8月の全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は2.4%の低下と4カ月連続で過去最大の下落率を更新し、物価下落が持続するデフレの懸念が強まってきた。昨年のガソリン高の反動は徐々に弱まり、先行きの物価下落幅は縮小しそう。ただ衣料品など幅広い商品の値下げが進んでおり、今後3年程度は前年同月比で1%前後のマイナスが続くとの見方がある。
物価下落は6カ月連続。これまでは前年の原油価格高騰の反動によって指数が下がっていたが、物価下落が身近な商品に広がってきた。家具・家事用品は 3.1%低下し、衣料も0.7%、パソコンなど教養娯楽用耐久財は22.8%それぞれ下がった。消費低迷で値下げ合戦が続いているためだ。
国際通貨基金(IMF)などは物価下落が2年程度続く状態を「デフレ」と定義している。日本は1998年度から7年間、CPIがマイナスで推移し、足元では再びデフレに突入するリスクが強まっている。デフレが深刻化すれば、消費者は先行きの値下げを待って買い物を手控えるようになり、価格競争にさらされる企業の業績も下振れする。
似非財政民主主義を破壊し財政ゾンビを駆逐せよ!!
さて、日本が再びデフレスパイラルに入るのは、ほぼ確実とみて間違いないようです。それは、上の記事の消費者物価の推移をみても、最近の完全失業率の推移を見ても明らかです。おそらく、新たに発表される直近の雇用統計では、若年層(15歳~24歳)の失業率は10%を超すものと思います。まさに、今まで日本で経験したことのない未曾有の危機であると思います。
さて、これに対する対策ですが、旧与党の自民党では、いわゆるばら撒きといわれ、とにかく、公共工事とか、いろいろな機関にお金をばら撒くという政策でした。これは、一見やりかたは多岐にわたっていて違うように見えはしますが、根本的にアメリカが金融恐慌時代に打った手である、ニューディール政策という古典的な手段とほぼ同じものです。公共工事を発注したり、銀行や、その他機関などにお金を提供して、そこが何かを実施すると、間接的でありますが、お金が市中に出回り、国民も潤うという具合です。極端なことを言えば、大きな山を崩して、またその土砂で山を作ってもとに戻したとしても、そのためには工事が必要で、その人たちが潤えば、やがて、そのお金が市中に出回り、他の人も潤うという考えです。
さて、民主党はというと、まずは、子供手当てを早急に実現するようです。ほかにもいろいろあるようですが、結局は、いろいろな名目をつけて、国民に直接お金を大量にばら撒いて、国民にお金を使ってもらって、景気を良くしようというものです。
要するに、自民党は国民に直接お金をばら撒くのではなく、間接的にばら撒くという方式で、民主党の場合は、直接国民にばら撒くということです。自民党も定額給付金をばら撒きましたが、スケールも小さく、頻度の一回限りというもので、とても、民主党には及びません。国民一人ひとりが、直接お金をもらえるということですから、これは、実際に対策を打っていることが、誰にでも非常にわかり易いです。これに比較すると、自民党方式では、公共工事を受注する発注者や、資金を投下された機関の幹部の人たちは、対策が打たれていることがわかりますが、その以外の人には、ほとんど実感がありません。
さて、この両者の違い。私は、選挙向けには、民主党のやり方が、最もわかり易いくて、かなりアピールできるものだったと思います。そうして、政権をとった今でも、おそらくは、直接お金が国民に見える形で支給されるので、しばらくは、アピールできると思います。
しかし、両者は、支給の対象が違うだけで、実施することは、ばら撒きであることに変わりはありません。おそらく、これから、民主党は高校の学費を無償化するとか、いろいろやり始めると思います。しかし、いろいろやっても、自民党が従来やってきた公共投資などと同じようにあまり良い結果は生まないと思います。
実は、日本は、他国とちがって、お金そのものがないというわけではありません。というより、かなりお金が有り余っている状況にあります。ただ、そのお金が貯蓄などされていて、市中にで回っていないのです。ストックされるお金がたくさんあって、も市中に流れるお金が少ないのです。
では、どうしてこんなことが起こるかといえば、個人、法人に限らず、魅力的な投資対象がないからです。多くの人は、すでにいろいろなモノを所有していて、何か新しいものが売られたからといって、急に多くの人がそれを買いあさるなどということはありません。
だから、このデフレスパイラルを防ぐためには、日本国内でも魅力的な投資対象を多数創出しなれば、いつまでたっても抜け出すことはできません。
魅力的な投資対象を数多く輩出するには?
では、今の日本では、どのような投資対象が考えられるでしょうか?まずは、これから大きくなっていくであろう産業です。たとえば、バイオ、素材、宇宙産業、養殖業などです。これらは、見込みがあるので、たとえば、株式投資の対象などとはなるかもしれません。しかし、今すぐにというわけにはいかないと思います。やはり、長期にわたって育ててはじめて、見返りが期待できるものです。
もう一つは、社会事業です。社会事業というと、日本ではあまり関心をもたれていないようですし、特殊なもので、経済などとはほとんど縁がないように思われているようです。社会事業とは社会からの援助を必要とする人に対し、公私の団体が行う生活改善や保護教化の組織的な事業。消極的な貧困者救済にとどまらず、積極的な福祉の向上を目ざす点で慈善事業と区別されます。
この社会事業のうち、民間の団体(NPO)が行うものは、これから急速に伸びていくことが予想されます。特に、アメリカなどでは、日本とはNPOの分類の仕方が違うものの、NPOの毎年の歳入(寄付金、その他)が国家予算に匹敵するほどになっています。こうなると、政府や、民間企業と並ぶ立派な経済主体ということができると思います。無論、歳入もかなりのものですが、歳出もすごいです。
残念ながら、日本では、NPOなどが大きな社会事業を行っている例は少ないです。特に先進国にはこうしたNPOがさまざまな仕事を行っており、事業によっては、日本では想像もつかないくらいの大きな事業を展開しています。アメリカに限らず、先進国では、日本よりは、地方分権がはるかに進んでいて、地方ではさらに、NPOに業務を移管している自治体が多いです。こうした有力NPOの中には、その構成員の中に最初から、銀行や、建築会社を含んでいるものもあります。まさに、社会事業といえども、善意だけでは何もできず、何かをやろうとすれば、先立つものがたくさん必要であることの証だと思います。
このように、地域に密着しているNPOは、自治体や政府ではできないようないろいろな社会事業を展開しています。それに関しては、このブログでも何回か掲載してきましたが、その中には、民間営利企業が実施してサブ・プライム・ローンなどで大失敗した低所得者向け住宅の提供などもあります。これを政府や、地方自治体が直接実施すると大抵失敗してしまうのですが、NPOは、地域に密着した方法で、包括的なプログラム(住宅提供、職業訓練、就職の斡旋、その他カウンセリングなど)を提供して、アメリカなどでも大成功を収め続けています。
なぜNPOが日本ではなかなか認知されないのか?
さて、こうしたNPOの経済活動など、なぜ日本でほとんど理解されないかというと、まずは、日本では西欧諸国に比較すれば、NPOの歴史などほとんどないことです。さらに、もう一つ、日本では大きな障壁があります。それは、いわゆる財務官僚が提唱する他国では今となっては、どこも主張していない、いかなる思想的ルーツもない根無し草理論である「似非財政民主主義」という概念です。もし、財務官僚が、財政に限って共産主義を標榜しているといえば、わかり易いのですが、そうではありません。無論、財政民主主義の本来の意味での考え方ではありません。
日本ではNPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策がとられていません。
海外との比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。。
しかし、そこでネックになるのが財務省の財務官僚が提唱する今となっては、おかしげな、「似非財政民主主義」という概念です。財務省は、個人の意向でNPOに寄付をしそのお金で公的な業務をNPOが進めることは、「財政民主主義」に反するという主張をしているそうです。
この似非財政民主主義に関しては、その背景を簡単に説明します。
他の先進国では、当たり前になっている、NPOに寄付をしたらその分税金の控除が受けられるなど、寄付を盛んにしようという政策が日本ではとられていません。
ちなみに海外と寄付金額の比較をしてみると、2006年度において、国民一人当たりの寄付金額が、日本 2,034円、米国 84,825円、 英国 33,597円という大きな開きがあります。だから私は、もっと寄付文化が盛んになるように税制を変えてNPOを活性化していくべきとこのブログでも何回も主張してきました。
日本では公の分野に関しては、全部税金という形で一旦国庫に入れて、それを国会議員が分配するという形をとります。財務省は、これを「財政民主主義」と主張しているのだといいます。もし、寄付金などによって税金が控除されるしくみがあれば、国民は今より多く民間のNPOに寄付をすることになるでしょう。そうすれば、国の財政として国民に選ばれた国会議員が何にいくら使うということを決めないで、民間のNPOが公的仕事をすることになります。
財務省は、これだと財政について民主主義が崩れると主張しているそうです。しかし、この考えは全くおかしいです。いわゆる似非財政民主主義を忠実に実行してきたのは、旧ソ連をはじめとする共産主義国でした。それと、自由主義陣営の国々でも、大きな社会福祉国家を目指していたときなどは確かにこのような考えに基づいていたと思います。しかし、ご存知のように、当のソ連は崩壊し、自由主義陣営の国々もごく一部の小国(スウェーデン、デンマーク、ノルウェーなど)を除いてすべて社会福祉国家政策を打ち切っています。そうです、すでに、多くの国でいわゆる「似非財政民主主義」は破綻しているのです。
確かに、日本は過去に似非財政民主主義で大成功を収めています。高度成長などは、まさにその成功事例だと思います。そうして、この頃の日本は、自由主義陣営にありながら、さらながら共産主義国家のようでありました。国の中に、隅々まで規制の網の目がかけられていて、とても、資本主義国家とか、自由主義国家などと呼べる状況ではありませんでした。これに関して、旧ソ連が崩壊する直前に、当時のソ連の経済学者が、「われわれの共産主義は失敗した。しかし、世界の中を見回してみると、われわれが理想とした共産主義が大成功を収めている国がある、それは日本だ」として、激賞していたくらいです。これは、日本が比較的に貧乏であり、いわゆる利害の一致する大衆といった層が多数存在していてから、うまくいっていたのです
しかし、その考えは、今では通用しません。実際、日本でも、橋本政権の時代に、ビッグバンをおこして、日本版共産主義からは決別しています。「似非財政民主主義」という考えでは、共産主義であろがなかろうが、公的業務は全部官僚が進めていくことになります。官僚の仕事が生産的であればこの論理も認められるでしょうが、先に示したように、ソ連が崩壊、社会福祉国家の破綻の後では、この論理は通用しません。NPOは業務に関して役所の認可を受けかつ役所に詳細な報告義務を持つわけであり、民間で勝手に業務を担っているということにはならなりません。「似非財政民主主義」は、官僚および公務員の仕事が減っらないように特に「財務省益」を優先する考え方でもあると思います。もはや、「似非財政民主主義」は、時代の流れから取り残されたゾンビ理論にすぎません。
NPOの活性化がなされれば、経済も上向く?
日本のNPOの活性化には、税制の改正が不可欠です。NPOの基盤を強くするためには、自助努力だけでは限界があります。日本に寄付文化が根付くように、そうして、今後日本でも社会事業が積極的に展開されるように、今後の税制改正を積極的に進めていく必要があります。
さて、税制が改革され、日本でも寄付の文化が根付くと、NPOも活性化されると思います。そうなると、地元の問題に密着した社会問題に対する解決案を示すようなものがたくさん輩出してくると思います。そうなると、税金でただ、お金をとられるなら、こうした問題を解決しようとするNPOに寄付しようというのは自然の流れだと思います。
こうしたお金がどんどん、NPOに流れていけば、ただのばら撒きとは違う効果が生まれます。ばら撒きの場合だと、旧来の自民党のように、公共事業を実施した後には、橋や、道路などが残ります。ただし、その橋や道路が役にたたないものであれば、その後の経済効果も期待できず、一時潤うだけで何にもなりません。民主党のようなばら撒き政策だと、さらに、そのお金は国民の手元から消え去り、どこに行くのかわかりません。でも、どこかにはいくわけですが、やはり一時的な効果だけは、期待できると思います。
ところが、NPOにお金が流れていくようなれば、社会事業の主体が多く形成されることになります。それらが、いつも、自らの使命を果たそうと、努力することになります。その努力をするためには、必ず、経済活動が必要となります。こうして、日本にも、今まではなかった経済主体が、それも、はっきりと社会的使命を遂行する主体ができあがるわけです。この経済主体でもあるNPOが多数輩出されれば、実体経済にもかなり良い影響をあたえるだけではなく、特に、最近数がかなり多くなった、知識労働者などにとっても、ボランティアによる自己実現の場としての数多くの多彩なNPOが提供されることとなり、良い影響を与えることと思います。
これから、宇宙産業のような産業を育てていくことも重要ですが、これを育成して、経済を活性化させるには、まだ時間を要すると思います。しかし、社会を良くすための社会事業も確かに根気が必要ですが、地域に密着したものであれば、その地域の事情に精通した人が実施すれば、かなり早く効果を挙げられることが期待できます。
意外と社会事業など、急がば回れで、大きな成果を早めに期待できるかもしれません。なお、長妻厚生労働大臣は、NPOに関して、私と似たような考えを持っているようなので、期待しています。年金問題などにばかり埋没しないで、こちらのほうにも努力していただきたいものと思います。
さらに、今から思い起こせば、小泉構造改革が失敗したのも、意外とこの「似非財政民主主義」や財政ゾンビの障壁が厚かったということもあるのだと思います。このブログにも掲載したように、小泉構造改革の一環として、設立された株式会社大学など、LEC大学をはじめ、ほとんどが破綻しています。こういう組織は、やはり、NPOでなければうまくはいかないのだと思います。そうして、自民党自体が何もできないような、機能不全にいたったのは、根底にはこうした「財政民主主義」や「財政ゾンビ」(財政民主主義を信奉する、守旧派の官僚のこと)の厚い壁があったのではないかと思います。今から考えると、中川さんを失脚させたのも、財政ゾンビかもしれません。
いずれにせよ、景気対策としては、短期的には、どのみち、ばら撒き対策に頼らなければならないわけですが、新政権には、それだけではなく、似非財政民主主義や財政ゾンビを粉砕して、NPOの活性化などにもさらに取り組んでいただければ幸いです。アメリカでは、寄付とは、「自分のお金が何使われているかわかるようにする制度」として認識されているようです。自分のお金が税金などで、取られてしまえば、何に使われてるいるかなど、わからなくなってしまいます。しかし、寄付なら、自分のお金が何に使われているかはっきりしています。そうして満足感も大きいと思います。こういうことを好むお金持ちの方も、日本にもたくさんいらっしゃると思います。
上記では、寄付金、NPO文化を例に出して財政ゾンビの弊害を掲載しましたが、その他、地方分権、役人の無駄遣い、非効率などの問題にも多大な影響を与えているのは明らかです。民主党は、官僚主導から政治主導ということを言っていますが、それを実現しようとするなら、似非財政民主主義の破壊と、財政ゾンビの駆逐が最優先課題だと思います。これが、できたら、政治主導は意外と簡単に実現できると思います。
なお、デフレスパイラルから抜け出す手法としては、インフレターゲット理論などもありますが、それに関しては、また別の機会に掲載させていただきます。
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