2017年4月27日木曜日

【共産党研究】民進党と明暗分けた森友問題、支持率わずか1・7%差に 選挙に結びつかない疑惑、スキャンダル追及―【私の論評】頭の悪い新聞と民進党はなぜ無間地獄に陥った?

【共産党研究】民進党と明暗分けた森友問題、支持率わずか1・7%差に 選挙に結びつかない疑惑、スキャンダル追及

学校法人「森友学園」の小学校建設用地。校舎を残して売却を検討中だ=大阪府豊中市
 産経新聞とFNNが15、16日に行った世論調査が興味深い。政党支持率の前月比で、民進党が1・8ポイント減の6・6%と、昨年3月の結党以来最低だったのに対し、共産党は1・1%増の4・9%になっている。両党の支持率の差は、わずか1・7%でしかない。

 この結果について、産経新聞は、これを従来の支持層であった無党派層が戻っておらず、一部は共産党に流れていると分析している。

写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 学校法人「森友学園」問題の追及で、共産党が大いに目立ったことは間違いない。本来、入手しがたい資料を次々と暴露した。鴻池祥肇(こうのいけ・よしただ)参院議員事務所の「陳情整理報告書」や、籠池(かごいけ)泰典・森友学園理事長(当時)が首相夫人付政府職員にあてた手紙などが、それである。

 イラだった麻生太郎副総理兼財務相が、共産党議員の追及に対し、「偉そうに人指さして…」と答弁して物議を醸したものである。他方、民進党はこうした資料をほとんど入手できなかった。

 ここに共産党と民進党の差がある。

 共産党の場合、こうした問題が発生すると、議員と秘書、「赤旗」記者などを集めてプロジェクトチームを結成し、チームで調査し、情報を一元化する。チームとして追及する材料、テーマなども決める。民進党が衆院厚労委員会で、介護保険改正案の審議中に森友問題を取り上げ、与党の採決を誘発したが、こんな愚かなことはやらない。

 ただはっきり言うが、こうした疑惑やスキャンダルの追及は、実は選挙には結びつかない。かつて「首相の犯罪」と言われ、田中角栄元首相が逮捕されたロッキード事件があった。当時、私は秘書として、この追及のためのプロジェクトチームに加わっていたが、訪米調査など間違いなく共産党の追及が群を抜いていた。

 だが、次の衆院選では惨敗を喫した。有権者は、ロッキード事件に高い関心を持っていたが、同時に自分の生活とは直結しない問題だったからだ。

 今回の世論調査で、安倍内閣の支持率は1・9%増えている。自民党の支持率は4・5%も増えている。共産党の支持率の増加は、民進党が減った分の一部だということに過ぎない。

 確かに、8億円もの値引きで国有地が売却されたことに、国民が憤ったことは間違いない。だが、その売却額で国が買い取ることに決まった。森友学園そのものも民事再生法を申請するまでになっている。国会での追及も、もはや収束の時期を迎えている。森友問題の追及が売り物だからといって、いつまでも拘泥していると足元をすくわれることになると警告したい。

■筆坂秀世(ふでさか・ひでよ)1948年、兵庫県生まれ。高校卒業後、三和銀行に入行。18歳で日本共産党に入党。25歳で銀行を退職し、専従活動家となる。議員秘書を経て、1995年に参院議員に初当選。共産党のナンバー4の政策委員長を務める。2003年に議員辞職し、05年に離党。評論・言論活動に入る。著書に『日本共産党と中韓』(ワニブックスPLUS新書)、『野党という病い』(イースト新書)など。

筆坂秀世氏

【私の論評】頭の悪い新聞と民進党はなぜ無間地獄に陥った?

森友問題の本質を整理すると、「①森友の前の豊中市への売却時にゴミ問題発覚した、②それを言わずに近畿財務局が森友と交渉、③その結果近畿財務局の値引き」というところです。

以下は、憶測ですが、②の時点で、ゴミが埋められていることを知った篭池氏は烈火のごとく怒って近畿財務局と交渉したことでしょう。これは完璧に近畿財務局の事務ミスであり、その後篭池氏に対しては頭の上がらない状態になったはずです。これで、篭池氏の一見不可解な行動は、大方説明がつきます。

ところが、朝日新聞は③近畿財務局の値引きと④昭恵夫人の関与というストーリーを報道するのみで、①と②はマスコミなら知っているはずなのに朝日新聞は報道しません。朝日はなぜ書かないのでしょうか。このことからも朝日新聞は、フェイクニュース機関です。

これは、調べれば誰でも理解できることであるはずです。このような情報を知っていれば、そもそも森友問題は昭恵夫人や政治家が関与したということもなく、単なる近畿財務局の事務ミスであり、これを追求しても他には何も出てこないことなどすぐに理解できたことでしょう。

上記①②③は明らかなため、大方のメディアはある時点から、森友学園の報道はやめました。それ変わって、現在は緊迫する北朝鮮状況の報道などが目立ちます。

これは当然といえば、当然です。民進党と共産党などの野党は、この問題の火付け役となりましたが、国会で問題にするくらいなら、上記に掲載した①、②、③くらいは予め良く調べてからにすべきだったでしょう。

そのため、全く決め手になるような内容は結局何も出てこず、まるで都市伝説のような展開になってしまいました。

当初は政府、複数官庁、大阪府、民間委員らがみんな森友学園のいいなりになっているかのような森友学園最強伝説のような話になり、その後は、第三者が忖度してるかどうかわかってしまう能力のある安倍首相エスパー伝説のような話になってしまいました。

結局都市伝説を立証しようとして、野党は国会で無駄な時間を延々と続けたということです。その中で、共産党は入手し難い資料などを提出しある程度アビールはできたものの、民進党はそのようなことはなく、都市伝説をもとに質問したり、糾弾するばかりで、何のアピールにもなっていませんでした。

そのような中で、民進党の蓮舫代表は定例記者会見で自民・二階俊博幹事長の今村雅弘前復興相の辞任に関する恨み節発言を批判していました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【復興相辞任】民進・蓮舫代表「メディアが忖度すると思っているなら大きな間違い」 自民・二階俊博幹事長の恨み節を批判
記者会見する民進党の蓮舫代表=27日午後、東京・永田町の民進党本部
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用させていただきます。
 「昨日、自民党の二階幹事長が、お辞めになられた今村大臣よりも報道するメディアに非があるというような、ちょっと驚く発言をされていた。またあわせて経済産業相主導で経産省がマスコミ規制を強めているという事例、実態もあるので、こうした政府・与党の姿勢そのものが報道の自由度ランキングにも影響が出ているのではないかと危惧をしているし懸念をしている」 
 --二階氏の発言に対する受け止めは。また、党として二階氏に対し何らかの対応をするか 
 「発言そのものはある意味、メディアが報道していることが大臣のクビにもつながったというお怒りもお持ちだったかもしれないけれども、いずれにしても今村大臣が、なぜ国民が怒りを持っているのか、被災地の方たちが本当につらいお気持ちで静かな怒りを感じておられるのかを理解されていないのは、大きな大きな巨大与党の幹事長として私は非常に残念な思いで見ていた。あるいは大きな巨大与党の幹事長であれば、そうした言葉をすればメディアが忖度するとでも思っておられるとしたら、それは大きな間違いであると思っている」
この発言を見ていると、蓮舫代表は本当に目の前のこと、せいぜい数ヶ月のことでしか発言していないことが良くわかります。代表がこの有様なのですから、他の議員はどうなのかは推して図るべきです。

今村雅弘前復興相の辞任に関しては、昨日このブログでもとりあげました。その記事のリンクを掲載します。
【復興相辞任】「#東北でよかった」 失言逆手…自慢ハッシュタグに共感広がる―【私の論評】今村が「身の丈知らず」の愚か者に成り果てた理由(゚д゚)!
今村雅弘
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、私自身は今村雅弘氏自身については憤りを感じましたし、これをかばう二階氏の発言もいかがなものかと思いました。以下に一部を引用します。
そもそも、造反議員を復党させたのは、選挙対策でした。そうして、今村が造反議員であるにもかかわらず、大臣になれたのは、今村に能力があったとか、功績があったなどということではなく、派閥の力学によるところです。 
このようなことで、大臣になった人間はやはり、「身の丈」知らずの驕り高ぶりが生まれるのだと思います。まともな人が彼の立場であったら、日々感謝の気持ちを忘れることなく、とくかく自分に与えられた職責に日々邁進し、余計なことはしゃべらないと思います。
今村雅弘議員は、小泉首相が郵政民営化を推進していたときに、これに造反した議員でした。造反後は無所属の議員となったのですが、それが後に復党しています。

蓮舫代表が、二階氏の恨み節や、今村氏を批判するというのであれば、今村氏が過去に造反議員であったことをあげるべきです。そうして、造反議員を選挙対策で復党させたどころか、派閥の力学で大臣にまでさせたという事実を追求すべきであったと思います。

これを追求すれば、民進党内にも造反が出ている今日、それに対する牽制にもなったと思います。しかし、蓮舫代表はそのようなことは全くお構いなく感情の赴くままに話しているような内容です。そうして「忖度」などの最近のいわゆる流行り言葉のようなものは出てくるものの、このような日本の政治史にも残るような重要な話は一切でてきません。

郵政民営化の頃というと、蓮舫代表は議員になりたての頃だったと思います。さらに、当時の造反議員が復党したのは、もっと後のことであり、蓮舫代表はリアルタイムで経験しているはずのものです。

この発言内容や過去の発言などみていると、蓮舫代表は日本の政治史や、数十年後の将来の日本のことに関するようなことはほとんど考えておらず、目の前の出来事に反射的に反応しているとしか思えません。

これは、新聞などのメディアにも共通するところがあります。日本の大手新聞も、過去の歴史や日本の将来などについての考えなど全くないようで、ほんとうにここ数ヶ月の内容だけで、報道をしています。

民進党や、日本新聞などのメデイアは、リベラル・左派といって良いと思います。このリベラル・左派については以前かなり問題があることを掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
ついに東京新聞が私のコラムを「ボツ」にした―【私の論評】日本のリベラル左派は、彼らの使命を「政権や権力と戦う事」と考え無間地獄に陥り堕落している(゚д゚)!
長谷川幸洋氏 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から結論部分のみを以下に引用します。
私は、現在の日本のいわゆるリベラル左派は、自分たちは日本という国や社会をどうしたいのかという理想も持たずに、単に「政権や権力と戦うのが自分たちの使命」であると思い込み続けてきたため、まともにものが考えられなくなり、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無限地獄に陥って堕落しているのだと思います。

そもそも、自分たち国や社会をどうしたいのかという理想がなければ、目的も定まらず、したがって目標も定められず、目標に沿った行動もできずに、ただただ日々を無為に過ごしているだけということに彼らは気づいていないのです。
まさに、日本のリベラル・左派は、 「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になってしまい、無間地獄にはまり、さらには物事を考える期間がせいぜい数ヶ月か、長くて1年くらいの間隔だけなので、頭が悪くなり、無間地獄にさらに深く嵌ってしまっているというのが現実なのだと思います。

この無間地獄、どこかで断ち切らなければ、日本のリベラル・左派は日本の政治において完璧に勢力を失うことになります。

無論、自民党もリベラル・左派のように今村雅弘議員を例にあげるまでも、頭の悪い議員が大勢いますが、少なくとも安倍総理とそのブレーンや側近らは、長期的に物事を考えています。それに無論与党なので、「政権や権力」と戦うこと自体が目的、目標になることもありません。

そうして、元々民主党(民進党の前進)は自民党をコピーしたような政党であり、コピーした分だけ劣化しています。

以上のようなことが、明らかになり、多くの国民も認識するようになってきたことが、世論調査にでてくるようになったのだと思います。このままだと、次の選挙では、民進党はとんでもないことになるかもしれません。

そうして、私は決してそれを望んでいるわけではありません。本当は、民進党のような野党がまともな政策論争をして、与党のまともな対抗馬となり、切磋琢磨しつつ結果として日本の政治が良くなることが一番だと思っています。しかし、今の民進党であれば、消えてなくなったほうが良いです。どのような形でも良いので、新たなまともな勢力が出て来ることを願うのみです。

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2017年4月26日水曜日

【復興相辞任】「#東北でよかった」 失言逆手…自慢ハッシュタグに共感広がる―【私の論評】今村が「身の丈知らず」の愚か者に成り果てた理由(゚д゚)!

【復興相辞任】「#東北でよかった」 失言逆手…自慢ハッシュタグに共感広がる

今村雅弘
 「#東北でよかった」。東日本大震災を巡る今村雅弘前復興相の「まだ東北で良かった」発言を逆手に取り、「東北に生まれて良かった」「東北を訪れて良かった」という趣旨のつぶやきや画像がツイッターに続々と投稿されている。

ツイッターは「#」を付けた単語をハッシュタグと呼び、これを付けて投稿すると、キーワードとして検索しやすくなる。

「#東北でよかった」のハッシュタグが付いた投稿には、東北各地で撮影された桜や紅葉の景色や、仙台七夕や青森ねぶた祭など東北の夏祭りなどの写真が「誇れる故郷」「東北の景色がすき」などのつぶやきとともに投稿されている。東北以外からエールを送る声も書き込まれている。

「失言が、#をつけたことで郷土愛に変わった。 失言する人がいる一方で、その失言を『東北の魅力を発信するハッシュタグ』にして、東北を盛り上げよう、応援しようとする人もいる。そんな国でよかった。こんなに泣けるハッシュタグは初めて」と書いた人もいる。

【私の論評】今村が「身の丈知らず」の愚か者に成り果てた理由(゚д゚)!

今回の今村雅弘の失言は、さすがにあり得ないと思います。マスコミが一部を切り取って報道をするのはよくあることで、今村雅弘の前回の失言はその要素が強く、あれでは激高するのも無理はなく、あれで辞任になるとは思いませんでした。

何しろ、テレビの画面では本の数分でしたが、実際には記者と今村氏のやりとりは、27回にも及んでいました。今村氏は当初、自主避難者の扱いについて国の考えを淡々と説明していたのですが、21回目のやり取りで、フリー記者が「責任持って回答してください」と迫ると、今村氏は「なんて君は無礼なことを言うんだ。ここは公式の場だ。撤回しなさい!」「人を中傷、誹謗(ひぼう)するようなことは許さない」などと怒りを爆発させたのです。

2人のやり取りは、何と27回も続いたのです。今村氏は4日夕方、復興庁でぶら下がり取材に応じ、「ちょっと感情的になってしまった。改めておわび申し上げ、今後はこういうことがないよう冷静、適切に対応していきたい」と語っていました。

しかし、今回の発言に関しては、いくらマスコミが切り取ったにしても、「まだ東北で良かった」などという発言はどう考えても不適切です。

以下に問題となった今村雅弘の発言の動画を以下に掲載します。


火消しに走ったというか、その場で素直に詫びた安倍総理の対応は良かったと思います。もし、あの場で、総理が何も発言をしなければ、後々かなり問題になったかもしれません。

この動画を見ていて、唖然としましたが、言い方をもっと変えるべきだったと思います。東京などで被害が起こるととんでもないことになるということを言いたければ、現在や過去の話ではなく、未来の話として、英文法でいうところ未来形で話をすべきだったと思います。

「東京で同じような地震や津波が発生した場合、さらに甚大な被害が起こることになるかもしれません」などと発言すれば、復興に関して広くアピールできたし、問題になることはなかったと思います。

しかし、「東北だから良かった」というのでは、どう考えても問題発言になるのは必至です。今村は、天変地異とはいえ、無辜の同胞二万が無念のうちに亡くなったあの大地震をなんと心得ているのでしょうか。大臣をやめるだけではなく、議員辞職し、被災地に対して謝罪行脚をすべきです。

到底まともな人の心を持っているとは思えない鬼畜の発言としか言いようがありません。

そもそも、今村といえば、2005年の郵政国会で郵政民営化法案に反対したことを原因に自由民主党から離党処分が下された政治家のうちの一人です。このときに離党処分になった多くの議員が復党しています。

2005年 08月 08日  参議院本会議 郵政民営化関連6法案採決

2005年、第44回衆議院議員総選挙において衆議院本会議で郵政民営化法案に反対票を投じた自民党議員は党議拘束に造反したとして、自由民主党の公認が与えられませんだした。党から公認されない中で衆議院議員となるには党の公認候補(または支援候補)に対立する候補として立候補するしかありませんでした。

離党勧告となった造反議員は将来における復党を目指し、その後の議員活動も政府案に賛成するなど自民党に賛同する行動をとっていました。

2006年9月26日、総理総裁が小泉純一郎から安倍晋三に交代し、造反無所属議員12人は首班指名でも安倍に投票し、自民党に賛同する行動をとり続けました。

そんな中、青木幹雄など自民党参議院幹部を中心に、造反組を復党させる案が浮上しました。10月に自民党の有力者の会合で造反無所属議員12人を復党させる案に賛成する意見が多数出たため、造反議員の復党が現実味を帯びてきました。以下が造反無所属議員のリストです。無論、今村雅弘の名前も掲載されています。


2007年の第21回参議院議員通常選挙において、地方に強固な支持基盤を持つ議員が多い造反組の協力が必要とする考えからです。造反議員としても復党となれば、自民党議員として自民党の会合に参加できることや政党助成金が受け取れるなど復党のメリットを享受できます。

一方、自民党内部からは造反組の選挙区に「刺客」として当選してきた議員や郵政民営化を訴えて初当選した新人議員を中心に復党に反対する意見も出ました。

2007年9月には誓約書を提出していなかった平沼赳夫元経産相も誓約書を提出せずに復党することが内定していると報道されました。そのため、離党勧告を受けた無所属造反組は全員復党が可能となる見込みとなりました。

8月の第1次安倍改造内閣・自民党役員人事において自民党選対総局長に就任した菅義偉は「私の仕事は首を切ること」と発言していること、また、麻生太郎自民党幹事長なども、片山さつきや佐藤ゆかりを党の主要ポスト(それぞれ党広報局長、幹事長補佐)から外すなどしています。

安倍政権は閣僚が不祥事を連続させるためガタガタの状態であり、このままでは衆院選に敗北することに危機感を覚えた自民党執行部は「次の衆院選では勝てる候補しか公認しない」「まぐれ当選の人物より、実力・実績のある人物を公認したほうが確実」という方針をとったため、いわゆる小泉チルドレンは次期衆院選においていっそう厳しい立場に立たされました。

しかし、安倍首相が9月12日に辞任し、後継首相に福田康夫がなり、事態は急変。後任幹事長である伊吹文明が平沼の求めている落選造反議員との同時復党は難しいとの趣旨の発言を行っています。結局、平沼は復党から「自民党でも民主党でもない第三極の結集」を掲げて2008年に落選した造反組らを中心とする「平沼グループ」を旗揚げし、復党にこだわらない方針へ転換しました。

このように、今村雅弘は郵政造反して自民党から離党を余儀なくされたのち、第一次安倍の時に温情で自民党に再度拾われた身です。にもかかわらず、居丈高になり、第二次安倍内閣で閣僚となり安倍総理に砂をかけるとは、とんでもないことです。今村は、第一次安倍の時に復党していなかったら今頃国会議員ですらないということも十分考えられました。

このようなことを考えると、安倍総理は今村の今回の失言に関しては、内心烈火の如く怒ったことでしょう。

今村は、二階派(志帥会)所属の議員ですが、二階氏は今村擁護発言をしています。今村復興相が26日、辞任しましたが、安倍首相は自らの任命責任を認め、国民に陳謝しました。
問題の発言から半日という異例の早さで更迭された今村復興相。安倍首相は政権へのダメージを最小限に抑えたい考えなのでしょう。

安倍首相は、「任命責任はもとより内閣総理大臣たる私にあります。こうした結果となりましたことに対しまして、国民の皆様に心からおわびを申し上げます。結果を出すことによって国民の皆様の信頼を回復したいと考えています」

現状では残念ながら与党自民党も、大半の議員は民進党と同レベルです。こういう愚か者を大臣にしてはいけません。共感能力を言語化でき、なおかつ政策センス主体で選んでほしいです。それにしても、人材が不足しているということがわかります。

吉野正芳新復興相
後任には「被災地に寄り添える人物」ということで、福島県選出の吉野正芳衆議院議員が就任しました。政府・与党内にもほとんど、今村復興相の発言に擁護論はないのですが、今村復興相が所属する派閥の会長、二階幹事長は「多少の思い上がりがあった」とする一方で、大臣辞任の必要性については懐疑的な見方を示しました。

自民党・二階俊博幹事長「言葉の誤解はない方がいいに決まっているけど、そういうことがあった場合にはいちいち首を取るまで張り切っていかなくてもいいんじゃないか」

今村復興相の発言は単なる「言葉の誤解」なのでしょうか。二階幹事長のこの発言も今後、波紋を広げそうです。

乾杯する自民党二階派の代議士ら。自民党の二階俊博幹事長(前列左から2人目)
から離れた場所で乾杯する今村雅弘復興相(右から2人目)=25日午後
そもそも、今村雅弘復興相辞任への引き金となった発言は、所属する自民党二階派が25日に開いたパーティーで飛び出したものです。東京電力福島第1原発事故をめぐる失言で窮地に陥った今村氏の「名誉挽回のチャンス」として、二階派が用意したひのき舞台がかえってあだになったのです。同派を率いる二階俊博幹事長の面目も潰れ、年に1度の華々しいパーティーは一気に暗転しました。

今村氏は、二階派所属の鶴保庸介沖縄北方相とともに、パーティーの行事として講演に臨みました。演題は「荒海を航(い)く! 強いニッポンを創ろう」。二階派の配慮に対し、勇んで約20分間、復興や防災への取り組みを語った今村氏でしたが、その中で東日本大震災の被害に関し「東北で良かった」と語ったのでした。

事態は直後に急変しました。講演後の懇親会に駆け付けた安倍晋三首相があいさつの冒頭で今村氏の発言を陳謝したのです。パーティーでの異例の首相の発言に会場の空気が凍りつきました。

にもかかわらず、二階氏の擁護発言です。このような甘やかしが、今村のような「身の丈」を知らない愚かな議員を生んでいるのではないでしょうか。

そもそも、造反議員を復党させたのは、選挙対策でした。そうして、今村が造反議員であるにもかかわらず、大臣になれたのは、今村に能力があったとか、功績があったなどということではなく、派閥の力学によるところです。

このようなことで、大臣になった人間はやはり、「身の丈」知らずの驕り高ぶりが生まれるのだと思います。まともな人が彼の立場であったら、日々感謝の気持ちを忘れることなく、とくかく自分に与えられた職責に日々邁進し、余計なことはしゃべらないと思います。

以前このブログではいわゆる「身の丈」を知らない人間について、掲載していた時期があります。最近は、掲載することもなくなりましたが、再度「身の丈」という言葉の重みを知る機会を得ることのできた出来事でした。

この「身の丈」という言葉、最近は死語に近いものがあります。あまりピンとこない方は、最近文筆家の古谷経衡氏が『意識高い系の研究』という書籍を出版しましたのでこの書籍を読んでいただけるとわかりやすいかもしれません。

この「意識高い系」とは「意識の高い人」のことではありません。あくまで、「意識高い系」です。これは、昔の言葉でいえば、「身の丈」を知らない人ということになると思います。

私は、この書籍を読んでそのように解釈しました。古谷氏は、Yahooニュースで安倍昭恵さんのことを典型的な「意識高い系」と評していました。昔風の言葉でいえば、安倍昭恵さんは「身の丈知らず」ということになると思います。

今村雅弘も典型的な「意識高い系」なのかもしれません。今村については、古谷はかなり痛烈に批判していました。今村についても「意識高い系」という観点から分析してもらえたら、結構興味深いものになるかもしれません。

いずれにせよ、現在は「身の丈」という言葉が死語になったためもあってか、あるいはそういう風潮があったからこそ、死語になったのかはわかりませんが、多岐にわたる分野で「身の丈」を知らない人が増えたようです。

今回は、たまたま、自民党の閣僚だった人についての話を掲載しましたが、民進党の議員にも総統「身の丈知らず」が存在します。官僚にも、大勢います。それだけに限らず、多くの分野でみられます。とにかく私自身は、自分の「身の丈」はいかほどのものか、良く点検して、今村のようにドツボにはまるようなことは避けたいと思います。

それにしても、世の中には「身の丈」を知らない人が大きな問題を起こしているようです。それについては、以下の【関連記事】のところに関連した記事を掲載します。

【関連記事】






2017年4月25日火曜日

リチャード・ギア、反中国発言でハリウッド追放―【私の論評】TPP11を発効させることが、リチャード・ギアの窮地を救うかも(゚д゚)!


気にしていないよ - リチャード・ギア
映画『アメリカン・ジゴロ』や『プリティ・ウーマン』など大手スタジオのAリスト(一流クラス)俳優として活躍するも、反中国発言でハリウッド追放状態となったリチャード・ギアが、The Hollywood Reporter に胸の内を明かした。中国は今やアメリカに次ぐ世界第2位の映画市場となっており、ハリウッドが中国と親和性を高めていることはよく知られている。

【画像】渋い!リチャード・ギア写真ギャラリー

熱心なチベット仏教徒かつ人道主義者であるリチャードは、1993年のアカデミー賞授賞式でプレゼンターを務めた際、台本を無視し、中国によるチベット抑圧は「恐ろしく人権が侵害された状態」だと非難。激怒したプロデューサーにオスカー出禁にされるも、2008年には北京オリンピックのボイコットを訴え、2012年にもインドで行われた仏教イベントで中国について「世界で最も偽善的な国」を語るなど、臆することなく発言を続けてきた。

仕事への影響を実感したのは『北京のふたり』(1997)でのことで、突然、スタジオからプロモーション活動をしないでくれと言われたという。「そのとき、MGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)は中国と契約を結びたかったんだ。だからこの映画を捨てることにしたんだよ」。そしてリチャードは、ここ10年は大手スタジオの作品に出演していない。事実上のハリウッド追放状態について「中国が『彼が出ているならダメだ』と言うだろうからということで、僕が出演できなかった映画はもちろん何本もある。最近も、僕が出ていたら中国を怒らせるだろうから、出資はできないという話を聞いたばかりだ」と淡々と明かした。

また、近年はインディペンデント映画界に活躍の場を移したが、中国での公開を見込んでいない小規模な作品においても圧力をかけられたことがあるとのこと。「中国の監督と仕事をすることに決まっていたのだが、撮影2週間前に彼から『申し訳ない。できなくなってしまった』と電話があった。安全な回線で話したのだが、もし僕と仕事をすれば、彼と彼の家族は二度と中国を出られない、二度と仕事ができない、ということだった」。

しかし、リチャード自身はオスカー出禁や大作に出演できないことについては気にしていないようで、「もうタキシードを着る必要がないのはいいことだよ」「大作でしわくちゃのジェダイを演じることに興味はない。ここ30年で成功して、今は小さな作品ができているから」と語っている。

【私の論評】TPP11を発効させることが、リチャード・ギアの窮地を救うかも(゚д゚)!

最近は確かにリチャード・ギアはあまり大作映画にでていませんし、日本でCMに出演するなどのことがありました。裏にそのような事情があったことはなんとなくは察していました。

こうした妨害にも屈せず、ギア氏は堂々と中国の人権問題を指摘し続けてきました。2012年インドのメディアには「誰も偽善で生きたいとは思っていません。中国は世界最大の偽善者」と語りました。2016年の米下院の人権委員会に出席し、チベット問題で証言。ここでは獄中死した、チベット高僧の写真を掲げ、「信教の自由が侵害され、厳しい人権状況と不正に耐えているチベットの悲劇」と述べました。

以下にリチャード・ギアの出演したフランスのオランジーナのCMの動画を掲載します。


日本だと、反中的な発言をしても、中国の異質ぶりが多くの国民に認識されているため、特にCMに出ても影響はないのだと思います。日本にも知名度のあるリチャード・ギアは、飲料のCMにも十分効果が見込まれたのだと思います。

このブログで前から掲載してきたように、米国のメディアの90%はリベラル・左派に湿られています。そうして、米国の娯楽産業は完璧にリベラル・左派に握られています。ハリウッドなどほぼ全部がリベラル・左派に占められていると見て良いでしょう。

これについては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【痛快!テキサス親父】トランプ旋風には理由があるんだぜ 日本では伝えられない米国の危機的事情―【私の論評】たった1割しか保守系メディアが存在しない米国で国民は保守を見直し、覚醒しつつある(゚д゚)!
トニー・マラーノ氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
 米国は「移民の国」だ。俺の先祖もイタリアから移住してきた。米国の「建国の理念」に賛同する移民たちが、わが国に活力を与え、発展させてきた。ただ、それは合法でなければならない。トランプ氏が「不法移民を強制送還させる」と主張していることは、ある意味当然といえる。 
 社会主義者の増長は、米国型リベラリズムが、民主党や教育機関、映画などの大衆娯楽を乗っ取った結果だ。彼らは幼稚園のころから「資本主義の邪悪さ」と「社会主義への同情」を刷り込まれた。洗脳だ。自由主義や資本主義の象徴であるトランプ氏は「叩きのめすべき敵」なのだろう。 
 彼らが、トランプ氏を政治的に貶めようとすればするほど、それが逆効果になっている。米国民の多くは「抗議団=米国を3等国に転落させたい連中」とみている。最近、テロリストを支持する集会が開催されたことが、トランプ氏への得票につながったことも、米国民は知っている。
このテキサス親父の発言にもみられるように、米国のリベラル・左派は、ハリウッドをはじめとする映画界などの娯楽を乗っ取っているのです。だから、映画界などでは、リベラル・左派的な発言が幅を効かせ、リチャード・ギア氏のような中国に対する批判的発言や、トランプ氏支持のような発言はもともと、攻撃を受けやすいのです。

昨年の11月あたりに、ロサンゼルスのサンセット通り沿いに高く掲げられたある看板には、往年の映画「ゴッドファーザー」のポスターを思い出させるような、マリオネット使いの手の絵が描かれていました。ひもの先で操られているのはハリウッドでした。この看板が問いかけたのは、米国映画業界は中国共産党の操り人形なのかというものです。以下にその看板の写真を掲載します。


ちなみに、以下がゴットファザーのタイトルを含む、スチル画像です。


この看板を制作したのは、「共産党による米国映画業界の乗っ取り」に反対を訴えるロビイストのリチャード・バーマン氏。この看板のターゲットは、全米2位の大手映画館チェーン、AMCエンターテインメントと、映画「ハングオーバー」シリーズなどを手がけた映画制作会社レジェンダリー・エンターテインメントを傘下に収める大連万達集団(ワンダ・グループ)です。ワンダの創業者である大富豪の王健林氏は10月中旬、米国の映画業界の中心地であるロサンゼルスでイベントを主催しました。

王健林氏
娯楽業界はワンダなど中国企業の進出を歓迎するかもしれないですが、バーマン氏はリスクを指摘します。中国マネーが力を増し、中国政府が喜ぶような映画が作られるようになる可能性があるからです。「全てがこの方向で進めば、映画に中国人の悪役は登場しなくなるだろう」と同氏は言います。広告会社バーマン・アンド・カンパニーを経営する同氏は、食品、アルコール、たばこ、エネルギー業界の利益のために辣腕(らつわん)を振るってきたことで知られ、労働組合に対抗するロビー活動で「ドクター・イーブル」(映画「オースティン・パワーズ」の悪役)の異名を取ります。

同氏は、自身が率いる非営利団体「センター・フォー・アメリカン・セキュリティー」でハリウッド防衛キャンペーンを推進。chinaownsus.comというサイトを立ち上げて持論を展開しています。サイトに掲載された動画では、映画「時計じかけのオレンジ」でマルコム・マクダウェル演じる主人公が無理やり目を開けられて映像を見させられるシーンを使い、米国人の見るものを中国人が決める状況を示唆しています。

米国の映画制作会社にとっては、資金面だけでなく、外国映画の規制が厳しい中国で作品を配給するためにも、中国企業との協力が必要です。そのため業界では自主規制が働いています。サウスカロライナ大学で中国と米国経済界の関係を研究するスタンリー・ローゼン教授は「映画を制作するときには必ず親中的な要素が盛り込まれる。もちろん反中的な要素は入れない。親会社がどこかは関係ない」と指摘しました。

中国では、国家新聞出版広電総局の映画部門によって公開用の全ての作品が厳しく検閲されるため、制作会社は同国向けに映画の別バージョンを作ることもあります。ワーナー・ブラザーズの映画「クラウド・アトラス」は、13年に公開した中国版で性交渉シーンを削除。同年公開のウォルト・ディズニーの「アイアンマン3」の中国版は、中国人俳優が登場しボーナスカットが追加された特別版でした。

『オデッセイ』(2015年)
『オデッセイ』(2015年)は、火星に一人取り残された米国人宇宙飛行士のサバイバルを描くSF作。NASAの救出作戦が困難に直面すると中国航天局が協力を申し出て、国家機密のブースター(発射台)を提供、固唾を飲んで救出劇を見守る米中両国の国民が交互に映し出されます。

映画評論家の秋本鉄次さんは、『オデッセイ』は「『70億人が彼の還りを待っている』というキャッチコピーなのに、米国以外は中国ばかり。まるで米中共同救出作戦のようで、違和感を覚えた」と語っていました。

中国では初日だけで興行収入約11億円を達成。しかし、中国航天局スタッフ役として登場する2人の中国人俳優の出演は合計約3分ほどで、同国内では「存在感ゼロ」「チョイ役の歴史に新たに名前を加えただけ」などと笑いの的といいます。

娯楽業界への中国マネーの進出がもたらす安全保障リスクに対し、政府の監視強化を訴えるバーマン氏のキャンペーンは、米国議会でも一定の関心を集めています。そして、巨大な中国市場へのアクセスを熱望し、次第に中国企業の支援に対する依存を強めている業界内でも話題を呼び、危機感を生んでいます。

市場調査会社パシフィック・ブリッジ・ピクチャーズのコンサルタントでパートナーのロバート・カイン氏は「ウォール街は例外として、中国はハリウッドが目にした最大の外部投資家だ」と述べています。同氏は、中国が米国の文化や経済への影響力という「ソフトパワー」を握ることを、ある程度警戒する必要があると指摘。「個人的に中国企業の投資の恩恵を受けてきたし、中国人投資家と満足のいく仕事をしてきた」としつつ、中国人の狙いは金もうけをすることだけだと考えるのは「極めて世間知らずで危険な態度」だと述べました。

一方、バーマン氏の主張を、恐怖をあおっているだけだとして否定する者もいます。映画「ラリー・フリント」などを手がけたプロデューサーのジャネット・ヤン氏は「われわれが作っているのは練り上げられた繊細なストーリーだ。プロパガンダのにおいがするような作品を、観客は容赦しないだろう」と述べました。米映画業界への中国マネーの浸透は、ワンダがAMCを買収した2012年から本格化しました。「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」や「ターミネーター:新起動/ジェニシス」など、最近のいくつかのヒット作品には中国企業が出資しています。

AMCは声明で、「AMCシアターズは、米国人の経営陣が全てを取り仕切る米国の映画館チェーンだ。当社は本社のあるカンザスシティー近郊の町で、創業当初から100年近くの歴史を作ってきた」と指摘。「ワンダがAMCの日常業務に参画することはなく、AMCシアターズで上映するタイトルを決めることもない。ワンダはAMCの素晴らしい株主として、AMCが米国内の映画館を刷新するのに必要な資本面の支援をしている」と説明しました。

AMCシアターズの日本1号店が出店したキャナルシティ博多
このようなことを知ると、やはりTPPのような自由貿易の枠組みの重要性を痛感します。TPPとサービス産業に関しては、日本ではTPP芸人らがとんでもないデマを流していましたが、それはデマに過ぎず、これについても自由貿易をするという立場から、様々なまともな合意がなされることになっていました。

当然のことながら、検閲についても、あるいは知的財産権の見地からも、一定の枠組みの中でのサービス産業の輸出入がなされることになります。TPP11でこの枠組みを作成して、映画産業の検定や、知的財産権の保護をTPP参加国でまともに行う体制を整えれば、米国もこれに興味を示すことになるでしょう。

そもそも、映画も含む知的財産権とは以下のように多岐にわたります。

特許権

  • 新規な発明を創作した者に与えられる独占権。出願の日から20年間保護される。

商標権

  • 商品に使用するマーク(文字、図形、記号など)を設定登録の日から10年間保護される。なお、この権利は更新可能。

実用新案権

  • 物品の形状、構造、組み合せに関する考案(小発明)に対して出願の日から10年間保護される。

意匠権

  • 工業的なデザイン、つまり、車やコンピュータの外観のようなものに関して設定登録の日から20年間保護される。

著作権

  • 独創性のある文芸、芸術、音楽など、精神的作品を創作のときから作者の死後50年間(映画は公表後70年)保護される。

育成者権

  • 栽培される全植物(種子植物、しだ植物、蘚苔類、多細胞の藻類)の新品種について登録の日から25年間(果樹、林木、観賞樹等の木本性植物については30年)保護される。
中国には、このような事柄を権利として認めることはあまりありません。そんな中国が、ハリウッドに進出しようというのが大間違いなのです。これらが守られてはじめて、各国映画界などのサービス産業はまともに競争ができるのです。まさに、知的財産保護後進国中国は、顔を洗って出直してこいということになると思います。

TPPに参加するためには、米国の映画産業はさしたる変更も求められないでしょうが、中国の映画産業は、様々な構造変革が求められるようになります。それを実行しない限り中国は永遠にTPPに参加できません。

やはり、昨日も掲載したように、映画などの娯楽産業についても、TPP11により、参加国間で、自由貿易の模範となるような規範づくりをすることが、重要です。

ひょっとすると、TPP11が発効して、それに米国が関心を示すようになり、米国がTPPに参加するようになれば、リチャード・ギア氏のように中国に批判的な発言をしたり、トランプ氏を擁護したりするハリウッド関係者にを救うことになるかもしれません。

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2017年4月24日月曜日

トランプ大統領に「揺さぶり」? 日本が「米国抜きTPP」模索―【私の論評】TPP11で日本が新たな自由貿易のリーダーになる(゚д゚)!


オバマケア廃止法案の可決に失敗した後、ホワイトハウスで記者会見するトランプ
トランプ米大統領が「離脱」を宣言した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を巡り、日本政府は米国を抜いた11か国での発効「TPP11(イレブン)」を目指す方向にかじを切った。これまでは米国を説得し、翻意するのを待つ構えだったが、アジア太平洋地域の自由貿易を推進する重要性や米国との2国間交渉を有利に進めるうえで、TPPイレブンが得策と判断した模様だ。

TPPは2015年10月、日米やオーストラリアなど12か国が大筋合意し、各国がそれぞれ国内で批准に向けた手続きを進めていた。しかし米大統領に就任したばかりのトランプ氏が2017年1月、離脱の大統領令に署名。TPPは、12か国GDP(GDP)合計の85%を占める6か国以上が批准しなければ発効できない取り決めになっており、約60%を占める米国の離脱で事実上、発効できない状況に陥っていた。

 米国に対する「防波堤」にする狙いも

日本は「市場規模の大きい米国が抜けたTPPは意味がない」との立場から、米国が将来、翻意するのを待って発効を実現したいとの立場だった。しかしTPPは先進国や途上国も含め、知的財産保護など従来の自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)と比べ「画期的なルール作りで合意できた」(経済産業省筋)という自負がある。複数の通商関係者は、世界的に保護主義的な動きが広がる中、日本がTPP発効を目指す姿勢を明確にすることが自由主義を守る立場として重要だと判断したという。

また、TPP11が発効すれば、豪州などは米国より低い関税で牛肉などを日本に輸出でき、米国の農産物の競争力は相対的に低下する。そうなれば米国の農業界は黙っていないはずで、トランプ政権がTPPに戻る可能性も出てくるとの期待もある。

一方、TPPを離脱した米国は今後、日本に対し、2国間のFTA交渉を求めてくるのは必至だ。特に、農業分野で厳しい要求が突きつけられる可能性は高く、TPP11を目指す姿勢を打ち出しておくことで、米国に対する「防波堤」にする狙いもある。

 ベトナムなどは再交渉を求める可能性

ただ、TPP11が実現するか否かには不透明要因も多い。まず、事実上、米国抜きで発効できないとの要件については、11か国の合意で条文から削らなければならない。また、そもそもTPP参加の最大の狙いが米国市場への参入だったベトナムやマレーシアにとって、TPP11は意味がないものに映りかねない。国有企業改革など厳しい条件をのんだベトナムなどは再交渉を求める可能性もある。各国が次々と再交渉を求める事態になれば、まとめるのは至難の業ということになる。

TPP11か国の中でメキシコやカナダは米国との北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉を控え、どこまで米国抜きのTPP発効に積極的になれるかも見通せない。

2017年5月後半にはベトナムで閣僚会合が開かれる。麻生太郎・副総理兼財務相は4月19日、ニューヨークでの講演で、「(閣僚会合で)米国なしで11か国だけでやろうという話が出る」と言明しており、各国の動向が注目される。
【私の論評】TPP11で日本が新たな自由貿易のリーダーになる(゚д゚)!

トランプ大統領は、TPPの離脱を決定しました。その一方米国内では、選挙キャンペーン中から公約の最も大きな柱としてきた、オバマケア廃止法案の可決には失敗しました。

このブログで何度か掲載してきたように、三権分立が厳密に適用されていることもあり、アメリカの大統領は平時には世界で最も権限のない権力者なのです。だからこそ、オバマケアの廃止法案の可決に失敗したのです。

日本国内では、米大統領というとかなり大きな権限を持っていて、何でも決めることができると誤解している人もいます。しかし、それは明らかな間違いです。こういう人から見ると、なぜトランプ大統領が、オバマケア廃止法案の可決に失敗したのか理解できないものと思います。オバマケア廃案に関しては、共和党の中にも反対する人々が多数いたので、廃案にはできなかったのです。

TPPに関しては、共和党の中にも反対者はいたのですが、圧倒的に多数が反対だったので、トランプ大統領がTPP離脱の大統領令を発して、それに反対したとしても、議会で勝つ見込みがないので、すんなりと通ってしまったということです。

こういうことを考えると、TPPに関しても、TPP11が発行すれば、米国が後から入るという可能性もあながち全く否定はできないです。

メキシコのグアハルド経済相
TPP11に関して、メキシコのグアハルド経済相は18日、環太平洋連携協定(TPP)から米国が離脱した場合でも、合意文書の文言を修正することで、発効は可能との見方を示しました。

日米の主導でアジア太平洋の12カ国が大筋合意に至ったTPPの合意文書には、米国抜きでは発効しないとする文言が含まれています。

グアハルド経済相は、日本がリーダーシップを発揮すれば、その文言を含む条項は「問題なく」削除でき、メキシコなど他の参加国は米国抜きでTPPを発効させることのメリットとデメリットを評価することが可能だと発言。米国を除く11カ国でTPPを推進させる考えを示しました。

トランプ米大統領は今年1月の就任直後、TPPから正式に離脱する大統領令に署名しました。

TPP参加国は、ベトナムで今年11月に開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で貿易に関する踏み込んだ協議を行う予定。閣僚らは5月に準備会合を開始します。

トランプ大統領は18日、米国人の雇用と、政府調達における米国製品の購入を促すことを目的とした大統領令に署名しました。

グアハルド経済相はこの大統領令について、影響はまだ明らかではないですが、北米自由貿易協定(NAFTA)に違反する可能性があると指摘しました。



TPPというと、日本ではかつて、民主党政権時代に「TPPは亡国の協定」とか、「国民皆保険がなくなる」とか、「日本の農業が壊滅する!」とか、面白いことを言って拍手喝さいを受けた人たちがいます。これを、今ではTPP芸人と予備揶揄する人もいます。

と安倍政権が誕生し、2013年にTPPへの参加を表明すると、この芸人たちは「表明した瞬間にすべてはアメリカの思い通り決まっている!」などと言っていました。しかし、残念ながら一発芸人の命は短いものです。

トランプ氏が「TPPから離脱」を宣言したことにより、TPP芸人バブルは完全に弾けてしまったようです。

そうして、もはや「死に体」とも見られているTPPですが、いつか生き返るかもしれない。そんな望みにかけているのが今の日本政府です。しかし、そのような日はそもそもやって来るのでしょうか。

トランプ大統領がーが翻意するわけがないというのが大半の見方です。万が一、米国が対応を変えるにしても、トランプ政権が続く最低4年間は無理というのが、大方の見方です。

しかし、そんな中で、TPP11への期待が高まっています。TPP11は日本にとっても望ましい結果を招くことになります。まず、米国の農産物が日本市場から駆逐されることになります。TPPが発効すれば、加盟国が日本に牛肉を輸出する際の関税は、現在の38・5%から将来は9%になります。

米国が非加盟なら関税は高いままですが、米国のライバル、オーストラリアやカナダが加盟すれば9%になります。他にも牛肉を生産する国はあります。日本の消費者は豪州牛やカナダ牛や他国の牛肉を安く買えるし選択の幅も広がります、米国牛は競争力を失います。米国は世界有数の輸出量を誇る小麦でも不利になります。

そうなれば米農業界は必ずトランプ氏を突き上げることになります。TPP11を使って米国を不利な状況に追い込み、自ら『加入させてほしい』と言わせるように持って行けば良いのです。

もし日本などがTPP11を発効させた後、米国が加入を求めれば、米国は日本など既加盟国の要求に応じねばならなくなります。米国が日本に輸出する自動車関税はゼロですが、日本が米国に輸出する際は現在2・5%です。TPP交渉では、2・5%を25年もかけて段階的に撤廃することでしかまとまらなかったのですが、今度は即時撤廃も夢ではありません。

中国が世界貿易機関(WTO)に加盟する際、中国の交渉担当者が「私たちは一切要求できないのに、なぜ既加盟国は一方的に要求するんだ」と怒ったら、米国の担当者は「それが加入交渉というものだ」と答えたといいます。日本も米国に同じことを言えば良いのです。まさに、米国に対する上手からの交渉ができる千載一遇のチャンスです。
TPP反対派が問題とした内容。今では、これはすべてデマであったことが発覚している
米国抜きでも発効する意味は大いにあります。あそこまで自由化の高い国際ルール作りは前例がなく、他の交渉に与える影響は大きいです。それに、発効しなければ各国の自由化も全部元に戻ってしまうことになります。

TPPは成長市場であるアジア地域で遅れていた知的財産保護などのルールを作りました。社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れました。TPPが棚上げとなれば各国の国内改革の動きも止まってしまうことになるのです。

TPP合意を機に、日本の地方の中小企業や農業関係者の海外市場への関心は高まっていました。電子商取引の信頼性を確保するルールなどは中小企業などの海外展開を後押しするものです。日の目を見ないで放置しておくのは、本当に勿体無いです。

さて、最後にTPP11が発効して、それに対して中国が入りたいという要望を持つことは十分に考えられます。このような要望が出てきた場合、米国は焦るものと思います。これによって米国のTPP加入を促すという手も考えられます。

ただし、中国はすぐにTPPに加入させるわけにはいかないでしょう。中国が加入するには、現状のように国内でのブラックな産業構造を転換させなければ、それこそトランプ氏が主張するようにブラック産業によって虐げられた労働者の労働による不当に安い製品が米国に輸入されているように、TPP加盟国に輸入されることとなり、そもそも自由貿易など成り立たなくなります。

このあたりを理解すれば、トランプ氏も意外とTPPに入ることを決心するかもしれません。そもそも、政治家としての経験のないトランプ大統領は、これを理解していないだけなのかもしれません。しかし、理解して、それが米国の利益にもなると理解すれば、意外とすんなり態度を改めるかもしれません。

やはり、中国もTPPに参加したいというのなら、社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れたのと同じように、国内の民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めなければならないでしょう。

それによって、中国自体の構造改革が進むことになります。こうして、TPPにより、中国の体制を変えることにもつなげることも可能です。

このような可能性を見ることができなかったトランプ大統領は後に後悔の臍を噛むことになります。

このようなことを掲載すると、「いやそのようなことはない。日本は米国の属国だから、米国の言いなりになるしかないし、そもそもTTPに米国が入ることもない」などと言う人もいるかもしれません。しかし、そのような人は、TTP芸人らの末路はどうなったのかと、言い返してやりたいです。

いずれにしても、上記で示したようなことを前提に、安倍総理にはまずはTPP11発効に向けて頑張って頂きたいものです。

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2017年4月23日日曜日

日本郵政 豪物流事業の業績悪化で巨額損失計上か―【私の論評】財務省御用達人材が、東芝、日本郵政を駄目にした(゚д゚)!

日本郵政 豪物流事業の業績悪化で巨額損失計上か



日本郵政はおととし買収したオーストラリアの物流企業について業績が悪化していることから資産価値を見直し、数千億円規模の損失の計上を検討していることがわかりました。

日本郵政は、傘下の日本郵便を通じて、おととし海外での物流事業を強化するためオーストラリアの物流最大手「トール・ホールディングス」をおよそ6200億円で買収しました。

関係者によりますと、トールは鉄鉱石など資源の価格の下落を背景にオーストラリアでの物流事業が伸び悩み、業績が悪化していることから、日本郵政はこの会社の資産価値を見直し、来月発表する予定の昨年度の決算で数千億円規模の損失の計上を検討しているということです。

日本郵政は昨年度の決算で最終的な利益を3200億円と予想していましたが、損失を計上すれば業績の大幅な下方修正を行うことになります。

日本郵政は「トールの業績が計画に達していないことから、損失の計上をするかどうかを含め現在検討中だ」とコメントしています。

海外企業の買収については、東芝がアメリカの原子力事業の拡大を狙って買収したウェスチングハウスをめぐって巨額の損失を計上したばかりで、買収にあたって企業の価値をどう判断するかが問われています。

トール・ホールディングスとは

日本郵政が傘下の日本郵便を通じて買収したトール・ホールディングスは、1888年に創業されたオーストラリア最大手の物流企業です。

企業向けの物流サービスから家庭向けの宅配事業まで総合的な物流事業を展開しています。また、オーストラリア国内だけでなくアジアを中心に日本を含む世界50か国以上に1200か所の拠点があり、事業の地域も世界各地に広がっています。

日本郵政は、年々、郵便物の取り扱いが減少し、国内の事業環境が厳しくなる中で、新たな活路を見いだそうと、これまで手がけていなかった国際物流の事業に参入するためトールを買収しました。しかし、買収後、鉄鉱石などの資源価格が大きく下落した影響で、オーストラリア国内の景気が低迷し、トールの業績も悪化。去年4月から12月までの9か月間の決算では、営業利益は前の年に比べて163億円の減益となりました。

このため、日本郵政は、ことしに入ってトールの会長と社長をともに交代させたほか、経営の効率化を進めるために、人員の削減も行って業績の立て直しを図っています。

巨額損失招く「のれん」とは

日本企業が海外の企業を買収したものの、当初、見込んだ成果が上がらずに巨額の損失を計上するケースが相次いでいます。

こうしたケースでは、実際の事業による損失ではなく、「のれん」と呼ばれるブランド力や事業の将来性など形のない資産の価値が減ったため、企業の会計上、損失として計上することが要因となっています。

のれんは、当時の買収額と、買収した企業の純資産の差額で計算されます。日本郵政が買収したトールの場合は、買収額は6200億円だった一方で、去年12月末時点の純資産から算出した、のれんは3860億円でした。

しかし、日本郵政は、業績の悪化や将来の事業の成長性が当初の見込みどおりにならないと判断し、のれんの金額を引き下げて決算で損失として計上する見通しとなっているのです。

特に、買収額が大きくなった場合は、その分、のれんの額も大きくなるため、買収したときの見込みどおりに買収先の企業の価値が高くならなければ、損失として計上する額も巨額になるリスクがあります。このため、買収にあたって、いかに買収先企業の事業の将来性などの形のない資産価値を見極めるかが大きな課題となります。

海外企業買収で相次ぐ巨額損失

最近、日本企業が海外の企業を買収したあとに巨額の損失を計上するケースが相次いでいます。

経営再建中の東芝は、2006年にアメリカの原子力事業会社、ウェスチングハウスを6200億円で買収しましたが、今月11日に発表した去年4月から12月までの9か月間の決算で、ウェスチングハウスがさらに買収した別の企業の分も合わせて7166億円の損失を計上しました。

キリンホールディングスは、2011年にブラジルの大手飲料メーカーを3000億円で買収しましたが、業績の低迷が続き、おととし1140億円の損失を計上し、結局、ことし2月には会社をオランダのビール大手のグループ会社におよそ770億円で売却しました。

楽天は、2013年に買収した動画配信サイトを手がけるアメリカの子会社について、競合する他社との競争が激しくなった結果、去年の決算で200億円を超える損失を計上しています。

【私の論評】財務省御用達人材が、東芝、日本郵政を駄目にした(゚д゚)!

トール社買収は結局日本郵政の「高すぎる買い物」、「ガバナンスが欠如」を露呈しました。もし、日本郵政が純粋な民間企業だったとしたら、ステークホルダーからの猛反発に遭い、おそらくこの買収は実現しなかったことでしょう。

日本郵政の社長は、元東芝の社長であった西室泰三氏です。東芝も西室氏のころから危なくなりました。日本郵便は事業や投資に関しては、官僚だけの素人集団です。これでは先行きかなり厳しいです。ちなみに西室氏が日本郵政社長になった当時の日経はかなり高く評価していましたが、どうしてそうなるのか理解できません。以下にその紙面を掲載します。


郵政民営化を簡単に振り返ると、小泉政権の時に民営化法成立し、民営化が実施されました。ところが、民主党政権になって民営化を否定し実質上「再国有化」されました。

郵政民営化のときには西川氏が本当に民間会社にするつもりで、大量の民間人を引き連れてきました。ところが、再国有化されると、西川氏とその仲間の多量の民間人は追いだされ、財務省御用達の西室氏だけがトップで来て、周りはほぼ官僚だけとなりました。これでは、海外投資業がうまくいくはずがありません。

官僚だけでは、海外投資事業などかうまいかないのは当然のことで、これは以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!

この記事は、まだ民主党政権だった頃の2012年7月24日のものです。この記事では、かつて携帯電話のチャンピオンだったNOKIAが、スマホやタブレットPCのプロトタイプを開発し、市場に出す準備をしていながら、AppleのiPhoneやiPadに先を超され、辛酸を舐めることになったことを例に出し、民間企業でさえこのように大失敗をするのに、役人にはこのようなことは全く不可能であることを主張しました。

以下に、一部を引用します。
民間企業ですら、このような失敗をすることがあるわけですから、政府が成長する産業を見極めることなどほとんど不可能です。特に自由主義経済下では、そのようなことは誰もわからないというのが事実です。いろいろなタイプの企業が種々様々な工夫をして、その結果いずれかの事業がその時々の市場に適合うして、それが産業として伸びて行くというのが普通です。 
本来自由主義経済下の政府の役割は、こんなことをすることではありません。政府の役割は、新産業などが生まれやすいように、経済活動が活発になるように、法律を整えるだとか、規制を撤廃するとか、逆に規制を強化するとか、さらに、公共工事をするとか、安全保証などをして、いわゆるインフラ(基盤)を整えることです。このインフラづくりが政府の本命の仕事です。このインフラ上で活動して、成果をあげるのが、民間企業営利企業、非営利企業、その他の組織ということです。間違っても、政府が、インフラの上にのっかって、様々な事業を展開するようなことがあってはなりません。 
それを大規模に行ってきたのが、旧ソ連邦をはじめとする社会主義国であり、部分的に行ってきたのが、自由主義陣営による高福祉国家でした。旧ソ連邦をはじめとする、社会主義国家は、今日では全滅しました。また、ソ連邦に脅威を感じて高福祉国家をめざした国々は、その本家本元のイギリスでも財政負担があまりにも大きくなりすぎたので、取りやめました。一部まだ続けている国もありますが、それは、スウェーデンなどの人口数百万の比較的規模の小さい国々だけです。
旧ソ連邦に関しては、その破綻は、すでに1950年代にアメリカの経済学者が予測していました。統計資料などからみて、その頃のソビエトの経済はいたって簡単で、いわゆる、投入物=生産物という具合で、付加価値がほとんどなく、戦後のソビエトの繁栄は、結局戦後に敗戦国からの資源などを大量に投入し、大量の生産物を得ていたというだけであって、このようなことは長くつづくはずがないと予測したのです。まさに、その通りになりました。
社会主義国の時代のソ連といういうと、私が覚えているのは、アイロンです。当時アイロンは、ソ連の独占国営企業がつくって市場に投入していて、ソ連国内では、輸入ものでないかぎり、ほぼすべて同じものが使われていました。しかも、確か、崩壊する直前のものでも、30年前につくられたそのままです。 
計画経済なので、顧客ニーズやウォンツなどとは全く関係なく、政府による来年はいくつ必要になるであろうという予測のもと、それに従って生産して、市場に投入していただけだったのです。競争も何もないため、結局30年にわたって、モデルチェンジも行われなかったのだと思います。 
政府がインフラづくりだけでなく、実際に産業活動をしても、できるのは、このようなことだけです。ソ連邦の計画経済ほどは規模は大きくありませんが、政府が、重点施策を実行して、投資をするのも、結局は社会主義国政策と同じようなものであり、結局失敗します。
ほぼ官僚出身者だけの郵政は、かつての共産主義のようなものです。郵政が海外事業などにも成功するというのなら、かつての共産主義もことごとく成功したはずです。しかし、皆さんご存知のように共産主義はことごとく失敗しました。

さて、西室泰三氏を財務省御用達というのは、西室氏がかつて財政審会長だったからです。西室市は、東芝の社長の時に原子力への集中と称して米WH社買収も実施しました。それがのちのち東芝の命取りになりました。日本郵政でも豪トール社買収は西室時代の負の遺産です。というわけで西室氏は海外買収では地雷ばかり踏んでいます。

西室泰三氏
当時は国民新党も共同歩調をとっていました。そうして郵政は「再国有化」のまま上場してしまいました。マスコミなどは民主党政権下でも「民営化」には変わりなしとしていましたが、これは似て非なるモノであり、民主党政権以降の郵政はとてもじゃありませんが、民間企業と呼べるような代物ではありません。

財政審といえば、最近新たな動きがありました。経団連の榊原定征会長が、財務相の諮問機関である財政審(財政制度等審議会)の会長に就任しました。経団連の会長が財政審会長に就くのは、2001年1月から2年間務めた今井敬氏以来、実に16年ぶりのことです。

予算編成に大きな影響を与える財政審ですが、財務省のこの人事にはどのような思惑があるのでしょうか。

財政審会長に就任した経団連の榊原定征会長
まず、今井氏が就任した'01年当時を振り返ります。財務省(旧大蔵省)は、'90年代後半に次々と明るみに出た官僚の接待スキャンダル(例えば、ノーパンしゃぶしゃぶ)で、世間から猛烈な批判を浴びていました。そのなかで、旧大蔵省は、中央省庁等改革基本法により金融庁と財務省に解体され、'01年1月に「財務省」へ名称が変更になりました。

ちなみに、この名称変更は旧大蔵官僚には最大の「屈辱」でした。省庁の前に掛かる看板は、当時の大臣が揮毫するのが通例ですが、大蔵官僚出身で「最後の大蔵大臣」となる宮沢喜一氏はそれを拒み、コンピュータの楷書体になったといわれているほどです。

そのような財務省の誕生とともに、経済財政諮問会議が設置されました。'01年4月に発足した小泉政権では、竹中平蔵氏が経済財政担当相に就任しました。このとき官邸には、竹中氏管轄の経済財政諮問会議を軸に、財務省から予算編成方針を奪い取るという思惑がありました。

一方、財務省はこうした新しい動きに対抗。財界で圧倒的に顔がきき、ある意味で竹中氏よりも「上手」といえる経団連会長を財政審のリーダーに据えたのです。

しかし、この財務省の思惑は小泉政権にねじ伏せられました。竹中氏は、小泉首相の強い支援を受け、新しい経済財政諮問会議を舞台に「骨太の方針」を打ち出し、事実上予算編成方針を財務省から奪い取ることに成功したのです。その結果、小泉政権下では、財務省の「悲願」である消費増税をうかがう機会は一切封じられてしまったのです。

ようやく財務省が本格的に消費増税を進めはじめたのは、民主党へと政権交代した'09年以降です。民主党政権発足当初から財務副大臣、財務大臣を歴任し、「財務省色」に染まり切った野田佳彦氏が総理になると、'12年3月に消費増税法案の提出にこぎ着けました。

野田佳彦氏
こうした歴史を振り返ると、今回経団連会長という「大物」を据えるところには、財務省の「危機感」が見え隠れします。というのも、安倍政権が長期化して、さらなる消費増税の機運が遠のいているからです。

安倍政権下で'14年4月から消費税率を8%へと引き上げると、それまで復調の兆しを見せていた経済は腰折れしてしまいました。その結果増税への否定的な世論が高まり、再増税は'19年10月まで延長されているのが現状です。

こうした世間の変化に、財務省は危機感を持ち、消費増税の際に頼りになる経団連の力を持ち出してきたのです。経団連は自民党に政治献金を行うなど、「蜜月」関係を保っています。

一方で財務省と経団連は、法人税を減税する代わりに、消費増税路線に同調すると融通していてもおかしくない関係にあります。つまり、安倍政権にとって、経団連の存在はひとつの「圧力」になるのです。

これから安倍政権は消費増税路線で財務省に押し切られてしまうのかどうか、正念場であるともいえます。

こうしてみると、東芝や郵政の問題にまで、なにやら財務省が影を落としているよう見られます。

ブログ冒頭でも、かつて財政審会長だった西室氏は、東芝の社長の時に原子力への集中と称して米WH社買収も実施しました。それがのちのち東芝の命取りになりました。日本郵政でも豪トール社買収は西室時代の負の遺産です。というわけで西室氏は海外買収では地雷ばかり踏んでいます。

西室氏は当然のことながら、東芝の社長時代から、増税派でした。無論これは、財務省の意向に沿ってのことでしょう。というより、財務省の官僚からご説明資料などで増税の必要性を刷り込まれて、すっかりデフレの最中でも、増税が必須と思い込んでしまったのでしょう。

言い方は、悪いですが、この程度の頭なので、東芝で海外投資に失敗し、郵政においてはこの程度の頭の社長と、官僚出身者だけの組織で、海外への投資事業が失敗したのは必然なのです。

さて、現在の財政審会長である、経団連の榊原定征会長はどうなのでしょうか。これについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「賃金上昇でも消費伸びない」 経団連見解は消費増税スルー…財務省路線に乗り続けるのか―【私の論評】スロートレードの現状では企業にとって内需拡大が望ましいはず(゚д゚)!
経団連の榊原定征会長
詳細は、この記事をご覧いただものとして、この記事では、東レ株式会社相談役最高顧問でもある、榊原氏が、8%の消費税増税により消費が低迷している事実は全く無視して、「賃金上昇でも消費伸びない」という発言をしていることについて掲載しました。以下に結論部分のみを掲載します。
日本は、貿易立国だなどとする人々もいますが、それは事実ではありません。実際、20年ほど前までは、日本のGDPに占める割合は8%に過ぎませんでした。現在は、11%程度です。 
日本は、昔から内需大国だったのです。スロートレードの現在、大企業は輸出の伸びはあまり期待できないわけですから、日本の内需が拡大したほうが良いはずです。 
中小企業も、財務省からの補助金があったにせよ、まずは内需が伸びないようでは死活問題です。補助金があっても、内需が低迷すれば、中小企業は成り立ちません。 
増税すれば、個人消費が低迷して内需は低迷します。これは、決してすべての企業にとって良いはずはありません。 
これを考えれば、経団連などの企業の団体こそ、消費税延期、消費税減税、さらなる量的金融緩和を主張すべきです。とにかく、日本国内の内需を拡大する方向にもっていくべきであると主張するのが当然です。ましてや、デフレを放置したり、デフレスパラルにどっぷりと再びはまることになる消費税増税などとんでもないです。
やはり、榊原氏も財務省御用達人材と呼ぶにふさわしいです。榊原氏は、どちらかといえば、炭素繊維などにより、東レの業績を向上させていますが、これは炭素繊維という素材産業ということで、海外企業の買収などの事業とは性格を異にします。

しかしながら、現在の東レは、3Q経常6.7%減益になっています。炭素・繊維事業等の不振が響いたようです。以下に、東レの第三四半期連結損益概要を掲載しておきます。

当第3四半期の売上高は5,352億円、前年同期比で3パーセントの減収となり、営業利益は379億円と、11.8パーセントの減益となりました。経常利益は394億円と、前年同期比で6.7パーセントの減益。四半期純利益は235億円と、12.2パーセントの減益となりました。

榊原氏がこの減益そのものに関係するかいなかはわかりません。

しかし、財務省御用達の証しと言っても良い財政審会長を勤めた西室泰三氏が、東芝と日本郵政を窮地に追い込むきっかけを作ったこと、それに、財務省御用達の野田総理の民主党、のだ政権末期には支持率が、10%を割り6.6%にまで落ちたことは記憶にとどめておくべきでしょう。

そもそもノキアのような企業でも窮地に追い込まれるような、民間の市場の厳しさに、財務官僚等が太刀打ちできるはずがありません。財務官僚は、本来国民の信託を受けた政党による政府の定めた目標に従い、それを実行するのが筋です。

この原則を忘れた財務省に鉄槌を下し、これからも消費増税延期路線で押し切るように安倍総理には頑張って頂きたいです。

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2017年4月22日土曜日

テロ等準備罪の実態と必要性 反対派の印象操作には要注意、懸念払拭へ十分な国会審議を―【私の論評】頓珍漢な理由で反対する反対派は国民に愛想を尽かされる(゚д゚)!



テロ等準備罪をめぐっては、野党やマスコミなどから懸念の声が出ている。法案の審議も遅れているが、法律の必要性や審議の行方を考えてみたい。

 正式な法律名称は、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部等を改正する法律案」である。

 これに反対する人たちは、「共謀罪」と称している。筆者は、名称はどうでもいいと思っているが、なぜか政府も「共謀罪」とは言いたくないようだ。

 共謀罪というのは、米法のコンスピラシー(Conspiracy)などのように海外では普通に見られる概念である。そもそも今回の法案が必要とされる理由として、国際組織犯罪防止条約を批准するためというものがある。国際条約では「共謀罪」を要件としているので、今回の法内容は、海外から見れば「共謀罪」になっているのは間違いない。

 ただ、反対する人たちが「共謀罪」と言うのは印象操作である。戦前の治安維持法の思想禁止を連想させるほか、過去2回の法案(提案はいずれも小泉純一郎政権)が廃案になっていることから、今回も悪法と言いたいのだろう。

 もちろん、今回の法案は、「思想」ではなく「準備行為」を処罰対象にしており、戦前の治安維持法とはまったく異なる。また、過去の法案と比べても、対象が限定されているのも大きな違いだ。

 法案については、制定(改正)理由とそれを達成するための手段という2つの側面から評価される。今回の場合、制定理由は、国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)の批准のためだ。日本は、この条約を2000年12月に署名し、03年5月に国会承認しているが、まだ批准していない。

 過去における政府提案では、当時の民主党は修正案を出しているので、制定理由は納得しているはずだ。ところが、最近、国際組織犯罪防止条約の批准にあたり、共謀罪は必要ではないとの意見が、反対派から出ている。その根拠は孫引きの国連のガイドラインであるが、原典の条約をみれば必要である。

 また、反対派は条約締結のために共謀罪立法を行った国としては、ノルウェーとブルガリアの2カ国しかないというが、これは「新たに」立法した国という意味である。締結国では既に国内法が準備されているのが実態だ。

 次に、達成手段である。日本の刑法は、「犯罪の実行に着手」することを構成要件としており、準備行為では種々の議論が出てくる。法案作成技術からみれば、抽象的に抜け穴がないように書かざるを得ないので、過剰規制だと受け止められる部分も少なくない。

 この点について、反対派は適用される団体や組織の定義などで拡大解釈されると批判する。そうした懸念はあるので、懸念を払拭するために、国会審議をまずはしっかり行う必要がある。その上で、冤罪(えんざい)を防ぐために捜査の可視化、親告罪化の一部適用などを行うべきだ。そうした国会らしい審議ができるかが問われている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】頓珍漢な理由で反対する反対派は国民に愛想を尽かされる(゚д゚)!

そもそもこの国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約 がいかなるものか、ということですが、これについては、詳細は外務省のホームページをご覧いただくものとして、簡単にまとめると、以下のようなものです。
組織的な犯罪集団への参加・共謀や犯罪収益の洗浄(マネー・ローンダリング)・司法妨害・腐敗(公務員による汚職)等の処罰、およびそれらへの対処措置などについて定める国際条約
2016年10月現在、署名国は147、締約国は187です。是が非でも、わが国でも加入すべきです。

なぜ日本が加盟できてないのか?という点については、法務省:組織的な犯罪の共謀罪に関するQ&A で法務省によって説明が加えられています。
この条約は、国際組織犯罪対策上、共謀罪などの犯罪化(注)を条約加入の条件としています。しかし,我が国の現行法上の罰則には組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の共謀行為を処罰する罪がない。
とあります。では、ここで加盟条件となっている第五条を見てみますと、以下のようになっています。
締約国は、次の一方又は双方の行為を犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。 
物質的利益を得ることに関連する目的のため重大な犯罪を行うことを一又は二以上の者と合意することであって、国内法上求められるときは、その合意の参加者の一人による当該合意の内容を推進するための行為を伴い又は組織的な犯罪集団が関与するもの 
組織的な犯罪集団の目的等を認識しながら、組織的な犯罪集団の犯罪活動等に積極的に参加する個人の行為 
締約国は、組織的な犯罪集団が関与する重大な犯罪の実行を組織し、指示し、ほう助し、教唆し、若しくは援助し又はこれについて相談することを犯罪とするため、必要な立法その他の措置をとる。
という事であり、確かに共謀罪の制定を要求しているのです。つまり、条約を素直に読めば、政府答弁である我が国には共謀罪がないから加入できないというのは正しいです。


一方で、日弁連は反対の立場を取っており、これは以下のサイトにまとめられています。
日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:日弁連は共謀罪に反対します(共謀罪法案対策本部)
詳細はこのサイトをご覧いただくものとして、日弁連は、共謀罪が国内法の法体系を変えると主張しています。さらに、「新たな共謀罪立法なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准することはできます」というスタンスを取っています。

日弁連は共謀罪を成立させずとも加入国が認めれば加入できると主張しています。

しかし、新たな共謀罪立法を行ったことが確認された国はノルウェーとブルガリアの2カ国しかないなどとしていますが、これはブログ冒頭の高橋洋一氏が指摘しているように、「新たに」立法した国という意味です。締結国では既に国内法が準備されていたというのが実態です。

アメリカ合衆国は、州法では極めて限定された共謀罪しか定めていない場合があるとして国連越境組織犯罪防止条約について州での立法の必要がないようにするため、留保を行っています。

セントクリストファー・ネーヴィスは、越境性を要件とした共謀罪を制定して、留保なしで国連越境組織犯罪防止条約を批准しています。

弁護士会館ビル
ここで日弁連の主張が理解できないのは、共謀罪の成立なく日弁連の提案する国内法の解釈のみを訴えて加入できている国はあるのか否かという事です。日弁連が本当に我々を納得させたいのであれば、共謀罪の存在無くして現存の国内法のみで加入できた例を示し、道筋を提案すべきでしょう。

現状では187の締約国が日本の加入を認めていないのは共謀罪がないからであって、同時に日弁連の唱える国内法の解釈では締約出来ていないという現実があります。

「国際組織犯罪防止条約」に加入してない日本でやりたい放題であろう組織犯罪を一つ想像してみましょう。犯罪収益の洗浄(マネー・ローンダリング)を犯罪化することが共謀罪の一つの要点になります。

資金洗浄といえば、外国為替証拠金取引(FX)をめぐる金融商品取引法違反容疑で大阪府警に逮捕された静岡県の貿易会社代表(41)の顧客向け口座が、北朝鮮の兵器密輸の資金洗浄(マネーロンダリング)に使われていた疑いがあることが2014年8月7日、公安関係者への産経新聞の取材で分かっています。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記直轄の工作機関が運用していたとみられています。国際社会が懸念を深める北朝鮮の資金洗浄の一端が浮かび上がった形となりました。


北朝鮮との武器取引は国連の制裁対象で、資金の流れに対する欧米の監視も強いです。北朝鮮は中東やアフリカ諸国、テロ組織との取引で得た資金を、英独や中国、マカオなどいくつもの口座に小分けし、管理・運用しているとされています。日本の個人投資家の口座はマークされる可能性が低く、洗浄ルートの一つに選ばれたようです。

こうした犯罪が、口座の不正操作などの既存の法律に抵触してなくて立件できずに見逃してしまう事がなくなる事が期待できるなら共謀罪の成立は、素晴らしい事だと思います。逆に、共謀罪がないので、このようなことも見過ごされている可能性も大きいということです。

上の事例など、あくまで金融商品取引法違反容疑で逮捕されたということであり、マネーロンダリングで逮捕されているわけではありません。共謀罪が成立すれば、こうした北朝鮮絡みのマネーロンダリングでも逮捕できることになります。

しかし、良く考えてみると、日本でこのような法律がなかったばかり、日本が北朝鮮による資金の稼ぎどころになったのと同時に資金洗浄の場ともなり北朝鮮の核やミサイル開発の資金を提供先になっていた可能性が多いにあります。

もし、共謀罪が他国と同じように日本にも昔からあれば、このようなことは防ぐことができたかもしれません。そうなっていれば、北朝鮮の核やミサイルの開発がかなり遅れた可能性もあります。

以上のようなことから、日弁連の主張はほとんど根拠がないということが理解できます。

テロ等準備罪(共謀罪)に関しては、日弁連以外にも反対意見がありますが、その全部が根拠が薄弱であり、納得のいくものではありません。

それに関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。

北朝鮮ミサイル発射「失敗」への不安 「不安定な武力ほど危ないものはない」―【私の論評】核ミサイルがすべて破壊されても北は核攻撃できる(゚д゚)!

北朝鮮の「労働新聞」に掲載された弾道ミサイル発射の模様
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約(パレルモ条約)は、そもそもテロ等準備罪のようにテロを対象としたものではないので、テロ等準備罪には反対などいう、全く理解しがたいことを反対派が主張していることを掲載しました。その部分のみを以下に引用します。
リベラル・左派、左翼の連中は、テロ等準備罪には真っ向から反対です。しかし、彼らは北朝鮮による原発テロ攻撃の阻止に関して、絶対に反対なのてじょうか。 
これに関しては、メディアや野党が悪質な印象操作を行っています。彼らは、パレルモ条約は 「テロを対象としたものではない」から、テロを対象とするのテロ等準備罪はおかしいなどとの奇妙な論理を用いて、テロ等準備罪に反対しています。 
 しかし、パレルモ条約は「テロだけを対象としたものではない」ものであり、当然 テロも対象になります。 パレルモ条約とは、当然のことながら、テロも含めて「一定刑以上の重要犯罪の合意」を取り締まるという条約であり、187か国締結(残り10か国程度)しているものです。そうして、残り10 カ国程度のうちの一国が日本なのです。 
パレルモ条約がテロ集団を対象としないという解釈はフェイク
今国会 においては、2003年に署名はしたものの条件を整えられず批准できないパレルモ条約について、 その条件を整えるために政府はテロ準備罪を提出したわけです、そうしてこれは最低条件であるとしているわけです。 
テロであるないに関わらず、「重大な犯罪を行うことの合意」がパレルモ条約の内容であり、目的を限定したものではないのです。 パレルモ条約はテロを対象としていないとするもっともらしい発言は事実ではないのです。 
にもかかわらず、民進党などの野党もこれに対してまでどこまでも反対するのでしょうか。しかし、この緊急事態が目の前に存在するわけですから、百歩譲って北朝鮮によるテロ攻撃の可能性に絞り、当面の北朝鮮の脅威が去るまでの時限立法という形でも良いから賛成するということはできないものなのでしょうか。
このような反対派は、 パレルモ条約は「テロだけを対象としたものではない」ものであるということを「テロを対象にしたものではない」と勝手に解釈を変えて反対しているのです。何というか、これでは国語力の問題であり、反対派には国語力検定でも受けて自分たちの国語力のなさを補っていただきたいと思います。

それから、当然なから民進党も反対のための反対をこれから国会で行なおうとしていようです。それについても、このブログに掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
【テロ等準備罪】カレー作ったら毒殺準備?…民進が「追及リスト」でイメージ戦略―【私の論評】民進党ブーメラン発売開始しました(笑)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとしして、この記事では、共謀罪の構成要件を厳格化した「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議入りを控え、民進党が追及姿勢を際立たせ始め、金田勝年法相らが国会答弁で明言を避けたとする内容をまとめた40項目の「追及リスト」を作成し、国会論戦で問いただす姿勢をアピールしていることを掲載しました。

このリストというのがあまりにも馬鹿馬鹿しいないようなので、詳細はここでは説明しません。ただし、以下にそのリストやらの一部を掲載します。


この内容、はっきりいえば、民進党は有権者を馬鹿にしているのかと罵倒を浴びせたくなるないようです。

さらに、反対派に共通する反対の理由を以下に述べます。それは、テロ等準備罪を拡大解釈すると「一般人」にもあてはまるのではないかという論法です。

テロ準等備罪 が「一般人」もその対象になるのかという議論 そもそも論として「一般人」の定義があまりにも曖昧です。このようなことで反対する反対派や、国会で質問する議員に対しては、「一般人」の定義を確認すれば済むことだと思います。 

もともとは一般人だった人が、テロリストやテロ団体を支援した時点で一般人とは言えない テロ支援者となります。

また、日本赤軍や過激派への支援をしている人が「一般人」だといえるのかといえば、言えるはずもありません。 その人が過激派などを支援している以外は、一般的な生活を営んでいたとしても、テロ支援者であるということでとても、一般人などとは言えません。欠結局、反対派による「一般人」の定義が曖昧であるだけです。

北朝鮮の工作員による、マネーロンダリングやテロなどが、現実のものになりうる現在では、このような主張をしても説得力がほとんどありません。

野党などが、また2015年当時の集団的自衛権行使を含む安保法制に対して、この法律が通れば戦争になるという論法で大反対をしたようなやり口で、テロ等準備罪に反対したとしても、全く説得力がなく、多くの有権者ももう騙されることはないでしょう。

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