2010年10月14日木曜日

チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山落盤事故救出劇の背景にドラッカーが!!―【私の論評】私の危機も救ったマネジメント論の良い事例がまた増えた?

チリ北部コピアポ近郊のサンホセ鉱山落盤事故救出劇の背景にドラッカーが!!


チリ北部コピアポ郊外のサンホセ鉱山落盤事故で、地下約700メートルに閉じ込められた作業員33人の救出作業は急ピッチで進み、13日午後9時55分(日本時間14日午前9時55分)、最後の作業員となるリーダー役のルイス・ウルスアさん(54)が救出カプセルで地上に引き上げられた。これで33人全員が8月5日の事故発生から69日ぶりの無事生還を果たした。地下に下りていた救助隊員6人の引き上げ作業も完了し、奇跡的な救出劇は幕を閉じた。

救出カプセル「フェニックス(不死鳥)」を使い、12日深夜に始まった救助作業は約22時間半で33人全員を生還させた。当初は計約48時間かかると見込まれていたが、作業員のカプセル乗り込みなどがスムーズになり、ペースが早まった。

大半の作業員が元気な様子だが、マニャリク保健相は、コピアポ市内の病院へ搬送されたうちの7人が集中治療室で治療し、うち1人が肺炎であると明かした。また、全身麻酔手術が必要な歯の感染症を患っている作業員も2人いたという。

◇「希望」束ねた指導力
その瞬間、クラクションが鳴り響き、カプセルから33人目の作業員、現場監督のルイス・ウルスアさん(54)が姿を現した。救出作業を見守ったピニェラ大統領が目にうっすら涙をため、固く抱きしめた。息子が駆け寄る。チリ国歌が斉唱された。夜の肌寒い鉱山が、熱気で包まれた。「皆さんに感謝します」。胸を張り、ウルスアさんはにこやかに語った。

彼なしでは、奇跡が起きたか分からない。前例のない過酷な地底生活を続けた33人をまとめ上げ、生還へ導いた立役者だ。

「48時間おきにスプーン2杯のツナ、そしてミルク1杯。これを守ろう」。8月5日の事故発生のその日から、彼の挑戦は始まった。他の作業員と手分けして周囲のトンネルを調査し、自分たちが閉じ込められた事実を冷静に認識。生命線ともなる食料配給の規則を決め、発見と救出を待った。工事の現場監督経験が豊富なため、自然に周囲から頼られた。

「地下に33人が生存」。全員の無事が初めて確認されたのは事故発生から17日後。それまでウルスアさんは、泣き出しそうになる仲間に言い続けた。「助けが必ず来る。絶対に希望を失うな」。ウルスアさんが言うと、不思議と心が落ち着いた。

いつしか、ウルスアさんのもとに全員が団結。時にはパニック気味になり、けんかもした仲間たちがまとまっていった。そして「奇跡」は起きた。

ウルスアさんはピニェラ大統領に語った。「我々は、世界が待ち望んだことを成し遂げた。70日間の闘いは無駄ではなかった。強さと精神力を失わなかった。家族のために闘い抜きたかった」

私の危機も救ったマネジメント論の良い事例がまた増えた?

この救出劇は、現代の奇跡のように見えますが、このリーダーはピーター・ドラッカーの信奉者でした。この救出劇について、昨日も掲載したのでは、本日は全く掲載するつもりはなかったのですが、本日さきぼと、NHKのニュースを見ていたら、解説者の人がこのリーダールイス・ウルスアさん(54)について、ドラッカー信奉者であったことを語っていました。

私は、この落盤事故が報道を聴いていて、何とな、このリーダーが、ドラッカーの理論の従って行動しているのではないかという気がしていました。しかし、これで、少なくともリーダーがドラッカーの信奉者であることがわかりました。

このブログでは、ドラッカーに関しては再三にわたって掲載してきた経緯もありますので、本日はこの救出劇をドラッカー流の観点からみてみたいと思います。

2カ月余りの地下生活。その苦境を救ったのはドラッカーの目標管理論、危機管理論、リーダシップ論だったようです。このあたりは、まだ詳しく報道などされてはいませんが、このリーダーの頭の中には、間違いなくこの考えがあったと思います。

詳しいことは、ドラッカーの書籍「マネジメント」を読んでいただきいですが、彼は、この著書の中のコミュニケーションの項で、特にコミュニケーションに必要なものとして目標管理をあげていました。

ドラッカーは、耳を傾けることは、コミュニケーショの前提であるとしながらも、耳を傾けるだけでは、効果的なコミュニケーションは実現しないとしています。

■自己目標管理
そうして、ドラッカーは組織におけるコミュニケーションののあり方として自己目標管理を提唱しています。
部下の考えが、上司の期待通りであることは、稀である。事実自己目標管理の最大の副産物は、上司と部下のものの見方の違いを明らかにすることにある。同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ることこそが、コミュニケーションの第一歩である。
コミュニケーションは、私からあなたへ伝達するものではない。それは、われわれの中の一人から、われわれの中のもう一人へ伝達するものである。組織においてコミュニケーションは手段ではない、それは組織のあり方そのものである。
あの過酷な環境の中にあって、みながパニックに至ることもなく、頑張れたのは、おそらく、リーダーが他のメンバー全員に自己目標管理をさせたと思います。自己目標管理によって、役割分担が決まり、皆が助かるまでの間自分の目標を遂行し続けていたのだと思います。

そうして、この自己目標管理がうまくいったのだと思います。そうして、こうした自己管理目標により、普段からもコミュニケーションが蜜だったメンバーのコミュニケーションがさらに高まり今日の大成功に結びついたに違いありません。

■危機管理論
やたらに危機感を煽ったり、人を無理矢理、牛馬のように駆り立てるマネジメント方式ではだめだ。
これは、働く人々の自主性を重んじるドラッカーが、上記の自己目標管理方式に関して詳しく説明した時の発言の一部です。

まず、万年、危機(クライシス)だ大変だと騒ぎ立てては、ハッパ(ドライブ)をかけて管理するマネジャーを、ドラッカーは「クライシス・マネジャー」と侮蔑的に呼んでいました。それがキッカケとなって、今日のアメリカでは「クライシス・マネジャー」と言うと、決して「危機に強いマネジャー」のことではなく、四六時中、「大変だ、大変だ」と騒ぐ見識のないダメ・マネジャーのことを指すようになっています。

そんなことを、いつもやられていては、部下はたまったもんではありません。そして、「やれ、またか」と話半分にしか受けとめず、オオカミ少年の場合と同じく、やがてはソッポを向かれてしまうのが落ちです。

また、自分の職務をまっとうしないで、いい加減に辻褄を合わせたり、ひそかに手抜きをしたり、さらにその下に部下がいる場合には、そちらに丸投げして脅しをかけるというマイナスの悪循環しか生まれてきません。

従って、こうした「クライシス・マネジメント」や「ドライブ・マネジメント」は、組織が混迷状態に陥る前兆であるとドラッカーは断じました。

そうした尻たたき方式ではなくて、真の自己目標管理を導入し徹底させるには、

まず第1に、「分担していることを全部合わせると、はめ絵のようにピックリと納まる全体像が生まれるようにしておくこと」が、大切であるとしています。
第2に、全体目標と各人の目標の間に隙間や食違いを生じないようにし、また摩擦や軋轢があってもならない。さらに二重の手間がかからないようにせよとドラッカーは説いています。
第3に、全体目標と個別目標の均衡と調和をとりながら各人が力を尽くすためには、時間軸を尺度にして、中長期、短期の両方を考慮しておくことが大事であるとしています。
第4に、目標に関して金銭的・量的評価をし得る定量化可能目標と、具体的・可視的には量的評価が難しい定性的な目標の2つの区別しておくことが肝心であると指摘しています。
第5には、目標の進捗度や到達度の測定尺度を予め設定するとともに、特に実現に当たっての障害、上司が提供し得る支援や加勢、逆に上司が妨害し、足を引っ張りやすいポイントについても、事前に十分チェックしておくべきだ、とも提言しています。
ルイス・ウルスアさんは、このことも実践したと思います。彼らは、本当に重大な危機にあったのですから、クライス・マネジメントなどやったとしたら、かえって逆効果となり、今日の大成功はなかったかもしれません。

■リーダーシップ論
さて、リーダーシップ論ともなると、相当誤解している人もいるようです。ドラッカーはリーダーシップについて以下のように語っています。
「リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない」(『現代の経営』) 
リーダーシップとは仕事であるとドラッカーは断言します。リーダーシップの素地として、責任の原則、成果の基準、人と仕事への敬意に優るものはないとしています。
リーダーシップとは、資質でもカリスマ性でもない。意味あるリーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見えるかたちで確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。
リーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は明快な音を出すトランペットになることだ。
リーダーと似非リーダーとの違いは目標にある。リーダーといえども、妥協が必要になることがある。しかし、政治、経済、財政、人事など、現実の制約によって妥協せざるをえなくなったとき、その妥協が使命と目標に沿っているか離れているかによって、リーダーであるか否かが決まる。
ドラッカーは多くの一流のリーダーたちを目にしてきています。その彼が、優秀なリーダーには「、外交的な人も内省的な人もいた。多弁な人も寡黙な人もいた」と語っています。そうです、リーダーシップに必要な資質などないのです。まして、カリスマ性でもないのです。
 「リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることである」(『プロフェッショナルの条件』)

さて、今回の救出劇については、地上の人たちの頑張りもありましたが、やはり、ルイス・ウルスアさん(54)のリーダーシップに負うところがかなりあったと思います。そうして、ルイス・ウルスアさんの、リーダーシップは、上記の似非リーダーシップではなく、真の意味でのそれだったのだと思います。今回の救出ブロジェクトの中で、特に地下にいた人たち、このようなリーダーが存在したことは幸いでした。

そうして、おそらく、今回の事例は、後に、ドラッカー流のリーダーシップ論の、格好の事例として引用されるようになるかもしれません。私は、最近、ドラッカーのマネジメントをキンドル本の改訂版で゜読んでいます。この中の事例の中には、ドラッカー氏が最初に書いた事例のうち、古くなり過ぎたものに関しては新しいものにかえてあり、非常に読みやすくなっています。将来の改訂版にこの事例、引用されるかもしれませんね。

それにしても、ドラッカーのマネジメント論が、この救出劇にも関係していたなんて、ドラッカー好きの私としては、大きな喜びであり、ますます、傾倒してしまいました。

実は、私自身、これほどの規模ではなく、たいしたことではないのですが、ある危機を乗り越えたことがあります。その危機を乗り越かたときには、私の頭の中にもドラッカーの教えがありました。それに関しては、過去にこのブログにも掲載したことがあります。下の【関連記事】にURLを掲載しておきますので、こちらも、まだ読まれていない方は是非ご覧になってください。

最近、「もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら)」ブームなどでまた、多くの人に見直され、あるいは始めて読む方も増えています。この「もしドラ」のように、マネジメントは、営利企業のマネジメントだけを意味するのではなく、多くの組織に適用できるものであることをドラッカー自身がマネジメントにも書いています。

私も、そう思います。様々な分野の人がドラッカーの考えを知り、それを自らの仕事に適用して大きな成果を上げてもらいたいと思います。この救出劇をみていて、その想いを今まで以上にますます強くしました。


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2010年10月13日水曜日

チリ落盤:「顔を見てハートが爆発」…生還作業員の妹―統計よりも「一人のストーリー」が有効?

チリ落盤:「顔を見てハートが爆発」…生還作業員の妹



【コピアポ國枝すみれ】「最後の1人が救出されるまで、ここにとどまる」。13日も続いたチリ北部のサンホセ鉱山落盤事故の救出作戦。鉱山のふもとに設営されたキャンプ村「希望」では、相次ぐ無事生還に歓喜の輪が広がる一方、家族・親族らが作業員33人全員の早期救出を願い続けた。現場は砂漠のど真ん中。夜は急激に冷え込んだが、互いに手を握り、心に希望の明かりをともし続けた。

救出現場やキャンプを沸かせたのは、2番目に助け出されたマリオ・セプルベダさん(40)。救出用カプセル「フェニックス(不死鳥)」から飛び出し、待ち構えていた笑顔の妻としっかりと抱き合った後、「おみやげ」と地下から持ち帰った小石をバッグから取り出し大統領に手渡した。「僕たちをスターのように扱わないで」とジョークも連発し、周囲を沸かせた。

妹のマルシアさん(33)は「顔を見た時、ハートが爆発した」と感無量の様子で語り、弟は「兄は家庭でも地下でもリーダーだ」と自慢げに付け加えた。

5番目に救出された最年少で生後4カ月の赤ちゃんの父親でもあるジミー・サンチェスさん(19)は「神は僕の人生にチェンジを与えるため坑内に閉じ込めたんだ」と語り、家族と喜びを分かち合った。8番目のクラウディオ・ヤネスさん(34)は、地下から「生還したら結婚しよう」と求婚していた恋人と固く抱擁。2人の新たな生活を確認し合った。

比較的元気な作業員から始まった救出作戦は、7人目のホセ・オヘダさん(47)から体が衰弱している作業員に移った。

オヘダさんは8月5日にあった落盤事故の17日後、避難場所まで掘削されたドリルの先に「33人は元気」と記した手書きメモを張り付けたといわれる人。救出カプセルで地上に運ばれた後、家族が心配そうに見守る中、すぐに近くの仮設診療所に担架で運ばれていった。

地下約700メートルで作業員たちが約2カ月にわたって励まし助け合ったように、作業員の家族たちもキャンプで暮らした。12日夜に始まった救出作業中も、たき火を囲み、国歌を歌い、互いの結束を確かめ合った。

そして、すでに救出された作業員の家族たちは「(最後に救出される予定の)ルイス・ウルスアさんが無事に生還するまで、みんなで待ち続ける」と口々に語り合った。

一方、サンホセ鉱山から約50キロ離れたコピアポ市では、市民が大型スクリーンに映し出された救出作業を見守った。26歳の男性は「二度と同じ事故が起きないようにする大きな一歩になると思う」と語った。【毎日JP】

統計よりも「一人のストーリー」が有効?
チリ落盤事故については、もう救出のめどがたち、あとは時間の問題のようです。一人づつ救出されていく様はまさに感動的てした。

しかし、このお話別の側面からみると「一人」というキーワードが非常に重要であることが理解できます。

このことに関して、Wired Visionが9月17日に非常に示唆的な記事を掲載しています。

詳細は下のURLをみていただくとして、

http://wiredvision.jp/news/201009/2010091722.html

以下にその要約を掲載します。
[チリの鉱山で起きた事故は、人々の高い関心をひきつけている。一方で、パキスタンの洪水は、大規模な被害であるにもかかわらず十分な関心が喚起されていない。その背景についての考察。]
筆者の著書『How We Decide』[邦訳は一流のプロは「感情脳」で決断する(アスペクト刊)]から、ある研究を引用しよう。(人間の判断や意志決定について研究する非営利機関Decision Researchの創設者であるPaul Slovic氏(心理学博士)による研究を紹介した部分だ。)
Slovic氏は、さまざまな慈善活動について、どのくらいの金額を寄付しようと思うか人々に尋ねた。その結果、たとえばマリ共和国のRokiaという名の1人の飢えた子どもの写真を見せられた人々は、驚くほどの気前の良さを示した。これに対し、アフリカ全土の飢餓に関する統計データのリストを見せられた2つ目のグループは、申し出た寄付金の平均額が50%低かった。
一見して、これは非合理的だ。問題の全体像に関する情報を得られたときこそ、われわれは金額を多く支払うはずだからだ。ロキアの悲劇的な物語は、氷山の一角にすぎない。
しかし、このような違いがなぜ出るのだろうか。それは、慈善行為というものが、つまるところは人間の同情心に根ざしたものであり、論理的かつ実利的な計算に基づくものではないからだ。
ただし、中には、「身元の分かる被害者効果」の影響を受けにくい人もおり、その差は「分析的な(「論理的な」)処理」の違いによるものだという。ウィラメット大学のJames Friedrich氏らは、先ごろ、120人の学生たちの「分析的な処理」に関する研究結果を発表した。驚くことではないが、分析的な傾向を持つ者は、「身元の分かる被害者効果」があまり見られないということがわかった。
フィールドワークの結果、分析的な処理は、感情的な反応を抑制することによって、「特定の個人と分かる被害者」への傾向を妨げる可能性のあることが明らかになった。分析的な(「論理的な」)処理の様式に関して存在する個人差が、さまざまな形式を用いたザンビア救援基金への寄付要請の効果を弱める結果となった。
分析的な処理傾向の低い人では、被害者が特定の個人と分かる場合に寄付した金額が、複数の被害者の統計データ、またはその両方を提示された場合の金額を上回った。これに対し、分析的な処理傾向の高い人では、寄付金の額に差がなかった。
チリの鉱山事故で閉じ込められた労働者たちを、どんな方法を用いても救出しようとするのが間違いだというわけではない。そのような気持ちに駆られることは、人間の最も気高い衝動のあらわれだ。しかし、「身元の分かる被害者効果」が存在することは、同情の気持ちが自然に涌いてこないとき、つまり、1人1人を特定できないほど多くの被害者が出ているときにこそ、われわれは余計に思いやりの心を働かせる必要があることを示している。
一部の人が指摘するところによると、先ごろ起きたパキスタンで発生した洪水に寄せられた注目は、しかるべきレベルには程遠いものだったが、その原因の一端は、報道が、災害の規模の大きさばかりを取り上げ、個人レベルの悲劇を伝えなかったことにあるという。
人間の感情は、そのような規模の苦しみを理解できないかもしれない。それでも、苦しみが続くことに変わりはないのだ。

この事例は、災害に関するものなのですが、全く異なることですが、似た様なことを経験しています。私たちは日頃こうしたことを日々経験しています。それは、いわゆる大勢の人々を相手にする事業です。たとえば、今日、スーパーや、コンビニエンス・ストアでは、いわゆるPOS(販売時点管理システム)というシステムが用いられています。

販売時点情報管理(英語:Point of sale system、略称POS system)は、物品販売の売上実績を単品単位で集計する手法。POSやPOS systemについては、それに関連する装置を指す場合もあります。


POSの導入においての最大の利点は、商品名や価格、数量、日時などの販売実績情報を収集するため、「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」を経営者側が把握しやすく、売れ行き動向を観察できる点です。 収集する項目はシステムを導入している企業により異なり、データや算出方法は企業秘密である場合がほとんどである。また、コンビニエンスストア等において購入者の年齢層、性別、当日の天気もデータとして収集していることはよく知られています。

POSシステムは主に、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、キヨスク、外食産業、ガソリンスタンド、ホテル、ドラッグストア(薬局)などのチェーンストア等で導入され、年々その機能が進化していますが、近年はその簡易版が一般商店などにも普及しています。

これは、流通業の事例ですが、近年こうして、統計資料がかなり集められるようになっています。しかし、皆さんもご存じのように最近では、スーパーやコンビニなどの売上が低迷しています。無論現在はデフレの世の中ですから、それが原因でなかなか売れないということがあるのだと思います。

しかし、私はそれだけではないと思っています。実際、ある大手スーパーでは、POSはあくまでも、仮説検証の道具とて使っています。要するに、普段からお客をみていて、そこからいろいろな仮説を立案し、実施してみてうまくいったかどうかを検証するのです。

しかし、ときに、スーパーで働いている人が、勘違いして、あまりにもPOSの過去のデーターに頼りすぎて失敗するということがあります。お客様の変化をみずに、過去のPOSデーターのみを参考にして、仕入れなどして、結局は大失敗などということがあります。

これなど、一人ひとりのお客様をみないで不特定多数の人々に関する統計にもとづいた事業を行った結果の失敗です。

さて、上の記事では、"「身元の分かる被害者効果」が存在することは、同情の気持ちが自然に涌いてこないとき、つまり、1人1人を特定できないほど多くの被害者が出ているときにこそ、われわれは余計に思いやりの心を働かせる必要があることを示している"としています。

流通業においても、「身元の分かる消費者効果」が存在しているのだと思います。そうして、このような消費者に対しては、店の従業員もお客さまとして共感できることが多々あるのだと思います。そうして、身元のわかる顧客に対して何を欲しがっているのか、どうしてほしいのかを良く考える事ができるのだと思います。しかし、1人1人を特定できなほど多くの消費者に関しては、なかなか共感することができず、数値のみによって判断してしまうのだと思います。

被災者の対応については、改善が行わているのかどうかはわかりません。しかし、流通業など事業では改善がなされつつあります。

その改善には主に二つの方向があります。

その一つは、いわゆるOne to Oneマーケティングというものです。


個々の消費者や顧客の嗜好やニーズ、購買履歴などに合わせて、一人一人個別に展開されるマーケティング活動です。提供する情報や応対内容を一人一人変化させることにより、消費者や顧客は、あたかも企業と自分が一対一の関係を築いているように感じます。

新しい顧客の開拓よりも、既にいる顧客の忠誠心を高めるのに威力を発揮するマーケティング手法と言える。伝統的な企業活動のうち、店頭での対話や電話による苦情対応なども、One to Oneマーケティングの一つの形と言うことができます。

コンピュータシステムやインターネットなどを使うと、顧客データベースや情報の自動生成などの技術を駆使して、人手を煩わすことなく容易に個別対応を行なうことができるため、電子商取引に欠かせない要素として注目を集めています。

One to Oneマーケティングをネット上で行なう場合、一人一人の嗜好や興味分野を分析したり登録させたりした上で、必要としていると推測される情報をデータベースから引き出してきて提示するという手法が一般的です。これをCRM(顧客関係管理)システムと呼びます。

具体的には、個々にカスタマイズされたWebページの表示や、ユーザの登録内容に応じたメールでの情報配信などがあります。不必要な情報を配信しないため、低いコストで高いレスポンス率が期待できます。Amazon.comなどかこの手法を様々に駆使しています。amazon.comのシステムに関しては、実際に買い物をされてご存じの方も多いと思いますので、ここではあまり説明しません。買い物をされたことのない方は、何回か買い物をされると、私の言っていることの意味が良くわかると思います。

もう一つは、ペルソナという手法があります。


ペルソナとは、事実(データ)の積み重ねによってつくられる、消費者の典型的な特徴を併せ持つユーザーモデルです。つまり架空の消費者です。しかし、この架空の消費者が驚くほど成果を生み出していて、いろいろな業界に定着しています。

ではなぜ、ペルソナがマーケティングに有効なのか?それには「3つの理由」があると思います。

まず「消費心理」を把握できることが挙げられます。消費者が何を、いつ、どこで購入したのか、を把握することはさほど難しいことではありません。しかし、そうした「消費行動(結果)」ではなく、ユーザーがなぜその商品を購入したのか、という「消費心理(原因)」を把握することは容易ではありません。

そこでペルソナです。ペルソナはターゲット消費者の詳細なライフスタイルや価値感、生活意識などのデータを持っています。したがって「消費心理」をかなり正確に把握できるようになります。

つまり、ペルソナをつくることで「消費者が何を買ったのか」だけでなく「消費者がその商品を選んだ理由」を知ることができるのです。このことが、販促・商品開発などのマーケティングに大いに貢献することは容易に想像できますよね。

最後がメンバーの「ベクトルが一致」するということです。「わたしがお客ならこう思う…」「ボクはこれがいいと思う」こうしたメンバーの思い込みでプロジェクトが混乱に陥ったことはありませんか?結局それは、「お客さまを知らない」ことが原因のトラブルです。こんな不毛なトラブルもペルソナによって解消されます。

ペルソナを導入することで、ボクは、わたしは、といった属人的な意見ではなく、「ペルソナ=顧客」はどう考えているのか、何を感じているのか、というように思考や議論のベクトルを一致させることが可能になるからです。焦点が定まった議論ができるようになれば、必然的に、結論も質の高いものになります。

先に述べた、CRMシステムに関しては、Amazon.comなどIT業界の一部の企業ではうまく機能しているようですが、一時喧伝されたようには、華々しい成果につながってはいないようです。

ベルソナについては、IT業界は無論のこと、流通業などでもとりいれられ、成果をあげつつあります。アメリカでは、あのウォルマートの新しい業態である「マーケット・サイド」のペルソナは、60歳の白人男性のGene Kelley氏です。


スーパーといえば、日本だと40歳台前後の家庭の主婦などをペルソナとしそうですが、マーケットサイドは60歳のジーン・ケリー氏です。しかし、良く考えてみると、アメリカも60歳はベビーブーマーといって、人口構成比率では最も高い層です。そうして、普通のスーパーは、主婦層など女性層にターゲットを絞っています。しかし、世の中の半分は男性です。元気な男性の60歳の顧客はアメリカでもかなり大きな層を占めているにもかかわらず、既存のスーバーではこの層に対応している流通業はあまり存在していません。

その意味では、なかなか良いところに、目をつけたと思います。そうして、このジーン・ケリー氏という人物、あまり詳しくは情報は開示されていませんが、おそらく、具体的に、収入、家族構成、趣味、嗜好など、いろいろと設定してあるのだと思います。それをジーン・ケリー氏とい一人の架空の人に投影しているのです。

こうすることにより、あまり顧みられることのなかった、この層に対する商品など、企画・開発などかなりやりやすくなったのだと思います。

災害に対する認識や、流通業における商品開発など、やはり、「一人」が重要なキーワードだと思います。災害でもこれから、マスコミなどで報道する場合などでも、パキスタンの洪水のような場合でも、統計を発表するだけではなく、一人もしくは、数人の人の個別具体的な状況を報道するなどのことが必要だと思います。

一方、流通業などの事業に関しては、上では、CRMシステムや、POS、ベルソナなどの事例をあげましたが、こんな大掛かりなことなどすることも大事ですが、その前に、店なら、実際に店頭にたってもみて、一人ひとりのお客様様子を観察するとか、あるいは、場合によって、お客様のご自宅に訪問させていただきお話を伺うなどすることも実践していくべきと思います。

特に関係当事者が、被災者の顔が見えないとか、顧客の顔が見えないなどということでは、おそらく、有効な手立てなど出来ないと思います。それから、商売などやっている人で一番悪いパターンは、商売を売上や利益だけでみて、お客一人ひとりに関心がないとか、関心がまわらないという事だと思います。そんなことであれば、売上は落ちます。こういう人は、売上が落ちると、利益が出ないため、経費を節減します。そうすると、さらに売上がおちます。これを何回か繰り返せば、売上はなくなり、商売は継続できなくなります。

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2010年10月12日火曜日

Google、次のターゲットは交通問題、ロボット自動車技術を開発―【私の論評】先進国は、もう次の段階にすすまなければならない!!

http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/11/001/index.html

【私の論評】先進国は、もう次の段階に進まなければならない!!



さて、上の動画、マイノリティー・レポートは、トム・クルーズが主演です。この中には、自家用車がでてきますが、これが、まるで、今回のGoogleが目指している交通システムそのものようです。残念ながら、ほとんど車のシーンはでてきませんが、本当に、自分のマンションなどから、直接乗ることができて、目的地まで、運転せずとも到着します。そうして、車自体は目的地で乗り捨てもできます。

Googleは、今までも立派に社会変革を成し遂げてきたと思います。グーグルに批判的な人でも、これは否定はできないと思います。

このグーグルが今度はITの力を駆使しながも、こうした新しい動きに出ていること、他社や、国などもおおいに参考にすべきと思います。

このブログでも、良く参照する経営学の大家ドラッカー氏は、イノベーションとはたんなるアイディアや、思いつきでなく、明らかに会社の外である社会を変えるものでなければならないと語っています。そうして、いわゆる技術イノベーションよりも、社会的イノベーションのほうがはるかに影響力が大きいとしています。私も、そう思います。

最近、ノーベル化学賞を受賞した例の日本人化学者も、それまでには長い道のりがありましたが、確かに彼らの研究が大きな社会変革を巻き起こしています。ノーベル賞もこのように、確かに社会変革をおこしている、あるいは間違いなく起こすであろう研究が受賞の対象になっているのではないかと思います。確かに、ノーベル賞には、国際政治のかけひきなどにどうしても影響される点は否めませんが、しかし、少なくとも理念としては、そうではないかと思います。

私は、トヨタが今の新社長に変わる直前に、トヨタの新しい使命に関して、事例として今回のGoogleの試みについて掲載しました。以下にその一部を掲載します。
それこそ、映画「マイノリティー・レポート」にも出てきたような、車でありながら、公共交通のようなものでもある乗り物の開拓なども良いかもしれません。街中では、電車のようにリニア・モーター・カーのように走り運転もしないですむが、郊外に行くと車としても単体で走れるような車とか。しかも、街中では、いままでだと全く個人の思いつきで走っていたのが、全体の経済合理性にもとづいた運用ができるようになっているとか。
詳細は、下の【関連記事】のところに掲載しておきますので、読まれていない方は、是非ご覧になってください。

これを書いたときには、単に、映画を見て触発されまだ私の頭の中の想像産物に過ぎなかったのですが、誰かが思いつくものは、実行に移せる誰かがその試みを開始しているのだということが、今回の上の記事で良くわかりました。

私は、こうした社会変革を起こすのは、無意識にトヨタのような自動車メーカーであるといように考えていましたが、それにGoogleが着手しているとは驚きでした。しかし、それが、自然なのかもしれません。

先程のドラッカー氏も、新たな技術は、業界の中からやってくるのではない、今で全く異なるところからやってくるとしています。その例として、たとえば、製薬業界におけるバイオなどあげています。製薬業界というと、従来は、化学・生化学・薬学の世界がテリトリーで他の技術なと全く関係ないと思われていました。ところが、バイオテクノロジーが発達した今日、この常識は破られ、新たな薬を開発したり、薬を量産するのに、バイオテクノロジーが使われています。

この事例、新たなGoogleの取り組み、このドラッカーの言っていることの、新たな格好の事例になると思います。いずれ、こうした試みに触発されて、トヨタのような自動車メーカーも独自でやるとか、GoogleTVにソニーも参画しているように、IT関連の会社とジョンイントしてやるようになるかもしれません。

私は、このブログでも以前にも掲載したように、最早先進国は、次の段階に進まなければならないと思います。今までの枠組みで、ものを考えていたのでは、何でも行き詰まると思います。省エネでも、従来トヨタは他社、他国に先駆けてやってきたのですが、これにも限界があります。多くの人々は、電気自動車があるではないかという人もいますが、電気自動車の電気を発生させるために、火力発電所を稼働させたとしたら、果たして、本当に環境に不可をかけないことになるか、一概にはいえないことが、ドイツの研究でも明らかになっています。

いずれにせよ、今ままでの延長線上では、なかなか難しいですが、Googleの実施してるような新たなシステムでブレークスルーが起こるかもしれません。これが成功すれば、大社会変革となります。しかし、これとても、5年、10年で成就するとはおもえません。きっと、長い道のりがあると思います。しかし、いくら巨大とはいえ、一民間企業がこうしたことに果敢に取り組んでいることを高く評価したいです。もう先進国は、こうした次の段階に進まなければならないと思います。

今は、経済が良くないから無理ではないかという考えもあるかもしれませんが、こうした不景気の時期こそ、変革が起こっています。たとえば、信じがたいことに、現在のスーパーの原型は、あの金融恐慌の真っ只中につくられたものです。

現在も金融危機の影響が完全には、過ぎ去ってはいません。それに、日本はデフレの真っ最中です。こんなときに、社会変革など無理と思われるむきもあるかもしれません。さらに、今の日本、中国幻想に酔っていて、中国の経済発展を期待しています。そうして、中国での商売に期待する財界人も多いようです。私はこの考えには反対です。

それには、過去のブログに述べたきたように、中国の経済がこれから停滞することもありますが、もし、停滞しないとしても大反対です。なぜなら、中国に輸出をして、儲けるという考え方は、非常に後ろ向きであり、あたかも、発展途上国のような考え方だからです。これは、まるで、先進国の内需を期待する発展途上国のような考えです。

中国に輸出できたとして、中国は未だ発展途上ですから、先進国が中国に輸出する製品は、既存の車であり、冷蔵庫てあり、テレビや、これらをつくるための工作機械ということになります。これでは、厳密な意味では何も変革にならないからです。確かに、中国の社会を変えることにはなりますが、それは、本来は中国の企業に任せるべきものと思います。そうして、中国の企業がそうすると思います。だから、次の市場としては、本当は期待するべきではない、あるいは期待できないのかもしれません。

先進国は、もう、次の段階に移るべきと思います。国内の需要を喚起して、拡大するためにも、新たな社会的イノベーションを次々と起こしていくべきと思います。そうして、どんな小さな試みでも良いので、私自身もそうした試みに参画したいと思います。

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2010年10月11日月曜日

高智晟 中国が最も恐れる男―劉暁波氏よりもタブーの人物―中国共産党一党独裁の限界か?

高智晟 中国が最も恐れる男―劉暁波氏よりもタブーの人物



【新唐人2010年10月10日付ニュース】10月8日、中国の民主活動家、劉暁波氏がノーベル平和賞を獲得。同じような境遇にある人権派弁護士、高智晟氏も再び注目を集めています。9月9日、フランスの報道雑誌「ヌーベル・オブザーバーチュア」は、高氏を詳しく紹介しました。

雑誌は、立ち退き、公害、医療事故や宗教迫害に遭っている中国人のために立ち上がった高智晟氏を紹介。実は、中国当局も2001年、高氏を「中国の最も優れた弁護士トップテン」に選んでいます。

輝かしい功績を持つ高氏が、なぜわずか数年の間に弾圧の対象となったのでしょうか。それは、中国共産党にとって超えてはならない一線を越えたからです。

2004年、12月26日、高氏は法輪功学習者の黄偉氏の弁護人となりました。

そして、法輪功学習者の案件はどの裁判所も受けたがらないことを発見。共産党政府がこの種の案件の審理を禁じたためです。これに義憤を感じた高氏は、勝つ見込みのない裁判に身を投じる決意をしました。

2004年12月31日、高氏は初めて全国人民代表大会に公開状を出して、法輪功迫害の停止を訴えました。2005年11月22日、2度目の公開状を送った後、妻とともに公に共産党を脱退しました。

2005年12月12日、胡錦濤主席と温首相にあてた、3度目の公開状を発表しました。

高氏が共産党のレッドラインを超えてから、高氏への執拗な迫害が始まります。「ヌーベル・オブザーバーチュア」は、2006年からずっと、高氏は絶えず殺人予告を受け、長期間拘束されたほか、拷問も受けたと指摘。2009年1月、高氏の妻と子供はやむなくアメリカに逃れました。

1年余り行方不明だった高智晟氏は今年の4月、再び姿を現しました。彼を目にした友人によると、高氏は心身ともに崩壊していました。「中国の良心」と称され、腐敗官僚を恐れさせた高氏は、自分の信念を捨ててアメリカの家族と再会する道を選んだといいます。

しかし4月21日、高氏は再び当局に拉致され、一切の消息が途絶えました。

信念を捨てる決意は、高氏の本音なのでしょうか。

「九評共産党」には、中国共産党の本質が記されています。例えば、人を殺すにしても、まずは魂をうちのめしてから肉体を殺す。共産党は一切の権力を独占しているので、いったん敵とみなされた人は、仕事から名声まですべてを失います。しかも、心の支えとなる家族すら巻き込んで、相手をとことん破壊します。

北京の人権派弁護士の滕彪氏は高氏について、「初めて法輪功学習者を弁護した弁護士。実に大きな犠牲を払ったが、彼の勇気は、ひとつの突破口になった。彼の後に続く、人権派弁護士が増えていったからだ」と評価しました。

新唐人がお伝えしました。
http://ntdtv.com/xtr/b5/2010/10/05/a438803.html#video
上のリンクをクリックすると、このニュースの中国語版が見られます。

中国共産党一党独裁の限界か?
上記の文章の中にでてくる、「九評共産党」とは、日本語では共産党についての九つの論評、中国語(普通話)ではJiǔpíng Gòngchǎn dǎng)は、大紀元時報新聞が2004年11月18日に発表した、中国共産党を批判した社説。1963年に人民日報上でソビエト連邦共産党を批判した文章である「九評蘇共」の体裁を模しています。

同書は2004年11月18日、大紀元時報新聞において社説として発表された。この中で中国共産党がいかに中国国民を苦しめてきたかを主張しており、中国でも旧ソ連や東欧諸国のように共産党が解体されるだろうと予言しました。

本書は中国語で記載されたものが原本であるが、日本語や英語を始めとした各国の言語へ翻訳されており、中国共産党の真の姿を知る為の本として韓国や台湾など、各国でベストセラーになりました。日本国内では博大出版から発行されています。しかしながら主要な流通経路に乗らなかったためか、あまり知られていません。このような書籍こそ、今後日本でも、電子出版すべきと思います。

大紀元によると、本書を読んだ中国国民が中国共産党から退党する運動が起きたため、毎月100万人以上が退党を宣言しており、2009年6月30日で5,660万人以上の中国人が退党を宣言したとされています。

ちなみに、本書の構成は以下のようになっています。

第一評:共産党とは一体何物か
第二評:中国共産党はどのようにでき上がったか
第三評:中国共産党の暴政
第四評:共産党が宇宙に反する
第五評:法輪功への迫害における江沢民と中国共産党の相互利用
第六評:中国共産党による民族文化の破壊
第七評:中国共産党による殺人の歴史
第八評:中国共産党の邪教的本質
第九評:中国共産党の無頼の本性

尖閣列島問題で、最近日本と対峙している中国という国を良く知らない日本人も多いです。このブログにもしばしば述べているように、中国は国とも呼べないかもしれません。少なくとも、近代国家とは呼べません。なぜなら、民主化、政治経済の分離、法治国家化がなされていないからです。

建国以来占拠すらない国です。ちなみに、旧ソ連邦では、実質全体主義国家ではありましたが、少なくとも形だけは、選挙はありました。そうなのです、あのとっくに歴史の彼方に消え去ったソビエト連邦ですら、かたちだけでは、現在の中共よりは進んでいたのです。

ここに、アジアの後進性がみられます。面積も、人口も最も大きい国が、この有様です。

さて、ノーベル平和賞を劉暁波氏に関しては、もともとの活動拠点がアメリカであるため、アメリカ人にも良く知られた存在であり、もし、殺害しようものなら、アメリカとの関係はかなり悪化することも懸念するため、長期拘禁で住んでいるのだと思います。しかし、高智晟氏の活動拠点は中国です。アメリカ人でもあまり知っている人いないし、日本人は、ほとんど知らないです。

だからこそ、高智晟氏が拘禁されても、あるいは命を失っていたとしても、ほとんど話題になりません。

しかし、高智晟氏は、まだ運の良いほうかもしれません。こうして、目立たないとはいいながら、メディアでも報道されるし、中国国内でも、有名人になった人ですから、こうして話題となります。中国で、無数の人がこうしたとんでもない目にあって、闇から闇へ葬られているというのが実体です。毎年2万件もの暴動があるということから、このことは容易に類推できます。

日本では、尖閣問題で中国との交渉などにより、多くの国民が中国の異常さに気付きつつあります。今後、日本国内でも、中国の異常ぶりがもっと認識されることを切に願います。そうして、先日このブログにも書いたように、今や中国が世界の中で最も大きな不安定要因であることも認識が深まることを切に願います。

日本は、尖閣問題だけに集中するのではなく、こうした中国の一党独裁制について、認識を深めるとともに、こうした体制が一刻もはやくなくなるように、もっと、非近代国家である中国に対する内政干渉を強化すべきものと思います。日本にも、様々な問題はありますが、それでも、中国などよりは、はるかにましです。日本の政治システムなど陳腐化していますが、中国には政治システムなど存在しません。それに、どうしようもないほどに、腐敗していて、おそろしく、前近代的です。

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