2015年2月7日土曜日

「あらゆる手段で広報」=慰安婦は人権問題-韓国高官―【私の論評】テロを仕掛ける国には、官民挙げて反撃すべき! ただし、付き合いは最低限にとどめ、水掛け論にもっていくことが正しい選択、彼の国に時間と労力と金をつかうのは無駄(゚д゚)!


韓国の趙兌烈外務第2次官

韓国の趙兌烈外務第2次官は6日、元従軍慰安婦が共同生活するソウル近郊の施設「ナヌムの家」を訪れ、「慰安婦が韓日間の歴史問題ではなく、普遍的な人権問題であることをあらゆる手段を動員して広報し続ける」と強調した。聯合ニュースが報じた。

日本政府は、慰安婦問題をめぐる対外的な日本批判をやめるよう韓国側に求めており、両国の立場の開きが改めて浮き彫りとなった。

趙次官は「今年は(日本の植民地支配からの)解放70年、韓日国交正常化50周年の重要な年だ」と指摘。慰安婦問題などを話し合う日韓外務局長協議について、「大きな進展はないが、両国が新しい気持ちで問題をうまく解決できるよう努力し始めた」と述べた。また、「(元慰安婦の)おばあさんたちの誇りは韓国の誇りであり、名誉と誇りを取り戻すために最善を尽くす」と語った。 (2015/02/06-20:20)

【私の論評】テロを仕掛ける国には、官民挙げて反撃すべき! ただし、付き合いは最低限にとどめ、水掛け論にもっていくことが正しい選択、彼の国に時間と労力と金をつかうのは無駄(゚д゚)!

評論家の石平氏は、上記の報道に関して以下のようなツイートをしています。
まさに、石平氏のツイートのように、これは、殺人などは伴わないものの、その言葉の厳密な意味において、「テロ」です。

この趙兌烈外務第2次官は、昨年もとんでもない暴挙に出ています。その報道を以下に掲載します。これは、昨年2014.2.18の日付の報道です。
「関係悪化の原因は日本」と強調=米との外相会談で-韓国
 韓国の趙兌烈外務第2次官は18日の国会答弁で、1月上旬と2月13日に行われた米韓外相会談で、「(日韓関係冷却の)原因は日本にあるということを米国がはっきりと認識することが重要だ」と再三強調したことを明らかにした。
 また、岸田文雄外相が18日の記者会見で日韓外相会談への意欲を示したことに関しては「昨年来、日本の首相や外相が、首脳・外相会談への希望を述べているが、単なる希望だ。われわれと直接協議したことはない」と述べた。
 その上で「日本が変化した姿を見せれば、対話に応じない理由はないというのが基本的立場だ。日本が先に誠意ある信頼に足る措置を取らなければならない。対話のための対話は意味がない」と述べ、会談実現には、まず日本の前向きな対応が必要だと強調した。 
 ただ、「多様なチャンネル、レベルでの対話努力は続ける」として、実務レベルの協議は進める考えを示した。
これに対して、当事岸田外相が、会談を呼び掛けましたが、韓国側は否定しています。
岸田氏、外相会談呼び掛け 韓国側は否定
岸田外相 
 岸田文雄外相は18日午前の記者会見で、歴史認識問題などで冷え込む日韓関係の修復に向け、外相会談の開催を韓国側に呼び掛けた。「意思疎通の一つとして外相会談を実現したい。われわれの考えを受け入れていただければと考えている」と述べた。 
 これに対し、韓国の趙兌烈外務第2次官は18日の国会で「(首脳会談も外相会談も)協議したことはない。(日本が歴史問題で)誠意を見せれば対話に応じるのが原則だ」と述べ、外相会談にも応じないとの立場を示した。 
 外務省の伊原純一アジア大洋州局長は18日、ソウルで韓国外務省の李相徳東北アジア局長と会談した。
昨年、首脳会談に関しては、オバマ大統領の仲介で、何とか実現はしはしましたがとても実りのあるものではありませんでした。


さて、これは日韓首脳会談ではなく、オバマ大統領の仲介による、日米韓首脳の会談です。日韓首脳会談に関しては朴槿恵大統領が就任して以来一度もないという異例の状況が未だにつづいています。

そうして、日韓首脳会談に関しては、韓国側の態度は以下のようなものです。

日韓首脳会談、「日本側に十分な動きない」韓国外相が苦言

韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相
 韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相は19日、今年の外交政策方針を朴槿恵(パク・クネ)大統領に報告した後、記者会見し、日韓首脳会談について「日本側に(会談実現に向けた)十分な動きはうかがえない。朴大統領が新年の記者会見で強調したように、首脳会談実現に向けうまく条件をつくらねばならない」と指摘。間接的に慰安婦問題解決への日本側の努力を求めた。 
朴大統領は12日、会談には「日本側の姿勢の変化が重要だ」と指摘。これを受け、菅義偉(すが・よしひで)官房長官は13日、「首脳会談に前提条件を付けるべきではない」と不快感を示していた。 
尹外相に対しては「韓国側の努力」を問う質問もあったが、それに対しては「日本側は慰安婦問題を韓日関係の側面でのみ見ているが、国際社会はそれ以上に見ている。普遍的な人権の問題、性暴力の問題とし、多くの国際機構と国際社会で話し合われている」と述べた。 
その上で、「国際社会がこの問題をどのように見て、(生存している)軍隊慰安婦の方々が、なぜ自尊心や名誉の回復を望んでいるのかを、日本側でより深く考える必要がある」と強調し、日本側の努力を促した。
以上の報道をみていると、韓国側は官民あげて、今日でもなお慰安婦問題で日本に譲歩を迫ろうという考えがはっきりとみてとれます。

これは、殺人や直接的な暴力は伴わないものの、従軍慰安婦問題というありもしない虚構による歴史の歪曲を強制するということで、「テロ」以外の何ものでもありません。

これに対し、石平氏が「日本は官民を挙げて徹底的な反撃行うしかない。いわゆる「慰安婦」はただの売春婦であることを世界中に暴かなければならない」と主張の通り反撃をしていくべきです。

ただし、彼の国に対しては、これからも首脳会談や、外相会談その他多様なチャンネル、レベルでの対話努力は最低限にすべきです。

このブログでも何度か掲載してきたように、韓国との付き合いなど最低限度にすべきです。要するに、韓国側は、日本に譲歩を迫り、日本が譲歩すれば、我が物顔で横柄に金をせびりにくるだけのことです。今の韓国、経済危機に見舞われています。その状況は、過去のデフレスパイラルのどん底に沈んていた日本など問題にならないくらい深刻なものです。



経済的に放置しておけば、必ず韓国経済は瓦解します。そんなことは、当の韓国側も承知ですが、朴槿恵には、この経済危機を乗り切るだけの能力も胆力もありません。いずれ韓国経済は瓦解し、朴槿恵体制も崩れます。

日本としては、朴槿恵の次の大統領がどのような体制を築くか見守り、まともであれば付き合うようにすれば良いだけの話です。ダメであれば、また付き合わなければ良いだけの話しです。

ただし、韓国が官民挙げて、慰安婦問題などの歴史修正や歪曲をした場合には、徹底的に反撃し、水掛け論にもっていき、それ以上のことはしないことが望ましいです。

なぜなら、これはこのブロクにも何度か掲載しているように、国際的にはある国が他の国にいいがかりをつけたとして、いいがかりをされた当該国が反撃に出て、水掛け論になった場合、いいがかりをつけた国のほうが負けとなるからです。

前から、主張しているように、韓国のGDPは、東京都よりも若干小さい程度のレベルで、日本から韓国向けの輸出も微々たるものだし、韓国からの輸入もすべて他の国で代替のきくものばかりですから、韓国と無理して付き合わなければならないなどということはありません。

やはり、彼の国とは最低限の付き合いにとどめて、歴史修正にだけは反論して、水掛け論に持っていけばそれで良いです。彼の国に時間と労力と金をつかうのは無駄というものです。政府機関も、民間も彼の国から引きあげて、彼の国の自滅を待って、まともになれば付き合えば良いし、そうでなければこれからもダンマリを決めれば、それで良いです。

私は、そう思います。皆さんはどう思われますか?

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2015年2月6日金曜日

国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法―【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!

国の債務超過490兆円を意外と簡単に減らす方法

財務省は、2013年度末の国のバランスシートをまとめ、2014年3月末時点で資産・負債差額(負債が資産を上回る債務超過額)は490兆円と発表したという報道があった。

まず、その資料をみてみよう。

日本国の貸借対照表 クリックすると拡大します

資産は総計653兆円。そのうち、現預金19兆円、有価証券129兆円、貸付金138兆円、出資66兆円、計352兆円が比較的換金可能な金融資産である。そのほかに、有形固定資産178兆円、運用寄託金105兆円、その他18兆円。

負債は1143兆円。その内訳は、公債856兆円、政府短期証券102兆円、借入金28兆円、これらがいわゆる国の借金で計976兆円。運用寄託金の見合い負債である公的年金預り金112兆円、その他45兆円。

先進国と比較して、日本政府のバランスシートの特徴をいえば、政府資産が巨額なことだ。政府資産額としては世界一である。政府資産の中身についても、比較的換金可能な金融資産の割合がきわめて大きい。

巨額な資産をオープンにせず
債務の多さだけを強調した過去の政府


実は、国のバランスシートは前から公表されている。20年前にはじめて国のバランスシートを作ったのは筆者である。

その当時、政府内で資産・負債総合管理(ALM)を行う必要があり、国のバランスシートを作成したが、幹部から口外しないようにかなり注意を受けた。あまりに資産が多額にあったからであり、それまで国の借金いくらと、資産をいわずに負債だけで財政危機を説明してきたからだ。

その結果、国のバランスシートを公表しても、あまりマスコミへ説明しなかった。このため、バランスシートの資産・負債差額(債務超過額)の数字があっても、財務省が説明しないので、マスコミは記事を書けない状態だった。

今回、資産・負債差額が報道されたということは、財務省がマスコミにレク(説明)したはずだ。どうして、このような方向転換があったのか。

為替介入で得た外債で運用含み益、
いわば借金で財テクという実態


資産・負債差額に着目するのは世界標準なので、財務省もようやく世界に近づいたというのが一つの理由だ。もっとも、ほかの国は政府資産が少額なので、ネットの資産・負債差額で見ても、グロスの負債額だけを見ても大差ない。日本の場合、政府資産額が大きいので、債務額をグロスで見るか、ネットで見るかは大きな違いがある。

もう一つ考えられる理由は、債務超過額をいっている以上、政府資産の売却・整理はあまりいわれないですむ。売却・整理しても債務超過額はそれほど変わらないからだ。

これは、資産のうち外貨債権が100兆円以上あり、それが最近の円安で20兆円程度の含み益が出ていることが大きく関係している。これは、外為特会に関わる部分で、バランスシートでいえば、資産の有価証券と負債の短期政府証券にあたるところだ。

日本の外貨準備が大きいことに着目して、その運用をもっと積極的に行うという政府系ファンドの提言がしばしばある。実態をいえば、実際に外資系証券会社をはじめとして「運用」の委託を財務省から受けている会社は確かに存在している。

外為運用の秘密ということで、100兆円の運用なので、証券会社への実入りも大きい。これが財務省の利権を担っているのが問題だ。外為特会をみれば、政府短期証券という「国債」によって資金調達をして、為替介入という名目で外債購入し、その後「運用」しているわけだ。

いってみれば、借金が大変といいながら、さらに借金して財テクを行っているわけだ。

しかも、変動相場制という建前とも、今の外為運用は矛盾している。変動相場制であれば、一度為替介入して外債を購入しても、その外債の償還期限が来たら償還し、それで調達した政府短期証券も償還し、資産と負債を両方ともに減少させるのが筋だ。ところが、日本の外為特会では、外債のロールオーバーを行うことで、事実上の為替介入を継続している。その結果、先進国では類を見ない巨額な外為資金になっている。



国際的な観点からいえば、外為資金を圧縮して、同時に政府短期証券を減らすことが望ましい。しかも、現在では円安で結果として上述のような20兆円程度の含み益があるので、絶好の機会だ。

これまで財務省は、政府資産は道路などを例に挙げて、換金できないと説明してきた。ただし、これは有形固定資産178兆円にはあてはまるが、その約2倍にもなる金融資産ではあてはまらない。特殊法人などを廃止または民営化すれば換金可能だ。

また、政府資産に含まれる運用寄託金105兆円を将来の年金のために処分できないといってきたが、それを処分せよなんていう人はいない。問題は金融資産である。財務省はこれからどのような説明をするのだろうか。

BS上は債務超過でも
徴税権という「簿外」資産が


最後に考えられる理由は、債務超過を強調して財政再建の必要性をいうことだ。普通の企業であれば、債務超過であれば、破綻である。しかし、国の場合には事情が異なる。

他の国のバランスシートをみても、債務超過は珍しくない。日本の債務超過額は名目GDPの90%程度であるが、たとえばアメリカの債務超過額も名目GDP比でみればやはり90%程度であり、日本とほとんど同じである。もし日本が財政破綻というなら、アメリカも財政破綻だが、そうなっていない。

国の場合、形式的には債務超過であっても、国家としての徴税権という「簿外」の資産があると考えてもいい。日本の場合、少なくとも年間で40~50兆円くらいの税収が確実にある。これが将来も続くとすれば、それらの現在価値は割引率4%で1000~1250兆円程度である。これを資産と考えてもいいのであるから、少しぐらいの債務超過は問題にならない。

さらに、国のバランスシートだけで判断するのもミスリーディングだ。企業のバランスシートを見るとき、単体ベースと連結ベースの両方を見るように、国の場合も単体だけではなく、連結ベースも見なければいけない。

今でも、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースでのバランスシートは作成されている。国の単体ベースより2ヵ月くらい遅れて公表されているので、今年も3月末くらいに公表されるだろう(2012年度末の連結バランスシートは、財務省HP 平成24年度連結財務書類pdf にある)。
【ブログ管理人注:この連結財務書類現在では、見ることができません。財務省に何か思惑があるのでしょうか・・・・】

日銀のBSを連結すると
国の負債超過は200兆円減?


ただし、ここでは日本銀行が連結対象になっていない。日本銀行は認可法人であるが、連結ベースに含めて考えた方がいいこともある。荒っぽい方法だが、日本銀行のバランスシートを合算してみよう。他の政府子会社をすべて連結として含めて、債務超過額は若干低くなるはずだが、簡潔にするために、日本銀行だけを連結に含めてみよう。

日本銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券である。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみとみても、間違いではない。

となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(2014年3月末)は、資産の国債200兆円、負債の日銀券200兆円とみてもいい。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が200兆円減少し、その代わりに日銀券200兆円が入るわけだ。

ここで、日銀券200兆円は、形式的には負債だが、利息負担もないし、返済義務もない。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありうる。その考え方にたてば、債務超過額は490兆円から290兆円にあるわけだ。このあたりについて、公会計で定説はないと思うが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったといってもいいだろう。

こうした点について、経済財政諮問会議はしっかり議論する必要があるが、今のメンバーではとてもできそうにないのが気になるところである。

(高橋洋一)

この記事の詳細は、こちらから!

【私の論評】正体見たり枯れ尾花!財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために国民や政府などないがしろにし日本は借金漬けのようにみせかけているだけ(゚д゚)!

さて、上の記事は高橋氏によるものですが、さすがに以前は大蔵省にいたので、内部事情も詳しく、客観的にいろいろと指摘しています。そうして、高橋氏は、この記事に関して以下の様なツイートをしています。
さて、高橋氏のツイートのこの3点に関しては、上記の記事で詳細に説明されているわけではありません。というより、このことを前提として上の記事が書かれているといっても良いと思います。よって、この記事を理解するためには、この3点について理解しておく必要があると思われますので、以下にそれを掲載しようと思います。

①中銀の独立性の意味

日本の中央銀行である日本銀行

これについては、昨日解説したばかりです。詳細については、昨日のこのブログの記事をご覧いただくものとして、以下に中銀の独立性に直接かかわる部分のみビックアップして掲載しておきます。
世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。 
特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument i
ndependence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。 
しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。 
しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。  
日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。
②日銀は政府子会社

これに関しては、すでに①で一部述べています。「中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません」というくだりです。

国民から民主的な手続きである選挙選ばれた、与党を中心とする政府自体が、大企業にたとえれば、本部機能を有する本社であり、日本銀行はその子会社にすぎないということです。

日銀は、政府にとっては、一下部組織にすぎないということです。実際、日本銀行は株式会社であり、JASDAQに上場会社でもあります。とはいえ、もちろん日本銀行の株式の過半数は日本政府が保持しています。現実に、日本政府は日本銀行の親会社に該当いているのです。

なお、会計基準では親会社と、小会社の決算は、それぞれ単独で出すとともに両者の連結での決算もださなければならないことになっています。

大企業においては連結財務諸表を作成することが義務付けられている

なぜそういうことになるかといえば、過去には連結決算をしないで、赤字をすべて小会社に押し付け、本社は真っ黒であるかのように見せかけていた例があり、とんでもないことになったことがあったからです。それまでは、公にする必要のなかった、連結決算の必要性が叫ばれ、今では連結決算をするのが当たり前になりました。

日本政府の日銀の関係もそれと同じことです。政府は政府で決算を出します、日銀も日銀の決算を出さなければなりません。それとともに、政府と日銀を含む、政府の子会社である特殊法人などを含めた連結ベースで決算書をだすべきです。連結決算を見なければ、日本政府とその関連組織の全体像は見えてきません。

連結決算のルールにより、親会社と子会社間のお金の貸し借りは相殺されます。また、親会社から子会社への利払い(逆も同じ)も連結決算で相殺されてしまいます。日本政府が「子会社」の日本銀行からお金を借りた場合、返済や利払いの負担など生じません。

これを国債の実例で説明します。国債の購入とは、「政府にお金を貸す」という意味です。日本銀行が日本国債を購入するということは、「日銀が日本政府にお金を貸す」ということです。この場合、まさに「子会社から親会社へのお金の貸付」に該当し、親会社側は返済や利払い負担が発生しません。無論、親会社である日本政府が日銀に利払いをしても構わないし、実際にしています。しかしこれは、日銀の決算後に「国庫納付金」として返還されています。

さて、重要なのは、子会社である日本銀行が、親会社の日本政府に「カネを返せ」などということはあり得ません。結果的に、日本政府は日銀に国債を購入させることで、借金の返済や利払いの負担が消滅してしまうのです。

日本政府が発行している国債は「外国人保有分」を含め100%日本円建てです。日本の中央銀行である日本銀行は、市中の国債を買い取る代金として「新しい日本円」を発行します。日本円の発行は日本銀行の主業務の一つです。日本銀行は通常業務として日本国債を「買わねばならない」のです。そして、日本銀行は日本政府の子会社です。
であれば、日本政府は国債の償還(返済)不能などのデフォルトに陥ることはできないのです。財政破綻「しない」のではありません、財政破綻「できない」のです。日銀が政府の子会社であり、日本国債が100%円建であるかぎりは、この事実は覆ることはありません。

日銀が政府の子会社であるというのは、こういう意味です。

③統合政府

統合政府とは、経済学では政府と政府の子会社である特殊法人などを含めたものを「統合政府」と呼びます。これだけでは、何を意味するのか、理解することができないと思われますので、以下では、日銀の買いオペによる、民間銀行の保有する国債を買い入れを例として、統合政府と政府、小会社の関連について述べていきます。

政府の借金は1000兆円を超えており、さらなる借金の増大を危惧する人は多いです。ところが、実は近年「国の借金」は減少傾向にあります。ただしここでは、政府の借金=国の借金という馬鹿な考えで話をしているのではありません。

以下では、話を単純にするため、政府と中央銀行を合わせて「統合政府」と呼ぶことにします(下図)。

政府と中央銀行はともに公的部門であり国の機関であるはずなので、「国の借金」とは「政府の借金」ではなく「統合政府の借金」を意味していなくてはならないはずです。



中央銀行が買いオペにより、民間銀行の保有する国債を買い入れれば、それだけ民間部門の国債は回収されます。近年、日銀による国債の買い入れ額は、国債の新規発行額を上回っています。つまり、民間部門の国債保有額は減っており、「国の借金」も減っているのです。それゆえ、今のところ増税は必要ありません。これは、10%増税は、無論のこと、8%増税もしかりです。

ただしこの場合、日銀による国債の買い入れが政府支出の財源となっています。これは「財政ファイナンス」と呼ばれ、財政の信頼性を損ない金利を高騰させるものと繰り返し批判されてきました。しかし、実際には、長期国債の金利ですら長期下落傾向にあり、今や0.5%を割り込んでいます。

これだけ日本の財政危機が叫ばれている中で、長期金利が低位安定している事態は不思議でも何でもありません。マーケットは、デフレやディスインフレ(低い率のインフレ)の下での財政ファイナンスに何の危険性もないことを無意識に理解しているのです。

懸念される弊害は過度のインフレですが、2%といったインフレ率目標はそれを防ぐ役割も果たし得ます。また、景気が十分回復して2%のインフレ率を超えたならば、自然に税収は増大するし、増税によって景気の過熱を抑えることもできます。したがって、インフレ率目標達成後、金利の引き上げにより政府の利払いが増えたとしても、それを超える税収増が財政再建を可能とするでしょう。逆に言うと、インフレ率目標が達成され、ゼロ金利政策が解除できるようになるまでは、増税する必要はないし増税すべきでもないのです。

以上、高橋洋一氏のツイートにでてきた、3点について説明させていただきました。

ここまで、説明すると、高橋洋一氏ははっきりとは述べていませんが、巨額な資産をオープンにせず債務の多さだけを強調すると、借金で財テクという実態や、日銀のBSを連結すると国の負債超過は200兆円減になるにもかかわらず、連結決算が公表されていないなどの不可思議なことがなぜ起こっているのかが、よくご理解できると思います。

要するに、財務省が省益と考える、自らの配賦権を強化するために、国民や政府などないがしろにしてあたかも日本は借金漬けのようにみせかけているということです。ありもしない、200兆円の謝金をあかたもあるかのように見せかけ、さらに自分たちの手元に金を引き寄せようとしているということです。

これが、財務省による10%増税推進の本質です。とんでもないです。こんなことに騙され続ける、マスコミや政治家は馬鹿です。これに騙され続けるということは、大勢の人々を不安に陥れるだけのことです。しかし、そんな不安やおそれは全くないということです。まさに、正体見たり枯れ尾花という故事の通りです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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2015年2月5日木曜日

日銀法改正、将来の選択肢として視野に入れていきたい=安倍首相―【私の論評】日銀の政策決定委員会が日本の金融政策を決定するのではなく、政府が定められるようにしなければ、いつまでも日銀人事が重大な意味を持つという異常状況にさいなまされることになる(゚д゚)!

日銀法改正、将来の選択肢として視野に入れていきたい=安倍首相

安倍晋三首相は4日午前の衆議院予算委員会で、日銀法の改正について「将来の選択肢として視野に入れていきたい」との考えを示した。

山本幸三委員(自民)の質問に答えた。

日銀法を改正し、インフレ目標などを法律で定めたほうがいいのではないかとの指摘に対し安倍首相は「政策目標は政府と中央銀行が共有する。同時に目標に進んでいく手段は日銀が決めることでないとならない」との考えを示したうえで、「黒田日銀総裁を信頼している。日銀法改正については将来の選択肢として視野に入れていきたい」と語った。また現在の金融政策運営に関しては「物価安定目標に向け、今後も大胆な金融緩和を着実に推進していくことを期待している」と述べた。

アベノミクスと格差の関係については「われわれが政権をとって2%賃金が上がった。働き盛りの55歳以下では正規労働者が非正規労働者になる数と、非正規労働者が正規労働者になる数が逆転した。非正規、正規の収入の差も縮まり始めている」と強調。

また首相は、消費税率10%への引き上げを1年半先送りしたことについて、「デフレ脱却、アベノミクス成功にはこの道しかないと判断した」と語った。

日銀の黒田東彦総裁は、デフレマインドからの脱却には2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現するという日銀の強いコミットメントが重要との見解をあらためて表明。2%の物価安定目標の実現に「着実に進んでいる」とし、今後も「目標達成に向かってまい進していきたい」と語った。

この記事の詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】日銀の政策委員会が日本の金融政策を決定するのではなく、政府が出来るようにしなければ、いつまでも日銀人事が重大な意味を持つという異常状況にさいなまされることになる(゚д゚)!

さて、昨日は日銀の政策決定委員会の委員の人事を巡って様々な憶測が飛びました。それに関しては、以下の動画をご覧いただければ、よくご理解いただけるものと思います。



さて、この動画をみていてもわかるように、日銀人事は日本の経済の先行き、アベノミクスの先行に関してかなり重要な意味を持ちます。これに関しては、倉山満氏の以下の記事をご覧いただくと、良くご理解いただけるものと思います。
日銀人事は衆院選よりはるかに重要 アベノミクスの“死活問題”
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜ重要なのか、それについて倉山氏は、この記事の中で以下のように述べています。

倉山満氏
 日本経済はたった9人の日銀政策委員会に握られている。彼らの人事は衆議院総選挙などよりはるかに重要なのだ。
なぜ、倉山氏がこのようなことを語るかといえば、金融緩和するしないという日本国の大きな金融政策の方向性は、政府が定めるのではなく、実は政府の一下部機関にすぎない、日銀の政策決定委員会で定められるというとんでもない状況になっているということです。

これは、企業にたとえると、会社の一下部機関にすぎない、IT部門のそれもIT部門の中に設置された、IT政策委員会のような組織が、会社全体のITの方向性を決めるようなものです。そんな馬鹿な話はあり得ません。

大きな方向性は、あくまでも取締役会などもっと上の階層で検討されるべきものです。これをIT部門などにまかせておけば、技術的には優れたITオタクのような連中がとんでもない意思決定をしてしまう可能性が大です。

片山祐輔(ゆうすけ)IT能力はたいしたことはないそうだが、それにしても
このような人間が会社の方向性など定められないのははっきりしている
やはり、本来のあり方は、会社のITの方向性は、取締役会で決定して、IT部門はその方向性に従いそれを実現するために、専門家の立場からその方法を自由に選ぶことができるというのが正常なあり方です。このようにして、はじめてIT部門はその能力を十分に発揮できると思います。

しかし、現状では政府と日銀の関係はそうなっていません。

それについては、このブログにも何度か掲載してきました。その記事の典型的なものを以下に掲載します。
【日本の解き方】インフレ目標2%に黄信号 黒田日銀は審議委員人事でピンチも ―【私の論評】日本国がまともな金融政策ができるようにする立場からすると、いつも薄氷を踏むような人事にハラハラするのはおかしい。やはり、政府が人事権を握るのが当然、そのため日銀法改正を実現すべき(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、なぜ日本国の金融政策の方針の決定を日銀政策委員会が設定するなどという下克上のようなとんでもない状況になっているかに関係する部分のみ、以下にピックアップさせていただきます。



日本国の金融政策の方針は、日銀行政策委員会が決定している
そもそも、日銀の政策決定委員会が日本国の金融政策の方針を決めるのが問題であって、これは政府が定めるべきです。政府が定める、金融政策の方針に従い、日銀の政策決定委員会が、専門家的立場から、その具体的実施方法を選択するという具合にすべきです。

実際、世界標準の中央銀行の独立性は、政府が国の金融政策の方針を定め、中央銀行はその方針に従い、専門家的な立場から、具体的な金融政策の方法を他から独立して、自由に選択し実行できるし、それに失敗すれば、責任をとるというものです。
特に、中央銀行の「目標の独立性(goal independence)と手段の独立性(instrument i 
ndependence)の違いを認識すべきです。中央銀行が自由に目標を設定できるという目標の独立性を民主主義社会で正当化することはできません。なぜなら、中央銀行のメンバーは全員が官僚であって、国民から選挙で選ばれるわけではないし、国民から信託を受けた人々ではありません。

しかし、中央銀行が干渉を受けずに適切な金融政策を実施できるような手段の独立性は、経済安定のために極めて重要です。手段の独立性は守られるべぎてす。
しかし、現状の日銀法では、「目標の独立性」が保障されているのです。 
日本銀行も、このような世界標準の中央銀行の役割を担うようにすべきであって、そのためには、日銀法の改正が必要です。
現状では、安倍総理や政府がいくら大きな方向性として、金融緩和をしたいと考えたにしても、日銀の政策委員会が金融引締めをすると決定してしまえば、金融緩和をすることができないのです。とんでもないことです。

こんな馬鹿なことが、まかりとおること自体が非常におかしなことです。だから、日銀の人事は重要な意味を持ってしまうのです。政策委員会のメンバーのうち、半数以上が金融緩和に反対で、金融引締めをするという考えであれば、委員会メンバーが変わらない限り、永遠に金融緩和ができないという信じがたい状況になってしまいます。

日銀の政策委員会のメンバーにもしこんなのがいたら・・・・・・・・

そうして、実際そのような信じがたい状況が、日銀法が改正された後、過去15年以上続き、日銀はたとえ、デフレであっても、金融引締めを続け、結局長期にわたるデフレ状況から抜け出すことができなかったという状況に陥りました。

とにかく、政府が金融緩和したとか、金融引締めをしたいと思っても、日銀の政策委員会の決定に従わなければならないという異常な状況にあるというのが、現在の日本の状況です。

日銀の政策決定委員会が日本の金融政策を決定するのではなく、政府が定められるようにしなければ、いつまでも日銀人事が重大な意味を持つという異常状況にさいなまされることになります。
この異常状況は、一刻も早く日銀法を改正して、改めなければなりません。

私は、そう思います。みなさんは、どう思われますか?

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日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、財務相は為替に沈黙―【私の論評】今の水準で"円安ガー"、"円安でも輸出ガー"と叫ぶ人は現実を見ていないただの馬鹿か、あるいはスパイかのいずれかである(゚д゚)!

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2015年2月4日水曜日

実はモチベーションと生産性が低い日本人――理由はこれだ―【私の論評】過去の日本が、デフレ・スパイラルのどん底に沈んでいたことを無視して、日本企業の生産性や社員のモチベーションを語っても百害あって一利なしと心得よ(゚д゚)!


この記事の著者ロッシェル・カップ

日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?』という私が最近出した本のタイトルを見て、日本のビジネスパーソンの多くが「本当にそうなの?」と思うことだろう。実際、この本を書いている最中にも同様のことを聞かれた。「日本人はバリバリ働いて、とても頑張っているのに」という意見が多かった。しかし私は、「勤労意欲が高い」「仕事の生産性が高い」という日本人が自分たちについて思うイメージに、本書の中で多くの疑問を呈している。

社員が自分の仕事についてどう思っているかを測定する手段として、最近アメリカで注目を集めているのが、社員のエンゲージメントというコンセプトである。また、社員のアウトプットを測定する直接的尺度となるのが、経済学者の言う生産性である。これらを通して、日本人の働き方と昨今の経済不振の間にどのような関係があるのかを探ってみよう。

社員のエンゲージメントとは、社員の企業に対する関与の度合いと、仕事に対する感情的なつながりを表現するものである。 これは「活力、献身、没頭などに特徴付けられる、仕事に関連するポジティブで充実した精神状態」と表現することができ、エンゲージメントの高い社員は「仕事にエネルギッシュで効果的なつながり」を持っている。つまり、仕事に対して社員が感じている包括的な情熱というレベルにまで焦点をあてているのが、エンゲージメントである。

社員のエンゲージメントが最近アメリカで注目を浴びている一番の理由は、高いエンゲージメントによって数多くの恩恵がもたらされるためだ。エンゲージメントの高い社員は企業に留まる傾向が高く、さらに企業とその製品・サービスの支持者として、より熱心な営業と優れた顧客サービスを提供する。ここで最も重要なのは、そのような社員は、仕事に対するやる気が非常に高いことである。このような社員が、顧客との関係を深め、企業が提供する製品やサービスを刷新し向上する原動力となる。

逆に、エンゲージメントの低い社員は、やる気がなく、仕事にも関心がなく、必要最低限のことしかしない。このような社員は欠勤が多く、安全に関する事故を起こしたり、品質問題を発生させたり、顧客を遠ざけたりする原因となる。また、ネガティブな態度で自分の周囲のモラルを低下させる原因にもなる。多くのアメリカ企業は、エンゲージメントの高い社員を増やし、低い社員を減らすことが、ダイナミックで成功した企業となる秘訣であることを認識し始めた。

社員にやる気を起こさせるためにエンゲージメントが重要であるとしたとき、日本企業の社員のエンゲージメントのレベルは一体どの程度であろうか? 例えば、エンゲージメントの国際比較研究の先駆者、タワーズワトソンの「2014年グローバル労働力調査」によると、日本でエンゲージメントレベルが高い社員は21%(持続可能なエンゲージメントの3要素すべてが高得点)、ある程度高い社員は11%(従来のエンゲージメントは高いがイネーブルメントとエネルギーが低い)、低い社員は23%(イネーブルメントとエネルギーは高いが従来のエンゲージメントが低い)、非常に低い社員は45%(持続可能なエンゲージメントの3要素すべてが低得点)であった。これに比較して、世界平均は同順に40%、19%、19%、24%、アメリカは39%、27%、14%、20%であった。 タワーズワトソンのコンサルティングディレクター、クリス・ピンツによると、少なくとも過去8年間、日本はこの調査の対象国中最低スコアを記録し続けているという。その他エンゲージメントの調査を行っている会社も、似たような結果を示している。

次に生産性を比較してみよう。生産性は一定のインプットでどれだけのアウトプットを作り出すことが可能かの測定である。 OECDが提供する2013年の数値によると、実労1時間あたりの国民総生産GDP(米ドル、時価、現在の購買力平価)は、日本が41.1、OECD平均が47.4、G7平均が56.8、アメリカが66.6となっている。つまり、2013年の日本の生産性はアメリカの61.7%、G7の72.3%、OECD全体の86.7%しかないことを意味する。この数値は、 日本企業の社員は他国企業の社員と比較して、時間を生産的または効果的に使うことをしていないことを示唆している 。

他国と比較して日本企業のエンゲージメントと生産性が低い原因は何だろうか? 幾つもの要素が複雑に絡んでいるため 、どこから始めてよいかわからないくらいだが、大きく分けて、雇用の構造、人事管理の慣行、 人材育成の方法、企業文化の4つのエリアに問題があると私は考える。(これらの問題点については、本書で詳しく解説している)

雇用の構造
  • 「仕事とは何か」に対する柔軟性に欠けるアプローチ
  • 柔軟性に欠ける労働力の区分
  • 「非標準的」労働者の女性、外国人、高齢者などの活用に消極的
  • 社員が自分の仕事内容を選べないシステム
人事管理の慣行
  • 報酬と業績評価の関連性の低さ
  • リスクに立ち向かうことへのサポートの欠如
  • 仕事内容の明確な定義の欠如
  • 社員を解雇する効率的プロセスの欠如
  • 社員のやる気育成への取り組みの欠如
人材育成の方法
  • ソフトスキルに価値が置かれない
  • マネジメントスキルの不足
  • 人事異動の計画性の欠如
企業文化
  • 過度の緊急性の風潮を作り出すヒエラルキー構造
  • お役所仕事的な柔軟性に欠けるプロセス
  • 長時間労働によるワークライフバランスの難しさ
  • 権限付与と自主性の欠如
これらの問題は、今日の日本企業のあり方に内在しているため、取り組むためには著しい構造的変化が必要とされるだろう。しかし今のままでは、日本はこれから他の先進国にどんどん取り残されていってしまう。日本のビジネスは今、将来を左右する重要な分岐点に立たされているといっても過言ではないだろう。

注)上記記事で、太文字はブログ管理者が施しました

【私の論評】過去の日本が、デフレ・スパイラルのどん底に沈んでいたことを無視して、日本企業の生産性や社員のモチベーションを語っても百害あって一利なしと心得よ(゚д゚)!

日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか?
上の記事の元となっている書籍


上の記事、一見新しい『日本ダメ論』なのかもしれないと思い、全文掲載しました。私は、この書籍を読んでいないので、論評して良いかどうか迷いましたが、上の記事の内容だけでも、十分に論評できると判断したので、以下に論評させていただきます。

最初に結論を言いますが、過去の日本がデフレスパイラルのどん底に沈んていたことを無視して、日本企業の社員のモチベーションの低さを論評しても無意味ということです。

日本がデフレに突入した直後の1998年より、それまで自殺者が2万人台だったものが、一挙に3万人台にはねあがりました。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!
 

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、 この記事では、デフレと年間自殺者数との間には、相関関係があるということを前提として、経済学者の田中秀臣氏のツイートなどを掲載しました。

過去の日本においては、15年以上もデフレが続いたという異常事態に見舞われていました。それが、社会に悪影響を及ぼしてきたことも事実です。経済対策は場合によっては人を殺す場合もあると田中秀臣氏もそう思っているようですが、私もそのよう思います。自殺まではいかなくても、モチベーションが下がる人々が多くなることも十分あり得ると思います。

そもそも、デフレでは企業が物がサービスを売りだそうとしても、なかなか売れません。そのような中で企業は、新しく製品やサービスを創造するよりは、既存の製品やサービスを品質を落とさずにいかに低価格で提供するかに知恵を絞るしかありませんでした。さらに、デフレに起因する、超円高で輸出産業にとっても、まるで手枷・足枷をされながら、グローバル市場での戦いを余儀なくされました。

こういう環境下では、企業も当然のことながら、採用を控えます。ただし、ある一定年齢層を全く雇用しないとか、極端に少なくしか採用しないということにでもなれば、将来特定の期間に管理職不足に悩まされることにもなりかねません。だから、消極的ではあるものの採用は続けてきました。

しかし、デフレ下においては、創造性・能力・才能があっても、それを十分に活用することもできませんでした。だから、企業としては、結果として「コミュニケーショ能力のある人」などして、あたりさわりのない採用を行ってきたというのが実情です。

無論、コミュニケーション能力が必要ないなどというつもりはありません。しかし、「コミュニケーション能力」など当たり前であり、これが欠如する人はそもそも、社会生活を営むことができません。企業側としては、この先もデフレが継続するものと想定して、あたりさわりのない採用をして、将来の特定年代の管理職の候補として、調整型の「コミュニケーション能力」をもっとも重視してきたのだと思います。

上の記事の筆者は、このようなデフレの影響は、無視して、日本人の働き方と昨今の経済不振の間にどのような関係があるかを探ろうしています。そもそも、経済不信は日本人の働き方に問題があると考えているようです。また、生産性の低さもそれが原因であると考えているようです。

しかし、これは、原因と結果をはき違えています。私は、長期デフレによる経済不信が日本人の働き方に問題をもたらしたのです。さらに、生産性の低さもそもそも、デフレ下においては、低価格にせざるをえず、低価格にすれば、必然的に生産性が低くなるのも当然の帰結です。

さらに、この筆者は、他国と比較して日本企業のエンゲージメントと生産性が低い原因は大きく分けて、雇用の構造、人事管理の慣行、 人材育成の方法、企業文化の4つのエリアに問題と考えているとしています。

本当に日本人だけがモチベーションが低いといえるか・・・

しかし、デフレであたりさわりのない採用をしている企業が、これらの改革に熱心に取り組むでしょうか。そんなことよりも、ありとあらゆる方面で、コストを下げて、企業の存続をはかることが精一杯だったと思います。

かといって、私は企業などを責めるつもりはありません。企業がデフレ下で、企業を存続させるために、防衛的な行動をすることは、やむを得ないことです。それは、個々人の努力や、企業努力も超えたものであり、その責任は日本銀行の金融政策の失敗によるものです。それを助長した日銀官僚や、政治家、マスコミによるものです。

このような最中に、過去のデフレを無視して、日本人のモチベーションが低いとか、その理由は、今日の日本企業のあり方に内在しているなどとするのは間違いです。

無論、個々人や、日本企業に問題がないなどとはいいません。しかし、欧米でも、欧米企業でも、問題がない企業はありません。

しかし、現状ではどうなるかわかりませんが、日本が長期のデフレ・スパイラルのどん底に沈んでいるときは、欧米は景気が悪いことはあっても、少なくともデフレではありませんてでした。

長期デフレであった日本の過去を無視して、日本人の生産性やモチベーションが低いなどと論ずるのは、百害あって一利なしであると思います。

この記事は日本人の現状のエンゲージメントや、生産性の低さを一方的に日本人のモチベーションの低さに結びつけているという点で、既存の「日本ダメ論」の域を全く超えておらず、全く無意味な論評だと思います。

デフレから完璧に脱出したとき真の日本がみえてくる・・・・・・・

最近の日本は、もはやデフレではありませんが、過去15年以上にもわたって、続いたデフレの悪影響はまだまだ続いています。デフレではないとはいっても、物価目標2%にはまだまだほど遠い上記ょうです。しかし、物価目標が達成され、デフレが完璧に過去のものとなり、緩やかなインフレが続く時代となれば、そのときこそ、日本人の真の姿や、日本企業の真の姿が見られるようになると思います。それだけ、過去のデフレは酷かったということです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年2月3日火曜日

【日本の解き方】地域の景気回復「ふるさと納税」拡充が効果的 再配分を官から民の手に―【私の論評】「ふるさと納税」は実は画期的であり、財務官僚による『似非財政民主主義』に風穴を開けたという点でも評価すべきと心得よ(゚д゚)!


西伊豆町の例ですですが、無論他の自治体でも同じ流れです

内閣府が毎年公表している白書類の一つにあまり目立たないが、「地域の経済」というものがある。1月27日に発表された「地域の経済2014」は、安倍晋三政権が力を入れている地方創生の背景ともいえる。

「地域の経済2014」では、雇用は全地域で着実に改善し所得改善は地方へと波及している-としている一方、資産効果が大都市圏中心ということもあり、消費の回復は大都市圏で先行していると分析している。

景気循環の過程では、経済が回復するときにも、逆に停滞するときにも、都市部の方が先行して起こるのが普通だ。

ただし、長らく不況にあえぎ、待ちに待った景気回復であるので、地方でもできる限り早くその恩恵にあずかりたいという気持ちは理解できる。

そのための制度として、地方交付税交付金があるが、この制度は官僚の裁量性が多い割に、制度の自由度がない。

この制度改革はよほど腰を据えて長期間にわたって行わなければならず、今のところ、地方の景気回復のカンフル剤としては使いにくい。国の税収が増えれば、一定割合は地方交付税交付金として地方に配分されるのだが、それだけでは不十分である。

美しい西伊豆町の夕日 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

そこで、ふるさと納税の活用がある。この制度は、菅義偉官房長官が総務相を務めた時に導入したもので、実質的な都市部から地方への税移転である。2015年度から、寄付の上限が2倍になるが、それをさらに拡充してもいい。

この拡充策には、ふるさと納税の争奪競争のために、各自治体が商品競争をして、税のムダ遣いだという批判も出ている。ふるさと納税の本来の趣旨からずれているという人もいる。

しかし、そうした意見には、「官僚による再配分が望ましい」「そもそも都市部の税金を地方に配分することが好ましくない」「都市部の税収が失われるのが好ましくない」などといった前提があったりするから要注意だ。

ふるさと納税の本来の趣旨は、税配分について、官僚ではなく、納税者が行うところにある。この意味で、各自治体が獲得競争するために、地元産業を振興して商品を提供し、納税者が自分の納税額の一部を都市部から地方の自治体に移転することは、本来の趣旨だともいえる。なにより官僚による不透明な税の再配分よりいいではないか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】「ふるさと納税」は実は画期的! 財務官僚による『似非財政民主主義』に風穴を開けたという点でも評価すべきと心得よ(゚д゚)!

西伊豆町の海岸

上の記事でも、高橋洋一氏は、地方交付税制度に関して、「官僚の裁量性が多い割に、制度の自由度がない。この制度改革はよほど腰を据えて長期間にわたって行わなければならず、今のところ、地方の景気回復のカンフル剤としては使いにくい。国の税収が増えれば、一定割合は地方交付税交付金として地方に配分されるのだが、それだけでは不十分である」としています。

そうして、結論では、ふるさと納税の本来の趣旨は、税配分について、官僚ではなく、納税者が行うところにある。この意味で、各自治体が獲得競争するために、地元産業を振興して商品を提供し、納税者が自分の納税額の一部を都市部から地方の自治体に移転することは、本来の趣旨だともいえる。なにより官僚による不透明な税の再配分よりいいではないか。 

では、なぜ官僚による不透明な税の再配分がおこってしまうかというところに、焦点をあてていきたいと思います。

それは、財政民視主義による壁といっても良いようなものが日本には存在するということです。

財政民主主義について、以下に簡単に説明します。
国家が運営されていくには、天文学的な資金が必要であることは言うまでもありません、その膨大な資金を、どのように集め、どのように管理し、どのように使っていくのか、そのへんの国の運営資金の規定が、日本国憲法の第7章の「財政」、83条から91条までに定められています。 
ここの財政の章で規定されていることでまず抑えておかなければならないのは、財政民主主義(83条)という概念です。 
これが日本の国家財政を語る上での大原則になってきます。 
そして、この財政民主主義の考え方を、 
歳入面では租税法律主義(84条)、歳出面では国費支出議決主義(85条)と定めています。

日本国憲法は、国家財政において、この3つを基本原則として規定しています。 
財政民主主義(83条) 
「財政」とは、国家が使う費用について、その資金を徴収し予算を組んで配分し、実際に支出するまでの一連の流れのことをいいます。 
これらの資金は、国民から徴収し、直接的にも間接的にも国家国民のために支出するわけです。国民からしたら、どのように徴収され、どのように予算として組まれ、ちゃんと支出されたのかは重要な関心事となるわけです。 
そこで憲法は、この財政に関して、国民の民主的コントロールが直接及ぶ議会にて決めさせる規定を置きました。 
実際に予算を執行していくのは行政(内閣)ですが、国家機関のうち、民主主義機関といえる国会に財政を委ねるというのは、国民主権における民主主義の観点からも当然の帰結といえるでしょう。


これを「財政民主主義(83条)」といいます。 
83条
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。 
租税法律主義(84条)、国費支出議決主義(85条)
財政民主主義に関する憲法の規定は、上記のごとくです。しかしながら、国会議員などは選挙活動などかなり忙しく、財政の細かなことまで認識していません。

その結果どういうことになるかといえば、高橋洋一氏が述べているように、地方交付税に限らず、かなりの部分が官僚により不透明な再配分がなされてしまいます。特に、特別予算という予算は、かなり複雑で一般の政治家には理解も及ばないというのが現実です。

これにみならず、財務官僚によって、日本の税収の再配分政策のかなりの部分が、左右されてしまうというのが実情です。

再配分どころか、徴税の部分まで、財務官僚がくちばしをはさみ、大きく左右しているというのが健在の日本の実情です。これに関しては、このブログの読者の方々なら十分おわかりになると思います。

明らかに大失敗に終わった、8%増税、日本経済を破滅させることになった10%増税に関しては、財務省主導により、政治家、マスコミを巻き込んた大キャンペーンとなり、8%増税は導入され、10%増税に関して、昨年末の安倍総理による解散総選挙により、かろうじて阻止されました。

日本の財政民主主義は、結局財務省にかなり恣意的に左右されるという意味では、似非財政民視主義と呼んで良いものと思います。

日本には、他にも似非財政民主主義による、落とし穴があります。それは、主にNPOなどの活動資金のための寄付金制度にみられます。

これについては、随分前にこのブログにも掲載したことがあります。そこから、抜粋します。
財務官僚が提唱する他国では今となっては、どこも主張していない、いかなる思想的ルーツもない根無し草理論である「似非財政民主主義」という概念です。もし、財務官僚が、財政に限って共産主義を標榜しているといえば、わかり易いのですが、そうではありません。無論、財政民主主義の本来の意味での考え方ではありません。 
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。 
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。 
この似非財政民主主義に関しては、その背景を簡単に説明します。 
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。 
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。 
他の先進国では、当たり前になっている、NPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策が日本ではとられていません。 
ちなみに海外と寄付金額の比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。 
さて、元の記事にはいろいろと書いてありますが、ここで転載をやめます。このブログを書いていた当事は、あまり経済の勉強もしていなかっので、金融政策などについても述べていません。今考えると、金融政策の重要性を訴えるべきであったと考えます。

そのため、当事の記事を自分で読むと、気恥ずかしい部分もありますが、自分の成長過程を知るためにも、削除せずにそのままにしてあります。

さて、この記事を書いた当事においては、日本では財政民主主義は、憲法上では定められていても、現実にはそうはならず、いわゆる似非財政民視主義状態になっていることを批判しました。そうして、私はそうすれば、経済も少しはまともになると考えていました。

しかし、当事は似非財政民主主義を正したにしても、日本の経済が良くなることなどあり得なかったと思います。まず、実行すべきは金融緩和であり、その次に積極財政だったと思います。

しかし、昨年の4月に増税をしてしまったとはいえ、追加金融緩和を実施している現在、日本の財政民主主義を正すということも重要なテーマになりつつあると思います。

そもそも、何から何まで、政府が税金として徴収し、それを実質的に財務省が省益にもとづいて恣意的に再配分を行うというのでは、本来の意味での財政民主主義が守られるはずもありません。

ふるさと納税には様々な特典が・・・。

そうして、まさに、高橋洋一氏の語るように、「ふるさと納税は、なにより官僚による不透明な税の再配分より良い」という点において、「ふるさと納税」は、日本の『似非財政民視主義』に風穴を開けたという点でも、評価すべきものと思います。

そうして、次の風穴としては、NPOに対する寄付などの税額控除をもっと拡充すべきと思います。そうして、こういうところから、日本の財政民主主義の真の改革がはじめられると思います。

このようなことが、今では一大政治勢力ともなっている、財務省の省益のみにもとづく、似非財政民視主義の壁を打ち砕くきっかけになると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか(゚д゚)!

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