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日本選手団の入場行進時に、地面に映し出された日本、
地図の北海道周辺。雲のようなもので北方領土は見えない |
【モスクワ=遠藤良介】ソチ五輪開幕式に合わせた安倍晋三首相の訪露はロシアで好感されている。ただ、プーチン大統領は6日、ソチを訪れた各国首脳の中で最初に中国の習近平国家主席と会談しており、日中両国を天秤(てんびん)にかけて国益の最大化を図る姿勢が鮮明だ。北方領土問題では、露外務省が日本側の受け入れられない歴史認識を振りかざし、日本に「譲歩」を迫る構図となっている。プーチン政権は「愛国主義」による支持基盤強化に動いてもおり、領土交渉を大胆に動かせる状況にはない。
中国国営新華社通信によると、プーチン氏は6日の中露首脳会談で「日本の軍国主義による中国などアジア被害国に対する重大な犯罪行為を忘れることはできない」と述べ、2015年に予定される戦勝70周年の記念行事を共同開催する考えを示した。ただ、露主要メディアはこの内容を報じておらず、日本を刺激することを避けたい政権の意向があったもようだ。
プーチン氏は中国との友好関係を最重要と認識しつつ、日本との関係改善によって中国を牽制(けんせい)し、課題の極東・東シベリア開発にも日本の協力を得たい考えだ。北方領土問題については、「平和条約の締結後に色丹、歯舞を引き渡す」とした日ソ共同宣言(1956年)を軸に解決する考えを変えていないとされる。
昨年の領土交渉再開以降、ロシア側は「第二次大戦の結果として四島はロシア領だ。これを認めねば交渉は始まらない」との立場を突きつけ、国連憲章の旧敵国条項まで持ち出して北方四島の領有を正当化してきた。ロシア側の歴史認識を強硬に打ち出し、日本に「政治決着」という名の譲歩を要求している形だ。
プーチン氏の支持率は長期的な低落傾向で、経済の見通しも暗い。国内向けに領土問題での「弱腰」は見せられない状況だ。政権は公務員や国営企業従業員、地方住民といった層の支持を固め直そうと、保守路線を鮮明にしてもいる。「大戦での勝利」を強調し、旧ソ連時代を美化する「愛国主義」はその中核をなす要素といえ、日本側の歴史認識は容認できない。
【私の論評】小国ロシアの外交に学ぼう!!だが、インド・アセアン諸国と中国とを両天秤にかけて見せた安倍総理の外交手腕のほうが凄いかも!
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11だけが、現在のロシア連邦、それ以外はソ連崩壊後独立。
1.アルメニア、2.アゼルバイジャン、3.ベラルーシ、4.エストニア、
5.グルジア、6.カザフスタン、7.キルギス、8.ラトビア、9.リトアニア、
10.モルドバ、11.ロシア、12.タジキスタン、
13.トルクメニスタン、14.ウクライナ、15.ウズベキスタン |
このいきなり小国ロシアというタイトルには、驚くかたもいらっしゃるかもしれません。しかし、現在のロシアはその表現がぴたりと当てはまります。ソ連のときには、確かに大国であった時期もあるのですが、冷戦構造によるアメリカとの軍拡競争に敗れ、国内の経済・社会がなおざりになり、それが直接の引き金となって、ソビエト崩壊後のロシアは、まさに発展途上国のような状況でした。
それをプーチンらが努力して、何とか経済をまともにして、現在に至っているロシアは、新興国といっても良い状況で、もはや大国ではありません。経済的にも、軍事的にも小国に過ぎません。軍事的には、まだ大国と見る向きもあるようですが、実際はそうではありません。ただ、過去のロシアのときの、核兵器などをそのまま継承しているため、未だ多くの人々が大国扱いしているだけですす。
これらの核兵器もいずれ耐用年数を過ぎます。そのときも、ロシアが核大国でいられるのか、はなはだ疑問です。いずれこの方面でも、このままでは中国・インドなどにとって変られる可能性も大です。ただし、それまでには、まだまだ長い期間がありますし、大量の核兵器に用いる、核物質を所有していることだけは事実です。であれは、核拡散防止条約など無視して、核物質を売りさばくような国になるかもしれません。そうなれば、まさに、犯罪大国になるかもしれません。
このブログでは、以前も現代ロシアの小国ぶりについて掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にロシアの小国ぶりの部分のみをコピペさせていただきます。
このブログには、以前ロシアの声というサイトについて掲載したことがあります。そのときにも、掲載しましたが、ロシア人口は、日本の1億二千万と比較して、わずか、二千万ほど多い、1億4千万ほどにすぎません。さらに、その中の支配階層である、ロシア人といえば、多民族も存在するため、単一民族の日本人よりも少ないです。
そうして、無論のことは中国とは陸続きです。ロシアは、中国に対しては、昔から、何か領土問題や、利益が衝突するがあったときには、強大軍事力を駆使して、中国をやり込め、譲歩することはほとんどありませんでした。そうして、中国もロシアの強大な軍事力の背景があるため、一方的に押されてきたといのが、今日までの姿です。
さて、上の記事では、米国のアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開したとありますが、アメリカは、冒頭の図のように、7重にも及ぶ多層的なミサイル防衛網を構築しています。米国ミサイル防衛システムそのものの詳細については、こちらを参照してください。
これを公表するということは、中国のミサイル封じ込めに、成功したか、成功しつつあるということであり、中国にとっては、かなりの脅威となるものと思われます。
これに関して、なぜロシアが上記のような報道をするかといえば、やはり、ロシア自体が、かなり中国の最近の軍拡に脅威を感じているということにほかなりません。
陸続きで、ロシア全土をあわせてですら、10倍以上の人口を持つ仮想敵国が陸地を接して存在しているということですから、いつも潜在的に脅威にさらされているわけです。
であれば、このようなニュースは、ロシアにとっても好都合であり、利用できるものはなんでも利用して、中国の脅威を削ごうとの意図があるものと見えます。
しかし、アジアや中東に配置した、ミサイル防衛システムは、あくまでも、アメリカ本土防衛のためのものであり、まかりまちがって、中国のミサイルがロシアを目指しても、それを打落す仕組みにはなっていません。
であれば、ロシアにとては、相変わらず、何も変わらないわけで、ロシアも独自でミサイル防衛網をきずかなければならないということです。しかし、それは、なかなか難しいのかもしれません。だから、上記で軍拡競争という言葉がでてくるのだと思います。現ロシアは、軍拡競争には巻き込まれていないということを誇示したいのだと思います。
でも、これは、本当の誇示になるのでしょうか、もともと自国の原潜の処理も自国で行えないロシアは、国家として無責任な国です。
それもそのはずです。実は一作昨年、ロシアのGDPは、とうとうブラジルとインドに抜かれてしまい、世界10以内から滑り落ちてしまいました。
現在、ロシアのGDPは日本の3分の1以下なのです。日露戦争の頃は、ロシアのGDPは日本の8倍でした。100年間(正確には80年間)で日露の国力は大逆転したのです。
2010年各国のGDP
1、アメリカ
2、中国
3.日本 5兆4500億ドル
4、ドイツ
5、フランス
6、イギリス
7、ブラジル
8、イタリア
9、カナダ
10、インド
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・ ロシア 1兆4650億ドル
こんな国が、アメリカなみの、ミサイル防衛網など、構築できるわけがありません。それから、中国が世界第二位の経済大国になったのは、日本のおかげでもあります。それは、このブログに、何回か掲載してきたことですが、日銀が、いつまでも、執拗に増刷拒否など金融引締めをするものですから、固定相場制の中国は、自国の元を好きなだけ、擦りまししても、日本の円が担保となり、インフレを免れてきたということです。しかし、それも、最近では、効き目がなくなりつつあります。日本銀行がまともになったら、中国は、あっという間に、経済大国の座からすべり落ちることでしょう。
ロシアの弱体化は明らかです。現状の小国ロシアに領土問題などで譲歩する必要など全くありません。日本は、日本銀行に金融引締めをやめさせ、円高誘導をやめさせ、また、世界第二位の経済大国に返り咲くべきです。それに、いますぐするしないは、別にして、核武装の論議をはじめるべきです。それだけで、ロシア、中国、北朝鮮はかなり脅威に感じることでしょう。
さて次に、日本がロシアから学ぶぺき外交姿勢をあげてみます。どこの国々でも、隣どおしの国々は、仲が悪いのが普通です。世界で最も平和な国境はおそらく、アメリカとカナダの国境です。ここは、両国の間を自由に行き来できます。国境紛争などもありません。こんな、平和な国境はここくらいなものです。
中国とロシアも例外なく仲はあまり良いとはいえません。長年、国境紛争が絶えなかったのですが、数年前に中国の一方的な譲歩によって、解決しました。しかし、これは、どこの国でも同じことです。陸地でも、海でも、国境接している隣国とは仲が悪いというのは、普通のことです。この国境紛争も実は、ソ連時代から何度もあったことなのですが、ソ連時代ではなく、ロシアになってから解決しています。それも、その条件たるや、ロシアの一方的な要求に完璧に屈した形のもので、これは、中国国内ではほとんど報道していませんが、これを知ったら中国人民もかなり怒るであろうような内容です。
現在のロシアは、ソ連の最盛期と比較すれば、単なる小国に過ぎないのですが、ロシアのプーチンは、国境紛争でも一度たりとも、譲歩も妥協することなく、いつでも対決する姿勢を鮮明に打ち出していました。どこまでも、強面ロシアの体制を崩すことはしませんでした。それにしても、すでに小国になったロシアとはいえ、核兵器は持っているし、軍隊の練度なども落ちたとはいえ、中国よりはまともですから、全く妥協するつもりも、その素振りも観せませんでしたし、今でもそうです。だから、中国は今でもロシアに対しては日本に対するような強行姿勢はみせたことがありません。
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イヌ好きのプーチン大統領、手前は24年に、秋田県の佐竹敬久知事が大統領に贈った秋田犬「ゆめ」 |
それから、さらに数年後、中国の漁船がロシアの港湾にロシア側が臨検するので、停泊するようにと命令していたにもかかわらず、逃げ出したため、ロシア側は機銃掃射しました。その結果、中国漁船には多数の死傷者が出たのですが、それでも、中国側は、非難するようなことは全くありませんでした。ましてや、これをきっかけに戦争に持ち込むなどということなど、考えも及ばなかったようです。
これだけ、強行姿勢を貫き、もし実際に軍事行動でもおこせば、プーチンは、今でも完膚なきまでに中国を徹底的に攻撃することでしょう。こうした、姿勢の国には、中国は手も足も出ないようです。今や小国であるロシアに対してもこの有り様です。
では、日本だってロシアのように中国に接したら、中国もロシアに対するように日本にも低姿勢になるとは思いませんか。私は、そう思います。
日本の歴代の政権は、そんなことは及びもつかず、まるで腫れ物にでも触るように、中国に対応してきました。だから、中国は増長したのです。
民主党政権のときも、中国に対しては及び腰過ぎましたし、このブログにも最近掲載しているように、オバマ政権もかなり及び腰でした。この日米の反応をみた中国は、増長してしまったのです。だから、尖閣や南シナ海のように中国の挑発を招いてしまったのです。
これが、ロシアのようにソ連時代から一環して、中国に対する強行姿勢を崩していないとか、少なくともブッシュ政権時代のような対決姿勢を崩さなければ、今日のように中国は増長していなかったことでしょう。
しかし、安倍政権になってからは、風向きが変わりつつあります。プーチン大統領は、中国と日本を両天秤にかけるような行動をしていますが、安部総理はそれどろか、
安全保障のダイヤモンドという構想をぶちあげて、両天秤どころか、インド、アセアン諸国、モンゴル、ロシアなどを矢継ぎ早に電撃訪問をして、対中国包囲網を着々と整えつつあります。
そうして、それには、ロシアのプーチン大統領も、大きな関心を持っています。自分が対中国強行姿勢を貫いた経験から、安部総理もそれに近いことを考えていることを見抜いているものと思います。それに、プーチンは中国はいずれかつてのソ連のように崩壊するものと睨んでいると思います。
また、韓国に関しては、プーチンははなから相手にしていません。これは、このブログでも紹介した子どかありますので、以下にその記事のURLを掲載します。
プーチン氏 韓国告げ口外交に不満持ち露韓首脳会談に遅刻か―【私の論評】反日やっても、何も変わらず!ますます、韓国の国際的地位を弱め、国内では不満を高めるだけ、韓国はやるべきことをやれ(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、プーチンは露韓首脳会談にわざと遅刻して、韓国などはなから眼中にないことをはっきりと示したのです。これに対して、朴槿恵や韓国マスコミが露骨に批判したかといえば、今のところそのようなことはありません。
ロシアのプーチンからすれば、韓国など全くとるに足りない国であるということを身を持って示したということだと思います。なにしろ、韓国はそもそも、一度も外国とまともに戦争をして勝ったこともありません。日露戦争で負けた日本とは違います。人口も六千万ほどしかない国であり、これは日本の半分です。それに経済的に見てもとるに足りない国です。韓国のGDPは日本の一都市である東京のGDPくらいしかありません。
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狩りをするプーチン。国内でも、強面を演出? |
このように、ロシアは中国に対して強行姿勢を貫き、韓国には一見非礼なことをしてまでも、無関心であることを相手に知らしめています。これは、本当に日本も見習うべきと思います。こんなプーチンですから、日本と中国とを両天秤にかけるようなことは朝飯前です。それにしても、小国になってからも、大国に近いような外交スタンスを崩さず、押しまくるプーチンは凄いです。
しかし、本当は安部総理の外交手腕のほうが、凄いかもしれません。なぜなら、安部総理の外交は、それ以前の民主党の及び腰外交というマイナスの外交から始まっているからです。私は、安部総理も中韓などに対しては、いずれロシアのように強硬路線で臨もうとしてるのと思います。今は、その序章に過ぎないと思います。
いずれ、強行路線をとることを前提として、今はその下準備として様々国々を歴訪して、安全保証のダイヤモンドを固めようとしているのだと思います。そうして、このブログにも掲載しているように、
ノータッチのタッチと、いざというときに、強硬路線をとるという外交姿勢を構築するために、今は着々と実績を積み上げているのだと思います。それは、今や小国に過ぎないロシアのプーチンが一番良く知っているかもしれません。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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