2017年2月17日金曜日

米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及―【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!

米軍、金正恩氏「7日で排除」3月にも世界最強の軍事力行使か、韓国紙は日本配備のステルス戦闘機に言及

ドナルド・トランプ米大統領 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件は、国際社会が注目している。「毒劇物による暗殺」の可能性が高まるなか、ドイツ・ボンで16日に開催の日米韓外相会談でも、事件や北朝鮮の核・ミサイル問題は議題となった。ドナルド・トランプ米大統領は、北朝鮮への対抗姿勢を強めており、3月にも世界最強の軍事力を行使する可能性がある。北朝鮮は16日、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕記念日「光明星節」を迎えたが、専門家は正恩氏排除までの期間を「早ければ7日」と断言した。

 日米韓外相会談は、ボンでのG20(20カ国・地域)外相会合に合わせて行われた。岸田文雄外相と、レックス・ティラーソン米国務長官、韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が出席した。

 会談では、日米韓が連携して、アジアの平和と安定を壊しかねない北朝鮮への制裁措置の実効性確保を図るとともに、中国に対して北朝鮮への圧力を強めるよう働きかける方針を確認した。当然、正男氏の暗殺事件についても意見交換したとみられる。

 注目の事件だが、マレーシアの国営ベルナマ通信は16日、同国の警察が2人目の女を逮捕したと報じた。地元メディアは、女2人のほかに、男4人が犯行を手助けした疑いがあり、警察が行方を追っていると報じた。

 韓国・朝鮮日報は16日、「(正男氏の遺体の)口元に泡がついており、典型的な毒殺時の現象だ」という政府当局者の証言を伝えた。

 事件への関与が注目される正恩氏は75周年の「光明星節」という16日、父の正日氏と、祖父の故金日成(キム・イルソン)主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を訪問した。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 今後、犯行が「北朝鮮の仕業」「正恩氏の指示」と断定されれば、日米首脳会談に合わせた11日の弾道ミサイル発射を受けて「非常に強い態度で対応する」と怒りをあらわにしたトランプ氏を、激高させそうだ。

 トランプ氏の本音について、13日に帰国した安倍晋三首相はNHKのニュースに出演し、「オバマ政権は軍事力の行使には非常に慎重だった。今のトランプ政権では、もう一度見直し、あらゆる選択肢をテーブルの上にのせながら、外交的に解決していきたいと考えていると思う」と語った。

 「あらゆる選択肢」とは、当然、世界最強の軍事力を指す。

 福井県立大の島田洋一教授は「トランプ氏は『ここで北朝鮮になめられたら、他の国になめられる』という感覚から、目に見える格好で強い姿勢を示すだろう。過去にも、相手がなめてかかってきたら『10倍返し』でやるという趣旨の発言をしている」といい、今後の行動をこう予測する。

 「まず考えられるのは、北朝鮮と取引する中国企業が使用する金融機関に対する金融制裁のグレードアップだ。さらに米韓軍事演習の強化や、米国防情報局(DIA)を通じた工作も強化してくるのではないか」

 米韓軍事演習については、拡充する見通しを韓国紙が伝えている。

 朝鮮日報(日本語版)は11日、米原子力空母「カール・ビンソン」が前日にグアムに到着したことや、ステルス戦闘機「F22ラプター」の日本配備に触れ、米軍の戦略部隊が朝鮮半島周辺に集結していることを報じた。記事では、軍関係者の話として「3月の米韓軍事演習『キー・リゾルブ』と『フォールイーグル』に参加する可能性が高い」と伝えている。

 カール・ビンソンは「動く軍事拠点」とも呼ばれるニミッツ級の原子力空母で、同紙は「西太平洋を担当する第7艦隊には、すでに原子力空母『ロナルド・レーガン』が配備されている。米国が西太平洋で2つの空母機動部隊を運用するのは異例」と指摘した。

 かつてない規模で行われる3月の米韓軍事演習だが、過去には正恩氏を急襲し、確保・排除する「斬首作戦」に沿った演習が行われてきた。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「本物の『斬首作戦』に変更してもいいような軍事演習となるだろう」といい、北朝鮮攻撃のシナリオを次のように語る。

 「陸からは、韓国軍と米軍の特殊部隊で平壌まで行く。空からは、B2爆撃機が平壌(ピョンヤン)上空まで行き、地下の約50メートルまでコンクリートをぶち抜ける爆弾『バンカーバスター』を使って、地下壕にいる正恩氏の居場所を徹底的に攻撃するだろう。海からは、恐らくトマホークを打ち込む。海上にはイージス艦もいるので、北朝鮮が弾道ミサイルで反撃してきた場合は、海上配備型迎撃ミサイルSM3で全部打ち落とすだろう」

 トランプ氏が、暴走する正恩氏を排除する決断を下すきっかけは何か、作戦終了までにかかる時間はどの程度か。

 世良氏は「北朝鮮が米国に到達する能力を持つICBM(大陸弾道間ミサイル)を発射したとき、またはトランプ氏が何らかの情報に基づきゴーサインを出したときが考えられる。早ければ1週間程度で、正恩氏を排除できるのではないか」と語っている。

【私の論評】まさに、朝鮮半島は戦争前夜(゚д゚)!

すでに米軍は、昨年金正恩斬首部隊を韓国に配備し、そのための訓練を行っています。それについてはこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
在韓米軍、「金正恩斬首」の特殊部隊を配備―【私の論評】戦争に傾く混迷の2016年以降の世界を日本はどう生き抜くのか(゚д゚)!
第75レンジャー大隊の隊員たち ジャーマン・シェパードを含む 
この記事は、昨年の2月5日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。
在韓米軍がこのほど、第1空輸特戦団と第75レンジャー連隊所属の特殊部隊を韓国にローテーション配備した。 
同部隊は、イラク戦争やアフガニスタンでの戦闘に投入され、敵の要人を暗殺する「斬首作戦」などを担ってきた。核・生物化学兵器などの大量破壊兵器(WMD)の除去作戦も行う。 
在韓米軍の発表によれば、「特殊部隊は韓国特殊戦司令部と共に特殊戦司令部準備態勢や能力増大のための訓練を行う」という。訓練には、特殊部隊を極秘潜入させる米空軍のMC-130J支援機も投入される予定。

在韓米軍がこうした発表を行うのは異例。
さらに、 米国は昨年から2つの空母打撃群を西太平洋に配置する構えをみせ、ステルス戦闘機「F22ラプター」の日本配備も昨年すでになされています。今年になってはじめて、ブログ冒頭のような構えをみせたわけではありません。それに関す記事のリンクを以下に掲載します。
【スクープ最前線】米、東アジアで異例の軍備増強 北朝鮮急襲「Xデーは2月末」の衝撃情報―【私の論評】混迷する世界!「政治的メッセージ」を聴くのも、発信するのも飽きた米国?
この記事は、昨年1月28日のものです。以下に一部分を引用します。
米西部ワシントン州の母港を15日、原子力空母「ジョン・C・ステニス」(排水量10万5500トン)が出港し、西太平洋に向かった。同空母は、戦闘機や攻撃ヘリコプターなど約90機を搭載し、士官・兵員約3200人、航空要員約2500人が乗船している。当然、ミサイル巡洋艦や駆逐艦、原子力潜水艦などを引き連れて、空母機動部隊を編成している。 
ご存じのように、横須賀基地(神奈川県)には、原子力空母「ロナルド・レーガン」(同10万8000トン)を中心とする、機動部隊が配備されている。東アジアに2つの空母機動部隊が展開するなど、異例中の異例といえる。 
横須賀に入港中のロナルド・レーガン
さらに、横田基地には、米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22「ラプター」と、F16戦闘機「ファイティング・ファルコン」の計26機が集合した。米グアムの米軍基地には、「死の鳥」と恐れられるB52戦略爆撃機「ストレイトウフォートレス」(成層圏の要塞)と、B2ステルス戦略爆撃機「スピリット」がスタンバイした-。
以下、複数の米軍関係者から得た仰天情報だ。 
「北朝鮮殲滅(せんめつ)作戦は数パターンある。基本は、ステルス戦闘機などで約700カ所の軍事拠点をピンポイント爆撃し、原子力潜水艦で海域を封鎖する。同時に特殊部隊が突入。北朝鮮内部に構築したスパイとともに正恩氏を一気に確保し、排除する」 
「作戦の第1段階は、原子力空母や原子力潜水艦などの朝鮮半島沖への展開だ。2月末から、米韓合同軍事演習『キー・リゾルブ』と、野外機動訓練『フォールイーグル』が予定されている。空母などは、その名目で展開する。第1段階は2月下旬までに完了する」 
「Xデー」とはこのことだ。情報はこう続く。 
「最終的なゴーサインはオバマ米大統領次第だ。こちらは北朝鮮の地下軍事基地の詳細や、正恩氏の居場所、中国やロシアへの脱出トンネルも把握している。正恩氏はもはや、核放棄に応じるしかない。それは『2005年の事件』で分かっているはずだ」 
米軍は05年、北朝鮮で極秘軍事作戦を決行した。F117ステルス戦闘機「ナイトホーク」を、平壌上空に派遣し、正恩氏の父、金正日(キム・ジョンイル)総書記の豪邸にめがけ、上空から急降下を繰り返し、正日氏に死を覚悟させて震えあがらせた。見えない戦闘機に北朝鮮は手も足も出なかった。
F117ステルス戦闘機「ナイトホーク」
今回の米軍展開は、その時以上といえる。
飛行中のB2ステルス戦略爆撃機「スピリット」
米国が西太平洋で2つの空母機動部隊を運用するのは異例のことですが、それを米軍は昨年の今頃も実施し、今年も行っているということです。

この動き無論のこと、金正恩にだけ焦点をあてたものではなく、支那に対する牽制という意味もあると思います。

さて、米国といえば、オバマ政権時代にオサマ・ビン・ラディン氏を暗殺しています。これを考えれば、ブログ冒頭の記事にあるような、金正恩氏暗殺ということも十分にあり得ます。

オサマ・ビン・ラディン氏に関しては何年間もCIAが居場所をつきとめようとしていてなかなかつきとめられなかっのが、とうとう突き止めることができたため、斬首作戦に踏み切ったものです。

金正恩氏に関しても、わざわざ斬首部隊を韓国に配置したり、今年も空母打撃群を2つも派遣したり、さらにはステルス戦闘機を今年も日本に配備したということで、米軍としては、条件が揃えば実行する用意があるのは当然のことと思います。

それにしても、米国の昨年に続くこのような動き、北朝鮮側、金正恩からみても不気味でしょう。

さて、ブログ冒頭の記事にもあるとおり、北朝鮮は16日、故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕記念日「光明星節」を迎えました。正恩氏は今年の75周年の「光明星節」に父の正日氏と、祖父の故金日成(キム・イルソン)主席の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を訪問しました。

故金正日総書記の生誕記念日「光明星節」を記念して
開かれたシンクロナイズドスイミングの公演=15日、平壌
金正恩党委員長は16日0時、金正日総書記の生誕記念日(2月16日)である光明星節に際して、平壌の錦繍山太陽宮殿を参拝しました。同日、朝鮮中央通信が報じました。私自身は、金正恩氏はこの日にあわせるように、金正男氏を暗殺したのではないかとみています。
これをもって、完璧に後継者問題を終焉させるという意味があったものと考えます。
錦繍山太陽宮殿を訪れた金正恩氏と党・内閣・
軍の幹部ら(2017年2月16日付労働新聞より)
その並々ならぬ決意は、錦繍山太陽宮殿を参拝という事実に現されているものと思います。なぜなら、金正恩氏は、昨年の光明星節にはこの宮殿を訪問していないからです。なぜほうもんしなかったかといえば、それについてはこのブログにも過去に掲載しています。その記事のリンクを以下に掲載します。
【北朝鮮情勢】金正恩氏、米軍の急襲恐れる?正日氏の遺体集団参拝に加わらず―【私の論評】中国に対する牽制のためにも、米による金正恩斬首は大いに有り得る(゚д゚)!
平壌の錦繍山太陽宮殿
この記事は、昨年の2月18日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、金正恩氏がなぜ宮殿を訪問しなかったのか、その理由に関する部分のみ以下に掲載します。
北朝鮮の金正恩第1書記が16日の金正日総書記の生誕記念日に取った異例の行動が、韓国で話題となっている。金正恩氏は例年、午前0時に金正日氏の遺体が安置されている平壌の錦繍山太陽宮殿を幹部らと集団参拝するが、今年は零時の集団参拝には加わらなかった。国営メディアは「16日に夫人と参拝した」と報じるのみだ。

韓国メディアは18日、金正恩氏が例年と異なる行動を取ったのは、F22戦闘機など戦略兵器を韓国周辺に展開する米軍の急襲を恐れたためとの見方を伝えた。
結局のところ、昨年は、斬首部隊が韓国に派遣されたり、米軍の2つの空母打撃群の配置があったり、日本にはステルス機などが配置され、自分の居場所を公にして、その場所に赴けば、それこそ斬首されかねないことを恐れたのだと思います。

しかし、今年は参加したというのは、やはり、後継者問題に片を付けるという意味あいがあったのものと考えます。宮殿を参拝することによって、これを北朝鮮内外に向かって強い意志を強く印象づけるという意味があったものと思われます。

そうして、これが他国も了解して、北朝鮮の後継者は、金正恩ただ一人と認めれば、今後金正恩の暴走は沈静化する可能性もあるかもしれません。

しかし、その意図がトランプ大統領などに伝わるかどうかは疑問です。北朝鮮は日米首脳会談めがけて、弾道ミサイルを発射したり、今度は金正男氏を暗殺したりということで、トランプ氏の逆鱗に触れる可能性は多いにあります。

それに支那の動きも気になるところです

中国政府が金正男を庇護下に置いたのは、金正恩体制がクーデターなどで転覆した際、取って代わって親中国政権を樹立するためでした。いわば正男は中国にとって手駒であり、隠しカードだったのです。

その正男を暗殺したとしたら、中国にケンカを売ったも同然。今後、北朝鮮の暗殺への関与がはっきりすれば、習近平政権は『中国政府に対する重大な挑戦』と捉えることになるでしょう。いずれにせよ、金正恩政権の北朝鮮と中国の間で緊張が高まることになるのは確実です。
 
中国は金正恩の過剰な独裁体制に不信感を抱いています。それを察知した正恩には、自分の身が中国に狙われることになるかもしれないという恐怖が常にあります。ならば、自分の代わりに後継指名されることになりそうな正男を先回りして暗殺しようと思い至ったとしても、不思議ではありません。

まさに、朝鮮半島は、戦争前夜といっても良い状況にあります。

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2017年2月16日木曜日

日米共同声明に仕込まれた対日要求―【私の論評】米は、南シナ海を支那原潜の聖域にさせない(゚д゚)!

日米共同声明に仕込まれた対日要求

日本は口先だけの日米同盟強化から脱却できるのか

南シナ海のスカボロー礁付近で中国軍機が米海軍のP-3C哨戒機と
「安全でない」距離まで接近していた。写真は
米軍のP3C。
   2月10日(米国時間)、安倍首相とトランプ大統領によって発せられた「日米共同声明」を、多くのアメリカ海軍関係戦略家たちが高く評価している。アメリカ大統領が公の文書で「公海での航行自由原則を守り抜く」ことを明言したからである。

 アメリカ側の軍事専門家にとって、共同声明での尖閣諸島や沖縄の基地問題に関する言及は、オバマ政権はじめこれまでの米首脳の方針を再確認しただけであったため、さしたる関心事ではなかった。しかし、南シナ海(そして東シナ海)での「航行自由原則」を共同声明で明言したことに関しては極めて高く評価している。

 なぜなら本コラムでも繰り返し指摘してきたように、米海軍対中強硬派が長年にわたって主張し続けてきた南シナ海における「航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」の実施を後押しすることになるからだ。

 FONOPを強力に実施しなければならない段階に

 2月初頭に日本を訪問したマティス国防長官は、南シナ海での「航行自由原則維持のための作戦(FONOP)」の実施を強化すると明言した。

 すると、その言葉に対抗するように、マティス長官が日本を離れると中国はすぐに海警局巡視船を尖閣諸島周辺の日本領海内を航行させた。

それに引き続いて、南シナ海の公海上空(アメリカ側によると)において、中国空軍KJ-2000早期警戒機がアメリカ海軍P-3C哨戒機に対して危険なほど異常接近(300メートル)をする事案も発生している。さらに、中国がスカボロー礁の軍事基地化を開始するという情報も浮かび上がっている。

 オバマ政権下では、質・量共に制限をかけられたような形でしかFONOPは実施が許可されなかった。しかし、以上のような状況において、米国はマティス長官が明言したように、FONOPをより強力に実施しなければならない段階に至っている。

 ただしマティス長官と時を同じくして、ティラーソン国務長官は、公海航行自由原則を堅持する(させる)ための軍事的作戦を実施するといっても、中国艦艇船舶や航空機が人工島へ接近するのを阻止するような作戦(ブロケード)を展開することはない、とも語っている。

 これは、至極当然のステートメントである、というのは、このような軍事作戦を実施することは、実質的に対中戦争に突入することを意味するからだ。そのような事態はアメリカ政府も財界も望んでいないし、そもそもアメリカ軍自身も現時点における南シナ海での中国との軍事衝突だけは絶対に避けたい状況にある。

 自衛隊艦艇の参加は可能と考える米国側

 いずれにせよ、日米共同声明という公式文書で、アメリカが国是としてきている「公海航行自由原則の維持」が明示された。これは、日米両国が日米同盟強化を推し進めるにあたって、とりあえずはこの分野での役割分担を推し進めるべきであるという強いメッセージが発せられたことを意味している。

 そして、ここで重要なのは、アメリカが南シナ海で実施しようとしているFONOPへの協力として日本に期待されているのは、日本にとって憲法上も予算上(厳しいが)も不可能ではない“軍事作戦”であるということだ。このことは、アメリカ側も当然認識している。

 たとえば、独自の核武装によって日米同盟を強化することは、いくらトランプ大統領が大統領選中に日本核武装を口にしたとは言っても現実的には極めて困難であることは、アメリカ側は十二分に理解している。また、アメリカが実施しようとしている対IS掃討戦に、日本政府が大規模な戦闘部隊を派遣してアメリカ軍の戦闘力を補充することも、自衛隊の現状から判断すればまずあり得ない。

 しかしながら、海上自衛隊と密接な関係を維持しているアメリカ海軍は、海上自衛隊の予算・人員が決して潤沢ではないことは承知しつつも、海上自衛隊が艦艇や哨戒機を南シナ海のFONOPへ派遣する能力を十二分に保有していると考えている。

 FONOPの表向きの目的は、公海航行自由原則を一方的に拒否する国家に対して、「国際海洋法秩序に従い公海航行自由原則を踏みにじるな」という強固な意思を示すことである。

 あくまでFONOPは「公海航行自由原則」をアピールすることが目的の、戦闘を想定しない軍事作戦である。結果として「中国が一方的に表明している“中国の海”なる曖昧な概念は認めない」「中国によるそれらの島嶼環礁に関する一方的な領有権の主張も認めない」ということにはなるが、島嶼の領有や領海の主権を巡る紛争に直接的に介入することはない。そのため、アメリカが実施するFONOPへの自衛隊艦艇の参加は戦闘恐怖症の日本社会にも十二分に受け入れられるものとアメリカ海軍戦略家たちは考えているのだ。

【私の論評】米は、南シナ海を支那原潜の聖域にさせない(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事では、アメリカ海軍は"海上自衛隊の予算・人員が決して潤沢ではないことは承知しつつも、海上自衛隊が艦艇や哨戒機を南シナ海のFONOPへ派遣する能力を十二分に保有していると考えている"とあります。

これは事実です。実際、海上自衛隊は艦艇を南シナ海に派遣しています。それについては、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日米比越4カ国で中国を威嚇 海自護衛艦の“歴史的”寄港で南シナ海「対中包囲網」―【私の論評】マスコミが絶対に国民に知られたくない安全保障のダイヤモンドの完成(゚д゚)!
フィリピンのスービック港に寄港した海上自衛隊の潜水艦「おやしお」(左)、護衛艦「ありあけ」と「せとぎり」
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、以下に一部引用します。この記事は昨年の4月のものです。
日米両国が、フィリピンやベトナムとともに、南シナ海で軍事的覇権を強める中国を封じ込める動きを見せている。米原子力空母「ジョン・C・ステニス」が同海に展開するなか、海上自衛隊の護衛艦や潜水艦がフィリピンに寄港したのだ。護衛艦はベトナムにも向かう。護衛艦はベトナムにも向かう。海自最大級のヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」も近く、フィリピンに寄港予定で、南シナ海の「航海の自由」を断固守る覚悟といえそうだ。
海自の護衛艦「ありあけ」「せとぎり」と、練習用潜水艦「おやしお」は3日(ブログ管理人注:昨年4月)、南シナ海に面したフィリピン・ルソン島のスービック港に入港した。日本の潜水艦のフィリピン寄港は15年ぶりという。
上の記事にもある、海上自衛隊のヘリコプター搭載の大型護衛艦「いせ」は昨年4月26日、フィリピン北部ルソン島のスービック港に入港しました。航行訓練を含む4日間の親善訪問でした。

南シナ海のほぼ全域で領有権の主張を強める中国に対抗し、軍の装備が乏しいフィリピンは、同じ米国の同盟国である日本との連携強化を求めています。海自の艦船がスービック港を訪れたのは、この3週間あまりで2度目、この1年間では3度目となりました。

日本政府は昨年2月、防衛装備品および技術の移転に関するフィリピン政府との協定に署名した。対象とされる中には、対潜哨戒機やレーダー技術が含まれる可能性があると高官らは述べていました。

フィリピン北部ルソン島のスービック港に入港した海上自衛隊の
ヘリコプター搭載型護衛艦「いせ」(2016年4月26日撮影)
さらに、以下のような事実もあります。この記事は昨年1月のものです。
海自哨戒機、南シナ海飛行拡大へ…中国をけん制―【私の論評】これは中国にとってはかなりの脅威、南シナ海の中国の艦船と潜水艦の動きが丸裸に(゚д゚)!

この記事は昨年1月のものです。以下に一部引用します。
防衛省・自衛隊は、アフリカ・ソマリア沖で海賊対処活動に参加したP3C哨戒機が日本に帰還する際の飛行ルートを見直し、フィリピンやベトナムなど南シナ海に面する国の基地を優先的に経由させる方針を固めた。 
高度な監視能力を持つP3Cの飛行範囲が、中国が「領海」と主張する南シナ海で拡大する見通しだ。「上空飛行の自由」の保護にもつながり、米軍が中国の人工島周辺で実施している巡視活動を日本が独自に支援する活動といえる。
海上自衛隊はP3C哨戒機2機を昨年2月18日までの3日間、ベトナム中部ダナンに派遣し、ベトナム海軍と合同で図上の洋上捜索訓練などを実施しました。日本とベトナムの防衛協力をアピールし、南シナ海における中国の実効支配強化をけん制するとともに、自衛隊の存在感を高める狙いがありました。

海自のP3C哨戒機
さらに、以下のような事実もあります。
【世界ミニナビ】中国ご自慢の空母「遼寧」は日米潜水艦隊がすでに“撃沈”?―【私の論評】中国の全艦艇は既に海上自衛隊により海の藻屑に(゚д゚)!
実戦ではほとんど役立たずといわれる空母「遼寧」
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部引用します。
米国にとって代わろうと覇権獲得に躍起となっている中国。その中国が海洋強国の象徴として心血を注いで建造したのが空母「遼寧」だ。歴史をひもとくと巨艦を持った軍事国家は「砲艦外交」に乗り出すことが多く、中国も周辺諸国威圧のため、遼寧を何度か出航させている。しかし、対する日米の潜水艦艦隊はピッタリとその動向をマークしており、すでに遼寧を何度か“撃沈”しているとみられる。もちろん、秘密裏に行われている演習の上でのことだが…。
日本の海上自衛隊と米国海軍の潜水艦艦隊が演習で遼寧を“撃沈”しているようだと明らかにしたのは、米誌「ナショナル・インタレスト」だ。同誌は6月18日のウェブサイトで、「撃沈している」との断定的な表現は微妙に避けながらも、日米の潜水艦艦隊は遼寧が出航するたびに追尾し、“撃沈”の演習を繰り返しているとしている。
潜水艦は、海底に深く沈めば動向を知られることなく、敵を偵察したり攻撃することができます。そのため、昔から潜水艦の動向はどの国ても明らかにすることはありません。そのため、日米ともにそれは明らかにされてはいません。

そのためか、この記事でもいずれの海域で遼寧の撃沈訓練が行われたのかは明記していません。しかし、当然のことながら、南シナ海での訓練も含まれるものと思います。

さらに、日米の潜水艦艦隊という表現から、日米共同演習もあったものと推察されます。実際に様々な条件でシミレーションし、遼寧側に気づかれることなく、撃沈可能であることを何度も確かめて、日米双方とも自信を深めているのでしょう。

このように、昨年の時点ですでに海自は、艦艇や哨戒機を南シナ海に派遣しているわけですから、アメリカが実施するFONOPへの自衛隊艦艇の参加は戦闘恐怖症の日本社会にも十二分に受け入れられるものとアメリカ海軍戦略家たちは考えるのは当然といえば当然です。

海自としては、これらの頻度を増やすということで十二分に米国の期待に応えることができることでしょう。

また、FONOPには英国、フランス、オーストラリアなどの艦艇も参加することになると思います。

南シナ海をめぐる中国の主張や行動は国連海洋法条約違反などとしてフィリピンが申し立てた仲裁手続きで、オランダ・ハーグの仲裁裁判所は昨年7月12日、中国が「歴史的権利」として主張する「九段線」について国際法上の根拠は認められないとの裁定を公表した。南シナ海のほぼ全域の主権を主張して強引に進出する中国に対し、初めて国際法に基づく判断が下されました。

南シナ海は、日米の艦艇をはじめ、他国の艦艇も含めて多数の艦艇が自由に航行することとなり、支那による南シナ海を原潜の聖域にする目論見は完璧に失敗することでしょう。

米国にとっては、南シナ海が支那原潜の聖域にさせないことが、究極の目的でしょう。支那がどこまでも、これにこだわり、各国艦艇などに武力攻撃を仕掛けるなどことがなければ、米国もそれ以上深追いすることもないでしょう。しかし、支那による南シナ海の聖域化に関しては、全力でこれを阻止するでしょう。無論、場合によっては武力衝突も辞さないでしょう。

そうして、もし支那が戦略原潜を南シナ海に派遣するような動きをみせれば、それこそ、キューバ危機の再来という事態を招くことになるでしょう。

【関連記事】






2017年2月15日水曜日

金正男氏殺害の女工作員か…マレーシア紙が顔写真を公開―【私の論評】暗殺の真の目的は統治の正当性を主張するため(゚д゚)!


マレーシアの英字紙ザ・スターが公開した、金正男氏を
暗殺した工作員と思われる女の画像(画像:The star)

クアラルンプール国際空港で、金正男氏を暗殺したと見られる女工作員の比較的鮮明な映像が公開された。

マレーシアの英字紙、ザ・スターは、クアラルンプール国際空港の監視カメラにとらえられた女工作員の映像を公開した。

画像には、「LOL」(日本のネット用語の「www」と同じ意味)とプリントされた白いシャツに、青色のスカート姿の中年のアジア系の女が、右手で手提げバッグを押さえている様子が写っている。

これは、午前中に公開された画像に写った女と同一人物と思われるが、距離やアングルは異なるとザ・スターは伝えている。

一方、金正男氏の遺体が搬送されたクアラルンプール病院には、北朝鮮大使館のものと思われる3台の車がやって来た。いずれも外交官ナンバーが付けられている。

北朝鮮大使館はマレーシア警察当局に、金正男氏の遺体の引き渡しを要求している。しかし、ロイター通信によると、韓国の国家情報院の担当者は「遺体は家族に引き渡されるだろう」と語っている。

【私の論評】暗殺の真の目的は統治の正当性を主張するため(゚д゚)!

まずは、金正男氏が亡くなったことは、確実なので、ご冥福をお祈りさせていただきます。

上のニュースは、韓国のサイトDailyNKからのものです。この件に関しては情報が少ないので、以下にこのサイトからいくかのニュースをそのまま引用します。
マレーシア警察、金正男氏殺害の女工作員を乗せたタクシー運転手を拘束 
マレーシアの警察当局は、金正男氏を暗殺したと見られる容疑者の女2人を乗せたタクシードライバー1人を一時拘束。取り調べの上、釈放した。マレーシアの華語紙、東方日報が報じた。また、工作員はベトナム国籍であると伝えている。 
ブキッ・アマンの警察本部の幹部は東方日報の取材に、金正男氏が殺害された月曜日の午後に、2人の女工作員を乗せたタクシー運転手を逮捕したと述べた。
記事は、犯行の様子を次のように伝えている。 
「出発ロビーにいた金正男氏に女工作員2人が接近した。うち1人がまず金正男氏にむけて毒の入ったスプレーを発射し、もう一人が金正男氏の口をハンカチで押さえて、気道深くに物質を入れた後、出発ロビーの外で待っていたタクシーに乗って逃走した」 
警察は、2人は運転手に「自分たちはベトナム人」と語っていたとし、また、某国(北朝鮮)が今回の暗殺を行わせるために雇ったと見ているという。使われた毒物を特定された模様だが、薬物名は言及されていない。 
当局は市内全域に特別警戒態勢を敷き、容疑者ら行方を追っている。
「家族は中国当局が保護」金正男氏暗殺で韓国高官

マレーシア警察当局が15日午前9時ごろ、金正男氏と思われる遺体を、プトラジャヤ病院からクアラルンプール病院に移送したとマレーシアの英字紙、ザ・スターが報じた。クアラルンプール病院はマレーシア最大の病院で、移送は解剖を行うためと思われる。

これに先立つ午前8時ごろ、地元警察の幹部が捜査官と共にプトラジャヤ病院の霊安室に入っていった。

プトラジャヤ病院の霊安室の周辺には国内外のメディアが殺到しているが、警察当局は入口を封鎖して、メディアが中に入れないようにしている。

一方、韓国の国家情報院の李炳浩(イ・ビョンホ)院長は15日の国会情報委員会の懇談会で、金正恩氏が金正男氏を暗殺せよとの指示を下したことに対し、正男氏が助命を嘆願する書簡を送っていたと明らかにした。 
金正男氏は2012年4月、金正恩氏に「私と家族に対する膺懲(暗殺)命令を取り消してほしい。我々には逃げるところも、身を隠すところもない。逃げる道は自殺だけだということはよくわかっている」とする書簡を送っていたという。

李院長は今回の暗殺について「長年の努力の末に実行されたもので、このタイミングで行われたことに特別な意味はない」「(政権を脅かす存在だから暗殺したという)計算ずくの行動ではなく、金正恩氏のパラノイア的な性格が反映されたもの」とも述べた。

また、金正男氏の家族の安否について李院長は、本妻と息子1人が北京に、後妻と息子1人(キム・ハンソル氏)と娘1人はマカオにおり、いずれも中国当局の身辺警護を受けているとの認識を示した。
マレーシア警察、金正男氏殺害の女工作員を乗せたタクシー運転手を拘束
マレーシアの警察当局は、金正男氏を暗殺したと見られる容疑者の女2人を乗せたタクシードライバー1人を一時拘束。取り調べの上、釈放した。マレーシアの華語紙、東方日報が報じた。また、工作員はベトナム国籍であると伝えている。 
ブキッ・アマンの警察本部の幹部は東方日報の取材に、金正男氏が殺害された月曜日の午後に、2人の女工作員を乗せたタクシー運転手を逮捕したと述べた。
記事は、犯行の様子を次のように伝えている。 
「出発ロビーにいた金正男氏に女工作員2人が接近した。うち1人がまず金正男氏にむけて毒の入ったスプレーを発射し、もう一人が金正男氏の口をハンカチで押さえて、気道深くに物質を入れた後、出発ロビーの外で待っていたタクシーに乗って逃走した」 
警察は、2人は運転手に「自分たちはベトナム人」と語っていたとし、また、某国(北朝鮮)が今回の暗殺を行わせるために雇ったと見ているという。使われた毒物を特定された模様だが、薬物名は言及されていない。 
当局は市内全域に特別警戒態勢を敷き、容疑者ら行方を追っている。
金正男氏、韓国政府の「亡命作戦」露呈で殺害か…韓国メディア

北朝鮮の故金正日総書記の長男・金正男(キム・ジョンナム)氏が13日、マレーシアのクアラルンプール国際空港で殺害された事件を巡り、北朝鮮が韓国への亡命を阻止するために行ったのではないかと、韓国メディアが報じている。 
韓国メディアによると、国家情報院は李明博政権時代、金正男氏を韓国へ連れてこようとしたが、本人が韓国より米国やヨーロッパに行くことを望んだため、米国政府と交渉を行ったという。しかし交渉は決裂し、作戦は失敗に終わった。 
このことが報じられ、金正男氏が身の危険を感じて再び韓国や第三国に亡命する可能性が浮上したため、これを未然に防ぐために殺害した、というのだ。 
中央日報は情報筋の話として「金正男氏が韓国に亡命するという情報を入手した北朝鮮が、暗殺に乗り出したものだろう」としている。この情報筋はまた、李明博政権が金正男氏を亡命させる準備を進めていたが、政府は負担が重いと感じて計画を断念した、と述べた。そして最近、韓国政府が金正男氏に再び亡命を持ちかけたことが北朝鮮当局の知るところとなり、暗殺された可能性があるとも述べている。 
金正男氏は2010年6月、中央日報の記者に質問に「(ヨーロッパに行くとは)どういう意味ですか。そんな計画はありません。どうしてヨーロッパに行くんですか。旅行にいくことはあるかもしれないけど…」と亡命説を否定していた。 
彼の足取りを把握していた韓国政府の関係者によると、浪費癖があり、経済的に困窮していた金正男氏に対し、外国の情報機関がアプローチしていたという。これを北朝鮮が苦々しく思っていたことも影響した可能性がある。 
一方、文化日報は北朝鮮事情に精通した情報筋の話を引用し「金正男氏は北朝鮮当局から召喚命令を受けたが、これに応じなかったため、殺害された可能性が高い」と報じた。 
この情報筋はまた、金正恩体制が安定しつつある状況で「金正男氏は金正恩氏を脅かす存在ではない」としつつも、不安要素除去のため殺害された可能性が高いと述べた。
下の写真は、ジーパンに青いストライプのシャツ、スエードのモカシンにハンティング帽をかぶった金正男(キム・ジョンナム、2010年当時)氏です。服装は、典型的な“アメカジ”スタイルです。


全般的には無難そうですが帽子から靴までツートンで色相を合わせるなど、特別なファッション感覚を見せています。また彼は新商品を早く取り入れています。靴は銀のガンチーニの飾りのついたイタリアのブランド「サルヴァトーレ・フェラガモ」(Salvatore Feragamo)です。

当時の春・夏(S/S)新商品です。赤れんが色に近い茶色と青色が発売されていました。韓国国内販売価格は当時で63万8000ウォン(約4万8600円)。シャツは米国カジュアルブランドのラルフローレンです。今年初めに発売された近い製品の国内販売価格は14万8000ウォン。帽子とジーパンのブランドは確認されませんでした。

ソ・スンヒ成均館大学衣装学科教授は「スエードのモカシンやハンティングキャップのように普通、男性たちがあまり試みないアイテムを消化しており、思考が開放的と見られる。色相の選択では心理的に安定し、豪宕ながらも、穏やかな感じを表現している」と評していました。
さて、この事件、元々暗殺計画があって、長年その機会を狙ってきたのが、今回たまたま様々な条件が重なり、暗殺に成功したというのが真相だと思います。

金正男氏は、金正恩朝鮮労働党委員長の地位を脅かす目障りな存在として、北朝鮮当局から付け狙われる運命にさらされてきました。

「張成沢氏が正男氏にひそかにドルを送金している」。中朝関係者によると、2013年に側近らが金委員長にこう告発したのが張氏処刑につながったとされます。前年の訪中時に張氏が中国首脳に「正男氏一家の保護」を求めたとも報告されました。

張氏処刑の罪状に「後継者問題への妨害」「クーデター謀議」が挙げられましたが、これは中国を後ろ盾に張氏が正男氏を担ぎ出し、クーデターを起こすのではないかとの金正恩の猜疑心の表れだったとみられています。

12年には、朝鮮人民軍総参謀長だった李英浩(リ・ヨンホ)氏が更迭されましたが、「正男氏との内通」が疑われたことがきっかけだったといわれています。

「3代世襲には反対だ」「改革開放を進める中国式のやり方しかない」。正男氏は日韓の記者らに対してこう公言してはばかりませんでした。中国の幹部子弟らの間でも「太っちょ兄さん」と愛称で呼ばれ、支持する者が少なくありませんでした。

10年に中国で再会した父、金正日総書記に「弟に後継者の資格があるのか」と迫ったとも伝えられます。

韓国で12年に起訴された北朝鮮の秘密警察の要員は「正男襲撃を指示された」と供述。中国当局も正男氏に対する警護レベルを引き上げていたといわれます。暗殺が事実なら、警戒が薄い東南アジアの移動時が選ばれたということでしょう。

親族粛清は金委員長の父、金正日総書記の生前からありました。1997年2月に金正日氏の先妻の成ヘ琳氏の実姉、成ヘ琅(ソン・ヘラン)氏の息子で、金正男氏のいとこの李韓永(イ・ハニョン)氏(82年、韓国に亡命)がソウル市内で、金正日氏の指示を受けた北朝鮮工作員により射殺されました。

粛清の歴史は金正恩委員長にも引き継がれました。金委員長は2013年12月に叔父の張成沢国防副委員長(当時)を突然、全職務から解任し、処刑しました。

金正恩
当時、党政治局拡大会議では、「張成沢が行った反党・反革命的宗派行為、反動性が暴露された」としていました。張氏が金委員長の「命令に従わない」ことが処刑の理由でした。

張氏は金正日氏の妹、金敬姫氏の夫で、党を中心に活動。中国や韓国を訪問したこともあり、北朝鮮では数少ない「外部を知る人物」でした。11年12月の金正日氏の死後は敬姫氏とともに、金委員長への権力移行に努めてきました。

親族で後見人であった張氏を処刑した金委員長の手法を、韓国では朴槿恵(パク・クネ)大統領自らが「恐怖政治」と非難しました。

手錠をかけられ軍事法廷に引きずり出された張成沢。(2013年12月「労働新聞」より引用)
しかし、金委員長にとり、自分に意見する者、逆らう者は親族だろうが消し去るべき存在なのです。その後も側近幹部の粛清や更迭の情報は続きました。

金正男氏は、張氏とは特に親密な関係だったとされます。。本など海外メディアのインタビューで金委員長の世襲に言及していた。

さらに、北朝鮮との関係が悪化する中国が長らく金正男氏の背後におり、中国国内で半ば“自由”に行動していたことが、金委員長の逆鱗(げきりん)に触れた可能性が大です。

北朝鮮当局の関与、金委員長の“暗殺指令”があったのであれば、金委員長は金正男氏を囲い続けてきた中国の反発を見越した上で、兄の処断を実行したことになります。“金正恩恐怖統治”の歴史は進行途中であり、今後も続くことでしょう。


それにしても、なぜ金正恩委員長はこのような処刑や暗殺をしなければならないのでしょうか。それは、明らかです。

日本などの先進国の選挙という民主的手続きを経て選ばれるリーダーと異なり、金正恩委員長の統治の正当性はかなり低いからです。

私達が思うほどには、金正恩氏の体制は盤石ではないのです。いつ崩れてもおかしくはないのです。だからこそ、統治の正当性を主張するため、暗殺・粛清を行うのです

無論、個々の暗殺や、粛清などにはそれぞれ様々な理由があると思います。しかし、その根底はすべて統治の正当性が低いから、行わざるを得なくなるのであり、やはり統治の正当性を主張することが目的であるといえます。

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2017年2月14日火曜日

【WSJ社説】アジア外交で勝利するトランプ氏―【私の論評】日本のリベラル・左派、左翼の本来の使命は「政権・権力と戦うこと」とではない(゚д゚)!



 ドナルド・トランプ米大統領はここ数日、アジア諸国との外交活動に忙しかった。9日には中国の習近平国家主席と就任後初の電話会談。翌10日に安倍晋三首相とホワイトハウスで日米首脳会談を行い、続く週末には首相と27ホールのゴルフに興じた。北朝鮮の弾道ミサイル発射実験を受けて11日には共同記者会見も行った。これまで一部の外国首脳を相手に示してきた態度とは異なり、トランプ氏は堅実かつ慎重に練られた対応ぶりを見せ、同盟諸国に敬意を払っている。

 習氏との電話会談の注目点は、台湾に関して中国が掲げる「一つの中国」政策を長年尊重してきた米国の姿勢をトランプ氏が確認したことだ。トランプ氏は以前、この原則について貿易問題などと同様に「交渉対象」になると述べていた。この変わり身について、トランプ氏が「張り子の虎」である証しだと指摘するメディアもある。中国政府関係者の話として、習氏はトランプ氏がスタンスを軟化させるまで対話を拒否していたと報道は伝えている。ただ、こうしたトランプ氏の変わり身の中身は驚くべきことでも、劇的なことでもない。

 これは台湾が中国の一部であるとする「一つの中国原則」をトランプ氏が受け入れたということではない。台湾の国際的な立場を巡り中台が反目状況にあることを認識するという米国の政策を確認しただけであり、この問題に対する米国の判断を留保したうえで、台湾の人々の同意による平和的な解決を求めているのだ。過去数十年間においてそうであったように、これは中台の反目を認識した以上のことを意味するわけではない。ましてや、独立国家としての台湾を正式に認めること以外で続けてきた台湾への支援を中止するわけでもない。

 昨年12月にトランプ氏が電話会談を行った台湾の蔡英文総統との関係を前進させ、経済・外交・軍事的つながりの強化を図ることを止めることでもない。そうではなく、台湾の独立国家としての地位というデリケートな問題を巡って中国と衝突し、地域を不安定化するようなリスクは冒さないというメッセージを送っている。そうすることによってトランプ氏は、慎重さが要求され、しかも依然として影響力の大きい台湾問題に関して、台湾や日本をはじめとする友好国・地域のリーダーからより多くの支援が確実に得られる状況を作ってみせたのだ。

 そこに驚くほど友好的な日米首脳会談が行われた。中国はアジアの覇者を狙う野望に対する反対勢力の急先鋒が安倍首相だととらえている。その認識は正しく、今回の日米首脳会談の意味を中国の指導部が理解しているのは間違いない。「われわれの間にはとても良好な絆がある。非常にうまが合う」。共同記者会見でトランプ氏はそう熱く語り、こう続けた。「車のところで彼(安倍首相)を出迎えた際、握手したが、彼を引き寄せ肩を抱いた。そうしたいと感じたからだ」。これが、日本はただ乗りの同盟国だと選挙期間中に批判していたトランプ氏の身の変わりようだ。

 「われわれは日本の安全保障に関与する」。トランプ氏はそう宣言した。尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲内だとするジム・マティス国防長官の発言と同じ認識を表明した。たとえ関係が最良の状況下にあってもトランプ氏との間では泣き所になりかねない貿易面では、マイク・ペンス副大統領と麻生太郎副総理・財務相をトップとする経済協議の枠組みを設けることで合意した。

 新型中距離弾道ミサイル「ムスダン」を日本海へ向けて11日に発射した北朝鮮も、日米間の連携強化の重要性を示すことに一役買うことになった。北朝鮮がミサイルの発射実験を行ったのはトランプ氏の就任後では初めてだ。今回の発射は北朝鮮が開発を進めている大陸間弾道ミサイルではなかったものの、同国の核開発が多面的に前進しつつあることをあらためて知らしめた。トランプ氏は「米国は素晴らしい同盟国である日本を100%支持する」と述べた。まったく同感だ。

【私の論評】日本のリベラル・左派、左翼の本来の使命は「政権・権力と戦うこと」ではない(゚д゚)!

ブログ冒頭の、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事いたってまともです。

このブログでは、以前から米国のメディアは90%がリベラル・左派占められていて、特に大手新聞ではリベラル・左派が100%であり、日本にたとえると産経新聞が存在していないような状況にあることを掲載してきました。

そのためか、米国のメディアで報道される内容は非常に偏りがあって、人口でいえばおそらく半分くらいは存在するであろう、保守層の声がほとんどかき消されていて、私たちは米国の半分を知らない状況にあるといってさえ良い状況にあります。

そうして、このウォール・ストリート・ジャーナル紙も無論のこと、リベラル・左派の新聞です。

しかし、日米首脳会談に対する極めて的確な報道をブログ冒頭のWSJの社説は果たしています。日本のテレビや新聞などの偏った解説とは異なります。

日本のリベラル・左派のマスメディアや、有識者などもこの態度は見習うべきでしょう。

日本ではマスメディアも酷いですが、いわゆる有識者などと言われている人たちも酷いものです。

政治学者の山口二郎氏は13日、朝日新聞の神田大介テヘラン支局長が安倍晋三首相を中傷するような投稿を行い、インターネットで批判を受けて削除したことについて、「最高権力者をおちょくることに、何の遠慮が必要か」と自身のツイッターに書き込みました。

山口二郎氏

神田支局長は、日本時間11日未明に米ワシントンで行われた安倍晋三首相とトランプ米大統領の首脳会談を伝える映像を引用し、「安倍首相、大丈夫かな…またおなか痛くなっちゃうのでは」と自らのツイッターに書き込みました。

この投稿にネット上で批判が相次ぎ、神田支局長は投稿を削除し、「このツイートは不適切だったので削除しました。安倍首相をはじめ、病気を揶揄するつもりはなかったんですが、そのように受け取られて当然のひどいツイートでした。お詫びし、撤回します。申し訳ありませんでした」と釈明しました。

朝日新聞の神田大介テヘラン支局長
さらに神田支局長は「自分の考えの至らなさ、まったくお恥ずかしい限りです。以後、このようなことがないよう注意いたします。重ねて安倍首相をはじめ、みなさまにお詫びします」「本当に、トランプ氏の登場による首相への重圧を心配してツイートしたんですが、そのように伝わらなくて当然だったと思います」「意図が伝わらないようなツイートをしてしまったこと、記者として恥ずかしく思います」などと連続して投稿していました。

このような出来事から、やはり日本のリベラル・左派、左翼といわれる人々の中には、山口二郎氏のように、多くのリベラル・左派、左翼のマスコミや識者は「政権や権力と戦うのが使命」であり、その使命を貫徹するためには安倍総理に対する個人攻撃をすることも当然と思っているようです。

しかし、私は政権と戦うのがリベラル・左派、左翼の使命であるなどとは絶対に言えないと思います。そんなことをしていたら、リベラル・左派はいつも政権反対の立場に縛られてしまうことになります。

自民党が政権をとったら自民党反対で、民主党政権になれば民主党反対ということになってしまいます。そうではなく、リベラル・左派、左翼は政権がどうであろうと自分自身が自由に考え、意見を述べるべきです。リベラル・左派、左翼が単なる政権の逆反射に陥れば、自由に考えているのは政権の側で、リベラル・左派、左翼は思考停止になってしまうことになります。

まさに、今回の日米首脳会談ではこのことが鮮明になったと思います。日本のリベラル・左派の方々も、ウォール・ストリート紙をみならって、まともな考え方をすべきです。この新聞は、「政権や権力と戦うのが使命」などとは思っていないからこそ、自由な発想と情報源から上記のような記事が書けるのです。

そうでないと、いつも反政権の立場に縛られて、まともなことが言えなくなってしまいます。その顕著な例が、いわゆるリフレ派の政策に対するリベラル・左派の人々の考え方です。

このリフレ派という言葉は、私はあまり好きではありません。そもそも、リフレ派による積極的な金融政策を中心にデフレから脱却することを重要課題とする主張は、他の先進国では当たり前の政策であり、この政策を主張する人々を他の先進国ではわざわざリフレ派と読んで区別することもありません。

リフレ派という言葉、日本独自のものと考えても良いです。そうして、このリフレ派の主張は欧米では雇用を改善して労働者にとって良い政策であるということから、リベラル・左派、左翼、労働組合などが賛同する政策でもあります。まさに、安倍政権はアベノミクスという名称で、世界的な見地からすれば、リベラル・左派的な政策を実行しているわけです。

しかし、日本ではリベラル・左派も左翼の方々も、「政権や権力と戦うのが使命」という古いイデオロギーにしがみついているせいか、金融政策の有効性を認めません。特に、金融政策が雇用と不可分に結びついているということを絶対に認めません。

このような頑な態度をとっていれば、やがてリベラル・左派の中でも分裂が起こるのではないでしょうか。実際、その兆候は見られています。

広葉樹の移植のための畑を耕す「化学総連」の皆さん
クリ・コナラなど塩に強い品種の広葉樹も
実験的に植えるのだそうです
化学大手の労働組合でつくる全国化学労働組合総連合(化学総連)が昨年連合から離脱しました。

化学総連は昨年5月末、春闘などで連合との窓口になっていた「日本化学エネルギー産業労働組合連合会(JEC連合)」との協力関係を解消しました。事実上の連合離脱であり、産別(産業別労組)が抜けるのは、平成元年の連合発足後、初めての事態です。

この動きの根底には、リベラル・左派、左翼は「政権や権力と戦うのが使命」であるとの考え方に対する反発があるのは明らかです。

私自身は、自分はどちらかというと保守派だと思っていますが、リフレ派的な考えは正しいものであり、それは統計上も十分に証明されているものと思いますから、自分が保守であろうがなかろうが、リフレ派の主張には賛同しています。

リベラル・左派、左翼の方々も、「政権や権力と戦うのが使命」という呪縛から逃れて自由な発想をすべき時にきているのではないでしょうか。

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2017年2月13日月曜日

沖縄の地元紙さえ懐疑的な翁長知事の訪米 成果皆無も「手応えは今回が最高」と妄言も連発―【私の論評】沖縄県民、日本国民を愚弄しまくる翁長に明日はない(゚д゚)!

沖縄の地元紙さえ懐疑的な翁長知事の訪米 成果皆無も「手応えは今回が最高」と妄言も連発



【那覇市支局長の沖縄オフレコ放談】

沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事が迷走している。米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古移設を阻止する決意を伝えるため、マティス米国防長官と入れ違いで訪米し、成果は皆無にも関わらず、「(3回目の訪米で)手応えは今回が最高」などと妄言も連発。帰国すると間髪入れず辺野古沖で海上工事が始まり、移設阻止で共闘関係にある地元紙や反対派と隙間風が吹いている。

写真のはブログ管理人挿入 以下同じ
■辺野古唯一に「失礼だ」
 翁長氏は1月31日から2月4日までワシントンに滞在し、下院議員12人と面談した。政府当局者との面談は課長級のヤング国務省日本部長ら2人だけだった。

「(議員と)実のある議論ができた」

「多くの方から『沖縄の事情が理解できた』という話を聞いた」

記者団に成果をアピールしたが、地元紙ですら懐疑的だ。沖縄タイムスは、面談した下院議員らが辺野古移設阻止に向けて「何か具体的行動を取る説得力のある議論ができたのだろうか」と指摘した。

訪米中、安倍晋三首相と訪日したマティス氏が辺野古移設を「唯一の解決策」と確認すると、翁長氏は「県民に失礼なやり方ではないか」と批判。県民という言葉を添えているとはいえ、メンツを潰されたという腹立ちをにじませた。

人生を米国の安全保障にささげてきた「戦う修道士」のマティス氏の言動が見識と経験に基づいているのに対し、翁長氏の言動はプロパガンダ(政治宣伝)しかない。

■記念撮影でお上りさん

訪米中にはこんな場面もあった。

トランプ大統領を含む各国の政治家ら数千人が出席したホテルでの朝食会。翁長氏はティラーソン国務長官と握手をする機会に恵まれた。

「日本の沖縄県から来た翁長です」と自己紹介したが、短時間のため基地問題を話す時間はなかった。

その際、撮影された写真が地元紙の琉球新報に関係者提供として掲載された。テーブルの向こう側を歩くティラーソン氏をバックに、テーブルの手前にいた翁長氏はカメラ目線で笑みを浮かべている。

その構図は、ディナーショーで歌手がテーブルに近づくと、自分と歌手を一緒にフレームに収めてもらう写真と同じだ。琉球新報によると、翁長氏は「(ティラーソン氏に)声掛けできて、ある意味でラッキーだった」と語ったという。

県幹部は「お上りさんですね」と漏らす。

この朝食会で撮影された写真がもう1枚ある。翁長氏と民進党の藤田幸久参院議員が挟み、軍人が真ん中に収まった写真だ。

藤田氏は軍人が「ポール・セルバ統合副参謀長(空軍大将)」で、翁長氏を含め3人とも朝食会のテーブルが同じだったと明らかにしている。

■懇親会で踊りに興じ

翁長氏がセルバ氏と公式に面談しようとしても拒否されるのは自明だ。今回、翁長氏はプリーバス大統領首席補佐官との面談を求めたが、袖にされてもいる。

朝食会という非公式な場ではあるが、翁長氏はセルバ氏に持論の辺野古移設阻止や在沖縄海兵隊の抑止力に対する疑問を主張する絶好の機会を得た形だ。

ただ、写真に映る翁長氏は微笑し、3人の表情からは和やかな雰囲気が伝わってくる。翁長氏がセルバ氏に持論を訴えたとアピールした形跡もないため、辺野古移設阻止を口にすることもなかったのだろう。

翁長氏を支持してきた移設反対派にとって訪米中の振る舞いは移設阻止の本気度に疑念を抱かせる。
訪米中に踊りに興じる翁長氏
ネットには訪米中に踊りに興じる翁長氏の写真も流れている。県は「沖縄出身者との懇親会で撮影されたもの」と説明するが、この写真も辺野古で座り込みを続ける反対派を「何を悠長に」といらだたせているはずだ。

【私の論評】沖縄県民、日本国民を愚弄しまくる翁長に明日はない(゚д゚)!

安倍総理の今回の訪米、そうしてトランプ新大統領との会談は、大成功だったことは疑いないです。これに対して、民進党の野田幹事長は"安倍晋三首相は「ドラえもん」のスネ夫になった!"など頓珍漢な談話を発表しています。予期せぬあまりの大成功に、戸惑いを隠せないようです。
トランプ大統領が、安倍総理に安全保証や貿易などに関して必ず厳しいことを言うはずだと予想し、そうなったら徹底的に安倍総理を批判してやろうと、待ち構えていたところ、すっかりあてが外れて、このような発言になったのでしょう。
それにしても、今回の翁長訪米には、このような悔し紛れの発言も何もなかったようです。
翁長氏そもそも、最初からほとんど成果の期待できない訪米をこの時期にするという事自体が大きな間違いです。そもそも、日本から沖縄県知事が訪米したとして、一体何の外交的成果があるというのでしょうか。
立場を逆にして考えてみれば、そのようなことは誰にでも理解できるものと思います。たとえば、旧民主党政権から自民党政権に政権交代があったときに、カリフォルニア州知事あたりが、訪日して、自民党の政治家に会ったとして、会う議員などもいるかもしれませんが、それで日米関係が変わるなどということがあり得るでしょうか。
そんなことは、あり得ないです。最初から成果の期待できない、訪米は、その性質から言って、都民を愚弄し怒りをかった、舛添元東京都知事の標榜していた都市間外交と何ら変わりないものです。
韓国朴槿恵大統領と会談した舛添都知事
翁長知事も舛添知事と同じく、沖縄県民を愚弄しているとしか思えないです。県民や国民を愚弄しているのは今回の一件だけではありません。
就任してすでに2年を超えた翁長知事ですが、いくら公約だからといって「辺野古移設絶対阻止」だけに力を注ぐのは、知事という職務に臨む姿勢として明らかにバランスを欠いています。

所得格差、貧困、教育現場の混乱、防災、過疎、DVの横行や青少年の非行に対する対応など、やるべきことはいくらでもあります。基地問題は沖縄県の課題の一つに過ぎないもです。

そんなことは気にもとめず、翁長知事は就任後の1年間で8回も外遊していました。外遊それ自体がいけないとは言いませんが、就任1年目に「外遊が多すぎる」とメディアから厳しく批判された舛添要一東京都知事も、その回数は6回です。

沖縄県は「アジアと日本の架け橋になる」というスローガンを掲げていますから、「アジア各地を廻ることも仕事のうち」と言うかもしれないが、他方で翁長知事は「日本はろくでもない国だ」とあちこち吹聴して歩いています。そんな知事が、架け橋になるとはとても思えません。

一昨年9月末、八重山地方に台風21号が襲来して、与那国島で最大瞬間風速81・1メートルを記録したことは記憶に新しいです。与那国島では大きな被害が出ましたが。被災の2日後に副知事を派遣したのですが、翁長知事はその後一度も与那国を視察していません。

仲井眞知事時代は、台風で離島に被害が出たら、知事自身が視察していました。翁長知事の対応は、県民、とくに与那国の人たちを愚弄するものです。人口1600人程度の与那国はたいした「票田」ではないから行かなかったのでしょうか。「票にならないことはしない」という翁長知事一流の政治的計算が働いたのかもしれません。

さらに決定的なのは、あれだけ「辺野古、辺野古」と言い続けている翁長知事なのですが、知事になってからの翁長氏は一度も辺野古を訪れていません。翁長氏が辺野古に足を運んだのは、知事選前の2014年9月20日と選挙直後の11月19日の2回だけです。

選挙も終わったから、辺野古で座り込むような泥臭いパフォーマンスより、ジュネーブで英語スピーチするカッコいいパフォーマンスを選んだのでしょうか。おそらくここでも、翁長知事の政治的計算が働いています。翁長知事は夫人を座り込みに行かせたのですが、どう考えても知事本人が現場で激励するのが筋です。

「翁長知事、頑張れ!」と唱えながら辺野古ゲート前で、体をはって日夜座り込んでいる高齢の活動家に対してもあまりに無礼ではないでしょうか。辺野古の現場の人々も、よく黙っているものだと思います。私自身は、このような活動には反対ではありますが、それは別にして、現場で頑張っている人たちをないがしろにする翁長知事のやり方は、どうみてもまともには見えません。
今月6日辺野古ゲート前
今月6日ゲート前には、辺野古への移設阻止を訴えるため、翁長雄志(おなが・たけし)知事と訪米し、帰国したばかりの稲嶺進・名護市長も駆けつけました。


しかし、翁長知事の姿は、相変わらずありませんでした。翁長知事は本当にこれらの人を愚弄し続けています。

そうして、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、国が埋め立ての承認を取り消した沖縄県の翁長雄志知事を訴えた裁判においては、昨年12月20日の判決で、最高裁判所第2小法廷の鬼丸かおる裁判長は、翁長知事が承認を取り消したのは違法だとする判断を示しました。

これによって県の敗訴が確定し、中断していた普天間基地の移設工事が再開される見通しとなりました。翁長知事は、敗訴が確定したとしても、知事が持つあらゆる権限を使って移設計画を阻止する考えを示しています。

そうして、移設計画の阻止の一環として、行われたのが今回の無意味な訪米です。これだけ県民や国民や沖縄の活動家を愚弄してして、しまくって平気な知事も珍しいのですが、翁長氏の政治手法からは、容易に想像できる姿勢でもあります。今回の訪米で、完璧に化けの皮が剥がれたようです。
これだけまともに仕事をしない沖縄県は、翁長知事を弾劾すべきと思います。
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2017年2月12日日曜日

日米首脳 北朝鮮を非難 トランプ大統領“100%日本とともに”―【私の論評】北ミサイル発射は、日本の拉致被害者問題とも無縁ではない(゚д゚)!

日米首脳 北朝鮮を非難 トランプ大統領“100%日本とともに”



安倍総理大臣は、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けてアメリカのトランプ大統領と共同で声明を発表し、断じて容認できないと非難するとともに、日米両国が緊密に連携し、対応を強化していくことで一致したことを明らかにしました。また、トランプ大統領は「すべての人は、アメリカが、日本と100%ともにあることを知るべきだ」と述べました。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受けて、安倍総理大臣とアメリカのトランプ大統領は、夕食会のあと、日本時間の午後0時半すぎ、滞在先のフロリダ州の大統領の別荘で共同で声明を発表しました。

この中で、安倍総理大臣は「北朝鮮のミサイル発射は断じて容認できない。北朝鮮は、国連決議を完全に順守すべきだ。先ほど、トランプ大統領との首脳会談で米国は常に100%、日本とともにあると明言した。トランプ大統領はその意思を示すために私の隣に立っている」と述べました。

そのうえで、安倍総理大臣は「私とトランプ大統領は日米同盟をさらに緊密化し、強化していくことで完全に一致した」と述べました。

また、トランプ大統領は「すべての人は、アメリカが偉大な同盟国、日本と100%ともにあることを知るべきだ」と述べ、日本と緊密に連携して北朝鮮に対処していく考えを強調しました。

トランプ大統領は前日の記者会見で、「北朝鮮の核やミサイルの脅威からの防衛は極めて高い優先事項だ」と述べ、北朝鮮の核やミサイルの開発への対応に優先的に取り組んでいく考えを明らかにしていました。

【私の論評】北ミサイル発射は、日本の拉致被害者問題とも無縁ではない(゚д゚)!

韓国軍合同参謀本部などによると、北朝鮮は日本時間の12日午前7時55分ごろ、北西部の平安北道・亀城から弾道ミサイル1発を発射しました。ミサイルは最高高度約550キロに達し、約500キロ飛行して日本海に落下。日本の防衛省関係者は、射程約1300キロの「ノドン」との見方を示し、高い高度に打ち上げて迎撃を難しくする「ロフテッド軌道」がとられた可能性もあると指摘しました。一方、韓国軍は「ムスダン」(射程2500~4000キロ)改良型の可能性が高いと発表しました。

北朝鮮の中距離弾道弾ノドン
トランプ政権の発足後、北朝鮮が弾道ミサイルを発射したのは初めてです。日米首脳会談に合わせ、弾道ミサイルの能力を誇示し、日米をけん制する狙いがあるもようです。16日に故金正日総書記の誕生日を控え、国威発揚を図る意図もあったとみられます。

米戦略軍も北朝鮮による「中距離ないし準中距離」の弾道ミサイル発射を確認したと発表。声明で「米戦略軍と北方軍・北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)、太平洋軍は引き続き北朝鮮による挑発を警戒し、安全確保に向け日韓両国と緊密に連携していく」と表明しました。

菅義偉官房長官は12日午前、臨時に記者会見し、「日米首脳会談直後だったことを考えても、わが国や地域への明らかな挑発行為だ」と強調。北朝鮮に厳重に抗議したことを明らかにしました。船舶や航空機への被害は確認されていません。
安倍首相は関係省庁に対し、情報収集・分析に全力を挙げ、不測の事態に備えて万全の態勢を取るよう指示した。

さて、ここで日本ではなせが分析も報道もほとんどされないのですが、なぜ北朝鮮はあのようにミサイルを連発し、そうして本日このタイミングでミサイルを発射したのでしょうか。


それは、まずは北朝鮮が米国と本気で戦争をしようなどとは思っていないということを理解しなければなりません。

上の北朝鮮弾道見入るの推定射程を見ると、今のところ北朝鮮からは米国全土を射程に収めてはいません。これに対して米国の弾道ミサイルは全世界を射程に納めています。無論、北朝鮮も米国本土から攻撃可能です。それも、40年前のICBMで十分に可能です。さらに、北朝鮮にはこれを防ぐ手立てはありません。

また、米軍はSLBM(潜水艦発射型弾道ミサイル)でも、北朝鮮をいつでも攻撃可能です。そうして、北朝鮮にはこれを防ぐ手立てはありません。

なのになぜミサイルを連発するのでしょうか。それを解き明かすには、北朝鮮とイランの関係を思い起こす必要があります。イランは、以前から北朝鮮から核に関する技術を導入していた形跡があります。それに関しては、本日は本題ではないのでここで詳細は説明しません。

北朝鮮は意味もなく、ミサイルを連発しているわけではありません。良い悪いは別にして、彼らは彼らの思惑と戦略にもとづいてそれを実行しているのです。

そうして、彼らの思惑や、戦略の究極の目的は、何とかして米国に自分たちに振り向かせ、支那、ロシア、日本を抜きにして、直接対話をして、北朝鮮にとって有利な状況を創りだすことです。

そのための外交カード、交渉条件を北朝鮮にとって有利になるように核開発をし、弾道弾の開発もしているのです。

そうして、米国がいつまでも、北朝鮮と直接対話しなければ、北朝鮮としては各技術をイラクなどにビジネスとして販売してしまうかもしれないということを米国に見つけているのです。

北朝鮮の核やミサイルの技術は、米国に比較すると格段に劣りますが、それでもイランにこれらを提供すれば、イランからは米国全土が北朝鮮製の核ミサイルが射程距離内に収まってしまいます。

北朝鮮としては、米国が直接対話をしないならば、いずれはこれをイランに売りさばくということを外交カードとするため、盛んにミサイルを連発しているというわけです。

それと、日米首脳会談のまっただ中に北朝鮮がミサイルを発射したことには、これだけではなく、別の意味もありそうです。

それは、現在米国人が一人北朝鮮に拉致されていることがわかっています。韓国の拉致被害者家族でつくる「戦後拉北者被害家族連合会」の崔成龍理事長は今月7日、2004年に中国で失踪し、北朝鮮に拉致された疑いが指摘されている米国人男性デービッド・スネドン氏について、トランプ米政権が韓国で情報収集をしていると明らかにしました。

デービッド・スネドン氏
米国ではオバマ政権も情報を集めていたのですが表立った動きはしませんでした。北朝鮮はスネドン氏の拉致疑惑を全面的に否定しています。

スネドン氏については、中国雲南省から国境を接するミャンマーに拉致されて平壌に移送され、その後現地の女性と結婚し「ユン・ボンス」と名乗っているとの情報を、昨年8月に崔氏が北朝鮮内の消息筋から得たと明らかにしていました。

北朝鮮としては、米国人さらに日本の拉致被害者などの情報を明らかにすること、さらにいずれ解放し、日米返還することも取引条件の一つとすることの意味もこめて、今回のミサイル発射を実施した可能性があります。

トランプ次期大統領は5月17日に英ロイター通信とのインタビューで「金正恩と北朝鮮核問題について対話することに何ら問題はない」と金正恩委員長との首脳会談に意欲を示す発言を行っていました。

対立候補のヒラリー・クリントン氏から「加虐的独裁者を擁護するのか」と噛みつかれても、翌6月のアトランタでの遊説で「金正恩氏と会うため自分が訪朝することはない」と釘を刺しながらも「話し合うのがなぜだめなのか」と前言を撤回しませんでした。さらに「金正恩氏が米国に来るのなら会う。会議テーブルに腰掛けてハンバーガーを食べながら、もっといい核交渉を行う」と言い切りました。

実際、トランプ、金正恩会談が実現したとすれば、当然のことながら、デービッド・スネドン氏に関する話し合いもなされることになると思います。その時に、日本や韓国の拉致被害者に関する話し合いも当然行われることになるでしょう。

そうなると、拉致被害者問題解決の端緒になる可能性もあります。ただし、これはいまのところ、憶測に過ぎません。オバマ政権の末期には、韓国に金正恩斬首舞台を設置しています。今後この方面からもトランプ大統領の動静を見極めていく必要があります。



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