2017年10月8日日曜日

安倍総理の演説妨害者を説教するおばちゃん、超絶有能―【私の論評】「安倍憎し」ばかりを繰り返すなら、今度はマスコミ、リベラル・左翼全体が崩壊する(゚д゚)!

安倍総理の演説妨害者を説教するおばちゃん、超絶有能

安倍総理が登場した街頭演説で10名ほどの集団が大声で騒ぎ始め、妨害行為を行った。そこに現れたのは1人のおばちゃん。勇猛果敢に妨害者を説教し始める。

まずは当日の様子から。
自民党演説会において「お前が国難」「アベ政治を許さない」などというプラカードを掲げ、「帰れ」とコールする集団が映っている。周囲の聴衆は演説を聞きに来ているのにこの10名ほどの団体がうるさくて仕方がない。

また、集団にはTBSのカメラが密着取材していることも判明。わずかな人数なのにズームで映すことで大勢いるように撮られていると批判の声があがった。これで「100名超の抗議者が」などと報じるのはマスコミの常套手段だ。

森友・加計学園問題はすっかり冤罪と判明したので今度は「国難」というキーワードで安倍総理を責め始めた。もっともその意味合いはよく分からないが…。

さて本題はここから。迷惑な集団に対し勇敢に立ち向かったおばちゃんがいたのだ。

▼安倍やめろと大声でコールする。


▼一体どこから集まってきたのやら。



▼と、そのときおばちゃん目の前に立ちふさがる!そして「うるさい!」と一喝。



▼警察に対して指示を出す様子は超大物。思わぬ事態に集団は硬直してしまった。


攻撃は強くても守りは弱いというのが集団の特徴なのかもしれない。偏屈な連中が1人のおばちゃんに圧倒された瞬間は実に爽快であった。

最後に一句。

TBS、逆から読むと、しばき隊。

【私の論評】「安倍憎し」ばかりを繰り返せば今度はマスコミ、リベラル・左翼全体が崩壊する(゚д゚)!

安倍総理の演説の妨害は、当然良いことではありません。このような妨害行為は、警察署に通報があれば、警察は現場を確認します。そのうえで、注意や警告などがあります。それを守らなければ、最悪謙虚ということになります。交通違反のようなもので一発アウトではないですが、警察の警告を守らなければアウトになります。

都議会議員選挙と違い、今回は国政選挙ですので、政党としても比例名簿を出しているため、公示後は政党党首などに対する暴言行為なども陣営に対する自由妨害になる可能性が高いです。公示前は選挙活動ではないので自由妨害ということにはならなです。

公示後は、見かけたら即通報すべきです。 自由妨害行為は一発検挙案件です。 過去の事例でいえば一発検挙案件であり、このような妨害を見かけたら警察にすぐに通報しすべきです。インターネット上の書き込みも虚偽や誹謗中傷は摘発対象です。こちらも警察などへ通報すべきです。 ルールを守って正しい選挙をすべきです。

さて、私はこうした選挙妨害に限らず「#お前が 国難」「アベ政治を許さない」等のような、キャンペーンは当のリベラル・左翼やマスコミにとっても良い結果を招くことにならないと思います。

これについては、以前このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!
「立憲民主党」を設立した枝野氏
詳細は、この記事をご覧いただくもとして、以下に少し長くなりますが一部を引用します。

"
旧民進党は、言葉づかいや、関連して扱うスキャンダルの内容は変わるもの、結局8〜9割方が「アベ政治を許さない」という主張でした。これだと、早晩(民進党は)滅ぶ運命だったのです。

 なぜそのようなことになるかといえば、主に3つの理由があります。


第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。

これは、誰が考えてもわかります。「政権や権力と戦うこと」自体は、手段に過ぎません。「政権や権力」と戦って、相手を潰したり、あるいは弱めたりすれば、自分たちの主張が通りやすくなります。
これは、あくまで自分たちの主張を通すための手段です。戦って、相手を潰したり、弱めた後には、自分たちは何をしたいのか、何をするのかはっきりしていなければ、全く意味がありません。
経営学の大家であるドラッカー氏はリーダーシップと、使命について以下のように語っています。
真のリーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、リーダーシップとは、人を引きつける個性のことではないといいます。そのようなものは煽動的資質にすぎないとしています。まさに、「安倍政治を許さない」は、扇動的キャッチフレーズに過ぎないものです。

また、仲間をつくり、人に影響を与えることでもないといいます。そのようなものは、セールスマンシップにすぎないといいます。小池百合子氏も今のところ、上手にセールスマンシップを発揮しているに過ぎないのです。

ドラッカーはリーダーシップは、カリスマ性でも資質でもないとしています。それでは、リーダーシップとは何なのでしょうか。ドラッカーは、リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることだといいます。

信頼がない限り、従う者はいません。そもそも、リーダーに関する唯一の定義が、つき従う者がいることです。

リーダーが公言する信念とその行動は、一致しなければならないのです。リーダーシップは、賢さに支えられるものではないのです。一貫性に支えられるものなのです。

リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。(『プロフェッショナルの条件』)
「アベ政治を許さない」はどう考えても、政党の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確率したものではありません。使命が明らかになっていれば、このようなキッチフレーズが出てくるはずがありません。民進党は、自らの使命を考え抜くことができず、その結果として、目標や優先順位も決められず、基準も定められず、したがってそれを維持することもできませんでした。これでは、崩壊するのが当然です。


第2に「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、誰でも理解できます。社会問題を解決したり議論するときに、「誰が正しい、誰が間違い」などと議論することは不毛な結果しか招きません。やはり、「何が正しい、何が間違い」という議論をすべきです。

これは、一見誰にとっても当たり前のことのようにみえます。しかし、本当に当たり前でしょうか。多くの皆さんは、当たり前でない人たちを日々ご覧になっているはずです。そもそも「アベ政治を許さない」というキャチフレーズそのものが、「安倍が間違いで、自分たちが正しい」という前提に立っています。

これでは、まともな意思決定などできるはずはありません。それに、「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズは、頭を使わなくても良いということもあります。何か政治信条などに、根ざしたキャッチフレーズだと、それを大勢の人々に理解してもらうには、それなりに説明したり、鼓舞しなければならず、かなり頭をつかいます。

しかし、このようなものでは、「あっ、安倍政権を倒すことが正義」だということで、このフレーズを広めるほうも、受けるほうも、頭をつかうことをしなくなります。まともな意思決定のできない組織はどんな組織であれ、早晩滅びます。


第3に民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論政治の世界には妥協はつきものなので、全く考えないということはないですが、少なくとも、野党と比較するとその度合いはかなり少ないです。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ギュスターブ・ドレ〈知者ソロモン王の裁き〉
実際、民進党をはじめ、野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。
"
以上のように「アベ政治を許さない」などというキャチフレーズでキャンペーンをすることは、民進党自身にとっても良いことではなく、それは民進党の急速な衰退をもたらし、挙句の果てに、民進党の崩壊を招いてしまったのです。

そうして、「アベ政治を許さない」というキャンペーンは、民進党自身だけではなく、日本の新聞・テレビなどのほとんどのメディアもこれに加担しました。

今年の都議選でもこのようなキャンペーンがみられました。これについても、このブログに掲載しました。そのリンクを以下に掲載します。
「左がかった人たち、安倍政権をたたきつぶそうと必死」阿比留編集委員が講演、わが国の将来は―【私の論評】これからマスコミの一部と官僚支配が作る日本最期の厳しい時代がくるかもしれない(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、マスコミは「アベ政治を許さない」一部の人たちが、選挙妨害しているところを切り取って報道して、結果としてこの人たちを応援しました。

この動きの同一線上に、「もりかけ」問題もあります。とにかく、アベ憎ししか言わない、民進党などの野党にほとんどのマスコミが応援しました。

このような酷いキャンペーンをするマスコミを懸念した、阿比留氏は、この記事で「これからマスコミの一部と官僚支配が作る日本最後の厳しい時代がくるかもしれない」という警告をしています。

しかし、現実はどうだったでしょうか。「安倍憎し」で凝り固まった、民進党が事実上崩壊しました。

結局、「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズに凝り固まった、民進党に対し、「アベ政治を許さない」という方針に基づき、様々な応援キャンペーンを繰り返したマスコミは、欠局民進党の劣化を強化し、崩壊をはやめる結果を招いたに過ぎないのではないでしょうか。

マスコミがもう少しまともで、民進党の使命は"「政権や権力と戦うこと」ではない"と批判したり、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができない批判したり、"正しい妥協の仕方を学ぶべき"と批判していれば、この状況は変わったかもしれません。

私自身は、民進党がまともになってほしいという考えから、これらの批判を繰り返してきました。なぜなら、民進党のような野党がまともになり、自民党の強敵になれば、自民党も引き締まり、結果として良い政治風土が定着することを期待できるからです。

しかし、マスコミはそのようなことはなく、民進党の考えに迎合するだけで、「アベ政治を許さない」という姿勢で報道を続けました。これでは、欠して民進党を応援することにはなりません。結局、甘やかしているにすぎません。

その結果、マスコミは民進党の崩壊を助長したことにも気付かず、今でもその姿勢は変わっていません。

「#お前が国難」というキャッチフレーズも、「アベ政治を許さない」と根本的には何も変わりません。おそらく、「アベ政治を許さない」ばかりでは飽きられてしまうので、新しい言葉にしただけで、その根本の「安倍憎し」では同じことなのでしょう。

特に、ブログ冒頭の記事にあるように、TBSは都議選のときの報道と同じように、また一部を切り取って報道し、「アベ憎し」の姿勢で報道を続けています。

今後も「安倍憎し」てキャンペーンを続けると、一見リベラル・左派を応援しているようにみえながら、その実破壊することになります。

このブログでは、次の選挙で、民進党は牛歩戦術の後の選挙で崩壊したのと同じ運命を迎えることであろうことを予言しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
民進党、お決まりの空騒ぎ 「加計問題」追及も現地視察門前払い、法務委では大騒ぎ―【私の論評】歴史は繰り返す!牛歩戦術で社会党はどうなったか?
「加計学園」獣医学部建設予定地を視察する今井雅人衆院議員(前列左)ら
民進党プロジェクトチームのメンバー=5月19日、愛媛県今治市
この記事で、の結論部分では結論部分で以下のような予言を掲載しました。
第二次世界大戦の敗戦後、初めて議会に進出した日本社会党や日本共産党もまた、牛歩戦術を使うようになりました。日本国憲法が公布され、帝国議会から国会となってから、本格的な牛歩の最初は、野党時代の日本自由党が、大野伴睦の発案で行われました。自民党が政権を握っていた55年体制下では、日本社会党や日本共産党が得意とした戦術であり、その後の自公政権下でも民主党などが行うことがありました。 
ただし、社会党は党としては行わず、議員個人の裁量に任せるという形を取っていました。一回の投票での最長記録は1992年のPKO法案採決阻止を目的とした下条進一郎参院国際平和協力特別委員長問責決議案での13時間8分です。 
ちなみに、社会党が存続していたときには、この「牛歩戦術」を最も頻繁に行ったのは社会党でした。そうして、その社会党はこの最大の牛歩戦術をとった次の選挙では大敗を喫し、その後なくなりました。
衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人=1992年6月15日
上の写真は、衆院本会議場でのPKO協力法案の投票を真剣な表情で見守る傍聴人の写真です。傍聴人以外にも、当然のことながら、テレビなどで多くの国民がこれを見守りました。 
その衆人環視ともいえる最中に、社会党は牛歩戦術という審議妨害活動を敢行したのです。社会党としては、自分たちは国民のために、努力している姿を見せたつもりだったのでしょう。そうして、次の選挙で多数の国民は、社会党に厳しい審判を下したのです。 
このように国民から大ききな批判を受けた『牛歩戦術』。 今の民進党は、同じことをしています。  
彼らはここ数年、戦争法案というレッテル貼りや、森友学園問題、加計学園問題という論点が不明確な事で、安倍総理、自民党のイメージ低下を訴求しています。しかし、その根底は「牛歩戦術」と同じ議事妨害を展開しています。
しかし、よく考えてみるべきです。『牛歩』のあと、当時、最大野党だった社会党はどうなったのか、ということを。 歴史は繰り返します。
今回の選挙で旧民進党は事実上崩壊しましたが、それでも、「希望の党」から率候補して、選挙で当選した議員が、民進党に戻るなどして、再度民進党が事実上再建されるかもしれません。しかし、それでも「安倍憎し」をやめなければ、次の選挙までもたず確実に崩壊するでしょう。
この予言は的中したと思います。私は、これと同じような予言は数年前から行っていました。民進党が崩壊しても、リベラル・左翼やマスコミが「アベ政治を許さない」「#お前が国難」という姿勢を取り続ければ、リベラル・左翼全体そうしてマスコミが、今後民進党と同じく崩壊の憂き目にあうことになるでしょう。

そうして、マスコミが「アベ政治を許さない」「#お前が国難」をキャッチフレーズに、効果的にキャンペーンを行えば、行うほど、崩壊のスピードがはやまることになります。その崩壊は、今回のように予測できず、突然発生し、関係者は大いにうろたえることになるでしょう。

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2017年10月7日土曜日

【激闘10・22衆院選】希望失速…小池氏「首相指名」石破氏擁立の禁じ手準備 もしくは自ら電撃出馬か―【私の論評】小池氏は都知事で政治生命を終える(゚д゚)!

【激闘10・22衆院選】希望失速…小池氏「首相指名」石破氏擁立の禁じ手準備 もしくは自ら電撃出馬か

東京味わいフェスタで試食する小池知事
 小池百合子都知事率いる「希望の党」の勢いが失速しつつある。小池氏が衆院選出馬を固辞したためか、政党支持率は頭打ちで、衆院選(10日公示-22日投開票)に向けた、公認候補擁立も過半数(233)突破は難航。連合東京が、枝野幸男代表の立憲民主党を支援する方針を固めたとの報道も飛び出した。小池氏が顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」から都議2人が離党するなど、「独裁的体質」への不満も露呈している。希望の党の「首相候補」も決まらず、選挙後の分裂もあり得る状況だ。ここまでくると、小池氏自ら電撃出馬するか、自民党の石破茂元幹事長を「首相候補」に口説き落とす「禁じ手」ぐらいしか、打開策はなさそうだ。

 「これまで、つながりのあった皆さんの支援をいただくという話をちょうだいした。選挙戦が間近なので、連携して頑張っていきたい」

 小池氏は6日午前、民進党の前原誠司代表とともに東京・神田駿河台の連合本部を訪問し、神津里季生(こうづ・りきお)会長と会談した。衆院選をめぐる支援について話し合った後、記者団にこう語った。

 連合は5日、希望の党や、立憲民主党など特定政党を支持せず、すでに推薦を決めた民進党出身などの候補を個別支援すると組織決定した。比例代表は、産業別労働組合や地方連合会など傘下組織ごとに判断するという。

 小池氏としては、神津氏との会談で、希望の党全体への支援を要請したとみられるが、厳しそうだ。朝日新聞は6日朝刊で「連合東京、立憲民主党支援へ」「本部と異なる独自の対応」との記事を掲載したのだ。

 7月の都議選で、小池氏率いる都民ファーストの会は、連合東京や公明党などの支援を受け、都議会第1党に躍り出たが、衆院選では、あまり期待できないとみられる。小池氏の「選別・排除」手法への嫌悪感が広まっているのか。

 希望の党は5日、衆院選の第3次公認を発表した。立候補予定者は計202人となったが、朝日新聞は先の朝刊で「小選挙区はもう立てられない」という党関係者の話とともに「衆院定数の過半数(233)擁立は厳しい状況だ」と報じた。

 小池氏は「政権選択選挙」と公言するが、過半数以上を擁立できなければ、政権を獲得する能力や意気込みを疑われる。

 小池流手法には、身内からも反旗が翻った。

 昨年夏の知事選で、いち早く小池氏を支援した都民ファーストの会の音喜多駿(おときた・しゅん)都議と、上田令子都議が5日、離党した。

 音喜多氏は「市場移転や、東京五輪など都政に課題が山積する状態で、国政に手を伸ばすのが正しいとは思えない」と、小池氏の政治姿勢に疑問を投げかけた。都議2人は都民ファーストの会の体質について、以下のように語った。

 「どこで誰が何を決めているのか分からない」「都議が55人もいるのに(新代表は)幹部3人で決まった」「(党運営は)密室で役員数人で決めるブラックボックスそのもの」「(所属都議から毎月計1155万円集めているが)個別の使い道は何度聞いても出てこない」「新人との飲み会も『派閥づくりの分派活動だ』として禁止された」

 これが事実なら、北朝鮮並みの強権統制ではないか。

 兄弟政党・希望の党にも不満は鬱積している。

 党関係者から「小池氏は衆院選出馬する。流れは一気に変わる」と言われて合流を決断した公認候補もおり、「裏切られた」ともらしている。

 永田町関係者は「すでに『選挙後は離党する』と周囲に話している候補もいるようだ。小池氏がいうチャーター(結成)メンバーにも、小池流の手法に不満を感じている人がいる。小池氏の『新・排除の論理』に怒りを爆発させる公認候補もおり、選挙後、民進党出身のベテラン議員を中心に分党の動きが加速するはずだ」と明かす。

 党人事の発表でも混乱した。

 希望の党は5日、いったん愛知県の大村秀章知事の「党顧問就任」を発表したが、「内定」に訂正し、その後「事務局のミスによる誤りだった」として内定も取り消した。

 ここまでゴタゴタすれば、有権者の期待をつなぎ止める策としては、「小池氏が公示日(10日)に電撃出馬して、都知事を自動失職する」か、「石破氏を首相候補に担ぎ出す」という“禁じ手”ぐらいしか考えられない。明確な首相候補を掲げず選挙戦を戦うとすれば、やはり政権獲得能力に疑問符が付く。

 ジャーナリストの有本香氏は「希望の党の本質は、選挙目当ての寄せ集めであり、『女性初の総理』という小池氏の野望を達成するための政党としか思えない」といい、続けた。

 「選挙目当ての政党だから、選挙後にはそれぞれの思惑に従って四分五裂するだろう。小池氏にとって希望の党は、築地市場の移転問題や東京五輪・パラリンピックの準備の遅れなど、都政の行き詰まりから逃げ出すための仕掛けだったのではないか。首相候補も出せない政党が、今回の衆院選を『政権選択選挙』と位置づけているのは滑稽だ」

【私の論評】小池氏は都知事で政治生命を終える(゚д゚)!

小池都知事は衆院選に出馬しない可能性のほうが大きいです。その理由を以下に掲載します。

注目の東京では希望の党は、25選挙区のうち23選挙区に候補を立てました。候補を立てなかったのは東京12区 公明党 太田昭宏さんの選挙区。小池氏は、公明党とは都議会で協力体制を築いており、配慮せざるを得ないのでしょう。

東京13区 自民党 鴨下一郎都連会長の選挙区。1993年以来、当選8回のベテラン議員なので強敵なのですが、自民党の選挙区になぜ対立候補を立てないのでしょうか。実はこの鴨下氏は、小池氏とのつながりが強いのです。

自民党から政権奪取を狙う最大勢力なのに、党首と個人的なつながりがある自民党議員の選挙区には候補を立てないということです。やはり友達は優遇して、忖度しているとしか考えられません。

これで東京25選挙区の中に小池百合子氏が出馬する余地はなくなりました。もちろん比例で出馬するという手もありますが、そこまではしないと思います。

そう考える根拠として以下の2つがあります。

第1は、小池百合子の政治手法は、マスコミを巻き込んで一大ブームを作ることです。都知事選では、その風に乗って大躍進をしました。小池氏の政治手法では、大衆受けすることが何よりも大事なのです。

今のタイミングで衆議院選挙に出馬するとなると都知事は辞任となりますが、これは東京都民に対する裏切り行為になり、今まで作り上げたブームが一気に崩壊する可能性が高いです。

都知事就任時には、「都議会のドン」内田氏を撃破して拍手喝采を浴びましたが、実際に都政を担うと失政続きでした。

決定事項に引っ掻き回した挙句、膨大な税金が湯水のごとく垂れ流された挙句、何一つ前進することなく、結局は元のさやに納まり、お金と時間だけが浪費されたというのが小池都政の1年間でした。

ここで都知事をやめれば「都知事は腰かけだったのか」と判断されることになり、マスコミなどの煽りによるブームに乗って小池氏を指示していた層を失望させてしまいます。

これは小池百合子の政治的手法にとっては致命的なマイナスになります。今このタイミングで出馬すれば、致命的な打撃を受け、おそらく彼女の政治生命は絶たれてしまうでしょう。

弱小政党の党首として、数年の命でしょう。その後は、国政だろうが、都知事であろうが、選挙に出たとしても当選することも危ぶまれることになるかもしれないし、当選したとしても、マスコミへの露出度は格段に減ります。

一方、今回は衆院に出馬せず、都知事のままでいれば、弱小政党の党首としてよりは、マスコミに露出する確率も高く、たとえ今回の衆院選で「希望の党」がどうなろうと、次の政局に向けて、手を打つことはできます。

小池百合子都知事と民進党の前原誠司代表が5日、都内のホテルで会談した。
前原氏から衆院選出馬を要請されたが断ったと記者団に明かした小池氏。
それでも「出馬する」と断言する方たちの最大の主張は、もし希望の党が与党になったら、誰かを総理に指名しなければならないし、そもそも、小池氏は「政権交代を目指す」と公言しているから、当然小池氏が出馬しなければならないというものです。

確かにそうです。もし、政権交代が現実のものになったら、まさか本当に公明党の山口さんを総理大臣にするのでしょうか。それは、あり得ないです。小池百合子氏は今回の選挙で政権をとれるとは全く思っていないのです。

だから、第2は、今回は政権交代できる見込みは全くないからこそ、小池氏は出馬しないのです。

現在の公認候補が192人このうち民進党から110人が合流していますが、まことしやかに噂されているのは、当選したらこの110人の中からまとまった人数が離党するか、あるいは希望の党を乗っ取るかという噂です。

民進党を破壊した小池百合子に対して思うところのある議員はたくさんいるはずなので、そう簡単に希望の党が、一枚岩になるはずはないです。

そして、もっと重要なことは過半数は233名です。つまり現在のところ、候補者が全員当選しても過半数は取れないのです。

もちろん、追加公認して候補者はまだ増えるでしょうし、大阪で選挙協力した維新との連立政権という手もあります。

しかし、支持率の回復傾向にある自民党と強固な基礎票を持つ公明党の連立政権が過半数割れをする可能性はまだかなり低いと思われます。

それを小池百合子氏自身が良く認識しているのでしょう。

それでは小池百合子が国政に復帰するのはいつになるのでしょうか。おそらく現在の都知事の任期を全うすると東京オリンピック直前に都議選となることを危惧していることもあり、残り任期を半年ほど残して辞任するのではないでしょうか。

つまりあと2年半後。オリンピックを考えたときにはこのタイミングでの辞任は引き際として美しいです。そして、後継者に東京オリンピックを託して自らは国政に復帰。

タイミング的にも2年半後といえば、そろそろ解散の時期です。都政で実績を残してオリンピックの道筋をつけることが出来れば、次の衆院選に合わせて都知事を辞任しても批判は最小限に抑えられます。少なくとも今辞任するよりは格段に良いはずです。

よって、小池百合子都知事は、今回の衆議院選挙には出馬しません。国政に復帰するのは2年半後と彼女自身は考えているかもしれません。

しかし、その頃になれば、「希望の党」はどうなっているかわかりません。その頃までには、他党と離合集散をして、かなりその後の運命が見えているに違いないと思います。

その時までに、「希望の党」がまともな政党になっていれば、衆院選に出馬して国政を目指すかもしれません。

希望の党の立ち上げ
しかし、私はその確率はかなり低いのではないかと思っています。なぜなら、希望の党の経済政策は、民進党と同じく失敗するのは目に見えているからです。

安倍vs小池の対立構図のみであれば与党が議席を大きく減らすリスクは無視できなかったでしょうが、希望の党は反安倍勢力を一枚岩にすることはできませんでした。110人ほどの民進党議員を主体として、200人程度という一定規模の立候補者をそろえたが、安倍政権を脅かす情勢には至らないと思います。

小池都知事が、迷走していた民進党を事実上解体に追い込んだのは小池氏の好きな言葉いうところの"サプライズ"でしたが、安倍総理による突然の衆院解散で、政治的に追い込まれた結果という側面のほうが大きいと思います。

2009年に政権を獲得した民主党は約3年間も国政を担いましたが、2012年に政権を失ってから民進党時代を含めても、わずか5年弱で消滅することになりました。

2012年までの民主党政権と2013年以降の自公政権における、失業率や有効求人倍率など労働市場などの各種指標を比較すると、経済パフォーマンスの差は歴然としいます。

2012年末以降の日本経済復調をもたらしたのは、日本銀行の金融緩和強化です。もちろん、政府が日銀の金融政策の判断に直接介入することはできません。しかし、発足直後の安倍政権は、日本銀行に2%のインフレ目標を課し、「世界標準」の総裁・副総裁の人選を行い、日本銀行の金融政策運営が大きく変えました。

もはや「金融政策によってバブルが起こるだけ」「金融緩和で国債暴落」など2013年当初からさんざん聞かれた批判を信じる人は少数派でしょうが、金融政策を重視する見方に対しては、いくつか反論があります。


その1つは、アベノミクスのメニューのうち、第2の矢、第3の矢が重要でより効果があった、というものだろう。安倍政権になって「放漫財政政策が行われた」などとメディアでも散見されます。

しかし、2013年以降、財政政策はほぼ一貫して成長率を押し下げる方向で作用、つまりGDP成長率を押し下げてきました。また、第3の矢である成長戦略についても、海外訪日客増大は円高修正と訪日客のビザ規制緩和が相乗して大きな成果となりましたが、これによって0.5%程度GDPの水準が押し上がったにすぎません。それ以外の成長戦略によるGDP押し上げは、ほとんど観察されていません。

一方、日本銀行の試算によれば、金融緩和政策によって2013年からの3年間で、最大4.2%GDPを押し上げました。2016~2017年まで金融緩和が続いていることを踏まえれば、5年弱の累積的なGDP押し上げは明白です。

金融緩和強化を起因に雇用環境改善が続いていることは、日銀自らによる試算である点を割り引いても、明々白々です。

もう1つの代表的な批判として、「2013年以降の日本経済の復調には、2012年までの欧州債務危機が終わるなど外部環境に恵まれたためで、金融政策の効果は大きくない」との議論もよく聞かれます。しかし、2014年以降は中国など新興国の経済成長の減速が続いており、むしろ安倍政権になってから外部環境は一段と厳しくなっていたのが実情です。世界経済の成長率をみると、2010~2012年は3.2%、2013~2016年は2.6%です。

これらの客観的な事実を踏まえれば、2013年に安倍政権によって任命された黒田東彦総裁が率いる日本銀行の金融緩和政策が、数々の逆風をハネのけて日本経済を復調させ、雇用環境を改善させ続けたことは明白な事実です。

日銀黒田総裁
ところが、9月28日に掲載された民進党のHPにおいて、前原代表は「アベノミクスは、一般の国民の皆さんの暮らしの改善にはつながらない反面、その極端な低金利政策や放漫財政は非常に危険であり、何かのきっかけで皆さんの暮らしを崩壊に追い込む可能性があります」とメッセージを残しています。

安倍政権になってから多少なりとも国民の暮らしが改善したことに言及せず、「金利政策や放漫財政は非常に危険」「何らかのきっかけで皆さんの暮らしを崩壊」といった前原代表の言葉は、民進党の失敗を象徴しているようにしかみえません。

政治家として「安倍政権を倒す」と政治闘争するのはいいですが、その帰結として政治や国民の暮らしがどうなるのか、全く提示できていません。

10月22日に行われる総選挙を経て、消費増税の是非など経済政策について与野党の間で健全な政策論争が行われるのであれば、安倍首相だけに政権を頼らざるをえなかった状況は、多少なりとも改善するかもしれません。ただ、デフレと不完全雇用の状況下での金融緩和の不徹底や増税などの経済失政は、今後避けられるのでしょうか。

希望の党などの新たな野党の誕生で、健全な論戦につながる経済政策を掲げることを期待したいですがそれは難しそうです。希望の党は、消費増税凍結と企業への内部留保課税をセットにするようですが、一方で公共事業の削減を打ち出すなど財政政策全体をどうするか不明です。これらは、「コンクリートから人へ」のスローガンを打ち出した、かつての民主党の政権公約に似ています。

最重要政策の金融緩和政策については「当面維持した上、円滑な出口戦略を政府日銀一体となって模索する」としています。インフレ目標2%の重要性を認識しているかを含めて、金融政策について建設的な議論は期待できないように見えます。以上の総需要安定化政策への考え方は、希望の党が民進党と同じ失敗を繰り返しかねないことを示しています。


希望の党の公約を発表する小池知事
さらに、6日に公表された、「希望の党の公約」では、金融政策と財政出動に過度に依存せず、民間の活力を引き出す「ユリノミクス」を掲げ、経済成長と財政再建の両立を目指す方針を示しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21888500U7A001C1PP8000/

経済政策を実施するに当たって、政府として金融政策と財政政策以外に頼れる政策があるというのでしょうか。政府が、金融緩和も積極財政をしなかったから、失われた20年が続いたのではなかったのでしょうか。

さらに、「約300兆円もある大企業の内部留保への課税を検討」というのも問題です。

内部留保は、貸借対照表(BS)上の科目でいうと利益剰余金です。「剰余」というから余ったおカネのような感じがするかもしれないですが、剰余金は、株主資本のうち資本金でない部分という意味なので、余っているとは限りません。

これについては、以下のリンクを参考にして下さい。


さらに、公約に消費税増税凍結とあることから、希望の党があたかもリフレ政策やってるのかと錯覚しているようですが、この政策を見る限り全く一貫性がありません。特に、金融政策に関する理解がなさ過ぎです。

真のリフレ政策といわれるために必要な本当の経済政策、アベノミクスを本当に上回る政策としては、以下のようなものが有効です。
1.日銀法を改正して、デフレ脱却のコミットメントを高めます
2.財政再建は終わったので、国の資産を積極的に活用して未来に投資します
3.法人税の税率をゼロにする代わりに、歳入庁を設立して個人の所得を100%把握します
この3つで十分です。1に関連して「日銀による外債オペレーション解禁」とか、「インフレ目標引き上げ」も有効です。

2は消費税増税凍結とイコールです。そもそも財政再建が終わってるなら増税不要です。

以上のことから、「ユリノミクス」は希望の党が民進党と同じ失敗を繰り返しかねないのは確実です。

このブログでは、過去に民進党の経済政策があまりに非現実的であり、そのため有効な経済政策の提言をすることができず、よって支持率が低迷したことを掲載してきました。

経済政策では民進党とあまり変わらない、希望の党は、民進党と同じく支持率が低迷するのは目にみえています。さらには、そもそも一枚岩でない希望の党からは、いずれかつての民進党のように、離脱者がかなり出ることでしょう。

いずれにしても、今回の選挙の後には、弱小政党の道をまっしぐらに進むことになると思います。

そうなると、小池知事としては、さらに新たな政党をつくるか、あるいは他の国政政党に入り、国政復帰を狙うかもしれませんが、これはかなり困難です。それに年齢もあります。現在せめて60歳くらいの年齢であれば、さらに新政党をつくるということも考えられますが、今後はなかなか困難だと思います。今が、最後のチャンスかもしれません。

そうして、小池氏は知事をまっとうすることと、過去のように数々の政党を渡り歩くのとどちらが自分にとって良いことが良く考えるようになることでしょう。女性総理大臣を目指して、様々な手練手管を駆使しても、もう小池氏は新たな風を起こすことはできないでしょう。

そうなると、小池氏は国政を断念して、東京都知事で終える可能性が高いと思います。日本初の女性総理大臣の道は諦めて、知事の仕事に専念するかもしれません。

東京には課題がかなりあります。それについては、多く識者が述べているので、それを参考にしていただくものとして、ここでは、東京の壁について述べます。

日本を東西に分断する、見えない〈東京の壁〉が東京にあります。ベルリンの壁の場合は西ベルリンから情報を東側に送って壁を崩壊されましたが、東京では殆どのメディアが東側に在って、西側にプロパガンダを流し続けています。まるで進撃の巨人の壁のようです。

小池氏は、この東京の壁を壊すことができるのではないかと私は期待しています。この壁を壊して、東西の人々が自由に交流できるようになれば、素晴らしいことだと思います。そうして、これができるのは今は小池知事だけかもしれません。

国政に脇目を振らず、都政に専念すれば、本来の力を発揮できると思います。

1期で終えることなく、かつての美濃部知事のように数期知事をつとめあげるかもしれません。それでも、初の女性都知事として、大変名誉なことです。その道を選んだほうが、晩節を汚すことにはならないです。

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2017年10月6日金曜日

衆院選前に把握しておきたい、北朝鮮への武力行使の現実度 米中軸に北の軍事拠点攻撃も―【私の論評】戦後処理に北に自衛隊が進駐することもあり得る(゚д゚)!


金正恩 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
10月10日に衆院選が公示される。選挙戦を前に、北朝鮮をめぐる各国の動向や武力行使の可能性、日本が被害を受けるリスクなど、有権者として把握しておきたい北朝鮮の状況をまとめておこう。

 北朝鮮には、米国、中国、ロシアの超大国がメーンとして絡んでいる。日本と韓国も関係国として加わっているが、軍事オプションの主導は超大国しかできない。それが現実だ。

 北朝鮮は貿易の大半が対中国であり、軍事同盟も中国と結んでいるので、中国が一番影響力があるとみられている。このため、両国は一枚岩のようだが、内情は違ってきている。実際に両国の関係はかなりギクシャクしてきた。

 2012年に習近平氏が中国共産党総書記に就任した際、北朝鮮に特使を派遣したが、金正恩(キム・ジョンウン)氏はそれを追い返した。13年には中国との太いパイプを持っていた張成沢(チャン・ソンテク)氏を中国への事前連絡なしに処刑し、習氏の面子(メンツ)を潰した。

 15年に中国で開かれた抗日戦争70周年軍事パレードに正恩氏は出席せず、今年2月には中国の緩い保護下にあったとされる正恩氏の異母兄、正男(ジョンナム)氏が、マレーシアの国際空港で殺害された。

 こうした事件はいずれも習氏が正恩氏をコントロールできていないことを示している。なにしろ、祖父の金日成(キム・イルソン)氏や父の金正日(キム・ジョンイル)氏という過去の指導者とは異なり、正恩氏は一回も中国を訪問していない。

 父の正日氏は、中国だけには礼を失するなと遺言しなかったのか。北朝鮮と中国は軍事同盟国だが、正恩氏はそれを無視するかのような行動ばかりとってきた。

 そうした経緯もあり、今の中国が北朝鮮を抑えることはできないだろう。両国首脳が一回も面会したことがなければ、やりたくてもできない相談だ。

 中国は、最後の最後に北朝鮮を見捨てて、中国の国益になる南シナ海問題で、米国とバーター取引する可能性すらある。

 ロシアは米中の交渉を見守っている。そしてロシアの存在感を高めるように、北朝鮮と交渉しているのだろう。正恩氏の亡命先をロシアが保証するという噂も出ているほどだ。

 米国は国連などでの対話を続けつつ、既にカウントダウンに入っているだろう。これは本コラムでも書いているとおりだ。

 以上の状況を総合すると、対話の余地がありうるのは、11月の米中首脳会談までだ。それまでに北朝鮮が折れないと、軍事オプションが浮上する。国連軍または多国籍軍となるが、事実上、米中が中心だろう。

 軍事オプションは短期間で終わる可能性が高いが、想定外の事態はいつもつきものだ。米軍は北朝鮮の軍事拠点のほとんどを一撃で壊滅できるが、それでも韓国や日本に一定のリスクはある。日本は憲法の制約があるので、軍事では部外者に近い。米国との良い関係から情報が早く入ることだけが救いだ。事実として現状はここまできていることを認識したほうがいい。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】戦後処理に北に自衛隊が進駐することもあり得る(゚д゚)!

以下に、最近の北朝鮮情勢について簡単にまとめておきます。

(1)9月末、平壌(ピョンヤン)近郊の兵器工場から、複数のミサイルが次々と運び出された。韓国メディアは同月30日、「中距離弾道ミサイル『火星12』か、ICBM(大陸間弾道ミサイル)『火星14』の可能性が高く、10月10日の朝鮮労働党創建記念日などに合わせて発射する危険がある」と報じました。

(2)9月28日、米軍の最新鋭ミサイル追跡艦「ハワード・O・ローレンツェン」が、米軍佐世保基地(長崎県)を出港しました。北朝鮮のミサイル発射情報をつかんでいます。

ミサイル追跡感「ハワード・O・ローレンツェン」
(3)北朝鮮の朝鮮アジア太平洋平和委員会は9月30日付の報道官談話で、米国の独自制裁や、戦略爆撃機B1-Bの北朝鮮東方への飛行を激しく罵倒。金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が同月22日に出した警告「史上最高の超強硬措置」は、「最後通告であり、米国の狂った老いぼれ(=トランプ大統領)を必ず火で鎮(しず)める」と宣言しました。

(4)さらに、米原子力空母「ロナルド・レーガン」率いる空母打撃群が今月中旬、朝鮮半島近海に展開するといいます。聯合ニュースが1日報じました。

ロナルド・レーガン
上記では、米中が北朝鮮を攻撃することを想定していて、ロシアを除外しています。これは、今月4日のプーチン氏の発言からもその妥当性がうかがわれます。

ロシアのプーチン大統領は4日、北朝鮮には秘密の軍事施設が存在する可能性があり、核やミサイル計画への軍事攻撃は成功しないかもしれないと述べました。モスクワで開催されたエネルギーフォーラムで発言しました。

ロシアは、トランプ米大統領が以前示唆したような軍事攻撃に強く反対しており、外交および経済的交渉を組み合わせて使うことを希望しています。

ただプーチン大統領は4日、この議題について、他の政治的・道徳的懸念と同様に、軍事攻撃の有効性について深刻な懸念を持っていると表明。「北朝鮮に対し、武装を解除させるため、世界から攻撃が可能だろうか。可能だろう。では、目的を果たせるだろうか。それは分からない。彼らが何を持っていて、それがどこにあるのかは誰にも分からない。(北朝鮮は)閉鎖された国であり、誰にも完全には分からない」と述べました。

プーチン大統領は、ロシアには北朝鮮のミサイル計画を他国の大半より強く懸念する理由があると話し、北朝鮮の核実験場はロシアとの国境から200キロメートルしか離れていないと指摘しました。

大統領は外交による解決を改めて主張し、各方面に対し、好戦的な発言を控えるよう求めました。さらに、制裁強化は無意味だと述べ、現在4万人程度の北朝鮮国民がロシアで働いていると話しました。

プーチン大統領
ただし、プーチン大統領は、金正恩の亡命先を確保しているともいわれています。このようなことをして、ロシアは北朝鮮崩壊の後も、半島に関与するつもりだと考えられます。そもそも、ロシアにはもともと北朝鮮は自分たちが作った国であるという考えがあります。

一方中国は、北朝鮮を攻撃する可能性が十分ありますし、ブログ冒頭の記事を書いた高橋洋一氏はそのような考え方をしています。他にも、そのような見方をする人も多いです。そのような人たちは以下のような見方をしているようです。

先月訪中したティラーソン米国務長官は習近平と「極めて友好的な」会談を行ないました。ティラーソン米国務長官が訪中したのは、トランプ大統領訪中の下準備のためです。今年4月に習近平国家主席が訪米した際にも、ティラーソンは事前(3月18日)に訪中して習近平と会っています。

この2回の訪中に共通しているのは、「この上ない友好的ムードの中で互いを礼賛し合うこと」ですが、今回の「友好さ」には何かが隠れているとみるべきです。2回とも北朝鮮問題に対する話し合いが含まれているとされながら、その具体的内容に関しては公表されていません。

それでも3月のときは中国外交部が「双暫停」(米朝双方とも暫時、軍事行動を停止すべき)と発表するなどの意思表示がありましたが、今回は何もありませんでした。

北朝鮮は習近平にとって国際的な晴れ舞台となる大行事があるたびに、その開幕式の日にミサイル発射などの挑発的行動に出て、習近平の顔に思い切り泥を塗り続けてきましたた。

今回も10月18日に開幕する第19回党大会のその開幕式の日に合わせて、ミサイルを発射するだろうと推測されています。

習近平は、国際的大行事の開幕式があるたびに顔に泥を塗られることに激怒しているでしょうが、それ以上に中華人民共和国の根幹を成す中国共産党の全国代表大会の日に合わせて北朝鮮がミサイルを発射すれば、その忍耐はレッドラインを越えることになるでしょう。

そうなると、米国の攻撃開始の直後に中国も攻撃をする可能性があります。かつて中国は、米軍が38度線を超えた場合、アメリカに攻撃するといってきましたが、今回はそうではなくて、あくまで米国と共同の上で、最初からどこを攻撃し、どこを占領するかを互いに了承しつつ北朝鮮を攻撃することになるでしょう。

ティラーソン国務長官は、こうしたことを話し合うために習近平を訪問したとみて良いでしょう。

会談するティラーソン国務長官と習近平
ただし、党大会が終わるまでは中国は絶対に動かないでしょう。場合によっては来年3月の全人代閉幕直後辺りまで延ばす可能性もあります。

ただし、米国としては戦争が終わった後のことも十分に考えておかなければなりません。戦後処理を疎かにし、国連などか中途半端な介入を行えば、それこそ朝鮮半島が、現状の中東のように騒乱の耐えない地域になってしまいます。

新たな自由主義的な民主主義体制を根付けるには、50年くらいは、軍隊を進駐させる覚悟が必要です。中途半端をすれば、新たな危険地帯を生み出すことになるだけです。これは、シリアなどで実証ずみです。

ただし、そこに中国が関与するということになれば、元々民主化も、政治と経済の分離も、法治国家化もされていない中国が、北朝鮮の一部を占領することになれば、今日のようチベット自治区、ウイグル自治区などのようにまた緊張が耐えない地域になる事が考えられます。

中国によるウイグル自治区での住民弾圧
中国の植民地政策は、どうみても、下手であり混乱を招くことは必定です。さらに、中国は半島を占領することで、大国意識をつのらせ、増長し南シナ海への進出をさらに拡大させる危険性もあります。

このようなことから、米国は朝鮮半島における中国の影響を極力排除したいと考えていることでしょう。米国北朝鮮を攻撃するときには、中国はあくまで、北朝鮮に対する軍事上の脅威になれば良いと考えるでしょう。

北朝鮮側の兵力が南の米韓軍だけでなく、北の中国にも備えなければならなくなり、兵力が分散されるようにもっていければ、十分であると考えるでしょう。そうして、できれば、中国は直接半島に関与しないほうが望ましいと考えることでしょう。

そこに日本が果たす役割が見えてきます。日本は、米国が北朝鮮を攻撃するときには、安保条約にもとづき兵站の役割を担うことになります。兵站の役割を果たすということは、実際に戦闘に参加しなかったとしても、世界中から戦争に参加したものとみなされます。

そうして、以前このブログにも示したように、日本は米国と異なり、中国やロシアのように国境は接してはいないものの、半島のすぐそばに位置し、半島情勢に関与しやすいです。

朝鮮半島から、核と核ミサイルが排除されれば、国境を接した中国や、ロシアはそれを理由に、半島情勢にかかわるのは、容易です。しかし、半島から遠く離れた米国は根拠を失うことになります。

日本は地政学的な位置を利用して、韓国がいやがるにしても、半島情勢には関わりを持つのは、自然なことです。日本が、半島情勢に強く関与すれば、同盟国の米国も半島問題に関わりを持つことができます。

また、日本はインド、ASEAN諸国、オーストラリアなどの周辺国などとも友好的です。

これら友好国の力も加勢して、日本は北朝鮮崩壊後の半島情勢に深く関わっていくことができるようになるかもしれません。そうなれば、場合によっては、北朝鮮崩壊後の北朝鮮に自衛隊を送り込み、治安の維持をしつつ、復興事業も行い拉致被害者を捜索することも可能になるかもしれません。

南スーダンでの自衛隊PKO部隊
このようなことを安倍総理は視野に入れていることでしょう。それしても、日本が半島有事に対して煮え切らない態度をとれば、それこそ米国は中国の北朝鮮攻撃を許してしまうかもしれません。

そうなれば、日本にとっては最悪の事態を招くことになるでしょう。

来る衆院選では、有権者は、このようなことも頭の隅においておくべきでしょう。野党再編など、このようなことから比較すれば、ほんのささいなどうでも良いゴミのようなことにすぎません。

やはり、本命は、北朝鮮情勢なのです。

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2017年10月5日木曜日

リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ

「立憲民主党」を設立した枝野氏
 民進党やリベラルとされるメディアが、森友学園問題や加計学園問題など「反安倍」に終始した結果、「安倍晋三首相より右」ともいわれる小池百合子都知事に民進党が事実上乗っ取られて分裂し、リベラル議員は「立憲民主党」を設立した。本コラムに書いたように「改憲」も加速する可能性がある。リベラル勢力やメディアは何を間違えたのか。

 結論から言えば、「反安倍」という名目であれば、何でもありというのが最大の間違いだ。客観的な情報をみれば、「モリ・カケ問題」には、首相の関与や意向は出てこない。にもかかわらず、例えば、文部科学省の前川喜平前次官について、天下り斡旋(あっせん)については厳しく批判していたのに、「反安倍」の発言をしたとたん、手のひらを返し、しかもその裏をとらずに金科玉条のように利用したりした。

 先日、加計学園問題で「行政がゆがめられた」という前川証言ばかりを報道し、「文科省によってゆがめられた行政が正された」という加戸守行・前愛媛県知事の証言をほとんど報道しなかったことについて、安倍首相がTBSとテレビ朝日の生放送で発言したら、両局関係者は凍り付いたという。不都合な事実を生放送で流してしまったからだろう。

 今回の「希望の党」による民進党の分裂についても、本来であれば、希望に行く各議員が以前主張していた政策と真逆の政策に賛同することを、「野合」「選挙目当て」などと厳しく批判するのがマスコミの役目である。

実際、過去には、大阪維新の会が石原慎太郎氏が率いる太陽の党、江田憲司氏が率いる結いの党と合流したときには、野合がどうかを厳しく追及された。しかし、「反安倍」であれば、議員の節操がいくらなくても許されるようだ。

 希望の党に参加する民進党出身者の多くは、安保2法に反対してきた。筆者は、安全保障分野では政治家の本質が現れやすいと思っている。つまり政治家の地金が出てなかなか意見が変わりにくい分野なのだ。

 筆者が政党に政策提言するときには、安全保障分野をできるだけ避けて、合意や意見変更をしやすい経済分野を中心としている。もちろん求められれば、安全保障分野でも政策提言を行うが、安全保障は意見対立が起こりやすく、しかも妥協のできにくい分野なので、取り扱いに細心の注意が必要だ。

 実際に、選挙戦になったら、希望から出馬する人が安全保障で意見を変えた場合、理由をぜひ聞きたいものだ。

 このようなリベラル勢力やメディアは、長い目で見れば結局国民から見捨てられるだろう。

 もっとも、そうした人たちの生命力はしぶとい。リベラル勢力やメディア関係者はひそかに希望の党に入り込んでいるという噂もある。もちろん、小池氏が公認権をもっているので象徴的な議員は排除されるだろうが、今勢いのある小池氏周辺には、左派の人が見え隠れしている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)!

上の高橋洋一氏の主張をさらにわかりやすく言うと、結局「アベ政治を許さない」という姿勢を貫く政党や議員は全部駄目になるということです。

「わが党の○○政策は、安倍政権の□□政策よりも、△△という理由ではるかに良い」と主張するのが本来の姿だと思います。

このような主張をした上で、「安倍政治を許さない」というのならまだ許せます。それでも、これが本来の主張より半分以上を超えて主張するなら、やはり駄目です。そんな党は、結局国民から見捨てられます。

旧民進党は、言葉づかいや、関連して扱うスキャンダルの内容は変わるもの、結局8〜9割方が「アベ政治を許さない」という主張でした。これだと、早晩滅ぶ運命だったのです。

なぜそのようなことになるかといえば、主に3つの理由があります。


第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。

これは、誰が考えてもわかります。「政権や権力と戦うこと」自体は、手段に過ぎません。「政権や権力」と戦って、相手を潰したり、あるいは弱めたりすれば、自分たちの主張が通りやすくなります。

これは、あくまで自分たちの主張を通すための手段です。戦って、相手を潰したり、弱めた後には、自分たちは何をしたいのか、何をするのかはっきりしていなければ、全く意味がありません。
経営学の大家であるドラッカー氏はリーダーシップと、使命について以下のように語っています。
真のリーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、リーダーシップとは、人を引きつける個性のことではないといいます。そのようなものは煽動的資質にすぎないとしています。まさに、「安倍政治を許さない」は、扇動的キャッチフレーズに過ぎないものです。

また、仲間をつくり、人に影響を与えることでもないといいます。そのようなものは、セールスマンシップにすぎないといいます。小池百合子氏も今のところ、上手にセールスマンシップを発揮しているに過ぎないのです。

ドラッカーはリーダーシップは、カリスマ性でも資質でもないとしています。それでは、リーダーシップとは何なのでしょうか。ドラッカーは、リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事と見ることだといいます。

信頼がない限り、従う者はいません。そもそも、リーダーに関する唯一の定義が、つき従う者がいることです。

信頼するということは、必ずしも好きになることではありません。常に同意できるということでもありません。リーダーの言うことが真意であると心の底から確信を持てるということです。それは、真摯さというまことに古くさいものに対する確信です。

この真摯さという言葉の定義は難しいです。ドラッカー氏自身もそう語っています。しかし、リーダーにはこの真摯さが不可欠なのです。真摯さについては、このブログでも言葉の定義や、真摯さに欠ける態度などについて、掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。真摯さについて、ここでは詳細を説明しません。詳しく知りたいかたは、この記事をごらんになって下さい。
小池都知事率いる「希望の党」に全く希望が見えない理由―【私の論評】小池氏と希望の党は真摯さに欠けていないか?
希望の党の立ち上げ
リーダーが公言する信念とその行動は、一致しなければならないのです。リーダーシップは、賢さに支えられるものではないのです。一貫性に支えられるものなのです。
リーダーシップとは、組織の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは、目標を定め、優先順位を決め、基準を定め、それを維持する者である。(『プロフェッショナルの条件』)
「安倍政治を許さない」はどう考えても、政党の使命を考え抜き、それを目に見える形で明確に確率したものではありません。使命が明らかになっていれば、このようなキッチフレーズが出てくるはずがありません。民進党は、自らの使命を考え抜くことができず、その結果として、目標や優先順位も決められず、基準も定められず、したがってそれを維持することもできませんでした。これでは、崩壊するのが当然です。


第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、誰でも理解できます。社会問題を解決したり議論するときに、「誰が正しい、誰が間違い」などと議論することは不毛な結果しか招きません。やはり、「何が正しい、何が間違い」という議論をすべきです。

これは、一見誰にとっても当たり前のことのようにみえます。しかし、本当に当たり前でしょうか。多くの皆さんは、当たり前でない人たちを日々ご覧になっているはずです。そもそも「アベ政治を許さない」というキャチフレーズそのものが、「安倍が間違いで、自分たちが正しい」という前提に立っています。

これでは、まともな意思決定などできるはずはありません。それに、「アベ政治を許さない」というキャッチフレーズは、頭を使わなくても良いということもあります。何か政治信条などに、根ざしたキャッチフレーズだと、それを大勢の人々に理解してもらうには、それなりに説明したり、鼓舞しなければならず、かなり頭を使います。

しかし、このようなものでは、「あっ、安倍政権を倒すことが正義」だということで、このフレーズを広めるほうも、受けるほうも、頭を使うことをしなくなります。まともな意思決定のできない組織はどんな組織であれ、早晩滅びます。


第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論政治の世界には妥協はつきものなので、全く考えないということはないですが、少なくとも、野党と比較するとその度合いはかなり少ないです。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ギュスターブ・ドレ〈知者ソロモン王の裁き〉
実際、民進党をはじめ、野党の多くは、何が国民から受け入れやすいかという観点から、護憲という立場を崩さないことを前提に物事を考え、最初から落とし所を考えるため、北朝鮮の危機にまともに対応できるような意思決定ができません。北朝鮮どころか、国際情勢からかけ離れた意思決定しかできません。

一方安倍総理のほうは、「何が正しいか=日本の安全保障にとって何が正しいのか」を考えて意思決定をするため、少なくとも野党よりは、まともな意思決定ができます。

そうして、「安全保障のダイヤモンド」という構想にもとづき全方位外交を実施し、インドやアセアン諸国の信頼を勝ち得ることができ、さらには、これら諸国と米国を仲介し、それが故に米国この地域における外交は飛躍的に改善されました。

そのため安倍総理は、トランプ大統領からの信頼は絶大なものとなっています。残念ながら、マスコミは、このことはほとんど報道せず、ゴルフをしたことくらいしか報道しません。

ドラッカーは、何が受け入れられやすいか、何が反対を招くから触れるべきでないかを心配することは無益であって、時間の無駄だと言います。心配したことは起こらず、予想しなかった困難や反対が突然ほとんど対処しがたい障害となって現れると語っています。
ドラッカーは妥協について以下のように語っています。
何が受け入れられやすいかからスタートしても得るところはない。それどころか、妥協の過程において大切なことを犠牲にし、正しい答えはもちろん、成果に結びつく可能性のある答を得る望みさえ失う。(『経営者の条件』)
これが、まさに現在の民進党の状況なのです。そのことにはやく気づき、何が正しいかを考え、正しい妥協ができるようにならなければ、民進党の再生はあり得なかったのです。 

現実世界では、政治的意思決定のほとんどが、妥協の産物であることがほとんどです。しかし、前原代表は、最初から落とし所を求めて、妥協をした挙句に民進党の消滅という事態をもたらしたのです。

この妥協は現在は「希望の党」に圧倒的に有利なように見えます。しかし、この妥協は「希望の党」にとっても誤った妥協であることには変わりなく、近いうちに必ずこの妥協は良くない結果を招くことになります。

妥協するにしても、「半分の赤ん坊」を得るような間違えた妥協ではなく、「半分のパン」を得る正しい妥協をしなければならないのです。

ドラッカー氏はマネジメントはあらゆる組織に共通であるとしています。企業組織であろと、政党であろうと、病院であろうと、組織のマネジメントの原則は同じなのです。そのため、政治の世界もマネジメントの世界からながめると、非常に参考になります。

政治家もマネジメントを学べば、もっとまともに政権や、政党運営をできるようになるのではないかと思います。政治家として、何度も失敗を繰り返して、はじめてマネジメントの原則を学ぶというのではなく、最初から原則を学んで行動すれば、より賢く行動することができるはずです。

以上に述べたようにマネジメントの原則に反する行動ばかりする野党はますます衰退するばかりです。もう安倍憎しという単純な考えはやめて、最初から落とし所など考えずまともな政策論争をして少しでも多くの「半分のパン」を得る行動をすべきです。

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2017年10月4日水曜日

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小池百合子氏 写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 希望の党がブームになる可能性があるなかで、衆院選で過半数確保を目指す自民、公明両党には、どのような戦略が必要なのだろうか。

 まず最初に、選挙の争点の練り直しだ。「国難」のうち、北朝鮮の脅威は当然だが、消費増税の使いみち変更は優先順位の低い話だ。国家としては、安全保障が第一で、それが確保された上での経済である。

 ハッキリ言えば、消費増税の使いみち変更は、実質的な規模で1兆円程度の予算の話である。この程度であれば毎年の予算編成で処理できる。

 具体的にいえば、昨年の補正予算で使った財投債スキームを教育支出に応用すれば、増税なし、プライマリーバランス(基礎的財政収支)悪化なしで財源が作れる。しかも、この話は2年先のことなので、それまでに準備できる。総選挙で争点にするまでもないことだ。

 北朝鮮の脅威は、今そこにある危機である。まさに日本にとっての国難であり、その対応のための政府の体制づくりこそ総選挙の争点だ。こうした国難のときに、日本の首相がトランプ米大統領、中国の習近平国家主席と互角に渡り合っていけるかどうか、そのために誰が適任かを問う総選挙である。

 幸いにも、安倍晋三首相は、先進国のリーダーの中ではトランプ米大統領からの信頼が一番あつい。その一例は、日米首脳会談における20秒弱の長い握手、トランプ氏の別荘での1・5ラウンドのゴルフなどである。

米ゴルフ場で安倍首相と楽しむトランプ米大統領
 先日の国連総会での食事会では、トランプ氏の隣は安倍首相だった。トランプ氏が「シンゾウの隣にしてくれ。でないと食事会にはでない」と事務局にねじ込んだという。公式発表はないが、1日に何回も電話連絡を取り合っているらしい。

 客観的にみても北朝鮮情勢は緊迫している。北朝鮮に対する国連制裁は、おそらくあと1回はレベルを上げる余地はあるが、過去の例からみればもう限界になっている。あとは、国連軍か多国籍軍による攻撃しか残っていない。これは国際政治からみれば常識だ。こうした意味で、圧力しか残されていない。

 さらに、11月にはトランプ氏の来日が予定されている。主題は北朝鮮問題への対応だが、米中首脳会談に臨む日米のすり合わせも行われるだろう。

 米中首脳会談は、中国の共産党大会後に行われる中国のお決まりの行事でもある。米中首脳会談とはいうものの、実質的には、日米中が今後の北朝鮮体制をどうするかという極東アジアの安全保障上の最重要問題を話す場になるわけだ。

 残念ながら、先日の安倍首相の記者会見では、こうした国際情勢での国難が強調されずに、消費増税の使いみち変更という安全保障問題に比べて優先順位の低い国内問題に焦点が当たってしまった。

 北朝鮮問題という希有な国難に対して、どうするのか、それをなすためにはこの国のリーダーとして誰がふさわしいのか。そうした国の基本を愚直に訴えないと、悪いポピュリズムで流されてしまうだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】平和ボケ日本で半島有事後の戦後処理と新秩序まで考えているのは安倍総理のみ(゚д゚)!

今回の安倍総理による衆院解散の目的は、先日もこのブログに掲載したように、半島有事後にやってくる、北朝鮮の戦後処理ならびに戦後の朝鮮半島をめぐる新秩序樹立のための話し合いに日本の代表として参加することでしょう。そうして、この会議は当然のことながら、北朝鮮の敗戦がきまる少し前に行われることでしょう。

なぜなら、北朝鮮の敗戦の前にこれを決めておかなければ、さらに混乱が予想されるからです。混乱どころか、さらに戦争の火種になることもあり得るからです。

これについては、太平洋戦争(日本側の呼称は大東亜戦争)の日本の戦後処理と戦後の日本列島をめぐる新秩序樹立のために行われたヤルタ会談になぞらえて、「北朝鮮版ヤルタ会談」としてこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中韓メディアが警戒、小池氏は「安倍首相より右寄り」 日本政治の右傾化懸念する声続出―【私の論評】北朝鮮版ヤルタ会談に参加することが安倍首相の真の狙い(゚д゚)!
ヤルタ会談
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの会談の意義などについて掲載します。

この会談は、北朝鮮の敗北が濃厚になったときに開催されるでしょうが、米軍や中国軍、ロシア軍が北朝鮮領内に進駐する前に行われることになります。

そうして、この会議において、ヤルタ会談において敗戦後の日本の運命が決まったように、戦後の北朝鮮の運命が決まることになります。

北朝鮮を韓国に併合するのか、あるいは北朝鮮の領域はそのまま残し、新たな民主的政権を樹立するのか、あるいは北朝鮮の領域を米軍、中国軍、ロシア軍などで分割信託統治するのか、いずれにするかも定められることになります。

これはいずれ必ずそうなります。なぜなら北朝鮮の核、そうして政治体制は、日米にとって脅威であるばかりではなく、中国やロシアにとっても脅威だからです。そうして、これらは当然のことながら、日本を含める多数の国々に大きな影響を与えます。

そうして、この会談に日本が参加できる可能性はかなり高いものと思います。場合によって国連がからむことになるかもしれませんが、それはあくまで形式的なものであり、実際にはヤルタ会談のように少数の強国の話し合いなることが予想されます。

実際には、韓国や他の諸国なども形式上はこの会談に参加することになるかもしれませんが、やはり、米国、中露が実質的な役割を果たすことになるでしょう。

しかし、昨日も掲載したように、北朝鮮の核開発や政治体制が終焉後には、米国が半島情勢にかかわり続けることは難しいです。

なぜなら、朝鮮半島からかなり遠くにある米国は、北朝鮮の核の問題が解決された後にまで、この地域で影響力を及ぼし続けることには、根拠が薄弱だからです。それに対して、中露は、国境を接しているということで、戦後にも大きな影響を被る可能性があるということで、この地域に影響力を及ぼし続けることには、一定の根拠と合理性があります。む

そうなると、この会談では米国ではかなり不利な立場に追い込まれます。そこで、日本の存在が一躍クローズアップされます。

ますば、日本は海を挟んでいながらも、朝鮮半島の隣に位置します。中露のように、戦後にも大きな影響を被る可能性が高いため、この地域に影響力を及ぼし続けることには、一定の根拠と合理性があります。

中露だけに朝鮮半島の新秩序樹立させるわけにはいかない・・・・
そうして、米国は日本の同盟国であるということから、戦後もこの地域に影響力を及ぼし続けることに一定の根拠と合理性を主張することができます。

さらに、この記事に示したように、日本は安倍総理の外交努力により、インド、アセアン、オセアニアの国々とは、友好関係にあります。

そうなると、日本がこの会談で、これらの地域の仲介役として大きな役割を果たすことが期待されることになりそうです。

そうして、トランプ大統領は、外交の経験は少ないですが、経験豊富な安倍総理と共同でこの会談に参加することにより、トランプ氏単独で臨むよりはるかに有利な交渉をすることができます。

中露二国のみが、実質的に朝鮮半島の運命を決めるということには、米国は大反対でしょうし、他のアジアの国々も大反対でしょう。

本来、このような役割は韓国が果たすべきなのでしょうが、現在の韓国のリーダーは文在寅であり、文はこのような大役を果たせるほど能力はないということが、すでに暴露されています。

そうなると、やはり日本が、そうして安倍総理がこの会談で中露と他のアジア諸国や米国の間を取り持ち利害関係を取り持つことに大きな意義と意味があります。

安倍総理とトランプ大統領
やはり、この会談で日本は欠くことができないのです。日本がこの会談に参加しなかった場合、中露によって半島の新秩序が定められることになります。特に、中国の意向が大きく反映されるものになるでしょう。

そうなれば、海洋進出に着手した中国により、アジアにはさらなる脅威が温存され、結局北朝鮮の脅威がなくなっても、新たな中国の脅威により、アジアの冷戦状況はさらに継続されることになります。そうして、この状況が定着すれば、中国だけではなく、ロシアも海洋進出にのりだすかもしれません。

それでは、せっかく北朝鮮問題を解決したとしても、アジアの国々にとって新たな脅威が温存されるだけです。

やはり、日本が中露の防波堤となって、アジアの平和と繁栄寄与すべきです。

まさに、今年から来年にかけては、日本が朝鮮半島の新秩序を樹立するための会談に参加でき、リーダーシップを発揮でできるかできないかが決まってしまう正念場なのです。

安倍総理は、これを意図して意識して、今の時期に解散総選挙をする道を敢えて選んだのです。

戦後70年も続いた偽りの平和(実際には、拉致問題も発生していて平和だったとはいえないが)により、多くの日本人は、この会談の重要性には気づいていないようです。この会談に日本が参加できるできなのとでは、その後の日本は随分と変わります。

それは、ヤルタ会談で戦後の日本の運命が決まったのに匹敵するくらいに、変わることが考えられます。もし、日本が会談に参加し、世界中の国々が納得できるようなアジアの新秩序を樹立するこに貢献できれば、日本はヤルタ会談で決まった、戦後体制の呪縛からようやっと開放されることになるでしょう。

政治の世界でも、半島有事後の戦後処理、新秩序樹立にまで考えが及んでいるのは安倍総理のみではないかと思います。ほとんどのマスコミもこれには考えが及んでいません。

他の政治家は、「解散の大義」などと語っていますが、あまりにも平和ボケ過ぎて、安倍総理の考えなど全く理解できないのでしょう。

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2017年10月3日火曜日

麻生副総理の「武装難民」発言を裏付ける防衛省極秘文書の中味―【私の論評】衆院選後は、戦後最大の日本の危機に立ち向かえ(゚д゚)!

麻生副総理の「武装難民」発言を裏付ける防衛省極秘文書の中味

麻生副総理

また失言?



9月3日、麻生太郎副総理は講演で、朝鮮半島有事の際には大量の難民が日本に押し寄せる事態が起こり得るとし、「武装難民」が紛れ込んでいる可能性を指摘した。

これを麻生副総理の新しい問題発言という扱いで報じたのが翌日の朝日新聞。

「『武装難民かも。警察か防衛出動か射殺か』 朝鮮半島難民を仮定、麻生氏が発言」

という見出しで、発言を紹介したうえで、記事の締めくくりでは、8月やはり問題視された麻生氏のヒトラーに関する発言を唐突に紹介している。「麻生さんがまたヘンなことを言っている」という印象を読者に与える構成だと言っていいだろう。

また、防衛出動の可能性を麻生副総理が口にしていることをとらえ、「防衛出動の理由として難民対応は想定されていない」といった解説も加えられている。

この見出しと論の運びを見ると、たしかに例によって麻生副総理が乱暴なことを言ったようにも見えてしまう。そそっかしい人ならば、麻生副総理が、

「北朝鮮から来た難民は武装難民かもしれないから、場合によっては射殺もあるわな」

と言ったように受け止めるかもしれない。

朝鮮半島から来る難民全般を念頭に、根拠もなく「射殺」する可能性があると口にしたのなら、なかなか過激な発言である。

しかし、実際には麻生氏は「武装難民」が来たときのことを考えよ、と言っているのに過ぎない。この場合の「武装難民」とは何か。

実はすでに防衛省は、こうした事態のシミュレーションを20年以上前に行なっている。

1993年3月、北朝鮮が最初に核不拡散条約脱退を表明したのを受けて、防衛庁(当時)の統合幕僚会議がまとめあげた「K半島事態対処計画」という極秘文書。ここには、朝鮮半島有事で想定される様々な事態に対して、自衛隊がどう動くべきかが書かれている。同書の存在を初めて明るみにした『自衛隊vs.北朝鮮』(半田滋・著)から、難民に関する記述を抜粋して引用してみよう。



国内勢力と暴動の可能性も



「K半島事態対処計画」には、「難民対策」という項目が設けられている。その想定によれば、日本には北朝鮮難民の20%にあたる5万人と韓国難民の50%にあたる22万人の合計27万人という大量の難民が押し寄せる。

この中には「武装難民が流入する可能性がある」とも明記されている。テロやゲリラ攻撃を目的に、難民を偽装して日本に潜入する勢力である。

さらに組織名こそ記載されていないが、文書では「わが国在住の自国民」や「わが国の国内勢力」と呼応して暴動を起こす可能性も示している。

これらのケースでは都道府県知事が公安委員会と協議の上、内閣総理大臣に発動を要請する自衛隊法第81条の「要請による治安出動」が見込まれる。その際には警護や鎮圧目的の武器使用が認められることになる。小銃や拳銃などの小火器を持った武装難民であれば出動した部隊で鎮圧できる可能性はある。

ただ問題は、その時点で、前述の大量に押し寄せた一般の難民への対応もまた自衛隊が担当している可能性があるということだ。

数千人単位の難民を収容し、管理できる場所は、日本では限られており、自衛隊にお鉢が回ってくる可能性は極めて高い。

仮に各地の駐屯地に臨時収容所を設置した場合には、その対応だけでも大変な手間と人員が必要となる。一例として第四師団が3000人の難民を任された場合が文書には書かれている。

「管理地は法務省大村入国管理センターに近い植松訓練場(通称)。陸上自衛隊大村駐屯地の敷地内にある。

敷地内に350メートル×250メートルの仮設難民収容所をしつらえる。中央に6人用天幕を500張建て、敷地4辺のうちの3辺に簡易トイレ30個を設置する。残る1辺に野外給食車を置き、医療用天幕、給水所もつくる」

ここでの対応を間違えると、一般の難民が暴徒化することもありえるので、おろそかにはできない。しかし、たとえば上の体制には600人の隊員が必要となると見られている。これは普通科連隊の5割に相当する。軍隊は3割の兵を失ったら戦闘能力を失うという軍事の常識に鑑みれば、この部隊はもはや一般の難民対応だけで忙殺されるのは間違いない。

その間隙を狙って、難民を装ったテロリストが行動を起こす可能性を「K半島事態対処計画」は指摘しているのだ。

ところが、こうしたテロリストへの対応をどうするか、日本ではまだ議論すら行われていないに等しい。

麻生副総理がこの秘密文書に目を通してたかどうかは不明だが、少なくとも防衛関係者が、有事の際に「武装難民」がやってくることを想定していたのは事実である。

麻生発言に対してはなぜか韓国外務省報道官が「半島の平和と安全にマイナスの影響を及ぼす発言」「国粋主義的認識に基づいたもの」と批判をしている。しかし、国内の治安を保つためにも、あらゆる事態を想定するのは当然なのではないだろうか。

【私の論評】衆院選後は、戦後最大の日本の危機に立ち向かえ(゚д゚)!

半島危機の際には、在韓邦人の救出などの問題もあります。これについてもあまり論議はされていませんが、ここでは、日本国内で想定される危機のみをとりあげます。

それには、無論「武装難民」の問題もあります。それも含めて、半島危機には国内でどのようなリスクがあるか、以前このブログも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮有事が日本に突きつける8つのリスク【評論家・江崎道朗】―【私の論評】 森友学園問題で時間を浪費するな!いまそこにある危機に備えよ(゚д゚)!
江崎道朗氏
この記事は、今年の3月18日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、朝鮮半島有事の際に国内で懸念される事柄のみを以下に引用します。
 第3に、北朝鮮はすでに日本国内に多数のテロリストを送り込んでいて、いざとなれば発電所や交通機関などを攻撃する可能性が高い。 
 天然痘ウイルスをまき散らすといった生物・化学兵器を使用する恐れもある。天然痘ウイルスの感染力は非常に強いことで知られていて、感染者からの飛沫や体液が口、鼻、咽頭粘膜に入ることで感染する。北朝鮮は、天然痘感染者を山手線に乗せて一気に関東全体に広める生物兵器テロを計画しているという話もあり、こうした危機を前提に、ワクチンの準備も含め地方自治体、医療機関が予め対処方針を立てておく必要があるだろう。 
 第4に、韓国側の動きがある。北朝鮮有事となれば、韓国内にいる北朝鮮テロリストが蜂起し、韓国も大混乱に陥る可能性がある。その場合、韓国は態勢立て直しのために、朝鮮半島の外に軍事拠点を構築する必要がある。 
 いまのところ済州島を軍事拠点として想定しているようだが、いざとなれば在日韓国人保護を名目に日本の福岡または山口に韓国軍が来る可能性もあるし、実際に韓国政府関係者からそのような話を聞いたことがある。
 第二次世界大戦のときも、ドイツに全土を占領されたフランスは、イギリスに臨時政府をつくった。戦争となれば外国に臨時政府や臨時軍事拠点をつくることがあるが、そうした動きを韓国がしてきたとき、日本政府としてはどうするのか、検討しておく必要がある。 
 第5に、日米韓三か国が朝鮮半島有事対応に追われている隙をついて中国が例えば尖閣諸島に海上民兵――米軍はLittle green menと呼ぶ――を送り込んでくる可能性がある。日本としては、朝鮮半島からの避難民対応で海上保安庁の巡視船を日本海に配備しなければならず、尖閣諸島周辺はがら空きになる。もちろん自衛隊も朝鮮半島対応に追われている。 
 その隙を衝こうと中国なら考えているはずだ。正規軍を送れば国際社会から非難されるが、漁民を装った「民兵」が荒天を避けるために尖閣諸島に避難し、そのまま居座るケースが考えられる。
これに、ブログ冒頭の記事の、「武装難民+わが国国内勢力」も加えると、おおまかに全部で4つの危機が想定されるのです。

これらの危機を政府はある程度想定してある程度対応も決めているでしょうが、それがどのような内容なのか、未だ詳細は発表されていません。

さらには、必要な法整備なども、くだらない森・加計問題で国会での審議が無駄につかわれたので、ほとんどなされていません。

危機に対しては、備えがなければなりません。この備えをするために、安倍総理は衆院を解散したのです。

経営学の大家ドラッカー氏は、リーダーについて以下のように語っています。
 20世紀最高のリーダーがウィンストン・チャーチルだった。しかし、1928年から40年のダンケルク撤退までの12年間、チャーチルは閑職にあって、ほとんど無視されていた。時代が必要としていなかった。万事が平穏だった。少なくともそう思われていた。そして危機に襲われたとき、ありがたいことに彼がいた。 
 幸か不幸か、いかなる組織も危機に襲われる。必ず襲われる。そのときがリーダーに頼るときである。 
 リーダーにとって最も重要な仕事は、危機の到来を予期することである。回避するためでなく備えるためである。危機の到来を待つことは責任の放棄である。暴風雨を予期し、先手を打たなければならない。災厄の到来を防ぐことはできない。だが、それに対処すべき態勢の整った組織、すなわち士気高く、とるべき行動を知り、自信に溢れ、互いに信じ合う組織をつくることはできる。 
 訓練において重要なことは、将来への信頼を兵士にしみ込ませることである。信頼なくして戦うことはできない。
半島有事の際の日本のリーダーは誰でしょうか。それは、小池百合子氏でないことだけは確かです。やはり、安倍晋三氏をおいて他にはいないでしょう。

安倍首相のリーダーシップに関しては、日本ではマスコが全く報道しないため、ほとんど知られていません。 これに関する動画を以下に掲載します。



この動画をみると、安倍総理はインドでは8キロものパレードで大歓迎うけたことと、トランプ大統領には外交でかなりあてにされていることがわかります。

なぜそのようことになったかといえば、安倍総理の外交努力によって安倍総理は、ASEANやインドと関係が深いため、これらの諸国とトランプ氏と仲介役をしたところ、米国とこれらの国々の関係が飛躍的に良くなったという経緯があるからです。

このような実績持つ人は今の日本では、安倍総理をおいて他にありません。

これを考えると、半島有事の際の日本のリーダーは安倍総理が最適であると考えます。

衆院後には、「希望の党」「立憲民主党」も加えた、すべての与野党が、朝鮮半島有事の問題に真剣に取り組んでいただきたいです。

森友・加計問題に関しては、安倍総理もしくは与党に何か問題があったという明確な証拠がない限り、国会で審議をするのはやめ、司法の手に委ねるべきです。国会は、裁判所ではありません。

元々安倍総理や現政権を追求するためには筋悪であった、森友・加計問題ばかりに拘泥した民進党は、政策論争や目の前政局という大事な案件をないがしろにしました。

そのため、安倍総理による衆院解散にたじろぎ、小池百合子氏による「希望の党」の設立により、さらにたじろぎ、とうとう消滅することになりました。

今後も、筋悪の「もりかけ」に拘泥するような政党は、民進党の二の舞いを舞うことでしょう。

そんなことよりも、今は目前には選挙がありますが、それが終わったら半島有事という戦後最大の日本の危機立ち向かうときです。

それが一番大事であるということを安倍総理は理解しているようですが、他の党のリーダーたちは、平和ボケのためか、そうは思ってはいないようです。安倍総理の衆院解散の後、「希望の党」の設立で、現状の政治の世界は、大きな混乱に見舞われていますが、半島有事ということにでもなれば、それどころではない大パニックに見舞われることになります。

そんなときにも、平和ボケで、半島有事に真摯に対応しないような党は、国民に見透かされ、政治家個人はもとより、政党ですら放擲されかねません。

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