2011年10月21日金曜日

過去最高益更新の大手コンビニを待ち受ける“復興需要後”という課題―【私の論評】本当に怖いのは、増税とTPPだ!!

過去最高益更新の大手コンビニを待ち受ける“復興需要後”という課題


コンビニ各社の業績が絶好調だ。


今年2~8月期では大手4社のうち、セブン-イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートが、いずれも営業利益で過去最高益を達成。残るサークルKサンクスも販売管理費の削減などにより営業利益は前年同期比26.3%の大幅増益となった。


上期業績が好調な理由は大きく二つある。

一つは猛烈な出店攻勢だ。セブンイレブンは今期1200店という過去最多の出店を予定している。ローソンも株式上場以来最多となる750店舗、ファミリーマートもエーエムピーエムから転換する290店を含めれば790店の出店で過去最高となる。

二つ目は昨年10月にタバコが3割超値上げしたことによる増収効果だ。既存店売上高の増収率に占めるタバコの押し上げ効果は下記の通りだ。

セブンイレブンの既存店売上高は前年同期比で8%増加したが、その内のタバコが6.5%を占める。ローソンは6.4%増加したうち、タバコが6%強。ファミリーマートに至っては、4.9%増加したうち、タバコが7%弱。つまり、タバコの増収を除けば減収なのである。

しかし、国内のコンビニ数はすでに4.4万店に上り、飽和状態に近づきつつある。また、今秋にはタバコ値上げ効果は一巡。これまでの業績押し上げ効果は期待できない。

タバコ特需がなくなった今、各社が期待を寄せるのが復興需要である。

「復興需要は最低でも一年間は続く」(ファミリーマートの上田準二社長)、「建設中心の復興需要を中心に1年半~2年は続く」(ローソンの新浪剛史社長)と見る。

さらに震災でコンビニの利便性が注目され、これまでは利用が少なかった女性や高齢者などの来店が増えた結果、利益率が高い総菜や弁当などが売れている。

こうした中、例えば、ローソンは今期、生鮮コンビニを全店舗の約半分に当たる5000店舗に増やし、女性やシニア層を取り込む構えだ。

だが、不安要素もある。

欧州の金融危機や円高による景気悪化懸念がそれである。さらに復興需要が終わった後には、「今のままでは国内の空洞化が進み、大不況という最悪の状況になる」(新浪・ローソン社長)との危惧もある。

女性、シニア需要についても、コンビニで購入する傾向が定着するかどうかは未知数だ。

少なくとも、食品スーパーなどの攻勢が高まりそうだ。

ダイエーは中食を充実した24時間営業の「フーディアム」を展開。コンビニよりも安い価格と品揃えで真っ向勝負を挑む。

イオンも首都圏で展開する小型食品スーパー「まいばすけっと」で出店攻勢をかける。現在の約220店舗を、13年度末に600店に拡大する予定だ。

いずれにせよ、コンビニ各社は足元の好調に浮かれることなく、震災特需後を見据えなければならない。ITインフラの拡充、サービスの強化、商品開発力の向上、さらに海外展開など、次なる成長基盤の強化が必要だ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹)

http://diamond.jp/articles/-/14531?page=2

【私の論評】本当に怖いのは、増税とTPPだ!!
上の記事、週間ダイヤモンド編集部の見解ということで、やはり、マスコミ特有の表面しかみない、間口も狭く奥行きも浅い記事です。今のマスコミ、本当にこの程度しか経済に関する認識がないのか、あるいは、自ら利得を得るために、安易に財務省の広報をしているだけなのでしょうか?いずれにしても、最早国民のためのマスコミではないと断言しても良いと思います。

現在のコンビニの好況の要因を単に、復興需要と出店攻勢としています。しかし、実は、震災がおこる前から、各大手コンビニは、本年は、かなり強気でした。コンビニに限らず、デパートもかなり強気でした。それは、なぜかといえば、以前のブログにも掲載したように、今年はもともと、内需が拡大する機運があったからです。

震災の復興需要はこうした大きな流れを加速し、維持したに過ぎません。最近のコンビニの好調を単に、震災の復興需要によるものとするのは、まさに浅薄な見方であるとしかいいようがありません。そもそも、地震が発生する前から、コンビニ各社が今年は、大規模出店に踏み切る予定であったことは、どうやって説明をつけるというのでしょうか?

それから、コンビニ各社は、震災特需後を見据えなければならないなどとしていますが、これも、浅薄です。日本政府が、増税とか、性急なTPP加入さえ実行しなければ、原油高、材料高などで、多少の不安材料はあるものの、円高基調ということもあり、これらは相殺され、デフレが払拭された可能性が大です。そうなれば、比較的景気の良い状況が、数年は続いたかもしれません。

それも、リーマンショックの直前までの、外需主導型の景気浮揚で、いわゆる「実感なき経済成長」ではなく、「多くの人々が実感できる経済成長」になっていた可能性があります。

これに関しては、全く今の民主党政権とは関係なく、おそらく、日本では過去20年間デフレ基調であり、経済の復元力からいって、上向く状況にあったものと思います。それと、経済対策などは、すぐに打ってもあまり効果がない場合もありますから、ひょっとすると、麻生政権時代の景気拡大策が、多少とも影響していたかもしれません。ただし、これに関しては、断言はできません。こういうときこそ、計量的なマクロ経済学が役に立つかもしれません。ただし、ここでは、本題ではないので、これに関しては、詳細を述べることはしません。

経済の復元力とは、たとえば、かなり長い間景気の良い状況が続いた場合は、さしたる理由もないのに、経済が下向いたり、逆にかなり長い間景気の悪い状況が続いた場合(まさに今の日本)場合は、さしたる理由もないのに景気が上向いたりする状況のことをいいます。

これは、日常生活を考えてもわかることです。たとえば、多くの人が、以前より海外旅行に行くだとか、以前よりも、夜のみに行く回数を増やしたりとか、通常よりも立派な住宅を建ててしまうなど、景気が良いので、ついつい普通よりは、贅沢な生活をしてしまった後には、ある程度飽きがきて、今度はしばらく、消費を減らすなどいうことがあります。そうすれば、景気は、さしたる理由もないのに、下向きます。こんな場合は、実体経済がそうなっているのであり、こんなときに、大規模な財政対策や金融政策をしても、なかなか消費は上向きません。

私は、現在のアメリカは、この状況だと思います。金融危機も、公的資金を投下して、しのぎ、リーマンショックも基本的には同じように対処してきたアメリカです。ここしばらく、何がなんでも、景気対策によって、景気が下向いたり、雇用状況が悪化しないようにしてきました。特に、住宅や、個人消費が下向くことを無理やり防いできました。だから、今度は、多くの人が、さしたる理由もなく、消費を控える傾向にあるのだと思います。だからこそ、経済の復元力からいって、ここしばらく人々は、さしたる理由もなしに、消費を控える傾向にあるのだと思います。こうした、経済の復元力からいって、ここしばらく不景気が続くと思います。これに関しては、すでにアメリカの統計などにも現れています。中国などもこの典型だと思います。

逆に、日本は、20年近くもデフレ状況が続き、多くの人々は、この20年間、消費を控えてきました。海外旅行なども、このデフレ20年間の最初の10年間は、あまり関係なく、伸びてきましたが、後半の10年間は、横ばいから、減速してきています。住宅なども、本来なら、もっと多くの人々がたてることを望んでいたものが、建築を控えてきました。特に、この10年間は、いわゆる、節約は、多くの人々の基本的なライフスタイルになっていました。しかし、この節約も、長々と続けていれば、これも飽きてしまいます。ここぞというときは、贅沢したいとか、そろそろ家も建て替えたいとか、しばらく海外旅行に行かなかった人が旅行に行きたくなったりします。そうして、さしたる理由もないのに、景気が上向きます。

多くの人が、好景気が続くと、その好景気は、永遠に続くと思い込み、また、反対に不景気が続くと、その不景気が永遠に続くと思い込むものです。しかし、これは、孤高東西どこの国の経済でも、当てはまったことはないです。好景気が続けば、いつか不景気に、不景気が続けば、いつかは好景気になるというのが、経済学上の常識です。

デフレの最中には、政府が、大幅な財政支出をしたり、日銀が金融緩和をするというのがマクロ経済学的にいって、当たり前なのですが、過去の歴代の政権は、小渕氏と、麻生氏以外は、すべて、緊縮財政をしてきました。日銀といえば、増刷拒否など、基本的には、金融引き締めをしてきました。

そんなときに、多くの流通業が、様々な兆候から、本年は、経済の復元力からいって、今年はかなり伸びると考えて、積極出店や、増床の計画を年度当初から持っていました。そうして、3月には、地震が発生しました。流通各社は、年度当初の計画を変更するどころかさらに積極策に打ってでました。震災自体は悲惨なものですが、その後の復興需要は、さらに、伸びることを予想していたのです。そうして、現在の状況はまさに、そのとおりに事態が進んでいるというわけです。おそらくは、年度末までは何があっても、今の勢いで進ә6;と思います。

ただし、来年は、どうなるかは、わかりません。それは、上の浅薄な記事が、掲載しているようなことではありません。復興需要に関しては、いままさに始まったばかりであり、少なくとも、2年~3年は続くものと思います。この復興需要は、流通業も年度当初には、計算に入れていなかったと思いますので、現在の業績の良さは、年度当初の計画をはるかに上回っていると思います。まさに、地震という自然災害によって、政府の対策などもあり、これによってあたかも平時に財政出動を行うような効果があったということです。

さて、この状況もっと続けるべきなのですが、上の記事では全く触れていない、本当に心配なのは、増税です。それに、TPP加盟です。このどちらも、せっかくデフレから脱出しようとしいる日本の経済に対して、デフレに引き戻すという効果があります。増税ならびに、TPP加入をしばらく見送れば、黙っていても、日本経済は、回復し、デフレから脱出して、良い方向に向かっていくはずでした。それに、震災復興需要が重なり、黙っていても、来年あたりから、しばらく景気の良い時期が続き、数年間、税収もかなり増えたと考えられます。

さて、流通各社は、増税と、TPP加入に関してはどのように考えているのでしょうか?私は、増税も、TPPにも反対の立場であると思います。無論、増税はデフレを助長するということで反対でしょう。TPPに関しても、結局は、より安いものが入ってくるということで、これもデフレを助長するということで反対だと思います。

一体、過去の20年にいかに、コンビニ業界が創意工夫を重ねてきたのか、政府、日銀は理解しているのでしょうか?上では、特にこれについては、書きませんでしたが、いまでも、デフレ基調であることには、変わりはないのですが、その中で、特にコンビニ業界がこれだけの最高益をあげるということは、それだけ努力をしてきたという証です。

財務省を含む日本国政府や、日銀がこれらの1/10の工夫もすれば、今頃日本のデフレは、完璧に克服されていたものと思います。特に、財務省は、何の努力も工夫もなく、一番取りやすいところが、一番安易な方法で、金をむしりとろうとしています。それに、政府は、迎合しています。全く、史上最低、最悪の政府です。現政権は、それに輪をかけて、TPP加入でデフレに拍車をかけようとしています。全く愚かで、馬鹿としかいいようがありません。このまま、何の検討もなく、反対議論もきかずに、これらを実行してしまえば、後世の歴史家から、もっとも愚鈍な政府であったと酷評され、歴史に汚点を残すことは間違いのないところだと思います。

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2011年10月20日木曜日

Amazon, 年内に電子書籍事業で日本市場参入―【私の論評】日本のメーカーや出版社もAmazonのように、顧客とのリレーシップを強化せよ!!

Amazon, 年内に電子書籍事業で日本市場参入

Amazon.comは、年内にも電子書籍事業で国内市場に参入します。日本経済新聞が、20日付の朝刊で報じました。同社は、出版社と交渉を進めており、既にPHP研究所とは合意に至ったとのことです。

Amazonは、小学館、集英社、講談社、新潮社など出版大手と交渉しており、2ヶ月以内の合意を目指します。

年内にも国内で開始される電子書籍配信サービスでは、ユーザーがAmazonの「Kindle Store」にアクセスして、電子書籍を購入し、スマートフォンやタブレット端末にインストールしたアプリケーションから閲覧します。

電子書籍リーダーについては、先月米国で新モデルが発売された「Kindle」を、日本国内にも投入することを検討しています。

同社は、昨年より日本市場への本格進出を画策していましたが、ようやく実現しそうです。


【私の論評】日本のメーカーや出版社もAmazonのように、顧客とのリレーシップを強化せよ!!
とうとうアマゾンの電子書籍が、日本に進出です。アマゾンのキンドル確か、私の記憶では、すでに2年ほど前から、日本語対応になっていましたから、いつ発売されるのかと心待ちにしていました。はっきり、いいますが、もし日本で、kindleが発売され、これで閲覧できる書籍が販売されるということになれば、おそらく、電子書籍リーダーとては、おそらく、日本で一番ということになると思います。

なぜそのようなことがいえるかといえば、まずは、ハードとしてのキンドル、とてもじゃないですが、日本の電子書籍リーダーは太刀打ちできません。私も実際に見たことがありますが、すばらしく、読みやすいです。残念ながら、アマゾンが提供している、電子インクに太刀打ちできるものは、日本には、ありません。

あのiPadですら、電子書籍リーダーとしては、Kindleに比較すれば、かなり劣りします。なにしろ、あの照り返しはどうしようもありません。kindlleの場合、照り返しがないです。ですから、野外で読んでも、普通の書籍のように普通に読むことができます。これは、以下の動画をみていただければ、はっきり理解できます。


以下の画像は、PDFをアマゾン・キンドルで表示したものです。


それに、iPadと比較すれば、小さくて軽いです。iPhoneなどの携帯電話などと比較すれば、画面は7インチですから、2倍で(iPhoneは3.5インチ)かなり一覧性も高くはるかに読みやすいです。日本電子書籍リーダーはあまり良いものがないです。特にあのシャープのガラパゴスなど、めくる速度が遅すぎて話になりません。売れなくなるのも、当たり前のような気がします。


それと、日本語版はまだ提供されていなので、まだわかりませんが、アメリカのAmazonの電子書籍の総タイトル数は、すでに100万を超えています。日本で、販売するときにも、最初は、少ないかもしれませんが、いずれ、かなりタイトルを増やすことと思います。


私は、すでに、アメリカの書籍はいくつも読んでいますが、新しい本から、古い本まで、とにかくタイトル数が多いことには驚きです。日本の電子書籍のサイトなど見ていると、はっきりいわせていだくと、まだまだタイトル数が少な過ぎで、話にも何にもなりません。

私は、ドラッカーが好きで、ドラッカーの書籍は、過去に日本で出版されているものは、ほとんど所有しているくらですが、日本国内のサイトで、ドラッカーの電子書籍を探してみても、何と、一冊もないというお粗末な有様です。だからドラッカーの電子書籍は英語のものしか持っていません。これが、最近の円高もあいまって、わずか1,100円です。日本で、ハードカバーの日本語のものを購入すれば、上下分冊で販売されていて、両方を購入すると確か1万円前後だったと思います。

日本のサイトでは、「もしドラ」など、ドラッカーを題材にして他の人が書いたものは、販売していますが、ドラッカー自身の書いたものは一冊も販売されていません。電子書籍が販売されてから、すこしはたっているはずなのに、この有様です。そうして、日本のサイトをみてみましたが、あまり読みたいという書籍はありません。だから、ほんの数冊程度しかダウンロードしたことがありません。

それから、恐るべきは、このブログでも掲載したあのアマゾン版アンドロイド端末である"Amazon Fire"です。これは、当然のことなが、アマゾンの電子書籍を読むのに最適化されいるでしょうし、さらに、ブラウザには、独自の工夫がなされていて、かなり高速だそうです。これに関しては、当該ブログをご覧いたくものして、以下に動画だけ掲載します。


このアンドロイド端末もかなり安く、アメリカでは、円換算で、1万5~6千円ですから、日本でも、確実に2万円を切る価格で販売されるものと思います。そうなれば、これを購入する人も日本国内でも増えることでしょう。そうなれば、この端末で、ブラウザを閲覧するだけではなく、この端末から、電子書籍を購入する人も増えるはずです。それに、音楽やアプリをダウンロードするようになるでしょう。書籍は、いくつもあるサービスのうちの一部ということになり、顧客とのリレーションシップをかなり深めることになります。

まさしく、アマゾンは、電子書籍の日本参入に満を持して完璧な体制で臨んでいるようです。対して、日本勢はといえば、複数の書籍リーダーが乱立していて、太刀打ち出来ない用状況にあります。少なくとも、日本国内では、あのビデオのVHSや、ブルーレイのように規格を統一しておくべきではなかったかと思います。そのような状況であれば、もっともっとタイトルを増やせたでしょう。

Amazon Fire
日本語の電子書籍の出版は、縦文字文化であり、しかも世界でも進んで裾野の広しエレクトロニクス、iT技術を持った日本が最も有利だったのではないかと思います。このままでは、本当にアマゾンに席巻されてしまうと思います。実際、アップルや、グーグルそれに無論アマゾンも、日本語の壁を乗り越えてきたし、これらも乗り越えようとしています。まさに、黒船が来襲という感じです。しかし、これだけでは済まないような気がします。

日本の電子書籍メーカーなどあまり準備が整わないうちから、それこそ、見切り発車のように、電子書籍と、リーダーを発売してしまったのとは、対照的に、Amazonは、日本で書籍を発売するにあたっては、かなり周到な準備をしてからの取り組みのようです。

そうして彼我の差がどこから出てくるかといえば、アマゾンは、もともとがそうであったように、このブログでも、掲載してきたように、ユーザーとのリレーションシップをいかに強めるかに力点を置いているからだと思います。特に、特筆すべきは、Amazonの電子書籍は、kindle,Kindle Fireは、もとより、iPhone、iPad、パソコン、Android端末、ブラックベリーなどアメリカ国内で考えうるすべてのデバイスに対応しているということです。それに、ユーザーが複数のデバイス、たとえば、iPad、iPhone、パソコンを持っていたとして、この複数のデバイスで読めるのは、無論のこと、複数のデバイスをアマゾンに登録しておけば、読み終わったページを同期しておき、どのデバイスからでも続きを読めるというスグレモノです。

最近、日本でも、随分スマホが台頭してきましたが、もし日本でガラケーがまだまだ、隆盛を誇るというのであれば、アマゾン・ジャパンあたりなら、電子書籍をガラケーにも対応させてしまうかもしれません。ただ、単純に(日本の出版会や、メーカーはそうは思っていないでしょうが、アマゾンを見慣れた目からすると、まさに、そう見えます)電子書籍とリーダーを提供するというのとは、一線を画していると思います。日本のメーカーやWebサイト運営業者も、ただ面白いとかものめずらしいというだけではなく、アマゾンや、Appleなどのように、熟慮されたビジネスプラットフォームを築いてから、事業に参入するなど、このあたりを見習い、日本独自のものを強く打ち出して欲しいですし、そうでなければ、生き残れないと思います。

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2011年10月19日水曜日

パシフィコ横浜で、NOODLE WORLD開催中―【私の論評】麺だけでなく、面白い調理器具も展示されている!!

パシフィコ横浜で、NOODLE WORLD開催中

今月の、19日(水)、20日(木)、21日(金)に、NOODLE WORLDが開催されています。以下に概要をイ掲載しておきます。


展示会名称
Noodle WORLD 2011
第6回 ラーメン産業展
~ラーメンに関するあらゆる食材、設備、サービス、フランチャイズが一堂に集まる専門商談展~
第2回 うどん・そば産業展
~うどん・そばに関するあらゆる食材、設備、サービス、フランチャイズが一堂に集まる専門商談展~
第2回 パスタ産業展
~パスタに関するあらゆる食材、設備、サービス、フランチャイズが一堂に集まる専門商談展~
第3回 国際製麺・包装技術展
~製麺に関するあらゆる機械、食材、技術が一堂に集まる専門商談展~
同時開催
第2回 販促・店舗装飾EXPO in 横浜
~外食・中食・小売の集客・販売促進・店舗装飾に関する専門商談展~
第1回 店舗環境改善展
~飲食店の集客向上・リピート顧客獲得の為のあらゆる店舗設備、サービスが一堂に集まる専門展示会~
併催イベント(一部予定)
  • 特別企画 【がんばろうニッポン!!】特設パビリオン
    このたびの震災を受け、東日本大震災の被災地域の企業様に向けてご支援となるよう、東北地方及び茨城県の食品・飲料を取り扱う企業様を対象に、本パビリオン開催いたします。
    PR・販路拡大はもちろんのこと、即売の場・取引先との商談の場としてご活用いただき、一日も早く被災地が復興しますことをお祈り申し上げます。
Noodle WORLD専門セミナー
出展社による製品・技術PRセミナー
会期・開催時間2011年10月19日(水)・20日(木)・21日(金) 3日間
10:00~17:00
会場パシフィコ横浜(横浜国際平和会議場)C・Dホール
後援農林水産省/神奈川県/横浜市
特別協力
  • (社)日本ラーメン協会
  • (社)日本パスタ協会
  • 全国製麺協同組合連合会
主催
  • Noodle WORLD 実行委員会
  • 販促・店舗装飾EXPO 実行委員会
  • 店舗環境改善展 実行委員会
入場方法
  • 招待者登録制(業界関係者ならびに開業予定者限定)
  • ※ 招待券をお持ちでない場合は有料¥5,000(税込)の登録料が必要です。
  • ※ 一般方のご入場は固くお断りさせていただきます。
  • ※ お名刺をお持ちでない方、一般の方、お子様をお連れの方、18歳未満の方は入場できません。
来場対象●ラーメン店 ●中華飲食店 ●うどん店 ●そば店 ●パスタ店 ●イタリアンレストラン ●居酒屋 ●ファミリーレストラン ●チェーン店本部・フランチャイジー ●出前・宅配店 ●病院食・介護食・高齢者食宅配業 ●独立開業者 ●スーパーマーケット ●生協 ●他量販店 ●給食調理サービス ●製麺業 ●食品商社 ●問屋・卸商 ●食品加工業 ●飲食店経営参入予定者 ●他飲食店
来場者数35,000名(動員目標数) ※同時開催展含む




アクセスパシフィコ横浜〒220-0012横浜市西区みなとみらい1-1-1TEL :045-221-2166(交通案内)TEL :045-221-2155 (総合案内)
【私の論評】麺だけでなく、面白い調理器具も展示されている!!
さて、"NOODLE WORLD"と銘打っているので、当然麺に関するものばかりが展示されているとおもいきや、それ以外のものも展示されています。本日は、それについて掲載します。
なかでも注目を浴びていたのが全自動中華料理機「ロボシェフ」です。 
展示されていたのは株式会社エム・アイ・ケーのブース。正式名称はRSG460Hであり、業界初の平面回転式マシンであるといいます。果たしてどんな動きをするのか……と思っていたら、いきなり調理が始まった! グルグルと中華鍋が回転し始めたのです。 
その中に油を入れ、まずはといた卵とご飯をガバッと投入。上部のアームを下ろすと、らせん状のアームがグルングルンと鍋の中をかき回します。 
あとはチャーシューと塩、そしてネギを入れるだけ。眺めているだけで米が舞い、調理開始から約1分10秒後には見事なチャーハンが完成したのである! んまそうなニオイ! 
ムハッ、ムハッと実食してみたが、味もお見事、フワフワ系のほっこりチャーハン。ンマイ! 一家に一台ほしいところてすが、こちらのマシンは業務用。聞くところによると、バーミヤンなどでも使われているそうな。小型化して、ぜひとも家庭用にも作って欲しいところです。


その他にも、注目すべきものがありました。それは、ピザ焼き窯です。それも、いままでにあるような、ものとは全くことなるものです。

 イタリア料理でもパスタと並んで大人気のピッツァ。ピッツァにもローマ風とナポリ風があり、特にナポリピッツァはモチモチした生地の美味しさがたまらない。 だが家庭はおろか小さなイタリアンレストランなどでは、ナポリピッツァを焼くために必要な高い火力を持ったオーブンを導入することが難しく、なかなかピッツァを焼くことができない場合が多い。 しかし、そんな悩みを解決してくれそうな商品が登場した! 株式会社ツジ・キカイの電気式ナポリピッツァ用石窯オーブン『イーナポリ500』である。
この商品は10月19日~21日まで神奈川のパシフィコ横浜で開催されている『Noodle WORLD2011』で展示されていたもので、なんと90秒で30センチ程度のナポリピッツァを焼くことが出来る。 
サイズも奥行60センチ程で見た目はかわいい赤色をしたオーブンのようだが、ナポリピッツァの平均的な焼成温度480~550度を維持し連続焼きはもちろん、側面の板は45度ほどしか温度が上がらない安全設計。トングとスクリーンがあればだれでも簡単にピッツァが作れてしまうのだ。 
実際に焼くところを見せてもらい、試食もさせて頂いたのだがナポリピッツァのモチモチ感は確実に出ていた! これは美味い。こんなに小さなオーブンで本格的なナポリピッツァを焼くことが出来るなんて、信じられないレベルである。 
業務用オーブンなので価格は不明だが、大きなオーブンが置けなくて困っていたレストランの方や自宅に大きなキッチンを持ちナポリピッツァが大好きなセレブ奥様は現物を見に『Noodle WORLD2011』へ足を運ばれてはいかがだろうか? 他にも様々な商品が展示されているので、新たな出会いがあるかもしれない。
これがイーナポリ500。石窯にしては相当コンパクトサイズだ。
ピザを金属皿(スクリーン)に置きトングで窯へ投入。
仕上がりは内臓のタイマーで教えてくれる。
90秒後にはマジウマピッツァの完成だ
さて、いろいろと、この催しものについて掲載してきましたが、最後、皆さんも余裕があれば、このような催しものご覧になってはいかがでしょうか?以前、このブログで、新しい技術は、自ら属する産業では、なく、全く異なる産業からやってくるということを一昨日掲載したばかりです。

詳細は、当該ブログをごらんいただくものとして、その要旨だけ以下に掲載します。
企業のパラダイム(規範)の変化として、あらゆる技術がそれぞれの産業に属し、逆にあらゆる産業がそれぞれ特有の技術をもつとされたのが、現在では、もはやいかなる産業、企業にも、独自の技術というものがあり得なくなってきた。産業として必要とする知識が、馴染みのない異質の技術からうまれるようになった。たとえば、通信で使われているファイバーグラスの生みの親は、ガラスメーカーであったり、新薬の生みの親は昔のように化学や生化学ではなく、今やバイオ・テクノロジーであることなどがあげられていました。
この要旨では、ガラスメーカーや、製薬会社の事例を出しましたが、車もそうです。一昔前の車は、機械そのもので、エレクトロニクスとは関係ありませんでしたが、今や、車は、エレクトロニクス抜きには、考えられません。それから、最近の例としては、昔の飛行機は、ジュラルミンなどでできていましたが、最新の旅客機は、カーボンファイバーでできています。

これからの時代は、自分の産業に属する技術だけ見ていては、新たな技術や、ブレークスルーなどみつかりません。関係のない分野でも、いろいろとみておく必要があると思います。だから、全く関係のない分野でも、関心を持ってみていく必要があると思います。ただし、何も目的もなしにただみるというのでは、あまりにも効率が悪いので、サイトなどで見てから、実際に見にいって見るなどのことも重要になると思います。

ただし、いつも合目的的にばかり、ものを見ていては、偶然のチャンスを見逃すこともあります。だから、たまには、全ったく関係のない分野の、催し物や、学会などにも顔を出してみるべきと思います。

しかしながら、そう書いている自分自身が、最近は、あまりこうた催しものに顔を出していません。若いころには、いろいなところに行っていました。全く関係のない、分野の、見学会などにも、自費で参加したことなどもありました。学生の頃も、いろいろな学会や、シンポジュウムその他に参加していました。それが、役立っているかどうかは、別にして、このような機会はなるべく増やしておきたいものです。それに、SNSなどで、多くの分野の知り合いなどを多くつくっておくことも重要だと思います。

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2011年10月18日火曜日

「秋葉原通り魔事件」蓮佛美沙子主演で初映画化―【私の論評】このような事件を風化させないためにも、良い企画だ!!

「秋葉原通り魔事件」蓮佛美沙子主演で初映画化

映画「RIVER」の1シーン。「秋葉原無差別殺傷事件」
の現場となった交差点を見つめる蓮佛美沙子 

東京・秋葉原で17人が死傷した08年6月の「秋葉原無差別殺傷事件」が映画化される。

蓮佛美沙子(20)主演で来年3月に公開される「RIVER」(監督廣木隆一)で、同事件を扱った作品が劇場に登場するのは初めて。恋人を失った女性役の蓮佛は、実際の事件を扱った内容に「背筋が伸びる感覚」と話している。

蓮佛が演じるのは、事件で“電機オタク”の恋人を失ったという設定の女性。大きなショックを受けたが、人とのかかわりの中で立ち直っていく姿が描かれる。凄惨な事件そのものより、大切な人間を失った心の痛みを描いていく。

「余命1ケ月の花嫁」(09年)などでメガホンを取った廣木監督が「衝撃的な事件だったのに、時間の経過とともに話す人が少なくなってきた。映画にすることで永遠に残したかった」という意図から企画し、脚本も手掛けた。

この記事の続きはこちらから

【私の論評】このような事件を風化させないためにも、良い企画だ!!

まずは、この事件について、簡単に振り返っておきます。
2008年(平成20年)6月8日12時30分過ぎ、東京都千代田区外神田4丁目の神田明神通りと中央通りが交わる交差点で、2トントラックが西側の神田明神下交差点方面から東に向かい、中央通りとの交差点に設置されていた赤信号を無視して突入、青信号を横断中の歩行者5人をはねとばしました。 
このトラックは交差点を過ぎて対向車線で信号待ちをしていたタクシーと接触して停車。周囲の人々は最初は交通事故だと思ったが、トラックを運転していた加藤智大容疑者(当時29歳)は車を降りた後、道路に倒れこむ被害者の救護にかけつけた通行人・警察官ら14人を、所持していた両刃のダガーナイフで立て続けに殺傷しました。 
現場を走る加藤
さらに、こは奇声を上げながら周囲の通行人を次々に刺して逃走。事件発生後まもなくして万世橋警察署秋葉原交番から駆けつけた警察官が加藤を追跡し警棒で応戦、最後には拳銃の銃口を男に対して向け、ダガーナイフを捨てるよう警告しました。それに応じナイフを捨てた加藤を非番でたまたま居合わせた蔵前警察署の警察官とともに取り押さえ、旧サトームセン本店(現・クラブセガ秋葉原新館)脇の路地で現行犯逮捕にて身柄を拘束しました。これらはおよそ5 - 10分間ほどの間の出来事でした。加藤被告は、精神鑑定を経て殺人などの罪で起訴され、今年3月24日に死刑判決を受けました。加藤被告は控訴しています。

逮捕直後の加藤
事件当日は日曜日で中央通りは歩行者天国となっている区域でした。この日も多くの買い物客や観光客でごった返しているなかの凶行であり、事件直後に多くの人々が逃げ惑い、また、負傷者が横たわる周囲が血の海になるなど事件現場はさながら戦場の様相を呈しており、まさに白昼の惨劇でした。男はナイフは他にも5本所持していたことが明らかになりました。

事件発生後の謝罪会見での、加藤被告の両親

福島・郡山市出身の廣木監督は、3月11日に発生した東日本大震災を受け「映画などやっている場合ではないのではないか」と葛藤(かっとう)を抱えたといいます。しかし、それまで進めていた企画の脚本を変更し、被災地でも撮影を敢行することで“今”の日本に焦点を当てました。主題歌は、神田川に月が映る情景のイメージと一致したことから、オードリー・ヘプバーンが主演した名作「ティファニーで朝食を」の挿入歌「Moon River」に決定しました。

廣木隆一監督


監督は、アメリカン・ニューシネマの影響を受けて、アテネフランセの映画技術美学講座で学びました。フリーの演出部として中村幻児監督の一連の作品『超淫力 絶頂女』他多数に助監督として携わりました。

1982年、ピンク映画 『性虐!女を暴く』 でデビュー。独特の空間描写でシティ派の異名をとりました。

1994年、米俳優ロバート・レッドフォードが主催する新人育成の世界的登竜門サンダンス映画祭において奨学金を獲得して渡米。

2003年に、寺島しのぶを主役に起用した 『ヴァイブレータ』 で数々の映画賞を受賞。近年は海外(主にヨーロッパ)での人気が高まり、特集上映が相次いでいます。




さて、蓮佛 美沙子(れんぶつ みさこ、1991年2月27日 - )は、日本の女優である。愛称は、蓮ちゃん。

鳥取県鳥取市出身。ソニー・ミュージックエンタテインメントの子会社ウエストサイド所属。新聞などでは蓮仏美沙子と記載される事が多い。堀越高等学校卒業。2009年4月、白百合女子大学文学部児童文化学科、児童文学・文化専攻に入学。竹内結子のファンで、ドラマ『ランチの女王』を見て女優を志す。 2005年に行われた第1回スーパー・ヒロイン・オーディション ミス・フェニックスのグランプリに選ばれて芸能界入りしました。

2007年に公開された映画『犬神家の一族』でデビュー、同年『転校生 -さよなら あなた-』で映画初主演、『ガラスの牙』でテレビドラマ初出演・初主演を果たしました。

2008年10月、ドラマ8『七瀬ふたたび』で連続ドラマ初出演で初主演を果たしました。

2009年2月17日、堀越高等学校を卒業。同級生には俳優の三浦春馬、鮎川太陽、女優の福田沙紀、アイドルグループHey!Say!JUMPの八乙女光等がいます。

2009年4月、白百合女子大学へ入学。

2010年10月、ドラマ『Q10』で民放の連続ドラマに初出演。

以下に、蓮佛 美沙子さんの写真を掲載します。




さて、あの事件に話を戻しますが、本当に息苦しいような嫌な事件でした。あの事件は、私の会社でも、当時話題になり、特に、犯人加藤が、凶暴な面体をしていないことが話題になりました。この事件、発生後の1年くらいは、いろいろと話題になったようですが、最近では、ほとんど話題にものぼりません。しかし、あの事件は、風化させてはならないと思います。以下に、この事件が発生した直後のこのブログでの記事を掲載しておきます。

これは、「未来社会への変革」というドラッカー財団による書籍の要約を掲載し、それに対する私の論評です。この書籍は、先進国や、新興国の特に都市部における共同体の必要性、重要性を訴えるものです。この要約自体は、ここに掲載すると、長くなるので興味のある方は当該ブログを是非読んでいただければ、幸いです。
皆さん、要約を読まれてどう思われますか?まさしく、今日を予言していると思いませんか?まさに、今回も、混沌たるジャングルのようになった都市で発生しました。さらに、予言するだけではなく、解決策も示しています。それは、共同体をつくるというものです。都市に共同体、特にNPOを多数作り出すということしは、ドラッカー氏も述べておられます。20年前くらいにその言葉が書かれていた著書を読んだとき、私はあまりピンときませんでした。しかし、ここ10年くらいは、その意味が良くわかるようなってきました。多くの日本人にとって、日本には、もともとNPOという伝統がありませんから、判りにくいのも無理はないと思います。 
これから、このような事件を防ぐために、いろいろな提案などがでてくるかもしれません。しかし、政府がとか、学校がとか、職場でどうのということは、根本的な解決ならないような気がします。無論それも大事だと思います。たとえば、職場で共同体をつくり、この犯人もその共同体に入ることができたら何とかなったかもしれません。しかし、こうしたことができれば良いのてすが、職場に必ずこの犯人のような人間に対してよい影響を及ぼせる、あるいは犯人自体が入りたいと思う共同体が必ずできるという保障はありません。共同体といってもさまざまなニーズや要望に対して必ず応えることはできないかもしれません。 
しかし、都市部に小さくはさまざまなニーズに応える多様ないくつもの共同体があれば、より多くの人々のさまざまなニーズに応えることができる可能性が高まると思います。
特にこの犯人は、コミュニケーション障害が顕著だと思います。コミュニケーションができなければ、当然真の意味で友人はできない、彼女もできないのが当然です。コミュニケーション障害に取り組むNPOなど、相当高いニーズがあると思います。それも、若者向けとか、主婦向けとか、サラリーマン向け、高齢者向けなどというそれぞれ得意分野に特化したNPOがあっても良いと思います。そうして、アメリカにはそうしたNPOも実在します。日本にもあるのかもしれませんが、私は知らないです。
この頃を振り返ると、まだ自民党政権であり、9月には、麻生政権が誕生し、今の政権とは、うってかわり、大規模な景気対策を行おうとしている最中であり、景気が回復するのぞみのある時代でした。そのため、私は、景気が良くなることを前提として、日本では、西欧型の強靭なNPO(たとえば、アメリカでは、各都市で、有力なNPOが、低所得者住宅を提供して成功を収めつづけている)が存在しないため、日本でもそれを設立すべきことをブログで強調していました。

ちなみに、民主党も「新しい公共」として、これからのNPOなどについて、鳩山さんが、力説していました。わたしも、関心をもって調べてみましたが、その結果、鳩山さんのいう「新しい公共」とはドラッカーが提唱していたものとは、似ても似つかぬものであり、全く異質なものです。あんなものを実施スレば、世の中が良くなるどころか、百害あって一利なしです。本当に、困ったものです。私は、このとき、鳩山さんは、ルーピーと呼ばれても仕方のないどうしようもない大馬鹿だと思いました。

しかし、今や、このブログの中心的な過大は、景気対策です。景気がよくならないことには、NPOを活発化させたとしても、あまり効果は期待できません。何かをやれば、やるほど、どこかにしわ寄せがいくだけです。たとえば、包括的職業訓練プログラムなどを実施しても、就職口がなければ、何にもなりません。今の最大の課題は、デフレの解消であるというのに、現在の政権では、デフレの最中に増税をするという、財務省主導の世界でも類をみない蛮行を行おうとしています。そうして、大手新聞は、消費税免除を前提として、現政権の増税の後押しばかりしています。今朝の日経新聞でも、経済教室にマクロ経済学とは関係のない学者が、政府の増税の後押しをする記事を掲載していました。

わすが、数年前とは、雲泥の差です。この事件の犯人加藤は、派遣社員として、前途に希望のない生活を送っていたようです。だからといって、無論、事件の責任は、あくまで犯人にあるのであって、他の誰の責任でもありません。加藤被告のような若者は、他にも沢山いますが、その人達が加藤と同じことをすれば、世の中毎日殺人だらけになるはずです。

しかしながら、麻生政権が終焉した今、現政権ではここしばらく、まともな景気対策(悪い言葉でいえば、ばら撒き、しかし、デフレのときは、このばら撒きが古今東西を問わず、王道です)を行うことなど考えられません。いや、それどころか、増税によって、デフレ基調はますます、強まり、加藤被告のような前途に何らの希望ももてない若者が増えていきそうです。今の政権や日銀では、本当に経済対策がまともでなくて異常なので、このような、前途に絶望する若者がさらに増えそうです。雇用対策で、もっとも、効果があるのは、景気対策であり、インフレ状況にすることです。数%のインフレになるだけで、明日たちどころに、数百万の雇用が発生します。これは、マクロ経済学上の常識です。しかし、民主党は、あの菅の全く的外れの雇用対策をみてもわかるように、この常識がないようです。

しかし、私達は、そんなことばかりいっはいられません。デフレ基調がさらに、拡大するなら、それに備えて頑張るしかありません。間違っても、加藤被告のように、ネガティブな考え方に陥ってはならないと思います。 いずれにせよ、あの事件、あまりにも忌まわしい事件なので、忘れたいと思っている人もおおいかもしれません。しかし、あの事件の記憶、風化させてはいけないと思います。

この映画、他のサイトをみていると、不謹慎だという人もいるようですが、あくまで、題材を秋葉原通り魔事件からとったということであって、この事件のドキュメンタリーなどではありません。犯人を主人公、あるいは、それに近い人物にして、主人公や、犯人の苦悩・葛藤などを通してこの事件そのものを描くというプロットではありません。また、監督の過去の映画などから鑑みて、事件そのものが、大きな比重をしめるような単純なつくりではないと思います。

あくまでも、多くの人々が、日常の忙しさや、些事にまみれて、忘れてしまっている、誰にでも日常的に起こりえる悲劇という扱いであり、そういう悲劇でありながら、リアリティーを持たせるために、秋葉の事件を題材として用いたということだと思います。また、こういう趣旨で、最近の震災による悲劇にも、関連づけた作品にもなっているのだと思います。映画そのもをまだ見ていないので、まだ、はっきりしたことは言えないとは、思いますが、この映画について、サイトなどで見ている限りでは、そういう趣旨で事件を扱っているようなので、私自身は、あの事件を風化させないためにも良い企画だと思います。
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2011年10月17日月曜日

まさにモビルスーツ! 米軍事メーカーが作った2アームの重機がスゴイ―【私の論評】本当に新しい技術は、他の産業からやってくる!!消費者ニーズを捨てよ!!

まさにモビルスーツ! 米軍事メーカーが作った2アームの重機がスゴイ


このほど米軍需製品メーカーが、従来の重機械に革命を起こすような画期的なマシンを発表した。そのマシンは巨大な2つのアームを持っており、これを操作することにより、土木作業をスムーズにこなすことができる。しかも今までの重機のようなレバーやボタンはなく、操作技術を習得するためのトレーニングも不要、誰でも簡単に操縦できるというのだ。まさにモビルスーツと呼ぶに相応しいマシンではないだろうか。

このマシンを開発したのは、軍需製品メーカー「レイセオン・グループ」の「サルコス社」だ。同社は過去に、装着するだけで驚異的な力を発揮できるパワードスーツなどを開発していたのだが、この技術を応用してまったく新しい重機械を誕生させた。

もっとも大きな特徴は、マシンに備え付けられた2つの巨大なアームだ。これにより従来の油圧式ショベルやブルドーザーでは困難であった、細やかな作業を行うことができる。また操作のために特別な技術を必要とせず、直感的に扱うことができるのも魅力のひとつである。

これはもう人気アニメ『ガンダム』に登場するモビルスーツといっても過言ではないだろう。映画『マトリックス・レボリューションズ』に登場する2足歩行型マシン「アーマード・パーソナル・ユニット(APU)」にも近いかもしれない。

なお、実用化については未定だ。いずれにしても、世界の土木作業および建築作業に革命的な変化を起こすに違いないだろう。

【私の論評】本当に新しい技術は、他の産業からやってくる!!消費者ニーズを捨てよ!!
さて、下は、マトリックスにでてきた、APUの模型です。


 下は、エイリアンにでてきた、モビル?スーツを自作したという代物です。すごいですね。

下は、皆さんご存じ、映画プレデターにでてくる、異星人のスーツ(模型)。そのうち、こんなものも、開発されて、史上最強の兵士なんてのもできるかもしれません。

さて、前置きはこのくらいにして、本題に入ります。上のAPUのような、マシン凄いです。これに類するものとしては、いわゆるパワーショベルがあります。


パワーショベルに関しては、このブログでは、例の中国の大列車事故があったときに、列車を埋めたり、また、掘り起こしたりしたときに、使われていたパワーショベルが全部日本製であったことを掲載したことがあります。なんで、こんなことになるかといえば、実は、パワーショベルは、技術水準が高いものなので、中国には製造できないし、製造するより、日本のものを輸入したほうか、安くつくので、全部輸入だそうです。何と、世界で、パワーショベルをつくっている国は、日本とドイツだけだそうです。

特に中国では、KOMATSUなど、日本のメーカーのものの独壇場といっても良いくらいです。おそらく、ドイツなどからでは、輸送費がかかってしまうので、日本ばかりという様相を呈しているのだと思います。KOMATSUの社長さん、中国からの輸入がかなり多いことと、過去にかなり輸出が伸びていたためでしょうか、テレビに出演していたとき、中国向けがまだまだ、伸びるということで、かなり鼻息があらかったのを覚えています。

しかし、こうした、日本と、ドイツの独壇場のパワーショベルも、上記のようなマシンがでてきたら、そうはいかなくなるかもしれません。なにせ、上のマシンを動かすのに、あまり熟練する必要もないようですが、パワーショベルには、熟練が必要ですし、それに、運転するにも、免許が必要です。上のマシンなど、現場まで運ぶまでには、免許がいるかもしれませんが、現地について、それを操作するには、免許もいらないかもしれません。

とにかく、今すぐにではないですが、このマシンが、大量生産されるようになったら、日本や、ドイツの独壇場状況も終わってしまうかもしれません。

それにしても、アメリカは凄いと思います。パワーショベルを改良するという発想では、このようなマシンはできなかったかもしれません。

パワーショベルも、アップルがiPhoneや、iPadで市場の一角を崩し、アッフルが一人勝ちしているように、このアメリカのメーカーに崩されるかもしれません。

この発想の違いは一体どこからやってくるのでしょうか?本日は、二つの側面から見てみようと思います。

まず一つ目は、ジョブズもいっていた、日本のメーカーが、アップルに負けっぱなしである理由と同じような理由によるものだと思います。


さて、ジョブズの語録は、様々なものがありますが、まずは、一言でいってしまうと、「消費者ニーズを捨てよ!!」というものがあります。一昔まえは、スーパーなどでも、様々な経営者が「消費者ニーズ、消費者ニーズ」を口を開けば言っていました。最近、そのようなことを言う経営者は、めっきりと減ってきたように思いませんか?それに、こんなことばかり言っている経営者が経営する企業は、のきなみ業績が悪いようです。

では、これが、間違いであることをジョブズの語録から引用します。

『消費者に、何が欲しいかを聞いてそれを与えるだけではいけない。』

『製品をデザインするのはとても難しい。多くの場合、人は形にして見せて貰うまで自分は何が欲しいのかわからないものだ。』

まったくジョブズ氏の言う通りだと思います。素人の消費者にリサーチして、彼らが欲しい(と思われる)ものを作っても、彼らは全く別のものを買うでしょう。それが今の日本の黒モノ家電です。試しに「どんな携帯電話が欲しいかを」顧客に聞いてみれば、以下のような答えしかかえってこないと思います。

絵文字が打てる、メールが片手で打てる、ワンセグは絶対欲しい、 防水がいい、おサイフ機能は必須、いろんな機能が付いていると楽しい……ETC……結果が世界に通用しないガラケーくらしか、でてきません。

そう答えた消費者が、ワンセグもなくお財布もない『iPhone』に殺到しています。素人の客に聞いて、彼らがどんなものが欲しいのか忠実に作っていく方法は、まったく無意味ということななのだと思います。簡単に素人が考えつくようなものは売れないということです。素人の客にそこまでの考察力があるのなら、その客はとっくに素人ではなくてプロの商品開発者や経営者としてやっていけるはずです。

要するに「素人 = ノーアイデア」なのです。できたものについてあれこれは言えるが、存在してないモノに対しては意見を期待しても意味がないのです。

つまり、本当の商品企画というものは、独創的に“ユーザーに思いつかないような斬新なコンセプト”がひらめくような人しかできないということだと思います。極論をいえば顧客の意見なんて聞く必要はないのです。まさに、消費者ニーズは無視しなければならないのです。顧客に凄い、と言わせればそれで良いのです。

にもかかわらず、日本の多くの開発者は、消費者ニーズを丹念に探って、開発をしようとするのだと思います。たとえば、コマツの開発者などが、工事現場などに赴き、実際にパワーショベルを使っている人たちに、意見を聴いてまわったとしても、既存のパワーショベルを改善するのには役立ちますが、全く新しい発想の上記のようなマシンはできないということです。

ただし、実際に、上記のようなマシンを作って、それを工事現場などの人々に見せるというのなら、話は別です。きっと、様々な改善案が見つかることでしょう。また、ユーザーによる新たな用途無視するというイノベーターのおちいりがちな、落とし穴にはまることもなくなります。

それから、これは、意外と知られていませんが、アッフルは、メーカーでありながら、工場をもっていません。開発者は、いろいろと考えたり、ブロトタイプをつくったりはしますが、それを大量生産するようなことは、すべて外注です。それに対して、日本のソニーとか、東芝、シャープあのサムソンですら、自社工場を持っています。工場を持たないということも、このようなことをやりやすくしている要因の一つであると考えます。

それから、第二点目は、ドラッカーも言っているように、もはや、新しい技術は、自ら属する産業内のみからやっくるわけではないということです。

これに関しては、以前もこのブログで掲載しました。詳細は、当該ブログをみていただくこととし、以下にその核心部分のみをコピペしておきます。
企業のパラダイム(規範)の変化として、あらゆる技術がそれぞれの産業に属し、逆にあらゆる産業がそれぞれ特有の技術をもつとされたのが、現在では、もはやいかなる産業、企業にも、独自の技術というものがあり得なくなってきた。産業として必要とする知識が、馴染みのない異質の技術からうまれるようになった。たとえば、通信で使われているファイバーグラスの生みの親は、ガラスメーカーであったり、新薬の生みの親は昔のように化学や生化学ではなく、今やバイオ・テクノロジーであることなどがあげられていました。
上のマシンは、軍事関連のメーカーが開発しています。従来の、パワーショベルなどのメーカーが開発したのではありません。軍事関連のメーカーでも、様々な技術を応用して、様々な兵器などを開発しています。それこそ、銃や機関銃、大砲、戦車でけではなく、軍事用ロボットとか、軍事用無人偵察機とか、様々な分野に及んでいます。

アメリカ軍のモビルスーツ。空を飛ぶ事以外は何でもできるという。
それに、無論、モビル・スーツのようなものも開発しているところもあります。おそらく、上の軍事関連メーカーは、パワード・スーツを開発していたそうですが、そこで、はたと気づいたのが、民生用の需要なのだと思います。軍事用の需要は限られています。しかし、これをパワーショベルのように使えれば、民生用の需要はかなりものが期待できます。

まさに、新たな技術は、自らの産業の中ではなく、他産業からやってくるという格好のケーススタディーだと思います。

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