【コピアポ國枝すみれ】「最後の1人が救出されるまで、ここにとどまる」。13日も続いたチリ北部のサンホセ鉱山落盤事故の救出作戦。鉱山のふもとに設営されたキャンプ村「希望」では、相次ぐ無事生還に歓喜の輪が広がる一方、家族・親族らが作業員33人全員の早期救出を願い続けた。現場は砂漠のど真ん中。夜は急激に冷え込んだが、互いに手を握り、心に希望の明かりをともし続けた。
救出現場やキャンプを沸かせたのは、2番目に助け出されたマリオ・セプルベダさん(40)。救出用カプセル「フェニックス(不死鳥)」から飛び出し、待ち構えていた笑顔の妻としっかりと抱き合った後、「おみやげ」と地下から持ち帰った小石をバッグから取り出し大統領に手渡した。「僕たちをスターのように扱わないで」とジョークも連発し、周囲を沸かせた。
妹のマルシアさん(33)は「顔を見た時、ハートが爆発した」と感無量の様子で語り、弟は「兄は家庭でも地下でもリーダーだ」と自慢げに付け加えた。
5番目に救出された最年少で生後4カ月の赤ちゃんの父親でもあるジミー・サンチェスさん(19)は「神は僕の人生にチェンジを与えるため坑内に閉じ込めたんだ」と語り、家族と喜びを分かち合った。8番目のクラウディオ・ヤネスさん(34)は、地下から「生還したら結婚しよう」と求婚していた恋人と固く抱擁。2人の新たな生活を確認し合った。
比較的元気な作業員から始まった救出作戦は、7人目のホセ・オヘダさん(47)から体が衰弱している作業員に移った。
オヘダさんは8月5日にあった落盤事故の17日後、避難場所まで掘削されたドリルの先に「33人は元気」と記した手書きメモを張り付けたといわれる人。救出カプセルで地上に運ばれた後、家族が心配そうに見守る中、すぐに近くの仮設診療所に担架で運ばれていった。
地下約700メートルで作業員たちが約2カ月にわたって励まし助け合ったように、作業員の家族たちもキャンプで暮らした。12日夜に始まった救出作業中も、たき火を囲み、国歌を歌い、互いの結束を確かめ合った。
そして、すでに救出された作業員の家族たちは「(最後に救出される予定の)ルイス・ウルスアさんが無事に生還するまで、みんなで待ち続ける」と口々に語り合った。
一方、サンホセ鉱山から約50キロ離れたコピアポ市では、市民が大型スクリーンに映し出された救出作業を見守った。26歳の男性は「二度と同じ事故が起きないようにする大きな一歩になると思う」と語った。【毎日JP】
統計よりも「一人のストーリー」が有効?
チリ落盤事故については、もう救出のめどがたち、あとは時間の問題のようです。一人づつ救出されていく様はまさに感動的てした。
しかし、このお話別の側面からみると「一人」というキーワードが非常に重要であることが理解できます。
このことに関して、Wired Visionが9月17日に非常に示唆的な記事を掲載しています。
詳細は下のURLをみていただくとして、
http://wiredvision.jp/news/201009/2010091722.html
以下にその要約を掲載します。
[チリの鉱山で起きた事故は、人々の高い関心をひきつけている。一方で、パキスタンの洪水は、大規模な被害であるにもかかわらず十分な関心が喚起されていない。その背景についての考察。]
筆者の著書『How We Decide』[邦訳は一流のプロは「感情脳」で決断する(アスペクト刊)]から、ある研究を引用しよう。(人間の判断や意志決定について研究する非営利機関Decision Researchの創設者であるPaul Slovic氏(心理学博士)による研究を紹介した部分だ。)
Slovic氏は、さまざまな慈善活動について、どのくらいの金額を寄付しようと思うか人々に尋ねた。その結果、たとえばマリ共和国のRokiaという名の1人の飢えた子どもの写真を見せられた人々は、驚くほどの気前の良さを示した。これに対し、アフリカ全土の飢餓に関する統計データのリストを見せられた2つ目のグループは、申し出た寄付金の平均額が50%低かった。
一見して、これは非合理的だ。問題の全体像に関する情報を得られたときこそ、われわれは金額を多く支払うはずだからだ。ロキアの悲劇的な物語は、氷山の一角にすぎない。
しかし、このような違いがなぜ出るのだろうか。それは、慈善行為というものが、つまるところは人間の同情心に根ざしたものであり、論理的かつ実利的な計算に基づくものではないからだ。
ただし、中には、「身元の分かる被害者効果」の影響を受けにくい人もおり、その差は「分析的な(「論理的な」)処理」の違いによるものだという。ウィラメット大学のJames Friedrich氏らは、先ごろ、120人の学生たちの「分析的な処理」に関する研究結果を発表した。驚くことではないが、分析的な傾向を持つ者は、「身元の分かる被害者効果」があまり見られないということがわかった。
フィールドワークの結果、分析的な処理は、感情的な反応を抑制することによって、「特定の個人と分かる被害者」への傾向を妨げる可能性のあることが明らかになった。分析的な(「論理的な」)処理の様式に関して存在する個人差が、さまざまな形式を用いたザンビア救援基金への寄付要請の効果を弱める結果となった。
分析的な処理傾向の低い人では、被害者が特定の個人と分かる場合に寄付した金額が、複数の被害者の統計データ、またはその両方を提示された場合の金額を上回った。これに対し、分析的な処理傾向の高い人では、寄付金の額に差がなかった。
チリの鉱山事故で閉じ込められた労働者たちを、どんな方法を用いても救出しようとするのが間違いだというわけではない。そのような気持ちに駆られることは、人間の最も気高い衝動のあらわれだ。しかし、「身元の分かる被害者効果」が存在することは、同情の気持ちが自然に涌いてこないとき、つまり、1人1人を特定できないほど多くの被害者が出ているときにこそ、われわれは余計に思いやりの心を働かせる必要があることを示している。
一部の人が指摘するところによると、先ごろ起きたパキスタンで発生した洪水に寄せられた注目は、しかるべきレベルには程遠いものだったが、その原因の一端は、報道が、災害の規模の大きさばかりを取り上げ、個人レベルの悲劇を伝えなかったことにあるという。
人間の感情は、そのような規模の苦しみを理解できないかもしれない。それでも、苦しみが続くことに変わりはないのだ。
販売時点情報管理(英語:Point of sale system、略称POS system)は、物品販売の売上実績を単品単位で集計する手法。POSやPOS systemについては、それに関連する装置を指す場合もあります。
POSの導入においての最大の利点は、商品名や価格、数量、日時などの販売実績情報を収集するため、「いつ・どの商品が・どんな価格で・いくつ売れたか」を経営者側が把握しやすく、売れ行き動向を観察できる点です。 収集する項目はシステムを導入している企業により異なり、データや算出方法は企業秘密である場合がほとんどである。また、コンビニエンスストア等において購入者の年齢層、性別、当日の天気もデータとして収集していることはよく知られています。
POSシステムは主に、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、キヨスク、外食産業、ガソリンスタンド、ホテル、ドラッグストア(薬局)などのチェーンストア等で導入され、年々その機能が進化していますが、近年はその簡易版が一般商店などにも普及しています。
これは、流通業の事例ですが、近年こうして、統計資料がかなり集められるようになっています。しかし、皆さんもご存じのように最近では、スーパーやコンビニなどの売上が低迷しています。無論現在はデフレの世の中ですから、それが原因でなかなか売れないということがあるのだと思います。
しかし、私はそれだけではないと思っています。実際、ある大手スーパーでは、POSはあくまでも、仮説検証の道具とて使っています。要するに、普段からお客をみていて、そこからいろいろな仮説を立案し、実施してみてうまくいったかどうかを検証するのです。
しかし、ときに、スーパーで働いている人が、勘違いして、あまりにもPOSの過去のデーターに頼りすぎて失敗するということがあります。お客様の変化をみずに、過去のPOSデーターのみを参考にして、仕入れなどして、結局は大失敗などということがあります。
これなど、一人ひとりのお客様をみないで不特定多数の人々に関する統計にもとづいた事業を行った結果の失敗です。
さて、上の記事では、"「身元の分かる被害者効果」が存在することは、同情の気持ちが自然に涌いてこないとき、つまり、1人1人を特定できないほど多くの被害者が出ているときにこそ、われわれは余計に思いやりの心を働かせる必要があることを示している"としています。
流通業においても、「身元の分かる消費者効果」が存在しているのだと思います。そうして、このような消費者に対しては、店の従業員もお客さまとして共感できることが多々あるのだと思います。そうして、身元のわかる顧客に対して何を欲しがっているのか、どうしてほしいのかを良く考える事ができるのだと思います。しかし、1人1人を特定できなほど多くの消費者に関しては、なかなか共感することができず、数値のみによって判断してしまうのだと思います。
被災者の対応については、改善が行わているのかどうかはわかりません。しかし、流通業など事業では改善がなされつつあります。
その改善には主に二つの方向があります。
その一つは、いわゆるOne to Oneマーケティングというものです。
個々の消費者や顧客の嗜好やニーズ、購買履歴などに合わせて、一人一人個別に展開されるマーケティング活動です。提供する情報や応対内容を一人一人変化させることにより、消費者や顧客は、あたかも企業と自分が一対一の関係を築いているように感じます。
新しい顧客の開拓よりも、既にいる顧客の忠誠心を高めるのに威力を発揮するマーケティング手法と言える。伝統的な企業活動のうち、店頭での対話や電話による苦情対応なども、One to Oneマーケティングの一つの形と言うことができます。
コンピュータシステムやインターネットなどを使うと、顧客データベースや情報の自動生成などの技術を駆使して、人手を煩わすことなく容易に個別対応を行なうことができるため、電子商取引に欠かせない要素として注目を集めています。
One to Oneマーケティングをネット上で行なう場合、一人一人の嗜好や興味分野を分析したり登録させたりした上で、必要としていると推測される情報をデータベースから引き出してきて提示するという手法が一般的です。これをCRM(顧客関係管理)システムと呼びます。
具体的には、個々にカスタマイズされたWebページの表示や、ユーザの登録内容に応じたメールでの情報配信などがあります。不必要な情報を配信しないため、低いコストで高いレスポンス率が期待できます。Amazon.comなどかこの手法を様々に駆使しています。amazon.comのシステムに関しては、実際に買い物をされてご存じの方も多いと思いますので、ここではあまり説明しません。買い物をされたことのない方は、何回か買い物をされると、私の言っていることの意味が良くわかると思います。
もう一つは、ペルソナという手法があります。
ペルソナとは、事実(データ)の積み重ねによってつくられる、消費者の典型的な特徴を併せ持つユーザーモデルです。つまり架空の消費者です。しかし、この架空の消費者が驚くほど成果を生み出していて、いろいろな業界に定着しています。
ではなぜ、ペルソナがマーケティングに有効なのか?それには「3つの理由」があると思います。
まず「消費心理」を把握できることが挙げられます。消費者が何を、いつ、どこで購入したのか、を把握することはさほど難しいことではありません。しかし、そうした「消費行動(結果)」ではなく、ユーザーがなぜその商品を購入したのか、という「消費心理(原因)」を把握することは容易ではありません。
そこでペルソナです。ペルソナはターゲット消費者の詳細なライフスタイルや価値感、生活意識などのデータを持っています。したがって「消費心理」をかなり正確に把握できるようになります。
つまり、ペルソナをつくることで「消費者が何を買ったのか」だけでなく「消費者がその商品を選んだ理由」を知ることができるのです。このことが、販促・商品開発などのマーケティングに大いに貢献することは容易に想像できますよね。
最後がメンバーの「ベクトルが一致」するということです。「わたしがお客ならこう思う…」「ボクはこれがいいと思う」こうしたメンバーの思い込みでプロジェクトが混乱に陥ったことはありませんか?結局それは、「お客さまを知らない」ことが原因のトラブルです。こんな不毛なトラブルもペルソナによって解消されます。
ペルソナを導入することで、ボクは、わたしは、といった属人的な意見ではなく、「ペルソナ=顧客」はどう考えているのか、何を感じているのか、というように思考や議論のベクトルを一致させることが可能になるからです。焦点が定まった議論ができるようになれば、必然的に、結論も質の高いものになります。
先に述べた、CRMシステムに関しては、Amazon.comなどIT業界の一部の企業ではうまく機能しているようですが、一時喧伝されたようには、華々しい成果につながってはいないようです。
ベルソナについては、IT業界は無論のこと、流通業などでもとりいれられ、成果をあげつつあります。アメリカでは、あのウォルマートの新しい業態である「マーケット・サイド」のペルソナは、60歳の白人男性のGene Kelley氏です。
スーパーといえば、日本だと40歳台前後の家庭の主婦などをペルソナとしそうですが、マーケットサイドは60歳のジーン・ケリー氏です。しかし、良く考えてみると、アメリカも60歳はベビーブーマーといって、人口構成比率では最も高い層です。そうして、普通のスーパーは、主婦層など女性層にターゲットを絞っています。しかし、世の中の半分は男性です。元気な男性の60歳の顧客はアメリカでもかなり大きな層を占めているにもかかわらず、既存のスーバーではこの層に対応している流通業はあまり存在していません。
その意味では、なかなか良いところに、目をつけたと思います。そうして、このジーン・ケリー氏という人物、あまり詳しくは情報は開示されていませんが、おそらく、具体的に、収入、家族構成、趣味、嗜好など、いろいろと設定してあるのだと思います。それをジーン・ケリー氏とい一人の架空の人に投影しているのです。
こうすることにより、あまり顧みられることのなかった、この層に対する商品など、企画・開発などかなりやりやすくなったのだと思います。
災害に対する認識や、流通業における商品開発など、やはり、「一人」が重要なキーワードだと思います。災害でもこれから、マスコミなどで報道する場合などでも、パキスタンの洪水のような場合でも、統計を発表するだけではなく、一人もしくは、数人の人の個別具体的な状況を報道するなどのことが必要だと思います。
一方、流通業などの事業に関しては、上では、CRMシステムや、POS、ベルソナなどの事例をあげましたが、こんな大掛かりなことなどすることも大事ですが、その前に、店なら、実際に店頭にたってもみて、一人ひとりのお客様様子を観察するとか、あるいは、場合によって、お客様のご自宅に訪問させていただきお話を伺うなどすることも実践していくべきと思います。
特に関係当事者が、被災者の顔が見えないとか、顧客の顔が見えないなどということでは、おそらく、有効な手立てなど出来ないと思います。それから、商売などやっている人で一番悪いパターンは、商売を売上や利益だけでみて、お客一人ひとりに関心がないとか、関心がまわらないという事だと思います。そんなことであれば、売上は落ちます。こういう人は、売上が落ちると、利益が出ないため、経費を節減します。そうすると、さらに売上がおちます。これを何回か繰り返せば、売上はなくなり、商売は継続できなくなります。
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