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2020年6月9日火曜日

【日本の選択】習主席の「国賓」来日“事実上の白紙”は朗報 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない — 【私の論評】日本の経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」から解き放たれ、自由に羽ばたくことができるようになる!(◎_◎;)

【日本の選択】習主席の「国賓」来日“事実上の白紙”は朗報 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない 
米中貿易戦争

安倍首相(右)と、トランプ大統領は「共通の価値観」を共有している。

   中国の習近平国家主席の「国賓」来日が、事実上の白紙となったようだ。新型コロナウイルスの世界的感染拡大(パンデミック)を受け、日中両政府は今春の来日を延期していたが、無期延期状態が継続しそうだというのだ。習氏率いる中国共産党政府には、「死のウイルス」の初動対応や、「高度な自治」を無視した香港への強硬姿勢をめぐり、米国をはじめ世界各国で批判が高まっている。「米中新冷戦」も指摘されるなかで「日本の選択」とは。新進気鋭の政治学者、岩田温氏が斬り込む。


 コロナ禍があぶり出したのは冷厳な事実だ。

 「リベラル」と称する人々は、国家の存在を軽んじ、「国家の時代は終わった」などと安易に主張していた。だが、パンデミックという世界的な危機に際して、適切な対応を取ることが可能だったのは国家だけであった。

 もちろん、国家間の協調が重要であることは言をまたないが、国家を超越した組織が国家以上に機能することはなかった。あくまで現代政治の基本単位は国家なのである。

 空想を排し、冷静に現実を眺めてみると、必然的にわが国の進むべき道がみえてくる。

 コロナ以前から既に「米中対立の時代」に入っていたが、コロナの問題を機にますます対立は深まっていくだろう。それは現実政治において米中が対立するだけでなく、「あるべき国家とは何か」という理念上の対立にまで発展する。

 ドナルド・トランプ米大統領は名指しで中国を批判し、中国も米国を強く非難している。だが、こうした表面的な批判の応酬以上に重要なのが理念としての国家のあり方なのである。

 ◇

 コロナ禍があぶり出したのは冷厳な事実だ。

 「リベラル」と称する人々は、国家の存在を軽んじ、「国家の時代は終わった」などと安易に主張していた。だが、パンデミックという世界的な危機に際して、適切な対応を取ることが可能だったのは国家だけであった。

 もちろん、国家間の協調が重要であることは言をまたないが、国家を超越した組織が国家以上に機能することはなかった。あくまで現代政治の基本単位は国家なのである。

 空想を排し、冷静に現実を眺めてみると、必然的にわが国の進むべき道がみえてくる。

 コロナ以前から既に「米中対立の時代」に入っていたが、コロナの問題を機にますます対立は深まっていくだろう。それは現実政治において米中が対立するだけでなく、「あるべき国家とは何か」という理念上の対立にまで発展する。

 ドナルド・トランプ米大統領は名指しで中国を批判し、中国も米国を強く非難している。だが、こうした表面的な批判の応酬以上に重要なのが理念としての国家のあり方なのである。
    米国が最も重視するのは「自由と民主主義」だ。これは米国の一貫した理念であり続けている。

 これに対して、中国が掲げるのは「共産党によって強力に指導された政治体制」だ。中国が武漢におけるウイルスを封じ込めたと喧伝した際、中国共産党の強力な指導体制を誇った。これは単純に共産党をたたえているのではなく、「自由民主主義社会は自分たちの理念ではない」ことを暗に世界に示したのだ。

 危機の際、自由民主主義社会の対応が遅れがちになるのは事実だ。なぜなら、自由民主主義社会においては効率以上に「国民の基本的人権」や「自由」を尊重するからだ。国民の権利や自由など全く意に介することなく、ひたすら効率を追い求める非・自由民主主義社会の方が迅速な対応を取ることが可能である。

 だが、効率のみを追求する社会において、人々は幸せに生きることができるのだろうか。

 現在、香港で「国家安全法」が導入されようとしており、多くの市民が怒りの声をあげている。なぜ、彼らは必死に戦うのか。それは、「自由民主主義社会こそが、最も人間らしく生きることができる」という確信があるからだ。

 天安門事件(1989年6月4日)を思い返せば分かるように、中国は「経済の自由化」は認めても「政治の自由化」は認めない。なぜなら、政治の自由化は中国共産党による支配を根底から覆す可能性が高いからだ。

 一度、香港の自由が失われれば、自由を復活させることは困難だ。「表現の自由」「思想信条の自由」などの自由が奪われ、生きづらい社会が到来する。

 ■習主席の「国賓」来日「事実上の白紙」は朗報

 米中対立の時代に、わが国はどうあるべきなのか。

 多くの日本国民は、その重要性を閑却(かんきゃく=いい加減にしておくこと)しがちだが、われわれもまた自由を享受して生きており、そうした体制の下における生を望んでいるのだ。「リベラル」を自称する人々は「安倍独裁」などというが、テレビで堂々と政権批判をしても何も問題とならないわが国が独裁政治であるはずがない。

 習主席の「国賓」来日が「事実上の白紙」となったとの報道があった(産経新聞6日朝刊)。朗報というべきだ。香港への「国家安全法」の導入決定問題を厳しく論ずるべきときに、習主席の鼻息を仰ぐような態度をとるべきではないからだ。

 日本は米中対立の時代に右顧左眄すべきではない。もちろん、中国との対立を激化させる必要はない。しかし、理念が異なる国家であることを忘れずに堂々と批判すべきときには批判すべきなのだ。基本的人権を無視し、国民の自由を蹂躙(じゅうりん)する国家に阿諛追従(あゆついしょう=気に入られようとして、媚びへつらうこと)してはならない。

 ■岩田温(いわた・あつし) 1983年、静岡県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、同大学院修士課程修了。拓殖大学客員研究員などを経て、現在、大和大学政治経済学部政治行政学科准教授。専攻は政治哲学。著書・共著に『「リベラル」という病』(彩図社)、『偽善者の見破り方リベラル・メディアの「おかしな議論」を斬る』(イースト・プレス)、『なぜ彼らは北朝鮮の「チュチェ思想」に従うのか』(扶桑社)など。

【私の論評】日本の経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」から解き放たれ、自由に羽ばたくことができるようになる!(◎_◎;)

安倍晋三首相も、基本的人権を無視し、国民の自由を蹂躙する国家に阿諛追従するつもりはないようです。

安倍晋三首相は9日の衆院予算委員会の国民民主党の渡辺周氏への答弁で、中国の習近平国家主席の国賓来日に関し、日程調整を当面行わない考えを表明しました。新型コロナウイルス感染症に触れ「状況を収束させることが何よりも重要だ。日中間で意思疎通を続けるが、少なくとも今は具体的な日程調整をする段階にはない」と述べました。

9日の衆院予算委員会の国民民主党の渡辺周氏への答える安倍総理

中国による香港への国家安全法制導入決定を巡り「情勢を深く憂慮している。香港は一国二制度の下、自由で開かれた体制が維持され、民主的、安定的に発展することが重要だ」と改めて強調しました。

当然といえば、当然の反応です。そうして、政府としては、これからの世界がどのように変わっていくのか、見通しをもって今後の政策を遂行していくべきです。

これからの世界は、どのように変わっていくのでしょうか。コロナ禍による社会隔離措置の結果として、全世界的に、サービス消費に関わる産業の多くが世界的に壊滅的な打撃を受けています。

一方、巣ごもり消費やリモートワーク等の恩恵を受ける分野では代替需要と特需が発生していることも、見逃されるべきではありません。経済全体に対しては良くない影響がありながら、それとともに、勝ち組と負け組を二極化させることもまた、「コロナ共生の時代」の特徴として捉えておくべきです。

もちろん、コロナ狂騒曲はいずれ終焉を迎えます。その後、「コロナ共生の時代」の優劣が続くとは限らないです。しかし産業構造が「コロナ以前」の時代へと再び回帰するかと問われれば、それも難しいといわざるを得ないです。

なぜなら、コロナ以前の時代から始まっていた国際政治経済の変化がコロナ禍を触媒として加速しているからです。これが最終的に受容されることになれば、社会構造の変化が言わば「コロナ遺産」として残され、「コロナ後の時代」における経済産業構造を規定することにります。

コロナ以前から既に始まっていた国際政治経済の一つの潮流が「主権国家の逆襲」もしくは、グローバルガバナンスの修正でした。国家は「国家主権」「民主主義」「(ハイパー)グローバリゼーション」の三つのうち、少なくとも一つを放棄せざるを得ません。

ダニ・ロドリックが提唱した、この有名な「国際政治経済のトリレンマ」になぞらえれば、冷戦終結を契機として西側諸国は国家主権を限定することと引き換えにグローバリゼーションを進展させてきたとも言えます。

しかし進み過ぎたグローバリゼーションは深刻な問題を露呈させました。第一は、「底辺への競争」と「再分配機能の低下」に伴う(国内)格差の拡大です。これは戦間期(第一次大戦終結から第二次大戦開始まで)としばしば重ねられる現象でもあります。グローバリゼーションの恩恵にあやかるべく、各国は競って(法人)所得減税・関税減免・規制緩和に励む。その財源は、(輸出に有利な)付加価値税の増税です。

結果として資本効率は高まるのですが、他方で実質的な労働所得は抑制されることになります。わかりやすくはっきり言えば、資本家と労働者の格差が拡大します。トマ・ピケティの議論を持ち出すまでもなく、トランプ現象にせよ、サンダース旋風にせよ、英国のEU離脱にせよ、大陸欧州で深刻化するネオナチ運動にせよ、通底しているものは皆、ルサンチマンが導くグローバリゼーションに対する反発だったのかもしれません。

露呈した第二の問題は、中国共産党の台頭に伴う「(サミュエル・ハンチントンが指摘するところの)文明の衝突」リスクの顕在化です。グローバリゼーションの進展が中国経済の躍進に機会を与えたことは言うまでもないのですが、中国の台頭は通信・航空技術など軍事関連分野でもリープフロッグ型発展を促し、西側諸国の安全保障を脅かすに至りました。米中冷戦の底流にこの問題が存在していることもまた、論をまたないでしょう。

これらへの対処こそが、「ポスト・コロナ時代」への伏線だった、とは考えられないでしょうか。第一の問題への処方箋として検討されていたのが「ベーシックインカムに代表される所得再分配制度の再設計」、および「過度なグローバリゼーションの是正(と国家主権の回復)」です。

第二の問題への処方箋としては、「経済のブロック化と内製化の進展」、「軍事関連技術への国家的介入」などが検討・実施されてきました。無論、グローバリゼーションによる経済的恩恵を放棄しながら上述したような政策を行うためには、莫大な財源確保を必要とします。この財源問題を克服するに当たって一部で検討されていたのがシニョレッジ(通貨発行益)の議論でもありました。

上述したような処方箋の多くが、主流派の経済学者・政治学者らの目には荒唐無稽な発想に写ったに違いないです。しかし翻って現在、コロナ禍への対応を口実として、前述した対策と近しい政策が矢継ぎ早に実行に移されていることは否定できないです。

国際移動は半ば強制的にシャットダウンされました。内製化およびサプライチェーンの再構築に向けて、国家を挙げた対策が講じられています。ボーイング等に代表される軍需関連産業の保護は早急に進められています。

リモートワーク推進等を奇貨として、中国共産党が近年進めてきたことと全く同様に、仮想空間における監視強化と通信技術の発展が志向されることになるかもしれません。緊急事態宣言により国民主権は一部制限されることになりますが、他方で、一時的とはいえベーシックインカムに近しい現金給付が行われ、一定水準の生活が保障されます。そして政府支出の増加は中央銀行の量的緩和によって一旦ファイナンスされます。

かつて荒唐無稽と一笑に付されてきた「グローバルガバナンスの修正」に向けた過激な政策が、コロナ禍を触媒として予定調和的に進められているのが現状だとと見做すこともできるかもしれません。

もしそうだとすれば、コロナ制圧後の人類は新たな世界秩序を受容するのでしょうか。それとも、コロナ以前の世界を希求するのでしょうか。この社会選択が「ポスト・コロナ時代」における経済産業の「ゲームのルール」を強力に規定することになるでしょう。

コロナ制圧後の世界秩序はまだどうなるかは、わかりませんが、中国は一党独裁のため、民主化ができず、グローバリゼーションと国家主権に拘泥しようとするのですが、ある程度民主化しなければ、世界の大きなプレイヤーである日米などの先進国と貿易ができなくなるでしょう。

かといって、先進国とは別の経済圏を作ったにしても、結局は旧ソ連と同じで、その経済圏が発展することもなく、ソ連と同じで衰退していくことになるでしょう。米国は中国が体制を変えない限り、制裁をさらに加速します。

そうして中国はソ連と同じ運命を辿り、崩壊するか、今の体制のまま、経済が衰退して世界に対して影響力を及ぼすことができなくなるでしょう。

日本については、グローバリゼーションの度合いを減らすことにより、自給自足型経済で“V字回復”し、黄金時代を迎えることになるでしょう。

コロナ禍の前は、明らかに人手不足傾向でしたが、コロナ禍により、一時的に雇用がダメージを受けるかもしれませんが、反グローバル化で、自給自足型経済を推進すれば、また人手不足の状況に戻り、それが日本の大繁栄の基礎となるでしょう。

恒常的人手不足により、誰もが普通に働けば生活に困ることなく、普通に努力すれば、応分に報いられる社会に変容していくことでしょう。ただし、リーダーといわれる人々には大変な時代となります。

利害が対立しがちな部門同士の調整をするとか、カリスマ性を発揮するなどの従来型のリーダーシップから真のリーダーシップを発揮することが求められるようになるでしょう。

これについては、すでにこのブログで解説したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
自給自足型経済で“V字回復”日本の黄金時代到来へ! 高い衛生観念でコロナ感染・死者数抑え込みにも成功―【私の論評】今後も続く人手不足が、日本を根底から変える。普通の人が普通に努力すれば応分に報いられる時代がやってくる(゚д゚)!



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の結論部分を掲載します。
常に人手不足にさらされるこれからの時代には、合理性を無視した極端な緊縮財政や極端な金融引締は回避されるのではないかと思います。であれば、日本は黄金時代を迎えるのは、間違いないと思います。
ただ、日銀や財務省は、国民による厳しい監視を続け、昨年の増税などの非合理な動きをしたときには、厳しく糾弾していく必要性は、ここしばらくはありそうです。
日本が反グローバル化の波に乗り、ある程度は自由貿易をしつつも、自給自足型の経済に戻れば、 間違いなく黄金期を迎えます。

ただし、日銀や財務省が政策を間違え、それを政治家が正せないようなら、黄金期を迎えることはできないかもしれません。日本が黄金期を迎えられるか否かは、日本が軍事的脅威にさられる以外は、国外の事情とはあまり関係ありません。

一重に、国内の財政政策と金融政策が問題です。これらが、まともに遂行されれば、日本は黄金期を迎えます。財務省や日銀が誤った政策を実施しても、それを政治家が修正できなければ、平成時代と同じく、デフレが続くことになります。

そうして、日本が黄金期を迎えれば、日本の社会は変わります。「国際政治経済のトリレンマ」でいうところの、「(ハイパー)グローバリゼーション」を捨て去り、日本は黄金期を迎えるわけですから、「国家主権」「民主主義」のいずれを強めても成り立つわけです。

そうなると、これらの両方を強化をすべきです。今の日本で、「国家主権」と「民主主義」のいずれが、強化できる余地があるかといえば、言わずもがなの「国家主権」です。

ただし、民主主義も欠けている面などは、補いつつも、国家主権を強化すべきです。そうして、黄金期を迎えた、日本ではそれ比較的容易になるはずです。

今でも、現在コロナ対策の二次補正予算はバラマキなどとのたまう、政治的にも経済的にも物差しが狂った野党はほとんど相手にされなくなっているでしょう。まともな野党だけが、多くの国民に支持されることになります。

そうなると、憲法改正などの「国家主権」に関わる分野は、かなり是正できることになります。その頃には、中国はかなり弱体化しており、その影響力もほとんどなくなり、日本は「国家主権」を強化することが容易になるはずです。

これには、米国の議会も大統領も賛成することでしょう。彼らも、戦後長期にわたって、平和主義を貫いてきた日本が、よもや中国のように米国を脅かす存在になることはなく、頼りになるパートナーが生まれることを期待するようになるでしょう。

日本経済は黄金期を迎え、「戦後レジーム」からも解き放たれて、自由に羽ばたくことができるようになるでしょう。

黄金期を迎える日本の将来を信じて、政府はそれを目指して、戦略を立てるべきです。私たちも、その未来が来ることを信じて、まずは目の前の私たちの責務を果たしていこうではありませんか!

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2020年4月3日金曜日

中国で飛び交い始めた「習近平政権ピンチ」の噂―【私の論評】習近平は本当に国賓として日本を訪問できるのか?失脚は十分にあり得る筋書きとなった(゚д゚)!


続々と表面化する習近平政権批判の動き
新型コロナウイルスが発生し感染が拡大した武漢を視察に訪れた習近平国家主席(2020年3月10日)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 習近平がG20の特別サミットテレビ会議(3月26日)で重要演説をし、「ウイルスに国境はない。感染症はわれら共同の敵。各国は手を取り合って立ち上がり、最も厳密な共同防衛ネットワークをつくらねばならない」と、世界に呼びかけた。

 翌日のトランプとの電話会談では、米国に中国側の新型コロナ肺炎対策に関する詳細な経験を紹介し、「米国の困難に陥っている状況を理解している。できる限りの支持を提供したい」と、あのトランプに習近平がいろいろとアドバイスして差し上げたようだ。米国が中国以上の新型コロナ肺炎の感染者を出し、ニューヨークの医療崩壊に直面している中で、習近平がトランプに「助けてあげようか? その代わり・・・」と上から目線で問いかけ、世界のリーダー然として見せた。

 果たして、このパンデミックを契機に米中新冷戦構造の対立が大きく変わるのか。このパンデミックを機に対立が解消され、米中が手を取り合うG2時代の到来を習近平は予感しただろうか。米国の脆弱さが露呈され、習近平の中国に次なる国際社会のルールメーカーとなるチャンスを与えるのだろうか。

 私の希望的観測からいうと、NOだろう。習近平はそのころ、国家主席でも総書記でもないかもしれないからだ。

政権を批判し失踪した「中国のトランプ」

 噂を信じるわけではないのだが、3月12日以来“失踪”していた任志強が釈放された、という情報が3月末に中国のネット上で飛び交った。それが本当ならば、次の党大会で習近平退陣の可能性はかなり強いだろう。

任志強は、中国情勢をそこそこ知っている人ならば心当たりのある名前だ。王岐山が夜中に愚痴の電話をするほどの親友関係だった元華遠集団総裁の共産党員。父親は元商業部副部長まで務めた高級官僚・任泉生で、いわゆる「紅二代」(毛沢東らと共産革命に参加した政府指導部の子弟)だ。

任志強

 中国のドナルド・トランプとあだ名される「放言癖」があり、王岐山という背景がある強気もあって、2016年には、習近平が中央メディアに対して「党の代弁者」であることを要請したことに対して痛烈に批判した。このときの騒動は「十日文革」などとも呼ばれ、それまで反腐敗キャンペーンという習近平政権の主要政策の陣頭指揮をとり習近平の片腕とみなされた王岐山と習近平の関係に亀裂を入れたといわれている。

 任志強はあわや党籍をはく奪されそうになったが、そこは紅二代で王岐山の親友であるから、なんとか回避した。が、表舞台からは退き、趣味の木彫りなどをやりながら隠遁生活をしていた。

 だが2月23日、任志強は米国の華字サイト「中国デジタル時代」に習近平の新型コロナ肺炎対応を批判する文章「化けの皮がはがれても皇帝の座にしがみつく道化」を発表し、習近平の“文革体質”を再び激しい言葉で批判。この文章は中共内部が執政危機に直面し、言論の自由を封じていることが、感染対応任務の阻害になり、深刻な感染爆発を引き起こしたと、批判するものだった。

 何よりも表現が過激で、「あそこに立っているのは、自分の新しい衣服を見せびらかそうとしている皇帝でもなく、衣服すら脱ぎ捨てても皇帝の地位にしがみつく道化である。自分が丸裸であるという現実を隠すために、恥部を隠す布切れを一枚、一枚掲げてみせるが、自ら皇帝の野心にしがみついていることは一切隠さない。私が皇帝になるわけではないが、あなたを滅亡させる決心はしている」「遠くない将来、執政党はこの種の愚昧の中で覚醒し、もう一度“打倒四人組”運動を起こし、もう一度鄧小平式の改革を起こし、この民族と国家を救うかもしれない」などと書いていた。

 “打倒四人組”運動とは、文化大革命を主導し、毛沢東死後も文革路線を堅持しようとした江青、張春橋、姚文元、王洪文の4人を、文革穏健派の華国鋒、李先念ら周恩来系の中間派官僚、王震ら復活幹部グループ、葉剣英ら軍長老グループが連合して電撃逮捕した、「政変」である。これをもって文革は完全に終結し、鄧小平による改革開放路線によって中国は再出発したのだった。つまり、任志強の文章は暗に政変を呼び掛ける「檄文」だった、というとらえ方もある。

 その後、任志強は失踪した。少なくとも3月12日以降、連絡がとれていない。任志強の知り合いは、彼が中国当局に連行されたことを証言している。任志強の親友の女性企業家、王瑛がロイターに語ったところによれば、「任志強は知名度の高い人物で、彼が失踪したことはみんな知っている。責任ある関連機関は一刻も早く、合理的で合法的な説明をしなければならない」という。

習近平を批判する動きが続々と表面化

 今の習近平に政権の座から退場願いたい、と思っているのは何も任志強だけではない。

 3月21日ごろ、ネットでは「緊急中央政治局拡大会議招集の提案書」なるものが拡散していた。これは陽光衛星テレビ集団(香港SUNテレビ)主席の陳平がSNSの微信(ウィーチャット)で転載した公開書簡だった。内容は、「新型コロナ感染により中国経済と国際関係情勢が厳しくなったことを鑑み、習近平が国家主席、党総書記の職務を継続することが適切かを討論する政治局緊急拡大会議を開くべきだ」という。

 提案書は、中国が世界で四面を敵に囲まれている状態での討論テーマとして、次の諸問題を挙げている。

・鄧小平の主張した「韜光養晦」(とうこうようかい:才能を隠して内に力を蓄える)路線について明確な回答をすべきか否か。
・政治上、党が上か法が上か、執政党は憲法を超越できるか? を明確にするか否か。
・経済は、国進民退(国有企業を推進して民営企業を縮小する)か、民進国退(民営化を進めて国有企業を解体していく)か?
・治安維持のために公民の基本権利を犠牲にするか否か。
・民間がメディアを運営することを認めるか?
・司法が独立すべきか、公民が政府を批判していいか、世論監督が必要かどうか、党の政治を役割分担した方がよいか、公務員の財産は公開すべきか否か?
・台湾との関係において、本当に統一が重要か、それとも和平が重要か?
・香港の問題において、繁栄が重要か、それとも中央の権威が重要か、香港の地方選挙完全実施を許してよいか否か?

 提案書は、李克強、汪洋、王岐山による政治局拡大会議指導チームをつくり、会議の各項目任務の責任を負うべきだとした。さらに、「この会議の重要性は、決して『四人組逮捕』に劣るものではない。習近平の政治執政路線に対し評価することの意義は、(華国鋒が失脚し鄧小平が権力を掌握した)十一期三中全会の歴史的意義よりずっと高い」という。

 ここの提案書は、任志強の習近平批判文章に呼応したものとみられる。提案書を出した人物は不明である。紅二代(太子党)が関連していると思われるが、監視が厳しい中国のSNS微信で発信されていることは驚くべきことだろう。

 提案書を転載して拡散した陳平は香港定住者だが、紅二代出身の開明派とみなされる人物。父親は習近平の父親の習仲勲の部下で、習仲勲の深圳視察に同行したこともある。習近平とは40年来の付き合いともいわれ、王岐山とともに1984年の莫干山会議(この会議により経済の改革開放プロセスが一気に推進した)を組織した。この提案書は微信で拡散しただけでなく、実際に中央に提出されたという噂もあった。陳平は「自分が書いたわけではないが、党内でこの意見に賛同するものは少なくない」と語っている。

 武漢で新型コロナ肺炎がアウトブレイクしたのち、習近平の執政路線、政策の過ちを批判する知識人も続出している。

 まず、清華大学教授の許章潤が2月に書いた「怒りの人民はもう恐れない」という文章では、「習近平の統治が中国を世界の孤島に徐々にしている」「30年以上前の改革開放の苦労によって切り開いた開放性が、習近平によってほとんど破壊された。中国の統治状態は前近代状態だ。門は閉ざされ、野蛮な人道的災難が絶えず発生し、中世のようだ」と書いた。許章潤は目下、軟禁状態らしい。

 また憲法学者で公民運動家の許志永は「退任勧告書」を出した。「権力狂人」の習近平は国家統治能力の実力がなく、「妄議罪」(ありもしないことを議論した罪)をでっち上げ、社会における諫言や改善のための意見を許さなくなった、習近平に中国のこれ以上の“安売り”を許さず早々に退任させよ、と主張している。許志永も公安に身柄を拘束されている、という。

 これほどの批判を受けて、習近平も当然、四人組逮捕や第十一期三中全会を念頭において警戒はしているだろうから、外部からはっきりそうとわかる形の「政変」や「クーデター」が起こる可能性は低いに違いない。だが、習近平の党内における責任論が高まり、求心力が急激に弱まっていることはいえるだろう。

中国の感染状況は?専門家の見方

 3月29日に習近平は「企業・工場再稼働」をアピールするために浙江省を視察、このとき地方の村で習近平がマスクをしないで、農民と歓談している様子の写真が配信された。浙江省はまだ感染状況が落ち着いてるとは言いがたい。その中で、あえてマスクをしない習近平は、指導者みずから感染のリスクに身をさらしてみせて、経済回復のために君たちも命をかけろ、と言いたいかのようだ。習近平は2月3日から3月27日まで57回も「企業・工場の再稼働」を指示し、表面上は浙江省は2月末に企業再稼働率98%を宣言している。にもかかわらず、実際の経済の再稼働はなかなか進んでいない。

 実のところ習近平の「大丈夫アピール」とは裏腹に、中央感染予防工作チームトップの李克強はいまだ感染状況について「複雑で厳しい」と言い続けており、党内で中国の感染状況に対する評価が割れている。

 李克強は3月23日の感染予防コントロール会議の席上で、感染状況の各地の報告に隠蔽がある可能性をほのめかせながら、「専門家たちは、この感染症が、かつてのSARSのように突然終息する可能性は低いとみている」と訴え、慎重な姿勢をみせている。1月に李克強が感染予防コントロール工作の指揮を執ることになってから、習近平と李克強の仕事ぶりが党内の間でもメディアの間でも比較され、全体としては李克強の言動の方が評価されているふうに私には見える。

「習近平の退陣決定」という噂は本当か

 こうした党内不協和音の中で、任志強に関する次のような噂がネット上で流れた。

 「アリババの元CEOの馬雲(ジャック・マー)ら民営企業の“5大ボス”が“任志強釈放”を求める連名の意見書を出した」

 「任志強の親友である王岐山が、自分の進退をかけて、任志強を釈放し、習近平に“国家主席終身制”を放棄するように迫った。秋の五中全会(第五回中央委員会総会)で、李強(上海の書記、習近平の浙江省書記時代の党委員会秘書長)と胡春華(副首相)を政治局常務委員会入りさせ、後継者指名することも迫った」

 「任志強は身柄拘束されたが、絶食して抵抗している」・・・。

 3月28、29日にはこんな噂も飛び交っている。「王岐山、王洋、朱鎔基ら長老らが手を組み、習近平に任志強の釈放と、習近平自身の退陣を迫った。習近平は“終身制”を放棄し、李強と胡春華を後継者に認定し、秋の五中全会で2人が中央委員会入りし、次の第二十回党大会でそれぞれ総書記と首相に内定している。そして任志強は釈放された」というものだ。

 その“噂”が本当なら、これは事実上の「ソフト政変」といってもいいかもしれない。四人組逮捕や十一期三中全会のように過激さはないが、ひそやかな形でアンチ習近平派が圧力をかけ、習近平に個人独裁終身路線を放棄させた、ということになる。多くの人たちは、にわかには信じられない、と言っている。ネットではマスクをつけた任志強の写真が流れているので、釈放は本当のようにも思えるが。

 真偽はともかく、国際社会で大演説をぶって、米国にも上から目線の習近平が国内では、かなり強い圧力を受けて窮地にいるとは言えそうだ。とすれば、来る国際社会の大変局で、中国がルールメーカーの座を米国から奪う局面になったとしても、それは習近平の中国ではあるまい。ひょっとすると、共産党政権の中国でもないかもしれない。

【私の論評】習近平は本当に国賓として日本を訪問できるのか?失脚は十分にあり得る筋書きとなった(゚д゚)!

「習近平政権ピンチ」の噂は、上の記事の内容以外も、中国ではいろいろな方面で囁かれているようです。

新型肺炎の拡大が止まらない先月の中国では、習近平国家主席に異変が起きていたのか。“失脚説”や“コロナ感染説”が飛び交っていました。

SNS上では「#習近平感染」と「#習近平失脚」のハッシュタグがつき、盛り上がっていました。

事の発端は、このブログでもお伝えしたように、1月29日から2月4日まで、習近平が1週間も公の場に姿を見せなかったことです。国営新華社通信は3日、最高指導部が新型肺炎について会議を開いたと報じたのですが、テレビニュースの画面にはアナウンサーの姿しかなく、最高指導部のメンバーは誰も映っていませんでした。

5日、習主席がカンボジアのフン・セン首相と会談したことで、ひとまず“失脚説”や“重病説”は沈静化しています。

習近平が姿をくらますこと自体は、珍しいことではなく、2012年9月15日にも、2週間姿をくらました後で、姿を現しています。中華民国の評論家、経済史研究者黄文雄氏は、これについて「古巣の浙江省に籠もり、反日デモと尖閣強奪作戦を指揮していたようだ」としています。

今回も、いずれかに籠もり、武漢ウイルス禍を奇貨として、何ができるかを検討して、動きだしたのかもしれません。

そのためか、武漢肺炎の拡大自体は、実は習主席にはむしろ追い風になった可能性もあります。中国人民の怒りの矛先は、中央政府ではなく、湖北省や武漢市の役人に向けられているからです。これは、習近平が意図的にそうした可能性があります。

中央政府は、中国人民に、武漢肺炎での不手際を謝罪するどころか、水戸黄門のように、地方役人を叱りつける役回りを演じています。武漢肺炎前からの中国経済の悪化も、新型肺炎を理由にできます。米国に冷戦を挑まれた結果、経済が落ち込み続けて八方塞がりになっていた習近平にとって、おもっても見なかった僥倖かもしれません。

それどころか、このブログにも掲載したように、中国共産党は、最近はもっぱら「ウイルスとの戦いにいち早く勝利した中国」が、パンデミックと戦う世界各国の模範となり、救世主となる、という大プロパガンダを展開中です。今や世界で一番安全なのは中国国内で、感染源になっているのは欧米だ、というわけです。

中国、イタリア支援の医療チーム第3陣を派遣

これに対して米国は「ヒーロー気取り」の中国に対してこのブログでも解説したように、怒りの鉄槌を下そうとしています。

米国連邦議会の上院のジョッシュ・ホーリー議員(共和党)、下院のセス・モールトン議員(民主党)、エリス・ステファニク議員(共和党)ら約10人の超党派議員グループは3月23日、コロナウイルス感染症に関して中国政府の責任を法的に追及し、感染の国際的拡散によって被害を受けた諸国への賠償支払いを求める、という趣旨の決議案を上下両院に提出しました。

同決議案に署名した1人、ジム・バンクス下院議員(共和党)は議場での発言で、中国の責任追及のためには、単なる決議ではなく、米国として強制力を持つ法律を作って、中国政府への損害賠償を法的に迫るべきだという提案を明らかにしました。

それは以下のような提案でした。
全世界に被害をもたらした中国政府の法的な責任を明確にして、中国に賠償金を支払わせる方法として、第1には、中国政府が保有する莫大な額の米国政府債券の一部を放棄させる方法、第2には、中国からの輸入品にこの賠償のための特別な関税を新たにかけて、「コロナウイルス犠牲者賠償基金」を設けさせる方法、などが考えられる。
こうした方法の実効性は現時点では不透明ですが、米議会にここまで具体的な中国政府への賠償請求の動きが広がっていることは注視すべきです。

米国をこのように激怒させ、具体的に賠償責任を追求する姿勢をとらせたのは、習近平の大きな誤算だったかもしれません。これでは、中国内で批判されるのは当然といえば当然です。

中国人民が中央政府に対して声を上げるとしたら、コロナウイルスの感染拡大が収まった後でしょう。いまはまだ身を守るのに精いっぱいです。ただし、中国政府は武漢肺炎は終息しつつあるとしてますから、これが本当なら、そろそろ各地で頻繁に暴動が起こるかもしれません。

冒頭の元記事では、「アリババの元CEOの馬雲(ジャック・マー)ら民営企業の“5大ボス”が“任志強釈放”を求める連名の意見書を出した」というのが本当だったとすれば、これはかなり習近平政権が深刻な事態に陥っているとみるべぎす。

私はジャック・マー氏のアリババ退任の裏側について、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
アリババ創業者突然の引退宣言、中国共産党からの「身の危険」…企業家が次々逮捕・亡命―【私の論評】習近平がすぐに失脚すると見誤った馬会長の悲運(゚д゚)!
Forbsの表紙を飾った馬雲会長

この記事は、2018年9月13日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、マー氏のアリババ退任の裏側を私が分析した部分を掲載します。
おそらく変わり身の早い馬雲氏は、様々な出来事から判断して、習近平はすぐにも失脚すると踏んだのではないかと思います。実際7月には、上記にも掲載したように、習近平周辺で様々な異変がありました。 
習近平が失脚するとなると、上記のように習近平と近い関係を保ってきたことが今度は裏目に出ます。今度は、反習近平派の江沢民派などと、手を組まなければ、中国内ではうまく商売ができなくなります。 
だから、まずは"サウスチャイナ・モーニングポスト"あたりで、習近平を批判させ、さらに様子を見て、徹底的に批判しようとしたのでしょう。そうして、なんとか反習近平派に取り入る機会をつくろうと画策したのでしょう。 
しかし、習近平は意外にしぶとく、少なくともここ1年くらいは失脚することはありえないというのが実体なのでしょう。 
ここを馬雲会長は、見誤ったのでしょう。そのため、習近平側からの報復を恐れて、はやばやと引退する旨を明らかにしたのでしょう。以前はこの変わり身の速さが、馬雲を救ったのでしょうが、今回はこれが災いしたようです。
マー氏(馬雲氏)が、かなり変わり身が早いのは事実です。というより、中国では権力構造が変わるときに、乗り遅れれば企業は事業を円滑に継続することはできません。だから、優れた経営者ほど権力構造の変化には、敏感すぎるほど敏感です。

もし、権力構造の変化に乗り遅れた場合、会社を放逐されるのは当然としても、命を失う可能性も否定できず、敏感になるのは当然といえば、当然です。

この変わり身の早いマー氏が、「“任志強釈放”を求める連名の意見書を出した」ということが本当であれば、近いうちに中国で権力構造の変化があるかもしれないことが俄に現実味を帯びてきたといえると思います。

過去、中国の王朝は、疫病の流行で崩壊しています。習主席は人民の不満を最後まで抑えられるのでしょうか。私としては、中国共産党が崩潰するまでのことは、すぐにはないとは思いますが、少なくとも習近平の失脚は多いにありえると思います。

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2020年2月3日月曜日

新型肺炎、中国の“衝撃”惨状 感染者「27万人以上」予測も…習政権は“隠蔽”に奔走、「国賓」来日に潜む危険 ―【私の論評】本来習近平自身が、延期等を打診してくるべき!日本に対する無礼の極み(゚д゚)!

中国発「新型肺炎」

習近平(左)と李克強(右)のコンビを信用できるのか

中国本土で、新型コロナウイルスによる肺炎が「パンデミック(感染爆発)」状態となっている。一日あたりの感染者増加は2000人以上。中国当局は「春節(旧正月)」の大型連休が明けた3日、さらなる感染拡大を防ぐため厳戒態勢を敷いている。こうしたなか、フィリピンで2日、新型肺炎で中国人男性が死亡したと発表された。世界保健機関(WHO)によると中国国外での死者は初めて。地球規模の混乱が続くなか、今年4月、天皇、皇后両陛下が接遇される「国賓」として、中国の習近平国家主席を迎えられるのか? 中国事情に精通するノンフィクション作家の河添恵子氏が、大手メディアが伝えない「衝撃の裏情報」に迫る緊急寄稿第2弾-。


 「2月4日には、新型ウイルスが発生した湖北省武漢市で13万人から27万人以上の感染者が予測される。ほかに最大規模の感染者が予想される中国の都市は、上海、北京、広州、重慶、成都だ」

 「飛行機での移動を通じて感染拡大の危険性が高い国や特別行政区は、タイと日本、台湾、香港、韓国である」

 これは、英国ランカスター大学と、同グラスゴー大学ウイルス研究センター、米国フロリダ大学の感染症生物学者の専門家が1月23日、今後の14日間の新型肺炎の流行予測として発表した内容である。

 武漢市からのチャーター機3機で日本に帰国した計565人の中に、感染者は8人いた。感染割合は1・5%弱となる。武漢市の人口は約1100万人なので、16万人以上が感染してもおかしくはない。

 しかも、中国政府が隠蔽に奔走していた間に、北京や上海はじめ中国全土にウイルスが拡散してしまった。英BBCは先月31日、「チベットでも感染者が確認されたことは、中国すべての地域にウイルスが到達したことを意味する」と報じた。

中国メディアによると、3日朝時点で、中国全土の死者は360人、感染者は1万6000人超という。感染拡大が加速するなか、習近平政権は「情報統制」にますます力を注いでいるように感じる。

 新華網によると、中国の巨大メッセージアプリ「WeChat(微信)」のセキュリティーセンターは先月25日、「新型肺炎に関する噂の特別管理公告」を発表した。「SNSでの伝達、伝聞の類の噂話は社会秩序を著しく乱すため、3年以下の懲役、拘束または管理対象とする。重大な結果を招く者は、3~7年以下の懲役に処せられる」という。

 さらに、李克強首相(中国共産党序列2位)をトップ(組長)とする、「アウトブレーク(集団発生)を防ぎ制御する領導小組(疫情防控領導小組)」が立ち上がった。宣伝担当の王滬寧・政治局常務委員(同5位)を副組長に、中央宣伝部部長、公安部部長など党幹部がメンバー入りした。

 これに対し、中国国内では「医師や学者など専門家がいない!」「人民の命は後回しか」「目的は人民の怒りの封じ込めと、情報漏洩(ろうえい)を防ぐことだ」との揶揄(やゆ)が飛んでいる。また、「これまで、複数の組長になってきた習主席が、責任を李首相に押し付けようとしている」との皮肉も聞こえる。

 混乱をよそに、中国各地からは「意を決した」人民によるさまざまな情報や写真、映像が拡散され続けている。

 武漢の協和病院では、1人の肺炎患者を治療したところ、14人の医療従事者が同時に感染したという。また、上海では先月末までに、市内201カ所の公園が閉鎖された。上海で最も有名な繁華街「南京路」が“無人状態”となっている写真も流出している。

 また、北京大学呼吸器科の主任医師が、中国中央電視台(CCTV)で「(新型肺炎の流行は)制御可能」「医師と看護師など医療現場での感染者はない」と語り、党幹部らと武漢市を訪れた後、自身の感染が発覚して隔離された、という話もある。「北京の病院は国家安全部(=情報機関)に管理され始めている」との情報もある。

 ロイター通信は、封鎖されて7日目の武漢市の様子を航空写真で公開した。中国メディアの一部は「死城(死んだ街)」と表現した。

 ■習主席「国賓」来日の危険度

 また、中国内外からは、「武漢市の海鮮市場からウイルス感染が広がったのではなく、SARS(重症急性呼吸器症候群)や、エボラ出血熱といった危険な病原体を研究するために指定された中国唯一の研究室『武漢P4研究室』から生物化学兵器が漏れた」という説とともに、犯人捜しがヒートアップしている。

 情報が錯綜(さくそう)するなかで流れる「習政権は、昨秋から戦争の準備をしていた」とか、「9月には、すでに新型コロナウイルスが存在していた」という話も、フェイクとは言い切れなくなった。

 なぜなら、武漢天河国際空港の税関で「コロナウイルスの感染が1例検出された」という想定での緊急訓練活動が昨年9月18日に実施されたことを、湖北省の官製メディアが報じているからだ。

 さて、問題は日本だ。

 日中両政府は現在、習主席の4月上旬の「国賓」来日で調整している。実現すれば、習主席は中国から大勢の同行者とともに来日するが、その中に「自覚なき感染者」が含まれていないともかぎらない。

 国賓の場合、天皇、皇后両陛下による歓迎行事や会見、宮中晩さん会などが催される。両陛下や皇族の方々が、新型肺炎に感染しないと誰が保証できるのか。

 情報の「開示」どころか「隠蔽」に走る習政権のメンツを立てることが最優先事項なのか? 永田町が「国民の安全」と「国体の護持」について真剣に考えているとは到底思えない。

【私の論評】本来習近平自身が、延期等を打診してくるべき!日本に対する無礼の極み(゚д゚)!

上の記事にもある、新型コロナウィルスがHIVからデザインされた生物兵器というのはインドの研究チームの早とちりのようです。新型の遺伝子はSARSなどと96%一致。HIVと同じとされている部分は他の生物にもたくさん存在する配列のようです。そもそも、新型コロナウィルスには、遺伝子編集された痕跡がないとのことで、生物兵器説はないと見て良いでしょう。

それに、生物兵器であれば、ウィルスの蔓延を防いだり、治療方法も開発してあるでしょうから、発症・感染の初期にはやめに対策を打てたはずですから、現状をみていると、そのようなことはないようなので、こちらの観点からも、やはり生物兵器説はあり得ないと断じて良いでしょう。この点以外は、冒頭の記事の内容は、概ね信憑性があるものと思います。



ところで、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で3日、中国海警局の船4隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認しました。2日にも確認しており、尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは2日連続です。

第11管区海上保安本部(那覇)によると、1隻は機関砲のようなものを搭載。領海に近づかないよう巡視船が警告しました。

中国は新型肺炎で、大変なはずですが、そのような大変な時にもかかわらず、今年に入ってから皆勤賞です。1日も欠かさず「毎日」来ています。今日で28日連続です。

自民党幹事長二階氏が「親戚の人が病になったとという思い」とマスク100万枚送った国からの仕打ちがこれです。馬鹿馬鹿しくてもはや腹も立たないです。政治家の言葉はまさに政治的駆け引きの道具ですから、時には歯の浮くお世辞も必要ですが、時機もわからないご老体には無理な話だったようです。二階幹事長の勇退と習近平主席の国賓招聘中止をあわせて求めたいです。


そうして、中国外務省は1日、春に予定する習近平国家主席の国賓訪日に向けた準備を日本側と継続する考えを示し、新型肺炎の拡大やそれを受けた日本側の渡航制限などの対応は訪日計画に影響しないとの見解を示しました。
日本側と密接に連絡を取り合っていると強調。「重要な外交議題と日程を順調に進める」ため、日本側と努力を続けるとしました。
日本政府は中国湖北省から新型肺炎が拡大したことを受け、14日以内に湖北省に滞在歴がある外国人の入国拒否を開始。同省を除く中国全土の感染症危険情報を「不要不急の渡航の自粛」を求めるレベル2に引き上げました。
コロナウイルスを蔓延する最中に、中国ではH5N1鳥インフルエンザが同時に爆発的広げてます。ウイルスが高伝染性と発表されています。

このような状況では、本来ならば、中国側から訪問の延期などを打診するのが普通だと思います。逆の立場になったと考えれば、すぐにわかります。安倍総理が4月に中国訪問を予定していて、日本で大規模な伝染病が発生した場合、普通は日本側から延期を申しでるなどのことをするはずです。

これは、日本に限らず、他の先進国が同じ陽な立場にたった場合、同じようなことをするでしょう。少なくも現時点では様子見ということになるでしょう。

それだけ、習近平とその取り巻きには、世間一般常識がないということだと思います。まさに日本に対する無礼の極みです。国内で、自分たちの思い通りにゴリ押しをしてきたので、外国にまでそれが効くと勘違いしている大馬鹿共の集まりです。

非常識な習近平は中国内でもかなり浮いた存在になっているようです。このままだと、習近平国賓招待される前に、習近平が失脚する可能性が高くなりました。

共産党内部ではコロナウイルスのトラブルに習近平の無能を責めたてられるでしょう。もし安倍首相が習近平招待を盛大にアピールする最中に習近平が失脚したとしたら、チャイナマネーに理性を失った愚かな日本として、世界の物笑いの種になるでしょう。

ところで、安倍総理は国会で新型コロナウイルスの感染拡大を受け台湾のWHO参加の必要性を強調しました。政治的な立場で排除しては、地域全体を含めた健康維持、感染の防止は難しいとさらっと爆弾発言をしました。

   安倍首相は30日、新型コロナウイルスの感染例が増加し
   ていることを受けて、台湾のWHO加盟を支持した

これは、明らかに中共を念頭に置いており、安倍総理個人としては習近平の国賓招待に積極的ではないとのほのめかしとも受け取れる発言です。呼びたい真犯人は、やはり二階幹事長でしょうか。安倍総理としては、党内政治力学で、二階氏を無下に突き放すということもできないのでしょう。

日本の親中政治家にも、そろそろ目覚めていただきたいものです。米国ではもはや、政治的には、親中派の居場所はなくなりました。なぜそうなるのか、日本の親中政治家も勉強すべきです。そうでないと、彼らの居場所が日本でもなくなるでしょう。

しかし、そんなことは今では子供でも理解できることだと思います。国内外で、非道の限りをつくし、反対するものは、暴力で弾圧し、WTOやWHOなどのような国際組織においても札束にものをいわせ、我が物がを振る舞い、他国の領土にも平気で侵略して我が物にし、挙げ句の果てに世界唯一の超大国である米国の怒りを買い、米国は中国が体制を変えるか、経済的に無意味な存在になるまで、対中冷戦を継続することでしょう。

これは、どう考えても、現在の中国の体制には、将来はないと見るのが、当たり前でしょう。それでも、中国、中国というのは、すでに妄想の中に入り込んでしまっているのかもしれません。

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2019年11月23日土曜日

日本政府高官「ほとんどパーフェクトゲーム」 米国が韓国に圧力かける構図に GSOMIA失効回避―【私の論評】とうとう韓国のバランス外交の失敗が表沙汰になった。日本も習近平を国賓として招けば同じような目をみることに(゚д゚)!

日本政府高官「ほとんどパーフェクトゲーム」 米国が韓国に圧力かける構図に GSOMIA失効回避

記者団からGSOMIAの継続について記者団の質問に答える安倍首相=22日午後、首相官邸

 日本政府は、韓国からの輸出管理厳格化の撤回要求を拒否し続けた上、米国が韓国に圧力をかける構図を作り上げたことが、韓国政府の今回の決定につながったとみている。日本政府は貿易管理をめぐる当局間の協議再開には応じるものの、「一切妥協はしない」(政府高官)方針だ。

 「ほとんどこちらのパーフェクトゲームだった」

 韓国政府の突然の方針転換に日本政府高官はこう語った。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄通告を改めさせ、日米韓の安全保障協力が維持されるからだけではない。日本側の予想を超え、韓国が輸出管理の厳格化をめぐる世界貿易機関(WTO)への提訴手続きまで見合わせたからだ。

 韓国側は8月下旬、日本政府による対韓輸出管理厳格化への対抗措置としてGSOMIAの破棄を決定し、破棄撤回の条件として輸出管理厳格化の見直しを求めていた。

 韓国側の態度が変化したのは「ここ2、3日」(政府筋)だったという。

 日本政府は「GSOMIAと輸出管理は次元が違う」として韓国側が設定した土俵には乗らず、「賢明な対応」(菅義偉官房長官)を促し続ける戦術を徹底した。政府高官によると、米国は「トランプ米大統領は安倍晋三首相側に立つ」と韓国側に伝えており、日本政府は米国の韓国に対する圧力が非常に強かったとみている。

 日本政府は、日韓共通の同盟国である米国と課題意識を共有してきた。外交・安保関係者の間では、GSOMIAの破棄で最も影響を受けるのは米国だとの見方が強いからだ。外務省関係者は「首相はトランプ氏に対し、いかに韓国の対応がおかしいかを繰り返し説明してきた」と明かす。

 さまざまなレベルでの働きかけの結果、GSOMIAの破棄は米韓の問題でもあるとして「米国から韓国にガンガン言ってもらう」(外務省関係者)形に持ち込むことに成功した。

 文在寅政権は強気の言動を繰り返していたが、日本側のぶれない姿勢と米国の強い圧力を前に、実際は「追い詰められていた」(官邸関係者)とみられる。

 首相は22日夜、森喜朗元首相らと東京都内で会食した。出席者によると、首相はGSOMIAの失効回避について「よかった」と話していたという。(産経新聞 原川貴郎)


【私の論評】とうとう韓国のバランス外交の失敗が表沙汰に!日本も習近平を国賓として招けば同じような目をみることに(゚д゚)!

今回のGSOMIAの失効回避は、韓国のいわゆるバランス外交が失敗したことが露呈したと捉えるべきと思います。このバランス外交とは、なにかといえば、米と中国の間をうまくバランスをとり自国に有利になるようにする外交という言う意味です。

無論このバランス外交は成功事例もあるのですが、なかなかうまくいかないという現実があります。

韓国がいつからバランス外交的妄想に憑りつかれたのかといえば、後で述べるように髄分昔からですが、最近では記憶する限り盧武鉉大統領時代ではないかと思います。

それまで韓国は米国の忠実な同盟国として振る舞ってきたのですが、盧武鉉は強烈な反日、反米論者として登場しました。その親北姿勢は米国をハラハラさせる傍ら、彼が断固として宣言した外交路線は「韓国が北東アジアの米・中のバランサーの役を果たす」という壮大なものでした。

バランサーというのは米中とも韓国を敵に廻しては不利になるほど強力である必要があります。盧武鉉はイラク戦争に3260人もの軍隊を派遣したのですが、軍事同盟国の米国側からすれば、韓国が引き揚げれば困るほどの数ではありませんでした。

中国に対しては経済的接近を図る反面、米・日とは距離を置く路線を採りました 。米・中間のバランサーというからには当然の路線かもしれません。この路線を引き継いだのが朴槿恵大統領であり、盧泰愚政権時代に、民情首席を努めた現在の文在寅大統領です。


文在寅(左)と盧泰愚(右)

朴槿恵は、韓国がバランサーであるためには、近辺の日本ごときは「歴史を顧みない不道徳国家である」と欧米に“告げ口”して廻ることからバランス外交を始めました。しかし中韓は別にして首脳が悪口を言って廻る国家が尊敬されるはずもありません。

朴槿恵氏は外交路線として「安全保障は米国と手を携え」、「経済は中国を重視する」と称しました。メディアは「安米経中」と名付けましたが、朴氏は自らが引けば米も中も困ると考えたのでしょう。

「自らを小国と考えてはいけない。それは敗北主義だ」と強調しました。米欧と一回りしたあと15年、中国のコケ脅しのような軍事パレードに参加を強行しました。たまたま米韓の間で「高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備するのが懸案となっていました。

渋る韓国に米国が怒り、はっきり断れない韓国に中国が怒ったのです。この兵器は北朝鮮の攻撃に対して極めて有効ですが、同時に中国の攻撃をも防ぐことができます。防衛兵器の配備一つを巡っても、韓国のバランス外交は成り立たないのです。

韓国外交のどこが間違ったかは明瞭です。どこかの国と防衛条約を結んだら、敵と見做す相手国との付き合いには不都合が起こるということです。

告げ口外交を展開した朴槿恵韓国大統領(左)と、オバマ米大統領(右)

朴槿恵の弾劾・罷免の後、大統領になったのが文在寅であり、分在寅の外交路線は「韓国が北東アジアの米・中のバランサーの役を果たす」という壮大な、盧泰愚のそれを引き継いだものでした。

そのためか、朴槿恵よりもさらに大きなレベルで、バランス外交を推し進めようとしました。日本に対しても朴槿恵のような告げ口外交どころか、GSOMIA破棄を大統領選の選挙公約とし、その後も海自の哨戒機に対するレーザー照射、慰安婦問題の蒸し返し、徴用工裁判なとで、日本に対する対立姿勢を顕にしました。

挙げ句の果に、本当にGSOMIAを破棄しようとしたのですが、日本からは無視され、米国からはとてつもない圧力をかけられました。そのため、破棄はやめたのですが、これは韓国外交の完全敗北であるにもかかわらず、今回破棄は撤回するがいつでも破棄できると国内に宣伝中という有様です。

これは、結局のところ、韓国のバランス外交の失敗が表沙汰になったということです。いままでも、失敗は数多あるのですが、それでもなんとなく隠すことができました。特に、韓国内では隠蔽することができました。しかし、今回ばかりはさすがに隠蔽できないようです。

韓国のバランス政策は、最近始まったものではありません。李氏朝鮮第26代国王、後に大韓帝国初代皇帝となった高宗の政策は、外国を利用して他の国を抑え、自国は戦わずに安全を図る「以夷制夷(いいせいい)」というものでした。これは、現在でいえばバランス外交です。

清国の勢力が優勢となると対ロ接近を図り、第1、2次朝露密約(85、86年)を結びました。日清戦争(94年)後には再びロシアに接近しました。これは清国に代わり勢力を拡大した日本のけん制が狙いでした。しかし、これは結局失敗したのは、周知の通りです。

李氏朝鮮第26代国王、後に大韓帝国初代皇帝となった高宗

朝鮮半島では、古代にもバランス外交をしていたという史実が残っています。しかし、バランス外交はいずれの時代も成功を収めた事例はありません。にもかかわらず、現在の韓国でもなぜバランス外交を信奉しようとするのでしょうか。理解し難いところがあります。

しかし、文在寅氏、盧武鉉氏や朴槿恵氏を笑ってはいけないです。日本の政権与党である自民党にも、かつては日米、日中と“等距離外交”をすると豪語していた三木武夫首相がいました。

福田赳夫首相は“全方位外交”と称していました。その後も中国と太い人脈を繋げておけば、いざという時に役に立つと信じる党首脳がいたものでした。谷垣禎一氏や岸田文雄外相が属する宏池会は経済重視主義で中国側を向いていましたた。

日本は中国と太い人脈を繋げておいたはずなのに、その後ごく最近まで、日中関係表向きも、裏でもかなり悪化していました。

さらに、最近では中国は表では、日本に対する擦り寄り試製をみせています。これは、当然のことながら、米国から直接冷戦を挑まれていることや、香港問題が激化しているため、この時期に対日関係まで悪くはしたくないからでしょう。

とはいいながら、裏では尖閣に対する示威行動を未だに継続しているどころかさらに激化させています。これが共産主義の本質なのです。

にもかかわらず、日本は、来年習近平を国賓として迎えることを約束しています。こんなことをすれば、米国は当然反発するでしょうし、世界に日本が中国の蛮行を認めたという誤ったメッセージを与えてしまうことになりかねません。

ただし、自民党の保守系有志議員のグループ「日本の尊厳と国益を護(まも)る会」(代表幹事・青山繁晴参院議員)は13日、国会内で会合を開き、中国が尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺海域への公船の侵入行為や香港市民に対する弾圧姿勢を改めない限り、来春予定される習近平国家主席の国賓としての来日に反対する決議文をまとめています。

しかし、これは無論与党の中でも、一部の動きであり、自民党そのものが来日に反対しているわけではありません。

日本が、来年習近平を国賓で迎え、天皇陛下に謁見することにでもなれば、日本も米国や米国の同盟国などから、今日の韓国のような扱いを受けるようになることは必定です。韓国のように米国から大きな圧力を受けてから、迎えることをやめるよりは、自らとりやめるようにすべきです。そうすれば、中国に対してより大きな衝撃を与えることになりまり、米国や他の同盟国に好印象を与えられることになります。


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2019年11月6日水曜日

激化する米議会と中国の台湾外交綱引き―【私の論評】日本がすべきは、習氏を国賓として"おもてなし"することでなく中国の覇権主義に反対の声を上げることだ(゚д゚)!

激化する米議会と中国の台湾外交綱引き

岡崎研究所

 米国と台湾および中国の関係は、1978年12月の米中国交樹立時の「米中共同コミュニケ」さらには、79年4月の米国国内法・「台湾関係法」にさかのぼるものである。以来、米議会議員は、党派に無関係にその時々の米中政府間関係に縛られることなく、台湾を訪問し、台湾の政府関係者とも種々の意見交換を行ってきた。

 しかるに、最近、中国政府は、米議員の訪台に圧力をかけるような挙に出た。米国のショーン・パトリック・マロニー下院議員(民主党)は、10月13日付けのウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿文‘Beijing Tries To Bully Congress’で、中国から如何なる圧力受けたかを告発し、これを厳しく糾弾している。

 マロニー議員の寄稿文の要点は次の通りである。



1.中国は10月初め、米議員たちが中国訪問のあと台湾をも訪問する予定があることを理由に、米訪中団に対しビザを出すことを拒否した。

2.中国当局者はマロニーのスタッフに「台湾訪問をやめるならばビザは認められる」と繰り返し言った。これに対し、「台湾滞在のキャンセルは選択肢にない」と明言したところ、中国側は「一つの中国政策」を支持する声明を出すよう求めた。

3.台湾が中国人による民主主義が繁栄し得ると示していることが、北京の脅威であることは疑いない。

4.従来、中国の当局者は賢明にも、米国が台湾関係法の義務を果たすことを受け入れてきた。今回の議員団が受けたような、拙劣で愚かな圧力キャンペーンは、米議会の台湾支持を活発化させよう。

5.来るべき数か月のうちに、私(マロニー)は、米国の台湾への支持を強化する方策を探る。米国は、中国共産党の攻撃性と権威主義に直面し、民主主義と自由のために立ち上がらなければならない。

 本寄稿文は、今回、米国議員たちが中国訪問のあと、台湾をも訪問する予定があることを理由に、中国が米訪中団に対しビザを出すことを拒否したことに対し、強い抗議の意を示すものとなっている。米国議員として当然の反応といえる。

 本件は、習近平体制下で中国の対台湾姿勢がますます非妥協的、独善的になりつつあることを如実に示すものである。特に、中国が米訪中議員団のスタッフに対し、中国の主張する「一つの中国政策」を支持する旨の声明を発出することを要求したというが、これは今までになかったことであり、注目される。

 台湾が自由で民主主義の定着した場所として繁栄していることが中国にとって「脅威」となっているというマロニーの見方はその通りだろう。そして、今日の時点からみて、香港におけるデモとそれへの的確な対応ができない習近平体制の大きな焦りが、近接する台湾問題への強硬姿勢に結び付いているものと思われる。現在、米議会では「香港人権法」とも呼ばれる法案が審議されている。

 マロニーは、上記寄稿文の中で、中国が2018年の台湾の統一地方選挙に際し、各種の情報操作を行ってプロパガンダやフェイクニュースを流し、親北京の候補者に対して違法献金をして介入したことにも言及している。これは特に新しい指摘ではない。しかし、2020年の来る台湾総統選挙でも、同様のことをしようとする兆候があると本論評は警鐘を鳴らしている。蔡英文政権も中国による総統選挙への種々の介入の可能性に対し、極めて強い警戒感を抱いている。

 このような中国の強硬な対台湾姿勢は、米国議会全体として台湾支持をさらに強化させなければならない、とのマロニーの結論を擁護するものとなるだろう。従って、米国への台湾関与を弱めようとする中国の意図とは正反対の結果をもたらすことになると見て間違いないであろう。9月に台湾はソロモン諸島、キリバスとの外交関係を相次いで失ったが、こうした状況を受け、米議会では、台湾の外交関係を守ることを意図する「台北法案」なるものの審議が進んでいる。

【私の論評】日本がすべきは、習近平を国賓として"おもてなし"することでなく中国の覇権主義に反対の声を上げることだ(゚д゚)!

ショーン・パトリック・マロニー下院議員(民主党)

先週、アメリカ国内で香港における民主化デモに対する支援の声が高まったことを受けて、中国外交部の広報官は、NBAを含むアメリカの企業は中国の世論に従わなければいけないと複数回にわたって語りました:
香港のデモ参加者やウイグルの収容所に強制収容されている人々の評判をおとしめるプロパガンダを発信することで、中国政府はナショナリズムの炎を焚きつけ、中国共産党の路線から果敢にも離脱する米国企業をボイコットするよう呼びかけている。

米の企業は、ますます中国市場に依存するようになっているが、企業の利益と米国の核心的な価値観との間でどちらを選択するのか迫られている。米国企業は、しばしば中国の要求に屈する。先週、アップル社はHKmap.liveというアプリをアップル・ストアから削除する決定を下した。このアプリは、香港の人々が投稿した情報により香港警察の動きをトラッキングし共有することができるものだった。–WSJ
マローニー議員は、中国政府がアメリカの議員を入国禁止にしているのは、中国国内の政治に外国が関与するのを阻止しようとする同国の一連の措置の中でも最新の動きであると確信しています。しかし、米国と台湾の間で継続した強力な関係を構築することを命じる1979年台湾関係法の下で、米国には法的義務があることを鑑みると、中国政府は自国の措置を再検討することが賢明であるとマローニー議員は語っています。

「私の代表団に対して行われたような、不器用で恥もなく強制された圧力キャンペーンは、アメリカ連邦議会による台湾支援に活気をもたらすだろう」とマローニー議員は締めくくっています。

先週、トランプ政権は、中国西部でウイグル族を大規模収容していることに関わった中国政府関係者に対するビザの発給を制限すると発表しました。

マイク・ポンペオ米国務長官

米国務省のマイク・ポンペオ長官は、次の声明を発表しています:
合衆国政府は、中華人民共和国に対して、即刻、新疆において行われている抑圧政策を終わらせることを要求する。独裁的に収容された全ての人々を解放し、外国に居住している中国のイスラム教少数派の人々に対して、どういう運命が待っているかも明確にせず中国へ戻るよう強制させる活動を停止せよ。

先週月曜、米商務省のウィルバー・ロス長官は、新疆における人権侵害に関わっているとして新たに28の中国企業をブラックリストに掲載する発表を行った。米国の企業が、これらブラックリストに掲載されている企業に対していかなる米国製の製品を輸出するためには、特別な許可証を申請する必要がある。この28社には、中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や浙江大華技術(ダーファ)が含まれている
一方、中国政府は、反中国の企業や組織に関わっているアメリカ国民に対して、ビザの制限を厳格化すると発表したと、ブルームバーグ紙が報じています
(新たな)中国のルールでは、米国の軍およびCIAと関係した機関や人権団体のリストを起草し、それらの社員をビザのブラックリストに追加することを命じている。匿名を条件に情報源の人物は語った。

この(ビザの発行)制限を厳格化する措置は、中国政府による懸念が高まっている中で導入された。米国政府とその他諸外国の政府は、このような組織を利用して反中国政府のデモを中国本土と香港の両方で煽り立てていると中国政府は懸念している。また、中国政府がビザ制限を厳格化したことは、アメリカ政府が中国人の研究者や政府関係者達に対してビザの制限を行ったことに対する報復でもある。最初に引用した情報源の人物が語った。–Bloomberg
南太平洋のソロモン諸島とキリバスが先日、台湾との国交を断絶し、中国との外交関係を承認しました。これにより、台湾が外交関係を持つ国は15カ国となり、過去最低の数となりました。

南太平洋は、米国と豪州をつなぐ海上航路に位置します。そのため米国政府内部からは、米軍を置くグアムに近い、南太平洋での中国の軍事活動が活発になることへの懸念が示されています。

安全保障上の問題の他にも、中国が経済力に物を言わせて台湾を国際社会から孤立させようとする動きについても、批判の声が上がっています。

台湾の蔡英文総統が、自国の独立路線を軸にした外交を展開する中、他国との国交断絶が相次いでいる背景には、中国政府による入念な下準備がありました。

2006年4月に開催された第一回の中国・太平洋島嶼国経済開発協力フォーラムで、中国は太平洋諸島諸国に約450億円の借款を表明。第二回では、さらに約1000億円の追加融資を決定しました。

いずれのフォーラムにも当時の首相だった温家宝氏や、副首相の汪洋氏が出席していることから、中国が虎視眈々と南太平洋地域を狙っていたことがうかがえます。

ソロモンを含む太平洋諸島諸国の開発支援は、豪州が伝統的に担っており、貧困問題や経済格差など、国の発展を文字通り「支援」していた。

一方の中国の支援は、インフラ開発を名目とした多額の融資を行います。例えばソロモンの南に位置するバヌアツ共和国では、中国が大規模な港を建設中です。しかし、その過程で相手国に「借金」を負わせ、自国の影響力を増大させています。

こうした経済支援を隠れ蓑にした中国の覇権主義の広げ方は、「債務の罠」と言われ、国際社会で問題視されています。

訪台したプラハ市長ズデニェク・フジブ氏

しかし、中国に対する反発の動きも出始めています。

例えば、チェコ共和国の首都であるプラハの市政府は10月7日、中国・北京市と結んでいた「姉妹都市」関係の解消を決めました。

プラハ市と北京市は、2016年に中国の習近平国家主席がチェコを訪問した際に姉妹都市協定を締結。同協定の第3条には、「台湾は中国の不可分の一部」という中国側の主張が記載されていました。

しかし、民主主義の台湾を支持し、中国共産党による人権侵害を非難してきたズデニェク・フジブ氏が2018年11月、プラハ市長に就任。同氏は今年1月以降、中国当局に対して、台湾を国家として承認しない「一つの中国」に関する項目を削除するよう呼び掛けていました。

これに対し中国は4月、報復措置として、プラハの楽団の中国巡回公演を取り消していました。

中国の圧力により、台湾が国際社会から孤立すれば、沖縄をはじめとした日本への圧力も加速するでしょう。

日本は1972年に中国との国交を樹立した際、台湾と断交しました。しかし、「自由・民主・信仰」という普遍的な価値観を共有する日台が関係を強化することは、中国の覇権主義を抑止することにもつながります。

今の日本がなすべきことは、来日予定の習氏を国賓として"おもてなし"することではありません。プラハの姿勢に学び、中国の覇権主義に反対の声を上げることです。

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2019年10月6日日曜日

ダライ・ラマ継承「本人が決定」 チベット人会議決議、中国介入を拒絶―【私の論評】驕り高ぶりの頂点に達した中共指導者習近平主席は国賓に値しない(゚д゚)!

ダライ・ラマ継承「本人が決定」 チベット人会議決議、中国介入を拒絶 

インド北部ダラムサラで法話を行うダライ・ラマ14世=2月

 インド北部ダラムサラで世界の亡命チベット人の代表を集めた特別会議が3日間の日程で開かれ、5日閉幕した。会議ではチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世(84)の継承のあり方はダライ・ラマ本人が決めるとする決議を採択。中国が後継者の選出に介入することを明確に拒絶した。

 特別会議は2008、12年に続き3回目。今月3日から始まり、世界24カ国から約340人が参加した。

 チベット仏教では「輪廻転生(りんねてんしょう)」の考えに基づき、高僧らが死去した際、生まれ変わりを探し出す伝統がある。ダライ・ラマが世を去った場合、中国政府は自らの影響下にある「ダライ・ラマ15世」を擁立し、チベット統治に利用することが懸念されている。ダライ・ラマは中国の介入とチベット人の混乱を避けるため、伝統とは異なるものの、生前の後継指名の可能性などに言及している。

 決議では「チベット人が存続する限り輪廻転生の伝統は存在するだろう」として、制度の継続を要求。その上で、継承の方法やあり方に関する決定権はダライ・ラマ本人にあることを強調した。中国政府が07年に決定した「チベット仏教における輪廻転生には(中国)政府の承認が必要」という規定については「チベット人の総意」として明確に拒絶した。

 ダラムサラでは11月中にもチベット仏教の高僧による会議が予定されており、同様の意見表明がなされる見通しだ。

 ダライ・ラマは1959年3月のチベット動乱後、ダラムサラに亡命。インド国内や海外で精力的に活動をこなすが、今年4月には肺の感染症と診断されて入院しており、亡命チベット人からは体調を心配する声が上がっている。

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ダライ・ラマ継承「本人が決定」とチベット人会議が決議決議したということは、当然のことながら、中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているということが発覚したからです。"Bitter Winter"誌はこの事実を本日伝えていました。

Bitter Winterは、中国の 信教の自由人権 について報道するオンライン雑誌として2018年5月に創刊されました。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(Center for Studies on New Religions、略称CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信しています。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えています。

その記事を以下に引用します。
チベットの指導者がダラムサラに集結し、中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているとして全世界に警告を発した。
ダラムサラで行われた第3回特別総会の開会式。チベット政策提言機関提供。

10月5日、インドのダラムサラで開かれていたチベット人の第3回特別総会が閉会した。この会議を招集したのはカシャグ、すなわちチベット亡命政権とチベット亡命議会である。会議では緊急課題である 中国共産党 の計画に焦点があてられた。在位中のダライ・ラマ14世は84歳で健康上の問題を抱えており、彼の逝去後には北京が統制する偽のダライ・ラマを新たに指名しようとする動きがあるのだ。 
Bitter Winterは過去に2005年の異様な第5命令について報じている。これは仏教徒のラマのうち誰が化身であるかを決定し、化身を選定を行う手順を管理し、化身を本物として認めることについて、中国共産党が独占的な権限を持つことを定めた中国の規制である。無神論主義の党が、転生者を選定するという事態に西洋諸国は冷笑するかもしれないが、この措置の政治目的はあまりにも深刻だった。化身ラマはチベット(とモンゴル)仏教の最上位を占める。中国のチベット侵攻以前に亡くなった高僧の化身と認められた僧のうち、存命者は全員高齢になっている。彼らが次々と死去する中、中国共産党は少年たちを彼らの化身に認定して後継者を選び、党の操り人形として教育することを望んでいる。 
中国共産党は、チベット仏教ゲルク派においてダライ・ラマに次ぐ高位のパンチェン・ラマ11世の認定の際に、実際に行っている。パンチェン・ラマ10世が1989年に死去すると、現在のダライ・ラマは1995年に6歳の少年、ゲンドゥン・チューキ・ニマ(Gedhun Choekyi Nyima)を10世の転生として認定した。この少年は中国政府に誘拐され、中国共産党とダライ・ラマは彼が生きていると主張しているものの、消息は不明のままである。その後、中国共産党は当時5歳だったギェンツェン・ノルブ(Gyaincain Norbu)の認定を進めた。彼は中国共産党認定のパンチェン・ラマ11世、および中国における中国共産党に忠実な仏教徒の公式の代表になるよう育てられた。この偽のパンチェン・ラマは世界を回り、中国に盾突くことのできない団体や国々からは本物として扱われている。

真のパンチェン・ラマの支持を表明するポスター。 (John HillCC BY-SA 4.0)

1995年のパンチェン・ラマ問題以降、ダライ・ラマ14世が亡くなった後に自らダライ・ラマを任命することが中国共産党の最終目的であることが明らかになった。総会には24か国から離散中のチベット人の代表340人が出席し、親北京の外交員が世界各地に散在していて、中国共産党の計画は既に整っているとして注意を促した。在位中のダライ・ラマが亡くなれば、中国共産党はすぐさま自ら転生者を選定するだろう。 
実際、総会が指摘したとおり、現在のダライ・ラマが住むインドでは、中国共産党の選んだダライ・ラマ15世を受け入れさせようとする説得が既に始まっている。中国の「専門家」はインド政府に対し、「中国政府が正当なダライ・ラマ(の継承者)を認定した際にインド政府がそれを認めなかった場合、中印関係に影響を及ぼすほど政治的不和となるであろう。ダライ・ラマの転生は中国の重要問題であり、中国の盟友ならば本件について中国への介入や干渉を行うべきではない」と警告している。中央チベット亡命政府の首相、ロブサン・センゲ(Lobsang Sangay)博士は総会で「次期ダライ・ラマの選定に介入させないため、中国はインドに対して脅迫を続けています。インドのような新興の超大国を脅かすことができるならば、他の小国が受ける影響の大きさは言うまでもありません」と語った。 
現状、中国が偽のダライ・ラマを選ぶことに断固抵抗する気配があるのは1か国のみである。米国では、2019年9月に、超党派の中国問題に関する連邦議会・行政府委員会の議長と副議長をそれぞれ務める、ジェームス・マクガバン(James McGovern)下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とマルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員が、2002年のチベット政策法を更新、強化する規制「2019年チベット政策および支援法」(H.R. 4331S.2539)を提出した。この法案は、中国共産党がダライ・ラマの転生に関わる判断に介入することは チベット仏教 徒とチベットの人々の基本的な信教の自由を侵害していると述べている。さらに偽のダライ・ラマ15世の指名、任命に加担した中国政府の高官に対する制裁措置を呼びかけ、米国の公的機関に中国共産党が管理する偽の転生者を真のダライ・ラマとして一切認めないよう命じてもいる。 
しかし、中国共産党による偽のダライ・ラマ15世任命計画に反対する世界的な世論形成キャンペーンを今すぐに始め、十分な勢いをつけない限り、アメリカ以外の国々や仏教団体は中国に抵抗するだけの独立性や資力をもちえない可能性がある。
中国共産党が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名を計画しているということは、由々しきことです。

これを日本にあてはめれば、日本に米軍が進駐したときに、司令官のマッカーサーが昭和天皇の次の天皇を任命するようなものです。そのようなことは、マッカーサー元帥は全く考え及びもつかなかったでしょうし、当時の米国の幹部もそのようなことは考えなかったでしょう。

チベットの精神的最高指導者であるダライ・ラマの化身認定についての中国の主張に対し、米国議会も、ダライ・ラマ法王の化身認定はダライ・ラマ法王のみが正当な権限を有することに議論の余地はないとしたうえで、ダライ・ラマによる指針のみに従うと発表しました。

「ここに明言します。米国議会は中国が選んだダライ・ラマを認めることは決してありません」 コリー・ガードナー上院議員は、上院外交委員会の東アジア太平洋・国際サイバーセキュリティ政策問題小委員会の公聴会で、こう述べました。同小委員会は、アジアにおける米国の政策を監督する重要な議会機関であり、カードナー議員が委員長を務めます。

コリー・ガードナー上院議員

米国議会は、中国の不当な主張に対抗する形で、ダライ・ラマの化身制度についてはダライ・ラマ法王が示す指針のみに従うことを宣言しました。「ダライ・ラマ法王はご自身の転生者について指針を示された。アメリカはそれに従う」

チベットの現状とそのインド太平洋地域への影響に関する公聴会で証言した「チベットのための国際キャンペーン(International Campaign for Tibet、ICT)」副会長ブチュン・K・ツェリン氏は、中国によるダライ・ラマ化身認定を管理する計画は、チベット本土内外ともにチベット仏教徒には受け入れられないものであると述べました。

ダライ・ラマ法王14世は、2011年にチベット仏教の伝統である化身認定制度の歴史とご自身の転生者について、次のように声明を発表しています。

「明確なガイドラインがないがゆえに、ダライ・ラマの化身認定制度が継続されるべきであるという声が高まっており、政治的目的を達成するためにこの制度が誤用されてしまうおそれがあるのは明らかです。したがって、私が身体的、精神的にいたって健康である今のうちに、次のダライ・ラマを認定するためのガイドラインを作り、問題や策略などが将来的に決して起こる余地のないものとすることが大切であると思われるのです」

「もし引き続きダライ・ラマの転生者が必要であるということになり、第15世として再臨者を認定しなければならない時期が来たときには、その任務の責任は主としてダライ・ラマのガンデン・ポタン基金財団の役員たちにあります」

ダライ・ラマ法王はさらに、こう述べている。「このように正しく、論争の余地なしに認定される化身以外には、たとえ中国人民共和国の権力者などの如何なる政治権力を有する人物が政治的必要性を満たす目的で次の化身を選出することがあったとしても、その人物をダライ・ラマの化身と認定する必要はありませんし、それを受け入れて信仰する必要もありません」

声明文の全文サイトへ

最近の NHKジャパンのインタビューの中で、ダライ・ラマ法王は、ダライ・ラマの化身認定が今後行われるかどうかは、チベット人が決めることであると1969年にすでに明言したと述べた。「次期ダライ・ラマをどのように選ぶかよりも、それを決めるのが先なのです。」

日米をはじめ、先進国は信教の自由を当然の権利として認めています。先進国でない国々も、ほとんどの国が信教の自由を認めています。中国が現ダライ・ラマ逝去後の後継者に偽の転生化身の指名をしたとしたら、チベット族は反発するのは当然のことながら、全世界から反発されるのは必至です。

特に米国における信教の自由とは他国とは異なった特別な意味を持っています。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「信教の自由」でも衝突する米中―【私の論評】米国政治で見逃せない宗教という視点(゚д゚)!
ドナルド・トランプ大統領と共に祈るためにホワイトハウスの大統領執務室を
訪れた米国の福音派指導者ら=2017年12月11日
以下のこの記事より、米国の信教の自由に関する部分を引用します。

ご存じの方も多いと思いますが、米国では大統領が就任式で宣誓するとき、聖書に手を置いてこれを行います。日本では絶対にありえない光景です。日本では首相が般若心経やコーラン、あるいは仏典の上に手を置いて就任式をする光景はないです。
トランプ大統領は就任式で、左手を聖書に置き、右手を挙げて恒例の宣誓をした

ところが、米国ではこれは当たり前のことになっています。それは、米国において「宗教(主にキリスト教)」は政治に関与することが大いに奨励されているからです。そもそもWASP(白人でプロテスタント信仰を持つアングロサクソン系民族)と呼ばれる人々は、キリスト教信仰に基づいた国家を建設しようとして、米大陸に乗り込んできたやからです。だからキリスト教精神に則って政治が行われることは、至極まっとうなこととなのです。そのため、彼らの意識としては、政治と宗教は親和性の高いものとなっているのです。 
これを端的に表しているのが、「Separation of Church and State」という考え方です。これは詳訳するなら「特定教派と政治の分離」となります。一方、日本をはじめ他の先進諸国が使用している形態は、「Separation of Politics and Religion」です。同じく詳訳するなら「政治と宗教の分離」です。この土台が異なっているため、日本では、当福音派クリスチャンですら二重の意味で混乱を来すことになるのです。そうして、非キリスト教以外の人々にも誤解や混乱をもたらしてるのです。
一つは、日本国民として「政治の中に宗教性を持ち込んではダメ」と思っていることです。もう一つは、「キリスト教はあくまでも心や精神的癒やし(解放)を目指すものであって、政治とは相いれない」と思い込んでいることです。 
しかし米国においては、このいずれも決して自明なことではありません。もちろん政治的発言を控えるという風潮や、そういう考え方を訴える福音派の牧師もいます。しかし同じ「福音」の捉え方にしても、やはり国が違えばその強調点、濃淡に差異が生じやすくなるのです。 
多くの日本の福音派教会は、米国の宣教師からのDNAを受け継いでいます。宣教師になるくらいですから、米国にいながらどちらかというと政治よりも個々人の精神性に重きを置く傾向がある人々であることは否定できないでしょう。
日本的な「政教分離(政治と宗教の分離)」の原則と、日本にクリスチャンが1パーセント未満であるということ、そして海外からもたらされた形而上学的側面を強調する「キリスト教」が相まって、米国の「政教分離(特定教派と政治の分離)」を理解しにくくしているという一面があることは、覚えておく必要があります。
この記事には、米国福音派についても述べてあります。興味のある方は是非ご覧になってください。

このように米国においては、政治と宗教は親和性の高いものとなっています。その米国からみれば、ダライ・ラマの後継者を中国が定めるなど驚天動地の蛮行であり、これは絶対に許せるものではないと考えるのが当然のことです。米国は、ますます対中国冷戦を完遂する意思を固めたことでしょう。

そうして、日本人からしても、中国のこの蛮行は、日本でいえば先程も述べたように、天皇の後継者を中国が定めるようなものであり、とてつもない蛮行と受け止められるでしょう。

他の「信教の自由」を認める国々でも、蛮行として受け止められるでしょう。このようなことを計画する中国は、驕り高ぶりの頂点に達したと言っても過言ではないです。

このようなことを平気で実行しようとする中国共産党はもはや人類共通の敵です。日本では、来年習近平を国賓として迎えようとしていますが、とんでないです。

7月発表の中国国防白書でも「自国の軍事力は防衛と平和のため」だと主張し、「アジア太平洋諸国は運命共同体」で、「南シナ海は安定している」と述べています。

世界一の軍事強国を目指し覇権国家を確立すると言いながら、自国は平和勢力で運命共同体だと言い募る欺瞞を真に受けられるでしょうか。さらには、ダライ・ラマの後継者を中共が定めるなどとは、傍若無人以外のなにものでもありません。

こうした虚言で言いくるめた中共の真意を見逃して、日本が習政権を歓迎するようなことがあっては、国際社会の指弾を受けること必定でしょう。

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