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2014年10月31日金曜日

日銀 追加の金融緩和を決定―【私の論評】日銀が、追加金融緩和を実行し、政府が積極財政に踏み切れば、数十年ぶりの快挙になるのは間違いない。そうなれば、安倍政権支持率はかつてないほどに上昇することだろう(@@)


追加の金融緩和を発表した日銀黒田総裁
日銀は31日に開いた金融政策決定会合で、目標としている2%の物価上昇率の達成を確実にするために、日銀が市場に供給するお金の量を年間80兆円まで増やす追加の金融緩和に踏み切ることを決めました。日銀が去年4月に大規模な金融緩和を導入して以降、追加の金融緩和は初めてです。

声明の中で、日銀は、国内の景気について基調的には緩やかな回復を続けているとしつつ、物価面では消費税率引き上げ後の需要の弱さや原油価格の大幅な下落が下押し要因になっているとしています。そのうえで、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがあるとして、追加の金融緩和に踏み切ったとしています。日銀が去年4月に大規模な金融緩和を導入して以降、追加の金融緩和は初めてで、今回は9人の政策委員のうち、賛成が5人、反対が4人という異例の投票結果になりました。

追加緩和策の内容

日銀が今回決定した追加緩和では、まず、マネタリーベースと言われる日銀が市場に供給する資金の量を拡大することを決めました。日銀はこれまで、年間60兆円から70兆円増やすとしていたマネタリーベースを、今回の追加緩和では10兆円から20兆円追加し、年間80兆円増やすことにしました。資金を供給するにあたっては、市場から買い入れる国債などの資産の額を増やします。具体的には、市場から買い入れる資産のうち長期国債については、これまで保有残高が年間50兆円増えるペースで買い入れるとしていましたが、これを30兆円増やし、年間80兆円にします。また、ETFやREITと言われる投資信託を買い入れる額についても、それぞれこれまでの3倍とし、ETFは年間3兆円、REITは年間900億円まで増やします。日銀は、去年4月に今の大規模な金融緩和策を導入した際、黒田総裁自身が「これまでと次元が異なる」としていましたが、今回の追加緩和で、それをさらに上回る資金を市場に供給することになります。

2%物価目標と民間予測

日銀は、目標としている2%の物価上昇率について、これまで、今の大規模な金融緩和の効果で来年度を中心とした時期に実現する可能性が高いとしてきました。その一方で、公益社団法人の「日本経済研究センター」が毎月行っている民間のエコノミストを対象にした調査では、来年度の物価上昇率は消費増税の影響を除いたベースで1.18%にとどまり、日銀はいずれ追加の金融緩和に踏み切ることが必要になるという見方が大勢を占めていました。

この記事は要約記事です。詳細は、こちらから(*_*;

【私の論評】日銀が、追加金融緩和を実行し、政府が積極財政に踏み切れば、数十年ぶりの快挙になるのは間違いない。そうなれば、安倍政権支持率はかつてないほどに上昇することだろう(@@)

まずは、私の上記の記事に関する、論評の結論を書いておきます。

少し遅れましたが、まあまあの内容。あとは、増税しないことと、第三の矢である、成長戦略など余計なことをしないことで、日本はデフレ脱却に一歩近づきます。

できたら、減税や給付金対策など実行すれば、さらに近づきます。公共工事は、現状では、人手不足などによる、公共工事の供給制約があるため、現状では有効な経済対策とはなり得ません。

政府主導による成長戦略など、どこの国でも成功したためしはないです。政府主導で成長戦略ができるなら、共産主義も大成功していたはずです。現実は、周知のとおりです。

それから、最近日銀黒田総裁の増税推進派的な発言が気になっていましたが、これはトーンダウンしたことも報じられています。

その記事のURLとその内容を以下に掲載しておきます。
〔BOJウオッチャー〕黒田日銀総裁の増税タカ派度、トーンダウン
[東京 31日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁の消費税をめぐる発言が変化した。昨年の夏以来、財務省よりタカ派と呼ばれるほどに消費増税による財政再建の重要性を繰り返し発言してきたが、31日の会見では「関与するところでない」とトーンダウンした。政府の増税判断をめぐる動きと関連した事象なのか注目される。 
黒田総裁は今年4月の増税の是非が議論された昨年夏以来、「消費税引き上げを行った場合のリスクに対しては財政・金融政策で対応が可能だが、行わなかった場合のリスクが顕現化した場合、なかなか対応しがたい」と繰り返してきた。 
今年9月の定例会見では、増税を見送る場合「確率は低くても、その影響は甚大なものになる可能性があるという意味では、リスクが大きい」と断言した。 
増税判断は政府の専権事項で、日銀がみだりに口をはさめばリスクがあるとの見方が、政府・与党や日銀周辺にあったのも事実。そうした中で黒田総裁の発言は、目立つ存在でもあった。 
一方、安倍晋三首相周辺では増税延期論がくすぶっており、首相の経済ブレーンである内閣官房参与の本田悦朗・静岡県立大教授は、黒田総裁の増税発言について「日銀総裁の矩(のり)を超えている」と痛烈に批判していた。 
31日の会見では、政府が消費税率10%への再増税を決断する前に追加緩和に踏み切った経緯と、増税への見解を求められ、「再引き上げは、政府で経済動向を見極めて決定するということになっており、それはまさに政府で決定されることであり、わたくしどもの関与するところではまったくない」と発言。「従って、(政府の増税判断に)影響を与えようとか、どうこうしようと言うつもりもないし、そのようなことにもならない」と述べた。
この黒田総裁の増勢タカ派発言は、前から気になっていました。現状はどう考えても、日本はデフレのど真ん中であり、このようなときには、金融政策でも、財政政策でもできることは何でも実施して、なるべくはやく、デフレ状況から脱するべきにもかかわらず、なせあのような発言をするのか、非常に疑問に思っていました。

そうして、増税するしないは、あくまで安倍総理の専権事項です。政府の一下部機関に過ぎない、日銀の長がそのような発言をするのは、非常におかしなことです。日銀のトップは、日銀のやるべき事に集中すべきであり、増税判断などに口をはさむべきでありません。

日銀の今回の、追加金融緩和に関しては、多くのマスコミが、増税支援などと掲載していますが、黒田総裁は、そのような発言はしていません。マスコミは相変わらず馬鹿です。いくら今回追加金融緩和をしたところで、また増税してしまえば、日本は再びデフレ・スパイラルの底に沈んでしまうことは明らかです。

このブログにも掲載したように、最近では、安倍総理は増税見送りに関わる発言をするようになりましたし、総理の周辺でも、

それに関しては、このブログにも掲載していますかので、その記事のURLを以下に掲載します。
消費再増税、アベノミクス成功のため冷静に判断=安倍首相―【私の論評】安倍総理は、長期政権樹立のため増税パスの政治的な賭けを実行する可能性が高まってきた!しかし、日本のマスコミはこれをスクープできないだろう(・・;)
安倍首相が消費増税の延期示唆、経済への影響踏まえ判断=FT―【私の論評】安倍総理は、外国の新聞社には増税見送りの示唆をするが、殺人マシーンと化した財務省に諜略された日経・朝日新聞をはじめとする大手新聞にはそのようなことはしない。しかし、本当にそんな事で良いのだろうか(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、本日また安倍総理は、増税見送りを示唆するような発言をしました。その記事を以下に掲載します。
<衆院予算委>安倍首相「財政健全化目標は国際公約と違う」2014年10月30日(木)20:47

安倍晋三首相は30日、衆院予算委員会の集中審議で、借金以外の歳入で政策経費をどれだけまかなえるかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の赤字を2015年度にGDP(国内総生産)比で10年度から半減させる財政健全化目標について、「国際公約とは違う。何が何でも絶対という約束は果たせない」と述べた。今井雅人氏(維新の党)への答弁。 
 首相が「国際公約」を否定したのは、消費税率を10%に引き上げるかどうかを年末
首相はまた、再増税に向けた経済環境について「(4月の消費増税後の)反動減は想定していたが、想定の中では最も悪い数字に近い」と述べ、消費増税後の景気回復の厳しさを認めた。【葛西大博】
少し前までだと、増税するのがあたり前のど真ん中ような雰囲気でしたが、女性2閣僚の相次ぐ辞任などもあり、最近では安倍内閣支持率も加工気味です。

日銀は、追加金融緩和を決めました。ここで、政府が財政出動に踏み切れば、それこそ、数十年ぶりに、日銀の金融緩和と政府の積極財政による、両方の経済対策により、かつてない勢いで、経済が回復します。それにしても、数十年ぶりというのが情けないです。本来ならば、ずっと前に実行していなければ、ならないことです。



今の政府は、デフレの最中に増税するという大きな間違いをしてしまいました。とんでもないことです。

もし、再増税を見送ったとすると、直近では、多数の増税派が、安倍総理を大批判するかもしれませんが、ほんのすこしの間で、経済対策がすぐに効果を表すので、市場も好感し、国民も安倍総理をかつてないほどに支持することになると思います。

確かに、これは大きな政治的賭けですが、安倍総理が、金融緩和と積極財政に踏み切った場合、景気は、急速に回復基調に向かい、また怒涛の勢いで、安倍政権への支持率が増し、長期政権樹立の道はかなり容易になることでしょう。支持率は、かつてなかった程上昇すると思います。

増税してしまえば、逆の道をたどるでしょう。もし、それで安倍政権が崩壊することにでもなれば、自民党は下野する可能性もあります。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

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2014年10月29日水曜日

堀 義人 日本を変える「100の行動」―【私の論評】今日本に100の問題があれば、デフレから脱却すれば、50くらいの問題は自動的に解消する!脱却できなければ何も解決できずモグラたたきになるだけ。今の日本の最優先課題はデフレからの脱却であるはず(゚д゚)!

堀 義人 日本を変える「100の行動」
Writing by フォーブス ジャパン 2014年12月号 : P.22 〜 27
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「批判より提案を」「思想から行動へ」「リーダーとしての自覚を醸成する」─。
政界、財界、学界、文化人などが、毎年冬に集まる会合がある。日本版ダボス会議と呼ばれる「G1サミット」だ。討論に終わらず、変革のために「100の行動」を始めるという。


「G1サミット」をご存じだろうか。2009年、冬景色の福島県アルツ磐梯で1回目が開かれて以来、毎年、地方のリゾート施設で開催されているが、一般メディアではほとんど報じられていないため、国民に広く認識されているわけではない。しかし、「日本版ダボス会議」と呼ばれている通り、参加者の顔ぶれからいったい何が話されているのか、興味をもたない者はいないだろう。

 iPS細胞の山中伸弥はノーベル賞を受賞する前からG1のボードメンバーであり、参加者には、安倍晋三、現役閣僚、与野党の政治家、霞が関の官僚、民間からは若手起業家に、名だたる企業の経営者たち、学者など大物から新進気鋭までがそろう。文化人やオリンピック選手もいて、第一線で活動中の人ばかりだ。(中略)

 G1の中から「100の行動」というプロジェクトが動きだしており、日本の100の課題を見つけて、解決していくという。

 まるで政府主催のような大がかりな取り組みだが、民間団体の取り組みに官僚を含めて政権内の人間までもが参加するのはどうしてだろうか。その理由は、G1サミットが生まれたプロセスに関係あるだろう。

 安倍内閣で官房副長官を務める世耕弘成は、辰巳と同じく創設時からのボードメンバーで、「100の行動」に参加している。政策提言を行う民間シンクタンクや社会変革を目指す民間団体と何が違うのか。世耕が言う。

「立派な提言や答案を書くのは簡単なんです。問題は実行すること。実現させなければ意味がない。『100の行動』に期待しているのは、これまで政権内で仕事をした人たちが参画している点です。提言を実行しようとすると、不利益を被る人たちがいるし、反発する人もいる。政治家はどこに障壁があるかを知っています。『そんなのは政治家が突破してよ』と、政治家だけに期待されても現実には合意形成は難しく、簡単にはいかないのです。だから、私は問いかけています。『政治の力だけではなく、民間はどう動くんですか。世論を動かすには、政治の力だけでなく、民間の皆さんの力も必要なんです』と」

 20年前だったら、こんな仕掛けをつくる必要はなかっただろう。政治は、プロレスのように役割が決まっていて、批判する人と批判される人が舞台の上で役割を演じる一方、社会システムはうまく動き続けていた。

 しかし、経済が右肩上がりではなくなると、合意形成は困難になり、停滞の時代になった。すると、こんな世の中に誰がしたとばかりの「犯人探し」に世間は懸命になる。(中略)

「犯人探し」が一巡したとき、「批判よりも提案を」と呼びかけたのが、G1の創設者、堀義人だった。
 賛同する人が多いのは時代の変化だろう。みな、イナゴの大群に辟易し、いい加減に停滞から脱したかったのだ。提案を呼びかける堀は、「100の行動」をこう言う。

「これは静かなる革命です」
(以下略、)
【私の論評】今日本に100の問題があれば、デフレから脱却すれば、50くらいの問題は自動的に解消する!脱却できなければ何も解決できずモグラたたきになるだけ。今の日本の最優先課題はデフレからの脱却であるはず(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事は、NewsPicsに掲載されていたものですが、日本を変える「100の行動」という表題なので、非常に気になってしまったので、記事内容を読んだり、リンク記事なども読んでみたのですが、デフレに関しては何も掲載されていないので、どうしても一言言いたくなって、この記事に対するコメントをしました。

そのコメントの内容を以下に掲載します。
何か、こういう記事をみていると、がっかりします。水を差すようで、悪い気もしますが、今の日本の一番の課題は、どう考えてみても、デフレからの脱却でしょう。こういうこと言うと、ニヒリストのように思われてしまうかもしれませんが、現実はそうでしょう(゚д゚)! 
日本に100の問題があったとして、デフレから脱却すれば、半分の問題は自動的に片付きます。残りの50もある程度目処もたちます。しかし、デフレから脱却できなければ、どの問題も解消せずにモグラたたきになるだけです。 
マクロ的には、そうです。ただし、そうはいっても、ミクロでの努力を否定するつもりはありませんが、水道管が破裂しているときに、それを修理すれば良いのであって、水を汲み出してばかりいても、根本的な解決にはならないことも事実です。
 これは、本当に私の偽らざる本心です。本当にそう思っています。デフレを解消せずに、日本国内でイノベーションやら何やらを実行したとしても、デフレが解消されなければ、日本の社会は良くなりません。

日本では、あまりにもデフレが長い間続いてしまったため、デフレがあたり前になっている人が多いような気がします。多くの人が、デフレを前提として物事を考えるようになっています。

しかし、デフレは、好景気と、不景気を繰り返すという、正常な経済循環から逸脱した経済の病です。あってはならない状況です。この事が理解されていないような気がします。

多くの人が、「デフレ=不景気」くらいに考えているのではないでしようか。しかし、この考えは全く誤りです。ただし、デフレは純然たる貨幣現象であり、人口減などとは全く関係ないものであり、金融政策によって是正されるものです。ましてや、日本国が駄目とか、日本人が駄目になったということでは決してありません。

デフレは社会に悪影響を与えます。これは、社会に大きな歪をもたらすものです。企業活動から、個人の活動にまで、あらゆる面で、悪影響を与えます。日本国が駄目になった、日本人が駄目になったように見えるのはこのためです。

これについては、このブログでも良く掲載することですが、最近では、自殺者が増えるということを事例として掲載します。

最近では、このことをツイートしましたが、かなり多くの人々にリツイートされましたので、そのツイートを以下に掲載します。


このブログを読まれている方にはご理解いただけると思いますが、何か、このツイートだけをご覧いただくと、非常に過激に思われるかもしれませんが、こうしたツイートをしたことについては、それなりの背景があります。

その背景を理解していただくため、このブログを購読されていないかたのために、以下にこのブログの過去の記事を掲載させていただきます。
若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

この記事では、日本においては若年者死因トップが自殺であることを中心に掲載ました。そうして、その原因がデフレにあることも掲載しました。
【週間現代】全国民必読 日本経済「隠された真実」安倍官邸と大新聞「景気は順調」詐欺の全手口―【私の論評】増税するしないはもう経済理論を超えた、殺人・詐欺マシーンと化した財務省と、それを粉砕しようとする勢力との政治・言論抗争である(゚д゚)!
佐藤慎一 官房長 '80年入閣

この記事では、財務省の増税推進のなりふり構わない、姿勢に関して批判しました。

再増税をすると、またさらに消費が落ち込み、デフレからの脱却が遠退き、自殺者が増えます。

この記事では、経済学者の田中秀臣氏の勇気あるツイートを掲載し、財務省の何が何でも、増税に走る姿勢を厳しく批判しました。

以下に、この記事にも掲載した田中秀臣氏の勇気あるツイートを掲載します。






田中秀臣氏もそうですし、私もわざわざ、「殺人」という言葉まで出して、批判するのは、生半可なことをしていては、本当に再増税が実行されてしまい、景気が落ち込み、また自殺者が増えるという最悪の事態を避けたいがためです。また、最悪の事態が発生しても、責任の所在が曖昧になることを避けるためです。

デフレは、個人ベースでもこのような惨禍をもたらすものです。

企業にとっても、デフレは悲惨な結果をもたらします。10%増税をすると、消費が落ち込み、日本は再びデフレスパイラルの底に沈み、とんでもないことになります。

たとえば、消費税「10%」なら新車販売は年50万台減という試算もあります。その記事を以下に掲載します。
消費税「10%」なら新車販売は年50万台減 政府・自工会試算 増税判断に影響
デフレでかなり悪影響を被っている自動車産業
 消費税率を10%に引き上げた場合の平成28年度の国内新車販売台数について、政府と日本自動車工業会が最大で年間50万台減少すると試算していることが27日、分かった。年間の総販売台数の約1割に相当する。国内の製造業出荷額の約2割を占める自動車産業の業績が落ち込めば、安倍晋三政権が最優先で取り組む景気回復の大きな足かせとなるだけに、年末の消費税再増税の判断にも影響を与えそうだ。
日本の自動車業界も、再増税に関してはさすがに根をあげて、このような資料を公開しているのだと思います。

飲食業界も酷いものです。この業界では、収益が最大だった頃に比較すると、:現在では5兆円も減っているそうです。いろいろな分析もありますが、原因の最たるものは、デフレでしょう。

たまたま、自動車産業や飲食業の事例をあげましたが、ほとんどすべての産業が、デフレの悪影響を被っています。

個人にも、企業にもデフレは悪影響を及ばし、社会に様々な歪みをもたらします。

アメリカのビッグスリーは従来から、経済が不振だったり、その他の理由で、自分たちの車が売れなくなると、エゲツないほどに、政府に圧力をかけていました。

このやり方に、私は、昔は「そこまでやるのか」とエゲツないと考えていましたが、今の日本では、このエゲツなさが重要だと思います。これだけ、過去の日銀の政策がまずかったり、政府の財政政策がまずければ、大きな声をあげないほうがおかしいです。

まずは、デフレを退治しなければ、マクロ的な視点からみれば、モグラたたきになるだけです。

それなしに、様々なイノベーションを実行したり、改善をしてみても、日本の社会は良くはなりません。一部の人が一時潤うだけのことで、その潤いもつかの間で終わってしまうだけです。だから、ブログ冒頭の記事をみると、何やら虚しさを感じてしまうのです。

せっかく、先端医療で、多くの人々の命を助けることができても、自殺者が増えては帳消しです。ただし、先にも述べたように、このような努力を否定するつもりはさらさらありません。

それに、堀 義人氏を個人攻撃するつもりもないですし、G1サミットを否定するつもりもありません。ひよっとしたら、G1サミットの中でも、デフレについて、語られているのかもしれません。私の、勉強不足、認識不足なのかもしれません。それにしても、ブログ冒頭の記事を読んだり、リンクをみてもそのようなことは、全くでてきません。

しかし、今は、政治家、官僚、民間、個人レベルでも、まずは一致協力して、デフレからの脱却を図ることが、日本の最優先課題だと思います。これだけは、絶対に譲ることはできません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

【関連記事】

若年者死因トップは自殺 先進7か国で日本のみ―【私の論評】若者の死因の第一位が自殺になったのは、デフレ退治をしなかったことによる大きな罪ということを理解しない人が多いためますます、悲劇が続く?

 【週間現代】全国民必読 日本経済「隠された真実」安倍官邸と大新聞「景気は順調」詐欺の全手口―【私の論評】増税するしないはもう経済理論を超えた、殺人・詐欺マシーンと化した財務省と、それを粉砕しようとする勢力との政治・言論抗争である(゚д゚)!

「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

【田中秀臣氏TW】財務省は「人殺し」の機関の別称だといって差し支えない―【私の論評】政治主導を実現するため、財務省殺人マシーンは分割して破壊せよ!日銀殺人マシーンの亡霊を蘇らせないために、日銀法を改正せよ(゚д゚)!

この国は俺たちのためにある そこどけ!財務省「花の54年組」4人衆のお通りだ 加藤勝信・木下康司・香川俊介・田中一穂―【私の論評】アベノミクスを完遂するために、安部総理が財務省対策の深謀遠慮を巡らしてそれを実行できなければ、この国は終わるかもしれない(゚д゚)!

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2014年10月8日水曜日

中村修二さん「長年の研究が認められうれしい」―【私の論評】15年も以上も続くデフレと、多くのニッポン人が古の日本の心を忘却することで失った、スティーブ・ジョブズも傾倒した日本本来のベンチャー魂をもう一度取り戻そうではないか!

中村修二さん「長年の研究が認められうれしい」



今年のノーベル物理学賞が日本人研究者3人に授与されると決まりました。受賞理由は「青色発光LEDの開発」です。受賞者の1人、アメリカ・サンタバーバラにいるカリフォルニア大学教授の中村修二さんに伺いました。

(Q.今回の受賞をどのように受け止めていますか?)
「青色発光ダイオードを長年研究して、それが認められたということで非常にうれしいですね」

(Q.ご苦労もあったと思いますが、一番苦労されたのは?)

「青色LEDの研究開発、アメリカに移ってからいろいろ裁判に巻き込まれて、その裁判をやっているときが非常に苦労したところでしたね」

(Q.時代を大きく変えられたという実感は?)
「やはり発光デバイスは、光るものは、今後ほとんどすべてLEDに変わっていくと思うので、光デバイスに関しては大きなブレークスルーをやったかなと思っています」

科学ジャーナリストの寺門和人さんからの質問です。

(Q.研究していた時と今の状況、どんなふうに感じていますか?)

「研究を始めたのは1989年からなんですが、青色発光ダイオードを作るにはいろんなブレークスルーが必要で、それをどんどんブレークスルーやっていくためには、徐々に近づいてはいくのですが、しかし、ここまでいろいろなところに使える高輝度の発光ダイオード、あるいは白色発光ダイオードができるとは当時は想像もしていませんでしたね」

(Q.一緒に受賞された赤崎さん、天野さんにはどんな言葉をかけたいですか?どのように3人で交流をしていたのでしょうか?)

「赤崎先生、天野先生は私より10年先ぐらいに窒化ガリウムで研究をされていて、私は89年から始めたのですが、お互い同じ分野で、お互い競争というか、切磋琢磨しながら、ここまでやってきました。今回、一緒に競争してやってきた3人同時に受賞ということで、非常にうれしく思っています」

(Q.中村教授は2000年からアメリカにわたって活躍、研究されていますが、アメリカに出てみて、今後の日本の研究環境について何があったら、より良いとお考えですか?)

「研究者はやはり自由が一番です。アメリカというのは、日本に比べたら仕事環境が非常に自由で、やる気さえあれば、何でもチャレンジできるシステムができ上がっているんですね。

ところが、日本はいろんなしがらみとか年齢とか、極端に言えば年功序列とかがあって、本当に自由にのびのびと研究ができるような環境ではないと思います。

私もですが研究者、開発者というのは、やっぱり自分でベンチャーを自由にできるようなシステムが必要なんです。日本はそういうシステムがないんですよね、ベンチャーをやるようなシステムが。いいアイデアがあれば、即ベンチャーをやると。例えば、アップルのスティーブ・ジョブズみたいに簡単にできるかといえば、日本ではできないですよね。ですから、日本では大手企業のサラリーマンしか生きる道はないんですよね。

ですから、そういう意味でベンチャーを日本でもできるようなシステムにしてほしいですが、実際はできない。非常に日本の科学者、技術者は永遠のサラリーマンみたいになっちゃうという悪いシステムで、そのあたりを今後良くしてほしいです」

(Q.今回の受賞はどちらでお聞きになりましたか?)

「家で寝ていました。午前2時過ぎぐらいに電話がありまして。起きて、電話で非常にびっくりしました」

(Q.中村さんはこれまでも候補者として名前がずっと挙がっていたと思いますが、お休みになって待っていたんですか?)

「寝ていましたが、緊張してたので、寝ていたのかよくわからないような感じですね」

(Q.若い、これから研究の道に入る方へのメッセージを最後にいただけますか?)

「私は小さいころから科学が好きで。科学が好きというのは、研究していくといろんな問題があって、その問題を、謎を解くような、クイズを解くようなイメージです。

そういうのが好きで、何か問題があれば解くのが好きで、それで研究をやったので、若い人も自分の好きなことを見つけて、それに向かって勉強をしてほしいです。

そうすれば、いろんな苦労があっても続けてできると思うので、やはり一番大事なことは、若い人は自分の好きなことを見つけて、それに向かって勉強、あるいは仕事をしていくということですね」

(Q.今までノーベル物理学賞というと、素粒子とか基礎研究的なものが非常に多いという印象が強く、なかなか理解しにくいところがあったのですが、今回、非常に身近な、生活に密着した部分にあるものというところも評価されたのでしょうか?)

「やはりノーベル賞の受賞理由を見ると、人々の生活を良くする研究ですよね。この発光ダイオードというのは省エネということで、電力消費量を従来の光源に比べたら5分の1以下にしますから、これは将来、地球温暖化の問題を良くするとか、省エネということで、人々の環境、生活ライフを良くするということで、そういうことでは、たぶん基礎理論よりも、人々の生活をよくするということで多分受賞したのだと思います」

(Q.これからの目標は?)

「こちらの大学でも、やはり同じように青色LEDとかの研究しています。それは現在の白色発光ダイオードの効率を、今の50%からなるべく100%に近づけようと、さらに高効率化する研究をしています。高効率化するためには、結晶成長やデバイスの構造、基板などを色々と変えないといけないのですが、そういういろいろなことをやって、さらに高い効率、100%に近づくものをねらって研究しています」(カリフォルニア大学サンタバーバラ校・中村修ニ教授)


【私の論評】15年も以上も続くデフレと、多くのニッポン人が古の日本の心を忘却することで失った、スティーブ・ジョブズも傾倒した日本本来のベンチャー魂をもう一度取り戻そうではないか!

昨日のビッグニュースは、何と言っても、日本人3人のノーベル賞受賞です。これは、間違いなく今年の10大ニュースの一つになることでしょう。

本年度の、ノーベル物理学賞受賞者に青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇・名城大教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授が選ばれました。日本人としては一昨年に医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授以来の快挙です。

まずは、この3人の方々の心からおめでとうございます。といいたいです。

さて、これらの3人の方々がテレビなどで、いろいろとコメントされていましたが、私が非常に気になったのは上記の中村修二氏のコメントです。

特に、上の記事の赤字の部分が非常に気になりました。

私もですが研究者、開発者というのは、やっぱり自分でベンチャーを自由にできるようなシステムが必要なんです。日本はそういうシステムがないんですよね、ベンチャーをやるようなシステムが。いいアイデアがあれば、即ベンチャーをやると。例えば、アップルのスティーブ・ジョブズみたいに簡単にできるかといえば、日本ではできないですよね。ですから、日本では大手企業のサラリーマンしか生きる道はないんですよね。

中村修二氏は、スティーブ・ジョブズ氏のことに言及されていますが、実はこのステープ・ジョブズ氏が日本文化などに関心を持ち、かなり大きな影響を受けていたという事実があります。

それに関して、このブログでも何度か紹介したことがありますので、その記事をURLを以下に掲載します。
Appleを復活させた「魔法使い」、ジョブス氏の休職―【私の論評】ジョブスの生き方は、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という日本人の理想を体現している!?
大衆を魅了し続けるジョブス氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は、スティーブ・ジョブズ氏が亡くなる少し前に掲載したものです。この記事では、ステーブ・ジョブズ氏の「伝説のスピーチ」といわれる、米スタンフォード大におけるスピーチをとりあげました。その動画と、この動画に関する解説をピックアッ付して以下に再掲します。


ジョブスは、上の動画の中で、「死を意識すること」の意義、特にポジティブな面を強調していました。これは、日本の武士道の中の「葉隠れ」の思想とも根本では相通じるところがあります。まさに、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という言葉を真の意味で実践しているようです。葉隠れは、一部の人々が曲解しているように、死を美化するものではありません。というより、まさに、上の動画でスティーブ・ジョブスが「死を意識すること」の意義と似ています。というより、生まれ育った環境や活躍してる舞台がIT業界であることなど葉隠れの思想がでてきた時代背景とは大きく異なるので、表現や、出てくる行動が少し異なるようにみえても、本質的には同じだと思います。
今の多くの日本人が忘れてしまったこのような生き方、少なくとも、少し前までは、多くの日本人の理想とした生き方、彼の生き方は、それを私た、ちに思い出させてくれます。だからこそ、日本でもジョブスに人気があるのだと思います。今日本では、産業に活気がありません。ジョブスがやってきたような、イノベーションは、少し前までなら日本が行っていたと思います。私は、そのようなイノベーションが行われなくなった今の日本、背景にはジョブスのような一昔前の日本人が理想とする生き方を多くの日本人が忘れてしまったからではないかと、危惧しています。
さて、そう思って現在のジョブスを見ると、あの有名なプレゼンでみせる、黒を基調とした服装、ジーンズという飾らないいでたち、なにやら、戦に挑む日本の古武士のようにも見えてきます。あの全身全霊を傾けて、ものごとに取り組む姿勢とエネルギーは、本質的には「葉隠れの思想」から沸き出でてくるものであることが、理解できます。今の若い世代には、「葉隠れ」と言っても、ほんどの人が何のことかも理解していないようです。いつから、日本の優れた世界に誇るべき伝統文化が、継承されなくなってしまったのか!!本当に残念なことです。
だから、私は、ジョブスを単純にカリスマとは呼びたくはありません。私は、彼を偉大なリーダーであると呼びたいです。日本にこのような生き方をする政治家や経営者が昨今、非常に少なくなってきたことを残念に思います。
“禅”が成功者を生む!あのジョブズ氏も実践―【私の論評】ジョブズの背後には、間違いなく日本文化の存在がある!!
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、曹洞宗僧侶の枡野俊明氏のジョブズに対する評価などを掲載しました。その部分を以下に引用させていただきます。
そういえば、かのスティーブ・ジョブズが禅に傾倒していた話は有名だ。
「ジョブズの手がけたアップル製品には一切の無駄がなく、枯山水のような美しさがあります。彼は、毎日鏡に向かい『今日が人生最後の日だとしたら、今日やることはこれでいいのだろうか』と問いかけたと言います。今やりたいことに集中する、まさに禅の発想です」。
そうして、この記事は、以下の様に締めくくりました。
私たちは、こうした多くの外国人をも魅了する、伝統文化に培われた日本に育っていますが、そのことを忘れがちです。そうして、その文化を受容して、日々の生活を送っていれば、あまり悩むこともなく、日々やるべきことに集中できるはずなのに、そうではなく、先のことを悩んだり、過去のことに引きずられがちです。
そのようなことから決別するためにも、もう一度日本文化を見直すべきだと思います。座禅など、私も久しくやっていませんか、また、やってみようと思います。私は、この古い伝統文化を思い出し、それこそ、スティーブ・ジョブズがやったように、良いところを現代的に取り入れるということにより、次世代の新しい日本をつくりだすことができるのではないかと期待しています。皆さんは、どう思われますか?
さよならニッポン、新時代の国際人としての心構え―【私の論評】こんにちは、日本と日本人、さよならニッポン、ニッポン人、古から続く国際人としての心構え!!

これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、ジョブズ氏が日本の文化や精神にかなり影響を受けていることに対する反論が寄せられ、それに対する私の対応に関する内容を掲載しました。その部分を以下に掲載します。
さて、このブログの記事を掲載したときに、以下のようなコメントがかえってきました。
『いや別に日本人はそんな精神はないよ。昔から権力に飼いならされることにしか頭の無い人ばっかでしょ。実際ジョブズは「日本のメーカーははまるで海岸を埋め尽くす死んだ魚のようだ」って言い放ったしね』。
さて、このコメントに対する私の対応は、以下です。
「○○様、コメントありがとうございます。いえ、厳然としてあります。これだけ、愚かな、政治家や官僚、それを、助長するような、マスコミの存在がありながらこれだけの国力を保っていられるは、こうした精神を受け継いだ過去から、現在にいたる無数の有名無名の人々努力の賜です。
ジョブズ氏が批判したのは、そういう精神を、忘れた企業の経営者などに向けられものです。
そうでなけれは、たとえば、ソニーの会長など日本の企業経営者や、三宅一生氏のような、デザイナーと親交があったことなど説明がつかないでしょう。
さらに、ジョブズ氏が、かつて、福井県で出家しようとしたことなども、説明がつかないと思います。 また、なぜか今のマスコミは、このようなことを殆ど、報道しなくなつたため、多くの人が忘れていると思います。
もう一度虚心坦懐に、日本や、日本人を見直すことに、より真の姿がみえてくると思います。 ジョブズ氏は、もし日本や、日本人の文化に接する機会がなければ、大金持ちには、なれたでしょうが、あれ程の社会変革は、出来なかったと思います。 これからも、お気軽にお立ち寄り下さい」。
ジョブズが黒タートルを着た理由が今明らかに。きっかけは日本―【私の論評】私たちは、ジョブズ氏のように、日本的なものを再度見直し、自らの活力としていく姿勢が今こそ必要だ!!

この記事では、ジョブズ氏のあの独特の黒タートルネックは、三宅一生氏のデザイナであったことなどを掲載しました。なぜ、ジョブズ氏が黒のタートルネックを着るようになったのか、その理由を示す部分を以下に掲載します。
スティーブ・ジョブズが日本に来たときに、当時の稲森会長にソニーの制服について尋ねたところ、稲森氏は、次のように答えたそうです。
「戦後はみんな服もロクに持っていなかった。だからソニーのような会社では社員になんか毎日仕事に着ていけるものを用意してやらなくてはならなかった。そのうち制服は会社独自のスタイルに発展していき、特にソニーのような会社では社員を会社に結びつけるものになったんですよ、と。それを聞いたジョブズは「そういう結びつきがアップルにも欲しいものだな、と思った」という。
スタイルにこだわりを持つソニーはあの著名デザイナーの三宅一生に社員の制服のデザインを任せていた。その制服はリップストップ(破れ止め加工)のナイロン製ジャケットで、袖のジッパーを外すとベストになる。ジョブズは早速イッセイ・ミヤケに電話をし、アップルにもいっちょベストをデザインしてくれやと頼んだ。
「それでいくつか見本を持ち帰って全社員集めて、どうだい、みんなでこのベスト着たら最高だろ、な、と提案したら、いや〜ブーイングの嵐でたちまちステージ退場さ。あの案はみんなにえらい不評だった」
が、この一件で三宅と親交を得たジョブズは、それからもちょくちょく定期的に彼の元を訪ねるようになる。そして自分だけ制服作っちゃうのも悪くないな、と思うようになった。制服があった方が毎日便利だし(これはジョブズが言ってたこと)、制服を通して自分だけのスタイルを人に伝えることができる、というのがその理由だ。
そうして、私はこの記事を以下のように締めくくりました。
私は、今こそ日本人は、古からの日本と日本人の価値観を思い起こし、戦後に誤って植えつけられたニッポンとニッポン人の価値観は、捨て去り、古から続く、国際人とししての心構えを今一度、復興させるべきときと思います。私は、こうしたことこそが、日本や日本人の国際社会での地位を向上させると、信じて疑いません。
さて、長々とスティーブ・ジョブズ氏が日本の文化に傾倒していて、彼の行動や考え方に大きな影響を及ぼしていることの査証を掲載してきました。
ここで私が言いたいのは無論、中村修二氏批判ではありません。スティーブ・ジョブズ氏が日本の文化に傾倒し自らの思想や行動に取り入れていたように、本来の日本にはベンチャー魂を生みやすい土壌があったということです。
これは、日本人が宗教よりも、さらに根源的な精神的支柱として、「霊を重んじる」ということを実践してきたということと多い関係しています。
これに関しても、このブログに掲載したことがありますので、その記事を以下に掲載します。
「中韓」とは異質な日本人の「精神世界」…仏作家は「21世紀は霊性の時代。日本は神話が生きる唯一の国」と予言した―【私の論評】日本は特異な国だが、その特異さが本当に世界の人々に認められ理解されたとき世界は変る。いや、変わらざるをえない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、フランスの作家マルローの日本に関する言葉を掲載しました。その言葉を以下に掲載します。
「21世紀は霊性の時代となろう。霊性の根源には神話があり、それは歴史の一面を物語っている。世界の神話が現代なお生きているのが日本であり、日本とは、それ自体、そのものの国で、他国の影響を吸収し切って、連綿たる一個の超越性である。霊性の根源に万世一系の天皇制がある。これは歴代天皇の連続性であるのみならず、日本文化の継続性の保証でもあるのに、戦後日本はそのことを忘却してしまった。しかし、霊性の時代が、今や忘却の渕から日本の真髄を取り戻すことを要請している。また文化は水平的に見るのではなく、垂直的に見るべきだ」
元来の日本人は、他の国々とは異なり、確かに宗教を信奉する人も多いですか、そういう人も含めて日々宗教に縛られて生きているのではなく、それよりもさらに人間性の根底に近い、「霊」の世界に生きているのです。

だからこそ、昔から日本人は八百万の神などして、多くの宗教を受け入れ、どのような宗教に対しても寛容であり、もともとそういう土壌であることから、様々な考え方なども受け入れやすく、自由な発想ができる土壌にありました。ジョブズ氏が傾倒した、「葉隠」の思想も、このような精神文化から育まれてきたものであり、だからこそ、ジョブズをも魅了したのだと思います。

だからこそ、明治維新や日露戦争の勝利や、戦後の驚異的な経済成長も可能になったものと思います。そうして、終戦後にも、ホンダやソニーのような従来はイノベーティブだった企業も多数輩出しています。本来、スティーブ・ジョブズ氏の行ったイノベーションなどは、日本の企業がお家芸とするものでした。

しかし、現代の日本はどうかというと、確かに、中村修二氏が批判するように、自分でベンチャーを自由にできるようなシステムがないような状況です。

しかし、上にも示したように日本にはもともとそのような土壌が全くなかったというわけではありません。

特にこの15年程は、デフレが大きく影響しています。これに関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
従来の説はほとんどウソだった。日本でベンチャー企業が発達しない本当の理由。―【私の論評】ちょっと待ってくれ!!20年もデフレが続いたことを忘れていないかい?デフレは、ベンチャーの最大の敵であることを!!
アメリカのセクシーな起業家 Polina Raygorodskaya
これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に現場の日本でベンチャーが振るわない理由を示した部分のみコピペさせていただます。
このように、日本の企業の半分は、デフレ真っ最中というのに、利益を上げているのです。ただし、デフレのために、起業が減っているのは事実ですし、特に最近では、起業するというより、新興企業で、成長している企業がベンチャービジネスのなり手を吸収しているというのが実体だと思います。 
なぜ、そんなこになるかといえば、デフレ気味になってからすでに20年、誰もが否定しようがないデフレに陥ってから、15年にもなります。こんな状況では、日本に限らず、どんな国でも起業が減るのは当然のことです。こんな経済状況下では、起業そのものがかなりリスキーです。上の記事ては、このことを完璧に無視しています。デフレを無視して、あたかも、日本だけが、起業が少ないかのように記載しています。それは、間違いです。 
ベンチャーと大企業との関係でいえば、手塩にかけて作り上げた技術を、ベンチャー企業が大手企業の前でプレゼンテーションするとします。その時に、いつも決まって返ってくる答は「既存技術の価格より安くしてくれないと取引できない」だったのです。大手企業は、技術の価値は認めるものの、それ以上は、踏み込めません。 
日本のベンチャー企業は良いモノを作ることはできます。しかし規模が大きくはないため、「安売り競争」には耐えられません。そのために、優秀なベンチャー企業は、幾度も臍(ほぞ)をかんできたのです。 
私は上の記事のように大手企業の行動を非難しているわけではありません。大手企業の担当者も忸怩(じくじ)たる思いであったと思います。デフレというマクロ環境がすべての企業行動にマイナスの影響を与えていたことを指摘したいだけです。
 さて、巷では、14年前の今回ノーベル物理学賞を受賞中村修二氏のインタビュー記事が話題となっています。

その記事のURLを以下に掲載します。
僕が会社をやめたわけ--青色LEDの発明者 中村修二氏に聞く
14年前の中村修二氏

この記事も、詳細はこれを読んでいただくものとして、この記事は14年前に中村修二氏が渡米する直前のインタービューです。

やはり、日本では、なかなか仕事がやりにくいことを語っています。これは、今も当時もあまり変わりがないようです。

しかし、ここで思い出していただきたいことがあります。

14年前というと、日本は完璧にデフレに突入していました。なにしろ、日本は今年でデフレに突入してから16年目に突入しています。

この状況では、大方の企業はデフレ対応に追われ、新たな研究を続けることは困難な状況に追い込まれていた時期です。とにかく、売上が上がらないので、設備投資は減らし、採用を手控えたり、賃金を下げたり、リストラをしたりして人件費も減らしひたすら債務を返済し、防戦一方にまわっていました。

こういう時代は、中村氏のような人にとってはなかなか生きにくい時代であったと思います。

結局元々の日本は、先に掲載したように、ジョブズ氏が傾倒したように、新しいものに挑戦する気風や、そのための土壌があったのですが、そんなことも消し飛んでしまうくらいの、とてつもない超デフレが本来日本が持っている潜在能力をも破壊してしまったのです。

だからこそ、中村氏が語ったように、その当時から今にいたるまで、日本は研究者や開発者がベンチャーを自由にできるようなシステムがなかなか存立し得ない状況になってしまったのです。スティーブ・ジョブスのように、日本ではなかなかできなかったのです。だから、日本では研究者や開発者が大手企業のサラリーマンしか生きる道がなくなってしまったのです。

デフレ状況では、そもそもベンチャーなど最初から成り立つのが困難なのです。

確かに、日本では昔からベンチャーがアメリカよりは、成り立ちにくい状況がありはしました。しかし、そうはいっても、ソニーやパナソニック、本田のような会社が輩出して、次から次へとイノベーションを実現していた時代もありました。

ソニーやパナソニックなど、もともとは本当に小さな町工場で、ベンチャー・キャピタルなどが存在しない時代に創業しているので、ベンチャー企業とはいいませんが、ベンチャー企業のようなものです。

そのような企業は昔から日本には、たくさんありました。むしろ、現在日本にある民間大企業など最初から大企業として創業した企業などほとんどなくて、小さな町工場のようなところから始めた企業がほとんどです。

そうして、忘れてはならないのは、日本は100年以上の歴史を持ついわゆる老舗企業の数が世界で一番多い国でもあります。これも、素晴らしいことです。やはり、日本の「霊を重んずる精神」がこのようなことを可能にさせているのだと思います。

欧米で初の日本製ヒット家電となったソニーのトランジスタ・ラジオ
TR-610。親のいる居間のラジオで聴けなかった
ロックンロールを、ティーンズたちは部屋で聴けるようになった

日本は、もともとは、新たな企業を育み、それを継続させることもできる素晴らしい能力を秘めた国だったのです。

しかし、最近では、戦後の誤った教育により、このような日本の良いところは教えられず、このような日本古来からの日本人の精神を継承しない、ニッポン人が増えてきました。

戦後70年近くもなると、「霊を重んずる」精神など、理解しない本来の日本人とは異なるニッポン人がでてくるようになりました。

このようなニッポン人が増えたことにより、日本にもともとある、新しいことに取り組む精神が継承されにくくなり、ベンチャーが育まれる環境が細っているところにきて、追い打ちをかけるように、日本はデフレ・スパイラルの泥沼に落ち込み、現代の日本は、確かに、中村修二氏が指摘するような、ベンチャーなどなかなか成り立ちにくい風土になっています。

Sony共同創業者の盛田昭夫と、Apple創業者のスティーブ・ジョブズ。あるカンファレンスの
冒頭で、ジョブズは盛田の死を追悼し、「大きな影響を受けた」と讃えた。



この精神をとりもどすには、まずは何が何でも、デフレから脱却するのが最優先です。そうして、将来的には、たとえデフレに陥ったとしても、すぐに立ち直れるようにすべきであり、それは必ずできます。絶対に二の轍を踏むようなことは、すべきでありません。

それにもう一つ忘れてはならないことは、私達のような成人は、自ら努力して、ジョブズ氏も傾倒した日本人の本来の精神を取り戻すことです。

また、これから教育を受けるこどもたちには、新たな教育によって、昔から継承されてきた、日本人の精神と心を叩き込むことです。

これらを実行することにより、日本は必ず復活します。

私自身は、確かに日本古来の精神や心が継承されにくくなっていて、しかも、長期にわたるデフレによって、日本は相当傷めつけられているのではありまずが、さほど不安は感じていません。

おそらく、デフレから脱却できれば、日本は比較的短期間に、再び世界をリードする国となることでしょう。

なぜ、そんなに確信を持って言えるかといえば、実は日本の精神や心は、日本人の心に潜在的に埋め込まれているからです。それは、日本独特の、習慣や文化として、知らずしらずのうちに私達の心に刻まれているからです。

中村氏は日本で世界初となる、無極性青紫半導体レーザを開発しました。中村氏渡米して米国籍を取得してますが、本人はそれは便宜上のことであって、日本籍を捨てたわけではないとしています。

中村氏も日本人の精神や、心を捨てたわけではないし、中村氏の心のにも、日本の精神、心が刻み込まれているはずです。

私達は、昔からある日本の精神や心を意図して意識して、今後の日本の国づくりやイノベーションに活用していけば良いのです。

そうしてそれは、外国人にとっては難しいことかもしれませんが、それでもステイーブ・ジョブズ氏が実践しています。日本で生まれ、日本で育った私たち日本人が、できないはずはありません。

確かに、最近では日本古来の精神と心を失ったニッポン人が増えていますが、それはまだ大勢を占めているわけではありません。日本人の精神と心を継承した、日本人のほうが、日本ではまだ圧倒的に多数なのです。2000年以上もかけて、醸成されてきた、日本人の精神や心がそんなに簡単に破壊されることなどありません。だからこそ、日本はまた大復活して、世界をリードしていくのです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思わますか?

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2014年10月7日火曜日

消費再増税 国民から総スカン 与党からも「延期コール」―【私の論評】さらなるデフレの惨禍をもたらす消費税再増税が前提の内閣府の出す経済資料は、その中身を知れば最早誰の目からみても信用できる代物ではなくなった(゚д゚)!



2015年10月に予定される消費税率の10%への引き上げが、報道各社の世論調査で総スカンとなっている。市井の“空気”を察知してか、政権担当時に消費税増税を主導した民主党が「ちゃぶ台返し」(枝野幸男幹事長)をほのめかし、安倍晋三政権を揺さぶり始めた。自民党内でも、引き上げ慎重派が勉強会を開催するなど、動きが活発化している。

 フジテレビ「新報道2001」が5日公表した世論調査によると、税率引き上げを「先延ばしすべきだ」と答えたのは51・6%で、「予定通り引き上げるべきだ」の15・4%を大きく上回った。「軽減税率を設けて引き上げるべきだ」(29・4%)を合わせても、先送り派が多数派だ。

 読売新聞が6日報じた調査では、来年10月の引き上げへの「反対」は68%、「賛成」は28%。日経新聞が先月末に報じた調査でも、「反対」66%、「賛成」28%だった。

 枝野氏は9月29日のBSフジ番組で、再増税反対もあり得ることを示唆した。

 維新の党をはじめ、民主党以外の野党は再増税には慎重姿勢だ。

 一方、自民党の山本幸三衆院議員は1日、引き上げに慎重な議員による勉強会を開いた。山本氏が所属する岸田派の若手約10人が参加し、安倍首相の経済政策のブレーンで、増税延期を唱える本田悦朗内閣官房参与が講師を務めた。賛同者を募り、今後も開催する考えという。

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(゚д゚)!

【私の論評】さらなるデフレの惨禍をもたらす消費税再増税が前提の内閣府の出す経済資料は、その中身を知れば最早誰の目からみても信用できる代物ではなくなった(゚д゚)!

ようやっと、再増税に対する反対意見が出揃うようになってきたようです。これは、あたり前のど真ん中であり、デフレの最中に増税するなどは、政治的な駆け引きを抜きに純粋な経済政策として考えれば、あり得ない世迷い事に過ぎません。

そもそも、7月~9月の景気の落ち込みは、増税が主たる原因であり、それ以外に理由は見当たりません。にも関わらず、来年の10%再増税を実行するなど、完全に常軌を逸しているとしかいいようがありません。

増税派にとって、増税は快感なのか・・・・・・・・・(アニメ・カイジより)

しかし、政府はあくまでも増税路線を崩さないかのようにみえます。

その査証として、内閣府の経済トンデモ分析があります。内閣府の分析によれば、7~9月期の景気の落ち込みは、増税によるものでなくて、天候によるものだとしていますが、これはどう考えてもおかしいです。かなり無理があります。

確かに、東日本大震災のような大災害の場合には、景気にも明らかに影響を及ぼしましたが、今年の天候不順がそれ程の大打撃を与えたとは思えません。

これに関しては、私などが分析したものより、高橋洋一氏の分析したもののほうがよりわかりやすいので、それに関する記事のURLを以下に掲載します。
「天候不順で景気低迷」なんて大ウソ!消費増税の影響無視した内閣府の「素人分析」を暴く
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に要旨を掲載させていただきます。
内閣府が、経済財政諮問会議に報告した資料は公開されている(→PDFはこちら)。それによれば、基本的には、①気温が夏物商品等(気温による影響が大きい品目)に与える影響試算と、②降水量が消費に与える影響試算によっている。この両者で影響額は▲0.7兆円なので、最大影響になっている。
資料では、①の影響額は▲0.5兆円、②は▲0.2兆円となっている。両者の推計方法は異なっており、①は〈総務省「家計調査」等により、平均気温が、飲料、酒類、アイスクリーム、外食、白物家電、電気代の消費支出に与える影響を推計。それぞれの影響額を積み上げ〉とミクロ的な手法で、②は〈内閣府「国民経済計算」等により、降水量が個人消費に与える影響を推計〉とマクロ的になっている。
なお、別の方法でも、天候の消費に与える影響を試算しているが、消費減少をすべて天候のためとみなすなどいささか乱暴なものであるので、①と②に絞ってみよう。
まず、①の手法はまずい。というのは、ある品目が気温の影響を受けて消費量が変わると、その代わりに他の品物の消費量が変化することを考えていないからだ。内閣府の資料にも、注として小さく「各品目の消費減を受けた他品目の代替需要増は考慮していないことに留意が必要」と書かれているが、役所の資料では、小さな注が重要な意味を持つことが多い。要するに、はっきりいえば意味のない推計だ。
②は一応、マクロ的な手法である。実質家計最終消費支出(前年比)を、実質雇用者報酬(前年比)と降水量(前年比) で回帰分析している、だったら、同じ手法で、①をやらないのか不思議だ。担当者は、当然①もやっていると思われるが、あまり都合のいい結果でなかったのだろう。それで、①はミクロ的な手法になっていると思う。
次に、データで今年の7-9月の天候を振り返っておこう。この種のデータは気象庁に豊富にある(→こちら)。上記②では、北日本、東日本、西日本で天候データを使用しているので、7-9月におけるそれらの気温と降水量の平均を調べよう。
気温は平年との差であり、以下のように、今年は平年並みだった。特に低温ではないが、前年と比べると1℃程度低かった。
降水量は平年に比べた割合(%)であり、以下のように平年に比べると14%程度多かった。ただし、前年も8%程度多かったので、前年と比べると6%程度の増加だけだ。
いずれにしても、今年7-9月の気温と降水量を見る限り、特別に低温・多雨というわけではない。
さて、気温が消費にどのような影響を及ぼすかを調べよう。手始めに、気温の前年との差と消費伸び率の関係を見てみよう。
気温と消費には、相関係数0.39と弱い相関があるが、正直言って、この弱い相関をもって、気温が消費に影響を及ぼしていると断言するのはやや無理があるだろう。②のように、実質雇用者報酬(前年比)を説明変数に加えれば、多少全体の説明力は高くなるが、どうにも気温の消費への影響は弱いままだ。
上の図での気温と消費の関係は弱いものの、あえて気温の1℃の変化に対応する消費の変化は年率換算で0.7%程度、GDPの年率換算で0.5%程度である。したがって、今年の気温変化1℃の低下では、7-9月期のGDPは年率換算で▲0.5%程度の押し下げだ。
次は、降水量と消費だ。降水量の前年比、消費伸び率の関係を見れば、以下のとおりだ。

降水量と消費の相関係数は▲0.18、これは相関がないと言っていい。というわけで、降水量の消費への影響は無視できる。 
以上をまとめると、今年の気温は平年並で、昨年より1℃程度低いが、その消費へ与えるは軽微で、せいぜい7-9月期のGDPを年率換算で▲0.5%程度押し下げるかもしれない。もっとも、その確度はかなり低い。 
また、今年の降水量は平年より14%程度多かったが、降水量と消費には明瞭な関係は見出されず、7-9月期のGDPについて影響は無視できる。
以上が高橋氏による分析です。私も分析してみようとは思ったのですが、先にも述べたように、今年の天候不順など、東日本大震災などに比較すれば、微々たるものであり、最初からほんど影響ないことは判りきっているのでやめました。

それにしても、相関係数が0.39とか▲0.18ということでは、そもそも何の相関関係もないということです。

ちなみに、相関係数(そうかんけいすう、: correlation coefficient)とは、2 つの確率変数の間の相関(類似性の度合い)を示す統計学的指標です。原則、単位は無く、−1 から 1 の間の実数値をとり、1 に近いときは2 つの確率変数には正の相関があるといい、−1 に近ければ負の相関があるといいます。

こんなことは、大学などで統計学を学んだ方や、大学院などで実験や観察などを行い統計データ実際にとった方ならどなたでもご存知でしょう。

まともな大学や大学院で、学生がデータ解析などを行い、この程度の数値をもとに論文を書いたとすれば、そんなものはとうてい教官がパスはしません。

相関係数が0.39とか▲0.18程度のものをあたかも関係があるかのように述べれば、それは虚偽以外のなにものでもありません。

はっきりいえば、内閣府が虚偽資料を出しているということであり、とんでもないことです。

これについては、高橋洋一氏も、元記事の結論部分で、「そもそも、この天候の消費への影響試算は、高市早苗総務相が要請したものである。高市総務相は、かねてより消費増税を予定通りに上げたいと主張していた。そこで、内閣府は無理矢理「影響あり」との結論ありきで試算したのではないか。推計手法の稚拙さ等から、そう思わざるを得ない」としています。

高市総務相 
それにしても、内閣府も酷いものです。まともであれば、いくら高市総務相の要望とはいえ、実際に試算してみて、天候や雨量と消費の間には何の相関関係もないことがはっきりすれば、それを高市氏に示して、こんな資料は偽資料に過ぎず出せば詐欺になるので、やめましょうというべきでした。

こんな資料を公にすれば、高市総務相はもとより、内閣府自体も信用が毀損されます。誰にも信用されなくなります。

しかし、今の内閣府はそうではないようです。実は、内閣府がこのような虚偽資料を出すのは、今回だけのことでありません。

以前にもそのようなことがありました。それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
【メディアの嘘を見抜け】酷すぎ、今年の経済白書はバカか工作員の未来日記なのか―【私の論評】マスコミがその巣窟になつている現在、せめて役所それも内閣府だけは馬鹿とスパイはお断りにしていただきたい!
詳細は、この記事をご覧いただくもの、この記事は昨年の7月のもので、この月に経済白書が公表されているのですが、その内容が酷いものでした。

要約していいますと、昨年の経済白書では、イギリス、イタリア、 スペイン、ポルトガルなどEU諸国では、増税をしたということを掲載しているのですが、その事実だけを掲載して、増税後の惨状については掲載していないのです。

これは、著しくバランスを欠いています。

なお、これについては、高橋洋一氏も詳細を解説していました。これも、このブログに掲載したことがありますので、その記事のURLを掲載します。
増税と成長の関係は分析不足 経済財政白書は全文を読もう―【私の論評】内閣府にも日経にも、大規模な経済シミレーターがありかなり正確なシミレーションができるというのに、せっかくの素晴らしい資産を役に立てられない愚かな人々!!
 これも、詳細はこの記事をご覧いただくものとして、要点だけを以下にコピペさせていただきます。
 ただ、欧州の例を挙げ、「消費増税は成長を阻害しない」との見方を示しているのはおかしい。これも経済財政白書を読むと、どこに分析があるのかと首をかしげてしまう。 
 本来であれば、(1)消費税増税前(2)増税時(3)増税後、それぞれの実質GDP成長率について、3つの資料がないとダメだ。もし、経済財政白書の主張を言いたいなら、(1)の成長率が、駆け込みの反動で(2)の成長率に落ち込むが、その後は(3)で成長率が戻るといわなければいけない。 
 ところが白書には、(1)と(2)の図が載っているが、(3)がない。これでは、結論に至る分析がないので、結論ありきだ。経済財政白書は内閣府がまとめているが、財政のところは財務省の意向なのだ。
結局は、今の内閣府の出した『経済白書』における、財政の部分に関しては、増税ありきの財務省の意向が掲載されているということです。

内閣府ができる前には、経済企画庁という組織がありました。経済企画庁とは、2001年(平成13年)1月5日まで存在した日本の中央省庁の一つであり大臣庁でした。

総理府の外局として設置され、長期経済計画の策定、各省庁間の経済政策の調整、内外の経済動向に関する調査・分析、国民所得の調査等を所掌した。長は国務大臣経済企画庁長官でした。

元々は、この経済企画庁が『経済白書』を出版していました。経済企画庁が出していたころの、『経済白書』は、至ってまともなものでしたし、その他の資料もまともで、今回の内閣府出した「天候不順で景気低迷」などというような、とんでもない資料を出すようなことはありませんでした。

内閣府本庁舎

しかし、この経済企画庁は、2001年(平成13年)1月6日、中央省庁再編の実施に伴い総理府本府、沖縄開発庁などと統合され内閣府が発足、経済企画庁の業務は内閣府政策統括官(経済財政運営担当・経済社会システム担当・経済財政分析担当)、内閣府国民生活局などに承継されることとなりました。

実は、この経済企画庁には素晴らしく精度の高い、大規模な経済シミュレーターがあり、このシミュレーターにもとづき、経済企画庁は、あの日本の高度成長などを主導してきました。

このシミュレーターも、内閣府に引き継がれているはずなのですが、上でも掲載したように、とんでもない資料を出すような不始末をしでかすようになってしまいました。

結局、今の内閣府は、経済に関して独自に資料を出すというのではなく、こと財政に関しては、 政治家や財務省の意向にかなり左右される組織に落ちぶれたということなのだと思います。

今の内閣府の官僚どもには、あの経済企画庁だった時代の気概はもうないのでしょうか、本当に困ったものです。

日銀が、昨年金融引き締め一辺倒から、異次元の包括的金融緩和に華麗に転じたように、内閣府もかつての経済企画庁のような組織に華麗に変身していただき、日本財政をリードするような存在になっていただきたものです。

そうして、金融政策+財政政策により、一刻もはやくデフレから脱却できる体制を整えていただきたいものです。

今のままでは、とてもじゃないですが、日本はデフレという無限地獄から抜け出すことはできません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2014年10月6日月曜日

デフレは、若者世代への「経済的虐待」である―【私の論評】日本の将来を担う若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべき!そのためにも、消費税再増税などすべきではない(@_@;)

デフレは、若者世代への「経済的虐待」である
性急な消費増税の後に、何が待ち受けるのか

村上 尚己 :アライアンス・バーンスタイン マーケット・ストラテジスト
2014年10月06日

大型増税で低迷気味の消費。このままデフレへ逆戻りすることは、若者世代に対して経済的虐待をしているのに等しい

アベノミクス発動による金融緩和の強化によって、日本経済は2013年初から順調な回復を辿っていた。しかし、大型増税というデフレ圧力を高める政策によって、2014年4月から日本経済は失速、夏場になっても消費を中心に不調なままで、製造業の生産活動も減衰している。

日本経済は本当にスタグフレーションなのか

2014年7~9月GDP成長率(11月17日に第一次速報発表予定)は、前期の落ち込みからの反動増で、表面的には高い成長率になるとみられる。しかし、日本経済は増税をきっかけに「軽微な景気後退」に陥るシナリオも無視できなくなっている。

日本経済は、長期にわたり経済活動を蝕んでいた「デフレ」から脱却する途上にあり、本来インフレ率2%を安定的に実現するまでは、金融・財政政策による景気刺激策が求められる。

こうした経済状況に直面し、メディア等では不思議な論調が目立ち、「日本経済がスタグフレーションに陥った」などと言っている。9月8日のコラム「消費増税先送りで、アベノミクスは復活する」でも、海外メディアによるこうした論調を紹介したが、本コラムでも再度これについて批判的に論じる。

世界標準のインフレを好まない、「目に見えない声」

スタグフレーションとは、金融、財政政策により景気が過熱し過ぎて、インフレ率が加速し、それが企業や家計の経済活動を委縮させ成長率が停滞する状況である。

インフレ目標を実現できず、かつ脱デフレの途上にある日本経済はそのような状況とはほど遠い。つまり、今の日本経済の状況を表す言葉として、スタグフレーションは、用語の使い方として間違っている。

メディアでスタグフレーションが誤用されているのは、金融緩和によってインフレ率が世界標準の伸びに上昇することを好まない、「目に見えない声」があるためだ。インフレという自然な経済現象を暗に批判する、「印象操作」として使われているのである。

インフレを好まない、目に見えない声がマスメディア等を通じてなお無視できない力を持っていることを、投資家は冷静に認識し、スタグフレーションなどという言葉に惑わされないことが重要である。

そして、経済成長を逆噴射させる政策対応は時期尚早で、仮に政策対応の不出来が続けば、再び景気停滞とデフレに舞い戻り、そして財政赤字と公的債務が再び増えるという、最悪シナリオすら想定できることを、頭の片隅に置いておきたい。

デフレは、若者世代への「経済的虐待」である

文部科学省の調査によれば、平成24年度(アベノミクスが始まる直前)に大学などを中退した若者は約8万人と、全学生に占める割合は2.65%に増加した。

ただでさえデフレ不況が始まり、就職氷河期が恒常化していたわけだが、就職活動に入るその前段階において、不況による金銭的な事情から卒業を諦めざるを得ない若者が増えていたわけだ。こうした若者は、残念ながら、スキルを身に着ける職につくチャンスを得ることが難しくなってしまう。

長期の経済成長率は、人的資本がもたらす技術革新の影響が大きく左右する。これまで、デフレ不況が長引いたことで、就業の機会が狭くなりスキルを高めることができない労働者が増えた結果、日本経済は長期的な経済成長率を低下させかねない状況になっていた。

こうした意味で、デフレは若者世代への「経済的虐待」だが、デフレと低成長(=「人余り」の長期化)からの脱却をしっかりと実現することが、長期的な観点からみても日本経済再生の第一歩になる。

この記事は、要約です。詳細は、こちらから(@_@;)

【私の論評】日本の将来を担う若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべき!そのためにも、消費税再増税などすべきではない(@_@;)

上の記事、スタグフレーションの言葉遣い間違いと、デフレは、若い世代への「経済的虐待」という二つのテーマが盛り込まれていて、少し盛りだくさんだと思います。どちらかの話題で、一つの記事にまとめていただきたかったです。

スタグフレーションに関しては、言葉の意味を良く理解しないメディア関係者が無責任にそのようなことを報道しているということだと思います。これは、これで無責任なことですが、メディア関係者がバカということで、問題は片付きます。

せっかく若者が就職できても、奴隷扱いするようなブラック企業が増えている

しかし、もう一方の、デフレは若者世代への「経済的虐待」という内容は、なぜか日本ではほとんど理解されていません。こんなことは、当たり前のど真ん中のはずなのに、なぜかメディアや識者などはほとんど触れてきませんでした。

こういうことから、上記の村上直己氏の記事は、日本では非常に珍しく、注目すべきものであると思います。だからこそ、掲載させていただきました。

それにしても、なぜ日本では、ほとんどこのことが認識されないのか、本日はその背景を探っていきたいと思います。

日本においては、いわゆる新卒定期採用という独特の雇用慣行があるので、日本以外の国から比較すると、若者の雇用問題は比較的軽いとも思われてきました。

日本には新卒定期採用という他国にはない雇用慣行がある
日本以外の国では、新卒の大量採用などという慣行はないため、企業の採用は必要の都度行うというのが普通です。ですから、高校や大学、大学院などを卒業しても、たまたま募集がなければ、すぐに就職できるとは限りません。

卒業した年が運悪く、不景気やデフレだった場合、いくら優秀であっても、卒業してから何年も就職できない場合もあります。まったくもって理不尽な話しです。デフレや不景気が長引いた場合には、就職できない若者がかなり増えます。貧困や犯罪が増え、これは、深刻な社会問題をもたらします。

だから、不景気や、ましてやデフレになれば、若者世代は大変なことになるということを多くの人々が認識しています。人間長い間生きていれば、自分が学校卒業時に不景気で大変な思いをしなかったとしても、自分の子どもや、身内などの親しい人のなかに、大変な目にあった人が必ずいて、嫌がおうでも、その認識は高まるわけです。

だから、日本以外の欧米などでは、不景気やデフレは、このように若者に対してかなり犠牲をしいる大変なこどてあるとの認識があります。そうして、こうした雇用問題の元締めは、中央銀行であり、景気が悪くなった、デフレ気味になった、雇用条件が悪化したとなれば、真っ先に中央銀行が糾弾されます。

このように、日本以外の欧米などでは、若者の雇用などは、中央銀行の金融政策の良し悪しにより、かなり左右されるということが、当たり前になっています。しかし、日本ではそのような認識はむまだまだ広まっていません。

これに関しては、このブログでも、掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にその要旨だけ掲載させていただきます。
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。 
この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。 
これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。
日本では、やはり新卒採用という雇用慣行があったからこそ、若者の雇用はさほど深刻にならなかったという側面は否めません。15年くらい前までは、とにかく学校を卒業さえすれば、なんとわなしに就職先はある、特に贅沢をいわなければ、どこかには必ず勤められるという考えが多くの人々にありました。

実際に、そうでした。しかし、日本はデフレに突入してから15年以上も経過するという、とんでもない状況に陥ってしまいした。そうした中では、新卒雇用もかなり減って、ご存じのように学校を卒業してもなかなか就職できないのが当たり前になってしまいました。

これでは、せっかくの世界に誇る日本の新卒定期採用という若年層に対する優しい雇用慣行がありながら、それが機能せず若者世代を経済的に虐待する結果となっています。

これは、若者にとっても、日本という国にとっても、不幸なことです。そうして、日本以外の欧米の国々のように、新卒雇用という雇用慣行がないからこそ、当たり前になっている、若者の雇用は中央銀行の責任という認識を多くの日本の人々にも持っていただきたいものです。

政治家、官僚、識者はもとより、多くの一般の人々にこのような考えが、認識されれば、そもそも若者を塗炭の苦しみに追いやるような、デフレがこれほどまでも長い間放置されることはなかったと思います。

日本の無限地獄 デフレはいつまでたっても克服されそうにない

そうして、若者雇用は中央銀行の責任という考え方が定着していれば、せっかく日銀が異次元の包括的金融緩和をやっているにもかかわらず、政府が緊縮財政の一環である、消費税増税など実施するなどということは、考えおよびもつかないことであり、本来は減税すべきであったということも、受けいられられるに違いありません。

とくにかく、これから日本の将来を担っていく若者に対して、これ以上経済的虐待を加え続けることは一刻もはやくやめるべきです。そのためにも、金融緩和の腰を折るような、消費税再増税などすべきではありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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