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2019年9月3日火曜日

「第2の天安門」の懸念が消えない香港デモ―【私の論評】香港のインターネットをはじめとする、あらゆる通信手段がシャットアウトされたとき、中国の香港への武力侵略が始まる(゚д゚)!

「第2の天安門」の懸念が消えない香港デモ

岡崎研究所

「逃亡犯条例」の改正をめぐって始まった香港の抗議デモは、10週を超え、空港や市内の交通機関を麻痺させるほど展開を見せている。これに対して、中国共産党は、人民解放軍を香港の近くに集結させる等、「第2の天安門事件」が香港において起こりうるような状況が出てきている。

中国人民解放軍

 8月8日付の英エコノミスト誌は、天安門事件のようなことにならないようにとの希望、期待を表明し、そういうことになった場合、「中国の安定も繁栄も」悪影響を受けると中国に警告している。しかし、中国の共産党指導部がどう考えるか、予断を許さない状況である。

 ここで思い出される事件は、1968年のソ連軍のチェコ侵攻である。まさかソ連がそこまで乱暴なことはしないであろうと考えていたが、間違いであった。8月21日、タス通信が、「ソ連はチェコ人民に友好的援助を提供することにした、その援助には軍事的手段によるものも含まれる」と報じ、ソ連軍は、チェコに軍事侵攻した。実は、この侵攻の前に、赤軍とワルシャワ条約機構の軍隊がチェコ周辺で演習をしていたことが、あとから分かった。

 今回も、香港に近い深圳で人民解放軍が演習をしている。部隊が集結している。それを踏まえて、トランプ大統領は、中国に自制を求め、習近平主席に香港のデモの代表者らと対話することを訴えているが、習近平がそれに応じる気配は今の所ない。

 人民解放軍は、香港自治政府の要請があれば、いつでも出動する用意があるとしており、国務院の香港担当部局は、我々の自制を弱さと受け取ってはならないと警告を発している。

 香港の抗議デモ隊の側も、香港自治政府側も、不信を乗り越えて対話するなど、事態を鎮静化する方向で努力すべきであろう。逃亡犯条例改正問題は、抗議者側が実質的にそれを阻止することに成功した。更なる民主化をという気持ちはわかるし、警察のやり方への憤懣もわかるが、ほどほどに要求を抑える必要がある。香港独立、香港人が主役の香港など実現不可能である。香港の特別な制度は2047年までは続くことになっている。その制度、地位を守るためには、多少の妥協も必要になろう。

 中国は、米国の策謀、テロの兆しを指摘し、軍事介入した場合の口実作りをしている気配がある。また、中国のこの問題への対処ぶりは、外交上の考慮よりも内政上の考慮で決められる可能性が高い。新疆ウイグル、チベット自治区の現状を見ても、香港の将来が明るいとは決して言えないだろう。1989年と比べても中国は大きくなりすぎた。1997年に、香港の「一国二制度」が50年間続けば、中国も民主化するのではないかと言われていたことが、幻想であったことは、今日の状況を見れば明らかである。

 そんな中、8月20日付の米ウォールストリート・ジャーナル紙に、米上院院内総務のマコーネルが、香港のデモを支持する論説を掲載した。マコーネル院内総務は、香港の問題は北京の国内抑圧の強化と海外での覇権追求の結果である、香港の自治が侵食されれば米上院は対応措置を取っていく、中国は混乱を回避すべきであると述べている。中国が香港に武力介入することがあれば、すぐに米国議会が何らかの措置を取ることになるだろう。トランプ大統領も習近平主席に対して、香港に武力介入したら議会が対抗措置を取るから、貿易で取引も出来なくなってしまう、だから止めてほしい、と述べている。

【私の論評】香港のインターネットをはじめとする、あらゆる通信手段がシャットアウトされたとき、中国の香港への武力侵略が始まる(゚д゚)!

まずは、冒頭の記事にもある、1968年のソ連軍のチェコ侵攻について振り返っておきます。



チェコスロヴァキアでは、1948年に成立したチェコスロヴァキア社会主義共和国のノヴォトニー共産党第一書記による政権のもとで、経済の停滞と言論の抑圧などに対する不満が強まっていました。1968年に民主化運動が盛り上がり、ノヴォトニーは辞任、後任にドプチェクが就任しました。

ドプチェク第一書記は、路線の転換と民主主義改革を宣言、一気に「プラハの春」と言われた改革を実行しました。3月にはノヴォトニーは大統領も辞任、代わって第二次世界大戦の国民的英雄スボボダが選出されました。ドプチェクの改革は社会主義を否定するものではなく、「人間の顔をした社会主義」という言葉で示されるように、国民の政治参加の自由、言論や表現の自由などを目指すものでした。

この動きに対してソ連のブレジネフ政権は社会主義体制否定につながると警戒し、介入を決意、1968年8月20日にソ連軍を主体とするワルシャワ条約機構5カ国軍の15万が一斉に国境を越えて侵攻、首都プラハの中枢部を占拠してドプチェク第一書記、チェルニーク首相ら改革派を逮捕、ウクライナのKGB(国家保安委員会)監獄に連行しました。

これがチェコ事件と言われるもので、全土で抗議の市民集会が開かれ、またソ連の実力行使は世界的な批判を浴びました。スボボダ大統領は執拗にドプチェクらの釈放を要求、ソ連は釈放は認めましたが、ソ連軍などの撤退は拒否しました。

当時世界は、まさか当時(戦後23年、社会主義国チェコ・スロバキア独立より20年)のソ連が、ソ連軍を主体とするワルシャワ条約機構5カ国軍の15万人もの軍隊をチェコに侵攻させるとは思いもよりませんでした。

こうした苦い経験があるからこそ、上の記事では「第2の天安門事件」が香港において起こりうることを憂慮しているのです。

しかし、香港が大英帝国の統治下にあったときから、今日に至るまで、香港は他国から武力侵攻を受けた歴史はありません。日本軍も、香港には武力侵攻していません。あくまで、平和的に英国から行政権を移譲という形式で統治しています。

なぜ、香港が武力侵攻されなかったのか、それにはそれなりの理由があります。

それについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
香港騒動でトランプは英雄になる―【私の論評】トランプの意図等とは関係なく、香港の自治が尊重されないなら、米国は香港を中国と別の扱いにすることはできない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、現在の香港が中国の武力侵攻を受けにくい理由に関する部分のみ以下に引用します。
 ところが、まずそうした状況にはならないだろうと楽観視しているのは香港の事情に精通する米国人ジャーナリスト、ワシントン・ポストのマーク・セッセン記者だ。 
「中国の軍隊が香港に侵入し、香港市民の抗議デモを鎮圧するのはかなり難しいのではないのか。軍隊を出動させても抗議デモを天安門の時のように鎮圧できないからだ」 
 その理由を3つ挙げている。 
 1つは、香港の地形だ。香港島、九龍半島、新界と235余の島からなるが、山地が全体に広がり、平地は少ない。香港島北部の住宅地と九龍半島に人口が集中している。 
 市街は曲がりくねった狭い迷路だらけ。それに坂が多い。重装備の戦車や装甲車が活動するには極めて不適切だ。 
 2つ目は、今回の抗議デモには指導者がいないし、1か所を叩いてもすぐほかの場所で抗議デモが始まる。モグラ叩きのようなものだ。 
 現在は6月に200万人デモを行った民主派団体「民間人権陣線」が抗議活動の指揮を執っているようだが、市民は自然発生的に広がっている。 
 3つ目は1989年の天安門事件の当時にはなかったSNSをはじめとするインターネットの普及だ。市民間のコミュニケーションの手段になっているだけでなく、中国軍の一挙手一投足が動画で世界中に流れる。 
 中国政府の全く統制の取れない状況下で中国軍対香港市民の武力衝突→多数の死傷者といった事態が同時多発的に全世界に流れる。 
 それが習近平国家主席と中国共産党にとってどんな意味を持つか。知らぬはずがない。 
https://www.washingtonpost.com/opinions/2019/08/15/china-does-not-have-upper-hand-hong-kong-trump-does/
確かに、香港は市街戦をするにしても、なかなかできそうにもありません。攻める側は相当苦戦と犠牲を強いられるでしょう。

デモ隊の鎮圧もかなり困難を極めるでしょう。

実は香港には、すでに中国人民解放軍(PLA)の守備隊約5000人が駐屯しています。ただし、これは返還後から続いていることで、ふだんは存在感が薄く、中国の主権を示す象徴的な存在に過ぎません。

とはいいながら、7月31日にはこの守備隊が、兵士の訓練動画という形で沈黙を破りました。動画では兵士が広東語(香港の公用語)で「何があっても自分の責任だぞ」と叫んだり、香港警察がデモ制止に使う決まり文句「停止衝撃否則使用武力(突入を止めろ、さもなくば武力を使うぞ)」が書かれた赤い警告旗を掲げて行進したりしています。

これは中国側からの「警告」と、広くとらえられた。中国政府からは「火遊びをすれば大やけどをする」、「(中国の)抑制的な姿勢を弱さと勘違いすべきではない」といった発言も出ています。

しかし、中国が軍事介入をした場合、国内的にも国際的にも政治的リスクがあまりに大きく、事態を悪化させるのは必定です。

軍事介入は圧倒的なものでない限り、ますます抵抗を呼ぶことになるでしょう。では、他の方法で、香港を制圧することはできるのでしょうか。

まずは、中国は政治介入による制圧が可能かということがあります。これに関しては、議論の分かれるところですが、すでに中国は何度も香港に政治介入をしており、それが最近の抗議行動につながっていると見ることができます。

香港の立法会(議会)は中国寄りです。2017年には大規模な抗議デモにもかかわらず、ひとつの法律を成立させました。香港トップの行政長官に立候補する人は、親中国のメンバーが多数を占める委員会であらかじめ承認される必要がある、という内容でした。

さらに、当選した行政長官は中国政府の承認を得なければならず、その後に閣僚を選出できるとされました。

2017年の選挙で当選した現職の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、「逃亡犯条例」改定案を立法会に提案。今回の長期にわたる抗議デモを引き起こしました。

林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官

中国政府は林鄭月娥氏の辞任を断固として認めなかったり、同氏が改定案を取り下げるのを拒んだり、あらゆる方法で力を誇示してきました。

中国政府は、世論が林鄭氏の辞任に追い込むことなどできないと示したいので、辞任を認めないでしょう。

仮に林鄭氏が辞めることになっても、中国政府が支持する人が後任になることは間違いないです。

ただし、中国が香港に対して、政治介入を強めれば、強めるほど、香港デモは激化することも間違いないです。

次に、中国は個人を標的にできるでしょうか。今回の抗議デモの発端となった「逃亡犯条例」改定案は、中国政府にとって、香港の政治活動家たちを本土に移送し、有罪と認定する手段になると非難されています。

林鄭氏は、改定案の審議はもう求めないとしています。ところが、逃亡犯条例が改定されないとしても、中国政府が法律のあるなしに関わらず、抗議に参加する市民を拘束するのではないかという心配が、香港で根強いです。

そうした不安を感じさせる有名な事件が、香港の書店主で、中国政府に批判的な本を販売していた桂民海氏をめぐるものです。桂氏は2015年にタイで行方不明になった後、中国にいることが確認されましたが、2003年の交通事故をめぐって拘束されており、裁判で有罪とされ刑務所に送られました。

2017年に出所したが、翌年に中国の列車内で再び拘束されたとみられ、それ以降は行方が確認されていないです。

活動家の家族が中国本土に住んでいる場合は、その家族に影響が及ぶことも考えられます。

ただし、個人を標的にして、さらに多数の個人を拘束したとしても、香港デモはさらに激化するだけに終わります。

結局、政治的介入も、個人を標的することでも、中国は香港のデモを鎮圧できないことになります。

では、中国にとって残された道は、香港に人民解放軍を送りこみ、武力鎮圧して、香港そのものを中国領土にしてしまうのでしょうか。

これも、できそうもありません。共産党政権は香港を利用してきました。香港を窓口にして西側の情報を収集し、金融センターとしての利点を十二分に活用。先端技術と豊富な資金を延々と本土に吸い上げてきました。

ただし自分が強くなったので香港を切り捨てるかというと、そうもいかないのです。北京にとって、情報収集窓口や金融センターとしての利用価値は下がりつつありますが、それ以上に重要なのは香港が共産党高官たちの「蓄財の要塞」として機能している点です。

国家主席の習近平を含め、共産党政権の高官たちはほぼ例外なく香港に不正に獲得した財産を隠匿している、と報道されています。「祖国内部に不正蓄財」するわけにいかないので、彼らは今後も「半死」状態の香港に、限られた「繁栄と自治」を与え続けるでしょう。

そうなると「香港民族」の都市国家建設の夢も消えないでしょう。それは、中国共産党としては許容できないので、結局いずれ、香港を武力鎮圧することになる可能性は高いです。

ただし、武力鎮圧の直前には、インターネットをはじめあらゆる通信手段をシャットアウトするでしょう。そうして、中国は、人民解放軍ではなく、鎮圧の専門部隊である、人民武装警察を大量に動員して、香港を鎮圧するでしょう。当然多数の犠牲者は出ますが、それでもあまり犠牲者を出さないことと、情報を切断することで、中国は世界からの批判をかわそうとるするでしよう。

ただし、世界からの批判は中国政府が思ったよりも激しいものになり、天安門事件の直後のように、世界中から制裁を受け、当惑することになるでしょう。それで、習近平は失脚することになるかもしれません。

その後香港にはは、中国政府の傀儡政権ともいえるような、行政府ができあがり、限られた「繁栄と自治」を与えられ、細々と生きていくといことになるでしょう。香港が元に戻れるのは、中国が崩壊したときになるでしょう。

【関連記事】

2012年9月20日木曜日

中国人記者に「民主主義の国なのにおかしい」と指摘される日本のマスコミ―【私の論評】日本の大手マスメディアの中国報道は劣化している!!必ず裏取りをせよ!!

中国人記者に「民主主義の国なのにおかしい」と指摘される日本のマスコミ:


毎週金曜日の午後に行われている石原都知事の定例会見は、都政の発表・説明だけにとどまらず、石原都知事が延々と知見を語ったり愚痴ったり、時には記者を攻撃しはじめたりすることもあるなど、政治よりもむしろエンタメという意味でちょっとした見ものだったりする。そんな石原都知事の定例会見で、尖閣問題に触れた日の動画が、『YouTube』や『ニコニコ動画』で話題を呼んでいる。

会見で、「なぜ日本のマスコミは“尖閣問題は中国の内政干渉”と書かないのか」と不満を述べた石原都知事に対し、ある記者が質問を投げかけた。

「今回の尖閣問題もそうだが、日本のマスメディアの中国に関する報道は、上辺のこと、一部分しか報道しない。例えば蟻族(※1)とか上訴(※2)とか臓器狩り(※3)とかの問題は取り上げず、中国政府の都合のいいように報道する。それは1960年代に“日中記者交換協定”があって、日本のマスメディアはそれに縛られているんじゃないかと思うが、知事はどう思うか」

訛りのある発音と石原都知事の対応から、中国人とみられるこの女性記者の口から日中記者交換協定の名称が出たことに、ネット住民は驚いた。

『Wikipedia』によると、日中記者交換協定とは
1.日本政府は中国を敵視してはならないこと。
2.米国に追随して「二つの中国」をつくる陰謀を弄しないこと。
3.中日両国関係が正常化の方向に発展するのを妨げないこと。
を3原則とする、いわば中国共産党から“踏み絵”として日本のマスメディアに突きつけられた覚え書き。もともとメモレベルの取り決めであったことと、その内容があまりにも共産党政府に都合のいいものだったことから、これまではなかば都市伝説や根拠のないネットミームのように思われていたのだが、中国人記者の口から公の場で指摘があったために、「『2ちゃんねる』でよく見かけたコピペが本当だったとは……」と驚いているのだ。

中国人記者は、「法輪功は“邪教”、ウイグル族のデモは“暴動”と報道するというようなことが結構ある。日本はアジアで一番歴史が長い民主主義国家で経済大国でもあるのに、どうして独裁国家に対してこんな態度を取るのか、不思議です」と述べて質問を終えた。

自身いわく「独裁国家」出身の記者が勇気を出して母国の実情を伝えているのに、報道の自由があるはずの日本のマスメディアは中国政府の顔色をうかがった報道しかできないとは、なんともおかしく情けない話だ。

※1.蟻族:大学を卒業したのに職がなく、同じような境遇の者同士、寄り集まって安アパートなどで生活する若者たちのこと。

※2.上訪:農村地帯の住人が、地元役人の腐敗や生活苦を中央政府に直訴するために北京へやって来ること。共産党大会前には数千人が集まることも。

※3.臓器狩り:刑務所で(共産党政府にとっての)犯罪者から臓器を抜き取り、闇市場へ横流しすること。臓器目当ての人さらいや子どもの人身売買も横行している。中国には世界最大の臓器売買の闇マーケットがあると言われている。


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■著者データ
ガジェ通ウェブライター
ウェブサイト: http://anews.jp/
TwitterID: anewsjp


【私の論評】日本の大手マスメディアの中国報道は劣化している!!必ず裏取りをせよ!!


このブログでも、日本の大手マスメディアによる、中国報道の異様さは再三にわたって掲載してきました。たとえば、以下の動画のような内容もほとんど報道されません。(この動画かなりグロなので、食事の直前後には、見るのは、避けて下さい)





これは、やはり、上の記事による「日中記者交換協定」による圧力が未だにあるのだと思います。中国中央政府としては、上記の協定に反するようなことを日本のマスメディアが報道すれば、情報提供しないことを徹底しているのだと思います。

これを恐れて、日本メディアは、中国中央政府が都合が悪いと思もうようなことは、自主規制して流さないのだと思います。しかし、こういうことを長い間続けてきた結果、思考力もなくなり、中国中央政府の背後の意図など読み取れなくなっているのです。また、中国が決して一枚岩ではないことを意識してないのだと思います。

結果として、今のマスコミ大手の中国報道は、私達のようなブロガーの掲載する内容よりも、はるかに劣化してきたのだと思います。私達ブロガーは、無論、直接中国の高官や、報道官の話など直接聞ける機会などありません。



しかし、中国の情報など、今のような時代いくらでもあります。日本国内のネットはもとより、中国のネットもありますし、それも、日本語で書かれてあったり、英語のものも多数あります。また、アメリカや、他の国でも、中国報道は多いです。こういったものを調べていくと、かなりのことがわかります。そうしたほうが、少なくとも、思考力は停止しないですみます。

日本の大手マスコミなども、このような協定など完全無視して、独自の取材方針を貫くべきです。中国の正式なチャネルからのニュースソースが遮断されたとしても、頭を使えばいくらでもやりようがあります。



まずは、最近インターネットが発達してきたことから、中国内のニュースなど結構取得するのが簡単になっています。特に、中国では、金盾が情報統制をしますが、その統制もいつも完璧にできるものではありません。だから、削除するのが遅くなったりする場合もあります。そういう記事などストックしておき、時系列での変化を見極め、それらは、なぜ削除されなければならなかったのかを良く考えればおのずと真実に近づくことができます。

それに、中国内のなるべく政府に近い官僚などの複数人と親しくなって(親しくなる方法は書きませんが、こんなの当たり前の真ん中で、いくらでも方法はあります)おき、その人間の立場を理解しておき、複数からの情報を得て、真実に迫っていくという方法もあります。



こんなことを長く続けてきたせいでしょうか、日本の大手マスコミは、政治・経済その他多くの分野にわたってかなり劣化しています。今や、新聞や、テレビで報道されること、それも、重要な事柄に関しては、ほとんど鵜呑みできない状況になっています。

私達は、鵜呑みは慎みましょう。必ず裏を取るくせをつけるべきです。裏取りは、一昔前なら、難しいことで、一部の人しかできませんでしたが、今なら誰もがインターネットで簡単にできます。それに、インターネットの歴史も長くなってきましたので、私をはじめ、多くの人達が、様々な解説したり、キュレーションもあまたあります。この時代に裏取りをしない人は、時代から取り残されるだけです。



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2012年8月8日水曜日

抹殺されたヤルタ密約知らせる「小野寺電」 「奥の院」情報軽視の連鎖―【私の論評】現在でも、同じようなことが繰り返されている日本だが、今の私達はそれを打ち破る手段を手にしている!!

抹殺されたヤルタ密約知らせる「小野寺電」 「奥の院」情報軽視の連鎖:

大本営参謀だった堀栄三氏が小野寺百合子氏にあてた書簡で、
「あの電報が参謀本部に不着ということは絶対にありません」
と小野寺電が届いていたことを証言していた(小野寺家提供)

「台湾沖航空戦誤報」堀電も


日本近海で行動するアメリカ軍の第38任務部隊(第58任務部隊)。台湾沖航空戦は、この部隊に向けて行われた
大本営に届きながら抹殺された可能性が高まった小野寺信武官のヤルタ密約電報。書簡で「着信」を証言した大本営参謀の堀栄三氏自身がヤルタ会談4カ月前、台湾沖航空戦の戦果を訂正する電報を打ちながら、参謀本部作戦課を中心とする「奥の院」で握り潰されるなど、極秘情報は生かされなかった。ソ連に和平仲介を託す愚策によって終戦工作がもたつくうちに、原爆を投下され、ソ連の侵攻で多くの命を失い、北方領土を占領されただけに、機密情報を抹殺した代償はあまりにも大きい。(岡部伸)

覆された定説

大戦末期の昭和20年2月4日から11日、米英ソ首脳がクリミア半島のヤルタに集まり、南樺太返還、千島列島引き渡しなどを条件にドイツ降伏3カ月後に対日参戦することが決まった。ヤルタ協定は密約だったため、「日本側は全く知らず、なおソ連に希望的観測をつないでいた」(防衛研究所戦史室『戦史叢書(そうしょ)』)というのが定説だった。

小野寺武官が亡命ポーランド政府参謀本部から得たヤルタ密約の核心部分の「ソ連が対日参戦に踏み切る意向を固めた」との情報が公電で参謀本部に届きながら「奥の院」が抹殺した疑いが濃厚となったことで、少なくとも軍中枢は密約を知っていたことになる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「大本営ムラの暴挙だ」

□昭和史に詳しい作家 半藤一利氏

小野寺電が大本営に届きながら抹殺されたことは間違いない。証拠がなく本人は認めなかったが、握り潰したのは瀬島龍三氏だろう。ヤルタ電抹殺は堀栄三氏の台湾沖航空戦戦果訂正電報握り潰しの延長線上にあり、連続性のものだ。

小野寺電が届いた昭和20年2月中旬は、瀬島氏が偽名でクーリエとしてソ連を訪問して帰国した直後。瀬島氏はモスクワでソ連仲介和平の下交渉を行ったとみられ、係累の岡田啓介氏、迫水久常氏らと和平工作のグランドデザインを描き始めたところに、ドイツ降伏後3カ月でソ連参戦を伝えた小野寺電は都合が悪かった。2月の時点では、ドイツは降伏しておらず、瀬島氏は、ソ連参戦は先のことと考え、参戦までにソ連仲介で和平を成立させようと邪魔な小野寺電を抹殺したのだろう。

現在の原子力ムラと同様の大本営ムラの暴挙だ。(談)

「外交立て直しの教訓に」

□作家、元外務省主任分析官 佐藤優氏

ヤルタ密約を伝える小野寺氏の公電は参謀本部に届きながら葬り去られたのだろう。なぜこのようなことが起きてしまったか。2つの可能性がある。

第1は、小野寺公電があるとソ連を仲介者とする和平工作の障害になるので、陸軍上層部が意図的に握り潰した可能性だ。第2は、目の前の和平工作で頭がいっぱいになったエリート陸軍官僚に小野寺公電の内容がガセネタのように見えたので、ノイズ(雑音)を消すために公電を抹消した可能性である。第1の場合、エリートの良心が問われる。第2の場合は、情報を判断する能力が低いということになり、エリートとしての能力が問われる。

日本外交が停滞している大きな原因は、エリートであるはずの外務官僚の能力が低下し、良心がまひしているからだ。日本外交を立て直すためにもよきケーススタディーになる。(談)



上の文章では、歴史的事実の解説がないので、若干の説明を加えさせて頂きます。

まずは、台湾沖航空戦について掲載します。まずは、下の動画を御覧ください。これは、大本営による台湾沖航空戦の戦果発表などをまとめた内容です。




【私の論評】現在でも、同じようなことが繰り返されている日本だが、今の私達はそれを打ち破る手段を手にしている!!
これによれば、まさに一大大戦果であり、本当にこのくらいの戦果があれば、本土防衛もうまくいったかもしれません。これだけの大打撃を与えることができたら、米国と講和を結び、大東亜戦争を終結させたこともできたかもしれません。しかし、これは、虚偽の発表だったということです。事実は、ほとんど何も戦果をあげられなかったということてず。この虚偽に関しては、大多数の人が、終戦後に知りました。本当にとんでもない虚報です。

台湾沖航空戦の詳細については、こちらをご覧いただくものとして、要旨だけ以下に掲載しておきます。
台湾沖航空戦(たいわんおきこうくうせん、1944年10月12日 - 10月16日)は、太平洋戦争における戦闘のひとつ。レイテ島の戦いに先立って台湾から沖縄にかけての航空基地を攻撃したアメリカ海軍空母機動部隊を、日本軍の基地航空部隊が迎撃した。アメリカ軍の損害は軽微であったが、日本軍は戦果を誤認したまま大本営発表を行い、続いて生起したレイテ沖海戦にも影響を与えたとされる。
さて、次にヤルタ会談ですが、これもまずは、下の動画をご覧になってください。


ヤルタ会談(ヤルタかいだん、英:Yalta Conference)は、1945年2月4日~11日にクリミア半島のヤルタで行われた、F.ルーズベルト(アメリカ合衆国)・チャーチル(イギリス)・スターリン(ソビエト連邦)による首脳会議です。

第二次世界大戦が佳境に入る中、ソビエト連邦(ソ連)の対日参戦、国際連合の設立について協議されたほか、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパにおける米ソの利害を調整することで大戦後の国際秩序を規定し、東西冷戦の端緒ともなりました(ヤルタ体制)。

特に、ヤルタ会談の中で、握りつぶされてソ連の対日参戦に関する情報が伝わらなかったということは、とんでもないことです。この情報を察知して、それに対する行動をしていたら、北方領土なる言葉はなかったかもしれません。

以上のようなこと、過去の話しではありません。たとえば、上の記事では、原子力ムラの話がでていますが、このような例は、まだまだ多くあります。

最近は、税と社会保障一体改革法案をめぐって、政局が鳴動していますが、たとえば、財務省の増税を正当化するための増税キャンペーンなどもこれに類するものです。やれ、日本が財政破綻するとか、国民一人あたりの借金700万とか、滅茶苦茶、破茶目茶な話をつくりだし、一大キャンペーンをして、新聞などのマスコミもこれに追随しています。これに関しては、もう、随分私自身も、このブログで掲載してきましたし、他のメデアでも、とことこん述べられているので、これを知らない方などいないと思いますし、もし、知らない方がいらしたら、私のブログでも、三橋さんや、上念さんあたりのブログなどをご覧いただければ判ることなので、ここでは、掲載しません。

ここで、強調しておきたいのは、日銀の嘘八百です。そうして、この嘘八百、少し考えれば、誰にでも理解できるのに、日本の新聞記者などの金融知識があまりにお粗末なので、垂れ流しされているというのが実体です。これについても、以下の動画を御覧ください。



上の動画では、経済評論家の上念司氏が、世に蔓延するデタラメ経済評論をブッタ斬っていく『メディアの嘘を見抜け』というものです。今回は「日銀の独立性」を盾に、異論を何でもかんでも圧力と切り捨てる­日銀の傲慢姿勢と、それに率先して援護射撃するマスコミの世論操作ついて警告しています。

なお、「日銀の独立性」とは、世界で常識にもなっている「中央銀行の独立性」とのことですがこれは、「一国の中央銀行は、政府の金融政策に従い、それを実行するために専門家的立場から、実施する方法を選ぶ自由がある」というものです。しかし、日本では、日銀法が改悪されて以来、日銀の独立性を「政府ではなくて、日銀が日本国の金融政策を決定して、実行する自由」と勝手に解釈して、暴走どころか、爆走しまくっています。ことごとく、デフレを推進する政策を繰り返して、日本がデフレから脱客できないような政策を打ちまくっています。とにかく、この日銀なんとかしなければ、政府が増税をやめるとか、財政出動をしたとしても、全部日銀に握りつぶされてしまいます。

今年1月訪日したガイトナー長官と、安住財務大臣
日銀がやる情報操作など、たとえば、先日ガイトナー長官が、来日して公演したときも、長官自信は、中央銀行の独立性に関して、正しい認識を述べているにもかかわらず、日銀が出した日本語の資料によれば、まるでガイトナー氏が、「中央銀行には、国の金融政策を決定できる」ように言っているように改ざんしていました。これに関しては、英語を聴いたり読んだりできるのか、という程度のレベルで、こんな簡単な間違いなどできるものではなく、意図的に歪曲しているものです。

日銀は、こういうことを平気で度々行なっています。これでは、昔大本営が、台湾沖航空戦の戦果に関する正しい情報や、ヤルタ会談のソ連参戦の情報を握りつぶしたのとあまり変わりありません。そうして、始末に悪いことに、今では、マスコミがそれを正すこともなく、間違った情報をそのまま垂れ流しです。これでは、戦中よりも悪いと思い、暗澹たる気持ちになってきます。

リーマンショックで何もしなかった日銀
しかし、一つだけ救いがあります。大東亜戦争の頃までは、通信手段があまりありませんでしたから、多くの国民は、大本営発表など、そのまま鵜呑みで信じるしかなく、そうではない情報としては、伝聞によるもので、情報量も微々たるものだったし、即時性もありませんでした。随分たってから、判るというようなもので、実際には役に立つものではありませんでした。

ところが、現代の私達は、インターネットなるものがあり、これによって、様々な情報を即時的に多くの人に流すことができます。だから、伝聞情報もバカにできなくなりました。そうして、それを活用する、ジャーナリストや評論家も多くいます。

私たちは、これを活用すれば、大東亜戦争時の一方的情報だけではなく、様々な情報にあたることができます。そうして、幸いなことに、インターネットを使うことは、中国や、北朝鮮などのように露骨に干渉されたり、制限もありません。

だから、現在の世の中では、上記のような情報の完璧な握りつぶしなど、やりたくでもできないでしょう。


ただし、気をつけなければならないのは、インターネットから得られる情報は、ほとんどが伝聞情報ということです。だから、その情報源などにあたって確認するなどのことが重要で鵜呑みはいけいなと思います。

とはいいながら、仕事を持っている一般人がいつも、こま目に確認することなどできません。だからこそ、こま目に確認しなくても、良いよいようにマスコミが存在するはずなのですが、最近の大手新聞の経済・金融情報など、9割型真偽が疑わしいものばかりです。

マスコミがあてにならないので、やはり、インターネットの情報に頼る必要があるわけですが、全部の真偽を疑って、すべてチェックすると、それだけで、何もできなくなりますから、情報源として正しいと思えるものをピックアップして、それも、いつも鵜呑みするのではなく時々確認して活用するという姿勢で望むべきと思います。

そうすることによって、上のような簡単なだましは見破れます。情報、特に重要な情報に関して、現在でも、大東和戦争末期と同じようなことが繰り返されている日本ですが、今の私達はそれを打ち破る手段を手にしていることです。





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