2016年8月19日金曜日

世界中で存在感失う「人民元」 名ばかり「国際通貨」 習氏の野望に暗雲 ―【私の論評】金の切れ目が縁の切れ目、尖閣海上民兵も五輪選手も?

世界中で存在感失う「人民元」 名ばかり「国際通貨」 習氏の野望に暗雲 

中国・江蘇省で人民元紙幣を数える銀行員
 中国当局が人民元を大幅に切り下げた「人民元ショック」から1年が過ぎたが、その後も人民元は下げ止まらない。ドル、ユーロに続く「第3の通貨」にのし上がるのが習近平国家主席の野望だったが、市場で人民元離れが加速し、決済シェアはカナダドルすら下回る6位に。「国際通貨」とは名ばかりの存在になっている。

人民元は2015年8月11日から13日の3日間で約4・6%も切り下げられた。中国経済失速との見方から世界の株価が大幅下落を招いたのも記憶に新しい。

その後、中国当局は断続的に市場に介入し、人民元を買い支えたとみられるが、人民元の下落基調は続いた。今年4~6月期の下げ幅は過去最大を記録している。

人民元は昨年11月、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成銘柄に採用が決まった。習政権にとっては、アジアインフラ投資銀行(AIIB)と並んで国際金融の世界で存在感を高める大きな成果だったはずが、実態はさびしい限りだ。

銀行間の決済インフラを手がける国際銀行間通信協会(SWIFT)によると、今年6月時点で決済に使われた人民元のシェアは1・72%と14年10月以来の低水準となった。

習近平
  米ドル(40・97%)、ユーロ(30・82%)、英ポンド(8・73%)、日本円(3・46%)を下回るどころか、カナダドル(1・96%)を下回る6位に低迷している。

15年8月には決済シェアが2・79%と円を上回り、「第4の通貨」となった勢いは完全には失われた。今年10月にはSDRに正式採用される予定だが、「国際通貨」とはとても呼べない状況だ。

経済が減速するなかで、中国当局は人民元安をあえて容認してるフシもあるが、思惑通りに輸出は伸びていない。

7月の輸出は前年同期比4・4%減、内需も振るわず、輸入は12・5%減だった。

1~7月の累計でも輸出は7・4%減、輸入は10・5%減と大きく前年割れしている。一方で各国と貿易摩擦が激化している鋼材は金額ベースで15・5%減少したものの、数量は8・5%増加しており、中国の鋼材が安値で海外市場に流れ込む状況は変わっていない。

週刊東洋経済元編集長の勝又壽良氏は「中国経済は企業債務によってかろうじて維持されている。不良債権が拡大している金融機関に巨額の公的資金が注入される事態となれば、人民元のさらなる暴落は不可避だ」と指摘している。

【私の論評】金の切れ目が縁の切れ目、尖閣海上民兵も五輪選手も?

人民元の国際通貨化は、最初から絶望的であることは、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】人民元のSDR採用後の中国 一党独裁と社会主義体制で困難抱えて行き詰まる―【私の論評】中間層を創出しない中国の、人民元国際通貨化は絶望的(゚д゚)!
中国人民元のSDR構成通貨入りを発表する
IMFのラガルド専務理事=11月30日、ワシントン
この記事は、昨年12月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に元記事の高橋洋一氏による、人民元が国際通貨にはならないであろうとの見解の部分のみ引用します。
中国経済の今後には多くの困難が待っているとみている。まず、人民元の国際化であるが、通貨取引の背後には、貿易取引や資本取引があり、それらが大きく拡大しないと、国際化も限定的だ。 
中国には共産党一党独裁の社会主義体制という問題があるので、国有企業改革や知的所有権の解決は当面難しく、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加も当面難しい。ということは、貿易取引や資本取引にも一定の限界が出てくる可能性がある。 
特に資本取引の自由化は、一党独裁の社会主義体制のままでは基本的には無理である。となると、人民元もこれ以上の国際化はなかなか望めないというわけだ。

中国が、一人当たり国内総生産(GDP)1万ドル前後で経済停滞に陥るという「中進国の罠」にはまりかけているのも懸念材料だ。一般論として、中進国の罠を超えるためには、大きな構造改革が必要であるが、そこでも中国の体制問題がネックになる。 
中国は、当面AIIBによって「人民元通貨圏」のような中国のための経済圏を作りつつ、国有企業改革などを行ってTPPなどの資本主義経済圏への段階的参加を模索するとみられる。しかし、一党独裁体制を捨てきれないことが最後までネックになり、行き詰まるだろう。 
この高橋洋一氏の見解に関して私は、以下のように論評しました。
元が国際通貨として本当に認められるには、人民元相場の柔軟性拡大に加えて、中国金融市場に対するアクセス制限の緩和、取引の自由化推進などが要求されますが、株価急落で金融市場に異例な介入を続ける中国政府は、一段と厳しい局面に立たされることになることでしょう。
中国が資本勘定を完全に自由化し、変動相場制に移行しない限り、投資家は人民元を国際通貨として使用することに引き続き慎重になることでしょう。

ただし、そのためには国内でそれなりの条件を整える必要があります。

中国が今の一党独裁を継続していては、高橋氏がブログ冒頭の記事で、指摘していた、「中所得国の罠」に陥る可能性が大というよりも、もうその罠に完璧に落ち込んでいます。
中所得国の罠の模式図
「中所得国の罠」とは、多くの途上国が経済発展により一人当たりGDPが中程度の水準(中所得)に達した後、発展パターンや戦略を転換できず、成長率が低下、あるいは長期にわたって低迷することをいいます。 
この「中所得国の罠 (中進国の罠と同じ)」を突破するのは結構難しいことです。アメリカを別格として、日本は60年代に、香港、シンガポールは70年代に、韓国は80年代にその罠を突破したといわれています。ただし、アジアでもマレーシアやタイは未だに、罠にはまっています。 
中南米でも、ブラジル、チリ、メキシコも罠に陥っていて、一人当たりGDPが1万ドルを突破してもその後は伸び悩んでいます。 
政治的自由と、経済的自由は、表裏一体であり、経済的自由がないと、IMFのような国際機関の提言は実行できません。経済的自由を保つには、政治的自由が不可欠です。
中国は、すでに中所得国の罠にはまっており、そこからぬけ出すのは至難のわざでしょう。中所得国の通貨が、国際通貨になったことはありません。よって、中国が中所得国の罠にはまっている現状では、人民元の国際通貨化は全く無理です。

それにしても、これに関しては前々から前兆がありました。たとえば、イギリス人の貿易商が中国国内のおもちゃ工場の代金を決済するときに、人民元を使おうにも、中国の工場がドルでないと受け取らないという実体がありました。それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
焦点:中国製おもちゃ調達もドル建て、人民元取引の実態―【私の論評】爆裂中国の元国際通貨化の妄想は潰えたとみるべき(゚д゚)!

欧米輸出向けの中国製ミニオンのぬいぐるみ
この記事は、今年の1月12日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、このようなミニオンのぬいぐるみを製造する小さな町工場ですら、人民元決済をいやがり、ドルで決済することを望むというのですから、いかに人民元に信用がないかが良く理解できます。

このような通貨が国際通貨になるなどのことはありえないです。

さて、中国は従来は不況になると、金融緩和と財政出動を素早く実行して、すぐに景気を回復しました。しかし、もうその手は通用しないようです。

金融緩和をするとキャピタルフライト(通貨、特に外貨の国内から逃避)が始まることを恐れてなかなか出来ないようです。

もし人民元高要因が大きくなれば、韓国はデフレに陥り、かつての日本のような長期不況に陥るでしょう。

逆に人民元安要因が大きくなれば、韓国は通貨アタックを受けて、現状でもキャピタルフライトに見舞われているのに、さらに多くの外貨(ドル)が国外に流出することになり、金融危機に陥るでしょう。しかし、日本を含めて、中国を本気で助けようとする国はもうありません。

この状況は最近の韓国の状況と良く似ています。これについては、このブログにも掲載したので、興味のある方は、その記事をご覧になって下さい。

さて、最近でも、中国の異変が続いています。これらの異変ひよっとすると、国際通貨にもなれない弱い人民元とキャピタルフライトを恐れて金融緩和をしないことと関係あるかもしれません。特に、これらの背景ともなっている中国の経済の低迷と関係があるかもしれません。

まず第一に、リオ五輪の中国のメダルのあまりの少なさです。以下に17日現在のメダルの取得状況を掲載します。


リオデジャネイロ五輪の中国選手の金メダル獲得ペースに、ロンドン大会(2012年)や北京大会(08年)のような勢いがみられません。16日現在、首位の米国に大きく水をあけられ、英国にも及ばず、3位となっています。着実に獲得数を伸ばしてはいるものの、“ゴールドラッシュ”とはいかず、終盤に向けてどれだけペースが上がるかに注目が集まっていました。

金メダル獲得数は同日現在、米国が28個、英国が19個、中国は17個。米英は日程を消化するごとに、ロンドン大会とほぼ同じペースで獲得していますが、中国は約半分のペース。北京大会では参加国の中で最多の51個、ロンドン大会でも米国に次ぐ38個の「金」を獲得した中国にしては、あまりにスローペースといえます。

この変化、やはり中国が中進国の罠にはまっていることを示すものかもしれません。中心国でもスポーツの強い国もありますが、それは特定のいくつかのスポーツが強いのであって、オリンピックなどでのメダルの総数となると、やはり先進国等には及びません。

中国の場合は、経済的には先進国とはいえませんが、それでも、経済の伸び率が驚異的で、そのため将来は米国経済と肩をならべ、いずれは追い抜くのではという憶測が飛び交い、それに期待して、多くの資金が集まりました。その潤沢な資金を利用して、中国はあるゆる方面資金を投下し、経済を伸ばし、国威を発揚することができました。

そうして、経済が伸び国威を発揚することにより、さらにそれが期待を呼び多くの資金が集まるという状況がつくりだされ、それが中国に有利に働いていました。

しかし、その潤沢な資金も、キャピタルフライトによって、底をつきはじめています。そもそも、中国の高級官僚が裸官などになり、かなり前から盛んに海外に資金を逃避させていたのですから、いかにこの国の将来は絶望的なものか、理解できます。

現状がこのような状況ですから、ロンドンオリンピック後に、国威発揚の大きな目玉の一つでもある、スポーツ振興にも、あまり資金を投下できなかったのではないでしょうか。

尖閣諸島付近の中国漁船と中国公船
さらに、もう一つ気になることがあります。それは、尖閣周辺の中国漁船の動向です。以下はの表は、8月19日に外務省が公表した「尖閣諸島周辺海域における中国公船及び中国漁船の活動状況について」(海上保安庁)という文書から引用したものです。このように、中国公船と、大量の漁船が尖閣付近の海域に侵入させるということは、示威行為なのですが、これも中国による国威発揚のやり方です。
(平成 28 年8月5日午後0時から 19 日午前8時現在)
                                                                                             ※上記隻数は延べ隻数


この表で、中国漁船に注目して下さい。この表によれば、海上保安庁は8月10日〜19日午前8時現在まで、中国漁船に対して退去警告を発していないということになります。

この公文書の冒頭には、以下のように記されています。
平成 28 年8月5日午後1時 30 分頃、中国漁船に続いて、中国公船(中国政府に所属する船舶)1隻が尖閣諸島周辺領海に侵入した。その後、19 日午前8時までに、最大 15 隻の中国公船が同時に接続水域に入域、延べ 32 隻が領海に侵入した。 
約 200~300 隻の漁船が尖閣諸島周辺の接続水域で操業するなかで、最大 15 隻という多数の中国公船も同じ海域に集結し、中国漁船に続いて領海侵入を繰り返すといった事象が確認されたのは今回が初めてである。 
なお、尖閣諸島周辺の接続水域に通常展開している中国公船(3隻程度)及び南シナ海のスカボロー礁周辺に通常展開している中国公船(4~5隻と言われる)に比しても、現在尖閣諸島周辺には、はるかに多くの中国公船が展開している。
いっときは、300隻もの中国漁船が尖閣諸島周辺領海に侵入したのです。この領域で漁をする事自体は、日中の業業協定で認められた行為ですが、それにしてもこのように多数の漁船が押し寄せ、その漁船には海上民兵が乗っていることは前から明らかにされていました。

武装している中国の海上民兵 女性の海上民兵もいる
しかし、あれだけ周辺領海に侵入していたのですが、10日以降はパタリと海上保安庁は退去警告をしていません。これはどういうことなのか、この表だけからは正確にはうかがい知ることはできません。

類推すると、そもそも中国漁船がほんどいなくなったか、いたにしても少数で、通常の操業をしていたので、海上保安庁としては、退去警告をする必要もなかつたのだと思います。

そうして、退去警告をしたのは、いわゆる通常の操業ではない、いわゆる示威行動をした船であると考えられます。そうして、おそらく、これらの示威行動をした船には、海上民兵が搭乗していたのでしょう。

しかし、10日以降は、海上民兵が搭乗した漁船が姿を消したのでしょう。

これは、何を意味するのでしょう。これも、中国が今や海上民兵による示威行動に対しても、資金を十分に投下できないことを示しているのかもしれません。


さて、産経新聞の記事には、以下のようなことが掲載されていました。
 福建省の漁業関係者によれば、8月上旬に尖閣周辺に集まった漁船には少なくとも100人以上の海上民兵が乗り込み、大半が船長など船を指揮できる立場にいる。彼らの船には中国独自の衛星測位システムが設置され、海警局の公船などと連携を取りながら前進、停泊、撤退などの統一行動をとる。帰国後は政府から燃料の補助や、船の大きさと航行距離、貢献の度合いに応じて数万~十数万元(十数万~約300万円)の手当てがもらえるという。 
 地元の漁民によれば、福建省や浙江省の港から尖閣近くに向かうには約20時間かかり、大量の燃料を使う。また、日本の海上保安庁の船に「作業を妨害される」こともあるため、通常は敬遠する漁民が多いという。
さて、中国側としては、尖閣周辺で海上民兵などに対して、さらに派手に示威行動をさせたかったのかもしれません。しかし、尖閣で示威行動をしたり、あるいは、海上民兵を尖閣諸島に上陸させたとしても、確かに中国内外にかなりのインパクトを与え、ある意味ではかなりの国内外に対して国威発揚にもなります。

とはいいながら、海上民兵に示威行為を繰り返えさせたにしても、尖閣を奪取させたにせよ、これは国威発揚という象徴的な意味があるだけであり、そこから何か富が生まれるかといえば、そのようなことは全くありません。それどころか、海上民兵に多額の報奨金を支払わなければなりません。

南シナ海を埋め立て、軍事基地化したとしても、尖閣を奪取して、そこを軍事拠点にしたとしても、そのことによって富が発生するわけでも、外資が流れ込んでくるわけでもありません。

キャピタルフライトに悩まされ、金融緩和もできない中国にとつて、今や虎の子である資金をこのようなことに金を使うのはためらわれるのでしょう。

現在の中国では、拝金思想が幅を効かせています。海上民兵も金にならなければ、なかなか動かないのでしょう。

将来は官僚になって賄賂をもらいたいと作文に書く小学生の登場など、いわゆる拝金主義の横行を嘆く人が中国で増えている。写真は西安で「9割引きの女性求む」と書かれた横断幕を持つ青年たち。流行りの「拝金女」への反対を表明することが目的だという。2010年10月14日。

だからこそ、10日以降には、海上民兵が搭乗した漁船が尖閣から姿を消したのでしょう。

オリンピックでの中国の金メダル激減も、結局選手に十分な金が行き渡らずやる気をなくしたのでしょう。中国では国内では、金メダル至上主義が転換点をむかえているようです。

中国の「金メダル至上主義」を変えた!天然系の愛されキャラ、競泳女子の傅園慧選手。14日、リオデジャネイロ五輪で一躍「時の人」となったのが、女子競泳の傅園慧選手。彼女の自由で生き生きとした発言が、「多くの中国人の共感を呼んでいる」と米メディアが報じている。
結局、尖閣も五輪も、結局金の切れ目が縁の切れ目ということで、オリンピック選手も、海上民兵も金をくれない政府には従わないということなのでしょう。オリンピック選手などは、政府のための五輪ではなく自分のためということで、政府の干渉を嫌がるようになるでしょう。

キャピタルフライトがとめどなく続く、中国では、人民元が国際通貨にならないのは当然であり、それどころか、いずれ唯一と言っても良い、中国共産党中央政府の統治の正当性の根拠である金が尽きてしまうことでしょう。

そうなれば、人民解放軍も、公安警察も、城管も、人民も中国共産党中央政府のいうことを聴かなくなります。そのとき、中国の現体制は崩壊することでしょう。現中国では、金の切れ目は縁の切れ目なのです。

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2016年8月18日木曜日

小池都知事、改革へ着々「都政改革本部」新たに顧問5人選任…リオ五輪へ出発―【私の論評】巨悪を暴くだけでなく、おおさか維新と結びつき国政改革起爆剤にも?


リオ五輪閉会式出席のため出発する小池百合子東京都知事=
18日午前、東京都大田区・羽田空港国際線ターミナル

東京都の小池百合子知事(64)が18日、公約に掲げた都政の透明化を目指すために9月上旬に設置する「都政改革本部」顧問として、新たに中央大法学部の工藤裕子(ひろこ)教授(48)ら5人を選任した。すでに就任した5人に加え、顧問は10人となった。リオデジャネイロ五輪視察へ出発する前に、羽田空港で報道陣に発表した。

工藤氏は、中央大教授の他に、財務省財務総合政策研究所上席客員研究員を務める「財政のスペシャリスト」。顧問には他に、一橋大学国際・公共政策研究部の佐藤主光(もとひろ)教授、経営コンサルタントの町田裕治氏、グレートジャーニー合同会社の安川新一郎代表、イオン株式会社特別顧問の山梨広一(ひろかず)氏が就任する。小池氏は「国内的には改革、リオでは東京のPRに務めて参りたい」と述べた。

都政改革本部は、小池氏が本部長を務め、情報公開のあり方を検討するほか、2020年東京五輪・パラリンピック関連予算などを調査する。12日の定例会見で、上山信一慶応大教授(58)ら5人が顧問に就任すると発表した。

【私の論評】巨悪を暴くだけでなく、おおさか維新と結びつき国政改革起爆剤にも?

都政改革のための、組織づくりをした小池百合子氏、ブログ冒頭の写真でも示したように、羽田空港に現れた小池知事は、リゾート感のあるスーツ姿でした。頭から足下まで全身オフホワイトの色調で統一しており、夏を意識した涼しげな装いです。

パナマ帽風のハットをかぶり、ショールを首にかけて空港を颯爽と歩く姿は、海外に行く際に見る麻生太郎副総理兼財務相の印象とも重なります。麻生氏がボルサリーノハットを深々とかぶり、ダンディーな雰囲気を醸しながら空港を歩くのはおなじみの光景。2人の歩く様子をとらえた写真を見比べるとそっくりです。

以下に、麻生財務大臣の海外に行く際の写真を掲載します。

ロシア・サンクトペテルブルクでのG20に出席するため、
安倍晋三首相と共に羽田を出発する麻生太郎財務相=2013年4月4日

小池知事は、2020年の東京五輪に向け競技場なども訪れ、運営状況やセキュリティー対策を視察するという。閉会式の「勝負服」も注目だが、現地でのおしゃれも気になるところだ。

さて、当面の改革の対象ともいえる、都議会ですが、そのドンと言われている"内田茂"氏に関して、また文春砲が炸裂しました。

詳細は、8月17日(水)発売の週刊文春をご覧いただくもとして、以下に一部を引用します。
“都議会のドン”が役員の会社 豊洲新市場の工事も受注
内田氏(写真一番右)が都議選に出馬した際応援した麻生太郎総理(当時)と、石原慎太郎都知事(当時)
“都議会のドン”といわれる内田茂都議(77)が役員を務める会社が、築地市場の移転先となる豊洲新市場の電気工事を受注していたことがわかった。8月17日(水)発売の週刊文春で詳しく報じる。

内田氏は、落選中だった2010年から地元・千代田区に本社を置く東光電気工事の監査役に就任。内田氏の所得等報告書、関連会社等報告書を総合すると毎年数百万円の役員報酬を受けているとみられる。 
 築地市場の移転を巡っては、自民党東京都連の幹事長だった内田氏が都議会対策を仕切り、2012年3月、移転に関する予算案が都議会特別委員会で可決され、大きく進展した。 
 予算成立を受け、都財務局は豊洲新市場関連工事の入札を実施。2013年12月、新市場の管理施設棟の電気工事を約37億9000万円で落札したのが、東光電気工事を中心とするJV(ジョイントベンチャー)だった。 
 東光電気工事は、複数の東京オリンピックの施設工事も受注しており、内田氏が復活当選する2013年までは700億円前後だった売上高は、2014年には約1000億円へと急成長している。
 地方自治法第92条の2では、地方議員が自治体の事業を請け負う企業の役員を兼ねることが禁じられている。さらに、同法127条では、前項に違反した場合、議員を失職することが定められている。 
「ただ、失職させるには、議会で出席議員の3分の2以上の同意が必要であると定められており事実上、空文化しています」(自民党都議) 
 内田氏、東光電気工事は以前、小誌の五輪施設受注に関する取材に対し、口利きを否定。今回、豊洲新市場の受注について確認を求めたが、回答はなかった。 
 東京都の小池百合子新知事は、築地市場の移転問題について、選挙戦の最中に「一歩立ち止まるべきだ」と述べていた。16日に築地市場、豊洲新市場を視察した上で、結論を出すとしており、決断が注目される。
ただし、これに対してはすでに、内田氏のバッシングは行き過ぎではないかという論評も出現しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
内田茂都議に対するバッシングは度を過ぎているのではないか?
この記事は、宇佐美典也氏がブロゴスに掲載しているものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部分だけ掲載します。
まずすぐに思い浮かぶのは「東光電気工事の業績回復は内田茂氏の口利きの功績なのか?」という点だが、これは全く的外れだ。東光電気工事は再エネ業界ではそれなりに名が知れた存在で、2012年のいわゆる固定価格買取制度導入以降メガソーラーの開発工事を多数受注して売り上げを伸ばした。
つづいて「内田茂氏の監査役就任は地方自治法92条の2(議員の兼業禁止)違反なのか?」という点についてだが、こちらも限りなくシロに近い。同条項は短いので全文紹介すると以下の通りだ。 
===============

第九十二条の二 
普通地方公共団体の議会の議員は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人の無限責任社員、取締役、執行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。 
=============== 
この条文の解釈はこちらのリンクを参考にしていただきたいが、この場合内田氏をバッシングする立場の人たちは「内田氏は『主として普通地方公共団体に対し請負をする法人の監査役』だから法律違反だ」という主張をしているわけだが、その解釈はどう考えても無理がある。東光電気工事の売上は1000億円程度だが実績紹介を見る限りは、そのうち過半や主要な部分を東京都からの発注で占められるとは到底言いがたい。
なお私は内田茂氏の自民党都連のガバナンスに問題があるのだろうと思っているし、またそれを正すべきだとも思っている。ただそれは炎上商法やレッテル付けによるものではなく、正しい情報に基づいて適正な手続きを経て行われるべきだと思っている。なのでこの件に関しても情報公開請求なり、都議会での質問を通して丁寧に真相を調べていただければと思う。 
多分何も出てこないんだろうけど。
この記事は、週刊文春に掲載されてい「口利き問題」や、「一見違法と見られる監査役就任」などでは、内田茂氏を叩くことはできないことを主張しています。これは、おそらく事実なのでしょう。

そうして、この記事を書いた宇佐美氏は、自民党都連のガバナンスには問題があるだろうと思っているとしています。しかし、この件に関しても情報公開請求なり、都議会での質問をしてもおそらく何も出てこないだろうとしています。それは、そうですね。

ガバナンス(統治)等に問題があったとしても、今まで全くボロが出てこなかったわけですから、情報公開請求したり、都議会で質問する程度では何も出てこないでしょう。

しかし、このブロクでも指摘したような、舛添知事辞任の裏に潜む、都議会の巨悪や、猪瀬元東京都知事が激白した、都議会議員の自殺など、何やら巨悪が潜んでいそうです。

そうして、この巨悪をあぶり出すには、他にも十分やり方があります。そうして、この動きは、巨悪をあぶり出すどころか、もつと大きなものになる可能性を秘めています。

さて、内田氏の後ろには、森喜郎が控えています。森喜郎氏と小池百合子氏は犬猿の仲です。故に、内田茂と小池百合子が馴れ合う可能性は低いです。ポイントは来年の都議選になると思われます。来年の都議選に自身のシンパの有力候補者を千代田区で内田茂対抗馬として推薦することになるでしょう。

既に今回、小池氏は都議選補欠選挙に自身の元秘書を始め、シンパ議員を何人か推薦しています。これは、都議会で自身の影響力を拡大し、内田茂を筆頭とした自民党守旧派を一掃する作戦です。小池氏は新党結成も「選択肢」と述べています。

この発言を巡り、与野党で臆測が広がっています。自民党内では、来夏の都議会選挙をにらみ地域政党の設立に動くと警戒する見方が浮上しています。東京で勢力拡大を狙うおおさか維新の会は小池氏との連携に意欲をにじませています。憲法改正などで同党の協力に期待する首相官邸は神経をとがらせています。

「東京大改革という5文字をもとに、ぜひ、一緒に活動していただきたい」。10日夜、都庁舎にほど近いホテルで開いた会合で、小池氏は約70人の地方議員らを前にこう宣言。与野党に「新党準備」の観測が上がりました。

70人の地方議員らとの会合を開いた小池知事
小池氏周辺でささやかれる構想は、年内にも都議会新会派か地域政党をつくり、自民党への対立候補を擁立して都議会で主導権を握るというものです。

小池氏とおおさか維新が連携する可能性も取りざたされています。ブログ冒頭にもあるように、小池氏は、都政改革本部メンバーに大阪府・大阪市特別顧問の上山信一慶応大教授の起用を発表しています。上山氏は、地域政党「大阪維新の会」結党に深く関わり「大阪都構想」の理論的支柱の一人です。これに関して、小池氏はツイッターで「仕込み段階の第一歩」と書き込んでいます。

上山信一慶応大教授
おおさか維新は都知事選で候補擁立を見送っています。選挙後、馬場伸幸幹事長は「来年の都議選は改革勢力を大きくする方向で協力したい」と語りました。統治機構改革をめざす第三極の結集は、影響力の大きい橋下徹・前大阪市長、代表の松井一郎大阪府知事の悲願でもあります。党内には小池新党をきっかけに東京と大阪の改革勢力で連携し、党勢拡大につなげる期待もにじんでいます。

改憲などでの連携をにらみ橋下氏の政界復帰に期待する声がある官邸は複雑です。都知事選投票前日の7月30日、都内で安倍晋三首相らは橋下、松井両氏と会食。首相側が「小池さんは大阪の成功例を参考にしているんじゃないの」と探りを入れたのですが、橋下氏は「それは分かりませんね」とけむに巻いたといいます。

小池知事は、都知事就任をきっかけに、都議会の巨悪を暴き、改革するだけではなく、国政にも大きな影響を及ぼすことになるかもしれません。小池新党が、おおさか維新と結びついた場合、国政改革の大きな起爆剤となるかもしれません。

野党共闘などする、民主党などには、もう国政改革などの目は出ません。それにしても、小池氏、ここまで最初から視野にいれていたのだと思います。野党共闘の推薦した鳥越氏とは、かなりの違いです。野党連合は鳥越氏を推薦するあたりで、もう終わっています。小池新党には、期待できるかもしれません。あまりにもふがいない野党には、もうご退場願いたいです。

私自身は、自民党を支持しているのですが、それは積極的に支持しているわけではなく、他に支持すべき政党がないから、支持しているのです。小池新党ができたからといって、それを支持するかどうかはわかりませんが、それにしても、有権者に選択肢が広がるというのは良いことです。

いずれにせよ、現在はまだ、憶測の域を出ないわけですが、とはいいながら可能性は十分あります。今後しぱらくは小池知事の動向には目が離せないようです。

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2016年8月17日水曜日

中国人民解放軍内部文書「日本は2000発の核弾頭製造可能」―【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!


 『国防参考』の表紙
7月の参議院議員選挙で、非改選を合わせて自民党を含む改憲勢力が3分の2を占めたことで、中国は安倍政権の憲法改正の動きに警戒を強めている。

 そんななか、ジャーナリストの相馬勝氏は「日本では右翼勢力が台頭しており、近い将来、核武装に踏み切るのではないか」などと予測する中国人民解放軍の内部文書を入手した。

 * * *

 中国人民解放軍の内部文書は「日本の核武装に警戒せよ、世界平和に大きな影響」と題し、人民解放軍機関紙「解放軍報」を発行する解放軍報社傘下の軍の内部部門である「国防参考」が出版。

 「国防参考」は軍の幹部を対象に、軍事情勢を中心にした中国内外の重要なニュースや時事解説、解放軍中枢からの重要指示などを伝達するものだ。

 中国の傅聡軍縮大使が昨年10月の国連総会で、日本の「核武装論」を非難している。今回の参院選の結果を受けて、中国が日本の核武装論をテコに再び対日批判を強めることが予想されるが、その動きは、この「国防参考」の内容からある程度、予測できるだろう。内部文書の主要部分は、以下の通りだ。

 日本では原子力発電所の稼働によって、核兵器を製造するための原料であるウランやプルトニウムといった核物質を豊富に保有している。同時に、核兵器を持たない国のなかでは唯一、ウランの濃縮や使用済み燃料の再処理によるプルトニウムの製造技術といった、核兵器に転用可能な核物質を製造する一連の技術も保有する。それゆえ、日本は「2000発の核弾頭を製造できる」とし、それも「短期間で」と付け加えている。

 さらに、文書は日本の核兵器製造をめぐる歴史的経緯や政治・経済動向、科学的な裏付け、日本の核武装正当化のための国際関係や領土問題に加え、日本の核武装を阻止するための中国の対応についても詳しく解説している。

 ●そうま・まさる


【私の論評】日本の核武装の意図は、それだけで外交カードになる(゚д゚)!

このブログでは、中国人民解放軍の脆弱性を何度か掲載してきました。特に、海軍力では天と地との差があります。日本の潜水艦は、航行時の静寂性から、中国の最新鋭の原潜に対しても圧倒的な強みを発揮します。

日本の潜水艦が、ほとんど音を出さず、隠密行動ができるのに対して、中国の潜水艦は工作技術があまりに劣るため、まるで水中をドラム缶を叩くような「ドンドン」と音をたてて、水中を航行するので、すぐに発見できますが、日本の潜水艦を中国側は探知することができません。

中国の戦略型原潜
対潜哨戒能力においても、日本の海上自衛隊は、世界トップの紹介能力を誇るのに対して、中国の対潜哨戒能力は世界でも、他の先進国などと比較すれば、最低レベルです。最近の、海戦は、潜水艦によって決まるとも言われているくらい、潜水艦の重要性が増しているにもかかわらず、中国はこのレベルなので、どうあがいても、中国海軍には日本には勝てません。

さらに、空軍力はどうかといえば、これも日本にはかなり劣っています。そもそも、中国の戦闘機など、かなり稼働率が低いのと、先進国なら戦力外の旧式の航空機もかなり大量に使っています。

これらを総合的に勘案して、日本の戦闘機と、中国の戦闘機を戦力外のものを外し、さらに稼働率によって、実戦配備数を計算してみると、なんと、日本の航空自衛隊は 300機以上、中国は50機に過ぎないことがわかります。これについては、以前このブロクでその計算過程など、掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
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中国の戦闘機「J-11」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、中国の実機稼働機数は50機です、日本の航空自衛隊のそれは315機です。これでは、勝負ははっきりしています。中国の空軍は、日本と真正面から衝突した場合、6倍の航空兵力に挑まなければならないのです。

さて、そのような中国人民解放軍ですが、いくつかは、日本より優れているところがあります。まずは、陸軍です。この陸軍は、兵力も武力も結構なもののようで、全体では日本の陸上自衛隊を上回っています。

しかし、これは、日本の自衛隊が中国に侵攻するなどということは全く想定していませんし、さらに、日本の陸上自衛隊が人民解放軍の陸軍と戦うとすれば、中国が尖閣諸島や、沖縄などの攻め込んできたとき以外に考えられません。

しかし、そのためには、中国は陸上兵力を船などで運ばなければなりません。そうなると、先ほど述べたように海軍力では、かなり劣った中国ですから、中国から陸上兵力を日本に運ぶ途中で、海の藻屑と消えてしまうことになります。これでは、勝負になりません。

中国が、尖閣諸島付近でいろいろと示威行為をするものの、さとりて尖閣諸島を奪取して、南シナ海の環礁のようにしてしまうなどの行動をなかなかしないのは、いろいろ理由があるでしょうが、結局中国が海軍力、空軍力で日本にまだ相当に水を開けられているということを認識しているからです。

人民解放軍が、尖閣諸島や、沖縄を奪取したとしても、それを守り通すことはできず、あっという間に日本に奪還されてしまうからです。

最近尖閣諸島付近の水域に出没した中国漁船と公船 以下のリンクから動画をご覧いただけます。

このようなことがあるので、今までのところ、中国は尖閣などの奪取はしないで、尖閣諸島を含めた東シナ海に公船や漁船を多数展開して、いずれこの海域を自由に航行できるようにしようとの腹であるとみえます。

しかし、こんな人民解放軍でも、まだ優れているところが一つだけあります。それは、中国が核兵器を所有しており、日本はしていないということです。しかし、これとても、日本は米国の核の傘に守られてるため、おいそれと手出しできません。

しかし、日本が核武装していないということで、中国はかなり有利であることは間違いないです。日本が核武装していないので、米国の直接の利害の及ばない範囲であれば、中国は核を散らつせて、日本に迫ることができます。

たとえば、本来内政干渉にすぎない、閣僚の靖国詣でなどにいちゃもんをつけることができます。さらには、尖閣諸島付近で示威行動をすることもできます。さらに、航空機を頻繁にこの海域の上空に派遣することもできます。いずれこの海域や空域を自分たちの海や空のように自由に往来できるようにすることを目論でいます。

今年の8月15日靖国神社を参拝した二閣僚 左より丸川五輪担当大臣、高市総務大臣
こういうことが、出来るの、あるいは出来そうなのは、一重に中国が核武装をしていて、日本が核武装をしていないからです。借りに、中国が核武装をしていなければ、端から、尖閣の問題など生じていません。仮に、中国がそのような素振りをみせれば、外交で脅せば、中国はすぐに折れることでしょう。

しかし、このブログ冒頭の記事のように、日本が核兵器を持てば、この前提はことごとく崩れてしまいます。

このブログで昨日は、米国のバイデン副大統領が、大統領選の集会でヒラリーを応援する際に、「日本国憲法は、米が書いた」と発言したことを伝えました。さらに、バイデン副大統領は今年の7月1日に、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かしました。

8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領
詳細は、昨日の記事をご覧いただくもとして、私はこの2つの出来事から、トランプだけではなく、民主党も含めて、米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意があると結論づけました。

バイデン副大統領や、トランプ氏などは、一切「戦術核」などとは言っていないので、中国側は、日本が一夜にして大量の戦略核、戦術核を持つことも十分可能であると受け取ったことでしょう。

そうなると、中国は将来の国家戦略を根底から変えなけれはならなくなります。特に核戦略には大きな変更を迫られることでしょう。そのような危機感の現れが、ブログ冒頭の「国防参考」の記事のような形で表にでてきたということです。

それにしても、バイデン副大統領は、賢いです。中国に対して、日本核武装を外交カードとして切っています。バイデン大統領は、中国が北朝鮮を懐柔すべしという提案とともに、この話を習近平にしています。

中国が実際にそうするかどうかは、わかりませんが、借りに中国がそうしたとすれば、バイデン副大統領は大成功ですし、失敗したとしても、元々日本の核武装を外交カードにしているため、バイデン大統領自身も米国も何も失うものはありません。

しかし、日本の核武装という、この外交カード、日本も上手に使うべきと思います。中国が傍若無人な態度に出れば、日本は「核武装」するかもしれないという、外交カードを切れば良いのです。

この外交カード、米国などの核保有国は使えません。しかし、日本は使えます。そうして、使おうと使うまいと、核兵器はないわけですから、そのカードが有効だろうと、無効になろうとも、日本にとっても失うものは何もないわけです。

それでいて、中国をかなり威圧できます。このカード日本も、バイデン副大統領に使わせるだけではなく、上手に使うべきです。

そうして、日本も核武装について、国内で真摯な議論をすべきです。私自身は、北朝鮮のら拉致問題など、日本が核武装でもしなけば、なかなか解決しないだろうと思っています。

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2016年8月16日火曜日

<米国>バイデン副大統領「日本国憲法、米が書いた」―【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!


8月15日にクリントン氏の応援演説をするバイデン副大統領

バイデン米副大統領は15日、東部ペンシルベニア州スクラントンで民主党大統領候補のヒラリー・クリントン前国務長官(68)の応援演説をし、「私たちが(日本を)核武装させないための日本国憲法を書いた」と語った。共和党大統領候補の実業家、ドナルド・トランプ氏(70)を批判する中での発言だが、米政府高官が、日本国憲法を「(米国が)起草した」と明言するのは極めて異例だ。

バイデン氏はトランプ氏を「事実から学ぼうとしていない」と批判した上で、日本国憲法の話題に触れた。トランプ氏が今春、日本や韓国の核武装を容認する発言をしたことを念頭に置いたとみられ、「(トランプ氏は)学校で習わなかったのだろうか? 彼に(大統領として)核兵器発射コードを知る資格はない」とも非難し、会場は笑いに包まれた。

バイデン氏は今年6月、米公共テレビ(PBS)のインタビューで、中国の習近平国家主席に対して北朝鮮の核開発阻止で協力を求める中で、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と伝えたことを明らかにしている。

【私の論評】米国は場合によっては、日本の戦術核を容認する用意がある(゚д゚)!

さて、まずはバイデン副大統領が今年、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」と語ったその内容について、詳細を以下に掲載します。
波紋呼ぶバイデン米副大統領の「日本は一夜で核兵器製造が可能」発言、中国・習主席に北朝鮮説得促す? 
2016年7月1日、米国のバイデン副大統領は、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席との会談で、「日本は一夜で核兵器製造が可能」と発言したことを自ら明かしました。発言は習主席に核・ミサイル開発を急ぐ北朝鮮の説得を求める中で飛び出しました。日本では禁句とされる核武装に言及した発言は、少なからず波紋を呼んでいます。 
日本メディアなどによると、バイデン副大統領の発言は先月20日に行われた米公共テレビPBSのインタビューで明らかにされました。習主席との会談時期は明言しませんでした。 
会談で習主席は北朝鮮情勢に関して、在韓米軍への地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備に触れ、「中国軍は米国が中国を包囲しようとしていると考えている」と反対。これに対し、バイデン副大統領は中国に北朝鮮への圧力を強めるよう促し、「日本は実質的に一夜で核武装できる能力を持っている」と語ったといいます。 
バイデン発言は、北朝鮮が核・ミサイル開発にこのまま突っ走れば、危機感を抱いた日本が対抗して、中国が最も警戒する核武装に踏み切る恐れがあるとあえて例示。米中の連携がなければ、日本の核保有があり得るとの認識を伝えたとみられます。 
習近平(左)とバイデン副大統領
参院選の応援で全国各地を飛び回る菅義偉官房長官に代わり、24日に記者会見した世耕弘成官房副長官はバイデン発言について「(日本が)核兵器を保有することはありえないことだ」と否定。「非核3原則」に言及し、「日本政府の重要かつ基本的な政策として今後も堅持していく」と強調しました。 
その上で、核に関する法制度として「国内法上は原子力基本法によって、日本の原子力利用は平和目的に極めて厳しく限定されている」と説明。「国際的にも核兵器不拡散条約(NPT)の非核兵器保有国として、核兵器の製造や取得などを行わない義務を負っている」とも述べました。 
米国務省のカービー報道官も、バイデン発言について「米国は日本の防衛に十分な責任を持っている」と指摘。副大統領とは別に、日本の核保有を認めない従来の立場を明確にしました。 
日本の核武装については、米大統領選の共和党候補指名が確実視されるトランプ氏も今年3月の米紙とのインタビューで容認する考えを示し、物議を醸しました。その後、さすがのトランプ氏も「そんなことは言っていない」と軌道修正を図っています。 
習主席との会談でバイデン副大統領は「北朝鮮がハワイやアラスカはもちろん、米本土まで攻撃できる核兵器の開発を進めている事実をはっきり認識するよう求めた」といいます。副大統領は、米上院外交委員長などを長く務めた外交通。オバマ政権ナンバー2が日本を引き合いに出した真意をめぐっては、さまざまな臆測を招いています。
バイデン副大統領は、「日本は事実上、一夜で核兵器を製造する能力がある」という発言を背景に、ブログ冒頭の記事におけるトランプ氏批判を行っています。

それにしても、バイデン大統領が語るとおりに、日本は一夜で核兵器を製造できるでしょうし、開発すれば技術的には世界最高水準であり、中国やロシアなどの比ではなく、米国と肩を並べるほどの核保有国となることでしよう。

中朝の核兵器とは一線を画すものとなるでしょう。中国の核兵器は北朝鮮と比較すれば、進んでいますが、それにしてもICBMは全世界を標的にし得るのですが、SLBM(潜水艦発射型核弾頭)は、未だ全世界をカバーできる状況ではなく、SLBMで米国全土を射程に収めようとすると、西太平洋に潜水艦を巡航させそこから発射しなければ、飛距離がまだ足りないです。

北朝鮮の核兵器は中国と比較するとまだ遅れていて、ICBM(陸上発射型核弾頭)でも、アメリカ全土を射程距離には収めきれていません。SLBMに関しては、まだ開発途上と見られています。

日本が、核兵器開発に乗り出した場合、ICBMでも、SLBMでも、全世界を射程距離内に収めることができます。さらに、SLBM の場合、日本の既存型の潜水艦である最新鋭の「そうりゅう型」に搭載すれば、その静寂性から、他国に探知されることなく、潜水艦を巡航させ、世界中のどこにでも核弾頭を発射することができることになります。

日本の新型固体燃料ロケット「イプシロン」は
比較的簡単にICBMや、SLBMに転用できる
そうなると、中朝に対しては、安全保障面では、かなり優位に立つことができ、中国や北朝鮮にとってはかなりの脅威です。

バイデン氏はこの事実を習近平につきつけ、中国が北朝鮮を懐柔することができない場合には、日本の核兵器配備を容認する考えがあることを示したのです。そうして、ブログ冒頭の記事は、暗に日本国憲法の改正もあり得ることを示していると考えられます。

これによって、米民主党政権でも、場合によっては日本が核兵器を保有することを容認する用意があるし、そのための憲法改正もやぶさかではないことを示しています。ただし、バイデン大統領は、表立って主張するのではなく、あくまで、トランプ氏を揶揄する形で語っています。

これによって、日本が核兵器を保有することを容認するのは、トランプ氏だけではなく、米民主党にもその用意があるのですが、世界情勢を鑑みたうえで、米国にとって良い方向でそれを容認するということを示しているのです。

確かに、中国が北朝鮮を懐柔することができずに、北朝鮮がこのまま核兵器の開発を続け、ICBMやSLBMの開発に成功して、米全土を核兵器の標的に収めることができるようになったとしたら、米国にとっては脅威ですし、そうなれば、米国としてもこれに対する備えをしなければなりません。

これに対して、無論自らも備えるでしょうが、日本にも備えてもらえれば、より強固なものになります。米国からすれば、日本が米国も標的になるような核兵器ではなく、米国が標的にならないような短距離の核兵器を装備すれば、ベストでしょう。

さて、日本国憲法に関しては、バイデン副大統領が主張するように、事実上米国側が起草したものであることは周知の事実です。そうして、アメリカ議会は、すでに数年前から、日本憲法の改憲派が多数派になっています。

これに関しては、このブログでも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「日本は憲法改正せよ」が米国議会で多数派に―【私の論評】憲法を改正するか、中国の属国になるか、アメリカの51番目の州になるか、あなたはどの道を選択しますか?

GHQによる日本国憲法草案
1946年(昭和21)2月13日、外相官邸で行われた日米会談の席で、政府の「憲法改正要綱」は、あまりに保守的内容であるとして拒否され、GHQ起草の案(マッカーサー草案)が提示された。この草案は、GHQ民政局部内で極秘裏に起草されたもので、主権在民・象徴天皇・戦争放棄などを規定していたため、政府側に大きな衝撃を与えた。


この記事は、2010年12月9日のものです。アメリカ議会は、もうすでにこの時期から日本の改憲派が多数派となっていました。詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に、この記事から一部のみ引用します。
米国議会が日本の憲法第9条を日米共同防衛への障害と見なし、改憲を望むようになった――。 
この現実は日本の護憲派にはショックであろう。だが、米国議会上下両院の一般的な認識として、日本側の憲法9条の現行解釈による集団的自衛権の行使禁止は、「より緊密な日米共同防衛には障害となる」というのである。 
日本の憲法を改正するか否かはあくまで日本独自の判断によるというのが正論である。だが、日本の防衛が米国という同盟パートナーに大幅に依存し、しかも日本の憲法がかつて米国側により起草されたという事実を見れば、どうしても米国の意向が重視されてきた側面は否めない。 
つまり、日本で改憲を考えるに当たっては、米国が改憲に賛成なのか、反対なのかが、どうしても大きなカギとなってきたのである。
トランプ氏のように荒っぽい主張ではありませんが、米国議会も、この時期までの日本政府による憲法解釈による憲法9条による集団的自衛権の行使禁止は「より緊密な日米共同防衛には障害となる」とみていたのです。

その後、ご存知のように昨年、日本政府の憲法解釈の変更による、集団的自衛権の行使を含む安保法制が成立し、今日に至っています。これに関しては、米国側としては、一定の評価はしているものの、まだまだ十分ではありませんし、日本が独自で核兵器を持つようなことはできません。

そのため、もし中国が北朝鮮に対して、これ以上の核開発をしないように懐柔することができなければ、米民主党としても、日本の核武装を容認する用意があり、そのためには日本政府による憲法改正も認める用意があるということです。

次期大統領が、トランプになろうが、ヒラリーになろうが、米国が日本の改憲を望み、場合によっては、核兵器の配備も認めることもあるということです。

米国の戦術核の実験 1957年
ただし、核兵器とは言っても、日本が戦略核を配備すれば、米国も標的になるので、米国としてはあくまで、戦術核の配備を望むことでしょう。ちなみに、戦術核とは戦場単位で通常兵器の延長線上での使用を想定した核兵器のことです。 戦略核兵器や、戦域核兵器(中距離核兵器)に対して射程距離が短い。 米ソ間の核軍縮協定などでは射程距離500km以下のものが戦術核兵器であると定義されています。

それにしても、日本が戦術核を持てば、アジアの安全保障は劇的に変化することでしょう。日本国内では、核に関して論じることはタブーのような状態です。このタブーを破り、真摯にこの問題に向き合うことからはじめなければなりません。

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2016年8月15日月曜日

天皇陛下、「深い反省」再度表明=終戦記念日―【私の論評】沖縄戦で最大の犠牲者を出したのは、実は北海道の将兵(゚д゚)!


全国戦没者追悼式のご出席された天皇皇后両陛下

天皇陛下は15日の全国戦没者追悼式で、昨年に続き「深い反省」との表現をお言葉に盛り込まれた。

追悼式のお言葉は陛下が自ら執筆しており、例年ほぼ同じ表現が続いていた。しかし、戦後70年の昨年は、「さきの大戦に対する深い反省」を中心に新たな文言が盛り込まれた。

今年は全体的に一昨年までの文章に戻す一方で、「過去を顧み、深い反省とともに」と述べ、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願うと続けた。

陛下は1992年に中国を訪れた際や、94年に韓国の大統領を迎えた際の晩さん会のお言葉で、「深い反省」の文言を使ったことがある。

天皇、皇后両陛下は昨年のパラオでの慰霊に続き、今年1月にフィリピンを訪れ、日比双方の戦没者を慰霊している。 

【私の論評】沖縄戦で最大の犠牲者を出したのは、実は北海道の将兵(゚д゚)!

終戦の日というと、最近ではテレビなどでもあまり報道されなくなりました。今年は71年目の終戦記念日です。この日にあたって、こちらは北海道ということもあり、私自身も旭川、札幌、函館と、北海道の三大都市にはすべて住んだ経験もありますので、北海道の戦没者に関する歴史等を掲載しようと思います。

日本が明治維新を迎えた時、世界は酷い状況にありました。獰猛な白人達がアジア・アフリカ諸国のほとんどを植民地にし、その人たちからの富を収奪して豊かな生活を送っていました。


もちろん白人がその文化の高さでアジア・アフリカ諸国を植民地にしたのではなく、砲艦外交、つまり軍艦と軍隊で脅し、時に撃ち殺して植民地にしたのです。

このような時代に明治維新を迎えた日本は、何とかして日本が植民地にならないように頑張りました。そのためには、強い軍隊が必要だったのです。

当時の白人、特にアングロサクソンは極めて征服欲が強く、理屈をいっても通じるような相手ではありませんでした。しかし、軍隊が強ければたとえ小さな国であっても植民地にされるのを防ぐことができたのです。

形式的には、地にはならなかった当時の中国やタイなども外国にかなり干渉されていました。そのため、完全に独力で独立していたのは「日本だけ」といっても間違いではなかったのです。無論、日本は大東亜戦争に敗れて、米軍が進駐してしばらく日本を統治していた時期もありますが、これは日本が米国の植民地であったというわけではありません。

それに、日本は無条件降伏したなどというテレビ報道などを信じこんでしまう人もいますが、これは明らかに間違いです。日本は、ポツダム宣言を条件付きで受諾したのです。これは、本当に先祖に感謝しなければなりません。

日露戦争当時のロシア兵
さて、そんな時代、北海道に入植した日本人が最も恐れたのは北のロシアの侵略でした。ロシアは冬期間にも凍らない港のない国で、何とかそれを手に入れようとして、トルコとクリミア戦争をし、中国では満洲を南下して旅順に軍港を作っていました。隣の国(当時の清国)が弱ると見ると、勝手に隣の国に鉄道を造り、軍港にしてしまうという国だったのです。

ロシアから見ると日本はさらに良いところでした。北海道には、アイヌ人が多かった時代から頻繁に沖合にロシアの船が来ていました。そこで明治政府は日本全体に6個師団あった師団をもう一つ増やして第七師団を北海道の旭川におきました。日本の「北の守り」を第七師団に託したのです.

第七師団が北海道から出たのは日清戦争からですが、その時は師団が旭川から東京に移動したところで日清戦争が終戦を迎えたので、実際には出撃しませんでした。

その後、第七師団は極めて強かったので、日露戦争の時にはもっとも激しかった高地に、その後、ノモンハン事件、さらに太平洋戦争ではあのガダルカナル戦、アッツ島の守備、それに沖縄戦に投入されました。日本人なら誰でもが知っている激戦地に投入されたのです。

ガダルカナルでは、1,507名北海道出身の将兵が戦死、沖縄戦では北海道出身の将兵が約1万人が戦死しています。以下に、大東亜戦争中の北海道出身の将兵の戦没者に関してまとめておきます。
先の太平洋戦争関係で、北海道出身将兵の戦没者:総数は、(109,500名) でした。 最大の犠牲者数が出たのは、沖縄(10,085名) でした。 以下、海上(8,973名),中国(7,671名),フィリッピン(6,117名),日本国内(5,924名),満州(4,421名),ニューギニア(2,813名)、マリアナ諸島(2,219名),ソ連(2,040名),アッツ島(1,571名) ガダルカナル(1,507名) 旭川市の歩兵28連隊・一木連隊,メレヨン島(1,331名) 歩兵26連隊・函館連隊区、樺太(1,398名)歩25連隊・札幌市・月寒連隊等の第88師団、ビルマ(731名),硫黄島(689名),千島列島(546名)以下省略します。
沖縄戦での将兵の全戦死者 95,000名中で、最大比率の10,085名が、北海道出身兵なのです。北海道だけでも、これだけの犠牲者を出した大東亜戦争ですが、戦争が終了する前と、後では、大きく世界が変わり、戦後には植民地はこの世界から消えました。

旧陸軍第七師団の跡地で、現在、陸上自衛隊旭川駐屯地に隣接する「北鎮記念館」
ところで、遠く本州から寒い北海道に入植した屯田兵や第七師団の兵士たちにとって、辛い毎日に勇気をもらい心のよりどころにしたのは神社でした。

屯田兵は旭川神社を作り、第七師団は北海道護国神社を祀りました。そのほかにも石狩川沿いに開発が進むたびに、まず神社を造り、それから活動を開始しました.

人間はそれほど完全なものではありませんから、素晴らしいとされている北海道屯田兵と旭川第七師団の中にも少数ながも「俺たちが国を守っているのだ」という自負が強く、それが「俺たちは国を守っているのだから、威張って良い」という振る舞いをした例もあったのですが、だからといって、屯田兵や師団、それに精神的支柱となった神社の功績が消えるわけではありません。

旭川護国神社
私たちは今、日本が植民地ならなかったことによってアジア諸国の中では最も経済も文化も進んだ国として存在しています。それはかつて、明治維新から太平洋戦争まで自らの命をかけて日本を守りぬいた北海道の旭川のように、北からの脅威に対抗してきた人たちの努力によるものです。

これも多くの誤解があるのですが、大東亜戦争末期に東京や大阪、広島、長崎やその他の大都市が、焼け野が原になったことをもって、日本は戦後ゼロからスタートしたと信じこむ人も多いのですが、それは正しく実体を表していません。

実際、経済指標などを調べると、終戦直後には国富はそれ以前と比較すれば、7割にも減っていましたが、それでも7割です。確かに、都市は焼け野が原となりましたが、北海道の大部分はもとより、全国の農村地帯などが戦災を免れ、そこから戦後の日本はスタートを切ることができました。

そうして、その国富は確かに最盛期と比較すれば、7割にまで減りましたが、当時の特にアジアの他の国と比較すると、国富でトップであり、そこから戦後の日本はスタートしたのです。決してゼロからのスタートではありません。無論現代と単純に比較すれば、質素であったことでしょうが、さりとて、日本が戦後ゼロからスタートというのは、誇張以外の何ものでもないと思います。

その中でも、北海道は石炭などのエネルギー資源、農水産物資源に恵まれており、終戦直後の日本では豊かさを残した地域でした。そのためでしょうか、終戦直後からしばらくは、日本の各地から転入する人が多く、かなり人口が増えていた時期があります。これも、ほとんど忘れ去られた歴史だと思います。

終戦直後の札幌
それに、戦争中や戦争直後など、ご老人たちの昔話を聴いていると、日本のたの地域と比較すると、さほど、食料事情が悪くもなかったようでした。

さらに、私の母方祖父の家は当時旭川あったのですが、隣には当時軍神といわれた、加藤隼戦闘隊の加藤隊長の生家だったそうです。そのような環境だったのですが、日米開戦のときには、曽祖父と近所の駐在さんが、「大変だ、米国と戦争をすれば、日本は負けるかもしれない」と議論をしていたのを祖父がはっきり覚えていると語っていました。

“加藤隼戦闘隊”隊長加藤建夫氏
こんなことを考えると、よくテレビなどで、報道されたり、当時の出来事を題材とたドラマなどで、戦中や戦前は軍部が専横した暗黒時代のようにされているのですが、少なくとも当時の札幌はそうではなかったことがうかがい知ることができます。

無論、終戦間際には、さすがに北海道の札幌でも、食糧事情が悪くなったり、戦争遂行のために様々な犠牲があったことでしょうが、かといって、戦中戦前が暗黒時代であったというドラマや、報道など信ぴょう性はいかがなものかと思ってしまいます。

そうして、旭川は、今旭山動物園やラーメン街で有名です.日本が平和で動物園やラーメンが話題になるのは大変に結構なことですが、その平和を築いてくれたかつての人たち、そしてそれを支えてくださった神社に対してわたくしたちは深く感謝しなければならないでしょう。

そうして、先の大東亜戦争で亡くなられた、北海道の将兵、全国の将兵の方々のご冥福をお祈りいたします。

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