2012年4月16日月曜日

日銀総裁いいたい放題!円高にしてくれといわんばかり−【私の論評】締めっぱなしでは、日銀DNAを存分に発揮できる場はつくれない!!

日銀総裁いいたい放題!円高にしてくれといわんばかり


本日は、ZAKZAKに高橋洋一氏の最近の、日銀総裁白川総裁の発言に関する記事が掲載されていたので、これを紹介します。詳細は、ZAKZAKのほうをご覧いただくものとして、以下に結論部分だけ、コピペしておきます。
10日の金融政策決定会合で日銀は追加緩和を見送った。また、日銀の白川方明総裁は決定会合後の記者会見で、金融政策で目指す物価の安定について「短期間に一気に実現するものではない」と述べている。白川総裁は、過去の日本のCPI(消費者物価指数)上昇率は「バブル経済の時期でも他の先進国に比べて低い水準だった」と指摘した上で、「プラス2%を掲げて政策を運営すると、過去に経験のない事態が起きるので大変不確実性が高く、経済活動にも悪影響を与える」と述べた。さらに「海外が2%だからといって、日本も2%を目指すというのは必ずしも適切ではない」と大胆に言い切った。
インフレ目標の数字について日本が海外より低いだけで、「購買力平価」(自国通貨と外国通貨の購買力の比率で為替レートが決まる説)を持ち出すまでもなく、円高要因になる。それを中央銀行総裁が公言したとなれば、円高にしてくれといわんばかりだ。2月14日の金融緩和によって、誰の目にも金融緩和が円安をもたらし、株高にすることがわかってしまった。普通の人ならば、さらに金融緩和すれば、経済が持ち直すので、日銀法改正の動きも少なくなると読むのが自然だ。しかし、白川総裁の行動はそうした動きをまったく考慮しないようだ。
2008年4月に就任した白川総裁は、5年間の任期満了まであと1年、このようなことは、白川総裁の前の総裁、福井氏も引退間際に似たようなことを実施している。何か、「金融引き締めは勝ち」という日銀のDNAとでもいうべきものが働いているのかもしれない。もしそうなら、これから1年間は恐ろしいことだ。

【私の論評】締めっぱなしでは、日銀DNAを存分に発揮できる場はつくれない!!

それにしても、白川さんなぜこのような行動をとるのか、理解できません。まるで、悪魔に魅入られているようです。では、以下に白川さんの、行動を分析してみましょう。本日は、様々な経済現象を悪魔にみたてて画像も掲載しつつ解説させていただきます。

まずは、白川さんは、何が何でもデフレにしなければならないというデフレ悪魔が好きなのでしょうか?しかし、デフレといえば、経済の癌のようなもの、とてもじゃないですが、常識的に言って下の写真のように魅力的なはずはありません。特にデフレであれば、雇用環境はかなり悪くなります。産業活動は停滞します。白川さんが、デフレ悪魔に恋焦がれているとは考えられません。白川さんは、デフレが好きで、金融緩和しないというわけではないでしょう。何か、他に原因があって、金融緩和をしないのだと思います。


デフレ悪魔

では円高悪魔が大好きなのでしょうか?円高ということになれば、日本の輸出産業にとっては良くないことです。であれば、これが好きなはずはないと思います。しかし、日本の輸出産業は、GDPの16%くらいしかなく、経常収支の中に含む割合も、所得収支(日本の外国への投資によるあがり)と比較するれば、微々たるものでしかありません

しかし、円高となれば、輸出が、GDPの40%以上を占めており、しかも、意図的な元安政策をとっている中国にとっては、かなり有利です。最近、EUの輸出がふるわない中国、円高のため、日本への輸出と、あとは、世界各地にいろいろと投資をして、しのいでいます。これに関しては、アメリカは、輸出がGDPに占める割合は、世界でも、もっとも少ない国ですから、これによるメリットは一般に思われていよりは、少ないです。ということは、円高悪魔によって、日本の富の大部分が中国様にすいとられているわけであり、これは、日本にとっては、望ましくはないです。だから、日銀が、円高悪魔に魅入られているとも思われません。

円高悪魔


では、インフレ大嫌い悪魔が大好きということなのでしょうか?インフレ大嫌い悪魔が好きな人は、政治家にはかなり多いです。とにかく、インフレは駄目だ、インフレにさえならければ、経済は良いとかたくなに信じている人々も多いです。その中には、このブログでもかつて、掲載したこのある、与謝野さんなんて人もいます。しかし、上の記事にも掲載されているように、インフレ目処1%を打ち出したこともあり、これは、本命ではなさそうです。このブログにも掲載したように、このインフレ目処はかなり不十分です。とはいいながらこれを実施していらて、少しの間は、確かに、実際に株価もあがり、円高もおさまりました。だから、これが、本命とは言い切れないところがあります。

インフレ大嫌い悪魔
ではデフレのときでも、何でも、財政規律を最重要視する、そのためには、増税もいとわない、財政規律悪魔が大好きなのでしょうか?これは、最近では、皆さんご存知のように、財務省や、政治家の一部の人が恋焦がれてやまない、悪魔でもありますが、でも、良く考えてみると、財政規律は、役所でいえば、財務省の管轄であるため、日銀には、直接関係はありません。無論間接的には、あるのでしょうが、財政規律を保つことができたからといって、白川さんが高く評価されるわけでもありません。それに、増税すれば、税収が減り、さらに景気は落ち込み、白川さんにとっては、金融引き締めの機会はおとずれません。政府が、増税をやめ、大規模な財政出動をしてくれれば、金融引き締めのチャンスが訪れます。

財政規律悪魔
では一体、本命はなんなのでしょうか?やはり、高橋洋一氏のように、白川さんは、金融引き締め悪魔に魅入られているに違いありません。ぞっこん惚れ込んでいるに違いありません。

金融引き締め悪魔
しかし、なぜ、こんな悪魔の位からいえば、地位の低い、いわば一手段、手法に過ぎない、金融引き締め悪魔になどに魂を売り渡すのでしょうか? その理由自体は、良くわかりませんし、理解できません。

しかし、仮に、高橋洋一氏が語っているように、 「金融引き締めは勝ち」というのが、日銀のDNAであったと仮定しましょう。そうすれば、いろいろなことに確かに説明できます。

まずは、白川さんが、1%のインフレ目処を導入しながら、追加金融緩和措置をしないどころか引き締めがちなのは、1%のインフレ目処により、金融が緩和気味になれば、金融引き締めができるからです。だって、今デフレですから!!デフレのときに、追加金融引き締め措置なんて、絶対にできないではありませんか!!もし、インフレ目処を打ち出さなければ、追加金融引き締め措置などできません。だからこそ、インフレ目処を打ち出したのです。

では、では、私が大胆な提案をいたしましょう!! 一度徹底的に金融緩和をしまししょう。そうして、財務省にも協力願い、徹底的な財政出動をやっていただきましょう。そうなれば、いずれ、かなりのインフレになります。まさに、そのときに、徹底的な金融引き締めを行うのです。それも、かなり思い切った引き締めをするのです。そうなれば、日銀総裁は、ひよっとすると、歴史に今でも、燦然とその名を残している、高橋是清のように、歴史に名前を残せることになります。そうして、日銀のDNAの力を存分に発揮できます。これこそ、日銀マン冥利につきるのではないでしょうか?

経済とは、バランスが重要ですから、いくら、金融引き締めが、日銀のDNAであるからといって、常時引き締めをやっていれば、目だった引き締めなど永遠にできないのは、当たり前のことです。どこかで、緩めて、どこかで締めるということによりはじめて胸躍る、大胆な、引き締めができるというものです。

ガードルブラも締めるところは締め、緩めるところは緩めているから美しい曲線を造形できる!

こんなこと、何も小難しい経済理論でなくても、理解できることです。たとえば、ガードルやブラだって、全部締めていれば、たるみが目立たないだけになるだけです。全部緩めていれば、そもそも、何の役にもたちません。やはり、締めるところは締めて、緩めるところは緩めるから美しい曲線が造形できるのです。全部締めっぱなしだと、色気も何もあったものではありません。

とはいいながら、白川さんには、もうあまり時間が残されていません。いままで、ずっと引き締め基調でやってきたので、この1年で、目だった大引き締めは到底不可能です。というより、ここしばらく、すべての総裁が、引き締め基調でやってきたので、大胆な引き締めをできた人はいません。白川さんには、あまり無茶をしないで、大過なくすごしていただき、次の総裁に期待というとこだと思います。

着任したらすぐに、緩和をして、任期間際で、晴れ舞台の大引き締めを行うなんていかがですか?そうすれば、緩和で景気が回復し、円安になり、その後の引き締めで、インフレ加熱を冷まし、全部で、4回も各方面から、絶賛されることになります。いや、それだけではない、歴史に名を残せることになります。あるいは、こうできるように、日銀法の改正をする必要があるのかもしれません。しかし、日銀法が改正されれば、歴史に名を残せる機会は、永遠に失われるかもしれません。




【私の論評】





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