2016年8月17日水曜日

中国人民解放軍内部文書「日本は2000発の核弾頭製造可能」―【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!


 『国防参考』の表紙
7月の参議院議員選挙で、非改選を合わせて自民党を含む改憲勢力が3分の2を占めたことで、中国は安倍政権の憲法改正の動きに警戒を強めている。

 そんななか、ジャーナリストの相馬勝氏は「日本では右翼勢力が台頭しており、近い将来、核武装に踏み切るのではないか」などと予測する中国人民解放軍の内部文書を入手した。

 * * *

 中国人民解放軍の内部文書は「日本の核武装に警戒せよ、世界平和に大きな影響」と題し、人民解放軍機関紙「解放軍報」を発行する解放軍報社傘下の軍の内部部門である「国防参考」が出版。

 「国防参考」は軍の幹部を対象に、軍事情勢を中心にした中国内外の重要なニュースや時事解説、解放軍中枢からの重要指示などを伝達するものだ。

 中国の傅聡軍縮大使が昨年10月の国連総会で、日本の「核武装論」を非難している。今回の参院選の結果を受けて、中国が日本の核武装論をテコに再び対日批判を強めることが予想されるが、その動きは、この「国防参考」の内容からある程度、予測できるだろう。内部文書の主要部分は、以下の通りだ。

 日本では原子力発電所の稼働によって、核兵器を製造するための原料であるウランやプルトニウムといった核物質を豊富に保有している。同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核物質を製造する一連の技術も保有する。それゆえ、日本は「2000発の核弾頭を製造できる」とし、それも「短期間で」と付け加えている。

 さらに、文書は日本の核兵器製造をめぐる歴史的経緯や政治・経済動向、科学的な裏付け、日本の核武装正当化のための国際関係や領土問題に加え、日本の核武装を阻止するための中国の対応についても詳しく解説している。

 ●そうま・まさる


【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!

このブログでは、中国人民解放軍の脆弱性を何度か掲載してきました。特に、海軍力では天と地との差があります。日本の潜水艦は、航行時の静寂性から、中国の最新鋭の原潜に対しても圧倒的な強みを発揮します。

日本の潜水艦が、ほとんど音を出さず、隠密行動ができるのに対して、中国の潜水艦は工作技術があまりに劣るため、まるで水中をドラム缶を叩くような「ドンドン」と音をたてて、水中を航行するので、すぐに発見できますが、日本の潜水艦を中国側は探知することができません。

中国の戦略型原潜
対潜哨戒能力においても、日本の海上自衛隊は、世界トップの紹介能力を誇るのに対して、中国の対潜哨戒能力は世界でも、他の先進国などと比較すれば、最低レベルです。最近の、海戦は、潜水艦によって決まるとも言われているくらい、潜水艦の重要性が増しているにもかかわらず、中国はこのレベルなので、どうあがいても、中国海軍には日本には勝てません。

さらに、空軍力はどうかといえば、これも日本にはかなり劣っています。そもそも、中国の戦闘機など、かなり稼働率が低いのと、先進国なら戦力外の旧式の航空機もかなり大量に使っています。

これらを総合的に勘案して、日本の戦闘機と、中国の戦闘機を戦力外のものを外し、さらに稼働率によって、実戦配備数を計算してみると、なんと、日本の航空自衛隊は 300機以上、中国は50機に過ぎないことがわかります。これについては、以前このブロクでその計算過程など、掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
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中国の戦闘機「J-11」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の実機稼働機数は50機です、日本の航空自衛隊のそれは315機です。これでは、勝負ははっきりしています。中国の空軍は、日本と真正面から衝突した場合、6倍の航空兵力に挑まなければならないのです。

さて、そのような中国人民解放軍ですが、いくつかは、日本より優れているところがあります。まずは、陸軍です。この陸軍は、兵力も武力も結構なもののようで、全体では日本の陸上自衛隊を上回っています。

しかし、これは、日本の自衛隊が中国に侵攻するなどということは全く想定していませんし、さらに、日本の陸上自衛隊が人民解放軍の陸軍と戦うとすれば、中国が尖閣諸島や、沖縄などの攻め込んできたとき以外に考えられません。

しかし、そのためには、中国は陸上兵力を船などで運ばなければなりません。そうなると、先ほど述べたように海軍力では、かなり劣った中国ですから、中国から陸上兵力を日本に運ぶ途中で、海の藻屑と消えてしまうことになります。これでは、勝負になりません。

中国が、尖閣諸島付近でいろいろと示威行為をするものの、さとりて尖閣諸島を奪取して、南シナ海の環礁のようにしてしまうなどの行動をなかなかしないのは、いろいろ理由があるでしょうが、結局中国が海軍力、空軍力で日本にまだ相当に水を開けられているということを認識しているからです。

人民解放軍が、尖閣諸島や、沖縄を奪取したとしても、それを守り通すことはできず、あっという間に日本に奪還されてしまうからです。

最近尖閣諸島付近の水域に出没した中国漁船と公船 以下のリンクから動画をご覧いただけます。

このようなことがあるので、今までのところ、中国は尖閣などの奪取はしないで、尖閣諸島を含めた東シナ海に公船や漁船を多数展開して、いずれこの海域を自由に航行できるようにしようとの腹であるとみえます。

しかし、こんな人民解放軍でも、まだ優れているところが一つだけあります。それは、中国が核兵器を所有しており、日本はしていないということです。しかし、これとても、日本は米国の核の傘に守られてるため、おいそれと手出しできません。

しかし、日本が核武装していないということで、中国はかなり有利であることは間違いないです。日本が核武装していないので、米国の直接の利害の及ばない範囲であれば、中国は核を散らつせて、日本に迫ることができます。

たとえば、本来内政干渉にすぎない、閣僚の靖国詣でなどにいちゃもんをつけることができます。さらには、尖閣諸島付近で示威行動をすることもできます。さらに、航空機を頻繁にこの海域の上空に派遣することもできます。いずれこの海域や空域を自分たちの海や空のように自由に往来できるようにすることを目論でいます。

今年の8月15日靖国神社を参拝した二閣僚 左より丸川五輪担当大臣、高市総務大臣
こういうことが、出来るの、あるいは出来そうなのは、一重に中国が核武装をしていて、日本が核武装をしていないからです。借りに、中国が核武装をしていなければ、端から、尖閣の問題など生じていません。仮に、中国がそのような素振りをみせれば、外交で脅せば、中国はすぐに折れることでしょう。

しかし、このブログ冒頭の記事のように、日本が核兵器を持てば、この前提はことごとく崩れてしまいます。

このブログで昨日は、米国のバイデン副大統領が、大統領選の集会でヒラリーを応援する際に、「日本国憲法は、米が書いた」と発言したことを伝えました。さらに、バイデン副大統領は今年の7月1日に、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かしました。

8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領
詳細は、昨日の記事をご覧いただくもとして、私はこの2つの出来事から、トランプだけではなく、民主党も含めて、米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意があると結論づけました。

バイデン副大統領や、トランプ氏などは、一切「戦術核」などとは言っていないので、中国側は、日本が一夜にして大量の戦略核、戦術核を持つことも十分可能であると受け取ったことでしょう。

そうなると、中国は将来の国家戦略を根底から変えなけれはならなくなります。特に核戦略には大きな変更を迫られることでしょう。そのような危機感の現れが、ブログ冒頭の「国防参考」の記事のような形で表にでてきたということです。

それにしても、バイデン副大統領は、賢いです。中国に対して、日本核武装を外交カードとして切っています。バイデン大統領は、中国が北朝鮮を懐柔すべしという提案とともに、この話を習近平にしています。

中国が実際にそうするかどうかは、わかりませんが、借りに中国がそうしたとすれば、バイデン副大統領は大成功ですし、失敗したとしても、元々日本の核武装を外交カードにしているため、バイデン大統領自身も米国も何も失うものはありません。

しかし、日本の核武装という、この外交カード、日本も上手に使うべきと思います。中国が傍若無人な態度に出れば、日本は「核武装」するかもしれないという、外交カードを切れば良いのです。

この外交カード、米国などの核保有国は使えません。しかし、日本は使えます。そうして、使おうと使うまいと、核兵器はないわけですから、そのカードが有効だろうと、無効になろうとも、日本にとっても失うものは何もないわけです。

それでいて、中国をかなり威圧できます。このカード日本も、バイデン副大統領に使わせるだけではなく、上手に使うべきです。

そうして、日本も核武装について、国内で真摯な議論をすべきです。私自身は、北朝鮮のら拉致問題など、日本が核武装でもしなけば、なかなか解決しないだろうと思っています。

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2016年8月16日火曜日

<米国>バイデン副大統領「日本国憲法、米が書いた」―【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!


8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領

バイデン米副大統領は15日、東部ペンシルベニア州スクラントンで民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)の応援演説をし、「私たちが(日本を)核武装させないための日本国憲法を書いた」と語った。共和党大統領候補の実業家、ドナルド・トランプ氏(70)を批判する中での発言だが、米政府高官が、日本国憲法を「(米国が)起草した」と明言するのは極めて異例だ。

バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた。

バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。

【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!

さて、まずはバイデン副大統領が今年、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と語ったその内容について、詳細を以下に掲載します。
波紋呼ぶバイデン米副大統領の「日本は一夜で核兵器製造が可能」発言、中国・習主席に北朝鮮説得促す? 
2016年7月1日、米国のバイデン副大統領は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かしました。発言は習主席に核・ミサイル開発を急ぐ北朝鮮の説得を求める中で飛び出しました。日本では禁句とされる核武装に言及した発言は、少なからず波紋を呼んでいます。 
日本メディアなどによると、バイデン副大統領の発言は先月20日に行われた米公共テレビPBSのインタビューで明らかにされました。習主席との会談時期は明言しませんでした。 
会談で習主席は北朝鮮情勢に関して、在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に触れ、「中国軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」と反対。これに対し、バイデン副大統領は中国に北朝鮮への圧力を強めるよう促し、「日本は実質的に一夜で核武装できる能力を持っている」と語ったといいます。 
バイデン発言は、北朝鮮が核・ミサイル開発にこのまま突っ走れば、危機感を抱いた日本が対抗して、中国が最も警戒する核武装に踏み切る恐れがあるとあえて例示。米中の連携がなければ、日本の核保有があり得るとの認識を伝えたとみられます。 
習近平(左)とバイデン副大統領
参院選の応援で全国各地を飛び回る菅義偉官房長官に代わり、24日に記者会見した世耕弘成官房副長官はバイデン発言について「(日本が)核兵器を保有することはありえないことだ」と否定。「非核3原則」に言及し、「日本政府の重要かつ基本的な政策として今後も堅持していく」と強調しました。 
その上で、核に関する法制度として「国内法上は原子力基本法によって、日本の原子力利用は平和目的に極めて厳しく限定されている」と説明。「国際的にも核兵器不拡散条約(NPT)の非核兵器保有国として、核兵器の製造や取得などを行わない義務を負っている」とも述べました。 
米国務省のカービー報道官も、バイデン発言について「米国は日本の防衛に十分な責任を持っている」と指摘。副大統領とは別に、日本の核保有を認めない従来の立場を明確にしました。 
日本の核武装については、米大統領選の共和党候補指名が確実視されるトランプ氏も今年3月の米紙とのインタビューで容認する考えを示し、物議を醸しました。その後、さすがのトランプ氏も「そんなことは言っていない」と軌道修正を図っています。 
習主席との会談でバイデン副大統領は「北朝鮮がハワイやアラスカはもちろん、米本土まで攻撃できる核兵器の開発を進めている事実をはっきり認識するよう求めた」といいます。副大統領は、米上院外交委員長などを長く務めた外交通。オバマ政権ナンバー2が日本を引き合いに出した真意をめぐっては、さまざまな臆測を招いています。
バイデン副大統領は、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」という発言を背景に、ブログ冒頭の記事におけるトランプ氏批判を行っています。

それにしても、バイデン大統領が語るとおりに、日本は一夜で核兵器を製造できるでしょうし、開発すれば技術的には世界最高水準であり、中国やロシアなどの比ではなく、米国と肩を並べるほどの核保有国となることでしよう。

中朝の核兵器とは一線を画すものとなるでしょう。中国の核兵器は北朝鮮と比較すれば、進んでいますが、それにしてもICBMは全世界を標的にし得るのですが、SLBM(潜水艦発射型核弾頭)は、未だ全世界をカバーできる状況ではなく、SLBMで米国全土を射程に収めようとすると、西太平洋に潜水艦を巡航させそこから発射しなければ、飛距離がまだ足りないです。

北朝鮮の核兵器は中国と比較するとまだ遅れていて、ICBM(陸上発射型核弾頭)でも、アメリカ全土を射程距離には収めきれていません。SLBMに関しては、まだ開発途上と見られています。

日本が、核兵器開発に乗り出した場合、ICBMでも、SLBMでも、全世界を射程距離内に収めることができます。さらに、SLBM の場合、日本の既存型の潜水艦である最新鋭の「そうりゅう型」に搭載すれば、その静寂性から、他国に探知されることなく、潜水艦を巡航させ、世界中のどこにでも核弾頭を発射することができることになります。

日本の新型固体燃料ロケット「イプシロン」は
比較的簡単にICBMや、SLBMに転用できる
そうなると、中朝に対しては、安全保障面では、かなり優位に立つことができ、中国や北朝鮮にとってはかなりの脅威です。

バイデン氏はこの事実を習近平につきつけ、中国が北朝鮮を懐柔することができない場合には、日本の核兵器配備を容認する考えがあることを示したのです。そうして、ブログ冒頭の記事は、暗に日本国憲法の改正もあり得ることを示していると考えられます。

これによって、米民主党政権でも、場合によっては日本が核兵器を保有することを容認する用意があるし、そのための憲法改正もやぶさかではないことを示しています。ただし、バイデン大統領は、表立って主張するのではなく、あくまで、トランプ氏を揶揄する形で語っています。

これによって、日本が核兵器を保有することを容認するのは、トランプ氏だけではなく、米民主党にもその用意があるのですが、世界情勢を鑑みたうえで、米国にとって良い方向でそれを容認するということを示しているのです。

確かに、中国が北朝鮮を懐柔することができずに、北朝鮮がこのまま核兵器の開発を続け、ICBMやSLBMの開発に成功して、米全土を核兵器の標的に収めることができるようになったとしたら、米国にとっては脅威ですし、そうなれば、米国としてもこれに対する備えをしなければなりません。

これに対して、無論自らも備えるでしょうが、日本にも備えてもらえれば、より強固なものになります。米国からすれば、日本が米国も標的になるような核兵器ではなく、米国が標的にならないような短距離の核兵器を装備すれば、ベストでしょう。

さて、日本国憲法に関しては、バイデン副大統領が主張するように、事実上米国側が起草したものであることは周知の事実です。そうして、アメリカ議会は、すでに数年前から、日本憲法の改憲派が多数派になっています。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?

GHQによる日本国憲法草案
1946年(昭和21)2月13日、外相官邸で行われた日米会談の席で、政府の「憲法改正要綱」は、あまりに保守的内容であるとして拒否され、GHQ起草の案(マッカーサー草案)が提示された。この草案は、GHQ民政局部内で極秘裏に起草されたもので、主権在民・象徴天皇・戦争放棄などを規定していたため、政府側に大きな衝撃を与えた。


この記事は、2010年12月9日のものです。アメリカ議会は、もうすでにこの時期から日本の改憲派が多数派となっていました。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に、この記事から一部のみ引用します。
米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになった――。 
この現実は日本の護憲派にはショックであろう。だが、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのである。 
日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論である。だが、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めない。 
つまり、日本で改憲を考えるに当たっては、米国が改憲に賛成なのか、反対なのかが、どうしても大きなカギとなってきたのである。
トランプ氏のように荒っぽい主張ではありませんが、米国議会も、この時期までの日本政府による憲法解釈による憲法9条による集団的自衛権の行使禁止は「より緊密な日米共同防衛には障害となる」とみていたのです。

その後、ご存知のように昨年、日本政府の憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む安保法制が成立し、今日に至っています。これに関しては、米国側としては、一定の評価はしているものの、まだまだ十分ではありませんし、日本が独自で核兵器を持つようなことはできません。

そのため、もし中国が北朝鮮に対して、これ以上の核開発をしないように懐柔することができなければ、米民主党としても、日本の核武装を容認する用意があり、そのためには日本政府による憲法改正も認める用意があるということです。

次期大統領が、トランプになろうが、ヒラリーになろうが、米国が日本の改憲を望み、場合によっては、核兵器の配備も認めることもあるということです。

米国の戦術核の実験 1957年
ただし、核兵器とは言っても、日本が戦略核を配備すれば、米国も標的になるので、米国としてはあくまで、戦術核の配備を望むことでしょう。ちなみに、戦術核とは戦場単位で通常兵器の延長線上での使用を想定した核兵器のことです。 戦略核兵器や、戦域核兵器(中距離核兵器)に対して射程距離が短い。 米ソ間の核軍縮協定などでは射程距離500km以下のものが戦術核兵器であると定義されています。

それにしても、日本が戦術核を持てば、アジアの安全保障は劇的に変化することでしょう。日本国内では、核に関して論じることはタブーのような状態です。このタブーを破り、真摯にこの問題に向き合うことからはじめなければなりません。

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2016年8月15日月曜日

天皇陛下、「深い反省」再度表明=終戦記念日―【私の論評】沖縄戦で最大の犠牲者を出したのは、実は北海道の将兵(゚д゚)!


全国戦没者追悼式のご出席された天皇皇后両陛下

天皇陛下は15日の全国戦没者追悼式で、昨年に続き「深い反省」との表現をお言葉に盛り込まれた。

追悼式のお言葉は陛下が自ら執筆しており、例年ほぼ同じ表現が続いていた。しかし、戦後70年の昨年は、「さきの大戦に対する深い反省」を中心に新たな文言が盛り込まれた。

今年は全体的に一昨年までの文章に戻す一方で、「過去を顧み、深い反省とともに」と述べ、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願うと続けた。

陛下は1992年に中国を訪れた際や、94年に韓国の大統領を迎えた際の晩さん会のお言葉で、「深い反省」の文言を使ったことがある。

天皇、皇后両陛下は昨年のパラオでの慰霊に続き、今年1月にフィリピンを訪れ、日比双方の戦没者を慰霊している。 

【私の論評】沖縄戦で最大の犠牲者を出したのは、実は北海道の将兵(゚д゚)!

終戦の日というと、最近ではテレビなどでもあまり報道されなくなりました。今年は71年目の終戦記念日です。この日にあたって、こちらは北海道ということもあり、私自身も旭川、札幌、函館と、北海道の三大都市にはすべて住んだ経験もありますので、北海道の戦没者に関する歴史等を掲載しようと思います。

日本が明治維新を迎えた時、世界は酷い状況にありました。獰猛な白人達がアジア・アフリカ諸国のほとんどを植民地にし、その人たちからの富を収奪して豊かな生活を送っていました。


もちろん白人がその文化の高さでアジア・アフリカ諸国を植民地にしたのではなく、砲艦外交、つまり軍艦と軍隊で脅し、時に撃ち殺して植民地にしたのです。

このような時代に明治維新を迎えた日本は、何とかして日本が植民地にならないように頑張りました。そのためには、強い軍隊が必要だったのです。

当時の白人、特にアングロサクソンは極めて征服欲が強く、理屈をいっても通じるような相手ではありませんでした。しかし、軍隊が強ければたとえ小さな国であっても植民地にされるのを防ぐことができたのです。

形式的には、地にはならなかった当時の中国やタイなども外国にかなり干渉されていました。そのため、完全に独力で独立していたのは「日本だけ」といっても間違いではなかったのです。無論、日本は大東亜戦争に敗れて、米軍が進駐してしばらく日本を統治していた時期もありますが、これは日本が米国の植民地であったというわけではありません。

それに、日本は無条件降伏したなどというテレビ報道などを信じこんでしまう人もいますが、これは明らかに間違いです。日本は、ポツダム宣言を条件付きで受諾したのです。これは、本当に先祖に感謝しなければなりません。

日露戦争当時のロシア兵
さて、そんな時代、北海道に入植した日本人が最も恐れたのは北のロシアの侵略でした。ロシアは冬期間にも凍らない港のない国で、何とかそれを手に入れようとして、トルコとクリミア戦争をし、中国では満洲を南下して旅順に軍港を作っていました。隣の国(当時の清国)が弱ると見ると、勝手に隣の国に鉄道を造り、軍港にしてしまうという国だったのです。

ロシアから見ると日本はさらに良いところでした。北海道には、アイヌ人が多かった時代から頻繁に沖合にロシアの船が来ていました。そこで明治政府は日本全体に6個師団あった師団をもう一つ増やして第七師団を北海道の旭川におきました。日本の「北の守り」を第七師団に託したのです.

第七師団が北海道から出たのは日清戦争からですが、その時は師団が旭川から東京に移動したところで日清戦争が終戦を迎えたので、実際には出撃しませんでした。

その後、第七師団は極めて強かったので、日露戦争の時にはもっとも激しかった高地に、その後、ノモンハン事件、さらに太平洋戦争ではあのガダルカナル戦、アッツ島の守備、それに沖縄戦に投入されました。日本人なら誰でもが知っている激戦地に投入されたのです。

ガダルカナルでは、1,507名北海道出身の将兵が戦死、沖縄戦では北海道出身の将兵が約1万人が戦死しています。以下に、大東亜戦争中の北海道出身の将兵の戦没者に関してまとめておきます。
先の太平洋戦争関係で、北海道出身将兵の戦没者:総数は、(109,500名) でした。 最大の犠牲者数が出たのは、沖縄(10,085名) でした。 以下、海上(8,973名),中国(7,671名),フィリッピン(6,117名),日本国内(5,924名),満州(4,421名),ニューギニア(2,813名)、マリアナ諸島(2,219名),ソ連(2,040名),アッツ島(1,571名) ガダルカナル(1,507名) 旭川市の歩兵28連隊・一木連隊,メレヨン島(1,331名) 歩兵26連隊・函館連隊区、樺太(1,398名)歩25連隊・札幌市・月寒連隊等の第88師団、ビルマ(731名),硫黄島(689名),千島列島(546名)以下省略します。
沖縄戦での将兵の全戦死者 95,000名中で、最大比率の10,085名が、北海道出身兵なのです。北海道だけでも、これだけの犠牲者を出した大東亜戦争ですが、戦争が終了する前と、後では、大きく世界が変わり、戦後には植民地はこの世界から消えました。

旧陸軍第七師団の跡地で、現在、陸上自衛隊旭川駐屯地に隣接する「北鎮記念館」
ところで、遠く本州から寒い北海道に入植した屯田兵や第七師団の兵士たちにとって、辛い毎日に勇気をもらい心のよりどころにしたのは神社でした。

屯田兵は旭川神社を作り、第七師団は北海道護国神社を祀りました。そのほかにも石狩川沿いに開発が進むたびに、まず神社を造り、それから活動を開始しました.

人間はそれほど完全なものではありませんから、素晴らしいとされている北海道屯田兵と旭川第七師団の中にも少数ながも「俺たちが国を守っているのだ」という自負が強く、それが「俺たちは国を守っているのだから、威張って良い」という振る舞いをした例もあったのですが、だからといって、屯田兵や師団、それに精神的支柱となった神社の功績が消えるわけではありません。

旭川護国神社
私たちは今、日本が植民地ならなかったことによってアジア諸国の中では最も経済も文化も進んだ国として存在しています。それはかつて、明治維新から太平洋戦争まで自らの命をかけて日本を守りぬいた北海道の旭川のように、北からの脅威に対抗してきた人たちの努力によるものです。

これも多くの誤解があるのですが、大東亜戦争末期に東京や大阪、広島、長崎やその他の大都市が、焼け野が原になったことをもって、日本は戦後ゼロからスタートしたと信じこむ人も多いのですが、それは正しく実体を表していません。

実際、経済指標などを調べると、終戦直後には国富はそれ以前と比較すれば、7割にも減っていましたが、それでも7割です。確かに、都市は焼け野が原となりましたが、北海道の大部分はもとより、全国の農村地帯などが戦災を免れ、そこから戦後の日本はスタートを切ることができました。

そうして、その国富は確かに最盛期と比較すれば、7割にまで減りましたが、当時の特にアジアの他の国と比較すると、国富でトップであり、そこから戦後の日本はスタートしたのです。決してゼロからのスタートではありません。無論現代と単純に比較すれば、質素であったことでしょうが、さりとて、日本が戦後ゼロからスタートというのは、誇張以外の何ものでもないと思います。

その中でも、北海道は石炭などのエネルギー資源、農水産物資源に恵まれており、終戦直後の日本では豊かさを残した地域でした。そのためでしょうか、終戦直後からしばらくは、日本の各地から転入する人が多く、かなり人口が増えていた時期があります。これも、ほとんど忘れ去られた歴史だと思います。

終戦直後の札幌
それに、戦争中や戦争直後など、ご老人たちの昔話を聴いていると、日本のたの地域と比較すると、さほど、食料事情が悪くもなかったようでした。

さらに、私の母方祖父の家は当時旭川あったのですが、隣には当時軍神といわれた、加藤隼戦闘隊の加藤隊長の生家だったそうです。そのような環境だったのですが、日米開戦のときには、曽祖父と近所の駐在さんが、「大変だ、米国と戦争をすれば、日本は負けるかもしれない」と議論をしていたのを祖父がはっきり覚えていると語っていました。

“加藤隼戦闘隊”隊長加藤建夫氏
こんなことを考えると、よくテレビなどで、報道されたり、当時の出来事を題材とたドラマなどで、戦中や戦前は軍部が専横した暗黒時代のようにされているのですが、少なくとも当時の札幌はそうではなかったことがうかがい知ることができます。

無論、終戦間際には、さすがに北海道の札幌でも、食糧事情が悪くなったり、戦争遂行のために様々な犠牲があったことでしょうが、かといって、戦中戦前が暗黒時代であったというドラマや、報道など信ぴょう性はいかがなものかと思ってしまいます。

そうして、旭川は、今旭山動物園やラーメン街で有名です.日本が平和で動物園やラーメンが話題になるのは大変に結構なことですが、その平和を築いてくれたかつての人たち、そしてそれを支えてくださった神社に対してわたくしたちは深く感謝しなければならないでしょう。

そうして、先の大東亜戦争で亡くなられた、北海道の将兵、全国の将兵の方々のご冥福をお祈りいたします。

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2016年8月14日日曜日

【竹島上陸】韓国議員らは日本の抗議に「あきれる」「無礼だ」と反発、上陸強行の構え崩さず「日本は反省の姿勢示せ!」―【私の論評】日本は、韓国にはほぼすべてにノータッチで、事実上の国交断絶せよ(゚д゚)!

【竹島上陸】韓国議員らは日本の抗議に「あきれる」「無礼だ」と反発、上陸強行の構え崩さず「日本は反省の姿勢示せ!」

2012年にも竹島に上陸した韓国の議員団
 日本の朝鮮半島統治からの解放記念日に当たる「光復節」の15日に、韓国の超党派の国会議員団が竹島(島根県隠岐の島町)への上陸を計画していることに日本政府が13日、韓国政府に抗議したことに対し、韓国の議員団は強く反発しており、予定通りに竹島上陸を強行する構えだ。

 韓国の聯合ニュースによると、竹島上陸を計画している「国会独島(トクト=竹島の韓国での呼称)訪問団」の団長を務める与党セヌリ党の羅卿●(=王へんに援の旧字体のつくり)(ナ・ギョンウォン)議員は「わが領土を訪問することへの日本のこうした抗議にはあきれる。予定通りに独島を訪れ、団長としての役割を果たす」と述べたという。

議員団の団長を務めるナ・ギョンウォン前国会外交統一委員長
 また、最大野党「共に民主党」の金鍾民(キム・ジョンミン)議員は「韓国の領土である独島に韓国の国会議員が訪問することに対し、『行くな』というのは無礼だ。光復節に(日本は)反省の姿勢を示すべきだ」などと反発した。

 訪問団はセヌリ党6人、「共に民主党」2人、「国民の党」1人の計9人で構成され、15日午前、竹島に上陸するという。日本政府は議員らの竹島上陸計画に対し13日、韓国外務省と在日本韓国大使館に強く抗議している。

【私の論評】日本は、韓国にはほぼすべてにノータッチで、事実上の国交断絶せよ(゚д゚)!

韓国の議員団の竹島上陸は、何も今回に限ったことではありません。2012年10月23日にも上陸したことがあります。その時の記事を以下に引用します。
韓国国会議員が竹島上陸

 韓国国会の国防委員会の所属議員が23日午後、島根県の竹島(韓国名・独島)に上陸した。「独島管理事務所」が明らかにした。日本政府は韓国政府を通じて中止するよう申し入れていたが応じず、議員らは韓国南部の釜山市からヘリコプターで竹島入りした。
竹島に上陸した韓国の国会議員ら(23日)=韓国海軍提供
 日本政府は韓国政府を通じて、上陸を中止するよう申し入れていた。日韓両国が関係修復を模索する中での上陸で、日本側が反発するのは確実だ。国防委には17人が所属している。同委議員は2005年と08年にも竹島に上陸した。 
 これとは別に、韓国国会の行政安全委員会も今月16日に国政監査の目的で竹島上陸を予定していたが、取りやめた。この時は、同じ日に別の監査日程が入ったためと説明した。
このときに上陸した議員団は、韓国国会の国防委員会の所属議員ということですから、このときも国会に属する超党派の議員だったのでしょう。現大統領である朴槿恵が就任したのが、2013年2月25日ですから、これは朴槿恵の前の、李明博が大統領だった時代です。党派はハンナラ党です。

李明博といえば、天皇陛下に対する不遜な発言をしたり、彼自身も2012年8月10日竹島に上陸しました。大統領自身も、これらの議員団の竹島上陸も李明博大統領の任期期間中の末期でもあり、ほとんどレームダック化していたため、それをまきかえすための手段だったとも考えられます。

竹島に上陸した李明博
現在の朴槿恵政権もセヌリ党(旧ハンナラ党)であり、この政権下の超党派の議員らが、再び竹島に上陸するということです。これで、少なくとも韓国議員団は、4回竹島に上陸することになります

朴槿恵自身は、竹島に上陸していませんが、この議員団の竹島上陸を止めようとすることもしないようです。というより、朴槿恵もすでに李明博のようにレームダック化しており、この議員団の動きを止めようにも止められないのでしょう。朴槿恵は過去において、かなり反日的な言動と、行動を繰り返し、韓国民を煽ってきたという経緯があるの、今さに仮に止めたとしたら、国内からかなりの避難を浴び、レームダック化にさらに拍車をかけることを覚悟しなければならないのでしょう。

さらに、今回韓国の議員団は、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日に当たる「光復節」の8月15日に、竹島に上陸しようとしていますが、この8月15日は、韓国が開放された日ではありません。これには何の根拠もありません。

それについていは、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【コラム】大韓民国建国は1919年なのか、1948年なのか―【私の論評】大韓民国の建国は、1919年ではないしましてや1945年8月15日でもない!未だに続く歴史ファンタジー!
韓国の独立記念式典 1948年8月13日
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、韓国はそもそも、日本から独立したのではありません。韓国は大東亜戦争中は、日本の領土でした。そうして日本の敗戦とともに、アメリカ軍が韓国に進駐し、韓国を統治しました。その後1948年8月13日に、韓国はアメリカより独立しました。

そのため、日本の朝鮮半島統治からの解放記念日に当たる「光復節」の8月15日というのは、単なる歴史ファンタジーに過ぎません。

この歴史ファンタジーでは、あたかも韓国政府は日本の朝鮮半島統治から韓国を解放し独立したようになっていますが、これは全くの誤りであり、韓国はアメリカの統治から独立したのです。

そもそも、歴史ファンタジーに過ぎない「光復節」に韓国議員団が、これも嘘で固めた、韓国領である独島(正式には日本国島根県)に上陸するというのですから、この状況では、もはや韓国に対しては事実上の国交断絶をすべきときに来たようです。

私は従来から、中韓とはノータッチというタッチで臨むべきことを主張してきました。

それに関しては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のURLを以下に掲載します。
【アゴラ】日本は、中国や韓国と関われば国家の衰退や危機を招き、欧米と関わると繁栄する…現代史が教える外交の法則―【私の論評】現代史の史実が、中国対応の正しい方法は「ノータッチ」という「タッチ」が最も良い方法であることを教えている(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では過去の歴史をみると、日本が中国や韓国と積極的に関われば、危機を招き、欧米と積極的に関わると繁栄していることを掲載しました。

実際、この記事にもあるように、"大正時代には、中国大陸の満州に進出した日本は泥沼にはまり、 米国等の西洋諸国と敵対してしまい、国連脱退を余儀なくされ結果、 第二次世界大戦において原爆を2回落とされ焼け野原にされた"という苦い経験があります。

この記事では、主に中国と関わるなという趣旨で掲載しましたが、北朝鮮・韓国も同じです。朝鮮半島は、長い間実質上中国の属国でしたから、中国に関わるなと言った場合、当然のことながら、北朝鮮・韓国もその中に含みます。

実際、北朝鮮も韓国も最近でも中国と深い関係があります。韓国に関しては、最近THAADの配備を決めて、米国寄りになりましたが、つい最近まで中国との関係を深めていました。しかし、将来はどうなるか、米国との関係を深め続けるかなど定かではありません。

とにかく、韓国・北朝鮮・中国に対しては、冠婚葬祭などの最低限の付き合いをして、ほとんど「ノータッチ」という「タッチ」をすることこそ、過去の歴史からみて、日本の正しいあり方です。

そうして、現在の日韓を振り返ってみると、主に2つの大きな関わりがあります。表面的には慰安婦問題など大きく見えまずか、実際には、以下に述べる経済と、安全保証に関わる問題のほうが、日韓にとってはるかに大きいです。

まず一つは、経済です。経済に関しては、韓国経済は現在悲惨な状況に陥っています。このままだと、韓国は第二の通貨危機に見舞われることになります。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
通貨スワップ「不要」と打ち切った朴政権 日韓財務対話で復活要求の模様…―【私の論評】韓国は再び通貨危機に陥りIMFの管理下に入り、それを日本のせいにする(゚д゚)!
朴槿恵が大統領に就任したときの衣装

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、経済危機に見舞われている韓国は本来、韓国銀行(韓国の中央銀行)が大々的な金融緩和を行えば良いはずなのですが、なぜかそれを実施しません。

それにはいくつかの理由が考えられますが、まずは韓国にはいわゆる日本に存在するようなリフレが存在せず、経済対策においては何かといえば、まるで過去の失われた20年の時の日本のように、金融緩和や、積極財政には全く触れず、構造改革ばかりが議論の対象になります。

もう一つの理由としては、金融緩和を実行すれば、ウォン安に拍車がかかり、キャピタルフライト(国内から海外へ資本が一斉に流出する資本逃避)が起こることを懸念しているので、なかなか思い切った金融緩和ができないというものです。

理由がなんであれ、金融緩和を行わなければ、韓国経済はいずれ破綻します。そうして、韓国では金融緩和の議論など全く行われておらず、韓国のメデイアなどの日本のリフレ派の田中秀臣氏などに、取材に来たりするのですが、韓国内で報道するときにはなぜか「構造改革論」になって、金融緩和などには触れないそうです。

このままであれば、韓国経済は必ず破綻します、そうしてその行き着く先は、再度通貨危機に見舞われることになります。そうなる前に、韓国は日本に通貨スワップの再開を申し入れしてくるかもしれません。

ただし、通貨スワップ(交換)は、あくで通貨の交換であって、金融緩和ではありません。たとえ通貨スワップを再開したとしても、金融緩和をしないかぎり、韓国経済が立ち直ることはありません。通貨スワップはあくまで、一時的なキャピタルフライトしのぎになるだけです。

しかし、それでも通貨スワップを再開した場合、最悪の事態を招く恐れがあります。それは、たとえ通貨スワップを再開しても、経済が破綻して通貨危機に陥った韓国は、日本に感謝するどころか、それを日本のせいにするということです。

実際、韓国には前科があります。アジア通貨危機の時には、日本は最後まで、貸しはがしなどしなかったのに、韓国では「日本の貸しはがしが通貨危機の引き金となった」とされています。

このようなことからも、経済面では、韓国に対して日本はノータッチのほうが良いです。



次に安全保障の面ですが、これも当然のことながら、竹島が韓国によって不当に侵略されて、韓国側は韓国の領土だと主張し続けているのですから、侵略した韓国に対して、韓国の安全が脅かされたとしても、安全保障面で、韓国と日本が集団的自衛権を発動させる義務などありません。

このことに関しては、実際に日本政府はすでに韓国に公式に伝えています。

「朝鮮半島で再び戦火が起きて、北朝鮮が韓国に侵攻しても日本は韓国を助けることにはならないかもしれない」

2013年、日韓の外交・安全保障問題を主なテーマに、北朝鮮情勢や集団的自衛権の行使容認などについて意見交換するために開かれた両国の非公式協議で、日本側の出席者の1人がこうつぶやきました。

日本政府関係者が放った衝撃的な一言に韓国の関係者は凍り付き、言葉を失いました。

この発言は、慰安婦をめぐる歴史問題や竹島の不法占拠などで韓国に対する感情が最低レベルに落ち込んだことを受けて、朝鮮半島有事になっても日本は韓国支援に動けない可能性があるということを示したものでした。

日本はすでに周辺事態法を1999年に制定。法律は朝鮮半島で有事が起きた場合、韓国軍とともに北朝鮮軍と戦う米軍を支援することを主な目的としています。
「自分たちで法律を作っておきながら、今さら何を言うのか」

当初、韓国側の出席者にはあきれかえったような雰囲気が漂ったといいます。そこで、日本側出席者は次にゆっくりとかみ砕くように説明しました。
「頭の体操だが、日本は米国に事前協議を求めて、米軍が日本国内の基地を使うことを認めないこともあり得るかもしれないということだ」

ここに至って、ようやく韓国側も発言の意味を理解したといいます。

日米安保条約に基づき米国は日本防衛の義務を負っています。米軍に日本国内の基地の使用が認められているのは、あくまでも日本の防衛が主な目的です。

米軍が日本国外で軍事行動するために国内の基地から航空機などが発進する場合には日米両政府の事前協議が必要となります。日本側出席者の発言は、この事前協議で日本側が「ノー」ということもあり得るということを示したものです。

韓国に安全保障面で脅威があったとしても、日本に脅威が及ばないことがはっきりしているなら、この方針を貫くべきです。

韓国にはその他慰安婦問題もありますが、公式にそうして、国際的にこの問題は日韓合意で片が付いたことです。それでも、韓国内では、慰安婦像撤去に市民団体などか反対しています。


これについては、すでに日韓合意をしたのですから、韓国政府や韓国の市民が何をいおうが、反論だけはして、水掛け論に持っていき、それ以外は韓国に対しては、一切ノータッチで良いと思います。

国際的には、慰安婦問題に限らず、ある国が他の国を批判して、その他の国が反論して、水掛け論になった場合、言い出したほうが負けという暗黙ルールーがあります。

とにかく、経済でも、安全保障でも、日本は韓国に対してノータッチですすめ、冠婚葬祭程度の付き合い以外はしない。さらに、慰安婦問題などに関しては、韓国が意味不明の主張をすれば、反論して水掛け論に持っていくようにして、その後は完全ノータッチで、事実上の国交断絶をすれば良いのです。

韓国議員団の竹島上陸は、このノータッチを実行するために本当に良いきっかけを与えてくれたと思います。日本は、韓国の経済にも、安全保障にも、極力かかわらず、かかわらない分だけ他国との関係を蜜にして、繁栄する道を選ぶべきです。

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2016年8月13日土曜日

「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない―【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!

「国の借金」巡るホラー話 財務分析すれば怖くない

国の借金1000兆円は、真夏のホラー映画のような作り話にすぎない!
国債や借入金、政府短期証券をあわせた「国の借金」の残高が2016年6月末時点で1053兆4676億円になった。内訳は国債が918兆4764億円となり、3月から7兆6667億円増えた。一時的な資金不足を穴埋めする政府短期証券は1兆4697億円減の82兆2792億円。借入金は2兆955億円減の52兆7120億円だった。今年7月1日時点の総務省の人口推計で単純計算すると、国民1人当たり約830万円の借金を抱えていることになる。

以上は、財務省の発表である。ウソではないが、情報の一部でしかない。これに対して、これを「国の借金」というのはミスリーディングであるという反論もある。要するに、国民の借金であるかのようにいうが、正確には政府の借金であって、国民とは関係ないというものだ。

 バランスシートを見ると

ただし、この意見はちょっと甘い。確かに政府の借金であるが、政府が破綻すれば、国民への行政サービスが行われなくなり、その損失は結局国民に降ってくる。大きな大企業が倒産したら、その関連先は大きな被害を受けるが、日本政府は日本の中で最大の企業といってもよく、日本政府に無関係な国民はほとんどいない。

ではどう考えたらいいだろうか。一番心配なのは、日本政府の破綻であるので、そのバランスシートを見てみよう。借金だけをいっても、それに見合う資産があれば破綻しない。これは破綻論の基礎である。なぜか政府の話になると、バランスシートも読めない素人ほど、財務省のいうことを鵜呑みにして、破綻だという。これはかなり滑稽な話である。

政府のバランスシートは、きちんと財務省のホームページに載っている。政府子会社を含めた連結ベースの政府バランスシートもある。それらを初めて政府内で作ったのは筆者であり、今から20年以上前のことである。しかし、それらは直ぐには公表されずに、正式に公表されたのは2006年からだ。しかも、連結ベースのバランスシートでは、政府子会社となるべき日銀が抜けている。中央銀行である日銀を含めて政府の財務状況を考えるのは、経済学では当たり前のことで、「統合政府」といわれている。

政府のバランスシートでみて、資産を差し引いたネットの負債残高は500兆円程度である。さらに、統合政府で考えればネット負債残高は150兆円程度である。これらの対GDP比率を見れば、先進国の中でも悪いほうでない。

 財務省のいいなりで、識者のデタラメ意見を振りまくマスコミ記事

こういうと、まだ債務超過であるという批判もある。しかし、政府の場合、強制的に税金を徴収できる徴税権がある。どんなに少なく見積もっても毎年30兆円以上の税金徴収ができるのだから、その資産価値は数百兆円以上だろう。というわけで、政府バランスシートでみても、統合政府バランスシートで見ても債務超過ではない。

これが政府や統合政府のまともな財務分析である。もしこうした財務分析をできないのであれば、財務省という名前は返上し、増税省とでも名乗ったほうがいいだろう。

バランスシートも読めずに、財務省のいいなりで財政破綻論を振りまく識者は、財務分析ができないのだからお里が知れている。財務省のいいなりで、識者のデタラメ意見を振りまくマスコミの記事は読むべきでない。

財政破綻になるなら、なぜ国債金利がマイナスになるのだろうか。財政破綻論者は、これまでホラー話ばかりしてきたが、いくら夏の夜のホラーとはいえ、度が過ぎている。

++ 高橋洋一

【私の論評】鳥越より悪質な都市伝説が現実になる新手の辛坊らの発言には気をつけろ(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事で、高橋洋一氏が用いている政府の貸借対照表を以下に掲載します。



このバランスシートでみて、資産を差し引いたネットの負債残高は確かに、500兆円程度です。以下に政府の公表している、連結貸借対照表を掲載します。

この統合政府のバランスシートでみるとネット負債残高は439兆円程度です。しかし、この連結決算には、日本政府の下部組織である日銀が含まれていないため、これを連結しないと、正しい数値は出ないということです。資料を確認すると、確かに政府の連結のバランスシートには日銀が含まれていないことが確認できます。

残念ながら、日銀のバランスシートは公表されていませんが、営業毎旬報告は報告されています。そこから、近似的に日銀のバランスシートを作成することはできます。





日本銀行のバランスシートは単純にいえば、資産に国債、負債は日銀当座預金と日銀券です。日銀当座預金は日銀券と代替可能なので、日本銀行の負債は日銀券のみとみても、間違いではありません。

となると、アバウトには、日本銀行のバランスシート(平成27年末)は、資産の国債266兆円、負債の日銀券266兆円とみてもいいです。これを国のバランスシートに合算すれば、負債の中の公債・政府短期証券が266兆円減少し、その代わりに日銀券266兆円が入るわけです。

ここで、日銀券266兆円は、形式的には負債ですが、利息負担もないし、返済義務もありません。いってみれば、この分は負債とみなさない考え方もありえます。その考え方にたてば、債務超過額は439兆円から173兆円になります。このあたりについて、公会計で定説はないとは思いますが、日銀保有国債分については、国にとって償還も利払いも必要ないので、債務超過額が減ったといってもいいです。

私の計算では、平成27年3月31日の日銀が含まれていないバランスシートに、平成27
年3月31日の日銀の営業毎旬報告から推測したバランスシートを加えたもので、その結果は173兆円です。

これだと、日本のGDPを500兆円ということで計算すれば、政府の借金はGDP比では34%に過ぎません。これと同じような計算方式では、米国は80%、英国は60%であったと記憶しています。

ブログ冒頭の、高橋洋一氏の計算では、150兆円ということですが、大体似たようなものです。高橋洋一氏は別の方式でもっと正確に計算しているのかもしれません。しかし、考え方としては同じです。

いずれにせよ、政府の借金が1000兆円などということは、全くありえないことです。もしそうなら、国債金利がマイナスということなるはずもありえません。この程度の負債なら、10%増税はおろか、8%増税も全く必要なかったことになります。まさに、"国の借金」巡るホラー話"です。

エコノミストなどのいわゆる識者に関しては、財務省に追従して、財務省の走狗に成り果てているだけなのでしょう。もしそうでないとしたら、ただの馬鹿です。

マスコミに関しては、昨日このブログで、鳥越氏を批判したときに、あげたように、マスコミ業界では、記者になってから勉強するという仕組みが全くないのでしょう。昨日のブログのリンクを以下に掲載します。
「ペンの力って今、ダメじゃん。だから選挙で訴えた」鳥越俊太郎氏、惨敗の都知事選を振り返る【独占インタビュー】―【私の論評】日本の似非リベラルの駄目さ加減が白日の元に晒された(゚д゚)!
鳥越俊太郎氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
このような怪物がなぜ出現したかといえば、彼が長い間「マスコミ」という無責任な社会に属してきたことにも多いに関係があるでしょう。
毎日新聞新潟支局時代の鳥越俊太郎氏
鳥越氏がいわゆるジャーナリストになった時分はもとより、私が大学生だった頃、マスコミは就職偏差値上位の勝ち組のような扱いだったと思います。だから、マスコミに就職した当初の鳥越氏もそれなりに知性的であったのかもしれません。しかし、マスコミという無責任な社会には、就職してからまともな仕事を遂行していくうえで勉強する仕組みがまるでないようです。

経済の報道に関しても、いわゆるマスコミは、日銀や財務省に言われたことを世の中にたれ流す伝令係に過ぎないといことが、最近では白日のもとに晒されています。経済に限らず、安全保障でも、歴史や社会問題や産業に関しても、現状のマスコミは、そこに属する人々のほんどが、伝令係で一生を終わるようです。鳥越氏もその典型です。本当に惨めです。
ごく一部を除いた、現在のマスコミのほとんどは、財務省や日銀の発表したものをそのまま報道して、上記で述べたようなことなど全く検証しません。それでは、何のためのマスコミなのか全く意味がありません。

特に最近は、ネット言論というライバルが出てきたので最近のマスコミは右も左も大変なようです。既存のマスコミは長期停滞に見事にはまったようです。

鳥越氏は、戦後のマスコミ業界の中で、おいしい思いを満喫できて、単なる伝令係であってもなんとか逃げ切れた世代の代表なのでしょう。

その世代のマスコミの特徴は、現場主義と言いながらの不勉強です。

元毎日新聞記者でもある佐々木俊尚氏は25日の以下のようにツイートしています。
このような勉強をしない記者はやがて役所の忠犬「ポチ」になって、結局役所の伝令係として働くようになったのでしょう。鳥越氏をみると、このようなマスコミの体質をよく体現していると思います。

鳥越氏の女子大生への強姦未遂は、なぜか週刊誌では「淫行」としていますが、この未遂事件は、実は東京の私大関係者の中では、都市伝説として伝わっていて、私大関係者なら知らない者はないくらいだったそうです。

このような都市伝説なら楽しいが、鳥越氏や財務省起源の都市伝説は全くいただけない
都市伝説というと、私は「国の借金1000兆円」とするのは、完璧に都市伝説のようなものであると思います。いわゆる識者と目されているような人々でも、この都市伝説なみのホラー話を真に受けている人も大勢いますし、都市伝説と知りながら、財務省のキャンペーンに積極的に強力に後押しをする人間もいます。

先日は、「そこまで言って委員会NP」を視聴していると、「国の借金1000兆円」という話題がでていて、この話題に関して、出席者のうち私が見た限りでは、まともなことを言っていたのは少数であり、これ以外の人は頓珍漢なことを語っていました。


長谷川幸洋氏は、どのような計算をしたのかわかりませんが、政府の借金は、ネットでみると50兆円程度、多く見積もっても100兆円と話しています。ただし、日銀の連結ベースの話をもしているのですが、連結ベースで他国はどの程度になっているのかまでは言及しませんでした。そこまで、話をすればもっと説得力を増すことができたと思います。あるいは、金融資産のみで話をするとか、対外金融純資産の話をするなどすれば、さらに説得力があったと思います。

司会の辛坊氏は、長谷川氏を批判して、ギリシャだって、パルテノン神殿があるが、あれは売れないなどという話をして、長谷川氏に反論していました。そのため、残念ながら、説得力に欠けました。

さらに、竹田恒泰は、1000兆円玉を作って、日銀に引き取らせるなどという話をして、茶化して語っていたので、これも説得力はありませんでした。

この番組のこの話題に関しては、当日のテーマ4「マネーモンスター」ということで、以下のリンクから観ることができます。

http://www.ytv.co.jp/mydo/iinkai/20160807_05/

やはり、この番組の出演者の多くはあまり経済に関してまともな認識は持っていないと思います。そもそも、現状の日本はデフレから完璧に脱していないし、最近ではデフレに逆戻りの傾向すらあるという認識が全くないようです。2%の物価目標が達成できないのは、アベノミクスが限界なのではなく、日銀の金融緩和が未だ不十分で、追加緩和が必要だし、政府も積極財政をすべきだという認識がないようです。奇妙奇天烈、摩訶不思議な理論がまかり通っています。

この番組に出ている人たちは、一般の人たちよりは、経済に詳しいのではと期待していましたが、その期待は見事に裏切られました。

とんでもない辛坊氏の発言は誰のため?
特に、辛坊氏の発言には、期待が裏切られたどころか、あからさまな悪意が感じられました。特に私は「国の借金というマネーモンスター(1000兆円)抱えながら安倍総理が28兆1千憶円の経済政策を閣議決定したことを批判する発言には驚愕しました。あまりにも悪意にあふれているし、突拍子の無い恣意的な発言でした。

さて、この番組での、辛坊氏の問題発言に関して、以下にまとめておきます。
①(税金で)50兆円しか金が入らないのだったら、50兆円でできる(政治を)やれ。 
②物価を安定的に2%ずつ上げると言う事は、毎年2%ずつお金の価値が下がると言う事。結局、国民の金融資産から、毎年2%ずつ増税をせずに国に吸い上げられる。
①については、政府の経済政策による乗数効果を一切無視しています。財政規律だけを重視し、歳入以上の歳出は行うべきでは無いとの主張です。安倍総理は未来永劫、財政出動を永遠に続けるとは一言も言っていません。財政出動によってデフレを脱却し、その後はGDPに対して無理のない財政運営を行えばよいだけです。

②については、全く理解ができません。なぜ、物価が2%上がると国が増税せずに国民の金融資産を吸い上げることになるのでしょうか。

物価の上昇は人件費の上昇であり、材料原価の上昇であり、労働力に対する付加価値の上昇ですので、これを「政府が国民の金融資産を吸い上げる」などとするのは、全くとんでもない理屈です。そもそも、日本がデフレから完璧脱却していないし、そのために物価2%目標があるのだという事実を全く無視しています。

また、その他の長谷川 幸洋氏の「国の借金"1000兆円"は嘘」という主張や、筆坂 秀世氏の「"政府" の借金貸し手は"国民" 」という極めてまともな主張の下りで辛坊氏は話しを遮り、「間違ってはいない」といいつつ別の話へのすり替えで、結果的に全否定しています。

この番組では、左翼(ひだりつばさ)君というキャラクターを登場させ、そのキャラクターに左翼の主張を語らせるということも行っているので、公平性を期するために、辛坊氏がこのような発言をしたのかもしれませんが、それにしても、やり過ぎで明らかに悪意を感じます。 

他の、出演者の主張にもかなりツッコミどころは多々ありましたが、前述したゲストの発言を遮り、全否定する辛坊氏の番組内の影響力はひときわ大きく、非常に悪質です。

かつて、ヨット遭難して自衛隊の飛行艇で救助されたときの謝罪会見での辛坊氏
さて、辛坊氏のこれらの奇行によって一体誰が徳をするのでしょうか。金融緩和や、積極財政によるアベノミクスが間違っていて、日本の財政を救うとしたら経済成長ではなく財政規律の厳守、現状のコストカット、身を切る改革しかないというこの主張は誰のためのものなのでしょうか。

これは、結局のところ、財務省を利する発言以外の何物でもないと思います。辛坊氏の発言は、多くのマスコミのように財務省や日銀の発表したものをそのまま報道するというのではなく、そこから一歩さらに突き抜けて、財務省の都合の良いように事実を捻じ曲げているようにしか思えません。だからこそ、悪意を感じるのです。

鳥越氏のような伝令係も酷いものですが、それでも、辛坊氏などよりはましかもしれません。

いずれにせよ、経済に関しては、財務省や日銀の伝令係のような報道や解説しかしないマスコミや識者のほかに、このような悪質な報道をしたり解説するニュータイプが出現して、多くの人々を幻惑することもあるということを忘れてはならないです。

このような言説を多くの国民が真に受けていたら、10%増税はおろか、20%増税、50%増税にもなりかねません。そうなれば、国民は塗炭の苦しみを味わうことになり、ひところ二万人台になっていた年間自殺者数が、また三万人台にもどるどころかさらに増え、都市伝説のような「ホラー話」が現実になってしまいます。

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辛坊さんの謝罪会見の評価は? 言い訳せずの平謝りに専門家は…―【私の論評】非難はしないが、今度似たような企画をするときは、エベレスト登頂の三浦雄一郎さんを見習うべき(゚д゚)!




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