2012年7月28日土曜日

旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア―【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

旧ソ連と同じ罠にはまった中国、米国の仕掛けた軍拡競争で体力消耗―露メディア


2012年7月22日、ロシア・テレビ局「ロシア・トゥデイ」は記事「米国のミサイル防衛システムが中国という経済の虎を封じ込める」を掲載した。

今年3月、米国防総省はアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開した。中国を包囲するミサイル防衛システムに対抗するため、中国は自らの核兵器システムの近代化を迫られている。中国の軍事関係者も「近代化しなければ、核の抑止力を保つことができない」と認めている。

旧ソ連はその末期に米国に対抗するため多額の予算を軍事費に注ぎ込んだ。今の中国も同様の状況にある。中国経済は今、繁栄しているかに見えるが、しかし格差は広がり、いまだ2億5000万人が貧困層として残っている。こうした問題を解決できないまま、中国政府は巨額の資金を軍事費に注ぎ込むことを余儀なくされている。

冷戦を想起させる展開となっているが、中国は果たして政治と社会の安定を損なうことなく、軍事力を強化できるのか。その将来に注目が集まっている。(翻訳・編集/KT)

【私の論評】ロシアの弱体化を吐露する記事、中国を封じ込めることと引き換えにロシアとの領土交渉を!!

さて、上の記事、どう読み解くべきでしょうか?世界では、日本のマスコミを除きほとんどの国が、国益のために記事を経済します。反日的な日本のマスコミとは、そこが根本的に異なります。それは、ロシアも例外ではありませんし、特にプーチンが大統領になってからは、その傾向が強いです。上の記事も例外ではありません。


このブログには、以前ロシアの声というサイトについて掲載したことがあります。そのときにも、掲載しましたが、ロシア人口は、日本の1億二千万と比較して、わずか、二千万ほど多い、1億4千万ほどにすぎません。さらに、その中の支配階層である、ロシア人といえば、さらに少なく、。それに、陸地の面積は広大です。

そうして、無論のことは中国とは陸続きです。ロシアは、中国に対しては、昔から、何か領土問題や、利益が衝突するがあったときには、強大軍事力を駆使して、中国をやり込め、譲歩することはほとんどありませんでした。そうして、中国もロシアの強大な軍事力の背景があるため、一方的に押されてきたといのが、今日までの姿です。


さて、上の記事では、米国のアジア及び中東におけるミサイル防衛システムの構成について公開したとありますが、アメリカは、冒頭の図のように、7重にも及ぶ多層的なミサイル防衛網を構築しています。米国ミサイル防衛システムそのものの詳細については、こちらを参照してください。

これを公表するということは、中国のミサイル封じ込めに、成功したか、成功しつつあるということであり、中国にとっては、かなりの脅威となるものと思われます。


これに関して、なぜロシアが上記のような報道をするかといえば、やはり、ロシア自体が、かなり中国の最近の軍拡に脅威を感じているということにほかなりません。

陸続きで、ロシア全土をあわせてですら、10倍以上の人口を持つ仮想敵国が陸地を接して存在しているということですから、いつも潜在的に脅威にさらされているわけです。


であれば、このようなニュースは、ロシアにとっても好都合であり、利用できるものはなんでも利用して、中国の脅威を削ごうとの意図があるものと見えます。

しかし、アジアや中東に配置した、ミサイル防衛システムは、あくまでも、アメリカ本土防衛のためのものであり、まかりまちがって、中国のミサイルがロシアを目指しても、それを打落す仕組みにはなっていません。


であれば、ロシアにとては、相変わらず、何も変わらないわけで、ロシアも独自でミサイル防衛網をきずかなければならないということです。しかし、それは、なかなか難しいのかもしれません。だから、上記で軍拡競争という言葉がでてくるのだと思います。現ロシアは、軍拡競争には巻き込まれていないということを誇示したいのだと思います。

でも、これは、本当の誇示になるのでしょうか、もともと自国の原潜の処理も自国で行えないロシアは、国家として無責任な国です。



それもそのはずです。実は一作昨年、ロシアのGDPは、とうとうブラジルとインドに抜かれてしまい、世界10以内から滑り落ちてしまいました。

現在、ロシアのGDPは日本の3分の1以下なのです。日露戦争の頃は、ロシアのGDPは日本の8倍でした。100年間(正確には80年間)で日露の国力は大逆転したのです。



 2010年各国のGDP
1、アメリカ
2、中国
3.日本   5兆4500億ドル
4、ドイツ
5、フランス
6、イギリス
7、ブラジル
8、イタリア
9、カナダ
10、インド

・ ロシア  1兆4650億ドル
こんな国が、アメリカなみの、ミサイル防衛網など、構築できるわけがありません。それから、中国が世界第二位の経済大国になったのは、日本のおかげでもあります。それは、このブログに、何回か掲載してきたことですが、日銀が、いつまでも、執拗に増刷拒否など金融引締めをするものですから、固定相場制の中国は、自国の元を好きなだけ、擦りまししても、日本の円が担保となり、インフレを免れてきたということです。しかし、それも、最近では、効き目がなくなりつつあります。日本銀行がまともになったら、中国は、あっという間に、経済大国の座からすべり落ちることでしょう。

ロシアの弱体化は明らかです。現状の小国ロシアに、領土問題などで譲歩する必要など全くありません。日本は、日本銀行に金融引締めをやめさせ、円高誘導をやめさせ、また、世界第二位の経済大国に返り咲くべきです。それに、いますぐするしないは、別にして、核武装の論議をはじめるべきです。それだけで、ロシア、中国、北朝鮮はかなり脅威に感じることでしょう。

こうしたことを背景にして、日本は、弱体化が明らかになった、ロシアと領土交渉を有利にすすめるべきです。そうして、これは、他国ならどこの国でもやっていることです。日本だけができないとか、やってはいけないなどということはないはずです。そのためにも、一日でもはやく、新たな憲法を制定すべぎではありますが、今の日本国憲法の範囲でもできることは、すぐにも実行すべきと思うのは、私だけでしょうか?


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2012年7月26日木曜日

Facebookユーザーの満足度が大幅低下...そもそもSNS人気に終焉の兆し?―【私の論評】もうブームなどではなく、社会のインフラとなりつつあるということか?

Facebookユーザーの満足度が大幅低下...そもそもSNS人気に終焉の兆し?:
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一時のハヤリだったのかな?

友だちの友だちへとつながっていくSNS人気とは裏腹に、すでに以前から「ミクシィ疲れ」やら「Facebook疲れ」なる現象が囁かれてはきましたけど、どうやら一部のユーザー層では着実にSNS離れが進行し始めてもいるみたいですよ。やっぱりSNSって、猫も杓子も皆が使い始めるまでの最初期が、もっとも心地よかったりするんでしょうかね~

米国ミシガン大学ビジネススクールの開発指標に基づき、このほど全米の約8万人のユーザーを対象にして47業界の顧客満足度を調査した「ACSI」で、なんとFacebookは昨年より大きくスコアを落とし、あろうことかソーシャルメディア分野で最低の61を記録。TwitterやLinkedInにまで抜き去られちゃってますね。

ちなみに78のハイスコアでソーシャルメディアのトップにGoogle+が入っちゃっているんですけど、この結果には賛否両論あるみたいです。いつの間にかトップSNSだったMySpaceをFacebookが抜き去ったように、本当にGoogle+が次なるナンバーワンSNSとなるのかどうかは大きな疑問ですよね...

そもそも今回のACSIでは、ソーシャルメディアが全体として69の満足度指数に止まっており、検索エンジンやオンラインニュースメディアなどなど、他のネットサービスに大きく差をつけられてしまったことへの衝撃も大きいようです。もしかしてこのところ全体としてSNSの魅力が薄れ気味なんでしょうかねぇ。

ACSI
Mario Aguilar(米版/湯木進悟)

【私の論評】もうブームなどではなく、社会のインフラとなりつつあるということか?

facebookなどをはじめとする、SNSは、すでにブームなどではなく、多くの人にものすごい勢いで、定着したのではないかと思います。スマホやタブレット、PCを開けば、当たり前にそこにある、メールなどと同じようなものになりつつあるのだと思います。特に、最近では、スマホなど、FB のアプリが最初から搭載されていないものなどないと思います。


一昔前のメールと同じようなものではないかと思います。私自身は、最早、個々のハードに割り当てられた既存のメールは、ほとんど使いません。ほとんどが、SNSとウェブメールです。既存のメールを使うのは、相手方が、SNSをやっていないとか、ウエブメールもやっていない場合のみです。メールは、ひところ、中学生など一日数十通もメールを打つなどということが話題になっていました。しかし、このような人まだいるにしても、時代から取り残された旧人類の部類に入るでしょう。今とぎ、メールなど話題にもならないと思います。それは、あるのが当たり前だからです。






これを理解するには、電話など思い浮かべていただければ良いと思います。電話そのものは、すでに随分前から定着しており、今生存しておられる方で、生まれたときに電話なるものが存在していなかったなどという人はいないと思います。老人の方では、一部、小さい時あるいは、若いうちは、自宅に電話線がきていなくて、自宅から電話がかけらけなかったなどという方もいらっしゃるかもしれません。


しかし、ある程度の年齢になってからは、携帯であれ、固定電話であれ、何らかのかたちで電話が利用できるようになっている方がほぼ100%だと思います。そうです。電話は、すでに随分前から完璧に水道や電気のように社会のインフラになっているのです。



水道、電気、電話のように社会のインフラになってしまったものに関しては、好きも、嫌いも、流行り、廃れもないと思います。従来から、ユビキタスといわれていて、まさにそれです。ただ、昨年の原発事故によって、電力供給が少なくなり、計画停電などになったり、なりそうになったときに、不満がでてくるということになります。そうでなけれは、良いも悪いもなく、空気のような存在だということです。

SNSの場合は、こうして、使っている人にとっては、インフラになりつつある面と、まだ歴史が新しいので、使っていない人や、使って間もない人もいるということで、一時的に上のような統計結果になっているのだと思います。

それと、上の記事では、「78のハイスコアでソーシャルメディアのトップにGoogle+が入っている」ことに関して、否定的なようですが、私は、そうとは限らないと思います。


このブログにも従来から掲載していますが、実際にSNSを使い込むようになると、facebookや、Mixiなどでは、使い勝手がかなり悪いことが理解できます。使いはじめてから、間もないときには、そんなことなどほとんど気にならず、ただいろいろな人とネットワーク上で付き合いができることに満足を覚えるのですが、これが当たり前になってくると、いずれ不満がつのってきます。

何かといえば、facebookなどは、もともと、親しい現実世界での友人との付き合いをネット上で再現できるようにつくりこまれていますから、いろいろと都合の悪いこともでてきます。facebook上で、あまり親しくない多くの人と、友達になれば、自分のウオールなどへの書き込みは、どんなものであれ、あまり親しくない人にも見られてしまうことになります。

これは、最初のうちはあまり気にならないかもしれませんが、たとえば、友達に会社の上司とか同僚、学校の先生や友達、あるいは、利害をともにする人、そうではない人などが多数入ってくるようになれば、本当に親しい人たちとのネットワークとはまた異なってきます。ある人には、話たいことでも、多の人には聞かせたくない話もでてきます。

そうなるは、FBはかなり不便です。結局日々、誰にとっても、当り障りのないことを書くことになり、つまらないものになります。「こんな記事があったよ」「どこで、誰と会った」「どこで、何が安く売っていた」「どこで何を食べたら美味しかった」など、本当にどうでも良いようなものばかりになってしまいます。これらのこと、最初のうちは、SNS自体の物珍しさもあって、あまり苦にもならないでしょうが、日々続けていれば、いい加減飽きてきて、SNS疲れという事になるのだと思います。


ここまでになるには、おそらく、普通にFBを使っている人の場合、使いはじめてから、3,4年はかかるものと思います。FBの歴史は、まだまだ、短いですが、それにしても、3,4年継続して使う人が増えてきたため、上のアンケート結果のようになったのだと思います。



このような経験をして初めて、Google+のサークルの持つ意味が認識できるようになります。Google+を使っていない方に、"サークル"などといっても、ピンとこない方もいらっしゃると思いますので、以下にサークルについて解説します。
Google+上での知人とのつながりの起点になるのが「サークル」です。知人を円形のユーザーインタフェースに直感的に配置して管理できるようになっています。 
サークル画面では、Googleアカウントに登録されている連絡先やGoogle+上で知り合った人などを読み込んで知人の候補として表示。知人のアイコンは「友だち」「家族・親戚」「知人」「フォロー中」などのサークルにドラッグ&ドロップで配置することでグループ分けできます。動作はスムーズで、かなり簡単にグループ分けができます。サークルはユーザーによる定義も可能で、たとえば「会社」「学校」「趣味サークル」などを自由に作成できます。
しかし、このようなこと、実際に使ってみないとピンときません。何のためこんなものが必要になるかなど、SNSをあまり使っていない人には理解できないことと思います。しかしながら、fbを長い間使い込めば、理解することができます。だから、こそ、上の記事のようなアンケート結果が出てきているのだと思います。


私は、こういう背景から、以前もこのブログに同じことを掲載しましたが、やはり、社会のインフラとしては、Google+のほうが優れていると思います。それが、認識されつつあるというのが、上のアンケートの結果ではないかと思っています。皆さんは、どう思われますか?






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2012年7月25日水曜日

クリエイティブな良い仕事をするには、無意識に任せてなるべく放置すべし?―【私の論評】確かにそうだが、それには条件がある!!

クリエイティブな良い仕事をするには、無意識に任せてなるべく放置すべし?:


誰しも「先延ばしにする」ことを否定的にとらえがちですが、特にクリエイティブな仕事や課題の場合は、生産的に取り組めるようになるまで「待っている」というのもままあります。果たしてそれは良いことなのでしょうか? モンティ・パイソンのメンバーとして有名なイギリスの喜劇俳優であり、素晴らしい脚本家でもあるジョン・クリーズ(John Cleese)さんが、その問いに答えるようなクリエイティブに関するアイデアを教えてくれました。 ブログ「Co.Create」に、カンヌ国際映画祭で開かれた、クリエイティビティに関するクリーズさんのレッスンレポートがありました。そのうちのひとつは、サセックス大学の心理学教授Brian Bates氏の、クリエイティブでない建築家とクリエイティブな建築家を見分ける研究についてのものでした。 Photo by Rennett Stowe

ジョン・クリーズ氏

この記事の詳細はこちらから!!

【私の論評】確かにそうだが、それには条件がある!!

このブログでは、クリエーティビテイ(創造性)に関しては時々掲載しています。それは、自分のためでもあり、購読者の皆様のためです。最近では、ますます、知識労働が増える傾向にあります。知識労働には、創造性はかかせません。

結論からいうと、上の記事の「クリエイティブな良い仕事をするには、無意識に任せてなるべく放置」は、私も正しいと思います。しかし、これには二つ条件があると思います。

独創的な建築物
その条件とは、たとえば、建築家なら、まず、それこそ数十年建築家の仕事を続けてきて、建築に関するありとあらゆる知識が、特に今からつめ込まなくても、頭の中に一杯詰まっていて、たいていのことは、調べなくても既にほとんどを知っているという条件です。もう一つが、放置する期間は、なるべくリラックスして、睡眠時間を十分とるということです。



これなら、先の仮定は、ものの見事にあてはまると思います。しかし、そうではない人は、そもそも、これは、無理です。建築の仕事をはじめたばかりの人で、建築に関する情報や、知識が入っていない人、特に実務経験がほとんどない人が、「無意識にまかせてなるべく放置する」ようなことをしても、ほとんど閃きなど浮かんでこず、全く仕事にならないことでしょう。


しかし、このような人でも、この条件を満たせば、アイディアが沸々と湧いてくることがあります。それは、どういうことかといえば、上の経験豊富な建築家のような状況を人為的につくってしまうのです。どういうことかといえば、経験のない人が、建築の仕事、それも相当クリエーティブイブな仕事を要するタスクをするにおいては、まずは、徹底的に関連の建築に関する事柄について、徹底的に、人の話しを聴いたり、似たような建築物を実際に訪れたり、あるいは、インターネットや書籍などの情報を徹底的に頭にこれでもか、これでもかと詰め込むのです。


そうして、その後すぐに、建築の企画にとりかからず、上のように、しばらく放置しておくのです。それが、一晩なのか、一日なのか、あるいはもっと長いのかは、別にして、とにかく、一定以上の期間を必ずおくということが重要です。そうして、おいている間は、なるべく意識的にそのことを考えないようにます。これは、企画をする人たちの間では良くいわれている「考えを寝かせる」ということにあたります。


許されるなら、頭に関連事項の詰め込みが終わった直後には、すぐに寝て、何日になるかは、企画の内容にもよりますが、大きな企画の場合であれば、数日間は寝かせるのです。できれば、何もしないで自分の好きに遊んでいるのが一番良いでしょう。そうして、この間は、意図的に十分睡眠をとるようにします。このようなことが許されない人の場合は、その間、雑用など、企画にほとんど関係ないことを意図して意識して行うようにして、「考えを寝かせる」のです。この場合でも、無論、雑用がすんだらすぐ帰るようにして、家などでリラックスして、早めに寝て睡眠時間を十分とるようにします。


そうして、一定期間がたってから、おもむろに、また企画にとりかかるのです。そうなると、まだ情報で足りない部分をさらに補強したり、新たなアイディアが浮かんで、思ってもみなかったことを思いついたりします。この「寝かす」ということをしないで、情報集めなどから、すぐに企画づくりにはしると、ほとんど陳腐なものしか生まれません。



それは、脳科学的にも証明されているものと思います。

脳科学者茂木健一郎氏が脳科学にもとづいて自身の仕事術を紹介した日経新聞のコラムがあります。その中で、<午前中が創造的な仕事をするゴールデンタイム>と語る氏によれば、<寝ている間に脳が無意識のうちに記憶を整理してくれ、体験の意味がより明確になり熟成してくる>からだといいます。

茂木健一郎氏
睡眠中における脳の無意識下の働きについては、養老孟子氏も述べています。その記事、探してみたのですが、すでに消去されていたので、私が覚えている範囲内で、以下に要約を掲載します。
「人間の脳は、意識するとせざるに関わらず、昼間目にしたものや聞いたものを記憶し、溜め込んでいる。また、思考し何らかの考えも蓄積する。そうして、脳内のエントロピーが増大した状態で夜を迎え、眠る。眠りながら脳が働き整理する」ということです。


養老孟子氏
私が上記リンクの養老氏のコラムを読んだのは5、6年前の10月だと記憶していますが、それ以来、目覚めた時が一番脳が整理された状態であることが分かったので、茂木氏のように仕事を朝型に切り替えました。実に効率がいいです。ただし、上にも述べたように、睡眠時間は十分にとることが前提です。また、茂木氏があるテレビで、複数のそれぞれの世界でトップクラスの人たちが、意図的に、企画のときに眠ることの重要性を示唆したテレビ番組もあり、脳科学的に茂木さんが、ますます、確信を深めました。


もう一つ実践していることは、無意識下の脳に意識的に働かせることです。
「無意識で意識的?」と完全に論理は破綻していますが、不思議とそれができるのできるのです。

眠りに入る直前、意識が少し遠のく瞬間に一つの命題を脳に与えておきます。例えば企画書で書きたいと思うようなテーマの断片をいくつか思い浮かべるのです。すると、眠りに落ちる瞬間までそのことを少し考えます。眠ったあとは無意識の脳に任せます。茂木氏や養老氏の言うような情報整理のプロセスを脳が行っているうちに、その命題と脳内の情報や記憶の断片が結びつきます。うまくいけば、目が覚めると何んらかの考えが浮かんでいます。ベッドサイドに茂木さんのようにパソコンはないですが、できるだけ早くパソコンに向かうか、必死にメモをとります。最近では、iPhoneでフリック入力で素早くメモをとるようにします。毎回うまくいくわけではありませんが、なれてくると結構、勝率が良くなります。


こんな話をすると、「眠っている間までそんなことをしていたら、気が休まらないでしょ?」と人に言われることがあります。しかし、養老氏は「この脳の働きを裏付けている最大の証拠は、寝ていても起きていても、脳が使っているエネルギー量は変わらないということだ」 と語っています。誰しも眠っている間も脳を動かしているのです。どうせなら、それを効率的に使った方がいいでしょう。これは一つのライフハックと言えると思います。騙されたと思って、今夜にでもお試しあれ。


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2012年7月24日火曜日

【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”―【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!

【日本の解き方】あまりにヒドい政府の“日本再生戦略”:



政府は「日本再生戦略」の原案を公表した。それは2020年までに環境や医療、観光など11の戦略分野で38の重点施策を掲げ、630万人の雇用を創るという政府の目玉の成長戦略だ。7月末までの閣議決定を目指しているという。

11分野を具体的にいえば、グリーン成長戦略、ライフ成長戦略、科学技術イノベーション・情報通信戦略、中小企業戦略、金融戦略、食農再生戦略、観光立国戦略、アジア太平洋経済戦略、生活・雇用戦略、人材育成戦略、国土・地域活力戦略。これはほぼ全省庁の守備範囲だ。


これだけ広範囲になると、「戦略」という名前がすたってしまう。戦略とは選択と集中が伴うものだが、政府のものは総花的で戦略の名に値しない。まるで、各省庁が予算獲得のために「一丁目一番地」(各省庁の優先政策事項)を束ねたものに見える。

・・・・・・・・・・・・・(中略)・・・・・・・・・・・・・・・・・

個別では一見もっともらしいことが、全体を見ると奇妙なことは雇用創出にもある。

人口減少の日本では雇用者数があまり増えない。となると、630万人の新規雇用を創出すると、別の産業で雇用者の減少になるだろう。630万人の雇用が創出されるということは、600万人くらいの雇用喪失が別の産業でありうるということになる。それはどのような産業なのか。政府原案では示されていない。そんな産業はわかるはずがない。

成長する産業としない産業が政府でわかるなら旧共産圏の計画経済は失敗しないはずだ。もし本当に政府が分かるなら苦労はない。

ちなみに、グリーン成長戦略は、50兆円市場で新規雇用140万人。労働分配率が6割として、新規雇用者の平均年収は2100万円になる。どうして「日本再生戦略」を書いた官僚が役所をやめて、そこに就職しないのだろうか。書いた本人はそのいい加減さを知っているからだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】今の政府や政治家は、自分の頭の上のハエを追えない人が、他人の世話を焼いているようなもの、自分がやるべきことに専念せよ!!

上の記事で、高橋洋一氏は、「成長する産業としない産業が政府でわかるなら旧共産圏の計画経済は失敗しないはずだ。もし本当に政府が分かるなら苦労はない」と語っていますが、まったくその通りと思います。

成長する産業は、政府はおろか、優秀な民間企業でさえ、見抜けないことがあります。たとえば、あの世界を携帯電話で、席巻したNOKIAです。


ノキアが、実はスマホをアップルに先駆けて、開発していたことをWSJが伝えています。詳細は、WSJをご覧いただくものとして、以下にその記事の一部を掲載します。


スマホ戦略を誤ったノキア 膨らむ開発費、ユーザー動向つかめず
ノキアの開発チームは、アップルがスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」を発売する7年以上前に、ボタンが1つだけ付いたカラータッチスクリーン搭載の携帯電話を披露していた。端末を使ってレストランを探したり、レーシングゲームをしたり、口紅を注文するデモが行われた。1990年代後半にノキアがひそかに開発していたもう1つの魅力的な製品がタブレット端末だ。無線接続可能で、タッチスクリーンが搭載されていた。それら機能は全て大ヒットしているアップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」に今日搭載されているものだ。
「なんてこった」。ヌーボー氏は古いスライドを次々クリックしながら声を上げ、「われわれは完璧に仕上げていたのに」と語った。
ノキアの元デザイン責任者、フランク・ヌーボー氏は、アイフォーンを予期させるような試作品をノキアは既に開発していたと話す
いずれの製品も消費者の目に触れることはなかった。これらはノキアの企業文化の犠牲となった機器だ。研究にばかり多額の費用をつぎ込み、開発した画期的な製品を市場に投入するチャンスを無駄にしてきたのだ。
ノキアは1990年代にワイヤレス革命を主導し、世界をスマートフォン時代へといざなうことを目指した。そのスマートフォン時代が到来した今、ノキアは株価が落ち込み、数千人の従業員が職を失う事態に陥るなか、競争力ある製品の発売に向けて必死に取り組んでいる。
民間企業ですら、このような失敗をすることがあるわけですから、政府が成長する産業を見極めることなどほとんど不可能です。特に自由主義経済下では、そのようなことは誰もわからないというのが事実です。いろいろなタイプの企業が種々様々な工夫をして、その結果いずれかの事業がその時々の市場に適合うして、それが産業として伸びて行くというのが普通です。


スマホは、アップルがiPhoneで、現在の原型をつくりあげ、それを市場に投入しました。これが、たまたま、市場に適合していたため、それが、大ヒットして、今日につながっています。そうして、今では、iPhoneだけではなく、Android携帯なども様々の種類のものが、開発され、一大産業となっています。しかし、その影て、ノキアに限らず、ブルーベーリーその他、失敗しているところたくさんあります。それに、私としては、これら携帯電話に限らず、いまでは完璧に姿を消したPDSだって、電話機能さえつければ、現在のスマホと変わりないものがいくつもありました。


スマホの例でもわかるように、どの産業でも、いくつもの会社が、いくつもの新しい次世代のものを開発しており、そのうちの本の数社、場合によっては、1社だけが、次世代の産業を担って、大きく発展していのです。今日確かにアップルは大成功を収めましたが、何かがどこかで違っていれば、アップルがノキアのような目にあっていたかもしれないのです。


そんな自由主義経済下の競争において、政府が発展する産業を見抜けるわけはありません。政府はもともと、そのようなことをする機関ではありません。城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」では、あたかも、通産省が日本の産業を主導してきたような扱いですが、あれは、幻想にすぎません。現実には、通産省主導で行ったことは、何一つ成功していません。大成功したのは、先送り戦術だけです。


それに、本来自由主義経済下の政府の役割は、こんなことをすることではありません。政府の役割は、新産業などが生まれやすいように、経済活動が活発になるように、法律を整えるだとか、規制を撤廃するとか、逆に規制を強化するとか、さらに、公共工事をするとか、安全保証などをして、いわゆるインフラ(基盤)を整えることです。このインフラづくりが政府の本命の仕事です。このインフラ上で活動して、成果をあげるのが、民間企業営利企業、非営利企業、その他の組織ということです。間違っても、政府が、インフラの上にのっかって、様々な事業を展開するようなことがあってはなりません。

女性ソ連兵
それを大規模に行ってきたのが、旧ソ連邦をはじめとする社会主義国であり、部分的に行ってきたのが、自由主義陣営による高福祉国家でした。旧ソ連邦をはじめとする、社会主義国家は、今日では全滅しました。また、ソ連邦に脅威を感じて高福祉国家をめざした国々は、その本家本元のイギリスでも財政負担があまりにも大きくなりすぎたので、取りやめました。一部まだ続けている国もありますが、それは、スウェーデンなどの人口数百万の比較的規模の小さい国々だけです。

旧ソ連邦の雰囲気を出した携帯電話ショップ
旧ソ連邦に関しては、その破綻は、すでに1950年代にアメリカの経済学者が予測していました。統計資料などからみて、その頃のソビエトの経済はいたって簡単で、いわゆる、投入物=生産物という具合で、付加価値がほとんどなく、戦後のソビエトの繁栄は、結局戦後に敗戦国からの資源などを大量に投入し、大量の生産物を得ていたというだけであって、このようなことは長くつづくはずがないと予測したのです。まさに、その通りになりました。

旧ソ連邦の版図

社会主義など魅力的に見え
るが過去のものに過ぎない
社会主義国の時代のソ連といういうと、私が覚えているのは、アイロンです。当時アイロンは、ソ連の独占国営企業がつくって市場に投入していて、ソ連国内では、輸入ものでないかぎり、ほぼすべて同じものが使われていました。しかも、確か、崩壊する直前のものでも、30年前につくられたそのままです。

計画経済なので、顧客ニーズやウォンツなどとは全く関係なく、政府による来年はいくつ必要になるであろうという予測のもと、それに従って生産して、市場に投入していただけだったのです。競争も何もないため、結局30年にわたって、モデルチェンジも行われなかったのだと思います。

政府がインフラづくりだけでなく、実際に産業活動をしても、できるのは、このようなことだけです。ソ連邦の計画経済ほどは規模は大きくありませんが、政府が、重点施策を実行して、投資をするのも、結局は社会主義国政策と同じようなものであり、結局失敗します。

自由主義経済下の日本政府は、日本再生のための、インフラ整備をすべきです。このインフラ整備の中には、当然のことながら、デフレ対策も含まれるべきです。これなしに、日本再生など考えられません。デフレ対策のためには、まずは、景気を良くしなければなりません。そのために、真っ先に政府がやるべきは、大規模な、財政出動と、金融緩和です。このなこともせずに、やみくもに増税しようとしたり、「日本再生戦略」をぶちあげるなど、とんでもありません。

何やら今の政府や政治家、自分の頭の上のハエも追えない人がやる必要もない他人の世話を焼いているようなものです。そんなことをしないで、本来自分たちがやるべき仕事に専念しろと言いたいです。そうして、何が自分たちの本当の仕事なのか、よくわかっていないのが、腐れ官僚たちなのだと思います。そう思うのは私だけでしょうか?

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2012年7月23日月曜日

相手の話を聴くときの9つのスキル~朝の読書『上から目線の扱い方』―【私の論評】組織内外のことはドラッカーに原点がある!!



職場の困った「何様」上司&部下には、こう対処しろ!本書の帯には、こんな言葉が躍ります。『「上から目線」の扱い方』(榎本博明著、アスコムBOOKS)は、会社において誰しもが経験するであろう人間関係にひとつの解を与えてくれる一冊です。部下に対して、または上司に対してどう接するべきか。手助けのつもりで声をかけた部下から「偉そうに」と陰口を叩かれたり、はたまた上司に威張り散らされ辟易としたり...。いずれの場合にも人間関係を阻害する一因となるのが「上から目線」であるとして、それに対し、いかに対応していくべきか書かれています。本書より一部紹介します。円滑なコミュニケーションのために必要な、「相手の懐に飛び込んで、話をしっかり聴く」ための9つのスキルです。 

【私の論評】 組織内外のことはドラッカーに原点がある!!

プレゼンスキルだけで、人を感動させることはできない
上の記事では、以下の9つのスキルを掲載しています。
相手に興味をもつ 
相手の話に意識を集中する 
うなずきを多用する 
あいづちを打ちながら聴く 
共感しながら聴く 

相手の言葉の一部を繰り返す(反映の技法) 
はっきりつかみきれないところは確認する(明確化の技法) 
質問をすることで、関心をもって聴いていることを暗に示す 
似たような経験が自分にもあれば、それを簡単に話す
この書籍は、あくまで、比較的若い人を対象として、自己の立場から、どのように話を聴けば良いのか、そのスキルを掲載したものだと思います。だから、対象の人が読むには、これは、これで良いことだと思います。また、この書籍の著者もそれを意図しているのだと思います。しかし、コミュニケーションを深めるという立場からは、これだけでは不十分です。

もし、この書籍に書いてあることを部下が実施すれば、たちどころにコミュニケーションが成立すると考える管理者や経営者がいるとすれば、それは愚かなことです。



上記のスキルは、スキルという言葉が示すように、所詮ツールにすぎません。ツールがどんなに優れていたからと言って、それで良しということはありません。どんなに優れたツールをもっていようとも、それで仕事がうまくいくとは限りません。たとえば、切れ味の良い素晴らしい包丁を持ったからといって、素晴らしい料理ができるとは限りません。素晴らしいグローブや、バットを持ったからといって、野球に勝てるわけではありません。では、どうすれば、良いのでしょうか?





ドラッカーは、コミュにーションを深めるためには、目標管理を導入せよと主張しています。
目標管理を導入せずして組織の円滑なコミュニケーションはない 「耳を傾けることはコミュニケーションの前提である。だが、耳を傾けるだけでは、効果的なコミュニケーションは実現しない」(『マネジメント[エッセンシャル版]』) 
耳を傾けることは、上の者が下の者の言うことを理解できて初めて有効となる。ところがドラッカーは、下の者は当然のことながら、上の者であってもコミュニケーション能力を持ち合わせているとは限らないという。 
そこでドラッカーは、組織におけるコミュニケーションの近道を教える。しかも、近道であって王道である。それはドラッカーが開発した目標管理(MBO)だ。 
ドラッカーは目標管理を導入して初めて組織の円滑なコミュニケーションが成り立つという。なぜなら部下は、会社もしくは自らの部門において、いかなる貢献ができるのかを明らかにすることが求められるからである。 
部下の考えが上司の期待どおりであることは稀である。事実、目標管理の最大の副産物は、上司と部下のものの見方の違いを明らかにすることにある。 
同じ事実を違ったように見ていることを互いに知ることこそが、コミュニケーションの第一歩である。 
「コミュニケーションは私からあなたへ伝達するものではない。それは、われわれのなかの一人から、われわれのなかのもう一人へ伝達するものである。組織においてコミュニケーションは手段ではない。それは組織のあり方そのものである」(『マネジメント[エッセンシャル版]』)
ドラッカーは、コミュニケーションは「われわれのなかの一人から、われわれのなかのもう一人へ伝達するものある」としています。まさしく、そういうことです。これは、コミュニケーションをかわす人たち、かわさなければならない人たちは、「私とあなた」「私と大勢」「大勢と私」という関係ではなく、「われわれ」という関係になっていなければならないことを言っているのです。


これが、コミュニケーションの本質です。そうして、「われわれ」「私たち」「俺たち」という関係にならければならないということです。そうして、ドラッカーが目標管理が友好であるというのは、無論こうした文脈においての話です。ただ、目標管理をやりさえすれば、すぐにコミュニケーションがなりたつということではありません。しかし、こういう文脈の上で、目標管理管理を実施すれば、コミュニケーションがより深まるということです。

実際に、目標管理を導入しても、いっこうにうまくいかない企業があります。このようなことをせずとも、コミュニケーションが良い企業もあります。「われわれ」という関係になるのは、どういうことかといえば、様々な「経験」を共有するということです。


仕事をただ機械的にするだけではなく、うまくいけば皆で喜ぶ、失敗しても、皆で残念に思い反省し、次に生かすようする。たまには、飲みに行ったりしたり、飲みだけでなく、趣味の集まりとか、会社でも、様々な行動をともにするこによって、「われわれ」という関係が生まれます。そういう下地ができているところで、目標管理を実施するとますます、コミュニケーションが深まるということです。そうして、さきほどのスキルも生きてきます。


スキルや、ツールをよくしただけでは、何も変わらないということです。本日のように、コミュニケーションに関することでも、こと、企業内外というより、組織内外ということで考えてみた場合は、やはり、どのようなことでも、原点はドラッカーにあるといっても過言ではありません。できたら、やはり、ドラッカーを読んで考えてみることが、近道だと思います。「上から目線」に関することも、ドラッカーの書籍をみれば、多くの書籍に、宝石のようにあちらこちらに、智慧がきら星のごとく、輝いて見えることでしよう。とにかく、いわゆる組織内外のマネジメントに関わることなど、まずはドラッカーの書籍を読むのが一番と思います。

皆さんは、どう思われますか?




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