外食デフレがウェンディーズ直撃 サイドビジネス撤退相次ぐ(この内容、すでにご存知の方はこの項は読み飛ばしてください)
ウエンディーズの店舗
デフレ不況が米国発祥のハンバーガーチェーン「ウェンディーズ」を直撃した。米ファストフード3位のウェンディーズ・アービーズ・グループが11日、ゼンショー・グループとのフランチャイズ契約が12月末で切れるのを機に、日本国内の全71店を閉鎖することを決めた。独り勝ちといわれるマクドナルドなどとの競争激化が原因で、ゼンショーは牛丼の「すき家」など主力事業に経営資源を集中する。
米ウェンディーズは全店閉鎖の理由について「(ゼンショーと)成長を目指した新たな条件で合意に至らなかった」と説明した。
ゼンショーが、バーガー事業からの撤退を決めたのは、日本マクドナルドなどライバルとの競争激化で客数が伸び悩み、事業の将来性が見込めないと判断したためだ。
国内のバーガー市場はマックが店舗数3720店と断トツ。全国の店舗網を使った効果的な販促策や、原料の一括大量調達による低価格メニューで客を呼び込み、外食不況の中で今年1~9月期の営業利益が過去最高益を更新するなど“独り勝ち”を続ける。
マックと直接競合する市場で、日本ウェンディーズの販売は苦戦。ゼンショーは、平成14年2月にダイエーからウェンディーズの事業を買収したが、売上高は20年度が61億円と、13年度より2割超も縮小した。
節約志向の消費者が家庭で食事を取る「内食回帰」を強め、外食不況が深刻化する中、外食産業が、本業以外のサイドビジネスを縮小する動きが相次いでいる。
吉野家ホールディングスは、子会社運営のラーメン事業(麺屋 五条弁慶)から8月末で撤退。一杯250円の低価格が売り物だったが、ラーメンブームのマニア的なニーズに応えられず、赤字が続いたためだ。「モスバーガー」のモスフードサービスも、不振が続いていたハンバーグ専門店「ステファングリル」を8月に売却した。
麺屋 五条弁慶の店舗
ステファングリルの店舗
日本フードサービス協会によると、外食産業の全店ベースの客単価は10月まで5カ月連続で縮小し、外食デフレが加速している。所得・雇用環境の悪化で先行きも厳しい状況が予想される中、本業への経営資源を集中させる動きが一段と加速しそうだ。
背後にあるのは、顧客との関係?
吉野家は、ラーメン業が撤退、ハンバーグ専門店の撤退、そうして、今度はハンバーガー店の撤退と、撤退があい続いている。共通するのは、これらを運営していたのは、すべて他に本業を持っていたということである。それと、もう一つ、これらの店に共通するのは、これらの店に物語性が全く感じられないということです。現在、多くのいわゆる安売り業態ができていますが、なかなかうまくいかないようです。これには、いろいろ問題があるのでしょうが、やはり、私は、物語性が欠如しているのではないかと思います。
■物語性を蓄積した老舗
これらを運営していた会社は、これらのほかに本業を長いこと運営しています。たとえば、牛丼の吉野家、モスバーガー、牛丼の「すき屋」です。これは、最も歴史の短い「すき屋」ですら、1982年から営業しています。モスバーガーは1972年創業です。吉野家の創業は、何ともちろん個人商店としてですが、1889年です。
これだけ、長いこと運営していると、意識しようとしまいと、それだけで顧客との深い関係が構築され、その関係により「物語性」が醸成されてきます。
モスバーガーだと、私なら、初めて食べた「ライスバーガー」の衝撃は今でも忘れられません。また、食べてみたいです。吉野家は、札幌で初めて食べたのですが、何回か食べに行ったあとで、閉店したので、どうしたのかと思っていたらかなりの経営不振に陥っていたということを後で知りました。その後再進出してきた後で、また食べたときのことなども良く覚えています。これらの店で食べたことと同時にその当時の自分のことや、周りの人のこと、特に一緒に食べに行った人など思い出したりすることができます。「すき屋」に関しては、残念ながら、私は、今まで一度も行ったことがないのでこうした想い出がありません。
現在外食業界で一人勝ちの状況である、マクドナルドも、こうした想い出には事欠きません。私の場合は、まだ若い頃、仙台に転勤になった頃を思い出します。ほとんど営業の経験もないのに、営業の仕事をして苦労していました。そんなときに、良く利用したのが、マクドナルドです。朝早く、行って、マックの朝定を食べたこと、そこで良く見かけた人などのことが頭をよぎります。また、営業の仕事の性質上、次の訪問先に行くまでに、間が空いてしまったときに、最寄もマクドナルドに立ち寄り、そこでドリンクなど飲みながら、準備をしました。長く営業している店、特にチェーン店の場合、どこでも同じようなつくりであったり、同じものを想起させる、ロゴマークや店員の服装、提供の仕方などがあります。そのためか、いつの間にか、記憶に蓄積されていきます。
そうして、それらの記憶がいつの間にか「物語」となってしまっています。「物語性」については、昔からいろいろ言われてきました。商品でも、サービスでも、物語性を付加することにより、価値があがるというものです。マクドナルドには、創立者のマクドナルド兄弟の物語があり、物語の範疇を超えて神話の域にまで達しています。
このように飲食店では、物語性が重要です。最近ある方のブログを見つけましたが、その方は、昔イタリアンレストランを経営していたそうです。その方のブログに物語性について、興味深い話が掲載されています。
その方の店は、目の前に教会があり、教会関係者の方にたくさん利用していただいてたそうです。しかし、ワインのオーダーが少なく、「どうしたら、もっとワインを飲んでいただけるだろう?」と考えていたところ、スタッフの一人が「ラクリマクリスティ」というイタリアワインに注目しました。
「ラクリマクリスティ」は“キリストの涙”と言われるワインで、そのネーミングから教会関係者の注目を引くことは可能です。また、そのネーミングの由来となる伝説は次のようなものでした。
『その昔、神によって天国から追放された大天使-サターンは、天国の土地を一部持ち去り、逃げ出しました。その途中、サターンは盗んだ土地を落としてしまい、その場所にナポリの街ができました。しかし、街の人々は悪徳の限りを尽くします。ナポリの悲惨な様子を、天上から眺めていたキリストは、あまりの悲しさに涙を流しました。すると、その涙が落ちたところから葡萄の樹が生えてきて、素晴らしいワインが生まれたのです。』
この由来となる伝説をワインリストに記したところ、教会関係者の多くがこのワインを注文してくれるようになったそうです。また、友人などを誘って来ては、「このワインはね、『キリストの涙』と言ってとても素敵な伝説があるんだよ」と伝説を話しながら楽しそうに飲んでいる方をたくさん見かけるようになったそうです。
■最近ふたたび注目されている「物語性」
この物語性は、飲食店に最近いろいろなところで、注目されています。バブルの頃など、やたらと、「物語性」が強調され、テレビのCMなど「物語」が主で、物語のほうが、強調され一体何のCMだったのか、忘れてしまうほどでした。しばらく、この傾向はなくなりましたが、また、最近物語性が注目されています。
たとえば、私は、今このブログを書いているところですが、最近、「物語性」のあるブログの方が多くの人からの評価が高まることが、確かめられています。
NTTレゾナントと早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所は、今年1月15日、「ブログの影響力に関する調査」の結果を公表しました。これによると、ブログで書かれている対象やテーマ(今回は温泉)についての評価が、物語性が低いと評価したグループよりも高くなる傾向が見られたそうです。
さらに、ブログの中で「あなたもこんな経験がありませんか」と自らの経験を思い出させるような呼びかけや、「○○だと思いませんか」と読み手の意見を求めるような呼びかけがある場合と、呼びかけがない場合を比較しました。すると、読み手への呼びかけがある場合、記事の物語性が高まり、さらに、ブログへの評価も高くなることがわかりました。ブログも「物語性」のあるほうが、評価が高くなるということです。
それから、最近のテレビなど見ていると明らかに、物語性を打ち出しているものが多数みられます。テレビCM成功の秘密は長尺のストーリー、ユーモア、そしてBGM。不況のあおりで企業の広告宣伝費が限られる中、消費者の心をつかむCMは、こんな要素を備えていることがCM総合研究所の調査で見えてきました。
同研究所は毎月3千人を対象にCMの好感度などを調査している。08年度に東京キー局5局で放送された2019社の1万7765作品のうち、好感度や宣伝効果の高さで総合1位を獲得したのは、「白戸(ホワイト)家」シリーズで話題を呼んだソフトバンクモバイル。白い犬のお父さんが人気となり、07年6月の放送開始から2年で48本が放送されました。
2位は缶コーヒー・ボス「宇宙人ジョーンズ」シリーズのサントリー、そしてお笑い芸人コンビのオードリーを起用した「ニンテンドーDSi」の任天堂が続いた。
上位のCMには共通点が見られる。まず長尺でストーリー性を追求する手法。テレビCMの84%が15秒という中で、30秒、60秒でゆったりと物語や世界観を展開するものが好まれます。
ストーリーのカギとなるのはユーモア。「白戸家」や「宇宙人」はその典型だ。物語に連続性もあり、新作が出る度に話題を集めています。
この傾向は、今年も引き継がれているようで、保険の「アフラック」や、車の「子供店長」など、皆さんも覚えていらっしゃいますね?
テレビ番組そのものでも、ストーリー性の豊富なものはヒットします。もう終わってしまいましたが、NHKのプロジェクトXがその代名詞です。あの番組は、ドキュメンタリー番組としては、驚異的なヒットでした。やはり、強烈な「物語性」があのようなヒットを生んだのだと思います。それに、あの番組で取り上げられた商品は、次の日には売上げがかなり伸びたそうです。
最近では、「ポカリスエット開発秘話」が、「ルビコンの決断」という番組で放映されていましたが、プロジェクトXとにも似た感じの番組構成でしたが、この番組放映後に、かなり売上げが伸びたそうです。
それだけドマチックなストーリーを商品の背景として提示すると、人は共感して買いたくなってしまいまいたくなるということだと思います。
人は「物語」を求めています。ただ出来上がった商品やサービスそのものでなく、その背景を知ることによって購買意欲が高くなります。
トミー・リー・ジョーンズの上のCMは、宇宙人であるジョーンズの不合理と不条理を笑い飛ばすユーモアと、NHKのプロジェクトXにも通じるスートーリー性が見事に融合している。
■現代の物語性とは?
北海道では、来春の高卒者の10人の就職希望者のうち3人しか、就職できないというような、厳しい雇用情勢あったりします。このブログでも再三掲載してきたように、日本は財政的にはかなり恵まれています。さらに、国民の資産は、1000兆超と、とてつもないものがあります。にもかかわらず、いままでの経済対策がまずく、不況の最中にあります。
こうした時代には、バブルの時代とはまた異なる「物語性」が必要になってくると思います。バブル期には、「クウネルアソブ」(初代日産セフィーロの宣伝キャッチコピーです。井上陽水が走行中の窓から「食う寝る遊ぶ~」ってやってました)に代表されるように、享楽的なものが支持されたと思います。
現代のような不況といいながら、以前にもこのブログで掲載したように国が財政的にも恵まれている、さらには、国民の金融資産が1000兆超であるという不思議で、不合理な現在では、貧しい時代とも、バブルの時代とも異なるストリーが必要になってくると思います。多くの人が、現在の世相にかなり矛盾、違和感、不条理を感じているのではないかと思います。
政局でも、本当は財政に余裕があるので、何でも決定するのにずいぶん時間がかかって、切迫感がないのに、民主党の幹部たちは、深刻そうに振舞っていたり発言したり、マスコミもそうした報道をするとか、事業仕分けをして、財源がでてくると思いきや、あまりたいしたことがないとか・・・・。そもそも、自民党から民主党に政権交代されすれば、すべてがうまくいくはずなのに、とてもそうとは思えない状況にあるとか。
いろいろな社会問題があるのに、なかなか解決される糸口が見つからないとか。実は、このブログにも述べているように解決方法があるにもかかわらず、日本ではそうした状況にはならないとか。マスコミなどがさかんに 国の財政危機や地球温暖化災厄説を煽るが、そうでもない。かといって、確かに自らの所得などあまり増えていないとか、場合によっては少し下がっているとか。とはいいなが、完全な破滅状態でもないとか。
あまり良い事例とは思えませんが、地球温暖化災厄説とはいいながら、そうでもないとか。だから、もし、今後地球温暖化で世界が大変なことになるからという理由で誰かが自殺したとしたら、多数の人が奇異なことと思うでしょう。財政が厳しいといいながら、最近でも、鳩山さんなど、海外に対して、諸外国に大盤振る舞いの援助を気前よく約束するとか・・・・・。だから、今仮に、日本が財政破綻するからという理由で誰かが自殺したとしたら、それも多くの人に不可解な事と理解されるでしょう。本当に事態が深刻だったら、これらで自殺した人がいたとすれば、多くの人は、身につまされて明日は我が身ということで、本当に気の毒がると思います。多くの自殺者は、そんなことではなく、本当にもっと切迫した状況で亡くなっています。
テレビでは、派遣切などが報道されているとか来年の高卒で就職予定の人たちが、あまり就職できないという事実があるにもかかわらず、当人や、親などもさほど深刻でもないとか。シロクマが、氷のない北極海で途方にくれているような映像が写されているが、かといって、自分たちは、切迫した状況にはないとか、不可思議なことがあまりにも多すぎます。
確かに不安を感じるのだが、モヤモヤしているだけでさほど切迫感がないとか?先進国の中では、特に日本がそうした傾向が強いと思います。一昔前の日本であれば、物事はもっと単純で、それが真実であるか否かは別にして、人々は世の中の事象にも容易に納得できたのではないかと思います。実は、マスコミが報道しているような経済や、自然災害などの災厄は、ほとんどはあてはまりません。何か、マスコミや政府などがこぞって、バーチャル世界を築いているような気さえします。
こうした、矛盾・不条理がなぜ起こるのかというと、これも従来のこのブログに掲載してきましたが、簡単に言うと、21世紀に入って、日本をはじめとする先進国が従来の社会とは異なる異質な社会に入ってしまってのに、あいかわらず20世紀のやり方で対処しているためです。特に日本の場合、政治など19世紀の先進国型のものから一歩も踏み出していません。ここでは、今回の論点からは離れてしまうので、これについてはここでは詳しく述べません。
そうした中で人々は、実際の災厄や、危機が起こるような起こらないようなモヤモヤした気分にあるのだと思います。ここで、白戸(ホワイト)家のストーリーや、アフラックの「まねきねこダック」や、ボスのトミー・リー・ジョーンズによる宇宙人CM、子供店長などのCMを思い出していただきたいです。このような現象におかれている人々は、こうした、かなり矛盾したストーリーでありながら、何ら不安感もない、屈託のないCMに惹きつけられているのだと思います。
犬のおとうさんや、まねき猫やアヒルが踊りだすとか、子供が店長をしている不条理や、矛盾をおちゃらけたストーリーに仕立てて楽しんでいるようです。そうなんです、おそらく、これは、日々の不条理、矛盾を笑い飛ばしているのだと思います。現状では、私たちは、いろいろな矛盾や、不条理、不合理と、同居して、それが当たり前と思わなければ生活できません。これは、その理由が理解できていようと、できていないとに同じことです。皆さんもそう思いませんか?
本当に貧乏になったり、経済的に危機の時代には本当に明るいストーリーが求められます。アメリカの、金融恐慌などの時は、まさしくそうでした。この当時に、それこそ、名作といわれる、ミュージカルの原作がつくられています。そのほとんどが、屈託がなく明るく、矛盾も、不条理もない、どちらかというとサクセス・ストーリーばかりでした。
反対に、経済的に豊かであるとか、バブルの時代には、ストーリー性といっても、ゴージャスとか、先程のクウネルアソプとか、意味不明ですが、単純でイメージ的なストーリーがもてはやされたりします。また、高級ブランド神話が浸透したりします。
今のような時代に訴求できる、ストーリー性とは、意図的に矛盾や不条理をつくりだし、それを完全に笑い飛ばすものとか、あるいは、どんなことでも良いから、単純明快に説明仕切るストーリーではないかと思います。
これに関しては、ソフトバンクのCMと、アップルのiPhone3GSのコマーシャルは対照的で非常に参考になります。特に、iPhoneは日本では、アップルストアでも販売はしていますが、アップルストアは、数は少ないです。やはり、iphoneの携帯電話やデータ通信のキャリアを受け持つ、ソフトバンクからの販売が最も多いです。
それなのに、両者のCMは、本当に対照的です。それこそ、ソフトバンクでは、白戸(ホワイト)家のストーリーにお父さんが出てきて、矛盾、不条理を演出しつつ、その内容は屈託がなく明るいものになっています。本当に、あのCMの中では、完全に普通だったら、不条理、矛盾、不合理を代表しているような、犬のお父さんや、黒人のお兄さんが明るく振舞って、ジョークを飛ばしています。
一方、アップルによるiphoneのコマーシャルによって、日本でも多く人がiphoneの内容を知ることとりましたが、本当に直裁に、iphoneの最早携帯電話とはいえない、パソコンのような機能と、それをコンパクトに一つ収めたスタイルとスマートさを直裁に訴求しています。これは、人々に対して新なライフスタイルの物語を直裁に提供しているのだと思います。多くの人は、もし自分がiphoneを持てば、どのようなライフスタイルを実現できるのか、かなり理解できたと思います。
そうして、不思議なことに、この両方のコマーシャルが日本の人々の心にしっかりと心に刻まれています。特にiphoneのCMによって、一部の人しか知らなかったような、スマートフォン(コンピュータなみの機能をもった携帯電話のこと)のことが日本でも周知されたと思います。これまでも、スマートフォンはありましたし、CMも流されていました、しかしこれほど一般に周知されてはいなかったと思います。
■結局のところは・・・・・
冒頭に述べた、ウェンディーズは、外国からの直輸入でしかも、マクドナルドなどからはずいぶん遅れてから入っています。だから、歴史によるストーリもなく、ウエンディーズのストーリーはそもそも、あまりないのか、あったとしても弱わかったか、いずれにしても、伝わらなかったという事だと思います。麺屋 五条弁慶も、ステファンリングも同じことだ思います。おそらく、最初にどのようなストーリーを提供するのか、さらに、それからどのようにストーリーを発展させるのかなど、事業計画などに盛り込まれていなかったのだと思います。とにかく、飲食店などでも、その店を実際に利用して、ストーリー性も何も感じられなく、安さだけではこのような結果を招いてしまうという格好の事例になったと思います。
結局のところ、現代では、第一には、新しい商品・製品・サービスを提供するには、敢えて矛盾や、不条理をつくりだし、それをものともせずに、笑い飛ばすとか、日常的で何の不安もないことを訴求することが新たなストーリーを生み出し、顧客に対して訴求する事ができるのです。
そうして、第二に、自ら提供する新しい、商品・製品・サービスに関して、直裁に説明し、その説明によって顧客のライフスタイルをどのように変えることができるか提案できるかが、訴求のポイントとなるということです。
これに関して、ソフトバンクのCMは、矛盾・不条理など生み出して、それを笑い飛ばしていますが、それだけではなく、同時に新たなサービスや、製品など、直裁に簡単に短時間で明快に示しています。ソフトバンクはiphoneのCMも流しています。これに関しては、たとえば犬のお父さんがiphoneアプリによるピアノ鍵盤(iphoneのディスプレイに、ピアノ鍵盤が表示され、その鍵盤をタッチすると本当にピアノの音がでるアプリ。かなり売れ筋のアプリ)で、ピアノを演奏していたりして、本当に両方の要素を取り入れいて脱帽ものでした。そういった意味では、日本国内では、やはり、ソフトバンクのCMの方が群を抜いていると思います。
ソフトバンクは、白戸家があまりにも有名になりましたが、外国人タレントを起用したCMも多数輩出しています。最近では、ブラピが、武蔵丸のボディーガードをしているCMがありました。これも、ブラピが武蔵丸のボディガードをするなどという、不条理を巧みに演出しながらも、最後には、携帯電話の軽さという機能を強調してました。多くの顧客は、このCMで日ごろ武蔵丸が隠喩している不条理と関わりあいながらも、何とかこなしているブラピに感情移入をして、共感をしているところに、最終的に携帯電話の軽さを訴求されるということで、非常に受け入れやすいCMになっていると思います。
従来からあるサービスや商品に関しては、なかなか革新性を強調することはできないため、不条理・不合理を演出しつつも、それらを笑い飛ばすストーリーにより、顧客に親密さや、信頼感、開放感を提供し、顧客との関係を強化する。革新的な商品やサービスに関しては、直裁的にその革新性を訴求するストーリーによって、顧客に新たなライフスタイルを提案して、顧客との関係を強化する。あるいは、両方を訴求するストーリーを展開して、顧客との関係を強化することが、重要になってきているのだと思います。
いずれにせよ、いつの時代にもストーリー性は必要で、時代によってその時代風のストーリー性が重要であることには、変わりがないと思います。企画者・開発者がストーリーが浮かばない、顧客もストーリを膨らますことができないモノやサービスはなかなか売れないのだと思います。そうして、このストーリー性に関しても、結局は顧客との関係構築の一つの手法であり、特に現在は有効な手立てだと思います。