2009年9月19日土曜日

民主、議員立法を原則禁止 全国会議員に通知―諸刃の剣の措置となるか?

民主、議員立法を原則禁止 全国会議員に通知(この内容すでにご存知の方は、この項は読み飛ばしてください)
自殺防止基本法は、署名活動の後、超党派の議員立法で可決された

 民主党は18日、政府・与党の二元的意思決定を一元化するため、議員立法は原則禁止し、法案提出は原則、政府提案に限ることを決め、同党所属の全国会議員に通知した。政策決定がスムーズになり、族議員の誕生を防ぐといった効果が期待されるが、政治主導が不完全なままでは従来の政府見解にとらわれて自由な立法活動が阻害される可能性もある。

 民主党は、自民党政権では党内の事前審査を経ないと政府が法案を提出できないといった弊害があったとして、政府・与党一元化を主張しており、すでに党政策調査会の廃止が決まっている。これにより、族議員の関与で法案の内容がゆがめられたり、法案の提出が遅れたりすることがなくなるとみられている。

 議員立法が認められる例外として「選挙・国会など議員の政治活動に係る、優れて政治的な問題」にかかわる法案とした。公職選挙法や政治資金規正法の改正案といった「政治とカネ」の問題に関連する法案などが該当するとみられる。

 ただ、議員立法がこうしたケースに限られ、原則禁止されれば、超党派や党内有志による立法活動ができず、政策決定の幅がこれまでより狭まる可能性がある。例えば、改正臓器移植法や水俣病救済特別措置法など今年の通常国会で成立した弱者救済にかかわる法律は有志議員によって成立にこぎつけた。臓器移植法は党議拘束を外すことで採決が可能になった経緯もある。だが、議員立法の原則禁止により、こうした法案の提出が難しくなる恐れがある。

諸刃の剣の措置となるか?
さて、この動き何を意味するのでしょうか?私は、超党派による動きを牽制する意味があるのではないかと思います。ご存知のように、民主党は、元社会党、自民党さらに右派、左派、右翼、左翼的などさまざまな政治信条を持った人たちの集合体です。極論すれば、既存の政党などに不満を持った人々が政権交代をするために集い結成した党です。そうして、政権交代そのものは成就しました。

しかし、その後いろいろな問題が発生してくると思います。元々、方向性がまったく異なる人々の集まりですから、自民党の特定派閥と同じような政治信条を持っている人もいます。さらには、特定の問題に関しては、自民党と同じような考えを持つ人も大勢います。

自民党も、中には左派的な考えを持っている人もいたりで、民主党と似たようなところもありますが、それでもある程度はまとまっています。やはり、民主党のほうが、考え方や、政治信条にかなりばらつきがあります。それが、いままでは、政権交代ということでまとまっていましたが、いまや政権交代は実現してしまいました。そうなると、たがが、外れてしまう恐れが十分あります。

民主党の公式見解では○だが、民主党のあるグループでは×ということになるものも出てくると思います。そうなったとき、自民党の議員と共同で超党派で議員立法をするなどのことが十分考えられます。

そうしたことを防ぐことが、今回の措置の背景にあるのではないかと思います。たとえば、外国人参政権問題に関しては、民主党はいずれ立法する予定でいます。特に、鳩山総理は、「日本は日本人だけのものではない」として、推進しようとしています。これに関しては、民主党内には、これに強力に反発する議員が多数存在します。このような案件はほかにもいくつかあります。

ちなみに、外国人参政権問題とは、文字通り外国人にも参政権を付与するという考え方ですが、各国政府の選挙権と被選挙権を調べてみると、概ね以下のようなことがいえます。

●国政レベルの被選挙権は、どの国であっても認められないと考えてよい。
● 国政レベルの選挙権は、特定の人種に限って与える場合があるものの、数ヶ国である。
● 地方レベルの被選挙権は、認められる20ヶ国ほどがある。ただ、付与条件は国によりまちまち。
● 地方レベルの選挙権は、認められる20ヶ国ほどがある。ただ、付与条件は国によりまちまち。

世界の独立国203ヶ国(国連加盟国192ヶ国)における以上の状況から、いえることは、急進的な一部の国を除き、外国人参政権の問題として国政レベルの選挙権・被選挙権が付与されることは滅多にないことであることです。外国人参政権の問題として論じるべきは、あくまで地方レベルの選挙権・被選挙権であり、とりわけ選挙権の方であることが理解できます。まともな国であれば、外国人に国政レベルの参政権、被参政権を与える国はないと考えて良いと思います。私は、国政レベルまでの選挙権を得たいと思うなら、日本人に帰化すべきものと思います。

民主党議員の中には、この立法に関してはありとあらゆる手を使って、反対することをはっきり表明する議員も多数います。自民党では、大方の議員がこれに反対ですが、中には賛成の議員もいます。この立法に反対する議員たちか超党派で結集し、外国人参政権に関する立法を阻止するような内容の議員立法がなされることも十分ありえます。

今回の議員立法の原則禁止は、このような動きを牽制するものではないかと思います。しかしなが、これを実施したとすれば、先のように不満を持つ民主党員は議員立法によって、外国人参政権などの立法を阻止する機会も持つことができなくなります。そうなれば、自らの政治信条を貫くことができない議員は、民主党を抜ける以外になくなるのではないかと思います。そうなれば、この措置は民主党分裂を加速するものになると思います。

今回のこの措置、まさに、民主党にとって諸刃の剣となりそうです。


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