2025年4月25日金曜日

【コラム】トランプ氏が取り組む6つの戦争、全て敗色濃厚-ブランズ—【私の論評】西側の未来を切り開く中国覇権を粉砕するトランプ6つの戦い!

 【コラム】トランプ氏が取り組む6つの戦争、全て敗色濃厚-ブランズ

まとめ

  • トランプの対立と試練:トランプ大統領は「平和の使者」を自称したが、ウクライナ戦争、中東紛争、イラン核問題、中国との冷戦、台湾問題、貿易戦争の6つの対立に直面し、世界の平和、経済、民主主義に影響を及ぼす分岐点に立つ。
  • 自ら招いた障壁:経済弱体化(株価暴落、リセッション懸念)、同盟国の困惑、戦略的信頼低下、国防総省や国家安全保障会議の混乱がトランプ氏の危機管理を困難にしている。
  • 迅速な対応の必要性:トランプ氏の決断力と効果的な対応が欠如すれば、米国と世界は高い代償を払うリスクがある。

トランプ米大統領は2期目の就任演説で「平和の使者」と自称したが、3カ月後、以下の6つの対立(「戦争」と表現)に直面し、世界の平和、経済、民主主義に影響を及ぼす重要な局面を迎えている。
  1. ウクライナ戦争:ロシアの侵攻による進行中の戦争。トランプ氏は制裁で和平を目指したが、プーチン大統領の強硬姿勢で難航。ロシアへの圧力強化(制裁やウクライナ支援)か、戦争の放棄かを選ぶ必要があり、欧州やNATOの安全保障に影響。
  2. 中東の戦争(イエメン):イエメンの親イラン武装組織フーシ派への米国の攻撃。抑止に失敗し、紛争が激化中。
  3. 中東の戦争(イスラエル・ハマス):イスラエルがハマス壊滅を目指す戦闘。イエメン紛争と並行し、中東の緊張を高める。
  4. イランの核開発を巡る潜在的な戦争:イランの核兵器開発が大規模戦争の引き金となるリスク。トランプ氏は穏健な交渉(最小限の抑止)か、強硬な要求(核プログラム根絶)を迫られ、夏までに合意がない場合、米国やイスラエルによる軍事行動の決断が必要。
  5. 中国との新たな冷戦:米中間の対立が激化。台湾問題では、中国の軍事的圧力に対し、商業紛争の後退(弱さの露呈)か、全面対立の覚悟かを選ぶ必要がある。
  6. 貿易戦争:トランプ氏が導入した高関税による世界各国との商業対立。中国を除く国への関税は90日間猶予されたが、長期的な通商合意か、対中競争での同盟強化が急務。
これらの課題に対し、トランプ氏は自ら招いた経済弱体化(株価暴落、資本流出、リセッション懸念)、同盟国の困惑、戦略的信頼低下、国防総省や国家安全保障会議の混乱といった障壁に直面。迅速かつ効果的な対応がなければ、米国と世界に深刻な代償が伴う。
ブルームバーグ

この記事は、元記事の要約です。詳細を知りたい方は、元記事をご覧になってください。

【私の論評】西側の未来を切り開く中国覇権を粉砕するトランプ6つの戦い!

まとめ
  • 中国の覇権への対抗戦略:トランプは、経済支配、軍事拡張、技術覇権、一帯一路による中国の脅威を最大の危機と見なし、6つの対立(ウクライナ戦争、中東紛争、イラン核問題、中国との冷戦、台湾問題、貿易戦争)を意図的に仕掛ける。目的は中国の全体主義体制を民主化や法治国家化に変えることだ。
  • 元の記事の甘い認識:元の記事はトランプの行動を「混乱」や「失策」と批判するが、中国の覇権がもたらす経済奴隷化、軍事抑圧、監視社会の恐怖を軽視する傍観者的視点であり、危機の深刻さを見誤っている。
  • ディカップリングと西側結束:トランプは関税や技術的ディカップリングで中国を孤立化させ、ウクライナや中東の紛争を活用してNATO、アジア、イスラエルを対中国の戦線に引き込む。西側の再編は中国の分断戦略を打ち破る。
  • 経済自立とエネルギー革命:株価暴落やリセッションを中国依存解消の代償と割り切り、シェールガスや石油の生産拡大でエネルギー革命を推進。2030年までにエネルギー自給率90%を目指し、西側の経済と安全保障を強化する。
  • 長期的な成否の評価:トランプの戦略の成否は数年後の未来で決まる。経済混乱や同盟国の離反は試練だが、対中貿易赤字の縮小や西側の結束が鍵となり、勝利はトランプの手にかかっている。
トランプ米大統領が繰り出す6つの対立は、中国という米国と西側諸国にとっての最大の脅威に挑むための果敢な戦略だ。上の記事は、トランプの行動を傍観者的に眺め、「混乱」や「失策」と決めつける。しかし、これは中国の覇権が世界を覆う恐怖—経済の奴隷化、軍事による抑圧、監視社会の到来—をあまりにも軽んじた甘い認識だ。

中国の経済支配、軍事拡張、技術覇権、国際的影響力は、自由と繁栄を根こそぎ奪う。好むと好まざるに関わらず、西側は中国と立ち向かわねばならない。しかし、対立とはいっても、何も中国を滅ぼすわけではない、目指しているのは、どんな形であれ現在の中国の全体主義体制から、民主化、政治と経済の分離、法治国家化された体制に変わることだ。その先頭に立つのがトランプだ。

中国の脅威を打ち砕く戦いの火蓋
中国の脅威は絵空事ではない

中国は西側にとって最大の敵だ。サプライチェーンを牛耳り(レアアースの9割を支配)、南シナ海や台湾で軍事力を振りかざし、ファーウェイの5GやAIで技術の頂点を狙い、一帯一路で途上国を手中に収める。もし中国の覇権が世界を覆えば、経済は中国の奴隷と化し、軍事力で自由が踏みにじられ、監視技術で個人の尊厳が消える。

上の記事は、この危機を軽視し、トランプの6つの対立を「混乱」と誤解する。トランプは真実を見抜いている。中国を経済的・外交的に孤立させ、米中「ディカップリング」を加速させるため、対立を意図的に仕掛けるのだ。関税政策は、中国を除く国に90日間の猶予を与え、中国への圧力を絞り込み、西側との協調を固める巧妙な一手だ。

2025年3月のウォール・ストリート・ジャーナルでは、ベセント財務長官が「中国はトランプの罠に落ちた」と発言。中国の過剰反応が国際社会での孤立を招いた。ウクライナ戦争や中東紛争も、中国の同盟国(ロシア、イラン)を牽制し、西側を対中国戦線に引き込む。

トランプのウクライナ支援継続は「中国への警告」であり、2025年1月のポリティコでは、トランプが「中国のAIが民主主義を脅かす」と警告し、技術的ディカップリングを加速する方針を打ち出したことを報道した。中国の脅威を打ち砕く戦いは、火蓋を切ったばかりだ。

西側を一つに束ねる同盟の再編

中国の覇権は、西側を分断し、経済で縛り、軍事で脅し、技術で監視する。元の記事は、トランプの同盟国との摩擦を「失敗」と決めつけるが、これは中国の脅威に対する西側の覚醒を促す戦略の一環ととらえるべきだ。

トランプはウクライナや中東の紛争を巧みに操り、欧州(NATO)、アジア(日本、韓国、オーストラリア)、イスラエルを対中国の鉄壁の戦線に引き込む。一時的な困惑は、大きな目的の前では小さな代償だ。トランプの強硬姿勢は、西側を新たな秩序に導く戦略だ。ウクライナでのロシア制裁やイラン核問題の強硬策は、中国の同盟国を弱らせ、西側に共同の戦いを迫るものだ。

2025年1月のフィナンシャル・タイムズは、トランプがNATOに「防衛費増額と対中連携」を突きつけた事実を報じる。関税政策は「西側結束の起爆剤」と評価できる。2025年3月の豪州ABCニュースでは、トランプがAUKUSを強化し、「中国の南シナ海進出を抑止」と表明したことが報道された。トランプの戦いは、西側を一つに束ね、中国の脅威に立ち向かう壮大な再編劇でもある。

経済の自立とエネルギー革命の切り札

Drill Baby Drill(掘って掘って掘りまくれ)


中国の経済支配—サプライチェーンやレアアースの独占—を打ち破るには、米国の自立が不可欠だ。元の記事は、トランプの経済混乱を「弱点」と批判するが、中国の覇権が広がれば、西側経済は中国の足元にひれ伏す。トランプは株価暴落やリセッション懸念を、中国依存を断つ「必要コスト」と割り切っているのだろう。

そうして、エネルギー革命は、トランプの最大の切り札だ。脱炭素・再生可能エネルギーからの脱却、シェールガスや石油の生産拡大、小型モジュール炉の実用化、核融合炉の開発は、中国の資源支配を打ち破るだろう。トランプの1期目(2017-2021年)では、米国が2020年に世界最大の石油・ガス生産国となった(米国エネルギー情報局)。

2025年2月のロイターは、トランプがサウジアラビアと組み、「中国のエネルギー依存を減らす」と報じた。2025年3月のブルームバーグは、「2030年までにエネルギー自給率90%」の目標を掲げたことを報じた。エネルギー革命は、経済を鍛え直し、西側のエネルギー安全保障を固める。

結論

トランプは、中国の脅威—経済の奴隷化、軍事の抑圧、監視社会—に立ち向かう西側の旗手だ。元の記事は、トランプの戦いを冷ややかに眺め、中国の覇権がもたらす恐怖を軽んじる。6つの対立は、中国を孤立させ、西側秩序を守るための罠だ。エネルギー革命は、経済を鍛え、西側の自由を支える。

経済混乱や同盟国の離反、エネルギー政策の不確実性は試練だが、トランプの戦いは数年後の未来で評価される。そうして、この戦いは、既存の経済合理性や軍事合理性には当てはまらない戦いになる。中国の闇に立ち向かうトランプの戦いは、西側の命運を握る。勝利は、トランプの手にかかっている。

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