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2019年10月6日日曜日

ダライ・ラマ継承「本人が決定」 チベット人会議決議、中国介入を拒絶―【私の論評】驕り高ぶりの頂点に達した中共指導者習近平主席は国賓に値しない(゚д゚)!

ダライ・ラマ継承「本人が決定」 チベット人会議決議、中国介入を拒絶 

インド北部ダラムサラで法話を行うダライ・ラマ14世=2月

 インド北部ダラムサラで世界の亡命チベット人の代表を集めた特別会議が3日間の日程で開かれ、5日閉幕した。会議ではチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(84)の継承のあり方はダライ・ラマ本人が決めるとする決議を採択。中国が後継者の選出に介入することを明確に拒絶した。

 特別会議は2008、12年に続き3回目。今月3日から始まり、世界24カ国から約340人が参加した。

 チベット仏教では「輪廻転生(りんねてんしょう)」の考えに基づき、高僧らが死去した際、生まれ変わりを探し出す伝統がある。ダライ・ラマが世を去った場合、中国政府は自らの影響下にある「ダライ・ラマ15世」を擁立し、チベット統治に利用することが懸念されている。ダライ・ラマは中国の介入とチベット人の混乱を避けるため、伝統とは異なるものの、生前の後継指名の可能性などに言及している。

 決議では「チベット人が存続する限り輪廻転生の伝統は存在するだろう」として、制度の継続を要求。その上で、継承の方法やあり方に関する決定権はダライ・ラマ本人にあることを強調した。中国政府が07年に決定した「チベット仏教における輪廻転生には(中国)政府の承認が必要」という規定については「チベット人の総意」として明確に拒絶した。

 ダラムサラでは11月中にもチベット仏教の高僧による会議が予定されており、同様の意見表明がなされる見通しだ。

 ダライ・ラマは1959年3月のチベット動乱後、ダラムサラに亡命。インド国内や海外で精力的に活動をこなすが、今年4月には肺の感染症と診断されて入院しており、亡命チベット人からは体調を心配する声が上がっている。

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ダライ・ラマ継承「本人が決定」とチベット人会議が決議決議したということは、当然のことながら、中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているということが発覚したからです。"Bitter Winter"誌はこの事実を本日伝えていました。

Bitter Winterは、中国の 信教の自由人権 について報道するオンライン雑誌として2018年5月に創刊されました。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(Center for Studies on New Religions、略称CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信しています。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えています。

その記事を以下に引用します。
チベットの指導者がダラムサラに集結し、中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているとして全世界に警告を発した。
ダラムサラで行われた第3回特別総会の開会式。チベット政策提言機関提供。

10月5日、インドのダラムサラで開かれていたチベット人の第3回特別総会が閉会した。この会議を招集したのはカシャグ、すなわちチベット亡命政権とチベット亡命議会である。会議では緊急課題である 中国共産党 の計画に焦点があてられた。在位中のダライ・ラマ14世は84歳で健康上の問題を抱えており、彼の逝去後には北京が統制する偽のダライ・ラマを新たに指名しようとする動きがあるのだ。 
Bitter Winterは過去に2005年の異様な第5命令について報じている。これは仏教徒のラマのうち誰が化身であるかを決定し、化身を選定を行う手順を管理し、化身を本物として認めることについて、中国共産党が独占的な権限を持つことを定めた中国の規制である。無神論主義の党が、転生者を選定するという事態に西洋諸国は冷笑するかもしれないが、この措置の政治目的はあまりにも深刻だった。化身ラマはチベット(とモンゴル)仏教の最上位を占める。中国のチベット侵攻以前に亡くなった高僧の化身と認められた僧のうち、存命者は全員高齢になっている。彼らが次々と死去する中、中国共産党は少年たちを彼らの化身に認定して後継者を選び、党の操り人形として教育することを望んでいる。 
中国共産党は、チベット仏教ゲルク派においてダライ・ラマに次ぐ高位のパンチェン・ラマ11世の認定の際に、実際に行っている。パンチェン・ラマ10世が1989年に死去すると、現在のダライ・ラマは1995年に6歳の少年、ゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)を10世の転生として認定した。この少年は中国政府に誘拐され、中国共産党とダライ・ラマは彼が生きていると主張しているものの、消息は不明のままである。その後、中国共産党は当時5歳だったギェンツェン・ノルブ(Gyaincain Norbu)の認定を進めた。彼は中国共産党認定のパンチェン・ラマ11世、および中国における中国共産党に忠実な仏教徒の公式の代表になるよう育てられた。この偽のパンチェン・ラマは世界を回り、中国に盾突くことのできない団体や国々からは本物として扱われている。

真のパンチェン・ラマの支持を表明するポスター。 (John HillCC BY-SA 4.0)

1995年のパンチェン・ラマ問題以降、ダライ・ラマ14世が亡くなった後に自らダライ・ラマを任命することが中国共産党の最終目的であることが明らかになった。総会には24か国から離散中のチベット人の代表340人が出席し、親北京の外交員が世界各地に散在していて、中国共産党の計画は既に整っているとして注意を促した。在位中のダライ・ラマが亡くなれば、中国共産党はすぐさま自ら転生者を選定するだろう。 
実際、総会が指摘したとおり、現在のダライ・ラマが住むインドでは、中国共産党の選んだダライ・ラマ15世を受け入れさせようとする説得が既に始まっている。中国の「専門家」はインド政府に対し、「中国政府が正当なダライ・ラマ(の継承者)を認定した際にインド政府がそれを認めなかった場合、中印関係に影響を及ぼすほど政治的不和となるであろう。ダライ・ラマの転生は中国の重要問題であり、中国の盟友ならば本件について中国への介入や干渉を行うべきではない」と警告している。中央チベット亡命政府の首相、ロブサン・センゲ(Lobsang Sangay)博士は総会で「次期ダライ・ラマの選定に介入させないため、中国はインドに対して脅迫を続けています。インドのような新興の超大国を脅かすことができるならば、他の小国が受ける影響の大きさは言うまでもありません」と語った。 
現状、中国が偽のダライ・ラマを選ぶことに断固抵抗する気配があるのは1か国のみである。米国では、2019年9月に、超党派の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会の議長と副議長をそれぞれ務める、ジェームス・マクガバン(James McGovern)下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員が、2002年のチベット政策法を更新、強化する規制「2019年チベット政策および支援法」(H.R. 4331S.2539)を提出した。この法案は、中国共産党がダライ・ラマの転生に関わる判断に介入することは チベット仏教 徒とチベットの人々の基本的な信教の自由を侵害していると述べている。さらに偽のダライ・ラマ15世の指名、任命に加担した中国政府の高官に対する制裁措置を呼びかけ、米国の公的機関に中国共産党が管理する偽の転生者を真のダライ・ラマとして一切認めないよう命じてもいる。 
しかし、中国共産党による偽のダライ・ラマ15世任命計画に反対する世界的な世論形成キャンペーンを今すぐに始め、十分な勢いをつけない限り、アメリカ以外の国々や仏教団体は中国に抵抗するだけの独立性や資力をもちえない可能性がある。
中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているということは、由々しきことです。

これを日本にあてはめれば、日本に米軍が進駐したときに、司令官のマッカーサーが昭和天皇の次の天皇を任命するようなものです。そのようなことは、マッカーサー元帥は全く考え及びもつかなかったでしょうし、当時の米国の幹部もそのようなことは考えなかったでしょう。

チベットの精神的最高指導者であるダライ・ラマの化身認定についての中国の主張に対し、米国議会も、ダライ・ラマ法王の化身認定はダライ・ラマ法王のみが正当な権限を有することに議論の余地はないとしたうえで、ダライ・ラマによる指針のみに従うと発表しました。

「ここに明言します。米国議会は中国が選んだダライ・ラマを認めることは決してありません」 コリー・ガードナー上院議員は、上院外交委員会の東アジア太平洋・国際サイバーセキュリティ政策問題小委員会の公聴会で、こう述べました。同小委員会は、アジアにおける米国の政策を監督する重要な議会機関であり、カードナー議員が委員長を務めます。

コリー・ガードナー上院議員

米国議会は、中国の不当な主張に対抗する形で、ダライ・ラマの化身制度についてはダライ・ラマ法王が示す指針のみに従うことを宣言しました。「ダライ・ラマ法王はご自身の転生者について指針を示された。アメリカはそれに従う」

チベットの現状とそのインド太平洋地域への影響に関する公聴会で証言した「チベットのための国際キャンペーン(International Campaign for Tibet、ICT)」副会長ブチュン・K・ツェリン氏は、中国によるダライ・ラマ化身認定を管理する計画は、チベット本土内外ともにチベット仏教徒には受け入れられないものであると述べました。

ダライ・ラマ法王14世は、2011年にチベット仏教の伝統である化身認定制度の歴史とご自身の転生者について、次のように声明を発表しています。

「明確なガイドラインがないがゆえに、ダライ・ラマの化身認定制度が継続されるべきであるという声が高まっており、政治的目的を達成するためにこの制度が誤用されてしまうおそれがあるのは明らかです。したがって、私が身体的、精神的にいたって健康である今のうちに、次のダライ・ラマを認定するためのガイドラインを作り、問題や策略などが将来的に決して起こる余地のないものとすることが大切であると思われるのです」

「もし引き続きダライ・ラマの転生者が必要であるということになり、第15世として再臨者を認定しなければならない時期が来たときには、その任務の責任は主としてダライ・ラマのガンデン・ポタン基金財団の役員たちにあります」

ダライ・ラマ法王はさらに、こう述べている。「このように正しく、論争の余地なしに認定される化身以外には、たとえ中国人民共和国の権力者などの如何なる政治権力を有する人物が政治的必要性を満たす目的で次の化身を選出することがあったとしても、その人物をダライ・ラマの化身と認定する必要はありませんし、それを受け入れて信仰する必要もありません」

声明文の全文サイトへ

最近の NHKジャパンのインタビューの中で、ダライ・ラマ法王は、ダライ・ラマの化身認定が今後行われるかどうかは、チベット人が決めることであると1969年にすでに明言したと述べた。「次期ダライ・ラマをどのように選ぶかよりも、それを決めるのが先なのです。」

日米をはじめ、先進国は信教の自由を当然の権利として認めています。先進国でない国々も、ほとんどの国が信教の自由を認めています。中国が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名をしたとしたら、チベット族は反発するのは当然のことながら、全世界から反発されるのは必至です。

特に米国における信教の自由とは他国とは異なった特別な意味を持っています。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「信教の自由」でも衝突する米中―【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!
ドナルド・トランプ大統領と共に祈るためにホワイトハウスの大統領執務室を
訪れた米国の福音派指導者ら=2017年12月11日
以下のこの記事より、米国の信教の自由に関する部分を引用します。

ご存じの方も多いと思いますが、米国では大統領が就任式で宣誓するとき、聖書に手を置いてこれを行います。日本では絶対にありえない光景です。日本では首相が般若心経やコーラン、あるいは仏典の上に手を置いて就任式をする光景はないです。
トランプ大統領は就任式で、左手を聖書に置き、右手を挙げて恒例の宣誓をした

ところが、米国ではこれは当たり前のことになっています。それは、米国において「宗教(主にキリスト教)」は政治に関与することが大いに奨励されているからです。そもそもWASP(白人でプロテスタント信仰を持つアングロサクソン系民族)と呼ばれる人々は、キリスト教信仰に基づいた国家を建設しようとして、米大陸に乗り込んできたやからです。だからキリスト教精神に則って政治が行われることは、至極まっとうなこととなのです。そのため、彼らの意識としては、政治と宗教は親和性の高いものとなっているのです。 
これを端的に表しているのが、「Separation of Church and State」という考え方です。これは詳訳するなら「特定教派と政治の分離」となります。一方、日本をはじめ他の先進諸国が使用している形態は、「Separation of Politics and Religion」です。同じく詳訳するなら「政治と宗教の分離」です。この土台が異なっているため、日本では、当福音派クリスチャンですら二重の意味で混乱を来すことになるのです。そうして、非キリスト教以外の人々にも誤解や混乱をもたらしてるのです。
一つは、日本国民として「政治の中に宗教性を持ち込んではダメ」と思っていることです。もう一つは、「キリスト教はあくまでも心や精神的癒やし(解放)を目指すものであって、政治とは相いれない」と思い込んでいることです。 
しかし米国においては、このいずれも決して自明なことではありません。もちろん政治的発言を控えるという風潮や、そういう考え方を訴える福音派の牧師もいます。しかし同じ「福音」の捉え方にしても、やはり国が違えばその強調点、濃淡に差異が生じやすくなるのです。 
多くの日本の福音派教会は、米国の宣教師からのDNAを受け継いでいます。宣教師になるくらいですから、米国にいながらどちらかというと政治よりも個々人の精神性に重きを置く傾向がある人々であることは否定できないでしょう。
日本的な「政教分離(政治と宗教の分離)」の原則と、日本にクリスチャンが1パーセント未満であるということ、そして海外からもたらされた形而上学的側面を強調する「キリスト教」が相まって、米国の「政教分離(特定教派と政治の分離)」を理解しにくくしているという一面があることは、覚えておく必要があります。
この記事には、米国福音派についても述べてあります。興味のある方は是非ご覧になってください。

このように米国においては、政治と宗教は親和性の高いものとなっています。その米国からみれば、ダライ・ラマの後継者を中国が定めるなど驚天動地の蛮行であり、これは絶対に許せるものではないと考えるのが当然のことです。米国は、ますます対中国冷戦を完遂する意思を固めたことでしょう。

そうして、日本人からしても、中国のこの蛮行は、日本でいえば先程も述べたように、天皇の後継者を中国が定めるようなものであり、とてつもない蛮行と受け止められるでしょう。

他の「信教の自由」を認める国々でも、蛮行として受け止められるでしょう。このようなことを計画する中国は、驕り高ぶりの頂点に達したと言っても過言ではないです。

このようなことを平気で実行しようとする中国共産党はもはや人類共通の敵です。日本では、来年習近平を国賓として迎えようとしていますが、とんでないです。

7月発表の中国国防白書でも「自国の軍事力は防衛と平和のため」だと主張し、「アジア太平洋諸国は運命共同体」で、「南シナ海は安定している」と述べています。

世界一の軍事強国を目指し覇権国家を確立すると言いながら、自国は平和勢力で運命共同体だと言い募る欺瞞を真に受けられるでしょうか。さらには、ダライ・ラマの後継者を中共が定めるなどとは、傍若無人以外のなにものでもありません。

こうした虚言で言いくるめた中共の真意を見逃して、日本が習政権を歓迎するようなことがあっては、国際社会の指弾を受けること必定でしょう。

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