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2024年4月29日月曜日

時代遅れの偵察衛星システムで日本は隣国からのミサイル攻撃を防げるのか?―【私の論評】シギント(信号諜報)の重要性と日米台の宇宙からの監視能力 - 中国の脅威に備えるべき課題

時代遅れの偵察衛星システムで日本は隣国からのミサイル攻撃を防げるのか?

江崎 道朗 茂田 忠良

書籍『シギント 最強のインテリジェンス』より

まとめ
  • 日本が「反撃能力」の保有を決定したが、具体的にどの武器をどう使うかが曖昧
  • トマホーク巡航ミサイル購入、国産ミサイル射程延伸、超音速ミサイル開発などが計画されるが、撃つ対象が不明
  • 静止衛星や無人機の導入は示されたものの、ミサイル監視・追跡能力で米中に大きく遅れ
  • 米国は従来の警戒衛星から多数の小型低軌道衛星によるミサイル追跡システムへ移行中
  • 中国も大規模な偵察衛星群や通信衛星網の整備を進め、日本の体制は大きく後れを取る恐れ

 2022年12月、日本政府は防衛力の大幅な強化を盛り込んだ新たな「安全保障の基本方針」を示した。中でも大きな転換となったのが、これまでの専守防衛の考え方から、一定の「反撃能力」の保有を容認したことである。

 近年、中国、ロシア、北朝鮮などが次々とミサイル戦力を増強し、日本列島が射程に入る事態となった。これに対し日本はミサイル防衛システムを整備してきたが、相手側の能力の向上に追いつかなくなってきた。そこで、ミサイル防衛に加え、一定の「反撃」によって相手の武力攻撃を抑止するため、長距離の精密打撃能力やミサイル能力の強化を打ち出した。

 具体的には、アメリカ製トマホーク巡航ミサイルの購入、国産の地対艦ミサイルの射程延伸、さらには超音速ミサイル開発などが示された。しかし、こうした武器をどのように運用し、いったいどこを攻撃目標とするのかについては不明確なままとなっている。

 一方で、静止衛星の打ち上げや無人偵察機の運用計画が記されているものの、ミサイル監視・追跡能力の面では、米中に大きく遅れをとっている恐れがある。米国は従来の早期警戒衛星から、多数の小型低軌道衛星によるミサイル追跡システムへと移行を進めており、中国も大規模な偵察衛星群や通信衛星網の整備を計画している。

 このように日本の防衛態勢は大きく転換したものの、具体的な武器の性能や運用、それを支えるインテリジェンス能力の面で、不明確な点が多く残されている。今後は米国との緊密な連携を図りつつ、より実効的な計画の策定が求められよう。

 この記事は元記事の要約です。詳細を知りたいかたは元記事をご覧になってください。

【私の論評】シギント(信号諜報)の重要性と日米台の宇宙からの監視能力 - 中国の脅威に備えるべき課題

まとめ

  • シギント(信号情報)は諜報活動の中で最も重要な手段の一つである。
  • 潜水艦などの探知・監視には、ソナー信号やレーダー波などのシギント活動が不可欠。
  • 日本は海洋におけるシギント能力は高いが、宇宙からのミサイル監視・追跡能力は不足している。
  • 中国はミサイル監視・追跡能力の向上に注力しているが、その実態は不透明である。
  • 日米台はミサイル監視・追跡における中国の動向を注視しつつ、宇宙におけるシギント能力の強化が課題。
インテリジェンス(諜報)活動には大まかに分類して、シギント、ヒューミント、オシントがあることはこのブログでも解説しました。その記事のリンクを以下に掲載します。
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ただこの記事をはじめとして、このブログに掲載してきた諜報活動は、どちらかというシギントは軽視しがちでした。どちらかというと、オシント(公開資料にもとづく諜報活動)に重きをおいたものでした。それは、インターネットなどの発達により、いまやオシントは諜報・防諜活動に従事していない、素人でも簡単にできるようになったきたということがあるからです。

それに、諜報活動というとテレビや映画ではヒューミント(人による諜報活動)が目立ちますが、諜報活動の大部分は、現実には地味な公開資料の分析によるオシントが大部分を占めるからです。

しかしそうしたこととは別に、シギントは昔から今にいたるまで、最強の諜報活動といえます。ただし、シギントは素人が個人で行えるものではなく、国家による関与が不可欠ともいえます。そのため、一般の人にはあまり知られていないというのが実情です。

まずは、シギントについて詳しく説明します。

シギント(SIGINT)とは、Signal Intelligenceの略で、電波信号から情報を収集する諜報活動のことを指します。主な手法は以下の通りです。

1.コムイント(COMINT)

相手の通信内容を盗聴・解読することで情報を収集するもの。有線通信や無線通信の電波を捕捉し、復号化して内容を解析します。

2.エリントインテリジェンス(ELINT)

電子機器が放射する電磁波のパラメータ(周波数、強度、変調様式など)から、その機器の性能や機能、運用態様などを解析し情報を収集するもの。レーダー探知機やジャミング装置の性能評価などに用いられます。

3.フィジントインテリジェンス(FISINT)

 原子力施設や化学施設から放出される特定の粒子線や化学物質を検知して、その施設の活動状況を監視するためのインテリジェンス活動。

シギントには、地上施設に加え、艦船や航空機、さらには静止軌道や低軌道の偵察衛星からの電波収集能力が不可欠です。収集した情報は、通信解読や電子機器の性能分析、施設の活動状況把握などに活用されます。

特に今日では、ミサイル発射の電磁波パラメータからその性能を推定したり、指揮統制通信の盗聴で発射の有無を察知したりと、シギントは世界各国の軍事行動の把握に欠かせない重要な手段となっています。

このブログには良く掲載している、対潜水艦戦(ASW:Anti Submarine Warefare)における潜水艦探知能力もシギントの一環と言えます。

潜水艦は水中を航行するため、視覚的な探知が困難です。そのため、潜水艦から発せられる種々の「信号」を捕捉・解析してその存在や活動を探知することがASWの重要な手段となります。

南シナ海でASWの訓練をする海自

具体的には、以下のような手法がシギントとして活用されています。 

  • ソナー(SONAR)信号の捕捉・解析 潜水艦が運用するソナーの能動的な送波や受波音を監視し、潜航姿勢を推定する。
  • レーダー信号の捕捉(RADINT) 潜水艦のレーダーの電波を捕捉し、浮上時の活動を探知する。
  • 電磁信号の捕捉(COMINT) 潜水艦の通信電文の盗聴や、プロペラ回転に伴う極超短波の捕捉など。
  • 放射線/化学物質の検知(FISINT) 原子力潜水艦から漏れる放射線や化学物質を検知する。
  • 測量情報収集 潜水艦に搭載された測量装置を使って、水深や海底地形、海流などのデータを収集できます。この情報は潜水艦の運用や海上交通路の把握に役立ちます。
  • 艦船/施設監視 潜水艦の望遠鏡や撮影装置を使って、対岸の軍事施設や艦船の動向を監視できます。水上からは監視しにくい箇所の情報収集が可能です。

こうしたシギント活動によって潜水艦の存在や行動を察知し、対潜作戦に活用することができます。したがって、対潜哨戒はシギントの重要な一部と言えるでしょう。

これ以外にも、潜水艦には特殊諜報活動が 上陸したスパイの潜入/離脱、無人機の投入、海底設置型センサーの布設/回収など、秘匿性の高い特殊な諜報活動にも使われます。

このブログにも何度か掲載してきたように、日本の潜水艦はステルス性(静寂性)が高いことは、さらには日本の対潜哨戒能力が高いため、潜水艦や対潜初回活動等による、海洋におけるシギント能力はかなり高いといえます。

これにより、日本は中国に対して海戦面ではかなり有利であり、仮に日中戦争になったとしても、中国が日本に大部隊を送り込むことは困難であり、仮にそうすればすぐに発見され、撃沈されることになります。

そのため、日本は独立を維持できるでしょうが、このブログでも何度かのべてきたように、日本国内が中国のミサイルによって大きく破壊される可能性は高いです。

それは、台湾も同じことです。このブログでのべてきたように、第二次世界大戦中に米軍が、台湾上陸作戦をしなかったことでも明らかなように、台湾の急峻な地形、平坦な地域であっても、河川や湾が複雑に入り組んだ地形てあり、上陸地点が限られてしまうという事実は、天然の要塞と言っても良い状況であり、これを侵攻するのは難しいです。

しかし、台湾も対中戦争になれば、国土の大部分を破壊されることを免れることは難しいでしょう。

その背景には、上の記事にもあるように、日台はミサイル監視・追跡能力の面では、米中に大きく遅れをとっている恐れがあるからです。

ミサイルの監視を行う米国の衛星の想像図

先に述べたように、日本の海洋におけるシギント能力はかなり高く、台湾も潜水艦を時前で建造するなど、海洋でのシギント能力をたかめつつありますが、宇宙におけるシギント能力は高いとはいえません。これを高めていくべきです。

ただし、未だ中国の宇宙でのシギント能力が高いという確たる事実は発見されていません。中国の軍事技術の主な入手先は主にロシアですが、そのロシアのウクライナでの苦戦ぶりをみれば、ロシアはミサイル監視・追跡に関する基盤的な能力は持っているものの、作戦で要求される高度な能力までは未だ備えていないように見受けられます。宇宙でのシギント能力は、さほど高いとはいえないようです。

ただし、中国は近年、ミサイル監視・追跡能力の強化に注力しています。

その取り組みとしては、偵察衛星の大量打ち上げによる宇宙資産の増強、新型の大型レーダーシステムの運用開始、海上・航空機からの監視能力の拡充などが挙げられます。

このように監視・追跡体制の整備が進められている一方で、その具体的な性能や実効性については不透明な部分が多く残されています。中国が米国を上回る"かなり高い"ミサイル監視・追跡能力を備えているかどうかを確たる根拠に基づいて評価することは現時点では困難です。

監視・追跡分野における能力向上の兆しはみられるものの、その程度を断じるには情報が不足しており、引き続き動向を注視していく必要があるでしょう。

日米台としては、中国の動向を注視しつつも、宇宙でのシギント能力を高めていくことが大きな課題といえます。

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2020年8月23日日曜日

「TikTok」 中国の運営会社がトランプ政権相手取り裁判の方針―【私の論評】KikTokの本当の脅威は、得られた膨大な情報をAIを用いて分析するオシントだ(゚д゚)!



世界的に人気の動画共有アプリ「TikTok」を運営する中国のIT企業に対し、アメリカのトランプ政権がアメリカ事業の売却を命じている問題で、会社側はこれを不服として裁判を起こす方針を明らかにしました。

「TikTok」をめぐってアメリカのトランプ大統領は、利用者の個人情報が中国政府に悪用され、安全保障を脅かすおそれがあるとして、これまでに運営会社である中国のIT企業、バイトダンスとの取り引きを来月下旬から禁止することやバイトダンスに対してアメリカ国内での事業を売却することを相次いで命じています。

会社側は22日、声明を出し「トランプ政権は事実関係に関心を払わず、企業どうしの交渉に干渉しようとした」と批判しました。

そのうえで「わが社と利用者への公平な対応を実現するため、司法を通じて大統領の命令に異議を申し立てるしかない」として、トランプ政権を相手取り裁判を起こす方針を明らかにしました。

会社側はSNSの公式アカウントに訴えは24日に起こすと投稿しています。

「TikTok」をめぐっては、大手IT企業マイクロソフトがアメリカ事業の買収に向けて交渉を進めていますが、その行方は不透明で、アメリカの利用者からは不安の声も出ています。

【私の論評】KikTokの本当の脅威は、得られた膨大な情報をAIを用いて分析するオシントだ(゚д゚)!

この裁判自体は、結審までには時間がかかるし、その頃には大統領選挙はとっくに終了しているだろうし、米国はこのようなことにお構いなしに、中国や「TikTok」を運営する中国のIT企業に対して制裁を課すでしょうし、場合によって結審前に、アメリカ事業の売却されてしまうかもしれず、それに運営会社側に勝ち目はなく、あまり意味がないでしよう。

TikTokの危険性については、以前から指摘されていましたが、それがはっきり示されたのは、今年の1月、米ワシントンDCに本部を置くシンクタンク、ピーターソン国際経済研究所(Peterson Institute for International Economics, PIIE)は最新調査報告によるものでした。

私自身は、日本や欧米の企業によって製作されたアプリに関しても、情報の不正使用もある可能性も全くないとはいいませんが、それは国家目的に使われることはないと考えています。もし、そのようなことがあれば、大問題になるからです。

しかし、中国は違います。当然のことながら、アプリで収集した情報などは、中共が必要とあれば、すべて閲覧できるでしょう。だがら、私はKikTokをはじめ、中国製や韓国製のアプリなどは使用したことはありません。

報告書によれば、他の中国開発アプリと同様に、ユーザーの個人情報や位置情報を中国にあるサーバーに送っているといいます。中国政府から情報収集の協力要請があれば、ユーザー情報を簡単に入手できます。

米国当局が問題視しているのは、一部の若い軍人が軍服のまま基地内や航空機内などで自撮りしてTikTokに投稿していることです。これらの情報に基づいて、中国当局による西側諸国の軍事活動の情報入手を許すほか、兵士らの顔面識別情報を提供することになります。

ピーターソン国際経済研究所は、TikTokはファーウェイのように、欧米各国政府の国家安全保障を脅かす可能性が高いとその危険性を強調。各国政府に対策を講じるよう呼び掛けました。

TikTokの画面、小学生の投稿

TikTokは日本の小中高生の間でブームとなっています。株式会社マイナビが運営する10代女子向け総合メディア「マイナビティーズ」が昨年11月に発表した「2018年10代女子が選ぶトレンドランキング」では、TikTokは「流行したモノ」ジャンルの2位となりました。

バイトダンス側の最新統計によれば、全世界の月間TikTokアクティブユーザーは5億人。中国国内の月間アクティブユーザーは3億人です。

2019年2月、TikTokが米国の児童オンラインプライバシー保護法に違反しているとして、児童法保護団体などが米連邦取引委員会(FTC)に訴えを起こし、TikTokはFTCから、罰金570万ドルの支払いを命じられていました。

このころから、米国議会の議員たちが次々とTikTokの情報安全問題について言及し始め、CFIUSは2019年11月1日からTikTokの調査を開始。またCFIUS(対米外国投資委員会)は、米国を代表する医療情報共有コミュニティPatientsLikeMeやゲイ専用出会い系アプリのグリンドルに対し、CFIUSの審査を経ずに、北京ゲノム研究所の元CEO王俊氏が設立したバイオテック企業iCarbonXやゲーム会社・北京崑崙万維科技が巨額投資していることを問題視し、中国企業側に支配的持ち分株の売却を要請し、中国企業側もこれに同意しました。

米国では当時、米国の患者のゲノムデータが中国に流れたり、出会い系アプリを利用しているゲイの政治家や高官の個人情報が中国側に漏れることで、脅されてスパイ行為を働いたりするリスクなど、中国製アプリの具体的な危険性に言及されはじめました。
ウォールストリートジャーナルによれば、 TikuTokはグーグルのOS「アンドロイド」の個人情報保護をすり抜け、何百万もの携帯端末から個別の識別番号を収集し、グーグルの規約に違反してユーザー追跡をしていたことが12日までに判明しています。
元ホワイトハウス国家安全保障委員会の官僚で、大西洋評議会デジタル・フォレンジック・リサーチラボ(DFRLab)のグラハム・ブルーキー主任はTikTokがもたらす米国の国家安全上の脅威を3つ挙げています。
その3つとは、
その3つとは、
(1)中国政府にはTikTokからユーザーの個人情報提供を直接要請する能力がある。

(2)ユーザーは個人情報をどのように利用されるか知るすべがない。

(3)投稿内容に対し中国が検閲できる。(1)中国政府にはTikTokからユーザーの個人情報提供を直接要請する能力がある。

これら、3つは当然といえば当然です。そもそも、中国に国家情報法国防動員法がある限り、中国と対立を深める米国は当然のこととして、日本を含むすべての国々にとって、あらゆる中国企業は国家安全上のリスクがある、ということになります。


TikTokだけでなく、微博、微信、百度翻訳などのあらゆるアプリも、またアリババや京東といったEコマース企業、トリップドットコムなどの旅行サイトも、ネットイースなどのゲーム企業も個人情報を中国政府に渡すリスクはあり、スパイ企業になりうる、ということになります。

実際、アップルは人気オンラインゲームも含めて3万以上のアプリをアップルストアから撤去しました。

トランプ大統領自身もすでにTikTokの被害にあっています。トランプ大統領のオクラホマ州タルサ集会(6月20日)に100万人の参加申し込みがありながら、実際は6000人ほどしか出席せず、トランプのメンツ丸つぶれとなる事件がありましたが、これはTikTokユーザーの「ステージ上でトランプを一人ぼっちにさせよう」と呼び掛ける動画が広がったことにも大きな原因があったとされています。

トランプ大統領が、中国アプリの中でTikTokを真っ先にターゲットにしたのはトランプ大統領の個人的恨み、という見方も一部で流れていましたが、中国政府が検閲を行使できる圧倒的な世論誘導力をもつアプリが米国の若年層に広がることの怖さを考えると、大統領選前にこのアプリを何とかしたいと思うトランプ大統領の考えも納得できます。

それに、TikTokのもう一つの脅威があります。昨日は日本が『ファイブ・アイズ』に入ることの真のメリットについて掲載しました。その記事の中で、現在のスパイ活動は、オシント(公開されている情報を情報源とする情報収集活動)を中心行われていることを示しまた。

実は昔からスパイ活動のうち007のような派手な活動は、ほんの一部で、スパイ活動の大部分は一見地味に見えるこのオシントによるものです。CIAもかつてのソ連のKGBの活動も大部分は、オシントです。ヒューミント(人を介して行う超包活動)はごく一部です。

スパイ活動には、オシント、シギント、ヒューミントの3つがある

そのオシントの例として、第二次世界大戦中に、新聞その他の公開情報から、たとえばドイツの高官がある町の結婚式に参加した等の情報を丹念につみあげていき、独ソ戦の開始日をあてた諜報員をあげました。

TikTokから得られる情報は、このオシントの効率を著しく高める可能性があるのです。たとえば、これらから得られる情報を丹念につみあげいげは、いますぐにではなくても、その時々の米国の国内の状況をつぶさに知ることができる可能性が高まります。

先程のなぜドイツの将官がある町の結婚式に参加したことが、独ソ戦の開始日の予測にむすびついたかといえば、当時のドイツとソ連の国境(現在のポーランド)に、ドイツ軍の機甲部隊が結集しているという情報があり、それに加えて、何か特殊なことが無い限り、その町に縁のないドイツの将官が来るはずもなく、しかも結婚式に参加という事態は普通なら起こり得ないことだったからです。

無論この二つの情報だけでは、独ソ戦の開始日など予測することなどできず、その他様々な公情報から独ソ戦の開始日を予測したのです。その当時は、インターネットも、AIもなかったので、これを調べるためには、複数の諜報員がかなり時間をかけて、様々な膨大なソースからこれを割り出したのでしょう。

しかし、現在では、インターネットがあり、AIもあります。TikTokから得られる様々な膨大な情報をAIと人間が分析して蓄積していけば、独ソ戦の開始日の予測どころか、かなりことを予測できる可能性があります。無論、TikTokから得られ情報は、中国外では非合法ですが、中国内では、合法であり、それは中国国内では、諜報活動にかかわるものとしては、公開情報と同じということになります。

だからこそ、一見TikTokから得られる諜報活動は、シギント(通信、電磁波、信号等の、主として傍受を利用した諜報・諜報活動)だといえますが、これは得られた情報が膨大にあるだけでは何のインテリジェンスにもならず、かなりオシント的なものになると思います。

そうして、その予測にもとづき、中共が様々な手を打てば、米国内の様々なことを操作できるようになるでしょう。いや、それどころか、世界中の国々の様々なことを操作てきるようになるのです。これが本当の脅威です。多くの日本人は、長い間平和に慣れ親しんできたせいで、このような脅威に鈍感になってしまったようです。日本では、このような脅威について、指摘するものはほとんどありません。

本来政治とは関係ない、若者の娯楽アプリであるはずですが、使いようによっては洗脳や世論誘導のツールとなりえます。もちろん、映画やテレビ、音楽、ファッションのあらゆる文化産物に、そうした世論誘導効果、中国の言うところの「宣伝効果」はあるのですが、スマートフォンとアプリの登場によって、その伝播力、影響力、そして低年齢層化が格段にレベルアップした以上、こうしたハイテクソフトのナショナリズム化は避けられないでしょう。

張一鳴氏は、思想的には必ずしも共産党一党独裁体制には染まっていないようです。むしろ傾向としては自由主義的な考えの持ち主で、真のグローバリストと評する声も出ています。

少なくとも共産党体制と決別したほうが、企業も社員もハッピーに違いないです。中国ではすでに習近平政権に敵視されて、経済犯として逮捕されたり失脚したりしたうえ、資産接収された民営企業がいくつか存在し、今後増えていきそうな気配です。

ただ、張一鳴氏がたとえ米国内の事業を売って、共産党体制と決別しようとしたとしても、中国に国家情報法国防動員法がある限り、張一鳴氏が中国人であるかぎり、中国共産党の要望や希望を叶えなければ、張一鳴氏は法律に違反したことになり、中共に逮捕されてしまうのです。これが、中国の脅威の本質なのです。

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2021年6月6日日曜日

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「研究所流出説」を甦らせた素人ネット調査団、新型コロナの始祖ウイルスを「発見」!


<「反中の陰謀説」とされてきた新型コロナウイルスの「研究所流出説」がここへ来て急に見直されているのは、中国の説明がおかしいと感じた世界各地のアマチュアネットユーザーがチームを組んで否定しがたい新事実を科学界と大メディアに突きつけたからだ>


新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は中国・武漢の研究所から手違いでウイルスが流出して引き起こされた──これはつい最近までオルト・ライト(新右翼)的な陰謀論としておおむね無視されてきた主張だ。【ローワン・ジェイコブソン】 

【動画】肛門PCR検査後、ペンギンのように歩く中国の人々 

ワシントン・ポストは2020年初め、「専門家が何度もその誤りを証明した陰謀論を、執拗に蒸し返している」として、トム・コットン上院議員を批判。CNNは「陰謀論や誤情報を信じている友人や家族を説得する方法」を伝え、ニューヨーク・タイムズも「非主流の説」扱いをし、公共放送のNPRも「研究所の事故で流出したという説は虚偽だと証明されている」と述べるなど、アメリカの他の主要メディアもおおむねこの説を否定していた。

 そうした中で、本誌は例外的に2020年4月、武漢ウイルス研究所(WIV)はウイルスの病原性や感染性を強める「機能獲得型」研究を行なっており、ここから流出した可能性も否定できないと報道した。同様の報道を行なったのは、左派系雑誌のマザー・ジョーンズに加え、ビジネス・インサイダー、ニューヨーク・ポスト、FOXニュースと、ごく少数のメディアだけだ。 

<あるのは好奇心と根気だけ>

 だがこの1週間ほど、研究所流出説がにわかに注目を浴び始めた。ジョー・バイデン米大統領は情報機関に追加調査を指示。主要メディアも手のひらを返したように、流出説をあり得る仮説として扱い始めた。

 雲行きが変わった理由は明らかだ。この何カ月かの間に武漢の研究所からの流出を疑わせる状況証拠が次々に明るみに出て、無視できないほどに蓄積された。

それらの証拠を探り当てたのは、ジャーナリストでもスパイでも科学者でもない。アマチュアの「探偵」たちだ。彼らの武器は好奇心、そして来る日も来る日もインターネット上の膨大な情報をかき分け、手掛かりを探す根気強さ。それだけだ。

 パンデミックが始まってからというもの、その原因に関心をもった世界各地のアマチュア20数人が独自に調査を行い、埋もれた文書を掘り起こし、断片的な情報をつなぎ合わせてきた。彼らがばらばらに発信した推理が1つ、また1つとツイッター上でつながり、やがてはまとまったストーリーが紡ぎ出されてきた。

<チーム名は「ドラスティック」>

それは言ってみれば「オープンソースの自由参加型ブレインストーミング」であり、ネット調査と市民ジャーナリズムの要素が合体した、全く新しい調査方法である。彼らは自分たちをDRASTIC(Decentralized Radical Autonomous Search Team Investing COVID-19=新型コロナウイルス感染症に関する分散型の急進的な匿名の調査チームの頭文字を取った略称だ)と名乗る。

 DRASTICの調査結果は長い間、ツイッター上のオタク世界の片隅に埋もれ、少数のフォロワーにしか知られていなかった。探偵たちはたびたび捜査の袋小路にぶつかったし、時には彼らの解釈に異を唱える科学者たちと論争になった。それらの数々のツイートは、ツイッターの「ファイヤーホース」サービスを介して、1つのまとまったニュースの流れを形づくった。

 調査の質はしだいに向上し、事実究明に向けたその執念がより幅広いフォロワーを引きつけ、科学者やジャーナリストもその内容に注目するようになった。 

DRASTICのおかげで、今ではいくつかの重要な事柄が分かっている。

<どう見ても疑うしかない新事実>

まず、武漢の研究所が長年、コウモリのいる洞窟で何種類ものコロナウイルスを収集してきたこと。その多くは2012年にSARS(重症急性呼吸器症候群)のような症状を起こして3人の鉱山労働者が死亡した銅鉱山で見つかったもので、新型コロナと最も近縁なウイルスもそこに含まれるとみられている。

また、武漢の研究所はこれらのウイルスを使ってさまざまな実験を行なっていたが、安全管理はお粗末で、曝露や流出の危険性があったことも明らかになった。研究所も中国政府もこうした活動を外部に知られないよう、ひた隠しにしていたのだ。

さらに、新型コロナの発生源とされた武漢の華南海鮮市場で最初の集団感染が起きるよりも何週間も前に、既に感染者が発生していたことも分かった。

これらのいずれも、研究所流出説を裏付ける決定的な証拠とは言えない。研究所が発生源ではない可能性も十分にある。しかしDRASTICが集めた証拠は、検察官の言う「相当な理由」にはなる。つまり、研究所から出た可能性を疑い、本格的な捜査を行うに足る理由がある、ということだ。

<最初は「海鮮市場が発生源」を信じた>

アメリカやその他の国々が精力的に調査を進めても、研究所流出説を裏付ける明白な証拠が得られるという保証はない。中国の全面的な協力なしには、徹底した調査はできないが、中国の協力は得られそうにない。

 それでも、この雑多な背景を持つ少数のアマチュアたちがやってのけた草の根の調査報道は、21世紀の最大のスクープとなる可能性がある。 

以下はその詳しい経緯だ。

 DRASTICの1人、「シーカー(探索者)」と名乗る20代後半のインド人男性がメールとテキストメッセージで本誌の取材に応じてくれた。

 彼はインド東部の西ベンガル州在住。地元の伝統的な舞踊に使われる仮面をツイッターのロゴにしている。仕事は建築、絵画、映像制作など。母や姉妹がよく作るインドのお粥「キチュリー」のように雑多な素材が混じり合うことで、意外性に富む作品ができるそうだ。

 熱心な独学者で、グーグルが監視の目を光らせるネット上の「表通り」からは外れた「路地裏」に精通し、興味を持ったトピックについてはそこでせっせと情報収集をしてきた。その成果をレディットに頻繁に投稿し、75万カルマ・ポイントを獲得したという。

 本誌に明かしてくれたプロフィールは以上。本名の公表は控えたいそうだ。 

<「流出説」を揉み消した大物の正体> 

パンデミックが始まった当初、新型コロナ関連のニュースを追っていた人たちの例に漏れず、シーカーも武漢の海鮮市場で野生動物からヒトに感染が広がったと信じていた。3月27日付のツイートで、彼は「珍しい動物の取引で生まれたおかしなウイルスで、親や祖父母が死ぬなんて、ひどい話だ」と嘆いた。

 彼がそう信じたのは、主要メディアがそう報じたからで、主要メディアがそう報じたのは何人かの科学者がそう主張したからだ。 

ピーター・ダスダック氏

そう主張した科学者の筆頭格がピーター・ダスダック。パンデミックを起こす可能性がある自然界の病原体について大規模な国際調査を行う非営利の研究機関、エコヘルス・アライアンスの代表だ。

 ダスダッククは、武漢ウイルス研究所に所属するコウモリのウイルス研究の第一人者、石正麗(シー・ジェンリー)と長年共同研究を行ってきた。十数本近い論文を共同執筆し、分かっているだけで60万ドルの米政府の助成金を彼女に回してきた。

<自然発生説のほうが陰謀だった>

世界で最も多くコロナウイルスを収集してきた研究所のすぐそばで、未知のコロナウイルスの集団感染が発生したとなると、研究所から流出した疑いを持つのは理の当然だ。ダザックはすかさずそれに待ったをかけた。他の26人の科学者と連名で2020年2月19日、医学誌ランセットで公開書簡を発表。「新型コロナウイルス 感染症が自然な発生源を持たないことを示唆する陰謀論を、私たちは断固として非難する」と宣言したのだ。

 今では情報自由法の請求記録から、ダスダックが研究所流出説を潰すための公開書簡の作成を主導したことが分かっている。彼は書簡の草案を作成し、仲間の科学者たちに署名させて、それが幅広い科学者の見解を示すものに見えるように画策したのだ。

 ダザックは科学者たちに署名を求めるメールの中で、「この声明にはエコヘルス・アライアンスのロゴは入らないし、特定の組織や人物が作成したものだと特定されることはない」と確約していた。武漢ウイルス研究所と研究内容が重なる科学者たちは、「(署名から)研究内容を逆にたどられることがないように」署名しないことで同意した。

 だが当時、ダスダックが果たした役割については、それをほのめかす兆しもなかった。公開書簡が発表されたことがきっかけでメディアに頻繁に登場するようになったダスダックは、研究所流出説を「不合理」「根拠に欠ける」「完全なでたらめ」と一蹴した。彼はまた、同研究所につながる証拠を発表した複数の科学者を攻撃。研究所流出説が理にかなわない理由の一部として、武漢ウイルス研究所では、新型コロナウイルスに少しでも似ているウイルスを一切培養していなかったと主張した。 

<コウモリウイルスの専門家、石正麗> 

ダザックは長期にわたって、驚くほど大きな影響力を持ち続けた。彼のしたことが公にされれば、彼のキャリアも組織も大きな打撃を受けただろうが、メディアがそうした疑問を提起することはほとんどなかった。 

皮肉にもダスダックの「共犯」となったのが、ドナルド・トランプ前米大統領だった。「中国ウイルス説」を唱えるトランプ政権がエコヘルス・アライアンスへの助成金を打ち切ると、メディアはダザックを陰謀論者たちの「犠牲者」として同情的に取り上げたのだ。

  シーカーは、2020年前半までにはその考え方に疑問を抱くようになっていた。そこで、通説のあら探しをしていた人々とのやり取りを始めた。 

その中で見つけた重要な情報が、カナダの起業家ユーリ・デイギンによる、オンラインプラットフォーム「メディウム」への投稿だ。デイギンはこの中で、石正麗が2月3日に科学誌ネイチャーで発表したウイルス「RaTG13」を取り上げていた。石正麗は論文の中で、新型コロナウイルスについての詳細な分析結果を紹介。新型コロナウイルスと遺伝子レベルで似ているウイルスとして、「RaTG13」(コウモリコロナウイルス)を挙げていた。

<検閲されて疑い強まる>

論文はRaTG13の起源については曖昧で、中国南部の雲南省に生息するコウモリから以前検出されたと述べるだけで、いつ・どこで発見されたのか具体的な言及はなかった。

 デイギンはこの論文に疑念を抱いた。新型コロナウイルスは、RaTG13あるいはその関連ウイルスを調べていて、遺伝子を混ぜ合わせたり、照合したりする作業の過程で生まれた可能性があるのではないかと考えた。デイギンの投稿内容は包括的で、説得力があった。シーカーはデイギンの説をレディットに投稿。

するとすぐに、彼のアカウントは永久凍結された。 この検閲の気配が、シーカーの好奇心とやる気を刺激した。ツイッター上にあるグループのアイデアをさらに読んでいくと、「この問題について活発に議論し、調査しているグループが見つかった」と、彼は本誌へのメールで述べた。

 この刺激的なグループを構成していたのは、起業家やエンジニア、それにロッサーナ・セグレトという米インスブルック大学の微生物学者もいた。彼らは互いに面識はなかったが、新型コロナウイルスの起源が動物という通説に疑問をもった点が共通していた。

 アジアのどこかに暮らしているという冗談好きのコーディネーターがグループの会話を管理していた。この人物はビリー・ボスティックソンという偽名を使っており、ツイッターのアイコンには、痛めつけられた研究用のサルの絵を使っている。

 <真相を明らかにする使命感>

まさにシーカーにぴったりのグループだった。「彼らの手助けを得て、詳しいことを学んでいった」と彼は言う。「いつの間にか、この謎にすっかり夢中になっていた」

彼を駆り立てたのは好奇心だけではなく、ひとりの市民としての責任感でもあった。「新型コロナウイルスは、数えきれない人の命を奪い、大勢の人の生活を破壊した。多くの謎も残しているのに、その追跡調査が行われていない。人類には答えを知る権利がある」

シーカーをはじめとするメンバーたちは徐々に、RaTG13がその「答え」の一部を解明する上での鍵を握っているのではないかと確信するようになった。

グループのスレッドでは、6人ほどの参加者がこの謎について活発な議論を展開。彼らはヒントを求めて、インターネットや武漢ウイルス研究所の過去の論文をくまなく調べた。彼らは世界中の人々が見られる形で、リアルタイムでデータを更新し、さまざまな仮説を検証し、互いの意見を修正し合い、幾つかの重要な指摘を行った。

RaTG13の遺伝子配列が、石正麗が何年も前に発表した論文に記されていた遺伝子コードの一部と完璧に一致した、というのもその一つだ。この遺伝子コードは、武漢ウイルス研究所が雲南省のコウモリから発見したウイルスのものだった。

<始祖ウイルス発見は2012年?>

DRASTICチームは、2つの論文に含まれる重要な詳細情報を過去の複数の報道と結びつけて、RaTG13は雲南省の墨江八二族自治県にある鉱山の坑道で発見されたウイルスだと断定した。ここでは2012年に、コウモリの糞を除去していた男性6人が肺炎を発症し、そのうち3人が死亡していた。DRASTICはこれが、ヒトが新型コロナウイルスの始祖ウイルス(おそらくRaTG13かそれに類似したウイルス)に感染した初めての症例だったのではないかと考えた。

石正麗は科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」に掲載されたプロフィールの中で、複数の鉱山労働者が死亡した墨江八二族自治県の鉱山について調査を行ったことを認めている。だが彼女はこの銅鉱山の一件とRaTG13を関連づけることは避けており(論文の中でも触れていない)、作業員たちは洞窟の中の「真菌(カビ)」が原因で死亡したと主張した。

 DRASTICの面々は納得しなかった。鉱山労働者を死に追いやったのは真菌ではなく、SARSウイルスに似たウイルスで、研究所は何らかの理由でそれを隠そうとしているのではないかと、彼らは考えた。だが、それは直感にすぎず、証明する手立てはなかった。

<2012年の鉱山労働者の死因を追え> 

だがネット情報を探るうちに、シーカーは中国の学術誌や論文を網羅した巨大なデータベース、CNKI(中国学術文献オンラインサービス)を見つけた。ここにある膨大な学術文献の中に、鉱山労働者の死に関連した情報が埋もれているかもしれない。

 彼はベッドの横のテーブルにチャイを用意し、携帯電話とノートパソコンで夜を徹して探索を続けた。問題の鉱山がある地域の名称(墨江ハニ族自治県)に思いつく限りの関連キーワードを付けて、グーグル翻訳で英語を簡体字の漢字に変換して検索をかけ、検索結果をまた英語に翻訳して目を通す。「墨江+肺炎」「墨江+武漢ウイルス研究所」「墨江+コウモリ」「墨江+SARS」という具合だ。

 1回の検索で何千もの結果が出て、雑誌、本、新聞、修士論文、博士論文などのデータベースが半ダース程も表示される。シーカーは来る夜も来る夜もそれらに目を通したが、有用な情報は得られなかった。精魂尽きるとチャイを飲み、アーケードゲームで気分転換して、また作業を続ける。

<大スクープに値する発見>

その宝物に出くわしたのは、あきらめかけた時だった。昆明医科大学の院生が2013年に提出した60ページに及ぶ修士論文だ。タイトルは「未知のウイルスによる6人の重症肺炎患者の分析」。患者1人1人の症状と治療の進展を事細かく述べた上で、執筆者は疑わしい「犯人」を挙げていた。「シナキクガシラコウモリ、あるいはその他のコウモリ由来のSARSのような(症状を引き起こすコロナウイルス)」の仕業だ、と。 

シーカーは淡々と、論文のタイトルとリンクをツイッターに投稿した。2020年5月18日のことだ。次に、中国疾病対策予防センターの博士研究員(ポスドク)が執筆した同じテーマの論文を調べると、内容の多くは最初の論文と一致していた。鉱山労働者のうち4人はSARSウイルスに似たウイルスの抗体検査で陽性だったこと、これらの検査結果は全て、武漢の研究所に報告されていたことも分かった(シーカーが2つの論文のリンクを貼った直後に、中国はCNKIのアクセス管理を変更し、彼が行なったような調査はできなくなった)。 

<主要メディアの無関心に呆れる> 

2012年にSARSウイルスに似たウイルスが見つかり、その事実が隠蔽され、武漢の研究所が問題の鉱山からさらにサンプルを採取して持ち帰るためにスタッフを派遣したのだとすれば、これは一大スクープだ。欧米の主要メディアはすぐさま飛びついて派手に報道するはずと思ったが、何週間も話題にすらならなかった。

イギリスではサンデー・タイムズが特集を組んだほか、少数のメディアが報道したが、米メディアは全く取り上げなかった。 

「メディアは大騒ぎになると思っていた」と、シーカーは本誌に打ち明けた。「事実や因果関係に対する関心のなさに、あきれるばかりだった。潤沢なリソースを持つ主要メディアが、調査報道で(アマチュア集団に)大幅な後れを取るなんて、さっぱり理解できない」

 DRASTICは数日のうちに、墨江ハニ族自治県にある鉱山の位置を突き止めたが、主要メディアがそのツイートに注目し、記者たちが我先に問題の坑口を目指し始めたのは、2020年も終わりに近づいてからだ。 

(後編に続く)

【私の論評】今やいかなる組織も、何らかの非合法な活動や隠蔽をすれば、オシントで合法的に素人に暴かれる(゚д゚)!

DRASTICチームの活躍は、現実とも思えないほど、素晴らしいものです。まるで、映画の世界の出来事のようなことにも思えます。でも、これは現実なのです。彼らの、気の遠くなるような根気と、そうしてそれを支えた飽くなき好奇心、探究心が今回の成果を生み出したといえます。

上の記事にもあるように、確かに彼らのチームは、研究所流出説を裏付ける決定的な証拠とは言えません。研究所が発生源ではない可能性も十分にあります。しかしDRASTICが集めた証拠は、検察官の言う「相当な理由」にはなります。つまり、研究所から出た可能性を疑い、本格的な捜査を行うに足る理由があることだけは間違いありません。

このような証拠が明るみにだされたからこそ、バイデン大統領も、再調査を指示せざるを得なくなったのでしょう。そうして、トランプ前大統領は、コロナウイルス研究所から流失したという事実を確かな筋から得られたと主張したことには、根拠があったのだと今更ながら思い知らされたような気がします。

トランプ前大統領としては、確かな筋から得られたとして、その情報源を明らかにしなかったのには、情報提供者を守るという意味があったのかもしれません。

最近は、ハッカー等がかなり脅威となっているためか、情報収集というと、ハッキングによるものというのが通り相場のようですが、実はDRASTIcチームのように、様々な公開情報を組み立てて、情報活動を行うという手法は昔からありました。それはオシントといわれるものです。

実は昔からスパイ活動のうち007のような派手な活動は、ほんの一部でスパイ活動の大部分は一見地味に見えるこのオシント(OSINT:open source inteligence 公開されている情報を情報源とする情報収集活動)によるものです。CIAもかつてのソ連のKGBの活動も大部分は、オシントです。ヒューミント(人を介して行う超包活動)はごく一部です。

ちなみに、ヒューミントは、Human Inteligenceの略ですし、シギントはSignals Inteligenceの略です。

スパイ活動には、オシント、シギント、ヒューミントの3つがある

そのオシントの例として、このブログでは以前、第二次世界大戦中に、新聞その他の公開情報から、たとえばドイツの高官がある町の結婚式に参加した等の情報を丹念につみあげていき、独ソ戦の開始日をあてた諜報員の例をあげたことがあります。

なぜドイツの将官がある町の結婚式に参加したことが、独ソ戦の開始日の予測に結びついたかといえば、当時のドイツとソ連の国境(現在のポーランド)に、ドイツ軍の機甲部隊が結集しているという情報があり、それに加えて、何か特殊なことが無い限り、その町に縁のないドイツの将官が来るはずもなく、しかも結婚式に参加という事態は普通なら起こり得ないことだったからです。

無論この二つの情報だけでは、独ソ戦の開始日など予測することなどできず、その他様々な公情報や、ヒューミントやシギントの情報も含めて、最終的に独ソ戦の開始日を予測したのです。その当時は、インターネットも、AIもなかったので、これを調べるためには、複数の諜報員がかなり時間をかけて、様々な膨大なソースからこれを割り出したのでしょう。

DRASTICチームの活動は、スパイ活動でいえば、冒頭の記事でもわかるように、大部分がオシントによるもののようです。

公開情報を収集する方法として、それを補助するツールが世の中には流通しています。DRASTICチームも当然このようなツールを用いていたと思います。

これらのツールの入手先については、以下のサイトをご覧になってください。


これらをいろいろい試してみれば、あなたもDRASTICチームのような探索ができるかもしれません。

さて、以下では具体的にこれらのツールを用いたOSINTのやり方の留意点など述べます。

・複数名で行うこと
一人で分析をすると、思い込みが強くなっていって、正しい結論を導けない可能性があります。複数名で分析することで、ディスカッションが生まれるようにします。この時、処遇評価を行える権限のある人(あるはそれに近い人)を参加させないように注意します。 
DRASTICチームは、まさに一人ではなく、複数の人間で行ったからこそ、成果をあげることができたものと思います。
・フレームワークを使うこと
思い込みをなくすために使いましょう。「知っていること」を整理するのと同時に、「知らないこと」は何であるかを明らかにしておきます。但し、フレームワークに定義できないものもあることを認識しておきましょう。そうしないと、無理やりフレームワークに収めて結論を誤ったり、情報を落とす可能性があります。検討状況はリアルタイムでわかるようにしたいですが、最終結論は急がないようにすべきです。フレームワークも、ネット上を探せば、様々なツールがあります。
・カウンターインテリジェンスに気を付けること
とうぜこのような活動には、攻撃者も陽動してきます。頭の片隅に、そのことも意識しながら分析しましょう。上級者向けのテクニックとして、Deception(おとり)をシステムに組み込んでおくのも良いです。うまくいくと、攻撃者のPlaybookから外すことができます。(例:hostsファイルにダミー用の情報を書いておく、とか)

・ Common情報に気を付けること

分析の過程で、公開プロクシのIPアドレスや枯れたマルウェアのハッシュ値だったり、そういったものが見つかります。それらはどの攻撃者(スキル高低問わず)も使いますので、それらを細かく調べても、特定の攻撃者にはたどり着けません。目を向けすぎないように注意しましょう。特徴となりえるものを探しましょう。

さて、長々とツール自体について、講釈をたれるつもりはありません、以上にようなことを掲載したのは、今の世界では、OSINTを実行するために、有用なツールがネット上にオープンソースで提供されているということを言いたかったからです。 

さて、このようなオシントを一躍有名したのが、べリングキャットです。

独立系オープンソース調査組織の「べリングキャット」は、OSINTの報道への応用を最初に実行した機関です。ブロガーのエリオット・ヒギンズは、イギリスのレスターにある彼のアパートのノートパソコンから、乳児の娘の世話をしながらシリアの戦争を取材して、波紋を呼びました。

2014年、彼はべリングキャットを設立し、今ではハーグにオフィスを構え、約十数人のスタッフを抱えるまでに成長しました。ヒギンズは、国際紛争やデジタルデータに関する特別な知識があるわけではなく、ビデオゲームで遊んでいた時間があったからこそ、どんな謎も解けるという考えが身についたといいます。

べリングキャットは2014年に ウクライナ東部上空で起きた マレーシア航空17便の墜落事故を調査したことで 一躍有名になりました。

当時 ベリングキャットは ボランティアのグループで主にSlackチャンネルを使って協力していました。墜落現場の写真とフェイスブックの更新情報をもとに、攻撃に使用された発射装置を特定し、ミサイルが発射される数日前にロシアからウクライナの反政府勢力の領土に移動されたと報告しのです。

昨年6月、オランダ主導の国際検察チームは、ロシアの軍事・諜報機関とつながりのある3人の男を襲撃事件で起訴しましたが、べリングキャットは今年、その裏話を詳述したポッドキャストを製作しました。

オランダ人映画監督のハンス・プールは、ベリングキャットの墜落事故の報道を見て、ベリングキャットのドキュメンタリーを作ろうと思い立った。プールのドキュメンタリー『Bellingcat: Truth in a Post-Truth World』は、国際エミー賞を受賞しました。


べリングキャットは、政府機関の一部でもなく、大企業から支援を受けるわけでもありません。市民がネット上で手に入れることができる情報をきっかけに真相に迫るその手法が、インテリジェンス(諜報(ちょうほう))の世界に新たな風を巻き起こしつつあります。

今回は、OSINTによるDRASTICチームの活躍により、今回は「研究所流出説」を甦らせました。今後、世界のいかなる政府、企業、いや、いかなる組織も都合の悪い情報を隠し仰せなくなる可能性が高いです。

今やいかなる個人も組織も、何らかの非合法な活動をしたり隠蔽をすれば、ネット上に必ず痕跡が残り、合法的な手段で、公開情報を丹念分析する、ヘリングキャットやDRASTICチームなどのような集団から暴露されることになるでしょう。

それは、無論中国共産党も例外ではないということを、今回DRASTICチームが証明してくれました。世界のあらゆる悪の個人、組織は覚悟すべきです。無論、いますぐということではないしょうが、特に世界に対して影響の大きい、不正行為や隠蔽は、いずれDRASTICチームのような素人のチームや、べリングキャットのような組織に暴かれることになります。

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2021年7月19日月曜日

小山田圭吾さんが五輪開会式の楽曲制作辞任へ―【私の論評】世の中には、残念ながら鬼畜が存在する。OSINT(オシント)を活用すべき(゚д゚)!

小山田圭吾さんが五輪開会式の楽曲制作辞任へ

小山田圭吾

23日に行われる東京五輪開会式で楽曲制作を担当するミュージシャンの小山田圭吾さんが辞任する見通しとなったことが19日、大会関係者への取材で分かった。過去に雑誌のインタビューで学生時代のいじめを告白していたことが問題となっていた。

小山田さんは同日、自身の「ツイッター」で、「依頼をお受けしたことは、さまざまな方への配慮に欠けていたと痛感しております」とし、大会組織委員会に辞任の申し出をしたことを明かした。

小山田さんは平成6年1月発行の「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッキング・オン)などで同級生を箱に閉じ込めたり、障害のある生徒をからかったりしたことを語っていた。

【私の論評】世の中には、残念ながら鬼畜が存在する。OSINT(オシント)を活用すべき(゚д゚)!

ミュージシャンのコーネリアスこと、小山田圭吾氏が学生時代に行った何らかの障害を有する方に行ったいじめのインタビュー内容です。

雑誌「ロッキンオン・ジャパン(1994年1月号)」のインタービューによりますと、小山田圭吾氏は、和光大学付属の小・中・高校時代に、いじめる側の生徒でした。

以下、小山田圭吾氏への2万字インタビューで語られていた内容です。


■沢田さん(仮名)のこと

沢田って奴がいて。こいつはかなりエポック・メーキングな男で、転向してきたんですよ、小学校二年生ぐらいの時に。それはもう、学校中に衝撃が走って(笑)。だって、転校してきて自己紹介とかするじゃないですか、もういきなり(言語障害っぽい口調で)「サワダです」とか言ってさ、「うわ、すごい!」ってなるじゃないですか。で、転校してきた初日に、ウンコしたんだ。なんか学校でウンコするとかいうのは小学生にとっては重罪だってのはあるじゃないですか?
だから、何かほら、「ロボコン」でいう「ロボパー」が転校してきたようなもんですよ。(笑)。で、みんなとかやっぱ、そういうの慣れてないから、かなりびっくりするじゃないですか。で、名前はもう一瞬にして知れ渡って、凄い奴が来たって(笑)、ある意味、スターですよ。

段ボール箱とかがあって、そん中に沢田を入れて、全部グルグルにガムテープで縛って、空気穴みたいなの開けて(笑)、「おい、沢田、大丈夫か?」とか言うと、「ダイジョブ…」とか言ってんの(笑)そこに黒板消しとかで、「毒ガス攻撃だ!」ってパタパタやって、しばらく放っといたりして、時間経ってくると、何にも反応しなくなったりとかして、「ヤバいね」「どうしようか」とか言って、「じゃ、ここでガムテープだけ外して、部屋の側から見ていよう」って外して見てたら、いきなりバリバリ出てきて、何て言ったのかな…?何かすごく面白いこと言ったんですよ。……超ワケ分かんない、「おかあさ〜ん」とかなんか、そんなこと言ったんですよ(笑)それでみんな大爆笑とかしたりして。

ソースはこちら⇒https://koritsumuen.hatenablog.com/entry/20061115/p1
■高校時代

ジャージになると、みんな脱がしてさ、でも、チンポ出すことなんて、別にこいつにとって何でもないことだからさ、チンポ出したままウロウロしているんだけど。だけど、こいつチンポがデッカくてさ、小学校の時からそうなんだけど、高校ぐらいになるともう、さらにデカさが増しててさ(笑)女の子とか反応するじゃないですか。だから、みんなわざと脱がしてさ、廊下とか歩かせたりして。

こういう障害がある人とかって言うのは、なぜか図書室にたまるんですよ。図書室っていうのが、もう一大テーマパークって感じで(笑)しかもウチの学年だけじゃなくて、全学年のそういう奴のなぜか、拠り所になってて、きっと逃げ場所なんだけど、そん中での社会っていうのがまたあって、さっき言った長谷川君っていう超ハードコアなおかしい人が、一コ上で一番凄いから、イニシアチブを取ってね、みんなそいつのことをちょっと恐れてる。そいつには相棒がいて。耳が聞こえない奴で、すっごい背がちっちゃいのね。何か南米人とハーフみたいな顔をしてて、色が真っ黒で、そいつら二人でコンビなのね。ウチの学年のそういう奴にも威張ってたりとかするの。

何かたまに、そういうのを「みんなで見に行こう」「休み時間は何やってるのか?」とか言ってさ。そういうのを好きなのは、僕とかを含めて三、四人ぐらいだったけど、見に行ったりすると、そいつらの間で相撲が流行っててさ(笑)。図書館の前に、土俵みたいなのがあって、相撲してるのね。

太鼓クラブとかは、もうそうだったのね。体育倉庫みたいなことろでやってたの、クラブ自体が。だから、いろんなものが置いてあるんですよ、使えるものが。だから、マットレス巻きにして殺しちゃった事件とかあったじゃないですか、そんなことやってたし、跳び箱の中に入れたりとか。小道具には事欠かなくて、マットの上からジャンピング・ニーパットやったりとかさー。あれはヤバイよね、きっとね(笑)

ソースはこちら⇒https://koritsumuen.hatenablog.com/entry/20061115/p1

ひろゆき氏は小山田氏について以下のようにツイートしています。
「1回でもいじめをやった人は永遠に表に出てくるべきではないとしてしまうのもどうか」「あやまちに気づいた加害者が許されるチャンスは本当にないのか。東京オリンピックが直前に迫っている今、試されているのは人間同士の絆なのかもしれない」
これは、批判が殺到したのでしょうか、現在では消去されています。当然といえば、当然だと思います。

この問題には、他にも異様なコメントが続出しています。なぜことのようなことになるかといえば、「いじめ」という言葉を使うからでしょう。小山田の所業は障害者虐待であり、重大な人権侵害であり、文明社会においては明らかに犯罪です。

いわゆる「いじめ」については、以前はこのブログでも随分前はとりあげたことがありましたが、ここしばらくは、とりあげていませんでした。その一番最新のもののリンクを以下に掲載します。
中国ライバル視を顕著にしたEU委員長会見 — 【私の論評】到来する新世界秩序において、日本がリーダー的地位獲得するため安倍総理は党内の雑音を取り除き正しい道を進むべき!(◎_◎;)
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この中より、「いじめ」に関する部分を少し長いですが引用させていただきます。
EUと、中国とでは、全く価値観が合わないでしょう。そもそも、EUというか、ヨーロッパの国々は、現在の自由と民主主義、法の支配、人権など西欧的価値の生みの親であり、特に第二次世界大戦では、ドイツ第三帝国の全体主義により、直接大きな被害を被っています。
ドイツ第三帝国を統治したヒトラー
そのためでしょうか、EUの価値観は日米とも異なるところがあります。例えば、いじめの問題があります。米国人に日本のいじめの問題を話すと、大抵の人は一定の理解を示していただけるのですが、EUの人々には、なかなか理解してもらえません。
理解していないどころか、国を問わず、彼らと話しているとそもそも「いじめ」に関する日本人や米国人の考え方そのものが、間違いではないかと思えてくるのです。
それに関しては、このブログにも何度か掲載したことがあります。私は、英国人、ドイツ人、フランス人あるいは他のEUの国の人たちに、「いじめとは何か」という質問を受けたことが何度かあります。
私が、説明をし始めると、彼ら全員が、個々人の表現は違っていたにしてもとにかく、私の説明には納得がいかないようで、「それは犯罪です」というのです。
何度もこのようなことを繰り返すうちに、日本人米国人とEUの人々の間には、価値観が異なるところがあることに気づきました
それは、私達日本人や、米国人が学校という空間を、何やら治外法権のような、そこまでは行かなくとも特殊な空間だと見做しているのに対して、EUの人たちは、そうではなく、学校だろうが、職場だろうが、病院の病室などの特殊な空間も含めて、全く分けることなく、同じ価値観や、法律などによって規制されるべきことを当然のことと思っていると感じたのです。
それに比較して、陰湿ないじめも多い日本人や、日本などよりもはるかに苛烈な暴力による「いじめ」が頻繁にある米国などでは、何やら学校には、学校の価値観があったり、そもそもそれぞれの学校で異なる価値観があることを暗に認め、その結果として、不思議な法律や価値観が異なる閉鎖空間のような、治外法権の空間を生み出しているように感じられるようになりました。
最初は、EUの人たちの方が変わっていると思っていたのですが、彼らの話を聞いているうちに、自分の方がおかしいのではないか思うようになってきたのです。
確かに、自由とかそれに伴う責任とか、民主主義、法の支配、人権などの価値観が組織が変われば、変わるとみなすのは、おかしなことです。もし、そのようなことをしてしまえば、そもそも価値観なるものも、法の精神も成り立たないことになります。
よく考えてみれば、当然のことなのですが、多くの日本人は、学校という組織や空間を無意識に他の社会とは異なるものと考えがちです。今では、数が少なくなりつつあるブラック企業内では、社会常識など無視して、独自の価値で運営されています。
無論、EU諸国に日本でいわれる「いじめ」が存在しないとはいいません。それに、とてつもない鬼畜のような人間や、冷徹な人間が存在することも確かです。

ただ、EUの人々の中には、いわゆる日本でいうところの「いじめ」は、犯罪であるという普遍的な意識が定借しているのではないかと思います。

このあたりがしっかりしていなければ、日本でも陰湿な「いじめ」が起こり続けることもないのではないかと思います。

小山田氏の件は、成人した後に繰り返しその様子をわざわざ笑い話にしたことも含めて、本当に異常です。ただ、このような鬼畜はどこの世界にも一定数いるのですが、今回の件で深刻な点は彼を檜舞台にキャスティングしたことでしょう。

しかも、東京五輪という数十年に一度あるかないかの檜舞台に、なぜよりによってそうしてしまったのでしょうか。

私は会社で人事を担当していたことがありますが、誰かを雇う場合かならず裏取りをしました。いくつかの方法を用いるのですが、その中で必ず用いていたのが、ネットです。

当時はTwitterやフェイスブックなどはありませんでしたが、MixiなどSNSやブログ、掲示板などがありましたから、それを些細に調べれば、様々なことがわかりました。それで、確かな裏付けを持った上で、相手も納得させ内定を取り消したこともありました。いまから考えると、OSINTのようなことをしていました。

オシントとは、オープン・ソース・インテリジェンス(英: open-source intelligence)の略であり、諜報・諜報活動の分野のひとつで、他の HUMINT(ヒューミント)や SIGINT(シギント)と呼ばれる分野が主として「秘密の情報を違法行為を厭わずに得る」ことを旨とするのに対し、公開されている情報を情報源とすることが特徴です。


どうしてそのようなことをしたかといえば、やはり人事としての仕事の性格上思い責任を感じていたからです。間違って、反社的人間、左翼活動家などを正式に採用してしまった場合、重大な責任問題になるからです。

だからでしょうか、小山田圭吾を選んでしまった、大会組織委員会の人選を非常に疑問に感じてしまいます。小山田の「いじめ」関連の記事など、すぐに探すことができたはずです。

今回の件は、人選と「いじめ」について、考える良い機会になったと思います。世の中には、残念ながら、さほど数は多くはないと思いますが、鬼畜は存在します。鬼畜に足元を救われないように注意しましょう。

それしもて、大会組織委員会、どうなっているのでしょうか。私が、大会委員会の関係者であれば、それこそOSINTを駆使して、東京五輪の「有観客」開催を、様々な客観的エビデンスから主張すると思うのですが、なせそうしないのでしょうか、本当に不思議です。

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