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2018年8月25日土曜日

アヘン戦争ふたたび 中国製の合成薬物が米社会を破壊=米専門家―【私の論評】日本にも新たな危機はひたひたと忍び寄っている(゚д゚)!



4月、ニューハンプシャー州でヘロイン摂取により意識を失った男性を救護する消防士たち

「戦争の一種だ」「中国では大手の製薬会社がゴミを作り、人々を殺している」ー。米国のトランプ大統領は8月16日の閣僚会議で、依存性の高い鎮痛剤の合成薬物の被害について語った。専門家は、中国からの危険な合成薬物は米国社会を崩壊させていると分析する。

米国が、中国産の薬物輸出を戦争の一形態とみなしたのは、今回が初めてではない。2014年の米軍国防白書には、中国から「薬物戦」や「文化戦」など従来の攻撃方法でない戦略があると記している。

8月に米国の疾病管理予防センターの公表資料によると、2017年に7万人以上が薬物の過剰摂取(オーバードース)で死亡した。そのうち68%が麻薬性・合成鎮痛剤であるオピオイドに関連する。

米国では一般的に、このオピオイドはフェンタニルと呼ばれる成分から合成される。フェンタニルはヘロインの50倍、モルヒネの100倍の鎮静作用がある。

近年、米国では処方箋によるフェンタニルの過剰摂取で中毒死するという問題が表ざたになった。2017年10月、大統領は薬物需要とオピオイド危機について公衆衛生の非常事態宣言の検討を保健福祉長官に指示した。

トランプ大統領は最近の閣僚会議で、ジェフ・セッションズ検事総長に「中国とメキシコから出てくるフェンタニルを調べて欲しい、いかなる法的処置を取ってしても(流入を)止めて欲しい」と述べた。

米国におけるフェンタニルの輸入元は大半が中国だ。ロサンゼルスの保健当局者は、中毒性薬物が街でより常態化しており、他のオピオイドよりも多くはフェンタニルに起因する事故で死亡しているという。

専門家は、悪質なフェンタニルの蔓延(まんえん)は、米国に向けられた「アヘン戦争」であると表現する。フェンタニルは死に至る高い中毒性により、軍事目的の化学兵器とみなされている。

米軍特殊作戦司令部は、2014年9月26日に戦略白書「非慣習的戦争への対応」を発表した。そこには「薬物戦」も一種の戦闘形態であると記されている。

白書は、中国軍少将で国家安全政策研究委員会副秘書長・喬良氏が自ら提唱する「超限戦」について、「まさにルールがない戦争だ」と主張していることを明記し、「いかなる手段を用いてでも戦争に勝つという姿勢を意味する」と分析している。

国家安全政策研究委員会副秘書長・喬良少将
写真はブログ管理人挿入 以下同じ

「宣言されない戦争」
英文の大紀元コメンテーターで共産主義に詳しいトレヴォー・ルドン(Trevor Loudon)氏は5月10日のインタビューで、米国での中国発の薬物の蔓延(まんえん)は、中国共産党政府による戦略の一つと見ている。「専制体制の国なら、この薬物中毒問題を知っているはずだ。政府が裏で手を引き、資金も支えていると考えられる」

ルドン氏は「これは、宣言されていない西側諸国に対する戦争の一種だ」と指摘した。
米国を襲う薬物乱用の影響の1つには、過剰摂取のほか、労働力の衰退がある。プリンストン大学の経済学者アラン・クルーガー氏によれば、米国では労働力人口が近年低下している。また、労働人口から離脱した20%はオピオイド中毒によるもので、主に25〜54歳の青年~壮年期といった働く人口の中核をなす層だ。

元中央情報局副局長ジョセフ・ドグラス氏の1990年の著書『赤いコカイン』には中国共産党がいかにヘロインとアヘンを貿易で推し進めてきたかを記している。「世界の麻薬物流の裏に共産主義国がいる」「この政権は薬物を武器に西側諸国を攻撃している」。

かつて毛沢東は、軍を増強し、必要な兵器や資金を調達するために、アヘンを育てて販売していたことが知られている。

司法省は2017年、中国のフェンタニルとアヘン類の違法な製造業者2人を起訴した。ロッド・ローゼンスタイン副検事総長は、米国から中国への薬物輸入はインターネットを通じた個人輸入だと述べた。

ミシシッピ州の厳小兵容疑者は、中国で2つ以上のフェンタニルと類似化合成薬物を製造する化学工場を運営しており、少なくとも6年間、専用販売サイトで米国の複数の都市の顧客に送っていた。

ノース・ダコタでは、4つの工場でフェンタニルを製造した張健容疑者は、闇サイトと暗号通貨ビットコインを使って、薬物の取引をしていた。

2016年10月のBBCの報道によると、多くの中国企業がフェンタニルよりも100倍強力で、米国や日本で指定薬物扱いのカルフェンタニルを輸出していることが明らかになった。米国は早期に中国に規制を求めていたが、2017年2月に規制されるまで、公然とインターネットなどで販売され、大量に流通していたといわれる。

大紀元コメンテーターのルドン氏は、フェンタニルで中国は荒稼ぎしていると批判する。「薬物では罪や混乱を引き起こし、社会のモラル基盤、公務員、ビジネスマンたちの腐敗堕落を生み出す」と述べた。

「年に何千人ものアメリカ人を殺している。それは戦争だとは思わないか?直ちに制裁が与えられ、中止されるべきではないのか?」ルドン氏は、今までの政権は中国のリーダーを怒らせまいと、及び腰だったとみている。「彼らは中国政府に働きかけることを避けていた。アメリカ人が死ぬこととさえも容認してきた」と述べた。

【私の論評】日本にも新たな危機はひたひたと忍び寄っている(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にもあるように、トランプ米大統領は、近年爆発的に拡大しているオピオイド系鎮痛剤の乱用について「国家の非常事態だ」と発言しました。オピオイドは麻薬性鎮痛薬の一種でいくつかの種類がありますが、なかでも毒性と依存性が極めて強いものが合成麻薬「フェンタニル」。このフェンタニルの過剰摂取により、全米で“薬物死”が続出しているのです。

特に深刻なのが、没落した工業地帯「ラストベルト」に住む貧困白人層です。まともな医療を受けるための経済力を持たない人々にとっては、とりあえず痛みを和らげる鎮痛薬が必要でした。そこを狙った製薬会社がロビー活動を仕掛けて規制緩和を実現し、フェンタニルを市場に大量供給。

医師も安易に処方し続けたため、中毒患者が急増してしまったのです。問題が表面化した後は処方に関するガイドラインが導入されたものの、すでに依存症となった人々は不正にフェンタニルを入手するようになってしまっています。

フェンタニル汚染問題には複合的な要素が絡み合っており、簡単なソリューションはありません。以前からアメリカには嗜好のためのドラッグ文化があったことも蔓延(まんえん)にひと役買ったでしょうし、医療保険制度の問題も大いに影響しています。

さらに、「最強の麻薬」「死のオピオイド」といわれるカルフェンタニルが、2016年あたりから、米国の乱用市場に出回り、オーバードーズ(過剰摂取)による死亡事故が多発しています。米麻薬取締局(DEA)は、2016年9月22日に全米に向けて警戒情報を出し、注意を呼びかけています。

カルフェンタニル(4-カルボメトキシフェンタニル)は、強力な作用を持つ合成麻酔薬フェンタニルの構造類似体(アナログ)で、その作用の強さはモルヒネの1万倍、フェンタニルと比べても100倍といわれます。

強い効き目から大型動物の全身麻酔用に使われることもありますが、人への使用は想定されていないので、正確な1回使用量は分かりません。もしも、人に使うとすれば、1回の使用量はマイクログラム(1グラムの100万分の1)単位になるでしょう。DEAによれば、わずか2ミリグラムが致死量になりうるということです。


左から、ヘロイン、フェンタニル、かるフェンタニルの致死量
そうして、この薬物汚染の背景にはこの記事の冒頭の記事にもあるように、中国の存在があります。フェンタニルのようないわゆる「合成麻薬」の原料は、中国から密輸されたものが圧倒的に多いからです。

それなのに、ラストベルトのフェンタニル漬けの人々が中国に怒りの矛先を向けることはほとんどありません。今後は新たな鎮痛剤としての医療大麻の普及がオピオイド問題解決の一助になるかもしれませんが、実は中国はそちらの市場にも先手を打っています。

報道によると、中国ではすでに民間企業と人民解放軍が合同で医療大麻の研究・開発を行ない、関連パテント(特許権)の取得も進めているとのこと。欧米をはじめ各国で医療大麻の合法化が進めば進むほど、中国はかなりの優位性を持つことになります。

民主主義国家にはまねできないトップダウン体制の強みを生かし、「キレイな薬」と「ヤバい薬」を同時に世界へ“出荷”するのです。したたかとしか言いようがありません。

また最近では、「カンナビノイド」と呼ばれる大麻そっくりの効果をもたらす合成薬物も、中国からひそかに“出荷”されているようです。スプレー状にして、食用の葉ものにかけて食べるとぶっ飛ぶという“食べるドラッグ”なのですが、ナチュラルな大麻とは違って毒性が高く死亡例もあります。

このカンナビノイドも、いずれフェンタニルのように社会問題化するのかもしれません。

そうして、この合成麻薬は他ならぬ中国でもかなり問題になっています。共産党政権下で撲滅されたはずの薬物犯罪は、市場経済の中で復活。

薬物中毒は昨年5月時点で222万人にのぼる。東南アジアの「黄金の三角地帯」や北朝鮮などからの密輸品のほか、広東省などでの密造品が流れています。

中国の裁判所は昨年だけで、薬物犯罪で10万人近くに死刑を含む有罪判決を下しました。50グラム以上の所持で死刑が適用され、日本人も中国で処刑されています。

中国では麻薬のことを“毒品”といいます。青少年への麻薬汚染の広がりは、もう10年以上も前から中国社会に重くのしかかる課題となっています。なかでも、地方における麻薬汚染の浸透は深刻の一言に尽きるようです。

注意 ! 毒品新包裝 中国ででまわるお菓子のような包装の麻薬

麻薬に溺れる者には二種類あるとされ、一つは金持ちの道楽として麻薬に手を伸ばすパターンであり、もう一つは貧困者が溺れるパターンです。いずれも若年化が心配されてきたのですが、昨今の問題は、販売と製造に若年化の波が押し寄せ、同時にアンダーグラウンドの傾向が消えつつあります。

分かりやすく言い換えれば、普通の人々が簡単に製造や販売に関わる時代が訪れているということです。昨年末、それを象徴するニュースが中国を騒がせました。

発信元は『中国新聞ネット』です。タイトルは、〈1990年以降に生まれた女子、SNSグループで覚せい剤のつくり方を学ぶ グループのなかにはミャンマーへ行って研修を受けた者まで〉です。

まさに世も末です。山西省呂梁市の公安が昨夏に摘発したグループを取り調べる中で明らかになってきた事実だといいます。

この犯罪グループは麻薬の製造・販売のほか、公文書や印章の偽造、わいせつ物の違法販売、ニセ薬の製造・販売、ネット賭博犯罪、個人情報への不正アクセス、密入国の手引きまでありとあらゆる犯罪に関与していたことがわかっています。

グループには資金提供者がいて、その援助の下で麻薬製造を学んでいたといいます。アンダーグラウンドの世界にも留学制度ができつつあるのでしょうか。

強調しておきたいのは、中国が“出荷元”である以上、距離的に近く人もモノも大量に中国と行き来する日本にとって、これは「今そこにある問題」だということです。まだ日本のドラッグ市場は決して大きくありませんが、新たな危機はひたひたと忍び寄っています。

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2016年6月29日水曜日

【恐怖の原発大陸中国】南シナ海の洋上で中国製の原発計画が進行中 19年までに運転開始へ―【私の論評】中国の原発輸出は頓挫するが、南シナ海浮体原発は甚大な危機!核兵器持ち込みも(゚д゚)!

【恐怖の原発大陸中国】南シナ海の洋上で中国製の原発計画が進行中 19年までに運転開始へ

★(下)

この記事の★(上)は以下のリンクをご覧になってください。

【恐怖の原発大陸中国】中国の危うき原発事情 厳しい言論統制で事故のほとんどは隠蔽

建設中の広東省台山原発1号機
不具合が判明し、導入を決めていた各国がプロジェクトの見直しを余儀なくされている新型原子炉。それにもかかわらず、中国は安全検査の期間を短縮してまで稼働を急いでいる。その裏には「世界一の原発大国」という確固たる目標がある。

今年3月に開催された全人代で採択されたシーサンウー(第13次経済5カ年計画)では、2020年までに原発による発電量を現在の2倍以上となる5800万キロワットに増加させる方針が盛り込まれた。さらに2030年までに原発の稼働数と発電能力の両面で世界一となることも見据えている。

現在、7省1自治区に計31基の原発を稼働中で、さらに23基が新設中という中国だが、計画遂行のために今後、年間7~8基を新たに稼働開始させることが必要となり、かなりの突貫作業が求められることになる。

中国の建築現場ではこれまで、突貫作業や、おから(手抜き)工事が横行し、数々の悲劇を招いてきた。しかし、手抜きの対象が原発建設ともなれば、これまでの規模とは比べものにならない大惨事となる危険性がある。

不安だらけの中国製原発が新設されるのは自国領土内ばかりではない。『環球時報』によると、国有企業の中国核工業集団は、南シナ海の洋上に、小型原子炉をはしけで浮かべる浮体原子力発電所を20基敷設する計画を進行させている。目的は、海底に眠る原油の掘削に必要な電力を賄うことだという。設置費用は1基あたり30億元(約500億円)で、19年までの運転開始を目指す。

安全性に疑問の残る中国製原発がやって来るとあれば、南シナ海に面したフィリピンやベトナムなどの隣国にとっても、人ごとではない。

周囲の不安をよそに、中国がこれほどまでに原発の新設を急ぐ理由について、大手証券の中国人アナリストはこう話す。

「イギリスやルーマニアが、中国製の原子炉『華龍1号』の導入を決めたばかりだが、中国は今後さらに原発輸出に力を入れていくとみられる。特に、将来的にはアフリカの原発市場を見据えており、ケニアやエチオピア、ナイジェリアなど中国と経済的につながりの深い国々とはすでに商談を開始している。中国の原発の増設には、電力の安定供給という目的のほかに、国際市場で通用する技術と実績を獲得したいという思惑もある」

国を挙げての巨大ビジネスの影に、中国原発の安全性や事故の実態はますます覆いかぶされることになりそうだ。 =おわり

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき)

【私の論評】中国の原発輸出は頓挫するが、南シナ海浮体原発は甚大な危機!核兵器持ち込みも(゚д゚)!

上記には主に中国の原発の3つの危機が掲載されています。一つは、中国が世界一の原発大国を目指すというものです。2つ目は、南シナ海の海洋に浮体原子力発電所を20基施設するという計画が進行中であることです。最後の一つは国をあげての原発輸出です。

このうち、最後の一つである、国をあげての原発輸出に関しては、私自身はかなり失敗する確率が高く、実質上不可能であると見ています。

その根拠としては、中国が、海外の高速鉄道建設で次々と挫折しているという事実があげられます。

最近、中国共産党は、内需の不振から外需の取り込みを図ろうとしていました。最近の中国では国内での投資が一巡して、もう有力な投資先がほとんどないことから、投資による内需の拡大が望めない以上、どうしても外需に頼らざるを得ません。

その典型が海外への中国高速鉄道売り込みでした。しかし、その中国高速鉄道の売り込みは頓挫の一歩手前です。以下に4つの失敗事例を掲載します。

バンドン郊外で開かれた高速鉄道の着工式典に出席したジョコ大統領(左から2人目)
と中国鉄道公司の盛光祖社長(中央)ら=1月21日、インドネシア
まずは、インドネシアです。昨2015年、中国はインドネシアで我が国と高速鉄道の受注をめぐって激しい競争を行いました。

中国は、インドネシアに高速鉄道の建設を事業費55億米ドルの全額融資する、政府の債務保証は求めない等の丸抱えで請け負うという破格の条件で約束しました。ジョコ政権が、中国に建設を依頼しようと考えたのも無理はありません。

昨年9月、中国がインドネシア高速鉄道敷設(ジャカルタ―バンドンの全長約140km)を受注しました。そうして、2019年の開業を目指していました。

ところが、インドネシア当局は、まず、中国から提出された書類が(英語やインドネシア語ではなく)中国語で記載されていたので、事業契約が調印できませんでした。

また、中国とインドネシアの合弁会社が、一転して、事業失敗の際の保証をインドネシア政府に求めたのです。そのため、インドネシア側に、将来、負担を押しつけられるのではないかとの懸念が芽生えました。

今年2月、インドネシア当局は、その合弁会社に対し、地震対策を強化し、鉄道の耐用年数を60年間から100年間にするよう求めました。当局は、もしそれが改善されない限り認可を出さない方針です。

中国には技術力に限りがあるため、たとえ短い距離であっても、インドネシアで高速鉄道建設が困難に陥っています。

廃墟のようになったベネズエラ・サラサの高速鉄道関連工場
次に、ベネズエラです。同国でも、2009年、中国がティナコ―アナコ間全長400kmで、高速鉄道敷設を手がけました。この建設計画は75億米ドルで契約が交わされ、2012年に完成する予定だったといいます。

しかし、すでに同国からは中国人スタッフが消え、習政権は、その建設を放棄しました。そして、現場に残された金目の物は、現地住民に持ち去られたと伝えられています。

もともと、ベネズエラは電力不足に悩まされていたため、同国で高速鉄道を走らせるのには無理があったのです。

タイ国鉄115周年のイメージが華々しく描かれた未来のタイ高速鉄道
3番目は、タイですが、初め、中国の借款で高速鉄道敷設(バンコクを起点に5線。特に、バンコク―ナコーンラーチャシーマー間)を計画していました。ところが、タイ側が急に、一部資金を自前で賄うことにしました。

タイは、巨額な建設費を理由にして、中国に借款の金利引き下げや投資増額を要求しました。これに対し、中国側はタイの要求をのみ、金利を2%に下げました。

にもかかわらず、タイは中国の譲歩を受け入れず、自己資金で一部路線の建設を決めました。タイの高速鉄道も、先行きが不透明です。おそらく、これから中国に受注することはないでしょう。

ラスベガスとロサンゼルスを結ぶ高速鉄道の
建設計画、赤い点線の部分に高速鉄道が走るはずだった
最後に、習近平政権は、米国でも高速鉄道(ロサンジェルス―ラスベガス間全長370㎞)の敷設契約を締結していました。ところが、今月、その契約が破棄され、米高速鉄道は白紙に戻っています。

同路線は昨年9月、米エクスプレス・ウエスト社と中国の国有企業「中国鉄路総公司」が率いる中国企業連合の合弁事業として、今年9月にも着工予定でした。

しかし、エクスプレス・ウエスト社は6月8日、合弁解消を発表した。その理由として、(1)米国では、中国企業連合による認可取得が難しい、(2)すでに工事に遅れが生じている、(3)米連邦政府が高速鉄道車両は米国内での生産を求めている、などです。

2日後、中国企業連合は新華社通信を通じて、米国側の一方的な合弁事業解消は、無責任であり、反対するとの声明を発表しました。

このところ失敗つ次の中国の高速鉄道輸出は、中国の国家戦略です。そうして、中国の経済圏構想である「一帯一路」実現の手段でもあります。そのため、中国は、採算性を度外視しているところがあり、ビジネスとして成立しにくいのです。このような杜撰なビジネス手法では、習近平政権は、おそらく今後も失敗を重ねるだけになることでしょう。

そもそも、高速鉄道の技術は中国にはありませんでした。元々は日本の新幹線の技術のパクリです。技術力がないにもかかわらず、無理をして受注するので、うまくいかないという面も否定できません。

結局、外国で鉄道を建設するにおいても、中国国内でのやり方しか知らず、地元の人民の意向など関係なく自分の都合で押し付けをするため、失敗してしまうのです。中国のアフリカ投資も同じような理由から、ことごとく失敗しています。

そのような中国が原発だけは、まともに実施するとは考えられません。原発に関しても、中国には高度な技術はありません。元々は旧ソ連からのパクリです。だから、海外に導入しようとしても、結局高速鉄道と同じような理由から大失敗するのは目に見えています。

しかし、中国国内や、南シナ海は他国とはまったくお構いなしに、自分の都合で原発を建築することができます。

実は、中国による南シナ海での洋上原発開発については、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【緊迫・南シナ海】中国が「海上原発」建設を計画 人工島に電力を安定供給―【私の論評】核戦争瀬戸際までいったキューバ危機の再来になる可能性も十分にあり(゚д゚)!
ロシアの浮体原子力発電所概念図
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事で浮体原子力発電所の長所、短所などとともに、中国による南シナ海への設置の危険性についても掲載しました。

その部分を以下に引用します。
しかし中国では、まだ習近平失脚の報道はなされないところから、習近平と反習近平派の権力闘争の決着はついていないようです。

そうなると、習近平にしても反習近平派としても統治の正当性を強調するためには、東シナ海や、南シナ海の手詰まり状況を打開する必要があります。

おそらく、今回の「海上原発」は、どちらの派閥からでてきたものかは、わかりませんが、そういった流れの中の一つであると考えられます。

とにかく、「海上原発」を南シナ海に派遣して、電力供給に成功したということになれば、中国内の評価は高まります。計画を発表したり、実際に着手するだけでもかなり効果があるかもしれません。これは、海軍力では日米に比較して、圧倒的に劣る中国の窮余の一策であると考えられます。 
本格的な軍事衝突では、全く勝ち目がないので、「海上原発」の派遣と、南シナ海軍事基地への電力供給ということで、中国国内に向けた示威行動の一つということが考えられます。

しかし、これはすぐにできることではありません。それなりに時間のかかることです。

とはいいながら、これを許せば、南シナ海は中国の実効支配が成立することになります。日米ならびに周辺諸国は絶対にこれを許すべきではありません。

日米ならびに周辺諸国は、南シナ海の中国の軍事基地を艦船や潜水艦で包囲し、「海上原発」派遣ならびにその他の補給物資の供給を絶つべきです。それを妨げようとする艦船、航空機に攻撃を加え、撃沈、撃墜すべきです。

日本としては、直接攻撃には加わることはできませんが、世界トップ水準の対潜哨戒活動に参加し、中国の艦船、潜水艦の位置を把握し、中国海軍を丸裸にして、米軍や周辺諸国に強力すべきです。

いまのところ、「海上原発」の建造スケジューなどはっきりしませんので、あまりマスコミでも報道されていませんが、これを中国側が本当に実施するならば、第二のキューバ危機のような様相を呈することになるかもしれません。
キューバ危機の折にソ連の貨物船の上空を飛行するアメリカ軍のロッキードP-3(1962年10月25日)
キューバ危機(キューバきき、英: Cuban Missile Crisis、西: Crisis de los misiles en Cuba、露: Карибский кризис)は、キューバを舞台に1962年10月14日から28日までの14日間に亘って米ソ間の冷戦の緊張が全面核戦争寸前まで達した危機的な状況のことを指します。

中国が南シナ海に「海上原発」を派遣したり、さらに軍事力を強化すれば、さすがにアメリカも黙ってはいないと思います。

及び腰オバマはもう、すでにレームダック化していますが、アメリカ議会や次期アメリカ大統領はこのようなことを傍観することはないでしょう。
そうして、南シナ海での中国の浮体原発の設置を許してしまえば、さらに恐ろしいことが考えられます。それは、中国で浮体原発を開発し、それを南シナ海に曳航するときに、核兵器も密かに運びこむということが考えられるということです。

20もの浮体原発を一度に運ぶにしても、次から次に順番に運ぶにしても、それとともに核兵器を移動されても、米国などによっても、それを外から検知することは非常に難しいということです。

外からではわからないので、米軍などが臨検しようにも、中国側はそれを拒否することでしょう。そうなると、秘密裏に核兵器を持ち込まれる可能性も十分あるということです。

南シナ海に中国が核兵器を持ち込んだとしたら、中国の南シナ海の実効支配は確実なものになります。それどころか、南シナ海を中心に、核兵器を背景に西太平洋への強引な進出が始まることになります。

そうして、これは本当に第二のキューバ危機のような状況を招くことになります。それも、欧米と比較すれば、日本やアジア諸国にとって大きな危機となります。そのようなことは絶対避けるべきです。

私は、中国が南シナ海に浮体原発を設置するのは、まだ先のことだと思っていましたが、上の記事では、19年までの運転開始を目指すということですから、3年後のことです。

このような拙速なやり方では、ただでさえ技術力のない中国が、まだどの国も実用化していない浮体原発を南シナ海に設置するということですから、放射能漏れや核物質の海洋への大量廃棄等の危険性も十分考えられます。世界は、何らかの方法でこれを阻止しなければなりません。

南シナ海浮体原発は、それだけ危険なものであることを私達はしっかりと認識しなければなりません。゜

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