大学教授による講義の成績の評価内容や、COURSERAの質問応答サイト(学生同士で質問したり、それに答えるサイト)での活動履歴などが求職者の情報として企業に発信されるのだと思います。そうなれば、企業としても、履歴書や面談、テストだけでなく、より包括的に学生の適性をみることができるのだと思います。このシステムに興味のある方は、下のTEDの動画をご覧になってください。



このような先端的なこころみは、国に期待することはほとんど無理だと思います。厚生労働省は、自ら直接雇用のミスマッチを是正するようなことはせずに、地域の民間営利企業や、民間非営利企業がこのようなことをやりやすくするための、インフラを整備する側にまわるべきと思います。

しかし、ここで、はっきりさせておきますが、厚生労働省の若者雇用戦略が良かろうが、まずかろうが、いずれにしても、雇用枠を生み出すのは、本来日銀の仕事であるということです。雇用枠が増えないのに、厚生労働省が、雇用のミスマッチ対策をしていても、ほとんど効果は期待できません。部分的にみるのではなく、国全体としてみれば、雇用枠がもとのままであれば、結局若者の誰かが、厚生労働省のプログラムてで就職したとすれば、他の若者の誰かが就職できなかったということになるだけのことです。


厚生労働省の記録には、当該ブログラムにて、誰かが就職したという記録が残りますが、これによって、就職できなかった他の人の記録は残らず見えないだけで、結局は、全体では何も変わらないということになります。そうして、現在の雇用情勢をみれば、これが、実体だと思います。


こんな簡単な理屈を野田首相もわかっていないようです。雇用枠を広げる仕事をすべき日銀が、デフレ・円高促進政策ばかりやって、結局雇用枠を減らすことばかりに執着しているようでは、雇用枠はいつまでたっても増えません。そんな最中に、厚生労働省だけが、若者雇用戦略として、雇用対策を行っても効果がでないのは、あたりまえの真ん中です。日本では、雇用は、厚生労働省だけの管轄であり、日銀はまるで蚊帳の外のような扱いです。

そんな馬鹿な話はありません。  日本でも、諸外国で当たり前のど真ん中になっている、日本の中央銀行である日銀に雇用枠を広げる仕事に真面目に取り組ませるべきだし、その責めを負わせるべきであると思うのは私だけでしょうか?そうしなければ、若者雇用戦略など最初から成り立ちません!!冒頭の記事で、若者雇用戦略を批判している人たちだって、ほんど的外れです。なぜ、雇用に関する戦略に日銀が全く関与しないのか。関与しなくても、誰も気にしない!!このような慣行がいつからまかり通るようになったのか、私には全く理解できません。皆さんは、どうお考えになりますか?

 

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特報 米国司法省 IR疑惑で500ドットコムと前CEOを起訴 どうなる岩屋外務大臣 渡邉哲也(作家・経済評論家) まとめ 米国司法省は500ドットコムと元CEOを起訴し、両者が有罪答弁を行い司法取引を結んだ。 日本側では5名が資金を受け取ったが、立件されたのは秋本司被告のみで、他...