26.10.2014 フィナンシャル・タイムの第一面 |
2003年、会社法改正により、同国の男女平等政策は民間企業にも広がった。上場企業の取締役会における女性の割合を40%以上とすることを義務づける「クォータ制(割当制)」が導入されたのだ。
国際的には、クォータ制は女性登用に一定の成果を挙げたと評価されている。だがノルウェー国内では、その効果を疑問視する声もあがっている。
ノルウェーではいまや、上場企業の取締役会における女性役員が40・7%を占めるまでになった。だが、実際に経営に携わる女性役員は6・4%にとどまる。さらに言えば、ノルウェーの大手上場企業で社長の座に就いている女性は一人もいない。
結局のところクォータ制は、企業社会の男女平等を後押ししたというより、経営の決定権を持たない女性役員の数を増やしただけだったというのだ。
この制度が非上場企業には適用されないことも、大企業にとっては抜け道となっている。03年に563社あったノルウェーの上場企業は、クォータ制が法的強制力を持つ08年までに、179社に激減した。女性役員の比率を上げたくないがために、7割の上場企業が非上場に転じたのだ。その結果、役員ポストは上場企業全体で1400となり、現在570人の女性役員がいるにすぎない。他方、非上場企業の役員の50万のうち、女性が就いているポストは9万余り。女性の割合は2割にも満たない。
【私の論評】古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性!これからも繰り返し続けるのだろうか(゚д゚)!
官邸では、「輝く女性会議」が開催され、安倍総理の肝いりで、女性の社会進出を促そうという機運が盛り上がっているようです。
しかし、それにしても、上の女性登用先進国であるとみなされていたノルウェーの実体は、そうではなかったことが明らかにされています。
日本の政治家や、官僚、マスコミもこぞってこのような事例を出しつつ議論などしているようですが、このようなことは以前にも良くあったことです。そうして、女性の社会進出を促す以外のことでも、十分に調査もせずに、導入しようとしたたものは、大失敗したり、頓挫してしまったことが多いです。
こんな事例はいくつもあるのですが、それをいくつか以下にあげていきます。
ニュージーランド国旗をデザインした水着の女性 |
たとえば、日本の官僚の数が以上に多いという思い込みによる失敗です。これは、政治家などが、ニュージーランドに行ったときに、官僚の実数があまり少ないのに驚き、日本の官僚は多すぎなどと言い出したのが、きっかけのようです。
これに関して、その後ニュージーランドの人口は、数百万に過ぎず、日本の地方自治体レベルの人口しかないことがわかり、人口あたりの官僚数は、ニュージーランドのほうが多いくらいだということが公にされ、最近はほとんど誰も言わなくなりましたし、テレビでも報道しなくなりました。
こういうことを言い出したり、真に受ける人というのは、そもそも、日本やニュージーランドの人口総数も知らないか、実際に割り算などして、日本とニュージーランドの人口当たりの官僚数など比較したことがないのでしょう。全くもって愚かです。
次に例として出したいのは、「ゆとり教育」です。「ゆりと教育」に関しては、アメリカでも実際にこれを実行していた時期があります。しかし、これを実施したがために、アメリカの児童の学力が極端におち、特に理工系大学などでは、「ゆとり教育」のせいで、学力が低すぎで、まともに大学教育が出来ない状況になったため、「ゆとり教育」を実施するのは、やめてしまいました。
日本は、アメリカが「ゆとり教育」などやめて、その反動でアメリカでは、「詰め込めるだけ、詰め込め」ということが言われた頃に、こうしたアメリカの失敗を顧みることなく、導入され、実施されました。
その結果として、日本の児童などの学力がかなり落ち込んだし、アメリカの事例などもだんだんと知られるようになり、日本でも「ゆとり教育」は弊害が多すぎということで、廃止されるようになりました。
こんなことは、まだまだあります。上の事例は、はっきりと失敗ということが明らかになり、誤ったことを言わなくなった例と、導入した制度を撤回した事例です。
以下には、まだ失敗という認識がいきわたっていないか、まだまだ日本では十分議論されつくしていない事がらに関するものを掲載します。
まずは、夫婦別姓などの事例に関してあげます。
これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあるので、その記事のURLを以下に掲載します。
選択的夫婦別姓を明記 第3次男女共同参画基本計画策定に向け答申―日本解体始動!!ゆとり教育の二番煎じになるか?
選択的夫婦別姓制度に関しては、反対派が多数を占めているが、賛成派も多い・・・・・ |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事の中からアメリカの夫婦別姓に関するものをピックアップして、以下に掲載します。
さて、この選択的夫婦別姓に関しては、米国では、現在の日本と同様、結婚によって夫婦は同じ姓になりますが、婚前の姓をミドルネームと言う形で残すのは、普通のことのようです。「私のパパの名前をミドルネームにして使っているの」という女性も多いです。米国では、法律では夫婦別姓に関して決まりはありません。
ところが、米国では1960年代からいわゆるリベラリスト(自由主義者)らによるフェミニズムの影響で、男性からの経済的自立で女性は自由を得るという生き方が吹聴され、夫婦別姓や事実婚を推奨する運動が盛んでした。
だから、アメリカでは働く女性が自分の旧姓を名乗り続けるなどのことが、珍しくないことになっていました。あるいは、実質的には夫婦関係にあるにもかかわらず、結婚せずに、夫婦別姓で、いわゆる事実婚という形をとるカップルも増えました。ところが、この法律にもとづかない実質的な夫婦別姓制度が大きな不幸をもたらしました。
夫婦別姓、女性の社会進出、子育ての外注化という流れの中で米国では多くの男性が妻と子供を扶養する責任を感じなくなっていきました。離婚や未婚の母が増加し、家族という生活の基礎的な基盤を失って苦しむ子供たちが急増しました。皆さんご存知でしょうが、現在アメリカで結婚したカップルのうち、半数以上が離婚します。半数以上ですよ!米国では、離婚は当たり前のことになってしまいました。近いところでは、あのおしどり夫婦で有名だったアル・ゴア氏の離婚が有名ですね。
ペンシルベニア州立大学ポール・アマト教授は「安定的な結婚を1980年の水準まで上昇させれば、停学になる子供を50万人、非行、暴力行為に走る子供を20万人、心理療法を受ける子供を25万人、喫煙する子供を25万人、自殺志向の子供を8万人、自殺未遂の子供を2万8千人、それぞれ減らせる」と警鐘を鳴らしました。
「家族の絆(きずな)」よりも「個人の意向」を優先する社会-。これが何をもたらしたか。米国の女性たちは既に教訓を得ました。「(米国女性は)過去25年間で初めて女性の就労率が下降し、女性の86%が『仕事よりも家庭が大事だ』と思っている」(2002年3月12日付『USAトゥデー』)
日本は米国の過ちを繰り返すのでしょうか?米国でのこうした、法律で定められていない、ライフスタイルにもとづく夫婦別姓がこれだけ社会に大弊害をもたらしているのです。日本が法律に基づく夫婦別姓を導入したら一体どういうことになるのでしょうか?
米国での、法律に基づかないライフスタイルとしての夫婦別姓が、このような結果を生んでしまったということを、先の学識者らで構成する男女共同参画会議傘下の専門調査会は知らないのでしょうか?一体専門家とはどういう人達なのでしょうか?さて、選択的夫婦別姓に関しては、民主党政権時代には、法制化の動きもありましたが、結局は見送られました。しかし、選択的夫婦別姓に関して、未だ賛成している政治家も一定数存在します。マスコミにもそのような意見の人も多いようです。
そういう人たちは、アメリカの失敗事例を良く学んでいるのでしょうか。そうではないようです。そもそも、アメリカで法制化もされていない、選択的夫婦別姓をわざわざ、法律にする必要など全くありません。さらに、アメリカでは法制化もしてないのに、「夫婦別姓、女性の社会社会進出、子育ての外注化」という一時の流行で大失敗しているわけです。
この記事は、民主党政権時代に掲載したものなので、法制化の可能性もあっので、その場合は、「ゆとり教育」の二番煎じになる可能性があると論評しました。
私自身は、昨今の若い女性の場合は、社会新種するよりも、結婚したがる人のほうが多いという現実もあるので、女性の社会進出しゃにむに進めることには反対です。
家事に集中したい人は、それに集中し、働きたい人がいれば、働けば良いのだと思います。アメリカの失敗でアメリカ人が学んだように、「家族の絆」よりも「個人の意向」を優先する社会は失敗するのです。
だから、日本では、もっと家庭の重要性や、家事労働の価値を高める必要があると思います。その上で、働きたいと思った女性が働き易い環境を整えていくべきものと思います。
ノルウェー国旗をデザインした水着の女性 |
だからこそ、ノルウエーの事例のように、女性の閣僚や、女性の取締役が多いということだけでそれを単純に良いこととみなして、女性の社会進出を促すという名目だけで、クオータ制を導入するなどの論議はやめていただきたいです。
その前に、日本では、働きたい女性が働けるようにするために、取り除かなければならない、大きな障害があります。これを取り除かない限りは、日本で女性の社会進出などいつまだたっても、促されることはありません。
それは、何かといえば、デフレです。デフレと女性の社会進出に関しては、日本では全く関係のないものと受け取られているようです。特に、政治家、官僚、マスコミなどには全くその意識はないようです。だから、これらの人たちの中には、平気で増税を推進しようとする人々が大勢います。
デフレを解消して、緩やかなインフレになれば、間違いなく雇用は増大します。雇用が増大すれば、慢性的な人手不足になります。そうなれば、当然のことながら、今までは労働力とみなされなかった女性も労働力とみられるようになり、女性の社会進出が促されます。
それに対応して、女性の就業者の実数が増えれば、女性の正社員や、役職者になる確率は高まります。そうして、役員になる人も増えてきます。
これなしに、いくらいろいろな制度をいじくってみたところで、女性の社会進出はうながされません。
実際に、独女と言われる人たちの現在の境遇をみてみれば、それは良く理解できます。
それに関しては、このブログにも掲載したことがありますので、その記事のURLを以下に掲載します。
働けども独女の暮らし楽にならず!?:―【私の論評】そろそろ真実に目覚めても良いのでは?
詳細は、この記事をご覧いただくものとて、いわゆる独女と言われる人たちは、独身ですから、働きたいと思っている人が多く、実際に勤めている人が多いのですが彼女たちの暮らしは、デフレの現在働いていてもなかなか良くなりません。
このような状況に至るのは、様々な原因がありますが、最も大きな要因はデフレであることをこの記事では主張しました。
実際そうです、どこの国でも、不景気やそれよりももっと悪い状態のデフレの場合などには、雇用状況が悪化し、最も大きく悪影響を被るのは、社会的には弱い立場にある若者や、女性です。特に、若い世代の女性には一番悪影響があります。
日本は、つい最近までは、デフレスパイラルのどん底に沈んでいましたし、昨年からは日銀が、金融緩和に転じたので、一時雇用状況が改善されましたが、今年4月からの増税で、消費や雇用に関する指標なども、金融緩和を実施し始める前の水準に戻ってしまいました。
これでは、女性の社会進出など促されるはずがありません。全く逆のことをしています。
若い女性の就業を支援する「しごとラボ」 デフレで雇用情勢が悪ければ、このようなラボを利用しても無意味?! |
そうして、社会進出が進んだとしても、それだけでは社会は良くならないということです。アメリカはその失敗を体験しています。
そういうことなど、アメリカの事例など見ていれば、良くわかるはずなのに、政治家やマスコミではそのようなことも確かめもせず、愚かなことを繰り返しています。
以上の話は、外国の事例など先行事例があるものの話ですが、驚いたことに最近の政治家や、官僚、マスコミなどは、古今東西に先行事例など全くないような事柄を奇妙な理屈で推進して大失敗をしているし、これからもしそうなりそうです。
それは、はっきりしています。デフレのときの金融引締め政策や、増税です。
しかし、それを反証するような事例は、ごまんとあります。デフレや景気が落ち込んでいるときに、金融緩和をしたり、減税して成功した事例は、古今東西にいくらでもあります。
また、マクロ経済学という学問でも、不況になった場合は、金融緩和政策や、積極財政をしなさいと教えています。まちがったも、金融引締めや、緊縮財政をやれと教えてはイません。
その格好の事例としては、日本の昭和恐慌(世界恐慌の日本での呼び名、原因はデフレであったことが1990年台の研究で明らかにされている)からの素早い脱却です。
これに関しては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
ポール・クルーグマンの新著『さっさと不況を終わらせろ』−【私の論評】まったくその通り!!
高橋是清 |
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事ではポール・クルーグマンの主張である、不況のときには、金融緩和と積極財政して、すみやかに不況状態をぬけるべきであるという趣旨の書籍『さっさと不況をおわらせろ』の概要と、その格好の事例として高橋是清による昭和恐慌対策について掲載しました。
高橋是清は、デフレ対策として、金融緩和と、積極財政を実行したため、世界で一番はやく、日本は世界恐慌から脱却することができました。
今から80年前の日本の事例です。その他にも、古今東西を調べれば、このような事例はたくさんあります。ただし、デフレなのに金融金融引き締めや、増税で成功したという事例は皆無です。
古今東西の事例をみないか、みても中途半端で失敗するというのは、日本の政治家・官僚・マスコミが何度となく繰り返したきた習性です。これからも繰り返し続けるのでしょうか?
本当は、彼らはまずは日本の社会・経済を良くするために存在しているはずです。それが出来ないというのなら、存在価値はないと思います。
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
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