2017年5月20日土曜日

「9条は危険」米国大手紙が日本に憲法改正を促す―【私の論評】WSJの主張も利用し国内でまともな憲法論議を(゚д゚)!


フィリピン海を航行する米海軍原子力空母カールビンソン(手前)と海自護衛艦2隻
「日本の憲法9条は同盟国との集団防衛を阻止するため、日本にとって危険となりつつある」――。

 米国の大手新聞が最近の社説で日本の憲法9条を取り上げ、日本自身の防衛にとって危険だと断じ、改正を促した。

 このところ米国では、日米同盟の片務性という観点から日本の現行憲法への批判が出てきていた。そうした状況の中で、この社説は論点を憲法9条に絞り、現行の制約のままでは日本が中国や北朝鮮の軍事脅威に対処できなくなるから危険だとして改正を訴えた。

   「日本の憲法改正の論議は遅すぎた」
「ウォール・ストリート・ジャーナル」(5月8日付)は「日本の憲法の賭け」と題する社説を掲載した。

 ニューヨークを拠点とする同紙は米国で最大の発行部数を誇り、全米規模の販売網を持つ。インターネット版の読者数も新聞サイトとしては全米でトップを走っている。政治的には共和党寄り、保守志向とされるが、トランプ政権に批判的な論評も多く、政権側からたびたび非難を浴びてきた。

 5月8日付同紙の社説は、まず、安倍首相が最近、現行憲法を2020年までに改正したいと言明したことを取り上げ、「日本憲法は新しい現実に適合させるために刷新する必要があるという点で、安倍首相の改正への動きは正しい」と賛同する。そのうえで以下のような主張を述べていた。

・戦後の米国にとって日本に対する大きな懸念は、日本の軍国主義の復活を防ぐことだった。米軍の日本占領期に、ダグラス・マッカサー司令官の幕僚たちによって草案が作られた日本の新憲法は、9条で戦争を放棄し、軍隊の保有や「武力による威嚇または武力の行使」を禁じている。

・これらの禁止事項は、日本が民主主義国家となった以上、もう不要となった。だが、日本は米国の安全保障の傘下に避難していることに満足してきた。

・憲法9条は、もはや日本にとって危険になりつつある。なぜなら憲法9条の制約は、日本の同盟諸国との集団自衛を阻止するからだ。

・自衛隊は、日本が外部から直接的に攻撃された場合にのみ自衛を許されるという条項によって正当化されてきた。だが、今や北朝鮮の核兵器が日本や世界に対する脅威となった。中国も軍事力の行使範囲を拡大している。日本は自国が直接的に攻撃を受けていない状態でも、米国などとの共同の軍事行動に参加できる攻撃能力を持つ軍隊が必要となったのだ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの社説は以上のように述べ、経済改革のための諸課題が後回しになる政治リスクがあるとしながらも、「日本の憲法改正の論議は今や遅すぎたくらいであり、その議論は日本にとって極めて健全である」と強調していた。

   明らかに変わってきた米国の態度

 日本が同盟相手である米国とともに集団的防衛活動に加われない問題については、トランプ大統領も大統領選中から「今の日米同盟では、日本が攻撃されたときに米国は助けるが、米国が攻撃されても日本は助けない」などと発言し、繰り返し批判してきた。

 民主党側からも同様の声が上がっている。今年2月、下院外交委員会のアジア太平洋小委員会の同党側筆頭メンバーのブラッド・シャーマン議員は、「米国は日本の尖閣諸島を守る必要はない。なぜなら日本は同盟相手の米国が攻撃されても助けようとはせず、憲法の制約をその口実にするからだ」と述べ、日本の憲法の制約を「不公正」だと非難した。

 このように米国では最近になって、日本の憲法9条の規定が日本の集団防衛活動を阻み、日米同盟を一方的にしているという批判が広まってきた。

 これまで、憲法9条の規定が日本の防衛にとって、さらには日米同盟の機能にとって「危険」な障害になっていると断じる意見はほとんどみられなかった。だがここに来て、ウォール・ストリート・ジャーナルが社説で日本の憲法9条を正面から取り上げて「危険だ」と断定したことは、米国の日米同盟や日本の防衛努力に対する態度が根本から変わってきたことの反映だと言えそうだ。

【私の論評】WSJの主張も利用し国内でまともな憲法論議を(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事のように、米国では憲法9条の規定が日本の防衛にとって、さらには日米同盟の機能にとって「危険」な障害となっているという意見がみられるようになったのは当然といえば当然です。

しかし、私としては、現行の日本憲法典の字面を変えるという改正は絶対に望ましいことではないと思います。このような継ぎ接ぎではなく、全面改訂というか新憲法制定が望ましいことだと思います。

これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。
【参院予算委】安倍晋三首相が民進党に改憲案提出を要求 蓮舫代表は答えず… 首相批判に終始―【私の論評】土台が狂った日本国憲法典の字面を変えてもまともな憲法はできない(゚д゚)!

詳細は、この記事を読んでいただくものとして、この記事では、憲法改正はGHQによってわずか1週間程度で草案された日本国憲法はそもそも土台が狂っており、日本国憲法の字面を変えるだけでは、まともな憲法はできないことを主張しました。
そうして、まともな憲法をつくるなら一度帝国憲法に立ち返ってそこから、新たな憲法をつくるということをしなければ、まともな憲法など永遠にできないと主張しました。 
以下に日本国憲法と帝国憲法の比較を示した表を掲載します。
大日本帝国憲法と日本国憲法の相違点
以上の表は、第日本国帝国憲法について若干の間違いはありますが、それにしても、この表からですら、そもそも日本国憲法は日本人のために作られたものではないことがはっきりわかります。 
さらに、大日本国帝国憲法制定時の世界水準で考えると、大日本帝国憲法は世界の他の先進国と比較して、かなり民主的でありあらゆる点で斬新で進んだものであったことは確かです。 
ただし、制定された時代は日本国憲法より遥かに古く、現状には即していない部分も多々あります。しかし、それでも日本という国ができときの経緯やその後培われた日本国の国柄を反映したものです。日本国憲法にはそのような内容は皆無です。 
だからこそ、本来の憲法論議をしようとした場合、日本国憲法の条文の字面を変えただけではまともな憲法にはならないのです。 
しかし、まともな憲法論議をするということになれば、少なくとも5年〜10年の時が必要です。そうなると、緊急を要する事柄に対しては、対応できないということも十分考えられます。
大日本帝国憲法制定の中心となった伊藤博文公
たとえば、自衛隊がそうです。自衛隊がすでに存在して、自衛隊員の方々が、場合によっては命の危険にさらされながら、我が国、我が国民を守ろうとしているときに、自衛隊は違憲だとか、法律違反ということにでもなれば、これこそ自衛隊員の方々に失礼なことであるし、自衛隊の方々の士気をくじくことになります。

そうして、教育の無償化も最近の日本の若者の姿をみれば、緊急を要する課題です。現在の若い世代は、将来の日本を担うわけですが、その若い世代がまともな教育も受けられないということにでもなれば、日本の将来は危ういです。

だから、このような緊急を要する、課題を克服するためには、日本国憲法典の字面を部分的変えるということもやむを得ないところがあります。

しかし、かつて伊藤博文が中心として10年もの年月をかけて、日本の国柄などを反映した憲法を草案しその後世界の伍することができたように、これからの日本の運命を左右する新たな憲法も、そのくらいの時間と手間が必要になるのはいうまでもありません。

安倍首相はまずは日本国憲法の部分改正をした上で、残り全任期をまともな憲法論議が日本でできるように雰囲気を醸成し、それだけではなく将来日本国憲法は完璧に葬り去り、新たな日本人による日本人のための憲法づくりができるように努力していただきたいものと思います。

戦後70年にもわたって、日本国憲法典の一字一句も変えることすらできなかったわけですから、憲法典に手が加えられたとしたら、それはそれで画期的なことです。 
安倍首相による憲法改正は、まともな憲法論議の始まりに過ぎないのです。これを契機にいずれまともな憲法を制定するための、偉大な一里塚とすべきなのです。
確かに、ウォール・ストリート・ジャーナルが主張するように、九条二項改正が急務だと思いますが、公明党の賛成を得られるとは思えず、かつ左翼とマスコミが猛反対し、国民投票で勝てるかどうか定かではありません。

であるならばまずはデフレ脱却に全力を傾け、現役世代の経済状態を改善することで安倍政権への支持を固めつつ、防衛費増加や領域警備法制定など現行憲法の枠内でできることに取り組むべきだと思います。

とはいいながら、「憲法改正という実績を作っておきたい」という意見もあります。その場合、「憲法改正は与野党の合意に基づいて行われた」という先例づくりを重視すべきです。

具体的には民主党やマスコミも反対できない改正、例えば「第七条の四 国会議員の総選挙」の「総」という誤植の削除に取り組む方法があります。この誤植すらながきにわたって変えることができなかったというくらい、日本では憲法改正はタブーだったのです。

私は憲法改正を切望しています。そのための理論的な準備と、国民的な支持が必要です。
そして、憲法改正のためには、衆議院または参議院法制局がその準備にあたるわけですが、そのお粗末な現実をどこまで皆さん、理解されているのでしょうか。

参議院と衆議院には、それぞれに法制局という機関があり、議員立法の作業のためのサポートを行っているのですが、参議院の法制局の職員は75名、衆議院の法制局の職員は84名しかいません。議員総数と比較すれば、その数の少なさが際立ちます。

しかも、法制局の職員は、各省庁からの出向職員です。これでは、独立した立法機関としての満足な立法活動が出来ません。

内閣にも法制局があるが、ここには36名の職員がいて、ホームページでは、職員名簿も公開されています。

一件少ないように見えるますが、法律案の原案作成は、各省庁の何万という職員で行っているわけですから、国会議員の環境とは桁違いです。

法律を作ったり変えたりするのが、国会議員の仕事だというのに、これはあまりにもお粗末です。議案の乱発を抑えるための方策なのかも知れないですが、国会議員には、選挙区の得票に象徴される国民の支持があるのであり、国民の信託を得ているのです。国会議員が立法をしやすいように、もっと手厚いサポートをするべきです。

そうして、何よりも、防衛費を国際標準のGDP2%にすることもできず、尖閣などの警備に海上自衛隊が平時から当たる任務を付与する領域警備法も制定することができない現状で、とても憲法九条改正などは困難だという認識です。

とにかく、高校生のサッカーチームがいきなりワールドカップに出場することなんて無理です。まずは経済を回復し、若者が将来に希望をもてるようにしていくことです。

そして、憲法九条改正のためには、憲法改正派の国会議員が全体の三分の二を占めるよう、地元議員を懸命に支えるとともに、九条改正を推進する憲法の専門家をせめて百人ぐらいは生み出すことです。残念ながら、現在の日本の憲法学者では全く役にたちません。本当に悔しいですが、こちらの陣営は、圧倒的に力不足です。

しかし、米国のウォールストリートジャーナルですら、「憲法9条は、もはや日本にとって危険になりつつある」と指摘するくらいに世界は変わっているのも事実です。

このような動きを利用して、日本でもまともな憲法論議をすすめていくべきです。

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2017年5月19日金曜日

安倍首相、慰安婦問題を門前払い 領土問題挑発にも怒りの言及 韓国特使と会談―【私の論評】七面倒臭い韓国とはもう付き合うな(゚д゚)!

安倍首相、慰安婦問題を門前払い 領土問題挑発にも怒りの言及 韓国特使と会談

文特使(左)と会談する安倍首相。文特使から聞くべき話はなさそうだ=18日午前、首相官邸
   安倍晋三首相は18日午前、韓国大統領特使の文喜相(ムン・ヒサン)国会議員と官邸で会談し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の就任を受け、「未来志向の関係を築きたい」「日韓合意を含む2国間関係を適切にマネージしていきたい」と語った。慰安婦問題に関する日韓合意の見直しを掲げる文大統領の願望を、事実上、門前払いしたことになる。韓国は特使派遣と並行して、領土問題で日本を挑発してきたが、安倍首相はこれにも断固抗議した。「極左・従北」とされる文政権に対し、決然とした姿勢を示した。 

 注目の会談で、文特使は「文大統領は早急にお会いすることを望んでいる」といい、両国間のシャトル外交の再開を求める親書を手渡した。安倍首相はこれに同意し、日韓首脳会談を早期に実現したい考えを表明した。

 「核・ミサイル開発」を強行し、アジアと世界の平和と安定を脅かす金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮に対処するため、日韓で緊密に連携することでも一致した。

 一見、友好的な会談にも思えるが、慰安婦問題については違う。

 安倍首相は会談で、「日韓合意を含む2国間関係を適切にマネージしていきたい」と明言したのだ。「適切に~」というのは、「『最終的かつ不可逆的に解決される』とした日韓合意を順守せよ」「国家間の約束だぞ」という意味の厳命である。安倍首相の一歩も引かない姿勢におびえたのか、文特使から歴史問題への言及はなかったという。

 11日の日韓電話首脳会談でも、安倍首相は、文大統領に同じ発言をしていた。そのうえで、「合意は日韓両国間で約束したもので国際社会から高く評価された。未来志向の日韓関係を築いていくために欠くことができない基盤だ」と通告していた。

 2015年に結ばれた日韓合意は、米政権が支持し、韓国出身で、当時の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も歓迎していたのだ。

 日本側の「日韓合意の見直しは許されない」とのメッセージに対し、文特使は17日の岸田文雄外相との会談で、次のようなくせ球を投げてきた。

 「韓国国民の大多数が(日韓合意を)受け入れられない雰囲気だ」

 国家間の約束を、韓国は国民感情で反故(ほご)にする可能性を示唆したわけだ。まともな国とは思えない。

 慰安婦問題に詳しい拓殖大の藤岡信勝客員教授は「『話せば分かる相手』という前提で韓国と接してきたことが間違いだった」といい、続けた。

 「日本は、韓国について『隣国で大事な国だ』という扱いで、さまざまな配慮や譲歩をしてきた。これは、まったく逆効果しか生まない。相手がまともであれば、誠意が通じるかもしれないが、そうでない相手には逆効果でしかない。未来永劫(えいごう)裏切られ、未来永劫悪者にされる流れは変わらない。なるべく韓国とは関わりを持たない方がいい」

 韓国の許しがたい行動はまだある。文特使の派遣に合わせるように、領土問題で挑発してきたのだ。

 韓国の海洋調査船「Hae Yang 2000」が、島根県・竹島(韓国名・独島)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、日本の同意を得ずに海洋調査を行ったことを17日、日本政府が確認した。日本政府は同日、韓国外務省と在日本大使館に強く抗議し、即時中止を求めた。

韓国の海洋調査船「Hae Yang 2000」
 「極左・従北」の文大統領は昨年7月、竹島に上陸している。特使を通じて「早急にお会いしたい」と伝えながら、領土問題で挑発するなど完全に常軌を逸している。安倍首相は、文特使との会談でも、この抗議について怒りの言及をした。

 安倍首相は7月にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に合わせ、文大統領との首脳会談を検討している。ただ、国民感情で突っ走る韓国側が“理性”を取り戻すとはとても想像できない。

 前出の藤岡氏は以下のように語った。

 「韓国と断交しても、日本は経済的にやっていける。そう腹をくくって対処すべきだ。日本が譲歩する必要は1ミリもない」

 日韓通貨交換(スワップ)協定再開など、永遠に必要なさそうだ。

【私の論評】七面倒臭い韓国とはもう付き合うな(゚д゚)!

韓国大統領特使の文喜相(ムン・ヒサン)国会議員は、過去にどのような発言をしていたか、以下に掲載します。

文喜相
以下に簡単に文喜相の経歴を掲載します。
文喜相(ムン・ヒサン、1945年3月3日 - )は、韓国の政治家。1980年代に金大中の下で民主化運動を行いました。1988年の国会議員選挙で出身地の京畿道議政府市選挙区に平和民主党(金大中総裁)から初出馬するが落選。 
1992年の国会議員選挙に民主党から出馬し初当選。1996年には新政治国民会議から出馬しふたたび落選したのですが、2000年に新千年民主党から出馬して返り咲き、以後、通算5回当選(2004年からは議政府市選挙区が分割されたため議政府市甲選挙区から出馬)。 
この間、金大中大統領の下で大統領府政務首席や国家情報院企画調整室長を、盧武鉉大統領の下で大統領秘書室長や政務特別補佐官を務めた他、新千年民主党最高委員、ヨルリン・ウリ党(開かれたウリ党)議長、国会副議長などを歴任。 
派閥色が薄く、民主統合党が2012年大統領選挙で敗北直後に非常対策委員長を務めた他、朴映宣院内代表の離党問題で内紛状態となった新政治民主連合でも非常対策委員長に選出されるなど、選挙の敗北などで党が混乱した度毎に党を取りまとめる立場に推されることが多いようです。

2006年4月19日YTN
<韓日議員連盟(当時)会長である「開かれたウリ党」ムン・ヒサン議員は、日本が私たちの排他的経済水域水路測量計画をキャンセルすることを要求する内容の書簡を、日韓議員連盟会長の森喜朗元首相に送ったと明らかにした・> 
http://v.media.daum.net/v/20060419174312886
2014年11月20日YTN
ムンヒサン議員の発言

「チョイノミクス(※当時の韓国経済政策のこと)は、失敗した日本のアベノミクスのモノマネにすぎない」

「アベノミクスの失敗を反面教師にすべき」

「庶民増税は失敗した日本を真似すること」

http://v.media.daum.net/v/20141120180502362
2014年12月29日聯合ニュース
ムンヒサン議員「韓米日軍事情報共有約定締結はすぐに中止すべき」

<・・「約定は、米国主導で行われたもので、日韓の軍事情報保護協定が国民の反対に直面したから、別の抜け道を考えついただけのもの」とし「軍事情報共有の目的は、3国間のMD(ミサイル防衛体制)の構築にあると考えても無理がなく、米国のアジア回帰戦略に合わせた対・中国包囲の一環として認識されるしかない」と指摘した。 
ムン委員長は「また、日本の軍事大国化と集団的自衛権の導入に正当性を付与すると見られる恐れもある」とし「日本の歴史歪曲発言が続く状況で、軍事情報の共有は、国民の理解と共感が優先されなければならない」と強調しした・・>

http://v.media.daum.net/v/20141229095410970
2015年6月29日京畿北部市民新聞
<ムン・ヒサン議員が最近、国際的な問題として浮上した日本の強制徴用施設の世界文化遺産登録の試みに対応するため、国際的な外交活動を広げている。
ムン・ヒサン議員室によると、ムン・ヒサン議員は、自分が担当している、韓国・マレーシア議員親善協会会長の名義で、5月21日、外交部を介してTiong King Sing、マレーシア側議員親善協会長に書簡を渡して、日本が推進する世界文化遺産登録と関連した、私たちの立場を説明し、支援を要請した・・>
http://www.simin24.com/?doc=news/read.htm&ns_id=61157
2017年1月13日韓国経済TV
(当時、ユン・ビョンセ外交部長官が「慰安婦像の設置場所について知恵を集める必要がある」と発言したことで)
<同じ党(共に民主党)ムン・ヒサン議員は「日本の安倍晋三総理が10億円を出したと、恩着せがましい態度だ」とし「たった10億円にプライドを売ったと考えている国民も多い。被害者のおばあさんたちが合意に同意できないでいるからだ」と批判した・・>
http://v.media.daum.net/v/20170113203852849
2017年4月13日SBS
<共に民主党ムン・ヒサン議員は「少女像(慰安婦像)の問題で長嶺在韓日本大使が帰国したのは、前例のないことで、外交的欠礼だ。ところが、何もなかったかのように帰任して黄教安権限代行の会おうとするなんて、傲慢の極致でしかない」と指摘しました・・>
http://v.media.daum.net/v/2017041312050601
過去の発言等から筋金入りの反日であるようです。

この文と面談して、安倍首相は、慰安婦問題に関する日韓合意の見直しを掲げる文大統領の願望を、事実上、門前払いしたということです。

韓国の海洋調査船「Hae Yang 2000」が、島根県・竹島(韓国名・独島)周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、日本の同意を得ずに海洋調査を行ったことを17日、日本政府が確認したとありますが、このようなことは今回だけではありません。

以下に韓国が過去に行った、我が国排他経済水域における我が国の同意のない海洋調査の事例を表にまとめたものを掲載します。


韓国がこの付近で海洋調査活動を行うのは10年ぶりの事です。前回(2006年)の日本は、韓国が試みた海底地形に名称を付与するための調査実施を認めず、同海域で日本も調査を行うことを表明し、日韓は一触即発寸前の状態まで緊迫しました。

今回は10年間動きの無かった韓国海洋調査が突然実施され、これを確認した海上保安庁巡視船が哨戒し中止を呼びかけ、韓国調査船が海域を離脱するまで追走し対処しました。日本は韓国に対し、こうした行為を絶対に見逃さないという厳然たる対応をしていかなければなりません。

同様に、台湾による尖閣諸島周辺の海洋調査も、昨年は従来に比べ過去最多の8回も行われています。

どのケースも海上保安庁が厳正対処していますが、台湾側が我が国のEEZ内で何の意図を持って調査しているのか、国際条約上認められない不法な行為をこれ以上実施させないよう何らかの対処が必要です。

それにしても、韓国は文特使と安倍首相が会談する前の日にこのようなことを実行しているのですから、無礼です。

このような国とはまともに付き合うべきではありません。藤岡氏はブログ冒頭の記事で、「韓国と断交しても、日本は経済的にやっていける。そう腹をくくって対処すべきだ。日本が譲歩する必要は1ミリもない」と述べていますが、まさにそのとおりです。

韓国のGDPは東京都のそれとほぼ同じです。韓国とは国交を断絶したとしても、韓国が生産できるものはすべて日本国内で生産できます。輸出に関しても、このような七面倒臭い国など相手にしなくても、他国で十分代替できます。

安倍首相の一歩も引かない姿勢におびえたのか、文特使から歴史問題への言及はなかったといいますが、まさに今までの日本は韓国の言い分を聴いたり、譲歩してきたからこそ、韓国はつけあがったのです。

今後は、冠婚葬祭程度のつき合いにとどめて、その他は、慰安婦問題や竹島問題で韓国が理不尽な態度に出た場合は、厳重に抗議して、その他は一切無視で良いと思います。

現状は北の脅威があるので、長峰大使は韓国に戻っていますが、北の脅威がなくなったあかつきには、長峰大使も呼び戻して実質上の国交断絶で良いと思います。

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2017年5月18日木曜日

高須克弥院長、大西健介民進議員と蓮舫代表を提訴へ 厚労委の「陳腐」発言で名誉毀損と損賠1千万円―【私の論評】高須院長の真意は?後に続く資産家に期待(゚д゚)!


高須克弥氏
 美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長が18日、17日の衆院厚生労働委員会で民進党の大西健介議員が美容外科の広告に関連する質問の中で、同クリニックのCMを「陳腐」と発言したことに対し、19日にも名誉毀損(きそん)で1千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴することを明らかにした。党代表としての責任を問い、蓮舫氏に対しても連名で提訴するという。

 大西議員は厚労委で、エステ店が系列の美容外科に顧客を引き渡す悪徳ビジネスが誇大広告で集客している実態について質問。その中で、「大量の陳腐な」テレビCMを流している美容外科があるとして、「皆さんよくご存じのイエス○○クリニックみたいに」と発言した。

 高須院長はその発言に激怒し、18日のブログで「高須クリニックはエステで集客しない。誇大広告のチラシもまかない。きちんと落とし前をつけてもらう」と記載した。

 厚労省によると、医療法では、医療機関の広告に記載できる項目は診療科名、診療時間などに限定している。顧客の健康への影響が著しく、広告だけでは専門的判断ができないためだという。

 大西議員は産経新聞の取材に対し、「(提訴)内容を聞いていないので詳しく言えない。質問では高須の名前を出しておらず、(提訴は)誤解に基づいている。法律上、名前と連絡先しか連呼できないCMがあるのは現実だ」と話した。

 高須院長は取材に対し、「謝罪を求めたかったが、裁判では金額しかないというので、1千万円を求める。大西氏は党を代表して質問した。党首もOKしているはずだ。民進党が攻撃だけで好き勝手言っていて、自民党が応戦一方で反撃しないから、国会での発言が言いたい放題なことに前から怒っていた。庶民でも怒れる、対応ができるのだと伝えたい」と話していた。

【私の論評】高須院長の真意は?後に続く資産家に期待(゚д゚)!

上の記事にも掲載されてい18日のブログを以下にそのまま掲載します。
高須院長の真意は、ブログ冒頭の記事の最後の部分に現れています。

「謝罪を求めたかったが、裁判では金額しかないというので、1千万円を求める。大西氏は党を代表して質問した。党首もOKしているはずだ。民進党が攻撃だけで好き勝手言っていて、自民党が応戦一方で反撃しないから、国会での発言が言いたい放題なことに前から怒っていた。庶民でも怒れる、対応ができるのだと伝えたい」

この発言を見ると、単なる私憤だけで怒っているだけではないことは確かです。

特に以下の発言は注目です。"民進党が攻撃だけで好き勝手言っていて、自民党が応戦一方で反撃しないから、国会での発言が言いたい放題なことに前から怒っていた"。

確かにそうです、そもそも民進党は2015年には、集団的自衛権を含む安保法案の審議過程において「戦争法案反対」などのスローガンで、国会審議をさんざん妨害しました。

その後は、「日本死ね」というスローガンで、保育園を増やしていたという事実があるにもかかわらず、感情的な手法で、安倍自民党を国会で責め立てました。

そうして、その後はそもそも、ほとんど安倍総理は関与はもとより、政治家の関与もないことが最初から明らかっだったにも関わらず森友学園で自民党や安倍総理自身を責め立てました。

そうして、本日民進党の蓮舫代表は午前の記者会見で、学校法人「加計学園」の学部新設計画に安倍晋三首相が関与したことを裏付けるとみている内部文書について、「究極の忖度(そんたく)があったと疑っています。内閣総辞職に値する内容ではないか」と指摘しました。

一方、菅義偉官房長官は会見で、文書の内容について「そういう事実はない。首相からもその指示は一切ない」と重ねて否定。「出元も相変わらず分からない。信ぴょう性も定かでないことには変わりはない」と指摘しました。これに対し、蓮舫氏は「資料の真贋(しんがん)、実際に存在していたかを明らかにする説明責任は政府にある」と主張しました。

蓮舫氏は本日、従来は毎週木曜日の午後に行っていた定例記者会見を午前に繰り上げて実施しました。テレビ各局の昼のニュースを意識し、発信力強化を狙ったとみられれます。会見場所も、国会近くの党本部から国会内に変更しました。

民進党蓮舫代表
ちなみに、今治市の学園都市構想については、昭和50年「今治市総合計画(昭和50~昭和60年度)」において、大学(高等教育機関)の設置を表明して以来、歴代の市長が目指してきた40年来の悲願です。

国家戦略特区の議事録を読むと、あらゆる議題に対して議長である首相は毎回締めの言葉で「フル稼働」「スピーディーに」「スピードを加速させる」「速やかに」という表現をされています。これは「ご意向」といえば「ご意向」ですが、首相は具体的な中身の議論には全く参加されていないし、何が問題なのか本当に意味不明。

もし改革特区のスピードの速さや、政策の優先度が「依怙贔屓」や「便宜」にみえるなら、そもそも改革特区の意味を理解してないか、悪質にねじ曲げて報道してるかいずれかです。特区などやめて全面的に改革進めよというのならまだ理解できますが、政権打倒のため、朝日新聞と民進党が今治市と何の落ち度もない加計学園を生け贄にしているとしか思えません。

それについては、以下のPDFをご覧いただければ、良くおわかりになると思います。
http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kokkasenryaku_tokku/gakuentoshi_siryo2.pdf
大学獣医学部イメージ図
地元の人の積み上げてきた努力に言いがかりをつけ踏みにじり、挙句に出所も明かせない怪文書で潰そうとする、 こんなこと政治家のやるべきことではないことは明らかです。それも、真偽の程はどうでも良く、とにかく安倍首相や自民党にマイナスのイメージをつけるという、政治利用のためにこのようなことをするのです。 断じて許すべからずです。

高須院長も同じような怒りを感じているのだと思います。このような怒りを抱えているところに、大西議員による厚労委での、高須クリニックを中傷するような発言があったわけです。

高須克弥院長、大西健介民進議員と蓮舫代表を裁判で徹底的に糾弾して、国会での民主党議員らの無責任な"言いたい放題"を封じて下さい。

そうして、この裁判でも大西や蓮舫や民進党の議員らの態度が全く改まらない場合には、高須院長に続く新たな資産家の人々が、さらに裁判で追い打ちをかけることを希望します。資産家が無理なら、大人数の訴訟団を組織してさらに裁判をするということでも良いと思います。

高須院長の発言の中にある「庶民でも怒れる、対応ができるのだと伝えたい」というのは、そういう意味なのかもしれません。何しろ、高須院長は、自家用ヘリコプターで熊本震災の支援に向かったくらいですから、とても「庶民」とはいえないと思います。にもかかわらず、「庶民」という言葉をわざわざ使用したのは、これを意識しているのだと思います。

とにかく、裁判ラッシュで、国会への登庁もままならないくらいに追い詰めるべきです。とにかく、このような心意気のある資産家は素晴らしいです。本当に金を有効に使っていると思います。このような資産家さらにででくると日本も面白いことになります。

カッチャン頑張れ(゚д゚)!

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2017年5月17日水曜日

【断末魔の中韓経済】欺瞞にあふれた中国…資本移動の規制強化で不動産バブル再燃 グローバリズム擁護するなら自ら範示せ―【私の論評】日本は中国関連の事業にはいっさいかかわるな(゚д゚)!

【断末魔の中韓経済】欺瞞にあふれた中国…資本移動の規制強化で不動産バブル再燃 グローバリズム擁護するなら自ら範示せ

ダボス会議で公演する習近平
 中国において、またもや不動産を中心としたバブルが再燃している。理由が、中国共産党が人民元の為替レートの急落を防ぐべく、海外送金などの資本移動の規制を強化したためであるわけだから、何ともコメントのしようがない。

 とりあえず、明らかに資本移動を制限している国の通貨が、IMF(国際通貨基金)のSDR(特別引き出し権)のバスケット通貨に入っている時点で、根本から間違っている。中国共産党が通貨暴落を恐れ、外貨への両替規制を強化している以上、IMFは人民元をSDRの通貨バスケットから外すべきだ。

 現在、中国共産党は人民元の外貨への両替を、年間5万ドル(約566万円)に制限している。さらに、両替を求める中国人民は、銀行において資金を海外の不動産や証券、生命保険、投資型保険の購入に使わないことを求められ、誓約書にサインさせられるなど、さまざまな規制をかけられている。加えて、年間500万ドル(約5億6685万円)以上の海外送金を許可制とし、事実上禁止した。

 結果的に、中国で「人民元」を稼いだ日系企業が、日本への送金ができなくなり、現地から悲鳴が上がっている。人民元を日本円に両替できないのでは、中国でビジネスをしても意味がない。何しろ人民元のままでは、日本国内で給料を支払うことすらできない。

 もっとも、共産党のなりふり構わぬ資本制限の効果で、中国の外貨準備減少は小康状態となった。中国人民銀行が5月7日に発表した4月末の外貨準備高は、3兆295億3000万米ドル(約343兆4578億円)で、前月比で0・68%の増加である。

 とにかく、共産党は外貨準備が3兆ドル(約340兆1100億円)未満となるのが相当に嫌なようで、一度、3兆ドルを割り込んだ2017年1月以降、人民元の外貨への両替を食い止めるべく、なりふり構わぬ規制強化に走った。

 人民元の両替が困難になり、結果的に投機マネーが国内不動産市場に流入。またもや、不動産バブル再燃になってしまったわけだ。

 ところで、習近平国家主席は今年1月のダボスにおける世界経済フォーラムにおいて、「世界を取り巻く多くの問題は、決して経済のグローバル化がもたらしたものではない」と演説し、反グローバリズムの動きを牽制した。

 グローバリズムとは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を自由化することだ。現在の共産党の資本移動の制限は、カネの国境を越えた移動を妨げ、明確にグローバリズムに反している。

 習近平政権がグローバリズムを擁護するならば、まずは自ら範を示し、資本移動の規制を廃止すべきだ。とはいえ、通貨暴落を恐れる中国共産党には、資本移動の規制を撤廃できない。相も変わらず、中国とは本当に欺瞞(ぎまん)にあふれた国なのだ。 (経済評論家・三橋貴明)

【私の論評】日本は中国関連の事業にかかわるな(゚д゚)!

中国の資本移動の規制は、以前から十分予測できていました。このブログでもそれについて掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【日本の解き方】中国経済もはや重篤なのか 食い止められない資本流失―【私の論評】日銀に振り回され続けるか、資本規制かを選択せざるをえなくなった中国(゚д゚)!
日銀の黒田東彦総裁
 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事は昨年2月のものです。今から振り返ってみると、これは日銀総裁による警告だったとも考えられます。以下に一部を引用します。
日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁が個人的見解としたうえで、中国の人民元について「国内金融政策に関して一貫性があり適切な方法として、資本規制が為替相場の管理に役立つ可能性がある」と述べたと報じられた。 
 物やサービスの移転を伴わない対外的な金融取引のことを資本取引という。日本の外為法では、居住者と非居住者との間の預金契約、信託契約、金銭の貸借契約、債務の保証契約、対外支払手段・債権の売買契約、金融指標等先物契約に基づく債権の発生等に係る取引、および証券の取得または譲渡-などが定められている。 
 このほかにも、居住者による外国にある不動産もしくはこれに関する賃借権、地上権、抵当権等の権利の取得、または非居住者による本邦にある不動産もしくはこれに関する権利の取得も、資本取引とされている。 
 こうした取引は、金融機関を通じて行われるので、資本取引を規制しようとすれば、金融機関を規制することとなる。規制の方法としては、全面禁止、取引許可、取引届出、取引報告などがあり、前者から後者にいくにつれて規制が弱くなる。 
 黒田総裁が指摘した、為替管理と資本取引の関係を理解するには、「国際金融のトリレンマ(三すくみ)」を知る必要がある。それは、「独立した金融政策」「固定為替相場制」「自由な資本移動」のうち、2つまでしか同時に達成することはできないというものだ。 
 この法則に従うと、資本取引規制によって自由な資本移動をあきらめれば、独立した金融政策と固定為替相場制を達成できる。つまり、国内物価の安定のために金融政策を使うことが可能となり、為替相場も安定させられるというわけだ。 
 中国の資本規制は原則として許可制で、先進国が原則として報告だけなのに比べて格段に規制が強い。それでも香港などを経由した資本流出の動きを食い止められないようだ。 
 もっとも、中国が本気になれば規制強化は容易だろう。なにしろ、中国では、問題を起こしたとして摘発された場合、政治的失脚までありえるからだ。
以下に、この記事から国際金融のトリレンマについて詳細を解説している部分を掲載します。
日本をはじめとするいわゆる先進国は、「固定為替相場制」を放棄して、変動為替相場制に移行しています。これによって、「独立した金融政策」「自由な資本移動」を同時に達成することができました。

しかし、中国の場合は「固定為替相場制」を維持していますから、これをこれからも維持し続けるというのなら、国際金融のトリレンマを克服するためには、「独立した金融政策」もしくは、「自由な資本移動」のうちのいずれかを捨てなけれはならないということになります。 
以下に国際金融のトリレンマの図と若干の説明を掲載します。
  • ある国はこの3つの「自由な資本移動」「固定相場制」「独立した金融政策」のうち2つだけを受容することができます。もしある国が a の位置を選択し、「自由な資本移動」と「固定相場制」を導入するのであれば、金融政策の独立性は失われます。
  • 実際の例としては欧州連合ユーロ圏が挙げられます。もしユーロを受容し自国通貨を放棄すれば、ユーロ圏内で為替を固定することになります。また、域内での自由な資本移動も認められています。しかし、金融政策はすべて欧州中央銀行に一任することになります。
「独立した金融政策」とは、特に現在の中国にとっては具体的に何を意味するのでしょうか。中国が、固定相場制を堅持し、自由な資本移動も堅持したとしたら、何がおこるかといえば、それは日本などをはじめとする、外国の金融政策に左右され「独立した金融政策」を実行できなくなるということです。 
実際にそれはもうすでに発生していました。日本が2013年の4月から、金融緩和に転じてから、円安状況になり、それまで円高の状況とは異なり、中国経済にとっては、独立した金融政策が脅かされる事態となりました。 
それまでの、中国の経済発展を支えていたのは為替操作によるキャッチアップ型の経済成長であり、円高とデフレを放置する日本銀行によるものでした。 
慢性的な円高に苦しんでいた日本企業は、過度な「元安」政策をとる中国に生産拠点を移し、出来上がった製品の一部を逆輸入していました。日本国内で一貫生産するより、わざわざ中国を経由した方がもうかる構造になっていたのです。 
日銀は、「デフレ政策で日本の産業空洞化を促進し、雇用と技術を中国に貢ぎ続けていた」のです。まさに、日本経済はこれによって、中国に振り回されていたのです。
しかし、2013年の4月から、日銀が金融緩和に転じたため、この構造は崩れ、今度は中国が日本の金融政策に振り回されるようになり、「独立した金融政策」を維持することが困難になってきたのです。 
中国が、「独立した金融政策」と「固定相場制」を維持したいというのなら、「自由な資本移動」を規制するしかないのです。

本来は、「固定相場制」を捨てれば良いのでしょうが、そのような動きは全くみられません。今後も、中国は「自由な資本移動」を規制するしかないでしょう。

なぜ中国が「固定相場制」にこだわるかといえば、それには中国特有の事情があります。

中国経済は既に世界経済にどっぷりと組み込まれていますが、幸か不幸か、中国政府が世界経済を計画することまではできません。中国の方が世界に合わせねばならないのです。

例えば、IMFのバスケット通貨であるSDRの構成通貨は、現在、米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円の4通貨だけで、中国は日英ほどにも認められていません。世界第2の経済でありながら、株式指数などでも、未だに新興国市場扱いです。

中国元はSDRの通貨とはなっています。SDRの構成通貨前一度元の切り下げを行ってはいましたが、その後未だに「変動相場制」に向かう動きはありません。

世界経済の真の一員として認められるためには、中国は世界の共通ルールである変動相場制を導入する必要があります。しかし導入すると、為替レートが市場主導で上下するようになるため、これまでのような自己完結型の計画経済が機能しなくなる懸念があります。中国政府は大きなジレンマを抱えているのです。

とはいえ、中国は1992年から社会主義市場経済を導入しており、私有財産を禁じる共産主義を事実上放棄しています。しかし、中国はこれ以上、独自の経済体制を維持することは困難で、事実上の選択肢はないと言ってもいいでしょう。

また、ドル連動相場を維持するには、金融政策も米ドルに連動するか、少なくとも逆行しない必要があります。米国が引き締めに転じると、中国が緩和する余地がなくなるのです。その意味でも、中国は管理変動相場制の見直しを迫られていました。

その中国が事実上の資本移動の規制を始めたのですから、これはやはり中国としてはこれからも「独立した金融政策」と「固定相場制」を維持したいという意思の現れだと考えられます。

「資本移動の規制」をするというのなら、グローバリズムなどという看板は外してもらわなければなりません。そうして、このような国が主導する「一帯一路」など最初から成り立たないということです。

それにしても、黒田日銀総裁は、いずれ中国が「資本移動の規制」をせざるを得なくなることを予期したのでしょうが、それにしても、まさか中国がとんでもないことになるから、日本企業は何とかしないといけないと警告するわけにもいかず、個人的見解としたうえで、中国の人民元について「国内金融政策に関して一貫性があり適切な方法として、資本規制が為替相場の管理に役立つ可能性がある」と述べたのだと思います。

中国で「人民元」を稼いだ日系企業が、日本への送金ができなくなり、現地から悲鳴が上がっているそうですが、これについて、中国に進出していた企業はどのように受け止めていたのでしょうか。

やはり、撤退などのことを考えるべきだったでしょう。今後、中国の経済は悪くなることはあっても良くなることはありません。そうして、これに対象するため中国は「資本移動の規制」のようになりふり構わずこれからも他の先進国であれば、禁じ手あるようなことも平気で講じてくる可能性が大です。

一帯一路the belt and road国際協力サミットフォーラム
中国・北京で15日に閉幕した現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」国際協力サミットフォーラムで、英国、フランスやドイツ、ギリシャなど欧州連合(EU)加盟国の一部が貿易推進に関する文書への署名を拒否していたことが分かっています。仏メディアが報じました。公共調達の透明性や環境基準などをめぐる欧州側の懸念が考慮されていなかったためといいます。

日本としても、「一対一路」はもとより、AIIBなど中国関連の事業にはいっさいかかわらないほうが安全でしょう。資本規制を平気でする国とまともにつきあえるはずもありません。日本人でAIIBに金を出せなどという連中は、はっきりいえば中国スパイか、馬鹿であるかのいずれかです。

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2017年5月16日火曜日

実は不動産会社だった? 日本郵政が野村不動産買収との報道、その狙いは―【私の論評】官製企業から再度完全民営化しなければこれかも失敗し続ける(゚д゚)!

実は不動産会社だった? 日本郵政が野村不動産買収との報道、その狙いは

日本郵政が不動産大手の野村不動産を買収するとの報道が出ています。郵便局が不動産会社を買収するというのはピンと来ませんが、どのような意図があるのでしょうか。


 各種報道によると同社は野村證券グループの不動産会社である野村不動産に対してTOB(公開買い付け)を実施する方向で検討を進めているそうです。野村不動産は大手デベロッパー5社に入る企業で、「プラウド」というブランド名でマンションを展開しているほか、オフィスビルの運用を行っています。

 郵便事業を営む会社が不動産会社を買収というのはあまりピンと来ませんが、郵便事業の半分は不動産業ともいえます。全国に郵便を届けるためには、各地にその拠点を備える必要があり、日本郵政は2万カ所の郵便局を所有しています。

 また同社はもともと国営の事業だったこともあり、逓信病院などの医療施設、かんぽの宿といった宿泊施設など、民間では考えられないような多数の不動産を抱えています。所有する土地の面積は東京ドーム5万5000個分にもなり、建物などを加えた固定資産の総額は3兆円に達します。

 同社はNTT以来の超大型銘柄として鳴り物入りで上場を果たしましたが、郵便事業は縮小が余儀なくされており、今後の成長シナリオを描く必要に迫られています。

 しかし、現実はそう簡単ではありません。2015年5月に6200億円もの巨費を投じて買収したオーストラリアの物流会社は、予定の業績を達成することができず、はやくも4000億円の損失が発生している状況です。海外事業で躓くということになると、選択肢は日本国内にある不動産の有効活用しかありませんが、日本郵政には不動産運用に関するノウハウはほとんどありません。野村不動産をわざわざ買収することにはこうした事情があると考えられます。

「プラウド」というブランド名でマンションを展開している野村不動
 野村不動産の株式を過半数取得するということになると、最低でも2000億円以上の資金が必要となりますが、15兆円以上の純資産を持つ日本郵政からすれば微々たるものでしょう。

 買収による増益効果についても、野村不動産の売上高が全額連結決算に反映されたとして数%という程度ですから、業績への影響は軽微です。重要なのは、野村不動産のノウハウを今後、どのように自社の不動産運用に活用できるのかというところに絞られてくるでしょう。

 日本郵政が野村不動産を買収すること自体は不自然ではありませんが、海外の物流会社を買収して損失を計上したかと思えば、今度は国内の不動産会社を買収するなど、収益拡大に向けて無軌道に会社を買い続けているという印象は否めません。経営陣の戦略性がより厳しく問われることになるでしょう。

【私の論評】官営企業から再度完全民営化しなければこれかも失敗し続ける(゚д゚)!

日本郵政については、以前もこのブログに掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
日本郵政 豪物流事業の業績悪化で巨額損失計上か―【私の論評】財務省御用達人材が、東芝、日本郵政を駄目にした(゚д゚)!
この記事では日本郵政の業績悪化の原因と思われるものについて掲載しました。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にそれに関わる部分のみ掲載します。
日本郵政の社長は、元東芝の社長であった西室泰三氏です。東芝も西室氏のころから危なくなりました。日本郵便は事業や投資に関しては、官僚だけの素人集団です。これでは先行きかなり厳しいです。ちなみに西室氏が日本郵政社長になった当時の日経はかなり高く評価していましたが、どうしてそうなるのか理解できません。以下にその紙面を掲載します。
郵政民営化を簡単に振り返ると、小泉政権の時に民営化法成立し、民営化が実施されました。ところが、民主党政権になって民営化を否定し実質上「再国有化」されました。

郵政民営化のときには西川氏が本当に民間会社にするつもりで、大量の民間人を引き連れてきました。ところが、再国有化されると、西川氏とその仲間の多量の民間人は追いだされ、財務省御用達の西室氏だけがトップで来て、周りはほぼ官僚だけとなりました。これでは、海外投資業がうまくいくはずがありません。
以上のように、日本郵政の業績不振は、まずは西室氏の経営者としての能力が低いこと、さらには現在の日本郵政の幹部は西室氏を除いてすべて元官僚によって占められていることです。

さて先週末のニュースで意外性があったのは、この報道です。野村不動産ホールディングスの時価総額は約4000億円。この株式の一部あるいは全部を日本郵政が取得し、不動産開発事業を加速させる狙いがあります。

日本郵政は土地保有額の上場企業ランキングで6位に入っています(下のグラフをご覧になってください)。しかも、郵便局などの土地建物は、鉄道のターミナル駅近くにある場合が多く、都心の一等地の不動産を、有効活用できれば収益性を高めることができます。



有名な例では、東京駅の前に出来たJPタワーがあります。かつての東京中央郵便局を再開発し、大型商業施設として生まれ変わりました。また名古屋駅前にもJPタワー名古屋を開業し、博多でも同様の商業施設が博多駅前にオープンしています。

昨年、200兆円の資産を保有するゆうちょ銀行が、今後5年程度で、国内外の不動産や未公開企業などのオルタナティブ投資と呼ばれる資産に、最大6兆円を資産配分すると報道されました。ゆうちょ銀行の資産運用は金融資産が運用対象の中心で、その中でもリスクの低い国債が過半を占めていました。日銀がマイナス金利を導入したことで、運用利回りの低下が大きな経営課題になっています。

不動産開発や不動産投資事業は、日本郵政が従来手掛けてきた、郵便事業や金融資産を中心とした資産運用とは、異なるノウハウが必要です。社内で人材を育てていては間に合わないので、不動産会社を買収することで、新事業の経営ノウハウを一気に手に入れようということです。

日本郵政が保有する土地が、マンション開発などに活用されれば、住宅供給が増えて需給にとってはマイナスの影響が予想されます。一方で、JPタワーのような商業施設が駅前に開業すれば、その駅の周辺の開発が加速され、不動産価値の上昇というメリットが出るかもしれません。

今後不動産有効活用を検討する大手企業が追随する可能性もあり、国内不動産事業への注目が高まることは確実です。唐突な感じがした、今回の買収記事ですが、買収価格はともかく、有休不動産保有企業と不動産開発業者の組み合わせという点で、シナジーが期待できます。

買収額は数千億円規模といわれます。日本郵政は全国2万以上の郵便局をはじめ多くの不動産を保有していますが、不動産ビジネスのノウハウはなく、いわば宝の持ち腐れでした。今回の買収劇からは、不動産業を経営の柱に据えたいという意気込みが伝わってきます。

日本郵政も不動産開発には全く無関係だったというわけではく、2007年の民営化後、東京駅前の商業施設「KITTE(キッテ)など不動産開発を手掛けてきました。ただ、遊休地の活用など経営課題は多いです。

日本郵便初の商業施設「KITTE(キッテ)」
日本郵政は17年3月期に約400億円の最終赤字を見込んでいます。15年に買収したオーストラリアの物流大手トール社に絡み、4000億円以上の減損を計上するためです。こうしたマイナスイメージから脱却するため、成長性のある不動産ビジネスへの進出をブチ上げたのでしょう。

上でも掲載したように、西室氏は東芝時代に、米ウェスチングハウス社の買収に暗躍し、日本郵政では豪トール社買収を主導しました。両案件とも巨額損失につながっただけに、西室氏の責任を問う声大きいです

実は、野村不動産と東芝の関わりは深いのです。08年、野村不動産が東芝不動産(現NREG東芝不動産)の株式65%を取得し、子会社化しています。当時、西室氏は相談役でしたが、東芝社内への影響力は絶大でした。

NREG東芝不動産は、人気の商業施設として知られる「ラゾーナ川崎プラザ」(川崎市)を開発。隣は、東芝未来科学館の入る「ラゾーナ川崎東芝ビル」です。

ほぼ10年前に野村不動産グループとなった「東芝ビル」を、日本郵政が手に入れようとしている。そこかしこに東芝のドンのカゲがチラつきます。

とはいえ西室氏はすでに経営の第一線から退き、療養中だとされています。今回の日本郵政による野村不動産買収に口出しするとは思えません。しかし、本当はどうなのか外部からうかがい知ることはできません。

そうして、今後の不動産業界を考えると、不安がよぎります。

リーマンショック以降、不動産業界ではマンションの価格下落、ビルの空室率上昇、賃料の下落、不動産投資市場の低迷など暗いニュースが続いていました。しかし、ここ最近は、東京オリンピックの開催が5年後に迫ってることもあり、東京都心部の一部では活発に不動産取引が行われています。

一方、地域別にみると苦戦を強いられているエリアが存在するのも事実であり、都心部と地方の格差は拡大するばかりです。
また、一部の業者による「物件の囲い込み」の実態が明るみになったりと何かと世間を騒がせているのもこの業界ならではないでしょうか。オリンピックが開催する2020年までには、海外投資家が投資した東京都心部の収益物件が次々と売却される恐れもあるため、今以上に不動産市場の需要と供給のバランスが保てなくなる可能性も否定できません。

国立社会保障・人口問題研究所による推移において、市区町村別の数値が公表されるのは人口だけで、残念ながら世帯数は都道府県別にとどまります。2013年3月に公表された市区町村別人口推計を見ると、2040年の人口が現在の半数を割込むところも少なくないです。中には3分の1程度まで減少する町村もあるようです。


もちろん東京都でも、人口減少とは無縁でいられません。2040年の人口が2010年より増えると予測されているのは以下だけになります。

【東京都】
中央区、港区、新宿区、墨田区、江東区、練馬区、三鷹市、東村山市、稲城市の6区3市、それにもともとの人口が少ない御蔵島村だけです。
【大阪府】
大阪市の西区、天王寺区、鶴見区、北区の4区、大阪府下では田尻町のみが増加となっている。また、大阪市内には2割以上の人口減少が見込まれている区も多いようです。
【愛知県】
名古屋市で守山区と緑区だけが増加なのに対して、その周辺では安城市、大府市、高浜市、日進市、みよし市、長久手市、東郷町、豊山町、大口町、大治町、幸田町が増加すると予測されています。
いずれにせよ大都市圏でも大半の市区町村で人口の減少が避けられず、それに数年ずつ遅れながら世帯数の減少も進行していくことでしょう。人口および世帯数の減少は街の活気を奪い、不動産市場も次第に縮小していくことでしょう。現在もすでに住宅の数が充足し、逆に家余りが社会問題となっています。2014年7月に総務省が発表したデータによると、日本全国では820万戸空き家があり、空室率は13.5%まで上っているのです。

国内における人口の減少、それに続く世帯数の減少は、不動産業界のあり方も大きく変えることになります。

市場規模の縮小を見越して、一部の住宅メーカーはすでに海外の不動産市場へ参入を始めているほか、国内では住宅ストックの活用に軸足を移している例も多いです。

また、単身者世帯、高齢者世帯の割合の増加に合わせた商品企画も求められます。特に2020年からは、単身者世帯が最も多くなります。以下のグラフをご覧になって下さい。
今後単独世帯、夫婦のみ世帯が増加する見込み

2020年には大半の都道府県で単独世帯がもっとも多い家族類型に
間取りの変化だけでなく、留守の時間が長くなりがちな単身者世帯のセキュリティ対策、高齢者向けのバリアフリーなど普段の生活が快適に過ごせるような工夫も重要になるでしょう。さらに、顧客と長くお付き合いができる体制を作らなければ、需要が減退していく社会の中で生き残ることは困難です。

一棟マンション・アパートにはじまる収益物件をメインに扱う不動産会社であれば、「投資」という部分にフォーカスした、より高い知識が営業担当者に求められます。

投資家が求めているサービスを提供するためには、投資アドバイザーという立場から、不動産以外に資産全体の組み替えを含むポートフォーリオのアドバイス、実際の買収・売却請負、財務分析、資産評価などを行うほか、投資内容や投資先の分散、投資期間の設定などについて工夫し、助言することが要求されるようになるでしょう。

新築分譲を手掛ける不動産会社であれば、販売後のアフターサービスがますます重要になるでしょう。それも従来のような物件の定期点検や保証といった範囲にとどまらず、入居後の生活全般に対するフォローが欠かせなくなります。インテリアのアドバイスやリフォームの提案、さらに将来の売却、場合によっては子育て相談や生活相談まで、住まいに関するトータルサービスを提供することが求められます。

不動産仲介会社であれば、整備されつつある中古住宅流通市場の中で、他社より「優れたサービス」を考えることが重要です。契約時における的確な情報提供や物件調査のスキルアップはもちろんのこと、これまでのように「物件の引渡しが済んだらそれで終わり」というスタンスからは卒業しなければならなくなります。入居後の生活全般をトータル的にサポートする等、従来の不動産業からの脱却を目指すことも必要になるでしょう。

株式上場計画について記者会見する日本郵政の西室泰三社長(当時)=2014年12月26日

このように将来の不動産業界の変化を見通すことは、原子力産業の将来を見通せなかった、西室氏には到底無理なことです。そうして、現在日本郵政の幹部のほとんど占めている官僚出身者にも到底無理です。

さて、日本郵政の不動産事業はこれからどうなるかは、わかりませんが、まずは野村不動産買収に成功した場合、まずはどのような人事政策をとるかが鍵になると思います。

野村不動産の運営には、西室氏や官僚出身の幹部らは一切かかわらず、金や資産を差し出すことはしても、運営には一切口を挟まないという体制が築かれれば成功する見込みも少しはあります。

現在は、2016年4月1日付で、西室泰三日本郵政社長の病気による退任に伴い、ゆうちょ銀行の代表執行役社長職を退き(取締役としては留任)、後任の日本郵政取締役兼代表執行役社長に就任しています。

ただし、現状をみてみると、どうも疑問です。そもそも西室氏のように経営力に不安のある人物しかリーダーになれなかった日本郵政の体質にも問題があるといえるでしょう。実際のところ、本当に優秀な経営者であれば、政府が株式を保有しているために制約が多い会社に来ようとは思わないでしょう。

仮に一人あるいは数人の優秀な民間経営者が来たとしても、野村不動産を買収できたとしても、周りを元官僚で固められています。頭だけ民間に代えても、首の下は官営企業そのものです。

そうして、西川氏更迭のときに追放された民間人も悲惨な待遇を受けています。そのときは西川氏の尽力で救済された人も多いそうですが、これは彼にしかできない芸当でもあります。

この顛末をよく知っている経営者は、日本郵政のかじ取りに二の足を踏んでしまいます。民間から人を連れてくれば、このような憂き目にあうかもしれないということになれば、二の足を踏まざるを得なくなります。こうした何重もの制限がある日本郵政が赤字になるのは当然のことです。これからも、今のままでは、失敗することは目に見えています。

方法としては、もう一度完璧な民営化を目指すこと以外にはありません。

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2017年5月15日月曜日

【一帯一路】中国の指導力拡大を容認する米国 中国市場へのアクセスと引き換え 「自国第一」…米国の利益優先―【私の論評】ゾンビ企業の受け皿にしてはあまりに小さな投資(゚д゚)!


「一帯一路」をテーマに北京で開かれた国際会議で、ロシアのプーチン大統領(前列右)ら
各国首脳と記念撮影に向かう中国の習近平国家主席(同中央)=15日、北京市郊外
中国が現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を推し進めるなか、トランプ米政権は「米国第一」へのこだわりを強めている。その表れのひとつが11日発表の貿易などをめぐる米中合意。米国が中国市場へのアクセスを得る一方で、中国の国際社会における指導力拡大を容認する内容だった。ただし中国が国際協調を尊重しないのではないかという疑念は拭えず、トランプ政権に内向きな姿勢からの脱却を求める声もある。

 米国はオバマ前政権下では一帯一路やアジアインフラ投資銀行(AIIB)から距離をとり、中国の影響力拡大を牽制。また日米など12カ国で合意した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)にも中国に国際貿易のルールを作らせない狙いがあると公言してきた。

 しかしトランプ政権下では様相が一変した。11日の米中合意は米国が中国の牛肉や金融サービスの市場開放を勝ち取ることと引き換えに、「米国は一帯一路の重要性を認識する」と明記して中国の指導力を歓迎する内容。米国は今回の国際協力サミットフォーラムにも代表団を派遣した。ロス商務長官は「米中関係は特に貿易面で史上最高の良好さだ」と言い切る。

 一方、トランプ氏は中国の鉄鋼の過剰生産問題など米国経済に大きなダメージをもたらす問題では中国への譲歩は示していない。しかしTPP離脱や国務省の海外援助予算の削減方針などからみても、米国としての国際社会での指導力発揮よりも米国の利益を優先させる意思は鮮明だ。

 トランプ氏には北朝鮮の核問題への対処のためには中国の協力が必要だという計算もあるが、各国の間では中国が国益追求のために国際社会の規範を破ることへの懸念は根深い。米シンクタンク、ブルッキングス研究所は4月の中国の国際経済戦略についての報告書で「中国の狙いを慎重に見極めなければならない」として、トランプ政権に監視の目を光らせるよう促している。

 一方、トランプ氏は中国の鉄鋼の過剰生産問題など米国経済に大きなダメージをもたらす問題では中国への譲歩は示していない。しかしTPP離脱や国務省の海外援助予算の削減方針などからみても、米国としての国際社会での指導力発揮よりも米国の利益を優先させる意思は鮮明だ。

 トランプ氏には北朝鮮の核問題への対処のためには中国の協力が必要だという計算もあるが、各国の間では中国が国益追求のために国際社会の規範を破ることへの懸念は根深い。米シンクタンク、ブルッキングス研究所は4月の中国の国際経済戦略についての報告書で「中国の狙いを慎重に見極めなければならない」として、トランプ政権に監視の目を光らせるよう促している。

【私の論評】ゾンビ企業の受け皿にしてはあまりに小さな投資(゚д゚)!

一帯一路については、このブログでも今年の年初に掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
黒竜江省の炭鉱労働者のデモ
鞍山鉄鋼集団
仕事を失った労働者はどうするのでしょうか。鞍山市では興味深い動きが見られます。国外に活路を見出す労働者が増えているのです。

中国には、国外への赴任や移民などを扱う機関として各地に「対外サービスセンター」が設置されています。鞍山市のセンターがまとめた統計によれば、2015年に出国した労働者や技術者は前年比18%増加の6360人に上ったといいます。

受け入れ先は主に、中国の大型国有企業の国外拠点です。現在、中国政府が直接管理する「中央企業」が、続々と国外でインフラ建設プロジェクトを立ち上げています。失業者が増える一方の国内とは異なり、中央企業が事業展開する海外では、機械の操作や建築物の設計、建設現場での労働などに従事する中国人労働者の募集が増えているのです。

金融系シンクタンクの中国人研究員は、この動きの背景を次のように説明しています。

「習近平政権は、中国と周辺国との国境に道路や鉄道を設け、経済をつなげる『一帯一路』構想を打ち出しています。その構想に沿って進められているインフラ建設プロジェクトが、今後リストラされた中国人労働者の受け入れに大きく貢献する可能性があります」

この研究員によれば「一帯一路構想には、国内で過剰となった生産設備や労働者を沿線国に拡散させる狙いもありました」と言う。その狙い通りになりつつあるというわけです。

河北省唐山のゾンビ企業の敷地に積み上げられた鉄鋼製品
中国が「一帯一路」構想の対象とする国は71カ国におよびます。だが、民族・部族問題、宗教問題、政治闘争や内乱など、途上国のリスクは高いです。近年はイスラム過激派組織・イスラム国(IS)によるテロが活動範囲を拡大させています。71カ国のうち「30カ国以上は危険な状態にある」との分析もあります。

しかし、リストラされた労働者はそうした国に赴任することを拒まみません。職工の場合、派遣期間は最低2年。この間に20万元の報酬に得られるならば、たとえ危険の多い新興国であっても躊躇しないのです。1人が国外に出稼ぎに出れば、一家はたちまち富裕になれるのです。

ただし、一度国を離れた労働者が中国に戻って再就職するのは難しいです。途上国での仕事は単純作業が多いため、次の仕事につながる技術やスキルが身に着けられないからです。ましてや外資による中国への投資が一段落した今、帰国後に再び働ける工場などを見つけるのは困難です。新興国ののんびりした空気に馴染んでしまい、中国への帰国が億劫になるケースもあるといいます。

それでも、中国人労働者が国外流出する流れは加速していきそうです。

かつて朱鎔基政権で行われた国有企業改革で、1998年に1254万人、1999年には1174万人と、2年で2400万人を超える規模の大量リストラが行われました。今回のゾンビ企業の淘汰では「それ以上になるのではないか」と憂慮する声もあります。

今後、国外に活路を見出す中国人労働者は空前の規模になるのではないでしょうか。「国内のゾンビ企業淘汰と『一帯一路』は連動している」(前出の研究員)のだとすれば、「一帯一路」の沿線国に向けた中国人労働者の大移動はますます本格化するでしょう。

一方で「一帯一路」には、国有企業改革という中国の政策目標を阻むリスクがあることも否定できません。「一帯一路」で最大の恩恵を受けるとみられるのが、まさに国有企業だからです。

朝日新聞によると中国は自らが主導するシルクロード経済圏構想(一帯一路)の参加国に、今後5年間で最大1500億ドル(約17兆円)を投資する方針をまとめたそうです。

たった、17兆円です。これでは、とてもじゃないですが、一帯一路などの大規模な開発には足りないです。桁がちがうのではないでしょうか。

1500億ドルという額は中国が世界金融危機時に行った景気刺激策の30分の1の規模にすぎません。過去の刺激策の結果生じた、過剰設備という構造問題を「一帯一路」で解決できると考えるのは「幻想」といえるでしょう。

習近平は、絵に描いた餅のようでもある「一帯一路」を本気でやろうと考えているとは、とても思えません。結局のところ、ゾンビ企業の余剰労働者の厄介払いであり、棄民政策ともいえるのでないでしょうか。

とにかく一見すごいことをやるようにみせかけて、結局余剰労働者を世界各地にばら撒いて、ゾンビ企業を国内から一掃するということなのではないかと思います。

このような実体を知ったらトランプ大統領もさぞ驚くことでしょう。

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2017年5月14日日曜日

エンゲル係数「上昇」の深層 「生活苦」と「食のプチ贅沢化」の関係―【私の論評】フェイクを見抜け!上昇の主要因は高齢化(゚д゚)!



  家計支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」の上昇が話題になっている。安倍晋三政権の経済政策であるアベノミクスの期間と重なる2013~2016年まで4年連続で上昇しているのだ。教科書的には生活の豊かさに反比例、つまり、低いほど豊かと説明される指数の上昇をどう読み解けばいいのか。

   総務省の家計調査(2017年2月発表、速報値)によると、16年(2人以上世帯)のエンゲル係数は25.8%と前年比0.8ポイントアップし、1987年(26.1%)以来29年ぶりの高水準を記録した。

   家計支出と食費の関係

   そもそもエンゲル係数は19世紀のドイツに社会統計学者、エルンスト・エンゲルが論文で発表したもの。家計の支出のうち、酒やたばこに代表される嗜好品は削れても、米や野菜など食費は削るにも限度があるので、エンゲル係数が高いほど生活が苦しいという傾向がみられる、という理屈だ。実際、2016年の数字でも年収とエンゲル係数は、反比例の関係を示している。

   歴史的に見ても、戦後1946年の66.4から復興、高度成長に伴って急降下し、70年代以降は徐々になだらかな傾斜になりながら、2005年に22.9%まで下がって最低を記録した。しかし、その後は上昇基調に転じ、12年までは毎年0.1ポイントずつくらいの上昇だったのが、13年の23.6%から14年24.0%、15年25.0%、そして16年の25.8%へと上昇ピッチを速めている。

   ここにきての上昇の原因として、まず挙げられるのが、生活が厳しくなっていることだ。総務省が2014~16年の上昇幅計1.8ポイント分の要因を分析したところ、半分の0.9ポイント分が食料品の値上がり。消費税率の引き上げ(2014年4月)のほか、アベノミクスによる円安で輸入食品の価格が上がって食品メーカーが値上げに踏み切ったからだ。

   加えて、残りのうち0.7ポイント分が消費支出そのものの減少。2016年の消費支出は28万2188円で、物価変動の影響を除いた実質で前年比1.7%減と3年連続マイナスになっている。

    手取り伸び悩みと物価上昇

   少し詳しく世代別に見ると、高齢化の進展で高齢者世帯が増えていることがエンゲル係数を押し上げていることが分かる。教育費などがなくなって食費が支出の中心を占めるようになる一方、収入は現役時代より減るからだ。2016年の無職の高齢夫婦(夫65歳以上、妻60歳以上)のエンゲル係数は1.7ポイント増の27.3%と、それより若い年代を上回っている。

   現役世代はというと、2015、16年と2年連続で収入が増えたものの、社会保険料の増加などで手取りが伸び悩んでいて、エンゲル係数を押し上げる一因になっている。

   アベノミクスのシナリオは、金融緩和で円安を進め、企業業績を回復させ、賃金も上げ、円安と相まって物価上昇させ、デフレを脱却するというもの。円安とそれによる食料を中心とした輸入物価上昇は生きたが、賃上げが低迷しているため、収入減と物価上昇という入りと出の両面でエンゲル係数上昇に作用した面があるといえそうだ。

   さらに、非正規労働者の増加で収入が不安定になり、食事も満足にとれない子どもの増加などが社会問題化しているが、「住居費は家を追い出されるのでカットできない分、食費を極限以下に切り詰め、『食べられない子ども』が増えているほか、少ない収入でもスマホなどに金がかかる分、食費を極端に抑える若者もいる。エンゲル係数の数字以上に個々には深刻な事例もある」(大手紙経済部デスク)。

   もちろん、すべてを「生活苦」で説明できるわけではない。「調理品」が消費支出に占める割合は2016年で3.4%と、過去30年で2倍近くに増えている。高齢化や共働き世帯の増加で、総菜などを利用する人は増えているということだ。日本総研のリポート(2017年3月1日「リサーチアイ」)は、調理品のほか飲料、乳卵類、油脂・調味料が増加していることを挙げ、これらには高付加価値品、嗜好品も多いことから、「家計のプチ贅沢の対象として『食』が浮上している」と指摘し、前向きな消費もエンゲル係数上昇に一役買っていると分析している。

【私の論評】フェイクを見抜け!上昇の主要因は高齢化(゚д゚)!

 エンゲル係数について今一度確認してみます。総務省の「家計調査」から2人以上の世帯について、食料費(外食を含む)と消費支出の比率をみると、12年の23・6%から、15年に25・0%に上昇しています。

もっとも、23・1%を記録した07年までは低下傾向だったが、その後上昇に転じています。上昇傾向は最近起こったのではなく、継続している現象です。

実は、07年以降のエンゲル係数上昇は、日本に限らず他の先進国でも起こっています。例えば、欧州連合(EU)の28カ国でみても、07年に23・2%まで低下した後で上昇し、14年は23・8%となりました。特にフランスやイタリアでは07年以降の上昇が大きいです。


07年以降のエンゲル係数の上昇が先進国で共通している背景には、リーマン・ショック以降、景気が落ち込んだのですが、食費は切り詰めにくいので結果的にエンゲル係数が上昇したためと考えられます。そうした世界の動きに加え、日本では、14年4月の消費増税の影響で所得が伸びなかったことの要因が大きいです。

さらに、高齢化の影響もあってエンゲル係数が伸びた面もあります。以下の図をご覧になって下さい。

データ出典 総務省統計局「家計調査報告」 以下同じ

これは、世代別のエンゲル係数の動きを示したものです。この図から明らかな通り、基本的には、若い世代ほどエンゲル係数が低く、高齢世代ほどエンゲル係数が高くなっていることが分かります。


高齢世代のエンゲル係数が高くなる理由は、多くの場合、主な収入源が、年金と貯蓄の取り崩しに限られる中、消費支出を切り詰めざるを得ない一方で、生きていくのに必要な食費は、消費支出全体の減少よりは減らない(経済学的には、食料などの必需品は需要の所得弾力性が小さい)ため、エンゲル係数が大きくなって見えるためです。

次に、下図をご覧ください。


これは各年のエンゲル係数を、世代別に分解したものです。この図から分かりますように、近年、日本のエンゲル係数に占める60歳世代以上(緑色の棒+青色の棒)のウェイトが上昇していることが確認できます。つまり、最近のエンゲル係数の上昇には高齢化が影響しているということです。これは、他の先進国でも似たような状況にあるものと考えられます。

さらに、下図をご覧ください。


この図はエンゲル係数の変化に対して、各世代のエンゲル係数の変化の寄与度を示したものです。同図からは、やはり高齢世代、特に70歳世代以上のエンゲル係数の上昇(緑色の棒)が、日本全体のエンゲル係数の上昇をけん引していることが確認できます。

もし、高齢化がエンゲル係数に与える影響が2005年水準のままであれば、他の条件が一定のもとでは、エンゲル係数は順調に低下し、例えば2016年では21.2%とまで低下していたものと、簡単な計算により確かめることができます。

結局、エンゲル係数の趨勢的な上昇をもたらしているのは、高齢化と先に述べたものも加わったことが主要因であり、アベノミクスの影響ではないということです。

以下の表は、2015年から2016年にかけての世代別エンゲル係数の変化に対して、どのような食料品項目がどの程度の影響を与えたかを分析したものです。

この表によれば、2015年から2016年にかけて各世代のエンゲル係数を押し上げた一番の要因は調理食品への支出です。調理食品は、お弁当、お惣菜、冷凍食品、揚げ物等への支出です。これは共働き世帯が増えつつある、あるいは高齢世代では自炊するより出来合いのものを買ってきた方が安く上がる等の結果であると言えるでしょう。

以上の通り、最近のエンゲル係数上昇の背景は、大きく分けると2つあり、1つは世界の動きに加え、日本では、14年4月の消費増税の影響で所得が伸びなかったこと、もう1つは高齢化の進行です。そうして、高齢化の進行のほうが大きいといえます。

今後も日本ではいっそうの高齢化の進行が見込まれていますので、他の条件が一定であるとすれば、エンゲル係数は上昇を続けるでしょう。だからといって、日本が貧しくなっているとは言えません。

もし、エンゲル係数の上昇が問題であるとすれば、それは循環的な要因を原因とするものです。つまり、将来不安による消費支出の削減、食料品価格の上昇です。ただし、こうした循環的要因に対しては対策を講じることができます。

まず、将来不安を取り除いて、安心して消費を増やせる環境を作ること、それには将来不安を生じさせている原因を特定する必要があります。現在は漠然と将来不安の原因として社会保障制度の持続可能性に関する疑いが挙げられますが、きちんとした確認が必要だと思います。

次に、食料品価格の上昇に関しては、円安政策を放棄して円高に誘導することで、輸入食料品価格を引き下げることを挙げることができます。

さらに、農産物の輸入自由化を進めることによっても、食料品価格の引き下げは可能です。

経済学では短期的(一時的)な現象と長期的(趨勢的)な現象を峻別するのがとても重要です。現在問題とされているエンゲル係数についても同様のことがいえます。

近年のエンゲル係数の上昇は高齢化やこれまで家の中で仕事をしていた主婦が家の外で働くようになった結果、お惣菜や弁当といった調理食品を購入せざるを得なくなったことに伴う構造的な要因が主因であり、それにリーマン・ショックなどの国際情勢や、消費税増税も絡まっています。

そうでなければ、アベノミクスが始まるより以前の2006年からエンゲル係数が傾向的に反転に転じている理由及び本格的に円安が進行を始めた2012年からではなく2014年からエンゲル係数が急上昇した理由を説明できません。

したがって、近年、日本のエンゲル係数が上昇したのは、生活防衛のための消費切り詰めがあるにしても、日本人の生活水準が趨勢的に低下したからではなく、基本的には日本人が高齢化した結果に過ぎず、ことさら大騒ぎするほどのもではないです。

そもそも、エンゲル係数の上昇は生活の苦しさを表すとも報道されていますが、そう断言できるのか疑問なところがあります。エンゲル係数の食料費には外食も含まれています。しかも、各国ともに生活慣行などが大きく左右するので、エンゲル係数の水準は大きく異なっています。

日本でも1960年代の一時期には、エンゲル係数を用いて生活保護世帯への支給額の基準を決めたこともありました。しかし、今では生活保護世帯への支給額は消費動向などから決定されており、エンゲル係数は重視されていません。

以前もジニ係数がどうのこうのという報道がありましたか、これも結論からいうと高齢化がジニ係数が高くなっていることに寄与しています。アベノミクスとは関係ありません。以前マスコミがこれに騒いだのですが、何しろ統計が2010年までしかなかった時なので、詳しいデータなど掲載することもできなかったので、このブログでは真正面からは取り上げませんでした。

いずれにせよ、ブログ冒頭の記事のように、高齢化に全く触れない記事はフェイクとみなして良いです。

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