2017年1月29日日曜日

日本語ツイートに中国の批判殺到 台湾総統の春節あいさつ―【私の論評】蔡英文総統の統治の正当性は、習近平よりもはるかに強力(゚д゚)!

日本語ツイートに支那の批判殺到 台湾総統の春節あいさつ

蔡英文台湾総統
台湾の蔡英文総統が28日の春節(旧正月)に合わせて英語と日本語で新年のあいさつをツイッターで投稿したところ、中国から「なぜ中国語で書かないのか」と批判の書き込みが相次いだ。これに対し日本や台湾からも反論が投稿され、激論となった。台湾紙、自由時報(電子版)が28日、伝えた。

蔡氏は大みそかにあたる27日、英語と同時に日本語で「日本の皆様、今年は実のある素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り致します」と書いた。

中国からは「ごますり」「日本が台湾を侵略したことを忘れたのか」などと批判が殺到。逆に日本からは日台の絆の重要性を訴える投稿が相次ぎ、台湾からも「中国は干渉しないで」といった反発が出て白熱した論争となった。

蔡氏は、日本語でのツイッター利用者が多いため、日本語でも書いたという。

【私の論評】蔡英文総統の統治の正当性は、習近平よりもはるかに強力(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事にも掲載されていた蔡英文総統のツイートそのものを以下に掲載します。

このツイート何が問題になるのか全く理解不能です。そもそも、日本が台湾を侵略したという事実はないです。確かに統治をしたことはありますが、それは日本による台湾侵略し結果によるものではありません。

台湾の日本統治時代(にほんとうちじだい)は、日清戦争の結果下関条約によって台湾が清朝(当時の支那)から日本に割譲された1895年(明治28年、光緒21年)4月17日から、第二次世界大戦の結果ポツダム宣言によって台湾が日本から中華民国に編入された1945年(昭和20年、民国34年)10月25日までの時代です。

台湾人、特に戦前生まれの台湾人は、中華民国に編入された後の国民党による統治の苛烈さからみると、日本統治時代のほうが明らかに良かったと考える人も多く、さらには台湾の近代化を推進したのは日本であるということを知っています。

それと台湾での日本語の位置づけは、大陸支那などとは全く異なります。そもそも、台湾でどれほど日本語が使われているのか以下に簡単に掲載しておきます。

昨年電通は、以下のタイトルの報告書を作成しています。
(独自調査)台湾人の日本語学習者数は200万人規模。戦後生まれの台湾人も、3人集まれば8割の確率で誰か日本語を話す。
おそらく日本初の調査。現在日本語を学習している台湾人(18-64歳男女)のは175万人〜240万人、従来統計の10倍以上という結果が出ました。
プレスリリースはこちら

以下18歳から64歳までの台湾人男女を単に「台湾人」と言います。全員戦後生まれです。
①日本語が少しでも会話できると答えた台湾人は41.5%。台湾人が3人いれば8割の確率で日本語を話せる人がいる。 
②日本語学習経験者は60.4%。現在学習中の人は12.8%、人口175〜240万人と推計。独学者の割合が大きく、現役学校学習者のみを対象とする国際交流基金の日本語教育機関調査の結果を10倍以上回る。 
③日本語学習経験者の訪日経験率は83.1%。18歳から24歳の男女も半数以上が訪日経験あり。 
④日本語学習経験者のうち66.1%は、日本旅行で日本人と日本語で話したいと思っている。日本人に英語を話してほしいと思っている割合は14.4%。
詳しくは以下のGoogleプレゼンテーションをごらんください。
https://goo.gl/nsxa3R

本レポートは株式会社電通が2016年6月に実施した調査を本研究会が紹介するものです。
このレポートの一部を以下に引用します。


いかに台湾で、日本語が話されているか良くわかります。


さらに台湾の歴史を振り返ってみると、そもそも、清朝時代に清朝政府が台湾を統治したとは言いがたい状況でした。放置していたというのが実体です。

よって、近代的な統治をしたのは日本が最初です。このときに、学校、病院、
、産業などの近代国家には、欠くことのできないインフラを整備したのは日本です。

だから、戦前生まれの台湾人の中には、自分は日本人だと考えるような人も多いのです。10年ほど前、私の同僚の方で、その方の母親が台湾で小学校の先生をしておられたというかたがいました。

その方が母親とともに、台湾のその小学校を訪れたところ、校長室まで案内され、かなり歓待されたそうです。

そこで学校に残された資料を示され、確かにその方の母親の名前が掲載されていたそうです。そうして、その校長先生は「台湾は日本統治のおかげで近代化できました。本当に有難うございました」と語っていたそうです。

日本統治時代には、台北帝国大学が存在していて、そこには日本人に混じって台湾人の学生もいたそうです。これは、台北帝大医学部出身の医師に子どもの頃話を聴いたことがありました。この大学は現在は国立台湾大学になっています。

日本の統治時代の面影が多く残る台湾国立大学キャンパス
現在の台湾総督府は、かつての日本の総督府の建物です。

現在の台湾総督府
総統府は博愛特区(台北市中正区重慶南路1段122号)にあります。

赤いレンガと白い花崗岩のコントラストが美しいルネサンス様式の建築物で、近代建築の代表的人物である森山松之助氏の設計によるものです。

1919年に完成し、当時は台湾総督府として使われました。

大戦末期の空襲で一部が損壊し、修復された後は蒋介石の還暦を記念して「介寿館」と改名されましたが、台湾遷都後の1949年からは再び総統府として使用されています。

上空から見ると日本の「日」を現す形に建てられていて、現在は文化資産保存法により国定古蹟として登録されています。

韓国や北朝鮮などとは違い、日本統治時代の日本人の設計による建物を大事に守っている台湾の人たちには胸が熱くなります。

このように、日本に縁のある国のトップリーダーである、蔡英文総統が、日本語のツイートをしたことが問題になるはずもありません。問題にするほうが、どうかしています。

選挙という民主的な手続きを経て総統の地位についた蔡英文総統は、歴史を修正しなくても、十分に統治の正当性を主張できるのです。だから、日本語で日本に対してツイートしても、自らの統治の正当性を低めることはないのです。

それに比較して、大陸支那の習近平は民主的な手続きで主席にえらばれたわけでもなく、対日戦勝70周年軍事パレードなどというとんでもない歴史修正をして日本をことさら悪魔化しなければ、統治の正当性を主張できないのです。

そもそも、現在の大陸支那は、日本と戦争したことなどありません。日本が戦争したのは、後に台湾に移った、蒋介石率いる中華民国の国民党軍であり、現在の大陸支那の、共産党軍とは戦争をしたことはありません。

どちらが、強いリーダーシップを発揮できるかといえば、蔡英文総統のほうであることは、明らかです。蔡英文総統の台湾統治の正当性は、習近平主席の支那統治の正当性よりもはるかに強力なのです。だからこそ、蔡英文氏は英語や、日本語でのツイートができるのです。習近平はツイートすらできません。そんなことをすれば、支那人民の憤怒のマグマが、習近平にTwitter経由で集中しとんでもないことになります。

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2017年1月28日土曜日

台湾に米軍駐留、ボルトン元米国連大使の衝撃論文 琉球新報は報道するも…―【私の論評】支那共産党政府を弱体化することがトランプ大統領の狙い(゚д゚)!


ジョン・ボルトン元米国連大使

 米国はカーター政権下の1979年1月、中華人民共和国(PRC)と国交を樹立し、対日戦の同志だった中華民国とは断交した。支那大陸の支配権は49年から共産党に移っており、米国はついに、現実に屈服したのだ。

 54年12月に調印した米台軍事同盟である「米華相互防衛条約」も、同じ時期に失効し、在台米軍は撤退する。あらゆる周辺国と衝突してきた人民解放軍が、いずれ台湾を軍事進攻することは確実と思われた。

 だが、米国は台湾関係法を整備した。米軍駐留は終了するが、武器売却や沖縄などの在日米軍の力で、自由主義陣営である台湾を守れるようにしたのだ。沖縄(日本)はそれ以来、米国の台湾防衛政策に、片務的貢献を果たしてきた。

 17日のウォールストリート・ジャーナル紙に、ドナルド・トランプ政権での国務副長官(日本で言えば外務副大臣)起用が取り沙汰されるジョン・ボルトン元米国連大使が、素晴らしい論文を寄稿した。台湾に再び米軍基地を設置して、沖縄の戦力の一部を移すべきという内容だ。

 在日米軍基地が沖縄に集中した唯一の理由は、地政学上有利な位置に沖縄があるからだが、台湾は沖縄と同等か、それ以上の地政学的価値がある。

 ボルトン氏の提言が実現すれば、沖縄の基地負担を減らしつつ、南シナ海や尖閣諸島周辺でのPRCの横暴を、今より効果的に牽制(けんせい)できる。

 民主党政権の鳩山由紀夫元首相が無責任に言い放った「最低でも県外」を通り越し、国外移転が実現するかもしれない。在沖米軍基地への反対運動を行う勢力にとって、これ以上素晴らしい提言はないはずだ。

 ネットで調べると、産経新聞、毎日新聞、時事通信、琉球新報などのメディアは、この提言を取り上げていた。

 驚いたのは琉球新報の記事である。事実報道に徹しており、バイアスが感じられないのだ。立ち位置に困った揚げ句の観測気球かもしれないが。

 在沖米軍基地を「諸悪の根源」のように報じてきた一部の新聞やテレビ局が、ボルトン氏の提言を報じた形跡は、ネット検索では見つからなかった。

 その原因が、彼らの情報収集力不足のせいなのか、「報道しない自由」を行使した結果なのかは不明である。

 沖縄の自然環境保護と、オスプレイなどの騒音や事故発生の危惧を理由に、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対してきた市民団体や、翁長雄志知事の口から、ボルトン氏を大絶賛する声が上がることを期待していたが、今のところ聞こえてこない。

 複雑な心中、お察しいたします。

 ■ケント・ギルバート

【私の論評】支那共産党政府を弱体化することがトランプ大統領の狙い(゚д゚)!

ボルトン氏のウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿した内容の要旨は以下のようなものです。
  • 米軍の台湾駐留によって東アジアの軍事力を強化できる
  • 台湾は地政学的に東アジアの国に近く、沖縄やグアムよりも南シナ海に近い
  • 日米摩擦を起こしている基地問題をめぐる緊張を和らげる可能性がある
  • 海洋の自由を守り、一方的な領土併合を防ぐことは米国の核心的利益であり、台湾との軍事協力の深化は重要なステップだ
ボルトン氏の発言、東アジア情勢にとって大変良い発信だと思います。もともと、在沖縄米軍は朝鮮半島情勢への対応と同時に、台湾防衛の意味も持っていました。支那は、トランプ氏が『1つの支那』に疑義を示したことに反発し、空母『遼寧』を台湾周辺に派遣して牽制しました。

これに対する、トランプ氏の『強烈な反撃』かもしれません。ボルトン氏は現在民間人ですが、トランプ政権に近い人物であり、支那に対する極めて強い抑止力になります。

まさに、台湾ならば、沖縄のように激しい基地反対運動などしないでしょうから、基地も構築しやすいです。これが実現されれば、沖縄の基地も軽減され、これほど沖縄にとって良いことはないと思います。

以下に、台湾と沖縄の地図を掲載しておきます。


この地図を見れば一目瞭然で、地政学的には、沖縄よりも支那本土に近く、また台湾は日本の、九州よりは小さいものの四国とは同じくらいですが、沖縄よりははるかに大きいです。

これだと、米軍基地用の用地も、みつけやすいことでしょう。台湾の現政権は、米軍駐留を望むことでしょう。

トランプとしては、南シナ海での軍事基地の展開をこれからもやめないというのなら、報復措置として、台湾の米軍基地を拡張すれば良いのです。

それでも、どうしてもやめないというのなら、最終的には戦術核を配備しても良いです。何よりも、これは支那の喉もとにあいくちを突きつけた格好になりますから、支那としてもかなり脅威に感じるはずです。

さて、発足から1週間を過ぎたたトランプ米政権に対し、対米関係を最重視する支那政府は、南シナ海問題や貿易問題を巡る批判に反論はしつつも、過剰反応は避けて出方を見極める慎重な構えを崩していません。その一方で、トランプ大統領の「自国中心主義」を好機とみなし、習近平国家主席は「開かれた経済」の重要性を訴えることで国際社会で存在感を高めようとしています。

支那が最も警戒するのは、台湾問題を交渉カードとされることです。トランプ氏は今月20日の就任直前まで、台湾を支那の一部とみなす「一つの支那」政策の見直しを示唆し、支那を慌てさせました。そうして、今回の米軍の台湾駐留という、ボルトン氏の寄稿は、さら支那を慌てさせたことでしょう。

習指導部は今秋に5年に1度の党大会を控えており、内政、外交の安定を最優先とする。台湾問題を巡って支那側が積極的に仕掛ける余地は小さく、あらゆるパイプを通じて米国に「一つの支那」政策の堅持を求め続けています。

特に今回の党大会は、5人の政治局常務委員が引退する予定であり、その後任が誰になるかで、現在の支那の権力闘争の趨勢が明らかになるということもあります。

以下に、次期党大会での有力候補者の名称などを含んだ図をあげておきます。


この図をみてもわかるように、習近平派の候補が二人しかいないということからも、現状の支那国内の権力闘争は、決して習近平に有利な状況で推移しているとはいえないことが理解できます。本来ならば、3人〜4人の候補者があがっていてしかるべきです。

次期党大会で、習近平派候補の二人が最高幹部になれば、7人のうち4人が習近平派ということになり、仮に一人も最高幹部になれなければ、最高幹部7人のうち、二人だけが習近平派ということで、これでは事実上の敗北です。

習近平は、実質上権力のない主席となります。しかし、この状況では、意思決定などに齟齬を生じることから、失脚に追い込まれる可能性が高いです。

一方で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)を「日米による支那封じ込め」と捉えてきた中国にとって、TPP離脱を決めたトランプ政権の動きは大きな好機となりました。中国が加わる東アジア地域包括的経済連携(RCEP、東南アジア諸国連合と日中韓などの16カ国で構成)の実現を急ぎ、自由貿易圏構築で一気に主導権を握る絵図も描いています。

ダボス会議で演説する習近平
「保護主義は暗い部屋に閉じこもっているようなものだ。雨は防げるが、光や風をも遮断してしまう」。習近平は今月17日、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)での講演で保護主義の拡大に「危機感」を表明し、自由貿易の「擁護者」を演じてみせました。

しかし、そういう支那こそ、もっとも保護主義的です。

トランプ大統領は、冷徹なビジネスマンでもあります。支那の今秋の5年に1度の党大会に向けて、習近平を揺るがすように、着々と次から次へと厳しい手を打っていくことでしょう。そうして、それは反習近平派を多いに勇気づけるでしょう。

しかし、習近平が失脚したとして、その後に誰が主席になったとしても、同じように権力闘争に巻き込まれて、支那共産党政府は弱体化することでしょう。それがトランプ氏の狙いです。

私は、トランプ氏の対中強硬路線の成果は、まず最初に習近平失脚という形で具現化されると思います。

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2017年1月27日金曜日

重量8トンの支那宇宙ステーションが制御不能で頭上に落ちてくる!?―【私の論評】崩壊した旧ソ連の二の舞いを演じる支那(゚д゚)!

重量8トンの支那宇宙ステーションが制御不能で頭上に落ちてくる!?

ドッキングした「神船11号」と「天空2号」
 いまや米露と並ぶ宇宙大国となった支那。人民解放軍主導で進められる宇宙開発への懸念は、軍事的脅威の拡大だけではない。拓殖大学客員教授の石平氏が解説する。

* * *

近年、支那の宇宙開発は目覚ましい進展を遂げている。昨年10月には6度目となる有人宇宙船の打ち上げに成功(神舟11号)。軌道上の宇宙ステーション実験機「天宮2号」にドッキングし、飛行士2名が33日間に及ぶ宇宙滞在を実施した。さらに2018年には「天宮」のコアモジュール(本体)を打ち上げ予定で、2022年には宇宙ステーションの完成を目指すという。

支那の宇宙開発の主な狙いは2つ。一つは国威発揚だ。冷戦時代に米ソが宇宙開発で覇を競ったように、宇宙開発は国力の象徴となる。習近平には、国内外に技術力の高さを見せつけ、宇宙開発の分野でも支那が覇権を握りつつあることをアピールする意図もある。

もう一つは、言うまでもなく軍事目的だ。1990年代から本格化した支那の宇宙開発は人民解放軍主導で進められ、有人飛行、月面探査、宇宙船のドッキングを次々と成功させてきた。

さらに支那は、2007年1月に自国の気象衛星を弾道ミサイルで破壊した。この実証実験は米国をはじめとする国際社会を震撼させた。

米国の軍事行動は人工衛星に大きく依存しており、支那が地球上からのミサイル発射で衛星を確実に破壊する技術を持てば、ハイテク化された米国軍は無力化されてしまう。これは重大な軍事的脅威である。

そうしたなか、支那の宇宙開発に新たな懸念が広がっている。2011年に打ち上げられた宇宙ステーション実験機「天宮1号」が、今年後半に地球へ落下することが報じられているのだ。

当初、支那当局は「天宮1号」が制御不能に陥っていることを否定していたが、最近になってこれを認めた。背景には、宇宙開発を急進するあまり、技術が追いついていない現実がある。

8tもある「天宮1号」の本体のほとんどは大気圏で燃え尽きるとされているが、米国の宇宙物理学者でハーバード大教授のジョナサン・マクダウェル氏によれば、「燃え尽きなかった一部のパーツが地上に降り注ぐかもしれず、落下地点も予測できない」という。

一方、「地球の表面の7割は海だから、陸地に落下する可能性は低い」との見方もある。だが、2015年11月にはスペインで、衛星の破片と見られる物体が一週間のうちに3つも落下し騒動となった。毎年、いくつもの宇宙ゴミが陸地に落ちていることを考えれば、「天宮1号」の破片が地表に降り注ぐ可能性は否定できない。

当の支那は国際社会への 影響よりも自国の利益を優先する国だから、たとえ誰かの頭に金属の塊が落ちてきても習近平は何の関心も持たないだろう。私たちは支那がそういう国であることを自覚し、禍に巻き込まれぬよう祈るしかないのだ。

●石平

【私の論評】崩壊した旧ソ連の二の舞いを演じる支那(゚д゚)!

天空1号が制御不能となって、墜落するかもしれないことは前から言われていました。それに関しては、このブログにも掲載しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
支那は、2011年に打ち上げた宇宙ステーション(軌道上実験モジュール)「天宮1号」が制御不能になったことを正式に発表した。―【私の論評】宇宙開発、軍拡は支那を滅ぼす(゚д゚)!
組立中の天空1号
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に結論部分のみ掲載します。
支那では戦闘機の旧式の戦闘機が多いのと、メンテナンスの技術も低く稼働率が異常に低いので、戦闘機の数は多いものの、日本の戦闘機と互角に実際に常時戦える戦闘機数は50機に過ぎないと推定できます。

日本の航空自衛隊の航空機は、旧式のものがほとんどないことと、稼働率は90%ですので、実際に常時戦える戦闘機は、315機です。

さすがに、50機と315機では、勝負になりません。

こう考えると、支那の宇宙ステーションも稼働率はかなり低くなることが予想されます。戦闘機の稼働率が異常に低いのに、宇宙ステーションだけが、稼働率が高くなるということは考えられません。

そうなると、支那の宇宙ステーションは、たとえ完成したとしても、NASAの宇宙ステーション管理による非効率よりもはるかに低い効率で、さらに低い稼働率で、巨大な金食い虫と成り果てることは、必定です。

宇宙開発と軍拡は支那を滅ぼすだけです。

支那が本当に実行すべきは、まずは支那共産党一党独裁体制を捨て去り、民主化、経済と政治の分離、法治国家化をすすめることです。そうしないと、支那はこのまま、中所得国の罠にはまり、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てるだけです。

しかし、支那共産党はこのことには全く気づいていないようです。
日本のメディアではこのようなことは報道しないので、このようなことにわかには信じがたい人もいると思います。そのような疑問を払拭するために、渡邉哲也氏の動画を以下に掲載します。


さて、この動画をご覧いただいても、まだ判然としないかたもいらっしゃるものと思いますので、以下に支那の宇宙開発に関して振り返っておきます。

支那は50年前の完成し安定した技術をロシアから購入しているので、いまのところすべて成功しています。

支那は有人宇宙船や宇宙ステーション、月面探査機を次々に成功させています。ところがそれらはどれも、1960年台にソ連が使った技術を、ロシアから購入したものです。

皆さんご存知のように、1960年台に米ソ間で宇宙競争が起き、月に人を送ったアメリカが勝利して、その後の冷戦で勝利しました。

また米国では、アポロ計画でコンピュータやプログラム、電子制御技術が誕生し、現在の革新的なIT技術にまで発達しました。

そして今は支那が「宇宙大国」を目指して多くの計画を実現しようとしています。

2003年10月15日、大陸間弾道弾にソ連型宇宙船を搭載した神舟5号が、3カ国目の有人宇宙船に成功しました。

神舟型宇宙船はそれまでに5回打ち上げて、合計12人を低軌道で周回させ、いずれもモンゴル自治区(植民地)に着陸しています。

打ち上げは長征型長距離弾道ミサイルのロケットを利用して行われました。

長征2号Fは464トンで高さ62メートル、日本最大のH-IIBロケットは531トン56メートルなので、H-IIBの方が打ち上げ能力が大きい。

理屈ではH-IIBにロシアの宇宙船を載せれば、種子島から有人宇宙船を打ち上げ可能です。

宇宙船はソ連時代に開発されたソユーズの設計を元にしていて、ロシアから技術を購入したとみられます。

スペースシャトル引退後の唯一の有人宇宙船であったソユーズ
1961年、世界初の有人宇宙船ボストーク1号でガガーリン少佐が成功し、ソユーズ1号は1967年に打ち上げ成功しています。ただし、このときは帰還には失敗しています。

その後ソユーズは改良を重ねられて現在もロシアの宇宙船であり、スペースシャトル退役後は、世界で唯一の有人宇宙船でした。

1960年代のソ連にはまだコンピュータ技術が無く、80年代のソユーズは任天堂のファミコンのチップを使用していたという逸話も残っています。

ソユーズの技術は、構造が単純で信頼性は高く、製造や運用も簡単でした、そうして支那が使用しているのはソユーズを少し大きくした改良型でした。

支那が次に打ち上げるのが宇宙ステーションで、小型宇宙ステーション天宮1号を2011年9月に打ち上げました。

天宮1号は有人宇宙船とのドッキングに成功し、今後は大型のモジュールを打ち上げて大規模宇宙ステーションを完成させる予定でした。

ここまでは1980年代までにソ連がやっていた事で、支那が実施したのは、多くの技術をロシアから買って、新しく打ち上げたというだけでした。

ソ連時代に描かれた宇宙開発の未来想像図
ソ連はアメリカより先に人類を月に送り込むため、1960年代に無人の月探査船を送り込みましたが、支那も同じ事をしています。

2013年12月14日、嫦娥3号が月面に着陸し、無人車両が月面を走行しました。これも1976年にソ連がやっていて、月の土を採集して帰還に成功していました。

支那もこれから月の土を採集して持ち帰る計画を建てています。

月の次は火星という訳で、支那は無人の火星探査機を打ち上げる事にしており、2040年代に有人宇宙船を送り込む事になっています。

計画としては月面に有人基地を建設するとか、宇宙ステーションにレーザー兵器を搭載して全世界を攻撃可能にするとしています。

気になるのが支那はいくらの宇宙予算を使っているかで、非公開なので推測するしかありません。

アメリカのNASAは約2兆円で国防省込みで4.5兆円、欧州宇宙機関(ESA)が5000億円、日本は3500億円です。

ロシアが4000億円、インド1500億円、支那は2006年に2000億円だったと発表されています。

2011年には3500億円、現在は5000億円を超えている筈ですが、これは表向きの数字です。

現在の支那の宇宙予算は1兆円を超えている筈で、日本から大量の宇宙技術者を引き抜いたのがニュースになっています。

支那初の宇宙飛行士楊利偉氏
支那には日本の10倍以上の宇宙関連技術者が居て、報酬も日本よりずっと多いとされています。このまま支那の宇宙技術が進歩し、発展するかといえば、懐疑的な見方も存在します。

支那の宇宙技術は他の産業がそうであるように、全てソ連や西側のコピーであり、独自の技術はありません。そのためでしょうか、支那の空軍の航空機は、慢性的な部品不足で稼働率はかなり低く。パイロットの年間飛行時間も、日本の航空自衛隊の1/10程度とみられています。

アメリカのスペースシャトルで見られたように、どんなにお金を投入しても、技術の壁を越えられない場合もあります。

支那が現在実現させている宇宙計画は、どれも米ソが1960年台に実施したものばかりであり、何一つ新しいものはないのです。

既に完成した技術をロシアから買うことと、ゼロから自前で開発する事はまったく違います。今後いつまで潤沢な資金を宇宙開発に投入できるかを含めて、将来は不透明と言えます。

私自身は、支那の宇宙開発に関しては、懐疑的です。結局支那の宇宙開発は、旧ソ連のそれと同じで、何も成果を生まず、金食い虫となり、軍拡とあわせて、とてつもなく大きな投資がなされ、何も生み出さずに結局支那を滅ぼす大きな要因の一つになると思います。

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2017年1月26日木曜日

長崎・対馬の盗難仏像、所有権を主張する韓国の寺への引き渡し命じる判決 韓国・大田地裁 仏像、日本に返さず―【私の論評】当面報復措置は解除できないどころか国交断絶まで視野に(゚д゚)! 


観音寺の長崎県指定有形文化財
「観世音菩薩坐像」=2013年1月、韓国・大田

   長崎県対馬市の観音寺から2012年10月に盗まれ、その後、韓国で発見された県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」の所有権を主張する韓国の寺が、像の引き渡しを韓国政府に求めていた訴訟で、大田(テジョン)地裁は26日、像を韓国の寺に引き渡すよう命じる判決を言い渡した。聯合ニュースが伝えた。

 引き渡しを求めていたのは、韓国中部・瑞山(ソサン)にある浮石(プソク)寺。大田地裁は13年2月、同寺の求めに基づき、韓国政府による日本への返還を差し止める仮処分を決定していた。しかし、本訴訟が起こされないまま、韓国政府が仮処分取り消しを申請できる状態となっていた。

 日本政府は像の返還を求めていたが、像が14世紀に韓国で作られて倭寇に略奪されたものだと主張する浮石寺は、昨年4月に提訴した。韓国文化財庁は、略奪された可能性は否定しない一方、「断定は困難」としていた。また、浮石寺が本来の像の所有者であるとの証拠も乏しいとみていた。

 像は大田の国立文化財研究所に保管されている。

 この像とともに対馬市の海神神社から盗まれた国の指定重要文化財「銅造如来立像」は、「不当な日本への持ち出し」は確認されなかったとして、15年7月に日本に返還されていた。

【私の論評】当面報復措置は解除できないどころか国交断絶まで視野に(゚д゚)!

自国民の窃盗を認める判決を出す韓国の裁判所、狂っているとしか思えません。これだと、今日本にある朝鮮半島の由来の文化財など、どうなるのか不安です。このような判決が出た後なら、また韓国人窃盗団が日本で文化財を盗むかもしれません。

それにしても、韓国の裁判所は一体どうなっているのでしょうか。裁判をするには、自国の法律はもとより、他国との条約も参照すべきでしょう。

今回のこの措置は、日韓基本条約の関係書協定に完璧に違反です。

1965年に結ばれた日韓基本条約に付属する両国の協定(正式には「日韓基本条約の関係諸協定,日韓請求権並びに経済協力協定」)で解決済です。

東京大学のサイトから協定の原文を参照できます。
http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents …
「日韓基本条約の関係諸協定,日韓請求権並びに経済協力協定(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定) 
[場所] 東京
[年月日] 1965年6月22日
[出典] 日本外交主要文書・年表(2),584-586頁.外務省条約局「条約集・昭和40年(二国間条約)」.
 日本国及び大韓民国は,
 両国及びその国民の財産並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題を解決することを希望し,
 両国間の経済協力を増進することを希望して,
 次のとおり協定した。
第一条(略)
第二条
1 両締約国は,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が,千九百五十一年九月八日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて,完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
(後略)」
韓国人はあくまでも文化財が「略奪、没収、焼却」されたと主張しているようです。そうして、韓国の裁判所はそれを認める判決をしています。

しかし、これは明確に間違いであることは、あまりにもはっきりしすぎています。

これが、日韓基本条約締結の1965年6月22日以前であれば、日本側としては日本が過去に何らかの手段で入手した韓国の文化財を、韓国人が盗んだとしても、何ともしようがなかったでしょうが、このような問題を避けるために、わざわざこの協定を締結したのです。

だから、この条約の締結をした後は、韓国側がいくら日本に過去に窃盗によって持ち込まれた文化財であると主張したり、さらには、それを窃盗により韓国に持ち帰ることはこの条約に違反することになります。

無論、この条約を締結した後に日本人が韓国の文化財を盗んだとすれば、それは当然のことながら、その文化財は韓国に属するものですが、今回の仏像は無論そうではありません。

これは、字の読める人なら誰でも理解できることです。世界には、このように相互に条約を締結しても、それを守れない国があるということです。そうして、韓国政府も韓国メディアも、日韓基本条約や、その関係書協定など国民に知らせる努力を怠っているのでしょう。多くの韓国民はこのことを知らされてないのでしょう。


このような事実があるということは、日本国憲法に平和に関する内容が記載され、平和憲法であるから、日本は平和だったというリベラル・左翼の主張は明らかに間違いであることを裏付けています。

相互に文書を持って、上記のように日韓基本条約を結んでも、韓国はそのようなものは反故にしているではありませんか。

ましてや、日本国憲法に何が書いてあろうと、韓国のような国は自己都合だけを優先します。事実竹島も実行支配しています。これらは、文書に掲載している憲法や条約だけでは、強制力にはならないということの証左です。


観世音菩薩坐像を盗まれた観音寺(長崎県対馬市)の元住職田中節孝さん(70)は26日、対馬市内で記者会見し「浮石寺側が倭寇の時代にまでさかのぼって所有権を主張し続けてきたこともあり、韓国側に有利な判決になったと思う。韓国の裁判所の品格も問われる内容だ」と憤りました。

今後は韓国政府が控訴するかどうかが焦点となります。田中さんは「韓国政府の対応を見守りたい。所有権はこちら側にあると考えており、返還されるまで諦めることはない」と語りました。

しかし、さきにあげた両国の協定によれば、日本の観音寺側が主張するまでもなく、韓国側の何人も、盗まれたものであると主張すること自体ができないはずです。

このような韓国に対しては、昨日も掲載しましたが、やはり日本による事実上の報復措置は継続すべきでしょう。
(1)長嶺安政駐韓大使、森本康敬釜山総領事の一時帰国
(2)在釜山総領事館職員の釜山市関連行事への参加見合わせ
(3)日韓通貨スワップ(交換)協議の中断
(4)日韓ハイレベル経済協議の延期
次の韓国大統領選では、各候補の反日合戦となるでしょうから、ますます韓国の反日は酷くなるでしょうから、当面この報復措置は解除できません。それどころか、もっと強化せざるをえなくなることでしょう。

これ以上韓国が約束事を守らないということになれば、行き着く先は、日本と韓国は事実上の国交断絶ということになるでしょう。窃盗などを防ぐために、韓国人の日本入国が著しく制限されるということになるでしょう。

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2017年1月25日水曜日

【「帝国の慰安婦」問題】朴教授に無罪判決 名誉毀損認めず「歪曲や捏造、虚偽の意図なし」―【私の論評】裁判になる事自体が極めて異常な韓国社会(゚д゚)!


朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授
慰安婦問題に関する韓国の学術書「帝国の慰安婦」で、元慰安婦の名誉を傷つけたとして名誉毀損の罪に問われた朴裕河(パク・ユハ)世宗大教授の判決公判が25日、ソウル東部地裁で開かれ、同地裁は朴氏に無罪判決(求刑・懲役3年)を言い渡した。

 判決理由で裁判長は、「著書の一部表現には議論の余地があるが、公的事案を盛り込んだ内容が多く、幅広い表現の自由を容認する必要がある。歪曲や捏造、虚偽の意図があったとは思えない」と述べた。

 また「名誉毀損は特定の人や団体を指定しなければ成立せず、著書での『朝鮮人日本軍慰安婦』との表現は、(特定の)元慰安婦を指しているとみるのは難しい」とした。さらに「慰安婦の社会的評価に否定的な影響を及ぼすとも思えず、(著書に)韓日両国の和解のための意図があることは否定できない」とした。

 朴氏の著書は韓国で2013年に出版されたが、元慰安婦の女性らが14年6月、「日本軍と同志的関係にもあった」などとの表現が名誉毀損に当たるとして朴氏を刑事告訴。ソウル東部地検が15年11月、在宅起訴した。

 今回の判決をめぐっては、韓国に「表現・研究の自由」があるのかについて、日本など海外から高い関心が寄せられていた。

 一方、元慰安婦らが起こした損害賠償訴訟では、同地裁が昨年1月、元慰安婦らの名誉を傷つけたとし、朴氏に賠償金の支払いを命じている。

【私の論文】裁判になる事自体が極めて異常な韓国社会(゚д゚)!

今回のこの判決当然のことです。当然というか、そもそも裁判になる事自体が異常でした。朴裕河教授と、その著書『帝国の慰安婦』に関しては、このブログでも以前とりあげたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
「帝国の慰安婦」裁判 問われる韓国司法 弁護側は“メディア経由”の曲解報道を問題視 ―【私の論評】韓国で慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代前に時計の針を戻せ(゚д゚)!
帝国の慰安婦 ハングル語版の表紙
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では朴裕河教授ご自身のフェイスブックに掲載されていた『帝国の慰安婦』の要約を掲載するとともに、当時朴裕河教授が起訴されたことに関する、反対の論評を掲載しました。

以下に、そのフエイスブックのリンクを掲載しておきます。ここからも、この要約をご覧いただけます。
https://www.facebook.com/notes/705074766186107
以下には、この記事での私の結論部分のみを掲載させていただきます。
そうして、この書籍(ブログ管理人注:帝国の慰安婦のこと)は、日本語には翻訳されていますが、残念ながら未だ英語には、翻訳されていません。この書籍が、他の多く国々の言語に翻訳されて、多くの国の人々に読まれることになれば、慰安婦問題に関して、他国でも理解が深まるものと思います。

日本側としては、この書籍はあくまで韓国人の視点によって書かれたものであり、レトリックによって、ファンタジーとはらないギリギリのところまで日本側に慰安婦問題での譲歩を求める方向で書かれていること、当時日本が植民地支配していたのだから、日本に責任があるという方向で貫かれていることを主張すれば良いと思います。

そのほうが、かえって、日本の保守派の人が日本人の立場から、書いたものより、理解を得られ易いと思います。

とにかく、この書籍やその他の歴史的資料などによって、日本でも韓国でも、韓国における慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代より前に時計の針を戻すことが、この問題の早期解決につながると思います。
私自身は、この書籍の要約も、書籍の日本語版自体も読みました。その上での感想が以上のようなものです。これに関しては、後日以下のような事実を発見しました。

昨年発売された『歴史通』の9月号に西岡力氏の「朴裕河『帝国の慰安婦』をあえて批判する」が掲載されていましたが、これがなかなか興味深いです。

西岡力氏
この書籍に関しては、秦郁彦・櫻井よしこ両氏が肯定的なコメントをしている程度で、その他あまり保守系の人たちからは、批判も肯定的なコメントもめぼしいものはありせんでした。そのため、右派の論者からのはじめての本格的な批判ということになると思います。

タイトルに「あえて」とあるのは「本来なら批判するのは得策ではないのだが」という含みなのでしょう。だとすれば、リベラル識者の評価に反して、同書は右派にとって基本的に目障りではない、ということの証左となるものであると思います。

批判のポイントは以下の5点です。
(1)まずは、『帝国の慰安婦』は「日本発の強制連行プロパガンダを無視している」ことです。「朝日新聞の捏造」説を前提にした批判であるわけですが、右派から見ても『帝国の慰安婦』は日本の右派の主張をきちんと記述していないということを示しているという意味では興味深いものです。 
(2)「北朝鮮と親北派が韓国社会に広げた「反日自虐史観」に触れていないこと」、としています。これもまた、自分たちの主張が十分に反映されていないという不満として理解することができます。 
(3)「朴氏が同書で慰安婦動員を担った民間業者の存在を浮上させたことは新しい論点ではない」ということです。この点は、私自身もこのブログで指摘し、右派が過去に何度も指摘してきたことです。そうして、これには、明白な証左がかなり存在します。しかも、ここで西岡氏は自分を含む右派の論考ではなく吉見義明・林博史編『共同研究日本軍慰安婦』(大月書店、1995年)所収の論文(尹明淑氏によるもの)を引き合いに出して、「詳細に業者の役割について記述している」としています。 
(4)朝鮮人「慰安婦」と日本軍人の「同志的関係」という主張が根拠を欠くというものです。小野沢あかね氏と同じく、日本人「慰安婦」の証言を根拠に「同志的関係」を主張してしまっている点を批判しているのがとりわけ興味深いです。はっきり明言されてはいないものの、朴氏を訴えた元「慰安婦」の怒りには理由があると言わんばかりの書きようです。 
(5)結びの段落では「千田夏光の著作を史料批判なしに十九回も引用していることや、小説の表現を論拠に論を進めていることなど、議論の進め方があまりにも厳密さにかけることも指摘しておきたい」としています。
「創作がまじっていることが判明している千田夏光の著作」という評価はおそらく原善四郎関東軍参謀の件を念頭に置いていると思われ、そうだとすればこの評価に首肯することはできないのですが、それを除けばこれまで『帝国の慰安婦』に向けられてきた批判を右側からも重ねて行っていることになります。
確かに、以上のような5点はあるものの、それでもなお、この『帝国の慰安婦』に関しては、上に掲載した以前のブログ記事の結論に関しては、未だに正しいものと思っています。

まずは、現在のようにねじれてしまった慰安婦問題をまともに論じるためには、韓国の慰安婦問題による体系的な反日活動がおこる以前の1990年代よりも以前に針を戻すひつようがあります。そうして、それを促すために、この書籍の価値は大きいです。この書籍を多くの韓国人が虚心坦懐に読み、内容を理解すれば、それも実現可能だと思います。

なぜなら、『帝国の慰安婦』を執筆した朴裕河教授は、韓国を貶め、日本を過剰に賛美するような人物ではないからです。彼女は、「慰安婦」の存在が、日韓であまりにもかけ離れて偶像化されていることを批判しているのです。

韓国では悲劇的な「性奴隷」とされ、日本の右派からは単なる「売春婦」とされた「慰安婦」の実情とは、どのような存在だったのかを探り、そうした慰安婦が存在した構造を探ろうという試みこそが『帝国の慰安婦』の執筆の意図です。

日韓で引き裂かれ、偶像化された「慰安婦像」のそれぞれについて、それらは虚像であると主張しているのですから、決して単純な「親日派」というわけではありません。むしろ、日本の保守派が読めば怒りだすであろうような記述も少なくありません。

例えば、朴教授は以下の様に指摘しています。
「数百万人の軍人の性欲を満足させられる数の『軍専用慰安婦』を発想したこと自体に、軍の問題はあった。慰安婦問題での日本軍の責任は、強制連行があったか否か以前に、そのような〈黙認〉にある」(『帝国の慰安婦』32頁)
彼女は決して日本軍、そして大日本帝国が無謬であったと主張しているのではありません。でも、韓国側が主張も極端だとして、韓国人が触れたくない事実も指摘しています。例えば、次の指摘です。
「朝鮮の貧しい女性たちを戦場へ連れていったのは、主に朝鮮人や日本人の業者だった」(前掲書、28頁)
「挺身隊や慰安婦の動員に朝鮮人が深く介入したことは長い間看過されてきた」(前掲書、49頁)
要するに、『帝国の慰安婦』は、日韓の極端な「慰安婦像」を問い直し、本来、「慰安婦」とはいかなる存在であり、そうした慰安婦を生み出した構造を問うという内容の本なのです。しかしながら、このような研究が韓国では禁忌とすべきとされたのです。

しかし、今回の判決により、このような研究はたとえ韓国であっても禁忌ではないということを地裁が示したのです。そうして、当然のことながら、このような書籍を執筆すること自体が、裁判の対象となるこ自体が現在の異常な韓国社会を象徴しています。中国や、北朝鮮ならいざしらず、他のまともな国では裁判になるということは考えられません。

しかし、これは地裁の判決ですから、さらに上告される可能性もあるわけですが、こんなことに長い時間を費やしているくらいなら、韓国にはもっと他にやることがありそうです。

元慰安婦とされる女性たち
それは、昨日も示しました。まずは韓国は悪化している経済を構造改革で対処するというのではなく、まずは強力な金融緩和策を実施し上で、雇用情勢を改善し、景気回復につなげていくべきなのです。

慰安婦問題と、経済とはあまり関係ないようにもみえますが、日本にも衣食足りて礼節を知るという言葉があるように、ある程度経済が良くなければ、韓国内でも慰安婦問題についてもまともな議論などなかなかできないでしょう。

このように、ねじれてしまった問題に関しては、経済が比較的良く、政府にも国民にも多少でも余裕のあるときではないとなかなか、できるものではありません。現在のまま、経済が悪くなる一方であれば、そのうち国民の多くが慰安婦問題などにかかずらわっている余裕などなくなります。

その事例として、昨日の記事では、日本で池田内閣のときに所得倍増計画を実施し、本当に所得がそれまでの倍になった後には、日本国内からソ連の影響がほとんど消えたことを示しました。

この時に、日本経済が高度成長し、所得が倍増しなかったとしたら、その後もソ連の影響が残り、労働運動なども過激なものとなっていたことでしょう。

現在の日本の対処としては、日韓合意を破った韓国に対して、何かを変えないかぎり、安倍政権が以下の対抗措置(実質上の報復措置)を継続し続けることです。この報復措置によって、韓国側が頭を冷やすまで待つ以外にありません。
(1)長嶺安政駐韓大使、森本康敬釜山総領事の一時帰国
(2)在釜山総領事館職員の釜山市関連行事への参加見合わせ
(3)日韓通貨スワップ(交換)協議の中断
(4)日韓ハイレベル経済協議の延期 
韓国側に日韓合意に何らかの変化がないうちに、この報復措置をやめてしまうことは、今度は日本の国民感情が許さないでしょう。

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「帝国の慰安婦」裁判 問われる韓国司法 弁護側は“メディア経由”の曲解報道を問題視 ―【私の論評】韓国で慰安婦ファンタジーが発祥する前の1990年代前に時計の針を戻せ(゚д゚)!



サムスングループ失墜すれば韓国経済崩壊、日本の支援必要に―【私の論評】日本でも失敗した構造改革は、韓国でも大失敗(゚д゚)!


2017年1月24日火曜日

サムスングループ失墜すれば韓国経済崩壊、日本の支援必要に―【私の論評】日本でも失敗した構造改革は、韓国でも大失敗(゚д゚)!



 韓国の朴槿恵大統領は、親友である女性実業家の崔順実(チェスンシル)被告へ政府の機密情報を漏洩したスキャンダルで辞任の危機に追い込まれている。

 この政権スキャンダルは、韓国経済にも大きな打撃を与えた。

 韓国の特別検察官(特検)は1月16日、崔被告への出資をめぐる賄賂や横領などの疑いでサムスングループの事実上の経営トップであるサムスン電子副会長・李在鎔(イジェヨン)氏の逮捕状を請求した。疑惑の経緯は以下のようなものだ。

 サムスングループでは2015年7月、傘下企業であるサムスン物産と第一毛織の合併が決定。

「そのとき、サムスン物産の大株主で政府系の公団である国民年金公団がロビー活動を行なって合併がうまくいくよう動いた」(サムスン関係者)

 韓国事情に詳しいライターの河鐘基(ハジョンギ)氏が解説する。

「合併を成功させ盤石な経営基盤を築こうとするサムスンが、政府が便宜を図ってくれたことの見返りとして政権に近い崔被告が私物化していたとされるミル財団とKスポーツ財団に計204億ウォン(約20億円)を拠出した。検察は贈賄に当たると判断したのです」

 19日にソウル中央地裁は逮捕状請求を棄却したが、サムスングループが合併に関して政府の助けを仰いでいてもおかしくはない。グループがかつての勢いを失い、不振にあえいでいる事情があるのだ。

 サムスングループの中核企業であるサムスン電子は2016年7~9月期は売り上げが前年同期比で96%減。これには昨年夏に発火事故が相次いだスマホ販売の不振が大きく影響している。

 売り上げが韓国のGDPの8割近くを占める10大財閥のトップであるサムスングループの失墜は、韓国経済の崩壊を意味する。

 そうなれば、日本からの経済的支援も必要になるが、ソウルの日本大使館前の慰安婦像が撤去されぬばかりか釜山の日本領事館前に新たな像が設置され、さらには「竹島に慰安婦像設置」の計画が持ち上がるなど、慰安婦問題がここまでこじれていては望むべくもない。

※週刊ポスト2017年2月3日号

【私の論評】日本でも失敗した構造改革は、韓国でも大失敗(゚д゚)!

韓国の政策は随分前から、裏目裏目に出ています。その最たるものは、輸出立国でしょう。以下に、貿易依存度の比較を掲載します。
●輸出依存度(GDP比)
韓国  :43.4%
ドイツ :33.6%
メキシコ:26.2%
中国  :24.5%
ロシア :24.4%
日本  :11.4%
アメリカ: 7.5%
●輸入依存度(GDP比)
韓国  :38.8%
ドイツ :28.0%
カナダ :24.6%
アメリカ:11.4%
日本  :10.8%
輸出依存度が高いということは、一見非常に良いようにもみえますが、裏返していえば、海外の動向に左右されやすいということです。 特に、最近のスロートレードの状況ではそうです。ちなみに、スロートレードとは、「世界の実質GDPが成長しても貿易量が増えない」現象のことです。IMF(国際通貨基金)のデータによると、1990年代は世界の実質GDP成長率が平均3.1%だったのに対し、貿易量は6.6%も拡大した。貿易の成長率が、実質GDPの2倍以上に達していたのです。

それが、2000年から2011年までは、GDP4%成長に対し、貿易量が5.8%成長と倍率が下がりました。そして、2012年から2015年を見ると、GDP3.3%成長に対し、貿易量は3.2%となっているのです。ついに貿易量の成長率が、GDP成長率を下回ってしまったのです。

その状況を示すグラフを以下に掲載します。



このような状況では、貿易立国を推進するという考え方は間違いです。韓国のように輸出依存度の高い国では、内需を拡大する方向に転換すべきだったでしょう。しかし、韓国はそれを怠りました。


輸入依存度に関しては、これは非常にわかりやすいですが、依存度が高いということは決して良いことではありません。依存度が高すぎれば、これも海外の状況に左右されやすいということです。

日米はともに、輸出依存度も、輸入依存度も低いです。これは、両国とも内需大国であることを示しています。これを無視して、未だに日本を貿易立国であるとする人々は、全く考え違いをしており、大いに反省すべきです。数字の前では、それを無視して語っても、無意味なのです。日本より、輸出依存度の低い国は米国だけです。

さらに、日本は過去にはさらに輸出依存度がさらに低く20年前までは8%程度でした。これは、現在の米国に近い状況です。日本はまごうかたなき、内需大国なのです。

次に、個人消費がGDPに占める割合を比較してみます。

これは、韓国は50%、中国は35%、日本などの米国以外の先進国は60%前後です。米国は例外的に高く、70%です。

韓国と支那は、個人消費がこのように他国と比較すると低いというのにもかかわらず、個人消費を高める政策はとってきませんでした。

韓国は、個人消費を伸ばすことはせずに、グローバリズムという風潮にのって、とにかく輸出を伸ばすという方針をとってきました。

さらに驚くべきことに、GDPの8割近くを10大財閥が占めるという異常ぶりです。その中でも、サムソンがトップであり、確かにサムソン一社により、韓国経済が振り回される状況というのは確かです。

さらに、最近では、支那向け輸出を増やそうとしましたが、当の支那の経済は落ち込んでいますし、さらに最近では韓国がTHAADを導入することを決定したため、支那は対韓国制裁を実施し、韓国からの輸入を減らしています。

韓国サムスンは2016会計年度の通期決算(12月31日締め)を発表しました。半導体部門の営業利益が13兆6000億ウォンとなったことも後押しとなり、全体の営業利益は29兆2400億ウォンとなりました。

提供:Samsung 
モバイル部門(IM)の営業利益は10兆8100億ウォンで、家電部門(CE)が2兆6400億ウォン、ディスプレイパネル事業(DP)が2兆2300億ウォンとなっています。

2016年度の通期売上高は、前年度の200兆6500億ウォンに対し201兆8700億ウォンで横ばい。半導体部門の売上高が51兆1600億ウォンに増加したのに対し、モバイル部門はやや減少して100兆3000億ウォンとなりました。

2016年度の第4四半期に関しては、売上高は前年度とほぼ変わらず53兆3300億ウォンでした。一方、営業利益は2015年の6兆1400億ウォンから大きく伸びて、当四半期は9兆2200億ウォンとなりました。

サムスンの発表によると「第4四半期の利益は主にメモリ事業と、有機EL(OLED)スクリーンや液晶ディスプレイ(LCD)を含むディスプレイパネル部門などのコンポーネント事業がけん引した。ハイエンドで高性能なメモリ製品の販売好調と、V-NANDのプロセス移行の推進、さらにOLEDや大画面のUHDパネルの出荷台数増加が利益に貢献した。韓国ウォンに対する米ドル高も営業利益にプラスの影響を与えた」といいます。

サムスンの業績そのものは、昨年のギャラクシー・セブン・ノートの発火事件があっても、スマートフォンの売上が減ったにしても、横ばいだったということです。

発火したギャラクシー・セブン・ノート
とはいっても、これだけ経済的にサムスン一社に頼るということになると、本当に韓国経済はサムスン頼りということになり、サムスンの動向に左右されてしまうわけです。これは、かなり異常です。

韓国は、このような状況を改革しようとはしてきましたが、その方法というのが、これまた裏目に出ています。

現在の朴槿恵政権は、すでにレームダック状態になっていますが、それ以前の朴槿恵政権も何とかしようとはしていました。

朴槿恵政権は韓国経済の成長動力を生かそうと2013年初め『経済革新3ヵ年計画』を出していました。社会全分野の構造改革を通じて生産性を引き上げるという構想でした。

2017年まで潜在成長率4%と雇用率70%を達成して1当たりの国民所得4万ドルの基盤を用意するという、いわゆる『474』目標も立てていました。

4大改革(労働・金融・公共・教育)と創造経済は政府の代表的な構造改革戦略でした。

しかし、4大改革の核心である労働改革の場合、労組など利害関係者と野党の反対に阻まれて漂流を続けました。政府が一昨年9月に提出した労働改革4法は「非正規職量産法」という反対の中で1年以上国会の敷居をまたいでいませんでした。速戦即決で推進してきた公共部門の成果年俸制は結局、大規模なストライキを呼んだだけでした。

創造改革の成果もほとんどありませんでした。政府が創造経済革新センターや創業企業の数字など外形的な成果に重点を置いたことに内実が伴っていないという評価でした。政府支援を受けるためのペーパーカンパニーが雨後の竹の子のように生じて就職難に青年たちの「聞かないで創業」が急増するなど、副作用が少なくないという評価でした。

政府は3ヵ年計画が最後の年を過ぎて具体的な成果が出ていると広報しましたが、政府の外の認識は違いました。

国会予算政策処が最近まとめた「2017年予算案委員会別の分析」(企画財政委員会)によると、3ヵ年計画の59の細部成果指標の多くはこの2013年より悪化したり、2017年の目標値に大きく足りないことが分かりました。

国内総生産(GDP)対比国家負債比率は2013年34.3%から2015年37.9%に高まり、2017年の目標(35.6%)をすでに上回りました。可処分所得比家計負債比率も160.3%から169.9%に高まり、160代前半を維持するという目標から遠ざかりました。

青年雇用創出の目標は2017年までの累積50万個だったが、2015年6万8000個を作り出すのに止まりました。青年雇用率は41.5%(目標47.7%)、女性雇用率は55.7%(目標61.9%)に止まり、目標達成が事実上不可能になりました。

結局のところ、韓国の構造改革路線は大失敗でした。

この構造改革に関しては、なにやら既視感があります。そうです、日本でも構造改革が叫ばれていた時期がありました。下に小泉内閣の構造改革を一枚のチャートにしたものを掲載しておきます。

小泉内閣の構造改革

小泉純一郎内閣が推進した構造改革、いわゆる小泉内閣または竹中改革は、今にして思えばことごとく失敗でした。何かひとつでも国益に適うことはありませんでした。

竹中平蔵がもたらした財政均衡主義が日本の財政政策を現実離れしたものにしてしまいました。プライマリーバランスなどという、どうでもいいことに財政は縛られてしまいました。それに、小泉政権時代に一時日銀が金融緩和路線に転じ効果がではじめたのですが、なぜかすぐに引き締めに転じ、その結果、デフレの深化を招き、さらにその最中で消費増税という大失策をやらかしてしまいました。

日本が過去には構造改革に端を発して、まるで現在の韓国のように、裏目裏目にでる政策をとり、失われた20年というとんでもない状況を招いていました。

そうです。経済が悪化している時、特に若者の雇用が悪化しているときに、構造改革をやったからといって、すぐに経済が良くなるなどあり得ません。無論構造改革はいずれ実行しなければならないことではあるかもしれません。構造改革だけでは、効果が出るのに年月がかかりすぎます。

それでは、こういうときには何をすれば良いのかといえば、マクロ経済学的な見地からいえば、当然のことながら、まずは金融緩和政策と、積極財政です。これが王道です。

構造改革や、成長戦略などは、金融緩和政策と、積極財政によりある程度経済が良くなってからすべきものです。

成長戦略はやりはじめてから、成果がはっきりと出るまでは、5年くらいもかかってしまいます。構造改革はもっと時間がかかります。

それに、景気が悪い時に、成長戦略や構造改革をすることはかなり難しいです。しかし、金融緩和政策により、雇用が改善され、景気も上向き、さらに積極財政により景気が良くなりしばらく好景気が続く状況にもっていければ、成長戦略や構造改革もやりやすくなります。

それにもう一ついえることは、景気が悪い時に構造問題に手を付けられずに残ってしまうのは当然のことですが、景気が良くなれば、構造問題も全部とはいいませんが、かなり改善されていきます。

なぜなら、民間企業では、構造問題をいつまでも残していれば、そもそも競争力が落ちて、淘汰されてしまいます。だから、だまっていても改革が進みます。公共部門でも、民間で改革進んでいるのに、いつまでも棚上げにしていれば、国民からの突き上げが激しくなり、取り組まざるをえなくなります。それに、実行するにしても、好景気で潤沢な資金をもとにかなりやりやすくなります。

なお、朴槿恵がとるべきだった経済政策については、このブログでも以前詳しく取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日韓財務対話】通貨交換協定再開へ議論開始で合意 韓国側が提案 「日韓の経済協力は有益」と麻生氏―【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!
昨年8月の第7回日韓財務対話における、韓国副首相柳氏と日本財務大臣麻生氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で私が提案した、韓国がとるべき経済政策は、まずは通貨スワップで、キャピタルフライトに対処しつつ、金融緩和政策ならびに積極財政で、韓国経済をソフトランディングさせ、内需を拡大するというものでした。

このようなことを考えれば、朴槿恵政権は2013年初めに構造改革ではなく、金融緩和政策に転じ、さらに積極財政を行っていれば、その後状況はかなり異なったものになっていたと思います。誰か、この時期に朴槿恵に「金融緩和をすべき」と忠信しなかったものかと、つくづく思います。

その中でも、特に現在の馬鹿げた「反日」もしないでいたかもしれません。なぜかといえば、朴槿恵の反日にはそれなりに背景があるからです。経済が良くなる兆候をみせず、悪くなる一方では、当然のことながら、政府が国民からかなり批判を受けることになります。

そうなると、朴槿恵としては自身や韓国政府に国民の憤怒のマグマが直接受けるよりは、日本を悪者に仕立てて、憤怒のマグマを日本に向けることで、一時しのぎをせざるを得なくなってしまったのです。しかし、この安易な対応により、ますます苦しくなりました。

韓国には、一昨年の日韓合意を破棄する動きがありますし、さらには釜山での慰安婦像設置の問題から、日韓関係は最悪の状況にあります。これでは、通貨スワップの最下位もままならないことでしょう。

現在の朴槿恵政権は、経済対策に失敗して、経済がますます悪くなる状況を、親北勢力に利用され、窮地を招いてしまったのです。もし、昨年の時点で、経済が上向いたり、上向かなくても、その兆しをみせていれば、今日の窮地を招くことはなかったかもしれません。

こんなことをいうと、朴槿恵政権が腐敗しているから、経済が良くなろうと何であろうと、糾弾されたなどという人もいるかもしれません。しかし、その見方は間違いです。韓国の歴代の大統領は、退任後には必ず不正が暴かれ、国外に逃亡したり、自殺したり、罪に問われたり、様々な窮地に見舞われています。

朴槿恵だけが、不正をしていたというわけではありません。やはり根底には経済の問題があると思います。

日本でも、戦後少しの間、日本国内にはソ連の影響がありましたが、池田内閣の所得倍増計画により、本当に所得倍増した後には、日本国内からソ連の影響はなくなりました。


やはり、経済面が悪ければ、国民は政府に不満を持つようになり、反政府勢力などが活動しやすくなるのです。特に、発展途上国のように一度も経済が良くなったことのない国でではなく、韓国のように一度でも国民が経済の良い時期を経験した国ではそのようなことがいえます。しかし、経済が良くなれば、このような勢力が暗躍する余地はなくなるのです。

それにしても、朴槿恵政権の後は、親北政権が成立しようが、他の政権が成立しようが、一つだけいえることがあります。それは、まずは金融緩和、積極財政などの景気循環的政策を打ち出さなければ特にすぐにでも金融緩和政策を打ち出さなければ、まずは雇用がますます悪化し、経済が悪化するだけで、国内の混乱は防ぐことは出来ないということです。

そうして、韓国経済は坂道を転がり落ちるように悪化して、誰が大統領になっても短命政権で終わり、それでも経済を良くすることができなければ、10年から20年後には、北朝鮮に飲み込まれてしまうでしょう。

そうなりたくなければ、まず韓国は、構造改革を打ち捨てて、金融緩和政策を一刻でもはやく実行すべきです。横道にそれて、反日をやってみたり、構造改革をしたとしても何の解決にもなりません。そうして、現在のままでは、日本が韓国に助けの手を差し出すこともありません。そんなことは、日本の国民感情からいってもできるものではありません。

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2017年1月23日月曜日

【経済インサイド】支那「経済規模2位だけど発展途上国」 日本の特恵関税継続を〝懇願〟 トランプ大統領の影響も―【私の論評】世界は支那を発展途上国にもどさなければならない(゚д゚)!

【経済インサイド】支那「経済規模2位だけど発展途上国」 日本の特恵関税継続を〝懇願〟 トランプ大統領の影響も

記者の質問に応える支那商務部の沈丹陽報道官 昨年11月24日
 日支間で、にわかに〝貿易摩擦〟の火種がくすぶっている。財務省は支那の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から支那を除外すると表明。これに対し支那側は自ら「経済規模では世界2位だが、世界最大の発展途上国」とする持論を展開して猛反発している。支那は輸出が減少傾向で、しかもトランプ米大統領がから米国への輸出拡大を牽制(けんせい)する中、日本への輸出減の要因は、是が非でも排除したい思惑が透けてみえる。

 「支那は依然として世界最大の発展途上国だ」

 支那情報サイトのレコードチャイナによると、支那商務部の沈丹陽報道官は昨年11月下旬、日本が支那を特恵関税の対象国から除外する方針を打ち出したことを受け、こう反論した。

 沈報道官は続けて、「支那の経済規模は世界2位だが、1人当たり国内総生産(GDP)や、都市と農村部の発展、社会福祉などでは先進国と大きな格差がある」と力説。「近代化実現の道は依然として遠い」とも主張した。

 何かにつけて「大国」を主張する支那だが、“メンツ”をかなぐり捨て、支那はまだまだ特恵関税の措置による支援が必要な国との訴えを繰り返したのだ。インターネット上では、「支那は『大国』と『発展途上国』を場面に応じて使い分けている」といった指摘が上がっている。

ただ、同時に日本をくさすことも忘れていない。財務省が発表した昨年11月の貿易統計によると、対支那では57カ月連続の貿易赤字。レコードチャイナによると、支那社会科学院日本研究所の張季風研究員は、「日本経済の不振と長期的な貿易赤字から見て、日本が貿易ルールの調整によって自国経済の輸入減少と改善を図った可能性は排除できない」と指摘した。


 特恵関税制度は、途上国の輸出振興や経済支援のために多くの先進国が導入している。日本も約140カ国・地域からの輸入品で、関税を下げたり、免除したりしている。この制度は経済発展を遂げた国を外す規定があり、財務省は今回、所得要件を広げるなどの見直しを行いたい考えだ。

 現行の規定では、2016年公表の世界銀行統計で「高所得国」(14年時点の1人当たり国民総所得が1万2736ドル以上)に3年連続で該当した国・地域を対象から除外している。今回は、これに「高中所得国」(同4125~1万2736ドル)を追加。さらに、「輸出の世界シェアが1%以上」との基準も設ける。

 新規定で、支那のほかメキシコ、ブラジル、タイ、マレーシアの計5カ国が適用の対象外となる。平成27年度に優遇税率を適用されたものの6割は支那からの輸入品。今回、冷凍タコやペットボトルの原料であるポリエチレンテレフタレートなど約1000~2000品目で関税が上がるとみられる。

 昨年11月下旬に東京・霞が関の財務省で開かれた関税・外国為替等審議会の分科会では、ある委員が「そもそも途上国の経済発展に資することが趣旨で、経済が発展した国への特恵措置は廃止されていくべきだ」と主張。政府内には「経済発展しているのに関税をまけてやる必要があるのか」(関係者)との声もある。


 支那が特恵関税にこだわる背景には、輸出の低迷がある。支那税関総署が今年1月13日に発表した2016年の貿易統計によると、輸出は前年比7.7%減の2兆974億ドル。14年半ばから人民元安の傾向が続いているにもかかわらず、輸出がじり貧状態に陥っている格好だ。

 中でも鋼材の輸出が数量で3.5%減だったのに対し、輸出額は13.4%も減少。過剰生産で余剰在庫を抱える鋼材を、海外に安値で売りさばくという構図が浮き彫りになった。鉄鋼の過剰生産は国際問題に発展しており、生産削減を求める声が強まっている。

 トランプ米大統領は支那産品への関税引き上げを訴え、米中間の貿易に大きな影響を及ぼす可能性もある。こうした中、特恵関税の対象から外れ、日本への輸出が減るのは避けたいというのが支那の本音だ。

 そのすがるような思いは、支那商務部の沈報道官が、先に触れた11月の会見の中でみせた“最後の泣き落とし”ににじんでいる。

 「世界経済の回復の勢いは依然弱く、国際貿易・投資は低迷している。日中双方が共に努力し、日中の経済・貿易の健全な発展を後押しし、世界経済の成長に貢献することを希望する」(経済本部 中村智隆)

【私の論評】世界は支那を発展途上国にもどさなければならない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事の"貿易摩擦"としいう表現は不可思議だと思います。そもそも貿易摩擦なる言葉は、対等な関係で無論、いずれにも特恵関税などない国家間で生じるものです。

特恵関税という恩恵を受けている支那に対して、貿易摩擦などという言葉をつかうのは見当違いです。

日本にとって、支那への輸出および輸入は、いずれも2%程度に過ぎないものであり、いずれも他国との貿易で代替できるものばかりであって、対支那輸出・輸入がゼロになったとしても、日本としては特に何の問題もありません。また、投資に関しても1%程度に過ぎず、これも、微々たるものです。明日からゼロになっても日本経済に及ぼす影響は軽微です。たとえ、あったにしても、輸出・輸入先や投資先を支那から他国にシフトすればごく短期間でその悪影響はなくなります。

だからこそ、日本は支那を発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象としてきたのです。財務省は支那の輸出競争力が高まったとして、発展途上国支援のために輸入関税を低くする「特恵関税」の対象国から支那を除外すると言う表明は正しいものと思います。

特恵関税が撤廃されて、はじめて両国は対等の関係になるはずです。しかしながら、支那はこのような優遇措置を日本から受けながら、南シナ海で環礁を埋め立てて軍事基地化するとか、尖閣で領海領空侵犯を繰り返すなどの暴挙を繰り返してきました。こんなことをしておきながら、特恵関税を要求するとは、本当に支那の行動は全く矛盾しています。

しかし、これほど強く、特恵関税の維持を要求するというのですから、我々としても支那に対する見方を変えなければなりません。

それに関しては、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを掲載します。
中国、底なしデフレスパイラル 経済悪化→リストラ拡大→冷める消費意欲―【私の論評】中国の本質は、中所得国と発展途上国の連合体(゚д゚)!
2015年から輸入が激減、この状況だと猛烈なデフレになっているか
そもそも、GDPが出鱈目なのかいずれかのはずである・・・・・・
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より私の結論部分のみを以下に引用します。
このままだと、いずれ中国は、図体が大きいだけの、凡庸なアジアの独裁国家で終わる可能性が高くなってきました。

しかし、これはもともとの中国の本質なのかもしれません。中国の実体は、もともとはいくつかの発展途上国の集まりで、それを中国共産党中央政府が警察力や、軍事力を使って無理やり一つにまとめて、一国としてまとめてGDPを大きく見せていただけです。一人あたりのGDPではまだ日本に遠く及びません。

中国共産党中央政府は、世界各国の機関投資家などを幻惑して、これから中国は凄まじく発展すると期待させ、今投資しないと大損をするぞとばかり煽り、外貨を集め、それを国内でインフラ投資することで、大発展したのですが、もうその化けの皮が剥がれ、中国に積極的に投資するものなどいなくなりました。 
そもそも、当の中国人ですら、そのようなことは期待していません。中国の官僚や富裕層が外国に自らの金を逃避させています。習近平でさえもその例外ではありません。中国出身の海外在留者、すなわち華僑も、今では中国に投資はしません。

そんな中国には、もうキャピタル・フライトを防ぐ術はありません。いずれ中国は、凡庸なアジアの独裁国家となり、国力も衰え、いくつかの国の連合体に成り果てることでしょう。いわゆる、一つの省、もしくは複数の省が一つの国のような存在になり、それらの国々は、ある国は中所得国で、ある国は発展途上国ということになるでしょう。中国共産党政府がそれらを一つに、従来よりは緩くまとめるような連合体に成り果てるでしょう。 
というより、これが元々の本質なのですが、それが白日の下に晒されることになるでしょう。従来は、中国共産党中央政府の力が強く、省を強く支配していたというだけのことです。 
中国共産党中央政府が、従来のように締め付けを厳しくすれば、いずれの国も中進国以上には発展し得ないでしょう。あまり締め付けを厳しくしなければ、もしかすると、一国くらいは中進国の罠を抜け出る可能性もあるかもしれません。しかし、そうなれば、その国は連合体から抜け出ることになるでしょう。抜け出なければ、先進国にはなれません。永遠に、中所得国のままで終わります。
支那の本質が、発展途上国であることは支那の軍事産業をみていてもわかります。軍事産業に関しては、いずれの国もその技術の中核的部分は他国にやすやすと譲ることはありません。これに関しては、いずれの国も自国で開発するしかないのです。

国防産業の要ともいえる部品製造用の工作機械装備について、依然として日本は支那の命運を握っています。

デジタル制御工作機械や基本的な製造設備は製造業の「母」であり、その国の工作機械技術レベルと製品の品質は、設備製造業さらには国防産業の発展レベルを示す重要な指標でもあります。

とくに、カギとなる部品や加工生産ツール、現代化された工作機械や工業ロボットの分野において、中国は長きにわたり日本から制約を受けており、今後も一定期間この状況が続くことになるでしょう。

そうして、日本はデジタル制御工作機械の対中輸出を制限するのみならず、その心臓部分と言える制御装置の製造技術の支那による自己開発を実質上制限しています。日本のファナック、ドイツのシーメンスといった巨頭企業が支那制御装置市場の80%を占めています。残念ながら、このレベルの装置は支那では開発できません。

さらに、デジタル制御工作機械以外にも炭素繊維材料、電子部品に代表される工業部品においても支那は日本に依存しています。「紅旗-9」ミサイルには、日本性のリミットスイッチが使われいるし、潜水艦にも日本性のレーダーシステムが搭載されています。

紅旗-9
2015年5月に兵庫県警が「炭素繊維材料を不法に輸出した」疑いで日本人を逮捕しました。2012年にも炭素繊維「M60JB」を密輸しようとした中国人が逮捕されました。M60JBは主に日本ではスポーツ用自転車部品、釣竿などに用いられていますが、これも支那では製造することができません。

高速鉄道欠かすことの出来ない高品質レールも、日本のような高品質のものは、支那は模倣したくてもできない状況です。その他、模倣したくてもできないものはいくつもあります。

ロシアは、GDPは、日本の1/4であり、人口は日本より2千万人多い、1億4千万人です。かつての、ソ連は米国に伍して、冷戦を闘いぬいていました。しかし、現在のロシアは、往時をしのばせるような力はありません。現在は、NATOと対等に戦う力はありません。

しかし、あいかわらず、世界に存在感を示しているのは、未だに高度な軍事技術を擁しているからといっても過言ではありません。現在の支那にはそれすらも存在しないのです。

米国の天才的な破壊者でもある、新大統領トランプ氏は、貿易摩擦を正面に掲げて中国とは本気で戦うつもりです。ただし、関税を上げるのはできません。関税かける代わりに国境税という形もあり得ます。金融制裁という奥の手もあります。


すでに、トランプ氏は『一つの中国』といって今までワシントンや日本が従ってきたものをたった一言で壊しました。本当にシンプルな外交です。

支那は軍事的にも拡大してきていて、その圧力はロシアでも感じています。だからこそ、トランプとプーチンが近づくのには理由があるのです。中国をロシア、アメリカから挟み撃ちしようという考え方が根底にはあります。中国はかなり劣勢です。仮に中国軍が米軍と戦ったら歯がたちません。絶対に勝てません。

今の世界で、これからの10年、20年後を見た時にアメリカに対抗してくる可能性があるのは支那のみです。最も重要なのは今なら支那と戦争したら完勝できるということです。だからトランプ氏はいくら支那を刺激しても“暴発”はないと踏んでいることでしょう。

オバマ時代、米国は支那に寄り添うカタチで外交を進めてきましたが何一つ好転しませんでした。だから一旦は対中強行政策をトランプ氏が仕掛けることは大正解です。

この状況だと、沿岸部の一部の中進国的な地域の経済も落ち込み、支那はほとんどが発展途上国の連合体に成り果てて、図体が大きいだけの凡庸なアジアの独裁国になり果てるだけです。

また、現在の支那が海洋進出やチベット、ウイグル、内蒙古、満州など他国への侵略統治をやめないというのなら、日米を含め世界中の国々が支那をそのようにすべく努力すべきです。日本も、そのための努力を惜しむべきではありません。

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