2016年11月25日金曜日

【痛快!テキサス親父】韓国の大規模集会、親北朝鮮勢力のにおいプンプンしてくるぜ 統一プラカードに同じ言葉―【私の論評】単純に朴槿恵辞任が正義と語る奴らは、北朝鮮スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!

【痛快!テキサス親父】韓国の大規模集会、親北朝鮮勢力のにおいプンプンしてくるぜ 統一プラカードに同じ言葉

「朴槿恵退陣」のプラカードを手にソウルのデモに集まった人々
写真はブログ管理人挿入以下同じ
ハ~イ! みなさん。

あの韓国が大変らしいな。朴槿恵(パク・クネ)大統領の親友による国政介入疑惑など、スキャンダルが続出して、ソウルでは4週連続で、朴氏退陣を求める大規模集会が開かれているそうじゃないか。

韓国には「川に落ちた犬は、棒でたたけ」という諺(ことわざ)があるそうだ。動物愛護団体が激怒しそうだぜ。支持率が限りなくゼロに近い朴氏を引きずり下ろし、二度とはい上がってこないように、みんなでたたいているんだろう。

大体、韓国の歴代大統領の多くは任期途中や退任後に、亡命や暗殺、投獄、自殺など過酷な運命にさらされている。先進国じゃ考えられないよな。穏やかじゃないぜ。

ネットを検索していたら、大規模集会について「韓国内の親北朝鮮勢力が扇動した可能性がある」という分析が載っていた。確かに、北朝鮮は多数の工作員を韓国国内に送り込んでいると聞いたことがあるぜ。

加えて、参加者が掲げていた「統一されたプラカード」を見て、「それはあり得るかもな」と思った。同じ色のボードに、同じ言葉が書かれ、みんなが一斉に掲げていた。あの姿は中国や北朝鮮の「マスゲーム」を連想させる。自由主義国家ではなく、全体主義国家の臭いがプンプンしてくるぜ。

韓国で行われる集会やデモでは、何万人もの参加者に帽子やハチマキなどが配られることもあるという。これが意味するものは、「扇動者と資金提供者がいる可能性が高い」ということだ。いわゆるキャンペーンだな。

米国の反トランプデモ

米国でもデモや集会はある。最近でも、ドナルド・トランプ次期大統領に対する抗議デモが全米各地で起きていた。ただ、ほとんどの場合、参加者がそれぞれ、思い思いの言葉を段ボールなどに手書きして掲げている。時々、暴力行為に及ぶひどい輩もいるが、組織だった行為は少ない。これは米国の自由主義の影響だろうな。

ほかの国ではどうなのかと、ネット上で「demonstration」(=示威運動)や、「protest」(=抗議者)などの単語で画像検索をしてみた。すると、世界各国のデモの大半は、米国と同じスタイルだったぜ。

日本の友人によると、日本でも特定政党が関わる「反基地」「反原発」「反安倍政権」のデモでは、同じような光景が見られると聞いた。全体主義勢力の影響があるのかもしれないな。

親愛なるみなさんと、日本と米国に神のご加護がありますように。全体主義国家や勢力による分断・弱体化工作に十分気をつけてくれ。

では、また会おう!

 ■トニー・マラーノ 

【私の論評】単純に朴槿恵辞任が正義と語る奴らは、北朝鮮スパイか馬鹿のいずれか(゚д゚)!

トニー・マラーノ氏

トニー・マラーノ氏は米国人であり、日本には何度か着たことはありますが、やはり韓国の状況に関しては、あまり知らないというのが実情なのだと思います。しかしながら、普段は米国にいながらも、ブログ冒頭の記事のような分析をしています。

彼の分析を一言で表わせば「朴槿恵辞任デモを繰り広げる連中の背後には親北朝鮮の勢力が関係しているらしいという」ということです。そうして、この分析は正しいです。

ただし、「らしい」のではなく、デモを繰り広げる連中の背後には間違いなく、直接であれ、間接であれ親北朝鮮の勢力が関係しています。

それに関しては、つい最近もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンク以下に掲載します。
東京基督教大学教授・西岡力氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では西岡氏の以下の主張を掲載しました。
朴槿恵大統領スキャンダルに関する大量の報道は、重要な2つの論点を欠落させている。 
第1に大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えられていない。 
第2に半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどない。 
その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が分からない。
 そうして、この主張に呼応して、私自身の意見ものべました。

私の意見としては、上の記事でトニー・マラーノ氏も述べているように、朴槿恵大統領のスキャンダルのみならず、韓国の歴代大統領の多くは任期途中や退任後に、亡命や暗殺、投獄、自殺など過酷な運命にさらされています。

とにかく、大統領をめぐっては何度も問題がおこつているわけです。であれば、大統領制によ統治のシステムに何か根本的な問題がはるはずです。このように、何度も同じような問題が発生するということは、最早朴槿恵氏個人の倫理的な問題ではなく、システムの問題であり、このシステムを変えないかぎり、これからも何度も同じことが発生し、問題の根本的解決にはなりません。

だから、統治のシステムの改善・改革が必要であるというのが私の主張でした。そうして、大統領制による統治のシステムを些細に分析すれば、当然のことながら、西岡氏の主張するような問題も明らかになり、それに対処することにもなったはずです。

しかし、朴槿恵辞任要求デモでは、このような問題を一切ふれず、ただただ問題を朴槿恵氏の倫理的な問題に絞り、退陣を要求するばかりです。

親北朝鮮派にすれば、システムの改善・改革などやってもらいたくないのでしょう、そうなれば、自分たちの存在がクローズアップされることにもなります。そうして、システムに北朝鮮の浸透を防ぐような、サブシステムが組み入れられかねません。

そんなことより、彼らは、とにかく朴槿恵を辞任に追い込み与党を弱体化させ、あわよくば次の大統領選挙で、新北朝鮮派の大統領を当選させ、自分たちの勢力を拡大させ、最終的には韓国を事実上北朝鮮の影響下に置きたいというのが真の目的です。

さてこの状況に関して、ランダムヨーコさんも、非常に興味深い見解を動画で述べていました。その動画を以下に掲載します。



詳細はこの動画をご覧いただくものとして、この動画でランダムヨーコさんは、もし親北朝鮮政権が、韓国に成立した場合、西岡氏も述べているように、アジアはかなり不安定になるし、さらに反日的になるとしています。そうして、朴槿恵政権は北に関しては、かなり厳しくやってきており、親北朝鮮などよりはるかにましであるとしています。

トランプ氏を応援し、バイリンガル保守としても有名なランダムヨーコさん
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領に対する弾劾の動きが加速する中、弾劾による大統領権限停止の際に国政のかじ取りを代行する黄教安(ファン・ギョアン)首相です。

韓国憲法は「大統領が職務を遂行できない場合、首相が権限を代行する」と規定。朴氏への弾劾訴追が国会で成立すれば黄氏が代行することになるのですが、重要な人事案や協定締結など、国益に関わる課題までは踏み込めないとみられている。

しかし、黄氏は「骨の髄まで朴氏側の人間」(韓国紙)とされています。検察出身で首相の前は法相を務めました。

黄氏は、「骨の髄まで朴氏側の人間」ということですから、北に対しても厳しい態度をとる事が期待できます。

いずにせよ、韓国は朴槿恵の辞任など当面は棚上げして、私が主張したように、大統領による統治システムの問題を明らかにし、それを改革・改善し、その後に朴槿恵氏の処分を決めるようにして、親北朝鮮勢力の大統領などができるようなことを極力防いでいただきたいものです。

それにしても、左下の韓国メディアも日本メディアも本当にこういった視点からの報道は全くしません。実際、彼らは相当の馬鹿か、北朝鮮のスパイのいずれかです。

とにかく、単純に朴槿恵辞任が正義と語る奴らは、スパイか馬鹿のいずれかとみるべきです。

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2016年11月24日木曜日

【スクープ最前線】トランプ氏が中国制圧決意、「通貨・貿易戦争」辞さず 安倍首相初会談の核心―【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?


トランプ氏は、国防長官に「対中強硬派」で「狂犬」との異名を持つジェームズ・マティス
元中央軍司令官(中)を検討している。右端はマイク・ペンス次期副大統領
ドナルド・トランプ次期米国大統領の真意をめぐり、世界が動揺している。各国首脳に先駆けて、安倍晋三首相が17日(日本時間18日)、米ニューヨークの「トランプタワー」で初会談したが、核心的部分が伝わってこないからだ。こうしたなか、米情報当局者の間で「トランプ氏が対中強硬方針を決断したようだ」という情報が広がっている。習近平国家主席率いる中国は孤立化するのか。ジャーナリストの加賀孝英氏が緊急リポートする。

「先週末以降、各国情報機関が慌ただしい。『トランプ氏が、中国との激突も辞さない強硬政策を決断した』『安倍首相にも協力を求めたようだ』という極秘情報が流れているからだ」

旧知の米情報当局関係者はこう語った。

世界が注目した会談後、安倍首相は記者団に「胸襟を開いて率直な話ができた」「トランプ氏は信頼できる指導者だと確信した」と発言した。トランプ氏も自身のフェイスブックに、ツーショット写真をアップし、「素晴らしい友好関係を始めることができてうれしい」とコメントした。

米政府関係者が次のようにいう。

「会談は大成功だ。2人は意気投合し、『ゴルフ外交』の調整も進めている。トランプ氏には就任直後、世界の首脳が電話で祝意を伝えて会談を求めた。だが、『会おう!』と即決したのは安倍首相だけだ。日本を重視しているのが分かる。問題は、安倍首相が『話すことは控えたい』とした会談の中身だ」

私(加賀)は冒頭で「トランプ氏の対中強硬方針決断」情報を報告した。各国情報機関は、これこそが「会談の核心だ」とみている。

トランプ氏は選挙期間中、日本やドイツも批判していたが、一番激しく攻撃していたのは中国だ。彼は以前から「アンチ・チャイナ」を前面に出していた。

 いわく、「大統領就任初日に中国を『為替操作国』に認定する」「中国のハッカーや模造品に規制強化する」「中国の輸入品に45%の関税を課す」「中国の覇権主義を思いとどまらせる。米軍の規模を拡充し、南シナ海と東シナ海で米軍の存在感を高める」…。

 まさに、中国との「通貨戦争」「貿易戦争」「全面衝突」すら辞さない決意表明ではないか。

 重大な情報がある。なぜ、トランプ氏が大統領選で逆転勝利できたのか。なぜ、ヒラリー・クリントン前国務長官が敗北したのか。カギは中国だった。国防総省と軍、FBI(連邦捜査局)周辺が動いたという。

 以下、複数の米軍、米情報当局関係者から得た情報だ。

 「国防総省と軍は、オバマ政権の『対中腰抜け政策』に激怒していた。彼らは常に、南シナ海や東シナ海で、中国への強硬策を進言してきたが、オバマ政権は口だけで逃げた。米国のアジアでの威信は地に落ち、混乱した。オバマ政治を継続するヒラリー氏は容認できなかった」

 ヒラリー氏は12日、敗北の原因を「FBIのジェームズ・コミー長官のせいだ」と非難した。コミー氏は、ヒラリー氏の「私用メール」問題で、投票直前に議会に捜査再開の書簡を送り、10日後には「不正はなかった」との書簡を送って、ヒラリー氏の勢いを止めた。裏で何があったのか。

 「FBI内部では『なぜ、ヒラリー氏を起訴しないのか』という不満が爆発していた。『私用メール』問題は、巨額の資金集めが指摘されたクリントン財団の疑惑に直結する。クリントン夫妻は中国に極めて近い。FBIは国防総省と同様、『ヒラリー氏はノー』だった。コミー氏は国防総省にも通じるロッキード・マーチンの役員なども務めていた」

 そして、情報はこう続いている。

 「トランプ氏は、ロシアのプーチン大統領との連携も検討している。これが実現すると、シリア内戦をめぐる米露対決は解消し、過激派組織『イスラム国』(IS)掃討作戦で結束できる。中東情勢を改善させ、米軍を南・東シナ海に集中させる計画も立てている」

 こうした中での、安倍-トランプ会談だったのだ。

 中国外務省の耿爽副報道局長は18日の記者会見で、具体的な会談内容は不明としつつも、国家間の協力が「第三者の利益を毀損してはならない」といい、自国への影響を牽制(けんせい)した。

 笑止千万だ。国際法を無視した自国の暴走を棚に上げて、何をいっているのか。明らかに、中国がトランプ氏の一挙一動に震えている。

 トランプ氏は今後、軍事費を約300億ドル(約3兆3237億円)増額させ、米軍の大増強を図る。日本などの同盟国には「負担増」と「役割増」を求めるとされる。

 米国が劇的に変わるのは間違いない。日本も覚悟と責任が求められる。だが、自国と世界の平和と繁栄を守るため、怯(ひる)んではならない。 

 ■加賀孝英(かが・こうえい) ジャーナリスト。1957年生まれ。週刊文春、新潮社を経て独立。95年、第1回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞受賞。週刊誌、月刊誌を舞台に幅広く活躍し、数々のスクープで知られている。

加賀孝英氏

【私の論評】トランプ大統領はオバマとはまったく異なる方法で米国を弱体化させる可能性も?

トランプ氏と安倍総理との会談に関しては、トランプ氏がまだ大統領でもなく、現状では一私人に過ぎないことから、この会談の内容は安倍総理自身も語っていたように、これを表に出すことはできません。だから、ブログ冒頭の記事は、加賀氏の会談の核心が「トランプ氏の対中強硬方針決断」だったかどうかは、あくまでも加賀氏の推測に過ぎないわけです。

しかし、これが会談の核心であった可能性は高いですし、中国外務省の耿爽副報道局長が、国家間の協力が「第三者の利益を毀損してはならない」と語っていることから見ても、会談ではこのような話もあった可能性が高いですし、少なくとも中国に対する牽制について話がでたと中国側に思わせたのは間違いありません。

ブログ冒頭の記事では、加賀氏が「トランプ氏が大統領選で逆転勝利できたのか。なぜ、ヒラリー・クリントン前国務長官が敗北したのか。カギは中国だった。国防総省と軍、FBI(連邦捜査局)周辺が動いたという」としていて、その内容を記載していますが、ここで触れられていない内容で、保守派を激怒させたのは、やはりヘーゲル国防長官の解任だったと思います。


オバマ大統領とヘーゲル国防長官
オバマ米大統領は2014年11月24日、ヘーゲル米国防長官の辞任を発表しました。イラク情勢やシリア政策を巡るオバマ氏側との意見の対立が背景にありました。オバマ政権で国防長官の辞任は3人目となる異例の事態でした。

この年の11月4日の米中間選挙で民主党が大敗した後の閣僚辞任は初めてでした。後任は未定。ヘーゲル氏は決まるまで職務を続けました。オバマ氏はヘーゲル氏の辞任について「難しい決断だった」と語っていましたた。

ヘーゲル氏は共和党出身で2013年2月、オバマ政権2期目の目玉閣僚として迎えられました。オバマ大統領としては、ブッシュ政権下の共和党に所属しながらイラク戦争に反対したヘーゲル氏をテコに超党派の政策を進める狙いでした。

オバマ氏は2013年、ヘーゲル氏が進言したシリアへの軍事介入を土壇場で見送る一方で、 2014年にはライス大統領補佐官(国家安全保障担当)らの求めに応じてシリア領の過激派「イスラム国」への空爆を決断しました。こうした経緯にヘーゲル氏は不満を強め、ホワイトハウスとの不協和音が伝えられていました。

ヘーゲル氏はライス氏にシリア政策の「整合性がとれない」との趣旨の書簡を送り、ライス氏が退かなければ自らの辞任も覚悟した行動に出たのです。オバマ氏がライス氏の交代に動く気配はなく、最終的に辞任を決断しました。

そうして、ヘーゲル氏の辞任劇につながったのは、シリア政策だけではなく、ウクライナ問題での対ロシア政策、南シナ海、東シナ海での中国の強硬路線に対する政策に関しても、煮え切らない及び腰のオバマ大統領に対して保守派の不満は最高潮に達していたことでしょう。

ヘーゲル長官の事実上のオバマ大統領による解任は、保守派を激怒させたものと思います。この時点で、もう保守派はオバマは大統領としてはふさわしくないとの烙印を押していたものと思います。

そうして、このことが、後のトランプ旋風の遠因となったのは、間違いないものと思います。ヒラリー・クリントンが大統領になれば、オバマ氏の及び腰が継承され、とんでもないことになるという危機感が多数の保守派に共有され、大きな力となったのです。

だからこそ、かなり危機感を抱いた国防総省と軍、FBI(連邦捜査局)の保守派の周辺が動き、トランプ氏が大統領選勝利への大きな原動力となったのです。

このような背景でトランプ氏が大統領選に勝利し、非公式といえ日本のトップである安倍総理と会談したわけですから、中国をはじめとした世界各国からみれば、当然のことながら、トランプ氏は「対中強硬路線」をとると見るのが当然のことです。

さて、トランプ氏は大統領就任時にTPPから離脱すると宣言しました。


そうして、このトランプ氏の宣言に呼応したかのごとく、中国の国営英字紙チャイナ・デーリーは15日付の社説で、米国のトランプ次期政権は中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)への支持を検討すべきとの見解を示しました。

同紙は「中国政府は当然ながら、排他的で経済的に非効率かつ政治的対立をあおる環太平洋連携協定(TPP)が実現する可能性が日増しに低下していることに安心している」とした上で、「米次期政権は、より開かれた、包括的なRCEPが米国の利益の追求する上ではるかに効率的な枠組みになることを認識すべき」と指摘しました。

米国はRCEPに参加していません。

一方、米国のオバマ現大統領が推進してきたTPPに中国は参加していません。米国は中国よりも先にアジアの貿易協定を定め、アジアで経済的主導権を握ることを目指していました。しかし、トランプ氏はTPPから脱退すると表明しているほか、来年1月までのオバマ大統領の任期中に議会で承認される可能性はほとんどなくなりました。

RCEP参加国には東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国に加え、中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドが含まれるが、現段階ではTPPほど高度な貿易自由化は可能となっていません。

TPPに反対して、「TPP亡国論」を叫んでいた連中や民進党などのTPPを政争の道具に使おうとする連中は、日本が、中国のリーダーの下での国際ブラック分業体制ともいえる、RCEPには加入するか、米国の二国間での重商主義的な交渉に挑むことを主張しはじめるかもしれません。


さて、米国との二国間の重商主義的な交渉は日本にとっては、あまり良いことはないです。その事例として、2012年に発効した米韓FTAを例に出します。TPPのお手本とされたこの協定は再交渉で誕生しました。

ブッシュ政権時代に最初の協定が決まったのですが、08年の大統領選に出馬したオバマは「米国の利益を損なう」と反対しました。当選後、再交渉となり韓国に厳しい内容になりました。

北朝鮮と対峙する韓国は米軍の支援を抜きに安全保障を維持できず、隣接する中国との関係からも米国の後ろ盾を必要とします。当時の李明博大統領は米国の要求を呑まざるを得なかったようです。再協議は秘密交渉で行われ、膨大な協定の中身は国会で十分な周知がないまま決まってしまいました。

韓国は不平等協定を呑まされたようなものです。以下の様な不平等な点があります。

 ◎韓国サービス市場の例外品目以外の全面開放
 ◎仮にまたぞろ狂牛病が発生しても米国産牛肉の禁輸措置を韓国はとれない
 ◎韓国が他国とのFTAで相手国に認めた有利な条件は米国にも適用
 ◎米国産自動車の売上げが落ちれば米国の自動車輸入関税2・5%は復活
 ◎韓国で損害が出た米国企業は米国でのみ裁判を行う
 ◎韓国で利益が出ない米国企業に代わって米国政府が国際機関に韓国政府を提訴出来る
 ◎米国企業の韓国法人には韓国の法律を適用させない
 ◎知的財産権の管理は米国がする
 ◎韓国公営事業の民営化(市場開放の追加もある

さて、TPPの焦点のひとつに薬価がありました。日本は米国に次ぐ巨大市場です。日米二国間交渉となれば、薬価を高値に維持する特許期間の延長が協議されることになるでしょう。

TPP交渉では、日本の製薬会社も「特許期間が8年では短すぎる」としていました。TPPでは途上国が短縮を求め押し切って8年になったのですが、日米二国間協議には当然のことながら、途上国はいません。日本は、TPP交渉ではかなり粘りました。このように粘ったのは、日本側の努力もあるのですが、やはり多国間交渉であったという側面もあります。

FTAでは、薬価の決め方も米国は突いてくることが予想されます。TPP協定付属文書に「医療品及び医療機器に関する透明性及び手続きの公正な実施」という規定が盛られたました。当たり前のことが書かれているように見えるのですが、キーワードは「透明性」と「公正」です。

2011年の日米経済調和対話で「利害関係者に対する審議会の開放性に関わる要件を厳格化し、審議会の透明性と包括性を向上させる」という項目が入りました。審議会とは厚労省の中央社会保険医療協議会。実務を担う薬価専門部会に米国製薬企業の代表を加えろ、と米国は要求しています。

遺伝子技術の進歩で画期的なバイオ新薬がぞくぞくと登場したのですが価格がバカ高いです。小野薬品工業のがん治療薬オプジーボは、患者一人に年間3500万円がかかります。健康保険が適用されるが財政負担が問題となり、来年から薬価が半額になることが決まりました。

米国の製剤会社は日本の国民皆保険でバイオ製剤を売りたがっています。新薬認可や保険適応を円滑に進めるため、決定過程に入れろ、と圧力をかけています。高額薬品をどんどん入れれば財政がパンクし国民皆保険が危うくなりかねません。


米国は国民皆保険がないため、病院に行けない医療難民がたくさんいます。オバマケアで最低限の保険制度を作る試みが始まったのですが財政負担が嵩み、金持ちや共和党が目の敵にしています。トランプは「撤回」を視野に再検討する構えです。米国の製薬企業は、日本の皆保険は新薬の巨大市場と見ています。世界一薬価が高く政治力のある米国資本が薬価決定に参入すれば、日本の薬価はどうなることでしょう。

こうした問題は日米二国間交渉の一端でしかありません。TPPではなく、二国間協議に移ればなおさらこのような問題がでてくるのは日を見るより明らかです。多国間交渉である、TPPであれば、多く国々が参加していることから、米国一国だけが有利になるようなことは考えられないですが、二国間交渉になれば、それこそ重商主義立場から、米国の有利な内容になりかねません。

ちなみに、重商主義(じゅうしょうしゅぎ、英: mercantilism、マーカンティリズム)とは、貿易などを通じて貴金属や貨幣を蓄積することにより、国富を増すことを目指す経済思想や経済政策の総称のことです。

本来米国主導であるはずの、「TPP離脱」に、呆れている場合ではありません。米国企業はしたたかです。このような企業の強力な後押しもあることから、トランプ氏としては、TPP 離脱を決意したものと思います。しかし、それが必ずしも米国の国益につながるとは限らないのです。

米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は16日公表した年次報告書で、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)が発効せず、中国や日本などが交渉している東アジア地域包括的経済連携(RCEP)が発効した場合、中国に880億ドル(約9兆6千億円)の経済効果をもたらすとの試算を紹介しました。


報告書は、オバマ米政権のアジア重視戦略「リバランス」で、TPP構想は経済面での中核をなすとみられていると指摘。中国への警戒感を強めているトランプ次期大統領はTPP脱退を主張しているのですが、報告書はTPP脱退が逆に中国の立場を強めると警告した形です。

RCEP交渉には日中両国のほか、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国などを加えた計16カ国が参加。TPPが発効した場合も、RCEPが発効すれば中国に720億ドルの経済効果があると試算。TPPが発効して、RCEPが発効しなかった場合には、中国の経済損失は220億ドルに上るとしました。

日本としては、TPPの米国離脱を阻止するのが当然です。何とか安倍総理の説得によって、踏みとどまっていただきたいものです。トランプ氏は、もともと企業経営者ですから、経営者の立場にたって、米国企業が儲けやすい体制を築きたいと思うのは無理もないのかもしれません。

しかし、米国企業の儲け、それも一部の企業の儲けそのものが、米国の国益にかなうことばかりではありません。場合によっては、著しく国益を毀損することだってあり得るのです。そのことに気づいて、トランプ氏が大統領就任時にTPPの再交渉を宣言するなら、かなりみどころがあると思いますし、大統領としてもうまくやっていけるかもしれません。

しかし、TPPに関する考え方がこのような状況ですから、威勢の良いことは言っていますがトランプ氏も意外と、方法は全く異なるものの、オバマ氏のように、米国を弱体化してしまうかもしれません。

そのようなことになれば、日本にとっても脅威です。たとえ、米国が衰退するにしても、日本がそれに引きずり込まれて弱体化してしまっては、中国の思う壺です。

安全保障面でも、経済でも、日本は日本の国益にあった独自の道を選択すべきです。そのためには、TPPが発効しないというのなら、RCEPからは脱退、米国とのFTA交渉もしない方針で臨むべきです。そうして、安全保障の面でも、日本独自の路線を歩めるように準備をすべきです。

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2016年11月23日水曜日

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力―【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

【正論】「反朴デモ」の首謀者・親北派が政権を握ることを阻止できるか 東京基督教大学教授・西岡力

東京基督教大学教授・西岡力氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 韓国の自由民主主義体制が揺れている。親北左派政権が誕生し、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もゼロではない。

 ≪本質を欠く朴スキャンダル報道≫

 朴槿恵大統領スキャンダルに関する大量の報道は、重要な2つの論点を欠落させている。第1に大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えられていない。第2に半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどない。その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が分からない。

 第1の点から論じよう。2015年11月に、過激な反体制運動を行ってきた労組である全国民主労働組合総連盟(民主労総)や、農民団体など50以上が集まって「民衆総決起闘争本部」が結成された。国家保安法に基づき「利敵団体」と規定された北朝鮮とつながる3つの極左団体「祖国統一汎民族連合南側本部」「民族自主平和統一中央会議」「民主民生平和統一主権連帯」が含まれている。

その「民衆総決起闘争本部」が今年のデモを計画していたところ、崔順実スキャンダルが発覚したため急遽(きゅうきょ)、鉄パイプなどを使わないソフト路線に切り替えて、10月29日から毎週土曜日に集会とデモを行っている。11月12日と19日の集会とデモは「朴槿恵政権退陣非常国民運動」が主催したが、前記闘争本部に「参与連帯」「民主社会のための弁護士会(民弁)」「韓国女性団体連合」「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会(挺対協)」など1500団体が加わった連合組織だ。特記すべきは、野党はそこに入っていないということだ。

 私が現場で取材した12日の集会でも、参加した野党の幹部や次期大統領有力候補らは司会者が名前を紹介しただけで、壇上にあがって演説することはなかった。壇上で演説したのは、挺対協女性代表、「416の約束(セウォル号事件)国民連帯」女性活動家、ソウル大学病院女性労組員、民弁弁護士などで、崔順実問題についてはほとんど言及せず、朴槿恵政権の対日外交、経済政策などを取り上げて激しい糾弾演説を行った。

 ≪左に偏った半島の政治勢力≫

 「朴槿恵は下野せよ、朴槿恵を下獄させよ」というフレーズが繰り返し出てくる集会の主題歌「これが国か」を作詞・作曲した尹ミンソク氏は、1992年に北朝鮮工作員が作った地下党の傘下組織に加入し、金日成を称(たた)える歌を作ったことをはじめ、これまで4回、国家保安法違反で逮捕された親北活動家である。

尹ミンソク
 半島全体の政治勢力の配置を概観すると、一番左端に金一家の世襲独裁政権がある。国連人権理事会調査委員会はこの政権はヒトラーやポル・ポトに匹敵する「人道に対する罪」を犯していると指摘した。その独裁政権は官営媒体やネットサイトを使って「朴槿恵退陣闘争を進めよ」と煽(あお)っている。

 闘争本部はそのすぐ隣あたりに位置する。運動方針が北朝鮮の煽動(せんどう)とほぼ一致している。なお昨年1月には北朝鮮系ネットサイトで崔順実被告と朴槿恵大統領の関係についての「白書」が公開されていた。

 野党は闘争本部よりは少し右だが親北であることは間違いない。第1野党の文在寅前代表は盧武鉉政権で大統領秘書室長をしていたとき、国連北朝鮮人権決議に賛成してもよいかと北朝鮮に事前に問い合わせ、否定的回答があったので棄権させたという。当時の外相が最近出した回顧録で暴露した。

 第2野党の幹部、朴智元氏は金大中政権時代、南北首脳会談実現の対価として4億5千万ドルの外貨を北朝鮮に送金した事件で逮捕され、実刑判決を受けている。

 ≪自由民主主義を守れるかが焦点≫

 その少し右に与党セヌリ党が位置するが、親朴槿恵派と非朴槿恵派に割れ、内紛を繰り返して4月の総選挙で敗北した。その右に退役軍人や教会などを背景にする保守勢力が配置される。

 保守系有力新聞の朝鮮日報や三星財閥系の中央日報などが左派新聞と競うように暴露合戦を続け、国民の大部分が朴槿恵大統領への失望と怒りを募らせたことは確かだ。しかし、朴槿恵政権がこの間、北朝鮮と国内の親北左派に対して毅然(きぜん)たる対応をとってきたことは保守派から評価されている。

 19日のデモは12日に比べて動員が落ちた。数万人のデモ隊が大統領官邸を囲む中で大統領が辞任を強制されるという「革命的状況」はほぼなくなった。今後は憲法秩序の下で、特別検事の捜査と国会での弾劾審議が進むだろう。

 その間に保守陣営が、朴槿恵大統領の崔順実被告との非正常な関係は批判するが、政権の保守的政策は維持発展させるという立場を整理できるかが勝負だ。それができれば、落ち着きを取り戻した国民に親北左派か自由民主主義派かという選択を示して次期大統領選挙で勝てる可能性も十分ある。焦点は親北左派が政権を握ることを韓国の保守が阻止できるかだ。(東京基督教大学教授・西岡力 にしおか つとむ)

【私の論評】日本メディアの朴槿恵スキャンダル報道は、単純に鵜呑みにすれば馬鹿になるだけ(゚д゚)!

韓国では、日々北朝鮮からの浸透の脅威にさらされています。北朝鮮と韓国は国境を接しており、様々な方法をつかって、北朝鮮の工作員が韓国に侵入し、ことあるごとに政府転覆工作を図っています。

過去においては、北朝鮮の指令を受ける地下党組織員出身の韓明淑、金正日の海外秘密資金口座へ4億5000万ドルを不法送金した事件の主謀者の朴智元、左翼革命資金を用意するための強盗傷害犯だった李学永(写真下)が民主統合党の議員として国会に入っていました。

李学永
彼らが歌う党歌は、スパイ事件連累者が作詞し、金日成称賛歌の作曲家が曲を作っていました。韓国マスコミは、このような驚天動地の事実を韓国の国民に知らせてきませんでした。

にもかかわらず、「国民の知る権利」云々する民主党出入り記者たちは記者に偽装した工作員かもしれません。 韓国では、個人的な信念のために事実を隠蔽する者らは地位の上下を問わず、マスコミから追放してこそメディア界が浄化されるとの声が高まっていました。

ジョージ・オーウェルは、「1足す1は2だと言える体制は自由が護れる」と言いましたが、そういう言論の自由を与えても偏向した北の体制に売り払ってしまう記者たちが韓国の自由主義体制を崩壊させることにもなりかねません。韓国の多くの記者たちは「自由の敵」なのです。
李哲禹
民主統合党の党歌が独裁者称賛歌のブログ冒頭の記事にもでてきた、作曲家尹ミンソク、によって作曲された事実を故意に黙殺する記者たちは民主統合党や党歌の作詞家李哲禹(写真上)、や作曲家と理念的な同志なのでしょうか? それとも左翼が怖くて彼らに不利な記事は国民に知らせないのでしょうか? まさに、「党歌事件」は韓国のマスコミの左傾化を告発する事件だったのです。

以上のように韓国マスコミは左傾化しています。だからこそ、ブログ冒頭の西岡氏がかたるように、韓国のマスコミは、朴槿恵大統領スキャンダル報道をするにしても、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であることがほとんど伝えていないし、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方がほとんどないのです。

その結果、韓国の自由民主主義体制が重大な危機を迎えているという事態の本質が韓国民も分からないのです。

そうして、日本のマスコミは、左傾化した韓国マスコミの内容を日本国内で垂れ流すのみです。そうして、この構造は次期米国大統領トランプ氏の報道においても同じ構造でした。

このブログに何度か掲載してきたように、米国のマスコミは、リベラル・左派系が90%を占めており、保守系マスコミは10%を占めるに過ぎず、保守系が何かを主張しても、リベラル・左派系の大声によってかき消されるというのが実体でした。

この構造を脇に置いたとしても、韓国・日本のメディアには大問題があります。それについては、このブログにも最近掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは―【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!
朴槿恵大統領の辞任を求めるデモ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、韓国においては過去に何度となく、大統領が海外逃亡をしたり、暗殺されたり、自殺したり、不正に関わっていたことがあることを掲載しました。

これだけ不祥事がつづているわけですから、韓国の大統領による統治のシステムは、欠陥があるとみて間違いありません。であれば、朴槿恵大統領のみを主に倫理的な観点から追求していたとしても問題は解決しないはずです。

これは、最早個人の問題ではなく、システムの問題なのです。であれば、大統領制による統治のシステムの問題点を改善したり、改革したりすることが、問題の根本的な解決になるはずです。

18日、米華字メディア・多維網は記事「THAAD配備に訪日、朴槿恵大統領の頼みの綱とは」を
掲載した。死に体と揶揄される朴槿惠大統領だが、THAAD配備や日本とのGSOMIA締結など
外交については着々と業務を進めている。資料写真。
しかし、韓国では、もっぱら朴槿恵氏自身の倫理的側面が追求されるのみです。これでは、全く何の解決にもならないどころか、北朝鮮側に朴槿恵スキャンダルを利用され、それこそ、西岡氏が主張するように、韓米同盟が解消されて米軍が撤退し、半島全体が中国共産党と北朝鮮世襲独裁政権の影響下に入る可能性もでてきます。

もし、韓国メディアや日本メディアなど、韓国の大統領による統治のシステムの問題点を明らかにするという姿勢で臨んでいれば、当然のことながら、その過程で西岡氏が主張しているように、大規模なデモを主催している勢力が過激な親北反体制派であり、これに対処する方法をどうすべきかとか、半島全体の政治スペクトラム(各政治勢力の配置)の中で事件を位置づける見方ができていたものと思います。

韓国メディアがそのようなことができないにしても、日本のメデイアは本来韓国から少し離れている日本にいるわけですから、記者などに現地取材をさせることをするにしても、もっと違った角度から取材して客観的に報道できたはずです。

しかしながら、米国大統領選挙の報道でも、そのようなことができなかった左下(左傾化しているだけなく、能力が低いということ)のマスコミには、韓国の朴槿恵スキャンダルにおいても、それは不可能なのでしょう。

それにしても、日本の新聞やテレビなどの朴槿恵スキャンダル報道など全く視聴する価値がないどころか、視聴して単純に鵜呑みにしていれば、馬鹿になるだけということは、確かなようです。

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2016年11月22日火曜日

日本の景気は良くなったのか 消費弱くデフレ突入の瀬戸際 財政と金融の再稼働が必要だ―【私の論評】何としてでも、個人消費を改善しなければ、景気は良くならない(゚д゚)!

日本の景気は良くなったのか 消費弱くデフレ突入の瀬戸際 財政と金融の再稼働が必要だ

グラフ、写真、図表はブログ管理人挿入 以下同じ

 今年7~9月期の国内総生産(GDP)1次速報値は、実質季節調整値で前期比0・54%増、年率換算で2・2%増となった。3四半期連続のプラスで、その水準もなかなかのものだ。ただし、その中身をみると喜べない。

 GDPを構成する主要項目別にみると、7~9月期の実質季節調整値で民間消費が前期比0・1%増、民間住宅が2・3%増、民間企業設備が0・03%増、政府最終消費が0・4%増、公的資本形成が0・7%減、輸出が2・0%増、輸入(控除)が0・6%減だった。

 住宅と輸出が伸びたのはよかったが、消費は微増、設備投資は横ばい、政府投資はマイナス、輸入もマイナスと今一歩だ。景気という観点では、消費と設備投資が伸びてこそ、ちゃんと成長しているといえるわけで、現状は不十分だ。

 2014年4月からの消費増税の影響はかなりなくなってきているが、消費の力強さがないために、景気回復はまだしっかりしていない。そうなってくると、設備投資にも慎重になるのはやむをえず、横ばいにとどまった。(注:太字としたのはブログ管理人)

 政府投資も16年度当初予算などを前倒し執行した4~6月期の反動が出て、マイナスになった。内需が弱い反映として輸入のマイナスもある。

 その中で、住宅は、住宅ローン金利の低下が購入を促した形だ。金融機関はマイナス金利に猛反対しているが、内需を増加させるということが示された。

 輸出が増えたのは、GDP統計で輸出に分類される訪日外国人(インバウンド)消費等に支えられたものだ。

 以上のように、個々の項目を見ると、日本の景気が良くなっていると胸を張るのは難しい。

 それにもまして、気になるのがGDPデフレーターの動きだ。GDPデフレーターとは名目GDPから実質GDPを算出するために用いられる物価指数だ。消費者物価と卸売物価を合わせたような性質で、その推移によってデフレ脱却しているかどうかの判断基準にもなる。


 四半期デフレーターの前年同期比をみると、1年前の15年7~9月期からの推移は、1・7%、1・5%、0・9%、0・7%と徐々に低下し、ついには今期は0・1%低下とマイナスになってしまった。

 国内需要デフレーターも1年前からマイナス圏に落ち込んでいる。この数字は1995年頃から、マイナスになっており、これがデフレ転落を示すともいわれていた。

 第2次安倍晋三政権誕生後の2013年当初から急速に上昇し、14年からはプラス圏内で推移していたが、今期は13年10~12月期以来、11期ぶりにマイナスになった。つまり、一時デフレから脱却したかに見えたが、再びデフレ突入の瀬戸際になっているのだ。

 原油価格の下落は言い訳にならない。原油価格下落によって輸入デフレーターが低下するため、逆にGDPデフレーターの上昇要因となるからだ。

 雇用は相変わらず好調だが、GDPについては、積極財政と金融緩和のミックスというアベノミクス再稼働が必要な状況である。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】何としてでも、個人消費を改善しなければ、景気は良くならない(゚д゚)!

高橋洋一氏のブログ冒頭の記事において、やはり太字にした部分は、重要です。

 2014年4月からの消費増税の影響はかなりなくなってきているが、消費の力強さがないために、景気回復はまだしっかりしていない。そうなってくると、設備投資にも慎重になるのはやむをえず、横ばいにとどまった。

消費増税の悪影響を如実に示すグラフを以下に掲載します。

この統計は、総務省「家計調査」のなかの一つです。この統計は、全国約9000世帯を対象に、家計簿と同じように購入した品目、値段を詳細に記入させ、毎月集めて集計したものです。


増税から一年半以上たっても消費税引き上げ直後の“反動減”の時期に当たる4月95.5、5月92.5とほとんど変わらない数字です。特に2015年11月は91.8と増税後最悪を更新しました。

増税前後のグラフを見ていただければ、L字型となっていて、数値が底ばい状態であることが判ります。これは反動減などではなく、構造的な減少です。現時点でも、2015年の平均を100とした指数で90台の後半をさまよい続けています。データでみれば一向に個人の消費が上向く兆しはありません。

この構造的な個人消費の低下は、当然のことながら平成14年4月からの消費税増税によるのです。

平成14年3月までは、105円出して買えていたものが増税で108円出さなければ買えなくなりました。その一方で、多くの消費者の給料は消費税増税分をまかなえるほど上昇していません。それは以下のグラフをみてもわかります。


名目賃金は、2013年あたりで下げ止まり、若干上昇傾向です。実質賃金は、2015年あたりで下げ止まり16年からは上昇傾向にはあります。ただし、実質賃金は日銀の金融緩和政策によって、雇用状況が改善して、パート・アルバイトや正社員であっても、比較的賃金の低い若年層が多く雇用されると、一時的に下がります。このグラフだけ見ていていては、現実を認識できません。

そこで、例を挙げると、たとえば昨年2015年の春闘で、日産自動車は大手製造業最高の賃上げを記録しました。そのベースアップ(基本給の賃上げ分)を含む1人当たり平均賃金改定額は1万1千円、年収増加率は3・6%。しかしベースアップ分だけなら、月5千円で、2%を切ります。他にも物価上昇が起きている中で、これでは消費増税増加分すらまかなえません。日産という自動車大手最高の賃上げでもこういう状況でした。

日本中のサラリーマンの給料が実質的に目減りをしたのです。これが2014年4月から続く「消費不況」の大きな原因です。

さらに、あまりにも長く続いたデフレの悪影響で貯蓄率も減っています。以下にそのグラフを掲載します。


これだけ、貯蓄ゼロの世帯が増えると、元々消費を控えているのに、増税されれば、当然のことながら、これらの世帯の人たちは、将来不安で一層消費を控えるようになるでしょう。

上の高橋洋一氏の指摘と、このような統計資料を合わせて考えてみると、どう考えても財政政策として、増税をしたのは全くの間違いです。財政政策として実施するなら、まずは増税などせずに、給付金対策をするとか、あるいは減税などをすべきでした。

8%増税は全くの間違いで、これを放置しておけば、景気は良くなりません。日銀による金融緩和によって、雇用はかなり改善しましたが、これも今のままではいずれ悪くなる可能性もあります。

やはり、高橋洋一氏が上記で指摘したように、GDPについては、積極財政と金融緩和のミックスというアベノミクス再稼働が必要です。それも、貯蓄ゼロの世帯を減らすには、中途半端な政策では成就できないでしょう。

日本のGDPに占める個人消費の割合は、60%でありこれが最大です。これを上昇させないかぎり、GDPは上昇しません。政府、日銀とも、これを伸ばすための政策を実行すべきです。特に、積極財政の緊急度は高いです。何をさておいても、なるべくはやく、大型の積極財政策を打つべきです。

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臨時国会も安倍政権VS財務省 民進党の本音は消費増税優先か―【私の論評】元々財務省の使い捨て政党民進党にはその自覚がない(゚д゚)!



2016年11月21日月曜日

蓮舫氏、配偶者控除政策を批判 廃止見送りは「挫折」―【私の論評】滑稽な財務省のピエロ蓮舫氏は安倍政権の強力な応援団(゚д゚)!


蓮舫氏


民進党の蓮舫代表は10日、政府、与党の協議で配偶者控除の廃止が見送られる方向になっていることについて「安倍晋三首相は『廃止』と指示を出したはずなのに頓挫したのはやる気がない。中途半端な(見直しは)挫折だ」と批判した。さいたま市内で記者団の質問に答えた。

首相が掲げる「働き方改革」に関し「『女性の活躍』と同じでスローガンで終わるのではないか。非常に残念だ」と指摘した。【共同通信 10月10日】

【私の論評】滑稽な財務省のピエロ蓮舫氏は安倍政権の強力な応援団(゚д゚)!


ブログ冒頭の記事、先月10月10日のものです。

滑稽な財務省のピエロ蓮舫氏

配偶者控除の見直しに関しては、以前にもこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
麻生大臣を怒らせた、佐藤慎一・財務事務次官の大ポカ―【私の論評】日本の巨大政治パワー財務省の完全敗北は意外と近い?
参院本会議で、民進党の蓮舫代表の代表質問を
聞く安倍晋三首相(左奥右)=9月28日午前


詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より一部を引用します。
2017年度税制改正について、8月末から9月にかけて盛り上がった配偶者控除見直しの動きが10月上旬、一気にしぼんだ。新聞報道によると、その理由は「衆院解散風」が吹き、有権者の反発を怖れた自民、公明両党が消極的になった、とされている。 
だが、首相官邸筋によると、迷走させた張本人は財務事務次官・佐藤慎一と主税局長・星野次彦だという。 
彼らは財務省内の合意を得ないまま、与党幹部には「首相官邸の了承を得ている」とウソをつき、暴走した。それを止めたのは副総理兼財務相・麻生太郎と官房長官・菅義偉だった。
この佐藤と星野の暴走には、さすがに財務大臣である麻生氏も激怒したようです。この記事にも掲載してあるように、結局財務省案をそのまま実行すると、かえって増税になるという内容でした。その部分を以下に引用します。
一見、良さそうに見えるが、夫婦控除を受けられる世帯主の年収は「800万円~1000万円以下」。これ以上の年収を得ている人は配偶者控除がなくなっただけとなり、年間数万円、税負担が増えることになる。 
つまり、年収が少ない人にとっては減税となるものの、多い人にとっては増税となる。社会の平準化は進むが、配偶者控除を「民法上の扶養義務」ととらえるなら、これを無くすことは社会の根幹を揺るがすことになる。
蓮舫氏は、このようなことは一切無視で、まるで財務省の応援団のような発言をしていたということです。

さて、以下に配偶者控除の見直し議論に関してまとめた内容を掲載します。



配偶者控除とは、専業主婦やパートなど収入が一定額以下の配偶者がいる家庭で所得税や住民税が軽減される制度です。妻の年収が103万円以下であれば、所得税は38万円、住民税は33万円が世帯主の課税所得から引かれます。このため、控除の対象外になることを心配して、「103万円の壁」といわれるように、女性が働く時間を自ら制限してしまう現象が生じていました。

さらに、「130万円の壁」もあります。妻の年収が130万円以下の場合は、夫の扶養になり、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料など)を負担する必要はないのですが、年収130万円を超えると夫の扶養から外れ、社会保険料が自己負担になるのです。

実際には、妻の年収が103万円を超えたとたんに、配偶者控除が適用されなくなるわけではありません。妻の年収が103万円から141万円以下の場合、配偶者特別控除が適用され、段階的に控除を受けられます。ただし、夫の所得が1000万円以上ある場合には適用になりません。


こうした制度の下では、妻の年収が130万円から150万円くらいの範囲だと、家計全体での年収は増えるのに、手取りの可処分所得が少なくなってしまう恐れがあります。

これが問題だとして財務省は配偶者控除の廃止ありきとしてきました。しかし、女性の社会進出を助けるというなら、配偶者控除の金額を引き上げるのも効果的な政策のはずです。配偶者控除の拡充で多少は税収が落ちますが、女性に働いてもらって、その所得に課税して税収を増やすことも可能です。

制度見直しでは、配偶者控除の代わりに「夫婦控除」の導入が検討されていました。そうなると、所得税がこれまでの「個人課税」から、「世帯課税」の色彩を強めることになりりそうでした。これは、世帯課税から個人課税へという世界の趨勢(すうせい)に逆行するものでした

税制の比較が容易な経済協力開発機構(OECD)の主要24カ国では1970年代以降、世帯課税から個人課税に移行したのは9カ国、世帯課税から選択制への移行は2カ国、そして選択制から世帯課税に移行したのが1カ国です。

世帯課税から個人課税への流れの理由は、個人課税のほうが、課税の中立性が高いからです。たとえば、専業主婦が働こうとするとき、世帯単位課税では累進税率が効いて不利になりますが、個人課税では中立的です。

税制には、簡素、公平、中立の三大原則があるとされていますが、個人課税のほうが中立性の点で優れています。

安倍政権の取り巻きは個人単位より家族単位のほうが良いと信じているようです。財務官僚は、こうした情報をうまく利用して、個人課税から世帯課税として、結果として配偶者控除の廃止をもくろんでいる。あまりにひどい「増税指向」です。

この内容がまともでないことと、財務事務次官・佐藤慎一と主税局長・星野次彦の暴走があったからこそ、麻生財務大臣は激怒し、官房長官・菅義偉氏がこれを止めたのです。

麻生財務大臣(左)と菅官房長官(右)
さて、本日は以下のようなニュースも入ってきています。
自民税調 配偶者控除の収入上限めぐり調整へ

詳細は、この動画もしくは記事をご覧いただくものとして、以下に「配偶者控除」に関する部分のみ引用します。
自民党税制調査会は、来年度の税制改正に向けて、21日から本格的に議論を始めることにしていて、焦点の所得税の「配偶者控除」の見直しについては、控除を受けられる配偶者の収入の上限をどの程度まで引き上げるかなどをめぐって調整が行われる見通しです。

自民党の税制調査会は、来年度の税制改正に向けて、21日、総会を開き、本格的に議論を始めることにしていて、来月中旬までに税制改正大綱を取りまとめる方針です。 
議論では、配偶者の給与収入が年間で103万円以下の場合に所得税を軽減する「配偶者控除」の見直しが焦点で、税制調査会の幹部は、「女性の就労を阻害する要因になっている」として、控除を受けられる配偶者の収入の上限を引き上げる方針を確認しています。 
このため、控除を受けられる収入の上限を、どの程度まで引き上げるかや、上限を引き上げた場合、全体の税収が落ち込むことを踏まえ、世帯の所得がどの程度であれば控除の対象から外すのかをめぐって調整が行われる見通しです。
これでは、配偶者控除廃止や夫婦控除を主張していた財務省や蓮舫氏を含めた財務省の応援団が赤っ恥をかいたとも言えそうです。

それにしても、ブログ冒頭の記事、財務省の悲願である配偶者控除廃止を安倍総理がやめることにすると、民進党は財務省の味方をするという格好の実例となりました。まるで、民進党は財務省の別働隊のようです。

おそらく、財務省の官僚は、民進党の幹部のところに、ご説明資料を持って足繁く通い、自分たちの望ましいと考える、政策を民進党に何度も刷り込んでいるのでしょう。経済・金融・雇用に疎い民進党幹部らは、これらの資料を批判的に読んだり、財務官僚の話を批判的に聴くなどということもできず、単純に鵜呑みしているのでしょう。

このような民進党の代表である、蓮舫氏はまるで滑稽な財務省のピエロのようです。このような民進党と、蓮舫代表が存在する限り、安倍政権は安泰です。支持率もあがっています。これからも、民進党と蓮舫代表は、安倍政権の強力な応援団として頑張っていただきたいものです。


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2016年11月20日日曜日

韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは―【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!

韓国「反・朴槿恵」狂騒 “犯罪者は晒し者に”の社会力学とは

朴槿恵大統領の辞任を求めるデモ 写真はブログ管理人挿入 以下同じ

 無論、我が国でも政治家の不祥事など珍しい話ではない。とはいえ、疑惑の当事者をテレビカメラの前に吊し上げ、パワーショベルが検察庁に突っ込む狼藉ぶりを目にすると、彼の国「らしさ」を感じてしまうのは事実。これこそが李朝時代から続く「情治国家」のなせるワザなのだ。

検察庁にパショベルが突っ込んだことを伝える韓国のテレビの画面
***

 もっとも、日本人にはやり過ぎに見えても、

「以前よりだいぶマシになったと思いますよ」

 と、元時事通信ソウル特派員で『悪韓論』の著者・室谷克実氏は苦笑する。

「韓国では犯罪者を晒し者にするのは日常茶飯事。かつては殺人犯が検察に護送される時も無理やり記者会見を開かせていた。もし逃げ隠れするようなら、テレビの撮影スタッフが髪の毛を引っ掴んでカメラの前に顔を突き出したものです」

 一方、元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏によれば、

「先の大規模デモでは、デモ隊が許可されたコースを外れても警察は全く咎めなかった。それどころか、当の警察署長が“国を愛する皆さんの気持ちは十分に理解する。理性的な協力に感謝します”と、同情的な発言をして話題になりました」

 警察当局がデモ隊にエールを送るとは、さすがは「情」に厚いお国柄、と言いたいところだが、

 「韓国の情はエゴイズムと表裏一体です。子供がバスの指定席に座っていても、規定の料金を払っていない中年男性が割り込んでくる。“疲れている俺を座らせないなんて情がない”というわけです。デモにしても“俺は社会のために頑張っているのに邪魔をするのか”、と。警察や裁判所ですら、そうした“情”の世論を窺いながら動くので法治主義が根付かない」(同)

 実際、崔順実(チェスンシル)氏と同じように晒し者となった「セウォル号」の船長や「ナッツ姫」には想定外の重い罰が科せられている。

■「有銭無罪」

 さらに、韓国が法治国家になれない理由として、先の室谷氏は「有銭無罪、無銭有罪」を挙げる。

 「これは、金持ちは無罪で、貧乏人は有罪になるという司法の腐敗を嘆く言葉です。李氏朝鮮時代の貴族・両班(ヤンバン)は、庶民からカネを巻き上げても裁かれませんでした。その伝統はいまも続いている。朴大統領の要請で韓国企業が崔氏の財団に出資した疑惑も日本人が考える汚職とは異なります。何しろ、双方の利害が一致するわけではなく、単に権力者がカネを強奪しただけ。両班のやり口と変わらない」

 こうした不公平が身に染みているがゆえに、権力者の不祥事が表沙汰になると民衆の怒りは一気に燃え盛る。そして、法で裁き切れない悪人を、情で裁くというワケだ。

 「ただ、韓国ではもはや大統領のスキャンダルは5年に1度の恒例行事になっている。国民もメディアも感情に流されて政権叩きに奔走するばかりなので新政権も同じ過ちを犯す」(同)

 今回の狂騒ぶりも、“情”の国ならではの情況なのだ。

【私の論評】大統領による統治システムは何度も同じ間違いを繰り返した、最早個人の倫理問題ではない(゚д゚)!

私はこのブログに今日まで、今回の朴槿恵大統領のスキャンダルを掲載したのは一回だけです。なぜかといえば、ブログ冒頭の記事にもあるように、韓国では大統領のスキャンダルは5年に一度の恒例行事になっていたからです。

朴槿恵大統領ももちろんその例外ではなく、2018年までの任期ですから、いずれ任期が近づけは必ず何らかのスキャンダルが出てくるだろうと確信していました。ただし、2017年くらいからではないかと考えていたので、若干それよりは早いということですが、それにしてもさほど驚きはしませんでした。

ここで、過去の大統領についてふりかえっておきます。

一人目は建国の父・李承晩。12年間独裁者として君臨しましたが不正選挙で民衆の怒りを買い、ハワイへ亡命。建国した国から追われるという皮肉な結末となりました。

不正選挙を糾弾するデモ(四月革命) 
三人目は現職の朴槿恵大統領の父・朴正煕氏。側近に射殺され、妻も暗殺されるといった「裏切り」により人生の幕を閉じることとなりました。

朴正煕氏
五人目の全斗煥は光州事件の責任や不正蓄財で無期懲役の判決を受け、続く盧泰愚も懲役17年の判決を受けました。


 その後七人目の金泳三、八人目の金大中は共に親族が収賄により逮捕されています。

金泳三(左)と、金大中(右)
さらには九人目の盧武鉉。退任後、兄が収賄で逮捕され、自らにも捜査が及ぶと崖から飛び降り自殺。悲劇的な結末を迎えました。

盧武鉉氏の葬儀
竹島に上陸したことで物議を醸した十人目の李明博大統領は親族が収賄で逮捕されています。

李明博
過去10人の大統領のうち、8人の大統領がこの有様なのですから、これは異常というよりほかありません。

経営学の大家ドラッカー氏は以下のように語っています。
同じような間違いが何度も起こる場合、それは最早個人の問題でなく、システムの問題である。
ビジネスは個人的能力も大切だが、それよりもシステムを重視しなければならない。会社とは、平凡な個人に非凡な仕事をさせるシステムなのだ。
(ピーター・ドラッカー)


韓国の大統領による統治システムは、以上のように過去に同じような間違いが発生し、さらに現職の朴槿恵大統領にも間違いが発生しています。

こうなると、最早韓国の大統領による統治システムに問題があるのであって、個人の問題ではないと思われます。今後、このシステムを変えずに、朴槿恵大統領を辞任に追い込んだところで、システムが変わらない以上同じことがまた繰り返し起こることになります。

韓国の現状をみると、大統領による統治システムを変えるべきであるという声は聞いたこがありません。ただただ「朴槿恵辞任」の声が大きく聞こえるばかりです。まるで、問題は朴槿恵大統領の個人的な倫理観や資質にだけあるとでも思っているようです。

大統領による統治システムが上記でも掲載したように、過去数十年にわたり繰り返し同じような間違いを起こしているのです。これは、もう個人の問題というよりは、システムの問題も点検すべきです。そのことには、韓国人は気づいてないようです。

この問題を解消するためには、朴槿恵氏を単に辞任に追い込むだけではなく、朴槿恵氏を含め、韓国政府の人々にも今回の事態を証言させ、現在の大統領による統治システムの問題を明らかにすべきです。個人の追求などは、後回しで良いのです。

そうして、大統領制の制度そのものを変えるか、変えられなくても議院内閣制を取り入れるなどの方法も検討すべきです。

いずれにせよ、本来は、統治システムを根本的に変えるべきです。それを変えずに、朴槿恵氏の倫理観のせいにばかりしていては、何も解決しません。

しかし、韓国では今回の一連の問題を結局朴槿恵氏の個人の倫理観のせいにしてそれでおしまいにするのでしょうか、であれば、また次の大統領でも同じような問題が再び発生するだけになります。

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