2016年3月19日土曜日

英国高速鉄道に日立製作所の新型車両「あずま」 ロンドンで公開、2018年に運行―【私の論評】鉄道発祥のイギリスが日本の車両を導入する一方インドネシアは中国の新幹線劣化コピーで頓挫(゚д゚)!


18日、ロンドンで公開された日立製作所製の英鉄道車両「ヴァージン アズマ(あずま)」
英鉄道会社ヴァージン・トレインズは18日、日立製作所から納入された「都市間高速鉄道計画(IEP)」の「ヴァージン・あずま」を、ロンドン市内のキングス・クロス駅で公開した。日立製作所が笠戸事業所(山口県)で製造して英国内で試験走行してきた高速鉄道車両「クラス800」で、2018年からロンドンと英北部スコットランドのインバネス間で運行を開始する。

ヴァージン・トレインズによると、イースト・コースト本線を走行することから日本語で東を意味する「あずま」と名付けられた。日立製作所が開発した新型車両で、コンパクトなデザインで最新の省エネ技術を取り入れた駆動システムを採用、運転速度は最高で時速125マイル(201キロ)。設計上時速140マイル(225キロ)まで出せる。

電化区間は架線から電力供給し、非電化区間は床下のエンジンと発電機ユニットから電力供給できる「バイモード技術」を採用、電化・非電化両区間の直通運転ができる。日立製作所は「軽量化など日本で培ってきた技術が生かされている」とアピールした。

ヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏は、「『あずま』によってイースト・コースト本線は21世紀の英国で最も洗練された先進的な路線となる」と語った。

公開された車両は、昨年1月英国に搬送され、試験走行を実施。同社は、英運輸省からIEP向けに122編成(866両)を受注しており、このうち12編成分(76両)は笠戸事業所で製造、残る110編成分(790両)は英中部ダラム州ニュートン・エイクリフで今年初めから本格稼働を始めた車両製造工場で順次製造する。

その他同社では「クラス800」を2017年からグレート・ウエスタン本線で営業運転を開始する。

ヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏は、「『あずま』によってイースト・コースト本線は21世紀の英国で最も洗練された先進的な路線となる」と語った。

リチャード・ブランソン氏
 公開された車両は、昨年1月英国に搬送され、試験走行を実施。同社は、英運輸省からIEP向けに122編成(866両)を受注しており、このうち12編成分(76両)は笠戸事業所で製造、残る110編成分(790両)は英中部ダラム州ニュートン・エイクリフで今年初めから本格稼働を始めた車両製造工場で順次製造する。

その他同社では「クラス800」を2017年からグレート・ウエスタン本線で営業運転を開始する。

【私の論評】鉄道発祥のイギリスが日本の車両を導入する一方インドネシアは中国の新幹線劣化コピーで頓挫(゚д゚)!

上の記事だけを読んでいると、イギリスの鉄道事情に詳しくない方だと、よくわからないと思いますので、以下にその概要を解説します。

イギリスは、国鉄が1社あるわけではなく、20社以上の会社がそれぞれ独立運営しています。

イギリスの国内線はすべて全席自由席です。本来、乗車券のみ(指定券不要)で乗車可能。たとえ満席でも立って乗車可能です。

必ず座りたい方は駅窓口で座席を予約して無料の指定券をもらうことも可能です。ただ、イギリスの鉄道は座席指定が最初からできない鉄道会社(8社(下記参照))も存在します。

以下に、イギリスの主な鉄道路線図を掲載しておきます。

London発着の主な路線図


ChilternRailwaysAbellioGreterAnglia
VirginTrainsSouthWestTrains
LondonMidlandsTrainsFirstGreatWestern
VirginEastCoastSouthern
GrandCentralSouthEasternTrains
FirstHullTrainsThameslink
GreatNorthern/Thameslink
マーク:事前予約可能

ブログ冒頭の記事に出てくる、ヴァージン・トレインズによると、イースト・コースト本線は、上のチャートでは、黄緑色の線です。たしか、インバネスまでは行っていないはずで。この路線の終着駅は、エジンバラで、そこからはスコットレイルに乗り換えて、インバネスまでいくはずだと思います。

VirginEastCoastが延長して、インバネスまで行くようになったのでしょうか。しかし、それも変です。この路線図は最新のもののはずです。このあたり、ご存知の方がいらっしゃったら是非教えて下さい。

London発着以外の主な路線図


ScotrailLondonMidlandsTrains
CrossCountryEastMidlandsTrains
FirstTrainsPennineExpressFirstGreatWestern
ArrivaTrainWalesNorthernRail
VirginTrains
マーク:事前予約可能








それにしても、鉄道の先進国どころか、生みの親であるイギリスに鉄道後進国の日本の日立の車両が用いられるというのですから、これは素晴らしいことです。

確か、商用鉄道としては、 1825年イギリスのストックトン・ダーリントン間を結ぶ鉄道が世界初だったはずです。

このようなイギリスの鉄道会社で日立の車両が用いられるというのですから、本当に日本の技術水準は高いのだと思います。

日立といえば、日本の新幹線の車両も製造しています。やはり、イギリスのような島国の場合、日本の新幹線のような高速鉄道が適しているのだと思います。

フランスには最高時速500kmもだせる、TGVがあります。しかし、フランスなどヨーロツパ大陸は山岳地帯のスイスなどを除いては、平地が多く鉄道路線も直線部分が多いし、高低差もあまりありません。だからこそ、500kmも出せるのです。ただし、これは、後に述べるように試験車では、それだけ出そうと思えば出せるということです。

日本の新幹線は、TGVのように高速は出せませんが、それは日本の国土の特殊事情によるところが大きいです。日本は、狭い国土で、平地も少なく、線路もどうしても曲がりが多く、高低差が激しいです。このようなところでは、時速500Kmも出すのは非常に危険です。

だからこそ、現状の最高速度は320Kmに制限してあるのです。そうして、実際の営業時の最高速度は、時速300kmです。そもそも、駅間が相当広くないとメリットがあまりないので、この位の速度にとどめてあるのです。

なお、試験車では、700系の先行試験車である300Xが営業線での高速走行試験で443.0Km/h、フランスのTGV-Atrantiqueが、やはり試験車両で建設中に515.3km/hを達成しており、これが国内外の最高速度記録です。フランスの記録はき電電圧のアップ、下り勾配の利用等特別な条件での結果であり、営業運転で採用できる方法ではありません。

営業運転で一番最高速度が高いのは、300km/h運転の500系新幹線電車です、営業運転ではTGVも同じく300km/hです。これ以上速度を増すとすれば、やはりもう、現状の方式で無理で、リニアモーターカーということになるでしょう。

細かい説明は、しませんが、輸送効率ということになると、やはり日本の新幹線が世界でトップということになります。

それに、安全性も実証済みです。日本の新幹線は、阪神淡路大震災でも、東日本大震災においても、大事故になるということはありませんでした。さらに、事故率は世界で一番少ないです。

新幹線の人身事故といえば、三島駅乗客転落事故と、これは記憶に新しい、昨年6月東海道新幹線の車内で焼身自殺を図った男のせいで、女性の乗客が1名亡くなられた他、十数名の重軽傷者が出るなどしたとても痛ましい事件くらいなものです。

この事件があったときの、ツイートを以下に掲載します。
しかし、これは新幹線の安全性の問題ではなく、あくまで人為的なものです。新幹線の安全性や、信頼性は、これらの事件で揺らぐことはありませんでした。

だからこそ、イギリスのヴァージン・トレインズも日本の日立の車両に決めたのは、もっともなことだと納得できます。

鉄道発祥のイギリスの鉄道会社が新幹線の技術を持つ日本から車両を導入するというのに、あのインドネシアはどうしてしまったのでしょう。

今日もインドネシアの高速鉄道に関して以下のようなニュースが入ってきました。
中国ようやく5キロ区間だけ建設許可 受注のインドネシア高速鉄道 残る区間なお買収めど立たず 
 インドネシア運輸省は19日までに、ジャワ島の高速鉄道計画(全長142キロ)を担う合弁会社「インドネシア中国高速鉄道」に対し、設計図が提出された5キロの区間の建設認可を出した。残る137キロの区間については必要資料が提出され次第、順次審査するという。 
 同社は認可を得た区間の工事を近く始める予定で、2019年初旬に完工、同年5月に開業するとしている。だが、残る区間の認可がいつ出るのかがはっきりしない上、用地買収のめども立っておらず、計画の先行きにはなお不透明感が漂う。 
 同計画では今年1月に着工式典が行われたが、運輸省の許可が下りず、工事は始まっていなかった。
なんと、たった5キロ区間ですよ、50キロでなくて、5キロです。これって、高速鉄道で走ったら、どのくらいで走り抜けてしまうのでしょうか。ほんの一瞬ですね。

なんということでしょう。 今からこの有様では、これから一体どのくらいかかるのか、想像もつきません。

やはり、中国は海外で事業を展開するのは、無理なのだと思います。中国のアフリカ投資は、のきなみ失敗しています。それは、おそらく、海外での事業の展開も、国内でやるように、地元民のことなど何も考えず、自分たちの都合で、ただ箱物を作るという具合にすすめるからです。

しかも官僚の鶴の一声でやってきたので、何でも自分勝手にすすめることができのですが、他国ではそうはいかないということだと思います。本来まともな国なら、地元の人々の意見も聴きながら、地元に役立つようにしようとするのですが、中国の場合はそんなことは一切考慮せず、自分たちの都合だけで、実施したきたので、相手のニーズを汲み取るなどということが一切できないし、相手と一緒に作りあげるという観念がないのだと思います。

それに、イギリスのヴァージン・グループの創設者で会長のリチャード・ブランソン氏は、中国の高速鉄道など、日本の新幹線の劣化コピーに過ぎないことを当然知っているのだと思います。

そんなところから、導入すれば、安全性は極度に低いですし、たとえ安く導入できたとしても、安全性の面からいえば、やはり安物買いの銭失いということになりかねません。

インドネシアのジョコ大統領は、まさに安物買いの銭失いをしたと思います。


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2016年3月18日金曜日

【お金は知っている】消費増税の災厄もたらす御用学者と無責任議員 自身の「誤り」にダンマリ ―【私の論評】増税推進派の似非論評に騙されない方法(゚д゚)!

【お金は知っている】消費増税の災厄もたらす御用学者と無責任議員 自身の「誤り」にダンマリ 

衆院第1委員室に到着し、質問者の民主・野田佳彦前首相(左)とあいさつ
しながら着席する安倍晋三首相=国会内で2016年2月19日午後0時58分

来年4月に予定されている消費税率10%への引き上げの中止は既成事実化しつつあるが、小欄や産経新聞などで消費税増税中止を主張してきた拙論はそれでよしとするつもりはない。デフレ下の増税・緊縮財政という国際的に見れば非常識きわまりない判断を繰り返す日本の経済知性の貧困さは解消しそうにないのだ。

たとえば、消費税増税を首相に勧めてきた日本の経済学者・エコノミストの財務省寄りの主流派多数が、自らの「誤診」についてダンマリを決め込んでいる。かれらは、増税による景気への打撃の深刻さやデフレ圧力の大きさを軽視し、2014年4月からの消費税率5%から8%への引き上げばかりか、民主党・野田佳彦政権時代の3党合意通り税率10%への再引き上げを15年10月から実施せよと安倍晋三首相に進言したのだった。

首相はそれを押し返し、17年4月に先送りしたのだが、景気条項を外してしまった。景気が悪かろうと、再延期はしないと約束させられたわけである。

8%への増税後、家計消費は低迷を続け、実質経済成長率は14年度に続き15年度もマイナスに陥りそうな情勢だ。この状況は橋本龍太郎政権による1997年度の消費税増税・緊縮財政後と重なる。国内総生産(GDP)の6割を占める家計が増税で痛めつけられる。さらに、アジア通貨危機という外部からのショックの追い打ちをかけられて企業の設備投資意欲が冷え込み、慢性デフレが始まり、現在に至る。

12年12月に発足した第2次安倍政権が打ち出したアベノミクスによって景気は浮揚しかけたが、またもや消費税増税と緊縮財政で失速させてしまった。

東大教授を中心とする主流派学者たちにはふんだんに国家予算をあてがわれている。財務官僚が仕切る政府の諮問機関のメンバーとして経済・財政政策に少なくない影響力を持っている。I教授は8%増税時には「増税しなければ国債相場が暴落する」と騒いだ。

財務官僚上がりの黒田東彦(はるひこ)日銀総裁はそれに唱和して国債相場暴落時には、日銀として対応できない、と首相に警告した。首相は専門家の見解を無視できず、前述したように17年増税に向け「不退転の決意」を示さざるをえなかった。

御用学者以上に責任が重いのは、政権と与野党を含む政治家である。日本経済再生不能の最大の犠牲者は現役、さらに次世代であるからだ。

ところが野党第1党の民主党執行部は野田前政権の増税法案という失政にほおかむりしたい。だから増税中止を言い出せないただの烏合(うごう)の衆である。内閣官房参与の浜田宏一エール大学名誉教授は10%への税率引き上げについて、「今の政権ではない人が主に決めたこと。増税したら船がガクっとくることがわかっている時に、3年前の船長と約束したのだからやりましょう、とは言えない」と語った(14日付ロイター)。

安倍首相は増税凍結を宣言すればよいだけだが、それだけでよいはずはない。 (産経新聞特別記者・田村秀男)

【私の論評】増税推進派の似非論評に騙されない方法(゚д゚)!

上の記事で、"日本の経済学者・エコノミストの財務省寄りの主流派多数"といわれる人たちのうちでも、より罪の重いと思われる、経済学者のリストについては、以前もこのブログに掲載したことがあります。そのリストを再度以下に掲載します。

「震災復興にむけて」
共同提言者・賛同者(2011年6月15日10:00現在)(敬称略)

伊藤 隆敏 (東京大学)
伊藤 元重 (東京大学)
浦田 秀次郎 (早稲田大学)
大竹 文雄 (大阪大学) 
齊藤 誠 (一橋大学)
塩路 悦朗 (一橋大学) コメント土居 丈朗 (慶応義塾大学)
樋口 美雄 (慶応義塾大学)
深尾 光洋 (慶応義塾大学)
八代 尚宏 (国際基督教大学)
吉川 洋 (東京大学)

(★印のついた方は「第3提言の賛成は留保」)
青木 浩介 (東京大学)
青木 玲子 (一橋大学)★ コメント赤林 英夫 (慶應義塾大学)
安藤 光代 (慶應義塾大学)
井伊 雅子 (一橋大学)
飯塚 敏晃 (東京大学)
池尾 和人 (慶應義塾大学)
生藤 昌子 (大阪大学) コメント石川 城太 (一橋大学)
市村 英彦 (東京大学)★ コメント伊藤 恵子 (専修大学)
岩井 克人 (国際基督教大学)
祝迫 得夫 (一橋大学)
岩壷 健太郎 (神戸大学)
宇南山 卓 (神戸大学)
大来 洋一 (政策研究大学院大学) コメント大野 泉 (政策研究大学院大学) コメント大橋 和彦 (一橋大学) コメント大橋 弘 (東京大学) コメント岡崎 哲二 (東京大学) コメント小川 英治 (一橋大学)
小川 一夫 (大阪大学)
小川 直宏 (日本大学)
翁 邦雄 (京都大学)★ コメント翁 百合 (日本総合研究所)
奥平 寛子 (岡山大学)
奥野 正寛 (流通経済大学)
小塩 隆士 (一橋大学)
小幡 績 (慶應義塾大学)
嘉治 佐保子 (慶應義塾大学) コメント勝 悦子 (明治大学) コメント金本 良嗣 (政策研究大学院大学)
川口 大司 (一橋大学) コメント川﨑 健太郎 (東洋大学) コメント川西 諭 (上智大学) コメント北村 行伸 (一橋大学)
木村 福成 (慶應義塾大学)
清田 耕造 (横浜国立大学)
清滝 信宏 (プリンストン大学)
國枝 繁樹 (一橋大学)
久原 正治 (九州大学)
グレーヴァ 香子 (慶應義塾大学) コメント黒崎 卓 (一橋大学)
黒田 祥子 (早稲田大学)
玄田 有史 (東京大学)
鯉渕 賢 (中央大学)
小林 慶一郎 (一橋大学) コメント小峰 隆夫 (法政大学)
近藤 春生 (西南学院大学)
西條 辰義 (大阪大学) コメント櫻川 幸恵 (跡見学園女子大学)
櫻川 昌哉 (慶應義塾大学) コメント佐々木 百合 (明治学院大学) コメント佐藤 清隆 (横浜国立大学)
佐藤 泰裕 (大阪大学)
澤田 康幸 (東京大学)
清水 順子 (専修大学) コメント新海 尚子 (名古屋大学) コメント鈴村 興太郎 (早稲田大学 / ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ) コメント清家 篤 (慶應義塾大学)
瀬古 美喜 (慶應義塾大学)
高木 信二 (大阪大学)
高山 憲之 (一橋大学)
武田 史子 (東京大学)
田近 栄治 (一橋大学) コメント田渕 隆俊 (東京大学)
田村 晶子 (法政大学)
田谷 禎三 (立教大学)
中条 潮 (慶應義塾大学) コメント筒井 義郎 (大阪大学)
常木 淳 (大阪大学)
釣 雅雄 (岡山大学)
中田 大悟 (経済産業研究所)
中村 洋 (慶應義塾大学) コメント長倉 大輔 (慶應義塾大学)
畠田 敬 神戸大学
林 文夫 (一橋大学)
原田 喜美枝 (中央大学)
深川 由起子 (早稲田大学) コメント福田 慎一 (東京大学)★
藤井 眞理子 (東京大学)
藤田 昌久 (経済産業研究所)
星 岳雄 (UCSD)
細田 衛士 (慶應義塾大学)
細野 薫 (学習院大学) コメント堀 宣昭 (九州大学)
本多 佑三 (関西大学) コメント本間 正義 (東京大学)
前原 康宏 (一橋大学)
松井 彰彦 (東京大学)★
三浦 功 (九州大学)
三重野 文晴 (神戸大学)
三野 和雄 (京都大学)
森棟 公夫 (椙山女学園)★ コメント柳川 範之 (東京大学)
藪 友良 (慶應義塾大学)
山上 秀文 (近畿大学) コメント家森 信善 (名古屋大学)
吉野 直行 (慶應義塾大学)
若杉 隆平 (京都大学)
和田 賢治 (慶應義塾大学)
渡辺 智之 (一橋大学)

以 上
なお、このリストは、このブログに掲載した、高橋洋一氏の記事から引用したものです。
その記事のURLを以下に掲載します。
増税勢力はこうして東日本大震災を「利用」した~あの非情なやり方を忘れてはいけない―【私の論評】財務省、政治家、メディアの総力を結集した悪辣ショック・ドクトリンに幻惑されるな(゚д゚)!
被災地にかがみこむ若い女性
このリストそのものは、東日本震災の復興のために、復興税を用いるべきであると、積極的に提言したか、そこまでいかなくても、賛同した人たちです。このリストには、無論、上の記事で田村秀男氏が、I教授とした方も実名で含まれています。

そうして、このリストに含まれている人々は、その後8%増税を積極的に導入せよと提言した人々や、そこまでしなくても、賛同しました。

このリストを見て、自分の母校の教授などの名前が含まれていません。本当に良かったと思います。まあ、母校の経済学の先生たちは、単に経済学では主流派ではないということだけなのかもしれませんが、少なくとも、復興税などという、非常識で古今東西に例を見ない、愚かな提言などしていなかったことを知り、何やら誇らしい気持ちになりました。

さて、以下には、一昨年の8%増税のに関する意見を聴いた有識者会議に参加した人々のリストです。賛成、反対、条件付き賛成、賛否の表明なしの項目で分類してあります。



一昨年の消費税が8%に引き上げられた事は記憶に新しいです。その増税によって景気が非常に悪化した事は、現在では周知の事実です。

平成14年には、一時統計上では、「東日本大震災以上、リーマンショックに次ぐ」景気悪化がありました。下げ幅だけ見れば、あの悲惨なリーマンショック以上の景気悪化に見舞われたのです。

しかし、これは未だ序の口でしかありませんでした。結局今年度も10月-12月期はマイナスで、通年でもマイナスになりそうな状況です。今後さらに景気が悪くなりそうです。これは、消費税が5%に引き上げられた時もそうでした

税収増をお題目に8%へ引き上げられた消費税ですが、このままだと、日本経済が縮小して、税収は自然減を迎えるこになるでしょう。

賛成者は経済界の大物、国際資本関係者など、利権を食い漁って来た連中が多いです。彼らは己が利益の為に増税に賛成をし、なおかつ増税されても自分自身は、痛くも痒くもない人間達なのでしょう。

しかし、いわゆる民間エコノミストの中には、嘘を付き、過ちを謝罪せず、のうのう居座っている連中もいます。以下のような連中です。
熊谷亮丸(大和総研チーフエコノミスト)
武田洋子(三菱総研チーフエコノミスト)
菅野雅明(JPモルガンチーフエコノミスト)
高田創(みずほ総合研究所チーフエコノミスト)
熊谷亮丸

彼らが何をいい、何を間違ったか。そしてこの景気悪化を目前にしつつも、未だに増税に賛成という許すべからざる行為を行っているエコノミストがいるという事。

そもそも民間エコノミストとは、国が富むことにより、顧客にも富んでもらうため、に正しい政策提言を行い、間違った政策があれば批判を加える事が本来の使命だと思います。

経済予測だけエコノミストの仕事ではないはずです。とはいいながら、彼らの場合は、経済予測すら外しているので、全く論外です。しかも、あまりにも常識からかけ離れているということで、箸にも棒にもかかりません。こんな連中が、したり顔で、日々日本経済や金融について語っている事自体が全く信じられません。

国を貧しくし、顧客や潜在顧客等に対しても貧しくなるような道筋を作った人間達は、しかるべき批判を加えなければなりません。

有識者会議にて増税に反対したのは、片岡剛士氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング主任研究員)等、たったの六人です。

今の日本では、経済に関してはこのような非常にお粗末な状況です。大学・大学院の教授や民間エコノミストがこの体たらくです。

このような状況だからこそ、過去の日本は失われた20年というとんでもない停滞状況を迎えてしまったのです。そうして、愚かな消費税増税や、愚かな金融引き締めさえしなければ、日本はあのようなひどい停滞をしなかったはずです。

このようなことになってしまっのか、昨日のこのブログでは、以下のように掲載しました
最近の日本では、「体系知」を体得していない人々が増えたのだと思います。そのためでしょうか、過去の日本は、失われた20年というとんでもない状況に見まわれ、停滞しつづけました。
その記事のリンクを以下に掲載します。この記事をまだ読まれていない方は、是非ご覧になってください。
二度の世界大戦で敗れたドイツが、それでもヨーロッパの「頂点」に君臨し続ける本当の理由
ドイツのメルケル首相(左)は理系、フランスのオランド大統領は文系
 詳細は、 この記事をご覧いただくものとして、体系知とは、ドイツの大学の改革を行った、シュライエルマッハーによる概念です。体系知についてのみ以下にコピペしておきます。
シュライエルマッハーの考え方は、「知は体系知でなければ意味がない」というものです。オタクのように、断片的な知識を山ほど持っていても意味はない。それらの知識がどう関係しているのか。そうした「体系知」を体得しないと、知は完成しないという考え方です。
 8%増税など、平気で推進した人々のうち、本来指導的立場にある人たちは、それなりに頭もよく、優秀なはずなのに、なぜこのような誤りをおかしてしまったかといえば、彼らはそれなりに専門知識などは持っているのでしょうが、残念ながら、「体系知」を持っていないのだと思います。だから、平気あのような酷いことをしでかすのです。

上の記事で、私は「このリストを見て、自分の母校の教授などの名前が含まれていません。本当に良かったと思います」と掲載しました。

これは、おそらく偶然ではないと思います。私は大学を受験するときには、意図的に理系を選択しました。理系でも、理系中の理系である、理学部を選びました。

なぜそのようなことをしたかといえば、文系の大学や、総合大学の文系には、とんでもない教授がいることがおうおうにしてあるからです。はっきりいえば、いわゆる、反日的であるとか、左翼思想にどっぷりつかった連中です。

大学自体もなるべく、文化系に学部にもなるべくそういう人がいない大学を選びました。そうして、理系に進んだのは、こういう連中の感化を受けるのは絶対嫌だったからです。そうはいいながら、教養課程においては、文系の科目も履修しなければなりません。ですから、文系の科目を選択するときには、徹底的に担当教授の実績や、思考傾向など調べあげました。

その結果、自分の水準で、偏りがないと思われる人の科目しか履修しませんでした。そのせいですか、大学生活を日々清々しく過ごすことができました。

私の出身大学の経済学部の教授の名前が、先のリストに掲載されていないのには、そのようなことも関係しているのかもしれません。無論、私が学生だった頃は、随分昔なので、このリストに掲載されている人たちに習うなどということはないでしょうが、それにしてものリストに掲載させている人たちの、先生に習う可能性は十分あったと思います。

いずにせよ、習うべき先生をこのように選ぶということを真剣に行えば、多少とも「体系知」に近づくことができるのかもしれません。私の「体系知」など、非常に範囲も狭くて、お恥ずかしいものなのですが、それにしても、社会人になってから、大学で習ったことも随分役立ちました。

少なくとも、私のように、大学などで、受動的に学ぶだけではなく、習う先生を出来る限り、選ぶということで、体系知に近づくことはできるのだと思います。

ただし、どうしても入りたい大学に、とんでもない教授がいて、その教授の科目を履修しなければならない場合など、本当に辛いことだと思います。しかし、そん場合でも、きっと体系知を身に付ける方法はあるのだと思います。

たとえば、とんでもない教授の授業を受けざるをえなくても、ただ単に、受動的に授業を受けるのではなく、その教授の授業を鵜呑みにするのではなく、いわゆるクリティカル・シンキング(批判的思考)を持って受けるということが考えられます。


そうすることにより、批判的思考ながら、その教授の思考を徹底的に学び、試験や小論文では、無論、満点が取れるように頑張り、しかし、結果として、面従腹背で、クリティカル・シンキングの方法を徹底的に身に付けるなどのことが考えられます。

そうして、その他にも、昨日も示したように、体系的な読書をして、これはと思う人と、書籍の内容について話し合いをするなどのことをすれば、きっと、体系知の真髄を体得でき、それこそ、増税派の人々が一見まともなことを言っていたとしても、それに惑わされようなこともなくなると思います。

特に、体系的な読書をして、良い人に巡り合えれば、大学や大学院に行かなくても、「体系知」を体得し、知を完成できる機会を得ることができると思います。

たとえば、あのYouTuberとして有名な、Kazuyaさんなど、そうかもしれません。彼は、高卒だそうですが、それこそ、並の大学院卒の人などよりも、はるかに優れているところがあります。おそらく、読書など結構されているのだと思いますし、それに倉山満氏という人物に巡り会えたことが、彼をして「体系知」を体得させることにつながっているのだと思います。

倉山満氏(左)、Kazuya氏(右)
安倍総理は、長期政権を築くことができれば、増税を推進した財務省の高級官僚や政治家、増税推進一色だったマスコミ、上記の2つのリストに掲載されている人や、このリストから漏れている人でも、増税を推進したり、それに賛同した人たちをその罪の重さに準じてそれ相当の処断を何らかの方法でしていただきたいものです。

これを曖昧にしてしまい、そのようなことをしなければ、いつまたとんでもない経済政策が実行されて、日本が再び停滞することになってしまいかねないと思います。そうしてて、私たち自身も、ありとあらゆる方法をとって、似非論評には騙されないようにすべきものと思います。

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2016年3月17日木曜日

二度の世界大戦で敗れたドイツが、それでもヨーロッパの「頂点」に君臨し続ける本当の理由―【私の論評】「知覚」に鋭敏な日本人がドイツ流「体系知」を身につけたら世界最強になる?

二度の世界大戦で敗れたドイツが、それでもヨーロッパの「頂点」に君臨し続ける本当の理由


佐藤優直伝・社会人のための「教養」講座 現代ビジネス


ドイツのメルケル首相(左)は理系、フランスのオランド大統領は文系

20世紀は「ドイツの時代」

今、日本では大学教育改革が話題になっています。文部科学省は、「人文系を軽視しているわけではない」と言いながら、ごく一部の超エリート校だけを文理両方を教える総合大学とし、あとは○○大学という名前だけ残して、事実上の専門学校として再編しようと考えているようです。

しかし、本当に人文系の知識は役に立たず、経済学や工学などの「実学」といわれる学問だけが重要なのでしょうか。この講座には「役に立つ教養」という言葉が入っています。今回は、国際社会の中で教養が果たす役割について考えてみましょう。

近現代史の第一人者である、イギリスの歴史家エリック・ホブズボームは、「20世紀はドイツの時代だ」と述べています。

ドイツは、19世紀末から後発の工業国として急速に国力を増してきました。20世紀に入り、この新興国をどうやって取り込むかという問題に直面した世界は、2度の世界大戦を経て、どうにか軟着陸に至った。これが20世紀最大の事件であり、歴史の主役はドイツだったということです。

今、ミュンヘンのレストランで、ビールとシュニッツェル(カツレツ)を注文するとしましょう。

おそらく、その店の経営者はドイツ人で、清掃係はかなりの確率でチェコ人かハンガリー人です。カツに使われている豚肉はハンガリーから輸入されていて、そのハンガリーの養豚場で働いているのはウクライナ人が中心。豚のエサもウクライナから来ているはずです。

つまりドイツは、2度の世界大戦に敗れたにもかかわらず、ヨーロッパの中でドイツ人を頂点としたシステムを作り上げた。EUの統合通貨ユーロも、ドイツの通貨マルクを拡大させたものとみることができます。

では、なぜドイツは勝者になれたのか。見逃せないのが、大学教育です。ドイツの大学教育は、ヨーロッパにおけるライバル・フランスの教育とは対照的でした。

フランスでは19世紀初頭、ナポレオンによって学校改革が行われ、大学は徹底した実学重視になりました。神学や文学なんて教えるのはやめて、工学・経済学・軍事学などの実学だけにせよ、と。今も、フランスの国立大学のほとんどには神学部がありません。

ナポレオン 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
一方、ドイツでは今でも、神学部がないと総合大学を名乗ることができない。ドイツがなぜ神学を重視するかというと、「目に見える世界だけでなく、目に見えない世界を学んでこそ、知はバランスを保てる」という考え方があるからです。こうした考え方をドイツに定着させたのが、18世紀から19世紀にかけて活躍した、フリードリヒ・シュライエルマッハーという神学者でした。

シュライエルマッハーの考え方は、「知は体系知でなければ意味がない」というものです。オタクのように、断片的な知識を山ほど持っていても意味はない。それらの知識がどう関係しているのか。そうした「体系知」を体得しないと、知は完成しないという考え方です。

ベルリン大学の神学部長だったシュライエルマッハーは、専門科目を教える教授にも教養科目を受け持たせた。そうしてさまざまな学問の交流をはかり、生きた「体系知」を生み出してこそ、初めて大学の存在意義があると彼は考えたわけです。

これが19世紀ドイツの大学教育をつらぬく方針になったのですが、実は21世紀の現在も、これと同じような考え方にもとづいて教育を実践している国があります。そう、アメリカです。

例えば、ハーバード大学の学部では教養重視の授業が行われていて、専門的なことは基本的に大学院で学びます。昔のドイツの大学と同じようなシステムです。ちなみにハーバード大学の授業料は年間7万ドル。日本円にするとおよそ800万円で、当然、ここで学べるのは富裕層の子供たちだけです。

日本が目指すべきもの

フランスのような実学志向ではなく、教養を中心とした「体系知」を重んじたドイツは、20世紀の主役となった。21世紀の今も、ヨーロッパでは「ドイツの世紀」が続いていると言っても過言ではないでしょう。

この実例から分かることは、すぐに役に立つ「実学」は、短期的に、あるいは狭い範囲でしか役に立たず、一見すると役に立たなそうに見える「教養」こそが、案外役に立つことがあるということです。

私たちは普段、無意識のうちに、合理主義や近代的なものの見方にもとづいて行動しています。国と国の関係においても、国際法や国家の主権があることが、自明の前提になっている。

ところが世界には、この前提が通用しない地域も珍しくありません。例えば、中東で起きているイスラム教シーア派とスンニ派の紛争の背景には、近代以前の世界観が横たわっているといえます。

今年1月、サウジアラビアとイランが国交を断絶しました。きっかけとなったのは、昨年、サウジアラビアのメッカ近郊で起きた巡礼者の将棋倒し事故です。

日本ではあまり報じられていませんが、この事故で2000人以上が亡くなり、うち400人以上がイラン人でした。激怒したイラン最高指導者のハメネイ師は、「サウジに責任を取らせる」と言っています。

ところが、イランとサウジが国同士のレベルでは国交断絶しても、サウジはイランからの巡礼者を受け入れ続けています。ということは今後、メッカでイランとサウジの巡礼者がいつ大規模な衝突を起こしてもおかしくないわけです。

しかし「聖地巡礼」となると、その瞬間に、イスラム教徒の中では近代、すなわち国家という枠組みとは全く異なるスイッチが入ってしまうのです。

近代合理主義だけでは捉えきれない、この世界の成り立ちと、どう向きあっていけばよいのか。少なくとも、日本人がちやほやする「実学」だけでは、とうてい太刀打ちできません。「実学」には、限界があるのです。

【私の論評】「知覚」に鋭敏な日本人がドイツ流「体系知」を身につけたら世界最強になる?

確かに、「実学」だけではどうにもならないことがあります。特に、企業の中で働くにしても、作業や仕事レベルまでは「実学」だけでどうとでもなるのですが、本当の意味で顧客を知る、顧客の変化を知る、自分たちの顧客は誰かという根源的な問題を考える上では、「実学」だけではあまり役に立ちません。

いくら、昔ならとても扱えないような巨大なデータを集めて、これまた一昔前までは、考えられないような高度な処理能力を持つコンピュータで解析しても、自分たちの顧客を知ることはできない場合もおうおうにしてあります。

特にイノベーションを起こすときには、そのようなことが言えます。今までの延長線上で物事を考え、それを改善するというのなら、巨大データを集めて、コンピュータで解析すれば、答えは出るかもしれません。しかし、今までの延長線上にはないイノベーションを起こそうとするときには、それだけではどうにもなりません。

イノベーションのための7つの機会
出典:P.F.ドラッカー著『イノベーションと企業家精神』を基に藤田 勝利 氏が作成
その時には、知覚がものをいいます。イノベーションは分析だけで行なうことはできません。そもそもイノベーションに対する社会のニーズは分析では知ることはできません。

イノベーションの成果が、やがてそれを使うことになる人たちの期待、価値、ニーズにマッチしうるかは知覚によってしか知ることはできません。

そうして、知覚とは、 思慮分別をもって知ること。「物の道理を知覚する」という時の知覚と、目、耳、鼻、皮膚などの感覚器官を通して外界の事物や身体内部の状態を知る働きの両方を意味します。

そうしてそれを知覚することによって、初めて、それを使うことになる人たちが利益を見出すには何が必要かを考えられるようになります。これを考えられなければ、せっかくのイノベーションも間違ったかたちで世に出てしまうことになります。

イノベーションに成功する人は、右脳と左脳の両方を使うのです。数字を見るとともに人を見るのです、人の集まりである社会を見るのです。どのような、イノベーションが必要かを分析をもって知った後、実際に外に出て、知覚をもって顧客や利用者を知るのです。知覚をもって彼らの期待、価値、ニーズを知るのです。そうして、はじめて、イノベーションに成功するのです。

このようなことをするときに、「実学」だけでは、知覚もって顧客や利用者を知ることはできません。

ブログ冒頭の記事で示されていた、シュライエルマッハーの考え方は、「知は体系知でなければ意味がない」というものでした。断片的な知識を山ほど持っていても意味はないのです。それらの知識がどう関係しているのか、そうした「体系知」を体得しないと、知は完成しないというものです。

フリードリヒ・シュライアマハー

知識は、高度化するほど専門化します。そうして、ある専門知識は、他の専門知識と結合するとき爆発してとてつもない力を発揮します。そのため、多様な専門知識への理解が不可欠です。このよらうに、自分の専門外の知識を持つ人こそ、知識社会における教養ある者人と呼ぶことができます。

ただし、専門知識のすべてに精通する必要はありません。しかし、それらのものが何についてのものか、何をしようとするものか、中心的な関心事は何か、中心的な理論、問題、課題が何かは知っておくべきです。だからこそ、幅広い本当の意味での教養が必要なのです。

しかし、専門知識を一般知識へと統合できない教養課程や一般教養は、教養ではありません。本当の意味での、教養は相互理解をもたらすこと、文明が存在しうるための条件である対話の世界を造り出すことができるものです。そうして、はじめて、知識は「体系知」となり、完成するのです。

確かに、今の日本の大学で行われている教養課程は、専門知識を一般知識へと統合できない部分があり、そのため、「体系知」を体得できず、知を完成させていない学生も多いのかもしれません。

最近の日本では、「体系知」を体得していない人々が増えたのだと思います。そのためでしょうか、過去の日本は、失われた20年というとんでもない状況に見まわれ、停滞しつづけました。

その主たる原因は、あまりにも長い間、デフレを放置してきたことです。そうして、このデフレの根本原因は、バブル期には土地や株式などの資産価格はあがっていたものの、一般物価はさほどでもなかったものを、日本銀行が金融引き締めに転じたことが、最初のきっかけでした。

その後も、日銀は長い間、金融引き締めを続け、さらに消費税の増税を二度にわたって、行い、日本はデフレスパイラルの泥沼に沈むとともに、超円高に苦しむことになりました。

日銀が、金融緩和に転じたのは、2013年からでした。しかし、それもつかの間、その後には、平成14年4月からは、8%増税が実施され、ご存知のように経済は停滞しています。愚かなエコノミストなどは、この経済の停滞を増税以外のせいにしています。まったく、愚かな連中です。こういう連中が、それこそ、日本の失われた20年の原因を創りだしたのです。彼らは、真の意味での教養のある人間ではないのです。

このようなことは、日本で多くの人、その中でも特に大学以上の学歴を持つ人々の多くが、「体系知」を体得していれば、起こらなかったものと思います。

そもそも、マクロ経済に関して多少の知識があれば、不景気のときには、金融緩和と積極財政を行うべきことは基本中の基本です。間違っても、金融引き締め、緊縮財政などすべきでないことはすぐに理解できます。

仮に、マクロ経済を勉強なかったにしても、過去の歴史を紐解けば、日本が世界恐慌(日本では、昭和恐慌と呼ばれ、その原因は1990年代の研究でデフレが原因であったことが明らかにされている)から金融緩和策、積極財政で世界で一番はやく脱却したことからも、理解できるはずです。

さらに、この歴史的事実を知らなくても、江戸時代の経済対策を遡れば、経済対策として、いわゆる節約令を出したものはのきなみ全部失敗しています。

成功した事例としては、「元文の改鋳」があります。江戸時代中期に徳川吉宗が行った緊縮財政(享保の改革)により日本経済はデフレーションに陥いりました。そこで町奉行の大岡忠相、荻生徂徠の提案を受け入れ政策転換し、元文元年(1736年)5月に元文の改鋳を行いました。改鋳は差益を得る目的ではなく、純粋に通貨供給量を増やすことが目的でした。現在でいえば、日銀による増刷に相当するものです。

元文の改鋳で鋳造された金貨
元文の改鋳は現在では、幕府初のリフレーション政策と位置づけられ、日本経済に好影響をもたらした数少ない改鋳であると積極的に評価されています。元文の通貨は以後80年間安定し続けました。江戸の経済対策というと、なにかといえば儒教思想にもとづく倹約道徳にもとづく、吉宗が行ったような緊縮財政であり、いわゆるこの事例のような、金融緩和策は数少ない成功事例の一つです。

たとえ、これを知らなくても、日本が増税を決める直前のEUをみれば、イギリス、スペイン、イタリア、ポルトガルなどの国々が景気が悪い中で、増税で失敗していました。


それに、現在でなくても、過去を調べれば、古今東西を通じて、デフレや不景気のときに、増税して、成功した国などありません。

これらのことを知っていれば、あるいは知らなくても調べれば、増税などすべきなどという考えにはならないはずです。さらに、金融政策についても同じことです。景気の悪いときに、金融引き締めを行って成功した国など古今東西存在しません。

にもかかわらず、いわゆる財務省の官僚や、いわゆる経済アナリスト、経済学者などで、増税や金融引き締めをすべきとした人たちは、軒並み無教養の謗りをうけても仕方ないです。そういう無教養な人が日本には、大勢います。

なぜ、そのようなことになってしまったのかといえば、やはり、高校や大学での教育の仕方にも問題があったものと思います。

そもそも、最近の金融政策や、財政政策の有り様を知るためには、過去のそれがどうなっているのか知らなければならないですが、高校ではそれを知る機会は、日本史や、世界史の現代史の部分にあたるのでしょうが、その部分は教科書の後ろのほうにあるし、それに、試験にはあまり出ないといいうことで、しっかりとは教えられていないようです。

実際に、金融アナリスやエコノミストと呼ばれる人でも、過去の経済対策に関する知識を持っている人は驚くほど少ないです。これらの人の多くは、せいぜい数ヶ月か、半年くらいの状況をみて判断していて、短期では予想が的中することもありますが、長期の予想はことごとく外してしまいます。とくに、増税の判断ではそうでした。

それに、今の日本の大学の教育で、それぞれの先生たちは、努力して教えたにしても、システム的に専門知識を一般知識へと統合できない教養課程になってしまっています。

そうして、大学生のほうも、結構厳しい受験勉強が終わって、緊張から開放され、教養の過程は、あまり勉強せず、高校生のときに蓄えた知識にブラスアルフアで、留年しない程度にしか勉強しません。学部に入ってから専門知識は、ある程度は勉強するようですが、教養過程はないがしろにされがちです。

この状況では、日本はいずれドイツの後塵を拝するようになりそうです。やはり、日本でも、真の教養というものを身につけさせるため、専門知識を一般知識へと統合できるようにして、多くの学生たちに「体系知」を体得させ、知を完成させるか、その端緒を築けるようにすべきものと思います。

さて、ここまではドイツの優れたところを掲載してきましたが、以下には、日本の優れたところを掲載します。

先に、イノベーションにおいては、知覚が重要であるということを掲載しました。実は、日本人の強みは、この「知覚」なのです。経済学の大家ドラッカー氏は、日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には“知覚”の能力があるとしています。

ドラッカー氏
ドラッカー氏は、「分析に対置するものとしての知覚こそ、実に一〇世紀以降の日本画における継続的な特性である」と語っています。(『すでに起こった未来』)

日本の歴史と社会についての第一人者、エドウィン・O・ライシャワー元駐日大使が、その著『ザ・ジャパニーズ』において、日本は第一級の思想家を生み出していないと言ったとき、ドラッカー氏は、日本の特質は“分析”ではなく、“知覚”にあると言ってくれました。

ドラッカー氏は、中世における西洋最大の偉業、トマス・アクィナスの『神学大全』に対置するべきは、宮中の愛と病と死の描写からなる世界最高の小説、紫式部の『源氏物語』だといいます。

近松門左衛門の文楽と歌舞伎は、カメラとスクリーンこそ使いませんでしたが、高度に映画的だともいわれます。登場人物は、何を言うかよりも、どう見えるかによって性格づけされます。誰も台詞は引用しないのですが、場面は忘れません。

近松は、映画のための道具はなに一つ使わずに、映画の技法を先取りしていました。役者が不動の形を取る見得は、まさに映画のクローズアップそのものです。

歌舞伎の見得(みえ)
ドラッカー氏の洞察は、日本の近代社会の成立と経済活動の発展の根底には、その伝統における知覚の能力があると看破しました。これによって日本は西洋の制度と製品の本質を把握し、再構成することができたといいます。日本の真価はこの知覚の能力にあるのです。

ドラッカー氏は、以下のようにも語っています。「日本について言える最も重要なことは、日本は知覚的であるということである」(『すでに起こった未来』)

日本人には、このように知覚に優れているからこそ、失われた20年を経たあとでも、なんとか国を維持して来れたのだと思います。他の国であれば、20年近くも、緊縮財政、金融引き締めを続けていれば、完璧に破綻しています。

日本人である多くの人は、自らの知覚能力があまりに当たり前になっていて、その高さを意識していないようですが、外国人と比較すると日本人の知覚能力は高いようです。ただし、それが最近では悪い方面にもでているようです。

知覚に頼りすぎて、分析をせず、それこそ、先に述べた増税せよ、金融引締せよなどとのたまっていたエコノミストのような人々もいます。

私自身は、日本人の多くは、外国人と比較すれば、知覚に優れていると思います。たとえば、日本人なら、虫の鳴き声を聴いて、元気な声とか、うら寂しいなどと感じますが、多くの外国人にとっては、虫の声は単なる雑音に過ぎないようです。

それに、現在世界でトレンドになってる、和食など、知覚に鋭敏な日本人だからこそ、できたものです。ドイツの食べ物は、日本と比較すると、味付けも大雑把で、季節感にも乏しく、本当に食べ物であって、和食のように見たり、香りを楽しんだり、出汁などの微妙な味付けを楽しむようなものではありません。

典型的なドイツ料理 日々このような食事では確かに知覚は研ぎ澄まされない?
それに、対人関係に関しても、日本人からすると、かなり大雑把で、あまり相手の感情など知覚できないようです。そのためですか、何でも細かなとこまで話し合いをしようとします。

ドイツ人などと話していると、あまり知覚に鋭敏でないようで、日本人ならば話さなくてもわかりそうなところも、合理的な判断にもとづく話し合いをするので、彼らの合理性にはほんとうに辟易とするところがあります。

これに対して、日本人は、もともと知覚が優れた日本人の子孫として生まれたので、子供の頃からそのような環境に育ち、自然と知覚が研ぎ澄まされていったものだと思います。

日本人として生まれた私たちは、知覚に優れているという生来の能力を最大限に活かすべきものと思います。そうして、ドイツ人のように、専門知識を一般知識へと統合し、「体系知」を体得し、知を完成するか、完成のための端緒をつかむには、何も大学でそのような教育を受けられなかったからといって、悲観する必要はありません。その方法は、あります。それは、「読書」です。読書の習慣をつけることです。それも、できたら体系的な読書をすべきです。

そうして、ドイツ人の「体系知」を体得できた日本人は世界最強になれるかもしれません。

それについては、ここで述べだすと長くなりますので、また機会があれば、改めて掲載したいと思います。

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2016年3月16日水曜日

【動画付き】アルゼンチン沿岸警備隊が中国漁船を撃沈 違法操業で「警告無視」―【私の論評】トランプ米大統領が誕生すれば、日本は安保でアルゼンチンなみの国になれる(゚д゚)!

【動画付き】アルゼンチン沿岸警備隊が中国漁船を撃沈 違法操業で「警告無視」



15日のAP通信などによると、南米アルゼンチン沖の南大西洋で、同国の沿岸警備隊が排他的経済水域(EEZ)内で違法操業中の中国船とみられる大型漁船を発見した。同船は停船命令に従わず、抵抗するなどしたため、沿岸警備隊は警告の上で発砲、漁船は沈没した。

船長ら乗組員全員は保護され、身柄を拘束された。沿岸警備隊を管轄するアルゼンチン海軍の発表では、違法操業をみつけたのは14日。沿岸警備隊の警告に対して、漁船は無視して船体を巡視船に衝突させようとしたほか、公海への逃亡を図った。

拘束されているのは船長を含め4、5人という。船員らは今後アルゼンチン当局から取り調べを受ける。アルゼンチン海軍が外国船籍の船艇を沈めたのは15年ぶり。現場は同国中部のプエルト・マドリン沖という。

沈没した漁船には、「魯煙遠漁10」の船名が表示されていた。この船名は、中国・山東省の煙台にある漁業会社に所属するものと同一。同社のホームページでは、所属漁船がアルゼンチン沖ではイカ漁などを行っているとしている。

アルゼンチン沖ではこれまでにも外国漁船の違法操業が問題となっていた。

【私の論評】トランプ米大統領が誕生すれば、日本は安保でアルゼンチンなみの国になれる(゚д゚)!

下にさらに、別の動画を掲載しておきます。アルゼンチン側としては、ここで見逃せば、また同じことの繰り返しになると判断し、撃沈に踏み切ったものと思います。


撃沈した場所は、以下の地図の赤丸印の地点です。


上の地図の赤丸付近を拡大したのが、以下の地図です。

アルゼンチン側は、200海里領海内で、中国漁船を撃沈しています。今頃、船員らはアルゼンチン当局から取り調べを受けていることでしょう。そうして、アルゼンチンの法律に基づき裁判が行われ、それ相当の刑罰に処せられることでしょう。

今回は、アルゼンチン側は、中国漁船を撃沈はしたものの、乗組員は全員生存の模様です。これは、当然のことながら、ある程度手加減したのでしょう。

それに当然のことですが、ブログ冒頭の動画では、アルゼンチンの沿岸警備隊が警告射撃をしているのが、映されています。最初は警告し、次に警告射撃をして、それでも言うことを聞くどころか、漁船は無視して船体を巡視船に衝突させようとしたほか、公海への逃亡を図ったので撃沈に踏み切ったということです。

アルゼンチンがこのような行動をとるのは、国際常識です。日本でもこれに近いことはありました。以下の動画を御覧ください。


日本海上保安庁広報用の国籍不明(北朝鮮)の工作船の追跡ビデオです。平成13年(2001年)映像です。海上保安庁の巡視船は、不審船に向けて威嚇射撃を行いましたが、最終的に国籍不明船は、自爆して沈没しましたもし自爆していなければ、撃沈もありえたものと思います。

このようなことは、国際的にはよくあることです。2009年2月には中国の貨物船がロシアの軍艦の銃撃を受け、ウラジオストック付近で沈没し、8人の乗員が行方不明となり、船長はロシア国内で起訴されました。しかし、この事件に関して北京は、ただ低級レベルでの『交渉』を行っただけでした。その動画を以下に掲載します。


ロシア極東海域で2009年2月、中国の貨物船「New Star」がロシア軍沿岸警備隊の銃撃を受け複数の船員が死亡する事件が起き、ロシア­政府は同年2月19日、責任は貨物船の船長にあると非難しました。

これに先立って中国政府は同日、ロシア側に対し、事件の徹底調査と行方不明者の捜索を­求めていました。

露インタファクス通信(Interfax)によると、「New Star」は中国船籍で、中国人10人、インドネシア人6人が乗り組み、シエラレオネ­国旗を掲げていました。ロシアの報道によれば、「New Star」はナホトカ(Nakhodka)に寄港した際に密輸の容疑で出航を認められ­ず、強引に出航したといいます。事件で乗組員8人が死亡したとされますが、中露両当局は確認­してませんでした。

ロシア外務省はロシア通信(RIA Novosti)に対し、威嚇射撃などあらゆる手段を取ったにもかかわらず、貨物船が­指示に従わず航行を続けたと説明。「悲惨な結末を遺憾に思う。しかし、責任は、全く無­責任な行動を取った貨物船の船長にある」と述べました。

インターネット上で公開された事件の様子を映したとされる映像には、ロシア沿岸警備隊­の隊員とみられる男の声が繰り返し「New Star」に停止を呼びかける声が録音されています。また、中国国営紙「環球時報(Gl­obal Times)」は、沿岸警備隊は貨物船に対し、500回以上も発砲したと報じています。

この2つの銃撃は、無論何の問題にもなりませんでした。日本の海上保安庁が銃撃した、北朝鮮籍とみられる不審船に関しては、日本側が、北朝鮮のものと見られるなどと公表しても、北朝鮮側は、何の反応も示しませんでした。国際的に何も問題になりませんでした。

ロシア軍に撃沈された中国船に関しても、中国側がロシア側に抗議をするということもなく、無論国際問題になることも、戦争になることもなく、今日に至っています。

このような例は、探せばまだまだあります。ある国が、領海内で不審船や、不審な行動をする外国艦船を見つけた場合、前もって、呼びかけたり、臨検しようとしてもさせないで逃亡したり、それどころか中国線のように体当たりしようとしたりした場合、警告射撃などしても、逃亡したりする場合、警告射撃した後に、射撃などで撃沈されても、外国船の乗組員はもとより、その船の所属する国からも何ら非難される筋合いはありません。

尖閣付近で日本の海上保安庁の船が中国船に体当たりされたときにも、アルゼンチンの沿岸警備艇のように、日本の巡視船も、銃撃すれば良かったのです。それで、死者が出ても、それは中国船の船長の責任です。

そうして、これは、軍事的にも同じことです。日本の領海に中国の軍艦などが、侵犯をした場合など、警告するなどのきちんと国際的に認めらた手続きにしたがって、しかる後に撃沈すれば、国際的に非難されることも、中国と戦争になるなどということもありません。

なぜなら、それが国際常識だからです。中国がそれに従わないというのなら、何隻でも沈めれば良いだけです。

アメリカも、南シナ海で、そのような行動をとれば良いのです。周辺諸国の、特に領海を主張する国の了解をとって、実際に撃沈したり、爆撃したりすれば良いのです。そうされたら、中国にはなすすべはありません。

トランプ氏が大統領になれば、このような主張をして、実際に行動を起こすかもしれません。

昨日は、トランプ氏が大統領になった場合、最も大きな影響を受けるのは、米国でも、中国でなく、日本であるということをこのブログに掲載しました。

トランプ氏
そうして、日本が最も大きな影響を受けるのは、日米安保条約であることも述べました。詳細は、昨日の記事をご覧いただくものとして、ここでは、詳細は説明しませんが、これは日本が普通の国なること、少なくとも、ドイツなみの国になるためのチャンスかもしれません。

実際、これは本当なのかどうか、確かめられないのですが、日本国内のサイトを見ていると、トランプ氏が、討論会で、「中国が日本の船を撃沈させても関与しない」と語ったそうです。これが事実かどうか別にして、トランプ氏ならいかにも言いそうな台詞です。

保守論壇の方々からは、そのような論評は全くみられませんが、それはトランプ氏がまともではないとの風評によるものでしょうか。

私自身は、トランプ氏は、いたってまともだと思います。ただし、彼は当然のことながら、普通の政治家とは異なります。彼は、実業家として、1兆円もの資産を築いた人間です。

彼は、巧みに、ごくほんの一部のエスタブリッシュメントの都合の良いように、作られたアメリカに怒る、エスタブリッシュメント以外の人々のこの不満を利用して、したたかに、大統領選を有利に戦っています。実業家として、鍛えぬかれた、抜群の交渉力により、他の候補を翻弄しています。

支持者に向かって演説するドナルド・トランプ氏。会場では「サイレント・マジョリティーは、
トランプとともに立つ」というプラカードが目立つ昨年10月31日、米バージニア州ノーフォーク
アメリカのエスタブリッシュメントには、中国がいずれ民主化するとみなし、中国をアメリカの重要な将来のパートナーであるとみなす人が多いです。また、アメリカでは、大統領ですら、エスタブリッシュの操り人形に過ぎないとする人も多いです。このようなことと、オバマの外交オンチの及び腰が積み重なり、最近では、中国、北朝鮮、ロシアなどを増長させてしまいました。これも、エスタブリッシュメント以外の人々に不興を買っています。

トランプ氏は、エスタブリッシュメントはアメリカでもごく少数であるという事実を逆手にとり、エスタブリッシュメント以外の人々の支持を獲得するための巧みな戦略を実行しています。実際、エスタブリッシュメントだけの支持を得るより、経済的中間層の人々を含むエスタブリッシュ以外の人々の大きな支持を得られたら、かなりの力になります。

日本では、保守派の方々はもとより、それ以外の方々も、何やら、トランプ氏のことを色眼鏡で見ているような気がします。

しかし、トランプ氏が大統領になった場合、昨日このブログで述べたように、日本に対して、日米安全保障条約の改定を迫る可能性は非常に高く、もしそうなった場合、これは、ひよっとして、日本がまともな国になる千載一遇のチャンスかもしれないと、みなすべきと思います。

特に、保守派の人々はそうみなすべきです。トランプ氏が大統領になれば、まずは憲法解釈を変えて、日本がドイツなみの普通の国になれる可能性が高まります。そうして、それを橋頭堡として、改憲も視野に入れることができるようになると思います。

トランプ米大統領が誕生すれば、日本が安保でアルゼンチンなみの国になれるかもしれません。アルゼンチンといえが、かつてフォークランド紛争であの大英帝国と、戦った国です。このブロクにも述べたように、世界には、先進国と日本とアルゼンチンと、発展途上国しかありません。


この意味するところは、世界には、先進国と発展途上国しかないが、例外があるということです。その例外とは、日本とアルゼンチンです。日本は、かつて発展途上国だったのが、先進国に仲間入りしました。アルゼンチンはこれとは、逆にかつて先進国だったのが、後に発展途上国に仲間入りしています。

今の日本は、アルゼンチンと比較すると、経済的には比べ物にならないほど豊かになりましたが、安全保障の面では、世界有数の軍事力を持っていながら、発展途上国のアルゼンチンよりも、劣る、自国を満足に防衛もできないような国になってしまいました。

トランプ大統領の誕生は、日本に大きな転機をもたらすかもしれません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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