2015年7月14日火曜日

安保「補充審議」シナリオも 官邸と橋下維新に流れる“密約説”―【私の論評】集団的自衛権が世に問われた回数は、安倍総理の三度目の正直をはるか超えていた(゚д゚)!

安保「補充審議」シナリオも 官邸と橋下維新に流れる“密約説”

日刊ゲンダイ

橋本大阪市長

「決めるべき時には、決めるということではないか」――。どうやら安倍首相は、15日(水)衆院の特別委員会で「安保法案」を強行採決するつもりらしい。

審議をつづけるほど国民の反対が増えると、早期の採決に舵を切ったようだ。

「野党から攻められ、支持率も下落し、安倍首相はストレスをためています。これ以上、安保法案の審議をつづけたら、いつキレるか分からない。最近は『舛添さんは、メディアの前で国立競技場のことを批判しているが、なんとかならないのか』と、周囲に当たり散らしています」(官邸事情通)

しかし、15日に採決したら、全野党が「まだ審議は尽くされていない」と抗議し、採決を欠席するのは確実。「強行採決はおかしい」と国民の反対をさらに強めてしまう。

そこで、安倍周辺は、維新の党を採決に引っ張り出す、姑息な“懐柔策”を画策しているという。

「いま囁かれているシナリオは、15日に委員会で強行採決した後、衆院議長が混乱の収拾に乗り出し、与野党に“補充審議”を提案、維新の対案を中心に連日、補充審議を行い、24日に衆院本会議で採決するというものです。たしかに、このシナリオなら、維新の橋下徹氏は『議長の手まで煩わせて申し訳ない。維新の対案を審議してもらったのはありがたい』『維新は本会議の採決に応じるべきだ』と明言する可能が高い。すでに安倍官邸と橋下さんが、このシナリオに合意していても不思議ではありません」(政界事情通)

実際、大島理森衆院議長は「決める時は決めなきゃいけない」と漏らし、橋下氏も「自分たちの意見に沿わないから採決拒否というのは民主主義を堕落させる」と記者団に語っている。維新の「大阪組」は、「将来は自公維の連立政権だ」と吹聴しているという。

維新の党は、安保法案に反対する国民を裏切って、安倍自民党と手を握るのか。国民は監視した方がいい。

【私の論評】集団的自衛権が世に問われた回数は、安倍総理の三度目の正直をはるか超えていた(゚д゚)!

上の記事、悪意に満ちていると思います。自民党としては、野党に協力を依頼するのは当然のことで、それを密約というのはいかがなものかと思います。

それに、橋下氏はこれに関する密約などしていないと思います。それは、明日になればわかります。きっと、密約などないことなどはっきりすることでしょう。

この記事は、相当おかしいですが、そもそも、最近のマスコミは本当におかしいです。そもそも、集団的自衛権に関して、最近突然降ってわいたかのような報道ぶりですが、そんなことは絶対にありません。

それについては、このブログでも二度にわたって、掲載しています。

昨年2月17日午前、衆院予算委員会で答弁のため挙手する安倍首相=衆院第1委員室
この記事は、昨年2月17のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事より安倍総理が集団的自衛権について、最近突然降ってわいたような論議をしているわけではないことを示した部分を以下にコピペさせていただきます。
「政府の最高責任者は私だ。政府の答弁については私が責任を持ち、その上で選挙で国民から審判を受ける。審判を受けるのは、内閣法制局長官ではない」 
集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈見直しをめぐる安倍晋三首相の国会答弁なのだが、なぜか自民党内で問題視されている。
村上誠一郎元行政改革担当相
13日の党総務会で、村上誠一郎元行政改革担当相は「選挙で勝てば、憲法を拡大解釈できると理解できる。その時々の政権が解釈を変更できることになる」と首相の発言を批判。これに、「正面から受け止めるべきだ」(野田毅税調会長)、「拡大解釈を自由にやるなら憲法改正は必要ないといわれてしまう」(船田元憲法改正推進本部長)と村上氏を支持する声が相次いだ。
船田元憲法改正推進本部長
こうした指摘は妥当なのか-。自民党が政権を取り戻した平成24年(2012年)12月の衆院選前に時計の針を戻す。 
同年9月の党総裁選で勝ち上がった安倍首相は、第1次政権時と同じく集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈見直しの必要性に度々言及してきた。衆院が解散した11月16日の記者会見でも「集団的自衛権行使の憲法解釈の変更を、この選挙を通じて堂々と訴えたい」と明言した。他の野党からは「日本は(人を)殺し、殺される国に変わってしまう」などと誇大妄想の批判にもさらされた。 
政権公約には「日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能」にすると明記していただけだが、少なくとも、解釈見直しに取り組む姿勢を有権者に明確にしていたことは明らかだ。首相は政権選択の衆院選で国民にこの是非を問うたのである。 
ただ、当時の自民党を担当していた身からすると、集団的自衛権の行使容認を打ち出した安倍執行部に、表立って異を唱えた議員は寡聞にして知らない。結局、この公約を掲げた自民党は、圧倒的な議席数を得て、有権者の意志により政権を託された。党内の批判は、先の衆院選での約束を自らほごにすることになりはしないだろうか。
菅(すが)義偉(よしひで)官房長官は14日の記者会見で「行政府の憲法解釈は内閣が責任を持って行うのは当然のことだ。(安倍首相は)首相が内閣を代表し、責任を持って答弁していることを説明したにすぎない」と党内の批判に反論した。

枝野幸男憲法総合調査会長
また、民主党も首相答弁に「最高権力者だから憲法の解釈をどう変えてもいいと取られても仕方のない国会答弁だ。国辱的な発言だ」(枝野幸男憲法総合調査会長)と批判を強めた。だが民主党政権が一時期、「政治主導」の名の下に、法制局長官を国会審議で答弁する「政府特別補佐人」から外し、法令解釈の答弁を官房長官らが担っていたことは指摘しておきたい。 
憲法の解釈権はあくまで内閣にあるのが通説だ。選挙の洗礼を受けない公務員集団の内閣法制局が担えるはずがなく、国民の支持を得た内閣がその権限を有するのが正当性を持った統治のあり方だ。安倍政権は昨年7月の参院選でも勝利を収めた。集団的自衛権の行使に向けた憲法解釈見直しはすでに2回民意を受けたのである。首相はその民意に従い、粛々と実行に移すことが求められている。
安倍総理は2012年の選挙で政権交代をしたときにも、安保法制改革として集団的自衛権の行使を公約にしました。そうして、大勝利しました。2013年の参院選挙のときにも、 もちろん憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使を公約に掲げて大勝利しました。

それにもかかわらず、自民党内では村上誠一郎元行政改革担当相や、船田元憲法改正推進本部長がこれに意義を唱えたわけです。しかし、そんな馬鹿なことが通るはずもなく、今では自民党内で意義を唱えるものはいません。

さらに、昨年暮れの解散総選挙でも、10%増税見送りの他、憲法解釈変更による集団的自衛権の行使も公約に掲げて、これも大勝利しています。

安倍政権は、もうすでに三度も選挙でこれを訴えて、勝利しています。マスコミや、野党はこの事実を意図的に無視しているとしか思えません。こんな馬鹿なことが、民主主義国で許されて良いのでしょうか。そんなことが許されたら、選挙など有名無実ということになってしまいます。

いまさら、与党議員が、異を唱えたとしたら、選挙による国民の民意を無視したということで、議会制民主主義そのものが壊されてしまいます。

しかしながら、最近テレビ報道などをみていると、余程焦っているのでしょうか、コメンテーターなどが、「自民党内にも反対の議員もいるはずだが、何も言わないが・・・・」などと語っていましたが、こんな馬鹿な主張が通るはずもありません。

以上は、昨年の2月の状況です。過去3回の選挙公約にて、憲法解釈の変更によって集団的自衛権を行使できるようにすると公約を掲げて勝利しているわけですから、もし安倍総理が集団的自衛権に関して、何も推進しなかったとしたら、それは公約違反です。

これに対して、元財務相の藤井裕久氏は、「自民党にも反対のものがいるはずなのに声をあげない、今は小物ばかりになってしまった」などと頓珍漢な論評をして、マスコミに利用されていました。この人が過去には純然たる増税派であり、8%増税は最初の想定通り大失敗であったことを考慮するとこの頓珍漢さも理解できます。

元財務相の藤井裕久氏
こんな当たり前の事実を多くのマスコミや、野党は無視しています。民主党などは、公約違反をするのが当たり前になっているので、こうした矛盾には気づかないのかもしれません。

それから、集団的自衛権に関して、最近突然降ってわいたかのようなものではないことを指し示すもう一つの事例があります。これは、集団的自衛権と民主党に関わるものです。その記事のリンクを以下に掲載します。
日米安保破棄唱える共産党以外は集団的自衛権にNOと言えない―【私の論評】民主党が今更異議を唱えるのはまったく奇異であるこれだけの理由(゚д゚)!
長谷川幸洋氏
詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では、長谷川幸洋氏の集団的自衛権に関する主張を掲載しました。

この記事で、長谷川氏は、日米安保条約は集団的自衛権を前提としているのは周知の事実であることを主張していることを掲載しました。。だからこそ、長谷川氏は、日米安保破棄唱える共産党以外は集団的自衛権にNOとは言えないとしているのです。

以下にこの記事の【私の論評】から一部を引用します。
さらに長谷川氏は、「2010年に暴露された外務省の密約文書によれば、米国は日本と事前協議しなくても韓国に出撃できる約束になっていた。当時は民主党政権(*注)だったから、民主党は事情を知っているはずだ」とも述べています。 
しかし、民主党が集団的自衛権にNOと言えないはずであるとの論拠は他にもあります。これについては、枝野氏が二年前に放った発言が物議を醸しています。 
その動画を以下に掲載します。


これは、平成27年6月22日 平和安全特別委員会の動画です。西修氏が証言をしています。

詳細は、この動画をご覧いただくものとして、以下に、動画の発言の内容を一部掲載します。
1:45~
https://www.youtube.com/watch?v=_Jev3GbdbkY 
西修(参考人、憲法学者) 
「(略)4、集団的自衛権は個別的自衛権と共に主権国家の持つ固有の権利、即ち自然権である点。国連憲章51条であります。不可分であります。 
そこで、枝野幸男、現在民主党幹事長は次のように仰っておられます。 
『そもそもこうして個別的自衛権か集団的自衛権かという二元論で語ること自体おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政治家や学者くらいでしょう。』 
私はもう個別的自衛権とか集団的自衛権とか区別して論ずるのはもうお止めになっていただきたい。 
枝野幹事長のこの言葉、非常に強く重く感じるわけであります。 
敢えてこれについて言うならば、岡田党首は党首討論において最後に『私たちは個別的自衛権はやります!集団的自衛権はいりません!』確かそんな風に仰っていらしたと思います。 
どうしてこれ分けるんでしょうか。どうやって分けるんでしょうか。またやることにどんな意味があるんでしょうか。 
私はあの言葉を聞いてこの枝野幹事長の言葉を思い出した次第であります。この点を是非ご議論頂きたい。こんな風に思うわけであります。(略)」 
0:13~
https://www.youtube.com/watch?v=F148WOYQoX8 
平沢勝栄
「(略)西先生にちょっとお聞きしたいんですけど、西先生、枝野民主党幹事長のご発言に言及されました。 
資料を読ませていただきますと、枝野幹事長は『そもそもこうして個別的自衛権か集団的自衛権かという二元論で語ること自体おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政治家や学者くらいでしょう。』と。 
なかなか立派なこと言っておられるなと思いましたけども、そこで西先生、参考人にお伺いいたしたいと思いますけど、これは文藝春秋の一昨年のやつに出たということ、でしょうね。ですからつい最近のお話ですよね? 
ということを確認させていただきたいというのと、もう一つはこういったお考えについて先生はどうお考えになられたか。それをちょっとお聞きさせてください。」
枝野氏がこのようなことを語っていたというのですから、民主党の集団的自衛権反対というのは無理があります。しかし、それだけではありません。民主党は過去に、集団的自衛権を認める発言をしていました。
・・・・・・〈中略〉・・・・・・
2010年8月鳩山内閣でまとめた「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書」で集団的自衛権を行使できないとするこれまでの憲法解釈を批判しまた。

2012年12月野田内閣「国家戦略会議」の報告書で「集団的自衛権の見直しを図るべきだ」と提言していました。 
菅内閣では仙谷官房長官が「内閣が責任を持って憲法解釈変更を国民に提示すべきだ」と発言していました。 
現在の枝野氏は安保法制改正に現在では、大反対していますが、民主党内閣閣僚のときには「内閣法制局の意見は大事だが判断するのは担当大臣の私であり、最終的には閣議だ」と述べています。 
過去の自民党政権で2回。民主党政権で2回。計4回作成された有識者会議の報告書はいずれも政府の憲法解釈変更を提言しています。 
一般には、安保法制改正は、安倍首相が突然言い出したように思われていますが、実は麻生内閣でも民主党内閣でも集団的自衛権は認めるべきだとする方向でした。 
民主党は野党になったとたんに、これまで主張していたことと正反対のことを言い出したのです。
 さて、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使に関しては、このように民主党政権交代以前の自民党政権で2回、民主党政権で2回、計4回作成された有識者会議の報告書により提言されています。

さらに、自民党が政権を奪還直前とその後は、上記で掲載したように、安倍総理は憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使について公約に掲げて、三回も選挙に大勝利しています。

これに、歴代の首相や、政府の幹部の発言なども加えると、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使など、何度提言されたり、発言されたかなど数え切れないくらいの回数にのぼります。

最近の、世論調査ではメディアや野党の総動員による、集団的自衛権違憲論の流布により、安倍内閣の支持率は若干下がっていますが、それでも歴代の内閣などと比較するとまだ高いほうです。それに、自民党以外の政党の支持率は上がっていません。

私は、最近にのアンケート調査安倍政権反対派に転向した人々は、結局のところ無関心層なのだと思います。これらの層の人々は、元々政治に無関心で、集団的自衛権などにも無関心で、過去の選挙においては、集団的自衛権の行使などには関心がなく、経済が良くなるかもしれないとか、民主党が嫌だからくらいの認識で安倍政権を支持したのだと思います。

ところが、最近の安保法制審議の前後から、マスコミや野党や左翼が大反対キャンペーンを開始して、それで良く認識もしないまま、安倍政権反対のほうに回ったのだと思います。だからといって、では他の野党を支持するかといえばそんなこともないという具合なのだと思います。こういう層の人々は、また時がたち集団的自衛権がマスコミや野党などが話題にしなくなると、また動き出すのだと思います。

それに、アンケートはアンケートに過ぎないわけで、公的なものでも何でもありません。しかし、選挙は公的なものであり、日本国の政治の根幹でもあります。

それから、現政府の安保法制の根拠とするのは、昭和34年の砂川判決です。砂川判決は「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうること、国家固有の機能の行使として当然のことといわなけければらない」というもので、この判決は「必要な自衛の措置は」個別的自衛権、集団的自衛権も区別しないとしか受け取りようがありません。

砂川判決のが重要視されるのは、判決文にある統治行為論です。「わが国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ高度の政治性を有するものについては、一見極めて明白に違憲無効でない限り、内閣及び国会の判断に従う」このことは、民主主義を成熟させて、内閣と国会が高度な政治的判断をすべきだということを示しています。

中には、奇妙な論理で、これを否定する学者なども存在しますが、私はあの判決文を読んだ限りでは、どのように解釈しようが、何回読もうが、どう考えてもこのように受け取る以外はないと判断しました。疑問を感じる方は、是非一次情報にあたってみてください。

安保法制を戦争法案とする人たちは現代史の修正を行っていることに気づいていない!
選挙による公約や、選挙結果を軽々しく扱うわけにはいきません。また、過去の最高裁判決を軽視するわけにもいきません。だから、今安倍政権が、そうして安倍総理が、憲法解釈の変更による集団的自衛権の可能性を探るのは当然のことであり、これに反対する野党やマスコミは、既成事実を無視するものであり、この点において、歴史を自分たちの都合の良いように捻じ曲げて、勝手に変えてしまう歴史修正主義の中韓と非常に良く似ていると思います。

上で述べたように、憲法解釈による集団的自衛権がこの日本で世に問われた回数は、安倍総理の選挙による勝利という三度目の正直の回数をはるか超えていたという事実は、どう考えても変更しようがありません。否定のしようがありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年7月13日月曜日

【NHKクローズアップ現代】なぜ広がる “ブラックバイト”被害―【私の論評】ここにも雇用の本質を報道しない、知的怠惰もしくは日本弱体化を目指すNHKの姿勢がありあり(゚д゚)!

【NHKクローズアップ現代】なぜ広がる “ブラックバイト”被害

 
 

出演者大内 裕和 さん(中京大学国際教養学部教授)

違法な長時間労働や残業代の未払など、過酷な労働環境で働かされる“ブラックバイト”のトラブルが後を絶たない。今年4月に公表された全国調査では、アルバイトを経験した大学生のおよそ7割が、「労働条件が募集時と違った」「賃金が支払われない」など、不当な扱いを受けたことがあると回答。

過酷な労働条件でシフトを増やされ、学業との両立が難しくなるケースもあり、深刻な被害の実態が明らかになった。正社員並みに責任の重い仕事を任され、辞めたくても辞められない状況へ追い詰められていく若者たち。取材から浮かび上がってきたのは、「若年層の経済的困窮」と「学生バイトの基幹労働化」の問題だ。急増する“ブラックバイト”の実態を追い、悪化する労働環境をどうすれば改善できるのか、今後の対策を考える。

【私の論評】ここにも雇用の本質を報道しない知的怠惰もしくは日本弱体化を目指すNHKの姿勢がありあり(゚д゚)!

さて本日「クローズアップ現代」またまた、問題満載のとんでも番組でした。本日は、再放送があるはずなので、ご覧になっていない方は、ご覧になってみて下さい。

ただし、これを視聴して、鵜呑みにしてしまえば、とんでもないです。本日は、このトンデモなさの根源に迫ります。

まず、結論からいいます。この番組では、実際にブラックバイトをして、大変な目にあっている大学生を紹介していました。

この番組のタイトルは『なぜ広がる “ブラックバイト”被害』というものですが、残念ながら、この番組はこの「なぜ」に全く答えていませんでした。

これでは、まるで「ブラックバイト」がなぜ起こるのかという、根源的な内容には全く答えていないし、まるで「ブラック経営者」が良くないだけというにしか受け取ることができず、ほんとうに薄っぺらなものになっていました。

ただし、この番組の出演者である、が、ほおの一言だけ背景を以下のように語っていました。

「1990年代に入ってから、親の収入が減ってしまい、バイトをしなければ学業を続けられない学生が増えてきました。昔は、バイトは部活費を捻出するとか、学生生活を豊かにするためのものだったが、今はそうではない」

では、なぜ親の収入が減ったのか、ということはとうとう最後までこの教授も、この番組でも一言も語られることはありませんでした。

ブラック・バイトがはびこる原因は、無論のことあまりにも長い間続いたデフレのせいです。デフレであれば、雇用状況が悪化するのは当然のことです。

そうして、この教授のことを調べてみると、何と福島みずほTVという、社民党福島みずほさんのインターネット動画番組に出演したことがあることがわかりました。その動画のキャプチャー画像と、リンクを以下に掲載しておきます。

福島みずほTVに出演する大内氏(左)

この番組も視聴してみたのですが、結局この番組でもブラック企業がはびこる原因が、デフレであることなど一言も語りません。

ましてや、賃金の低下や、雇用条件の悪化が、デフレのせいであることは何も語られていません。現実に起こっていることをただ列挙するだけで、その本質を語ることはありませんでした。

無論、最近の日本は2013年から、金融緩和を実行していて、雇用状況が回復しつつあったものが、昨年の8%増税によって、これがまた悪化したものの、統計数値などでは良くなりつつあることなど全く解説していませんでした。

若者雇用については、つい先日もこのブログに掲載したばかりです。その記事のリンクを以下に掲載します。
典型的な「旧日銀」エコノミストの「金利暴騰と円暴落」予言の真偽 ―【私の論評】日銀がまともな政策を採用しないと社会が破壊される(゚д゚)!

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事では雇用と日銀の金融政策が密接な関係にあることを記載しました。その部分のみ以下にコピペさせていただきます。

"
アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。

このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。
"
なお、以上の文章のでの雇用の問題というと、正社員の雇用、バイトの雇用、正社員・バイトなどの臨時雇用の賃金、雇用条件などすべてを含みます。

ここで、一つはっきりさせておきますが、デフレの悪影響が色濃く残る現状の日本で、もし金融緩和政策を一切しないで、クローズアップ現代で指摘されているような、対策を目一杯打っても、ブラック企業やブラック・バイトはなくなりません。デフレが完璧に解消されて、緩やかなインフレが実現されない限り、必ずまたはびこります。

ある経営者がブラック企業をやめたり、やめさせらたりして良かったと思っても、また別の誰かがブラック経営者になり、同じことが繰り返されるだけです。

なぜなら、金融緩和抜きで、いろいろ対策をしたにしても、それでは根本的な雇用問題の解消にはならないからです。

しかし、金融緩和を実施して、インフレ率が2〜3%になれば、モノが売れだし、企業業績が上回り、企業はもっと売ろうと、設備投資をしたり人を雇用するようになります。そうなると、必然的に人で不足になります。

そうなると、ブラック企業に勤務する人は、まともな雇用条件の会社に移るようになりますし、ブラック企業が人を募集しても、人を採用できなくなります。その場合どうすれば良いかといえば、ブラック企業の存続を諦めるか、ブラック企業であることをやめ、まともな企業になるしかありません。いずれにせよ、ブラック企業や、ブラック・バイトも消滅しかなくなるわけです。

それにしても、NHK のこの番組、まったく酷い内容です。全く意味のない番組です。ひとことでいえば、NHK の知的退廃を示すトンデモ内容といえます。

そうして、雇用と金融政策の関係にいつまでも気づかない左翼の知的退廃も酷いものです。それについては、このブログでも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
安倍政権に奪われた雇用政策 日銀法改正を主張する気概を 民主党代表選 ―【私の論評】日銀の金融政策は雇用と多いに関係あること、中央銀行の独立性とは目標ではなく、手段の独立性であるべきことを理解できない政党・政治家は結局何もできずに破滅するものと心得よ!!
消費者物価指数上昇率と失業率の間には明確な相関関係がある

詳細は、この記事をご覧いただくものとして。現在実行されている金融緩和政策は、欧米では、不況のときなどに雇用を改善するものとして、労働組合などの左翼が支持する政策です。

しかし、日本ではそれが左翼に全く理解されておらず、そのためか左翼は雇用については、上で私が述べたように、全く頓珍漢な話しかしません。

そうして、NHKのこの番組も同じことです。

全くの知的退廃以外の何ものでもありません。このような番組で、左翼やNHKは安倍政権批判をするための下準備をしたり、雇用問題でアピールして、若者の支持者を増やそうとしているのでしょうか。

あるいは、ブラック企業や、ブラックバイトをブラック経営者だけの責任として、人格の問題として、国民同士が互いに反発するように仕向けて、日本弱体化を目指しているのでしょうか。

いずれにしても、これはNHKクローズアップ現代の制作陣や、左翼の知的退廃以外の何モノでもないと思います。

私はそう思います。皆さんは、どう思われますか?

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「子どもが生まれたら10人に1人、離婚したら半分以上が貧困になる時代を生きる」―【私の論評】ちょっと待ってくれ、貧困の大きな原因の一つとして、個々人の努力や社会制度の問題の前にデフレがあるのでは(゚д゚)!

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金融緩和によって、これから日本経済は、確実に良くなります。ブラック企業や、ブラックバイトもなりを潜めるでしょう。しかし、一方では過去の日銀審議員のように組織を破壊するダメ人間も存在します。


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2015年7月12日日曜日

中国で人権派弁護士を拘束、「50人以上連行」の情報も―【私の論評】人治国家中国の実体が日々暴かれていく(゚д゚)!


北京の著名な女性弁護士、王宇氏
中国で一度に大勢の人権派の弁護士らが、警察に連行・拘束されたことが明らかになりました。50人以上が拘束されたとの情報もあります。

中国国営メディアは12日、中国・公安省が多くの人権問題に取り組む「北京鋒鋭弁護士事務所」を、「秩序を混乱させる重大犯罪グループ」として摘発したと報じました。事務所の著名な女性弁護士・王宇氏らを敏感な事件を画策してあおり、騒ぎを起こした容疑で拘束したとしています。50人以上が連行・拘束されたという情報もあります。

中国では人権派弁護士の拘束をメディアが伝えるのは極めて異例ですが、今回は大規模な摘発を報道することで、政府に批判的な活動などを押さえ込むねらいがあるとみられます。 (12日15:07)

【私の論評】人治国家中国の実体が日々暴かれていく(゚д゚)!

このブログでは、ブログを設立したばかりの2008年くらいから、たびたび中国の崩壊が間近であることを掲載してきました。あれから、まだ10年近くたっていますが、今のところ中国は崩壊する様子もなく、結果として、私は狼少年のようなことをしてしまったと思います。

しかし、これが他国であれば、とっくに崩壊していたと思います。しかし、中国は違いました。中国には他国に見られないような巨大な治安維持組織である、人民解放軍、公安警察,城管が、幹部の人治によって統率され、反対勢力をいともたやすく、弾圧・粉砕できます。

だから、他の国ならとうに崩壊しているような状況が度々起こっても、現代中国は、温存されてきました。いよいよとなれば、中国共産党の幹部の人治により、どんなことでも迅速にできてしまいます。これは、秘密裏に行われることが多いので、従来はなかなか表に出てこなかったのですが、最近ではそれが顕になり、人民や外国にも知られるようになってきています。

それは、たとえば、最近上海株式の暴落を防ぐために政府によった行われてきた、様々の対策です。

上海株の暴落という緊迫した状況の中、7月4日夜、CITIC(中国中信集団)を含む中国の投資会社トップが北京に集められ、中国証券監督管理委員会本部で緊急会合を開いたというニュースが入ってきました。

CITICは今年1月、中国国営企業への外国投資としては過去最大級、伊藤忠商事とタイ財閥のチャロン・ポカパングループが共同で、合計1兆2040億円を出資すると発表された投資会社です。

中国監督管理委員会は次々と株価暴落防止政策を発表。私がネット上で把握した限りでも、以下の政策が執行されています。

・国有企業の株取引を禁止
・大口投資家の株売りを禁止
・金融機関に株担保ローンの継続を指示
・機関投資家に株の買取りを強制
・株の空売りを警察が取り締まり

どれも資本主義自由経済国家では想像も及ばない施策ばかりです。ひとまず株の下落はストップはしました。しかし、今後どうなるのかは全くわかりません。おそらく、大暴落は避けられないでしょう。この政府による株式市場への介入でも、おわかりになるように、中国では政治と経済の分離が全くなされていません。

今回も、市場経済を完璧に無視した、政府の市場へのみさかえのない介入です。このようなことをしても、市場を制御することはできません。いずれ破綻します。

上海株式市場の推移 クリックすると拡大します

そうして、今回の人権派弁護士の大量拘束です。これは、民主化がすすんでいないことの現れです。

中国全土で、当局による人権派弁護士や人権活動家らの拘束や連行が広がっています。9日から11日にかけて、15以上の省や市で50人を超え、前例がない規模の一斉検挙だ。仲間の弁護士や支援者らは「暗黒の金曜日」と呼び、反発と懸念を深めています。

この規模の大きさは、以下の地図をご覧いただけれはおわかりになると思います。


不明の50名の弁護士のうち、北京の著名な女性弁護士、王宇氏は9日の早朝、「誰かが自宅のドアをこじあけようとしている」と知人に知らせたあと、連絡が途絶えており、当局に連行されたとみられています。王氏は、少数民族ウイグル族の問題に積極的に関わっていたほか、ことし3月、セクハラ防止を訴えようとして、一時拘束されていた女性活動家の弁護を担当しているということです。

以上のような人治主義がまかり通るわけですから、中国はまともな法治国家でもないわけです。

中国の著名女性人権派弁護士・王宇さん
中国は、現在でもなお、民主化、政治と経済の分離、法治国家化が行われいないということです。そんな国が、巨大で組織化され、強力な治安維持装置を有しており、これが治安の維持を担ってきており、それが従来は秘密裏に行われており、世界中の人々があまり認知できなかったのが、今日ではどんどん明るみに出て、世界中の人はもとより、中国人民の知るところなったというのが、最近の中国の姿です。

今のままの中国、このまま続くとは到底思えませんし、このままの中国をそのまま継続させてはなりません。無論、他国の人間が、他国の政治をとやかくいうことは、内政干渉といわれるかもしれませんが、それは、民主化・政治と経済の分離、法治国家化がある程度なされている国に対してあてはまることであり、中国などにはあてはまりません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年7月11日土曜日

【ニッポンの新常識】「集団的自衛権は嫌だ」は“同情すべき勉強不足”による間違った主張 ―【私の論評】安倍総理を名誉回復に300年かかったガリレオのように異端の徒にして良いのか!まともな安保論議を(゚д゚)!


インターネット放送に出演した安倍首相(右)
天才物理学者、アインシュタインが20世紀前半に提唱した理論に、2つの相対性理論がある。おそらく人類の99・99%以上は相対性理論を完全には理解していない。私も大枠しか分からない。

 特殊相対性理論によれば、移動速度が速い場合、時間はゆっくりと進み、そこにある時計は遅れる。一般相対性理論によれば、強い重力を受けた状態下でも時間はゆっくりと進み、やはりそこにある時計は遅れる。

 ただ、私たちが日常生活で「時間の流れる速度が、移動速度や重力次第で変化する」という場面を体験することはない。自らの経験や思考の枠を超えた相対性理論を、物理学と無縁な人は「そんなバカな」「それは違う」などと考える。

 実は、カーナビやスマホで利用されるGPSは、2つの相対性理論のおかげで機能している。

 GPSは4つ以上の人工衛星の軌道や位置、時刻の情報に基づき、観測点の座標を計算する。時刻の正確な情報が必要なので、GPS衛星には高精度な原子時計が積んであるが、超音速で移動する人工衛星内の時刻は、特殊相対性理論の通り、少しずつ遅れる。

 同時に、重力の小さな高度約2万キロメートルでは、一般相対性理論の通り、時計は地上と比べて少しずつ進む。GPS衛星の原子時計では2つの現象が同時に起きている。従って、相対性理論を用いて誤差を計算し、補正が行われている。100万分の1秒の誤差で、距離は300メートルもズレるそうだ。

 さて、本題である。国民の誰もが政治に関心を持ち、自分の意見を発信することは民主主義の基本であるが、単なる感情論や知識不足から生じる間違った主張は、時として有害である。

 いつもGPSを利用しながら、過去の体験などと合わないから「相対性理論は変だ」と主張する人と、今この瞬間も在日米軍に守られながら「集団的自衛権は嫌だ」と叫ぶ人の共通点は、勉強不足だ。ただし、同情すべき部分もある。

 マスコミは「安倍晋三内閣は国民への説明が足りない」というが、日本には法案を国民に詳しく説明する仕組みや習慣が、昔からないのだ。

 テレビ局の協力が得られなかったのか、安倍首相はインターネット放送で安全保障関連法案を説明した。公開2日で再生回数2万回では、テレビの視聴率なら0・1%未満である。国民への説明の機会を、一国のリーダーから奪えるテレビ局は、強大な権力そのものだと再認識した。

 ■ケント・ギルバート

【私の論評】安倍総理を名誉回復に300年かかったガリレオのように異端の徒にして良いのか!まともな安保論議を(゚д゚)!

集団的自衛権を否定するのは、相対性理論をおかしいといって、非難するのと同次元の愚かなことという、ケント・ギルバート氏の主張は正しいです。

本日の朝日新聞は、安保法案が「違憲」とする憲法学者は104人であるのにたいし、「合憲」とする学者は二人しかいないと嬉しそうに報じていました。しかしそれが一体どうしたというのでしょうか。

真実は人数の多さで、正しい間違いが決まるわけではありません。もしそれで決まるというのなら、そもそもそんなものは学問でもないし、報道でもありません。ただの衆愚主義に過ぎません。

比較的最近の、相対性理論に限らず自分には理解が及ばないことを、反対してみたり、なきがごとくみなすということは大昔から行われてきたことです。

中世のイタリアでは、ただガリレオ一人だけが命を賭して、地動説を主張しました。そうして、今日この一人の学者だけが当時主張した説が正しかったことが証明されています。

しかし、バチカンがガリレオの名誉を回復したのは、このブログにも掲載したように本の数年前のことです。その記事のリンクを以下に掲載します。
ローマ法王イブ礼拝で受難、女性に突き倒される―バチカンの権威のすさまじさ

 
女性に突き倒され、ハンカチで顔を
押さえるローマ法王ベネディクト16世


詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事は、2009年12月25日のものです。この記事では、当時ローマ法王がクリスマスのミサを執り行った際に、女性に突き倒された事件について掲載しました。そうして、バチカンの権威の凄まじさの事例として、ガリレオ・ガリレイの名誉が回復されたのは、この年であったことを例にあげました。

その部分のみ以下に引用します。
かのガリレオ・ガリレイは、望遠鏡で、天体を観測し、地動説を唱えたケプラーを支持したため、バチカンにより宗教裁判にかけられ。有罪となりました。晩年は軟禁生活を送りました。死後も名誉は回復されず、カトリック教徒として葬られることも許されませんでした。

その、ガリレオ・ガリレイの名誉が回復され、正式に無罪とされたのは、なんと死後367年を経た今年(管理人注: 2009年)の2月15日でした。いいですか、100年前ということてはなく、今年になってからです。人類が月に到達したは、40年前です。地動説は、おそらく、少なくとも100年前には人類の常識になっています。それでも、300年以上たってからです。権威を守るということは、こういうことです。
それも、良く考えてみてください現在は、各国政府、特に先進国は、どの国も民主国家となり、宗教者が国の政治などを司ったり、重要な役割を果たしているわけではありません。そんな、中でのこの名誉回復です。現代日本人の感覚からすれば、気の遠くなるような話です。バチカンの権威に逆らうということは、こういうことです。正しい、正しくないという事は関係ないのです、世俗では許されても、神の領域では許されないということです。バチカンを含めたカソリック教会の権威に逆らえば、こういう仕打ちが待っていたということです。そうして、名誉回復には300年以上もかかったということです。バチカンの権威そのもののすさまじさが良くお分かりになると思います。
ガリレオ・ガリレイの肖像画
それにしても、気が遠くなるような話です。正しいことを言っても、古くからの権威がそれを認めなければ、正しくないものとされ、近代はおろか、現代になっても認められず、300年もたって、しかも科学的事実とはっきり認められてからも随分たってから、ようやっと許されたということです。

集団的自衛権も同じことです。集団的自衛権は、国連憲章でも認められた権利です。そうして、日米安全保障条約そのものが、集団的自衛権の発動が前提になければ、成り立たないものでした。

にもかかわらず、日本の憲法学者の多くは、集団的自衛権は憲法違反であるなどと、まるで神学論争のような論を展開しています。

しかし、憲法や法律以前に独立国の固有の権利というものが認めらています。それが、集団的自衛権です。集団的自衛権のあり方を論ずるのは良いとは思いますが、集団的自衛権自体を否定するということは、人権を否定するのと同じくらい理不尽なことであり、そもそも、集団的自衛権は、人権と同じく、自然権であるという事実を完全に無視しています。

これでは、バチカンが地動説を長い間認めなかったのと同じく、まるで宗教論争のようであり、現実世界のまともな日本の安全保証の論議とはなりえないです。

本当に、ケント・ギルバート氏の語るように、相対性理論はおかしいと言っているのと何ら変わりありません。

安倍総理をあたかもガリレオのように、異端の徒であるかのような、言説は厳につつしむべきです。その上てまともな、安全保障論議をすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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安倍首相、自ら安保法案をネット番組で解説 5夜にわたって配信―【私の論評】「戦争したくなくて震える」若者に朗報!小川と安部総理の動画は震え止めの特効薬だ(゚д゚)!

ローマ法王イブ礼拝で受難、女性に突き倒される―バチカンの権威のすさまじさ


戦後左翼、リベラルは、結局終戦直後から何も変わっておらず、デジャブーのようです。そうして、それがまともな安保論議の妨げになっています。そうして、あろうことか、安倍総理を異端の徒に仕立てようという魂胆です。それを実感していただける書籍を以下にチョイスしました。

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2015年7月10日金曜日

典型的な「旧日銀」エコノミストの「金利暴騰と円暴落」予言の真偽 ―【私の論評】若者の敵、白川体制時の旧日銀エコノミストらはなぜ口を開くと嘘を吐くのか(゚д゚)!


元日銀理事の早川英男氏

元日銀理事の早川英男氏が、「政府の財政再建計画は信頼性が乏しい」と指摘し、政府の財政再建を前提に日銀が進める量的・質的緩和は、長期金利の急騰や急激な円安など「失敗に陥る確率が8割に高まった」と発言したと報じられた。白川方明総裁時代に、日銀の有力なエコノミストといわれた同氏の発言なので興味深い。

早川氏は、長期金利の急騰や急激な円安が起こるというが、黒田東彦(はるひこ)体制の日銀が掲げる2%の物価目標については「日銀が主張する2016年度前半の達成は難しいが、半年から1年遅れて近づく」とも予測している。

物価が上がらなかったのは、消費増税の影響であることを本コラムの読者は知っているだろう。昨年5月ごろまでは、いい調子で物価が上がったが、消費増税で需要が落ち込むと、物価は上がらなくなった。

早川氏はこれまで講演やメディアのインタビューなどで、日銀の異次元緩和について「ギャンブル」という表現を使っている。もしそうであれば、先進国の中央銀行はみんな「ギャンブル」をしていることになってしまう。世界の中銀の動きについてどう考えているのだろうか。

しかも、その「ギャンブル」を早くやった国ほど、リーマン・ショックからの脱出も早い。金本位制からいち早く離脱して金融政策を活用した国ほど、大恐慌からの脱出が早かったという、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)前理事長の論文があるが、現状もそれと同じ状況になってきている。
早川氏は、典型的な「旧日銀」のエコノミストだ。それは、雇用の改善をはじめとする金融政策の効果を重視している様子があまりうかがえないという意味だ。金融政策の効果を考えるのは世界の中銀の常識であるが、残念ながら旧日銀は考えてこなかったとしか思えない。

 異次元緩和の前後2年間の就業者数の変化は、金融政策の差を如実に表している。前2年間では傾向的に就業者数は30万人程度減少したが、後2年間では100万人程度増加するなど、状況は一変している。

 筆者は、金融政策を評価するとき、雇用が改善しているかどうかが最重要であると考え、雇用が改善できていれば、まず及第点であると思っている。

 ところが、報道を見る限り、早川氏の話には、雇用が出てこない。この点、筆者には不可解なところだ。

 雇用のデータを見れば、異次元緩和は「これから失敗する」というのではなく、「これまで成功してきた」と評価すべきだろう。就業者数や失業率を持ち出すと、実質賃金の低下や非正規労働者の割合が増えていることを批判する人がいるが、それは異次元緩和の否定にならず、もっと続けるべきだという話になる。

 いずれにしても、早川氏は、「インフレ2%の後に金利暴騰、円暴落、資本規制になる」と予言したので、その真偽はすぐにわかる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

【私の論評】若者の敵、白川体制時の旧日銀エコノミストらはなぜ口を開くと嘘を吐くのか(゚д゚)!

上の記事のように、確かに白川元日銀総裁も、当時のほとんどの日銀審議委員も、金融政策と雇用の関係については、ほとんど認識していないです。これらは、密接に結びついているのは、まともに金融を勉強した人なら誰でも知っていることです。

しかし、前白川日銀総裁や、当時の日銀の政策決定委員会の審議員の大部分がそのことを知らないようです。日銀官僚にも、それを知らない人が大勢いるようで、本当に忸怩たるものを感じます。

日銀という、日本国の金融を司る要衝にいる人や、いた人たちがこのようなことで良いのでしょうか。絶対に良いはずがありません。これについては、このブログでも何度か掲載してきました。その典型的な記事のリンクを以下に掲載します。
若者雇用戦略のウソ―【私の論評】雇用と中央銀行の金融政策の間には密接な関係があることを知らない日本人?!
つい数年前まで若者の就活は悲惨だった。特に女子は・・・・・
この記事は、2012年のものであり、当時はのだ民主党政権でした。この時代を振りかえって、いただけばお分かりになると思いますが、本当に若者の就活は悲惨でした。特に女子はそうでした。何十箇所も受けて、全部ダメで、「自分は世の中に必要とされていない」などと考え、途端の苦しみを味わった人も多かったと思います。

詳細はこの記事をご覧いただくものとして、この記事より、金融政策と雇用とは密接に関わっていることを示した部分のみ以下に掲載します。

"
本日(2012年9月1日)の日経新聞には、以下のような記事が掲載されています。

米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長は31日、金融政策について「特に米労働市場の改善が重要で、必要に応じ追加緩和政策を行う」と述べた。具体的な手段に踏み込むのは避けつつも、当面の雇用統計などの結果次第では緩和に動く姿勢を強調したものだ。
これは、FRBの米連邦公開市場委員会(FOMC)におけるバーナンキFRB議長の公演内容の一部です。

上の発言で特に注目していただきたいのは、「特に米労働市場の改善が重要」というところです。この発言に関して、奇異に感じる人は、平均的な日本人かもしれません。奇異とも何とも思わず、当たり前の発言であると感じた人は、中央銀行による雇用調整策についてよくご存知の人かもしれません。


このブログの冒頭の記事を読んでいると、雇用に関して、野田総理大臣はもとより、この記事のなかに登場する人たちも、それに、この記事を書いた記者も、中央銀行(日本では日本銀行)による、雇用調整や対策のことを全く知らないのではないかとさえ思ってしまいます。

アメリカでは、雇用問題というと、まずは、FRBの舵取りにより、大きく影響を受けるということは、あたりまえの常識として受け取られていますし。雇用対策は、FRBの数ある大きな仕事のうちの一つであることははっきり認識されており、雇用が悪化すれば、FRBの金融政策の失敗であるとみなされます。改善すれば、成功とみなされます。

この中央銀行の金融政策による雇用調整は、世界ではあたりまえの事実と受け取られていますが、日本だけが、違うようです。日本で雇用というと、最初に論じられるのは、冒頭の記事のように、なぜか厚生労働省です。


このブログでも、前に掲載したと思いますが、一国の雇用の趨勢を決めるのは、何をさておいても、まずは中央銀行による金融政策です。たとえば、中央銀行が、インフレ率を2〜3%現状より、高めたとしたら、他に何をせずとも、日本やアメリカのような国であれば、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これに関しては、まともなマクロ経済学者であれば、これを否定する人は誰もいないでしょう。無論、日本に存在するマクロ経済学と全く無関係な学者とか、マルクス経済学の学者には、否定する人もいるかもしれませんが、そんなものは、ごく少数であり、グローバルな視点からすれば、無視しても良いです。

日銀が、やるつもりもないインフレ目処1%など無視して、インフレ率を本当に2〜3%上昇させたとします。そうすれば、日本でも、一夜にして、数百万の雇用が生まれます。これは、マクロ経済学上で昔から知られているし、経験則としても成り立っている法則です。

無論、雇用対策のため、のべつまくなく、インフレにするというわけにはいきません。ある程度以上、インフレになれば、ハイパーインフレとなり大変なことになる場合もあります。そういうときは、中央銀行は、すぐにはインフレ率を高めるわけにはいきませんから、これは、打ち出の小槌のようにいつもできるというわけではありません。雇用枠が増えても、ハイパーインフレということにでもなれば、雇用が増えたという経済に対するブラス要因が、ハイパーインフレというマイナス要因によってかき消されるどころか、経済が悪化してしまいます。


それに、経済のその時々の状況で、インフレ率を高める方法もいろいろあります。いろいろある方策のうち、雇用に悪影響を及ぼす方策もあります。同じ二つ三つの金融政策を実施するにしても、順番があります。順番を間違えると、かえって、雇用に悪影響を与える場合もあります。こうしたことを認識しながら、雇用調整を行うことは、本当に難しいことです。だからこそ、アメリカではFRBの金融政策の専門家が専門家的立場から、これを調整して、雇用対策を行います。

雇用を直接生み出すのは、日本でも、本来日銀であるはずです。しかし、日本では雇用対策といえば、厚生労働省の管轄とかたく信じて疑わない人が多いようです。しかし、厚生労働省は、雇用枠を増やすことはできません。一定の雇用枠の中で、雇用対策ができるのみです。できることは限られていて、雇用のミスマッチを改善することくらいのものです。


日銀と、厚生労働省の二つの雇用対策がマッチしてはじめて、若者の雇用なども含むまともな雇用対策ができます。日銀が、金融政策で雇用枠を増やしたとしても、それは、枠を増やしたというだけであって、現実には、雇用のミスマッチがあれば、雇用問題は解消しないわけです。ここで、厚生労働省が、実効的な雇用のミスマッチを是正する政策を行えば、雇用問題が解消するわけです。
"

何やら、ブログ冒頭の記事を読んでいると、早川英男氏はこの2012年当時の考えとちっとも変わっていないので、本当に何と言っていいのか、呆れて二の句が継げないです。彼の頭の中には、雇用と金融緩和政策が密接に結びついているという認識は微塵もないようで、これを責めるというよりは、哀れさを感じてしまいます。

最近の雇用情勢をみていれば、昨年は金融緩和の腰を折る8%増税を導入したにもかかわらず、誰もが否定できないくらい、雇用情勢は良くなっています。このような状況をみても、自説を曲げず、頓珍漢な論評をするその厚顔無恥には慄然とさせられます。

過去の日本の雇用情勢の悪化により、特に若者の雇用は悪化し、多くの若者にとって、就活はとんでもない悲惨なものになってしまいしました。

過去の日本が20年近くもデフレから脱却できず、雇用も悪化して、最悪の状況になり、特に若者層は、夢も希望も持ちにくい世の中にしてしまったのは、まさに早川秀男氏のような、雇用と金融政策の関係を認識しない人たちでした。

2012年当時は、日本ではそのような人たちが多数派でした。今でも、これを認識しない人が大勢います。しかし、私達はもうそろそろ、世界の常識でもあるこのことを当たり前のこととして認識しなければなりません。

デフレや就職難は、日銀の金融政策が不適切であることが、大きな原因であることを認識し、自分は無論のこと、周りの人たちにとっても、日銀がまともな金融政策をしなければ、とんでもない状況になるのだとはっきり認識すべきです。

そうでないと、早川秀男氏のような人に、翻弄されてとんでもないことになることを認識すべきです。彼らのような人々こそ、生活困窮者の本当の敵であることを認識すべきです。

日銀がまともな政策を採用しないと、デフレ・円高、雇用の悪化で、社会が破壊されることしっかり認識すべきです

そうでないと、早川氏のような人物に、自分の生活や、周りの人々の生活が破壊されとんでもないことになります。それにしても、多くのこの手の人たちは、経歴などみると学歴など含めて、それなりに立派なのに、なぜまともに頭を使おうとしないのでしょうか。本当に不思議です。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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金融緩和によって、これから日本経済は、確実に良くなります。しかし、一方では過去日銀新議員のように、日本を滅ぼしたように、組織を破壊するダメ人間も存在します。


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日本 アメリカ 韓国の海保機関が初の合同訓練へ 中国を念頭か―【私の論評】アジア太平洋地域の海上保安協力と中国海警局の動向

  日本 アメリカ 韓国の海保機関が初の合同訓練へ 中国を念頭か まとめ 日本、アメリカ、韓国の海上保安機関が来月上旬に日本海で初の合同訓練を行い、中国の海洋進出に対応するための連携を強化する。 この訓練は捜索と救助の手法や能力の確認を目的とし、3か国は将来的に東南アジアや太平洋...