2016年6月2日木曜日

【石平のChina Watch】怪しげな国際会議…中国政府・軍の「沖縄分断工作」に警戒せよ―【私の論評】中国の国家戦略に乗って踊る愚かな人々(゚д゚)!

【石平のChina Watch】怪しげな国際会議…中国政府・軍の「沖縄分断工作」に警戒せよ

米軍普天間飛行場の移設先、辺野古沿岸部の制限区域に入り海上
保安庁の船に囲まれる反対派のカヌー=平成27年、沖縄県名護市
 先月17日配信の琉球新報ネット記事によると、「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」が同16日までに中国・北京で開かれたという。主催者は中国戦略・管理研究会、北京大学歴史学部などである。

 日本の沖縄をテーマとした「国際会議」が、那覇でもなければ東京でもなく、中国首都の北京にて開催されたのはいかにも奇妙な出来事である。さらに不可解なのはその中身だ。同じ琉球新報記事によると、会議において「沖縄の自己決定権や米軍基地問題、独立などをめぐって意見を交わした」という。

 沖縄の「米軍基地問題」や「独立問題」は言うまでもなく、日本の国防・主権に関わる重大問題である。このような問題が、中国という第三国の研究機関主催の会議で議題にされたことは異常というしかない。日本の内政に対するあからさまな干渉でもある。

 さらに問題視すべきなのは、会議の筆頭主催者となった「中国戦略・管理研究会」である。中国の場合、名称に「中国」と冠することのできる機関は中央政府直属の組織である場合が多いが、上述の「研究会」は政府のどこの所属であるか、いっさい明らかにしていない。研究会の本部は中国政府が国賓を迎えるための「釣魚台国賓館」に住所を置いているから、それが普通の「研究機関」でないことは明らかだ。

研究会の理事会の構成を見ると、国防相を務めたこともある人民解放軍の元上将など、大物軍人が名を連ねているから、この研究機関の背後に中国軍があることはよく分かる。

 そして、中国政府・軍をバックにしたこの怪しげな研究機関の主催で、沖縄の「米軍基地問題」や「独立問題」を討議する「国際会議」が開かれたわけだ。それはどう考えても、中国政府と中国軍の戦略的意図に基づく高度なる「沖縄工作」の一環であろう。

 「国際会議」といっても、参加者は中国側のメンバー以外には、日本からの沖縄関係者ばかりだ。その中には、琉球新報東京報道部長、沖縄タイムス学芸部記者など県内のマスコミ関係者や、「琉球独立」と「全米軍基地撤去」を一貫して主張している沖縄国際大教授や龍谷大教授などの研究者が含まれている。

 参加者のひとりの教授に至っては、2014年に中国戦略・管理研究会のホームページに寄せた論文において、「われわれの目的は琉球の独立だけでなく、軍事基地を琉球から全部撤去させることだ」と宣言している。今回の国際会議においても、「全基地撤去」を前提とした論文を発表したという。

 もちろん、沖縄を日本から切り離して「独立」させることと、米軍基地を沖縄から追い出すことは、中国の国益と戦略にとってこの上なく望ましい展開となるから、中国政府と中国軍をバックにした件(くだん)の研究機関が、同じ政治主張の沖縄マスコミ関係者や日本人学者を招聘(しょうへい)して「国際会議」を開くことの意図は明白であろう。

 中国政府と軍による「沖縄分断工作」は、今や堂々と展開されている。

 問題は、中国側の工作が実際、どれほどの効果を上げているかであるが、ここではひとつ、事実関係だけを指摘しておこう。

 「米軍基地問題」を討議した北京国際会議から1週間もたたぬうちに、沖縄で元米兵の女性暴行・殺害事件が発生した。それをきっかけに、北京の国際会議に参加者を出した琉球新報と沖縄タイムスが旗振り役となって、「全米軍基地撤去」を求める運動を展開し始めた。

 北京会議とこの運動の間に果たして関係があるのか。それはむしろ、当事者たちが答えるべき問題であろう。

                  ◇

【プロフィル】石平

【私の論評】中国の国家戦略に乗って踊る愚かな人々(゚д゚)!

昨年4月茨城県護国神社の神前で突如始まった謎の舞

以下に、ブログ冒頭の記事にもでてきた、「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」に関する琉球新報の記事を以下に掲載します。
沖縄を平和の拠点に 北京の研究者会議 自己決定権、米軍基地で議論 
琉球と中国の交流史などについて議論する研究者ら=16日、中国北京市の北京大
【北京で新垣毅】沖縄、中国双方の研究者らが琉球・沖縄史や中国との交流史を議論する「第2回琉球・沖縄最先端問題国際学術会議」(中国戦略・管理研究会、北京大学歴史学部、北京市中日文化交流史研究会主催)は最終日の16日、中国の北京大学で沖縄の自己決定権や米軍基地問題、独立などを巡って意見を交わした。その中で、中国の研究者から沖縄の自己決定権行使に理解を示す意見が聞かれた。双方の発表者から、沖縄は東アジアの平和的要、交流の拠点として重要との意見が相次いだ。 
 最終日は、比屋根照夫琉球大名誉教授や又吉盛清沖縄大客員教授ら沖縄側7人、中国側12人、日本本土から2人が研究成果などを報告した。
比屋根照夫琉球大名誉教授 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 比屋根氏は近代沖縄の知識人がアジアをどう見ていたかについて報告。「沖縄ほど抑圧の歴史を分かる人々はいない」と述べた。又吉氏は「沖縄戦の被害が大き過ぎて沖縄では戦争の被害の側面ばかり言われているが、加害責任も追及されねばならない。東アジアの人々と共通認識を持つためにも必要だ」と話した。 
又吉盛清沖縄大客員教授
 八重山郷土史家の大田静男氏は尖閣諸島問題に触れ「小さな島から見えることは、未来に向かって国民国家の壁を取り払い、共同体社会をつくり上げる必要性だ」と主張した。 
八重山郷土史家の大田静男氏
 松島泰勝龍谷大教授は「先住民族としての琉球人の自己決定権行使」、友知政樹沖縄国際大教授は「全基地撤去後、全補助金撤廃後の琉球・沖縄経済に関する一考察」と題し発表した。 
松島泰勝龍谷大教授
 新垣毅琉球新報東京報道部長は、なぜ沖縄で自己決定権が叫ばれているかを説明。「日中の紛争が起これば沖縄は真っ先に戦場になる。両国、あるいはアジアの懸け橋になる資格があるし、役割を果たせる。そのためにも自己決定権が重要だ」と強調した。吉田伸沖縄タイムス学芸部記者は在沖米軍基地の現状を解説し、日本本土側の無関心を批判した。
新垣毅琉球新報東京報道部長
吉田伸沖縄タイムス学芸部記者
この会議、石平氏が指摘しているように、学術会議などと銘打っていますが、そうではないことはすぐにわかります。学術会議なら出席者はほとんどが学者のはずですが、そうではありません。

また、上記で学者である人々の主張もこの会議での主張はおかしなものですが、そもそも普段から学者らしくない発言を繰り返しています。まずは、比屋根照夫琉球大名誉教授の過去の発言を見てみましょう。


上の写真は、沖縄タイムスの過去の記事です。オスプレイの沖縄配備一年を記念して、沖縄タイムスは「識者談話」というコラムを連載しました。上の記事では、比屋根照夫琉球大学名誉教授(七十四)の談話を掲載していました。比屋根琉大名誉教授の専門は沖縄近代思想史です。

上の記事で、比屋根教授は以下のように述べています。

オスプレイ配備に反対して、昨年の県民大会から普天間飛行場のゲート封鎖、今年の全市町村による東京行動へと続いた一連の運動は、一九五〇年代の土地接収に対する島ぐるみ闘争を想起させた。戦後六十八年間続く占領状態の不条理に対し、沖縄は非暴力で抵抗してきた。
比屋根氏は琉大の名誉教授です。彼は学者です。政治家でもなければ市民運動家でもありません。学者であるなら事実を客観的に把握することがなによりも大切なはずです。主観で判断するのは学者として失格です。ところが比屋根名誉教授の談話は主観だらけであり、学者というより革新政治家といったほうが良いです。いや、政治家ではなく政治屋のほうがよりふさわしいかもしれません。

比屋根氏は一九五〇年代の土地接収に反対する運動を「島ぐるみ闘争」と断定していますが、現実には土地接収反対運動は宜野湾の伊佐浜と伊江島の二か所だけで起こったのであり、ほとんどの土地接収はスムーズに行われました。市民運動家ならまだしも、学者である比屋根氏が「島ぐるみ」と何の疑問もなく言い放つのはどうだろうか。「島ぐるみ」は学者としての発言としては、全く不適切なものです。

それに、そもそもオスプレイ批判など、全く不合理です。これに関しては、このブログでも何度か掲載しているのでここでは掲載しません。この記事末尾のほうの【関連記事】のほうにその記事を掲載しますので是非ご覧になってください。

松島泰勝龍谷大教授に関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「スコットランド独立」は他人ごとでない 沖縄の日本からの分離独立、法的に可能か―【私の論評】日本にとって、沖縄独立は虚妄に過ぎず、スコットランド独立は対岸の火事。しかし、台湾独立それに続く他の中国自治区等の独立は十分にあり得る話(゚д゚)!

 詳細は、この記事をご覧いただくものとしてこの記事は、2014年9月18日のものであり、ちょうどスコットランドで、独立の是非を問う住民投票があったときの直前のものです。

この記事では、スコットランド独立運動と沖縄独立運動を対比して、沖縄独立も対岸の火事ではないとするJキャストニュースの元記事に関して、論評したものです。結論としては、スコットランド独立は、日本にとって対岸の火事であるというものです。そもそも、アンケートでは沖縄県民のほとんどが、独立には反対です。

この記事では、「琉球独立への道」などの著書がある龍谷大学の松島泰勝教授は、週刊誌「アエラ」2013年6月24日号のインタビューで以下の様に答えていたことを掲載しています。
独立に必要なのは住民の意志と国際社会の承認だけで、日本の承認はいりません。
しかし、皆さんもご存知のようにスコットランドは独立しませんでした。当然といえば、当然かもしれません。

それに、もし中国が熱心に沖縄独立運動を推進したとすれば、自己矛盾に至ります。それはこの記事でも掲載したことですが、そもそも、中国は終戦直後から版図を広げて、そもそも、異民族の別の国である満州、チベット、ウイグル、内蒙古などに侵略しています。

以下にこの記事にも掲載した現在の大陸中国である、中華人民共和国が建国直後の版図を示す地図を掲載します。


満州は現在は、中国の東北地方となっています。内モンゴルは内モンゴル自治区となっています。チベットはチベット自治区になっています。ウィグルは新疆ウイグル自治区になっています。

こんなことをしておきながら、沖縄の独立を推進するというのでは、全くの自己矛盾です。

中国が国家がらみで、沖縄に関する国際会議を北京で開催するというのは、日本がこれら自治区などに関する国際会議を東京で開催するのと同じようなものです。これは、完璧な内政干渉です。

それに、沖縄県民のほとんどは、独立の意思などないですが、これらの自治区などはアンケートをとれば、ほとんどの自治区の人民が独立したいとの意思を示すことでしょう。無論こんなことは、わかりきっているので、中国共産党はこのようなアンケート調査をしたことはありませんし、これからもないでしょう。

こんなことから、そもそも、松島泰勝龍谷大教授の発言も矛盾しています。

この国際会議に参加した、他の学者や、ジャーナリストも似たり寄ったりです。

さらに、沖縄の県民は、遺伝的にも日本人であり、中国人や韓国人とも遺伝的には遠い存在であることが、遺伝学的に確かめられています。それに関しては、過去のこのブログにも掲載しました。その関係の記事を【関連記事】のところに掲載します。これも是非ご覧になってください。

そうして、石平氏も指摘しているように、北京会議と、会議の後に1週間もたたないうちに発生した沖縄の女性遺棄事件の直後から展開された「全米軍基地撤去」運動の間に何らかの関係があるのではないかと疑われても致し方ないと思います。

いずれにしても、この国際会議に出席した人々、中国による「日本と沖縄の分断工作」という国家戦略にのせられて踊っている愚か者のようにしか私には見えません。

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【沖縄リポート】沖縄県民も違和感を覚える女性遺棄事件の政治利用 兼次映利加氏―【私の論評】惻隠の情を忘れた暴挙は、多くの日本人の共感を得ることはできない(゚д゚)!



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2016年6月1日水曜日

【沖縄リポート】沖縄県民も違和感を覚える女性遺棄事件の政治利用 兼次映利加氏―【私の論評】惻隠の情を忘れた暴挙は、多くの日本人の共感を得ることはできない(゚д゚)!

【沖縄リポート】沖縄県民も違和感を覚える女性遺棄事件の政治利用 兼次映利加氏

島袋里奈さん(20)が行方不明になったときに沖縄県警が公開した顔写真
沖縄県うるま市で女性会社員(20)が遺体で見つかった事件で、元米海兵隊員で軍属のシンザト・ケネス・フランクリン容疑者(32)が死体遺棄容疑で逮捕された。容疑者は当初、暴行と殺害を認める供述をしていたと報じられた。事実なら、卑劣極まる犯行であり、同じ女性として絶対に許せない。厳罰を望みたい。ただ、事件の原因を「沖縄に米軍基地があるせいだ」とする流れには、県民の中にも違和感を覚える人は多い。

米軍普天間飛行場がある宜野湾市で電気工事会社を経営するAさんは「被害者がかわいそうだ。悔しいし残念でしようがない。ただ、このような事件があると盛り上がる『反基地運動』の先に、本当の平和があるのかは疑問だ」といい、続けた。

「日米同盟がアジアの平和と安定を守り、日本の成長を支えてきたのは事実だ。オバマ米大統領の被爆地・広島訪問でも分かるが、日米両国は悲惨な先の戦争を乗り越えて、世界のために協力している」

「例えば、県庁や警察に務める人間が事件を起こして『県庁はいらない』『警察はいらない』となるかといえば、そうではないはず。過剰な『基地反対運動』は、子供たちの判断力や自立心を奪いかねない」

沖縄メディアの中には「日米両政府の沖縄差別」といった表現を使って、県民の被差別感情を高めて「米軍基地撤去」につなげようとする動きが見られる。事件を、沖縄県議選(6月5日投開票)に利用しようとする人々もいる。

だが、尖閣諸島を含む東シナ海や南シナ海での軍事的覇権を強める隣国が存在するなか、日本とアジアの安全保障の要である米軍基地の撤去を主張することは、「力の空白」を生み、地域秩序の乱れを招きかねない。

同じく、普天間市の自営業者Bさんは「今回の事件は、国籍や職業にかかわらず、悪魔の所業であり、絶対に許されない。重い罰を受けるべきだ」といい、続けた。

「沖縄メディアは、これが別の国籍の在日外国人や、軍関係者以外の犯罪でも、ここまでの批判を展開するだろうか? 県民の間でも『反対運動家=全国から集まった労組などの関係者』という認識は広まっている。抗議デモは民主主義で認められた権利だが、事件を政治的目的に利用するのは考えものだ」

事件への怒りは、二度と悲劇を繰り返さない取り組みに向けながら、冷静に、沖縄と日本、アジアを守る安全保障を考えたい。

兼次映利加(かねし・えりか)

【私の論評】惻隠の情を忘れた暴挙は、多くの日本人の共感を得ることはできない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の兼次さんの主張は、もっともなことです。このような悲惨な事件を政治利用するのは、正しいことではありません。

兼次映利加
20歳の女性、島袋里奈さんの死体遺棄事件で沖縄の元海兵隊員が逮捕されるや、沖縄県知事は米軍基地批判の声明を出しました。

その後、事件の真相解明には、ほど遠いまま、反基地運動だけが大きくなっています。

そう動きを被害者の父親はどうみていたのでしょうか。

「今は里奈を成仏させてあげたい。あとは憎しみと悲しみがあるだけです。」

と胸中を語りました。

女性会社員の遺体発見現場付近に供えられた花束=21日午前、沖縄県恩納村
島袋さんの、大叔父は、

「基地問題と関連づけた報道が連日のように行われていますが、遺族としては政治利用しないでほしいという思いがあります。葬儀が終わり、もう帰ってくることのない里奈の思い出を大切にしながら静かな時間を過ごしたいのです。どうして、マスコミはそーっとしておいてくれないのでしょうか。」

と遺族の思いと世間の感覚の隔たりを語っていました。

沖縄では、6月5日の県議選、7月の参院選と選挙の季節を迎えます。反基地の人々は、有利な状況を作り出そうと、6月19日には、数万人規模の抗議集会を開くことになっています。

島袋さんの父親は事件を政治利用するかのようなこのような動きに対して

「里奈の死を基地問題に関連付けるそうした報道があることは知っています。しかし、私は里奈の父親ですから、娘が1番なんです。マスコミのかたからも基地問題について聞かれますが私は、其の前に里奈の父親なんです。沖縄を変えたいというマスコミの方もいますが、今は娘のことしか考えられないんです。四十九日がおわるまで、そっとしておいてくれないものかと思います。」

左翼反基地活動の皆さんは、この遺族の悲痛な叫びにも耳を傾けるべきです。
それにしても、この事件では、米軍基地の方々も相当心を痛めています。しかし、そのことはマスコミはほんど報道しません。テレビでも、新聞でも全くノータッチです。これは、本当に公平性を欠いていると思います。残念ながら、それに関してはツイートでしか知ることができません。そのツイートをいくつか掲載します。



このような報道、新聞もテレビも全くしないので、一体この運動は誰が主催し、どのくらいの規模で行われているのかもわかりません。米軍基地やその関係者の方々が善意ではじめた運動なのでしょう。このようなことも、報道してほしいものです。

それにしても、沖縄の新聞の報道も酷いものです。5月21日の紙面を以下に掲載します。


これは、21日の紙面ですから、ご遺体が見つかった19日の翌々日の紙面です。これでは亡くなった被害者はうかばれません。殺害原因究明や犯人の責任追及や罪を問うべきであるにもかかわらず、別次元の問題にすり替えられています。これは報道機関でなくプロパガンダ機関の紙面としか言いようがありません。

そうして、沖縄ではあろうことか、米軍基地関係者に対する、左翼らの威嚇が始まっています。これも、テレビや新聞などではほとんど報道されません。以下にそれを伝えるツイッターをいくつか掲載します。


沖縄在住の男性によると、現在、沖縄には、米軍基地の撤退を求める日本人が全国から集まり始めているそうです。

そして、アメリカ人の子供が乗ったスクールバスを囲んだり、米軍や軍属、その家族の車両であることを示す「Yナンバー」の車を止めて威嚇するなどして、大混乱に陥っているそうです。


これを裏付ける、ツイートもあります。以下にそれを掲載します。



沖縄でこのような事件が起きると、「沖縄に米軍基地があるせいだ」という感情論が幅を利かせるが、ある興味深いデータがあります。

このほど発刊された、東日本大震災のトモダチ作戦の立案に携わった、元在沖海兵隊幹部のロバート・D・エルドリッヂ氏と、幸福実現党・釈量子党首の対談本『一緒に考えよう! 沖縄』の中で、エルドリッヂ氏は「海兵隊の犯罪率は、実は低い」と指摘しています。

「2014年では、沖縄の刑法犯の人口比率が0.24%であるのに対し、米軍関係者の刑法犯の人口比率は0.05%です。ですから、むしろ、米軍関係者の人口を増やせば、沖縄県の犯罪率を減らせるということになります」(エルドリッヂ氏)

さらに、エルドリッヂ氏によると、海兵隊が罪を犯したときの刑罰は、日本の刑罰よりも厳しいそうです。

たとえば、強姦なら日本では懲役20年だが、米軍では死刑、もしくは終身刑になるそうです。
エルドリッジ氏
米軍関係者の犯罪率は相対的に低い上に、日本以上に厳しい刑罰があるのであれば、「在日米軍がいると、犯罪が増える」という指摘は間違いです。

こうした事実を無視して、米軍人やアメリカ人に罵声を浴びせることは、「ヘイトスピーチ」や「人種差別」そのものです。

小学校の先生が、殺人をしたからといって、「その教師の努めている小学校をなくせ」というのでは筋が通らないのと同じように、米兵の犯罪などのマイナス面ばかりに注目して、大局を見失うべきではありません。

現在、中国は、国営メディアを使って、「中国の明と清の時代には、沖縄は中国の属国だった」という真っ赤な嘘の沖縄領有論を展開しています。南シナ海の中国の環礁の埋め立てと軍事基地化に関してはもう、かなり報道され多くの人が知るところになっています。

この海域に中国は、九段線という線を引いて、この線の中は中国の領海であると主張していました。しかし、これはこのブログでも過去に掲載したように、大東亜戦争中に中華民国(現台湾)の軍の高官が酒に酔って書いたものであり、何の根拠もありません。しかし、現在の中国はこの九段線より北は中国の領海だと主張するだけではなく、環礁を埋めてて軍事基地化し、力による現状変更を実行しています。



沖縄に米軍が駐留していることが、このような中国などに対する抑止力となることを忘れるべきではありません。

中国や北朝鮮がミサイルなどで日本を脅している中で、もし、沖縄から米軍を撤退させたら、日本はすべて自力で防衛体制を築かなければならなくなります。しかし、そのような体制はすぐにつくれるわけでありません。

もし、沖縄から米軍が退いて、中国軍がなだれ込んできたりしたら、それこそ、沖縄で、悲惨な事件があちこちで起きることは想像に難くなです。

今回のような米軍関係者の犯罪に対して、しっかりと対処する一方で、こうした事件があったからといって、「やはり基地はない方がいい」という感情論に走ると、国そのものが危なくなります。

それに、日本人にはもともと、惻隠の情という言葉あるように、犠牲になったかたの家族や親族の気持ちをおもんばかって、亡くなった方を亡くなった直後に政治利用するなどということはできないはずです。このような日本人の感性を無視した、故人の政治利用は、決して許されるものではなく、沖縄県民をはじめとする多くの日本人の共感を得ることはできません。

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2016年5月31日火曜日

安倍内閣不信任決議案を否決―【私の論評】民進、共産、社民、生活の野党4党が理不尽であるこれだけの理由(゚д゚)!

安倍内閣不信任決議案を否決

衆院本会議で内閣不信任決議案が否決された=31日午後、国会
衆院は31日の本会議で、民進、共産、社民、生活の野党4党が共同提出した安倍晋三内閣に対する不信任決議案を、自民、公明両党とおおさか維新の会などの反対多数で否決した。賛成は124票、反対は345票だった。

これに先立ち、民進党の岡田克也代表は不信任案の趣旨弁明で「アベノミクスの失敗を正直に認めて、公約違反を国民に謝罪し、即刻退陣すべきだ」と批判した。同時に「重大な経済失政により消費税を引き上げられる状況をつくり出せなかった」と強調。与党が成立を強行した安全保障関連法に関し「憲法違反であることは明らかだ。憲法の平和主義を捨て去り、限定のない集団的自衛権の行使に道を開く」と反対姿勢を鮮明にした。

これに対し、自民党の松本純衆院議員は「アベノミクスにより雇用や所得環境は順調に改善を続け、日本経済は着実に回復に向かっている」と反論。不信任案を提出した野党を「党利党略、パフォーマンス政治そのものだ」と批判した。

【私の論評】民進、共産、社民、生活の野党4党が理不尽であるこれだけの理由(゚д゚)!

アベノミクスにより雇用や所得環境は順調に良くなっているのは事実です。以下にその証左となるデータを掲載します。

総務省の「労働力調査(基本集計)4月分(速報)」によれば、就業者数は6396万人で前年同月比54万人増、17か月連続の増加。雇用者数は5679万人で前年同月比で101万人増となりました。以下に、グラフを掲載します。


これは、直近の安倍内閣の期間だけですから、これだけではアベノミクスにおける金融政策が功を奏して、雇用状況が良くなったかどうかは認識しずらいです。

他のソースからも、金融政策が有効でアベノミクスは失敗ではなかった証左をあげておきます。

有効求人倍率、は4月は1.34倍に上昇し、24年5カ月ぶりの高水準になっています。

厚生労働省が31日発表した4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.04ポイント上昇の1.34倍でした。上昇は2カ月連続。QUICKがまとめた市場予想(1.30倍)を上回り、1991年11月(1.34倍)以来、24年5カ月ぶりの高水準となりました。企業の求人数が増える一方、求職者数が減ったことが求人倍率の上昇につながりました。訪日外国人客の恩恵を受ける宿泊・飲食サービス業や卸売業・小売業などの分野で堅調な求人が続きました。

雇用の先行指標とされる新規求人倍率は0.16ポイント上昇の2.06倍でした。上昇は3カ月ぶり。正社員の有効求人倍率は0.03ポイント上昇の0.85倍と、04年11月の調査開始以来で過去最高となりました。都道府県別の有効求人倍率は東京都が0.07ポイント上昇の2.02倍と、1974年6月以来の高水準。就業地別の有効求人倍率は05年2月の統計開始以来、初めて全都道府県で1倍を上回りました。


まだ続きがあります。以下は先日このブログに掲載したグラフですが、再掲します。


中には、まだ「実質賃金がー」と叫ぶ方もいるようですが、これははっきり間違いです。これは最初からわかっていることですが、雇用情勢が急激に改善しているときには、実質賃金は下がります。

このようなことは常識で考えてもわかります。今季高卒や大卒の採用が大幅に改善しているわけですから、大企業などで高卒や大卒を大量にある企業が雇用したとします。従来よりも、高卒・大卒の若くて、賃金が低い人の構成比率が増えるわけですから、会社全体の平均賃金は下がります。国全体でも同じことです。

さらに、実質賃金は、金融緩和で失業率が構造的失業率まで下がらないと上がらないものですし、構造的失業率まで下がれば上がるものです。

ちなみに、構造的失業等の説明を以下にしておきます。

総務省では、失業を発生原因によって、「需要不足失業」、「構造的失業」、「摩擦的失業」の3つに分類しています。 
  • 需要不足失業―景気後退期に労働需要(雇用の受け皿)が減少することにより生じる失業  
  • 構造的失業―企業が求める人材と求職者の持っている特性(職業能力や年齢)などが異なることにより生じる失業  
  • 摩擦的失業―企業と求職者の互いの情報が不完全であるため、両者が相手を探すのに時間がかかることによる失業(一時的に発生する失業)
日本では、なぜか失業対策というと、すべて厚生労働省の管轄ということになっていますが、その考えは根本的に間違いです。

上記3つの失業のうち、構造的失業と摩擦的失業は、無論厚生労働省の管轄ですが、需要不足失業への対応の管轄は中央銀行、日本では日銀の管轄です。

しかし、このことが全く理解されていないので、数年前までは、雇用情勢がいつまでたっても改善されませんでした。

日銀の金融引き締めによる、需要不足失業が増えているときに、厚生労働省が構造的失業や摩擦的失業の対策を一生懸命実施したとしても、そもそも、雇用の受け皿が不足しているわけですから、何の対策にもならないわけです。

5年ほど前に、厚生労働省関連の役所の女性方が、自分の上司の課長さんが「自分は雇用ってよくわからないんだ」という話しているのを聞いてショックを受けたという話がサイトに掲載されていたことがありました。この課長さんの頭の中にも、雇用の受け皿は日銀の金融政策によるものであることがインプットされていなかったので、このような発言をしたものと思います。

雇用の受け皿が少ないときにジョブ・フェアを実施してもぼとんど効果はない
これは、昔から知られていてマクロ経済では当然のこととされていることなのですが、日本やアメリカのように人口が億単位の国では、日銀がインフレ率を数%あげると、その他は一切何もしなくても、たちどころに雇用が数百万人分創出されます。

逆に日銀かインフレ率を数%下げると、その他は一切何をしなくても、たちどころに雇用が数百万人分減ります。

これは、当たり前のことであり、日本以外の国では当然のこととされていましたが、なぜか日本では雇用と金融政策とは関係ないものとされていました。

本日アベノミクスは失敗として、内閣不信任案を提出した民進、共産、社民、生活の野党4党の方々、特に幹部の方々は、これを理解していないのです。金融政策と雇用の関係を理解していないからこそ、金融緩和によって、雇用が劇的に改善しても、それは自然にそうなったのであり、アベノミクスとは何も関係ないと考えているのだと思います。

そうでなければ、これだけ成果があがっている金融政策を目の前にして、「アベノミクスは失敗」などということはできないはずです。

しかし、雇用と金融政策に密接な関連があるというこの事実を知らない人は、そもそも国会議員になるべきではありません。マクロ経済学では、雇用情勢が悪くなければ、他の数値が多少悪くても良しとします。その点では、アベノミクスは、雇用情勢が劇的に改善しているということでは、及第点をあげるべきものと思います。

さらに、雇用が改善した結果として、自殺者が減ったこともあげられます。


政府は31日の閣議で、2016年版の自殺対策白書を決定しましたた。15年の自殺者数は前年比1402人減の2万4025人となり、4年連続で3万人を下回りました。自殺者数の減少は6年連続。1998年に自殺者が3万人以上に急増する前の97年(2万4391人)の水準まで減りました。
所管する厚生労働省の担当者は「経済問題を理由とした中高年男性の自殺がここ数年大幅に減っており、景気回復を背景にさまざまな対策が功を奏したのではないか」と話しています。

経済政策がまずければ自殺者は増えます。ここでは、詳細は説明しません。それについては、このブログでも解説したことがありますのでそちらをご覧になってください。


ただし、8%増税は大失敗でした。以下に、直近のGDPの表を掲載します。これも以前、このブログに掲載したものを再掲します。


これは、以前もこのブログに掲載したことですが、今年の2月はうるう年で普段より2月は日数が多いです。このうるう年効果を相殺すると、国内生産は、0.1%、年率換算では0.5%です。かろうじて、プラスという状況です。これは、8%増税が大失敗したことを意味します。経済が順調に伸びているときにこの数字ならさほど問題はないかもしれませんが、そうではないので、これはかなり悪い数字とみるべきです。この数字を見た後でも、10%増税を主張する人は全く経済オンチだと言わざるを得ません。

しかし、増税見送りなどというと、決まって「財政再建がー」と叫ぶ人がいます。しかし、このような人は、因果関係や経済対策を実行してから、効果が出てくるまのラグを全く理解していないのだと思います。

財政再建は、名目経済成長がなければ、そもそも無理ことで、名目経済成長すれば後からついてくるものです。これを無視して、増税をすれば、消費が冷え込み、名目成長は当然マイナスになります。そうなれば、税収が減り増税しても財政再建はできません。財政再建できなければ、社会保障改革も不可能です。そもそも、増税すれば社会保障改革ができると思い込むのは間違いです。これを理解しない人は、日本のGDPの60%が個人消費によるものであるということを理解していなのではないかと思います。

8%増税は最初から失敗することはわかっていて、しかも、実際に大失敗であることが数値で示された現在、10%増税を主張する人は愚かとしかいいようがありません。

そうして、8%増税のときを振り返ってみると、野党は無論のこと、新聞などもマスコミも、そうして自民党の大部分の議員も増税すべきという立場でした。野党の中には反対する党もありましたが、その理由は薄弱で、せいぜい世論調査で多数の国民が増税反対なので、反対したのであり、党利党略の域を出ていないものでした。いわゆるエコノミストといわれる人たちも、増税しても、日本経済に与える影響は軽微としていました。しかし、実際に増税してみるとその結果は惨憺たるものでした。

確かに、安倍総理は8%増税の決断をし、増税に踏み切りましたが、それで経済が悪くなったからといって、自民党の議員は無論のことは、野党もそのようなことは言えないはずです。そうして、私は安倍総理自身も、本当はアベノミクスの腰を折るような増税などしたくはなかったと思います。

安全保障関連法に関しても、これも前にこのブログで掲載しましたが、以下のような手続きを踏んで、審議しています。
2012年12月 解散総選挙。自民党は集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定することを公約として、圧勝し政権与党に返り咲く。 
2014年7月 安全保障法制方針について閣議決定。同日に国民向けに安倍総理が記者会見、テレビ全国放送とネットに全文公開。 
2014年12月 解散総選挙 自民党の公約に安全保障関連も含まれる。与党が圧勝 
2015年5月 安保法制案を閣議決定し、安倍総理が再び記者会見。 
2015年6月 通常国会を過去最長の延長幅となる95日間延長。 
2015年 7月 衆議院 特別委員会で異例の116時間を超える審議後、本会議可決し、参議院へ送られる。 
2015年9月 参議院 特別委員会審議は100時間を超える審議後に本会議で可決、成立。
国会で審議拒否や乱闘を繰り返した野党
このような議会制民主主義のステップを踏んで、可決成立しているわけでし、野党はまともな代替え案も提出せず、審議拒否や乱闘を繰り返したわけですから、これはどう考えてみても「強行採決」などとは言えません。これを強行採決とするならば、議会制民主主義を否定することになります。

ブログ冒頭の記事では、自民党の松本純衆院議員は「アベノミクスにより雇用や所得環境は順調に改善を続け、日本経済は着実に回復に向かっている」と反論。不信任案を提出した野党を「党利党略、パフォーマンス政治そのものだ」と批判していますが、私はそれどころではないと思います「理不尽」でさえあると思います。

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2016年5月30日月曜日

【産経・FNN世論調査】内閣支持率55・4%で1年ぶりに5割回復 消費増税再延期「公約違反でない」72% 解散「必要ない」62%―【私の論評】なぜ効果が出ない?「安倍嫌い」がはまる大きな落とし穴(゚д゚)!

【産経・FNN世論調査】内閣支持率55・4%で1年ぶりに5割回復 消費増税再延期「公約違反でない」72% 解散「必要ない」62%


産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)は28、29両日に合同世論調査を実施した。安倍晋三内閣の支持率は55・4%で前回調査(4月23、24両日)から6・0ポイント上昇した。内閣支持率が50%を超えるのは昨年5月以来1年ぶり。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での首相のリーダーシップや熊本地震への対応が評価された形だ。不支持率は4・1ポイント減の34・0%だった。

政党支持率は自民党が41・1%で前回より2・1ポイント上昇。民進党は0・6ポイント増の7・9%、公明党は0・2ポイント増の4・0%だった。共産党は1・4ポイント減の3・8%、おおさか維新の会は1・0ポイント減の3・1%でそれぞれ支持率を落とした。

来年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再延期した場合、首相が衆院を解散して国民の信を問うべきかについて「必要だと思わない」と答えた人が62・0%に達し、「必要だと思う」の33・6%を上回った。再延期を「公約違反だと思わない」は72・2%で、「公約違反」とする人は24・2%にとどまった。首相の「消費税増税再延期・衆院解散なし」路線にとって追い風となりそうだ。

消費税率については「8%から引き上げるべきでない」が40・7%、「引き上げは必要だが時期は遅らせるべきだ」が35・9%だったのに対し、「予定通り来年4月に10%」が18・6%だった。民進党の岡田克也代表が消費税増税を2年間先送りし、赤字国債で社会保障充実の財源を確保するよう提案したことについては「反対」が66・0%で、「賛成」の22・6%を大きく上回った。

 26、27両日に開かれた伊勢志摩サミットについて「成功だった」が71・9%、議長を務めた首相のリーダーシップを「評価する」が66・7%。首相の熊本地震での対応を「評価する」が66・1%に上り、こうした結果が内閣支持率の上昇につながったもようだ。政権の経済政策「アベノミクス」に対する評価は「道半ば」とする人は65・4%で、野党の主張する「失敗」とみる人は27・9%にとどまった。

 オバマ米大統領の広島訪問は「評価する」が97・5%と圧倒的な支持を得た。オバマ氏が原爆投下について謝罪すべきだったかとの問いでは「思わない」が68・2%だった。一方、沖縄県うるま市の女性の遺体を遺棄したとして米軍属の男が逮捕された事件に関しては「日米地位協定を見直すべきだ」が83・7%だった。

 野党が進める参院選での統一候補擁立の動きについては「評価する」が48・2%、「評価しない」が41・6%だった。民進党や共産党の支持率は伸び悩んでいるものの、参院選対策には一定の理解が広がっていることがうかがえる。

【私の論評】なぜ効果が出ない?「安倍嫌い」がはまる大きな落とし穴(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の他にも、安倍内閣の支持率の調査があります。以下に日経新聞によるものをあげておきます。
内閣支持率56%に上昇、サミット外交評価 本社世論調査
 日本経済新聞社とテレビ東京による27~29日の世論調査で、内閣支持率は56%で4~5月の前回調査から3ポイント上昇した。不支持率は35%で5ポイント低下。先の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務めた安倍晋三首相の働きぶりは62%、オバマ米大統領の広島訪問は92%がそれぞれ「評価する」と答えた。一連の外交成果が支持率を押し上げた形だ。
 内閣支持率は2014年9月の内閣改造を受けた調査で60%を記録して以来の高水準となった。
 来年4月の消費増税は「反対」が63%と依然高水準。「賛成」は3ポイント上昇の32%だった。増税先送りで取り沙汰される衆参同日選は「反対」が1ポイント低下の42%、「賛成」は3ポイント低下し38%だった。経済政策「アベノミクス」は「評価する」が38%と2ポイント上昇し、「評価しない」は49%で4ポイント低下した。
それにしても、あれだけ多くの「安倍嫌い」がテレビなどで跋扈して「アベ政治を許さない」などとして、跋扈しているように見えても、現実には安倍政権の支持率は上がっています。これは、一体どうしたことなのでしょう。

 昨年は、安保法案の審議であれだけマスコミや野党がレッテル貼りをし、市民団体等が国会前で「戦争法案」反対としてデモ繰り返し、安保法案は「違憲」だと多数の憲法学者が意見を表明し、あれだけ大騒ぎして、「アベ嫌い」の大合唱していたし、最近では「伊勢志摩サミットもアベノミクスも失敗だ!」だと煽りたてているのに、なぜこのような結果になるのでしょうか。

直近の内閣支持率だけみていると、安倍内閣の支持率がどの程度なのかみえないところがあるので、下に歴代内閣の支持率のグラフを掲載します。


このグラフを見ると、最初のうちは支持率が高くても、2〜3年もの期間内閣を続けているとほとんどの場合、支持率が下がっています。安倍内閣のように、一度支持率が落ちてもさらに50%台にのせたのは、小泉内閣くらいかもしれません。

民主党内閣は、内閣末期には支持率がすべて20%台にまで落ちています。その前の自民党内閣でも同じことです。なぜこんなことになってしまうのでしょうか。

そうして、特に最近では「アベ嫌い」の必死のアベ批判にもかかわらず、安倍内閣の支持率があがってしまうのはなぜなのでしょうか。無論、最近の支持率の向上は、先の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で議長を務めた安倍晋三首相の働きやオバマ米大統領の広島訪問など一連の外交成果によるものといえます。

しかし、より根本的には、あまりにも「安倍嫌い主義者」の「安部嫌い」の理屈がハチャメチャであることと、特に民進党にみられるような揚足とりの産物でしかないからです。

特に最近の「伊勢志摩サミットもアベノミクスも失敗だ!」と煽り立てる連中はそうです。

彼らは、民進党の岡田克也代表の「首相のサミットでの発言は理解に苦しむ、増税延期に利用している」という発言にみられるように、消費税8%増税による日本経済へのダメージや、中国経済の低迷や、原油価格の低下による、新興産油国などの低迷などの、世界経済が不安定化していること等を無視して政府の消費増税先送りを牽制しようとしています。それによって、政権に対峙しようとしています。

そうして、彼らの代替政策のほんんどが、マクロ経済政策など無視して、構造改革主義的な発想で結局、経済低迷のしているときに、なぜか金融政策や、財政政策を無視し、あたかもこれらは経済に無関係であるかのようにみなして、生産性の向上をはかるか、経済成長による富の創造ではなく、限られた富をいかに分配するかという論議に終始して、結局さらに経済を低迷させるだけに終始するものであることも大きな問題です。

とにかく、彼らは現実を無視して、ひたすら政治的な駆け引きに終始するのみで国民のことなど二の次であり、政治的駆け引きを成功させるためには、デフレになるならないなどおかまいなしで、結果として国民を途端の苦しみに追いやることなど何とも思っていないようです。

なぜこのようになってしまうのでしょう。これには、根本的な問題があります。結局彼らは、正しい妥協ができないのです。たちの悪い妥協しかできないのです。

妥協に関しては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【ニッポンの新常識】日本人が金慶珠氏に一定の敬意を払うべき理由 民主主義の根本は「是々非々」―【私の論評】真の保守は中庸を旨とする!敵をつくるより味方を増やそう(゚д゚)!

金慶珠(キム・キョンジュ)東海大学教授

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事の元記事では、ケント・ギルバート氏による、金慶珠氏が、李明博(イ・ミョンバク)前韓国大統領が島根県・竹島(韓国名・独島)に上陸したり、天皇陛下への侮辱発言を行った一件を真正面から批判したことをもって、日本人は彼女に対して一定の敬意を払うべきだという主張を掲載しました。

ケント・ギルバート氏は、以下の様にも述べていました。
自分と意見が違う人物を深く考察せず、全否定して排除しようとする傾向が、「自称・保守派」の一部に見られる。二元論的に「敵か味方か」と決め付けるのは、子供か全体主義者の思考回路である。民主主義の根本理念は「是々非々」なのだ。「昨日の敵は今日の友」になる場合もある。 
少し考えてから行動しないと、安倍晋三政権の政策に、脊髄反射で反対する勢力と大差ない。
このような主張に関連して、私は保守の規範というか、私なりの理想像について掲載しました。 そうして、保守は誤った妥協ではなく、正しい妥協をすべきことを主張しました。その部分を以下に引用します。
真の保守とは、たとえ立場が違った人とも、一致できるところは一致し、妥協できるところは妥協し、敵よりも味方を多く作ろうとする人々のことです。それによって、順次世の中の仕組みを変えたり、良い方向に持っていこうとする人々のことです。


ソロモン王の裁き 半分のパンは役にたつが半分の赤ん坊は遺体に過ぎない
そうして、妥協と言った場合、無論半分の赤ん坊ではなく、半分のパンの妥協であるべきというソロモン王の裁きの故事を忘れるべきではありません。世の中には、妥協の仕方がわからず、いつまでも妥協できずに何も変えられないとか、半分のパンを得ることもかなわず、結局半分の赤ん坊を得てしまう事ばかりで失敗する人も多いですが、無論そのような妥協をする人も真の保守とはいえません。 
妥協には正しい妥協というものがあります。というより、保守を自認する人は正しい妥協を厭いません。そもそも、民主主義とは妥協の連続です。何もかも、スパっと自分の思い通りにできるのは、全体主義のトップだけです。ただし、それも束の間の事にすぎません。
結局「安倍嫌い主義者」は、正しい妥協ができないため、半分のパンを得ることができず、半分の赤ん坊を得ることしかできない人たちなのだと思います。

妥協には2つの種類があります。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づくものです。前者では半分は必要条件を満足させます。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となります。半分の赤ん坊では妥協にもなりません。

半分のパンは無いよりまし
民進党を例にとると、どう考えても劣勢で、このままだと次の選挙では惨敗を喫してしまうことは、明らかです。しかし、何とかして存在感を増し、選挙に勝たねばなりません。

しかし、現状では議席数も少なく、安倍政権にはなかなか歯がたちません。そこで何らかの妥協をしなければなりません。

もし民進党が「増税を見送る」ことに賛成して、他の争点で争うようなことをすれば、経済の落ち込みを回避することができ、国民からも民進党は正しい選択をしたということで、国民からの信頼も増し、半分のパンを得ることができます。これは正しい妥協です。あるいは、減税して消費税を5%にするなどの代案を出せは、半分どこかパンを一個まるまるもらえるかもしれません。

民主党(現民進党)は安保法案審議のときにも、「戦争法案」などとレッテル貼りをしたほか、国会で乱闘するなどするばかりで、代替案など出しませんでした。これも本当に異常なことでした。議会制民主主義の根幹を揺るがす、とんでもないことをしでかしました。

安保法制の審議に関して今から振り返ってみると、自民党は以下のようなステップを踏みました。

2012年12月 解散総選挙。自民党は集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定することを公約として、圧勝し政権与党に返り咲く。

2014年7月 安全保障法制方針について閣議決定。同日に国民向けに安倍総理が記者会見、テレビ全国放送とネットに全文公開。

2014年12月 解散総選挙 自民党の公約にも含まれる。与党が圧勝

2015年5月 安保法制案を閣議決定し、安倍総理が再び記者会見。

2015年6月 通常国会を過去最長の延長幅となる95日間延長。

2015年 7月 衆議院 特別委員会で異例の116時間を超える審議後、本会議可決し、参議院へ送られる。

2015年9月 参議院 特別委員会審議は100時間を超える審議後に本会議で可決、成立。

このような議会制民主主義のステップを踏んで、可決成立しているわけですから、これはどう考えてみても「強行採決」などとは言えません。

民主党などの野党は、議席数が少ないためまともに議会で戦えば負けるので、妥協の産物として「戦争法案」などとレッテル貼りで煽ったり、国会で乱闘をして審議を妨害したりするなどという、暴挙に出ました。しかし、この妥協はテレビや新聞などのマスコミや市民団体も加担して煽り立てたため、その当初は一見効果があるようにも見えました。

しかし、時がたつにつれて、落ち着いてくると、結局あまり効果がなかったことがわかります。

これも、結局妥協として「半分の赤ん坊」を得るようなものです。本来は、民主党あたりが、反対なら反対で、しっかりとした代替案をだして、それをもとに与党に反対し、まともな審議をすべきでした。そうすれば、半分のパンを得られる妥協になったかもしれません。

結局「伊勢志摩サミットもアベノミクスも失敗だ!」などとと、わめく連中は、ソロモン王の故事にでてくる半分の赤ん坊を得ることにより、政治的駆け引きをしたつもりなのでしょうが、結局それでは、最初から何の妥協にもならないということです。

結局のところ、自分たちでは随分うまく立ちまわったつもりでも、最初から半分の赤ん坊を得るようなことしかしていないので、結局安倍政権の支持率の上昇を招くばかりで、空回りをしているだけなのです。このような、落とし穴にずっぽりと嵌り込み、身動きができなくなってしまっているのです。

どこかで、正しい妥協をする道を選ばなければ、凋落傾向にさらに拍車がかかり、取り返しのつかないことになるでしょう。

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