2016年2月4日木曜日

マイナス金利は極めてまともな政策 緩和手段の余地も残されている ―【私の論評】主流派経済学者が主体(チュチェ)思想とでも呼びたくなる酷い論評をするのはなぜ?

マイナス金利は極めてまともな政策 緩和手段の余地も残されている 

マイナス金利はまともな政策だが・・・・

日銀は1月29日の金融政策決定会合で「マイナス金利」を導入した。日銀の当座預金を3段階に分け、それぞれの階層に0・1%、0%、マイナス0・1%の金利を適用する。

日銀当座預金への付利については、これまでも問題になっていた。先日の当コラムでは、付利をゼロ金利とする追加緩和策とする手があると指摘している。

黒田東彦(はるひこ)日銀総裁が国会で「マイナス金利を検討していない」と言ったことから、ほとんどの市場関係者の間ではノーマークだったようだが、「解散と公定歩合はウソをついても良い」とも言われてきたので、そのような人たちはプロとは呼べないのではないか。

今回の日銀の決定は、ゼロ金利ではなくマイナス金利まで踏み込んでいるので、この点を筆者は高く評価できる。

日銀当座預金への付利0・1%は、金融緩和効果を減殺してきた。黒田日銀以前は、国債買いオペの対象は中短期債であった。金融機関は低利の中短期債を日銀に売却して、その代わりに日銀当座預金で運用しているという状態だった。

日銀による国債買いオペとは、そもそも日銀が金融機関から国債を取り上げて、その代わりに収益ゼロのキャッシュを与える。金融機関はキャッシュのままでは収益が上がらないので、収益を稼げる貸出や株式への投資を促そうというものだ。そのためには、当座預金への付利が障害だった。

当座預金金利をゼロにしたり、欧州中央銀行(ECB)のようにマイナスにするのは金融政策としては極めてまともである。しかも、2016年度は国債が品不足の状態なので、買いオペ(市場からの国債購入)の増額はテクニカルな面でもやりにくい。

国債市場で取引される国債は新規発行されたものが多く、過去に発行されて金融機関のポートフォリオに沈んだ国債はあまり取引されない傾向がある。このため、追加緩和の効果を考えれば、おのずと日銀当座預金の付利をゼロまたはマイナスにするという政策になる。

マイナス金利自体は、スイス、スウェーデン、デンマーク、ECBで行われている。この意味では、ごく普通の金融緩和措置である。

マイナス金利は一般には「金融機関課税」ともいえるわけだが、今回の日銀のマイナス金利は、今の当座預金残高250兆円を超える部分に原則として適用するようだ。

ということは、金融機関としては、日銀の買いオペに応じて日銀当座預金が増加(ブタ積み)すると、ペナルティーが付くということになる。一方でブタ積みを避けて、貸出に回せば、ペナルティーはないといえる。ECBでは、当座預金すべてにマイナス金利がかかるのと比較すれば、日銀のマイナス金利は金融機関には優しいものとなっている。

この意味で、当座預金にもかかわらず付利し、現状2200億円程度が金融機関への事実上の補助金になっていることは是正されていない。

これが今後の問題でもあり、まだ金融緩和の手段の余地は残されているということもできる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】主流派経済学者が主体(チュチェ)思想とでも呼びたくなる酷い論評をするのはなぜ?

マイナス金利に関しては、金融関係や識者などから、批判が出ているようですが、それに関しては高橋洋一氏自身が以下のようなツイートをしています。
今回の日銀のマイナス金利は、日銀の銀行向けの当座預金残高250兆円を超える部分に適用するとのことで、まだまだ甘い措置であるともいえます。
当座預金とは、主に企業や個人事業主が業務上(営業資金等)の支払いに利用する無利息の預金で、現金の代わりに「小切手」や「手形」で支払いをする際に活用します。

そもそも、銀行以外の企業や個人事業主が銀行の当座預金を利用するときには無利子であるにもかかわらず、利付し現状では、2200億円程度が利子となっていて、これが金融機関への事実上の国による補助金のようになっているという、金融機関にとってはまさにぬるま湯的な状況になっていたということです。

これは、明らかに金融機関に対する優遇措置であり、こういう状況を打破して、付利しないどころか、マイナス金利にして、日銀にお金を預けておくとマイナス金利を支払わなければならなくなり、銀行は日銀にお金を預けっぱなしにはしなくなり、より一層金融緩和が進むことになります。

黒田総裁は、金融緩和政策の一環として、マイナス金利導入を中央銀行総裁として当然のことをしたにも関わらずこれを批判する新聞や識者がいます。

たとえば東洋経済オンラインでは、以下のような中原 圭介氏の記事を掲載しました。
マイナス金利は「劇薬」というより「毒薬」だ
中原 圭介氏

中原氏は、経営コンサルタント、経済アナリストだそうですが、この記事本当に書いてある内容がクソコメントです。

さらに慶応大学大学院準教授小幡績氏は、以下のような記事を書いています。
マイナス金利で日本経済の何が変わるのか
小幡績氏
 この記事、小幡氏は以下のように述べています。
 マイナス金利で日本経済の何が変わるのか──何も変わらない。変わるとすればデフレを引き起こすぐらいだ。 
 短期的には円安が進む以外は何も変わらない。消費も投資も実体経済においては増えない。したがって、マイナス金利という日銀の新しい金融緩和策が実体経済に与える影響の評価は、さらなる円安を評価するかどうかにかかっている。そして、円安は過度に進んでいるという見方に立てば、これはプラスではなく、パブロフの犬のような株式市場の短期的な反応を除いてマイナスと考えられる。
本当に、クソコメントです。小幡氏は、テレビでもとんでもないコメントをしています。それに関するツイートがありましたので、以下にそのツイートを以下に掲載します。
このツイートは、報道ステーションで報道された、小幡氏コメントをまとめたものです。ご覧いただいてもおわかりになるよに 、知能レベルが疑われるような発言をしています。

それにしても、日本ではなぜか、日本の経済が少しでも良くなるなるような政策が行われると、それにあからさまに反対する意見が出ます。それも、論拠が薄弱なものが多いです。

たとえば、日銀が金融引き締めばかりして、デフレが十数年続いてしまいました。このときに金融緩和をすると日銀が言い出すと、そんなことをするとハイパーインフレになるなどと反対する人がいました。

8%増税に関しては、増税しても日本経済への影響は軽微であるとした論評を大勢の識者が大勢いましたが、その結果、日本経済はかなりの悪影響を受けました。

何やら、日本にはとにかく経済が少しでも良くなりそうな政策や、意見に関しては、論拠に欠ける論評をして反対、日本の経済が少しでも悪くなりそうだと、それに大賛成する人がいます。上に掲載した二人は、その代表的な例であり、この二人だけではなく、大勢の経済学者などの識者がこのような意見を表明しています。

こういう、論評は、一体何のために行われるのでしょうか。私自身は、どうも海の向こうの韓国・北朝鮮や中国に利するような論評のようにしか思えません。

昨日は、朝鮮大学校元幹部逮捕が逮捕されたことについて掲載し、北朝鮮のチュチェ思想についても掲載しました。

北朝鮮のチュチェ思想は、簡単にいえば、朝鮮労働党の目的達成のためならどんな手段を用いてもかまわないという思想です。

主体思想の犠牲者、北朝鮮の痩せこけた子どもたち
そんなことを考えると、日本経済が少しでも良くなりそうな政策や、考えかたに反対したり、その逆に日本経済が壊滅的に悪くなる政策に大賛成の人たちは、経済主体(チュチェ)思想にでも汚染されているのではないかとさえ思えてしまいます。

彼らの、論評は、ほとんどまともなエビデンスに基づいていないのですが、とにかくありとあらゆる、屁理屈を並べアベノミクスは駄目、10%増税はすべきと主張します。こういう主張を聴いていると、自分たちの理屈だけが正しく、とにかく自分たちの考えを正当化するという目的達成のためなら事実を歪めるなどのどんな手段を用いても構わないと考えているようにしか見えません。

これは、北朝鮮の主体(チュチェ)思想ともかなり共通点があると思います。こういうことから、私はこのような論評をする人たちの思想を経済主体(チェチュ)思想と呼びたいと思います。

北朝鮮人民解放軍の女性兵士による剣の舞 北朝鮮の軍では女性兵士へのセクハラが横行。
告発システムもなく、女性兵士たちは沈黙。「人権」という概念すらなく、何をされても
人権侵害だと気づかない。これも主体思想の犠牲者?この写真と、人民解放軍内の
セクハラについては直接関係はありません。
現実にあるものを無いと言ったり、黒を白と言い張る人は世間から疎まれる存在です。しかし、その人に権力がある場合は事情が異なります。例えば絶対権力を有する独裁者の言の前では、人々は理不尽さを感じつつも外面上服従しなければならないでしょう。実は経済学の世界にも、主流派経済学の権威を盾に無理を通す一群の経済学者が存在します。

そうして、現実と自分たちの理論が乖離すると、彼らは自分たちの不見識を糊塗するために、次のように主張します。

「現実が間違っている」と。

「現実が理論どおりにならないのは、人々が経済理論を知らないために間違った行動をとるからだ」とするのです。

「理論が正しく現実が間違っている」と考える経済学者は、理論と現実の関係を顧みないことを自ら表明しているようなものです。しかし、残念ながら多くの経済学者がそうした思考に陥っています。

「専門知(専門家の知見)」と「世間知(国民の知識)」という言葉をよく使う学者がいますが、これも同類です。専門知は経済理論の帰結に基づくものであるから、常に世間知より優れていると言いたいのでしょう。

そして彼らは、「専門知に基づく政策は、国民には耳の痛いことであっても実行しなければならない」と続けるわけです。財政再建論者、増税論者に多く見られるパターンです。

理論の鋳型に現実を押し込めるために、主流派経済学者は如何なる手立てを用いているのでしょうか。その方法は彼等にとって「不都合な現実」を否定することです。具体的には、自らの論理で説明できない不況概念をこの世から消し去ることです。無いことにすればよいのです。

そうして、主流派経済学者らは、10年ほど前には、当時のデフレ状況を以下のように論評しました。

「日本の失われた10年の原因は、財政による景気刺激の不十分さ、流動性の罠(金融緩和が景気刺激に効かない状態)、バブル期の過剰投資の反動、といったものではない。これらは(短期的な)景気後退を説明するものであって、今回の長期にわたる経済不振を説明する理由としては不適当である。

また、企業の設備投資のための資金調達が阻害されている訳でもないため、金融システムの崩壊も原因ではない。

真の原因は生産性の伸び率の低下と、1988年の労働基準法改正を背景とした労働時間の減少で、特に重要なのが前者である。これらは新古典派経済学の経済成長理論で説明できる。

問題解決のためには、生産性を取り戻すためにどのような政策変更(構造改革)をすべきかを追究すべきである」

そうして、この理論は、現実から乖離していたため、実体経済を良くするためには何の役にもたちませんでした。

主流派経済学者の理論は、未だにこれが基本です。金融政策や財政政策などお構いなしにとにかく生産性で実体経済を説明し、現実を無視し、あろうことか、現実のほうを理論にあわせて、金融引き締め、緊縮財政などて変えようとしました。

しかし、現実には金融緩和が行われ、最近は実体経済が良くなりかけたのですが、8%増税で日本経済は足踏みしまた。しかし、主流派経済学者らは、デフレは、生産性が落ちたことによるものであり、アベノミクスは最初から失敗であり、10%増税は予定どおり実施すべきとしています。

これでは、経済主体思想などと言われても仕方ないと思います。

経済理論と、現実の実体経済の乖離があれば、その乖離を縮めようと努力するのが本来の学問の姿だと思います。

しかし、それをしないで、自分の理論をあくまで正しいものとして、現実が間違いであるとするのは、結局のところ、自分の理論を正当化して、現実を変えることを正当化します。そうして、それは、朝鮮労働党の目的を達成するためには、何をやっても良いとするチュチェ思想とまるで同じようなものです。

日本の主流の経済学者らの思想が、チュチェ思想に似るのは、現実を認めず自分たちの理論だけが正しく、現実が間違いであり、その現実を理論にあわせるために、変更しようとするからです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年2月3日水曜日

朝鮮大学校元幹部逮捕 「スパイ天国・日本」狙い撃ち 北朝鮮の指示役、韓国大統領選でも暗躍―【私の論評】日本人は、事件の裏にある主体思想の精神破壊力に目覚めよ(゚д゚)!

朝鮮大学校元幹部逮捕 「スパイ天国・日本」狙い撃ち 北朝鮮の指示役、韓国大統領選でも暗躍


朝鮮大学校(東京都小平市)元幹部、朴在勲容疑者(49)が、北朝鮮の対外情報機関「225局」の指示のもと、日本を経由した韓国での政治工作を主導していたとされる事件。取り締まりが厳しい韓国を避けて、日本を拠点に活動を仕掛けていた可能性が高い。警視庁公安部は、組織や活動の実態についても捜査を進めている。

朴容疑者は、朝鮮大学校で経営学部副学部長を務めるかたわら、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)傘下の北朝鮮の核ミサイル開発を支援しているともされる「在日本朝鮮社会科学者協会」(社協)副会長にも就任していた。一方、約25年前、朝鮮総連の非公然組織で拉致などに関わったともされる「学習組」への参加も確認されているという。

公安部によると、朴容疑者は平成12年ごろ、225局の勧誘を受け、活動を開始したとみられる。その後は、在日の対南工作活動の拠点責任者として、北朝鮮と韓国を橋渡しする役割を果たしていた。

公安関係者は「日本はスパイに脆弱(ぜいじゃく)。北朝鮮は日本の“優位性”を活用して、さまざまな工作を仕掛けてきた。今回もその優位性を活用したケースではないか」と話す。


韓国では工作活動などを取り締まる国家保安法などがあるが、日本では今回のようなケースを含め、スパイを摘発する法制度はなく、組織解明などに威力を発揮する通信傍受も制限されている。一方で朝鮮半島に地理的にも近く、「工作活動には格好のロケーション」との指摘もある。

公安部によると、朴容疑者はこれまでに、数十回にわたり北朝鮮に渡航。韓国で収集した情報や活動の成果について、報告していたとみられる。一方、メールなど、インターネットも活用し、工作を指示していたとみられる。

昨年6月10日、公安部は別の詐欺容疑で、朴容疑者の東京都練馬区の自宅を捜索。押収したパソコンを解析したところ、225局から活動を指示するメールや、朴容疑者が工作員と連絡するメールが確認された。朴容疑者は、暗号化したファイルをネット上で共有するシステムなども利用し、やりとりをしていたとみられる。

これまでの捜査で、225局が朴容疑者を通じ、多岐にわたる政治工作を仕掛けていたことが判明している。2007年の大統領選挙をめぐる選挙情勢を収集したほか、08年の韓国総選挙では親北の「統合進歩党」(当時・民主労働党)を支援するよう指示していた。

捜査関係者は「工作は幅広く行われており、一定の成果があったのは確かだ」と強調した。

【私の論評】日本人は、事件の裏にある主体思想の精神破壊力に目覚めよ(゚д゚)!

私達日本人は、あまり意識しませんが、日本はまぎれもなくスパイ天国です。朴在勲が、スパイであることは、結構前から明らかでしたが、日本ではなかなか摘発できなかったというのが本当のところです。

さて、韓国の昨年の統一日報の記事を読むと、そこに朴在勲の名がありました。その記事を以下に掲載します。
大韓民国への反逆 その連鎖を絶て(54) 
自画自賛の「60周年」に見る原点
「総連結成60周年を迎える大衆講演資料」は、朝総連の本質と罪悪を再確認できる内容といえる。 
朝総連は講演資料で自らを「主体の産児」と呼んでいる。朝総連は年号にも「主体」を使う。「主体」とは要するに「主体思想」のことだが、なぜ人間が主体思想の産児になるよう強いられるのか。動物も自然の中では自由な存在として生まれ、自由に生きるではないか。 
ある人間が主体思想で生きたいと望むならそれは「自由」かもしれないが、朝総連はどうして、在日同胞に「主体の産児」になることを強要するのか。 
まさにこの点が彼らの出発点だ。朝総連は、朝鮮労働党の前衛組織と自任しているのだ。朝鮮労働党は、全世界を主体思想で革命をすることを目的とする存在だ。
朝総連は結成以前も「非合法」組織だった。そして、「偉大な領袖の指導に限りなく忠実で、それを日本の地で具現するため、決死的に闘争するために結成した」と書いてある。朝総連は日本の地で「決死的に闘争するため」結成直後から組織内に朝鮮労働党の秘密党員である「学習組」を運営した。 
この「学習組」が在日同胞を地獄へと導いてきた。 
朝総連の活動家になるためには、人間として「沒主体」にならねばならない。組織から命じられれば、人間であることを忘れ、単なる部品、機械、ロボットにならねばならない。それが主体思想の戦士になる基本的要件だ。 
かれらは今も「6・25戦争」は李承晩の北侵戦争といわねばならず、北の特殊部隊が殺した「光州事態」の犠牲者を、韓国軍が虐殺したとしなければならない。 
10万人の在日同胞を生き地獄に送った北送事業について、総連結成60周年の大衆講演資料はこう説明している。 
「総連は、同胞の構成で南朝鮮出身が圧倒的多数を占めたが、共和国を真の祖国として仰ぎ祖国への帰国運動を力強く展開して、在日同胞たちの希望に沿って1959年12月から共和国へ帰国できる権利を勝ち取って、権利を行使するようにするのに貢献した」 
かれらの責任を隠す、卑劣な記述だ。 
朝総連は結成35周年の便覧では、「帰国が実現してから今日に至るまで、およそ10万人の在日同胞が社会主義祖国の懐に抱かれ、彼らは自分の希望と才能を存分に花咲かせて生き甲斐のある生活を享受している」と評している。朝総連の愛国運動の一大転換だったとも自画自賛している。「権利を行使できるように寄与した」とやや婉曲的に書いているのは、朝総連自身が、いつか裁かれるのではないかと少しは怖くなったためだろうか。

学習組は真面目な一般同胞よりは、北の事情を知ることができた。そのためだろうか、かれらは民族差別が多くても日本に残り、「革命活動」を遂行することを選択した。 
学習組の最も重要な任務は、日本 を訪問した韓国人を包摂教養することだった。留学生も対象になった。
主体思想を教育する課題は、主に社協(在日本朝鮮社会科学者協会)や科協(在日本朝鮮人科学技術協会)の会長や副会長など信任の厚い党員に与えられてきた。先週、ソウルで大法院が国家保安法違反で懲役5年を確定させた元統進党幹部の全湜烈の場合もそうだ。日本で全から報告を聞き、連絡を取ってきたのは、社協中央副会長である朴在勲(朝鮮大学校経営学部副学部長)だ。全湜烈を平壌の対南工作機関である225局と連携させたのも、朴在勲だったようだ。(続く)
朴在勲の名前、この記事の後ろのほうにででいます。そもそも、朝鮮大学校とか、朝鮮総連とか、その他北朝鮮の日本にある組織は、ほとんど全部がスパイ組織であるとみて間違いないと思います。

さて、この主体(チュチェ) 思想に関しては、私たちは全く知る必要も何もないと思いますが、ただ知っておいて頂きたいのは、この思想は、朝鮮労働党の目的達成のためならどんな手段を用いてもかまわないという思想です。

そうして、この主体思想を刷り込む北朝鮮のやり方は、かなり強引で、かつ巧妙で、その精神に及ぼす破壊力はすさまじいということです。

北朝鮮女子水兵によるマスゲーム
この主体思想の破滅的な破壊力については、2005年4月のNHKスペシャル、「ドキュメント北朝鮮・第1集 個人崇拝への道」という三夜連続のドキュメンタリーで報道されていました。これは、当時のNHKとしては、かなりまともな報道でした。

この番組の後ろのほうで、元旧ソ連共産党中央委員会委員のワディム・トカチェンコ(ロシア科学アカデミー極東研究所朝鮮研究センター長)がしみじみ語った言葉こそ、今日本人が最も重要なキーワードとして胸に刻まなければならない言葉です。トカチェンコは苦々しい顔をしてこう回想しました。
「北朝鮮はソビエトにとって常に頭痛の種でした。彼らは主体思想を教え込まれ、目的達成のためならどんな手段を用いてもかまわないと考えています。国家のためならば何をしても許されるのです。 
私は時折おもいます。このような人々と全く関わり合いをもたないほうがいいと。不用意に関わるとこちらが病気になり、傷つくことになるのです。」

この動画、以前はYouTubeにも掲載されていたのですが、現在は削除されています。ただし、ニコニコ動画のほうには未だ掲載されています。ご覧になっていない方は、是非視聴していただければ、北朝鮮の本質に迫ることができると思います。

元旧ソ連共産党中央委員会委員のワディム・トカチェンコをして、ここまで言わせた、恐るべきチュチェ思想です。あまりこのような、思想に慣れていない日本人など、この思想に触れてしまえば、あっという間に北朝鮮側に籠絡されると思います。

このチュチェ思想は、北朝鮮では、主体思想塔(チュチェササンタプ、しゅたいしそうとう、韓国語: 주체사상탑)として目に見える形に体現されています。この塔は、朝鮮民主主義人民共和国の平壌市中区域にあります。高さ170メートル。金日成の70歳の誕生日を記念して建てられ、1982年に完成しました。

主体思想塔
こんな思想に基づいて動く国ですから、拉致問題も平気で起こすし、人民が食うや食わずでも、核開発は行うし、他の国のことなどおかまいなしに、全く自分のペースで動くのです。あの中国ですら、主体思想にはかなり悩まされているのではないかと思います。

こういう、思想を持った、朴在勲のような人物が日本には多数存在し、それらが主体思想にもとづき日々日本国内でも暗躍しているということです。当然のことながら、主体思想にとりこまれて、精神を破壊された日本人も数多く存在するとみなすべきです。

この思想の勉強会が、沖縄で毎年開催されているというとんでもない事実もあります。

「朝鮮民主主義共和国を正しく知るために」というホームページに、2013年、1月13日に沖縄で開催されたチュチェ思想セミナーと祝賀パーティーの様子が報告されています。


詳細は、以下のリンクをご覧になってください。

http://dprkj.v.wol.ne.jp/130201.htm

沖縄にも、北朝鮮や中国のスパイが入り込んで、様々な活動をしているのは確実です。そうして、日本の他の自治体や、企業などにも入り込んでいたり、あるいはチュチェ思想に精神を破壊された日本人が、協力をしていることでしょう。

さて、従来日本にはスパイ防止法がないということで、このような活動はやりたい放題でした。

しかし、今の日本には、他国には普通にみられる、スパイ防止法はないといいながら、あの特定秘密保護法は成立しています。2013年(平成25年)10月25日、第2次安倍内閣はこの法案を閣議決定して第185回国会に提出し、同年12月6日に成立、同年12月13日に公布され、2014年(平成26年)12月10日に施行されました。法施行5年後の見直し規定を盛り込まれました。

特定秘密保護法に関する罰則規定などをまとめ表を以下に掲載します。


さて、この事件はまだ捜査中ですが、きちんと立件して、裁判をすべきものと思います。そのときに、この特定秘密保護法はどのように適用されるのか、興味がつきないところです。



それしても、つい最近まで特定秘密保護法すらなかった日本です。このスパイ天国の日本では、外国スパイなどに無防備なお花畑的な人も多いです。あなたのすぐ隣に、あなたを籠絡しようとしている外国スパイがなにくわぬ顔で話をしているかもしれません。

特定秘密保護法施行後はじめての、このスパイ事件、これをきっかけに日本人は、主体思想の破壊力に目覚めるべきと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年2月2日火曜日

“黒田バズーカ3”韓国経済直撃 ウォン高加速で輸出悪化に拍車―【私の論評】先進国になりそこねた韓国はウリジナル・タンゴを踊るのか(゚д゚)!

“黒田バズーカ3”韓国経済直撃 ウォン高加速で輸出悪化に拍車

ウォンの急騰は韓国の輸出に大打撃となる 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 「黒田バズーカ第3弾」が韓国経済を直撃している。すでに深刻な輸出難に陥るなか、日銀のマイナス金利導入で為替のウォン高が急加速した。今後は欧州や中国でも通貨安が進むとみられ、韓国は独り負けになりかねない。

韓国の昨年の経常収支黒字規模は1059億ドル(約12兆8400億円)と初めて1000億ドルを超えた。ただ、中身をみると、輸出が2014年と比べて14%減ったのに対し、輸入が原油安の影響などで19%減とより多く減ったことが主な要因で、実態は「不況型黒字」だといえる。

さらに今年1月の輸出は前年同期比18・5%減と、リーマン・ショック後の09年8月以来6年5カ月ぶりの減少率を記録。前年割れは昨年1月以来実に13カ月連続という不名誉だ。

韓国はこのところ投資マネーの資金流出もあってウォン安が進んでいたにもかかわらず、輸出の押し上げ効果は生まれなかった。

そんなタイミングで、日銀のマイナス金利導入により、今度は輸出にとってより不利になるウォン高が進んでいる。日銀の決定会合前に1円=10・2ウォン台だったのが、1日には9・9ウォン台まで一気に円安ウォン高となった。

ボードを置いて会見する日銀の黒田東彦総裁=29日午後

輸出のさらなる悪化懸念もあって、日銀の決定後、世界的な株高現象が生じたにもかかわらず、韓国株の反応は鈍かった。「黒田バズーカ」による円安が日本の輸出産業にプラスに働く半面、韓国の輸出産業にとってはマイナスに働くことが懸念されたものとみられる。

すでに現代(ヒュンダイ)自動車の1月の販売台数は前年同月比12・5%減、グループの起亜自動車は同15・4%減となった。両社とも昨年12月との比較では30%超の落ち込みを記録している。

日銀に続いて3月には欧州中央銀行(ECB)が追加緩和実施を示唆するほか、中国も経済失速を受けて人民元の下落圧力が強まっている。

一方で韓国はこれまで利下げを行っても効果は限定的で、大胆な金融緩和を行うと資金流出が加速するというジレンマに陥っている。韓国経済はなすすべもなく埋没してしまうのか。

【私の論評】先進国になりそこねた韓国は、ウリジナル・タンゴを踊るのか(゚д゚)!

韓国経済は、日銀の今回のゼロ金利政策により、ウォン高がいっそう進んで、大変なことになりました。

何しろ、韓国のGDPに占める輸出の割合は、43.87%ですから、もろに直撃をうけるわけです。これは、中国の22.28よりも高いですし、日本の15.24%や米国の9.32%よりはるかに高いです。

日本は、10数年前くらいまでは、8%程度でした。米国も最近は、9%台ですが、以前は7%ほどでした。米国や日本は、内需がかなり大きいため、あまり輸出をしなくても実体経済にはあまり大きな影響はありません。

何やら、良く日本は、資源がないので、外国から資源を輸入して、それを加工して海外に輸出して成り立っている貿易立国であるというようなことをまことしやかに言う人もいますが、この数字を見ていればそんなことは全く出鱈目であるということが良くわかります。

そうして、上のようなことを語る人は、無条件で貿易立国は素晴らしい良いことであり、それによって国は栄えると無邪気に信じ込んでいる人が多いです。

しかし、これも全く間違いとまではいいませんが、程度問題です。GDPに占める個人消費の割合を比較してみると、韓国は50%台、中国は35%、日本は60%、米国70%台です。一国の経済を強くするには、なにをさておきまずは、当該国の内需を増やすことが前提条件であると思います。

この数値を比較しても、わかるように、韓国は輸出が多く、個人消費は少なめです。そうしてこれは当然のことです。先に、貿易立国を無邪気に良いことと信じている人の例を述べましたが、韓国はまさに、この人のように、貿易立国を現代風に言い直した「グローバル戦略」が良いことであると信じ、とにかく輸出を増やすことを奨励してきました。

とにかく、輸出拡大が韓国の生きる道ということで、企業はもとより、韓国政府もグローバル化一辺倒で経済政策を推進してきました。その結果が今日の悲惨な事態を招いてしまいました。

輸出額が大きいということは、一見国際競争力があって良いようにもみえますが、逆の方向からみると、外国の影響を受けやすくなるということです。経済を良くするたには、ますば、米国のように自国の内需をできるだけ拡大すべきです。

2012年のグローバリゼーション・インデックス
韓国も、中国も日本より順位が上田が?

本来ならば、韓国はもっと内需を拡大すべきでした。本来もっと余裕のあるときに、金融緩和を行いつつも、グローバル戦略一辺倒ではなく、内需拡大策も実行すべきでした。そうして、それと並行して、以下で述べるような中進国のジレンマを乗り越える、構造改革もすべきでした。

しかし、それを韓国はないがしろにしてしまいました。それは、韓国のような国にとって難しいといえば、難しいことなのかもしれません。

内需を拡大するためには、いわゆる経済的中間層を増やして、この中間層が社会・経済活動を活発に行えるように社会基盤を整えていく必要があります。

そのためには、民主化はもとより、経済と政治の分離、法治国家化を推進しなければなりません。これが、基盤としてある程度整備されていなければ、経済的中間層が増えることはありませんして、人為的に増やしたにしても、中韓層が社会・経済活動を活発に行うことはできません。

ある程度の民主化が実現されていなければ、社会問題を解決するなどという活動も活発化しません。経済と政治の分離がされていなければ、一国の経済は、政治と不可分に結びついて、政治家や官僚と政府に近い人々だけが富裕層となり、経済的中間層など増えることはありません。

ある程度、法治国家化されていなければ、多くの中間層が、自由に取引をしたり、社会活動を行うことはできません。

発展途上国などの経済が飛躍的に伸びて、新興国などともてはやされても、なぜかほとんどの場合、その後経済成長ができなくなり、所得が発展途上国と、先進国の中間あたりで、止まってしまうという現象がよく見られます。それを中進国のジレンマと呼びます。

韓国経済は未だに「中進国のジレンマ」から抜け出せないでいるのです。現在、韓国の国民1人あたりGDPは約2万5000ドルです。一般的に国民1人あたりGDPが1万ドルを超えると途上国から新興国になり、2万ドルを超えると中進国、3万ドルを超えると先進国とされます。(無論、この数値は現在価値でということです)

しかし、3万ドル経済に向かおうとする中進国は、しばしば為替や労働コストが高くなって競争力を失い、3万ドルに近づくと落ちるという動きを繰り返します。これが「中進国のジレンマ」です。韓国経済も、調子が良くなるとウォンや労働コストが高くなり、そのたびに競争力を失って落ちるという状況を繰り返しています。

戦後の日本とドイツは5年、スウェーデンは世界記録の4年で2万ドル経済から3万ドル経済に突き抜け、先進国の仲間入りを果たしました。まずは、社会を変革し、イノベーションや生産性向上ができるようにして、為替や労働コストの上昇を乗り越えたのです。

中進国のジレンマを乗り越えることや、一端先進国になるとそこから、中進国以下に落ちることは滅多にありません。その例外は、2つしかありません。中進国のジレンマを乗り越えて、中進国から先進国になったのは、日本だけです。

また、かつて、先進国だったのが、今や発展途上国になってしまったのはアルゼンチンのみです。アルゼンチンはかつて、先進国でした。それが、現在は発展途上となってしまいました。

アルゼンチンには有名なアルゼンチン・タンゴがあり、この音楽は他のラテン諸国と比較すると、芸術性も高く、メランコリックで一線を画したところがあります。あのような音楽は、一度豊かで先進国ともなりながら、その後衰亡して行ったアルゼンチンのような国でなければ、生み出されなかったのではないかと思います。



アルゼンチンと日本に関しては、1971年にノーベル経済学賞を受賞した、アメリカの経済学者・統計学者サイモン・グズネッツーは以下のように語っています。

「世界には4つの国しかない。 先進国と途上国、そして、日本とアルゼンチンである」
1900年初頭、アルゼンチンは黄金期を迎えていました。世界を制するのはアメリカかアルゼンチンか。そう言われるほどの国力を誇っていたのです。

実際、その当時の国民1人あたりのGDPは、およそ2750ドル。同じ時期の日本は1130ドルでしたから、日本の2倍以上の経済力があったことになります。


サイモン・クズネッツ氏
この関係が逆転したのは、1967年のこと。高度経済成長に沸く日本、そして停滞・後退を始めたアルゼンチン。

戦後の混乱から、奇跡的な発展を遂げた日本は、資源がほとんどない小国でありながら先進国の仲間入りを果たしました。一方アルゼンチンは、豊かな資源がありながら、工業化に失敗し、衰退しました。

途上国から先進国になった日本と、先進国から途上国になったアルゼンチン。どちらの事例も非常に稀なことであり、それをもってグズネッツは前述の言葉で世界には4種類の国があると説明したのです。

アルゼンチン・タンゴを生み出したかつての先進国アルゼンは今・・・
その後、アルゼンチンは2001年から02年にかけて国家的な経済崩壊を体験しました。アルゼンチンのたどった経済崩壊までの軌跡を簡単に並べてみると、
1国家の成長産業勃興
2経済の高成長
3成功体験
4傲慢
5転落
6崩壊
となります。

これは、国家的経済崩壊の例として「アルゼンチン型」と呼ばれていますが、今の韓国もこれによく似ているかもしれません。ただし、韓国の場合、未だ完璧に先進国にはなりきれていません。韓国はまだ、「6崩壊」まで進んではいませんが、長引く不況に対する国民の閉塞感は、アルゼンチンより深刻かもしれません。

韓国の場合は現状は、イノベーション不在、基礎科学軽視、ものまね文化で、スピードと規模を重視するという風潮が強いです。そうした産業の“底”の浅さが「中進国のジレンマ」から抜け出せない最大の理由であり、さらにその深因は、記憶偏重の教育、学校秀才万能、そして男尊女卑の社会風潮にあると考えられます。

ソウル 広大前のアルゼンチンタンゴクブ[Tango O Nada]の看板
まずは、これを克服して、先にも述べたように、さらなる民主化、法治国家化の強化と、政治と経済の分離をして、中間層を多く輩出し、彼らが自由闊達に、社会経済活動をできるようにすべきです。

[Tango O Nada]の店内。韓国人がアルゼンチン・タンゴを踊っている
資金に乏しい韓国は、日本のように日銀の当座預金に市中銀行の預金がかなり積み上がってはいないので、これまで利下げを行っても効果は限定的だったしこれからも変わりません。ウォンの擦り増しなどの大胆な金融緩和を行うと、ハイパーインフレになるか、資金流出が加速するというジレンマに陥っています。

このままでは、韓国は先進国に仲間入りする前に、アルゼンチン・タンゴを踊ることになりそうです。それも、アルゼンチンが独自のアルゼンチン・タンゴを生み出したのとは異なり、ウリジナル・タンゴを踊ることになりそうです。


韓国に世界中が“冷ややか”視線 MERS対応に国内メディアも「無能な政府」―【私の論評】過去の日銀の金融引き締め策と、反日で頭を使わなくなった無能政府の末路(゚д゚)!

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2016年2月1日月曜日

【ジャカルタ高速鉄道】受注した中国の書類ずさん過ぎ… 事業契約も調印できず 「中国語だけでは評価しようもない…」―【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!


バンドン郊外で開かれた高速鉄道の着工式典に出席したジョコ大統領(左から2人目)
と中国鉄道公司の盛光祖社長(中央)ら=21日、インドネシア
インドネシア・ジャワ島の高速鉄道整備工事が、監督官庁の許認可が下りず、足踏みを続けている。中国が日本との受注合戦に競り勝ち、21日に着工式典が開かれたが、提出書類が中国語で担当官が理解できないなど準備不足が露呈。事業契約もまだ調印できず、工事の“出発”にすらこぎ着けられない状況だ。

■空軍基地の敷地に駅を予定

整備計画では、首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンの約140キロを結び、2019年前半の開業を目指す。事業費約は55億ドル(約6420億円)で、インドネシア政府は負担や保証はしない。事業権期間は50年で、終了後は政府に引き渡される。

着工式典で、インドネシアのジョコ大統領は「インドネシア、中国の両国政府が協力して着工に至った」と胸を張った。だが、式典を欠席したジョナン運輸相は26日、議会公聴会の質疑で、「評価が終わっていない」として、建設許可はまだ出していないとした。

運輸省幹部は、地元英字紙ジャカルタ・ポストに、「5キロ区間の式典向け使用だけ許可した」と説明。必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とし、事業契約も調印できない状況を明かした。

中国側の計画では、4駅が整備されることになっているが、うち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定。このため、一部政治家から、「首都防衛のための不可欠な施設だ」と、計画見直しを求める声もあがっている。

■「反対を力で排除、慣れてしまっている」

東南アジア研究所(シンガポール)の趙洪氏は、28日の英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に、中国の国有企業は母国で、反対や障害を力で排除することに慣れてしまっていると指摘。インドネシアのような民主主義下では違った対応が必要だとして「地域社会をもっと深く理解する必要がある」としている。

インドネシアの高速鉄道計画をめぐっては、日本が受注を前提に地質調査などを長年進めてきたが、昨年3月、中国が参入を発表。インドネシアは同9月、費用が安い「中速度」の鉄道にプランを変更し、日中両案を不採用としたが、その後、事業費を丸抱えする中国の新提案の採用を決定。日本は選考過程の不透明さをインドネシアに抗議するなど波紋を呼んだ。

 【私の論評】中国の国際高速鉄道事業の背後の軍事的意図(゚д゚)!

インドネシア高速鉄道計画は、2015年7月にインドネシア政府が発表した高速鉄道計画です。首都ジャカルタと西ジャワ州バンドン間150kmを結ぶ計画で、将来的にインドネシア第二の都市である東ジャワ州スラバヤへの延伸が計画されています。東南アジアにおいて最初に開通する高速鉄道となる予定です。

この計画には、日本および中国が高速鉄道システムの売り込みに興味を示し、入札を競っていました。

2015年9月3日、インドネシア政府は高速鉄道計画の撤回を発表し、入札を白紙化しました。 9月29日、インドネシア政府は財政負担を伴わない中国案の採用を決定しました。

2015年中に着工し、2019年に開業する予定でした。

それにしても、中国の国際事業の展開の仕方は、非常にお粗末なものです。インドネシアという相手国に対して、必要書類が未提出なうえ、提出された書類も多くはインドネシア語や英語ではなく中国語で記載されており、「評価のしようがない」とは、お粗末の極みです。国際的な事業をするというのなら、最低限英語の書類は用意するというのが当たり前です。

確かにこの状況では、事業契約も調印できないのはもっともなことです。

ここで少し、このインドネシアの高速鉄道計画の受注に関してふりかえっておきましょう。

日本の新幹線E5シリーズ
さて、2008年より, 日本はインドネシアに対し新幹線の輸出を働きかけてした。2009年には、ジャカルタ - スラバヤ間730kmを時速300kmで結ぶ高速鉄道計画のフィジビリティスタディが行われました。

当区間はインドネシアで最も人口密度が高い区間であり、旅客および貨物輸送において慢性的な渋滞が発生しています。国際協力機構により、高速鉄道の建設費を円借款による低金利の融資で賄うことが提案されました

新提案では複数の期間に分けて建設することになりました。第一期はジャカルタ - バンドン間150kmを35分で結ぶ計画となり、建設費は50兆ルピアとされました。2014年1月、国際協力機構は詳細な事業化調査を開始しました。

当初、日本案は有利であるとみられていました。2014年10月にインドネシアにおける政権交代によりユドヨノ政権からジョコ政権に代わると、2015年1月、ジョコ政権は高速鉄道計画を費用がかかりすぎるとして中止を表明しました。

それでも日本案の有利は揺るがないと見られていましたが、2015年3月に中国が受注競争に参加することを表明しました。

2015年3月、ジョコ大統領は東京と北京を訪問。3月22日から25日までの東京滞在期間中、日本の安倍晋三首相と会談を行い、ジャカルタの都市鉄道路線ネットワークにおいて日本の支援を得ることで合意をしましたが、高速鉄道計画においては進展が見られませんでした。

中国案のCRH380A
2015年4月、中国はインドネシア高速鉄道計画の入札を表明しした。

2015年3月26日、ジョコ大統領が北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談を行った。中国側はインドネシア高速鉄道計画への支援を大々的に発表した。

2015年7月、インドネシア政府はジャカルタ - バンドン間の高速鉄道建設計画において競争入札を行うことを発表した。2015年8月、中国はジャカルタのショッピングモールにおいて高速鉄道技術展示会を行った。

日本案と中国案の競争は熾烈なロビー活動に及んだ。高速鉄道計画の受注は経済的理由に留まらず、東南アジアにおける両国の戦略的影響力を競うものとなっていました。

日本側としては、全く納得のいかない結果となりましたが、結局のところインドネシアは、安物買の銭失い的な行動をしてしまったようです。しかしこんなことになるのは、最初からわかっていたことです。

そもそも、中国の現在の高速鉄道の技術は日本から盗みとったものです。というか、盗ませてしまったというのが正しいかもしれません。

新幹線技術を供与した張本人は、JR東日本(東日本旅客鉄道)の松田昌士・元会長&社長です。中国はもともと、国産技術と僭称して米国やアジア諸国に売り込みをかけていました。

中国から技術を盗まれると確信していたJR東海の葛西敬之会長は技術を出しませんでした。JRの経営トップでもこれだけ対中国観が違ったということです。さらに、JR東日本と組んで新幹線の車輌(技術)を提供した、川崎重工業の契約が「技術を盗んで下さい」といわんばかりに杜撰だったことが、新幹線技術を中国に盗まれる原因ともなりました。

とはいいながら、現在の中国の鉄道技術は、前世代の古いものです。現在の最新の新幹線の技術ではありません。

盗みとったものであるからこそ、中国はインドネシアに対して、高速鉄道を安く提供できるということです。この技術日本は、自主開発でそれこそ何十年もかけて培ったものです。

とはいいながら、所詮自主開発したものと安直に盗みとったものとでは、自ずから差がつきます。実際中国では、2011年にあの高速鉄道の大事故が起こっています。この事故、中国はあろうことか、事故列車を地面を掘り起こしそこに埋め、事故の原因を隠蔽してしまいました。

2011年温州市鉄道衝突脱線事故
この事故、中国側はいろいろ理由をつけていますが、私自身は線路の敷設なとを含む鉄道システムの突貫工事も大きな原因の一つではないかと思います。何しろ、中国は日本なら一年かけて工事するところを3ヶ月くらいでやってしまいます。

経済再優先では、安全性は二の次です。そうして、中国は比較的領土が広いので、線路も直線が多く、日本と比較すると、カープや勾配などが少ないです。インドネシアも、領土が狭く、谷あり山ありで、日本と同じようにカーブや勾配などが多いです。

突貫工事をやる中国が、インドネシアに限ってまともな工事を実施とも考えられません。

それと、上の記事で、4つある駅のうち1駅はジャカルタ東部にあるハリム空軍基地の敷地を予定しているとありますが、これは、中国の軍事的な意図がありありです。

そもそも、中国では駅は軍事施設の一つともみられています。これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。
中国の高速鉄道には重要な軍事的意図が隠されている―米誌―【私の論評】敵に塩をくれてやっただけではなく、軍事力の増強にも手をかしている平和ボケ日本!!
中国高速鉄道と女性乗務員
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より米誌による、中国の高速鉄道には、重要な軍事的意図が隠されているという指摘の部分のみを以下に掲載させていただきます。
2011年5月14日、米ジェイムズタウン財団が発行する雑誌チャイナ・ブリーフは、中国人民解放軍総後勤部・軍事交通運輸部の話として、中国の1000を超える鉄道駅には軍事輸送施設が備わっていると報じた。以下はその概略。 
国際社会における中国の台頭に伴い、中国の軍事力も大幅に増強。中国指導者たちの理想は日増しに膨らみ、さらに積極的に自国の利益保護を追求するようになった。中国が鉄道網の整備に全力を挙げているのも、人民解放軍の移動能力を向上させるため。それらはさらに周辺地域にまで延伸しており、米国を始めとする西側諸国の同地域における利益に重大な影響を及ぼしている。 
中国は現在、チベットとネパールに続く高速鉄道路線を開通させており、さらにラオス、シンガポール、カンボジア、ベトナム、タイ、ミャンマーにも伸ばす予定。また、昨年11月には新疆ウイグル自治区−キルギスタン−タジキスタン−アフガニスタン−イランを結ぶ路線を建設することで各国と合意。このほか、イラク−シリア−トルコ−欧州を結ぶ路線の開通も計画している。 
これらは国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)が提唱するアジア横断鉄道(TAR)の理念に基づいたもの。これは中東を中枢としたアジア間およびアジアと欧州を結ぶ鉄道路線網である。こうした鉄道網の充実に加え486.1キロという世界最高速度が、中国の遠征能力を格段に向上させるだろう。現代版の「シルクロード」が米国および西側諸国の脅威になることは間違いない。
鉄道が軍事的にも意味を持つというのは、本来は常識です。日本でも、戦車など今でも鉄道で運ぶこともありますし、今の日本ではほとんど見かけなくなりましたが、兵員を鉄道で運ぶということもあります。

鉄道は、他の輸送機関から比較すると、鉄道網が破壊されなければ、もっとも確実で安価な輸送手段です。

鉄道輸送中の中国59式戦車。トラベリング・ロックで100mm砲を固定している

インドネシアの空港の敷地内に、中国が鉄道の駅を設置するというのは、やはりこのような考え方にもとづいていると考えられます。

空港の敷地内に鉄道の駅があれば、いざというときに、中国は空港に兵員や兵器、戦車や車両など送り込み、そこから高速鉄道で、それらを迅速に展開することができるわけです。

中国としては、インドネシアで高速鉄道事業に成功して、アジア一帯に中国の高速鉄道網を張り巡らし、この地域で、どこにでも人民解放軍を迅速に展開できるようにするという意図があるのでしょう。

それにしても、インドネシアはどうしてしまったのでしょうか。これでは、本当に安物買いの銭失いどころか、敵に塩をくれてやるようなものです。

それも、今から10年前などというのならまだ理解できますが、最近の中国の南シナ海での暴虐ぶりをみて、それでも中国に高速鉄道を発注するというその、考えが全く理解できません。

それにしても、中国の国際鉄道事業、まだ実際に着工する前からこの体たらくです。何やら、先がみえてきたように思います。いずれ、その軍事的意図も多くの国々に知られるところとなり、いずれの国も発注しなくなると思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2016年1月31日日曜日

日銀のマイナス金利 投資・消費の増加につながるか―【私の論評】マイナス金利政策は当然!10%増税では、優先順位を間違えたECBよりも始末が悪いことに(゚д゚)!

日銀のマイナス金利 投資・消費の増加につながるか



日銀は29日、金融機関から預かっている当座預金にマイナス金利を導入する新たな金融緩和策に踏み切り、さらに今後も金利のマイナス幅を拡大する可能性を示唆しました。これを受けて長期金利は過去最低まで急激に下がりましたが、金利の低下が投資や消費の増加につながるかどうか、今後、新たな金融緩和の効果が問われます。

日銀は、金融機関から預かっている当座預金の一部に来月半ばからマイナス金利を導入する、新たな金融緩和策に踏み切ることを決めました。

日銀の黒田総裁は記者会見で、今回の政策のねらいについて「金利全体により強い下押し圧力を加えていく。2%の物価目標をできるだけ早く実現するため導入を決めた」と述べ、世の中の金利全般を一段と下げることで、投資や消費を活発化させることが期待できるとしました。

これを受けて、東京債券市場では29日、長期金利が一時、0.09%と過去最低の水準まで急激に下がり、金利はひとまず、日銀のねらいどおりの反応を示したほか、円安と株高も進みました。

ただ、金利が下がっても企業や個人の資金の需要が高まらなければ、金融機関からの貸し出しなども増えず、投資や消費の増加につながらないおそれもあります。日銀は必要があればマイナス金利の幅を拡大する可能性も示唆していますが、金利の低下を経済の活性化につなげ、日銀が目標とする2%の物価上昇率を達成できるかどうか、新たな金融緩和策の効果が問われることになります。

【私の論評】マイナス金利政策は当然!10%増税では、優先順位を間違えたECBよりも始末が悪いことに(゚д゚)!

今回のゼロ金利について、予め予言をしている人がいました。それは、あの高橋洋一氏です。その予言を掲載した動画を以下に掲載します。


マイナス金利の件は45分あたりから

 この動画は1月28日に収録されたものです。高橋氏としては、29日に日銀が重大発表があるとの発表をした時点で、ゼロ金利はあり得ることとして、この動画の緊急特番ということになったのだと思います。

この動画の中でも、今回の黒田総裁が、マイナス金利を導入しなければ、まともな中央銀行総裁とはいえないということを語っていました。そうして、今回実際にゼロ金利政策を宣言したわけですから、黒田総裁はまともだということです。このあたりのことについては、詳細は上の動画をご覧ください。

このゼロ金利政策、マスコミの経済記者などには意味が良くわからないようです。識者のなかにもとんでない解説をする人がいるので、そんなことに皆さんが幻惑されないように、以下にいくつかの査証(エビデンス)を掲載させていただきます。

そもそも、日銀がマイナス金利政策を宣言する前から、もう日本は実質的にマイナス金利政策をとっているといっても過言ではありませんでした。

すでに、日本銀行は、マイナス金利政策を発表する前からゼロ金利政策を放棄してマイナス金利政策を採用してしまっていました(これって、英文法でいえば過去完了)。その査証を以下に掲載します。


さて、上は、財務省が発表している国債金利情報をグラフにしたものです。昨年の12月の半ば頃から残存期間1年の国債の利回りはマイナスになってしまっていたのです。瞬間的にマイナスになったというのではないのです。それ以来マイナスが継続しまっていたのです。

そして、昨年12月13日には、5年物新発国債の落札利回りがゼロとなったとも報じられてしまっていました。10年物国債にしても、利回りは0.26%まで低下してしまっていました。

国債の利回りがマイナスになるその原因は、日本銀行が市中金融機関から国債を買い入れる場合に、額面以上の価格で購入しているからです。日銀が額面以上の価格で国債を購入すれば、落札利回りはマイナスになります。つまり、市中金融機関は、国債を担保に日銀からマイナス金利でお金を借りてしまっていたのです。

今や市中金融機関は、ゼロ金利どころかマイナス金利で日銀からお金を借りることができる時代に突入しているのです。では、何故そのようなことを日銀はするのでしょうか。

そうでもしなければ、日銀が目標に掲げた国債の買い入れが達成できないからです。そうなると日銀の掲げた物価目標を達成できなくなるからです。

さて、すでに国債のマイナス金利政策を実行している、日銀がさらに今回マイナス金利政策を発表したのにはどんな背景があり、それが日本経済にどのような影響を及ぼすのか以下に解説します。

日銀には銀行の預金口座である「日銀当座預金」があります。この「日銀当座預金」にはこれまで0.1%の金利がついていたのですが、預金の一部にマイナス0.1%の金利、つまり手数料がとられるようになるのです。

日銀はアベノミクス開始以降、銀行などの金融機関から大量の国債を購入していますが、その国債の購入代金は銀行の預金口座である「日銀当座預金」に振り込まれます。しかし、「日銀当座預金」に0.1%の金利がついたままでは、銀行は振り込まれたお金を企業の貸出しにまわすことなく、そのまま放っておくことが考えられます。



しかし、今回のマイナス金利導入により、「日銀当座預金」に利息収入ではなく手数料がかかることになってしまいました。こうなると銀行は利益を確保するために、こぞって企業にお金を貸し出すとか、株式投資をするようになることが考えられます。これがマイナス金利導入の狙いです。

しかし、ユーロ圏では欧州中央銀行のドラギ総裁がマイナス金利政策を実施しましたが、これといってマイナス金利の効果は確認されていません。にもかかわらず、今回黒田総裁がマイナス金利政策を導入したのは、どうしてなのでしょぅか。

その違いは、日本とユーロ圏の量的緩和の「量」にあります。以下の図を見てください。ユーロ圏の中央銀行である欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利導入を発表したのは、2014年6月5日。つまり、ECBは本格的な量的緩和を実施して、マネタリーベースが急拡大する前の段階でマイナス金利を導入してしまっていたのです。


ECBのマイナス金利導入は、時期尚早でした。日本の場合は、日銀の金融緩和策によって、「日銀当座預金」に銀行の預金がかなり積み上がった状態になってしまっいるので、EUとは異なり、導入すればそれなりの効果が期待できるというわけです。

これは、高橋洋一氏が動画で指摘していたように、正しい措置であり、黒田日銀総裁は、まともな中央銀行総裁であることが示されたといえると思います。

しかし、だからといって、日本経済は安泰だというわけでもありません。先日も、指摘したように、この先中国経済はしばらくかなり停滞します。アメリカの利上げによって新興国の経済が大ダメージを受けてしまう可能性も大きいです。

さらに、原油安が資源国の経済を直撃しています。また、中東の地政学的リスクも増大しています。これらが日本の経済にどのような悪影響を与えるのか、全く予断を許さない状態です。今後リーマン級の大打撃が日本を再度襲う可能性があります。 

今後の、不測の事態に備えるためにも、日本政府は早急に2016年度の補正予算を組み、金融緩和を拡大して、財政金融両面でさらなる景気対策を施さなければなりません。

10%増税などやっている場合ではありません。まずは、景気回復、デフレ完全脱却が今の日本にとっては最優先課題です。安倍政権にはECBのように政策の優先順位を間違えないようにして欲しいです。もし、10%増税など予定通りに実行してしまえば、ECBの優先順位の誤りどころの話ではありません。

ECBが優先順位を間違えて、マイナス金利政策をやっても、効果が出ないだけで、それ自体が経済に甚大な悪影響を及ぼすわけではありません。しかし、デフレ完全脱却前の、増税は甚大な悪影響を及ぼすのは必定です。そんなことは、私達は8%増税の大失敗ですでに学んでいるはずです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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