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2019年1月23日水曜日

対中貿易協議、トランプ米大統領の態度軟化見込めず=関係筋―【私の論評】民主化、政治と経済の分離、法治国家が不十分な中国で構造改革は不可能(゚д゚)!

対中貿易協議、トランプ米大統領の態度軟化見込めず=関係筋

米中会談時に演説するトランプ米大統領。2017年11月に北京

複数の米政府当局者によると、トランプ大統領は米中貿易協議で成果を出し、株価を押し上げたいと考えているが、中国側が知的財産権の問題を含め、本格的な構造改革に踏み切らない限り、態度を軟化させることはないとみられる。

中国側が米国製品の輸入拡大を提案しても、それだけでは問題は解決せず、1月末に訪米する劉鶴副首相との協議でも構造改革が議題になる見通しという。

米政府は、中国が知的財産を盗んでおり、中国に進出する米国企業に技術移転を強制していると批判。中国側はそうした事実はないと反論している。

米政府は3月1日までに貿易協議で合意できなければ、2000億ドル分の中国製品に対する制裁関税の税率を10%から25%に引き上げる方針だが、関係筋によると、両国の隔たりは大きく、合意には構造問題の解決が不可欠という。

ある米政府当局者は匿名を条件に「まだ、我々の懸念が十分に対処されたと言える状況ではない」と指摘。対中強硬派のライトハイザー通商代表部(USTR)代表が率いる米国の交渉団は、貿易不均衡だけでなく、構造問題を重視しているとの認識を示した。

国家経済会議(NEC)のカドロー委員長も、ロイターに対し、技術の強制移転、知的財産権の侵害、出資制限が、トランプ政権の優先課題だと指摘。「大統領はこうした問題がいかに重要であるかを繰り返し表明している。大統領は譲歩しない」と述べた。

関係筋がロイターに明らかにしたところによると、トランプ政権は、協議の進展がみられないため、劉鶴副首相の訪米を控えた米中の通商予備協議を拒否した。

劉鶴副首相

フィナンシャル・タイムズ(FT)紙も、通商予備協議が拒否されたと報じたが、複数の米当局者は報道を否定。カドロー委員長はCNBCに対し、通商予備協議を巡る「報道は真実ではない」と言明した。

ホワイトハウスのウォルターズ報道官も「今月末の劉鶴副首相とのハイレベル協議の準備のため、接触を続けている」と述べた。

ただ、ある関係筋は「協議は進展しているが、文書化できる合意はまだ何も成立していないと認識している」とコメントした。

トランプ大統領は、株価への影響を意識し、協議が概ね順調に進んでいるとの見解を示している。19日にはホワイトハウスで記者団に「何度も協議を重ねており、中国との合意がまとまる可能性は十分にある。順調に行くだろう」と表明した。

ムニューシン財務長官は先月、中国が1兆2000億ドルを超える米国製品の輸入を確約したことを明らかにしたが、米当局者は「単なる『確約』で事が解決すると考えるのは、我々の過去の経験を見過ごしていると思える」とコメント。

米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所で中国問題を担当するスコット・ケネディ氏は、中国側は新法の制定などを通じて知的財産権の問題にすでに対処したとの考えを示唆しているが、米国側は満足していないとし、「今後の協議で、中国が知的財産の問題でさらに譲歩するのか、引き続き輸入拡大に軸足を置くのかがわかるだろう」と述べた。

カドロー委員長は「私に言えるのは、月末の劉鶴副首相との会談が非常に重要だということだけだ」と語った。

【私の論評】民主化、政治と経済の分離、法治国家が不十分な中国で構造改革は不可能(゚д゚)!

ペンス米副大統領は16日、「中国当局は国際ルールを無視している」と中国を再び非難しました。米ボイス・オブ・アメリカが17日報じました。

ペンス副大統領は同日、米国務省が開催した「駐外公使会議(Global Chiefs of Mission Conference)」で演説を行いました。副大統領は演説のなか、複数回にわたって中国当局に言及しました。

ペンス副大統領

「中国は近年、世界の安定と繁栄を半世紀にわたり維持してきた国際法とルールを無視してきた。米国としてはもう座視できない」

また、副大統領は、中国当局が「債務トラップ外交」と「不公平な貿易慣行」で影響力を拡大し、南シナ海で「攻撃的な行動」を取っていると批判しました。「すべての国は航行の自由と開かれた貿易取引ができるよう、米国は自由で開かれたインド太平洋を支持する」

ペンス副大統領は、中国当局が不公平な貿易慣行を改め、構造改革を実施すべきだと強調しました。昨年2500億ドル(約27兆円)相当の中国製品を対象にした追加関税措置を通じて、トランプ政権は「中国に警告した」と述べました。副大統領は今後、米中通商協議で中国当局が米中双方の利益にかなう改革に取り組まなければ、対中関税を引き上げると強調しました。

副大統領は会議に出席した米国の外交官に対して、中国当局やイスラム過激派テロ組織「ISIS」、イラン、キューバ、ベネズエラなどが「米国が過去半世紀にわたり守ってきた国際秩序を覆そうとしている」が、これに対抗するために「米国が戻ってきた」と述べましたた。過去の政権の外交・軍事政策を修正したトランプ政権は、「力による平和」の実現に注力し、米の軍事力を強化していくといいます。

劉鶴副首相とのハイレベル協議においては、知的財産権の保護や非関税障壁など中国経済の「構造改革」が主な争点となるとみられます。

さて、このような「構造改革」を本当に実行するためには、ただ単に中国政府が掛け声をかけて、資金を投入すればできるというものではありません。

構造改革とは、現状の社会が抱えている問題は表面的な制度や事象のみならず社会そのものの構造にも起因するものであり、その社会構造自体を変えねばならないとする政策論的立場のことです。

日本では、いわゆる構造改革は失敗して結局何も変わりませんでした。その要因としては、日本の経済の不振は、構造的なものよりも、マクロ経済政策が間違っていたことによることのほうがより悪影響が大きかったためです。

このような状況の中では、まずはまともなマクロ政策を実施して、ある程度経済を良くしなければ、構造改革などできません。実施したとしても、何が良くなれば、何かが悪くなるというもぐら叩き状態になるだけです。そのため、日本のいわゆる構造改革はほとんど掛け声だけに終わりました。何一つ成功したものはありません。

今でも構造改革病の人がいるようですが、そういう人には現在の韓国を見ろといいたいです。現在の韓国では、まさに過去の日本のように構造改革病にとりつかれています。文在寅は、金融緩和はせずに、最低賃金だけあげるという、まるで立憲民主党代表の枝野氏の主張するような経済対策を実行したがために、雇用が激減してとんでないことになっています。

しかし、中国は日本などの先進国とは異なります。中国はまずは構造改革しないことには、まずは米国の制裁を免れることはできないですし、制裁は別にしてもこれから先経済発展するのも不可能です。

そのことは中国もある程度は理解していたようで実は、中国自身も過去に構造改革を進めようとしていました。

2015年の中国経済を振り返ると、1-9月期の成長率は実質で前年同期比6.9%増と前年よりも0.4ポイント低下しました。もっと低いのではとの見方もあって議論になっていますが、確かなのは構造変化が進んでいることで、第2次産業の伸び鈍化と第3次産業の堅調(伸び横ばい)、投資の伸び鈍化と消費の堅調(伸び横ばい)という“ふたつの二極化”が起きていました。

中国経済を「世界の工場」に導いた従来の成長モデルは限界に達しており、対内直接投資が伸び悩むとともに対外直接投資が急激に増えてきました。中国経済を供給面から見ると世界における製造業シェアがGDPシェアを10ポイントも上回る過剰設備の状態にあり、需要面から見ると投資の比率が諸外国と比べて突出して大きい過剰投資の状態にあります。そして、この過剰設備(又は過剰投資)の調整を進めれば、成長率を押し下げる大きな負のインパクトをもたらすことになります

中国政府はこの負のインパクトを和らげようと、新たな成長モデルを構築するための構造改革を進めていました。具体的には、需要面では外需依存から内需主導への構造転換、供給面では製造大国から製造強国への構造転換、同じく供給面では第2次産業から第3次産業への構造転換の3点である。この構造改革を三面等価の観点から再整理すると下図表のようなイメージになります。


この構造改革に成功しても中国の成長率鈍化は避けられないです。しかし、成長の壁を克服するには他に道がないため、中国はこの構造改革は続けるしかありません。従って、第2次産業の伸び鈍化と第3次産業の堅調(伸び横ばい)、投資の伸び鈍化と消費の堅調(伸び横ばい)という“ふたつの二極化”も長く続くトレンドと考えられます。

そうして、この構造改革の最大のポイントは、個人消費を拡大することです。実際、中国の個人消費はGDPの40%であり、これは日本のような先進国が60%程度、米国では70%にも及ぶことを考えると、数字の上では確かにこの考えは妥当といえば妥当です。

それにしても、この構造改革なかなか進みませんでした。それが進まない中で、米国から厳しい経済冷戦を挑まれてしまったのです。

中国政府事態は、個人消費の拡大という構造改革を自身ですすめつつ、米国からは知的財産権の保護のための構造改革を迫られています。

さて、これらの構造改革を進めるには、実際にどのような改革を行うべきなのでしょうか。

それに必要なのは、まずは中国社会の根本的な構造改革が必要です。それについては、以前からこのブログに掲載してきました。

そうです、民主化、政治と経済の分離、法治国家化です。まずは、これがある程度実施されなければ、そもそも個人消費の拡大などおぼつきません。

先進国が先進国となり、国が富んだのは、まさにこれらを実行したため、多数の中間層ができあがり、それらが自由で活発な社会経済活動を行ったからです。個人消費を伸ばすにはまずはこれが不可欠なのです。政府が音頭をとって、金をバラマキ、個人消費を拡大することはできません。それは、一時的には可能かもしれませんが、長い間継続するのは不可能です。

また、知的財産権の保護についても、まずは中国国内で、これらが保証されない限りは、不可能です。そのため、やはり民主化、政治と経済の分離、法治国家は避けて通れません。

ただし、これを実行すれば、中国における共産党統党独裁は崩さざるを得ません。これらを実行すれば、中国共産党の統治の正当性が崩れてしまうからです。

中国の選択できる道は、共産党1党独裁を崩しても、構造改革を進め、国と国民を富ませるか、構造改革を拒否するしかありません。

なお、構造改革を拒否すれば、中国は経済的に衰退して、図体が大きいだけの、アジアの凡庸な独裁国家に成り果てることになります。そうして、他国に対して影響力を行使できなくなります。

米国としては、中国がどちらの道を選んでも良いわけです。ただ、現状のままの中国は許容しないということです。

私としては、中国の共産党幹部は、先進国の民主化、政治と経済の分離、法治国家化などによってなぜ先進国が先進国となり得たのかなど、本当は理解していないため、結局中国は滅びの道を自ら選ぶことになると思います。

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2018年1月28日日曜日

トランプ大統領がTPP復帰検討「有利な条件なら」 完全否定から大転換した理由―【私の論評】トランプはTPPが中国国内の構造改革を進めるか、中国包囲網のいずれかになることをようやく理解した(゚д゚)!


ダボス会議で演説したトランプ大統領は、「米国でビジネスを行うには最良の時期だ」と訴えた
 ドナルド・トランプ米大統領は、米CNBCテレビのインタビューで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への復帰を検討する用意があると表明した。復帰を完全否定していた従来の政権方針を大転換する発言といえる。米国の復帰が実現すれば、アジア太平洋地域をカバーする貿易・投資ルール確立という、TPPの本来の目的が達成されそうだ。

 「米国にとってより有利な条件になるならば、TPPをやる」

 トランプ氏は25日、スイス・ダボスで行われたインタビューでこう語った。トランプ氏がTPP復帰に言及したのは初めて。復帰を検討する具体的な条件には言及しなかった。

 トランプ氏は大統領就任直後の昨年1月、TPPから永久に離脱するとの大統領令に署名した。通商政策では2国間交渉を重視し、日本とは自由貿易協定(FTA)も視野に経済対話を始めた。

 通商政策の柱とする2国間交渉が思うように進まないなか、米国を除くTPP参加11カ国が新協定に合意し、早ければ2019年に発効する見通しになったことが、復帰検討の背景にあるとみられる。

 ただ、トランプ氏は「現在のTPPはひどい協定だ」と従来の認識を改めて強調し、離脱を決めた昨年の政権の判断を肯定した。

 TPPを推進する安倍晋三政権としては、米国の再加入に向け、関係が良好なトランプ政権への働きかけを強める方針だ。

 トランプ政権はこれまで、TPPや、気候変動に関する国際的枠組み「パリ協定」などの多国間協定に敵対的な姿勢を示してきた。ところが、トランプ氏は今月中旬、パリ協定についても「ことによっては復帰も考えられる」と復帰の可能性に言及していた。

 トランプ氏は現在、スイスでの世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に参加している。

【私の論評】トランプはTPPが中国国内の構造改革を進めるか、中国包囲網のいずれかになることをようやく理解した(゚д゚)!

TPPといえば、ひところTPP芸人と呼ばれる「TPPに加入すれば日本は完璧に米国の属国になる」という極論を吐く一団がいました。

そもそも、TPPとは何かといえば、通商交渉です。戦後の通商交渉の歴史を少しでもかじれば、どういう流れかわかるはずですが、なぜかこれら芸人たちは大騒ぎを繰り返しました。私も、一時この大騒ぎに取り込まれそうになりました。

そうして、これらの芸人たちは、トランプ氏が大統領になった直後TPPから離脱することを公表して以来誰も信用しなくなりました。

TPP芸人らによれば、TPPはアメリカが日本を再占領する亡国最終兵器だったはずです。

一時期、善良な人の無知に付け込み、恐怖で人を煽る「TPP商法」がかなり流行っていました。
不可思議なTPP芸人の主張
TPP芸人の主張は、「TPPは日本の国体を破壊する」、「TPPに交渉参加を表明した瞬間、日本は抜けられなくなりアメリカの言いなりになる」、「TPPにはISD条項と言う恐ろしい条項があり、関税自主権が無くなる」等など、とてつもないデマを飛ばしていました。
TPPなどという国際的な行政問題などに普通の人間が関心を持つはずもないですし、その実体についても知らないのが当たり前です。TPP芸人どもが悪徳商法として成功したのは、単なるマイナー問題を、さも国際政治的な大問題の如く信じ込ませたという一点につきると思います。
その人たち、今はどんな言論をしているのでしょうか。涼しい顔をして、何もなかったような顔をしています。

私は、TPPに関してはこのブログにはあまりとりあげませんでした、というのも反対論者の語ることが胡散臭いと思ったからです。

通商交渉の歴史をたどれば、TPPのような交渉は賛成の立場の側が通すのに苦労する条約だからです。にもかかわらず、反対派はすべての戦力をTPP反対に注げと煽っていました。

この有様は、戦前、「英米の世界支配に対抗せよ」と言いながら、ソ連の存在を華麗にスルーした偽装転向右翼と同じような臭いを感じさせました。

戦前日本にはスターリンのソ連を華麗にスルーした偽装転向右翼が存在した
TPPは成長市場であるアジア地域で遅れていた知的財産保護などのルールを作りました。社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れました。TPPが棚上げとなれば各国の国内改革の動きも止まってしまうことになります。

TPP合意を機に、日本の地方の中小企業や農業関係者の海外市場への関心は高まっていました。電子商取引の信頼性を確保するルールなどは中小企業などの海外展開を後押しするものです。日の目を見ないで放置しておくのは、本当に勿体無いです。

さて、米国が離脱したままTPP11が発効して、それに対して中国が入りたいという要望を持つことは十分に考えられます。

ただし、中国はすぐにTPPに加入させるわけにはいかないでしょう。中国が加入するには、現状のように国内でのブラックな産業構造を転換させなければ、それこそトランプ氏が主張するようにブラック産業によって虐げられた労働者の労働による不当に安い製品が米国に輸入されているように、TPP加盟国に輸入されることとなり、そもそも自由貿易など成り立たなくなります。


このあたりのことを理解したため、トランプ大統領は、TPPに入ることを決心するかもしれません。そもそも、政治家としての経験のないトランプ大統領は、これを理解していなかっただけかもしれません。だからこそ、完全否定から大転換したのかもしれません。

そうして、これを理解して、それが米国の利益にもなると理解すれば、意外とすんなり加入するかもしれません。

中国がどうしても、TPPに参加したいというのなら、社会主義国のベトナムでさえ国有企業改革を受け入れたのと同じように、中国国内の民主化、政治と経済の分離、法治国家化を進めなければならないでしょう。

それによって、中国自体の構造改革が進むことになります。こうして、TPPにより、中国の体制を変えることにもつなげることも可能です。

しかし、改革を実行しない限りTPPは中国抜きで、自由貿易を進めることになり、結果として環太平洋地域において、中国包囲網ができあがることになります。

大統領に就任した直後のトランプ大統領は、このような可能性を見ることができなかったのでしょう。しかし、最近はその可能性に目覚め、完全否定から大転換したのでしょう。

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2017年1月24日火曜日

サムスングループ失墜すれば韓国経済崩壊、日本の支援必要に―【私の論評】日本でも失敗した構造改革は、韓国でも大失敗(゚д゚)!



 韓国の朴槿恵大統領は、親友である女性実業家の崔順実(チェスンシル)被告へ政府の機密情報を漏洩したスキャンダルで辞任の危機に追い込まれている。

 この政権スキャンダルは、韓国経済にも大きな打撃を与えた。

 韓国の特別検察官(特検)は1月16日、崔被告への出資をめぐる賄賂や横領などの疑いでサムスングループの事実上の経営トップであるサムスン電子副会長・李在鎔(イジェヨン)氏の逮捕状を請求した。疑惑の経緯は以下のようなものだ。

 サムスングループでは2015年7月、傘下企業であるサムスン物産と第一毛織の合併が決定。

「そのとき、サムスン物産の大株主で政府系の公団である国民年金公団がロビー活動を行なって合併がうまくいくよう動いた」(サムスン関係者)

 韓国事情に詳しいライターの河鐘基(ハジョンギ)氏が解説する。

「合併を成功させ盤石な経営基盤を築こうとするサムスンが、政府が便宜を図ってくれたことの見返りとして政権に近い崔被告が私物化していたとされるミル財団とKスポーツ財団に計204億ウォン(約20億円)を拠出した。検察は贈賄に当たると判断したのです」

 19日にソウル中央地裁は逮捕状請求を棄却したが、サムスングループが合併に関して政府の助けを仰いでいてもおかしくはない。グループがかつての勢いを失い、不振にあえいでいる事情があるのだ。

 サムスングループの中核企業であるサムスン電子は2016年7~9月期は売り上げが前年同期比で96%減。これには昨年夏に発火事故が相次いだスマホ販売の不振が大きく影響している。

 売り上げが韓国のGDPの8割近くを占める10大財閥のトップであるサムスングループの失墜は、韓国経済の崩壊を意味する。

 そうなれば、日本からの経済的支援も必要になるが、ソウルの日本大使館前の慰安婦像が撤去されぬばかりか釜山の日本領事館前に新たな像が設置され、さらには「竹島に慰安婦像設置」の計画が持ち上がるなど、慰安婦問題がここまでこじれていては望むべくもない。

※週刊ポスト2017年2月3日号

【私の論評】日本でも失敗した構造改革は、韓国でも大失敗(゚д゚)!

韓国の政策は随分前から、裏目裏目に出ています。その最たるものは、輸出立国でしょう。以下に、貿易依存度の比較を掲載します。
●輸出依存度(GDP比)
韓国  :43.4%
ドイツ :33.6%
メキシコ:26.2%
中国  :24.5%
ロシア :24.4%
日本  :11.4%
アメリカ: 7.5%
●輸入依存度(GDP比)
韓国  :38.8%
ドイツ :28.0%
カナダ :24.6%
アメリカ:11.4%
日本  :10.8%
輸出依存度が高いということは、一見非常に良いようにもみえますが、裏返していえば、海外の動向に左右されやすいということです。 特に、最近のスロートレードの状況ではそうです。ちなみに、スロートレードとは、「世界の実質GDPが成長しても貿易量が増えない」現象のことです。IMF(国際通貨基金)のデータによると、1990年代は世界の実質GDP成長率が平均3.1%だったのに対し、貿易量は6.6%も拡大した。貿易の成長率が、実質GDPの2倍以上に達していたのです。

それが、2000年から2011年までは、GDP4%成長に対し、貿易量が5.8%成長と倍率が下がりました。そして、2012年から2015年を見ると、GDP3.3%成長に対し、貿易量は3.2%となっているのです。ついに貿易量の成長率が、GDP成長率を下回ってしまったのです。

その状況を示すグラフを以下に掲載します。



このような状況では、貿易立国を推進するという考え方は間違いです。韓国のように輸出依存度の高い国では、内需を拡大する方向に転換すべきだったでしょう。しかし、韓国はそれを怠りました。


輸入依存度に関しては、これは非常にわかりやすいですが、依存度が高いということは決して良いことではありません。依存度が高すぎれば、これも海外の状況に左右されやすいということです。

日米はともに、輸出依存度も、輸入依存度も低いです。これは、両国とも内需大国であることを示しています。これを無視して、未だに日本を貿易立国であるとする人々は、全く考え違いをしており、大いに反省すべきです。数字の前では、それを無視して語っても、無意味なのです。日本より、輸出依存度の低い国は米国だけです。

さらに、日本は過去にはさらに輸出依存度がさらに低く20年前までは8%程度でした。これは、現在の米国に近い状況です。日本はまごうかたなき、内需大国なのです。

次に、個人消費がGDPに占める割合を比較してみます。

これは、韓国は50%、中国は35%、日本などの米国以外の先進国は60%前後です。米国は例外的に高く、70%です。

韓国と支那は、個人消費がこのように他国と比較すると低いというのにもかかわらず、個人消費を高める政策はとってきませんでした。

韓国は、個人消費を伸ばすことはせずに、グローバリズムという風潮にのって、とにかく輸出を伸ばすという方針をとってきました。

さらに驚くべきことに、GDPの8割近くを10大財閥が占めるという異常ぶりです。その中でも、サムソンがトップであり、確かにサムソン一社により、韓国経済が振り回される状況というのは確かです。

さらに、最近では、支那向け輸出を増やそうとしましたが、当の支那の経済は落ち込んでいますし、さらに最近では韓国がTHAADを導入することを決定したため、支那は対韓国制裁を実施し、韓国からの輸入を減らしています。

韓国サムスンは2016会計年度の通期決算(12月31日締め)を発表しました。半導体部門の営業利益が13兆6000億ウォンとなったことも後押しとなり、全体の営業利益は29兆2400億ウォンとなりました。

提供:Samsung 
モバイル部門(IM)の営業利益は10兆8100億ウォンで、家電部門(CE)が2兆6400億ウォン、ディスプレイパネル事業(DP)が2兆2300億ウォンとなっています。

2016年度の通期売上高は、前年度の200兆6500億ウォンに対し201兆8700億ウォンで横ばい。半導体部門の売上高が51兆1600億ウォンに増加したのに対し、モバイル部門はやや減少して100兆3000億ウォンとなりました。

2016年度の第4四半期に関しては、売上高は前年度とほぼ変わらず53兆3300億ウォンでした。一方、営業利益は2015年の6兆1400億ウォンから大きく伸びて、当四半期は9兆2200億ウォンとなりました。

サムスンの発表によると「第4四半期の利益は主にメモリ事業と、有機EL(OLED)スクリーンや液晶ディスプレイ(LCD)を含むディスプレイパネル部門などのコンポーネント事業がけん引した。ハイエンドで高性能なメモリ製品の販売好調と、V-NANDのプロセス移行の推進、さらにOLEDや大画面のUHDパネルの出荷台数増加が利益に貢献した。韓国ウォンに対する米ドル高も営業利益にプラスの影響を与えた」といいます。

サムスンの業績そのものは、昨年のギャラクシー・セブン・ノートの発火事件があっても、スマートフォンの売上が減ったにしても、横ばいだったということです。

発火したギャラクシー・セブン・ノート
とはいっても、これだけ経済的にサムスン一社に頼るということになると、本当に韓国経済はサムスン頼りということになり、サムスンの動向に左右されてしまうわけです。これは、かなり異常です。

韓国は、このような状況を改革しようとはしてきましたが、その方法というのが、これまた裏目に出ています。

現在の朴槿恵政権は、すでにレームダック状態になっていますが、それ以前の朴槿恵政権も何とかしようとはしていました。

朴槿恵政権は韓国経済の成長動力を生かそうと2013年初め『経済革新3ヵ年計画』を出していました。社会全分野の構造改革を通じて生産性を引き上げるという構想でした。

2017年まで潜在成長率4%と雇用率70%を達成して1当たりの国民所得4万ドルの基盤を用意するという、いわゆる『474』目標も立てていました。

4大改革(労働・金融・公共・教育)と創造経済は政府の代表的な構造改革戦略でした。

しかし、4大改革の核心である労働改革の場合、労組など利害関係者と野党の反対に阻まれて漂流を続けました。政府が一昨年9月に提出した労働改革4法は「非正規職量産法」という反対の中で1年以上国会の敷居をまたいでいませんでした。速戦即決で推進してきた公共部門の成果年俸制は結局、大規模なストライキを呼んだだけでした。

創造改革の成果もほとんどありませんでした。政府が創造経済革新センターや創業企業の数字など外形的な成果に重点を置いたことに内実が伴っていないという評価でした。政府支援を受けるためのペーパーカンパニーが雨後の竹の子のように生じて就職難に青年たちの「聞かないで創業」が急増するなど、副作用が少なくないという評価でした。

政府は3ヵ年計画が最後の年を過ぎて具体的な成果が出ていると広報しましたが、政府の外の認識は違いました。

国会予算政策処が最近まとめた「2017年予算案委員会別の分析」(企画財政委員会)によると、3ヵ年計画の59の細部成果指標の多くはこの2013年より悪化したり、2017年の目標値に大きく足りないことが分かりました。

国内総生産(GDP)対比国家負債比率は2013年34.3%から2015年37.9%に高まり、2017年の目標(35.6%)をすでに上回りました。可処分所得比家計負債比率も160.3%から169.9%に高まり、160代前半を維持するという目標から遠ざかりました。

青年雇用創出の目標は2017年までの累積50万個だったが、2015年6万8000個を作り出すのに止まりました。青年雇用率は41.5%(目標47.7%)、女性雇用率は55.7%(目標61.9%)に止まり、目標達成が事実上不可能になりました。

結局のところ、韓国の構造改革路線は大失敗でした。

この構造改革に関しては、なにやら既視感があります。そうです、日本でも構造改革が叫ばれていた時期がありました。下に小泉内閣の構造改革を一枚のチャートにしたものを掲載しておきます。

小泉内閣の構造改革

小泉純一郎内閣が推進した構造改革、いわゆる小泉内閣または竹中改革は、今にして思えばことごとく失敗でした。何かひとつでも国益に適うことはありませんでした。

竹中平蔵がもたらした財政均衡主義が日本の財政政策を現実離れしたものにしてしまいました。プライマリーバランスなどという、どうでもいいことに財政は縛られてしまいました。それに、小泉政権時代に一時日銀が金融緩和路線に転じ効果がではじめたのですが、なぜかすぐに引き締めに転じ、その結果、デフレの深化を招き、さらにその最中で消費増税という大失策をやらかしてしまいました。

日本が過去には構造改革に端を発して、まるで現在の韓国のように、裏目裏目にでる政策をとり、失われた20年というとんでもない状況を招いていました。

そうです。経済が悪化している時、特に若者の雇用が悪化しているときに、構造改革をやったからといって、すぐに経済が良くなるなどあり得ません。無論構造改革はいずれ実行しなければならないことではあるかもしれません。構造改革だけでは、効果が出るのに年月がかかりすぎます。

それでは、こういうときには何をすれば良いのかといえば、マクロ経済学的な見地からいえば、当然のことながら、まずは金融緩和政策と、積極財政です。これが王道です。

構造改革や、成長戦略などは、金融緩和政策と、積極財政によりある程度経済が良くなってからすべきものです。

成長戦略はやりはじめてから、成果がはっきりと出るまでは、5年くらいもかかってしまいます。構造改革はもっと時間がかかります。

それに、景気が悪い時に、成長戦略や構造改革をすることはかなり難しいです。しかし、金融緩和政策により、雇用が改善され、景気も上向き、さらに積極財政により景気が良くなりしばらく好景気が続く状況にもっていければ、成長戦略や構造改革もやりやすくなります。

それにもう一ついえることは、景気が悪い時に構造問題に手を付けられずに残ってしまうのは当然のことですが、景気が良くなれば、構造問題も全部とはいいませんが、かなり改善されていきます。

なぜなら、民間企業では、構造問題をいつまでも残していれば、そもそも競争力が落ちて、淘汰されてしまいます。だから、だまっていても改革が進みます。公共部門でも、民間で改革進んでいるのに、いつまでも棚上げにしていれば、国民からの突き上げが激しくなり、取り組まざるをえなくなります。それに、実行するにしても、好景気で潤沢な資金をもとにかなりやりやすくなります。

なお、朴槿恵がとるべきだった経済政策については、このブログでも以前詳しく取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日韓財務対話】通貨交換協定再開へ議論開始で合意 韓国側が提案 「日韓の経済協力は有益」と麻生氏―【私の論評】誰か朴槿恵にマクロ経済政策を教えてやれ、そうでないと援助が無駄になるぞ(゚д゚)!
昨年8月の第7回日韓財務対話における、韓国副首相柳氏と日本財務大臣麻生氏
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で私が提案した、韓国がとるべき経済政策は、まずは通貨スワップで、キャピタルフライトに対処しつつ、金融緩和政策ならびに積極財政で、韓国経済をソフトランディングさせ、内需を拡大するというものでした。

このようなことを考えれば、朴槿恵政権は2013年初めに構造改革ではなく、金融緩和政策に転じ、さらに積極財政を行っていれば、その後状況はかなり異なったものになっていたと思います。誰か、この時期に朴槿恵に「金融緩和をすべき」と忠信しなかったものかと、つくづく思います。

その中でも、特に現在の馬鹿げた「反日」もしないでいたかもしれません。なぜかといえば、朴槿恵の反日にはそれなりに背景があるからです。経済が良くなる兆候をみせず、悪くなる一方では、当然のことながら、政府が国民からかなり批判を受けることになります。

そうなると、朴槿恵としては自身や韓国政府に国民の憤怒のマグマが直接受けるよりは、日本を悪者に仕立てて、憤怒のマグマを日本に向けることで、一時しのぎをせざるを得なくなってしまったのです。しかし、この安易な対応により、ますます苦しくなりました。

韓国には、一昨年の日韓合意を破棄する動きがありますし、さらには釜山での慰安婦像設置の問題から、日韓関係は最悪の状況にあります。これでは、通貨スワップの最下位もままならないことでしょう。

現在の朴槿恵政権は、経済対策に失敗して、経済がますます悪くなる状況を、親北勢力に利用され、窮地を招いてしまったのです。もし、昨年の時点で、経済が上向いたり、上向かなくても、その兆しをみせていれば、今日の窮地を招くことはなかったかもしれません。

こんなことをいうと、朴槿恵政権が腐敗しているから、経済が良くなろうと何であろうと、糾弾されたなどという人もいるかもしれません。しかし、その見方は間違いです。韓国の歴代の大統領は、退任後には必ず不正が暴かれ、国外に逃亡したり、自殺したり、罪に問われたり、様々な窮地に見舞われています。

朴槿恵だけが、不正をしていたというわけではありません。やはり根底には経済の問題があると思います。

日本でも、戦後少しの間、日本国内にはソ連の影響がありましたが、池田内閣の所得倍増計画により、本当に所得倍増した後には、日本国内からソ連の影響はなくなりました。


やはり、経済面が悪ければ、国民は政府に不満を持つようになり、反政府勢力などが活動しやすくなるのです。特に、発展途上国のように一度も経済が良くなったことのない国でではなく、韓国のように一度でも国民が経済の良い時期を経験した国ではそのようなことがいえます。しかし、経済が良くなれば、このような勢力が暗躍する余地はなくなるのです。

それにしても、朴槿恵政権の後は、親北政権が成立しようが、他の政権が成立しようが、一つだけいえることがあります。それは、まずは金融緩和、積極財政などの景気循環的政策を打ち出さなければ特にすぐにでも金融緩和政策を打ち出さなければ、まずは雇用がますます悪化し、経済が悪化するだけで、国内の混乱は防ぐことは出来ないということです。

そうして、韓国経済は坂道を転がり落ちるように悪化して、誰が大統領になっても短命政権で終わり、それでも経済を良くすることができなければ、10年から20年後には、北朝鮮に飲み込まれてしまうでしょう。

そうなりたくなければ、まず韓国は、構造改革を打ち捨てて、金融緩和政策を一刻でもはやく実行すべきです。横道にそれて、反日をやってみたり、構造改革をしたとしても何の解決にもなりません。そうして、現在のままでは、日本が韓国に助けの手を差し出すこともありません。そんなことは、日本の国民感情からいってもできるものではありません。

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「韓国に謝れ」産経に圧力をかけていた日本の政治家―【私の論評】ポスト朴槿恵も現大統領以下で短期政権がしばらく続くと認識せよ(゚д゚)!



2013年1月21日月曜日

【アベノミクスの希望と不安】規制緩和、自由化、TPP推進はデフレ対策を無効化 構造改革を阻止せよ―【私の論評】成長戦略においても、国は計画をたてたり主導することなく、インフラ整備だけに徹するのが筋!!余計なことをやれば、大失敗する!!

【アベノミクスの希望と不安】規制緩和、自由化、TPP推進はデフレ対策を無効化 構造改革を阻止せよ:



アベノミクスは「金融政策」と「財政政策」、それに「成長戦略」の3つのポリシーミックス(=政策目標を達成するため、複数の政策を組み合わせること)で成り立っている。筆者が個人的に最も懸念を抱いているのは、これまで触れずにいた「成長戦略」である。

 「成長戦略」にかこつけて、日本のデフレを「促進」する規制緩和、自由化、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)などを推進しようとする人たちがいるので、注意が必要だ。もちろん、竹中平蔵氏に代表される「構造改革主義者」たちである。

・・・・・・・・・・<中略>・・・・・・・・・・

 彼らの圧力に負け、安倍政権が電力自由化に代表される各種の規制緩和や、究極の自由貿易であるTPP参加を決断してしまうと、国内物価に抑制圧力がかかり、せっかくのデフレ対策が無効化されてしまう。いわば、アクセルを踏み込みながら、同時にブレーキを踏むようなものなのだ。

 安倍政権は、いや「日本国民」は、まずはアベノミクスを否定する連中と戦わなければならない。同時に、アベノミクスを肯定する姿勢を見せつつ、どさくさで構造改革を推進する連中をも相手にしなければならないのだ。

 わが国の宿痾(しゅくあ)とも言うべきデフレから脱却するためにも、構造改革路線を何としても阻止しなければならない。(経済評論家・三橋貴明) =おわり

【私の論評】成長戦略においても、国は計画をたてたり主導することなく、インフラ整備だけに徹するのが筋!!余計なことをやれば、大失敗する!!


昨日は戦後体制からの脱却には、時間がかかるので、阿部政権には、マイルストーン(一里塚)を定めて、慎重に事を進めて欲しいし、安部政権が倒れるようなことでもあれば、戦後体制からの脱却には、さらに、50年以上もかかってしまうことを掲載しました。

これは、戦後体制からの脱却に限らず、アベノミクスについてもあてはまることです。無論、戦後大勢からの脱却から比較すれば、そうでもないのでしょうが、それにしてもかなり効果が目に見えてあがるようになるには、少なくとも4〜5年はかかるものとみるべきでしょう。一見もたもたしているように見えても、これも、マイルストーンを確実にこなしているようであれば、批判は慎むべきものと思います。

このブログでも、成長戦略に関しては、これが政府主導で実施することには無理があることを民主党政権の時代から言い続けてきました。このことは安部政権になってからもあてはまることてす。

私も、三橋氏が語るように、「成長戦略」にはかなり疑念的です。ただし、私は、三橋氏のいうように、特定の政策がどうの、TPPがどうのというより、もっと根本的な背景からこの「成長戦略」に対しては反対です。

これに関しては、以前このブログにも、スマホの事例を例にあげて掲載したこととがあります。この記事では、実はNOKIAが、あのアップルのiPhoneや、iPadのようながジエットをアップルが販売する数年も前前に開発していたことを例にあげ、成長戦略を実行するのはかなり困難なことであることを掲載しました。そのURLを以下に掲載させていただきます。

【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!
スマホは、アップルがiPhoneで、現在の原型をつくりあげ、それを市場に投入しました。これが、たまたま、市場に適合していたため、それが、大ヒットして、今日につながっています。そうして、今では、iPhoneだけではなく、Android携帯なども様々の種類のものが、開発され、一大産業となっています。しかし、その影て、ノキアに限らず、ブルーベーリーその他、失敗しているところたくさんあります。それに、私としては、これら携帯電話に限らず、いまでは完璧に姿を消したPDSだって、電話機能さえつければ、現在のスマホと変わりないものがいくつもありました。

スマホの例でもわかるように、どの産業でも、いくつもの会社が、いくつもの新しい次世代のものを開発しており、そのうちの本の数社、場合によっては、1社だけが、次世代の産業を担って、大きく発展していのです。今日確かにアップルは大成功を収めましたが、何かがどこかで違っていれば、アップルがノキアのような目にあっていたかもしれないのです。


そんな自由主義経済下の競争において、政府が発展する産業を見抜けるわけはありません。政府はもともと、そのようなことをする機関ではありません。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」では、あたかも、通産省が日本の産業を主導してきたような扱いですが、あれは、幻想にすぎません。現実には、通産省主導で行ったことは、何一つ成功していません。大成功したのは、先送り戦術だけです。


それに、本来自由主義経済下の政府の役割は、こんなことをすることではありません。政府の役割は、新産業などが生まれやすいように、経済活動が活発になるように、法律を整えるだとか、規制を撤廃するとか、逆に規制を強化するとか、さらに、公共工事をするとか、安全保証などをして、いわゆるインフラ(基盤)を整えることです。このインフラづくりが政府の本命の仕事です。このインフラ上で活動して、成果をあげるのが、民間企業営利企業、非営利企業、その他の組織ということです。間違っても、政府が、インフラの上にのっかって、様々な事業を展開するようなことがあってはなりません。

女性ソ連兵
それを大規模に行ってきたのが、旧ソ連邦をはじめとする社会主義国であり、部分的に行ってきたのが、自由主義陣営による高福祉国家でした。旧ソ連邦をはじめとする、社会主義国家は、今日では全滅しました。また、ソ連邦に脅威を感じて高福祉国家をめざした国々は、その本家本元のイギリスでも財政負担があまりにも大きくなりすぎたので、取りやめました。一部まだ続けている国もありますが、それは、スウェーデンなどの人口数百万の比較的規模の小さい国々だけです。
さて、以上で、政府主導、役人主導による成長戦略がうまくいかないことはお分かりだと思います。そうして、最近の安倍首相による経済政策の発表においても、いわゆる三つのミックスポリシーである「金融政策」、「財政政策」、「成長戦略」のうち、「成長戦略」については、具体的策についてはあげられていません。

これは、当面の対策としては、本当に良いことだと思います。ここに、おかしげな規制緩和や、いわゆる構造改革のようなものが最初から入っていた場合、それこそ、小泉政権のようになり、大失敗することでしょう。まずは、「金融政策」、「財政政策」をきちんとやって、ある程度効果がでてきた場合実施すべきでしょう。それも、政府主導で、従来やったようなものではなく、民間企業が頑張るための、インフラ整備の一環として、慎重にすすめるべぎです。商売や社会を知らない役人が、主導したり、計画を立てたとすれば、必ず大失敗します。

過去において、計画経済の共産主義はことごとく大失敗した!!


私としては、たとえば、日本では、まだまだ微弱な企業が多い、本来社会事業を実施する主体であるNOP(民間非営利企業)が、活動しやすい環境をつくるとか、それこそ、このブログでも年末から年始にかけて、掲載してきたような、メイカーズが活動しやすいような下地をつくるなどの事業が良いと思います。

特に、NPOに関しては、日本は西欧に比較するとかなり遅れています。それも、財務省の財政民主主義の立場から、NPOに対する寄付の税金控除の仕組みが構築されていないという他国と比較すると異常な状態です。これは、一刻もはやく改めるべきでしょう。こんな環境にあるため、日本では、そもそもNPOが一般に認識されておらず、何やら、NPOというと、手弁当で集まる熱意あふれる奇特な人びとの集団という感覚です。とても、とても、アメリカなどの水準にはおよびません。アメリカなどでは、NPOの歳入など、国家予算に匹敵するほどです。そもそも、日本では、NPOによる社会事業というものが多くの人びとに認識されていません。

共産主義は、昔多くの人びとを魅了したこともあったが、ことごとく大失敗した。


アメリカなどでは、巨大NPOがいくらでもありますし、実際様々な社会事業に活躍しており、本当に日本などとは全く異なります。 政府がやるべきと思われるような、福祉的な事業にも、かなり進出していて、成功を収めていなます。他の先進国と比較すると、日本だけが、NPOの活動がかなり劣っています。

しかし、こうしたことも、無論政府が表だってやるとか、役人が計画をたてるなどの方式ではなく、あくまで、民間企業が競いあって、様々な活動を興隆するように仕組む法律、規制緩和、投資など、あくまで、国はインフラ整備だけに徹するべきと思います。そう思うのは、私だけでしょうか、皆さんはどう思われますか?まあ、おかしげな規制緩和、構造改革だけはやめておくべきです。

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