2015年9月18日金曜日

【堀江貴文氏ブログより】私がSEALDsをdisる理由―【私の論評】ホリエモンも瀬戸内寂聴も見えない、安保の当たり前のど真ん中(゚д゚)!

【堀江貴文氏ブログより】私がSEALDsをdisる理由



Newspicksのコメントでも書きましたが改めて。

なんで私がこれだけ彼らの行動をしつこくdisるのか。それはこういう小さい動きから国全体が間違った方向に導かれる事が多いからだ。

幾つか論点があって、一つは今回の安全保障法案は戦争法案ではないし、徴兵制に向かうものでもない。積極的に戦争を仕掛けようというものではない。特にアメリカという同盟国に依存してきた人命を伴う安全保障にかかわる任務を日本も分担するという事。つまりアメリカ人が死ぬのか日本人が死ぬのかって話で、それってアメリカ人だったらいいの?そうじゃなくて応分の分担は必要だよねって事だ。それを戦争法案っていうのは幾ら何でも言い過ぎだ。

確かに法案成立のプロセスは強引だ。しかし、いまデモに来てる人たちを100%納得させるためには憲法改正が必要になるが、その時の反発はこのレベルでは済まないだろう。だからこれまでやってきた通り、憲法を都合よく解釈する事で成立させようとしているだけだ。反対派の論理で言えば自衛隊だって違憲になる。極端な意見だ。

そして、デモに参加してる人たちの多くは法案を理解せず、本気で戦争になると思って参加してる雰囲気に流される人達だ。こういう人は、得てして例えば戦争になったら戦争を煽る方向に行ったりする。戦争中は朝日新聞だって戦争を礼賛していたよね。論理的に間違っている事を盲信して、雰囲気に流されて体が動いてしまう人は私は危険だと思う。だからしつこく否定する。

【私の論評】ホリエモンも瀬戸内寂聴も見えない、安保の当たり前のど真ん中(゚д゚)!

堀江貴文氏といえば、特に説明の必要もないくらい、多くの人が知っている人だし、ネットを検索すれば、彼にまつわる様々な情報が掲載されているので、ここでほとんど説明はしません。

堀江氏の安全保障に関する考え方には何度か聴いたことがありますが、その度に、全く賛同することはできませんでした。

それが、頂点に達したのは、瀬戸内寂聴さんとの対談本の内容でした。それも、そんなに前のことではありません。昨年のことです。

その対談本のタイトルは『死ぬってどういうことですか』というものです。この書籍から、寂聴さんと、堀江さんの安保に関する考え方は、両極端ではありますが、どちらも正しいものとは考えられませんでした。以下にその対談本の表紙の写真を掲載します。


この対談では、「戦争、するの?ないの?」と題された章では、2人の考え方がすれ違っていました。堀江氏の「戦争になれば逃げる」発言に、瀬戸内氏が激怒していました。

この対談本の中で、1922年(大正11年)生まれの御歳92歳の寂聴は今の状況に相当な危機感を抱いているようでした。東京女子大学に入学して1年後に真珠湾攻撃が起きました。そのころから「だんだんとものが言えなくなってきた」といいます。そして自身の経験から「なんか、今の時代の空気が戦前と同じ臭いなんですよ。本当に似ているんだもの。具体的には例えば特定秘密保護法なんて、あれは前の戦争のときとおんなじ感じですよね」と語り、"戦争を知らない世代"に釘を指しました。

「もうかわいそうでほんとに涙が出て止まらなかったですよ。同い年ぐらいの優秀な男の子たちがほとんど殺されてるでしょ。ほんとにそれはもう考えられないくらい恐ろしいことですよ。今の若い人は、日頃ちゃらちゃらしてるのはまあいいとして、戦争のニオイにだけはいつも敏感になっていなければいけませんよ。気がついたときには船に、飛行機に乗せられているんだから。ずっとそういう歴史だったじゃないの。庶民がやられる歴史だったじゃない」

そして「安倍総理は戦争がしたいんでしょ?」「だって安倍さんが言ってること、してること見たら、いかにも戦争をこれからしよう! って感じじゃないですか?」と、安倍首相を徹底的に批判していました。

ホリエモンは、この寂聴の危機感たっぷりの発言に"日本は戦争なんてしない"と冷たく言い放っていました。

「いやいや。それは言いすぎじゃないですか? (安倍首相は戦争を)別にしたくはないでしょ」

その理由はコストに見合わないからだという説明をしました。

「戦争が起こると対中貿易とかって完全にしぼんじゃうんで、そりゃあ絶対にないですよ。経済的結びつきが強すぎるんで」

寂聴が「なんで? だって今のまんまで行ったら、戦争よ。安倍さんだったら徴兵制敷きそう」とくいさがっても、堀江は「いやあ、ないでしょ。それはないでしょ。そもそも人なんていらないですもん。人は高いんですよ。日本人って高いんで、コストが」と一蹴しました。

堀江氏からすれば、戦争は「完全に経済の問題」であり、近代化を成し遂げた社会では「コスト」に見合わないから必然的に回避されるということです。もっぱら人間は経済的効率性を最優先にするものであり、ゆえに明らかに"損"が予想される行動をとるはずがない、という理屈です。

寂聴から「そのコストを計算できない人たちじゃないの? あの人たちは」とつっこまれても、「いや、コストで動きますよ。彼らができないんじゃなくて、経済的にそういうふうな状況になっていくんですよね」と自説を曲げませんでした。

その上て、堀江氏はこんな発言もしていました。
「僕は、(中略)戦争が起こったら、真っ先に逃げますよ。当たり前ですよ」

これに驚いた寂聴は「どこに逃げられる? 逃げる場所がある?」と聞きますが、堀江氏は「逃げる場所あるでしょ。第三国に逃げればいいじゃないですか」と、淡々と返えしました。

そして、寂聴から「行かれない人はどうするのよ」と突っ込まれると、ホリエモンは冷徹にこう語りました。

「行かれない人はしょうがないんじゃないですか?」
もともとホリエモンは究極的には、人間はすべて経済合理性に従うと考えています。彼にとっての関心事はグローバル化する世界の中で企業や個人がどんな経済活動をしていくか、その一点だけだけのようです。国家などは全く価値がないばかりか、それを阻害する邪魔な存在でしかないようです。

ホリエモンが見誤っていることもります。それは、ホリエモンが「しょうがない」「知らない」と切り捨てた弱者こそが熱狂するナショナリズムの発火点になっていることです。

「それはグローバル化に対するアンチなんですね。グローバル化によって貧しくなる人たちが抵抗してるにすぎないんで。そういうネトウヨ的な人たちもそうなんですけど、日本人であることだけが彼らのプライドの源泉なんですよね。だから『もう鎖国をしろ』とか『戦争しろ』とか言うのは、その人たちですよね」


ホリエモンには、「そんな連中はとるにたらない」「影響力をもてるわけがない」という意識が見え隠れします。しかし、世界を見渡せば、そのグローバル化に取り残された人々がナショナリズムや民族主義に熱狂し、紛争の火種になっています。そして、中国でもそういう事態にエスカレートしないという保証はありません。日本のすぐ隣にそういう国があるということが、日本にとってかなりの脅威です。

寂聴は、ホリエモンの姿勢に苛立ち、最後はキレ気味になって、こう叫んでいました。

「もう私は本当に死にたいの、つまらないから。つまらない。くだらない。ひどい。私は堀江さんと違って、戦争が起こると思ってるからね。もう見たくないと思う。あれを二度と見たくないの。でもいいわ。『戦争しない』っていう、こういうふうに堀江さんのように言い切れたらね、言い切る人が出てきたら、それは英雄ね。それはみんな喜ぶんじゃないかしら、枕を高くして寝られるんじゃないかしら。そして、そのときに、ばーっとやられるんですよ」

この二人は、本当に極端です。寂聴といえば、このブログにも掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
瀬戸内寂聴さんに、習近平に「戦争するな」と諭して欲しい件―【私の論評】寂聴さんにISILの幹部も諭してもらおう(゚д゚)!
 

 詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では、瀬戸内寂聴が安保法制反対デモにおいて、戦争反対という発言をしたことを受けて、石平氏のTweetを掲載し、それに対する私の論評を掲載しました。この記事の結論のみを以下にコピペします。
それにしても、寂聴さん若い頃から、平和運動をしてきたようではありますが、どう考えても安全保証の専門家ではありません。結局は、マスコミなどの報道に幻惑されたり、左翼運動家らの口車にのったとしか思えません。芸能界や文壇には、そのような人が多いです。 
石平氏は、習近平を諭して欲しいとTweetしましたが、日本は尖閣問題で直接中国の脅威があることはあるのですが、それ以外にも世界には戦乱にあけくれるている地域が今でも多くあります。 
ISILもその一つです。寂聴さんはどうせやるなら、日本国内の現状の平和という生ぬるいお湯に浸っていることなく、ISILにでも乗り込んで、幹部らを諭していただきたいものです。
そうすれば、厳しい国際環境を寂聴さんも理解されるのではないかと思います。ただし、そうすれば、命の保証はありませんが・・・・・・。寂聴さんは、「死に支度」という書籍もだされていますから、それこそ「死に支度」の一環として実践されたら良いのではないかと思います。 
私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?
結局のところ、私も、石平氏も、「安保法案」は「戦争抑止法案」であり、寂聴さんの語っていることは明らかな間違いであることを言っているということだと思います。

私や、石平氏も堀江氏とは異なり、戦争が起こる可能性を前提として、戦争を抑止するための法案が必要であると考えているわけです。そこのところが、寂聴さんとは違います。寂聴さんは、「戦争抑止法案」を成立させて施行すると、戦争が起こるというか、日本が戦前のように戦争に走るという考えです。

一方堀江氏は、「経済的合理性」から人間は絶対に戦争しないと主張しています。しかし、人間にとって経済だけがすべてではありません。経済だけが良くなっても、決して社会は良くはなりません。経済そのものは、人間の営みのなかのほんの一部でしかありません。

だから、人間は経済合理性だけでは説明のつかない複雑な行動するものです。だから、マクロでみれば、どう考えてもあり得ないような行動をとることもあります。たとえば、日銀が本来金融緩和をすべきときにも、金融引き締を行い、それを継続して、過去の日本はとんでもないデフレにみまわれました。多くの人が、これを理解せずに、デフレが放置された結果、日本は15年以上もデフレ・円高が続くというとんでもない状況にみまわれました。

また、デフレから完璧に抜けきっていないのに、なぜか昨年の4月に8%増税に踏切り、そのせいで本来経済がまだまだ良くなっているはずなのに、今年に入ってからも4〜6 月期には、マイナス成長になりました。多くの、政治家、経済学者、官僚などが、増税の影響は軽微といっていたにもかかわらず、このような結果になってしまいました。

人間がすべからく、「経済合理的」に動くというのなら、こんなことはあり得ないはずです。しかし、現実はそうではありません。

それに、経済合理性だけを見るというのなら、人間の複雑な面を見失ってしまいます。経済学の大家ドラッカー氏は、経済統計だけをみたとしてら、後世の歴史家は、第二次世界大戦が起こったことなど、気づかないだろうとしています。


確かに、第二次世界大戦は世界中に大惨禍をもたらし、大勢の人が亡くなり、社会が混乱しましたが、経済統計だけを見ているとそうではないというのです。

これは、にわかには信じがたいことですが、第二次世界大戦で敗北した、ドイツや日本でも、確かに戦争の惨禍で、とんでもない状況にはなりましたし、物資も不足はしましたが、それでも、戦争中には普段よりもかなり多く、兵器を製造したり、軍隊にそれを支給したりして、大きな経済活動が営まれました。

さらに、日本を例をとり、後世の歴史家が経済指標だけ見ていたら、大東亜戦争があったことなど気づかないかもしれないことを実証してみせようと思います。

以下は、最近読んだ古谷経衡氏の『戦後イデオロギーは日本人を幸せにしたか』という書籍に掲載されていた、統計資料です。

クリックすると拡大します
この統計資料に関して、古谷氏は、以下のような説明をしています。
 これを見ると、日本は先の大戦で、すべての国富のうち、その4分の1を失ったことになるが、逆説的に言えば、4分の3は残存していると見なすことができ、その水準はおおむね1935年のそれであった。

簡単に言えば、日本は1935年から1944年までの拡大分が戦争最後の1年、つまり戦争末期の大空襲であらかた吹き飛び、日本の敗戦時の国富は終戦時点の10年前である1935年の水準に逆戻りしたと考えればわかりやすい。 
 よって、「日本は敗戦でゼロからのスタート」を余儀なくされたのではなく、「敗戦により、おおむね1935年の国富水準からスタート」と言い換えることができるのだ。
1935年のレベルといえば、言うまでもなくアジアの中ではトップクラスです。戦後の日本の復興は、「ゼロからのスタート」とするのは程遠い実態です。

終戦直後にこの状況であり、温存された国富の源となった、爆撃されなかった町や村などは生産活動を継続し、さらに戦争遂行のための様々な経済活動なども加えれば、日本も経済指標だけみていれば、戦争のあったことなど後世の歴史家は気づかないかもしれません。

そうはいいながら、大東亜戦争は、日本の社会に経済とは別に深刻な悪い影響を及ぼしたことは明らかです。誰も、このような戦争を二度と味わいたくはないと思ったことでしょう。

終戦直後の焼け野が原の東京
ちなみに、日銀の金融政策の間違いにより、日本経済は停滞しまたが、この期間に日本が戦争をして、日銀がまともな金融政策をとるか、あるいは戦費調達のため大規模な金融緩和をして、戦争を遂行し、甚大な被害を受けていたとしても、経済指標だけを見れば、何も変わりないかもしれません。

経済統計からみれば同じような停滞かもしれませんが、の戦争と、金融政策のまずさによる停滞とどちらが良いかといえば、無論誰もが後者のほうがましというに違いありません。

いずれにせよ、堀江氏のように、「人間は経済合理的な動きをするから、戦争しない」という考えはあてはまならいように思います。

それにしても、以上のようなことを考えた場合、「経済合理性」を絶対視する堀江氏が、SEALDsに危機感を感じるというのは、ある意味不思議です。

本来、人間が、経済合理性だけを追求するなら、安保反対運動などしないはずです。60年安保、70年安保、PKO法案成立のときも、反対派は「戦争になる、徴兵される」などをキャッチフレーズとして、大きな運動を展開しましたが、さしたる成果はありませんでした。

であれば、本来は「経済合理性の観点」からは、今回あのようなデモではなく、別なことをするというのが、合理的なはずです。しないはずの、デモが実際には行われているので、堀江氏は危機感を感じているのかもしれません。

これを機会に堀江氏も、安全保障に関する考え方を変えたかもしれません。「戦争が始まったら逃げる」などということは言わなくなるかもしれません。当たり前のことですが、戦争などないほうが良いに決まっています。誰であっても、最初から積極的に戦争したいなどと思う人はいません。

今回の、憲法解釈の変更による、集団的自衛権を含む、安保法制の審議に関しては、上記のように様々な反応がありました。

いずれにしても、寂聴さんのように、ただただ、「戦争反対」を唱えるだけで戦争は回避できませんし、堀江氏のような経済合理性だけでも、「戦争などしない」などとも断定できません。

やはり、戦争は場合によっては、起こりえるものと想定して、そのための準備はしつつ、抑止力を高め、戦争に巻き込まれないように最大限の努力をするということが、当たり前といえば、当たり前ですが、それが王道だと思います。

その王道である当たり前のど真ん中が、従来の日本ではなかなかできなかったのですが、今回の安保法案の成立を機にできるようにしていくべきです。

実は、今回の安保法案に関しては、様々な疑問もあります。無論、安保反対派のように、「戦争になる」などという馬鹿げた理由からではありません。戦争抑止法案とみても、疑問な点があります。

成立後には、「戦争はない」とか「戦争になる」などというくだらない議論はせずに、戦争を抑止するために、いずれ憲法改正も視野に入れつつ、今の憲法の範囲で洗足抑止ために何ができるかを論議するべきものと思います。そうして、憲法改正する前にできることはどんどん実施できるようにすべきです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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安全保障について、良く考えるための書籍を以下に掲載させていただきました。

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2015年9月17日木曜日

安保国会、未明の醜態 野党が委員長“監禁” 屋山太郎氏「野党は芝居止めろ」 ―【私の論評】戦争法案と発言していた無責任議員に、確実に責任を取らせる方法はこれだ(゚д゚)!


参院平和安全法制委員会の開会を宣言した鴻池祥肇委員長(左)に詰め寄る野党の理事ら=17日午前
参院第1委員会室

安全保障関連法案をめぐる参院審議が大混乱している。今週中に法案を成立させたい与党側は16日夜から17日未明にかけて、特別委員会での締めくくりの総括質疑の開催を目指したが、民主党などが激しく抵抗したため開けなかったのだ。野党側は17日午前にも、鴻池祥肇委員長の不信任動議を提出するなどして、採決の先送りを狙った。16日夜の攻防では、女性議員を理事会室前に多数配置する「女の壁」を築き、74歳の鴻池氏を“監禁”までした。「言論の府」「良識の府」が醜態の場になってしまった。

「みんな理事会室で待っているだろ!」

17日午前9時前、鴻池氏が委員会室の委員長席に座ると、野党の理事らが取り囲んで一斉に批判を浴びせた。

「生活の党と山本太郎となかまたち」の山本太郎共同代表は、委員長席に駆け寄って鴻池氏からマイクを奪い、与党筆頭理事を務める自民党の佐藤正久国防部会長らをにらみつけた。

いやしくも公党の代表である山本氏が“鉄砲玉”のような役回りを演じる光景にはゲンナリするが、野党側は「約束守れ」「嘘つき」などと怒号をヒートアップさせ、室内は騒然となった。

委員会に先立つ理事会は、理事会室で開かれるのが通例だが、鴻池氏が「だまし討ち」(民主党の福山哲郎幹事長代理)に出たのも無理はない。前夜から未明にかけて、野党は前夜、鴻池氏を理事会室に“軟禁”し、委員会を開かせないようにする暴挙に出たからだ。
 特別委員会は16日午後6時半から、安倍晋三首相が出席して締めくくりの総括質疑を行う予定だった。だが、民主党などが理事会で、与党と次世代の党など野党3党との合意内容について説明を求めるなどし、理事会は開催と休憩を繰り返した。

 この間、数十人の衆参野党議員が理事会室や委員会室前で人垣をつくり、「廃案!」などと大声で叫び続け、鴻池氏らが移動できない状態となった。開会をめぐって与党議員と激しくもみ合い、怒号も飛び交った。

 「触るな! セクハラだ!」

 「自民党の○○○○議員がセクハラしました!」

 理事会室前には、ピンクのハチマキを頭に巻いた野党の女性議員が多数陣取り、排除しようとする与党議員の体が触れるたび、大声を張り上げて抵抗した。


言論の府である国会で、委員会開会を阻止しようと理事会
室前に立ちふさがる野党の女性議員ら=16日、国会内
 女性であれば、男性の与党議員や衛視らが体に手を掛けて移動させることが難しい、との判断とみられる。騒然とする理事会室前。質疑開始を妨害する意図は明らかだ。

 山崎正昭参院議長は女性の衛視を投入するなどして収拾に努めたが、民主党の小宮山泰子衆院議員は「女を利用するな! こんな時だけ女性を前に出して。女をこうやって使うんだな!」などと絶叫した。

 自分たちのハチマキに「怒れる女性議員の会」と書かれていることを、忘れているのか…。

 院内の廊下では、携帯電話のカメラを頭上に掲げて、笑顔で「自撮り」する女性議員らの姿も散見された。


理事会の開会を前に集結、記念撮影する共産、民主の女性議員=16日午後、国会内

こうした経緯があり、鴻池氏は17日は委員長室で理事会の開始を宣言し、同日午前9時45分ごろ、委員会を再開した。しかし、野党は鴻池氏の不信任動議を提出、鴻池氏は退席し、委員会は正午現在、休憩の状態が続いている。

 野党側の異例の妨害に、政府・与党内では今後、衆院再可決・成立が可能となる「60日ルール」の適用を模索する動きも本格化しそうだ。自民党の佐藤勉国対委員長は17日午前の党会合で「衆院で再可決する60日ルールの行使も視野に入れなければならない」と発言した。

 安保法案については、与党側が中国の急激な軍事的覇権主義を踏まえて「国民の命と平和な暮らしを守るために絶対に必要な法案」(自民党の高村正彦副総裁)と訴えたのに対し、野党側は「憲法違反」「戦争法案」「徴兵制につながる」などと反対し、衆参で約200時間の審議を行ったが、議論はほぼ平行線だった。

 民主主義国家の国会としては、最後は採決して結論を得るのは当然だが、野党側は国会前に集結する反対派に力を得たのか、徹底抗戦に出ている。「民主政治」「多数決原理」を理解していないとしか考えられない。

理事会室前で通路を確保しようとする衛視ともみ合う議員=16日午後、国会内
評論家の屋山太郎氏は「野党には『芝居を止めろ!』と言いたい。日本を取りまく安全保障環境が激変するなか、与党は安保法案の成立を目指しているが、野党は『戦争法案』『憲法違反』とレッテル貼りをして、国民の不安を煽っているだけだ。野党からは理に適った主張を聞いたことがない。そして、最後の最後に、肉体的に阻止しようとしている。このままでは、憲法を守って国が滅びることになりかねない。こんな茶番劇を続けていたら、事の本質が見えなくなる。国が危うくなる」と語っている。

【私の論評】戦争法案と発言していた無責任議員に、確実に責任を取らせる方法はこれだ(゚д゚)!


本当に、どうしようもない国会の痴態です。それにしても、このようになる予兆は前からありました。特に、民主党はそうでした。それについては、このブログにも以前取り上げたことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。
派遣法改正案 民主党、「委員長に飛びかかるよう」文書で指示―【私の論評】今回の出来事は、民主党の無知に起因するものだが、議会制民主主義を踏みにじる暴挙以外の何ものでもない(゚д゚)!
衆院厚生労働委に臨み、野党議員らにもみくちゃにされる渡辺博道委員長=6月12日午前
詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事では 民主党が意図して、意識して、衆院厚生労働委員会で委員長にとびかかるように文書で支持を出していたことを掲載しました。以下にその部分のみコピペさせていただきます。

衆議院の厚生労働委員会は12日、労働者派遣法改正案に反対する民主党などの野党議員が、開会を阻止しようとして、大混乱となった。 
厚生労働委員会は、派遣法改正案の審議と採決に反対する民主党議員らが、渡辺委員長の入室を阻止しようとして、もみ合いになった。 
渡辺氏は、この際、首に手をかけられたり、けられたりしたという。 
FNNが入手した民主党議員作成の文書では、「委員長にとびかかるのは委員会メンバー」などと、身体的に物理的な力を行使して、採決を阻止するよう指示が明記されている。 
渡辺厚労委員長は、「議論をしないで、暴力で自分たちの思いを成し遂げようということであっては、これは国会の機能は果たすことができません」と述べた。 
首をコルセットで固定した渡辺氏は、診断書を示しながら、全治2週間の頸椎捻挫(けいついねんざ)を負い、痛み止めの注射を打ったと訴えた。 
委員会は、民主党と共産党が審議を欠席し、結局、12日の採決は見送られた。
今回の安保国会も、民主党は、この出来事の延長線上で、他党も巻き込んで大規模に暴力を行使したということです。短期間に同じことを繰り返すのですから、もうこれは、完璧に民主党の本質であるといえると思います。

これら一連の、醜態に関して、作家の百田尚樹氏が興味深いTweetをしています。
まさに、百田氏のおっしゃる通りです。そうして、この写真をみると、集団的自衛権が絶対に必要であることを、民主党をはじめとする野党の面々がこっけいなくらい実証してしまっています。

そうして、以下の動画をご覧いただくと、本当に集団的自衛権の重要性を野党の皆さんが実証してしまっています。
民主主義的な手続きで、委員会を開催しようとしたのを暴力で妨害して、最終段階には、ダイブまでして、阻止しようとする姿は、まさに暴力であり、これに対して与党の議員らが、複数名で委員長を守ろうとしている姿は、集団的自衛権を彷彿とさせます。

今回の暴挙で、彼らは集団的自衛権の必要性をかなり効果的に国民にアピールして、国民に対して素晴らしい啓蒙をしたと私は、思います。

それにしても、民主党をはじめとするほんどの野党は、戦争抑止法案を戦争法案として、批判していました。

その立場を堅持するなら、本法案が最終的に可決され、施行されたあかつきには、彼らは戦争が始まると主張しています。

それなら、それなりの行動をとってもらわないと困ります。

戦争が始まるというのなら、それなりの準備が必要です。たとえ、政府が主導しなくても、自主避難したり、防空壕掘ったり、様々な具体的な行動があるはずです。

いっそのこと、たとえば中国等にでも避難されたらいかがでしょうか。政治家としての発言は大きいです。このようなことを大々的に喧伝したのですから、それにふさわしい行動をとっていただきたいものです。

安保法案を戦争法案として報道をしていたマスコミの方々や、安保法案を違憲としていた、憲法学者の皆さんや、違憲としていた法曹関係の方々や、安保法案に反対してデモをしていた人々に対しても戦争の危機を回避すべきことを説得して、中国等に大量に移民されてはいかがですか。

このような行動を起こす議員は、それなりに信念にしたがって、行動しているのでしょうから、それ以上に責任は問いません。しかし、このような行動もとらず、そのまま議員として踏みとどまるような議員は、到底許容できません。

もし、そのような行動を取らず、さらに戦争がいつまでたっても起こらない場合、過去の60年安保、70年安保、PKO法案の時のように、その後野党は急速に支持を失っていくことになると思います。

しかし、このような事になる前には数年はかかります、そんなに長い間待っていては、無責任議員がはびこることになってしまいます。しかし、無責任議員の責任をとらわることは、私達にもできます。それは、以下のTweetをご覧になって下さい。
このようなリストがあれば、責任を取らない無責任議員をはっきり特定できます。そうして、そのような人に有権者として投票しないということで、無責任議員を放逐することができます。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

それにしても、鴻池委員長は、本当にお疲れ様でした。安倍総理や、戦争抑止法案賛成の皆々さまがた、本当にお疲れ様でした。連休前には、確実に法案を成立させて、ごゆっくりお休み下さい!

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2015年9月16日水曜日

安保法案 地方公聴会で公述人が賛否―【私の論評】安保反対派のウイスキーCMのような「何も足さない、何も引かない」式の頑固さにはもううんざり(゚д゚)!



安全保障関連法案を審議している参議院の特別委員会は、横浜市で地方公聴会を開き、公述人からは、平和の維持に必要な抑止力を高めるものだとして法案の早期成立を求める意見が出された一方、憲法の平和主義を変えようとする内容で反対の声が広がっているとして廃案にすべきだという意見が出されました。

このなかで、与党が推薦した海上自衛隊の元海将の伊藤俊幸氏は「わが国の平和と独立を守るのが自衛隊の使命だ。今の平和の状態を維持するための手段の1つが、抑止力を高めることだ。これまでは、わが国を守ってくれているにもかかわらず、他国軍隊にふりかかる火の粉を払ってあげることもできなかった。できるようにすることで、緊密な信頼関係を構築し抑止力がさらに高まる。今回の平和安全法制の1日も早い可決を望む」と述べました。

野党が推薦した専修大学教授の広渡清吾氏は「法案反対の運動は、学者だけでなく、高校生、大学生、高齢者など国民の全階層に広がっている。それは、戦後70年の間、日本国憲法の下で作られてきた、平和主義、民主主義、そして立憲主義が危機にあると認識しているからだ。安保法案は、憲法の平和主義を変えようとする、重大な内容を含むもので、国民の反対と不安をしっかり認識し法案の違憲性を判断して廃案にしてもらいたい」と述べました。

与党が推薦した東京財団上席研究員の渡部恒雄氏は「日本の限られた資源と防衛力だけでは、日本の安全を守れないことは明らかで、米国という世界最強の軍事力を持つ同盟国との共同対処が想定されているからこそ、少ない予算とリスクで自国の安全を確実に守ることができる。法律は万能ではなく、国際情勢や軍事力が変われば、変えなければならない」と述べました。

野党が推薦した弁護士の水上貴央氏は「単なるセレモニーでなく、公聴会を開いたかいがあったと言えるだけの十分かつ慎重な審議をお願いしたい。法案は、戦闘地域に隣接する地域で戦闘機への弾薬の補給などまで行える運用にしており、武力行使との一体化で憲法第9条に反する。重要な問題が明確になる中、法案を通せば、単なる多数決主義であり民主主義ではない」と述べました。

【私の論評】安保反対派のウイスキーCMのような「何も足さない、何も引かない」式の頑固さにはもううんざり(゚д゚)!

憲法解釈の変更による、集団的自衛権を含む安保法案は、合憲であり、戦争の抑止に資するものです。これに関しては、この法案を通すということを公約にして、安倍総理は過去三回も国政選挙に挑み、三回とも大勝利しました。

もし、安倍総理が安保法案に関して何もしなければ、公約違反ということになります。こういうことをこの法案に反対する野党や、反対デモをしている人たちはどのように受け止めているのでしょうか。

私からいわせると、成立間際のこの体たらくぶりは、いかんともしがたいものと思います。知的退廃以外のなにものでもないと思います。過去三回の選挙のときは、安保法案にさほど反対もしていないのに、成立間際になってから、大騒ぎするとは、あまりに往生際が悪すぎます。

このような考え方をするのは、私だけではないようです。たとえば、経済学者の田中秀臣氏は、以下のようなTweetをしています。
田中秀臣氏の指摘は正しいです。デモなどみていると、シールズなどの若者はごく一部で50歳台〜70歳台の一部の人たちの、過去の60年安保、70年安保、PKO法案での失敗を何も反省していないのが本当に不思議です。

この態度まるで、1995年頃のウィスキーのCMを思い出してしまいます。そのCM、YouTubeを検索していたら、見つかったので、以下に掲載します。



この動画、1995年頃のCM サントリーウイスキー山崎 「何も足さない。何も引かない」というものです。

これは、ウィスキーのことですから、味を頑固に守りつづけるということで、それはそれで良いですが、こと安保に関して、自分たちの考え方に、何も足さない、何も引かないなどという考え方は、どう考えても成り立たないです。

ウィスキーの熟成期間は、せいぜい数十年です。安全保障に関する考え方など、数百年のスパンで考えると、その間違いにはすぐに気づきます。

まさか、現在でも江戸時代のような考え方で、安全保障を考えていて良いはずはありません。江戸時代の頃と比較すれば、安全保障環境など、随分変わっています。それを無視して、江戸時代の考え方に、何も足さない、何も引かないで安全保障を考えても、何も得るところはありません。

安保法制を数十年前の考え方で、何も足さない、何も加えない方式で、考えて「戦争法案」とか、「徴兵制」がどうのとかと「違憲」とみなすのは、どう考えてもまともではありません。まるで、60年安保の頃から変わらない、頑固なウィスキーのシングルモルトのようです。

しかし、良く考えてみると、上の考えは、ウィスキーを醸造している人たちに失礼な言い方だったかもしれません。

彼らは、意図して意識して「何も足さない。何も引かない」のではありません。彼らは、「何も足せない。何も引けない」のです。

石平氏は以下のようにTweetしています。
「何も足せない。何も引けない」人たちは、なぜか、自分たちか多数派であると信じたいようです。しかし、もはやそうではないです。おそらく、意図して、意識して、安保法案に賛成している人と、反対している人とを比較すれば、賛成の人が多いのではないかと思います。

おそらく、これ以外の人たちは、意図して意識してではなく、漠然と反対、あるいは漠然と賛成しているだけであって、何が何でも成立させようとか、何が何でも廃案にしようと考えている人たちではありません。

その構造は、60年代安保、70年代安保、PKO法案のときと同じです。にもかかわらず、「何も足せない。何も引けない」人たちは、また同じことを繰り返そうとしています。

以下の写真は、1996年の、 サントリーウイスキー 「山崎」の雑誌広告です。 「何も足さない 何も引かない・・・」をもじって、 「何も足せない 何も引けない 難儀な年頃・・ダメオ55歳の賀状」。オン・ザ・ロックのグラスにはまりこんだ場面です。


何やら、この広告その後のPKO法案、今日の安保法案に反対する人たちの将来を予言していたような感じがします。

1996年というと、今から19年前です。当時、55歳だった人は、今は74歳です。なにやら、年齢層まで予言しているようです。

この状況何とかしてほしいものです。一部の人が、「何も足せない。何も引けない」ことにより、国会の審議がほとんど無駄時間になり、国会付近が騒然として、ごく一部の若者は、その悪影響をもろにこうむっています。

本当に困ったものです。この種の人たちがいくら反対しようとも、とにかくまずは、今の形でも良いですから、安保法案通って欲しいものです。本日中もしくは、明日未明には決着をつけるべきです。

安保反対派のまるで、ウイスキーCMのような反省のなさにはもううんざりです。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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2015年9月15日火曜日

【安保法案】民主党歴代代表も集団的自衛権を認めていた…自民・佐藤正久氏の暴露に民主党猛反発―【私の論評】不可解な安保に関する民主党の180度転換と、マスコミ等の歴史修正(゚д゚)!


参院平和安全法制特別委員会で質問する自民党の佐藤正久氏=14日午前、国会・参院第1委員会室

 14日の参院平和安全法制特別委員会で、民主党の岡田克也代表ら歴代代表が以前、「集団的自衛権の行使を容認すべきだ」と主張していたことが明るみに出た。質問に立った自民党の佐藤正久氏が“暴露”した。民主党議員らはなぜか反発して議場はヤジに包まれ、審議は一時中断した。

 佐藤氏は、岡田氏の発言が掲載された平成15年5月の読売新聞と「中央公論」17年7月号、野田佳彦元首相の著書「民主の敵」から発言を抜き出してパネルに示した。佐藤氏の求めに応じ、石川博崇防衛政務官がパネルを読み上げた。

 「日本を防衛するために活動している米軍が攻撃された場合、日本に対する行為と見なし、日本が反撃する余地を残すのは十分合理性がある。今の憲法は全ての集団的自衛権の行使を認めていないとは言い切っておらず、集団的自衛権の中身を具体的に考えることで十分整合性を持って説明できる」(岡田氏、読売新聞)
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 「仮に集団的自衛権を憲法なり、法律なりで認めるとしてもきちんと制限を明示したほうがよいだろう。いずれにせよ、より具体的な形で議論すべきだ。最後にはその時々のリーダーが政治生命をかけて決断しなければならない」(岡田氏、中央公論)
 「いざというときは集団的自衛権の行使に相当することもやらざるを得ないことは、現実に起きうるわけです。ですから、原則としては、やはり認めるべきだと思います。認めた上で乱用されないように、歯止めをかける手段をどのように用意しておくべきかという議論が大切になってくるわけです」(野田氏、著書)

 佐藤氏は「まさに必要性を認めている。しかしなぜか6月の党首討論で岡田氏は『集団的自衛権は必要ない』と断言した」と指摘。岡田氏が米艦防護は個別的自衛権や警察権で対応できると主張を変えたことについて「外形上、他国防衛を集団的自衛権でなく個別的自衛権で行うのは危険だ」と切り捨てた。

 また、佐藤氏は、前原誠司元外相や長島昭久元防衛副大臣も行使を認める立場であることも付け加えた。

 【私の論評】不可解な安保に関する民主党の180度転換と、マスコミ等の歴史修正(゚д゚)!

民主党は、自民党と同じように、必ずしも政治信条が同じ議員の集まりではなく、左翼的な議員から、右翼的な議員まで存在する政党であり、悪く言えば選挙互助会のような組織です。

ただし、民主党は自民党をコピーしたような党なので、コピーした分劣化しているということができると思います。

そのため、民主党内でも、安保法制や、集団的自衛権についても様々な意見を持つ集団です。自民党もそういう傾向がありますが、現状では党内でこれらに対する意見を統一しているということです。

しかし、民主党はそうではありませんでした。このブログでもこのことについて掲載したことがあります。

その記事のリンクを以下に掲載します。
民主、安保審議で得意の「バラバラ攻撃」 保守・リベラル両派が質問で“党内不一致”を露呈―【私の論評】中国による現実的な脅威を認識して、与野党ともまともな政策論議を(゚д゚)!
民主党岡田代表

この記事は、今年の5月30日のものです。詳細は、この記事をご覧いただくものとして、以下にこの記事より、この時点では民主党内で集団的自衛権についての統一見解がなかったことに関する部分のみコピペします。

長島昭久元防衛副大臣
 民主党は28日の衆院平和安全法制特別委員会で、安全保障政策をめぐり立ち位置の異なる2人を質問者に立てた。保守系のと、リベラル系の辻元清美政調会長代理がそれぞれ自らの主張を交えながら政府の考えをただす「バラバラ攻撃」を展開したが、同党は安全保障関連法案への対応を正式に決めていないこともあり、実質審議入り2日目で早くも“党内不一致”が表面化した。 
 「国家安全保障の要諦は紛争を未然に防ぐことだ」。安保政策の基本方針を訴えた安倍晋三首相に対、長島氏は「おおむね首肯したい」と賛同した。 安保関連10法案を一括提出した政府の対応に「ごった煮で出されても議論しにくい」と注文をつけたが、法案には理解を示す発言を連発し、「できる限り修正を求めたい。政府は広い視野で取り組んでもらいたい」とエールまで送った。 
衆院平和安全法制特別委員会で質問する民主党の
辻元清美氏=28日午前、国会・衆院第1委員室
 対照的なのが辻元氏。長島氏の質疑ではやじもほとんど出ず「静かな環境」だったが、辻元氏が質問に立つと、雰囲気は一変した。 
 辻元氏は冒頭から「日本が戦争に踏み切る基準の変更について議論しているのか」と切り出し、政府が「戦争できる国づくり」を進めているかのような視点で挑発した。法案にも「日本がテロに狙われることにつながりかねない」と否定的な観点で追及した。 
 長島、辻元両氏の質疑について特別委の自民党委員からは「同じ党の2人とは思えない」との声が漏れた。
民主党は、5月の時点では、このように党内で安保法制に関する見解が統一されていませんでした。しかし、その後、このようなことでは、安倍政権には対峙することはできないと判断し、党内で見解を統一して現在にいたり、現状では、集団的自衛権や安保法制に反対の立場から国会審議をのり切ろうとしています。

こんなことは、本来国会が開催されれる前に、党内で統一見解を一致させておくべきものです。自民党内では、安倍総理は憲法解釈の変更による安保法制の導入に関する公約をかかげ、過去三回にわたり国政選挙で勝利したため、おいそれと安保法制に反対できるような雰囲気ではなく、最初から見解が統一されていたものと考えられます。

今年5月以前の民主党の幹部の安保に関する発言

しかし、民主党ではそのようなこともなく、先に述べたように自民党の劣化コピーのような政党ですから、見解の不一致のまま、国会論戦に突入してしまったというのが真相だと思います。

そうして、過去に遡ると、佐藤氏が上の記事で主張していたことなど、何も目新しいことではなく、過去の民主党では、集団的自衛権を容認していたことは明々白々です。

それについても、このブログに掲載したことがあります。その記事、リンクを以下に掲載します。
日米安保破棄唱える共産党以外は集団的自衛権にNOと言えない―【私の論評】民主党が今更異議を唱えるのはまったく奇異であるこれだけの理由(゚д゚)!

しかし、民主党が集団的自衛権にNOと言えないはずであるとの論拠は他にもあります。これについては、枝野氏が二年前に放った発言が物議を醸しています。

その動画を以下に掲載します。


これは、平成27年6月22日 平和安全特別委員会の動画です。西修氏が証言をしています。

詳細は、この動画をご覧いただくものとして、以下に、動画の発言の内容を一部掲載します。
1:45~
https://www.youtube.com/watch?v=_Jev3GbdbkY 西修(参考人、憲法学者)
「(略)4、集団的自衛権は個別的自衛権と共に主権国家の持つ固有の権利、即ち自然権である点。国連憲章51条であります。不可分であります。 
そこで、枝野幸男、現在民主党幹事長は次のように仰っておられます。 
『そもそもこうして個別的自衛権か集団的自衛権かという二元論で語ること自体おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政治家や学者くらいでしょう。』 
私はもう個別的自衛権とか集団的自衛権とか区別して論ずるのはもうお止めになっていただきたい。 
枝野幹事長のこの言葉、非常に強く重く感じるわけであります。 
敢えてこれについて言うならば、岡田党首は党首討論において最後に『私たちは個別的自衛権はやります!集団的自衛権はいりません!』確かそんな風に仰っていらしたと思います。 
どうしてこれ分けるんでしょうか。どうやって分けるんでしょうか。またやることにどんな意味があるんでしょうか。 
私はあの言葉を聞いてこの枝野幹事長の言葉を思い出した次第であります。この点を是非ご議論頂きたい。こんな風に思うわけであります。(略)」

0:13~
https://www.youtube.com/watch?v=F148WOYQoX8 平沢勝栄
「(略)西先生にちょっとお聞きしたいんですけど、西先生、枝野民主党幹事長のご発言に言及されました。 
資料を読ませていただきますと、枝野幹事長は『そもそもこうして個別的自衛権か集団的自衛権かという二元論で語ること自体おかしな話です。そんな議論を行っているのは日本の政治家や学者くらいでしょう。』と。 
なかなか立派なこと言っておられるなと思いましたけども、そこで西先生、参考人にお伺いいたしたいと思いますけど、これは文藝春秋の一昨年のやつに出たということ、でしょうね。ですからつい最近のお話ですよね? 
ということを確認させていただきたいというのと、もう一つはこういったお考えについて先生はどうお考えになられたか。それをちょっとお聞きさせてください。」

(続く)
枝野氏がこのようなことを語っていたというのですから、民主党の集団的自衛権反対というのは無理があります。しかし、それだけではありません。民主党は過去に、集団的自衛権を認める発言をしていました。

それについては、このブログにも以前掲載したことがあります。その記事のリンクを以下に掲載します。


"



詳細は、この記事をご覧いただくものとして、過去に民主党が集団的自衛権に関して、認めていたと判断できる部分のみを引用します。
実は民主党は過去おいては、集団的自衛権を認めるべきだと主張していました。

2010年8月鳩山内閣でまとめた「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会の報告書」で集団的自衛権を行使できないとするこれまでの憲法解釈を批判しまた。

2012年12月野田内閣「国家戦略会議」の報告書で「集団的自衛権の見直しを図るべきだ」と提言していました。 
菅内閣では仙谷官房長官が「内閣が責任を持って憲法解釈変更を国民に提示すべきだ」と発言していました。 
現在の枝野氏は安保法制改正に現在では、大反対していますが、民主党内閣閣僚のときには「内閣法制局の意見は大事だが判断するのは担当大臣の私であり、最終的には閣議だ」と述べています。 
過去の自民党政権で2回。民主党政権で2回。計4回作成された有識者会議の報告書はいずれも政府の憲法解釈変更を提言しています。 
一般には、安保法制改正は、安倍首相が突然言い出したように思われていますが、実は麻生内閣でも民主党内閣でも集団的自衛権は認めるべきだとする方向でした。 
民主党は野党になったとたんに、これまで主張していたことと正反対のことを言い出したのです。
こんなことからも、 民主党が今更集団的自衛権に関して、異議を唱えるのはまったく奇異としかいいようがありません。

"
これらは、過去において民主党は、集団的自衛権を容認するということで、党内で一致をみていたものが、野党に今年の5月以降に180度転換して、集団的自衛権を含む安保法制に反対することで、党内一致をみたということです。

これは、非常に奇異です。要するに、民主党は安倍総理に対峙するということのみで、突如として、党の方針を180度転換したということです。

この180度転換に近いことは、安保法制に関してマスコミなどでも見られます。全く不可解なことです。

この180度転換とは、もともと憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使に関しては、日本では、戦後から佐藤内閣以前までは、当然のこととされていたにもかかわらず、何やら、マスコミはあたかも、戦争直後から一環して、日本では集団的自衛権を認めてこなかったと主張していることです。

これに関しては、先日もNHKの論説委員が、番組の中に「戦後一環して、集団的自衛権を認めてこなかった日本」と発言していており、これは明らかな歴史修正であるため、本当に驚いてしまいました。

日本が、戦後一環して、「集団的自衛権を認めてこなかった」などという発言は、全くの虚偽であり、日本はかつて「集団的自衛権を認めていました」から、完璧な歴史修正です。

これに関しても、以前このブログに掲載したことがあるので、その記事のリンクを以下に掲載します。
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詳細は、この記事をご覧いただくものとして、この記事で、集団的自衛権に関しては、決して、安倍総理が突然いいだしたものではなく、歴史的にいえば、もともと集団的自衛権の行使が日本では容認されていたものが、佐藤内閣から変わったことを掲載しました。

その部分のみ以下にコピペさせていただきます。
憲法解釈による集団的自衛権の行使に関する誤解 
さて、次には、メディアでは、「戦後一貫した憲法解釈を守ってきた内閣法制局」と「それを変えようとしている安倍内閣」との構図で報道されています。しかし、これはそもそも大嘘です。 
それどころか、岸信介・池田勇人内閣では核武装まで容認し、集団的自衛権の行使など自明でした。そもそも、日米安保条約など、集団的自衛権を行使するための条約であるという理解が当たり前でした。 
そうして、現実には、日本はアメリカの基地を日本に置くということで、集団的自衛権を行使しています。アメリカ軍の基地を日本国内に設置することそのものが、すでに集団的自衛権の行使であることを日本のマスコミはほんど報道しません。 
日本に米軍基地が存在すことそのものが、集団的自衛権の行使である
朝鮮戦争勃発から池田内閣までの解釈をすべてひっくり返したのは佐藤栄作内閣の高辻正己法制局長官です。法制局がのたまう「戦後一貫した憲法解釈」など、せいぜい佐藤内閣・高辻長官以来の話にほかなりません。 
佐藤栄作政権期に境に集団的自衛権の解釈は明らかに変わっています。佐藤内閣以前の「(集団的自衛権を)持っているから行使できる(あるいはその都度考慮する)」から、「持っているが行使はできない」への変化が始まりました。 
この時代には、ベトナム戦争がありました。日本に集団的自衛権はあるが、米国のために他国に自衛隊を派兵することはできないということで、社会党との国会運営をめぐる調整で、佐藤政権が妥協したためこのような妥協が行われました。 
集団的自衛権の行使ができないなどという見解は、単なる妥協の産物に過ぎないのですが、今のマスコミはまるで日本が終戦直後から集団的自衛権に関しては、「日本は行使できない」という考え方を貫き通してきたような報道ぶりで、これを正しく伝えません。 
そのため、日本では多くの人々が、憲法解釈による集団的自衛権の行使に関して正しい認識を持っていません。
このように、民主党は、集団的自衛権の行使に関しては、元々は容認していたし、つい数ヶ月前にも、国会で、そのような見解を示す議員がいたにも関わらず、最近では180度転換して、現在に至っています。

マスコミや、憲法学者、野党などは、歴史修正をしているか、その歴史修正を正しいものとして、愚かな発言を繰り返しています。

上の記事では、佐藤氏が国会で、民主党が180度転換したことを批判していますが、マスコミ等の現代史の修正に関しては、まだ誰も批判していません。これは、全くおかしなことです。

国会でも、安倍総理をはじめ、他の議員もこれは、批判すべきでしょう。

この国は、歴史修正を公然と行い恥ずかしげもない中国とは違います。日本は、民主主義国です。そのような国で、公然と歴史修正が行われて良いはずがありません。

私は、そう思います。皆さんは、どう思われますか?

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