2019年12月24日火曜日

「低所得国」へ転落する日本…元凶は“平成のマネー不足”だ 2度の消費増税も足引っ張る―【私の論評】日銀の金融政策の間違いを正すことなく、インバウンド消費に期待しても、日本がニセコ化するだけ(゚д゚)!

「低所得国」へ転落する日本…元凶は“平成のマネー不足”だ 2度の消費増税も足引っ張る



話題になつた日経電子版のツイート ブログ管理人挿入


日本経済新聞の「年収1400万円は低所得」という特集記事が話題になっている。記事では、システムエンジニアという特定業種に関して、米住宅都市開発省の調査によるサンフランシスコでの分類から、1400万円を「低所得」としたものだ。

 平成の30年間について、筆者は所得が「平に成った」時代だと言っている。他の国では大きく増加しているのに、日本だけが「平に成った」ので、日本の所得は相対的に他国に見劣りするようになった。

 世界銀行が公表している統計で確認してみよう。日本、米国、中国について、ドル建て国内総生産(GDP)を1990年と2018年で比べると、日本は3・13兆ドルから4・97兆ドル、米国は5・96兆ドルから20・5兆ドル、中国は0・36兆ドルから13・6兆ドルと、日本は大きく見劣りしている。


グラフはブログ管理人挿入 世界の中で日本だけが実質賃金が低下し続けた

 世界銀行のデータで統計がある範囲でみる限り、1990年から2018年の伸び率において、湾岸戦争でダメージを負ったイラクが世界最悪だが、日本はイラクに次いで2番目に悪い数字だ。つまり、平成の間の低成長は、戦争が起こっていたときと同じ程度にひどい経済状況だったのだ。

 この間の世界におけるGDPシェアについても、米国は2・5ポイント減、中国は14・3ポイント増だったのに対し、日本は8・1ポイント減と大幅に下がった。

 国民の平均的な所得という意味では、「1人当たりGDP」のほうが適切だ。同時期の世界銀行のデータでみると、日本は2万5400ドルから3万9300ドル、米国は2万3900ドルから6万2600ドル、中国は300ドルから9800ドルだった。日本は伸びがなく、相対的に魅力がなくなっている。

 平成における日本の低成長期は、いわゆる「失われた10年(もはや20年、30年)」だ。原因には諸説あり、構造問題としての企業投資の不振、不良債権処理の先送りなどが多くの経済学者によって主張されてきた。筆者は、日本だけがマネー不足だったためだとみている。

 企業投資の不振は、マネー不足によるデフレ経済の結果であるし、不良債権問題も世界中にあり、処理の先送りは他国でもみられる現象だ。

 しかし、世界銀行の統計で、日本のみならず他国を含めたGDPの動きを最もよく説明できるのが、GDPの伸びと相関の高いマネーの動きだ。1980年代に日本のマネーの伸び率は10%程度あり、先進国の中では標準的だった。しかし、バブルへの反省と懸念から90年代にマネーの伸び率は急落した。これがデフレの原因でもある。マネーの動きは基本的に金融政策の分野であるが、緊縮財政もその動きに輪をかけた。要するに、マクロ経済政策の失敗が原因だ。

 アベノミクスでは、金融緩和政策によって雇用が確保できた。しかし、2度も消費増税を行い緊縮財政を維持したので、所得が上がるまでには至らず、大きな課題を残したといえるだろう。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】日銀の金融政策の間違いを正すことなく、インバウンド消費に期待しても、日本がニセコ化するだけ(゚д゚)!

ブログ冒頭の話を如実にあらわしているのが、以下のグラフです。


いわゆる、リーマン・ショックのときに、米国、英国、EUの中央銀行は、マネタリーベースを増やす政策をとったのですが、日銀だけがこれをしませんでした。そのため、日本は酷いデフレと、円高に見舞われ、リーマン・ショックの震源地である、米国等よりも、経済の回復が遅く、世界の中で1人負けの状態になってしまいました。

この時、日銀がとるべき政策は、無論大規模な金融緩和をすることでした。もし、日銀がこのときに、大規模な金融緩和に転じていれば、あれほどのデフレ・円高に見舞われることはなかったでしょう。

このグラフは、このブログにも度々掲載したので、記憶にとどめていらっしゃる方も多いです。

ちなみに、マネタリーベースとは、日本銀行が供給している通貨のことをいい、マネーストックの基となることから、ベースマネーとも呼ばれます。

そしてマネタリーベースは、現金通貨(日本銀行券や補助貨幣)と民間金融機関の補遺亭準備預金(日銀の当座預金に預けられているもの)を合算したものです。

マネーストックとは、通貨残高と呼ばれるもので、世の中に出回っているお金の総額のことです。

これは、金融機関全体が持っているお金が、経済全体にどの程度供給されているのかを見るために、利用されている指標です。

具体的には、金融機関や中央政府を除いた、一般法人や個人、地方公共団体が持っている通貨量の残高を集計したものを指します。

計算方法は、マネタリーベース×貨幣乗数あるいは現金通貨+預金通貨となります。

ちなみに、マネタリーベースはコントロールできて、マネーストックはできないというのは、もともとトンデモ理論であり、現実世界でもすでに2013年に、証明されていることなので、もう存在しないと言っても良いです。どっちもコントロールできますから、どっちで議論をしても良いです。

日銀は、平成年間のほとんどを金融引き締めを継続しました。そのために、日本では賃金も上がらず、経済も成長せず、今日に至っているのです。

その日銀も2013年には、異次元の金融緩和を実行したのですが、2016年にイールドカーブコントロールを実施して、緩和を継続はしてはいるものの、引き締め気味の政策を実行しています。

本来ならば、今年10月に消費税を導入したのですから、日銀はイールドカーブコントロールなどやめて、2013年の異次元の金融緩和政策に戻るべきです。

増税したまま、大規模な金融緩和もせず、政府が大規模な経済対策もしなければ、どうなるかは、わかっています。それは、高橋洋一氏が冒頭の記事で、主張しているように「低所得国」へ転落することになります。

「低所得国」になっても、物価が安いし、それにアウトバンウンド消費をあげれば、それで良いなどと考えるのは全くの間違いです。これについては、以前このブログにも掲載しました。
「日本は貧乏」説に「でも日本は住みやすいし楽しいから充分」と反論するのはもうやめないとオレら後進国まっしぐらだぞ―【私の論評】最も恐ろしいのは日本のニセコ化(゚д゚)!
まるで外国のようなニセコの現在の町並み
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
ニセコでの海外富裕層向けを中心としたコンドミニアムや別荘への不動産投資ニーズに、国内の不動産業者・銀行は、ほとんど応えられていないのです。海外不動産業者やプライベートバンクと海外富裕層との間には、独自のネットワークが形成され、日系企業が入り込む余地がほとんどない状態であるというのです。

それどころか、観光客のほとんどが外国人なので、現地で雇用も最近ではほとんどが外国人になりつつあるそうです。 
ニセコは、まさに「外国人の、外国人による、外国人のためのリゾート」と化していると言って良いです。地元ニセコ町の分析でも、民間消費や観光業の生産額のほとんどが、町外に流出超過だとされています。観光客や投資の増加は、もはや地域の収入には十分つながっていないというわけです。
日本が、日銀の金融政策の間違いを正すことなく、それによって低所得国であることを許容し続ければ、日本の賃金はさらに下がり、さらにインバウンド消費をあてにして、海外から多数の観光客を招くようになれば、まさに日本がニセコのような状況になってしまうのです。

日本国内にニセコのようなところが多くできあがり、多くの日本人は平均5000円のランチを出すような、外国人向けの施設には行くことができず、挙げ句のはてにそのような施設に就職することもできず、完全に締め出されてしまうことになるかもしれません。

しかも、外国人相手となると、国際情勢が大きく左右します。日本が平和であっても、海外で戦争が勃発することにでもなれば、日本を訪れる外国人がいなくなり、とんでもないことになるかもしれません。そうなれば、ますます賃金が下がり、前途有望な若者は海外を目指すようになるかもしれません。

今のままでは、この悪夢が本当になってしまうかもしれません。しかし、それを防ぐことはできます。それは、日銀にまともな金融政策を実行させることです。

それなしに、インバウンド消費を刺激しても、日本全体がニセコ化するだけです。

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2019年12月23日月曜日

沈没寸前の韓国と北。国際交渉人が憂う朝鮮半島の終わりの始まり―【私の論評】日本にとって、朝鮮半島の望むべき最良の状態は遺憾ながら「核つき分断現状維持」(゚д゚)!

沈没寸前の韓国と北。国際交渉人が憂う朝鮮半島の終わりの始まり

北朝鮮がアメリカに対し一方的に宣言した回答期限が迫ってきました。北朝鮮が示唆する「クリスマスプレゼント」が「長距離弾道ミサイルの発射実験」だった場合、朝鮮半島に訪れかねない最悪のシナリオをメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』の著者で国際交渉人の島田久仁彦さんが解説します。島田さんは、韓国、北朝鮮それぞれが国内において一枚岩ではなくなっている状況、とりわけ国際社会から相手にされなくなっている韓国の惨状から、朝鮮半島にある2か国の消滅までも「妄想」し、警戒を強めています。

沈没寸前の朝鮮半島~韓国と北朝鮮に訪れかねない終わりの足音

アメリカに対するハードラインが復活している北朝鮮。外交ルートを通じた激烈な非難と、トランプ大統領のレッドラインがどこかを探るギャンブルともいえる度重なるミサイル発射実験。そして、北朝鮮がアメリカからの回答期限と一方的に宣言した年末まであと2週間弱となり、自らの反応を“クリスマスプレゼント”に例えた執行部。

北朝鮮からのこれらすべての反応は、一言でいえば、究極の焦りの表れと読み解くことができます。

自ら宣言することでアメリカのビーガン特別代表を“引きずり出した”9月のストックホルムでの協議が、思いの外、膠着したことを受け、まるでアメリカへの当てつけのようにミサイル実験を連発して、アメリカへの“警告”を行っています。

ビーガン氏

最も顕著だったのが、先月に軍の高官が発言したとされる「武力行使はアメリカにのみ与えられた特権でないことを思い知ることになる」という内容は、さすがの北朝鮮外交部も焦ったのか、「遅々として進まないアメリカとの協議へのいら立ちの表れ」とすぐさま言い訳を行っていますが、一枚岩の対応ができなくなっているほど、国内の統制は崩れ、状況は逼迫していると捉えることができると考えられます。

このまま外交的な反米の狼煙を繰り返しているだけならば、まだトランプ大統領も、忌々しく感じつつも、恐らくまだ看過してくれそうですが、“クリスマスプレゼント”の内容が、長距離弾道ミサイルの発射実験を伴うものであれば、彼を取り巻く国内での状況を考えてみると、トランプ大統領としても何らかのハードな対応に出る必要が出てくる可能性が一気に高まります。

ウクライナ疑惑で下院が弾劾決議を可決したことで、トランプ大統領としては、選挙イヤーに入り、世論に対して何らかの目眩ませを発動する必要が出てくるのではないかといわれています。過去の政権の例に漏れず、言葉は悪いですが、ベストチョイスといわれるのが、それらしき大義を掲げて戦争をスタートすることです。

このメルマガでも何度となく、トランプ大統領が北朝鮮攻撃にゴーサインを出す可能性、そして極限のところでは“ボタンを押す”可能性について言及してきましたが、今、その可能性はかなり高まっています。

その理由は、今回、弾劾決議をした米下院を含め、議会上院も全会一致で「北朝鮮の核開発はアメリカの国家安全保障にとっての脅威であり、アメリカ政府は何らかの対応を取る必要性がある」という決議をしていることで、トランプ大統領としては、国内的には法的なお墨付きを取り付けているため、攻撃の決定を下しやすくなります。

加えて、これまでの政権であれば気にした国連安全保障理事会決議の有無については、極限まで国連軽視を行うトランプ大統領は、さほど気にはかけないだろうと思われ、アメリカ単独での行動に出る可能性はかつてないほど高くなっています。

クリスマスプレゼントの内容が、意に反して、『平和的解決を望むため、アメリカの要求を受け入れ非核化へのステップを踏む』といった内容のものであればいいのですが、このところの論調に鑑みたり、今週、ビーガン特別代表訪韓時に接触がなかったことを踏まえたりすると、2020年年初から、何らかの物理的な衝突が起こる可能性は否定できないと思われます。

仮にそうなった場合、これも以前より何度かお話ししていますが、韓国は被害を免れないだろうと思われます。過去の米政権は、同盟国韓国における被害の可能性を踏まえて、クリントン大統領なども北朝鮮への攻撃をためらってきましたが、GSOMIA問題や米朝間の協議に関する文大統領の勝手な邪魔、そして、あからさまな韓国の中国への接近などを踏まえて、すでにアメリカは断韓の動きを加速させている状況下では、トランプ大統領が北朝鮮攻撃をためらう理由に韓国の存在はないと考えられます。ゆえに、北朝鮮のみならず、韓国も大変な危機に直面しているということになります。

その韓国ですが、アメリカとの同盟がもう有効とは言えない現実に直面し(自らまいた種なのですが)、中国への接近を図っていますが、先々週の王毅外相のソウル訪問時の雰囲気から、習近平政権の韓国に対するフラストレーションが高まっていることが読み取れますし、「助けてほしければ、言うとおりにしろ」とでも言いそうな圧力をかけ、同等の国とは見ていない感じが見て取れます。

ロシアからはすでに相手にされていませんし、欧米各国も韓国切りをし、また欧州は自らの問題で手いっぱいで、極東で起きる事態に真剣に対処する余力はなく、日韓関係はいまだに最悪な状況が継続中です。まさに八方塞がりの状態です。

手を取り合い、笑顔を交わした北朝鮮も、今では、韓国を間抜け扱いで相手にしていませんし、南北朝鮮の統一の話も、もう長く北朝鮮からは出てこなくなりました。酷な予測をすれば、仮に半島の統一が起こるとすれば、韓国の手によるものではなく、恐らく中ロにガチガチに固められた北朝鮮の手によるものとなるでしょう。

つまり、北朝鮮も主導権は握れない統一となり、極論を言えば、朝鮮半島にある2か国は消滅するかもしれない事態です。(まあ、そう簡単には起きえませんが、可能性はゼロではなくなってきています)。

さらに現実味を帯びてくる要素は、韓国経済の終わらない低迷と、文政権への支持が日に日になくなっていく実態です。

韓国経済が国際経済から取り残され、外資の投資引き上げに直面しているだけではなく、海外市場での韓国企業の締め出しが本格化していることで、以前のデフォルトの状況を超える危機の寸前まで来ている瀕死の状態と言われています。ただでさえ混乱している国際経済へのショックを緩めるために、あまり表立っては語られていませんが、諸々の要素に鑑みると、相当やばい状況まで来ています。

そこに追い打ちをかけるのが、文大統領の統率力への疑問符です。ここにきて隠しきれなくなってきているのが、韓国の軍部が、文大統領からの指示に真っ向から反対することが多くなってきているという状況です。

以前、日韓の間で問題として取り上げられ、今の険悪な関係の引き金の一つとなったレーザー照射問題については、韓国の軍関係者曰く、「レーザー照射そのものは褒められたものではない。しかし、これまでは自衛隊との間で、現場レベルの問題解決ができてきた。それなのに、文大統領が、自らの反日ポリシーのためにこれを政治化し、さらに外交問題化したことで、韓国軍の威厳は地に落ちる結果に至った。もう彼の気まぐれには我慢ならない」とのこと。

完全な私の妄想かもしれませんが、これまで韓国大統領と言えば、逮捕収監されるか、殺害されるか(自殺も含む)という悪評がありますが、この軍の反文政権の態度が明らかになってきた今、もしかしたら来年あたり、クーデターを含む、何らかの動きがあるのかもしれないと予測しています。

もしこの妄想じみた状況が現実になったらどうなるか。そして、それがもし、北朝鮮への攻撃と時期が重なったらどうなるか。いろいろな状況や入ってくる情報に照らし合わせると、とても恐ろしいシナリオが浮かび上がってきますし、それが起こるprobabilityは、これまでになく高いといえると思います。

来年2020年、我が国が存在する北東アジア地域はどのようになっているのか。予測が非常に難しくなってきました…。

【私の論評】日本にとって、朝鮮半島の望むべき最良の状態は遺憾ながら「核つき分断現状維持」(゚д゚)!

冒頭の記事をご覧いただければ、再び朝鮮半島が混沌としてきたことが理解できます。

この混沌とした、朝鮮半島に関して、米国の戦略家であるエドワード・ルトワック氏が『日本改造論』という書籍で興味深い見方をしているのでご紹介します。

彼にかかると、今の混沌とした朝鮮半島情勢を整理して俯瞰してみることができます。



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ルトワック氏

まずルトワックは「朝鮮半島の未来」を4つの象限に分けることから始めます。
2本の縦軸横軸を引きます。

・左右の軸・・・「核保有」と「非核(保有)」・上下の軸・・・「統一朝鮮」と「分断朝鮮」
以下にルトワックの書籍から、この4つの象限を以下に引用します。


するとこのような分け方が可能です。

①北が核保有して統一
②北が非核化して統一
③北が核保有して分断
④北が非核化して分断

では現状はどうかといえば

・北のみが核保有している 
・朝鮮半島は分断されている
では北がなぜ核保有をすすめるのでしょうか。ルトワックはその理由を、「北朝鮮は核が中国からの自立と存続を保証している」からだ、としています。

したがって、このまま④のように朝鮮半島が分断されたまま非核化された場合、北は「中国に完全に取り込まれ、植民地になるだろう」と考えられます。

では逆に①のように核兵器を北が持ったまま統一されたらどうなるのでしょうか。ルトワックは「日本は核武装した半島統一国家と対峙・直面する」ことになり、それは北一国よりも更に危険な敵性国家を誕生させてしまうことになると考えます。実際、現在の韓国の経済規模はGDPでは、東京都並ですが、これは現在のロシアのGDPと同程度です。

核武装したまま、南北統一をすると、ロシア並のGDPを持った核保有国が半島に誕生することになるのです。

逆に②の「非核化された統一朝鮮」というシナリオはどうでしょうか。これは「米軍が韓国に駐留しないかぎり、統一朝鮮は中国に取り込まれる」ことになります。

なぜなら在韓米軍が撤退して力の真空が生じた場合、それを埋めるのは中国以外ないからです。

その場合、「朝鮮半島全体が中国の支配下に置かれたら、日本にとって大災厄になり、こめかみに銃をつきつけられた状態となる」でしょう。

朝鮮半島統一というのは、北が南に侵攻する可能性がなくなるということですから、DMZ(非武装地帯)はなくなり、在韓米軍の仮想敵国がなくなることですから、もういてもらう必要がなくなります。

すると在韓米軍が消滅し、非核化された状態の「朝鮮半島統一」は、イコール中国圏への吸収だということになります。

日本の保守系のネット言論には、在韓米軍が撤退しようとすることをやんやの喝采で迎える風潮がありますが、それは大間違いです。

彼らは同時に北の非核化も支持していますから、つまりこれでは非核化+在韓米軍撤退=中国圏への吸収、という構図が成立してしまいます

それだけでは済みません。ルトワックは指摘していませんが、中国はロシアと戦後最良の関係を結んでいて、極東の軍事的連携を強めています。

すると、中国統一朝鮮ロシアという軍事同盟が作られる可能性が生まれます。その場合、日本は南西方面からは中国、対馬側からは統一朝鮮、沿海州側からはロシアという三正面で対峙せねばならなくなります。

中国一国でも勝てる保証がないのに、その上に二つの核保有国がそれと同盟してしまった場合、もはや日本の運命は定まったようなものです。

さて、在韓米軍撤退という事態は、とりもなおさず韓国が米国の核の傘から抜けることを意味します。では、韓国はどこの核の傘に入るのでしょうか。

核の傘はいらないというローマ教皇の言っているような選択肢は無効とします。いかに「核なき世界」を夢見ても、現代が核の均衡でなりたっている現実は変わらないからで、価値観の問題ではありません。

ですから現実に韓国が米軍撤退と朝鮮半島の非核化をセットで掲げる場合、次にどこの核の傘に入るかを選択せねばならなくなるのです。

世界の「核の傘」は基本的に2つしかありません。核保有国はまだありますが、他国に核の傘を提供できるとなると米中の2国に限定されるからです。

ただし、韓国の場合もうひとつありそうです。それが北の核です。

そこで先の4つの象限を思い出してほしいのですが、米国の核の傘から抜けた場合、北の核の傘に入るのが最もスムーズでしょう。

多くの核兵器を持ち、多種多様な弾道ミサイルを保持する北は、韓国にとって憧れです。
北の核を「統一朝鮮の核」とすることができれば、これ以上いいことはない、これが文在寅の考えです。

では統一朝鮮はどの国と友好関係を結ぶのでしょうか。

同盟なしで自立した国をめざすという北の主体思想は、従属を続けた先祖に対する屈折した心理の産物でしかありません。

韓国にしても米国と喧嘩別れした状態でしか「統一朝鮮」は出来ませんから、自動的にその同盟の対象国は限られます。いうまでもなく、それは中国です。

しかし中国は「核武装した統一朝鮮」を絶対に認めないでしょう。そのような物騒なものを認めたら首都北京や、北方艦隊の根拠地青島、工業の中核都市天津が、「統一朝鮮」の核ミサイルの射程距離に入ってしまうからです。

統一朝鮮が国際的に承認されるためには、隣国であり常任理事国である中国の承認が必須ですから、「統一朝鮮」にとって核の存在は悩ましいこととなるでしょう。

ところでルトワックは韓国の行動の基本は、「従属相手を切り換える」点にあるとしています。

その時その時で、地域でもっとも強い相手に従属するのが、行動の基本パターンです。かつては日本に従属し、その後には米国に従属し、そうしていまは地域覇権国にして米国を凌ごうという野心を隠さない新興の中国に従属しようとしています。

以上を俯瞰すると、現状では、「核つき、分断現状維持」という半島の状況が日本にとって一番良い選択肢であることがわかります。

戦略的にみれば、朝鮮半島に北朝鮮と、核があることで、朝鮮半島に中国が浸透するのを防ぐ形になっています。これは、日本に基地を置く、米国にとっても同じことです。現状でこの形が崩れれば、日米にとって安全保証上かなり不安定になるのは確かです。

だかこそ、少し前までのトランプ大統領は、北が短距離弾道弾を発射しても、あまり苦言を呈さなかったのです。日本人は、北がミサイルの発射実験をすると、これをすぐに米国や、韓国や日本に向けた脅しとりますが、無論そうした面があるのは確かですが、これは同時に中国やロシアに対する脅しにもなっているということを認識すべきです。

これは、当然米国側も強く認識していることでしょう。米国としては、北が核を維持しつつも、米国の脅威にならない程度にとどめ、中国の朝鮮半島への浸透を防いでいる状況が望みえる最上の状況でしょう。特に、対中国冷戦を実行しつつある現状では、望み得る最上の状況です。

ただし、ルトワックは昨年あたりまでに、日本が安保で独自の道を歩む決心をしていれば、別の道も歩めた可能性もあるが、今や「核つき分断現状維持」の状況しか選べなくなってしまったとしています。

これについては、ここで解説していると長くなってしまいすので、興味のある方は『日本改造論』を是非お読みになってください。

さて、ルトワックは日韓問題が外交では解消できない、韓国民族固有の心理的問題だとしています。

それは日本民族に対して「恨」を抱き続けているからで、一度も日本とまともに戦ったことがないというコンプレックスが原因だとしています。

ルトワックは、この韓国人の「恨」心理を、ドイツと戦った国と戦わなかった国の心理と重ね合わせています。

戦わずナチスドイツにむしろ「従僕のようにドイツに協力した」国、たとえばスウェーデン人オランダ人が「超がつくほどの反ドイツ感情を保持している」のと同じ心理構造だとしています。

戦後生まれの韓国人からすれば、かつて日本に従順だった父親や祖父の世代を「恥」だと思っていて、消し去りたい過去だと考えています。

この屈折心理が、日本とは交戦関係にあったという「1911年独立政府」というファンタジーを生み出したわけです。

ルトワックは、このような韓国人の屈折した心理は彼ら自身では解消できないので、日本による客観的な歴史研究を公的にするべきだとしています。

ルトワック氏は、自分が代表をしてもいいとすら言っていますが、この部分は私は聞き流しました。というのはかつてそのような試みは何度もされたからであり、ことごとく失敗しているからです。

いくらこちらがまともに資料を積み上げて、多方面から日韓の歴史を分析したとしても、かの国は聞く耳を一切持ちません。

ですからあの国は変わりません。百年たっても、千年たってもあのままだということを前提にして対応すべきなのです。

今日の韓国は、いやおうなしに李王朝の時代に逆戻りしようとしているようです。李王朝とは、自立する国力を持たず、中華帝国の属国であることを自ら望んだ従属国家でした。

高宗(ゴジョン、こうそう、고종、1852年7月25日 - 1919年1月21日)は、李氏朝鮮第26代国王

そして次に再現されるかもしれない「李王朝」もまた、中華帝国の辺境に位置する属国なのです。

ただし、その時に彼らが核を持つのか持たないのか、国際社会が持たせるのか持たせないのか、それによってもシナリオは変化していくことになるでしょう。無論、南北核つきで統合ということなれば、日米にとっては無論、中国にとってもロシアにとっても、大きな脅威です。これは、不可能でしょう。各国とも結局は、当面は現状維持を望んでいるのです。

日米としては、「核つき分断現状維持」が保たれていれば、朝鮮半島情勢は当面大きな変化はないとみて良いですし、この状況を維持すべきなのです。残念ながら、特に日本にとっては、これが現状では望みうる最良の状況なのです。本当に情けない限りです。

日本が少なくとも、北に関して核基地等を「先制攻撃」をできる体制を整えるなどのことをしていれば、半島情勢は大きく変わっていた可能性もあります。

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中韓北3国への米国の怒り

トランプ大統領は、11月27日に「香港人権・民主主義法案」に署名した。さらに、米下院は12月3日に「ウイグル人権法案」を、407対1の圧倒的賛成多数で可決した。

「ウイグル人権法案」では、陳全国氏(共産党政治局委員で同自治区の党委員会書記)を制裁対象に指定するようトランプ大統領に求めているが、成立すれば、中国共産党の政治局委員の制裁指定は初めてとなる。


来年の米国大統領選挙は日本の安全保障に大きな影響を与える可能性がある

10月15日の記事「『ウクライナ疑惑』で、トランプの大統領再選は確実になりそうだ」や、11月6日の記事「米国は変わった、とうとう高官が共産主義中国を『寄生虫』呼ばわり」で述べた様に、今やトランプ大統領がハト派に見えるほど、民主党左派を中心とするタカ派(対中国強硬派)の怒りはすさまじい。そして、その根底には「人権問題」が関わっている。

トランプ氏は、あくまでビジネスマンだから「対中貿易戦争」を仕掛けたのも、一種の脅しであり、ゲームを有利に進めるための手札の1つにしか過ぎない。

しかし、「人権問題」が主張の根底にある民主党左派、あるいはもっと広く言えば良識ある米国民は、「経済的利害」だけでものを考えているのではなく「政治信条」で正邪を判断する。

「人権問題」は、普段騒がしい自称人権活動家(人権屋)が香港やウイグルについてはだんまりを決め込んでいる日本と違って、「米国の建国の理念である自由と平等」に関わる核心的利益であるから、これに関して米国民は妥協をしないであろう。

したがって、本音では「そろそろ潮時かな」と思っていたとしても、民意に敏感なトランプ大統領が、共産主義中国に対してより強硬な姿勢をとり続ける可能性がかなりある。

北朝鮮についても同様だ。もちろん米国民は米国の若者の血が流されることを望んでいないが、人権(自由と平等)が侵害されつつあると米国民が感じれば、「自由と平等」を守るための軍事行動を喜んで容認するであろう。

金正恩氏は、たぶんこの件における判断を誤っている。

韓国は形式上日米の同盟国ではあるが、文政権による「GSOMIA」問題などの愚行の数々や従北・媚中の姿勢で、「あちら側の国」と米国から認識されているのは間違いない。


米国は、中韓北の「政府」を問題にしている

これらの3国では、要するに「共産主義独裁政権の1党独裁」によって、善良な国民が虐げられていると米国は考えている。

したがって、中北の共産主義独裁政権に虐げられたウイグルやチベット、さらには北朝鮮人民を始めとする国民は敵ではなく、むしろ救うべき対象である。

その点において、「革命」や「クーデター」によって国民自らが「巨悪」を排除するのが、米国の最も望むシナリオであるといえよう。

軍事クーデターの場合、新たな「軍事独裁政権」の誕生となる可能性も高いのだが、「共産主義1党独裁」よりも、「軍事独裁政権」の方がましだというのが米国の伝統的な考えである。これまでも、南米などで軍事独裁政権の後ろ盾になってきたことがその証だ。

実際、西側推計で8000万人を虐殺したとされる毛沢東政権、「収容所群島」(アレクサンドル・ソルジェニーツィン著)で有名なスターリン政権、「キリングフィールド」(1984年、英国)という映画の題材ともなったカンボジアのポル・ポト政権など、共産主義国家はファシズム国家に負けず劣らず残虐である。

韓国の場合は、少々事情が異なる。韓国は米国が北朝鮮や共産主義中国の魔の手から守った「自由主義陣営の国」である(あった)。

しかし文政権は、これほどひどいとは選挙の時には有権者が思っていなかったであろうが、あくまで国民の普通選挙によって選ばれている。

米国が、文政権に対して一応の敬意を払うのも、国民の選挙で選ばれたからである。しかし、2020年4月15日の国会議員を選ぶための総選挙で惨敗しながらも、文大統領が失脚しなかったとすれば、どうであろうか?

10月14日に曺国法相が電撃的に辞任を発表したが、同法相は就任から35日目で検察改革にも失敗した。これまで韓国の大統領は、職を失ってから悲惨な目にあってきたが、文氏も例外では無く、曺国法相の行いによって、マグマのようにたまっている検察の「恨(ハン)」を恐れ、夜も眠れないかもしれない。

したがって、死に物狂いで選挙に勝とうするだろうが、文政権のでたらめぶりが明らかなのに、選挙に勝利すれば、それは「国民の責任」とも言える。したがって、韓国民そのものが米国の敵になりかねないのだ。

これに関しては、日本も他人事ではない。オールドメディアに踊らされたとはいえ、2009年8月に「悪夢の民主党政権」を誕生させたのは、日本国民による選挙だ。幸いにして、自らの過ちに気がついた日本国民によって、3年で同党が政権の座を追われたのは不幸中の幸いだ。もしあのままであったら……と思うと背筋が凍りつく。

韓国民が、文在寅政権に同じような賢明な判断を下せるかどうかが来年の4月15日に明らかになる。もっとも、それに先行して軍事クーデターなどが起きればこの限りではないが……。


クーデターはまず北朝鮮で起こるのか?

金正恩委員長の叔父(金日成の息子)である金平一(キム・ピョンイル)駐チェコ大使が最近、31年間もの海外勤務の任を解かれ、北朝鮮に帰国した。

金正男氏の長男である金 漢率(キム・ハンソル)氏とともに、北朝鮮の革命組織・自由朝鮮が担ぎ上げようとしていた(本人は断ったとされる)人物である。

「自由朝鮮」の力は侮れない。また、ハンソル氏と自由朝鮮との関係も色々取りざたされているし、現在同氏は米国・FBIの保護下にあるとされる。

金正恩氏の真意はわからないが、「勝手に決めた年末までの交渉期限」を米国が無視すれば、振り上げた拳をおろせなくなって、米国の軍事行動を誘発する動きに出るかもしれない。

しかし、それ以上に可能性が高いのが、金一族の暴挙によって「心中」させられるのを望まない軍部のクーデターだ。特権階級である軍幹部は「失うには大きすぎる」ものを沢山もっているのである。


香港騒乱は広東省まで広がっている

区議会選挙での圧勝や、米国での相次ぐ人権法案の成立・可決によって民主派が勢いづいている中で、習近平政権は対応に苦慮している。その中で、共産主義中国に忖度する日本のオールドメディアは別にして、世界中のメディアが広東省における暴動を頻繁に報じるようになっている。

もちろん、中国における暴動はこれまでも年間10万件ほどあったと推計されるが、やはり「情報統制社会」である大陸中国においても、口コミなどによって情報は伝わるものである。

香港から勇気をもらった大陸の人民が、より強く自らの権利を主張しはじめたと見て間違いないであろう。

また、香港騒乱をきっかけに、世界中のメディアが共産主義中国における人権侵害に注目するようになり、頻繁にニュースに取り上げられるようになったことも影響している。

共産主義中国に忖度し、ガラパゴス的報道を続ける日本のオールドメディアのニュースがたれ流されている日本で、他人事のようなムードが続いているのは悲しいことだ。良識ある日本人は、オールドメディが流すフェイク・ニュースなど無視して、真実を見つめるべきであろう。

「グローバル・スタンダード」で見れば、習近平政権の運命は風前の灯であり、「革命」や「クーデタ」もかなり現実的な可能性として浮上している。

その中で、安倍政権がいまだに習近平氏を国賓で呼ぼうとしているのは言語道断であることは、11月27日の記事「習近平を『国賓』で呼ぶのは日本の国益に反すると断言できる理由」で述べたとおりである。

そもそも、厄介な共産主義中国という隣国の肥大化のきっかけをつくったのは、米国の頭ごしに「日中国交正常化」を行った田中角栄氏の「負の功績」である。しかも、角栄氏の勝手な行動に激怒した米国が、ロッキード事件を仕組んで政治生命を断ったとも噂される。

筆者はこれまでの安倍外交は、明治以来の首相の中で最高の結果を生んだと賛美していたが、この「この習近平氏来日」ひとつで、これまでの功績がすべて水泡に帰するかもしれない。

安倍首相には冷静かつ理性的な判断を望みたい。


海上保安庁では日本海は守れない

また、改憲論議に関しても、もしかしたら今は力をためているのかもしれないが、迫力不足なのは否めない。

12月12日公開の「日本は侵略されて初めて『憲法改正』を行うつもりなのか…?」で述べた様に、日本が侵略を受けてから泥縄式に憲法改正(そうなったら国会が正常に機能するかわからないが……)するなどということがあってはならない。

限られた予算と人員で、懸命に北朝鮮船を取り締まる海上保安庁には頭が下がるが、焼け石に水だ。

中韓北のいずれか、または全部が崩壊した場合、今のままでは、日本の安全保障は風前の灯といえる。

5月29日の記事「世界経済低迷の最大原因・中国が退場すればデフレが終わる」や、7月24日の記事「対韓輸出規制でわかった、『ニッポンの製造業』が世界最強であるワケ」で述べた様に、中韓いずれの国の混乱も日本の「経済」には、それほど大きな影響を与えないと思うが、安全保障は別問題である。

特定の野党の妨害工作にまけずに、「日本海防衛」を固めることに注力すべきである。


目に見えない脅威にも備えよ

日本が直面しているのは「目に見える脅威」だけではない。

ニュージーランドの現職国会議員(中国出身)が中国のスパイ容疑で、2017年に情報機関の捜査を受けている。この議員が中国軍の教育機関(洛陽外国語学院)に通っていた経歴を隠蔽していたことが捜査の始まりだ。洛陽外国語学院は、中国軍唯一の外国語大で、いわゆるスパイの養成を行う学校である。

また、同じ年には、オーストラリアの2大政党が、中国共産党とつながりをもつ富豪2人から長期にわたり、巨額の献金を受け取っていたことが明らかになっている。

さらに、今年の11月24日には、高級車ディーラーの男性に100万オーストラリア・ドル(約7400万円)を支払い、「メルボルンの選挙区から連邦議会選に立候補させようとした」という中国の工作疑惑をオーストラリア・大手メディが報じている。この男性は、2018年末に、スパイになるよう打診されたと明かし、今年3月にモーテルの部屋で死亡しているのが見つかっている。

共産主義中国は、自国から遠く離れた国々でも国会議員に対して、活発な工作活動を行っているのだ。

隣国であり、領土問題を抱えている世界第3位の経済大国である日本の国会議員に対する工作活動を北朝鮮や韓国も含めた国々が当然行っていると考えるのは、極めて自然だと思う。


【私の論評】来年は米国大統領選挙と、イラン議会選挙が日本の安保に大きな影響を与える(゚д゚)!

冒頭の記事で、大原氏は、米国における人権問題について以下のように主張しています。
しかし、「人権問題」が主張の根底にある民主党左派、あるいはもっと広く言えば良識ある米国民は、「経済的利害」だけでものを考えているのではなく「政治信条」で正邪を判断する。 
「人権問題」は、普段騒がしい自称人権活動家(人権屋)が香港やウイグルについてはだんまりを決め込んでいる日本と違って、「米国の建国の理念である自由と平等」に関わる核心的利益であるから、これに関して米国民は妥協をしないであろう。 
したがって、本音では「そろそろ潮時かな」と思っていたとしても、民意に敏感なトランプ大統領が、共産主義中国に対してより強硬な姿勢をとり続ける可能性がかなりある。
「人権問題」は、米国では避けて通れない問題なのです。 この人権問題に関しては、アジアだけではなく、中東にもみられます。

マイク・ポンペオ国務長官は米国が19日、イラン反体制派に極めて厳しい判決を言い渡したイランの悪名高い2人の「裁判官」をブラックリストに入れたと発表し、最近のイランの全国的な抗議活動に参加する勇敢な人々を支持すると述べました。

マイク・ポンペオ国務長官

国務省で2019年12月19日、ポンペオ長官はこう語りました。「米国はトランプ大統領の下、イランの国民を支持してきたし、今後も支持する。我々の公然の支持、倫理的支持が大切だ。我々が正義を要求することが重要だ」

「11月に始まり加速した抗議は、イラン国民がもううんざりしていることを明らかに示した。彼らはもう飽き飽きしている。政権の経済的な失敗にうんざりしている。国の財産を私物化する政治家にうんざりしている。また人間らしさの特徴として我々一人ひとりに由来する、人間としての基本的、根本的な尊厳を認めない政権にうんざりしている」とポンペオ長官は語りました。

「何千人もの人のことを思い出して欲しい――みなさんはその人たちの事を知っている――1988年の抗議後に牢獄で処刑された何千人もの人たちの事を、1999年の抗議で虐殺された学生のことを思い出して欲しい」

「それから2009年の抗議のことを思い出して欲しい」

「現在も同じ話だ」

「政権は11月半ばから何百人もの抗議者を殺害している。おそらく千人以上だ」

「政権は自国内で起きている恐怖を世界に見られるのを止めるために、基本的な通信手段であるインターネットを遮断した」

ポンペオ長官は、国際信教の自由法の下でイランを「特に懸念される国」に再指定したと述べました。

「世界はイランが基本的・根本的信教の自由の最悪の侵害国の1つであることを知るべきだ」とポンペオは語りました。

「2番目に、本日米国財務省は2人のイラン人裁判官、モハマド・モギッセとアボルガッセン・サラバティに制裁を課す」

ポンペオ長官はサラバティを「政権の圧制の道具であって、公平な正義の味方ではない」としました。

「3番目に、我々は移民国籍法の下で、平和的抗議者の虐待、拘留、殺害に責任を負うか加担する、あるいはその表現や集会の自由を妨げる現職元職のイラン高官に対するビザを制限している」

「我々の行動ではこうした人物の家族に対するビザも制限する。イラン全国の市民から提供されている資料は、我々がこの新たな権限を利用して本当の圧力を加え、イラン国民の自由と正義を否定する人々に責任を取らせる上でかけがえのないものとなるだろう」

「国民の子供を殺す悪党が、米国留学のために自分たちの子供を送ることは許されない」

「だがたとえ何があっても、私は何カ月もいってきたことをイラン国民に伝え、必要である限りずっといい続ける。つまり、米国はみなさんの声を聞いている。米国はみなさんを支援する。米国はみなさんを支持する」とポンペオ長官は続けました。

最近、米国とイランの対立が一段と鮮明化しています。その背景には、来年の米大統領選挙がある。トランプ大統領とすれば、トランプ大統領の大きな支持基盤でもあるキリスト教福音派からの支持を増やして選挙戦を有利に進めたいとの思惑がありそうです。

  ドナルド・トランプ大統領と共に祈った米国の福音派指導者ら=2017年11月11日
          ホワイトハウスの大統領執務室で

ここで日本にとっても大きな問題は、ブログ冒頭の記事のように、韓国・北朝鮮・中国の特ア三国のいずもが、今後激震に見舞われててもおかしくはない上に、さらに、米国とイランの対立がさらに激化しつつあり、しかもトランプ政権としては、これを見過ごすことができないことです。

アジアと中東で同時に、大きな危機が生じた場合、トランプ政権としては、アジアを優先すると考えられます。なせなら、イランは現状では核を保有しておらず、経済的にも大きくないです。

一方、アジアでは、中国の経済は大きく、中国も北朝鮮も核を有しています。しかも、米国はもはや、原油の輸出国であり、中東の原油は米国にとっては、さしたる問題ではありません。どちらのほうが米国にとって大きな問題なのかは、一目瞭然です。

ただし、イラン等でなにかが起こった場合、トランプ政権はこれを無視することができない事態もあり得るということを忘れるべきではありません。

米国のトランプ大統領は2017年の就任以来、核開発の疑いのあるイランに対し強硬姿勢を強めています。オバマ前政権による制裁解除でイラン経済は回復に向かうとみられていましたが、トランプ政権は核合意からの離脱を表明し、制裁を再開しています。トランプ大統領は今年9月の国連総会の機会にロウハニ大統領との首脳会談を模索しましたが、イラン側が拒否し見送られています。

そうしたなか、4年に1度のイラン議会選(定数290議席)が来年2月21日に投開票されます。前回の2016年は保守穏健派のロウハニ大統領を支持する勢力が反大統領の保守強硬派を上回りました。翌2017年の大統領選ではロウハニ氏が再選を果たし、融和路線が信認されています。ただ、議会は独立派を除くと保守穏健派の強硬派に対するリードは決して大きくないため、強硬派が多数となる可能性もあります。

トランプ政権による制裁の効果は絶大です。イラン産原油の禁輸措置により昨年から今年にかけてイランの原油輸出は激減し、同国の財政を圧迫。イランに進出していたフランス企業なども撤退し、製造業を中心に低迷が続いています。通貨リアルはドルに対し1年で6割も減価して、インフレと失業率の高止まりを招きました。そうした事態が国民の生活にも影響を及ぼし、11月には大規模な反政府デモに発展しています。

この反政府デモは、先月にはガソリンの補助費カットをめぐり全土に広がりました。死亡者数は数百人にのぼり、政府もそれを認めています。こうした経緯を踏まえ、イラン政府はシリア問題で歩調を合わせるロシアから50億ドルの融資を受け、来年度予算を編成。ただ、デモに対する当局の弾圧は、2期目のロウハニ政権への支持を弱める要因となりかねず、議会選の結果にも影響を与えそうです。
もし、強行派が、2月に行われるイラン議会選で勝利を収めた場合、中東でなにか突発的な出来事が起こる可能性もあります。

これに対処するため、米国が中東に空母などの機動部隊や、陸上兵力を送った場合、当然のことながら、アジアの米軍は手薄になる可能性があります。

特に、現在の米軍は、世界中で二正面作戦、三正面作戦などできない状況です。これについては、以前のこのブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
【国家の流儀】韓国と連動して中国、ロシア、北朝鮮による「日本海」争奪戦が始まる…安倍政権はどう対応するか―【私の論評】二正面作戦不能の現在の米軍では、日本を守りきれないという現実にどう向き合うか(゚д゚)!
海自のイージス艦「あたご」

詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事から一部を引用します。
中露や中東の軍事的脅威に対応する米軍の能力が「限界」にあるという厳しい評価が下されたのです。これは、米軍事専門シンクタンクによるもので、「現在の姿勢では、米軍は重要な国益を守るとの要求に、わずかしか応えられない」と強調しています。

問題なのは、特に海軍において、この相対的弱体化に即効性のある解決策がないことです。「世界最強」のはずの米軍に何が起こっているのでしょうか。

評価は著名な米保守系シンクタンクのヘリテージ財団によるものです。同財団が10月末に発表した「2020年 米軍の軍事力指標」と題する年次報告書は、米陸海空軍と海兵隊の軍事的対処能力を、非常に強い▽強い▽限界▽弱い▽非常に弱い-の5段階で評価していjrます。ただ、基準は「2つの主要な戦争を処理する能力」などとしており、2正面作戦を行うにおいての評価であるあたりが超大国米国らしいです。
この5段階で「限界」とは、乱暴な言い方をすれば「戦争になっても勝てるとは言えず、苦い引き分けで終わりかねない」、あるいは「軍事的目標を達成するのは容易ではない」ということです。

同報告書では欧州や中東、アジアの3地域での軍事的環境を分析。例えば中国については「米国が直面する最も包括的な脅威であり、その挑発的な行動は積極的なままであり、軍事的近代化と増強が継続している」などと、それぞれの地域の脅威を明らかにしたうえで、対応する陸海空軍などの米軍の能力を個別評価しています。ところが驚くことに、その内容は、「限界」ばかりなのです。
米国は、世界規模での、大規模な二正面作戦はできないのです。 トランプ大統領は、元々企業家ですから、このことの意味は十分理解していると思います。企業活動においては、資源が有限ということは、常識であり、何もかも同時に実行しようとする事業家など存在しません、優先度の高いことから実行するのが常識です。

しかし、そのトランプ氏でも、たとえばアジア方面で、小康状態が確実に保てると判断したときに、中東で問題が起これば、中東に力をいれるかもしれません。その時に、突如としてアジアで大きな問題が起きたときに、その問題に迅速に対応することができない等ということは、十分想定できます。

これは、今回は来年は米国の大統領選挙や、イラン議会選挙があるので、特にそういうことがいえるかもしれませんが、来年以降も同じようなことが起こる可能性は否定できません。

このようなことが起きた場合、日本はアジアに位置しており、アジアの危機は日本に大きな悪影響があります。また、中東で何かがおきたときには、日本は中東の石油に大きく頼っていることから、これも大きな悪影響があります。

これに対処するためには、憲法改正は無論したほうが良いですが、それにはまだ時間がかかりそうですから、憲法改正をしなくても、憲法解釈を変えるとか、あるいは有事立法ということで、どのような方法でも噛まないので、有事のとき、あるいは有事になりそうなときには、たとえば、敵基地を先制攻撃できるようにするとか、自衛隊が防御できるようにするなどのことを真面目に議論して、実行すべきです。

少なくとも侵略されて甚大な被害を受けた後に、初めて憲法改正をしたり、解釈の変更や有事立法をするなどのバカ真似はやめるべきです。

もうこれだけ、目にみえる危機が迫っているのですから、有事立法など積極的にすすめるべきです。野党もただ反対というのではなく、有事を想定して、あるべき姿を模索しつつ、これに関しては米国の民主党がトランプ政権の中国との対峙には両手をあげて賛成しているように、政府与党に協力すべきです。

そうでなければ、存在意義が疑われますので、有権者は、選挙で野党には票をいれるべきではありません。

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2019年12月21日土曜日

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「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断も 図に乗る正恩氏にキレた!? 韓国・文政権は「レッドチーム入り」示唆 

トランプ大統領

 ドナルド・トランプ米大統領が憤慨している。米下院本会議が18日、ウクライナ疑惑をめぐる弾劾訴追決議案を、野党民主党の賛成多数で可決したからだ。一方、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮は、クリスマスに合わせた大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射や核実験再開をチラつかせている。朝鮮半島の緊張が高まるなか、米軍幹部は「すべての選択肢がテーブルの上にある」と牽制(けんせい)した。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近は「レッドチーム入り」を示唆しているが、逆風のトランプ政権が「軍事作戦」を決断する可能性があるのか。


 《これは米国に対する攻撃であり、共和党に対する攻撃だ》

 トランプ氏は18日、民主党多数の下院で弾劾訴追決議案の審議が続くなか、ツイッターでこう批判を繰り広げた。

 弾劾訴追決議案には、トランプ氏が軍事支援などを使って、民主党の政敵、ジョー・バイデン前副大統領周辺の捜査を発表するようウクライナに圧力をかけた「権力乱用」と、議会の弾劾調査に協力しないよう政府高官らに指示した「議会妨害」の2つの弾劾条項が盛り込まれた。

 米大統領の弾劾訴追は、1868年のアンドルー・ジョンソン氏(17代)と、1998年のビル・クリントン氏(42代)以来。トランプ氏は米史上3人目の弾劾訴追される「不名誉な大統領」となった。

 来月には上院の弾劾裁判が開始され、出席議員の3分の2が賛成すれば有罪・罷免となるが、上院は与党共和党が過半数を占めているため、「無罪」が濃厚な情勢だ。

 ただ、左派系メディアによる“トランプバッシング”は続きそうだ。

 トランプ氏の頭痛の種は朝鮮半島にもある。

 北朝鮮は今年5月から弾道ミサイル発射を再開し、13回を数える。さらに、7日と13日、北西部・東倉里(トンチャンリ)の「西海(ソヘ)衛星発射場」で「重大な実験」を実施した。ICBM用エンジンの燃焼実験とみられ、北朝鮮の非核化をめぐる米朝協議の停滞にイラ立ち、ICBM発射や核実験再開が懸念されている。

 「(北朝鮮が)何かを進行中なのであれば失望する」「その場合は対処する」「事態を非常に注意深く見守っている」

 トランプ氏は16日、ホワイトハウスで記者団にこう語ったが、米軍幹部が「対処」の概略について明かした。

 チャールズ・ブラウン米太平洋空軍司令官が17日、「(北朝鮮が挑発する場合)2017年に用意していたものが沢山あるので、われわれは早くホコリを払って準備することができる」「すべての選択肢がテーブルの上にある」と、ワシントンで記者団に語ったのだ。韓国・東亜日報(日本語版)が19日報じた。

 17年といえば、北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返し、米朝関係が極度に緊張した年である。

 米軍は、朝鮮半島に最新ステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」や、超音速爆撃機B-1B「ランサー」を何度も飛来させた。さらに、世界最強の原子力空母「ロナルド・レーガン」と「セオドア・ルーズベルト」「ニミッツ」を中心とする打撃群3つを展開するなど、「第2次朝鮮戦争」が真剣に取り沙汰されていた。


最新ステルス戦略爆撃機B-2「スピリット」

 あれから2年、クリントン政権の国防次官補を務めたグレアム・アリソン米ハーバード大教授は12日、東京での会議で、北朝鮮情勢について「非常に危険な展開」「第2次朝鮮戦争が起きる可能性が高まっている」と警告している。


 ■図に乗る正恩にキレる?

 朝鮮半島で軍事衝突が起きれば、韓国の被害は甚大だが、文氏のブレーンである、文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は国際会議で「中国の核の傘入り」を示唆するなど、「レッドチーム入り」の本音をあらわにした。トランプ政権の決断のハードルは下がっているともいえる。

 トランプ氏は、弾劾訴追という不名誉を受けたうえ、正恩氏から無礼な挑発を受けている。来年11月の大統領選を見据えて我慢してきたが、爆発する可能性はあるのか。「戦時の大統領」として選挙戦で勝ち抜く戦略は考えられるのか。

 拓殖大学海外事情研究所所長の川上高司氏は「トランプ政権の安全保障政策を支えていた、ジェームズ・マティス元国防長官や、ジョン・ボルトン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)はもういない。マイク・ポンペオ国務長官にも上院選出馬の話がある。トランプ氏のタガが外れて、『先制攻撃』を決断する可能性はある。正恩氏は図に乗っているが、危険だ」と指摘している。


【私の論評】来年は米軍による北への軍事介入もあり得るシナリオ!我々日本人も覚悟を決めよ(゚д゚)!

冒頭の記事で、"「弾劾」可決で“逆風”トランプ政権、朝鮮半島で「軍事作戦」決断"という見方は、おそらくは正しくはないでしょう。なぜなら、このブログでも以前示したとおり、トランプの弾劾は100%不可能であり、むしろ選挙戦に有利に働く可能性が高いからです。

さらに、トランプ氏が正恩氏にキレるというのもいただけないです。そもそも、キレた状態で意思決定する政治家は落第です。ビジネスマンとしても落第です。優秀なビジネス万でもあるトランプ氏は、キレた状態で意思決定することはないでしょう。

トランプ氏が北朝鮮攻撃を決断するとすれば、様々な事柄を冷静に計算しつくした後に意思決定し、実行することでしょう。

それにしても、弾劾など無関係としても、確かにトランプ政権は条件が整えば、朝鮮半島で「軍事作戦」を実行する可能性もでてきました。

米中貿易戦争が12日、双方合意により一段落した。約2年間続いた米中貿易戦争は一時的に小康状態に入ったようにみえます。

ところが、なぜ、今のタイミングで米中合意が出来たのでしょうか。疑問を捨てきれないところがあります。しかも、この合意は、先日もこのブログに示したように、米国の一方的勝利であり、中国にとっては、不平等条約そのものです。

おそらく、中国としては、経済が破綻目前であり、もはや防戦一方であり、なりふりかまわず、少しでも国内経済を良くしたいがために、米国の圧力に屈したのでしょう。あるいは屈したふりをしたのかもしれませんが、そこまでしても、米国の圧力から一時的にも逃れたのかもしれません。

そうして、このときに、中国は、米国の対北軍事行動に同意した可能性があります。すなわち、「中国が米国の意志に暗黙の了解を示した可能性が高い」です。

米国は3年前、中国に北朝鮮の非核化解決に1年間の猶予時間を与えたことがあります。当時、中国は全国重要都市の北朝鮮レストランを撤去するや北朝鮮は就業員を全て帰国させました。さらに、中朝合弁会社を取り消しするなど、中国は国連安保理理事国として対北制裁に前向きな役割を果たしていました。

ところが、中国は北朝鮮に繋がる石油パイプを閉めませんでした。さらに、海上で北朝鮮船が石油を船積みする国連の安保理合意違反に目を閉じていました。それで北朝鮮の非核化は前に進まず、これも一つの大きな要因で米中貿易戦争が始まった経緯があります。

今回、米朝貿易合意の前にトランプ大統領はツイッターに「中国とビッグディール(big deal)がほぼ目の前に来ている」とし「中国がそれを望んでいて、米国もほしい」とメッセージを飛ばしました。


米中交渉が一段落され、15日から1,560億ドル規模の中国産商品の関税は撤回されました。これにより、21ヶ月間続いた貿易戦争が一旦、峠を越して休戦に入ったわけです。米国が15日から対中国追加関税を撤回する代わりに、中国は米国産豚肉と農産物の購入を増やすことにしました。米国政府は中国産輸入品に対する関税を半分まで下げる案も協議しました。

中国は現在、巨額の借金を抱えており、国内経済の沈滞と経済破綻を止める為に精一杯です。今回、貿易戦争の最中で米中合意が出来たのは、中国が北朝鮮の面倒を見るより国内経済を優先させる政策変更だったとも考えられます。

加えて、北朝鮮の核が中国にとっても脅威であることもさらに、明確に意識したかもしれないです。北朝鮮の核と弾道ミサイルは中国全都市を射程に収めているからです。これについては、以前からこのブログで指摘してきました。

金正恩は、中国の北朝鮮への干渉を極度に嫌っています。そのため、北朝鮮とその核が、結果として中国の朝鮮半島への浸透を防いでいます。

さらに、中国にとっては北朝鮮の核が日本、韓国、台湾の核武装を招きかねない危険性を再認識したと考えらます。日韓台3国の核武装は中国にとって最悪の脅威です。

12月初め、北朝鮮外交部の米国担当副相は「米国へクリスマスプレゼントが何になるかは全て米国の決心次第である」と威嚇しました。今月7日には、平安北道東倉里の西海発射場で大陸間弾道ミサイルの噴射実験を3分間行いました。また、13日は同じ場所で7分間、噴射実験を行いました。これは第2段階のロケット噴射テストと見られています。

トランプ大統領は「必要なら武力行使もやむを得ない」「金正恩は全てを失う事もあり得る」と強硬なメッセージを飛ばしました。すると、北朝鮮外交部の崔善姫副相はトランプ大統領を“老いた者の忘霊”と非難しました。

12日、米国はカリフォニア州バンデンバーグ空軍基地で核搭載用中距離弾道ミサイルIRBM(射程5,400km)発射実験を行い、中国と北朝鮮を牽制しました。この中距離弾道ミサイル(INF)は近いうち、グアムに配備される予定です。グアムから北朝鮮までは3,400kmの射程距離です。

米朝間の緊張がエスカレートする最中、米国務省の北核担当特別代表、ビーガン氏が16、17日の両日間、急遽、韓国を訪れ、板門店での米朝実務者協議を打診しています。ところが、北側からは何も反応が出ておらず、年末中に米朝実務者協議が開催されても会談は決裂される可能性が高いです。

トランプ大統領はイランがサウジ精油施設を攻撃したり米軍偵察機を撃墜してもイラン空爆寸前に取りやめたことがあります。米軍戦力の分散を止めるための戦略的な判断です。核を持っていないイランより、北朝鮮の非核化が米国外交の優先順位であることが理解できます。


とりわけ、北核問題の解決可否はトランプ大統領の再選を左右する懸案です。結局、トランプ政権の措置が、ソフトランディング(海上遮断・制裁強化)であれ、ハードランディング(海上封鎖・軍事行動)であれ、北朝鮮の長期独裁体制は存亡の危機をかけた山場を迎えざるを得ないのです。

おそらく、今後北朝鮮が、弾道ミサイルを発射したり、核実験を再開した場合、米国はすみやかに何らかの軍事行動を起こす可能性があります。

ただし、ジョン・ボルトン前米国大統領補佐官は19日(現地時間)、北朝鮮の“クリスマスプレゼント”の脅威について「脅しの可能性がある」として心配する必要はないと語りました。

ジョン・ボルトン氏

ボルトン前補佐官はこの日に米国のマスコミのインタビューで「私は北朝鮮が語る全ての話の大部分を“話半分”に聞いている」と明かしました。

北朝鮮はこれまで「米国が今年の年末まで(北朝鮮に対する)敵対視政策を撤回するなど、朝鮮半島情勢に関して“新たな計算法”を提示しない場合、(北朝鮮は)“新たな道”を行く可能性がある」と警告し、特に北朝鮮外務省の対米担当者が先日の談話で「“クリスマスプレゼント”に何を選ぶかは全面的に米国の決心にかかっている」と明かし、挑発の可能性を示唆しました。

しかしボルトン前補佐官は「このすべてのことは北朝鮮のシナリオだ」とし「彼らは米国の今までの3政権をだますのに成功したので、この政権でも同じようにする計画である」と主張しました。

続けて「彼ら(北朝鮮)は(ドナルド・トランプ米国)大統領が(自分たちとの)合意に必死になっていると考えている。もし意図的に時間の制約を加えれば、よりよい合意が引き出せると考えている可能性がある」とし「我々はただ静観しているだけでいい」と語りました。

ただ「北朝鮮は核開発を自発的に放棄しないだろう」としながら「我々が30年間見続けてきたパターンがある。彼ら(北朝鮮)は経済的恵沢の代価として“核放棄”を宣言するが、実際にはそうはしない」と語りました。

また「北朝鮮やイランといった国は、不良国家の典型であるだけでなく、テロ支援国だ」としながら「彼らは自国民を抑圧している。このような特徴が彼らの行動方式を表している」と付け加えました。


私も、ボルトン氏の見方は正しいと思います。そのため、このクリスマスに北朝鮮が、弾道ミサイルを発射するようなことはないと思います。

ただし、北朝鮮は核を手放すことはないでしょうし、トランプ大統領もそのことを理解し、さらに中国が米国北攻撃を黙認するなら、来年の大統領選挙に邪魔にならず、有利になるとみられる時期に北に軍事攻撃をする可能性は高まったとみるべきと思います。

もし、米国が北朝鮮を軍事攻撃を加えた場合、核兵器開発ばかりしてきた北朝鮮の人民解放軍の通常兵力は、米国の敵ではありません。さらに、半島有事が囁かれてから、随分時がたっているので、米軍はかなり北の情報収集をしているものと考えられ、正確にピンポイントで北の核基地攻撃に成功するでしょう。

さらに、金正恩の斬首にも成功するかもしれません。そうなった場合、中国への脅威は計り知れないものになるでしょう。外交音痴の韓国も、中国の圧倒的な劣勢にさすがに気づき、レッドチーム入りを断念するかもしれません。もしそうなれば、トランプ氏の大統領選は圧倒的に有利なります。

来年は、何らかの形で米軍の北への軍事介入はあり得ることだと、私達日本人も覚悟を決めるべきです。

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2019年12月20日金曜日

ロシアやドイツも敵わなかった“海洋勢力”…中国も同じ轍を踏むか!? 今こそ「日米韓」を「日米台」同盟に―【私の論評】中国が経済的に疲弊しつつある今が、日米台関係を強化する絶好のチャンス(゚д゚)!

ロシアやドイツも敵わなかった“海洋勢力”…中国も同じ轍を踏むか!? 今こそ「日米韓」を「日米台」同盟に

安倍総理

 中国と、米国を中心とする海洋諸国同盟が、アフリカの岸を洗うインド洋から日本まで、「インド太平洋圏の覇権」をめぐって、激しい鍔迫(つばぜ)り合いを演じている。

 どっちが、勝つことになるのだろうか。テクノロジー、軍事力、資力以上に「戦略を構築する力」が軍配をあげることとなろう。

 ここでも、中国の習近平国家主席は重大なハンディキャップを負っている。

 習氏は中華人民共和国の玉座について以来、大海軍の建設に取り組んできた。いまではアフリカ大陸とアラビア半島に挟まれた、紅海の出入り口のジブチにまで海軍基地を持つようになった。

 秦の始皇帝が紀元前2世紀に中国大陸を統一して、中華帝国が地上に現れてから、中国が大海軍を持つのは初めてだ。

 中国は戦略的な発想を行う能力がない。2000年以上にわたって、「地上で自分だけが優れている」という中華思想によって蝕(むしば)まれてきたために、他国と対等な関係を結ぶ能力を欠いており、同盟国を持つことができない。

 手前勝手な華夷思想によって、中国と野蛮な夷(えびす)に、世界を二つに分けてきた。中国は海に背を向けた文明だ。

 習氏のもとで、中国は海洋勢力となろうとして、大海軍の建設を急いでいるが、海軍力によって、海洋勢力となることはできない。

 それに対して、米国は海洋諸国と結んで、中国を孤立させている。

 かつて大陸勢力であったロシアやドイツ帝国が大海軍を誇ったが、海洋勢力に敵(かな)わなかった。中国はその轍(てつ)を踏みつつある。

 中国は中華思想という歴史の檻(おり)から、抜け出せない。

 中国は来年11月の米大統領選で、ドナルド・トランプ大統領が再選に失敗するのを願っている。

 米国は経済が快調だ。民主党は議会でトランプ氏を弾劾しているが、共和党が多数を占める上院で否決されるから、嫌がらせにすぎない。

 だが、米国は民主国家だ。民主党のリベラルな牙城であるニューヨーク州、カリフォルニア州と、フロリダ州が最大の選挙人数を持っているから、万が一、一過性の人気によって“小池百合子現象”が起こって、オバマ政権のような民主党政権が誕生するかもしれない。

 海洋同盟諸国の弱い鎖が、日本、韓国、台湾だ。韓国は信頼できない。「日米韓同盟」を、「日米台同盟」にかえるべきだ。

 ■加瀬英明(かせ・ひであき) 外交評論家。1936年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、エール大学、コロンビア大学に留学。「ブリタニカ百科事典」初代編集長。福田赳夫内閣、中曽根康弘内閣の首相特別顧問を務める。松下政経塾相談役など歴任。著書・共著に『フーバー大統領が明かす 日米戦争の真実-米国民をも騙した謀略』(勉誠出版)、『グローバリズムを越えて自立する日本』(同)など多数。

【私の論評】中国が経済的に疲弊しつつある今が、日米台関係を強化する絶好のチャンス(゚д゚)!

冒頭の記事のようなことは、何度かこのブログにも掲載してきたことがあります。いかに、それらの記事のリンクを掲載します。
台湾問題だけでない中国の南太平洋進出―【私の論評】海洋国家を目指す大陸国家中国は、最初から滅びの道を歩んでいる(゚д゚)!
詳細は、この記事をご覧いただくものとし、この記事より結論部分を引用します。
「ローマは3度世界を征服した。1度は武力で、1度はキリスト教で、1度は法で」(ドイツの法学者イェーリングの言葉)。では、現中国はどうでしょうか。上の言葉で言えば、武力しか持っていません。キリスト教(宗教・思想)や法(普遍的法体系)に当たるものがまるでないのです。これは、他国を真に魅了するものがまったくなく、経済と軍事のみで自己アピールしなければならないことを意味しています。 
ここが、過去の中華帝国とまったく違います。かつての中華帝国も周辺国への恫喝と侵攻を繰り返したのですが、その高度な文明の故をもって尊敬も勝ち得ていました。それが現中国にはないのです。これは、世界帝国として台頭するには致命的な欠陥となるでしょう。 
現在の中国は鄧小平が劉華清(中国海軍の父)を登用し、海洋進出を目指した時から両生国家の道を歩み始めました。そして今、それは習近平に引き継がれ、陸海併せ持つ一帯一路戦略として提示されるに至っています。しかしこれは、マハンの「両生国家は成り立たない」とするテーゼに抵触し、失敗に終わるでしょう。
劉華清(中国海軍の父)

事実、両生国家が成功裏に終わった例はありません。海洋国家たる大日本帝国は、大陸に侵攻し両生国家になったため滅亡しました。大陸国家たるドイツも海洋進出を目指したため2度にわたる世界大戦で滅亡しました(ドイツ第2、第3帝国の崩壊)。ソビエト帝国の場合も同じです。よもや、中国のみがそれを免れることはないでしょう。一帯一路を進めれば進めるほど、地政学的ジレンマに陥り、崩壊への道を早めてゆくことになります。
そもそも、海洋国家を目指した中国は、その時点から滅びの道を歩んでいると見て良いです。中国が、海軍力を増強し続ければ、何が起こるかというと、海洋戦略・戦術に劣っているため、いくらこれに資金を投下しても、現実には無駄ということになります

実際、純粋な戦力としては、海上自衛隊が中国海軍を上回っているという見方が主流のようです。ナショナル・インタレスト誌(2016年)は、海上自衛隊の艦艇と人員の数、装備の性能、組織力のどれをとっても「アジア最強」だと指摘する。主要装備の性能や役割を詳しく説明したうえで、東日本大震災発生時の災害救助活動の実績を紹介し、海上自衛隊の展開力の高さも折り紙つきだとしています。

ビジネス・スタンダード紙(インド日刊紙)は、「そうりゅう」型8隻と「おやしお」型11隻(2017年当時)を擁し、2021年までに23隻に拡大する予定の潜水艦戦力も、中国に脅威を与えるとしています
 
また、南シナ海を経てシンガポール入りし、その後さらに南シナ海で「デューイ」との共同訓練を行った「いずも」の動きを、ニール氏は尖閣諸島など日本周辺海域での「中国の執拗な動き」への対抗策だと断言しました。

そして、「『いずも』は安倍政権下で進む日本の軍拡の象徴だ。それは、第二次大戦中の日本の強力な空母艦隊によってもたらされた痛みを強烈に思い出させるものだ」と、中国側の見方を代弁しています。

ビジネス・スタンダード紙は豊富な防衛予算も海上自衛隊の強みだと見ています。「防衛費の上限が全体の1%という制約がありながらも、日本の2017年の防衛予算は436億ドルで、インドの535億ドルよりも少し少ないだけです。

そうして、インドや中国と違い、日本は陸軍よりも海軍と空軍に多くの予算を回している」と、予算面でも決して自国や中国に負けていないと指摘しています。

我々日本人の多くは、自衛隊の装備はかつての「武器輸出三原則」の制約などにより割高だという認識を持っています。しかし、ビジネス・スタンダード紙は、自国との比較において逆の見方をしています。

「川崎重工、三菱重工といった巨大企業を擁する日本の洗練された造船産業は、軍艦を迅速に安く作ることができる。そうりゅう型潜水艦は6億8500万ドルだが、これは半分以下のサイズのインドのスコルペヌ型潜水艦とほぼ同コストだ。排水量690トンのあわじ型掃海艦もたった1億6000万ドルで作っている」などと書く。

日米の連携強化も、中国にじわりとプレッシャーを与えていると各メディアは分析しています。「いずも」と「デューイ」(米ミサイル駆逐艦)の共同訓練は、デューイが中国の南シナ海での動きを牽制する「航行の自由作戦」に従事している艦なだけに、中国のみなら米国や周辺諸国の注目も集めました。

空母化が予定されている「いずも」

日本側は「いずも」は航行の自由作戦には参加しておらず、あくまで一般的な編隊・通信の確認だったと説明しましたが、ニール氏は、こうした日米の動きを中国は「アメリカによる地域支配の準備をカモフラージュするものだと見ている」と指摘しています。

また、ニール氏らアナリストは、武器輸出三原則の緩和により、インド、オーストラリアといったアジア太平洋地域の同盟国に高性能な日本製装備が行き渡ることも、広く日本の防衛力強化に貢献すると見ています。

こうした論調を俯瞰すると、アジア太平洋地域の覇権を米国から奪おうと目論む中国にとって、日本の“海軍力”が目の上のたんこぶになっていることが理解できます。これがアジア地域の安定に良い影響を及ぼすのは確かです。

そうして、中国の致命的な欠点である、中華思想という歴史の檻についても、このブログに掲載したことがあります。
【湯浅博の世界読解】「自滅する中国」という予言と漢民族独特の思い込み―【私の論評】すでに自滅した中国、その運命は変えようがない(゚д゚)!
孫氏の兵法書
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下に一部を引用します。
民族は自らを「偉大なる戦略家である」と思い込んでいる。孫子の兵法を生んだ民族の末裔(まつえい)であるとの自負が誤解の原因かもしれない。米国の戦略国際問題研究所(CSIS)の上級顧問、E・ルトワク氏は、戦略家であるどころか「古いものをやたらとありがたがる懐古的な趣味にすぎない」と酷評する。実際には、中核部分の「兵は詭道(きどう)なり」というだましのテクニックだけが生きている。

その詐術も足元が乱れることがある。米メディアが南シナ海のパラセル諸島への地対空ミサイル配備を報じた直後、王毅外相が「ニュースの捏造(ねつぞう)はやめてもらいたい」といった。すると、中国国防省がただちに「島嶼(とうしょ)の防衛体制は昔からだ」と反対の見解を表明して外相発言を打ち消していた。

国家の外交が、ひそかに動く共産党の軍に振り回されている。軍優位の国にあっては、当然ながら国際協調などは二の次になる。
その詐術も足元が乱れることがある。米メディアが南シナ海のパラセル諸島への地対空ミサイル配備を報じた直後、王毅外相が「ニュースの捏造(ねつぞう)はやめてもらいたい」といった。すると、中国国防省がただちに「島嶼(とうしょ)の防衛体制は昔からだ」と反対の見解を表明して外相発言を打ち消していた。 
国家の外交が、ひそかに動く共産党の軍に振り回されている。軍優位の国にあっては、当然ながら国際協調などは二の次になる。
中華思想に染まり、孫氏の兵法等に溺れる中国には、将来性は感じられません。一方、サイバー戦や、AI、宇宙開発に力を入れていますが、私はこれらもかつてのソ連のように中国の経済力を弱らせることにつながると思います。

さて、日米台同盟に関しては、その構築の方法などこのブログでも掲載しています。 
日米が台湾の港湾に寄港する重要性―【私の論評】日台関係は、「積み木方式」で実質的な同盟関係にまで高めていくべき(゚д゚)!
トランプ米大統領の蔡英文台湾総統
 この記事の結論部分の一部を以下に引用します。
台湾を取り巻く日本をはじめとする国際社会はどのように台湾と接していくべきでしょうか。それに有効な解決方法がすでに日台の政府間で進められている「積み木方式」による各種協定の締結です。 
これは、米台もすすめている方法です。今後米国は、「積み木方式」によって、実質上の同盟関係になることが予測されます。 
日本も台湾とは国交がなく、他の国家のように条約を締結することが出来ないです。例えばFTAを結ぶにしても、中国による妨害も考えられ現実的ではないです。
そこで、包括的な条約を結ぶのではなく、投資や租税、電子取引や漁業など、個別の協定を結ぶことを、あたかも積み木を積み上げていくことで、実質的にはほぼFTAを締結したのと等しいレベルにまで持っていくことを目指すのです。
日米台は、正式には国交が結べていません。ただし、この「積み木」方式により、日米台関係を同盟国と同等の次元まて、高めていくことはできるでしょう。実際米国は「台湾旅行法」等を施行させています。米国は、その方向でこれからも様々な法律を作成しているでしょう。

現在韓国は、ほとんど北朝鮮の衛星国のような有様になっており、韓国と日米との関係は最悪です。韓国の場合、朝鮮半島に位置し、大陸国家としても、海洋国家としても中途半端です。

無理やり韓国を日米韓同盟から引き剥がす必要もないですが、今後に日米とも中途半端な韓国には見切りをつけ、台湾との関係を強化していくべきでしょう。

日本としても、韓国がいつまでも貿易管理をまともにしなければ、台湾が条件を満たせば、ホワイト国に指定するということも視野に入れるべきです。韓国に資金や時間を割く分を台湾に割いたほうが、コストパフォーマンスも高いですし、はるかに信頼性が高いです。

台湾には、大陸中国に親和敵な人も多いですが、それにしても、国民党が政権与党の時の馬英九総統時代に、日本で東日本大震災が発生した際には、台湾は援助隊を日本送り多額の義援金を募るなど、積極的に日本を支援したことを忘れるべきではありません。

日米台の関係が強化されれば、大陸中国に親和敵な人たちも、日米台同盟に期待を持つようになるでしょう。何しろ、もう中国経済は深刻な状況であり、従来のように豊富な資金力で、台湾を懐柔することには限界がきています。まさに、今後は日米台関係を強化していくチャンスが到来したといえます。

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