2011年9月9日金曜日

なぜ今、円高なの?―【私の論評】もっとまともな報道をしなければ、いずれ新聞・テレビから購読者・視聴者は離れる?

なぜ今、円高なの?

■アメリカのデフォルト回避と円高の関係性

本稿の執筆時点では、アメリカのデフォルト危機がひとまず回避されて、安堵(あんど)感が漂っているところだ。同時に、円高が大きく進行して日本の輸出産業にとって大問題となりつつある。

さて、この問題については、ついにドル崩壊だとか、これだから財政規律は重要だとか、きいたふうな口をきく人がたくさん出た。でも、経済だろうとなんだろうと、絶対に当てはまる法則がある。

「Action speaks louder than words」。

あれこれ口先だけの評論家よりも、実際にそれに直接の利害を持っている人の行動を見よう。米国債の返済が滞って一番困るのは、米国債を持っている人々だ。デフォルトの危機があると思ったら、みんな売り逃げようとするから安値になる、つまり利回りがリスク分上がるはずだ。

そして今回、アメリカ国債利回りがどうなったかというと、ほとんど変わらなかった。だれも本当にデフォルトするとは思っていなかったわけだ。

なぜかといえば話は簡単。今回の危機は単に、アメリカが財政規律のためと称して借り入れの上限なんていう変なものを作り、そして共和党がオバマ政権への嫌がらせとして、この上限の引き上げに対して散々ごねただけの、極めて人工的なものだったからだ。

これが問題になりはじめた7月初頭時点で、イギリスの『エコノミスト』誌はこの件について共和党を批判する記事を載せていた。国の信用を掛け金にしてくだらないチキンゲームをするなといって。

そして共和党だって、本当にアメリカが債務不履行を起こしたら財政規律どころでないことは知っている。本当に突っ張って、本当にアメリカ国債がデフォルトしたら、そんな事態を引き起こした共和党が大バッシングにあうから、どっかで手打ちせざるを得ないのはみんな知っている。

ただ正直、ここまでごねまくるとは思わなかった。それが結果的に、国そのものに対する通俗的な信頼を揺るがせたことで、共和党はかえって株を下げた。

と書いているうちに、アメリカ国債が格下げになって、またもやニュースや通俗評論家は大騒ぎ。でもこれまた国債の利回りは全然上がっていない(債券は、ヤバイと思われたら利回りが上がる)。市場で実際に投資をしている人々はアメリカ国債がやばくなったとは、まったく思っていないわけだ。

でも、それをどう評価するにしても、実際の利害を持つ人々がまったく動じていない、という点は留意していいんじゃないだろうか。

さてそれについて日本で大騒ぎしてみせる人々は、単に無知なのか、あるいは魂胆を持っている。日本の場合、それは日本の財政赤字がヤバイと言って、話を増税に持って行きたいという魂胆であることが多い。

さて円高のほうも、ドルの動きやユーロ圏の状況など、いろいろ要因はある。でも為替は基本的には、それぞれの通貨の相対的な量で決まってくる。円高を阻止したければ、日銀がもっとお金を刷ると明言し、国内の通貨量を増やせばすむ。ちなみにそうすれば、震災復興にも役立つ。

円と同じく通貨が高くなってしまったスイスは、ちゃんと金融緩和を発表して、きちんと通貨を引き下げた。が、日銀は輸出業界が悲鳴を上げてもひたすら「注視する」というだけで何もしない。デフレで景気が低迷しても何もだ。

いまの日銀はいったい何のために存在しているのか、というのは多くの人が抱いている疑問だ。そうすると、なぜ自分たちが何もしないか、というのだけはえらく雄弁に弁解する。そしてそのお先棒をかつぐ学者も多い。しかし、日銀の中には、「金融を緩和したら負けで、金融を引き締めると勝ち」、という価値観がある、という話も。

インフレが問題だった時代には、それは適切な態度だっただろう。でも状況が変わった今もそうした昔のやり方を変えられずにいるとすれば、本当に日銀が何を目的として政策運営をすべきかについては、きちんと見直して外から枠をはめたほうがいいのかもしれない。そうでないと、デフレも円高も絶対なくなりそうにない。

山形 浩生(やまがた・ひろお)

1964年、東京生まれ。東京大学卒業後、マサチューセッツ工科大学修士課程修了。某大手シンクタンクに勤めるかたわら共著、『暴走する「地球温暖化」論ー洗脳・煽動・歪曲の数々』(文藝春秋)、『要するに』(河出文庫)など著作訳書多数。
【ネタりかより】

【私の論評】もっとまともな報道をしなければ、いずれ新聞・テレビから購読者・視聴者は離れる?
上の、山形氏の行っていることは、ほぼ妥当だと思います。残念ながら、私自身は、この方のことは、本日上の記事を読むまでは、存じ上げませんでした。ネットで少し調べたので、顔写真と略歴だけ下に掲載しておきます。

山形 浩生氏
略歴
小学校1年生の秋から約1年半、父親の海外勤務でアメリカに居住。麻布中学校・高等学校卒業後、東京大学理科Ⅰ類入学。東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻を経て、野村総合研究所研究員となる。1993年からマサチューセッツ工科大学に留学し、マサチューセッツ工科大学不動産センター修士課程を修了。1998年、プロジェクト杉田玄白を創設。

野村総合研究所で開発コンサルタントとして勤務する傍ら評論活動を行っている。また先鋭的なSFや、前衛文学、経済書や環境問題に関する本の翻訳を多数手がけている。

上の山形氏の次の文章のうち、以下のものは、

『日本で大騒ぎしてみせる人々は、単に無知なのか、あるいは魂胆を持っている。日本の場合、それは日本の財政赤字がヤバイと言って、話を増税に持って行きたいという魂胆であることが多い』に関しては、まさにその通りで、このブログではも何回となく掲載してきたことです。


「米国債はデフォルト危機」と大騒ぎする日本の新聞は「財政破綻」「増税」は好きだが、自分たちだけ「軽減税率」求める浅ましさ ―【私の論評】消費税率アップが、新聞業界と財務省の共通の利益だが、アメリカの利益にはならない!!


この記事では、まずは、以下のようなことを掲載しました。
しばしば日本国政府の債務残高がGDPの2倍あるとかいうが、日本国政府のバランスシートの資産もGDPの1.3倍もある。債務も世界一なら資産も世界一なのだ。何よりソブリンCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は1%にも満たずギリシャの20%に比べると雲泥の差だ。だから日本国政府が財政破綻という話は国際金融市場では出ていない。
実際、国際金融市場で日本国政府が財政破綻という話は、でていません。いっとき、ゴールドマン・サックスなどは、日本のソブリンリスクの喧伝を行っていましたが、それによって、 それこそ、上の記事で、山本氏が語っているように「あれこれ口先だけの評論家よりも、実際にそれに直接の利害を持っている人の行動」は全く変化することもなく、さすがに、今では影を潜めました。彼らにとっては、日本のソブリンリスクを演出してみたところで、誰も、のってこなかったので、金儲けにもつながることもなく、やめたというところだと思います。全く、金融馬鹿や、賭博師は、困ったものです。

そうして、新聞と、消費税の関係に関しては、以下のようなことを掲載しました。財務省は、増税をすることは、省益に利することであり、新聞が、日本の財政破綻をゆえなく、報道をすることは都合が良く、両者の利益は、合致しているという内容です。
新聞は消費税アップによっても新聞代の引き上げを避けられる。一方財務省にも利権が発生する。というのは、消費税率がアップすると、必ず軽減税率やゼロ税率の話が出てくる。新聞業界もそのひとつだ。社会的使命を主張しながら、消費税の軽減税率を財務省に働きかけている。これはもちろん新聞では報道されないが事実だ。どの業界に軽減税率を適用するかどうかは財務省の胸先三寸である。 
財務省の事務次官であった丹呉泰健氏が読売新聞に天下りしたことは昨年11月22日の本コラムで述べている。消費税率引き上 げと新聞業界の軽減税率・ゼロ税率の願望とは無縁とはいえない。  
新聞業界と財務省は既に蜜月関係にあると見ていいだろう。だから、新聞が行う世論調査で、増税が必要かというものはあてにならないことを留意する必要がある。そんなものは質問の仕方によってかなり変わるからだ。

昨日も、ある経済学者のコメンテーターがWBSに出演していて、日本の財政破綻に関して、Facebookによる視聴者からの質問されてて、非常に歯切れの悪い解答をしていました。この人など、経済学者なのですから、上のようなことは、知っているというよ、知っていなかったら、単なる馬鹿です。

しかし、政府におもねっているのか、あるいは、テレビ局におもねっているのか、わかりませんが、財政破綻の危機に関して、はっきりとは否定せず、うやむやな答えに終始していました。

しかし、伊藤元重氏も、はっきり言えない事情があるのかもしれません。あの番組に限らず、日本のテレビは、討論番組のようなものでも、デイレクターの誘導によって、最終結論が出されるようになっているくらいですから、自由な発言ができないのかもしれません。

しかし、そうであれば、出演しなければ、良いと思います。実際、大前研一氏は、こうしたテレビの体質を嫌って、最近では、普通のテレビにはほとんど出演していません。最近では、もっぱら、インターネットを用いた独自の媒体の中で活躍されています。

新聞は、財政破綻危機を煽ることで、財務省による、消費税増税後の軽減などの措置を期待しているようですが、テレビもそのようなことがあるのでしょぅか?いずれにしても、何かメリットがあるからこのようなことをするのだと思います。

いずれにしても、このブログにも、テレビや新聞の劣化については、たびたび指摘してきましたが、先のWBSも相当レベルが落ちてきたように思います。わずか、10年ほどまえまでは、野村総合研究所のリチャード・クー氏や、あの植草さんが出演していて、いまから、比較すると本当にまともでした。

特に、リチャード・クー氏は、この番組でも、早々と、「バランス・シート不況」について、述べていて、なかなか、当時不況の理由が何を見ても、理解できなかったのに、リチャード・クー氏のこの話をきいて、納得がいき、さすが、「日本通」と思わず、唸ってしまったものです。今のWBSにはそのようなことは全くありません。もう、あまり見ることもありません。この番組では、昔、自分の会社が紹介されたこともあり、長い間ファンだったのですが、今では、本当に面白くもなんともない、番組になってしまったと思います。

この番組など、今のままでは、どんどと視聴者が減少していくと思います。そういわれてみれば、大前研一氏も、最近では、ほとんど、出演しませんね。それでも、1年少し前には、確か、「ビジネス・プラットフォーム」に関して話をしたのが最後ではなかったかと思います。

いずれにせよ、テレビでも、新聞でも、上記の山形氏のような人にもっと、もっと、話をさせたり、書かせたりすべきと思います。このままで、今のメディアはユーザーからの信頼を失い、没落してくのみとなると思います。


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2011年9月8日木曜日

【現代ビジネス―経済ニュースの裏側】野田首相はやはり財務省傀儡なのか―【私の論評】野田氏は、財務省の傀儡というより、物事の原理・原則を知らないだけ、だから結果として傀儡のようにみえるだけ?

【現代ビジネス―経済ニュースの裏側】野田首相はやはり財務省傀儡なのか

どじょうすくいをする?野田總理大臣

野田佳彦・新首相は財務省の傀儡だという見方が根強い。何より、民主党への政権交代後、野田氏が副大臣・大臣と、一貫して財務省を担当してきたことが大きいだろう。財務大臣在任中にすっかり増税論者になった菅直人・前首相と二重写しになっていることもある。民主党代表選挙で早い段階から増税を口にしていたことも、国民に「やはり」と思わせた主因だろう。

だが、「もしかしたら違うのではないか」と思わせる動きが組閣で起きた。古川元久・元官房副長官を国家戦略相兼経済財政政策担当相に任命。政官民による「国家戦略会議」の設置を表明したことだ。

組閣2日後の9月4日付けの日本経済新聞は1面トップで、国家戦略会議の新設を「首相方針」と伝えた。また、「予算編成や税制改正、社会保障改革、環太平洋経済連携協定(TPP)など多国間・2国間の経済連携といった重要政策の指針作り」が会議の役割になると報じた。要は、小泉純一郎首相が構造改革時にフル活用した「経済財政諮問会議」の役割を復活させる、ということに他ならない。

(続きはこちらから)

上の記事で、野田氏が財務省の傀儡ではないかもしれないという趣旨のことが述べられています。その論拠として、小泉純一郎首相が、構造改革時にフル活用した「経済財政諮問会議」を復活させる、ことをあけでいます。

しかし、これは、有力な論拠とはなりえません。なぜなら、小泉純一郎氏も、結局は、財務省が推進する、緊縮財政を実施した本人だからです。普通なら、構造改革をするにしても、ある程度経済を良くしてからいろいろなことに取り組むのが当たり前ですが、そんなことは一切せずに、結局は緊縮財政を行いながら、構造改革を推し進めしまた。そのため、経済は、疲弊しました。特に、地方の疲弊は酷かったことは、皆さんご記憶にとどめておられるでしょう。

このブログでも、小泉構造改革は、順番を間違えたことを何回か指摘したことがあります。改革なるものは、経済を良くしてから行うべきものであり、完璧に間違えたと思います。しかし、これも、結局は、財務省の暑い壁を打ち破ることができなかったことの結果でもあると思います。

小泉さんも、結局は、財務官僚の厚い壁に阻まれ、デフレで景気が悪いときには、減税をして、積極財政をやるべきなのに、緊縮財政をやらざるをえず、緊縮財政をしたまま、構造改革をしたため、一気に日本の経済が打撃を受けた、特に地方が疲弊してしまったのです。小泉さんは、結局は、財務省の傀儡ではなかったかもしれませんが、財務省の壁を崩せなかったのです。

これは、何も小泉さんに限ったことではありません。20年前のバブル崩壊以降、歴代の政権は、小渕政権と、麻生政権を例外として、他の国ではあり得ない、デフレの最中に緊縮財政を行うという愚策を実施してきました。これは、鳩山さんも、菅さんも例外ではありません。

野田さんも、結局は、小泉さんの二の舞を舞うことになるだけです。財務省は、省益を最優先させて、国民がどうなろうと、政府がどうなろうと、多額の金融資産を自らの手中におさめておきたいだけです。

野田さんが、結局は、財務省の傀儡めいたことをやっていることは、もう明白です。たとえば、最近の『しんぶん赤旗』には、以下のような記事が掲載されています。
30日に国会で首相指名をうけた野田佳彦新首相が、2007年、08年の2回、国会へ提出された消費税引き上げなど大衆増税に反対する請願の紹介議員になっていたことが30日わかりました。野田氏は財務相として、震災復興増税や消費税率引き上げに積極姿勢を示し、民主党代表選で同様の主張をくり返しました。同氏を紹介者にした請願者3140人と国会への背信行為との批判を浴びるのは必至です。 
野田氏が紹介議員になっている請願は07年9月20日と08年10月2日に、それぞれ国会へ提出された「消費税率の引き上げ・大衆増税反対に関する請願」です。(写真) 

請願書は(1)所得税・地方税の各所得控除・給与所得控除の縮小・廃止などを行わず、応能負担の強化で税負担の公平を図ること(2)消費税率の引き上げを行わないこと(3)零細事業者への経費概算控除制度を導入しないこと―を求めています、 
請願書の07年分には千葉市稲毛区在住の男性ほか1123人、08年分は千葉県銚子市在住の男性ほか2017人の署名がそれぞれ添えられています。 
野田氏は先の民主党代表選の政見で「震災対策における財源措置を含め……歳入面での改革も合わせて実行」「社会保障と税の一体改革を実現」として復興増税、消費税を2010年代半ばまで段階的に10%へ引き上げる方向を明示しています。

ニューディール政策がアメリカで実施されて以来、少なくともまともな近代的な形態を整えた、国家では、いや、そうではない中国などのような国でさえ、デフレのときに増税するようなバカ真似はしません。これは、誰でもすぐに調べれば判ることです。

それから、復興のための財源をかつて、増税でまかったことがあるかといえば、日本国内に限ってみれば、一度もありません。また、海外でも例はありません。これらは、すべて、日本でも、海外でも、長期国債で賄われています。これも、誰でも調べれば、判ることです。

この「誰にも調べればわかること」に関して、私は、過去に、このブログにいくつか、「誰でも調べればわかること」を掲載したことがあります。

一つ目は、「ゆとりの教育大失敗例」です。

二つ目は、「夫婦別姓の大失敗例」です。

以下に、その核心部分をコピペしておきます。

夫婦別姓に関しては、アメリカで法制化ではなく、ライフスタイルとして導入されましたが、離婚率50%以上などというとんでもない結果を招き大失敗したことが明らかになっています。しかし、このようなこと、マスコミも報道せず、政府も公表しません。これには、隠れた意図があると断定せざるをえません。 
すなわち、戦後60年にわたり、アメリカの日本弱体化政策による家の破壊により、日本の家庭はほとんど核家族化されましたが、今度はそれに続き、家族の破壊です。これによって、日本の国民国家を破壊することです。 
「ゆとりの教育」は、日本で導入時には、アメリカでは随分前から導入されていて、大失敗したことが明々白々になっていて、世論は「若いうちに詰め込めるだけ詰め込んでおけ」というように変わっている時でした。無論アメリカでは、ゆとり教育はすぐにやめました。日本は、ご存知のように導入して思ったとおりの大失敗です。夫婦別姓も現在導入すれば、大失敗どころか、大きな災厄をもたらすことははっきりしています。
この中で、「ゆとりの教育」に関しては、前政権の行ったことです。そうして、アメリカで大失敗したことが明らかになっている時期に、導入しました。「夫婦別姓」に関しては、現政府が実現しようとして、いまだ、実現できないでいることです。なかなか、実現できないことは、当然のことだと思います。なぜなら、もう、アメリカで数十年前に法制化ではなく、ライフスタイルとして導入されて、大失敗しているからです。

統計資料や、海外のそれを調べれば、すくに分かりそうな事柄に関しても、良く調べもせずに、ことをおこして、失敗するとか、失敗しそうだというようなことが、日本では、あまりに多すぎです。

少し思いつくものだけあげてみましょう。たとえば、「日本は借金だらけ」というものです。これに関しては、日本は、世界で一番金融資産を貸し付けてい国であり、真実ではありません。だから、ギリシャなどのようにソブリンリスクなどありません。それに、日本が財政破綻したら、確実に世界大恐慌になります。それも、1930年代におこった、恐慌の数倍の規模になります。日本だけが、世界の中からひっそりと消えるように破綻するわけではありません。このへんも、マスコミは、報道せずに、全く無責任なことばかりいいたてています。

役人の数が多いというのも真っ赤な嘘です。先進国と比較すれば、日本は、対人口非出、比較すれば、少ないほうの部類にはいります。一時、ニュージーランドは役人が少ないなどといわれていました。しかし、ニュージーランドは、人口が数百万しかいないわけですから、実数が少ないのは、当たり前のことです。日本と比較すれば、対人口比では、ニュージーランドのほうが、かなり、役人の数は多いです。この事実が広まったせいでしょうか、最近では、役人の数をめぐって、ニュージーランドをひきあいに出すような、政治家や、マスコミも影を潜めました。

最近犯罪そのものや、凶悪犯罪が増えいるというのも、嘘です。これは、警視庁の出している統計資料を見ればすぐにわかります。現実には、2004年を境に、毎年少しづつ犯罪は減っています。凶悪犯罪も同じことです。ただし、外国人犯罪や、コンビニ強盗は以前より増えています。しかし、これは、当たり前といえば、当たり前です。なぜなら、外国人の数、コンビニの数は以前より増えているからです。マスコミは、こうしたことは報道しますが、犯罪が2004年より減り続けていることなど報道しません。

公共工事が多い、道路が多すぎというのも真っ赤な嘘です。公共工事に関しては、今の水準は、20年以上前よりも低い状況にあります。このような国は、特に先進国では、他に類を見ません。道路に関しても、世界の他の国と同じ尺度で比較すれば、決して多いということはないです。少ないくらいです。現状は、公共工事の水準はかなり低い状況にあります。これでは、景気が悪いのも当然といえば、当然です。

日本の食料自給率が極端に低くて、40%を切っているなどというのも嘘です。実は、これは、カロリーベースで比較するから低くなるのであって、海外と同じような指標で計算すれば、もっともっと、自給率が高く、日本は、世界第6位の農業生産国であるという試算もあるくらいです。実際、食卓に登る野菜・果物のことなど考えてみれば判ることです。皆さんは、米、ジャガイモ、サツマイモ、里芋、卵、白菜、玉ねぎ、人参、りんご、なし、ブドウ、桜んぽなど、一体どこの国のものを食べていますか?無論、ほとんど国産でしょう。国産どころか、最近だと、地産地消の影響もあって、自分のすんでいる地域のものもかなり食されているのではありませんか?

日本は、輸出大国であるとか、輸出立国であるかのような考えが流布されていますが、これも真っ赤な嘘です。輸出産業は、日本国内では、少数派です。そんな馬鹿なと思う方がいらっしゃたら、実際に調べてください。輸出が日本のGDPに占める割合は、15~16%内外です。他の先進国では、40%を超えている国は、珍しくありません。中国も、ドイツも当然超えています。このように、低いのは、世界の中では、アメリカくらいなものです。そんな国のどこが、輸出大国だというのでしょうか?

これに関しては、今年の年度の初めのほうで、ある銀行が、円高は、企業運営に影響を及ぼすかというアンケートを中小企業にしてみたところ、「16%」の企業のみが影響があると答えていました。この16%という数字をみると、やはり、先程のGDPに占める輸出の割合と同じである、やはり、符号していると納得しました。要するに、確かに円高になると、中小企業は大変ですが、それは、全体からみれば、少数派だということです。

もう、あげれば、きりがないですから、もうやめますが、これらのこと、日本は、情報は比較的自由に集められるので、「誰でも調べればわかること」です。

このあたりで話を本題に戻します。自然災害の復興に「増税」で賄うことや、デフレの時に「増税」することなど、歴史上どこの国でも行われたことがないことは、「誰にでも調べればわかること」です。それを平気で口にする野田さんは、財務省の傀儡というより、物事の原理原則がわからないだけです。だから、傀儡のようにみえているだけです。

原理原則がわかっていない人は、誰かが何かを熱心に唱えれば、すぐに、動かされるのだと思いす。私は、野田さんなどをはじめ、菅さん、鳩山さんも、原理原則が全くわからない人なのだと思います。前原さんも、原理原則がわからないのだと思います。それこそ、民主党の閣僚の大部分が、それを理解していないと思います。あの経営学の大家ドラッカー氏は、国に限らず、組織のマネジメンドには、時代が変わっても、変らない、原理・原理原則があると語っています。それは、ハト派であろうが、タカ派であろうが、右翼、左翼であろが、全く変りない、そのようなことを超えた原理・原則があります。

新しいことは、目先で新しいだけであって、このような原理・原則を知らなければ、どんな組織でも、混乱するばかりです。このような観点から、野田さんが、傀儡であろうが、なかろうが、何も変わりがないと思います。というより、完璧な傀儡よりも、まだ始末が悪いです。完璧な傀儡であれば、この先何をしようとするのか、大体予測がつきます。だから、野党なども、対処法も自ずから、だいたいあたりをつけることができます。しかし、野田政権には、そのようなことは当てはまりません。
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2011年9月7日水曜日

人間は安定を好む動物!? 人の脳は実はクリエイティブなものが嫌い―【私の論評】ドラッカーは、このことを昔から知っていた?!!

人間は安定を好む動物!? 人の脳は実はクリエイティブなものが嫌い
クリエーティブさは、一般には好ましいものと捉えられているが、そうではないらしい
今までにない新しいものを作り出す力、創造力。世間一般的に、この創造力というものはプラスなものとして捉えられているが、実は人間が深層心理で嫌っているものであることが今回判明した。

これを発表したのはジャック・ゴンカロ氏をはじめとする研究者たちで、彼らはペンシルベニア大学で計200人以上を対象に行われた2つの実験をもとに「人は自分たちの安定・安全を脅かす(おびやかす)クリエイティブ性を嫌う」という結論に至った。

その実験のなかで全体的に被験者たちは、足の温度を下げ、まめを防ぐというナノテクノロジーを使った、従来の靴より明らかに利点のある新しい靴にネガティブな反応を示しており、これが意識レベルで人がクリエイティブ性を嫌っている根拠となった。

そして無意識レベルの調査では、自称クリエイティブなもの好きの人たちが、実はそういった独創的なアイデアを「嘔吐(おうと)」、「苦痛」、「毒」というネガティブな言葉と関連付けていることが分かり、人間の創造性嫌いが意識、無意識レベルの両方で浮き彫りとなった。

研究者によるとこれは、人間が「クリエイティブなことをすることは、安全な領域から出ることだ」と考えていることに起因しているらしく、その自身の創造性を嫌う性質に気付いている人はほとんどいないとのこと。そして研究者たちは、今後私たちが行っていくべきこととして、次のようなことを語っている。

「創造性を嫌う人間の性質を見れば、本人たちがそう望んでいなくとも、なぜ人々がクリエイティブなアイデア、科学的進歩を拒むのか理解できると思います。これから創造性を考えていく上で、私たちはどうしたらもっとクリエイティブなアイデアを生み出せるのかを考えるのではなく、どうしたら革新的な機関に独創性を認識させ、受け入れてもらえるのかを考えていくべきです」

普段「欲しい、欲しい!」と言っておきながら、本当は心の奥底で拒絶していたクリエイティブ性。みなさんにとって創造力とは何なのだろうか? ぜひこの機会に見つめ直してみて、自分が本当に望むものを見つけてほしい。

【私の論評】ドラッカーは、このことを昔から知っていた?!!
私は、良くドラッカーの書籍を読むことは、このブログにもよく書いていますので、ご存知の方も多いと思います。上記の記事の内容、ドラッカーは昔か知っていたように思います。おそらく、様々な企業を指導してきた結果、特に上のような心理学実験などしなくても、そのことを熟知していたのだと思います。

ドラッカーは、そのいろいろな著書で、天才的な「ひらめき」を否定しています。特に、起業家の「ひらめき」を否定しています。一般に、クリエーティヴ性といえば、この「ひらめき」が湯水のように湧きい出てくるようなことを指すのではないかと思います。以下にドラッカーの著書からの引用とそれに関する今回の文脈での解説などを掲載します。
起業家精神というと、巷では、100人に1人が持つという感覚である。100人に1人の気質、100人に1人の才能としかねない。しかし、この考えそのものが、間違いである。それは、気質でも才能でもない。ただし、一つだけ起業家精神に向かない気質がある。それは、何事にも、確実性を旨とする気質である。それはそれで立派な気質であり役に立つものだが、起業家には向かない。 
しかし、ごく普通の気質を持ち、意思決定を行なうことができるならば、学習を通して、起業家的に行動することができるようになる。起業家精神とは、気質ではなく、行動であり、同時に姿勢だからである。
イノベーションは、才能とも関係がない。起業家精神の才能などはなく、方法論が必要なだけなのである。それが今、ようやく各所で認識され実行されるようになりつつある。起業家精神はインスピレーションとも、ほとんどあるいはまったく関係ない。逆にそれは、厳しく、組織的な作業である。
起業家に天才的なひらめきがあるというのは、神話にすぎない。 
多くの人は、勘違いをしている。大企業はイノベーティブではないといいます。中小企業こそ、イノベーティブであり、実際に多くの新技術や、新部品を開発しているといいます。確かにそうです。しかし、現実には、大企業のほうがイノベーティブです。

たとえば、最初はガレージ産業から発祥し、今や世界の大企業であるあのアップルがイノベーティブな企業であることを誰もが否定はしないでしょう。アップルは、今年、他社を追い抜いて、世界一の時価総額を誇るまでに成長しました。あのアップルのiPadや、iPhoneの中には、日本や、韓国の部品メーカーによる、部品が多数使われています、無論、アップルが独自で開発した、部品もありますし、他にもOSなどはその典型です。

しかし、それと他の部品を一つにまとめて、新たなデバイスを作り出し、それだけではなく、というより、それに先立ってアプリの流通の変革、音楽配信の革新、そのたもろもろの革新と、それによる、いわゆるビジネス・プラットフォームを築いたのはアップルです。このビジネスプラットフォームの概念が先にあって、その後に、もろもろを築き、最終的にプラットフォームにまで高めて、いわゆる新たなiPhoneや、iPadを使うことを前提としたものにしたのは、アップルが最初であり、独壇場の様相を呈しています。ガレージ産業のままのアップルであれば先進的なパソコンをつくることはできても、ここまではできなかったでしょう。

実際、最近アップルのCEOを退いたスティーブ・ジョブスも、ひらめきというより、様々な戦略を立案して成功してきました。彼の卓越した、プレゼンテーション能力も、決して天才のひらめきから生まれてものではありません。あのプレゼンテーションも彼にとっては、すべて予定調和であり、自らの戦略の一環です。

あのエジソンは、天才的なひらめきで、次々と発明を行い、発明王といわれましたが、起業家としては失格でした。あの電話を発明した、アレクサンダー・グラハム・ベルも、起業家としての道を歩むことはできずに、その生涯を通じて、科学振興および聾者教育に尽力しました。このような例は、インターネットなどで調べれば、はいて捨てるほどあり、天才的ひらめきのみに頼ったものは、例外なく敗退しています。日本の例としては、たとえば、あのGayoの、宇野さんです。私自身も、自分の会社の会長をはじめとして、様々な起業家を知っています。

実際に、ここ20年で、ベンチャーを立ち上げた人もいれば、社内起業家もいました。有名商社を辞職して独立した人もいました。道庁や、北海道電力を退社して独立した人もいました。自営業をやっていたのですが、中小企業診断士の資格を取得して、コンサルタントの事務所を開設した人もいました。どの人も働き者でした。しかし、天才的なひらめきを当てにするような人は、ひらめきのように消えていきました。
大部分のイノベーションは、変化を利用することによって成功するのであって、変化をもたらそうとすることによって成功するのではない。ということは、変化を当然のこととして受け止めることが起業家にもっとも必要な能力ということです。
これは、日本人にとっては、諸行無常を旨とする、なじんだ考え方です。要するに、起業家精神とは、一般に思われているような、クリエーティブ性、天才的なひらめきなどではなく、「変化を当然とする」態度・行動のことであり、変化を前提として行動する精神のことであるということです。

そうして、起業家として、イノベーティブになるためには、「変化を当然として受け止める」能力が最も重要であり、さらに、原理・原則があるとして、解説しています。しかし、この部分に関しては、本日のブログの趣旨とは外れるので、ここでは詳細を解説しません。興味のある方は、是非ドラッカーの書籍たてば、「イノベーションと起業家精神」などの書籍をご覧になってください。

それに、ドラッカーは、イノベーティブな企業になることの前提として、従業員がクリエーティブになることを推奨したりはしません。その前提として、あげたのは、このブログでも一昨日あげた、「体系的廃棄」を推奨しています。

これに関しては、当該ブログを読んでいただければもっとも理解しやすいと思いますが、以下にその核心部分だけ、コピペしておきます。なお、この記事は、最近のGoogleの10にも及ぶ、製品・サービスの廃止に関するものでした。
「長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる」(『乱気流時代の経営』)  
あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならない。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要である。  
なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからである。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからである。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言う。廃棄せずして、新しいことは始められない。  
ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていない。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていない。  
自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかない。そのためには人材がいる。その人材はどこで手に入れるか。外から探してくるのでは遅い。
ドラッカー自身は、上記のことを他の著書では、「体系的廃棄」として、2~3年一度、定期的に行うべきことを推奨しています。これは、本当に大事なことだと思います。

そうして、上の記事でいう、「創造性を嫌う人間の性質」があるからこそ、体系的に意図して、意識して、原理・原則に従ってイノベーションを実行せずに、個々人のひらめきやクリエーティブ性に任せておけば、イノベーションは実現できないのだと思います。

たとえ、一時、ひらめきやクリエーティブ性で、新たな発見や、新たなものを作っても、「創造性を嫌う人間の性質」が、そこから先に行くことを妨げるのだと思います。だからこそ、体系的に、組織だっておこなわなければ、起業家精神を発揮する事はできないのだと思います。

上の記事では、「創造性を嫌う人間の性質を見れば、本人たちがそう望んでいなくとも、なぜ人々がクリエイティブなアイデア、科学的進歩を拒むのか理解できると思います。これから創造性を考えていく上で、私たちはどうしたらもっとクリエイティブなアイデアを生み出せるのかを考えるのではなく、どうしたら革新的な機関に独創性を認識させ、受け入れてもらえるのかを考えていくべきです」として、結論めいたものにしています。

私は、上記のような革新的機関こそが、たとえば、アッブルのような創造的な企業であり、このような企業は、組織的・体系的に、「体系的廃棄」を行ない、従業員に独創性を認識させ、受け入れてもらえるのかを考えさせるのではなく、従業員に独創的あることを要求し、提供することを義務としているのだと思います。こうして、戦略的に意図して、意識して、イノベーションを実現しているのだと思います。決して、経営者や、従業員のクリエーティブ性や、ひらめきだけに頼っているのではないと思います。そうして、そのような組織をつくることが、起業家の重要な責務だと思います。

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2011年9月6日火曜日

iPadを超えるタブレット旋風の予感...なんとアマゾンが3万円を切るAndroidタブレットを一斉発売か!―【私の論評】アマゾンがキンドルだけで甘んじる必要など全くない?

iPadを超えるタブレット旋風の予感...なんとアマゾンが3万円を切るAndroidタブレットを一斉発売か!
     
この価格破壊は衝撃だ!

iPadは確かにタブレットのあり方を根底から変えた革命的な発表でしたが、その次なる大きな波を起こすのは、もう間もなく正式発売されるとの期待が高まるアマゾンからの新Androidタブレットだとの情報が流れてきましたよ。だって、まだiPadは高いと考える人の常識を覆す販売価格になるんですから...

タブレットは安けりゃいいってものでもなくって、すでに激安の1万円を余裕で切っちゃうモデルなら中国に行けばすぐに手に入ります。でも、そのクオリティーや使用感はiPadには遠く及ばないというのが現実でもあるでしょうかね。では、もしiPadのパフォーマンスと大差ない利用が可能なのに、300ドル前後の日本円にして3万円をドンと切っちゃう価格帯で最新のAndroidタブレットが堂々発売されちゃったら?

これはやっぱり面白いことになってくるかもしれませんよね。これまでノートパソコンの常識的と考えられていた相場がネットブックで破壊されちゃったみたいな現象が、もしや次はタブレット業界で起こる日が迫ってきているのかも~。いずれにせよアマゾンがKindleの次なるサプライズとして投入してくる新製品の発表に大いに期待ですね。

参考記事:http://www.nypost.com/p/news/business/tablets_price_is_right_p9yGIOGH9cl8amKOPBSDII [NYP]

【私の論評】アマゾンがキンドルだけで甘んじる必要など全くない?
アマゾンは、アッブルに先立って、kindleと電子書籍を発売し、市場を形成し、今や、電子書籍のほうが売上が多くなったというぐらいまで発展させてきました。そうして、ソフトウェアのダウンロード販売や、音楽配信も実施しています。それに、随分前から、書籍や、それ以外の物販もかなり以前から行っており、いわゆるビジネス・プラットフォームに関しては、アップルよりはるかに前から構築していました。

大前研一氏は、ブレークスルー大学院のブログの中で、ビジネス・プラットフォームに関して以下のように述べています。
アップルやグーグルの戦略は自社としてはプラットフォームだけを提供し、その上で動作するアプリケーションを開放して、どんどん外部の力を借りて作ってもらう点にある。
私は拙著「新・資本論」の中で「21世紀の富はプラットフォームから生まれる」と述べたことがあるが、アップルが発売した話題のiPadを取り巻くビジネス環境を知る上でも、この考え方は非常に重要だと改めて感じている。 
プラットフォームビジネスにおいては、トラフィック(アクセス数)が最も重要な要素であり、そこに集まる人が増えることで商流や情報流が発生して富が生まれる。
プラットフォームビジネスという概念は今後ますます重要になってくると思う。
 http://blog.goo.ne.jp/ohmaelive/e/c283ad984d4c358bd192f0c485cfa846 
良く考えてみれば、あのkindle、iPadに先駆けて、販売されたものです。最初に発売したのは、2007年11月ですから、昨年発売されたiPadの実に3年近く前から販売されていました。さらに、Amazonは、かなり前から、インターネットで実際に物販などを行ない、それこそ、ずっと以前からビジネス・プラットフォームを形成していたということです。

このこととあわせて、私は、このブログにiPadや、iPhoneなど将来は無料で提供されるかもしれないという予測をしたことがあります。その内容を下にコピペしておきます。
インターネット広告そのものはもう随分普及してしまったので、iPhoneやiPadなどのスマートフォンなどのモバイルによる広告がこれからどんどん伸びて行くことになります。アップルのような潜在能力のあるところが、広告をやりだして巨大な収益をあげはじめたら、とてつもないことになるかもしれません。まず、考えられることは、それこそ、iPhoneや、iPadなどほとんどただに近いような価格で提供しはじめるようになるかもしれません。 
iPodなど、無料で配布するようになるかもしれません。なぜなら、広告というビジネスモデルを打ち立ててしまえば、それだけでビジネスが十分成り立ち、iPhoneを販売するなどということは二義的になるかもしれません。iPohne、iPad、そうしてiPod、でさえも、広告を媒介する手段にすぎなくなり、これはなるべく多くの人が持てば、広告を露出できる機会が増えるからです。これは、あながち全く荒唐無稽ということもないと思います。私たちは、もう、携帯電話でそれに近いことを経験しています。そうです、携帯電話のキャリアが、携帯電話をいっとき、かなり安いか,無料で提供していました。 
そうです、キャリアにとっては、携帯電話のハードそのものよりも、携帯電話の電波を使ったもらうことのほうが、遙かに利益になったからです。100円パソコンも同じ理屈です。それに、Googleはもうすでに、多種多様な機能をユーザーに無料で提供しています。だから、アップルが、ハードを無料で提供したとしても、それほど奇異なことではないと思います。そうすると、いままで、パソコン界のキャデラックとも呼ばれた比較的高価格のハードを提供してきたアップルがなぜiPadのような低価格のハードを提供する背景も理解できます。

このことに、Amazonは、先鞭をつけたということだと思います。Amazonは、今まで、十分プラットフォームを構築してきました。現在広告がでるkindleは、通常のkindleよりもかなり安い価格で販売されています。今までの直販のプラットフォームが存在しますし、これで、広告による新たなプラットフォームができると思います。であれば、Amazonがkindleという電子書籍リーダーだけに甘んじていることはないわけです。

とはいっても、iPadと同じような価格で、販売していては、差別化はできないわけです。だからこそ、このような試みを始めたのだと思います。これから、ハードだけ販売している企業には、全く旨みがなくなっていくと思います。

Apple、Amazon、Googleのようにビジネスプラットフォームを築き、広告でも収益をあげられるところが、タブレットをかなり廉価で販売するか、それこそ、将来は無料で配布するようになるかもしれません。そうなれば、ハードだけ販売しているような、ところは、太刀打ちできなくなります。

こういった、背景から、あと1~2年もすれば、かなり廉価なハードが出まわると思います。そうして、既存のパソコンなど駆逐してしまうと思います。そうして、このブログにも掲載したように、人々の間で新たなライフスタイルが確立されると思います。

Amazonなどのプラットフォームを形成した企業が、この市場にたくさん入ってくれば、今年、時価総額で、世界一となったAppleの一人勝ちも終わってしまうかもしれません。しかし、そうなれば、ハードの無料化は多いにありそうです。いずれにしても、そうなれば、タブレットは、ありふれたものになり、携帯電話のように、当たり前の存在になってしまうことでしょう。持ち歩くかどうかは、別にして、大抵の人が、タブレットを持っている時代は多いにありそうです。

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2011年9月5日月曜日

Google、デスクトップやパックなど10の製品・サービスを整理・終了へ―【私の論票】Googleのような体系的廃棄は、すべての企業で必須だ!!

Google、デスクトップやパックなど10の製品・サービスを整理・終了へ

http://journal.mycom.co.jp/news/2011/09/05/010/index.html

【私の論評】Googleのような体系的廃棄は、すべての企業で必須だ!!
上の今後廃止されるサービスのほとんどは使っていないので、ほとんど使っていなかったものなので、私自身には、あまり影響はないです。

上記で一つだけ、使っていたものがあります。それが、「Google Notebook」です。これは、今は、普通になっている"Google Document"に先行するサービスでした。これに関しては、GoogleChromeのエクステンションもあり、これを使うと、見ているwebページのURLをワンクリックですぐに保存できるので非常に便利でした。

また、みているwebページの、テキスト部分をポインタでなぞり、反転されておけば、その反転された部分を自動的にコピーしてくれました。これも、便利な機能でした。日経新聞電子版など、通常は、コピーできないのですが、これだと、反転された部分が、自動的にコピーできました。

そのため、私は、Google Documentfは、文字通り、ドキュメントを作成するのに用い、Google Notebookに関しては、みているページのURLや、内容の文書のコピーに使っていました。

しかし、このサービスがなくなったとしても、確かに少し面倒になるだけで、なけば、ないで何とかなると思いす。

それか、sidewikiに関しては、提供された直後には、使っていました。しかし、現在のように、SNSなどで、共有機能が一般化した現在では、その価値はほとんどなく、なくしたほうが良いと思います。

Google、今回は結構まとめて、廃止したり統合したりするサービスが多いですが、これは、Googleでは珍しいことではないです。昔から、ほとんど使われなくなったサービスなど良く、他に統合したり、廃止ということはありました。

ドラッカーは、今回実施した、Googleによる廃棄に関連することで、興味深いことを『乱気流時代の経営』という書籍の中に書いていました。その内容を以下にコピペします。
「長い航海を続けてきた船は、船底に付着した貝を洗い落とす。さもなければ、スピードは落ち、機動力は失われる」(『乱気流時代の経営』) 
あらゆる製品、あらゆるサービス、あらゆるプロセスが、常時、見直されなければならない。多少の改善ではなく、根本からの見直しが必要である。 
なぜなら、あらゆるものが、出来上がった途端に陳腐化を始めているからである。そして、明日を切り開くべき有能な人材がそこに縛り付けられるからである。ドラッカーは、こうした陳腐化を防ぐためには、まず廃棄せよと言う。廃棄せずして、新しいことは始められない。 
ところが、あまりにわずかの企業しか、昨日を切り捨てていない。そのため、あまりにわずかの企業しか、明日のために必要な人材を手にしていない。 
自らが陳腐化させられることを防ぐには、自らのものはすべて自らが陳腐化するしかない。そのためには人材がいる。その人材はどこで手に入れるか。外から探してくるのでは遅い。
ドラッカー自身は、上記のことを他の著書では、「体系的廃棄」として、2~3年一度、定期的に行うべきことを推奨しています。これは、本当に大事なことだと思います。Googleが現在提供している、サービスのほんどは、つい最近提供された、Google*という全く非なたSNSを提供する前につくられたものです。Googleは、Google+にこれからかなり力を入れるようですから、様々なサービスを従来どおり残したままでは、Google+への注力が削がれるということもあるのだと思います。

いずれにせよ、この「体系的廃棄」は、どこの組織にでも必要です。民間企業なら、意図して、意識して、これを行わなければ、企業や、企業で働く人々そのものが、陳腐化して、いずれ市場から敗退せざるをえなくなります。

このことの弊害が最も大きいのは、日本では、官僚組織や政治組織かもしれません。大方の役所では、体型機な廃棄の仕組みなど組み込まれてないため、おそろしく、古い、制度や、もうほとんど役に立たない人が、クビになるどころか、関係先に天下りしたりしています。政治組織も同じことです。

そうして、現在の役所や、政治なども機能しないのは、この「体系的廃棄」が、システムとして組み込まれていないからです。これは、早急に組み込む必要があります。黙って、放置しておけば、いずれ、役所や国だって、完璧な機能不全にいたり、身動きがとれなくなります。そうして、もう、そうなりかけています。困ったものです。
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2011年9月4日日曜日

「ゲーセン」いまや常連はお年寄り シニアサービス充実―【私の論評】少し見方を変えれば、高齢者にとって良いサービスはいくらでも提供できるし、それが、次世代産業の切り札にもなり得る?!!

「ゲーセン」いまや常連はお年寄り シニアサービス充実

メダルゲームに興じる高齢者

かつて子どもの遊び場だったゲームセンターがいま、お年寄りも楽しめる「憩いの場」になりつつある。ほかの娯楽施設より安く長く遊べる点が人気のようだ。少子化と若者の「ゲーセン離れ」に悩む業界各社も、シニア向けサービスに本腰を入れ始めた。

8月中旬の平日昼下がり。東京都葛飾区のゲームセンター「ハロータイトー亀有」では、十数人のお年寄りが遊んでいた。

「今日の調子はどうかい」。畳敷きベンチに座って小藤チエ子さん(76)が野田マツさん(86)に話しかけた。2人ともここの常連客で、通っているうちに友達になった。10年ほど前に夫を亡くした小藤さんは「1人で家にいるとぼけてしまうけど、ここでゲームをしていれば時間を忘れられる」と語った。

店は2年ほど前から高齢者が増え始め、今は平日昼間の利用者の8~9割を占める。人気は「メダル落としゲーム」。手持ちのメダルを投入して装置内のメダルの山を崩して遊ぶ。上達すると、千円あれば長時間楽しめる。

大半のお年寄りは数時間は滞在し、ゲームの途中でお茶を飲んだり、弁当を食べたりして仲間と雑談して過ごす。「ゲームセンターが交流の場になっているようですね」と酒井康彰店長は言う。タイトーは高齢者向けに、全国約20店舗で今年1月から店内のベンチを畳敷きに変えた。

【私の論評】少し見方を変えれば、高齢者にとって良いサービスはいくらでも提供できるし、それが、次世代産業の切り札にもなり得る?!!
今や、若者はほとんど行かず、子供もあまり行かなくなったゲーセンに、高齢者が増えつつあるということは、数年前からニュースになっていました。これは、新たな社会現象として報じられていたものですが、上のニュースでは、すでに、ゲーセン側も、高齢者を顧客として期待し、それに応えようとしているように変化し、すでに社会現象ではなく、高齢者ライフスタイルの一つとして定着したことを示すものではないかと思います。

さて、このようなこと、以前にもありました。まさに、歴史は繰り返されるということです。10年くらい前には、いわゆる、昔は、若者や、仕事帰りの若手サラリーマンが通うものとみなされていた、「フィットネス・クラブ」に高齢者が増えつつあることが新たな社会現象として、新聞・テレビなどで放映されていました。そうして、今は、これは、全国的に当たり前の風景になってしまいました。

そうして、2005年あたりには、高齢者のライフスタイルの一つとして定着していました。その状況がよくわかる、2005年12月に掲載されたあるブログ記事を以下にコピペします。
■高齢者が増える「フィットネスクラブ事情」
僕の通っているジムは、とにかく高齢者が多い。筋トレバリバリの爽やかマッチョにーさん、なんていうのは見たことがない。プールでも、水中ウォーキングをしている人が半分ぐらいいる。その他のレーンでも、フジツボ状態で張り付いている人が多い。泳いでいるのか、ただ浮いているのか分からない人も、たまに見かける。 
元々地元には二カ所エグザスがあったのだけど、統廃合が進み、今は僕の通っているエグザス一カ所になった。駅の下にあるという利便性から、エグザスの中でも会費が高い部類になる。値段が高いだけでなく、ナイト会員制度など、夜間限定の会員制度もない。あるのは、「平日昼間限定の少し安いプラン」だけだ。 
今通っているエグザスは、何年か前までは阪急グループが経営していたスポーツジムで、阪急撤退とともに、コナミスポーツクラブが買収してエグザスになった。 
その時に会費制度をそのままスライドさせた形で運営されていたのだけど、元々別の場所にあった会費の会費の安いエグザスが無くなっても、あまり会員の顔ぶれに変化は無かった。 
そりゃそうだろう、高い会費のところから安い会費のところに移動するなら分かるけれども、駅下にあるということから駐車場もなければ、会費も高い。無くなった方のエグザスは、駐車場は豊富にあったし、ナイト会員制度もあった。今の会費の半額ぐらいの値段で通えたのだ。 
こういったジムに通うためには、資金に余裕があるか、時間に余裕があるか、どちらかがないと継続して通うのは難しい。単純に計算しても、僕の通っているジムに一年通うだけで15万かかるのだ。これは結構辛い( ̄▽ ̄;) 
そういったわけで、高齢者が多いのはそんな金銭的な理由なんだろうと思っていた。ところが、「フィットネスクラブ」に高齢者が多くなっているのは、僕の通っているエグザスだけの問題でもないらしい。 
スポーツクラブルネサンスが発表している、「年代別フィットネスクラブ会員構成比の変化」を見てみると、1998年のくらべて、2005年になると20代が半分にまで減っているのだ。それに対して、40代・50代・60代が増えている。 
少子高齢化と良く耳にするけれども、日頃通っているスポーツジムにも、その影響は確実に出てきているようだ。
このブログでは、少子高齢化の影響ということで掲載していますが、無論根本的な背景としては、そういうことがありますが、上記のゲーセンのニュースとも考え合わせると、こうしたライフスタイルの変化の背景にある共通の高齢者のニーズが浮かびあがってきます。

それは、何かといえば、やはり、社会とのつながりを絶ちたくないという高齢者の切実なニーズです。現在平均寿命は伸びましたが、その結果に対する高齢化に対して未だ社会が対応していません。だからこそ、そのニーズを満たすために、フイットネスクラブや、ゲーセンが高齢者に活用されているのだと思います。また、これらの層は、比較的コミュニケーション能力があり、さらには、若い時代には、学校や会社だけではなく、地域コミュニティーが存在しており、これらの人々は、人は、社会とのつながりがなければ、楽しくはないどころか、寂しいとさえ思っています。

逆に、フイットネスクラブや、ゲーセンの若者離れが顕著となったのは、これらの層では、根本的には、学校だとか、会社など、いやおうなく、社会との接点があるということです。これらの層では、どちらかといえば、最近は、コミュニケーション不足で、できれば、私生活においては、社会とのつながりを持ちたくないとさえ思っている人も、少なくありません。

フィットネスクラブに行かなくても、自転車に乘るとか、徒歩をするとか、家では、ストレッチをするなど、わざわざ、でかけなくても、自宅でできることはいくらでもあります。また、ゲーセンなども、最近では、通信が発達しており、たとえば、パソコンや、最近はやりのiPadなどでも十分楽しむことができます。それに、ゲーム機があれば、自宅のテレビで十分楽しむことができます。いまや、インターネットに接続すれば、世界中の人々と、対戦ゲームなどが楽しめます。それも、非常に低価格でできます。それであれば、わざわざ、ゲーセンに足を運ぶ意味がありません。

しかし、高齢者にとっては、フィットネスクラブや、ゲーセンなどに行って、人に会うこと自体が大きな価値なのです。そうして、このようなことをしていれば、確かに、健康や、ボケ防止になります。

ところで、このようなことは、欧米ではどうなのかといえば、既存のフイットネスクラブや、ゲーセンでは、見られない現象のようです。なぜなら、欧米では、NPOが発達しているからです。特に、地域に密着した日本よりも、大規模なNPOが、高齢者に対する充実したサービスを提供しているからです。アメリカでは、日本では、国が実施している年金が、年金基金というNPOが実施しており、この年金基金が、かなり充実した、高齢者向けサービスを提供しています。

これに関しても、アメリカの日系米人や在留邦人向けのブログにこのあたりの事情がわかりやすく解説されているので、それを以下にコピペしておきます。少し長いので、必要なところだけ、拾い読みしてください。本来だったら、編集してコピペすべきなでしょうが、時間に制約があるのでご容赦ください。
生き生きシニアライフ
リタイア後を豊かに生きる(2)
ダウンサイズで生活をシンプル化
色んなことにチャレンジする 

村井芳郎さん(60歳)夫妻
啓子さん(60歳)
「70歳まで働き続けたい」と話す村井夫妻。子供の独立を機に5ベッドルームの一軒家を売却、引退に先駆け2ベッドルームのシニア向けコンドミニアムへの「ダウンサイジング」を敢行した。「アクティブな老後のために、生活をシンプルにする」ことを決めた。 
引っ越しで気持ちを整理 
村井さん夫妻は昨年6月、3人の子供全員が独立したのを機に、長年暮らしたロミータ市の5ベッドルームの一軒家を売却、トーランス市内にある55歳以上を対象にしたシニア向けコンドミニアムを購入して転居した。「2ベッドルームなので最初は圧迫感がありましたが、慣れたらこちらの方が快適です。光熱費や水道代も以前の3分の1程度ですよ」と芳郎さん。 
引っ越しを機に、荷物も大幅に整理した。「たくさん捨てましたね。捨てるかどうかの判断基準は、今後20年間で使うかどうか。使わないと思うものは、思い入れのある品でも思い切って捨てました」(芳郎さん)。荷物を整理して引っ越すことで、第2の人生に向けた気持ちの整理もつけた。生まれ育った家がなくなると知り、子供たちの心境は複雑だったが、「これはパパとママの子育ての卒業式」と、最終的には夫妻の決断に賛成した。  
4階建てのコンドミニアムには、100を超えるシニア世帯が暮らしている。プール、ジャグジー、フィットネススタジオに加え、住人たちが集うコミュニティールームも完備されている。また、スーパーやレストラン、病院までが徒歩圏内という利便性も魅力だ。「ここなら、年をとって車が運転できなくなっても安心ですから」と啓子さん。「治安もいいし、とっても静かです。皆さんフレンドリーで、ご近所付き合いも活発。お友達もたくさんできました」。  
広い家からコンパクトなコンドミニアムへの住み替えを断行した最大の理由は、掃除や庭の手入れ、修繕など、家のメンテナンスにかかるエネルギーとコストを削減し、生活を簡素化すること。「大きな家に住んでいると、それだけでエネルギーが必要です。5つもベッドルームがあれば、掃除だって大変ですし、庭の水撒きだってひと仕事。その点、集合住宅は楽。これまで家事にかけていたエネルギーや時間を、趣味や遊び、ボランティアに使えるようになりました」と、啓子さん。

海外移住も視野に
「70歳までは仕事を続ける」という芳郎さんは、10年後に引退したら夫婦で世界中を旅して回りたいと夢を語る。「クルーズ船に何度か乗って楽しかったので、また夫婦でクルーズ旅行に出かけたいですね」。また、この新たな住まいを拠点に、スペインやニューヨークなど、世界各地に長期滞在することも考えている。「住んでみたいのはスペイン。気候もいいし、暮らしやすそうでしょう。違う文化の中で暮らすのは、刺激的で楽しそう」。一方、啓子さんはニューヨークで暮らしてみたいと話す。「演劇にコンサートにお買い物と、楽しい毎日が過ごせそう。ニューヨークならヨーロッパ旅行も手軽ですし。娘と息子が住んでいる沖縄にも長期滞在したいですね。このコンドミニアムなら、鍵を1つかけるだけで出かけられる。そんな手軽さが、海外移住さえ可能にしてくれるのです」。  
「アメリカでは、シニアライフを充実させるため、自分自身を『Reinvent』、つまり再構築するという考え方があります。引退後に俳優になる人もいるし、シェフの勉強を始める人もいる。そういう人たちのために、教育機会もたくさんあります。私たちも『Reinvent』して、第2の人生の先にある第3の人生を構築し、存分に楽しもうと考えています」と芳郎さん。  
引退後にビジネスを立ち上げることも視野にあれば、健康のために太極拳を始めることも考えているという。ボランティア活動にも今まで以上に積極的に取り組みたいと話す。長年やりたいと考えていたことに、引退後なら気軽にチャレンジできる。ダウンサイズで生活がシンプルになったからこそ、身軽にさまざまなことにチャレンジできる、というわけだ。

シニア向けハウジング
55歳以上が対象
コンパクトで快適な住居

現在、55歳以上のみが居住できるシニアハウジングの開発が進んでいる。シニアハウジングとは何か、購入に際しての注意すべき点は何かなど、Remax Palos Verdes Realtyの出相一英さんに聞いた。
取材協力
出相一英
Remax Palos Verdes Realty
450 Silver Spur Rd., Rancho Palos Verdes
☎310-703-1884
www.deaiteam.com
シニア向け専用住宅というと、アリゾナ州など他州にある印象を持つ読者も多いが、実はトーランス市はシニア用住宅の開発が盛んで、市内9カ所にシニアハウジングがある。「トーランスは気候や交通の便が良く、高齢者にはぴったりです。日系ビジネスが集中していますから、特に日本人の高齢者には最適ですね」と出相さん。  
シニアハウジングのほとんどはコンドミニアム形式。ユニット内は車イスでも移動できるよう、段差がない造りになっている。高齢者が1人、あるいは夫婦だけで暮らすのが基本のため、1ベッドか2ベッドルームのコンパクトサイズが中心で、3ベッドルームのユニットは少ない。また、コミュニティールームやライブラリーなど、高齢者ニーズを配慮したところもあるが、実際には一般的なコンドミニアムとそれほど変わらない。「外見だけでは、シニア向けとはわかりません。なかには、住民同士の交流を促進するイベントや、趣味のサークル活動に熱心なところもあるようです」と、出相さんは言う。  
前述のように、シニアハウジングは55歳以上であることが基本的な入居ルール。だから、購入者や世帯主が55歳以上でも、55歳以下の子供や孫と同居できない。ただし、同居する夫婦の一方が55歳以上の場合と、55歳以上の入居者が日常の世話を必要とする場合に、ケアギバーとして同居する人のみ入居できる。  
このように、制限があるシニアハウジングだが、メリットは多い。1つは、同等の物件に比べやや価格が割安に設定されていることだ。「家族や子供がいないので、静かなのもいいですね。車がなくても生活できるよう、店や病院に近い市街地に建てられているものが多く、利便性が高いのもメリットです」(出相さん)。なお、売却時に不利なのではと心配する人もいるが、「今後、こうした高齢者向け住宅の需要は拡大すると考えられるので、その心配は特にないでしょう」とのこと。  
シニアハウジングの選び方について、出相さんはこう語る。「引退後、どういうライフスタイルを送りたいのかを考え、物件を選ぶことが大切。また、10年後、20年後の自分の健康状態を想定し、徒歩圏内にどんな施設や病院、サービスがあるのかなど、細かくチェックすべきでしょう。お子さんがいらっしゃる方は、お子さんのお住まいから近い物件が、何かと便利でしょうね」。  
家族で暮らしてきた一軒家を売却し、コンパクトなシニア用コンドに住み替える人は増えている。第2の人生の拠点をアクティブなシニアが集まる、シニアハウジングに求めてみるのも一案かもしれない。 
コウハウジング
ふれあい重視の新スタイル
コウハウジングの魅力とは

共通の目的やライフスタイルを追求する人が集まり、共有施設を中心としたコミュニティーで暮らす「コウハウジング」。北欧で生まれたこの新しい住まいスタイルが、日米で注目を集めているという。「コウハウジングの基本は助け合いと触れ合い。シニアにはぴったり」と話す、コウハウジング・コーディネート会社、VIVACE International, Inc.の代表、菊入弘行さんに話を聞いた。
取材協力
菊入弘行
VIVACE International, Inc.
4500 Campus Dr. #650, Newport Beach
☎949-474-8088
www.vivace-intl.com
コウハウジング。耳慣れない言葉だが、従来型のコンドミニアムやゲート・コミュニティーとどう違うのだろう。「コウハウジングには戸建て、タウンハウス、コンドミニアムと、さまざまな形状がありますが、入居希望者が集まってLLCを作り、事業主になって住宅開発をするのが最大の違いでしょう。また、共有施設を中心に、助け合いと触れ合いのある暮らしを目指すのが特徴です」と菊入さん。  
規模は10戸から30戸程度。各居住空間は独立しているため、一般的な集合住宅と見た目はそれほど変わらないが、特徴は中央に作られた共有施設にある。入居者の希望やタイプに合わせ、レクリエーションルームや共有キッチン、ゲストハウスなどが作られ、ここが入居者たちの触れ合いの拠点となるのだ。  
完成した住居を購入するのと違い、計画段階で入居を決め、入居者の希望に合わせて建設されるのも特徴だ。「入居者1人1人の意見をとりまとめるのは現実的ではないので、コーディネーターである私たちがあらかじめ大枠のプランを用意しますが、間取りやデザインなどは入居者の意見を反映することができるのです」と菊入さんは続ける。高齢者や障害者が入居するのであれば、バリアフリーにすることももちろん可能だ。  
また、隣に誰が引っ越ししてくるかわからない一般的な集合住宅とは異なり、コンプレックス内に暮らすのは皆顔なじみ。「プライバシーは大切にしながらも、住人同士が互いに助け合い、触れ合って暮らします。コウハウジングはシニア専用ではありませんが、家で過ごす時間が長いシニアの方々にとっては、理想的な住まいスタイルと言えるのではないでしょうか」(菊入さん)。現在、日本語を話す人対象のコウハウジングのプロジェクトが、サウスベイを拠点にいくつか検討されている。ヴィヴァーチェでは、毎月説明会を開催しているが、やはりシニアの関心が高いようだ。  
ご近所付き合いのない都会暮らしは、寂しい上に不便。気軽に助けを求められる人、話し相手になる人、共通の趣味を楽しめる人が近所に集まっていれば、老後生活は何倍も安心で楽しいものになる。全米で人気を得ているコウハウジングに興味のある人は、1度説明会に参加してみてはいかがだろうか? 
ソーシャルセキュリティーの基本 
米国年金も前途不安
日米社会保障協定を知る

日本では老後のための年金が用意されているが、アメリカでは一体どうなっているのだろうか? 最近の日米での年金事情も踏まえ、アメリカの年金の種類やその仕組み、支払い方法などを考えてみよう。

アメリカの公的老齢年金制度はソーシャルセキュリティー(Social Security)と呼ばれ、アメリカ国内で就労するすべての者は、ソーシャルセキュリティー税を納める義務がある。ソーシャルセキュリティーの受給有資格者となるには、最低10年間就労しソーシャルセキュリティー税を納め、40クレジット以上の獲得が必要となる。  
高齢化社会の到来で、ソーシャルセキュリティーが満額受給できる年齢が引き上げられた。2008年1月現在、1937年以前に出生の人は、65歳で満額を受け取れるが、それ以降に生まれた人は年齢が上がり、60年以降に生まれた人は67歳となっている。
ソーシャルセキュリティーは62歳からの繰り上げ受給もできるが、その場合、一定率の受給額減になる。逆に受給開始を遅らせることも可能で、その場合は受給額増となる。  
ソーシャルセキュリティーは日本の国民年金と同様、政府が現役世代からの税金を運用し、引退者に分配するという仕組みだ。しかし、08年には、全米で7800万人いるといわれる団塊世代が引退を始め、30年後の高齢者数は現在の2倍になると見られ、またソーシャルセキュリティー税を納める被保険者と受給者の割合も、現在の3.3対1から、32年には2.1対1に減少する。  
05年10月1日施行された日米間の社会保障協定により、日米両国で働く者、あるいは過去に働いていた者にとっては、社会保障制度が大幅に改善された。これは、両国での社会保険料の二重支払い防止、また日米での年金加入期間を通算し、年金保険料の掛け捨てを防止するために結ばれた協定だ。同協定に含まれるのは、アメリカではソーシャルセキュリティー、障害年金および遺族年金で、日本では社会保険料(医療保険料の一部を含む)および老齢年金、障害年金、遺族年金など。ただし、国民年金基金、任意加入の企業年金である厚生年金基金は適用外。これまでは一方の国で年金を一時的に支払っていても、加入が短期として年金を受けられず、掛け捨てになってしまうことも多かったが、今後は日米の年金加入期間を相互に通算し、年金受給権を獲得できるようになる。  
また、これまでは日本在住者がソーシャルセキュリティーを請求する場合や、アメリカ在住者が日本の年金を請求する場合は、相手国の年金担当窓口に直接申請する必要があったが、この協定により、居住国の年金担当窓口で相手国の年金を申請できるようになった。  
メディケアと介護保険
メディケアを補完するには
民間の高齢者医療保険が得策

65歳になれば、高齢者向けの公的医療保険の「メディケア」が利用できる。しかし、メディケアですべてがカバーされると安心していて良いのだろうか。高齢者のための医療保険と介護保険について、ダイワ保険代理店の代表、安岡忠展さんに話を聞いた。
取材協力
安岡忠展
ダイワ保険代理店
21515 Hawthorne Blvd. Suite 440, Torrance
☎310-540-8595
www.daiwainsurance.com
65歳以上の高齢者や身体障害者を対象にした公的医療保険制度であるメディケアは、メディケアタックス/ソーシャルセキュリティーを10年以上納めていれば受給できる。メディケアは入院費用をカバーする「パートA」、外来医療費をカバーする「パートB」、処方箋薬を対象とする「パートD」の3つに分かれており、Aは保険料がかからないが、Bは月額96ドル40セントの保険料が必要。民間保険会社が提供するDは、各社プランにより料金は異なる。  
メディケアは、医療費すべてをカバーするものではなく、「長期入院などの場合、自己負担額が大きくなる可能性もあります。メディケアを補完する民間会社の高齢者向け医療保険に加入しておいた方が良いでしょう」と、安岡さんは話す。  
メディケアを補完する高齢者向け医療保険には、大きく分けて「Advantage Plan」と「Supplement Plan」の2種類がある。Advantage Planは、メディケアを利用した際の自己負担額を低く抑えるプランで、プランによっては保険料がかからないものもあるなど、全般的に保険料が低いのが特徴だ。ただし、ネットワーク内の医療機関でしか利用できないなどの制限がある場合も多い。  
一方Supplement Planは、メディケアがカバーしない部分を補完する保険。こちらも民間保険会社のプランに加入することになるが、自己負担額が低く抑えられる分、保険料がAdvantage Planに比べて高い。  
「一概には言えませんが、健康で医療費がそれほどかからないならAdvantage Plan、頻繁に医療機関を利用するならSupplement Planが好都合です。本来は、多くのプランをじっくり比較検討し、自分に合ったプランを選ぶしかないのですが、すべての商品を比べるのは困難ですから、信頼できる保険代理店に相談するのがベストです」と安岡さん。  
それでは、介護に必要な保険はどうか。メディケア、民間の高齢者向け医療保険ともに、病気の治療が対象で、介護費用はほとんどカバーされない。65歳以上でナーシングホームの入居率は48.6%、自宅介護率は71.8%(The Long Term Care Handbook, 1998より)というデータもあり、介護対象の「ロングタームケア保険」の加入も検討すべきだ。  
「介護費用がかさみ、財産を使い切ってしまう例もあります。少しでも負担を減らすためにも、加入しておくべき保険でしょう」と安岡さん。保険料は、被保険者の健康状態、年齢、給付金、保障期間などで大きく異なるが、若い時に加入しておけば、保険料が安くなる。「歳をとればとるほど保険料は高額となり、健康状態によっては加入を拒否されてしまうことも。40代になったら、加入の検討をおすすめします」(安岡さん)。 
これは、アメリカの話ですが、アメリカ独自の医療に関する、メディケアの話がでてきて、いかにもアメリカらしいです。そうして、上の推進母体のほとんどが、NPOです。NPOが、銀行や、ディベロッパーや、場合によっては、地方自治体まで、コーディネートして、事業を展開しているのがほとんどです。、日本とは、異なり、NPOが高齢者のニーズに応えて、いろいろ活動している様がうかがえます。

日本では、アメリカのNPOのこのような、サービスを手がけてるところもありますが、それは、NPOではなく、民間企業が手がけています。そうなると、極少数のお金持ち相手であり、一般の人には手がとどかないと思います。アメリカもそのような傾向がありますが、しかし、NPOは営利を追求するのではなく、社会的使命をもち、社会事業を推進しますから、一般の人にもかなり手が届きやすいものを提供できます。

高齢者も、既存のフイットネスクラブや、ゲーセンなど、本心では、さほど行きたくないと思っているかもしれないのですが、今のところ、手軽に自らのニーズを満たしてくれるのが、これらだったということだと思います。

何か、このへん、社会事業として、いろいろできそうです。しかし、日本では、残念ながら、NPOがアメリカのように大きく活動できような、システムとはなってはいないのでなかなか難しい面があると思います。

しかし、こうした試みは、社会のシステムを変えてでも、実施する意義があると思います。これは、現在の民主党政権のいわゆる「新しい公共」などという、幼稚なコンセプトではどうにもなりません、次期政権に期待すべきでしょう。しかし、いろいろなセクターで研究開発をしておく価値は十分にあると思います。

なぜなら、リーマン・ショック前までは、アメリカと日本の個人あたりの資産は、日本と並びました。預貯金は、もともと、日本が多かったのですが、株式まで含めた個人資産では、アメリカのほうが多かったのです。しかし、アメリカの株式が目減りしたことと、なんと、日本の預貯金額が、リーマンショック後には若干増え、アメリカと日本の個人資産は、ほぼ同じくらいになりました。これはいくら、日本が豊になったとはいえ、歴史上初のことではないか思います。こんなことも、日本のマスコミはほとんど報道せず、駄目日本のみを虫メガネで拡大するような報道ばかり行っています。

これに関しては、中国の高齢化に関するこのブログの記事のところで、詳細を掲載しましたので、詳細を知りたい方は、当該ブログをごらんになってください。多くの人は、いつも、マスコミなどの出鱈目報道に慣らされているので、日本人がこのように世界トップレベルの金融資産を持っていることに驚く事と思います。アメリカ、日本、イギリス、ドイツ、フランスでは、個人あたりの資産は比較的高いですが、中国を始めとする新興国は、まだ、論評に値するほどの資産は構築していません。

しかし、資産という性質上、若者などはあまりもっておらず、高齢者や、高齢者予備軍といわれる人々に集中しています。これはなにも、日本だけの特殊事情ではなく、世界中で共通の事実です。まあ、働き始めたばかりの若者や、30代から、40代前半の人々は、人生のライフステージの中でも、もっとも消費が増えますから、無駄遣いをせず、長期間真面目に働いた高齢者のほうが、資産を多くもっているというのは、当たり前といえば、当たり前です。

一部のかなり資産を持つ、高齢者は、別として、現在、他にニーズを満たすことができないので、既存のフィットネスクラブや、ゲーセンに通っている高齢者のニーズを、新たな社会事業で吸い上げることは十分できるでしょうし、さらに、こうすることにより、高齢者も安心して、これらのサービスに投資できる環境ができあがれば、将来体の自由がきかなくなることを心配して、消費や投資を控える、高齢者や、高齢者予備軍の人々もこれらのサービスに関連する消費や、投資をする様になると思います。

日本は、もともと、金がないので、不況になっているわけではありません。潤沢すぎるというか、だぶついている金が市中にでまわらないことから、このような状況に陥っています。このようなサービスを実現することにより、経済にもかなり良い効果を及ばすものと思います。民間企業でも、ある程度はできるかもしれないし、実際、かなりのお金持ちには、提供されつつあります。これらが、一般の人々にも提供されるようになり、高齢者、高齢者予備軍の人々に安心感がひろがれば、とてつもないことになるかもしれません。

いずれにせよ、これらのことは、アメリカをそのまま真似すればできるようなことではないと思います。上記のような社会現象、ライフスタイルの変化等研究しつつ、最初は資産家などに限って、提供して、社会システムの変化を勘案しつつ少しずつ広げていくなどのことが考えられると思います。
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2011年9月3日土曜日

野田首相も外国人献金 民団関係者らから30万円―【私の論票】短命政権となることは必至だが、どのくらいの短命さになるかはまだ不透明?

野田首相も外国人献金 民団関係者らから30万円

1000円の床屋でカットをすませた、野田氏
野田佳彦首相の資金管理団体が、在日本大韓民国民団(民団)関係者ら在日韓国人2人から計約30万円の政治献金を受け取っていたことが2日、産経新聞の調べで分かった。献金者本人が取材に外国籍であることを認めた。外国人献金が野田首相にも発覚したことで新政権への影響は必至だ。

政治資金収支報告によると、献金を受けていたのは、野田首相の資金管理団体「未来クラブ」(千葉県船橋市)。献金をしていたのは船橋市と同県松戸市に住む在日韓国人で、いずれも会社役員の男性。ともに「通名」である日本名での現金支出となっていた。

船橋市の男性は平成13~15年にかけ、計15万8000円を献金。男性は当時から現在まで民団地元支部で役員を務めている。男性は「(野田氏が)街頭演説をやっていて、よく頑張っていると感じて応援するようになった。選挙のときには、選挙事務所の立ち上げにも行ってお会いするようになった」と野田首相との面識を認めた。

野田首相は21年10月、千葉で催された「韓日友好イベント」に出席し、政権交代をもたらした衆院選について、「千葉民団の皆さんの力強いご推挙をいただき、力強いご支援をいただきましたことを、心から御礼申し上げたいと思います」と謝辞を述べている。

一方、松戸市の男性は10~11年にかけて計16万円を献金。「野田さんとは面識がなく、献金を頼まれたことはない。参加するNPO法人のメンバーの間で、野田さんを応援する機運が高まったため献金した」と話した。

政治資金規正法は、外国人や外国人が過半数の株式を保有する会社からの政治献金を禁じている。違反すれば3年以下の禁錮か50万円以下の罰金、罪が確定すれば公民権停止の対象となるが、今回のいずれの献金も公訴時効(3年)を経過している。

外国人献金をめぐっては3月、前原誠司外相(当時)の政治団体が京都市の在日韓国人女性から計25万円の献金を受けていたことが発覚し、前原氏は外相を辞任。その後、別の外国人からの献金も明らかになっている。

菅直人前首相の資金管理団体も横浜市内の韓国籍男性から計104万円を受領していたことが分かり、国会で釈明に追われた。

野田首相の事務所には文書で、2日夕までにコメントを求めたが回答は得られなかった。(産経ニュース)

【私の論評】短命政権となることは必至だが、どのくらいの短命さになるかはまだ不透明?


野田さんの献金問題は、菅さんと同時期にもあったことなので、何か上の記事だと、ふって湧いたような書き方で、紛らわしいため、私なりに整理します。まずは、野田さんは、今年3月10日の段階で、菅さんと同じく、献金問題が発覚していました。ただし、こちらのほうは、NPO法で定められている、特定の政党などへの献金をしてはないらないNPOが献金をしていたということです。それは、上の動画をみていただいていもわかります。さて、チャンネル桜は、10日発覚した献金問題を3月11日の時点で、上記のように報道しています。それに先立って、無論、朝日新聞も3月11日の段階で、この疑惑を報道していたわけです。

私は、震災の日に朝日新聞はみていなかったので゛、このような報道があったのは、知りませんでした。菅さんと野田さんの献金問題については、12日の日経新聞で知ったと思います。しかし、地震が発生してしまったため、その後は、ほとんど報道されませんでした。特に、テレビでは、ほとんど報道しなかったと思います。連日連夜、地震と津波の報道ばかりであったことを皆さんご記憶にとどめられているのではないかと思います。NPOに関しては、民主党も「新しい公共」などとも、絡めて、その活動を推進しようとしているようですが、そもそも、こうした献金問題があることから、所詮利権の一部にしかすぎないのかもしれません。

欧米のNPOは、戦前から活躍しており、現在の日本のような国の政府が担っている、社会福祉のほとんどをNPOが実施して、十分に機能していました。しかし、ソビエトが台頭して以来、イギリスの「揺りかごから墓場まで」という言葉に象徴されるように、多くの先進国が、福祉大国を目指したおりに、ほんとどが廃止されました。そうして、ご存じのようにソビエトも、福祉大国も大失敗して、現在西欧では、多くの国が、また、NPOに社会福祉をまかせるように変わってきています。

民主党など、「新しい公共」の理念のもとに、NPOが活躍できる基盤をつくるようですが、この「新しい公共」の理念がくせものです。民主党のいう、「新しい公共」は、従来から、欧米が実践してきたものとは、全く異なります。出自が全く事なります。民主党のそれは、単純にいってしまえば、プロ市民のものであり、本来のありかたとはかけ離れています。おそらく、「新しい公共」なども、まともにできないでしょうし、新しい利権の一つに過ぎないのだと思います。

そもそも、民主党には綱領もなにもなく、単なる自民党以下の選挙互助会組織にしかすぎず、「新しい公共」も、その一環にしかすぎず、それどころか、選挙互助会の資金源として、北朝鮮ともつながりの深い、市民の党という過激派をマネーロンダリングの機関として活用しているということです。選挙互助のためなら、まったく見境がなく、自分の魂を売り渡していると同じことです。

それから、おそらく、自民党にも、民主党ほど酷くて、党ぐるみということはないでしょうが、北朝鮮・韓国などの関係から、献金など受けている人もいると推察できます。だからこそ、自民党の民主党追求も、一見西田議員をはじめとして、かなり強行にやっているようにみえながら、実際には迫力にかけ、効果も少ないということだと思います。自民党も、こうした人々は排除すべきと思います。そうしなければ、どっちつかずになり、次の総選挙でも他の政治勢力にお株を奪われることになるでしょう。

話をもとにもどと、皆さんご存じのように、菅さんの献金問題は地震や、原発事故でかき消されたようになって、菅さんは、本来ならば、3月11日の午後にも、辞任したものが、なんと、地震のおかけで、つい最近まで、政権の座についておられたということです。菅さんが辞任した場合、無論、野田さんも、財務大臣の座から退き、献金問題などの責任もあるため、代表選に出ることなどは、考えられず、現在は、4月あたりに、代表選が行われていて、そのときに代表になった人が、今でも総理大臣をつとめていたかもしれません。そうして、しばらく、野田さんは、代表選の候補にもなれなかったかもしれません。

そんなことは、タラネバの世界のことであり、どうでも良いのですが、さて、上の記事では、これとは、別に外国人からの献金も明らかになったといことです。

いずれにせよ、このように、短期間で、再度別の献金問題、それも、今度は外国人の献金問題がもちあがったということは、非常に問題です。このことをまた、テレビなど、ほとんど報道しないつもりなのでしょうか?これから、どうなっていくか、趨勢を見守りたいと思います。

野田佳彦首相は本日、宿泊先の都内のホテルを出る際、資金管理団体が在日外国人から政治献金を受け取っていた問題について「釈明する考えはあるか」「事実関係を確認させてほしい」という記者団の質問に一切答えませんでした。こういう問題こそ、説明が必要不可欠だと思いす。

代表選は、父親は自衛隊の第一空挺団に所属しており、この団の給料は他の自衛隊員よりも、格段に高く、決して庶民の出とは、いえなかったにもかかわらず、庶民であった祖父母の話のみをして、庶民派を装い、うまく立ち回った野田さん、しかし、記者対策は適正さを欠いたようです。このままでは、国会対策だけは、うまく立ちまわることができるようなことは考えられず、ますます、短命政権になることに確信を持つことができました。

これは、国会が開催された場合、西田議員などから、徹底的に追求されます。これは、私の憶測ですが、これ以外にも何やら問題がでてくるのではないかと思います。

ちなみに、以下に最近の總理大臣の在籍日数を掲載します。
在籍日数      代 氏名
263 ('93/08/09-) 50 細川護煕
*64 ('94/04/28-) 51 羽田孜
561 ('94/06/30-) 52 村山富市
932 ('96/01/11-) 53 橋本龍太郎
616 ('98/07/30-) 54 小渕恵三
387 ('00/04/05-) 55 森喜朗
1980('01/04/26-) 56 小泉純一郎
366 ('06/09/26-) 57 安倍晋三
365 ('07/09/26-) 58 福田康夫
358 ('08/09/24-) 59 麻生太郎
266 ('09/09/16-) 60 鳩山由紀夫
452 ('10/06/08-) 61 菅直人
唯一小泉さんだけが、まともだったことを考えると、野田さんも短いとみておくのが妥当と思います。今のところ、長期政権になるような、兆候は全くありません。また、菅さんが、権力欲がかなり強く、何でもかんでも政権の延命のために、恥も外聞もなく、つかい、利用できる人は、利用しても、結果として短命に終わりました。だから、野田政権も短命政権になるのは確かだとして、どのくらいの短さになるかは、まだ未定というところだと思いす。それに、新内閣の顔ぶれをみてみると、驚愕的事実がみられます。
総相 川端達夫 在日韓国人法的地位向上議員連盟
法相 平岡秀夫 在日韓国人法的地位向上議員連盟
外相 玄葉光一郎 まぁ普通
財相 安住淳  人権擁護法案推進派
文科相 中川正春 在日韓国人法的地位向上議員連盟
厚労相 小宮山洋子 在日韓国人法的地位向上議員連盟
農水省 鹿野道彦 外国人参政権について「どちらかと言えば賛成」
経産相 鉢呂吉雄 在日韓国人法的地位向上議員連盟
国交相 前田武志 在日韓国人法的地位向上議員連盟(後に反対表明)
防衛相 一川保夫 在日韓国人法的地位向上議員連盟
官房長 藤村修 在日韓国人法的地位向上議員連盟
公安委員長 山岡賢次 「参政権付与は選挙が終わったらやる」
金融相 自見庄三郎 国民新だし、まぁ普通
国家戦略相 古川元久 パチンコ協会政治アドバイザー
行政刷新相 蓮舫 2位じゃダメ(twitterなどで、問題発言あり)
復興相 平野達男 まぁ普通(ただし、青山繁晴問題が発覚)
この閣僚では、おそらく、野田さんに加えて、閣僚のなかからも、いろいろな問題が発覚するのではないかと思います。そうして、こうした閣僚の問題も、野田政権を短命にする要因となるものと思います。
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2011年9月2日金曜日

放射性セシウム:土壌からほぼ全量回収可能…新技術を開発―【私の論評】今日の私たち日本には、とてつもない技術力がある!!今回の震災、原発事故を契機として、さらに強いとてつもない日本を目指すべきだ!!

放射性セシウム:土壌からほぼ全量回収可能…新技術を開発
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は31日、土壌から放射性セシウムのほぼ全量を回収できる技術を開発したと発表した。汚染土壌に低濃度の酸の水溶液を混ぜてセシウムを抽出し、微粒子状の顔料に吸着させる。東京電力福島第1原発事故では、外部に放出された大量の放射性物質による土壌汚染が問題となっているが、この処理技術を活用することで放射性廃棄物を150分の1に減量できるという。

研究グループは、福島県飯舘村の畑の地中から採取された汚染されていない土壌から放射性ではないセシウムを除去できれば、同様の方法で放射性セシウムも回収できるとして実験に着手。汚染されていない土と低濃度の硝酸水溶液を混ぜ、圧力容器内で200度で45分間加熱したところ、セシウムの100%抽出に成功した。温度が半分の100度でも約60%を抽出できたという。水溶液は繰り返して使える。

さらに第2段階で、水溶液からセシウムイオンだけを取り込む青色の人工顔料プルシアンブルーを吸着剤に活用。粒径10ナノメートル(1ナノは10億分の1)の微粒子状に加工して円筒形の装置に詰め、この水溶液を2回循環させたところ、100%吸着できた。

産総研の川本徹・グリーンテクノロジー研究グループ長は「土壌を傷めなくてすみ、抽出したセシウムを顔料で吸着できる。コストも安い。企業の協力を得て実証実験を目指したい」と話している。

【私の論評】今日の私たち日本には、とてつもない技術力がある!!今回の震災、原発事故を契機として、さらに強いとてつもない日本を目指すべきだ!!

産業技術総合研究所といえば、どこかで聴いたことがあると思いましたが、やっと思い出しました。そうです。あの美少女ロボット「HRP−4C」を開発したところです。下にその動画と説明を掲載します。


ファッションモデルのような美女ロボット「HRP−4C」を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が開発し、2009年3月16日に公開しました。

身長158センチ、体重はバッテリー含め43キロと細身のロボット。歩き方はファッションモデルのようにしなやかで、目が大きく、鼻は小さめの若い女性の顔をしている。微­笑んだり、驚いたり、豊かな表情をみせるのも特徴です。

一度の充電で20分間動くことができ、モデルと同じように、百貨店などで衣装を着せて歩かせることなどが考えられるといいます。同研究所は、早ければ1年後にも販売を始めたい­としていました。

この美少女ロボット、その後フアッションショーにも出演しています。下の動画はその時にの様子です。


なぜこんな話題を思い出したかといえば、やはり、日本は、他国にはない素晴らしい技術を有していることと、さらには、その素晴らしい技術があまり利用されていないことを思い出したからです。

このことは、今回の原発事故でも明らかになりました。 福島第一原発事故で、フランス政府が震災直後の3月28日、仏原子力庁などに東京電力から支援要請があったと明らかにしたことに関連し、  同日発行の仏ル・モンド紙は、放射能汚染された場所でも作業ができるロボット提供の申し出を日本側が断っていると伝えました。 

ロボットは仏電力公社(EDF)、原子力大手アレバ社と仏原子力庁が共同開発し、ブルドーザーやシャベルの機能を持つものや  計器の設置、試料の採取、ビデオ撮影に適したものなど複数のタイプがありました。 

人が近づけない放射線量の強い建物内外で遠隔操作で作業が行え、1986年のチェルノブイリ原発事故でも活用された実績があるという。

フランスの原発用ロボット
この話は、本当に驚きました。ああいう、危険なところで、作業をするには、ロボットは非常に有用で、日本は、ロボティクスがかなり進んでいるという認識がありましたから、この話は、本当に青天の霹靂と感じました。

その後、東電は、アメリカから提供された、ロボットは実際に使用し、テレビでも、そのロボットが撮影した原発内部の様子が報道されていました。

現在では、原発内で、日本のロボットが用いられています。最初に導入されたのは、4月の段階でした。

福島第一原発の事故現場に投入される国産ロボットQuince。
右は千葉工大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長=千葉工大


東京電力福島第一原発の事故現場に、ようやく国産ロボットが投入されたのは5月になってからのことでした。日本のロボットは「実戦経験がない」と信用されず、まず現場に入ったのは米国製でしたた。

投入されたのは、千葉工業大未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長や東北大の田所諭教授らが開発した災害救助用ロボット「Quince(クインス)」。長さ66センチ、幅48センチの車体に戦車のようなクローラー(無限軌道)が大小五つ。カメラやセンサー、ドアノブを回すアームも備えています。

2009年のロボカップレスキュー世界大会では運動性能部門とアームの性能部門で優勝しました。米国の模擬災害現場で実験した際、がれきの走行や階段や坂を上る性能などで米国製を圧倒しました。

今回の原発事故に対応するため、無線操作できる距離を2キロに延長、有線でも使えるよう改造しました。遠距離操作できるよう、強い電波の使用も特別に認められました。日本原子力研究開発機構の研究所で放射線の耐久試験も、5時間かけて10万ミリシーベルトをあてても問題ありませんでした。これは、作業員の被曝(ひばく)線量の上限の400倍に相当するものでした。

東電などの作業員が操作の訓練を受けた上で事故現場に投入されました。原子炉建屋内部の様子、放射線量、温度などの調査を期待されています。操縦者は2キロ離れたところから無線で指示を出す作戦でした。

産業ロボットなどでは世界的なシェアと技術を誇る日本。事故以来、日本のロボット研究者には国内外から「日本のロボットをなぜ原発に使わないのか」との声が相次いでいました。

「日本は実績がないから、東電は外国製を使いたがる」。東京工業大の広瀬茂男教授は嘆く。欧米のロボットは戦場での経験があり、核戦争を前提にした試験も受けているとされています。

実は、日本でも原発用ロボットの開発を計画したことが2度ありました。

1度目は1979年の米スリーマイル島原発事故を受けて83年に始まりました、建前は「点検」用の極限作業ロボットプロジェクトでした。90年まで約200億円かけたが、打ち切りになってしまいまた。2度目は99年の茨城県のJCO事故の後。今度は事故用で数十億円使ったが、「原子炉では事故は起きない」と1年で終わってしまいました。

「事故用ロボットを開発すると『原発事故が起きると思っている』と受け取られると考えたのでは」と広瀬教授は推測していました。

原発では、事故は起こりえるとの前提でロボットが投入されることはなかったということで、これだけ高い水準があるのに、導入されてもおらず、活用もされていなかったというのは本当に残念なことです。

しかし、今回の事故を機会に、いよいよ、日本のロボットが投入され、その真骨頂を発揮するこ都と思います。

そうして、原発での作業に鍛えられ、改良などが加えられるようになれば、これも、日本の強みになるのではないかと期待しています。おそらく、日本は、この方面でも、世界一のものが作れると思います。

さて、ロボットの話が象徴的なので、ロボットの話が長くなってしまいましたが、日本は、ポリマーなどによる、吸着技術も素晴らしいです。だからこそ、上の記事のような、放射性セシウム:土壌からほぼ全量回収可能な新技術も開発できたのだと思います。

さて、上では、「事故用ロボットを開発すると『原発事故が起きると思っている』と受け取られると考えたのでは」と広瀬教授は推測していましたが、確かにそういう側面もありますが、東電に限らず、日本の電力会社かなり遅れているところがありますから、これも、原因の一つになっているのではないかと思います。

かつて、ドラッカーは「ネクスト・ソサエティー」という著書の中で、企業に起こるパラダイムシフトについて語っていました。

もう私たちの社会は、21世紀に入ってから、「ネクスト・ソサエティー」というその前までとは、異質な、新たな社会に突入しているとしていました。

以前の社会では、あらゆる技術がそれぞれの産業に属し、逆にあらゆる産業がそれぞれに特有の技術をもつとされました。製鉄の技術は鉄鋼業でしか使えず、しかも鉄鋼業でしか生まれないとされました。同じことは製紙業、農業、金融サービス業、商業においてもいわれました。

ところが、「ネクスト・ソサエティー」では、もはやいかなる産業、企業にも、独自の技術というものがありえなくなりました。産業として必要とする知識が、馴染みのない異質の技術から生まれるようになりました。たとえば、従来、科学や、生化学が基本的な技術であった、製薬会社での、最近の新たな技術は、バイオテクノロジーであり、この技術によって、従来はなかった新たな薬が日々生まれつつあります。これは一時例にすぎが、現在の事業の発展は、企業の内部からではなく、他の組織や技術とのパートナーシップ、合弁、提携、少数株式参加、ノウハウ契約からもたらされるようになりました。

このパラダイムシフトは、既に起こっていて、もう、今では、ごく普通のことになっています。業界の垣根はなくなり、あらゆる業界が「情報産業」に集約されていす。

外部の情報(顧客や他の業界からの情報)を、製品・サービスにフィードバックする仕組みを持っている企業が生き残るのです。

東電など体質の古い、企業はこうしたパラダイムシフトに追いついていないのだと思います。だからこそ、それまでの、業界の技術である、発電機とか、原子力ばかりに、目が向いており、他の産業の技術だと見られていた、ロボットなどには関心がなかったのだと思います。

このようなことを考えると、今回の原発事故に対する対応など、東電などの既存の企業の技術だけではなく、それこそ、ありとあらゆる、一見無関係とみられる産業などの技術などを活用し、総合的に対処すれば、過去の常識では、考えられないような、対処方法も見つかるのではないかと思います。

原発付近には、今後数十年は、立ち入ることができないなどと、多くの人がそう決め込んでいるようですが、そうとも限らないです。というより、私は、どちらかといえば、新たな技術、それも、各産業の技術を総動員すれば、意外と短期間に解決方法が見つかるのではないかと期待しています。それに、こうしたことを推進することにより、新たな産業が勃興し、日本の技術力がまた一つの上の段階に到達し、それが、さらに、海外にも転用できるものになるのではないかと期待しています。

今は、ドラッカーのいうように、パラダイムがすでに、シフトしているわけですから、既存の考えだけにとらわれて、閉塞感にさいなまされるだけというのではなく、とてつもない新たな技術を生み出すこと、さらに、とてつもない技術などを前提として、新たな社会を築くことなどに、注力すべき時と思います。震災、原発事故に対して、ただ手を拱いて、絶望しているのではなく、これを新たな産業の芽とすることに多くの人が挑戦していただき、さらに、強い、日本を創出していくべきと思います。



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