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2012年10月6日土曜日

物価1%上昇「14年度の達成は困難」日銀総裁―【私の論評】やっぱりやる気ないんだ、一体どこまで国民を欺くつもりなのか?!!

物価1%上昇「14年度の達成は困難」日銀総裁:


日本銀行の白川方明総裁は2012年10月5日の会見で、デフレ脱却に向けた「1%の物価上昇」目標の早期達成は、欧州の債務危機の影響などで国内景気が停滞していることから、難しいとの見方を示した。これまでは、消費増税が予定されている「2014年度を含めた遠くない時期に1%に達する」としていた。

日銀はまた、この日の金融政策決定会合で金融政策の「現状維持」を決めた。白川総裁は会見で、「9月に景気シナリオを下方修正し、物価も下方修正することになる」と話した。

【私の論評】やっぱりやる気ないんだ、一体どこまで国民を欺くつもりなのか?!!

白川総裁は、全くやる気がないようです。1%のインフレ目処を約束しておきながら、これすらも、実施せず、ただただ、日本国内のデフレと、円高を確実に守る、デフレ円高守護神の立場は絶対崩さないようです。一体どうなっているのでしょうか?現在デフレーターでみても、物価は下がりっぱなしで、とても1%なんて実現できる状態ではありません。ここで、追加緩和措置を打ち切ればとんでもないことになります。


EUの債務危機で、国内需要が停滞していることと、消費税による国内景気が停滞するというのであれば、通常は、金融緩和をするのが当たり前の真ん中です。白川総裁の言うことは、人間でいえば、癌治療をしている最中に、癌が悪化したので、有効な治療薬の投薬を中止しますといっていると同じようななものです。驚天動地の発言です。一体この人の頭の中はどうなっているのでしょうか?全く理解できません。どなたか、この常軌を逸した発言、その真意理解できる人がいたら、説明してください。

これじゃ、ますます、国内景気は落ち込むし、年末にかけて、アメリカ、EUなども大規模な金融緩和を実施するなか、日本が追加金融緩和措置をやめれば、とてつもない円高になるのは目に見えていまます。本当に全く解せない発言です。これは、ひょっとして、先日中国人民銀行総裁の、日銀が大幅に金融緩和をすることについての懸念表明への答えなのでしょうか?日銀が中国からの指令で動いていると揶揄する人たちもいますが、こうなると、この揶揄も、揶揄ではなく真実味・現実味を帯びてきました。

やっぱり、日銀は、海の向こうからの指示で動いているとしか考えられません。まあ、先日も述べたように、いまや中国は、スタグフレーションの領域に入っていますから、いくら日銀が金融引き締めを行ったところで、もう打ち出の小槌にはなりません。それにしても、中国人民銀行総裁の懸念表明にあまりに都合の良い返答ではありませんか。実際、こうしておけば、少なくとも、人民銀行総裁のご機嫌を損ねる心配はありません。しかし、そんなことで、本当に良いのでしょうか?

中国人民銀行総裁
まるで、外国の指示でうごいているかのようなこの発表の直前の日銀政策決定会議に、前原誠司財政相が出席していたはずなのに、前原さんも、この日銀の常軌を逸した暴走に対して何も抗議しなかったのでしょうか?一体何のために参加したのでしょうか?こういうときこそ、普段の番長ぶりを発揮して、徹底的に抗議すべきではなかったですか?その後、日銀の暴走を非難する声明も発表していません。

まるで、子供のお使いのような参加ですね。おそらく、金融政策のことなど何にもわからないで参加しているから、まともな発言ができなかったかもしれません。それとも、日銀の「独立性」を認めているから、思ったことを発言できなかったのかもしれません。日銀さぞや今頃、胸をなでおろしていることでしょう。

そういわれてみれば、Twitterでは、ある方が、「ウィークアップにて前原がデフレの原最大の原因は人口減少だと熱く語ってました。騙されに行ってるのでは…」とツイートしていました。デフレ、インフレとは、純粋に通貨貨幣の流通量の問題であって、人口とは全く関係ありません。全く理解できません。あの勝栄二郎元財務次官も、こんな珍説はさすがに、語っていませんでした。日銀は、この珍説、論文として最近発表したことはこのブログでも紹介しました。


それにしても、デフレの最大の原因は人口減という説は、完璧な間違いであること、すぐに看破できます。ちょっとやってみましょうか?

わかりやすくするため少し乱暴で、物騒ですが、極端に解説します。たとえば、今日本が、中性子爆弾(人間動物だけ殺傷し、他のものは傷つけないとされている)により、日本が攻撃されて、いきなり人口が半分になったとします。お金を含む有形無形の資産は、そのまま残ったとします。そうしたらどうなります?お金などは、そのまま残り人が半分になります。流通しているお金がそれまでの二倍あることになりませんか?そうして、二倍のお金は、生き残った人たちに移転します。また、相続税として国庫にもはいります。

こういうお金がいっぱいある状態を何といいますか?そう!!インフレです。この時点で、デフレ人口減説は完璧に破綻しています。それも、それまでの倍のお金が流通しているわけですから、ハイパーインフレですね。ただし、この場合、日銀は、このインフレをそのままにしておくわけはありえませんから、過剰なお金を回収して、中性子爆弾爆弾で人口が半分になる前から比較すると、半分にすることでしょう。

稀代のトンデモ本!!
いや、違うかな!!日銀の今のスタンスであれば、お金の流通量を半分にするのではなく、半分の7、8割にまで、減らして流通量を減らして、デフレ・円高路線を堅持することになるでしょう。

何しろ、人口が半分になれば、復興のため様々なことをして、人口が半分になっても、人々が豊かに暮らしていけるようにする必要があります。たとえば、必要のない建物を減らすため古い建物を壊したり、人口が半分になったことにより、場所によっては、地方自治体が、機能を失ったところもでてきて、たとえば、いくつかある村や町が維持できなくなり、一つの村に複数の村を併合したり、併合するだけではなく、併合した町のインフラを整備する必要がでてきます。また人口を増やしたりするため、様々ことにとりくまなければならくなります。また、人口が急激に増えてくれば、それなりにインフラ整備をしなければなりません。

そうなると、普通は、インフレになり、景気がかなり上向くかもしれませんが、今の日銀は、そんなことは、絶対にさせません。デフレ、円高路線で、日本が成長をするのをとめることでしょう。そんな馬鹿なと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、でも、それが、現実の現在の日銀のスタンスです。異常です。

さて、皆さんは、どう思われます。こんな日銀の暴走をいつまでも許容してはいけないと思うのは私だけでしょうか?

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2012年6月20日水曜日

欧州金融危機の中で、非ユーロ国「スイス」の景気が沸騰中―【私の論評】経済は、循環するということを知らない日本人というより、政治家と財務省・日銀?!!

欧州金融危機の中で、非ユーロ国「スイス」の景気が沸騰中



6月17日にギリシャで行われた再選挙では、緊縮財政支持派の新民主主義党(ND)が第1党となり、3位の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)と連立を組んで、議会の過半数を抑え、組閣することとなった。両党は欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)との間で支援協議にあたってきた旧連立与党。緊縮策が実施に移されることでギリシャがユーロから離脱するという懸念は遠のいた。

ドイツ・マネーの流入

ドイツの金貨


ギリシャのように通貨統合による「歪み」に苦しんでいる国がある一方で、恩恵を享受している国もある。物事には表があれば必ず裏もあるものだ。

その典型がドイツでユーロ安による輸出増によって輸出企業の好調が続いている。その企業の利益が特別ボーナスの支給などで家計に流れ、消費にも火がつき、ドイツは好景気を謳歌している。ドイツがもっと支援するのが当然だと、ギリシャ人が考えるワケがここにある。

そんなドイツの好景気と、ユーロ危機の恩恵をフルに受けている国が別にある。欧州大陸の真ん中にありながら、ユーロに加入していないスイスである。5月末に機会があってスイスを訪問した。筆者は2002年から2004年までスイスのチューリヒに駐在したが、当時と比べても好景気は歴然としていた。


スイスの高級住宅街
引き金になっているのがドイツ・マネーの流入。ドイツ人が高級マンションなど不動産をせっせと買っているというのだ。それがスイス人の不動産投資熱にも火をつけている。

なぜ、ドイツ人がスイスの不動産を買うのか。もちろん、ドイツが好景気だからという理由もある。だが、最も大きい理由は資産を保全するためだ、という見方が強い。ユーロ危機が叫ばれる中で、ユーロ建ての資産をスイスに移そうというのである。

スイスの高級住宅街にある共同住宅
スイスはスイス・フランという独自通貨を持つ。EUには加盟していないものの、国境を超えた人やモノの移動を自由にする「シェンゲン条約」に加盟している。EU諸国と同様に自由に移動できる一方、通貨は別ということで、EUのメリットは享受し、ユーロの危機からは遮断されるという特異な位置にいる。いわば、「良いとこ取り」ができる立場なのである。

スイスフラン
ドイツからスイスに移っているのは資産ばかりではない。ドイツ人が「居住地」をスイスに移す動きも活発だ。1990年代半ばまでは移民のうち、専門的な知識を持つ「高技能人材」は20%過だった、という。それが今では80%になった。その中心がドイツ人で、医師や経営者などの移住が目立っているのだという。

もちろん、その背景にドイツの高い所得税率があるのは間違いない。スイスは州ごとに税率が違うが、ドイツなどEU諸国に比べれば、大幅に税金が安い。つまり税制上の「居住地」をスイスに移す動きが活発になっているというわけだ。

金融資産ではなく、不動産の方がより安心

ユーロ危機が長引けば長引くほど、スイスへの資産逃避は進む。ユーロが先々安くなり、スイスフラン高が続くとみれば、今のうちにスイスフラン建ての資産を手に入れておこうという動きにつながるからだ。もちろん、ユーロからの離脱が懸念されてきたギリシャのお金持ちなどは、もうすでにスイスに資産を移していると言われる。その最大の受け皿が高級不動産になっているのだ。

国家財政が危機的状況なのは世界各国に共通している。それを賄うために、通貨供給の増大、つまり、お札を増刷する動きが広まっている。それによっていずれインフレが進むとみる投資家は少なくない。国債など金融商品に置いてある資産を、不動産など非金融商品に移そうという流れは強まっている。ユーロよりスイスフランの信用が高いと言っても、スイス政府の財政も磐石なわけではない。スイスフラン建ての金融資産ではなく、不動産の方がより安心だというわけだ。

1920年代ハイパーインフレに見舞われたドイツ
子供たちが、お札を積みこのようにして遊んでいる
ドイツ人は、かつて1920年代にハイパーインフレを経験した歴史的教訓を持つ。それだけに彼らはインフレに敏感だ。スイスの不動産ばかりではなく、ドイツ国内の不動産価格も上昇基調にある。

国外から資金が集まっているスイスの景気は沸騰気味だ。失業率はリーマン・ショックの影響が出る前の2008年9月末の3.3%から2010年3月末には5.1%に上昇したが、昨年末現在4.1%。外国人の失業率の方が高いため、スイス人男性に限ってみれば、失業率は2.8%にまで低下している。完全雇用状態といっていい。

リーマン・ショック時の駅構内のキヨスクの新聞スタンド
スイスフラン高は輸出産業にはマイナスだが、事業のグローバル化が進んでいるスイス企業は意外と影響を受けていない。カルティエなどを傘下に持つ高級宝飾品大手のリシュモンや、スウォッチなどの企業は好業績を上げている。中国などの高級品需要の伸びに加え、ドイツなど欧州域内でも販売が好調なためだ。企業業績の好調によって給与も増えている結果、スイスの国内消費も底堅い。

マクロ経済が危機に瀕する中で、どうやってその影響を回避し、逆にチャンスに変えていくか。したたかに生きるスイスを見ていると、日本の国も企業も、外部環境の変化に流されないための戦略的な思考を持つ必要性をヒシヒシと感じる。

 (写真は、ブログ管理人が挿入)

【私の論評】経済は、循環するということを知らない日本人というより、政治家と財務省・日銀?!!

上の記事の結びで、「マクロ経済が危機に瀕する中で、どうやってその影響を回避し、逆にチャンスに変えていくか。したたかに生きるスイスを見ていると、日本の国も企業も、外部環境の変化に流されないための戦略的な思考を持つ必要性をヒシヒシと感じる」と書いていますが、この見解少し的外れな感じがします。

かつて世界最大のシェアを誇ったスイス時計、しかし、機械時計に
こだわったため、日本企業のクオーツ時計その座を奪われた
これでは、まるで、スイスの企業が利口で、日本の企業は、バカと言っていようにも聞こえます。まあ、政府・日銀に関してはバカというのは、その通りあてはまります。だから、この記事を書いた人は、悪げはないのでしょうが、言葉の端々に何か大きな勘違いをしている節が感じ取られます。そうして、これは、何もこの人に限らず、多くの人に見られる傾向ではないかと思い、気になったので、本日の記事を掲載いすることにしました。

本日の主題は、経済は循環するものであるということです。このことを十分認識されている方は、以下の記事は、読む必要がありませんので、読まないでください。そうして、こういうあまりにも、基本的なもの読むのは、ごめんだと思われる方、私は実は日本では、あなたのような方は、少数派なのではないかと思います。だから、この記事は読まないで結構ですから、多くの人と、経済の循環について話をしてあげてください。

これには、いくつかの意味がありますが、特に景気は循環するという基本的な原則を忘れている人が個々人だけではなく、政治家や高級官僚の中にも多いのではないかということです。景気の巡回といえば、3つほどあります。国内、国際、時代という枠組みのなかで循環します。

まずは、国内の循環ですが、模式図的に表すと以下のようになります。これをご覧になると、お金は、日本国内を循環していることがわかります。これが、念頭になければ、とんでもない妄想に取り憑かれることになります。たとえば、政府の借金です。以下の、図表には、残念ながら、納税だけが掲載されていますが、この他に国債などの借金もあります。

では、政府が、国債などで、企業や、銀行から借金をしたとしたらどうなるでしょうか?多大な借金をして、公共工事など行った場合どうなるでしょうか?経済が循環しているということを理解していなけば、そのお金は、この世から消えたことになるのかもしれません。でも、循環しているということを理解していれば、そのなことはありえないことがわかります。



そうです。公共投資を行なって、公共工事をした場合、お金は、主に、公共工事を請け負った企業にいくわけです。そうして、そのお金は、賃金などとして、家計にも移ります。家計からは、銀行に貯蓄することもあるでしょう。その後は、どうなるか、そうです。政府は、企業、家計、金融機関などから、税金を徴収しますから、公共工事で支払ったお金は、また、政府にもどってくるわけです。この世の中から完璧に消え失せるわけではありません。

政府が公共工事を行った結果、その工事によって出来あがってインフラなどを目一杯活用して、企業や、個人も頑張って、仕事をして、大きな富を創出したとします、そうすると、個人や、企業の収入が増えて、政府は、先に公共投資をしたよりも、もっと大きなお金を税金として徴収することもできるわけです。

しかし、この循環を理解せずに、政府がお金をつかえば、それで世の中からお金が消えると思い込んでいる人が、いるように思えてなりません。この考えは、経済の循環など無視して、政府財政が、あたかも、自分の懐と同じように思い込んでいることからおこることです。一般家庭であれば、使ったお金は、消えたものとみなすべきですが、政府はそうではありません。税金を徴収することができます、場合によっては、国債を刷って企業、家計、金融機関から借金もできます。それから、家計や、企業と根本的に異なるのは、政府の機関でもある、日本国の中央銀行である日本銀行は、お金を刷ることができるということです。これは、個人や、企業と根本的に異なるところです。ということは、政府の借金は、個人の借金とは全く異なるということです。

だって、お金は循環しているわけですから、政府の借金は、やりようでなんとでもなると思いませんか?全くそのとおりです。ただし、一つだけ条件があります。それは、何かといえば、上の図には出てこない、国外からの借金が嵩んでいなければという条件です。これがたくさんあれば、何ともしようがなくなります。

さて、日本国の中央銀行である日本銀行に関しては、本来政府の機関でもあるのですが、いわゆる中央銀行の独立性ということで、日銀法が改正されて以来、あたかも、政府とは関係のない、独立機関であるかのような動きをしていますが、これは、本日は本題ではないので、本日は、詳細を掲載することはしません。

経済の国際循環は、模式図的には、以下のようになります。これに関しては、上記のように説明していると長くなるので、あまり説明は、しませんが、上記の国内のように、循環しているということです。そうして、ここで、最低限理解しておかなければならないのは、金融資産です。日本が下の図の、A国であったとします。そうして、A国以外のすべての外国をB国ということにします。

A国は、様々な経済の循環として、現在どのような状況になっているかといえば、実は、B国に対して、お金を随分貸しつけており、A国は、B国に対して、収入と、借金を差し引いた、純額ということで、なんと、260兆円も貸し付けているということになります。そうして、その総額は、260兆円です。

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さて、上の国内の経済循環のところで、「だって、お金は循環しているわけですから、政府の借金は、やりようでなんとでもなると思いませんか?全くそのとおりです。ただし、一つだけ条件があります。それは、何かといえば、上の図には出てこない、国外からの借金が嵩んでいなければという条件です」と記載しましたが、これで、政府の借金はやりようでなんとでもなるいうことです。

時代による循環は以下のようなものです。景気は、良くなったら、悪くなるし、悪くなれば、良くなるという循環を繰り返しているということです。
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さて、経済の時代的な、循環である、景気の移りかわりですが、これは、何百年も前から知られていることです。実際に過去の日本も、循環しています。良くなったり、悪くなったりを繰り返しています。そうして、これは、これからも、続きます。日本は、従来の景気の循環からみれば、比較的長い間不景気の状況が続いています。そのため、これからも、ずっと経済は停滞すると思い込んでいる人もいるようですが、そのようなことは絶対にありません。

しかし、人間というものは、不思議なもので、何百年も前から、景気の良い時期が続くと、その景気の良さが永遠に続くと思い込み、逆に、景気が悪い時期が、長く続くと、人々は悲嘆し、不景気が永遠に続くと思い込むということは、何度となく繰り返されてきました。

近い例では、あのニューエコノミー狂想曲です。これは、特にアメリカでいわれたものです。その背景として、1990年代後半、IT投資の活性化により企業内での情報網が整備されていきました。SCM(供給連鎖管理)などの進展により、調達・生産・在庫・販売のそれぞれの局面における最適化が図られるようになりました。この結果、それまでの見込み生産によるタイムラグで発生していた景気循環(在庫循環)が消滅するのではないかと期待されました。これが、ニューエコノミー論です。


要するに、当時の経済の良さは、ITなどの進展により、従来のように在庫調整がうまくいかなくなることは、なくなり、その結果、新しい経済の領域に踏み込んでいるからであり、よって、景気後退は永遠におとずれず、この景気は永遠に続くとされたのです。


しかし、皆さんご存知のように、そのようなことはありませんでした。これについては、このブログでも、しばしば、紹介しているドラッカーの「ネクス・ソサエティー」の序文に、金融恐慌の時にドラッカー氏が、実際に体験したことも交えてわかりやすく解説されています。書籍の内容ともども、お薦めです。

そうして、スイスやドイツは、様々な巡りあわせから、結果として、経済の良い局面に遭遇しているのであって、特に経済面で、スイスやドイツ人が優れているというわけではないということです。そうして、しばらく好景気が続けば、また必ず、後退局面がやってきます。

さて、上記の話、簡単なことなのですが、デフレのこの時期に増税論議が巻き起こるような状況を考えると、多くの政治家や、もしかして、官僚などもこうした基本的なことを理解していないのではないかと、思えてきます。それは、ともかくとして、上記のことを理解していないと、それも字面をなぞっただけではなく、本当に真から理解していなければ、インフレも、デフレもましてや、デフレの最中の増税がなぜ、不味いのかを理解することはできないです。であれば、日本の景気後退の局面が長く続くのも無理はありません。でも、このような認識を持てないというのなら、そもそも、政治家、官僚など目指すべきではありません。自ら、辞めるべきです。そうではない人だけ、残って欲しいものです。皆様、どう思われますか?



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