2016年2月23日火曜日

米国でも「STAP細胞はあります!」 共著者バカンティ氏、研究続ける 「正しいと確信したまま墓場に」―【私の論評】この事件誰が正しいか間違いかではなく、何が正しいか間違いかを検討しなれば、また同じ轍を踏むことになる(゚д゚)!


小保方さん(前列左)とチャールズ・バカンティ氏(前列右)
小島氏(後列左)、大和氏(後列右)
STAP細胞論文の共著者のチャールズ・バカンティ氏が、論文撤回後もSTAP細胞作製に向け、研究を続けていたとの記事を米誌ニューヨーカー電子版が22日、掲載した。同誌の取材に対し「(STAP細胞は)正しいと確信したまま墓場に行くだろう」と話したという。

記事によると、論文に不正があるのではないかと問題になった際、バカンティ氏は著者の小保方晴子氏に「データの捏造はしてないのか」と尋ね、「それならこんなに時間をかけて実験はしない」との回答を得たという。

バカンティ氏は論文の問題が指摘された後、2014年夏から1年間米ハーバード大を休職。大学は「復職後も再生医療の研究を続けている」としていた。

記事によると、同誌は昨年7月にバカンティ氏に取材。共著者の小島宏司医師と実験を続けていると説明。既に分化を終えた細胞にさまざまな刺激を与える手法で、どんな細胞にも分化できる万能性を獲得できるかどうかを検証した。万能性を示す遺伝子の働きを確認したが、実際に万能性がある細胞の作製には成功していないという。

STAP細胞の論文は14年1月に英科学誌ネイチャーに掲載され、7月に撤回された。 (ワシントン=共同)

【私の論評】この事件誰が正しいか間違いかではなく、何が正しいか間違いかを検討しなれば、また同じ轍を踏むことになる(゚д゚)!


以下にチャールズ・バカンティー氏とSTAP細胞に関して、wikipediaからまとめたものを以下に掲載します。
チャールズ・バカンティ(英: Charles Alfred Vacanti)氏は、アメリカ合衆国出身の、麻酔科医(医師:M.D.)。研究分野は、麻酔学、組織工学、細胞生物学。 
マサチューセッツ大学メディカル・スクール麻酔科教授、同 再生医科学センター長、国際再生医学会長、アメリカ麻酔学会長を歴任し、ティッシュ・エンジニアリング学会・学会誌の主宰者。現在はハーバード・メディカル・スクール及びブリガム&ウィメンズ病院教授。 
1995年10月に「ミミネズミ(バカンティマウス)」がBBCテレビで報道され、その視覚的に強烈なインパクトにより、バカンティと生体組織工学(組織工学、ティッシュ・エンジニアリング)は世に広く知られるようになった。同分野で多くの特許を持ち、生体組織工学においては著名な人物です。spore-like cellsやSTAP細胞の提唱者でもあります。
  ミミネズミ(バカンティマウス)
2001年にバカンティは弟のマーティン・バカンティとともに、生物の成体に小さなサイズの細胞が眠った状態の多能性細胞が存在するのではないかとの仮説を提唱。これを「spore-like cells」(胞子様細胞)と名付けました。 
しかし、同僚たちは同研究に極めて懐疑的であり、弁護に疲れ果てた末職場を去る決意をしました。新しい職場での面接では、胞子様細胞仮説に触れないように意識したといいます。その後、2008年に小保方晴子がハーバード・メディカルスクールに留学して来ることにより、研究が再始動。小保方は博士論文の研究として多能性の検証を行いました。 
2001年にJournal of Cellular Biochemistry誌へ掲載された論文での画像盗用の疑いや2011年3月TE誌論文での不適切な画像使いまわし。TE誌については2014年3月にバカンティが実験データを示す複数の画像や画像の説明内容を訂正しました 
前述のように、バカンティや小島宏司の下で小保方晴子は胞子様細胞に関する研究を行っていたのですが、2010年頃に彼らと大和雅之は、刺激により細胞が初期化されているという解釈に至りました。本研究は2011年以降、小保方が所属した理化学研究所を中心に研究が進み、2012年3月には米国仮特許出願、同年にはネイチャー、サイエンス、セルへ論文を投稿しましたが、3誌とも査読を通りませんでした。 
2012年12月から笹井芳樹が論文指導を行うことにより、論文は大きな変貌を遂げました。バカンティは笹井が共著者や責任著者に加わること、理化学研究所内で研究をあまりオープンにしないことを要求。また、特許の本出願を急がせてたり、論文共著者に誰を入れるか等についても注文を付けていました。 
2013年4月には特許の国際出願を済ませ、2014年1月30日には2報の論文がイギリスの科学雑誌ネイチャーに掲載されました。バカンティは取材で「小保方がいなければSTAP細胞の研究発表は先にまでずれこんでいただろう」と語り、STAP細胞はバカンティ自身の研究成果であり、小保方は研究協力者の1人との立場をとっています。
nature (ネイチャー) ダイジェスト 2014年 03月号 [雑誌]
STAP細胞に関して、2014年3月に掲載された"Natureダイジェスト"  
同年2月1日にはバカンティのチームがヒツジ治療にSTAP細胞を試みたこと、2月5日には新生児の皮膚線維芽細胞から作成したSTAP細胞の可能性がある細胞の写真を公表する等、BWH独自の研究成果も発表していきました。
日本でSTAP細胞の論文を巡りデータや画像に不自然な点があった問題が発生し、同年3月14日に小保方以外の共同執筆者が論文の取り下げに同意していたが、バカンティは「論文に提示されたデータが正しくないという説得力のある証拠がない限り、論文を撤回すべきではない」とコメントし、論文の取り下げに反対していた。同年5月末にネイチャーから強制撤回よりも自主撤回を促すコンタクトがあり、撤回に同意する方針に転換。小保方も撤回に同意し、STAP細胞の研究は撤回されて白紙になる見通しとなりました。なお7月2日のネイチャーによる論文撤回にあたっても、バカンティは自説を変えず、ボストン・グローブ誌はSTAP細胞やハーバードに対して否定的な報道を行いました。 
記者会見をする小保方さん
2014年8月12日にはブリガム&ウィメンズ病院により、バカンティが麻酔科長退任と1年間の長期休暇の意向であることを表明。病院はこれらの理由やSTAP問題との関連を明らかにしていないのですが、8月11日に自身のブログでメールを公開したポール・ノフラーは、病院で内部調査が進んでいる可能性を指摘しています。また、理化学研究所の検証実験中間報告が行われた一週間程後の同年9月3日に、小島宏司と共にプロトコル(手順)の改訂版を発表しました。
Charles A. Vacanti, Koji Kojima (2014-09-03) (PDF), REVISED STAP CELL PROTOCOL 2014年9月20日閲覧 
STAP細胞作製が簡単にできるのは間違いで個人差が大きいことを認めたものの、自分達が作成に成功したか否かは明らかにしませんでした。
さて、 チャールズ・バカンティー氏に関しては、疑惑は多いものの、それにしても、日米を含めて、責任を追求されて、一番大きな損失を被ったのは、小保方さん一人のみということで、やはりこの事件何やら割り切れないところがあります。

STAP細胞がある特定の手法を用いてる必ず、生成されるという次元にはありませんが、それにしても、バカンティ教授以外にも、STAP現象はあり得るかもしれないことを実証した実験結果は存在します。それに関しては、このブログにも以前掲載したことがありますので、その記事のリンクを以下に掲載します。
小保方さんの発見は真実!ネイチャーにマウスの体細胞が初期化して多能性を持つ「STAP現象」がアメリカの研究者により発表される―【私の論評】日本のマスコミや識者もSTAP細胞騒動を二度と繰り返すな(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このような発見もあったことですから、少なくともSTAP現象については存在するかもしれないことを全く否定はできなくなったと思います。

STAP細胞をめぐる問題で、小保方晴子さんが理化学研究所(理研)から「ES細胞」を盗んだ容疑で、兵庫県警から任意での事情聴取を受けているそうです。2月18日、そんな衝撃的なニュースが飛び込んできました。これは、昨年1月に、理研OBの男性が容疑者不詳で窃盗容疑の告発状を県警に提出し、捜査が進められていた件で、現在はあくまで参考人の1人とされており、真相は不明です。


理研の調査委員会は2014年12月、STAP細胞は「(生成過程で)似たような特徴を持つES細胞が混入したものである」と結論づけていました。

では一体誰がES細胞を混入させたのでしょうか? 声を上げたのは理研OBの石川智久氏。独自調査の結果、STAP細胞論文の共著者の一人である若山照彦・山梨大教授が理研在籍中に構えていた研究室で行方不明になったES細胞入りチューブが、小保方研究室で発見されたというのです。


 若山氏は2013年3月まで理研で研究活動を行い、小保方氏は若山研の研究員でした。石川氏の見立てでは、ES細胞を若山研から盗んだのは小保方氏以外に考えられず、それを意図的に混入させSTAP細胞と偽った可能性があるといいます。

この調査結果をもとに15年1月、兵庫県警にES細胞の窃盗がなされたとして告発状を提出。同年5月に正式に受理されました。ただし、告発相手は小保方氏と決め付けず「被疑者不詳」としました。  

ここがポイントです。舞台裏を知る関係者は「被疑者不詳、つまり誰が盗んだかは分からないことにして、捜査範囲を広げた。今回の件で動いたのは兵庫県警だけではない。地検や警察庁までもが動き、立件できるか精査した。裏を返せば、受理したのだから、当局はイケると踏んでいるということだ」と話したそうです。 

水面下で理研職員や関係者から事情を聴いて外堀を埋めた上で、満を持して“本丸”小保方氏への参考人聴取に踏み切ったとみられます。 

「小保方研にあった試験管には『ES細胞』と手書きされていたものがあった。調査委員会はそれ以上調べなかったが、当局が筆跡鑑定すれば誰が書いたか一発で分かるだろう」とは別の関係者。

1月28日、小保方氏がSTAP細胞問題で14年末の理研退職後に初めてまとまった主張を行った手記「あの日」(講談社)を出版したことも、少なからず捜査に影響を与えたのかもしれません。 

同書で小保方氏は「私がES細胞を混入させたというストーリーに収束するように仕組まれているように感じた」「私の上司にあたる人たちによって、周到に準備され、張り巡らされた伏線によって仕掛けられた罠だったとも受け取れた」などと“陰謀論”を展開していました。 

あの日


さて、この事件これからどのような展開をするのか予断を許さないところだと思います。

それにしても、もし本当にES細胞を小保方さんが意図的に混入させたと仮定したとして、理研という組織ではそんなことが簡単にできてしまう組織ということなのでしょうか。STAP細胞の生成が、事実だったとすれば、世紀の大発見のはずです。

そんな大発見にもかかわらず、ES細胞を小保方さんが、簡単に持ち込んで、さらにそれを混入させることができるとすれば、別に小保方さんでなくても、誰でもできる可能性はあると思います。

このような、大発見などをする研究所ならば、それ相当の秘密保持の体制ができていなければ、おかしなことというか、異常です。

ましてや、理研は国立の研究所です。国民の税金が投じて運営されている研究所が、一研究員の不正を事前に察知できないとすれば、これはかなりの問題です。

マスコミなどは、こうした観点からの報道は一切行わず、何やら小保方さんの倫理の欠如を追いかけるのみです。

これに関しては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
手記出版「あの日」…小保方さんは何を語っているのか―【私の論評】小保方さんの手記ではみえないSTAP細胞問題の背後にある危機(゚д゚)!
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この問題の背後にある本当の危機について以下にコピペします。

まずは、STAP細胞に関しては、一連の騒動で、まるでまがい物の代表であるかのごとく印象付けられてしまっていますが、決してそうではないということを示した部分を以下にコピペします。


現在、日本ではSTAP細胞=ウソ、いかがわしいものの代名詞のような扱いを受けています。しかし、複雑な手順を経ることなく万能細胞を生み出そうとするSTAP細胞と同様のコンセプトを掲げ、世界中の科学者たちが日夜熾烈な競争を繰り広げており、小保方さんもその渦中にあったことだけは間違いないです。

今や世界の先進国で日本だけが、STAP細胞まがい物という、世論が形成されている稀有な国と言っても過言ではないと思います。

日夜熾烈な競争というと、化学や物理学等の他の分野もそうなのですが、それにしても、これらの学問の歴史は古いので現状ではある程度落ち着いたという感がありますが、生物学の分野は裾野も広く、ここ数十年で長足の発展をとげ、それこそ最先端の分野では、激烈な競争が繰り広げられています。

その激烈な競争の一端を知ることができるあのiPS細胞の生みの親である、山中教授の発言もあります。

京都大学の山中伸弥教授が応じた『週刊朝日』のインタビューでは、この構造が「仁義なき戦い」と形容され、山中氏自らこう語っています。

「簡単に言いますと、ヒトのiPS細胞は自分たちのほうが先に作っていたんや、とアメリカのベンチャー企業が主張しました。同社の特許の請求内容を見たら、京大が先に出願していた請求内容とほとんど違わない。もう完全に戦争するつもりできているわけですね」(『週刊朝日』、2014年11月7日号)
山中教授がiPS細胞を発表したほぼ同時期に、アメリカのベンチャー企業が、同じ内容の論文を発表しています。これはつまり、アメリカが京都大学のデータを盗んでいたということを意味します。この時に京都大学がとった措置は、アメリカで裁判を起こすと不利になるため、アメリカでの特許権を放棄する代わりに、アジア・ヨーロッパで認めてもらうように図らうことでした。

山中伸弥教授 iPS細胞の世界で熾烈な理研争いが・・・・
これと同じように、STAP細胞に関しては、最先端の熾烈な研究活動だけではなく、利権を巡る熾烈な戦いもすでに始まっていたということです。

おそらく、世界的な医療分野の巨大企業は、かなりの投資をして、この分野の利権を得ようと血眼になっています。

理研も当然そのことは、承知しており、その渦中に小保方さんのSTAP細胞の研究があったということです。

そうして、アメリカの巨大企業は、何が何でも、ありとあらゆる手段で、STAP細胞の利権の先陣争いに勝とうと画策しているのは間違いありません。
"
 それと理研のリスク管理体制がまったくなっていないことを示す内容を以下にコピペします。

これは、クライン孝子さんという現在ドイツ在住の方の発言です。

「理研の平成24年度の内訳には予算が844億円、正社員が3000人くらいいる、外部から出入りするのが3000人くらい。外人のところを見てぎょっとした。636人中、中国が141人、韓国が88人、東南アジアは131人、欧州は192人、北米が60名。3分の1が中国韓国」。

「いろんなところで開発しようとしている。日本はかなりいい線いっているところを、日本の開発を止めさせようとしているのは見え見えだね」。


「理研も外国人の研究員や教授を呼んで、中国と韓国人で3分の1を占めて、本当に丸裸にされてきた。それに気がついていない。今になってこういう問題が出てくるのは当たり前だし、上の方は責任逃れだし。どうにもならない」。
この発言からも、うかがえるように、理研のリスク管理体制は脆弱です。ES細胞混入に関しても、小保方さんのみが疑われているようでもありますし、小保方さんは、著書で若山氏が混入させたと主張しています。

しかし、これはいずれも違うかもしれません。それこそ、理研というか、日本は他国では当たり前のスパイ防止法すらない国ですから、海外のスパイの活動をなかなか阻止できないと思います。

このようなことを考えると、あのSTAP細胞騒動に関しては、あのような問題を起こさせてしまった要因が取り除かれてもいないし、これからもとり除かれることもないかもしれません。

なぜなら、マスコミはとにかく、問題をすべて小保方さんの倫理問題にすりかえて、この問題を報道するだけです。理研の対応もそれに終始しているように思えてなりません。

警察や司法は、犯人探しと、その物的証拠を探すことに集中するだけです。無論、警察や司法はそれが仕事ですから、それだけでも良いと思います。

しかし、マスコミや、それに特にマネジメントする側の、理研の管理者や、理研を統括する文部科学省がそうであってはならないはずです。

このブログでは、良くドラッカーのマネジメントの原則を掲載することがあります。その中で、意思決定の原則として、「誰が正しいか、誰が間違いかではなく、何が正しいか、何が間違いかで意思決定すべきこと、また最初から何が受け入れるかを考慮して意思決定をしてはならない」というものがあります。

その原則を掲載した、このブログの過去の記事のリンクを以下に掲載します。
民主など 首相の大阪でのテレビ出演に抗議―【私の論評】最初から誰が正しいか何が受け入れられるかで意思決定するな!すれば与野党ともドツポにはまる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただものとして、以下に意思決定の原則に関する部分をコピペします。

"

ドラッカー氏は、『経営者の条件』という書籍で以下のように述べています。
 意思決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。
これは、意思決定の過程においては、まずは「誰が正しくて、誰が間違いか」などという論議すべきではなく、あくまで「何が正しくて、何が間違いか」という議論をすべきであって、そうでなければ、全く不毛な論議となってしまい、まともな意思決定ができなくなってしまうということです。

いわゆる「安倍嫌い」は、最初から「誰が正しくて、誰が間違いか」という主張をしているに過ぎません。要するに、上のTweetで田中氏が述べているように、「自分と意見違うものはリンチという徹底した態度」ではまともな論議ができず、まともな意思決定もでなきないということてず。

そのためでしょうか、国会での最近の安保法制の議論など、全くまともな議論になっておらず、国民にとっても理解しがたいものになっています。

しかも、大方の政治家は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思うものです。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考えてしまいます。

妥協には昔から知られているように2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。

前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。しかし、半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

ラファエロ作『ソロモンの審判』
『ソロモンの審判とは、』旧約聖書に出てくる話であり、イスラエルの賢王ソロモンが、いかにも当時の絶対専制君主らしく、子を剣で半分に切って女二人で分けよと審判します。このような妥協ならしないほうがずっとましです。

民主党などの野党は、とにかく「安倍嫌い」の立場から、安倍総理の主張は全く間違いであり、自分たちが正しいものとして、物事を考えているようです。そうして、そのスタンスで安倍総理に対峙するものですから、とにかく憲法解釈の変更による集団的自衛権に関わる、安保法制は違法として、安倍総理に対峙しようとします。

そのため、全く話が噛み合いません。そうして、いずれ妥協の段階に入るとは思いますが、安倍総理の立場からすれば、民主党などの言うとおりに妥協してしまえば、まともな「戦争抑止法案」とはなりえず、それこそソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招いてしまい、とんでもないことになってしまうため、妥協はできません。そのため、無意味な審議は長引くばかりです。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れるとしています。
 "

理研のこの事件に関する、調査は本当にしっくりきません。何やら、責任はすべて小保方さんの倫理観にあるかのような調査結果の内容です。

要するに、理研も「誰が正しいか、誰が間違いか」という観点で調査を行うという過ちを犯しているのだと思います。

このような調査ですませていては、今回自殺者まで出してしまった、事件に関して、一時しのぎはできるかもしれませんが、小保方さんがES細胞を混入させたさせないという観点ではなく、どうしてES細胞が混入するような事態が生じてしまったかという観点で調査すべきです。

小保方さんや、若山さん、あるいは他の人が混入させたにしても、そもそも、なぜ混入などという不祥事が生じてしまったのか、その背景と、それを阻止するための方策にまで言及すべきです。

人間は不完全ですから、誰でも間違いや失敗をすることはあります。しかし、その後でそれを単に個人の倫理観に委ねていては、何も解決しません。単に「あいつが悪い」で終わってしまいます。

そうして、それを起こしてしまった、システムや背景など何も改善されません。マスコミはまるで、倫理判定装置のような見方で報道するのではなく、こうした観点から、報道すべきですし、理研の幹部や、文部省は、このような観点から調査をするのはもとより、その結果から、理研のシステムを変更するとか、危機管理システムを創設するか、内容を変更するなどの具体的な行動をして、このような事件を再発しないように、あるいは似たような事態が生じた場合には、早めにリスク管理行動を起こして、傷口が今回のように大きく広がることを阻止すべきです。

このようなことを実行しないということは、結局それこそソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招いてしまい、また似たような事件が発生し続け、とんでもないことになりかねません。

いずれにしても、今回の事件では「小保方が悪い」などという単純な倫理の問題にすり替えていては、何も進歩しないことだけは確かです。そのようなことは、小学生にだってできます。それに犯罪に関しては、司法に任せれば良いことです。

まともな大人であれば、「何が正しい、何が間違い」で判断し、そうして「最初から何が受け入れられやすいか」などという観点で意思決定をすべきではありません。

こんなことをしていては、「半分の赤ん坊は、いないより悪い」という結果を招くだけです、考えかたを根本的に変えて妥協するにしても「半切れのパンでも、ないよりはまし」というまともな妥協ができるようにすべきです。

結局この問題、まともな意思決定ができていないため、過度に小保方さんに責任をかぶせることで、「半分の赤ん坊は、いないより悪い」式の妥協になつてしまっているようで、非常に後味が悪いです。

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堀江貴文さん、笹井氏の自殺に一言 「あの袋叩き状態は経験してみないとわからない」―【私の論評】皆さん、マスコミの無軌道な報道にはほとほと嫌気がさすと思いませんか?スタンスを変えられないというのなら、この世から消えてくだされと願うのみ(゚д゚)!


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「小保方さんがかけたきた涙の電話  若山照彦」というタイトルの記事が掲載されています。

2016年2月22日月曜日

朝鮮学校の補助金中止通達へ 日本政府、北への新たな制裁措置―【私の論評】朝鮮半島は有事一歩手前、当然の措置(゚д゚)!


朝鮮総連中央本部千代田区)。朝鮮学校の教育内容、人事、財政に影響を持つ

 日本政府は、核実験や事実上の弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮への制裁措置として、新たに朝鮮学校に補助金を支出している地方自治体に対して、中止を求める通達を出す方向で検討に入っている。朝鮮学校と朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の関係はよく知られている。この問題に詳しい、自民党の長尾敬(たかし)衆院議員に聞いた。

 「政府は、北朝鮮への独自制裁措置を決定したが、朝鮮学校への補助金中止要請は含まれていなかった。朝鮮学校には問題が多い。地方自治体とはいえ、公的な補助金を投入すべきではない」

 長尾氏はこう語った。衆院・北朝鮮による拉致問題等に関する特別委員会のメンバーでもある。
長尾敬衆議院議員
 朝鮮学校は、在日朝鮮人の子女が通う学校。朝鮮総連の強い影響下にあるとされ、北朝鮮の指導者を礼賛する特異な教育が行われているという。2013年度で、都道府県からは計約1億7000万円、市町村からは計約1億8000万円、全国で計約3億5000万円が投入されている。

 このため、北朝鮮の暴挙を受けて17日に開かれた自民党の拉致問題対策本部の会合では、出席者から「地方自治体が朝鮮学校に支出している補助金の廃止を検討すべきだ」という意見が出た。

 長尾氏は「会合では、公安調査庁から初めて、『朝鮮総連には工作員などが(日本国内に)約7万人いる』という報告があった。私が『その中に朝鮮人学校の関係者が含まれているのか?』と質問すると、同庁は『その理解で結構です』とはっきり認めた」という。

 北朝鮮は12日、日本の独自制裁強化を受けて、拉致問題に関する特別調査委員会の解体を表明した。自国が国際社会の制止を無視して核実験やミサイル発射を強行しておきながら、国家が主導した残酷極まりない誘拐拉致事件の調査を止めるなど、日本国民として認められる話ではない。

 長尾氏は「朝鮮学校と朝鮮総連が“財務上の関係”にあることは、すでに警察庁も公安調査庁も国会答弁で認めている。自治体は『教育上の観点』から支出しているが、補助金を支出する必要はない。現在、文科省が補助金中止の通達を検討している。ぜひ、世論も後押ししてほしい」と語っている。 (ジャーナリスト・安積明子)

【私の論評】朝鮮半島は有事一歩手前、当然の措置(゚д゚)!

この措置当然といえば、当然です。いや、それどころか、そもそも今まで在日朝鮮人の子女が通う学校に補助金を出していたということ事態が異常です。

朝鮮人学校の概要を以下に掲載しておきます。
  • 在日朝鮮人に対して朝鮮語を用いた教育を行う民族学校(教育施設)。
  • 韓国系学校とは異なる(参照:韓国学校(wikipedia) )。
  • 校長人事などの運営および教育内容については、在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総連)中央本部および朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の支配政党である朝鮮労働党が決定している。
  • 北朝鮮は、朝鮮学校に教育援助費と奨学金を送っている。
  • 幼稚班・初級学校・中級学校・高級学校・大学校があり、教育課程は、日本の6・3・3・4制に合わせたもので、北朝鮮国内の学校制度とは異なる。
    これらの教育施設はすべて各種学校(学校教育に類する教育を行うもので、所定の要件を満たす教育施設)であり教育基本法6条・学校教育法1条に定める「法律に定める学校(1条校)」には該当しない。
海外にある日本人学校の場合、現地の政府から補助金を受けているというケースはまずはありません。そのような事例をご存知の方がいらっしゃれば教えていただきたいものです。

では、海外の日本人学校がどのように運営されているのか、特に金銭面ではどうなっているかといえば、主に現地の日系企業や日本人会からの寄付、保護者の負担、日本国政府からの補助等で成り立っています。

ただし、現地政府のはからいにより、賃貸料を安めにしてもらったり、一定程度の免税等、協力をしてもらっているケースもあらますが、それ以上のことはありません。そのような場合でも、現地人の雇用(事務、清掃、運転手、警備員等含め)という点で、ギブアンドテイクのことが多いです。現地採用者の減給や解雇が認められない等、条件付きの事も多いです。

海外における日本人学校が、日本の朝鮮人学校のように、地方自治体から直接補助金を受けているという事例はありません。

さらに、日本における朝鮮以外の外国の学校はどうなのかといえば、無論地方自治体から補助金を受けているという例はありません。

東京のインターナショナル・スクール
東京には、アメリカン・スクール、インド人のインターナショナルスクールもありますし、フランス語圏のリセ・フランコ・ジャポネ・ド・東京もあります。群馬県にはブラジル人のエスコーラ・パラレロもあります。横浜中華街には横浜中華学院もあります。

ところで、このらような外国人の学校の学費はどのくらいかというと、インターナショナルスクールによって違いがあるものの、一般的には特別な出費を除いた学費だけで年間200万円以上が目安と言われています。

日本には、朝鮮人以外の外国人も多数働いていて、日本人と同様、税金だって地方税だっ年金も長期滞在の人は、支払い義務を果たしています。しかし、朝鮮人の学校は、補助金が地方自治体から支給されていますが、それ以外の学校には支給されていません。

無論、外国人の子弟でも、当然のことながら、日本の普通の小中高校には入学できます。その場合は、日本人の子弟と学費その他は、全く同様です。

日本の高校に通う外国人の女子高生
朝鮮人学校だけが例外中の例外です。このような補助金は、本来あってはならないはずです。朝鮮人学校も当然のことながら、北朝鮮から補助金等で賄われるのが筋です。

北朝鮮の暴挙というと、最近の大陸間弾道弾の打ち上げや、核兵器開発などがクローズアップされがちですが、そんなことよりも何よりも、日本人多数を拉致したゴロつき国家です。

朝鮮人学校の各教室には、故金正日主席、現金正恩総書記の父・子の肖像画が掲げられ、主体思想が教えられていることも明らかです。北朝鮮では、金日成主席は「首領さま」、金正日総書記は「将軍さま」と呼ばれ、金正恩は「偉大なる指導者」などと呼ばれています。そうして、独裁者への個人崇拝教育が、日本国内でも行われています。

朝鮮人学校の教室 金正日と金正恩の写真が黒板の上に掲げられている
北朝鮮といえば、金正恩の所業も酷いものですが、その父親の金正日も、ラングーン爆弾テロ(1983年)や、乗客・乗員115人が犠牲になった大韓航空機爆破事件(1987年)を計画したとされ、日本人拉致事件にも直接深くかかわっている疑いが強いです。

横田めぐみさんは13歳を迎えた翌月に拉致されました
拉致されて、未だ日本に帰還できない日本人のことを考えると、国家テロを主導する独裁者を神聖視する教育は我が国の国民感情としてとうてい受け入れられないですし、地方自治体から直接補助金を支払うなどのことは、即刻永久に中止すべきです。

が朝鮮学校に支出している補助金の廃止は、永久中止の前段階として、実施すべきです。

それにしても、日本の野党は何を考えているのはわかりません。今の状況だと、解散総選挙すると、自民党は270~280議席程度を獲得できる見込みです。

その対抗策として、5野党(民主党、共産党、維新の党、社民党、生活の党)は党首会談で
1.安保法制の廃止と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回を共通の目標とする。
2.安倍政権打倒をめざす。
3.国政選挙で現与党及びその補完勢力を少数に追い込む。
4.国会における対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う。
を決めたそうです。結局のところ、安保法制しか共通点はありません。これでは野合です。このほかに、消費増税ストップくらいは出てくるでしょうがが、安倍政権も同じように対抗するはずで、野党は経済政策では全く対抗できません。

しかも、このブログでも最近何度か掲載したように、朝鮮半島は有事一歩手前の状況なのに、安保法制廃止とは冗談としか思えません。

野党は、朝鮮人学校についてどのように見ているのでしょうか。やはり、彼らは朝鮮人学校の補助金を切るなどということは、思いも浮かばないのでしょうか。

朝鮮人学校の補助金を切るなどと国会で与党が公表しようものなら、野党はやっぱり大反対で、「北朝鮮と戦争になる」などと意味不明のことを言い出し、またまた国会でまともな審議ができなくなるのでしょぅか。そんな野党からは、ますます国民の心が離れ、次の選挙で野党はとてつもない大敗を喫することになりそうです。

この異様なアンバランス何とかしてほしいものです。

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2016年2月21日日曜日

NHK日曜討論「徹底分析 日本経済のゆくえは」―【私の論評】いつも予想を外す酷すぎる分析をするエコノミストの提言は、完全無視せよ(゚д゚)!

NHK日曜討論「徹底分析 日本経済のゆくえは」

小幡績/慶應義塾大学准教授
高橋進/日本総合研究所理事長
中空麻奈/BNPパリバ証券投資調査本部長 
早川英男/富士通総研エグゼクティブ・フェロー



徹底分析 日本経済のゆくえは

きょうのテーマは日銀のマイナス金利などへの評価、日本経済の今後など。

“GDP伸び率マイナス” 景気の現状は

GDP伸び率が速報値で2期ぶりのマイナスに。個人消費の落ち込みが響き、背景には実施賃金の伸び悩みがある。日経平均株価は一時2万円の大台となったが、今年に入って下落傾向が続く。視聴者の声では、最近の株価・為替乱高下が異常なだけ、景気は上向きと感じるとの肯定的な意見、物価は上がっても給料がそのままとの否定的な意見が聞かれた。

日本のGDPの伸び率はマイナスになったが、今年は暖冬で個人消費が伸びなかったり中国経済の影響を受けていたりするためで日本経済は根本的に弱くなってはいないと高橋進がコメント。

小幡績、早川英男も同意し、長期に成長が0になることが問題、などと付け加えた。

一方中空麻奈は、この現状を無視するわけにはいかない、スローダウンは明らかにしているという認識は持つべきとコメント。個人消費の落ち込みについて早川英男が、春闘で賃上げが去年よりも高くなるかが注目と解説。

小幡績は、実質賃金を上げるためには個々の労働者がより効率的に働き経済に貢献することが必要とコメント。そしてそれには長期間かかるという。

高橋進は、企業がもっと人に投資し、また賃金を上げることが必要と話した。一方中空麻奈は、その前に企業が設備投資をもっと増やすべき、などと解説した。

アベノミクス3年 どうみるか

アベノミクスの政策として提示された「トリクルダウン」について聞く。

小幡績は、アベノミクスはただのイメージ戦略で中身は金融政策だけ、金融政策で国民感情は普通に戻ったがそれ以上の効果はないと答えた。高橋進は、閉塞感を変えただけでも大きな効果であると答えた。

早川英男は、日銀の物価上昇目標は達成されていない、GDP成長率はもっと成績が悪いと答えた。

中空麻奈は、「三本の矢」のうち成長戦略がないと言われるが成果が出るのが遅いだけである、国民に説明する努力が足りていないと答えた。中小企業への戦略が足りないとの意味かと聞かれると、それだけではなく政策が金融緩和に終始しているという根本的原因があると答えた。

アベノミクスへの批判について聞く。高橋進は、政府は説明努力をしていると答えた上で、効果が出るまで時間がかかるものもある、消費税引き上げの後遺症が長続きする・世界経済が不安に陥るなどの要因もあると答えた。

日銀の金融緩和策 “マイナス金利”は

これまでの日銀の金融政策についておさらい。「異次元緩和」では国債買い入れと資金の供給を続け、さらに「マイナス金利」導入で日銀への預金から個人・企業への融資への転換を促した。黒田総裁は実際に金利が低下したと強調した。

日銀のマイナス金利導入について聞く。

早川英男は、毎年一定額の国債買い入れには限界がある、マイナス金利導入で選択肢が広がったと答えた。

小幡績は、経済をデフレ化させる効果しかない、世界経済はドルが弱い時期にあり日本だけの政策では効果がないと答えた。

高橋進は、インフレ期待を高めるための政策の延長である、経済全体を揺るがすものではないと答えた。

中空麻奈は、金利が貨幣の価値を表すと考えるとマイナス金利は異常と思う、金融システムへの不安を生んでしまうと答えた。

早川英男は、経済不安には海外からくる要因が多く日銀の政策が原因というわけではない、マイナス金利を際限なく導入できるとする論者もいるがそれは難しいと答えた。

“マイナス金利” 暮らしへの影響は

日銀のマイナス金利導入について、視聴者の声を聞いた。住宅ローンの借り時はチャンスと思う、個人の生活への影響がわからないといった声が聞かれた。

中空麻奈は、金利はほぼゼロであり生活への影響はない、影響を受けるのは銀行であり今後大きな副作用が出るおそれがあると答えた。

小幡績は、銀行が国債の安定した収益を行うことから企業の貸し出しが減るなどの悪影響が生まれてくると答えた。

早川英男は、欧州ではマイナス1%以上の金利の国もある、個人の預金からも手数料を取っていると答えた。

高橋進は、銀行が国債や預け金で運用していることが問題、地銀などは早くから統廃合などの動きを始めていると答えた。

中空麻奈は地方銀行の動きについて聞かれ、地銀は貸し出し先を求めているが貸し先がないことに苦しんでいる、銀行に対する厳しい規制が原因でもあると答えた。小幡績も同意し、リーマンショックから規制や国債中心の運用などが生まれと紹介した。

日銀が目指す “2%の物価上昇目標”は

続いて、日銀の物価上昇目標について聞く。

早川英男は、市場には年2%の上昇目標達成を信じている人はいない、努力は続けていくべきと答えた。

高橋進は、目標は安定的な物価上昇の達成を目指すというメッセージである、現状はエネルギー価格の低下が影響しているなどと答えた。

中空麻奈は目標が達成不可能との意見に同意し、メッセージを発信することは達成しており目標を練り直すべきと答えた。

小幡績も同意し、日銀は金融市場の安定という本来の目的に立ち返るべきと批判した。続いて、日銀の物価上昇目標について聞く。早川英男は、サプライズ政策はよくないという意見には賛成する、目標が無理だとは思っておらずショック療法の効果を見極めながら政策を見直すべきと答えた。目標達成を先送りするのかとの問いには、期限を切ることには市場を刺激する意図があった、達成できなくなった時点で見直すべきと答えた。

ゆれる世界経済 現状・先行きは

IMFが今年の世界経済の見通しを公表。中国は減速、アメリカは成長率が高まるが最新のGDP値では勢いが鈍っている、原油価格が産油国などの成長の足かせとなると指摘している。

世界経済の先行きについて高橋進は、中国などの新興国に頼らず先進国が世界経済をどのように引っ張っていくかを議論する必要があるとコメント。

小幡績は、先進国は金融緩和をやり過ぎて効果が出なくなっていて、その金融緩和依存からどう抜け出すかがポイントと話し、

早川英男はそれに同意。

中空麻奈は、現状は続いてしまうため、ある程度低成長を受け入れその後金融機関への規制をもう一度見直す必要があると話し、小幡績が同意した。

高橋進が伊勢志摩サミットに向けた情報発信について聞かれ、市場の安定や経済の上昇を呼びかける、為替については各国に思惑があり連携は難しいなどと答えた。

中空麻奈は欧州の動きについて聞かれ、行き過ぎた金融緩和を止めることが必要と答えた。早川英男は原油安について聞かれ、恩恵やマイナス要因が強調され過ぎていると答えた。小幡績は、資源輸出国が弱っていることに着目すべきと答えた。

これからの日本 求められる政策は

最後に4人に日本経済への提言を聞く。

中空麻奈は、消費増税先送りは日本国債の格下げ・駆け込み需要の消滅から経済の停滞を招くので予定通り行うべきと答えた。

早川英男は、長期的な経済の実力を高めること、財政健全化を進めることが求められると答えた。

小幡績は、日銀が単独で金融市場を混乱させつつあると指摘し、時には政策をストップする決断も必要と答えた。

早川英男は、常に動けるカードを持っていくとの面でマイナス金利を評価したいと答えた。

高橋進は、市場を刺激するために機動的に動くことが必要、経済の地力をつけることも求められると答えた。

【私の論評】いつも予想を外す酷すぎる分析をするエコノミストの提言は、完全無視せよ(゚д゚)!


本日のNHK日曜討論の内容は、本当に酷いものでした。特にひどかったのは、昨年の10-12月期のGDPのマイナス成長に関して、討論参加者の誰からも、8%増税の悪影響をあげた人はいなかったということです。

もうこの時点で、この討論は奇妙奇天烈、摩訶不思議で、まともに聴いている価値はないと判断しましたが、それでも我慢して聴いていると、マイナス金利についてもなにやら筋違いの話ばかりしていました。

この討論を聴いていると、本当に脱力感を感じてしまいました。この人たちは全員見当違い、筋違いの話をしているとしか思えませんでした。

ここで討論している人たちは、経済分析や予想を大外ししている人たちばかりです。それに、8%増税の日本経済に与える影響は軽微と予測していました。こんな人たちが、偉そうに日本の実体経済を語る資格はないです。ツイッターのつぶやきをみていると、こう思うのは私だけではないことが良くわかります。以下にいくつかあげておきます。
さて、このブログでは、GDPマイナス成長は暖冬のせいではなく8%増税であるとの記事を掲載しました。その記事のURLを以下に掲載します。
GDPマイナス成長は暖冬のせいではない―【私の論評】増税派はどこまでも、8%増税が大失敗だったことを認めたくない(゚д゚)!
以下に天候不順は言い訳に過ぎないと片岡氏が述べている部分のみをコピペします。

"
天候不順は言い訳

 今回公表されたGDP統計では、家計消費の推移が自動車や家電製品といった耐久財、衣料品などの半耐久財、食品などの非耐久財、輸送・通信・介護・教育などを含むサービスといった4つの品目群(GDP統計では形態と言う)別にまとめられている。2015年7-9月期と比較しても、1年前の2014年10-12月期と比較しても、家計消費の落ち込みに最も大きく影響しているのは耐久財消費の落ち込みである。石原大臣の述べるとおり、家計消費の落ち込みの主因が冬物衣料品などが大きく落ち込んだことにあるのならば、その影響は半耐久財消費の大幅減という形で現れるはずだが、統計データを参照する限り、そうはなっていない。

思い起こせば、天候不順が消費低迷の主因であるという指摘は、2014年4月の消費税増税以降繰り返されてきた。確かに天候不順が消費を落ち込ませる可能性はゼロではない。しかし消費意欲が旺盛であれば、多少の天候不順でも、消費の落ち込みがこれほど長くかつ深刻な形で続くことはないだろう。GDP速報値の結果からは、2015年10-12月期の民間最終消費支出の値は304.5兆円だが、これは、消費税増税直後に大幅な落ち込みとなった2014年4-6月期の305.8兆円をも下回っているのである。これほどの大きな変動が天候不順で生じると考えられるのだろうか?

やや長い目で民間最終消費支出の推移をみれば、2002年から2012年までの10年間の民間最終消費支出は前期比0.2%程度のペースで緩やかに増加していたことがわかる。2013年に入るとこのペースがやや拡大したが、2014年4-6月期以降になると、民間最終消費は落ち込みが続き、2015年10-12月期の民間最終消費支出は、統計的に見て、前期比0.2%増のトレンドから有意に下ぶれしたと結論できる。つまり、統計的に「消費の底割れ」が生じたというのが今回の結果だということだ。

確かに昨年の暮れは気温が高かったが・・・・・・・
 こうした「民間最終消費支出の底割れ」の主因は、大幅な落ち込みが始まったのが2014年4月以降であることから考えても消費税増税の影響と言えるだろう。消費税増税は、駆け込み需要とその反動減、さらに消費税増税に伴う物価上昇率の高まりが実質所得を減らすことの二つを通じて経済に影響を及ぼす。

 「消費税増税の影響は一時的であって、増税から1年以上経っても影響があるとは考えられない」と考える読者の方は、(仮に消費税減税といった政策が行われない限り)消費税率8%の負担が永続的にかかり続けるという事実を忘れているのではないか。加えて、わが国の場合、2017年4月から10%への消費税再増税が予定されている。多少所得が増えたとしても、2017年4月に増税が予定されているのだから、家計の財布の紐が緩まないのは当然とも言えるだろう。
"

この記事は、菱UFJリサーチ&コンサルティング、経済・社会政策部主任研究員である、
片岡剛士氏の記事を元記事として、私の論評を加えた記事です。そうして、私は片岡氏の論評は正しいものとして、論評しています。

なぜなら、上の記事の日曜討論に出てきた人たちとは異なり、片岡氏の経済予測はいつも大体あたっていることが多いし、そんなことは度外視してもいつも経済統計のデータなどと比較しても、特に乖離するようなことを話しているからです。

これに関しては、元大蔵官僚であった、高橋洋一氏も同じようなことを語っています。その記事のURLを以下に掲載します。
長引いた“増税の悪影響” 早ければ4月に財政出動 GDPマイナス成長
高橋洋一氏
 昨年10~12月期の国内総生産(GDP)がマイナス成長となった。石原伸晃経済財政・再生相は「記録的な暖冬により冬物衣料品などが大きく落ち込んだ」として、個人消費が減少したことが主因であると説明したが、そうだろうか。 
 家計消費は、自動車などの耐久財と、衣類などの半耐久財、食品などの非耐久財、教育などのサービスに分けられる。このうち大きく減少したのが耐久財というデータからみると、石原氏の説明は説得的だとはいえない。なお、住宅投資も減少しているが、これも暖冬の影響なのだろうか。 
 天候要因が消費に悪影響を与えることは否定できないが、暖冬の場合、冬物衣料品が落ち込んでも、暖房費が節約されて、ほかの支出が増えたりすることもあり、消費全体には大きな影響を及ぼさないこともしばしばある。 
 2014年4月に消費税率を8%に引き上げて以降、消費の低迷の要因として天候が挙げられることが多いが、その説明には無理があり、今回もやはりこじつけという印象だ。消費動向は同年4月以降、悪くなっている。消費増税の影響について筆者は少なくとも2年は継続すると予想していたが、やはり悪影響を引きずっているという印象である。 
 なぜ、政府は、消費増税の悪影響を認めないのだろうか。1月21日に公表された中長期の経済財政に関する試算においても、17年4月からの10%への消費再増税の影響は軽微であるとみている。 
 8%に増税された14年4月より前に公表された試算でも、同様に消費増税の影響は軽微というものだった。ところが、実際にふたを開けてみると、14年度の経済成長率は、大きく低下した。
片岡氏も高橋氏もほぼ同じことを語っています。そうして、私もこれが正しいものと考えます。なぜなら、私自身が調べた統計資料の分析からも、論評以外には正しいとは考えられないからです。さらに、このお二方は、両方ともデータに基づき実体経済を分析しているからです。 さらには、その分析は概ね正しかったことが後から実証できているからです。

マイナス金利に関しても、この番組の内容は酷すぎです。

マイナス金利に関しては、最近気づいたのですが、批判する人々の多くが、これをあまりにも事大主義的に捉えすぎています。特に、銀行などの金融機関を擁護するかのような発言ばかりです。

以下に、日銀の当座預金の取引相手の2016年2月1日一覧表のURLを掲載しておきます。
当座預金取引の相手方一覧(2016年1月末・金融機関等コード順)
以下に、金融機関分類ごとの取引先相手数と、その合計を掲載します。
<銀行 126><信託銀行 15><信用金庫 257><協同組織金融機関の中央機関 4><金融商品取引業者(外国法人である金融商品取引業者を除く) 31><外国法人である金融商品取引業者 4><証券金融会社 2>
<短資会社 3><資金清算機関 1><銀行協会 33><その他 6>
<合計 535> 
金融商品取引業者とは、平たくいえば、証券会社のことです。

これを見ただけでも、なぜ日銀のマイナス金利に関して、「劇薬」などと批評するようなアナリストが多いか多少類推ができます。

銀行、証券会社などの金融機関の多くは、日銀の当座預金を利用しています。日銀がこの当座預金にマイナス金利を適用すれば、金融機関はそれまで、日銀にお金を当座預金として預けてさえおけば、金利を得られたわけです。しかし、それが今度は、逆に手数料を払わなければならないということで、日銀に預けっぱなししてはおけず、どこかに融資しなければ金利をもらえるどころか、マイナスになります。

これは、金融機関にとっては、それまではぬるま湯のようなもので、何も仕事をしなくても、日銀に大量の当座預金をしておけば、濡れ手に粟でお金が儲けられたわけです。

しかし、金融機関ではない一般企業は、そもそも日銀とは取引できないですし、銀行に当座預金をしても元々利子などつきません。しかし、なぜか金融機関だけが、日銀に当座預金をすると、利子がつくようになってしまいました。そうしてこれは、日銀がまだ白河体制だった2008年からはじまったことで、それまでは利子などつきませんでした。

そうして、このリストを良くご覧になってください。金融機関とはいっても、銀行や証券会社は取引先になっていますが、同じ金融機関とはいっても、保険会社は含まれていません。

そうして、「劇薬」「毒薬」などと物騒な言葉を遣ったりして、「マイナス金利」に対して批判的な論評をするアナリストは、銀行や証券会社に属しているか、かつて属していたことのある人がほとんどです。しかし、保険会社にもいわゆるアナリストがいますが、保険会社に属してるアナリスやかつて属してしたアナリストが「マイナス金利」に関して猛烈に批判しているのは聴いたことがありません。

日銀は、金融機関をしばいて、日銀に積み立てあるお金を金融機関が、企業や個人などに貸し出すようにせざるを得ないように、しただけです。今までが楽をしすぎていたので、金融機関としてまともに仕事をしろと、しばいただけです。

しかも、今回の措置は当座預金のすべにて対するものではなく、一部にすぎません。

このへんの事情については、やはり高橋洋一が詳細を論評しています。その記事のURLを以下に掲載します。
マイナス金利に文句言うのは 銀行の関係者だけだ―【私の論評】ドイツ銀行の不振まで、マイナス金利のせいにしてしまう浅ましさ(゚д゚)!
日銀決定の影響は
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、ここでは説明は省かせていただきます。

NHKの今回の日曜討論は、参加メンバーが、ことごとく経済予測を外してばかりの人々であり、国民のことなどそっちのけで、財務省の立場を擁護したり、出身金融機関の立場にたって、討論するようなことでは、NHKが報道する内容としては全くふさわしくものでははなく、非常に問題です。

このようなメンバーには討論させないか、あるいは一部のメンバーをまともなアナリストに変えて、討論をさせるべきでした。

この番組、ある程度経済がわかっている人にとっては、とんでもない内容だし、経済疎い人にとっても、はっきりいえば、何を話しているのか非常に理解しにくく、消化不良をおこしたような後味の悪い番組だったと思います。

こういう酷い番組は、なくしていくべきです。そうでないと、一般国民がますます消化不良を起こして、日本経済に関する正しい認識を持つことの妨げになるだけです。

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【関連図書】

以下に、本日のNHK日曜討論の内容が以下に酷いものか、実感していただける書籍を三冊選定させていただきました。

片岡氏の書籍は、2014年のものであり、若干古いのですが、なぜ日本経済が浮上しないのか、この時点ではっきりと言い当てています。

高橋氏の、『数字・データ・統計的に正しい日本の針路』は、単なる憶測や思い込みではなく、数字・データに基づき、統計的にみても正しい日本の進路を提案しています。さらに、『戦後経済史は嘘ばかり』は、終戦直後から現在に至るまで、世間において経済に関して当然のこととされていることが、ことごとく間違っていたことを実証しています。

その典型例は、バブルは狂乱物価によるものというものです。バブルの頃は、土地や株など確かに値上がりしていましたが、一般物価はそうでもありませんでした。にもかかわらず、当時の日銀は金融引き締め政策をとり、それがその後の長期デフレの端緒となりました。その他にも、当然と思われていることで、完璧な誤りがいくつもあります。これをはじめて知った方は、驚愕されることでしょう。

日本経済はなぜ浮上しないのか アベノミクス第2ステージへの論点
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2016年2月20日土曜日

英離脱防止のEU改革案 全会一致で合意―【私の論評】人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した移民大国日本にもう移民は必要ない(゚д゚)!



EU=ヨーロッパ連合の首脳会議は、イギリスのEUからの離脱を防ぐための鍵を握るEUの改革案について全会一致で合意し、これを受けてイギリスのキャメロン首相は離脱の賛否を問う国民投票をことし6月にも実施する方針です。

イギリスではEUの規制や政策に対する国民の不満が高まっていて、キャメロン首相はEUの改革について各国の合意を取りつけたうえで、離脱の賛否を問う国民投票を行う方針を示してきました。

この改革案を巡って、ベルギーのブリュッセルでEUの首脳会議が開かれてきましたが19日夜、各国は全会一致で採択しました。

これを受けてイギリスは、ポーランドなどから来る移民を抑える対策として、移民に給付する社会保障費を制限できることや、ほかの19の加盟国が参加するユーロ圏の規制やルールに強制されないこと、それにEUが進める政治や経済の統合政策の対象にはならないという特別な地位をもつことが認められました。

会議の後、EUのトゥスク大統領は、「イギリスがEUにとどまるようすべての国が譲歩し、連帯を示した」と述べて、合意の意義を強調しました。

キャメロン首相は20日、緊急の閣議を招集し、ことし6月にも国民投票を実施する方針を決める見通しです。ただ、イギリスではEU離脱か残留かで世論がきっ抗していて、キャメロン首相にとっては改革の内容を強調して残留に導けるかどうかが大きな課題となります。

英首相「EUにとどまるべき」

EUの首脳会議で各国がEUの改革案について全会一致で合意したことについて、キャメロン首相は記者会見で、「国をいかに強く、安全で豊かにするかについてずっと考えてきた。合意を得たいまとなっては改革後のEUにとどまることがその答えだ」と述べて評価しました。

そのうえでキャメロン首相は国民投票について、「わが国の将来を決めるまたとない重要な機会になるだろう。イギリス国民に対しては改革後のEUにとどまるべきだと、全身全霊で説得する」と述べ、イギリスはEUに残留すべきだという考えを国民に訴えていく姿勢を強調しました。

【私の論評】人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した移民大国日本にもう移民は必要ない(゚д゚)!

上の記事、ANNの動画も公表されていますので、その動画を以下に掲載します。


イギリスでの移民に対する風当たりは相当強くなっているようです。

ここ数年、イギリス国民は、一部の政治家からこのような寛大な言葉を聞かされてきました。「移民について懸念するのは、決して人種差別なんかではないですよ」。

こんな「お許し」が出たのは、大きな変化でした。過去10年以上にわたり、多くのイギリス人が移民の大量流入に懸念をおぼえながらも、そんな心配を口にしようものなら非難されてきたのですから。

イギリス政治に関心のある人なら、2010年の総選挙でのあの出来事を覚えているかもしれません。当時のゴードン・ブラウン首相が遊説中、テレビカメラの前である熱心な労働党支持者の女性から移民問題についての質問を受けたときのことでした。

車に戻ったブラウンは、マイクが付きっぱなしになっていることに気付かず「偏狭な差別女め」と激怒。この女性との対面を準備した選挙スタッフにも当たり散らしました。熱心な支持者との間で起こった価値観の不一致にさらされ、怒りがわいてきたというわけでした。

その折の動画を以下に掲載します。

総選挙を1週間後に控えた英国で2010年4月28日、イングランド北西部ロッチデール(Rochd­ale)を遊説していたゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相は、有権者の女性のことを「頑固な女だ」と言った声をマイクに拾わ­れてしまい、女性に直接謝罪した。厳しい戦いの中、首相には大きな痛手となりました。

そうして、選挙で労働党は大敗して、政権交代により、保守党が政権与党となったのは、イギリスの政治に関心のある方ならご存知のことでしょう。


移民は大きな問題ですが、つい数年前までは話すこともままならない事実上のタブーでした。移民政策を問題視すれば人種差別主義者と呼ばれ、こう呼ばれると、社会的に抹殺され、政治キャリアもおしまいになりました。

イギリスは50年代から移民を受け入れてきましたが、90年代後半からはその量も性質も様変わりしました。

移民には総じて経済的メリットがあるという事実は広く知られています。移民は働いて税金を払うし、高齢化するイギリス社会の年金制度を支えてくれることにもなります。移民はイギリス人より低賃金で働いてくれるので、物価も抑えられます。例えば、農産物を収穫するのは主に移民労働者です。移民に利点があることに異論はありません。

とはいえ、長年語られずにきたデメリットも存在します。そうして移民のデメリットの影響を受けるのは、ほとんどがいわゆる低階層の人々です。まず、低賃金労働者が大量に供給されると、イギリス人の労働者階級は自分も低賃金で働くことを受け入れるか、失業するしかなくなってしまいます。しかし、移民の多くは、最低賃金でも母国の賃金に比べればずっと高いので満足です。微々たる貯金も、母国の家族に送れば大金になります。

移民はさまざまな側面で負担になっています。中期的にはもちろんのこと、長期的にもそうなるかもしれません。イギリスの住宅問題は慢性化し、需要に供給がまったく追い付かいていません。新築住宅の不足と小規模な世帯の増加が大きな原因ですが、突然の大規模な人口増加が明らかに拍車を掛けています。国民保険サービス(NHS)が破たん寸前なのも、イギリス人よりも子だくさんな移民がイギリスの国営医療制度をすぐに無料で利用できる、ということが少なからず影響していることでしょう。

NHS改革を主張するキャメロン首相

しかし、移民の大量流入は、選挙の際のマニフェストにも記されず、イギリス国民のコンセンサスすら得ないないまま進められ、今や廃止もできなければ制限も難しい政策になってしまいました。ブレアとブラウンの労働党政権下で移民は野放し状態でした。イギリス内務省は合法的な移民の数も不法移民の数も、滞在者数も把握していないことを事実上認めています。

アイルランドや旧植民地などイギリス旅券を所持する人々だけでなく、ソマリアやアフガニスタンの亡命者らイギリスと何ら歴史的・文化的つながりのない国からも移民を受け入れてきました。ビザのシステムも、大規模に悪用されています。偽装結婚もあれば、学校に通いもしない人々が「学生ビザ」で入国する場合もあります。

膨大な数が流入しているのは、中東欧からの移民です。ポーランドやルーマニアなどの中東欧の国々がEUに加盟したことによって、こうした国の人々がイギリスに入国して働き、育児給付や無償教育といったイギリスの社会福祉を受ける自由が保障されたからです。

最近では、労働者階級より上の階層も移民のマイナス面を感じ始めているようです。中産階級の若者(35歳未満)の多くはかつては当然の権利と思われていたロンドンの住宅を買うことができなくなっています。貧しい移民が多くの公営住宅や安い賃貸住宅を占拠する一方で裕福な駐在外国人はロンドンの不動産を投資対象として買い占め、肝心のロンドン市民が締め出されているのです。

ロンドンの住宅事情は劣悪 これが2013年当時の家賃3万円の部屋 ある日本人の留学生の部屋
ロンドンの公立学校では、さまざまな国から来た移民の子供たちで教室はあふれかえっています。移民の子どもたちは、イギリスに来てまだ日が浅く、英語が母国語ではない子が多いので、1、2年生のクラスは英語を教えることだけで精一杯という状況です。そのため、多くの地元の子どもたちの親は、大金を掛けて子どもたちを私立学校に通わせることを余儀なくされていまする

長年のあいだ、文化摩擦に苦しんできたのは貧しい地域の人々でした。高齢のイギリス人の団地住民は、次第にサリーやブルカ姿の女性に圧倒されていきました。それが今では移民の規模はこうした地域を超えて拡大する一方で、小さな町や村では新入りの移民が曜日構わずごみを捨てたり、ポーランド人の若者が夏に毎日、庭先で母国語でラップをがなりたてていたりします。

ロンドン市内のブルカ姿の女性
今になって移民を疑問視してもいいという政治家が出てきたのはなぜでしょうか。彼らがたいして気にかけていない「一般大衆」だけでなく、政治家と付き合いのあるそれなりの階層の人々にまで、移民問題が影響を与えるようになったからです。

さて、この移民の問題日本にとっても、対岸の火事ではありません。事実、2014年 2月24日の政府の経済財政諮問会議の専門調査会「『選択する未来』委員会」。内閣府が用意したペーパーには、大量に受け入れた場合の将来人口見通しがしたためられていいました。

その内閣府の試算がどんな内容だったかを、ご紹介します。これは、2015年から毎年20万人ずつ受け入れ、2030年以降には合計特殊出生率が「2・07」に回復していることを前提としています。かなり高めの設定ですが、この2条件を達成すれば、日本の総人口は2060年に1億989万人、2110年には1億1404万人となり、ほぼ1億1千万人水準を維持できるというシナリオです。

しかし、試算通り1億1千万人規模の総人口を維持できたとして、2060年時点でどういうことになるかといえば、10人に1人、2110年には約5人に1人が移民という計算になります。2012年末現在の在留外国人数は203万人余で、総人口の1・59%に過ぎません。「2千万人」というのが、いかにインパクトある数字かお分かり頂けるでしょう。

推進派の言い分の多くは、「労働力人口が減少すれば経済成長しない。日本経済を縮小させないためには、外国人で穴埋めせざるを得ない」との理屈です。

しかし、人口減少が日本社会や経済にとってマイナスばかりで、何も良いことはないというのは本当でしょうか。そもそも、人口動態は経済成長を左右する絶対的な条件ではありません。その証拠に、高度経済成長期の労働力人口は年に1%程度しか伸びていません。

世の中には、全くマクロ経済を理解しない人いて、デフレは人口減少が原因という馬鹿な節を唱える愚か者がいます。しかし、日本より人口が少ない国々、日本と同じように人口が減少している国々でもデフレでない国々がほとんどです。また、そのような国でも、一人あたりのGDPが日本よりも高い豊か国々もあります。

さらに、日本が大東亜戦争をしていた頃の人口は、当時の政府の「一億火の玉」などのキャッチフレーズで、漠然と1億人を超えていると思い込んでいる人も多いようですが、実際には8000万人を切っていました。

以下に「出せ一億火の玉」という当時のプロパガンダ用の歌の動画を掲載します。画像として、当時の写真も掲載されています。



何やら、当時は以下のようなポスターもあったようです。


現在だと問題になりそうですが、当時は特に夏の暑い時期に少女が上半身裸で農作業をしている風景は珍しくもなかったのだと思います。何ともおおらかな時代でもあったようです。

以下に大東亜戦争中の人口の実数を掲載します。

総理府統計局編「日本統計年鑑」での統計では以下の通りです。
1941年(昭和16)72、218千人
1942年(昭和17)72、880千人
1943年(昭和18)73、903千人
1944年(昭和19)74,433千人
1945年(昭和20)72、147千人
この人口で、あの広い戦線に兵士を送り込み、大戦争をしていたというのですから驚きです。1945年当時と現在を比較すると、3000万人も人口が少なかったということです。そうして、ご存知のように、市町村合併は戦後に行われるようになりましたから、この当時は今からすると想像もできないような、小さな村や、部落が多く存在していて、それが成り立っていたということです。

何やら、現在では、地方の人口が減ってどんどん疲弊していくようなことばかり言われていますが、3000万人も人口が少なくとも、あれだけの軍備をして、兵士を外地におくりだすだけの力があったし、現在では限界集落と呼ばれるような集落でも、成り立ってたということです。

そうして、このブログでは以前、大東亜戦争後の日本のスタートは決してゼロからのものではないことを掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【堀江貴文氏ブログより】私がSEALDsをdisる理由―【私の論評】ホリエモンも瀬戸内寂聴も見えない、安保の当たり前のど真ん中(゚д゚)!
詳細は、この記事をごらんいただくものとして、以下に大東亜戦争後の日本のスタートは多くの人が漠然と思っている焼け野が原の「ゼロからのスタート」では決してなかったことの説明の部分を掲載します。

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経済合理性だけを見るというのなら、人間の複雑な面を見失ってしまいます。経済学の大家ドラッカー氏は、経済統計だけをみたとしてら、後世の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことなど、気づかないだろうとしています。




確かに、第二次世界大戦は世界中に大惨禍をもたらし、大勢の人が亡くなり、社会が混乱しましたが、経済統計だけを見ているとそうではないというのです。

これは、にわかには信じがたいことですが、第二次世界大戦で敗北した、ドイツや日本でも、確かに戦争の惨禍で、とんでもない状況にはなりましたし、物資も不足はしましたが、それでも、戦争中には普段よりもかなり多く、兵器を製造したり、軍隊にそれを支給したりして、大きな経済活動が営まれました。

さらに、日本を例をとり、後世の歴史家が経済指標だけ見ていたら、大東亜戦争があったことなど気づかないかもしれないことを実証してみせようと思います。

以下は、最近読んだ古谷経衡氏の『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』という書籍に掲載されていた、統計資料です。

クリックすると拡大します

この統計資料に関して、古谷氏は、以下のような説明をしています。
 これを見ると、日本は先の大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになるが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれであった。 
 簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすい。 
 よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのだ。 
 1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。
終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、日本も経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。

そうはいいながら、大東亜戦争は、日本の社会に経済とは別に深刻な悪い影響を及ぼしたことは明らかです。誰も、このような戦争を二度と味わいたくはないと思ったことでしょう。
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戦争で、広島・長崎は原爆で破壊しつくされ、東京・大阪などの大都市だけに及ばず、地方の中核都市までことごとく爆撃で破壊された日本であっても、このように地方には国富が残っており、日本はアジアの中ではトップクラスの国富からスタートすることができたのです。

これを考えると、たとえ今の日本の人口がかなり減ったとしても、とんでもないことになるなどとは、にわかには信じがたいこどです。


それに、戦後においても、労働力人口が増えたから高度経済成長が可能だったわけではなく、機械化や生産要素の増加のみでは説明し切れない技術進歩などが寄与した結果によるものです。

それに、現在農林水産業に従事する人は、日本ではほんの数%に過ぎません。鉱工業などの第二次産業に携わる人々も、20%台に過ぎません。食べ物をつくったり、モノを製造したり運んだりする人の数はこのくらで間に合うのです。

だとすれば、人口の増減とは関係なく、無論今の日本人が戦中・戦前のような生活はできはしませんが、それでもイノベーション(技術革新)によって今後も経済成長は達成可能ということです。いままでのやり方では難しいかもしれませんが、それでもやりようは十分にあると考えられます。

さらに、ポジティブな見方をすれば、高齢社会を迎える日本は経済成長のチャンスがいくらでも転がっています。医療や介護はもちろん、住宅から乗り物、市街地の在り方に至るまで、すべてを高齢者にとって使い勝手のよいものに作り替えていかなければならないのです。この市場はとてつもない規模になることが考えられます。

それに、少子化に歯止めがかかれば、将来の人口予測は全く異なるものとなるでしょう。当面避けられない労働力人口の減少には、女性や高齢者の力を引き出すほうが先決でしょう。

総務省の労働力調査の基本集計(2014年2月速報)によれば、生産年齢人口(15~64歳)の女性は3889万人です。このうち就業者は2439万人で62・7%に過ぎません。

日本の女性や高齢者は高い教育水準にあります。言葉や文化の壁もありません。外国人を受け入れるよりもはるかにコストもトラブルも少なくて済むはずです。移民受け入れに先走るのではなく、こうした方策についても検討するのが筋というものです。

とはいいながら、労働人口の減少は避けられない現実でもあり、特に外国人との付き合い方に正面から向き合わなければならないときは来るかもしれません。

しかし、だからといって大量の移民を受け入れるかどうかという選択を、現在に生きるわれわれの利益や見込みだけで判断して良いはずがありません。

後世の日本人に顔向けできる「日本」をいかに残すのか。戦略もなく易きに走れば、国を大きく誤ります。そのことを上記のイギリスの例や、最近のEUが示していると思います。

それと、移民問題は対岸の火事ではないということには、もう一つの根拠があります。

国連人口部の定義では、移民とは「市民権(つまり国民としての主権)のある母国から1年以上離れて外国に暮らしている人」を指し、一般的には留学生や技能実習生はもちろん、特別永住者なんか言うに及ばず、1年以上の正規滞在者や不法滞在者、さらに帰化した初代も「移民」と定義づけられています。

日本にはすでに大東亜戦争以前から滞在している朝鮮人を中心とした移民が存在していて、朝鮮動乱では済州島から難民が来て定着、さらに国際化する過程で多数の移民が定着して政治活動まで発展しており、現在も難民対策の抜け道が放置されている、移民大国です。

以上のようなことを考えると、人口7千万人台で都市部が焼け野が原でも高度成長した日本は、すでに大量の移民を受け入れており、このうえさらに移民を受け入れる必要性など全くないと思います。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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