2017年12月24日日曜日

高橋洋一が語る「北朝鮮問題は春までに開戦or北朝鮮のギブアップ」が不思議ではない2つの根拠―【私の論評】北の運命は日米中露の間では既成事実!後は実行するだけ(゚д゚)!

高橋洋一が語る「北朝鮮問題は春までに開戦or北朝鮮のギブアップ」が不思議ではない2つの根拠

日刊SPA!取材班


 すでに「アメリカによる攻撃のカウントダウンが始まっている」といわれる北朝鮮情勢。夏以降、毎月のようにミサイルが発射され、その飛距離が徐々に伸びている状況を見ると、さすがに「今回ばかりは、戦争も避けられないかも」と思ってしまう。しかし同時に、お隣の韓国がさほど気にしていないところを見ると「まぁ、いつものことか。大丈夫だろう」とも思える。

「米朝戦争は目前」と煽るマスコミもあるが、実際、戦争が起こるなんてことはあるのだろうか?

「開戦か北朝鮮のギブアップか、来年の春には、結果が出ているんじゃないでしょうか。個人的には、アメリカが北朝鮮を攻撃する確率が、きわめて高いと思っていますが」

 そう語るのは『朝鮮半島 終焉の舞台裏』の著者で、数量政策学者の高橋洋一氏だ。「ここまで条件が揃ってしまうと、そう言わざるを得ない」と続ける氏に、その根拠の内容を聞いてみた。

経済学者・高橋洋一氏
でっちあげてでもアメリカは北朝鮮を攻撃する

 その根拠の一つに「北朝鮮のミサイル開発が、急速に進展している」ことがあると高橋氏は語る。

 「11月に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)『火星15』は、米メディアの報道によると『大気圏への再突入に失敗し、途中で分解した』とのことでしたが、飛距離だけでいえば1万3000kmと、すでにニューヨークを射程内にとらえています。専門家の間では『1年以内に大陸間弾道ミサイル(ICBM)の再突入技術は確立されるだろう』と言われていますが、今の開発スピードを考えれば、もっと早いかもしれません。

出所:北朝鮮発表
アメリカにしてみれば、当然、本国に届くミサイルが完成する前に、北朝鮮を叩かなければならないわけで、そうなると春くらいまでには攻撃をせざるを得ない。『核拡散を防ぐ』という大義名分もありますしね」

 やられる前にやる、というわけだ。しかし北朝鮮には、中国やロシアなど旧東側諸国がバックについている印象がある。たとえアメリカでも、そう簡単に手出しできないのではないだろうか?

 「たしかに中国やロシアにとって、対西側諸国の防波堤として、北朝鮮は重要な存在でしたが、もはや手に負えない存在になっています。今でこそ韓国や日本、アメリカに向けられているミサイルが、いつ自国に向けられるとも限りません。それに、戦火を逃れた武装難民が国内に流入すれば、それこそ厄介。特に陸続きの中国は、この状況は避けたいはず。

 過去に北朝鮮への制裁決議に中国やロシアが反対しなかったこと、残された追加制裁の内容が全面禁輸ぐらいしかないことを考えても、武力行使に反対する可能性は低いでしょう。また、仮に反対にあった場合でも、アメリカは国連を動かすことなく、単独でも行動に移すでしょう。なぜなら、アメリカは『そういう国』だからです」

 国際的な正当性を得るためには、国連決議がベストである。しかしこれには、中国やロシアを含む常任理事国の全会一致が必要となる。万が一、ロシアか中国が反対すれば「イラク戦争の時のように多国籍軍を結成し、何らかの口実を作ってでも北朝鮮を攻撃する」と高橋氏は続ける。

 「いい悪いは別として、冷酷な事実を見なければいけない。そもそもアメリカは事件をでっち上げてでも、戦争をする国。ベトナム戦争でのトンキン湾事件はその典型だし、イラク戦争における大量破壊兵器も事実ではありませんでした。特にトランプ大統領は、大統領就任直後に単独でシリアを攻撃するなど「オバマ時代の弱腰外交とは違う」というところを見せつけようとしています。北朝鮮が挑発を繰り返し、火に油を注ぐような行動をとれば、たとえ本国に届く核ミサイルが完成されなくても、アメリカは軍事オプションを行使するでしょう」

北朝鮮は約束破りの常習犯

 本国に届く核ミサイルができる前に、アメリカは北朝鮮を攻撃する。これは、わかった。しかし、そうなる前に対話によって解決はできないのだろうか?

 「たしかに、それが一番いいですね。でも、実際は難しいでしょう。というのも北朝鮮は、国際社会で何度も約束を反故にしてきたからです。最近だとオバマ時代に、核実験停止などの見返りに食糧を提供する約束(『2・29合意』)を反故にしたことがありました。今後もきっと同じことが起こる。そもそも北朝鮮には、国際社会の約束事を守る気なんて、これっぽっちもないんです」

出所:BBC、防衛省、各種資料など
 付き合えば、バカを見る。それが北朝鮮という国なわけだ。とはいえ、アメリカではなく、中国かロシアが話をすれば、なんとか話になるのでは?

 「それも無理でしょう。さっきお話したように、北朝鮮はもはや誰もコントロールできない国になっています。金正恩は中国の使者を門前払いだし、そもそも習近平主席は、金正恩に会ったことがない。ロシアにしても、首都からはるか東の揉め事が盛り上がってくれれば、国際社会の目がクリミア問題から離れてくれるので好都合なはず。あえて、半島情勢に口出しはしないでしょう。

 それと一応言っておくと、民族主義で有名な韓国の文在寅大統領も、大統領就任当初こそ、北朝鮮との対話に意欲的でしたけど、人道支援で国際社会から大ブーイングを受けたあとは、さすがに諦めたみたいです」

注視すべきは半島崩壊後の国際情勢

 北朝鮮という国、それを取り巻く周辺諸国の事情を考えると、米朝戦争は、もはや避けられないようだ。しかし、北朝鮮より警戒するべき国があると高橋氏は続ける。注視すべきは「米朝戦争ではなく、その後の半島情勢」だと言う。

 「世間では、北朝鮮のミサイル、それが引き金となる米朝戦争勃発が話題になっていますが、アメリカや中国をはじめとする当事国の間では、すでにポスト金正恩体制について、話し合いが行われているはずです。つまり、金正恩体制崩壊後、どの国が北朝鮮を統治するのか。そのことが今後、非常に重要になってきます。おそらくは、中国が傀儡政権を置き、統治することになるのでしょうが、朝鮮半島の半分を手に入れることにより、東アジアでの中国の力はますます大きくなるでしょう。

習近平
 10月の中国共産党大会で、党の規約に「習近平思想」を盛り込んだ習近平主席 習近平主席は党総書記に就いた直後、「中国の夢」というスローガンを掲げ、建国から100年にあたる2049年までに「社会主義の現代化した国家」を目指すとしています。これは、列強に半植民地化されたアヘン戦争以前の大国の地位を取り戻すことだと解釈できます。この中国に対し、日本はどう対応していくのか? 米朝戦争よりも、実はこのことが今後、大きな問題になってくると私は見ています」

 現在でも東シナ海問題で横暴な行動を繰り返す中国。10月の党大会で2期目を迎えた習近平主席は、その際「ポスト習近平」を指名せず、3期継続を目論んでいるといわれている。「中国の夢」は「周辺国の悪夢」に他ならない。なんとか阻止をしたいが、こちらもやはり対話では解決できないのだろうか?
<文/日刊SPA!取材班 協力/高橋洋一>

【高橋洋一】
嘉悦大学教授。1955年(昭和30年)、東京都生まれ。東京大学理学部数 学科・東京大学経済学部経済学科を卒業。博士(政策研究)。1980年(昭和55年)に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣参事官等を歴任した。第一次安倍内閣では経済政策のブレーンとして活躍。「霞が関埋蔵金」の公表や「ふるさと納税」「ねんきん定期便」などの政策を提案。12月24日に最新刊『朝鮮半島 終焉の舞台裏』が発売

【私の論評】北の運命は日米中露の中では既成事実!後は実行するだけ(゚д゚)!

現時点では、「北朝鮮問題は春までに開戦or北朝鮮のギブアップ」が不思議ではない2つの根拠の他にも、少なくとも2つは根拠があるものと思います。


一つは、拉致被害者の存在です。日本、韓国そうして数は少ないものの、米国にも拉致被害者が存在します。一人は、今年北朝鮮から米国に戻された後に死亡したオットー・ワームビア氏(22)、もう一人は2004年に中国で失踪し、北朝鮮に拉致された疑いが指摘されている米国人男性デービッド・スネドン氏です。

デービッド・スネドン氏
スネドン氏については、中国雲南省から国境を接するミャンマーに拉致されて平壌に移送され、その後現地の女性と結婚し「ユン・ボンス」と名乗っているとの情報を、昨年8月に「戦後拉北者被害家族連合会」の崔成龍理事長が北朝鮮内の消息筋から得たと明らかにしていました。

国民国家の重要な使命の一つとして「国民の生命・財産を守る」というものがあります。米国民の拉致被害者が存在していること、同盟国の日本と韓国の多くの国民が拉致被害者となっていることも、米国が北朝鮮に対して武力攻撃をする理由の一つなるでしょう。

もう一つは、ブログ冒頭の高橋洋一氏の記事にもあるように、「アメリカや中国をはじめとする当事国の間では、すでにポスト金正恩体制について、話し合いが行われているはず」ということです。

これについては、北朝鮮版ヤルタ会談ということで、このブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」―【私の論評】北朝鮮版「ヤルタ会談」のキーマンは安倍総理(゚д゚)!
詳細に関しては、この記事をご覧いただくものとして、以下に北朝鮮版「ヤルタ会談」に関係す部分を引用します。

北朝鮮問題に関しては、今年の末から、来年の前半あたりには必ず何らかの動きがあります。最悪の場合は、米国による爆撃などの武力行使があることでしょう。この場合、中国の参戦もあるかもしれません。あるいは、制裁に北朝鮮が折れて何らかの進展があるかもしれません。 
いずれになるにしても、間違いなく、来年前半あたりには必ず動きがあります。
安倍総理とトランプ大統領
その前に、11月に日米首脳会談、米中首脳会談があります。また、APECでの各国首脳会談には、ロシアも出てくるでしょう。それらの国際会議では、北朝鮮問題が話し合われるのは間違いありません。これらは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものです。

「ヤルタ会談」とは無論のこと、第二次世界大戦終了直前の当時のアメリカ合衆国・イギリス・ソビエト連邦による首脳会談です。ソ連対日参戦、国際連合の設立について協議されたほか、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパならびに極東における米ソの利害を調整することで、大戦後の国際レジームを規定したものです。これが、後に東西冷戦の端緒ともなりました。

こうした北朝鮮版ヤルタ会談ともいえる、会議において、安倍首相は大きな役割を果たす可能性が高まってきました。これらの会議では、北朝鮮が最終的に戦争に突入した場合と、制裁に屈した場合の両方について、協議が行われることでしょう。
いずれにしても、この重要な会議において、再び極東のレジームが定められることは間違いありません。そうして、この新たなレジームを定めるにあたり、経験の浅く、本土が北朝鮮からかなり離れている米国のトランプ大統領だけが、北朝鮮に国境を接している中国・ロシア首脳と会談をすすめるということになれば、米国にとっては不利な状況になります。
しかし、日米同盟の同盟国でもある、半島情勢に大きく左右される日本がこの会議に参加し大きな役割を果たせば、米国も中国やロシアと対等に話ができます。

そうして、この会議で最も重要なのは、「ヤルタ会談」のように、大戦後の国際レジームを規定が齟齬をきたして、後の東西冷戦を招いたようなことにならないようにすることです。

北朝鮮が戦争するか、しないで制裁に屈服した場合のいずれの場合でも、その後に再度北朝鮮が核武装をしたり、米中露による新たな冷戦が起きないようしなければならないのです。

そのためには、やはり日本がリーダーシップを発揮しなければ、とんでもないことになってしまいます。

まさしく、北朝鮮版「ヤルタ会談」においては、安倍総理はキーマンなのです。そうして、ヤルタ会談では日本を含む極東レジームも定められましたが、北朝鮮版「ヤルタ会談」では新しい極東レジームが定められることになります。

とすれば、極東レジームの日本の戦後レジームも崩壊することになります。これは、まさに安倍総理が取り組んできたことです。
もうすでに、「北朝鮮版ヤルタ会談」は終了しています。日米中露の間で、すでに北朝鮮の運命は決まっていることでしょう。それは、中露は米国が北攻撃を容認すること、さらには攻撃後の半島の新たな秩序に関してもこれらの国々の間で合意ができていて、その通りになることでしょう。

ただし、私はブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が主張しているように、「金正恩体制崩壊後、どの国が北朝鮮を統治するのか。そのことが今後、非常に重要になってきます。おそらくは、中国が傀儡政権を置き、統治することになるのでしょうが、朝鮮半島の半分を手に入れることにより、東アジアでの中国の力はますます大きくなるでしょう」ということにはならないと思います。

なぜなら、日米は当然中国のこの危険性を察知していることと、中国が北朝鮮に傀儡政権をつくることは、 中国にとっても実は危険なことだからです。

なぜ中国にとって危険なのかは、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北朝鮮危機】朝鮮半島の最悪シナリオに備えよ 「中国が実質的に支配」なら日本は脅威を直接受けることに―【私の論評】中国が北実効支配なら習近平は寝首をかかれる(゚д゚)!
米中の「二大大国の覇権争い」で朝鮮半島の危機を考えたとき、日本はどう動くべきか
それが現実になるかならないかは別にして、習近平は現在の中国東北地方を拠点とする人民解放軍の北部戦区(旧瀋陽軍区)のクーデターが発生することを恐れています。北に進駐するのは、この北部戦区の人民解放軍であることが想定されます。

北部戦区の人民解放軍が北に進駐することは、習近平は極度に嫌うものと考えられます。

この記事から、それに関係する部分を以下に引用します。
この瀋陽軍区は特に中国人民解放軍の中でも、最精強を誇り、機動力にも優れています。 
朝鮮戦争(1950~53年休戦)の戦端が再び開かれる事態への備え+過去に戈を交えた旧ソ連(現ロシア)とも国境を接する領域を担任する旧瀋陽軍区には、軍事費が優遇され、最新兵器が集積されています。 
大東亜戦争(1941~45年)以前に大日本帝國陸軍がこの地に関東軍を配置したのも、軍事的要衝だったからです。 
習国家主席は、北京より平壌と親しいとされる「瀋陽軍区」によるクーデターを極度に恐れているといわれています。「瀋陽軍区」高官の一族らは、鴨緑江をはさみ隣接する北朝鮮に埋蔵されるレアメタルの採掘権を相当数保有しています。

これは、「瀋陽軍区」が密輸支援する武器+エネルギー+食糧+生活必需品や脱北者摘発の見返りです。北朝鮮の軍事パレードで登場するミサイルや戦車の一部も「瀋陽軍区」が貸している、と分析する関係者の話もあります。 
もっと恐ろしい「持ちつ持たれつ」関係は核・ミサイル製造です。中国人民解放軍の核管理は《旧・成都軍区=現・西部戦区》が担い「瀋陽軍区」ではありません。「瀋陽軍区」は核武装して、北京に対し権限強化を謀りたいのですが、北京が警戒し許さないのです。

ならば、核実験の原料や核製造技術を北朝鮮に流し、または北の各種技術者を「瀋陽軍区」内で教育・訓練し、「自前」の核戦力完成を目指すということも考えられます。 
実際、2016年、中国の公安当局は、瀋陽軍区→北部戦区の管轄・遼寧省を拠点にする女性実業家を逮捕しました。高濃度ウランを生み出す遠心分離機用の金属・酸化アルミニウムなど核開発関連物資や、戦車用バッテリーなど大量の通常兵器の関連部品を北朝鮮に密かに売りつけていたのです。戦略物資の(密輸)重油も押収されました。
このようなことから、私は北の現在の体制が崩壊した後は、習近平はそれを中国の傀儡政権にするというよりは、日米中露およびその他の国々の軍隊により組織される国連軍による分割統治のほうを望むのではないかと思います。

いずれにせよ、今回は北に民主的な政権が根付くようにすべきと思います。そうでないと、またこの地域が紛争の絶えない地域になり、新たな脅威の火種になるだけです。

また、この分割統治に日本が参加するかどうかは、未知数です。日本は、この分割統治にどのように臨むかが、これからの日本の試金石になると思います。

これを日本を拒めば、米国も中露も日本を韓国なみの国とみなすようになるでしょう。これに対して多少犠牲者がでることも厭わず参加すれば、米国は今後も同盟国として扱い、さらに日本に対する信頼を増すことでしょう。中露は、日本を侮れない存在として再認識することになるでしょう。具体的には、中国は尖閣奪取をためらうようになるかもしれません。露は北方領土問題を真面目に考えるようになるかもしれません。

いずれにせよ、このシナリオが成就するかどうかは別にして、すでに北の運命は日米中露の中では、既成事実として決まっていることでしょう。後は実行するだけなのです。今は適当な実行時期を模索している段階です。そうして、北朝鮮はその運命を変えることはできません。

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2017年12月23日土曜日

貴乃花親方を公開説教、笑う白鵬と緊張感ない力士たち 暴力問題の再発防止研修のはずが…―【私の論評】まともな「組織の精神」を根付けなければ抜本的解決にはならない(゚д゚)!

貴乃花親方を公開説教、笑う白鵬と緊張感ない力士たち 暴力問題の再発防止研修のはずが…

日馬富士 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 元横綱日馬富士(33)の暴行事件で揺れる日本相撲協会は21日、「暴力問題の再発防止について」と題した研修会を、東京・両国国技館で開いた。ところが壇上に上がった講師役の面々は「八角理事長を信じて」などと語り、相撲協会と反目する貴乃花親方(45)を批判するものばかり。さながら貴乃花親方に対する公開説教のようだった。

 貴乃花親方をはじめ力士、親方ら約1000人の協会員が出席した研修会。貴乃花親方の席は最前列。アリーナに設置された関取衆の椅子には、背もたれの部分に名前の書かれた紙が張られ、前から2列目に「貴ノ岩」と書かれた席も用意されていたが、姿をみせなかった。

貴乃花親方
 講師は評議員会の池坊保子議長(元文部科学副大臣)、危機管理委員会の高野利雄委員長(元名古屋高検検事長)、八角理事長と相撲協会の“身内”の3人。これまでも池坊議長は、貴乃花親方が暴行事件を協会に報告しなかったことに「速やかに報告していたら、理事長も対応のしようもあったと思うと残念」と苦言を呈し、貴ノ岩に対しても「自分はこうだったという説明をなさるべき。被害者がどうだったかきっちりと説明する必要がある」と話すなど、ガチガチの協会擁護派といえる。

池坊保子
 冒頭の5分間が報道陣に公開されたが、池坊議長は「本当に無念な事件が起きました。私も大変残念で、夜何日も眠れませんでした」と第一声。そして開始わずか2分で、何とも的外れな発言が飛び出した。

 「どうか皆様方、八角理事長の下に、八角理事長を信じ、心を1つにして協力しあっていただきたいと、私は願います。心を1つにし、協力しあうことなくして、相撲協会の発展はありません。そして相撲協会の発展なくして、1人1人の幸せはないのです」

 これでは暴力の再発防止というよりも、まるで八角理事長を持ち上げ、一致団結を訴える集会。最前列でゆったりと背もたれに体を預け、にらみを利かせているように座っていた貴乃花親方に向けられているかのようだった。

 さらに池坊議長は「いま不平不満がある方もあるかもしれません。でも、それを負の遺産にしてはなりません。それを原動力、エネルギーにして、相撲で勝とう、努力しようと思ってください」とも。これでは力士たちにどこまで響いたのかは、微妙なところだ。

にらみを利かせる貴乃花親方(右から2人目)と、壇上に. 池坊議長 ...
実際に、ステージから一番遠い正面のマス席から傍聴していた幕下以下の力士は、池坊議長の話がつまらなかったのか、2分でソワソワ。特に目立ったのは前から3、4列目の力士たちで私語が多く、ペットボトルをいじったりと、緊張感のない光景が繰り広げられた。横綱白鵬も笑顔を見せる場面もあり、とても暴行事件で処分を受けた直後にはみえなかった。

 八角理事長は九州場所後に、十両以上の力士を集めて講話を実施したが、たった15分で終了。今回も「何気ない気持ちでやった暴力が、組織を揺るがすようなハメになってしまう」などと話したが、時間はまた15分だった。

 危機管理委員会は28日の臨時理事会までに貴乃花親方を聴取し、処分を発表する予定。年内の幕引きを図ろうとしている。

 貴乃花親方の聴取について鏡山部長(元関脇多賀竜)は「俺は何も聞いていないし、高野先生(委員長)も何も言っていなかった。俺は時間があるので、機会があれば一緒に」と同席することを希望していたが、この日は行われなかった。

【私の論評】まともな「組織の精神」を根付けなければ抜本的解決にはならない(゚д゚)!

問題となった酒席はモンゴル出身力士の先駆けとなった元小結・旭鷲山のダバー・バトバヤル氏が関取になったことを機に少人数で始め、20年以上続く「モンゴル人飲み会」でした。
バトバヤル氏が95年に十両に昇進して初のモンゴル出身の関取となった後、元関脇・旭天鵬(現・友綱親方)と元幕下・旭天山の3人で酒席を設けるようになったという。東京のモンゴル大使館で正月に集まったり、巡業先で食事をしたりする形で年に数回開催。同氏は「けんかや暴行は一度もなかった」と残念そうでした。

この「モンゴル人飲み会」が「モンゴル互助会」とは別物なのか、何か関係があるのかいまのところはっきりしませんが、「モンゴル互助会」について相撲界で隠然とささやかれているのは事実です。

これは、モンゴル出身力士による親睦組織のことです。今回のモンゴル力士同士の暴力事件は、この互助会の存在抜きには、語ることができないのです。

92年に旭鷲山、旭天鵬、旭天山ら6人の力士が、モンゴルで行われた新弟子検査に合格する形で、初めて日本の相撲界にやって来ました。

それまで大相撲の外国人力士といえば、小錦や曙らハワイ勢が幅を利かせていましたが、小柄でもモンゴル相撲の下地があって下半身がしっかりしたモンゴル勢は強くなる要素がありました。

その後も朝青龍や日馬富士、白鵬(32)が登場し、現在に至るまでのモンゴル人力士の系譜ができました。彼らは衣食住全ての面で文化や価値観が日本とは違います。

ましてや、同時に異国の地にやって来た6人は結束も固く、互いを励まし合うようによく飲み会、懇親会を開いていました。これが『モンゴル互助会』のスタートです。早くに出世した旭鷲山、旭天鵬の代わりに旭天山が他の部屋の同胞力士に声をかけ、コミュニティーが築かれていきました。

当時のモンゴルは社会主義から生まれ変わったばかりで、6人の力士も貧しかったのです。その中で、彼らは着々と勢力を拡大していきました。有望力士をスカウトしようと、親方衆も次々とモンゴルを訪れました。

外国人力士が増えすぎたこともあり、朝青龍が初土俵から最速で横綱昇進する直前の02年、「各部屋に入門できる外国人は1人だけ」というルールも誕生しました。

今は、モンゴル人の新弟子が入門するには、空きが出るのを待たなければいけない状況です。モンゴル国内ではその順番待ちをする若い力士予備軍を、組織的に大量に抱えているとも言われます。待機組は一定の年齢に達すると『縁がなかった』と諦め、代わりに若い力士を加える、ということもあるそうです。

モンゴル互助会は、10年に暴力事件を起こすまで、朝青龍がトップに君臨。強制引退させられたあと、その座は白鵬へと移りました。

互助会は基本的にモンゴル人同士のものです。しかし、モンゴル人以外の力士も関わりを持つことがあるようです。良い例は、巡業や稽古総見の際、白鵬が現れると全員が水をつけに行くことです。



これ自体、白鵬に恭順の意を示していることの表れであり、事実、白鵬はモンゴルだけでなく、日本人力士をも仕切っていると言って良い状況のようです。大関時代の稀勢の里だけは、水をつけに行くことはありませんでした。

白鵬が相撲界を半ば「支配」している構図をかいま見る一コマです。無論どの程度の支配なのかはわかりませんが、それにしても、ブログ冒頭の記事にある、貴乃花親方に対する公開説教といい、どうも相撲界は組織としてみた場合、健全な「組織の精神」を保っているとはいえないようです。

「組織の精神」については、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
富岡八幡宮事件に見る、組織に「怨念」を抱く者の恐ろしさ―【私の論評】組織の精神を健全に保たなければ怨霊が輩出することになる(゚д゚)!
自殺した茂永氏の遺書を読むと、極めてよくできた内容であることが分かる。そして、このような
「組織に怨念を持つ人」は、なにも富永八幡宮に限らず、そこら中の企業にもいるものだ。 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、「組織の精神」に関わる部分のみを以下に引用します。( )の部分は、当記事にあわせて、引用部分の一部を削除して付け加えたりした部分です。

"
そして組織は以下の4点を満たさなければ健全な精神を持っているとは言えません。
①組織の焦点は成果に合わせなければならない 
②組織の焦点は機会に合わせなければならない
人事に関わる意思決定は組織の信条と価値観に沿って行わなければならない
④真摯さこそが唯一絶対の条件である
①組織の焦点は成果に合わせなければならない
成果とは長期的なものであり常にあがり続けるものではありません。野球で言えば打率のことです。バッターは十回中三回ヒットを打てば優秀だと評価されます。しかし七回は失敗しているのです。失敗だけはしない人を信用してはいけません。 
このような人はただ単に無難な仕事だけをこなしているだけであり、挑戦することから逃げているだけです。人は何かに挑戦していれば、必ず失敗するものです。
弱みのないことを評価してはならないのです。優れた人程多くの失敗を犯しますし、新しいことに挑戦をするものです。
(相撲協会など相撲のあり方など、過去を継承するだけで、相撲界の成果など考えたこともないのではないでしょうか。ドラッカー氏によれば、非営利組織こそこのあたりをしかり考えるべきとしています) 
②組織の焦点は機会に合わせなければならない
問題に焦点を合わせている組織は守りに入っていてそれ以上成長することができません。
成果は組織の中ではなく外の世界にしか存在しません。(相撲界)も成果は神社の中ではなく外の世界に存在するのです。(社会を良い方向に何らかの形で変えることこそが成果なのです。相撲界の中に成果はありません) 
組織は機会に資源とエネルギーと時間を使うことによって成長していけるのです。
成果が定義されていない組織においては、何が機会かもわからなくなってしまいます。 
 ③人事に関わる意思決定は組織の信条と価値観に沿って行わなければならない
成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇進、昇給、降格、解雇などの人事に関わる意思決定が管理手段として大きな役目を果たします。 
そして組織には固有の信条とや価値観があり、人事の意思決定はそれに対して矛盾したものとなってはなりません。
矛盾していれば働くものが勘違いをしますし、また信頼を失うことになります。(但馬富士も、白鳳)も勘違いをしていたのではないでしょうか。
(相撲協会は、このあたりが揺らいでいるのかもしれません。 相撲をスポーツのように考え、相撲が強いものだけが昇進していくという考え方と、日本の伝統を守る品格なども重視するという考え方に相克があるのかもしれません)
④真摯さこそが唯一絶対の条件である
真摯さを絶対視することが健全な組織の条件です。人事に関する意思決定においては真摯さという基準は絶対無視してはなりません。
特に真摯さに欠ける者をマネージャー(相撲界では親方や、相撲協会の理事など)にしては絶対にいけません。
真摯さの定義は難しいです。これについては、このブログで詳細に述べたことがあります。これについて、詳細を知りたい方は、その記事を参照して下さい。 
真摯さを定義するのは難しいですが、真摯さに欠ける人はどのような人なのかは、示すことができます。以下の5つに該当する者をマネージャーにしてはなりません。
第一に、強みよりも弱みに目を向ける者。 
これは組織の基本的機能であり使命にも反します。強みよりも弱みに目を向ける者をマネージャーにおけば組織は弱体化していきます。
第二に、何が正しいかよりも誰が正しいかに関心を持つ者。
マネージャーの仕事は何が正しいかを分析することでもあります。
人の意見に左右されて本当の正しさを見失うような、もしくは人によって態度を変えるような人間はマネージャーとして不適合です。
マネージャーは人よりも仕事を重視しなければなりません。
第三に、誠実さよりも賢さを重視する者。
そういう者は人として未熟で、その未熟さは後天的に改善されることは難しいです。また、こういった人間を変えることもとても困難なことです。
第四に、部下に脅威を感じる者。
マネージャーは部下の失敗の最終責任を負う覚悟があってはじめてマネージャーたりえるのです。これは逆に言うと部下の成功を自らの成功と捉えることができるということです。 
部下の成功に脅威を感じる者は責任を理解していませんし弱い人間です。
第五に、自らの仕事に高い基準を設定しない者。
優れたマネージャーというものは自らに一流の仕事を要求しますまた、自らの仕事に高い基準を設定できなければ、他の者にも優れた仕事を要求することはできません。 
そういった者にマネジメントされる人間は基準の低い狭い範囲の仕事をやらされることになります。
また他人に高い基準の仕事を要求しておいて自らは低い基準の仕事を行う者に信頼をよせる人間がいるでしょうか。自分に甘く他人に厳しいという人間に人はついてきません。
いかに豊富な知識があり、いかに効率よく仕事をこなす者であっても真摯さが欠けていればそこで働く人間を破壊します。そうして、組織の精神を損ない業績は低下するでしょう。
真摯さこそが唯一絶対の条件なのです。(相撲協会の八角理事長や他の理事など)は真摯な人なのでしょうか。もしそうでなければ、そもそも理事長や理事にしたこと自体が間違いです。
"
以上、マネジャーとは企業組織をモデルとして掲載したので、わかりにくいところもあるかもしれませんが、営利組織であろうと、非営利組織であろうと、管理(マネジメント)をする人のことです。

相撲界でいえば、相撲協会、相撲部屋の親方などに相当するものと考えられます。ただし、相撲取りでも関取以上は一般力士の規範とならなければならず、マネジメント的役割も担っていることは確かです。

以上の「組織の精神」に関しては、ドラッカー氏の提唱するものを簡単にまとめたものです。この「組織の精神」に関しては、一般民間企業だけではなく、無論相撲協会など非営利組織などにもあてはまるものです。

この内容、「字面」を追いかけるだけでは、その深い意味などわからないかもしれませんが、この内容を詳しく掲載していけば、一冊のそれも厚めの書籍になるくらいの内容です。それを全部は紹介できませんので、興味のある方はドラッカーの『マネジメント』などの書籍に是非あたっていただきたいです。

このような「組織の精神」が不健全になっているのが、現在の相撲界なのだと思います。現在の相撲界の組織を以下に掲載します。

現状の評議会は以下のような構成になっています。


現在の理事会は以下のような構成となっています。


力士出身者以外をみると、何やらそのほとんどは名誉職のように見えます。これらの人たちは本当の意味での「組織の精神」など知っているのでしょうか、このような人たちだけではなく、組織の中でトップ・マネジメントやミドル・マネジメンの経験者、その中でも定評のある組織の中で、「組織の精神」に関連するような仕事をしてきた人を入れるべきものと思います。

理事に関しては、相撲取りが大半を占めますが、これも間違いではないかと思います。他の組織の中で、組織開発などに取り組んできた人もいれるべきです。そうして、力士出身者は半分位で良いと思います。

とにかく相撲界には、健全な「組織の精神」を根付けないと根本的な解決にはならないと思います。テレビの報道などをみていると、コメンテーターなどこの「組織の精神」などとは無関係なことぱかり語っているうようです。そもそもテレビ局などには、そのような観念などないのかもしれません。

今回も中途半端に終わってしまえば、相撲界の暴力体質はもとより、他の不明朗な部分も解消されないでしょう。そうした意味では、貴乃花親方にはとことん頑張って頂きたいと思います。

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2017年12月22日金曜日

北朝鮮「兵士亡命」が招く戦争の危機―【私の論評】北朝鮮有事は最悪、北と韓国による米・中・露の代理戦争になり得る(゚д゚)!


北朝鮮兵士
韓国軍合同参謀本部は21日、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の下級兵士1人が韓国に亡命したと発表した。同日午前8時4分ごろ、軍事境界線中西部の非武装地帯(DMZ)で、韓国軍見張り所に向かってきたという。

先月13日に北朝鮮軍兵士が銃撃を受けながら亡命した事件から間もないだけに、緊張を誘うニュースと言える。

今回は銃撃もなく、その後も北朝鮮側に目立った動きはないというが、このような出来事が続けば不測の事態も起こりかねない。実際、過去には危機的な状況もあった。

■吹き飛ぶ韓国軍兵士

北朝鮮と韓国は2015年8月、北朝鮮側がDMZに仕掛けた対人地雷により、韓国軍兵士が身体の一部を吹き飛ばされ重傷を負う事件があった。その背景にあったのが、北朝鮮軍兵士の相次ぐ亡命である。

DMZでは近年、今回のように北朝鮮兵士が徒歩で南側に入り、亡命するなどの出来事が相次いでいる。兵士らが飢えや虐待に苦しむ北朝鮮軍の軍紀びん乱は周知のとおりだが、韓国軍の警備に欠陥があるのも明らかだった。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

DMZに入り込む北朝鮮兵士に対し、韓国軍は必要なら発砲するなりして警告せねばならない。そのようなリスクがあれば、北朝鮮兵士が最前線で脱北するのは簡単ではなかったろう。ところが韓国軍では、亡命兵士が見張り所に入り、見張り所のドアをノックするまで気付かないといった事態が起きていたのだ。

これを受け、おそらく北朝鮮軍は仕方なく、兵士の脱走を防ぐための対人地雷を埋設したのだ。

(参考記事:北朝鮮、軍事境界線付近に地雷埋設か 韓国軍が警戒

ところが不運なことに、この地雷に偵察任務中の韓国軍兵士が接触してしまったのだ。いずれにせよ、DMZでの地雷埋設は明白な休戦協定違反だ。ここから双方は非難の応酬を繰り返し、危機がエスカレートしてしまったのだ。

その過程で韓国軍は、北朝鮮の地雷が爆発し、兵士らの身体が吹き飛ばされる瞬間の動画を公開している。仲間が傷つけられる場面を見た韓国軍将兵や国民の中には、強い復讐心を抱く者も少なくなかった。韓国側は北朝鮮に軍事的圧力をかけ、北側もこれに対抗する動きを見せる。



この時、韓国と北朝鮮はすんでの所で踏みとどまり、話し合いにより危機を回避した。しかし今後、同じような事態が生じた場合に、話し合いで解決できるとは限らない。その後、北朝鮮の核兵器開発が大きく進展し、韓国軍が圧倒的に優位だった2015年8月とは、戦力バランスが変わってきているからだ。

とは言っても、北朝鮮軍兵士の亡命をこちら側から止めることもできない。危機が生じた際、それを安全に乗り越えられるかどうかは、ひとえに韓国と北朝鮮の対応にかかっているのだ。

(参考記事:必死の医療陣、巨大な寄生虫…亡命兵士「手術動画」が北朝鮮国民に与える衝撃


【私の論評】北朝鮮有事は最悪、北と韓国による米・中・露の代理戦争になり得る(゚д゚)!

2017年、北朝鮮兵士による韓国側への亡命はこれで4人目となりました。

直近では11月13日にも、板門店(パンムンジョム)の共同警備区域で北朝鮮兵士が銃撃を受けながら走って亡命し、重傷を負いました。この時の監視カメラの映像を国連軍が公開、世界中で報じられその実態に関心が集まりました。



この兵士は、韓国側による宣伝放送を聞いており、上官による暴力が「耐えられなかった」と話しているといいます。その後、韓国側の治療を受けており、韓国側は宣伝放送でこの兵士の処遇について広報していました。

また、兵士以外の亡命も相次いでいる。

韓国側は、今回の事件の前日、12月20日午後11時半ごろにも、手漕ぎの木造船を使用して民間人2人が韓国側に亡命していた。海洋警察が身柄を確保しています。

2017年に北朝鮮から韓国へ亡命した軍人、一般人は計9回で15人(うち兵士が4人)。2016年の5人(兵士1人)から3倍となっています。

一方、亡命者が増えている背景についてはよくわかっておらず、分析が続けられています。

聯合ニュースは、「経済制裁で生活が苦しくなったのではとの分析がありますが、説得力に欠ける」と解説しています。脱北者の数は減っているからです。

2017年に韓国入りした脱北者は、961人(10月末まで)で、2016年の同期比で16.8%減少しています。金正恩委員長が脱北者の取り締まりを強化しており、中国ルートではなく韓国海上ルートでの亡命が増えているとの見方を聯合ニュースは紹介しています。

これは、たとえ米国が北朝鮮に対して武力攻撃をしなかったとしても、ブログ冒頭の記事にもあるよに、北と韓国との間で紛争が起こる可能性があることをしめ示しています。

北と韓国が紛争を起こした場合、韓国内に駐留している米軍がこれに巻き込まれ、戦争に突入するという可能性も否定できません。

朝鮮半島で戦争が起きれば、中国とロシアはアメリカの敵に?

さらに、米国が北と戦争を始めれば、中国・ロシアも参戦する可能性も否定できません。実際、朝鮮半島で戦争が起こった場合を想定し、アメリカへの攻撃計画を進めている可能性があることが、2人の中国軍関係者の発言で明らかになっています。

中国人民解放軍南京軍区の元副司令官(中将)の王洪光(ワン・ホンコアン)は12月16日、「今から来年3月までの間に、いつ朝鮮半島で戦争が起こってもおかしくない」と警告しました。

王洪光中将
中国共産党機関紙人民日報系の環球時報が北京で主催した会議での発言です。環球時報は翌日、王の発言を大々的に報じ、軍事専門家の宋忠平(ソン・チョンピン)のコメントを付け加えました。「中国に脅威を与えるなら、アメリカとの武力衝突もあり得る」

「中国は、朝鮮半島有事に備える必要がある。そのためには、中国東北部に動員をかけるべきだ」と王は16日の会議で言いました。「戦争を始めるためでなく、防御的な意味での動員だ」

軍事専門家の宋忠平(ソン・チョンピン)
人民解放軍のロケット軍の前身である「第2砲兵」に所属していた宋は、環球時報の取材に対し、中国の主権を米軍が侵した場合に報復するための危機管理計画も「防御」目的に含まれる、と語りました。

宋はまた別の取材で、中国とロシアが12月11日に北京で行ったミサイル防衛演習について、ドナルド・トランプ米大統領が命じる中ロ両国への軍事攻撃を想定したものだと言いました。

トランプ大統領は今年1月の就任以降、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との対立を激化させる一方です。トランプ政権は北朝鮮の核保有を認めない立場ですが、北朝鮮は金政権崩壊を狙うアメリカの攻撃から自衛するために核が不可欠だと主張しています。

中国とロシアはこれまで、北朝鮮による核・ミサイルの開発を非難するアメリカに同調してきましたが、アジア太平洋地域に米軍の影響力が拡大することには断固反対です。

「中ロが合同演習を行う場合の仮想敵国は、中ロにとって本物の脅威となる弾道ミサイルと巡航ミサイルの両方を保有するアメリカだ」と、宋は香港英字紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストに語りました。「中国とロシアには、今回の合同ミサイル防衛演習を戦略的な対米抑止に利用したい思惑があった」

韓国に配備された米軍の終末高高度防衛ミサイル(THAAD)は、迎撃用から攻撃用に簡単に転換できるとみられており、何としても撤去させたい気持ちは中ロ共通です。

米軍は9月、予定していた6基のTHAADの韓国配備を完了しました。米国防総省は、北朝鮮のミサイル攻撃から同盟国である韓国を防衛するためにTHAADが必要との立場ですが、中国とロシアは自国の国家安全保障上の脅威になるとして配備に反対してきました。

しかし、北朝鮮への軍事的圧力を強めるトランプは、情勢が緊迫する朝鮮半島周辺に空母や戦略爆撃機を続々と派遣し、軍事演習も大幅に増やすなどして、中国とロシアを激怒させました。

1950年代初頭、建国間もない北朝鮮と韓国の間で朝鮮戦争が勃発した時、中国とロシア(旧ソ連)は共産主義国である北朝鮮軍を、アメリカをはじめとする国連軍は韓国軍をそれぞれ支援しました。

軍事専門家の宋忠平(ソン・チョンピン)
3年に及ぶ戦争には、米ソ冷戦における最初の代理戦争という側面もありました。1953年に休戦協定が締結され、北緯38度線を休戦ラインとして、南北軍事境界線に沿った「非武装地帯(DMZ)」が設定されました。和平協定はいまだに締結されていません。

国連に制裁を科されても、金は父や祖父の代から引き継いだ核開発を一段と加速させています。中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、自国の軍事力と政治的影響力を世界に拡大させるため、歴史的な軍備増強を行っています。

トランプ大統領は12月18日に発表した「米国第一」主義に基づく国家安全保障戦略のなかで、核武装した北朝鮮を「ならず者国家」と非難。中国とロシアについても「アメリカの安全や繁栄を脅かそうとしている」と言って対抗姿勢を匂わせました。

トランプ大統領
朝鮮半島というと、かつて日本もこの地を日本に併合しました。その目的は、ソ連の脅威から日本を守るために、ソ連と対峙することでした。マッカーサーは朝鮮戦争のときに、実際に朝鮮半島を自分の目でみて、なぜ日本がこの地と満州を併合したかを理解し、後に米国の公聴会で「彼ら(日本)の戦争は防衛戦争だった」と証言しています。

朝鮮半島ならびに北朝鮮と中国国境に位置する中国東北地方(満州)は、昔から戦争の火種の絶えないところです。今回も、最悪の事態になれば、米国、中国、ロシア、北朝鮮、韓国などの国々での本格的な戦争になることも考えられます。

米国、中国、ロシアなどは本格的な総力戦にまでエスカレートすることは避けるでしょうが、朝鮮半島を巡って再び、北と韓国による代理戦争になる可能性は否定できません。

北と韓国だけが、紛争をするというのなら、早期に決着がつくかもしれませんが、バックに米国、中国、ロシアがついての代理戦争ということになると、戦争は長期になる可能性もあります。日本もこの最悪のシナリオに備えるべきです。

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2017年12月21日木曜日

若者の交際キーワードから読み解く「若者のクリスマス離れ」の原因―【私の論評】なぜ日本では金融政策と社会は無縁であるかのような扱いなのか(゚д゚)!


神戸の世界一のクリスマスツリー
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント(所在地:東京都新宿区、代表取締役:松田 武久)は、首都圏在住の18~79歳の男女3,000人を対象に実施した自主調査を用い、「若者のクリスマス離れ」について分析を行いました。

年々盛り上がりをみせるハロウィンに対し、近年、「若者のクリスマス離れ」が取りざたされ、クリスマスの勢いが弱まりつつあるそうです。若者たちのクリスマスへの関心が弱まっているのはなぜなのか。その要因について考えてみました。

■ 調査結果

・18~24歳の若者は、生活の意識として「自分だけの時間や空間を大事にしたい」が男女ともに6割を超え、他世代と比較して相対的に高い傾向にある。一方で、「色々な人達と積極的につきあい、つきあいの輪をどんどん広げたい」意識もあり、人とのつながりを大事にしたい意識もうかがえる。(図1)

図1 人とのzき合いに関する意識
・18~24歳はスマートフォンで多様なネットサービスを利用しているが、「SNS」「無料通話サービス」「動画投稿配信サイト」といった≪つながる≫≪共有する≫サービスの利用率が高い。

・情報関連の意識態度でも、「個人ネットワークの充実に努めている」「どこでも連絡や情報を受け取りたい」が約半数で、全体と比較して約20pt上回る。一方、他世代と比較して、「常時情報が送られてくるのは煩わしい」が相対的に低く、「いつでも誰かとつながっていないと不安を感じる」が相対的に高い傾向にあることからも、デジタル社会の中での人とのつながり意識も強く現れている。(図2)

図2 情報関連の意識態度(「そう思う」計の比率)
・どこでも情報を受け取りたい&いつでも誰かとつながっていないと不安な層は、「自分のスタイルが仲間から浮かないよう気を配る」「同性からどのように見られているか気になる」「友達に褒められる装いをしたい」がいずれも高めで、他者との同調や共感を意識している傾向がうかがえる。

■ R&D生活者インサイト

以上のように、18~24歳の若者について生活をする上での意識や行動を整理すると、

◇自分だけの時間や空間は大事だが、独りになりたいわけではない
自分一人の時間や空間を大事にしたい意識が高い一方、人とのつきあいについても意欲的である。

◇「ライトで広いつながり」をベースにした若者の交流
思春期あたりからスマートフォンが登場したことで、他の世代に比べ情報スキルも高く、且つ収集量も多い。加えてSNSの浸透が急速に進んだことで直接の知り合いでなくても趣味や嗜好などの共通点を通して広く、ライトに、気軽につながれる交流が増えてきている。

これまで「人との交流=特定の人と深く」というイメージだったものが上述のようなものへと変わってきていると思われる。

◇18~24歳の若者の交際のキーワードは「共感」?「同調」?
スマートフォンでいつでも、どこでも、誰とでもつながれる時代だからこそ、逆につながっていないことへの不安を感じる傾向が見受けられる。また、他者からの評価を意識し、他者に「いいね」をしてもらえないことに対する不安感を持つ者が多い傾向にある。生活には「自由さ」を求めているが、仲間同士の和を乱すことなく無難に楽しく過ごすことに重きをおいており、他者から非難を受けない許容範囲内での「自由」「自分らしさ」「楽しさ」を実践しているようにも感じられる。

◇若者に響くハロウィン/下降気味のクリスマス
当初の問題提起である、イベントの盛り上がりに明暗分かれる件については、18~24 歳の若者のそれぞれのイベントに対するイメージ(定義)として考えると、以下のような特徴として整理される。

・ハロウィン= その場にいる同じ目的の人とライトなつながりで楽しむ
≪場のイベント≫ に対し、
・クリスマス= 特定の親密な人と過ごして関係を深める
≪関係性のイベント≫ と分けられる。

現在の若者のつきあいの感覚からはクリスマスは遠く、逆に、その感覚に親和性のあるハロウィンの普及が本格化しつつあると考えられる。

■ 調査結果グラフ(一部抜粋)
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/146138/img_146138_2.png
画像2: https://www.atpress.ne.jp/releases/146138/img_146138_3.png

調査結果の詳細は、無料ダウンロードレポート『若者のクリスマス離れは何が原因?』をご覧ください。
本リリースで取り上げた結果以外に、以下の内容を掲載しております。ぜひこちらもご覧ください。
(弊社ホームページよりダウンロードいただけます)
●生活に求めるイメージ
●友達(恋人)と過ごす時間を増やしたい意識
●自分ひとりで過ごす時間を増やしたい意識
●スマートフォンの所有率、利用しているサービス
●同性からどのように見られているか気になる意識
●自分のスタイルが仲間から浮かないよう気を配る意識
●友達にほめられる装いをしたい意識

今回、発表致しましたデータを含むR&D CORE(生活者総合ライフスタイル調査システム)2017単年の集計表を100,000円(税別)にて販売しております。(18~79才まで性年代別等基本分析軸での集計表アウトプット)
R&D CORE(生活者総合ライフスタイル調査システム)を利用した調査・分析:課題の洗い出しから分析アウトプットまで、R&Dスタッフがお手伝いします。

詳細は弊社ホームページ http://www.rad.co.jp/ をご覧ください。

■ CORE2017調査概要
調査名: CORE2017 マスター調査
調査地域: 首都圏40km圏(調査地点 200地点)
調査対象: 18~79歳男女個人
サンプル数: 有効回収 3000サンプル (人口構成比に合わせて、性×年代別を割付)
サンプリング手法: 住宅地図を用いたエリアサンプリングで抽出
調査手法: 訪問・郵送併用の自記入式留置調査
調査実施時期: 2016年10月(毎年1回10月実施)
※『CORE』は、株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメントの登録商標です。
※1982年から約30年、生活者理解のために毎年実施している自主調査です。

■ 会社概要
会社名: 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント
所在地: 〒163-1424 東京都新宿区西新宿3-20-2
代表者: 代表取締役社長 松田 武久
資本金: 30,000千円
設立 : 1968年1月17日
URL: https://www.rad.co.jp
事業内容:マーケティング・リサーチの企画設計、実施及びコンサルテーション/経営・マーケティング活動の評価及びコンサルテーション

【私の論評】なぜ日本では金融政策と社会は無縁であるかのような扱いなのか(゚д゚)!

上の分析なかなか面白いものです。私自身は、若者のクリスマス離れは、もっと単純な背景によるものと思っています。

それは、大部分が過去の経済対策の失敗によるもの、特に金融政策 (雇用と密接に関係がある)の失敗によるものではないかと思っています。

以前このブログにも掲載したように、雇用と金融緩和とは密接に結びついています。これは昔からフリップス曲線として経験的に知られていることです。日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

ハロウィーンに関しては、もともとクリスマスを祝うような人がハロウィーンに対しても親和的であって、ハロウィーンは日本で比較的最近祝われるようになったので、注目度が高いので目立っているだけだと思います。

今年も見られた渋谷でのハロウィーンの斬新な?衣装
それを裏付ける統計資料を以下に掲載します。

若者は高齢者より外出回数が少ない

11月21日、国土交通省が5年に1度実施している全国都市交通特性調査の2015年版の結果が発表されました。


その結果、20代の若者が1日に移動する平均の回数が、70代の高齢者を下回ったことが判明した。若者の外出は減少傾向、対して高齢者の外出は増加傾向にあり、2015年の調査で両者がついに逆転した形です。

若者の移動回数の減少は、日本だけではなくアメリカ・イギリスとも共通の傾向にあります。これは、英米では景気が回復傾向ではあるものの、日本と比較すると新卒採用という制度がない欧米では、若者が以前として就職弱者であるという現実があるのだと思います。一方で、高齢者の外出回数が逆転したのは日本だけです。

特に20代男性の休日の外出回数が減少

さらに男女別では、休日の20代男性の外出回数の減少が顕著でした。

20代男性が1日に移動する平均の回数は平日で1.91回、休日で1.24回。これは調査開始以来、最低となっています。初回調査が行われた1987年は平日が2.98回、休日が2.31回。休日の比較では30年間で47%も減少していました。


移動回数は、自宅にずっといた人が0回。自宅と目的地を往復すれば2回、その途中で立ち寄る場所が別にあれば3回とカウントされます。

家の外に一度でも出た割合を表す「外出率」でも、20代男性は平日が81.2%、休日が51.1%。平均して、休日のうち半分は、家から一度も出ていないことがわかった。

外出の目的別で比較すると、平日は男性の「業務目的」の外出が減少、休日は男性の「買物以外の私用」が大幅に減少しています。

背景に「非正規」労働者の増加?

調査では、関連情報としてインターネットやスマートフォンの普及が急速に進んでいることや、宅配便取り扱い数が増えていることなどを挙げています。平日に家でできる余暇が広がったことや、通信販売を利用する人が増えたことが推測されます。

また、就業形態別の調査で、年齢や平日・休日にかかわらず1日あたりの移動回数は、正規就業者、非正規就業者、非就業者の順に低くなっていることが明らかになっています。


20代の非正規就業者・非就業者の割合は53.5%にまで増加(92年は39%)しており、労働形態の変化との関連についても推測されます。

Twitterでは、以下のような反応が挙がっています。
「もう「貧困化」のことを「○○離れ」って言うのやめた方がよくね」
これに関しては、かなり実体をついたツイートだと思います。「若者の○○離れ」とは結局のところ、若者の貧困化や、しょう
「だって外出したらお金いるじゃん」
若者が貧困化していて、さらに将来に希望が持てなければ、まずはお金のかかることをやめようとするのは当然のことです。
「レジャー代一番最初に削るの当たり前」
若者が貧困化していれば、生活に必須なことにはお金を使っても、レジャー代を削るのは当然のことです。 ただし、「他者とつながっていたい」という願望はあるので、
「30年前のデータと比較されてもな。 1987年ってバブル真っ盛りじゃね?」
これに関しては、誤解があります。バブルの頃は、土地や株価の値上がりは顕著でしたが、 一般物価はさほど値上がりしていませんでした。にもかかわらず、日銀は金融引締めに転じました。これは大失敗でした。

その後も日銀は、基本的に引き締め気味の政策を繰り返しました。さらに、本来大規模に緩和すべきところを逆に引き締めをして、大失敗をしました。

これについては、以前のこのブログにも掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
「アラフォー世代は一生貧困を宿命づけられている」クロ現のアラフォークライシス特集にネット阿鼻叫喚 「泣けた」「救いが無くてテレビ消した」 ―【私の論評】対症療法、精神論は無意味!真の打開策はこれだ(゚д゚)!

この記事をご覧いただくと、日銀はバブル期の最後と、2006年3月と、リーマン・ショック時に大きな金融政策の間違いを繰り返しています。

金融緩和政策に失敗するということは、若者に対しても重大な悪影響を及ぼします。なぜなら、 上でも述べたように、日本では、金融緩和により物価が2〜3%上昇すると、他には何もしなくても一夜にして雇用が数百万人創造されます。逆にいえば、物価が数%下がると、一夜にして雇用が数百万人失われます。

そうして、雇用が悪化すると、一番先に悪影響を被るのは若者です。企業としては、雇用情勢が悪化したときには、まず最初に若年層の雇用をやめたり、若年層から解雇するからです。そうして、増税などの緊縮財政もそれに追い打ちをかけました。

デフレのときには、金融緩和と、積極財政を行いなるべくはやく、デフレから脱却するのが、経済対策の王道です。しかし、日本では、デフレであるにもかかわらず、

このような日銀の金融政策の失敗により、当時若者だったアラフォーから悪影響を被ることになりました。そうして、この調査がなされたのは2015年のことですから、その当時でも雇用情勢は回復していたのですが、今ほどではありませんでした。

そのため、若者のクリスマス離れがまだみられていたのでしょう。景気というものは不思議なものです、景気が良い時期が続くと、たとえ景気が悪くなっても、多くの人々がまだまだ景気の良い時代は続くとして、それ以前の生活様式を改めることはありません。逆に、景気が悪い時期が続くと、たとえ景気が良くなっても、多くの人々はまだ景気の悪い時代が続くとして、それ以前の生活様式をすぐに改めることはありません。

たとえば、あのバブルの象徴ともいわれる「ジュリアナ東京」はバブルが崩壊した後にできたものです。ジュリアナ東京は、バブル後に設立され、数年営業して閉店しました。

だから、雇用情勢が回復しても、すぐに「若者のクリスマス離れの終焉」はおきないかもしれません。しかし、雇用情勢がしばらく良い状態が続けば、「若者のクリスマス離れ」も終焉するかもしれません。

私は、いつも思うのですが、ブログ冒頭の記事のように社会分析をするにしても、その前後の経済分析も怠ってはならないと思います。経済をみないと、社会の本当の姿を知ることはできません。

今年の「クリスマス」はどうなるのでしょうか。雇用情勢が良くなったので、また若者にクリスマスが復活するかもしれまんし、あるいは来年か再来年あたりになるかもしれません。

あるいは、クリスマスではなく、ハロウィーンがさらに流行るかもしれません。あるは、もっと別なものが流行るのかもしれません。

いずれにせよ、「若者の○○離れ」の背後には、経済政策の良さ、悪さもあることを認識すべきです。それらも、みなければ、本質は見えてきません。

特に、日本では、金融政策と社会とは無縁のような扱いです。このようなことでは、社会の本質は見えません。

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2017年12月20日水曜日

【中国・連鎖地獄 大失敗の一帯一路】中国に露骨に依存し始めたスー・チー氏 欧米メディアは「平和の天使」から「悪魔の使い」に突き落し―【私の論評】スー・チー氏は悪い人ですか?

【中国・連鎖地獄 大失敗の一帯一路】中国に露骨に依存し始めたスー・チー氏 欧米メディアは「平和の天使」から「悪魔の使い」に突き落し


 ミャンマーのイスラム教徒少数民族ロヒンギャの居住区・西部ラカイン州は、中国・雲南省までのパイプラインの起点である。だからこそ、中国はアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相を擁護し、ロヒンギャを「テロリスト」と決め付け、国際社会から失笑を買っても平気である。

 ミャンマー軍の軍事作戦を受け、隣国バングラデシュに避難したロヒンギャ難民は70万人近くになった。スー・チー氏は、「民族浄化だ」と批判する国際世論の前でよろめき、欧米に背を向け、中国の政治力に露骨に依存し始めた。

 スー・チー氏は、無思慮にロヒンギャの肩を持つ欧米メディアは自己本位であり、解釈が一方的であり、事態の本質を理解していないと、信頼してきた欧米メディアの激変ぶりに当惑している。

 欧米、特に英国がスー・チー攻撃の最右翼となっている。

 英オックスフォード市議会は11月、スー・チー氏へ授与した称号「オックスフォードの自由」を永久剥奪することを決めた。米国下院のリベラル派も、最高勲章「ゴールド・メダル」の剥奪を要求した。「ノーベル平和賞を返上せよ」と叫ぶ活動家もいる。

ミャンマーの事実上の指導者であるアウン・サン・スー・チー国家顧問の母校、
英オックスフォード大学(University of Oxford )は9月30日、これまで
ホールに展示していたスー・チー氏の肖像画を撤去したことを明らかにした。

国際世論というより、欧米メディアから、スー・チー氏は「平和の天使」から「悪魔の使い」に突き落とされた。それもこれも、「ロヒンギャ難民に対し、ミャンマー政府が弱い者いじめ(弾圧)をしている」という、意図的な世論工作に負けているからである。

 誰がこの印象操作を行ったかといえば、これまでスー・チー氏を「救国のヒロイン」と持ち上げ、前向きな印象操作をしてきた欧米メディアなのだから「現代史のパラドックス」というところだろう。

 中国がしゃしゃり出てきた。ミャンマーに利権を持ち、一度キャンセルになった北辺の水力ダムや港湾施設など、多くのプロジェクトを予定している。中国は、このチャンスを生かすと外交得点も稼げる。

 ミャンマーには7つの主要な少数民族がいる。シャン、カチン、カレン、モン族などに加えて、ワ族がいる。それぞれが武装集団を持ち、国境地帯などに勝手に自治区を広げている。特に、麻薬の密造地帯「ゴールデン・トライアングル」を、麻薬王クンサーの地盤を受け継いで統治し、各地のマフィアと組んでいるため資金も潤沢である。

 ミャンマー政府の統治が及ばない。ほとんどが中国と国境を接している。特に、ミャンマー東部シャン州に盤踞(ばんきょ=根を張って動かないこと)するのがワ族だ。この軍事組織が「ワ州連合軍」(UWSA)で、中国の支援を受けているのだから、ミャンマー情勢はややこしい。

 ■宮崎正弘(みやざき・まさひろ) 評論家、ジャーナリスト。1946年、金沢市生まれ。早大中退。「日本学生新聞」編集長、貿易会社社長を経て、論壇へ。国際政治、経済の舞台裏を独自の情報で解析する評論やルポルタージュに定評があり、同時に中国ウオッチャーの第一人者として健筆を振るう。著書・共著に『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』(海竜社)、『連鎖地獄-日本を買い占め世界と衝突し自爆する中国』(ビジネス社)など多数。

【私の論評】スー・チー氏は悪い人ですか?

欧米メディアのアウンサンスーチーに対する評価の極端なブレはいただけないです。もっと冷静にみるべきです。日本のメディアも、欧米に追随することなく、独自の視点をもつべきです。そもそも、アウン・サン・スー・チー氏にはいくつか誤解があるようです。以下にそれを掲載します。

アウン・サン・スー・チーは頑固な理想主義者か?

彼女が頑固だという評価は1990年代からありました。いわく「軍政に反対するあまり、自国の経済発展をないがしろにし、軍政と協力してミャンマーの経済開発に協力する姿勢を見せず、徒(いたずら)に民主主義の理想論ばかりを説く」というような評価です。

軍政への彼女の一貫した抵抗姿勢が、逆にこのような受け止め方を一部で生じさせたのでしょう。しかし、アウンサンスーチーはひとつのイデオロギーにこだわるような頑固者ではありません

彼女の思想の最も特徴的な部分を言い表せば、それは「常に変化する現実を客観的に見つめ、そこから正しい目的を導き出し、その目的に相応しい正しい手段だけを用いて行動する」ということに尽きます。彼女にとって目指すべき目的とは、常に変化する現実の中で優先順位がつけられ、変わり得るものとみなされ、より大切な事は、目的達成のための手段が正しいかどうかであるようです。

2013年4月に彼女が日本を公式訪問した際に、東京大学(本郷)で行われた講演で、「たとえ成功できなくても、正しい手段を用いたのであれば自信を持ちなさい」と語っているが、それはまさにこのことを指摘したものです。

2013年4月日本を公式訪問したとき都内で講演するアウン・サン・スー・チー氏
軍事政権下のミャンマーにおいて、彼女は民主主義の実現こそが「いま」この国が必要としている「正しい目的」であると判断しました。その際、それに相応しい「正しい手段」として非暴力闘争を選択しました。

民主主義の確立を目的に設定する以上、民主主義と矛盾する暴力を手段として選択することは本質的に矛盾します。もし暴力を手段として採用すれば、たとえ軍政を倒せたとしても、新しく成立する政府はやはり「暴力で生まれた」と解釈され、反対勢力による新たな暴力で危機に陥り、それを再び暴力で抑圧しようとする「負の連鎖」につながると彼女は考えたのでしょう。

そこには、政治における「暴力の連鎖」に苦しみ続けてきたミャンマーにおいて、国民自らの努力によって「非暴力で政権を交代させる」事例を築き、彼らに自信を持たせたい彼女の戦略的判断も影響していたものと考えられます。

彼女を頑固だと考える人々は、この「正しい手段」にこだわる彼女の姿勢を批判しているのかもしれません。しかし、「目的が正しければ、手段は(非合法でない限り)何を用いても良い」という考え方がもたらす負の側面を私たちは過去にさんざん見せつけられてきたと思います。

手段の選択を間違えると、最初に設定した目的は(いくらそれが正しくても)達成できないことはおうおうにしてあります。彼女がいう「正しい手段」へのこだわりを、「頑固」の一言で片づけてしまうことは安易に過ぎると思います。

アウン・サン・スー・チーは独裁者を目指している?

この誤解は、彼女が2015年11月8日にミャンマー(ビルマ)で行われた総選挙前に「私は大統領より上の存在になる」と公言し、一部のメディアがその発言を問題視したため生じたものでい。確かにこの発言だけを見れば「危ない発言」に映ります。

2015年11月8日にミャンマー(ビルマ)で行われた総選挙でNlDが圧勝
しかし、発言が飛び出た文脈を考える必要がある。ミャンマーの有権者は選挙前、たとえNLD(国民民主連盟)が圧勝しても、軍の特権を保障した憲法の規定のために、アウンサンスーチーが大統領に就任できないとすれば、NLDに投票する意味がどこまであるのかという不安を抱いていました。それを払拭し、有権者を元気づけるため、彼女はこのような発言をしたのです。

憲法の資格条項による制限(=外国籍の子供や配偶者がいる者を正副大統領の資格から除外する規定)のために彼女は大統領に就任できません。である以上、NLD党首としての彼女に残された唯一の選択肢は、自らの意向に従う別の人物を大統領に据え、その人物に影響力を行使することだけです。

その明白な事実を、「大統領より上の存在になる」という、ドラスティックな表現で語ったのだと解釈したほうが自然です。

アウン・サン・スー・チーは日本を嫌っている?
これも一部のメディアが書き、かつ日本人ビジネスマンからよく聞かされる「解釈」であす。しかし、アウン・サン・スー・チーは日本を前向きに評価しており、重要な国として認識していることは間違いない事実です。

アウン・サン・スー・チーが日本を嫌っていると主張する人々には、1988年から2011年まで23年間続いた軍事政権期に、日本政府と日本企業がもっぱら軍政側との交流を重視したため、彼女が日本に不快感を抱いているはずだという「思い込み」があるようです。

したがって、NLD政権が発足すれば日本が「仕返しをされるかもしれない」という恐怖心がどこかにあり、それが「日本嫌いのアウンサンスーチー」という見方を生みだしているのかもしれません。

しかし、彼女は復讐に興味を示さない人間ですし、そもそもそういう行為を国民に対して厳しく諫めてきた人物であす。彼女はまた、「民主主義は規律ある国民の上に花を咲かせる」と認識しています。

日本(および日本国民)はその点で見習うべき存在として高く評価されており、民主化運動にデビューした当初から、民衆への演説でもそのことを何度か指摘している(これについては伊野憲治編訳、『アウンサンスーチー演説集』、みすず書房、1996年を参照)。

さらに、彼女が日本の官僚制を高く評価していることも付け加えておきます。アウン・サン・スー・チーは1回目の自宅軟禁(1989-95)から解放されたあと、民衆に向けた演説の中で、「日本の官僚は前例があれば必ずそれを実行する」ことをほめ、前例があろうがなかろうが動くことなく、軍人に命令されて初めて動くミャンマーの官僚(制)を批判しました。

私たちから見ればネガティヴな受け止め方をする「お役所の前例主義」だが、彼女から見れば「規律ある国民」がつくりあげた長所として評価されているのです。

そのほか、日本ではどこでもゴミが落ちていなくてきれいに維持されていることも、それがミャンマーでは稀な光景だけに、彼女の称賛の的となっていることも知っておくべきです。

彼女はまた、1980年代に2年間、英国のオクスフォード大学で日本語を学び、漢字を1000字以上習得して三島由紀夫の小説を日本語で読めるまでになり、その後、1985年から86年にかけて京都大学東南アジア研究センター(現東南アジア研究所)に訪問研究員として滞在しています。

アウン・サン・スー・チー氏の父 アウンサン将軍
研究テーマは大戦中の日本‐ビルマ関係史で、滞在中、父アウンサン将軍(1915-47)と戦時中に交流した旧日本軍関係者への聞き取りをおこなっています。

アウン・サン・スー・チーは最高権力者?

アウンサンスーチー氏の正式な肩書は「国家顧問」です。先にも述べたように、ミャンマー憲法には、外国籍の配偶者や子供を持つ者の大統領就任を禁じる条項があります。そもそもスーチー氏を念頭において作られたこの禁止条項のため、スーチー氏は現行憲法では大統領になれないのです。そのため新しい「国家顧問」という役職を、スーチー氏は自ら新設したのです。

スーチー氏はミャンマーで、圧倒的に人気の高い政治家です。2015年の総選挙では、国民民主連盟(NLD)を率いて圧勝した。党内と内閣の重要決定のほとんどは、スーチー氏によるもので、外務大臣の地位にも就いています。

ティン・チョー大統領は事実上、スーチー氏に従う立場です。

ミャンマーでは1962年以降、軍部が様々に形を変えながら政権を掌握し続けました。現行憲法は、その軍事政権が制定したもので、信頼性が疑わしい2008年の国民投票で承認されました。当時、NLDもスーチー氏も、この憲法を認めませんでした。

軍事政権が掲げていた「規律ある民主主義」において憲法は、軍が指導的立場を維持するための鍵となる要素でした。この憲法の下、軍人は議会で4分の1の議席を保障されています。

ティン・チョー氏はミャンマーの大統領だが、実際はスーチー氏に従う立場だ
軍は、内務省、国防省、国境省という3つの重要省庁を掌握しています。よって、警察も軍部の統制下にあります。

民主政府を停止できるなど強力な権限を持つ国家防衛安全保障会議(NDSC)についても、メンバー11人のうち、6人は軍が指名します。

上位の文民役職にも多くの軍出身者が就いています。さらに、軍は今でも経済界に大きく関わっています。国防支出は医療予算と教育予算の合計より大きい、国家予算の14%を占めます。

軍部とスーチー氏は20年以上にわたり、激しく対立を続けました。同氏は15年間、自宅軟禁されていたほどです。

一時的に自宅軟禁を解かれた1995年7月、支持者を前に演説するアウンサンスーチー氏
総選挙後のアウン・サン・スー・チー氏と軍部は、協力し合う方法を探る必要がありました。スーチー氏には国民の信任があり、将軍たちは実権を握っていました。

依然として重要な問題については、意見が対立していました。スーチー氏が望む憲法改正しかり、ミャンマー国境付近で70年前から政府と戦ってきた、さまざまな少数民族武装勢力との和平交渉の進捗しかりです。

しかし、経済改革や成長の必要性、急激に変化する緊張が高まる社会に安定をもたらす必要性については、軍部もスーチー氏も同意見でした。(社会の安定について、スーチー氏は「法の支配」という言葉を好んで使います)。

しかしロヒンギャ問題については、スーチー氏は慎重にことを進める必要があります。ミャンマー世論は、ロヒンギャにほとんど同情していないからです。

ミャンマー人の多くは、多くのロヒンギャの家族は何世代も前からミャンマーにいるにもかかわらず、ロヒンギャはミャンマー国民ではなく、バングラデシュからの不法移民だという政府の公式見解に同意しています。

ミン・アウン・フライン将軍はロヒンギャにほとんど同情していないと言明している。写真は今年5月
昨年10月と今年8月に武装勢力の「アラカン・ロヒンギャ救世軍」(ARSA)が複数の警察施設を襲撃したことで、世論の敵意はいっそう高まりました。

ラカイン州では、地元の仏教徒の敵対心は、ますます強まっています。仏教徒がベンガル人と呼ぶロヒンギャと、仏教徒の間の紛争のきっかけは、何十年も前にさかのぼります。

仏教を信仰するラカイン族の多くは、自分たちがいずれは少数派になり、そうすれば自分固有のアイデンティティーが破壊されると懸念しています。同州地元議会は、ラカイン民族党(ANP)が圧倒的多数で支配しています。スーチー氏率いるNLDが支配していない、数少ない地方議会の1つです。

Image copyrightGETTY IMAGESImage captionミン・アウン・フライン将軍はロヒンギャにほとんど同情していないと言明している。写真は今年5月。

警察や軍の間でも、仏教徒への共感は強いのです。警察官の半数近くは仏教徒のラカイン族です。

バングラデシュとの国境沿いにあるラカイン州北部では軍が実権を握っており、人の往来は厳しく管理されています。

加えて、強力な軍部のトップ、ミン・アウン・フライン国軍司令官は、ロヒンギャにほとんど同情していないと言明しています。



フライン将軍は現地で進行中の「掃討」作戦を、1942年にまでさかのぼる問題を終えるために必要なものだと話しています。当時は、旧日本軍と英国軍の戦闘で前線が目まぐるしく変わり、ロヒンギャと仏教徒ラカイン族の間で悲惨な争いがありました。

軍は現在、戦いの相手は外国から資金提供を得ているテロ組織だと認識しており、国民の大半も同じ見方です。

加えて軍部はロヒンギャに対して、他の紛争地域で駆使したのと同じ「4つの分断」戦略を実行しているようです。食糧・資金・情報・徴兵について反政府勢力の地域的連携を断ち、反政府勢力を支援しているらしいコミュニティーを兵士が破壊し、恐怖に陥れる戦略です。



メディアも要因の一つです。ミャンマーでこの5年の間に最も大きく変わったことの中には、新しい独立系メディアの相次ぐ出現と、インターネット利用の激増が含まれます。10年前のミャンマーは、固定電話回線すらほとんどない国でした。

しかしバングラデシュ国内で何が起きているか、あるいはロヒンギャがいかに苦しんでいるかを伝えるメディアは、ほとんどありません。その代わりに多くのメディアは、ラカイン州で住む場所を失った仏教徒やヒンズー教徒について詳しく伝えてきました。

ミャンマーではソーシャルメディアも人気ですが、その分だけ偽情報やヘイトスピーチがたちまち拡散しました。

つまりアウンサンスーチー氏はラカイン州で起きている事態ついて、実際にはほとんど権限を持っていないのです。そしてロヒンギャ支援を表明しようものなら、ほぼ確実に仏教徒の国家主義者たちの怒りを買うはずです。

スーチー氏の道徳的権威をもって、ロヒンギャに対する一般市民の偏見を変えられるかは分からないです。スーチー氏は、ここは賭けに打って出るべきではないと計算したのでしょう。


アウン・サン・スー・チー氏はブログ冒頭の記事のように、ロヒンギャ危機への対応について国際社会から厳しく非難されています。写真は、ロヒンギャ殺害をやめさせるようアウンサンスーチー氏に訴えるプラカードを手にした、ムスリム系インド人の活動家(9月7日、インド・コルカタ)です。

ラカイン州における軍部の行動について、もしアウン・サン・スー・チー氏が批判しやめさせようとした場合、軍部に排除されてしまう危険があるかもしれません。軍部にその力はあります。今の状況では、国民の支持もある程度は得られるかもしれません。

しかし、現在のNLDと軍との権力分割の取り決めはおおむね、軍が2003年に民主化への7段階の行程表を発表した当時から意図していた内容でした。これは念頭におく価値があります。

行程表は発表当時は見せかけに過ぎないと、相手にされませんでした。しかし結局、それから14年の間にミャンマーで起きた政治的展開は、行程表にぴったり沿って実現しました。2015年総選挙で軍系の政党が大敗しても尚、軍は未だに国内で最強の存在です。

ただしこれまで違い今の軍部には、アウン・サン・スー・チー氏という隠れ蓑がいます。おかげで軍の行動について国際社会は、軍部ではなくスーチー氏に徹底的な非難を浴びせているのです。

軍としては、アウン・サン・スー・チー氏を最高権力者とみせかけ、その実今でも多くの権力を手中におさめ、スー・チー氏を隠れ蓑として用いているのでしょう。アウン・サン・スー・チー氏を最高権力者とみるにはまだ無理があるようです。

結論

日本としては、欧米のメディアに追随することなく、アウン・サン・スー・チー氏をもっと冷静に見るべきでしょう。良い人、悪い人という二項分類ではなく、多角的にみていくべきでしょう。

ブログ冒頭の宮崎氏記事には、アウン・サン・スー・チー氏が中国に依存し始めたように書かれていますが、そうとは限りません。スー・チー氏を隠れ蓑にして、軍部が中国依存を始めたのかもしれません。

しかし、軍部とて馬鹿ではありません。チベットなどの例を知っているでしょう。チベットでは最初は中国はアパートをたくさん建設したり、道路を築いたりして、歓迎されました。ところが、その道路をつかって人民解放軍がチベットに侵攻し、現在では中国は中国のチベット自治区になっています。

最初は、安易に依存しても、そのうちその危険に気づくことでしょう。実際、このブログでも述べたように、最近は、中国の一対一路構想から離脱する国々が目立ちます。ミャンマーも「大型水力発電所には関心がない」と表明しています。

日本としては、ロヒンギャ問題なども冷静に見守り、いずれミャンマーを安倍総理の中国封じ込め構想である、安全保障のダイヤモンドに取り込んでいくべきでしょう。

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2017年12月19日火曜日

アベノミクス批判本に徹底反論! なぜ「成果」を過小評価するのか―【私の論評】雇用よりも労働生産性を優先する考え方は著しく不見識(゚д゚)!

アベノミクス批判本に徹底反論! なぜ「成果」を過小評価するのか

田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

田中秀臣氏 写真・グラフはブログ管理人挿入 以下同じ
 以前、保守系の討論番組「闘論!倒論!討論!」(日本文化チャンネル桜)に出たときに、出席者のクレディセゾン主任研究員、島倉原(はじめ)氏が、同志社大学教授の服部茂幸氏の『偽りの経済政策』(岩波新書)を援用して、アベノミクスの雇用創出効果について否定的な意見を提起した。服部氏の上記の本では、第二章「雇用は増加していない」という刺激的な見出しがついた、アベノミクスの雇用創出への否定的な意見が確かに展開されている。

同志社大学教授の服部茂幸氏
 そこで服部氏は「日本経済は実体経済が停滞しているだけではなく、雇用も労働生産性も停滞していることを明らかにした」(同書93ページ)とある。また同書を読むと、服部氏のいうアベノミクスはほぼ日本銀行のインフレ目標2%を目指す金融緩和政策、すなわちリフレ政策と同じものとみなしているようだ。

 実は服部氏の所論については、以前に学会の依頼で「アベノミクスをめぐる論争―日本は復活したか、それともまだ罠にはまったままか?」という批判的な書評を書いたことがある。冒頭に紹介したように、討論番組などでその所説が利用されるようならば、改めて服部氏の議論を再検討してみたいと思う。実際に、世論やネットの中では、アベノミクス期間中の雇用の改善を否定し、過小評価する傾向があるからだ。

有効求人倍率が「バブル期並み」の水準まで改善している
 もちろんこの連載の読者ならばおわかりだろうが、雇用状況にはまだまだ改善する余地がある。だが、それは雇用の停滞という状況ではない。雇用はアベノミクス導入以前に比べると改善しているし、その成果は金融緩和の持続に貢献している。それに加えて、もちろん海外経済の好調もある。

 金融緩和の雇用改善効果は、国内的には消費増税、国際的には2015年ごろの世界経済の不安定化によって一時期低迷したが(といっても底堅い状況だった)、現状では再び改善の度合いを深めている。ただし、消費の停滞は消費増税の影響が持続しているとみなしていいので、その面から日本の雇用の改善は抑制されてしまっている。

 金融緩和や財政政策の拡大による経済政策を採用することで、雇用状況はさらに改善するだろう。例えば、より一層の失業率低下や賃金上昇、労働生産性の上昇などがみられるだろう。

 さて、服部氏の主張を簡単にまとめておこう。
1)アベノミクス期間で就業者数は増えた。ただし、それは短時間就業者が増えただけで、「経済学上の正しい雇用あるいは就業の指標」である「延べ就業時間」でみるとむしろ減少した。 
2)また、実質国内総生産(GDP)を述べ就業時間で測った労働生産性だと、その上昇率はほぼゼロにまで低下している。 
3)安倍政権は2%の実質経済成長率を目指しているが、そのためには延べ就業時間を増加させるか、労働生産性を上昇させるか、あるいはその両方が必要である。だが、1)2)により実現は不可能に思える。特に、延べ就業時間増加率は人口構造の変化(現役世代の減少)からゼロとみても楽観的なので、労働生産性次第になる。ところが、2)もほぼゼロなので、安倍政権はその目的を達しない。 
4)「労働生産性の上昇なき雇用の改善は、政策の成果ではなく、失敗なのである」(同書94ページ)。
 以上が、服部氏の「雇用は増加していない」という主張である。働く場が増えることは失業している状況よりも望ましいと思うが、服部氏はそのように考えていないということだろう。

まず延べ就業時間数だが、例えば労働力調査をみてみると非農林業の延べ就業時間(週間)は、民主党政権の終わりの2012年の23・58億時間から2016年は23・60億時間になっている。確かに、この数字だけみると、安倍政権は民主党政権と比べて雇用が全く増えていないということになる。他方で就業者総数は増加しているので、パートや高齢者の再雇用といった短時間労働が貢献しているかのようである。

 だが、現状では、短時間労働の原因ともいえるパート労働などの非正規雇用の増加は頭打ちともいえる状況だ。最新の統計だと、2カ月ぶりに5万人ほど増加したにとどまる。対して正規雇用は、正規の職員・従業員数は3485万人。前年同月に比べ68万人増えて、35カ月連続の増加となっている。

 それに加えて、服部氏はどうも失業よりも雇用された状態がいいとは思っていないのかもしれないが、専業主婦層のパート労働の増加は家計の金銭的補助となるだろうし、また高齢者の再雇用もまた経済的な助力になるだろう。延べ就業時間の「低迷」をいたずらに過大評価すべきではない。服部氏もそれを冒頭の番組で援用した島倉氏も、働くことができる人間的価値を軽視しているのではないか。また、最近では正規雇用の増加が進んでいるので、2017年の統計は服部氏目線でもさらに「改善」されている可能性が大きい。


 次に労働生産性についてである。服部氏の定義だと確かにゼロ成長率になる。ただ、この労働生産性の定義の場合、景気が回復していけば、延べ就業時間総数が一定でも実質GDPは事後的に増加していく。現状のような総需要不足の状況であれば、それを解消していくことで実質GDPは増加し労働生産性も伸びていく。それだけの話にしかすぎない。ちなみに、総需要不足の失業がある段階で、労働生産性の向上を重視するのは奇異ですらある。なぜなら失業のプールから雇用されていく人たちは限界生産性が低い人たちであり、そのため労働生産性は低下するからだ。先に指摘したように、どうも職を得るよりも服部氏らは労働生産性が重要なのだろう。しかしそれでは国民の幸せは向上しないだろう。

 また、労働生産性の伸びがゼロに近くとも、正規雇用が増加し続け、それにより延べ就業時間も増加すれば、服部氏の定義でも問題はないだろう。そうであれば、答えは簡単だ。現状の「雇用の増加」傾向を強めることが必要である。そうである以上、少なくとも現状の金融緩和の継続をやめる理由はないし、また財政政策は現在明るみに出ている事実上の「増税シフト=緊縮主義」をますます正す必要があるだろう。

【私の論評】雇用よりも労働生産性を優先する考え方は著しく不見識(゚д゚)!

田中秀臣氏が主張するように、服部氏のようにアベノミクスを労働生産性の観点から批判するのは大きな間違いです。

もうすでに、有効求人倍率が「バブル期並み」の水準まで改善されています。これは、今ではもはや誰も否定しようがありません。これはすでに今年の5月頃には、明白になっていました。

同志社大学教授の服部茂幸氏の『偽りの経済政策』(岩波新書)は、5月20日に出版されていますから、こうした統計を見逃したのでしょうか。しかし、その前から雇用が改善されているのは誰の目からも明らかでした。

厚生労働省が今年3月に発表した有効求人倍率は、前月より0.02ポイント上昇して1.45倍となりました。これは1990年11月以来、26年4カ月ぶりの高水準です。バブル期のピークは1990年7月の1.46倍でしたので、3月の結果は「バブル期並み」を通り越して「バブル期のピーク並み」と言ってよいでしょう。

これほどに雇用が改善したことで、むしろ人手不足が深刻化していました。変化に敏感な人なら、正月時点で変化に気づいていたことでしょう。これについては、このブログでも掲載しました。
人手不足は金融緩和による雇用改善効果 さらに財政政策と一体発動を―【私の論評】年頭の小さな変化に気づけない大手新聞社は衰退するだけ(゚д゚)!
近所の商店で見かけた貼り紙 元旦の休みは近年なかったことだった
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で結論部分でこのように締めくくりました。
今年の年頭の人手不足という一見小さくみえる現象は、将来の大きな変化の前触れだと思います。この変化に気づきそれを利用できる人と、利用できない人との間にはこれから、大きな差異が生まれていくものと思います。
今年の正月の時点で、さらなる人手不足が予測されるくらい雇用状況は改善していたことがわかります。

今年は、その後ヤマトホールディングスが1万人を新規採用するとのニュースが話題になりました。宅配業界は人員増加とともに、宅配サービスの見直しや値上げなど業務のあり方そのものを見直さざるをえなくなっています。

産業界では人材確保のため非正規従業員より正規社員の採用を増やしたり、パート従業員の時給をアップするなどの動きが広がり始めていました。総務省の労働力調査によると、3月の雇用者数は正規が前月より26万人増加し、非正規の増加数17万人を上回りまわっていました。

つい2、3年前まで多くの企業は正規従業員の採用をなるべく抑え、非正規従業員でまかなうというのが“常識”でした。2014年は正規雇用が月平均で13万人減少した一方で、非正規は57万人増加しました。ところが15年以降はわずかながら正規雇用の増加数の方が非正規の増加数を上回るようになり、今年1~3月の平均では正規雇用の増加が47万人、非正規が3万人と、その差が拡大しています。待遇の良い正社員の採用を増やして人材確保を図ろうとしている企業の姿が浮き彫りになっていました。

同時に、人材確保のためには非正規従業員の待遇改善も重要になっていました。厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、3月(速報)の所定内給与は全体(事業規模5人以上)で前年同月比0.1%減少したのに対し、パート従業員の時給は2.4%増加しました。全体の伸びはこの1~2年は1%未満から横ばい前後で推移していますが、パートの時給の伸びは1%台から2%台へと拡大傾向にあります。直近4カ月連続して2%台の伸びとなっており、特に2月の2.4%という伸び率はアベノミクス景気が始まって以後で最大でした。


変化は今年の春闘にも表れていました。連合(日本労働組合総連合会)の春闘回答集計(4月13日発表)によると、組合員数300人未満の組合が引き出した賃上げ額(定昇分を除くベア)は1373円(賃上げ率は0.56%)で、300人以上の大手組合の1327円(同0.44%)を額、率ともに上回っていました。また300人未満の組合の中でも、99人以下の組合の賃上げ額は1513円(率は0.64%)となっており、規模が小さいほど賃上げが大きくなっていました。

定昇分も含めた賃上げ全体では大手組合の方が上回っていますしたが、ベアで中小組合の方が上回っていることは、わずかながら格差が縮小することを示していました。

こうしてみると、この時点ですでに労働市場の裾野から底上げが進み始めていることがわかります。これまで景気回復を示すデータは多いものの「消費が弱い」、「実感が伴わない」などと指摘されてきたことは周知の通りですが、その大きな原因の一つは賃金がなかなか増加しないことでした。

たしかに全体では賃金の増加は前述のようにまだわずかであり、消費者物価上昇分を差し引いた実質賃金では15年まではマイナス、16年にようやく0.7%増とプラスになった程度。生活水準としては切り下がったままというのが実感だったと思います。

しかし、今見てきたように正規従業員の増加、パートの時給アップ、中小企業の賃上げなどは明らかに新しい変化でした。人手不足が賃金アップをもたらしつつあったわけです。この動きは一時的あるいは散発的なものではなく、労働市場の構造を変える可能性を持っていると見ることができました。


これは、やがて消費増加につながっていくことが期待できました。実際の消費の動きを追うと、その兆しが出始めていました。経済産業省が毎月発表している商業動態統計によると、3月の小売業販売額は前年同月比2.1%増で、5カ月連続の増加となりました。しかも、2.1%という増加率は、消費増税(14年4月)後では実質的に最大です。

小売業販売額の統計は全国の大手百貨店、スーパー、コンビニの他、小規模小売店も調査対象に加えており、小売販売の実態をかなり広範囲にとらえた統計です。我が国では消費に関する網羅的かつ正確な統計があまりないことが問題点として指摘されていますが、その中にあってこの小売業販売額のデータは消費の動向を比較的正確に反映して表しているといえます。

同統計には外食や旅行、交通費、ネット通販などのサービス支出が含まれていないことに注意が必要ですが、少なくとも同じ「小売業販売額」の時系列での変化を見れば、一進一退が長く続いていた消費がようやく上向く兆しが出てきたと解釈することが可能でした。

最新の統計をみてみると、経済産業省公表の 10 月分の小売業販売額(税込み)を指数化し、季節調整を行っ た指数水準(平成 27 年=100)は 101.1 となり、季節調整済指数前月比は 0.0%の横ばいとなりました。

後方3か月移動平均で前月比をみると▲0.3%の低下 となりました。 後方3か月移動平均の前月比を個別の業種ごとにみると、通信家電に買い 控えのみられた機械器具小売業が同▲1.3%の低下、自動車小売業が同▲ 0.7%の低下、農産品の相場安から飲食料品小売業が同▲0.3%の低下となっりました。

 一方、石油製品価格の上昇から燃料小売業が同 1.7%の上昇となりました。 これらを踏まえて、同省の季節調整済指数前月比の 10 月までのトレンドでは「持 ち直しの動きがみられる小売業販売」としたとしています。

目覚ましい上昇などはみられませんが、「持ち直しの動き」がみられることには変わりはありません。多少の減少はあるものの大勢では「持ち直しの動き」にあるとみているのでしょう。

一方雇用に関しては、ブログ冒頭の田中秀臣氏の記事でも触れているように、良いことはあっても、悪い動きはありません。  これは、アベノミクスが機能して、良くなったということです。雇用が良くなっていることは最早誰にも否定できません。

にもかかわらず、服部氏はこれを否定しています。ブログ冒頭の記事で田中秀臣氏は、以下のように述べています。
次に労働生産性についてである。服部氏の定義だと確かにゼロ成長率になる。ただ、この労働生産性の定義の場合、景気が回復していけば、延べ就業時間総数が一定でも実質GDPは事後的に増加していく。現状のような総需要不足の状況であれば、それを解消していくことで実質GDPは増加し労働生産性も伸びていく。それだけの話にしかすぎない。ちなみに、総需要不足の失業がある段階で、労働生産性の向上を重視するのは奇異ですらある。なぜなら失業のプールから雇用されていく人たちは限界生産性が低い人たちであり、そのため労働生産性は低下するからだ。先に指摘したように、どうも職を得るよりも服部氏らは労働生産性が重要なのだろう。しかしそれでは国民の幸せは向上しないだろう。
「失業のプールから雇用されていく人たちは限界生産性が低い人たち」というのは、平たくいうと、失業していて雇用される人たちは、労働生産性が低いということです。

それは、当然のことです、たとえ能力的に高い人であっても、しばらく失業して、新たな職場に就いた場合、最初は生産性が低いです。低いどころか、最初は賃金を支給されながら、教育・訓練を受けたりします。そうなれば、当然ながら生産性は低下しますし、就業者全員の就業時間を平均すると、新たに人を採用した分だけ、平均では下がってしまいます。

企業が新人を採用すれば、最初は教育・訓練などでろうとせう生産性は落ちる
しかし、この人たちが教育・訓練の時期を終え、実際に仕事をすれば、生産性はあがります。さらに、この人たちが職場で仕事になれればさらに生産性はあがります。

それだけの話です。こんなことは、別に経済理論を知らなくても誰にも理解できることです。生産性のみを追求するなら、新たに人を雇用しないほうが良いということになります。

これは、ある意味、金融緩和をはじめて、雇用が増えて、実質賃金が下がったことをもって、アベノミクスは失敗したと批判したことに似ています。

これも、難しい経済理論を知らなくても理解できます。ある企業が、業容を拡大するために、大量に新人を雇ったとします。新人の場合、賃金は既存の就労者よりも低いのが普通です。

そうすると、新人を大量に雇えば、就労者全員の平均賃金は下がります。しかし、それでも、人手不足が続き、それでも新人を雇わなければならなくなれば、新人の賃金を他社なみか、他社より高くしなければ、新人を雇用できません。

新人の賃金をあげれば、既存の社員の賃金もあげなければならなくなります。そうでないと、既存の社員は不満を抱くようになり、他社に転職するようになります。こうして、社員全体の実質賃金も上がっていくことになります。

雇用よりも、労働生産性、賃金を重視するという考え方は明らかに間違いです。そういう考え方にたてば、どの企業も新人は雇用しないほうが良いということになります。

そんなことでは、企業は発展できませんし、若者にとっても良いことはありません。これでは、長い間にすべての企業が衰退することになります。よって、これをもって、アベノミクスを否定するという考え方は、著しく不見識といわざるをえません。

労働生産についてさらに付け加えれば、たとえば小売の店舗で、サービス向上を目指すとします。具体的にサービス向上を目指せば、それによって生産性は低下することになります。労働生産性だけを追求すれば、サービスなど何もしないほうが良いことになります。

しかし、同じ価格帯ならお客は、サービスの悪い店舗で購入するよりも、サービスの良い店で購入したいと思うに違いありません。単純に生産性で割り切るわけにはいきません。

私自身もこのブログの読者であれば、知っているようにアベノミクスの批判をすることがあります。しかし、アベノミックスの成果特に雇用状況がかなり良くなったことを無視したり、成果がないなどとは言ってはいません。あくまで、成果は認めた上で、さらにやるべきことや、足りないことを批判しているだけです。

しかし、彼らはアベノミクスの成果である雇用の改善そのものを批判しています。これでは、批判の方向が完璧に間違っています。現状で、アベノミクス特に金融緩和をやめてしまえば、また雇用が悪化するだけです。

このよう考え方をする人は、日本国の経済を考えるどころか、企業の経営も満足にできないと思います。こんな人たちにアベノミクスを過小評価されてはたまったものでありません。

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