2017年11月14日火曜日

フェイクニュースにいかに対処するか―【私の論評】マスコミや野党は、全体主義的手法を用いることはもうやめるべき(゚д゚)!

フェイクニュースにいかに対処するか

朝日などのリベラル系マスコミの「報道しない自由」は偏向報道だ


米ハワイで、日本に向かうため大統領専用機に乗り込む際に手を振る
ドナルド・トランプ米大統領(2017年11月4日撮影)
 今年の新聞週間の標語は「新聞で 見分けるフェイク 知るファクト」であった。この標語からも今年の流行語に「フェイク」は「忖度」と共に選ばれる資格があるであろう。

 フェイクは米国の大統領予備選時に、ドナルド・トランプ氏の言動をCNNやニュヨーク・タイムズなどのリベラル系マスコミが悪意的に報道したことに対して、トランプ氏が「フェイク・ニュース(偽記事)」だと反撃したことで表舞台に華々しく登場してきた感がある。

 日本では通常国会の終盤で加計問題が浮上し、「行政が歪められた」という前川喜平氏の発言や野党の追及だけが大々的に報道され、誘致当事者の「歪められた行政が正された」という証言はほとんど報道されなかった。

 こうしたことから「報道しない自由」が「編集権を盾に都合の悪い情報は報道しないメディアを嘲笑するネットスラング(用語)」(宮脇睦「ネットバスターズ」『正論』2017年9月号所収)として話題になった。

 マスコミが恣意的に印象操作して「火のないところに煙を立てる」フェイク・ニュースを作り出すのであれば、「正確と公正」などを掲げる新聞倫理綱領や公正中立を旨とする放送法に違反する。

第1次大戦で出現した宣伝戦

戦争プロパガンダでは敵の残虐性を強調し、自国の軍隊は国民のためはもちろん、他国の民衆をも救うためにも活動し、残虐行為など行うはずもないという好印象を植えつける。

 第1次世界大戦では宣伝戦が大々的に活用された。その1つに、敵が捕虜の指を切り落とす残虐行為を行っているとの報道もあり、帰還兵たちは出迎えた人たちに指を出して「自分の指はあるよ」とVサインして見せた。ヴィクトリーのVに通じていることは言うまでもない。

第一次世界大戦中のドイツの徴兵用のポスター
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 フランクリン・ルーズベルト大統領は米国を第2次世界大戦に参戦させないことを公約して3選された。しかし、英国の苦戦を見かねた大統領は米国世論を参戦に誘導する。ドイツ挑発に失敗した大統領は日本を参戦させるように動く。

 日華事変では蒋介石を支援して宣教師を中心に反日宣伝戦に協力。国民党軍の戦いぶりを見た米国人ジャーナリストが「蒋介石はプリンターで戦っている」と書いたように、国民党軍はフェイク・ニュースを垂れ流して戦局を有利にする戦いを展開した。

 中国から帰米後、日華事変に関わる中国発の対日情報がフェイクであることを米国人に訴える努力をした上記ジャーナリストや元駐中国外交官らは、日米戦争が始まると「妨害者」として収監される。

 中国発のフェイク・ニュースがルーズベルト政権にいた200人を超す共産主義スパイによって拡大・拡散され、米国民を参戦に導き、また戦意を向上させるために使われたのである。

 戦闘行為の一環としての南京事件が「南京大虐殺」として今日世界に拡散するのも、東京裁判などにおける米国人宣教師たちのフェイク情報に負うところが大きい。

米国宣教師マギーにより撮影されたとされる、南京虐殺当時の南京市民の写真
多く女性が平静であるようにみえる、特に最前列の女性は満面の笑み。
 米国内では日本の南進に抗議して鉄屑など必需品の日本への輸出を禁止し、最後には血の一滴と称された原油の全面禁輸に踏み切る。「窮鼠猫を噛む」状況に追い詰められた日本はパール・ハーバー攻撃を行う。

 資源小国であった日本は原材料の輸入が制限されては付加価値を生む製品が作れないし、石油がストップされては国家機能が麻痺してしまう。

 ダグラス・マッカーサー元帥が解任され帰国後に議会で証言したように、「(日本は)安全保障上の必要」からABCD(米英中蘭)包囲網を打開する必要性に迫られ、やむを得ず開戦に踏み切ったのだ。

 しかし、戦争挑発人の大統領は日本が宣戦布告もしないで奇襲攻撃を仕かけたとするフェイク・ニュースを流し、「リメンバー・パールハーバー」を合言葉に米国民を戦争へ駆り立てた。

 「リメンバー・パールハーバー」はスペイン領フィリッピンを手に入れるために米兵が乗ったメーン号をスペインが爆破したように見せかけ、「リメンバー・メーン」を呼号して米国民を米西戦争に導いた43年前の再現であった。

 こうした宣伝戦は開戦や戦勝を勝ち取る手段で、年月を経て歴史家などがフェイクであったことを明らかにしてきた。

 しかし、中国の宣伝戦は日本を「悪徳国家」に落して、自国を倫理的に優位な立場に置き、共産主義の素晴らしさを人民に見せる建前上、一過性で終わらない。

戦争をプレイアップしたマスコミ

『朝日新聞の戦争責任』(安田将三・石橋孝太郎共著、太田出版、1995年8月刊)を読むと、「当時から日本を代表する(朝日)新聞」が「いかに虚報と偏向報道に明け暮れ、国民を戦争に導いたか」が分かる。

 本書は『読んでびっくり 朝日新聞の太平洋戦争記事』としてリヨン社から前年7月発刊され、版を重ねるが4か月後に朝日新聞社から著作権を理由に抗議され、絶版となる。

『読んでびっくり 朝日新聞の太平洋戦争記事』の表紙
 そこで著者は編集方法に工夫を凝らして改訂・再編集して上梓する。著者は「(朝日新聞が)戦争を美化、正当化し、国民の戦争熱を煽っている」状況を、記事そのものを通じて読者に伝えたかったと語り、あえて初版本の復刻版と呼んでいる。

 当時は戦争に悪影響を受ける部分は削除や書き換えるなどの検閲があり、統制を受けていた。

 しかし「統制を受ける前に、自発的に先回りして、統制側が望んだものよりも進んだ、より激しい戦争遂行、戦意高揚を説く記事を載せたらしいことが、記事を読めば伝わってくる」とも書いている。

 これは今日言うところのフェイク・ニュースであり、朝日が戦前・戦中、権力機構にいかに寄り添い、多くの日本人を死地に送り込んだかの証しでもある。だから、著作権を理由に、絶版に追い込んだとみられる。

 その朝日新聞は今や人権擁護、反戦反安保で護憲のエース格とみられている。慰安婦問題では意に反する強制連行をしたとして32年間も日本を難詰し続けてきた。

 しかし、「強制連行」がフェイクであることが分かると、「強制性」があったとする主張に替え、慰安婦像や慰安婦碑が世界に拡散する大本を作った。

 朝日は元記者の長谷川煕氏が言うように、共産党員でなければ朝日の記者に非ずといった雰囲気の中で読者を伸ばしてきた新聞であるから、当然の報道姿勢かもしれない。

 日本新聞協会は創立(昭和21年)に当って新聞倫理綱領を定めたが、環境が激変した中で21世紀にふさわしい規範として平成12(2000)年に新しい倫理綱領を制定した。

 新綱領の前文では「国民の『知る権利』は民主主義社会をささえる普遍の原理である。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである」(概要)と述べ、本文においては、「自由と責任」「正確と公正」「独立と寛容」「人権の尊重」「品格と節度」の5項目を掲げている。

 新聞の責務の大なることを綱領で謳いながら、正確でも公正でもなく、人権を蹂躙し、また日本の品格と日本人の名誉を貶めるフェイク・ニュースを流し続けることは、国家の崩壊につながりかねない重大事である。

都議選や倒閣に多用されたフェイク報道

都議選時(今年7月)の小池百合子東京都知事は国政にも大きな影響をもたらす存在であった。そこで、安倍一強を好ましく思っていなかった多くのマスコミが小池氏の影響力の極大化に尽力したことは言うまでもない。

 小池氏が知事就任直後のあいさつ回りで、自民党の都議会議長に握手を拒否されたとする映像が流された。

悪手拒否があったとされた、フェイク報道のキャプチャー画面
 都議選で自民党が惨敗した翌日のTBS「ひるおび!」がこの映像を流し、キャスターがこうした態度が(自民党)惨敗の理由の1つだとして、「握手ぐらいすればよいのに」と嘲笑する。

 しかし、前出『正論』によると、ネット民の検証で、実際は握手をしていることが判明しており、「同番組は握手をする直前と直後の映像をつないで放映」したのだ。


 宮脇氏は「TBSの報道ぶりは酷すぎる」と批判しているが、これは「報道しない自由」ではなく「捏造」である。

 野党は安保法案を「戦争法案」と喧伝し、テロ準備罪の法案審議では「喫茶店で話し合っただけで(犯罪者に仕立てられる)」かのように恐怖心を煽った。視聴者受けを狙った言い掛かり質問もいいところで、フェイク報道と言っていいだろう。

 野党が目指すのは安倍一強政治の打破であり、そのために「女の壁」をつくり、それを「強行採決」で突破する「暴走内閣!」に仕立てた。それでも、国民の間には安保法制やテロ準備罪も必要不可欠な法律との認識が強く、成立した。

女の壁=馬鹿の壁?
 しかし、加計学園の獣医学部新設問題が政府・自民党に与えた影響は大きかった。

 ほとんどのメディアが前川氏の発言を写真入り、スポーツ紙並みの大活字で取り上げた。朝日や毎日系の新聞テレビは「報道しない自由」を偏向報道に置き換えてフェイク報道をし続け、国民に誤った印象を与えて恣意的に安倍一強に打撃を加え続けた。

フェイク報道をした朝日新聞
 当事者であり、安倍第1次政権以前から誘致してきた元愛媛県知事の加戸守行氏は「取材は沢山きたが、都合の良いところだけ使われた」と語った通りで、こと加計問題では印象操作によるフェイク報道が横行した。

 その流れで、都議選では「報道しない自由」が効果的に活用され、自民党に大打撃与える結果となり、安倍一強打倒への声は非常な高まりを見せた。

夢と消えた共産主義社会

こうした状況下で、北朝鮮の核と弾道ミサイルの脅威が一段と現実味を帯びてきた。しかし、中長期的には中国の野望への対処が重要である。

 中国では汚職が蔓延して貧富の差が拡大し、年間の暴動が20万件以上という報道もあった。習近平総書記が進めた汚職追放が歓迎された。

 さらに運動を進めるためには強大な力が必要である。また貧富の差がなく、皆がひとしく生活を享受できるとするマルクス・レーニンの共産主義が提示する社会は、夢のような世界として期待されよう。

 そのためには歯ブラシ1本、靴下1足という細部に至るまでの国家による計画経済が不可欠である。

 数人の友人や家族においてさえ意見の衝突が起きる人間社会において、数万、数十万の地方自治体や、数百万、数千万の国家において矛盾を生じない方がおかしい。まししてや中国は13億人超の人口を有する国である。

 ちなみに、中国には現在400万人超の死刑囚がいると言われ、日本に換算するとほぼ40万である。戦後日本の実際の死刑は年間2~41人(1952年)であるところからも、社会主義は犯罪者を大量に生み出すシステムにほかならない。

 理論では夢の世界を抱かせた共産主義国家ソ連であったが、現実の過程では地獄の悪夢しか与えることができず、70年余で消滅した。その教訓から中国が学ぶところは大きかったに違いない。

 習総書記が掲げる「中華民族の偉大な復興」という中国夢を実現するためには、「戦争」で破壊をもたらしてはならない。当然ながら世界一の軍事力を背景にしながらも三戦をはじめとした超限戦を駆使して、孫子のいう「戦わずに勝つ」方策を追求することになる。

 「新時代の中国の特色ある社会主義思想」と名づけられた習思想の主な柱は、経済、政治、文化、社会、エコロジー文明の建設を総合的に進める「五位一体」と、小康社会の建設、改革の深化、法による政治、党の綱紀粛正を全面的に進める「四つの全面」とされる。

 反腐敗運動をさらに進め、政治・思想・組織に限ったこれまでの指導から、党政軍民学と東西南北中の一切を指導するとしているから、党による統制強化が一段と図られるということである。

 2012年ハリウッドでリメイクされた映画「1984年」より
 このためには徹底した監視と強力な統制が必要になる。そうした社会が何をもたらすか。すでにスターリン治下のソ連と毛沢東治下の中国で経験されたことではないだろうか。いや、習思想は、さらに統制を強めるという意味ではジョージ・オーウェルの『1984年』そのものの世界に近いかもしれない。

日本の対処

国家の名誉ある存続のためには、時には自衛戦争を含む強硬な態度をとることもやむを得ない場合がある。自衛力の保有は自然権であるが、条文上からは交戦権を認めないので、有効に活用できない。

 これでは脅威が存在する現実の国際社会で主権を行使して生き延びることはできない。

 日本の領土が不法に占拠され、国民が連れ去られる事案はこうした状況下で起きた。日本は9条ゆえに、自分自身で自国の首を絞める主権放棄にも等しい国家に成り下がっていたのだ。

 憲法前文は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べる。そもそも「平和を愛する諸国民」という認識がフェイクである。

 現実は国益を競う権謀術策の諸国家が存在する。そうした国家を信頼して「安全と生存を保持」するにはただ一つの地球共同体(国家)となる以外にないであろう。現在のところ、地球共同体は仮想世界でしかない。

 憲法の前文を受けて、第9条がある。そこで、現実に生き延びるために解釈改憲を重ねてきた。それでも、矛の部分は米国に依存し、日本は盾の部分だけしか保有していない。

 同盟国相互が信じ合うことは素晴らしいが、国益が衝突すれば同盟が一瞬にして崩壊することは歴史が教えている。

 習総書記の共産党大会における発言を見る限り、一党独裁体制をますます強め、言論の自由は制限され、国内の不満は圧殺されて聞こえ難くなる。

今年の共産党大会で挙手をする習近平
亡命中国人などは、習思想が「世界秩序を破壊し、民主国家を脅かす」とみている。先の党大会では中国に批判的なマスコミが排除された。この一事は今後の予兆であろう。

 特異な社会主義大国を目指す中国に対し、日本は盾と矛をバランスよく備えた「自分の国は自分で守る」意志と能力を備えた自己完結型国家を目指すべきではなかろうか。

 また、日本国民は一向に気にかけていないが、中国は北朝鮮以上の核兵器を保有し、現実に日本を目標にした弾道ミサイルを配備している。中国の大国志向から、日本への(核)ミサイルの脅威が登場しないとも限らない。

 今こそ、掘り下げた「核論議」(核装備ではない)をしておくことが必要ではないだろうか。

 覇権大国を目指す中国は、超限戦を駆使して南京事件以上のフェイク・ニュースで日本に汚名を着せ、また世論を分断して混乱と弱体化を企図するであろう。韓国もフェイク・ニュースで嫌がらせを続けている。

 法の支配は言うまでもないが、自由で民主主義、人権を重んじ、貴賤を区別しない日本であるファクトを世界に発信することが大切である。

 同時に、万葉集の「言霊の幸はふ国」であり、「言葉」に霊力が宿るとして、ファクトを重視する日本であることも再確認する必要がある。

【私の論評】マスコミや野党は、全体主義的手法を用いることはもうやめるべき(゚д゚)!

ブログ冒頭の記事、結局現在のマスコミのフェイクニュースに関して、全体主義の脅威・危機にについて警鐘を鳴らしているのだと思います。それは、2つの側面があります。一つは、日本の近隣の北朝鮮や中国のような全体主義国家による危機です。もう一つは、マスコミが煽る日本国内の全体主義化の危機です。

特に国内危機としては、マスコミや野党が、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」であり、「アベ政治を許さない」と言う揺るがない信念をもって報道したり、国会で論戦をしたていることです。しかし、これが多くの日本国民の民意でないなら、自分たちにの価値観の押し付けであり、これが成就すれば、全体主義へ大きく舵をきることになります。

確かに、今回の選挙では結局、与党側が大勝し、マスコミの目指す方向にはならなかったのですが、これは多くの人々がマスコミの価値観を拒否したということです。そうはいいながら、確かに大きな危機でもあったことは間違いありません。そうしてこれには、ネットの力が大きく作用したことはいうまでもないと思います。

もし、ネットが存在せず、多くの人々がマスコミの垂れ流すフェイク・ニュースを鵜呑みにしたとしたら、とんでもないことになっていたかもしれません。

現在では、若い層を中心に、テレビはあまり視聴せず、新聞はほとんど読まず、情報はもっぱらネットからという人が増えています。もし、この状況がなければ、とんでもないことになっていたでしょう。



2000年以前、インターネットを使うためには、まず「電話を掛ける」事が必要でした。常にインターネットを利用できる「常時接続」は大学や企業の研究所だけでした。

家庭では、3分10円の電話代を気にしながらの「ダイヤルアップ接続」が主流でした。事前にメールを書き溜めておき、電話を掛けるとまとめてメールの送受信を実行、その間にせかせかとホームページを見て回り、用事が済むとすぐにネットから切断するような使い方でした。

深夜23時以降に電話料金が定額になる割引サービスの利用者も多かったのですが、その影響で夜はネットが大混雑。電話を掛けてもプロバイダのアクセスポイントの回線が全部埋まっていてネットが利用できません。「話し中」の通知音を聞きながら、リダイヤルを繰り返すのが日課でした。

一方、携帯電話も普及しておらず、家庭の電話は家族共用。ネットの最中に家族がうっかり受話器を上げてしまい、通信エラーで強制切断、など事もよくありました。

私は、パソコン通信の時代からネットを利用していましたが、この時代はもっと悲惨で、ネット上で少し複雑なことや、時間のかかることをしてしまうと、電話代が4万円以上にもなっしまいました。これでは、とてもじゃないですが、ネットが情報源になるというようなことは期待できませんでした。

実際、パソコン通信やインターネットが普及し始めた頃は、私自身テレビや新聞の報道にあまり違和感を抱くことはありませんでした。ネットが普及したばかりの頃までは、私を含めて多くの人が新聞やテレビに相当印象操作をされていたのだと思います。



しかし、それもだんだんと変わってきました。その変化は、最初に携帯電話からおこりました。「通話」のためのものだった携帯電話に、「メール機能」がついたのは20世紀から21世紀に変わる間際でした。

「ケータイのメール」は瞬く間に日本中に広がり、ゼロ年代のコミュニケーションの主役に躍り出ました。とはいえ、携帯電話のエリア整備はまだ不十分で、「電波のいい」場所を探してうろうろする事もありました。

小さな画面、少ない文字数で多くの情報を伝えるために考案された「絵文字」が、大切な気持ちを伝えるための小道具として多用されるようになったのもこの頃でした。

各社が競うように種類を増やした「絵文字」は、その後海外でも注目を集め、いまや「emoji」として世界中で使われるようになりました。振り返ってみると、現在使われているネット上のサービスの多くが、この時代に生まれた考え方を下敷きにしている事に驚かされます。このあたりから、インターネットも常時接続が普及していきました。この頃から、ネットからの情報も豊富になっていきました。今や高齢層しか利用しないとされている「2チャンネル」もこの頃でできました。

iPhone3GS

2010年代に入ったころから急速に普及を始めたスマートフォン。私自身は、iPhone3GSが最初のスマートフォンでした。これは、2009年に発売されています。これは、基本的には今のスマホとほとんど変わりません。私の記憶では、このあたりではまだまだスマートフォンを普及せず、iPhone4でかなり売れだし、iPhone4Sでかなり売れだしたという記憶があります。

これにより、従来の携帯電話にはなかったバラエティ豊かなアプリ・サービスが生まれますが、その背景にはインターネットの技術がありました。この頃に現在のスマホから、様々な情報が入ってくるようになりました。現在の主だったSNSもこの前後にでてきたものです。

従来の携帯電話と比べ高い処理能力を持つスマートフォンでは、スマートフォン自身で高度なプログラムを動かす事ができ、また、直接インターネット上のサーバと通信が行えるようになったのです。

また、スマートフォンは、プラットフォームが世界共通になったという事も大きな出来事の1つです。海外で始まったSNSが日本でも定着し、インターネットの新しい使い方が広がりました。

メールのような1対1のコミュニケーションと、ホームページのような意識的な情報発信の中間のような形で、特に宛先なく気持ちをつぶやき、そしてそれを見たどこかの誰かが「いいね」を返す、そんな緩やかなつながりがインターネットを通して世界を覆うようになりました。

現在のインターネットは格段に使いやすくなった
このような時代では、マスコミや野党が、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」であり、「アベ政治を許さない」と言う揺るがない信念をもって報道したり、国会で論戦したとしても、自分たちの望む方向に世論を誘導することは難しくなりました。

特に若い世代は、安倍政権を支援するということで、保守化したなどと誤った認識を持つ識者などもいますが、それは間違いであり、若者は単純に雇用が良くなったことを評価しているだけであることをこのブログに以前紹介しました。

多数の若者は、マスコミがいくらフェイク・ニュースを流したとしても、ネット上で、安倍政権が雇用に関して、かつてないほどに改善したことを知ったのです。そうして、その継続を臨んだのです。だからこそ、若者を中心に安倍政権を支持したため、今回の選挙で大勝したのです。

野党、マスコミはそろそろ気づくべきです。どんな組織も、外に永遠に敵を作り続けることはできないのです。外に敵をつくり続けるということでは、韓国も、中国も同じです。

韓国と中国は、歴史の修正を行い、日本を意図して意識して、悪者にしたてあげ、国内での秩序を保っています。というより、そうしなければ、国民の巨大な憤怒のマグマが自分たちに直接向くと、自分たちは崩壊するしかなくなるので、それを日本に向けるようにして、一時しのぎをしているだけです。しかし、それはどう考えても長続きはしません。

野党、マスコミも同じことです。事実の修正(フェイク)で、安倍総理個人、与党を意図して意識して、悪者にしたてあげ、自分たちの存続を図っているのです。

考えてみると、これは全体主義に共通するやりかたです。

ナチスやスターリンなどの全体主義のシステムには最初から大きな欠陥があります。それは以下の三点に集約されます。
・永遠に敵を作り続けなければいけない(外にケンカ売る)
・外部からの資源の調達コストが上がり続ける(外から嫌われる)
・経済が破綻し、戦争に負ける(負けたら終わり)
 ナチスは連合軍を始め世界の大半を敵に回したため、資源の調達のためにポーランドやウクライナなど東欧の侵略をせざるを得ず、戦争の収拾がつかなくなりました。


経済システムの限界、そして独裁者という「絶対的個」はいつか死ぬという避けられないシステム不備があります。しかもそこに、国民個人の自由や幸福の追求はなく、生活水準もどんどん下がっていくことになります。
ナチス党大会
にもかかわらず、ドイツ国民はなぜ全体主義を支持したのでしょうか。
それはその当時代替案がなかったからです。全体主義は、格差と失業に苦しむ民にとっての短期的なソリューションだが、長期的に考えると破滅が待っています。しかし、絶望に苦しむ民にとって「無いよりまし」なのです。
「全体主義は間違っている」と反対しても、状況を変えるのは難しいのです。なぜなら全体主義は民にとって災厄ではなく「ソリューション」であったからです。
まずそのことを認めたうえで、必要なのは「あ、なるほど。そっちの方がより良い」と思える長期的な成功モデルの構築なのです
安倍政権は、長期的な成功モデルとして、金融政策を示して実際に成功しました。さらに、安全保障に関しても、新機軸を打ち出しつつあります。さらに、決して十分とはいえないものの、ここ20年で経済的は最もパフォーマンスが良く、安全保障の面でも高い能力を発揮しています。
しかし、野党やマスコミはそれを示せていません。ただただ「安倍政権を潰す」ことだけを表明するだけです。その後に何があるのか彼らは示しません。これも全体主義的です。全体主義では、具体的なビジョンはなく、既存の体制の批判をドグマ(教義)とします。

ヒトラーもそうでしたし、スターリンもそうでした。習近平もそうです。習近平が今年共産党大会で語ったことには、長期的な成功モデルの片鱗もありませんでした。あの悪名高い、毛沢東(大躍進、文革)や鄧小平(天安門事件)のほうがはるかにましです。

これからも、日本ではインターネットという「長期的な成功モデル」の一つであるインフラがある限り、政治的にも極端に全体主義的な方向に走ることはないでしょう。マスコミや立憲民主党や希望の党などの野党は、全体主義的手法を用いることはもうやめるべきです。そうでなければ、いくら既存の方向で努力したとしても、今回の選挙結果にみられるように衰退するばかりです。

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加計学園報道、もうマスコミは「敗北」を認めた方がいい

間違った指摘を繰り返すなら意味がない


経済学者 嘉悦大学教 高橋洋一


さすがに黙っていられない

文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)が、11月9日、加計学園の獣医学部新設計画に対し「可」とする答申を行った(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1398164.htm , http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398164_1.pdf)。

それに対して、マスコミがいろいろと報道をしているが、未だにお粗末であるから嘆かわしい。筆者は過去に何度も加計学園についての「疑惑報道」の問題点を指摘したが、本稿を改めて書いてみようと思ったのは、10日のNHKの報道(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171110/k10011219211000.html)があまりに酷かったからだ。

これを見ると、NHKは特区の役割と文科省設置審の役割がまったくわかっていないようだ。それであるのに、「文科省認可がおかしい」というトーンで報じている。

これらの報道を見ているときに思うことは、まず、マスコミは基本的なリテラシーがないということだ。役所から出す情報は、①法律・政省令・告示の公文書、②統計データ、③答申が基本である。ところがマスコミは、これらの基本情報すら読めない。これは筆者が官僚だった時代の実感でもある。

特に①と②については全滅、つまり理解できないのである。そこで、なんとか理解しようと官僚のレク(説明)を求めるのだが、こうなると官僚が記者を操作することが可能になる(いわゆる「役所ポチ」の誕生だ)。

さて、加計報道に関しては、まずメディアが①を読んでいないという致命的な欠陥が浮かんでくる。

本コラムの読者であれば、筆者が早い段階からこの問題について何度も書いてきたことをご承知だろう。その中で、一貫してマスコミは「加計学園獣医学部の設立に関しては、総理の意向があった」というが、各種の公表資料を見たうえで、「そんな意向はなかった」といってきた。

もちろん、マスコミが決定的な証拠を出せば、筆者の負けであるが、これまで週刊誌がこの問題を最初に報道してから9ヶ月程度がたっており、国会での関係者の証言などもあったが、総理の意向を証明するものはなかった。
マスコミにとっては、元文部科学省事務次官の前川喜平氏の証言だけが頼りであったが、結局前川氏も国会で明確にその「意向」を立証できず、その他の関係者は総理の意向を完全に否定していた。

筆者がなぜそうした結論に達したかは簡単だ。加計学園を特区で扱ったのは、大学学部認可の申請を行えるように告示改正をしたからだ。文科省設置審は、認可申請の後に認可審査を行うところであるのだが、NHK報道はこの点を無視しているのか、まったく言及していない。

大学学部認可というと大げさにみえるが、行政法では、「運転免許」と同じようなものである。行政の世界では、大学学部認可の申請といえば、大学が「自動車学校」に入学するような話であり、大学学部認可とは、大学に「運転免許」を与えることを意味する。その後、文科省の設置審が「可」の答申を出すことは、自動車学校において、学科・実地試験に合格することと同じである。

このたとえで、加計学園の問題の本質がわかるだろう。次ページでその本質を説明しよう。

文科省の開き直り

要するに、加計学園はもともと自動車学校へ入学する(新たな学部の申請を行う)という段階で、免許合格までは保障されたものではない。メディアはこの段階で「総理の意向があったはずだ」というのだが、そんな初期の段階で、偉い人の助けを借りるだろうか。筆者の役人の時の経験からいっても、入学の段階でわざわざ総理の意向なんて介在する余地などない。

しかも、大学学部認可は、50年以上も申請させていなかったという。これは本コラムで、認可制度の運用として、違法まがいであることを指摘してきた。たとえばある学生には自動車学校への入学をさせない、という規制であり、現実にそんなものがあれば問題になるだろう。

しかも、申請させないという規制は、法律ではなく告示という形でなされた、文科省だけの判断によるものである。

このたびの加計学園の問題では、50年以上も新学部の申請をさせないという「ゆがんだ行政」が、申請できるように「正された」だけである。

筆者がはじめて加計学園の問題を聞いたとき、認可の申請をさせるような規制緩和(告示改正)なら簡単にできると直感した。公表されている内閣府と文科省との間の議論をみれば内閣府の完勝である。だから、総理の意向なんてありえないと思ったところだ。

ところが、文科省は卑劣にも「総理の意向があった」と文科省内文書に書き、それをマスコミにリークした。それがほぼ半年前である。そのときは、安倍総理が改憲の意向を強めているという新聞記事が出た直後なので、改憲潰しに加計問題を利用するつもりかと思ったくらいだ。

そのとき、出てきたのが前川喜平氏である。筆者は、自らが手がけた天下り規制がようやく本格的に適用できた文科省の組織ぐるみの天下り斡旋問題で、その首謀者に前川氏がなっていたことを知っていた。

それが明るみに出たのが今年初めであり、前川氏は文科省天下りを組織ぐるみで行っていた責任をとって今年3月に辞任した。本来であれば懲戒免職ではないかと思い、官邸関係者に聞いたこともある。

しかも前川氏は、新国立競技場の建設をめぐっても、高額発注で問題を起こしたことがある人物だ。その段階で通常であれば役人を辞めるのだが、文科省ではなぜか生き残ってきたのは、役人の経験がある筆者から見れば不思議だった。文科省は一般に三流官庁と言われているため、人材が不足しているのだろう。

これ以上は、税金の無駄遣いでは…?

いずれにしても、マスコミが問題をみつけた当初の段階で「疑惑」と報道するのはいい。それは彼らの重要な役割でもある。しかし、最初の週刊誌報道から9か月も経っている。文科省文書のリークを朝日新聞が報じてからも半年経っている。その間、マスコミは疑惑を言い続けているが、何も新たな決定的な証拠を示していない。

もともと、これは「悪魔の証明」であり、「そんなものはない」という人に挙証責任を負わせるべきものではなく、疑惑を指摘する側のマスコミが決定的な証拠を示さないと話にならない。

疑惑と言い続けているのは、マスコミが仕事をできないことを白状しているようなものだ。普通の民間企業であれば、半年も進展のないプロジェクトであれば、もう終わりにすべきだろう。

また、これを延々追及する国会議員も情けない。もちろん、これもマスコミと同じで、決定的な証拠をつかめたのなら話は別だ。ただ、彼らもさんざん血税を使って調べたはずだろう。それでも答えを出せないものを追及するのは、税金の無駄使いでしかない。

去る10日には、毎日新聞が改めて前川氏の話を聞いて「(加計学園獣医学部)「認可すべきではない」前川氏が疑問呈す」と報じた(https://mainichi.jp/articles/20171111/k00/00m/040/101000c)が、これも酷かった。

認可すべきでない、というのなら、どうして現役の官僚の時に、そうした行動をとらなかったのか。不思議で仕方ない。前川氏については、本コラムで何度もその主張の問題点を書いてきたが、この記事の中でも致命的なものがある。

ネットでは、前川氏の「(加計学園には)博士課程もないのに先端研究ができるわけがない」という主張に対して、飯田泰之氏が「一期生が最終学年になるまで博士課程は設置できない」といったことが取り上げられていた(https://anonymous-post.com/archives/15671)。

しかし、これはやや勘違いだろう。大学院は、大学院大学と言うくらいで、学部とは独立した存在である。学部のない大学院大学もある。つまり、学部がなくても大学院は設置できるわけだ。

そうであるので、飯田氏のいう「一期生が最終学年になるまで博士課程は設置できない!」というのは、ちょっと勘違いだとは思う。大学院設置の関係文書をみても、そうした規制は筆者の見る限りない。

医学部が37年ぶりに新設され、加計学園と並んで話題になった国際医療福祉大は、昨年の17年度に学部を開設している(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1376289.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2016/08/26/1376289_02_2.pdf)。

そして大学院は、今年の18年度大学院開設になっている(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/1398164.htm http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/daigaku/toushin/attach/__icsFiles/afieldfile/2017/11/10/1398164_2.pdf)。

これを見れば、学部と大学院は同時に開設しなくてもよいことが分かる。常識的に考えても、大学は学部申請をするだけで忙しく、大学院も同時に申請することはできないだろう。しかも、昨年の国際医療福祉大医学部の時には、前川氏が事務次官であったときだ。そのとき、大学院はまだ認可していない。

それにもかかわらず、今回の加計学園で「加計学園には大学院がないから問題」ということは、自分が現役官僚時代にやったこと否定するもので、いかにも前川氏らしい、二枚舌・ダブルスタンダードであり、自分への大ブーメランとなっている。

こんな人のコメントを載せるぐらいしか「追及」の方法がないのなら、もう報道する価値はないはずである。いったいいつまでマスコミはこのことについて報道するのか、さすがにあきれてしまう。

最後に、マスコミ報道も「やり過ぎ」というレベルになれば、「根拠なく加計学園の名誉を毀損し、営業を妨害した」となりかねないのではないだろうか…という懸念を表明しておきたい。

【私の論評】現状のままでは野党もマスコミもかつてない程弱体化する(゚д゚)!

高橋洋一氏の以下の主張を私なりにもう少しわかりやすくしてみようと思います。
加計学園はもともと自動車学校へ入学する(新たな学部の申請を行う)という段階で、免許合格までは保障されたものではない。メディアはこの段階で「総理の意向があったはずだ」というのだが、そんな初期の段階で、偉い人の助けを借りるだろうか。
加計学園を受験生とします。これが、文部省大学という大学の入学試験を受けることになつたとします。この受験生は文部省大学に対して、受験の申請を行い、文部省大学が加計受験生に対して、受験票を交付しました。無論受験票を交付されたらといって、大学に即合格というわけではありません。

この受験生は、文部省大学が指定する、日付・日時に試験場におもむき、所定の試験を受けて、その後試験結果の判定を受けて合否が決定され、合格ということになれば、はじめて文部省大学に入学することができます。この段階では、文部省大学に入学できるかできないかは、受験生はもとより、文部省大学側もわかりません。(いわゆる加計問題で、大学学部認可の申請に相当する)

大学入試では受験票を交付されたからといって合格するわけではない。受験生は
大学等が指定する受験会場に所定の時間におもむき試験を受けなければならない
この段階で、この受験生は不正入試をしたと疑われ、学長と受験生は友達関係にあり、文部省大学は不正行為をしたとされ、マスコミがこれを報道し、国会議員は国会でこれを追求しました。こんなことは、あり得ないだろうと高橋洋一氏は主張しているわけです。

ただし、この段階でこの受験生が何やら不正をしていたことがはっきりとわかるような証拠があれば、にわかには信じられないとはしても、確かに不正があったとできるかもしれないですが、数ヶ月たっても何の証拠もあがってきていないのです。

そうして、その後文部省大学の、入試担当の教員(いわゆる加計問題での文部科学省の大学設置・学校法人審議会にあたる)が、11月9日、加計学園の獣医学部新設計画に対し「可」とする答申を行ったが所定の手続きにより、この受験生の合格を決定したということです。

この段階で、不正があったというのなら、まだ話は理解しやすいです。ただし、この段階ばすでに不正があったとするのも、不自然です。受験票の交付の段階で、不正ありとすでに疑われていたのですから、その後入試担当の教員らがわざわざ不正行為をすることは考えにくいです。教員らは所定の手続きにしたがって、合否を判定したと考えられます。そうて、その後不正行為をしたという証拠も無論あがっていません。

それに、この疑惑は、受験票の交付時点での疑惑が主なものであり、そもそも、マスコミも野党の政治家も最初から筋悪の追求をしていたとしか思えません。

高橋洋一氏は、さらに以下のような主張をしています。
マスコミは基本的なリテラシーがないということだ。役所から出す情報は、①法律・政省令・告示の公文書、②統計データ、③答申が基本である。ところがマスコミは、これらの基本情報すら読めない。これは筆者が官僚だった時代の実感でもある。 
特に①と②については全滅、つまり理解できないのである。そこで、なんとか理解しようと官僚のレク(説明)を求めるのだが、こうなると官僚が記者を操作することが可能になる(いわゆる「役所ポチ」の誕生だ)。
①については、特区のワーキング・グループの議事録なども、私はこのブログにも掲載し、不正行為があり得ないことを主張しましたが、 マスコミはそれすらもしていません。マスコミや野党も、②の統計もほとんど閲覧している様子は伺えませんでした。

やはり、マスコミも野党も、基本的なリテラシーに欠けているとしか思えません。これは、財務省や日銀関連の報道にも良くみられることです。マスコミは、役所の発表した資料や官僚が説明をした内容を咀嚼することもなく、そのまま報道していることがほとんでです。経済に関するまともな知見などないのでしょう。

このブログでは、マネジメントの原則から見た民進党消滅の要因を掲載したことがあります。これは、民進党に限らず、マスコミにもあてはまると思います。その記事のリンクを以下に掲載します。
リベラル勢力たちの自業自得 「反安倍なら何でもあり」では国民から見捨てられるだけ―【私の論評】マネジメントの原則から見る民進党消滅の要因(゚д゚)! 
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に短くまとめます。
第1は、自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」と定義してしまうと、本来の使命を考えなくなってしまうことです。

これは、誰が考えてもわかります。「政権や権力と戦うこと」自体は、手段に過ぎません。「政権や権力」と戦って、相手を潰したり、あるいは弱めたりすれば、自分たちの主張が通りやすくなります。 
これは、あくまで自分たちの主張を通すための手段です。戦って、相手を潰したり、弱めた後には、自分たちは何をしたいのか、何をするのかはっきりしていなければ、全く意味がありません。 
経営学の大家であるドラッカー氏はリーダーシップと、使命について以下のように語っています。
真のリーダーは、妥協を受け入れる前に、何が正しく、望ましいかを考え抜く。リーダーの仕事は、明快な音を出すトランペットになることである。(『プロフェッショナルの条件』)
ドラッカーは、リーダーシップとは、人を引きつける個性のことではないといいます。そのようなものは煽動的資質にすぎないとしています。まさに、「安倍政治を許さない」は、扇動的キャッチフレーズに過ぎないものです。
第2に、「アベ政治を許さない」では、まともな意思決定ができないということがあります。経営学の大家ドラッカー氏は、意思決定について以下のように述べています。
決定においては何が正しいかを考えなければならない。やがては妥協が必要になるからこそ、最初から誰が正しいか、何が受け入れられやすいかという観点からスタートしてはならない。(『経営者の条件』)
決定においては何が正しいかを考えなければならないというのは、別な方面からると、誰が正しいか、誰が間違いであるかを考えてはならないということです。

これは、誰でも理解できます。社会問題を解決したり議論するときに、「誰が正しい、誰が間違い」などと議論することは不毛な結果しか招きません。やはり、「何が正しい、何が間違い」という議論をすべきです。
第3に、民進党は、「アベ政治を許さない」という信念に凝り固まって、妥協の仕方が下手だということもあります。ドラッカーは次のようにも述べています。
頭のよい人、しかも責任感のある人は、せっかくの意思決定も実行されなければ意味がないと思う。そのため、最初から落としどころとしての妥協を考える。(『経営者の条件』)
安倍総理は、意思決定においては、最初から落とし所の妥協を考えているわけではありません。無論政治の世界には妥協はつきものなので、全く考えないということはないですが、少なくとも、野党と比較するとその度合いはかなり少ないです。

ドラッカーは、妥協について以下のように述べています。
妥協には2つの種類がある。1つは古い諺の「半切れのパンでも、ないよりはまし」、1つはソロモンの裁きの「半分の赤ん坊は、いないより悪い」との認識に基づく。前者では半分は必要条件を満足させる。パンの目的は食用であり、半切れのパンは食用となる。半分の赤ん坊では妥協にもならない。(『経営者の条件』)
ソロモン王の裁きの故事に基づく絵画 「ジェームズ・ティソ作 19世紀」


この3つの要因は、そのままマスコミにも良くあてはまっていると思います。ただし、第3の項目は、さほど当てはまってはいないようにもみえます。政治の世界は、何を行うにしても妥協の産物にならざるをえないところがありますが、マスコミはビジネスであり、政治の世界ほどは妥協は少ないからです。

それにしても、ある程度は妥協は必要ですが、マスコミも妥協の仕方は下手なようです。おそらく、「加計問題」でも、正しい妥協ができないマスコミがでてくるのではないかと思います。

いくら自分たちの使命は「政権や権力と戦うこと」であり、「アベ政治を許さない」と言う揺るがない信念をもって報道にあたっても、今回の選挙でも野党はボロ負けしています。

希望の党と、立憲民主党をあわせて、130以上の議席でも獲得できれば、野党として政治にある程度大きく関与できたでしょうが、現実には105です。これでは、まともに立ち直るだけでも数年はかかるでしょう。

マスコミは良かれと思い、「加計問題」でも、野党を応援するような報道を行ったにもかかわらず、この有様です。

今後も筋悪の「加計問題」を追求し続ければ、野党にとっては良いようにもみえますが、最初から何の生産性もない問題に野党を拘泥させることになり、野党は政策も、政局も見失いますます衰退していくことになると思います。

野党がますます衰退することになれば、今のままではあれば、マスコミも衰退することになるでしょう。この場合、マスコミも妥協を行い、「加計問題」からは距離をおくなどの正しい妥協を行えばよいのでしょうが、妥協の仕方を誤れば大変なことになるでしょう。

今回は、加計問題を受験生にたとえてみましたが、この架空の受験生のようなことが本当に起こったとして、私や私の家族がこの受験生だったとしたら、マスコミが疑惑を報道しつづけるというのなら、私は確実にマスコミや野党の議員を訴えます。

これは、高橋洋一氏も指摘していますが、今までも酷かったですが、これからも酷いことをすれば、加計学園が訴訟を起こすことになりかねません。そうなれば、当然のことながら、野党の関与も調べられることになります。不正の証拠がないということになれば、有罪になる可能性は高いです。

そうなれば、野党もマスコミもかつてないほどに、弱体化することになると思います。そうして、今のところはその確率が非常に高いと思います。

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2017年11月12日日曜日

米WSJ紙、文大統領を激烈批判「信頼できる友人ではない」 韓国メディアは狂乱状態―【私の論評】「北朝鮮版ヤルタ会談」から締め出された韓国(゚д゚)!

米WSJ紙、文大統領を激烈批判「信頼できる友人ではない」 韓国メディアは狂乱状態

韓国文在寅大統領(右)との会談を終え、記者会見するトランプ米大統領
 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対し、米有力紙の「ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)」が激烈な批判を見舞った。北朝鮮に融和的かつ、中国に擦り寄る文氏の行動について、「文氏が信頼できる友人だとは思えない」などと社説で指摘したのだ。同紙の記事を、韓国メディアは相次いで取り上げ、狂乱状態となっている。

 ドナルド・トランプ米大統領の訪韓(7~8日)について、韓国紙は社説で好意的な評価を示していた。

 《トランプ大統領初来韓、韓米同盟の新たな契機に》(朝鮮日報)

 《深い共感を得たトランプ訪韓…「力を通じて平和を守る」》(中央日報)

 だが、トランプ氏の訪韓成功との見方は、韓国側の一方的な思い込みに過ぎなかったようだ。米保守層に支持されるWSJは7日付の社説でこんな見出しを掲げた。

 《South Korea’s Bow to Beijing(韓国、中国にひざまずく)》

 米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」をめぐり、中国から“報復”を受けていた韓国は最近、中国と、(1)米国のミサイル防衛システムに加入しない(2)日米韓の安全保障の協力は3カ国軍事同盟に発展しない(3)THAADを韓国に追加配備しない-ことで合意したとされる。

WSJは、こうした文氏の「媚中外交」と、北朝鮮に融和的な「従北」姿勢を徹底批判した。文氏の掲げる「バランス外交」を「中国の圧力に直面し、自国や同盟国の安全保障に関して譲歩もいとわない姿勢は、バランス外交とは程遠いものだ」とし、「文氏が取った一連の行動は、(北朝鮮の)金正恩(キム・ジョンウン)氏を包囲するための同盟関係を損なうものとなった」と指摘した。

 韓国紙は、米国側の真意を知り驚いたのか、相次いでWSJの記事を取り上げた。

 中央日報は「トランプ大統領が訪韓した際には『偉大な協力』『非常に大きな進展』などの発言が出てきたが、最近の(文氏や文政権の)行動を見ると望ましくないということだ」と分析。朝鮮日報は同紙に寄せられたネットユーザーの賛否両論を掲載した。

【私の論評】「北朝鮮版ヤルタ会談」から締め出された韓国(゚д゚)!

「握手のため右手を出した文氏をトランプ氏が無視」
とささやかれるシーン=7日、ソウルの青瓦台
韓国内で衝撃的な映像が話題を集めています。7日に開催された米韓首脳会談で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がドナルド・トランプ米大統領に握手をしようと右手を差し出したところ、トランプ氏が“無視”。そのまま別の場所に移動する瞬間が捉えられています。

これに敏感に反応したのが韓国のネットユーザーでした。同国の掲示板「イルベ」では「(握手を)意図的に無視した」に始まり、「トランプ、文在寅パッシング」「ついに文在寅にキレた」ときて、とどめに「どれだけ(文氏が)嫌われてるんだよ」とてんやわんや。

ミサイル、核実験と国際社会をおびやかす北朝鮮に対して、金融支援の検討を表明するなど空気を読めない自国のトップ。国民も「無視されてやむなし」の印象なのでしょうか。この点では、韓国マスコミより、韓国民のほうが正しく状況を把握していたといえると思います。

この日の早朝文氏は、トランプ氏の最初の訪問先の米軍基地で待ち受けるサプライズを演出していました。様子を携帯電話で動画撮影していた韓国側報道官が米側にトランプ氏を撮るなと制止されました。本来、前線の将兵らと分かち合うべき時間に割り込んだ文氏一行への不信感とも読み取れます。

その場で、トランプ氏は「文氏と貿易について会談する。米国に多くの雇用が創出されること。それが私が来た一番の理由の一つだ」とぶち上げました。会談後の記者会見では「韓国は数十億ドル(数千億円)に達する米国製兵器を発注する」と成果を強調しました。

トランプ米大統領は訪韓中、盛んに韓国を持ち上げ、韓国の頭越しに日中首脳とだけ北朝鮮問題を論議する「コリア・パッシング」は「ない」と明言しました。しかし、2者会談は26分間で終了しました。通訳を除くと実質的な協議は十数分間にすぎず、初日のゴルフだけで2時間半以上を費やした安倍氏とは比ぶべくもありませんでした。

トランプ大統領は、ビジネスライクな姿勢を隠しもしませんでした。安倍晋三首相との“蜜月”との格差を図らずも浮き彫りにしました。

この傾向は前からありました。韓国政府は、北朝鮮問題で韓国だけ疎外されるという、いわゆる「コリアパッシング」の懸念は決してないと強調していました。

北朝鮮が発射した弾道ミサイルが今年日本領空を最初に通過した後、トランプ米大統領と安倍首相は二日連続通話し緊密な対応策を議論しました。

しかし、北朝鮮問題の最大の当事者ある韓国首脳の話し合いは後回しでした。今年7月に、北朝鮮がICBM発射訓練をした時も、韓米首脳間の即時通話はありませんでした。

これに対して、多くの韓国人は「コリア・パッシングではなく、文在寅・パッシングだ」と受け取ったようですが、本当にそうなのでしょうか。1950年の朝鮮戦争当時から、停戦協定には米中北は、含まれていますが、韓国は含まれていないという事実があります(実際署名はこの三国による)。

北は、当時のソ連の傀儡とみて間違いないですから、実際には米中露によってなされたものとみるべきでしょう。いずれにせよ、韓国は含まれていないとみるべきでしょう。

それにしても、その後韓国が日米韓の関係を緊密にして、北朝鮮への対峙姿勢を露わにして、旗幟を鮮明にしていれば、少なくとも今回の「北朝鮮版ヤルタ会談」に関与できたかもしれません。

トランプ大統領が8日の国会演説で「世界4大女子ゴルフ選手は皆、韓国出身だ」と韓国女子プロゴルファーの活躍を称賛すると、議場は拍手に沸きました。「奇跡」の経済発展など韓国をたたえるのに言葉を惜しまず、拍手は20回を超えました。

トランプ大統領の韓国国会での演説
演説前には、前大統領、朴槿恵被告の釈放を訴えるプラカードを持ち込もうとした議員が警備員につまみ出される一幕もありました。

国会前では、トランプ氏の訪韓に反対する団体が「韓国から出ていけ!」と叫びました。反対派はトランプ氏の行く先々でデモを計画しましたが、2万人近い警察を動員し、トランプ氏の目にとまらないよう力で押し込めたのが現実でした。これは、日本ではほとんどみられない光景でした。

韓国国会前ではトランプ大統領訪韓反対デモが開催さた
文政権を悩ませたのは親米・反米に二分した国論だけではありません。拉致被害者家族との面会を実現させ、対北圧力で一枚岩を見せつけた訪日と比べ、1泊だけの訪韓に不満を抱く韓国世論の突き上げを受けていました。

文氏の提案で、トランプ氏は8日早朝、南北軍事境界線がある板門店の非武装地帯(DMZ)のサプライズ視察を試みたのですが、トランプ大統領は悪天候で断念。先回りしていた文氏が待ちぼうけを食いました。

文氏と対北観で大きな違いを見せてきたトランプ氏は「韓国は単なる長年の同盟国以上」とのリップサービスで表向き韓国世論を安心させ、先端兵器の売りつけという実益を手に、北朝鮮問題で最大の協議相手である中国に向かったのです。

これでは、どうみてもドナルド・トランプ米大統領の訪韓(7~8日)について、韓国紙は社説で好意的な評価を示したのは間違いです。最初から、最後まで失敗であったとみるべきです。

そうして、このような報道ぶりからみれば、何に失敗したのかも理解していないようです。最大の失敗は、もう韓国は北朝鮮有事の後の新たな東アジアの秩序づくり、いわば「北朝鮮版ヤルタ会談」には実質的に参加できないということです。

「北朝鮮版ヤルタ会談」については、このブログでも紹介したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」―【私の論評】北朝鮮版「ヤルタ会談」のキーマンは安倍総理(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、「北朝鮮版ヤルタ会談」に関係している部分のみを以下に引用します。
北朝鮮問題に関しては、今年の末から、来年の前半あたりには必ず何らかの動きがあります。最悪の場合は、米国による爆撃などの武力行使があることでしょう。この場合、中国の参戦もあるかもしれません。あるいは、制裁に北朝鮮が折れて何らかの進展があるかもしれません。 
いずれになるにしても、間違いなく、来年前半あたりには必ず動きがあります。
安倍総理とトランプ大統領
その前に、11月に日米首脳会談、米中首脳会談があります。また、APECでの各国首脳会談には、ロシアも出てくるでしょう。それらの国際会議では、北朝鮮問題が話し合われるのは間違いありません。これらは、北朝鮮版「ヤルタ会談」ともいうべきものです。 
「ヤルタ会談」とは無論のこと、第二次世界大戦終了直前の当時のアメリカ合衆国イギリスソビエト連邦による首脳会談です。ソ連対日参戦国際連合の設立について協議されたほか、ドイツおよび中部・東部ヨーロッパならびに極東における米ソの利害を調整することで、大戦後の国際レジームを規定したものです。これが、後に東西冷戦の端緒ともなりました。 
こうした北朝鮮版ヤルタ会談ともいえる、会議において、安倍首相は大きな役割を果たす可能性が高まってきました。これらの会議では、北朝鮮が最終的に戦争に突入した場合と、制裁に屈した場合の両方について、協議が行われることでしょう。
「北朝鮮ヤルタ会談」では、ポスト北朝鮮有事(北朝鮮の危機が去ったあとの体制)が話し合われれることになります。

というより、日本にトランプ氏が訪問し、もうすでにその一部は話されているはずです。そうして、韓国ではトランプ氏はこの話はほとんどしなかったでしょう。だからこそ、首脳会談の時間が異常に短かったのです。

米中会談でも当然その話をしたことでしょう。さらにその後のAPECでもその話は継続されたとみて間違いありません。

このAPECでは番狂わせもありました。

ベトナム中部ダナンで開催されたアジア太平洋経済協力会議(SPEC)首脳会議に出席したプーチン露大統領とトランプ米大統領による正式な米露首脳会談が11日、見送られました。インタファクス通信によるとプーチン氏は同日、会談見送りは米露が外交文書の内容で一致しなかったことなどが背景にあったと会見で明かし、関係者を「処分する」とまで述べて強い不満を示しました。

両首脳は当初、正式会談の実施に前向きな姿勢を見せていました。会談見送りについては双方とも日程の問題などを挙げていますが、米国でロシアの米大統領選介入疑惑をめぐる捜査が進展する中、世論の反発が必至のプーチン氏との会談をトランプ氏が避けた格好です。ラブロフ露外相も10日、会談見送りの見通しを受け、米側を激しく批判していました。

一方、露大統領府によると両首脳は11日、共同声明を発表しシリア情勢での協力継続を表明しました。両首脳は、APEC首脳会議での記念撮影前に短時間協議したとみられ、その際合意したもようです。プーチン氏は必要なことは話せたとも語り、会談見送りの影響は少なかったと強調しました。

この会談でも、当然のことならが、北朝鮮情勢についても話されたと考えるのが妥当でしょう。とはいいながら、プーチン大統領としては、この重要な会談にあまり時間がさけなかったことに対して不満を表明したと考えられます。

トランプ、プーチン両大統領、歓迎夕食会で握手 APEC首脳会議
今回のトランプ大統領のアジア歴訪により「北朝鮮版ヤルタ会談」はかなり進んだものと思います。さらに、必要があれば、この会談は継続されるかもしれません。この話し合いに、北朝鮮と国境を接している中国とロシアが入るのは当然のことです。

さらに、この話し合いに朝鮮半島に海峡を挟んで接している日本と、その同盟国である米国が参加するのも当然のことです。

しかし、本来ならば韓国がこの会談において、大きな働きをすべきでした。しかし、THHADの配備では中国から不信感をいだかれ、米国側からは「媚中外交」と、北朝鮮に融和的な「従北」姿勢で不信感を抱かれ、日本に対する反日的な行動から、日本にも不信感をいだかれてしまった韓国は、当然のことながら、ロシアからも不信感を抱かれていることと思います。

最早、日米露中は、韓国を信頼していません。となると、韓国は「北朝鮮版ヤルタ会談」では完璧に排除されたとみなすべきです。そうして、もしこれからも会談があったとしても、実質的に排除されることでしょう。

結局、ポスト北朝鮮有事は、韓国にとって死活的に重要でありながらも、「北朝鮮版ヤルタ会談」から事実上締め出されたのです。

韓国は、最早自らの運命を大きく左右するかもしれない、会談に参加できないのです。しかし、これは韓国自身が招いてしまったことであり、欠局これからの新しいアジアの新秩序に全く関与することはできず、日米中露で定めた新秩序の中で生きていくしかなくなってしまったのです。

このことを文在寅も、韓国政府、国民もほとんど理解していないようです。

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2017年11月11日土曜日

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人民大会堂で開かれた歓迎式典に臨んだトランプ大統領(右)と習主席=9日、北京
写真はブログ管理人挿入 以下同じ
 ドナルド・トランプ米大統領は9日、就任後初めて訪問した中国・北京で、習近平国家主席と首脳会談を開いた。「貿易不均衡の解消」を迫るとともに、国際社会の警告を無視して「核・ミサイル開発」を強行する金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮への対応を協議した。朝鮮半島情勢が緊迫するなか、公式発表されない水面下交渉では「半島有事の対応」と「ポスト金正恩」が話し合われたとされる。東アジアや朝鮮半島の主導権をめぐり、中国が、米国の武力行使を黙認するだけでなく、「北朝鮮攻撃に参戦する可能性もある」と分析する識者もいる。

 世界が注視する米中首脳会談に先立ち、習氏は9日、北京の人民大会堂でトランプ氏の歓迎式典を開いた。両首脳の表情は険しかった。

 トランプ氏は前日午後、大統領専用機「エアフォースワン」で北京に入った。到着前、自身のツイッターに「習主席と会うのが、とても楽しみだ!」と書き込んだ。習氏との「交渉開始」への決意表明にも思えた。

 習氏は、トランプ夫妻をもてなすため、世界文化遺産の故宮を貸し切り、夕食会や京劇鑑賞を催すなど、異例の厚遇ぶりをみせた。ぎくしゃくする米中関係を踏まえて、両首脳の神経戦は始まっているようだった。

 首脳会談ではまず、「貿易不均衡の解消」が焦点だ。

 トランプ氏は1日、ホワイトハウスでの閣議で「中国に対する貿易赤字は巨額でひどい。金額を言うのも恥ずかしい」「米国は貿易で食い物にされているが、すぐに変わるだろう」と語った。

 中国の貿易統計によると、10月の対米黒字は266億2000万ドル(約3兆261億円)で、9月は280億8000万ドル(約3兆1920億円)。米国としては毎月、莫大(ばくだい)な貿易赤字が積み上がっている。

ロイター通信によると、トランプ氏の訪中に合わせて8日、米中間で90億ドル(約1兆円)の商談がまとまったというが、すずめの涙だ。

 タフ・ネゴシエーターであるトランプ氏は、さらに習氏に対して「貿易不均衡の解消」を迫ることになる。

 そして、最大の懸案が「北朝鮮問題への対応」だ。

 トランプ氏は8日午前、韓国国会での演説で、北朝鮮について、「カルトに支配された国だ。(正恩氏の祖父)金日成(キム・イルソン)主席が思い描いたような楽園ではなく地獄だ」「国際社会は、ならず者国家の核の脅威を容認できない」と断言した。

 そのうえで、対北石油供給の制限を柱とする国連安全保障理事会決議の全面履行を中国に要求し、「言い訳をするときは終わった」「脅威に立ち向かうのは責任であり、義務だ」と語った。これから乗り込む中国への「警告」にも聞こえた。

 これに対し、中国外務省の華春瑩副報道局長は8日の記者会見で「中国は真剣に国際的な義務を履行している」と反論するなど、米中両国は「圧力か、対話か」で対立しているように思えるが、違う見方もある。

 日米情報当局関係者は「トランプ氏は4月の米中首脳会談で、北朝鮮の『核・ミサイル』完全放棄について、習氏に100日間の猶予を与えた。ところが、習氏は“宿題”をこなせなかった。米中両国は8月、事実上の往復書簡で『暗黙の了解』をしている」と語った。

 往復書簡はまず、中国共産党機関紙・人民日報系の「環球時報」が8月10日の社説で、「北朝鮮が先に攻撃し米国が報復した場合、中国は中立を保つ」「ただし、米国が、北朝鮮の体制転換や朝鮮半島の政治情勢変更を狙うなら、中国は阻止する」と書いた。

 これは、朝鮮半島有事の中国参戦を定めた「中朝友好協力相互援助条約の無効」を示唆したものと受け止められた。

米国はすぐ反応した。4日後の同月14日、レックス・ティラーソン国務長官とジェームズ・マティス国防長官が連名で、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」に寄稿し、「米国は、北朝鮮に米軍を駐留させる意図はない」と表明したのだ。

 前出の日米情報当局関係者は「これは、米中両国が『北朝鮮という国家は残す』『正恩氏は排除し、核・ミサイルを完全放棄させる』『米中戦争にはさせない』という“暗黙の了解”をしたと受け止められている。トランプ氏と習氏は今回、『朝鮮有事の対応』と『ポスト金正恩』について、極秘交渉で話し合うはずだ」と語った。

 北朝鮮は来年にも、米本土や首都ワシントンへの攻撃が可能なICBM(大陸間弾道ミサイル)を手にする可能性が高い。年末以降の、半島有事が現実味を帯びている。この際、中国の動きが注目されるのだ。

 評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「中国が、北朝鮮を軍事攻撃する可能性がある」といい、解説した。

 「これまで地上作戦は、韓国軍が遂行する想定だったが、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権の『反日・反米・従北・親中』姿勢への不信感がトランプ政権に広がっている。代わりに、中国人民解放軍が担当する可能性がある。米軍がB-1B戦略爆撃機などで航空攻撃を、人民解放軍が地上での掃討作戦を担うものだ。地上戦で犠牲者を出すリスクを避けたい米国にとっても、中国の参戦は渡りに船だろう。今回の首脳会談で、互いの出方について腹を探り合うのではないか」

 一方、中国が攻撃に踏み切る要因は何か。

 東・南シナ海への進出を強める中国にとって、米国が南北の軍事境界線を越えて侵攻、駐留する事態は、都合が悪い。正恩体制後も、北朝鮮という「緩衝地帯」を確保しておきたい中国が「黙って米軍の攻撃をみているはずがない」(潮氏)というわけだ。

 トランプ氏は、習氏との会談後、ベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、北朝鮮への対応をめぐり、ロシアのプーチン大統領と話し合う方向で調整中とも伝えられる。

 「ポスト金正恩」体制に関する米中露3カ国の思惑が一致したとき、日本もまた重大な決断を迫られることになる。

【私の論評】中国の北朝鮮への侵攻は新たな火種を生むことに(゚д゚)!

中国・北京の人民大会堂で行われたビジネス会議に出席した、米国の
ドナルド・トランプ大統領(左)と、中国の習近平・国家主席(2017年11月9日撮影)
「トランプ氏の訪中に合わせて8日、米中間で90億ドル(約1兆円)の商談がまとまったというが、すずめの涙だ」とありますが、これはその後の進展があり、北京の人民大会堂で9日、トランプ大統領と習近平国家主席が見守る中、エネルギーや航空機など米中の巨額商談が続々調印され、会場は大きな拍手に包まれました。

8日調印分と合わせて総額2535億ドル(約28兆8千億円)にのぼった契約規模について中国の鍾山商務相は、「世界の経済貿易協力で史上最高の新記録を作った」と自賛しました。

調印されたのは、アラスカでの液化天然ガス(LNG)開発への中国からの投資430億ドルや、中国によるボーイングからの航空機300機調達で370億ドルなど、かねて交渉中の案件の“総まとめ”でした。

中国側は数字を1カ所に積み上げることで、対中強硬姿勢を公約に掲げて1年前の大統領選で当選したトランプ氏に、貿易不均衡の解消や雇用増大など米国の世論に向けて大きな“お土産”を持たせました。ロシア疑惑や政策停滞で、支持率が落ち込んだトランプ政権には“恵みの雨”になります。

その背景として、「2期目に入った習指導部は、政治も含む幅広い分野での対米取引で、ビジネスマン気質が濃厚なトランプ大統領に札束外交のカードを切った」(日中関係筋)との分析があります。

これで、習近平は何を目論んでいるのでしょうか。習氏は9日の共同記者会見で、新たな米中経済協力計画を策定し、貿易不均衡の緩和、投資環境の改善などを継続協議する、と強調しました。「札束外交」は、今後の習指導部による対外戦略の柱にもなりそうです。

私としては、これは習近平が、北に対して大規模な制裁や直接の軍師攻撃をしないことに対するトランプ大統領の攻撃の矛先をかわすためのものように見えます。

そもそも、中国は北朝鮮と本気で戦争などするでしょうか。中国が軍事的に成功しているのは、元々の国内や元々は外国だったチベット、ウイグルのみです。第二次世界大戦でも、現在の大陸中国は日本とは戦争をしておらず、実際に日本が戦った相手は、現台湾に退いた蒋介石率いる中華民国です。

これ以外に戦ったのは、ベトナムとだけでした。 1979年大量虐殺を行ったカンボジアのポル・ポト政権はベトナムの侵攻で崩壊しました。カンボジアを支援していた中華人民共和国は、これに対して「ベトナムへの懲罰行為」と称した軍事侵攻を開始しました。

ところが、中越戦争は中国は一方的に惨敗しました。無論当時とは異なり、中国の経済力はこの当時とは比べ物になりません。しかし、当時のベトナムは、無論核兵器やミサイルなど持っていませんでした。

しかし、現在の北朝鮮は違います。おそらく、北朝鮮の実践的な通常兵力では当時ベトナムよりは劣るかもしれませんが、現在の北朝鮮は核兵器やミサイルを持っています。

国内で不満分子を鎮圧したり、チベット、ウイグルなどとは根本的に異なります。

それに近年、中国軍高官が相次いで腐敗問題で失脚したことで、中国国内外に軍内部の深刻な贈賄や収賄が知れ渡ることとなりました。中国問題専門家はこのほど、高官は武器密輸などの方法で、贈賄のために横領していると指摘しました。

最近、収賄などで無期懲役を言い渡された元軍トップ郭伯雄氏らが莫大な金額の賄賂を受け取ってきたのは紛れもない事実です。軍内部では官職売り、または官職買いにつき、明確な相場があるるそうです。では贈賄した人たちはその後、どのように資金回収をしているのでしょうか。

元軍トップ郭伯雄氏
これに関して、中国軍に在籍経験のある中国共産党の歴史に詳しい高文謙氏は「中国共産党政権がいわゆる改革開放政策を打ち出した以降、軍は武器密輸、軍馬場(軍用の馬を飼育し海外に輸出する。また馬の飼育牧場をキャンプ地や観光地として民間人に開放する)の運営、様々な業種の大型国有企業との連携でビジネスを行って、金を集めてきた」と回答しています。

「贈賄を受けた人がどのように資金回収したのか。つまり軍内部では昇進と出世のため、一番下の兵士から排長(小隊長)幹部へ、その上の連長(中隊長)、営長(大隊長)、団長(連隊長)、旅長、師長クラスへと、下から上の各階級で贈賄を行っている」と高氏は説明しました。

より高い階級に昇進できれば、その権力と地位を利用して金儲けできて、また下の階級からも貢がれるため、兵士から将校まで皆贈賄や腐敗に奮走するというのです。

これは、昨日もこのブログで指摘したように、中国の人民解放軍の実体は、共産党の私兵であり、武装した商社ともいえるような特殊な存在であることを理解しなければ、到底理解不能だと思います。米国や日本の自衛隊などであれば、腐敗といっても、中国のような壮大なスケールにはなり得ません。新兵器導入などの際に便宜をはかり、賄賂を受けるぐらいのもので、とうてい中国人民解放軍のスケールには及びません。

中国政治評論家の陳破空氏は「兵士召集から腐敗が始まっている。男子が軍に入隊したいなら2万~5万元(約34万~85万円)、女子は5~10万元(85万~170万円)との相場で、軍幹部に賄賂を渡さなければならない」「軍内部の腐敗は至る所でみられる。国境防衛部隊なら、武器を密輸する。なかでは一部の武器を東トルキスタン解放組織(ETLO)まで渡っていた。また森林や鉱山など資源を守る部隊も、その森林や鉱山資源を勝手に他人や企業に売ることで金を儲けてきた」と示しました。

「軍内ではこのような噂が流れている。(収賄の罪で失脚し病死した元軍ナンバー2の)徐才厚が亡くなる前に、太子党の劉亜洲氏(現空軍上将)と劉源氏(元総後勤部政治委員、上将。15年に軍を退役)を除いたほとんどの将校から賄賂を受け取ったと話したようだ」「つまり、中国共産党内で昇進や出世したければ、賄賂を行わなければならない。軍内の腐敗は非常に深刻だ」と陳氏が話しました。

陳氏は、兵士や将校らは出世、賄賂、金儲けばかり考えているのだから、「中国人民解放軍の戦闘力は全くゼロに等しい」と指摘しました。

軍内では、徐才厚は総政治部と総後勤部を掌握し、郭伯雄氏は総参謀部と総装備部を掌握していました。二人とも江沢民の腹心で、郭伯雄は2002年~13年まで中国共産党中央軍事委員会副主席を務め、徐才厚は04年から13年まで、同じく党中央軍事委員会副主席だった。二人は江沢民の権力を後ろ盾に、軍内で大いに腐敗を行ってきました。


中国国内メディアの報道によると、14年3月15日に徐才厚が当局に身柄を拘束された後、家宅調査に当たった政府関係者らは北京市内にある徐の豪邸の地下室から、膨大な量の現金、金延べ棒、豪華な宝石装飾品、骨董書画などを見つけ、十数台の軍用トラックを使ってやっと全部運び出したといいます。

一方、15年に失脚した郭伯雄は軍内の将校に対して官職売りを行っていました。少将に昇進したいなら500万~1000万元(約8500万~1億7000万円)。中将に1000万~3000万元(1億7000万~5億1000万円)などの相場を付けたと言われています。

また香港メディアは、郭とその家族、また徐とその家族が不正蓄財した規模はそれぞれ200億元(約3400億円)以上と報じました。

無論、こうした軍の腐敗に対して、習近平も手を入れるには入れていますが、習近平自身がファミリービジネスでしこたま儲けているわけですから、すぐに人民解放軍の腐敗が是正されるとは考えられません。

それに、人民解放軍にはさらなる弱点もあります。中国政府が1970年代から進めた一人っ子政策で誕生した「一人っ子軍人」です。兄弟姉妹のいない環境で過保護に育てられた別名「小皇帝」が軍内部で増加。有事でまともに戦えそうにない“本性”を、災害派遣などの場面でさらしているといわれています。巨大な軍は、実は内部崩壊を招きかねない深刻な事態に直面しているのです。

両親から甘やかされて育った一人っ子たちが軍の中でかなり増え、わがままぶりを発揮しているそうです。2008年にあった四川大地震でも、救援活動の派遣を『危険だから』と渋った若手軍人がいたといわれています。いざ実戦となったら兵士として役に立たない可能性もあり、幹部らは彼らの扱いに苦慮していいます。

このような軍とは呼べないような武装組織である、人民解放軍がまともに戦えるとは思えませんが、まかり間違って北朝鮮に攻め込み、北朝鮮に進駐することにでもなれば、それこそ目もあてられない状況になります。北朝鮮は人民解放軍の不正の温床になるだけです。それどころか、金目のものといえば、武器、核兵器、核関連施設だけの北朝鮮と言っても良いくらいなので、これらを海外に売却するということもやりかねません。

かえって、治安を悪化させ、次の戦争の火種を生み出すことになりかねません。米国であろうが、中国であろうが、特に地上戦で北朝鮮を打ち負かした後に、少なくと50年くらい軍隊を進駐させて、民主的な政権を樹立して、自分たちで国を収めることができるように監視を続ける覚悟がなければなりません。

中国の人民解放軍にはそのような覚悟は最初からありませんし、そもそも民主化、政治と経済の分離、法治国家化もされていない中国の人民解放軍にはそれはできません。それこそ、腐敗の温床になるだけです。

やはり、米国が主体となり、国連軍を米軍を含む、先進国のいくつかの軍隊を進駐させ、監視をするという体制が望ましいでしょう。

レックス・ティラーソン国務長官とジェームズ・マティス国防長官が連名で、米紙「ウォールストリート・ジャーナル」に寄稿し、「米国は、北朝鮮に米軍を駐留させる意図はない」と表明したことは、全くの間違いです。これは、中国に対して勘違いをさせたかもしれません。中国はあいまいな態度をとると、誤解するという過ちを犯してきました。

2プラス2会議前に握手する(左から)小野寺五典防衛相、河野太郎外相、レックス・ティラーソン
国務長官、ジェームズ・マティス国防長官=8月11日、米ワシントン
過去においては、米国が南シナ海で、日本が尖閣において、曖昧な態度をとったことが、中国の誤解を招き、この地域での両国の中国への対応を困難なものにしてきました。このままでは、米国はまた中国に誤解を与えてしまうかもしれません。

一度の武力行使で、北朝鮮全土を掌握するのが無理というのなら、最初は爆撃などにより、北の核兵器、核施設を破壊し、一二年ほどして、次の段階で北朝鮮に進行するというような二段階で制圧するという方法もあると思います。

もし、北朝鮮と事を構えた場合、戦後処理を米軍だけで行うにはあまりに負担が大きいというのなら、国連軍としていくつかの国が分担して、北朝鮮に進駐して、完璧な核やミサイルの排除、民主的な政府の樹立に50年単位で取り組むべきです。その中に一部、中国の人民解放軍やロシア軍などが混じっているというのならまだ許容できますが、人民解放軍や、ロシア軍だけというのであれば、戦争の火種を残すことになります。

それこそ、中東やバルカン半島のように戦争が絶えない地域になってしまいかねません。中国の人民解放軍だけの侵入を許せば、戦後処理が曖昧となり、当の北朝鮮の人民にとっても中国にとっても、最悪の結果を招くことでしょう。

日本も、こうした事態に備えるのは当然のことです。先日もこのブログに掲載したように、日本は不測の事態に備えて、北朝鮮等に対して先制攻撃できる体制を整えるべきです。中国が単体で、北朝鮮に攻め込むような事態になれば、これは絶対にしなければならないでしょう。

なぜなら、中国が仮に北朝鮮を制圧することができれば、中国は尖閣諸島はもとより、南シナ海な他の地域への侵攻に自信を深めることになるからです。それほど、中国の北朝鮮への侵攻は危険なことです。米国はまだその危険性に気づいていないようです。

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2017年11月10日金曜日

中国政治は人民解放軍抜きに語れない―【私の論評】中国の体制崩壊はいずれ必ずやってくる(゚д゚)!

中国政治は人民解放軍抜きに語れない
2つのディレンマを抑え込む「共産党の軍隊」がカギを握る

 第19回党大会を終え、いよいよ「習近平1強体制」が固まってきた中国。「中華民族の偉大な復興」を掲げて大国化が進みつつあるものの、一方で、日本をはじめ周辺国との軋轢(あつれき)や不協和音も大きくなっている。単純に「友好」という言葉では御しきれなくなったこの国との関係を、今後どうしていけばいいのか。そのためには、中国をどんな国だと認識すればいいのか――。
 そんな問いに対し、「中国人民解放軍」に焦点を当てたヒントを提示しているのが、阿南友亮氏の近著『中国はなぜ軍拡を続けるのか』(新潮選書)である。
 著者の阿南氏は1972年生まれ。慶應義塾大学法学部、同大学院博士課程を経て、現在は東北大学大学院法学研究科教授を務める、中国現代政治史の専門家。
 阿南氏に、習近平「1強」時代に入った中国を考えるための視座について話を聞いた。

中国社会の不安定要因は格差

 中国とはどんな国なのか。歴史的に見れば、それは「国が社会の面倒を見ない」国、というものでした。人々は国に頼らず、自分たちの面倒を自分たちで見ていた。自然災害などが続いてそうした営みが行き詰まった時、彼らは国家に牙を剥き、王朝を倒しました。それが2000年にわたって続いたのです。
 そのサイクルに終止符を打とうとしたのが、中国革命だったと言えます。1911年に革命が勃発した際、その指導者の孫文は、民が国の主人となり、国は民の福利厚生のために存在するという近代国家を作ろうとしました。ところが、それから100年以上経ちましたが、いまだにその課題は充分達成されたとはいえません。今でも国家権力と民間社会の関係は、近代国家という基準からみれば、歪な形になっています。
 現在の中華人民共和国は、1970年末以降の「改革・開放」政策のおかげで、だいぶ豊かになり、世界的に注目されるようになりました。富裕層が大挙して日本を訪れ、「爆買い」する様子はずいぶんと報道されたものでした。
 ところが、こうした報道では、中国が抱える矛盾や歪みに関する言及はあまりありません。実は、日本にやってきて「爆買い」できるのは、14億人に迫ると言われている全人口のうちのほんのわずかでしかありません。中国政府の公式発表でも1人当たりのGDPはまだ8000ドルであり、人口の大半は日本円にして年収50万円以下で暮らしています。
「改革・開放」は、中国における「官」と「民」の間の矛盾を解決するために打ち出されたのですが、実は矛盾がむしろ深刻化するという事態になっています。

深刻な農村の貧困問題

 日本人は、近代国家ならば基本的に制度的な平等が担保され、国民を網羅した社会保障制度も整っているものと考えがちです。ましてや、中国は社会主義の看板を掲げているので、福利厚生が充実しているだろうとお考えの人もいるかもしれません。
 しかし、実はそうではないのです。中国では、都市部出身者と農村部出身者の間で、戸籍による制度的差別と巨大な格差が厳然として存在します。そして、8億人以上いる後者に関して言えば、21世紀に入るまで共産党が提供していた社会保障は粗末なものでした。共産党は2003年に農民を広範に網羅した医療保険制度の整備に着手しましたが、中国における医療費の高騰に対応できていないなど、いまだ課題山積の状態です。農民の自己負担が依然として非常に高くて家計を圧迫している、あるいは農民が出稼ぎ先の都市部の病院を利用できないといったことが中国国内でも問題視されています。
 また、2007年にようやく農村に導入された生活保護制度を見ても、毎月の支給額は、最大でも日本円にして4000~5000円程度に留まっています。2007年までは0円だったので、これを大きな進歩と評価する意見もありますが、年収が10万円しかない農民の場合、日本だったら間違いなく生活保護の対象となる一方で、中国では生活保護の対象とはみなされないため、全般的に言えば、農村の貧困問題は依然として極めて深刻です。
 要するに、中華人民共和国では、人口の半分以上を占める農民への公共サービスに回す資源が非常に低く抑えられてきたと言えます。
 もし日本のように、国家予算の半分以上を社会保障に使っていれば、オリンピックだ、万博だ、軍拡だ、対外投資だというところに派手にお金を使うのは困難です。これまで数億の農民の社会保障にあまりお金を使ってこなかったからこそ、そうしたことができたのですが、その点が日本ではあまり正確に理解されていないようです。

解放軍は「国家の軍隊」ではない

 そんな国家・社会関係を作ったのは誰なのか。もちろん、一党独裁を続ける中国共産党であり、人民解放軍(解放軍)だと言えます。
 これも重要なことなのですが、解放軍は「共産党の軍隊」であって「国家の軍隊」ではありません。これは1927年の解放軍の設立以来90年間変わりません。また、中華人民共和国は、内戦に勝利した解放軍によって作られたという経緯があり、軍人は中央・地方の統治ネットワークに深く関与してきました。
 1970年代の終わりから、中国は「改革・開放」政策に舵を切りました。当時から懸念されていたのは、共産党の一党独裁下でどうやって自由な市場経済を進めるのか、ということでした。そもそも、土地や工場といった生産手段をすべて共産党が握っているわけですから、よほどしっかりしたルールと監視体制によって党とビジネスの間に境界を設けないと、共産党の幹部ばかりが金持ちになってしまいます。そして、現実にそうなった。 こうした軍の存在を抜きにして現代中国政治は語れないというのが、私が今回の著書をつうじて特に強調したかったことです。
阿南友亮・東北大学大学院教授
 解放軍は、一貫して共産党の一党支配体制の重要な後ろ盾となってきました。「改革・開放」の旗振り役は、鄧小平でしたが、彼は長らく党中央軍事員会主席を務め、軍の統帥権を一手に握っておりました。
 鄧小平は、腹心の胡耀邦や趙紫陽を党と政府のトップに据えて「改革・解放」と呼ばれる規制緩和を大々的に進めました。ところが、共産党の独裁に対して異議申し立てをすること、つまり「民主化」要求には断固反対しました。それが1989年の天安門事件という悲劇を招いたのです。
 この事件において、鄧小平は解放軍を駆使して「民主化」運動を粉砕し、それによって中国国内は安定を取り戻したかに見えました。しかし、実際には、これにより国家権力と民間社会の間の矛盾は解消されないまま、蓄積されていくことになりました。

格差社会の要因は鄧小平の判断ミス

「改革・開放」は、もともと経済の自由化に向けた規制緩和をしつつも、党とビジネスをきちんと切り離すという指針に基づいて進められていました。しかし、鄧小平が「民主化」運動に寛容だった胡耀邦と趙紫陽を相次いで失脚に追い込んだため、党とビジネスの間に境界線を引く試みにブレーキがかかることとなったのです。
 そして、その後、鄧小平から江沢民に政権運営のバトンが渡されると、江沢民の地盤だった上海市などを中心に、「権力と資本の癒着」、すなわち共産党幹部が権力を駆使して金儲けに興じる現象が顕在化することになりました。このため、新たに台頭した富裕層には、共産党幹部とその縁者や取り巻き連中が多く含まれることになりました。では、共産党がそうした富裕層、すなわち金持ち共産党員に課税ができるかというと、なかなかできない。
 こうして、党幹部とその縁者がどんどん富を蓄えていく一方で、富の再分配(社会保障)の充実が遅々として進まないという構図が出現し、先進諸国でも類がない凄まじい格差社会が誕生することになりました。
 こうした事態は、不用意に胡耀邦と趙紫陽を失脚に追い込んだ鄧小平の判断ミスによって生じたと私は考えております。

結果として招いた2つのディレンマ

この重大なミスによって、中国は「2つのディレンマ」を抱えることになりました。第1のディレンマは、華々しい経済発展の裏側で、格差拡大に起因する社会内部の不満が、膨大な数の農民も巻き込む形で拡大の一途をたどっているということ。これは共産党の一党独裁を揺るがしかねない国内問題です。

 これに対して共産党指導部は、国内のディレンマの中和剤として排外的なナショナリズムを煽りました。しかし、これによって、中国自身の経済発展にとって不可欠なパートナーである各国との関係を不安定にさせてしまった。

 特に日本との関係は、誰の目にも明らかなように、どんどんおかしくなっていきました。今では、米国、フィリピン、ヴェトナム、インド、そして韓国との関係も不安定化しております。これが第2のディレンマです。

 現在の中国共産党は、これら「2つのディレンマ」を抱えており、その統治は決して安定しているとはいえません。そんな共産党の「安全保障」装置として、解放軍がいる。つまり軍の存在が、深刻な矛盾を内包する独裁体制の動揺を防いでいるのです。天安門事件は、その象徴的事例といえるでしょう。

 中国共産党の統治は、解放軍に大きく依存している。だからこそ、毎年多額の資金を解放軍に提供せねばならない。中国で進行している軍拡は、そうした背景を持っているのです。

共産党と民間社会を同一視してはいけない

 中国をめぐる議論をみると、共産党と民間社会を区別しないまま、中国をあたかも一つのまとまった集合体として見る傾向が目立ちます。しかし、これまで述べたように、中国は経済発展しているといっても、その恩恵は社会の隅々まで行き渡っているわけではありません。「爆買い」する中国人観光客を見て、これが中国の標準だと思ったら、大間違いです。
 中国では江沢民政権以降、国内の不満を党からそらすために排外主義的要素を多分に含んだ愛国主義教育を行ってきました。その結果、国内の言論空間では強硬な外交を求める声が充満するようになりました。その声に応えないと、国内の不満は共産党に向かうため、共産党は他国との対話で譲歩するのが難しくなりました。特に島嶼(とうしょ)や海洋権益をめぐる問題では、その傾向が顕著です。そこで、共産党は、解放軍を用いて他国に対してさかんに威嚇を行うようになりました。すなわち、圧力によって他国に一方的な譲歩を迫るようになったのです。その結果、中国外交は、今日のように、複数の国と同時に摩擦をかかえるという泥沼にはまってしまいました。
 したがって、日中関係を改善するには、中国共産党の抱える2つのディレンマの問題を緩和ないし解消することが重要な課題となりますが、これは決して容易なことではない。一方、日中間の民間交流は、今後も拡大していくと予想されます。
 そこで重要になってくるのが、中国共産党と中国の民間社会とを区別する視座です。今後も長引く可能性が高い日中の政府レベルでの摩擦に違和感やフラストレーションを覚えることは自然なことですが、共産党の独裁に起因する諸問題を確たる根拠もなく「民族性」に起因するものと主張し、「中国人はみんなこうなのだ」といったレッテル貼りを行うことは、中国の民間社会との共生さえも難しくするものです。
 逆に、このような外交面での対立が続いている間も、民間が地に足の着いた多面的な交流を今後も続けていければ、やがてそれが関係再建の土台となっていくはずです。

台湾問題には無関係ではいられない

 最後にもう一つ。この本では、解放軍の実力についても分析しており、日米と比べると装備全般が遅れた軍隊であるという評価を示しました。しかし、それをもって解放軍に起因するリスクを過小評価することがあってはなりません。
 それは台湾問題があるからです。中国は今でも、台湾を取り戻すことを大きな目標にしています。「台湾が独立を宣言したら、それは戦争を意味する」という思考回路は、中国社会にひろく浸透しております。
 そして、そのことは、日本にとって無縁の話ではありません。なぜなら、周辺事態法や平和安全法制によって、日本は米国の台湾防衛戦略に組み込まれているからです。しかし、日本社会では、そのような当事者意識は、決して高いとはいえないでしょう。
 日本人は、自国の外の人々の生命や権利が脅かされた時にどのような行動を取るべきなのか。中国の軍拡は、日本社会にこのような問題も突きつけているのです。
阿南友亮
1972年、東京生まれ。東北大学大学院法学研究科教授。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、同大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学(法学博士)。大学院在籍中に北京大学国際関係学院に留学。東京成徳大学講師、東北大学准教授を経て、2014年より現職。また2017年、東北大学公共政策大学院院長に就任。著書に『中国革命と軍隊』(慶應義塾大学出版会)、『シリーズ日本の安全保障5 チャイナ・リスク』(共著、岩波書店)など。
【私の論評】中国の体制崩壊はいずれ必ずやってくる(゚д゚)!
ブログ冒頭の記事では、人民解放軍は「国家の軍隊」ではなく、共産党の私兵であることが掲載されていました。そもそも、中国には普通の国でいう、軍隊は存在しないのです。これは、よく知られていることですが、上の記事でさらに人民解放軍が特異というか異常な組織であることが述べられていません。

中国人民解放軍女性兵士?彼女らは、総合商社の一員でもある\(◎o◎)/!
それは何かといえば、人民解放軍は日本でいえば、商社のような存在であり、実際中国国内外で様々なビジネスを展開しているという事実です。そのような存在でありながら、武装もしており、いわば武装商社のような存在です。そうして中には核武装もしているという異常な状況です。

そうした中にあって、この中国共産党の私兵は、上記で述べられた2つのジレンマにより、中国自体が崩壊してもおかしくないようような状況において、治安を暴力によって維持し、中国が崩壊しないように、人民を弾圧し続けきました。

そのため、この2つのジレンマは根本的に解決されないまま今でも、温存されています。第1のディレンマは、華々しい経済発展の裏側で、格差拡大に起因する社会内部の不満が、膨大な数の農民も巻き込む形で拡大の一途をたどっているというものです。第2のディレンマは、周囲の国々との関係がどんどん悪くなっていき、収拾がつかなくなっているというものです。

このようなジレンマの存在は、従来から知られていました。そうして、中国といえば民主化、政治と経済の分離、法治国家も遅れており、このまま中国が経済発展し続けていくことはあり得ません。

様々な中国崩壊本
ただし、08年の北京オリンピックの前後から、「反中国本」「中国崩壊本」はまるで雨後のたけのこのように日本で出版されてきました。しかし、未だに中国はの崩壊していません。そのため、これらの「中国崩壊本」に対しては批判も強まっています。

しかし、未だ中共が崩壊しないでいられるのは、中共(共産党)は胡錦濤(フー・チンタオ)政権末期の危機的状況に際し、成功体験である毛沢東時代を再現すべく習近平(シー・チンピン)に権力を集中させたからです。

テレビで報道された習近平一強体制の強化
この対応によって、何とか体制を保っていられるとみるべきです。しかし、それでも抜本的な問題を先送りしているだけで構造的問題の解消にはなっていません。おそらく、中共の現体制を10年間だけ延命しただけに終わるでしょう。

しかし、これらジレンマを抱えたまま、消費拡大を伴わず、公共事業と輸出に依存した、いびつな経済成長は到底持続不可能です。いずれ崩壊すると考えるのが妥当です。
バブル経済崩壊で日本も崩壊しましたが、日本人全員が路頭に迷ったわけではありません。同様に中国経済もいきなりゼロになることはあり得ないです。
ただし、中国共産党の体制は国防費と治安維持費の拡大、出稼ぎ労働者のための雇用創出など経済成長を前提としているため、成長がストップまたは鈍化すれば現体制を維持できなくなります。これが中国の崩壊です。その日は必ずやってきます。

私としては、中国のやり方などをみていると、ソ連が崩壊したような崩壊の仕方をするのではなく、いずれどう頑張ってみても、経済成長できなくなり、いわゆる中所得国の罠(中進国の罠とも言う)にどつぷりとはまっていることに気づくことになるのではと思っています。

中所得国の罠については、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
中国は「中所得国の罠」を抜けられない 今後の経済成長は線香花火に―【私の論評】中国の分析でも、中国は罠にどっぷりとはまり込むことになる(゚д゚)!

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事の結論部分のみを掲載します。
現在の中国の経済をたてなおすためには、楼継偉財政相が指摘するように、1・農業改革、2・戸籍改革、3・労働・雇用改革、4・土地改革、5・社会保険改革―の5点を何とかしなければならなのです。

そのためには、まずはこのブロクでも何度も主張しているように、ある程度以上の民主化、政治と経済の分離、法治国家化をすすめなければならないのです。現在の先進国は、これをいずれかの時期に達成し、経済的中間層を多数輩出し、それらが、自由で活発な社会経済活動がすることにより、社会・経済が発展し、中進国の罠にはまることなく、経済的にも軍事的にも強国になったのです。

今のままでは、中国は中進国の罠にどっぷりと嵌り込むしかなくなります。その果てには、図体の大きなだけの、アジアの凡庸な独裁国に成り果てるしかなくなります。見込みがあるとすれば、いくつかに分裂して、沿海部の大都市部を含む国もしくは、国々が、民主化、政治と経済の分離、法治国家化をなしとげ急速に発展することです。
結局、 楼継偉財政相が指摘する改革は、先に上げた第1のジレンマから抜け出すための手立てです。中国は、この他にも第2のジレンマから抜け出さなければ、結局中所得国の罠から抜け出すことができなくなることでしょう。

そうして、そこから本格的な崩壊が緩やかに始まり、その直後から世界の誰もが、中国が今後も発展して、米国の経済を追い越すようなときは永遠に来ないどころか、中進国のままで終わり、中国の夢がすべて夢で終わるという事態がやってくると思います。

そのときがいわゆる中国の崩壊です。その時、中国は現在のロシアのような存在になるかもしれません。おそらく、チベット、東トルキスタン、内蒙古や満州なども独立するかもしれません。

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